(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】同時に半径方向に調整可能なインサートカートリッジを有する工具ホルダ及び回転切削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 29/034 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
B23B29/034 B
(21)【出願番号】P 2022510836
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(86)【国際出願番号】 IL2020050971
(87)【国際公開番号】W WO2021064721
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-07-12
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120846
【氏名又は名称】吉川 雅也
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【氏名又は名称】鳥野 正司
(72)【発明者】
【氏名】アシュカール,マーク
(72)【発明者】
【氏名】コーエン,ニア
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】実公昭17-005850(JP,Y1)
【文献】特開昭52-016092(JP,A)
【文献】米国特許第02803153(US,A)
【文献】米国特許第04101239(US,A)
【文献】米国特許第02630027(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B27/00-29/34
B23B 3/06
F16B23/00-43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に反対の前方方向(D
F)及び後方方向(D
R)、並びに、反対の回転先行方向(D
P)及び回転後続方向(D
S)を規定するホルダ中心軸(B)回りに回転するように構成された工具ホルダ(22)であって、前記先行方向(D
P)は切削方向であり、前記工具ホルダ(22)は、
前方に配置された前方本体部分(32)を備えるホルダ本体(24)であって、前記前方本体部分(32)は、ほぼ前方を向いた本体前方面(36)と、前記ホルダ中心軸(B)周りに延在し、かつ、前記本体前方面(36)と境界を接する本体周辺面(38)と、
を備え、前記本体前方面(36)は複数の本体係合面(42)を備える、ホルダ本体(24)と、
スリーブ中心軸(A)を有する調整スリーブ(44)であって、前記調整スリーブ(44)は、
反対の前方スリーブ端面(46)及び後方スリーブ端面(48)、並びに、前記前方スリーブ端面(46)及び前記後方スリーブ端面(48)の間で延在するスリーブ周辺面(50)と、
前記スリーブ中心軸(A)周りに延在し、かつ、前記前方スリーブ端面(46)及び前記後方スリーブ端面(48)を接続するスリーブ貫通孔壁面(54)を備えるスリーブ貫通孔(52)と、
前記前方スリーブ端面(46)内に窪んだ少なくとも1つのスリーブ調整溝(62)であって、前記スリーブ調整溝(62
)が、前記先行方向(D
P)及び前記後続方向(D
S)のうちの一方によって規定された回転スリーブ方向(D
RS)に前記スリーブ中心軸(A)からの距離が減少するように延在する、少なくとも1つのスリーブ調整溝(62)と、を備える、調整スリーブ(44)と、
複数のインサートカートリッジ(26)であって、各インサートカートリッジ(26)は、
インサートポケット(30)と、
反対の内向き調整方向(D
I)及び外向き調整方向(D
O)に前記インサートカートリッジ(26)が変位可能であるように、それぞれの本体係合面(42)と相互に係合されるカートリッジ係合面(72)を備える、後方に面するカートリッジ後方面(66)と、
前記カートリッジ後方面(66)から突出する少なくとも1つのカートリッジピン(78)と、を備える、複数のインサートカートリッジ(26)と、を備え、
前記調整スリーブ(44)が前記前方本体部分(32)に対して回転方向に変位可能であるように前記スリーブ貫通孔壁面(44)が前記本体周辺面(38)に面した状態で、前記調整スリーブ(44)が前記本体ホルダ(24)周りに周方向に配置され、
前記カートリッジピン(78)のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのアクティブなカートリッジピン(78a)を規定する前記スリーブ調整溝(62)のそれぞれの1つに配置され、
前記インサートカートリッジ(26)は、前記ホルダ
中心軸(B)回りに回転スリーブ方向(D
RS)に前記調整スリーブ(44)が回転すると、内側調整位置と外側調整位置との間で調整可能であり、
前記内側調整位置では、
前記調整スリーブ(44)が、前記ホルダ中心軸(B)に対して第1角度位置に配置され、
各インサートポケット(30)は、それぞれの第1半径方向ポケット距離(R1)だけ前記ホルダ中心軸(B)から離間され、
前記外側調整位置では、
前記調整スリーブ(44)が、前記ホルダ中心軸(B)に対して第2角度位置に配置され、
各インサートポケット(30)は、それぞれの第2半径方向ポケット距離(R2)だけ前記ホルダ中心軸(B)から離間され、前記第2半径方向ポケット距離(R2)は前記第1半径方向ポケット距離(R1)よりも大きい、工具ホルダ(22)。
【請求項2】
前記内側調整位置及び前記外側調整位置では、様々なカートリッジピン(78a)が、前記インサートカートリッジ(26)のうちの少なくともいくつかに対して、前記少なくとも1つのアクティブなカートリッジピン(78a)を規定する、請求項1に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項3】
各スリーブ調整溝(62)は螺旋(S)に沿って延在する、請求項1に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項4】
各螺旋(S)のピッチ角(δ)は10°未満である、請求項3に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項5】
前記調整スリーブ(44)は、前記ホルダ中心軸(B)に包含された螺旋中心(S
C)を有する、ちょうど1つのスリーブ調整溝(62)を備える、請求項3に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項6】
前記ちょうど1つのスリーブ調整溝(62)は、前記スリーブ中心軸(A)回りに1~2転回延在する、請求項5に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項7】
各スリーブ調整溝(62)は、前記スリーブ貫通孔壁面(54)及び前記スリーブ周辺面(50)のうちの少なくとも1つに交差する、請求項1に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項8】
前記回転スリーブ方向(D
RS)は前記先行方向(D
P)によって規定される、請求項1に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項9】
前記スリーブ周辺面(50)は、スリーブ外径(D
OS)を有する仮想外側スリーブ円筒(C
OS)によって規定され、
前記スリーブ貫通孔壁面(54)は、スリーブ内径(D
IS)を有する仮想内側スリーブ円筒(C
IS)によって規定され、
前記スリーブ内径(D
IS)は前記スリーブ外径(D
OS)の70%より大きい、請求項1に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項10】
各インサートカートリッジ(26)が複数のカートリッジピン(78)を備え、
各インサートカートリッジ(26)について、前記カートリッジピン(78)のうちの少なくとも1つが前記スリーブ調整溝(62)のいずれか内に配置されておらず、それによって、少なくとも1つの非アクティブなカートリッジピン(78b)を規定する、請求項1に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項11】
前記前方本体部分(32)は、前記本体前方面(36)内に窪む複数のカートリッジピン格納チャネル(80)を備え、各々が、前記本体係合面(42)のうちの1つに関連付けられ、
前記内側調整位置では、
少なくとも1つのインサートカートリッジ(26)について、前記少なくとも1つのアクティブなカートリッジピン(78a)から半径方向内側に配置された任意の非アクティブなカートリッジピン(78b)が、前記カートリッジピン格納チャネル(80)のうちの1つ内に配置される、請求項10に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項12】
各本体係合面(42)は、少なくとも1つの直線の係合凹部(74)及び/又は少なくとも1つの直線の係合突起(76)を備え、
各カートリッジ係合面(72)は、少なくとも1つの直線の係合凹部(74)及び/又は少なくとも1つの直線の係合突起(76)を備え、
前記少なくとも1つの係合突起(76)は前記少なくとも1つの係合凹部(74)に係合される、請求項1に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項13】
各本体係合面(42)は、複数の直線の係合凹部(74)及び複数の直線の係合突起(76)を備え、
各カートリッジ係合面(72)は、複数の直線の係合凹部(74)及び複数の直線の係合突起(76)を備え、
前記直線の係合凹部(74)は前記直線の係合突起(76)と交互に配置され
前記複数の直線の係合凹部(74)及び前記複数の直線の係合突起(76)は、前記カートリッジ係合面(72)及びそれぞれの前記本体係合面(42)の間に鋸歯状係合を形成する、請求項12に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項14】
各インサートカートリッジ(26)は複数のカートリッジピン(78)を備え、
各インサートカートリッジ(26)について、前記複数のカートリッジピン(78)が、前記カートリッジ係合面(72)に配置された前記少なくとも1つの直線の係合凹部(74)及び/又は前記少なくとも1つの直線の係合突起(76)に平行に、直線的に配列される、請求項12に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項15】
各本体係合面(42)に設けられた前記少なくとも1つの係合突起(76)及び/又は前記少なくとも1つの係合凹部(74)は、前記内向き調整方向(D
I)及び前記外向き調整方向(D
O)に延在し、
前記内向き調整方向(D
I)及び前記外向き調整方向(D
O)は、前記ホルダ中心軸(B)を包含し、かつ、前記少なくとも1つのアクティブなカートリッジピン(78a)に交差する軸ピン半平面(PP)に非垂直である、請求項12に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項16】
前記工具ホルダ(22)の前記内側調整位置及び前記外側調整位置では、前記複数のインサートカートリッジ(26)がクランプ構成(82)によって前記ホルダ本体(24)に軸方向にクランプされる、請求項1に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項17】
前記前方本体部分(32)は、前記本体前方面(36)内に窪んだ本体ねじ孔(40)を備え、
前記クランプ構成(82)は、プレート貫通孔(92)及び複数のプレートクランプ部分(93)を備えるクランププレート(84)を備え、
前記クランププレート(84)は、ねじ下部ねじ山部分(96)を備えるプレート留めねじ(94)によって前記工具ホルダ(22)に取り外し可能に取り付けられ、前記プレート留めねじ(94)は、前記ねじ下部ねじ山部分(96)が前記本体ねじ孔(40)にねじで係合されるように、前記プレート貫通孔(92)内に配置され、
各プレートクランプ部分(93)は、前記ホルダ本体(24)にそれぞれのインサートカートリッジ(26)にクランプで係合する、請求項16に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項18】
各インサートカートリッジ(26)は、
前記カートリッジ後方面(66)とは反対のカートリッジ前方面(64)と、
前記カートリッジ前方面(64)内に窪んだ細長いカートリッジピン凹部(70)と、を備え、
前記クランププレート(84)は、
反対のプレート前方面(86)及びプレート後方面(88)、並びに、前記プレート前方面(86)及び前記プレート後方面(88)の間に延在するプレート周辺面(90)と、
前
記プレート
後方面(88)から突出する複数のプレートピン(102)と、を備え、
各インサートカートリッジ(26)について、それぞれのプレートピン(102)が前記カートリッジピン凹部(70)内に配置される、請求項17に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項19】
前記調整スリーブ(44)は、前記スリーブ貫通孔壁面(54)及び前記スリーブ周辺面(50)に向かって開口するスリーブねじ山貫通孔(56)を備え、
前記前方本体部分(32)は、前記本体周辺面(38)内に窪み、かつ、前記ホルダ中心軸(B)周りに延在する環状の本体固定溝(58)を備え、
前記調整スリーブ(44)は、前記本体固定溝(58)内に配置されて前記スリーブねじ山貫通孔(56)にねじで係合される固定ねじ(60)によって前記前方本体部分(32)に取り外し可能に取り付けられる、請求項1に記載の工具ホルダ(22)。
【請求項20】
請求項1に記載の工具ホルダ(22)と、
各切削インサート(28)がそれぞれのインサートポケット(30)内に取り外し可能に保持される、複数の切削インサート(28)と、を備える回転切削工具(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の主題は、概して、複数のインサートカートリッジがその上に保持された工具ホルダを有する回転切削工具に関し、特に、インサートカートリッジの半径方向位置を同時に調整するための構成を有するそうした切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
インサートカートリッジ上に形成された周方向に配置されたインサートポケット内に切削インサートが保持された複数の周辺インサートカートリッジを有する回転切削工具は、前記インサートカートリッジのいずれかの半径方向位置、及びそれによって、その上に据え付けられたそれぞれの切削インサートの半径方向位置を調整するための調整機構を備え得る。そうした回転切削工具の例が、例えば、英国特許第2466660B2号明細書、英国特許出願公開第328803A号明細書及び国際公開第2012/101319号に開示されている。
【0003】
本願の主題は、切削インサートの半径方向位置、及びしたがって、切削直径を調整するための調整機構を有する回転切削工具を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0004】
本願の主題の第1態様によれば、軸方向に反対の前方方向及び後方方向、並びに、反対の回転先行方向及び回転後続方向を規定するホルダ中心軸周りに回転するように構成された工具ホルダが提供され、先行方向は切削方向であり、工具ホルダは、
前方に配置された前方本体部分を備えるホルダ本体であって、前方本体部分は、ほぼ前方を向いた本体前方面と、ホルダ中心軸周りに延在し、かつ、本体前方面と境界を接する本体周辺面とを、含む前方本体部分と、を備え、本体前方面は複数の本体係合面を備える、ホルダ本体と、
スリーブ中心軸を有する調整スリーブであって、調整スリーブは、
反対の前方スリーブ端面及び後方スリーブ端面、並びに、前方スリーブ端面及び後方スリーブ端面の間で延在するスリーブ周辺面と、
スリーブ中心軸周りに延在し、かつ、前方スリーブ端面及び後方スリーブ端面を接続するスリーブ貫通孔壁面を備えるスリーブ貫通孔と、
前方スリーブ端面内に窪んだ少なくとも1つのスリーブ調整溝であって、スリーブ調整溝のあらゆるすべてが、先行方向及び後続方向のうちの一方によって規定された回転スリーブ方向にスリーブ中心軸からの距離が減少するように延在する、少なくとも1つのスリーブ調整溝と、を備える、調整スリーブと、
複数のインサートカートリッジであって、各インサートカートリッジは、
インサートポケットと、
反対の内向き調整方向及び外向き調整方向にインサートカートリッジが変位可能であるように、それぞれの本体係合面と相互に係合されるカートリッジ係合面を備える、後方に面するカートリッジ後方面と、
カートリッジ後方面から突出する少なくとも1つのカートリッジピンと、を備える、複数のインサートカートリッジと、を備え、
調整スリーブが前方本体部分に対して回転方向に変位可能であるようにスリーブ貫通孔壁面が本体周辺面に面した状態で調整スリーブが本体ホルダ周りに周方向に配置され、
カートリッジピンのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのアクティブなカートリッジピンを規定するスリーブ調整溝のそれぞれの1つに配置され、
工具ホルダは、ホルダ軸周りに回転スリーブ方向に調整スリーブが回転すると、内側調整位置と外側調整位置との間で調整可能であり、
内側調整位置では、
調整スリーブは、ホルダ中心軸に対して第1角度位置に配置され、
各インサートポケットは、それぞれの第1半径方向ポケット距離だけホルダ中心軸から離間され、
外側調整位置では、
調整スリーブは、ホルダ中心軸に対して第2角度位置に配置され、
各インサートポケットは、それぞれの第2半径方向ポケット距離だけホルダ中心軸から離間され、第2半径方向ポケット距離は第1半径方向ポケット距離よりも大きい。
【0005】
本出願の主題の第2態様によれば、
上述したタイプの工具ホルダと、
各切削インサートがそれぞれのインサートポケット内に取り外し可能に保持される、複数の切削インサートと、を備える回転切削工具が提供される。
【0006】
本出願の主題の第3態様によれば、軸方向に反対の前方方向及び後方方向、並びに、反対の回転先行方向及び回転後続方向を規定するホルダ中心軸周りに回転するように構成された工具ホルダが提供され、先行方向は切削方向であり、工具ホルダは、
ホルダ本体であって、
複数の周方向に離間された本体係合面を備えるほぼ前方に向いた本体前方面を有する、前方に配置された前方本体部分と、
ホルダ中心軸周りに延在し、かつ、本体前方面と境界を接する本体周辺面と、を備えるホルダ本体と、
スリーブ中心軸を有する調整スリーブであって、
反対の前方スリーブ端面及び後方スリーブ端面、並びに、前方スリーブ端面及び後方スリーブ端面の間に延在するスリーブ周辺面と、
スリーブ中心軸周りに延在し、かつ、前方スリーブ端面及び後方スリーブ端面を接続するスリーブ貫通孔壁面を備えるスリーブ貫通孔と、
前方スリーブ端面内に窪み、かつ、360°の1転回を超えて螺旋状に内側に延在する少なくとも1つのスリーブ調整溝と、を備える調整スリーブと、
周方向に離間した複数のインサートカートリッジであって、各々が、
インサートポケットと、
反対のカートリッジ前方面及びカートリッジ後方面であって、カートリッジ後方面は、カートリッジ係合面と、少なくとも1つの後方に突出するカートリッジピンと、を備える、反対のカートリッジ前方面及びカートリッジ後方面と、
カートリッジ前方面及びカートリッジ後方面の間に延在するカートリッジ周辺面と、を備える、複数のインサートカートリッジと、を備え、
スリーブ貫通孔壁面が本体周辺面に面した状態で調整スリーブは本体ホルダ周りに周方向に配置され、調整スリーブは、前方本体部分に対して回転方向に変位可能であり、
各インサートカートリッジは、本体係合面のそれぞれの1つに係合され、かつ、前方本体部分に対して反対の回転方向に調整スリーブを回転させると、反対の内向き調整方向及び外向き調整方向にスライド可能に変位させられるように構成され、
各インサートカートリッジのうちの少なくとも1つのカートリッジピンは、少なくとも1つのアクティブなカートリッジピンを規定するスリーブ調整溝内に配置され、
工具ホルダは、内側調整位置及び外側調整位置の間で調整可能であり、
内側調整位置では、
各インサートポケットは、それぞれの第1半径方向ポケット距離だけホルダ中心軸から離間され、
外側調整位置では、
各インサートポケットは、それぞれ第2半径方向ポケット距離だけホルダ中心軸から離間され、第2半径方向ポケット距離は第1半径方向ポケット距離よりも大きい。
【0007】
上記は要約であり、かつ、以下に説明する特徴が、本願の主題に任意の組み合わせで適用可能であってもよく、例えば、以下の特徴のうちのいずれかが、工具ホルダ又は回転切削工具に適用可能であってもよいことが理解される。
【0008】
内側調整位置及び外側調整位置では、様々なカートリッジピンが、インサートカートリッジのうちの少なくともいくつかに対して、少なくとも1つのアクティブなカートリッジピンを規定し得る。
【0009】
各スリーブ調整溝は螺旋に沿って延在し得る。
【0010】
各螺旋は、連続する転回間で一定の分離距離を有するアルキメデスの螺旋であり得る。
【0011】
各螺旋のピッチ角は10°未満であり得る。
【0012】
調整スリーブは、ホルダ中心軸に包含される螺旋状の中心を有する、ちょうど1つのスリーブ調整溝を備え得る。
【0013】
ちょうど1つのスリーブ調整溝は、スリーブ中心軸周りに1~2転回延在し得る。
【0014】
複数のインサートカートリッジ上のカートリッジピンは、それぞれのインサートカートリッジのカートリッジ後方面からカートリッジ後方面上の異なる場所で突出し得る。
【0015】
各スリーブ調整溝は、スリーブ貫通孔壁面及びスリーブ周辺面のうちの少なくとも1つに交差し得る。
【0016】
スリーブ回転方向は先行方向によって規定され得る。
【0017】
スリーブ周辺面は、スリーブ外径を有する仮想外側スリーブ円筒によって規定され得る。スリーブ貫通孔壁面は、スリーブ内径(DIS)を有する仮想内側スリーブ円筒によって規定され得る。スリーブ内径は、スリーブ外径の70%より大きくものであり得る。
【0018】
少なくとも1つのインサートカートリッジについて、2つのカートリッジピンが、2つのアクティブなカートリッジピンを規定するスリーブ調整溝のそれぞれの1つに配置され得る。
【0019】
各インサートカートリッジは複数のカートリッジピンを備え得る。各インサートカートリッジについて、カートリッジピンのうちの少なくとも1つは、スリーブ調整溝(62)のいずれにも配置されなくてもよく、それによって、少なくとも1つの非アクティブなカートリッジピンを規定する。
【0020】
前方本体部分は、各々が本体係合面のうちの1つに関連付けられた、本体前方面内に窪んだ複数のカートリッジピン格納チャネルを備え得る。内側調整位置では、少なくとも1つのインサートカートリッジについて、少なくとも1つのアクティブなカートリッジピンから半径方向内側に配置された任意の非アクティブなカートリッジピンが、カートリッジピン格納チャネルのうちの1つ内に配置され得る。
【0021】
各本体係合面は、少なくとも1つの直線の係合凹部及び/又は少なくとも1つの直線の係合突起を備え得る。各カートリッジピン格納チャネルは、関連付けられた本体係合面の少なくとも1つの直線の係合凹部及び/又は少なくとも1つの直線の係合突起に平行に、直線的に配列され得る。
【0022】
外側調整位置では、少なくとも1つのインサートカートリッジについて、少なくとも1つの非アクティブなカートリッジピンが、少なくとも1つのアクティブなカートリッジピンから半径方向外側に配置され得る。
【0023】
各本体係合面は、少なくとも1つの直線の係合凹部及び/又は少なくとも1つの直線の係合突起を備え得る。各カートリッジ係合面は、少なくとも1つの直線の係合凹部及び/又は少なくとも1つの直線の係合突起を備え得る。少なくとも1つの係合突起は、少なくとも1つの係合凹部に係合され得る。
【0024】
各本体係合面は、複数の直線の係合凹部及び複数の直線の係合突起を備え得る。各カートリッジ係合面は、複数の直線の係合凹部及び複数の直線の係合突起を備え得る。直線の係合凹部は直線の係合突起と交互に配置され得る。複数の直線の係合凹部及び複数の直線の係合突起は、カートリッジ係合面とそれぞれの本体係合面との間に鋸歯状係合を形成し得る。
【0025】
各インサートカートリッジは複数のカートリッジピンを備え得る。各インサートカートリッジについて、複数のカートリッジピンは、カートリッジ係合面に配置された少なくとも1つの直線の係合凹部及び/又は少なくとも1つの直線の係合突起に平行に、直線的に配列され得る。
【0026】
各本体係合面に設けられた少なくとも1つの係合突起及び/又は少なくとも1つの係合凹部は内向き調整方向及び外向き調整方向に延在し得る。内向き調整方向及び外向き調整方向は、ホルダ中心軸を包含し、かつ、少なくとも1つのアクティブなカートリッジピンに交差する軸ピン半平面に対して非垂直であり得る。
【0027】
工具ホルダの内側調整位置及び外側調整位置では、複数のインサートカートリッジがクランプ構成によってホルダ本体に軸方向にクランプされ得る。
【0028】
前方本体部分は、本体前方面内に窪んだ本体ねじ孔を備え得る。クランプ構成は、プレート貫通孔及び複数のプレートクランプ部分を備えるクランププレートを備え得る。クランププレートは、ねじ下部ねじ山部分を備えるプレート留めねじによって工具ホルダに取り外し可能に取り付けられ得、プレート留めねじは、ねじ下部ねじ山部分が本体ねじ孔にねじで係合される状態でプレート貫通孔内に配置される。各プレートクランプ部分は、それぞれのインサートカートリッジをホルダ本体にクランプで係合し得る。
【0029】
各インサートカートリッジは、カートリッジ後方面の反対側にあるカートリッジ前方面と、カートリッジ前方面内に窪んだ細長いカートリッジピン凹部と、を備え得る。クランププレートは、反対のプレート前方面及びプレート後方面、並びに、プレート前方面及びプレート後方面の間に延在するプレート周辺面と、後方プレート面から突出する複数のプレートピンと、を備え得る。各インサートカートリッジについて、それぞれのプレートピンがカートリッジピン凹部に配置されることができる。
【0030】
プレート貫通孔はプレート貫通孔ねじ山部分を備え得る。プレート留めねじは、ねじ上部ねじ山部分を備え得、ねじ下部ねじ山部分は、ねじ上部ねじ山部分とは反対の螺旋方向を有する。ねじ上部ねじ山部分は、プレート貫通孔ねじ山部分にねじで係合され得る。
【0031】
調整スリーブは、スリーブ貫通孔壁面及びスリーブ周辺面に対して開口するスリーブねじ貫通孔を備え得る。前方本体部分は、本体周辺面内に窪み、かつ、ホルダ中心軸周りに延在する環状の本体固定溝を備え得る。調整スリーブは、本体固定溝内に配置された固定ねじによって、前方本体部に取り外し可能に取り付けられ得、かつ、スリーブねじ貫通孔にねじで係合され得る。
【0032】
本願のより良い理解のために、かつ、本願が実際にどのように実施され得るかを示すために、ここで、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】
図1に示す回転切削工具の分解斜視図である。
【
図6】
図1及び
図2に示すインサートカートリッジの斜視図である。
【
図7】
図6に示すインサートカートリッジの平面図である。
【
図8】
図6に示すインサートカートリッジの底面図である。
【
図10】
図9に示すクランププレートの底面図である。
【
図12】工具ホルダが内側調整位置にあり、その上に1つのインサートカートリッジの輪郭が重ねられているときの半径方向平面で取られた断面図である。
【
図13】工具ホルダが第1外側調整位置にあるときの、
図12に示す類似の図である。
【
図14】工具ホルダが第1外側調整位置よりもさらに外側の第2外側調整位置にあるときの、
図12に示す類似の図である。
【0034】
例示を簡略化して明確化するため、図に示されている要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていないことが理解されよう。例えば、要素のいくつかの寸法は、明確化するために他の要素に比べて誇張されている場合があり、又は、複数の物理的構成要素が1つの機能ブロック又は要素に含まれている場合がある。さらに、適切と考えられる場合、対応の又は類似の要素を指し示すために、参照符号は図面間で繰り返され得る。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の説明では、本願の主題の様々な態様について説明する。説明の目的のため、本願の主題の完全な理解を提供するために特定の構成及び詳細が十分に詳細に記載される。しかしながら、本願の主題は、本明細書で提示される特定の構成及び詳細なしで実施されることができることも当業者には明らかであろう。
【0036】
最初に、本願の一態様を示す回転切削工具20を示す
図1及び
図2に着目する。図面に示すこの非限定的な例では、回転切削工具20は、既存の孔の直径を増大させるように設計された回転ボーリング工具である。しかしながら、本願の主題は、回転ボーリング工具のみに限定されず、例えば、これに限定されないが、リーミング工具にも適用可能である。回転切削工具20は、ホルダ本体24及び複数のインサートカートリッジ26を有する工具ホルダ22を含む。複数のインサートカートリッジ26は周方向に離間される。図面に示すこの非限定的な例では、工具ホルダ22は、ちょうど3つのインサートカートリッジ26を有する。インサートカートリッジ26はホルダ本体24に取り外し可能に取り付けられる。回転切削工具20は複数の切削インサート28をさらに含む。各切削インサート28は周方向の切れ刃29を有する。各切削インサート28は、それぞれのインサートカートリッジ26のインサートポケット30内に取り外し可能に保持される。回転切削工具20は、切削(例えば、ボーリング)が実行された後のワークピースの孔の直径を規定する切削直径を有する。工具ホルダ22は、内側調整位置と外側調整位置との間で調整可能である。内側調整位置は最小切削直径に対応し得る。外側調整位置は最大切削直径に対応し得る。
【0037】
本願の別の態様を示す工具ホルダ22を示す
図1及び
図2に再び着目する。工具ホルダ22は、ホルダ中心軸B周りに回転するように構成される。ホルダ中心軸Bは、軸方向に反対の前方方向D
F及び後方方向D
Rを規定する。ホルダ中心軸Bは、回転の先行方向D
P及び後続方向D
Sも規定する。先行方向D
Pは回転切削工具20の切削方向である。
【0038】
本説明及び特許請求の範囲全体での「前方」及び「後方」という用語の使用は、それぞれ、
図3の左及び右に向かうホルダ中心軸Bの方向の相対位置を指すことに留意されたい。本開示では、「前方」は、回転切削工具20の切削端に関連付けられる。本説明及び特許請求の範囲全体での「軸方向」及び「半径方向」という用語の使用は、別途記述しない限り、ホルダ中心軸Bに関するものであることにさらに留意されたい。
【0039】
ここで
図3を参照する。工具ホルダ22はホルダ本体24を含む。ホルダ本体24は、前方に配置された前方本体部分32と、後方に配置されたスピンドル部分34と、を含む。スピンドル部分34は、工具ホルダ22を回転させるために、CNC機械からトルクを受け取るように設計される。前方本体部分32は、前方に面する本体前方面36及び本体周辺面38を含む。本願の主題のいくつかの実施形態によれば、本体前方面36は、ホルダ中心軸Bに対して垂直に配向されることができる。
【0040】
本体周辺面38は、ホルダ中心軸B周りに延在し、かつ、本体前方面36と境界を接する。本願の主題のいくつかの実施形態によれば、本体周辺面38は、工具ホルダ22と同軸であり、かつ、本体外径DOBを有する仮想外側本体円筒COBによって規定されることができる。
【0041】
図4を参照すると、前方本体部分32は、本体前方面36内に窪んだ本体ねじ孔40を含み得る。本体ねじ孔40は、クランプ機構に属する留めねじをねじで受け止めるように設計され、かつ、本説明でさらに説明される。本願の主題のいくつかの実施形態によれば、本体ねじ孔40はホルダ中心軸Bに沿って延在し得る。
【0042】
再び
図4を参照し、また
図2にも見られるように、本体前方面36は複数の本体係合面42を含む。複数の本体係合面42は周方向に離間される。複数の本体係合面42は、インサートカートリッジ26上の対応の後部カートリッジ面66に係合するように設計され、かつ、本説明でさらに説明される。本体係合面42の数はインサートカートリッジ26の数に対応する。
図4では、本体係合面42は、互いに同一であるが、いくつかの実施形態では、互いに異なってもよい。
【0043】
ここで、
図2に加えて
図5にも着目する。工具ホルダ22は調整スリーブ44を含む。調整スリーブ44はスリーブ中心軸Aを有する。調整スリーブ44は、反対側の前方スリーブ端面46及び後方スリーブ端面48を含む。本願の主題のいくつかの実施形態によれば、前方スリーブ端面46及び後方スリーブ端面48はスリーブ中心軸Aに対して垂直に配向され得る。
【0044】
調整スリーブ44は、前方スリーブ端面46及び後方スリーブ端面48の間に延在するスリーブ周辺面50をさらに含む。スリーブ周辺面50はスリーブ中心軸A周りに延在する。本願の主題のいくつかの実施形態によれば、スリーブ周辺面50は、その軸としてスリーブ中心軸Aを有し、かつ、スリーブ外径DOSを有する仮想外側スリーブ円筒COSによって規定され得る。
【0045】
調整スリーブ44はスリーブ貫通孔52を含む。スリーブ貫通孔52は、スリーブ中心軸A周りに延在するスリーブ貫通孔壁面54を含む。言い換えると、スリーブ貫通孔52はスリーブ中心軸Aに沿って延在する。スリーブ貫通孔壁面54は前方スリーブ端面46及び後方スリーブ端面48を接続する。すなわち、スリーブ貫通孔52は、前方スリーブ端面46及び後方スリーブ端面48に向かって開口している。
【0046】
本願の主題のいくつかの実施形態によれば、スリーブ貫通孔壁面54は、その軸としてスリーブ中心軸Aを有し、かつ、スリーブ内径DISを有する仮想内側スリーブ円筒CISによって規定され得る。内側スリーブ円筒CIS及び外側スリーブ円筒COSは同軸であり得る(すなわち、スリーブ中心軸Aをそれらの軸として共有する)。スリーブ内径DISはスリーブ外径DOSの70%を超え得る。
【0047】
調整スリーブ44は、スリーブ貫通孔壁面54が本体周辺面38に面した状態でホルダ本体24周りに周方向に配置される。調整スリーブ44は、前方本体部分32に対して回転方向に変位可能である。すなわち、調整スリーブ44は、前方本体部分32に対して回転させられ得る(明らかに、スリーブ内径D
ISが本体外径D
OSよりもわずかに大きいので、調整スリーブ44の回転を許容するためのクリアランスが提供される)。そうした構成では、調整スリーブ44及び工具ホルダ22は同軸である。さらに、一般的に言えば、回転切削工具20が組み立てられるとき、前方スリーブ面46は、軸方向において本体前方面36と水平であり得る(
図1を参照)。
【0048】
図1及び
図2に戻ると、本願の主題のいくつかの実施形態によれば、調整スリーブ44は、スリーブ貫通孔壁面54及びスリーブ周辺面50に向かって開口するスリーブねじ貫通孔56を含み得る。一般的に言えば、スリーブねじ貫通孔56は、スリーブ中心軸Aに対して半径方向に延在する。
図3に示すように、前方本体部分32は、本体周辺面38内に窪み、かつ、ホルダ中心軸B周りに延在する環状の本体固定溝58を含み得る。
図1に示すように、固定ねじ60が、スリーブねじ貫通孔56にねじで係合し、かつ、本体固定溝58に配置される。固定ねじ60は本体固定溝58に堅くは当接していない。この構成では、調整スリーブ44は、調整スリーブ44を回転させることを可能にしながら、本体ホルダ24に取り外し可能に取り付けられる。
【0049】
図5に最もよく見られるように、調整スリーブ44は、前方スリーブ端面46内に窪んだ少なくとも1つのスリーブ調整溝62を含む。少なくとも1つのスリーブ調整溝62はスリーブ中心軸A周りに延在する。各スリーブ調整溝62は、スリーブ調整溝62の幅方向に互いに対向する半径方向内向き溝壁面63a及び半径方向外向き溝壁面63bを含む。ホルダ中心軸(B)を包含し、かつ、少なくとも1つのスリーブ調整溝62と交差する任意の軸平面において、半径方向内向き溝壁面63aは、半径方向外向き溝壁面63bよりもホルダ中心軸Bに近い。任意のすべてのスリーブ調整溝62は、先行方向D
P及び後続方向D
Sのうちの一方によって規定される回転スリーブ方向D
RSにおいて、スリーブ中心軸Aからの距離が減少するように延在する。本願の主題のいくつかの実施形態によれば、回転スリーブ方向D
RSは、先行方向D
Pによって規定され、かつ、回転切削工具20の切削方向でもある。各スリーブ調整溝62は、スリーブ貫通孔壁面54及びスリーブ周辺面50のうちの少なくとも1つと交差し得る。より具体的には、スリーブ調整溝62は、溝内側開口部62aでスリーブ貫通孔壁面54に交差し得、スリーブ調整溝62は、溝外側開口部62bでスリーブ周辺面50に交差し得る。溝内側開口部62aは、半径方向に溝外側開口部62bよりもホルダ中心軸Bに近い。
【0050】
本願の主題のいくつかの実施形態によれば、各スリーブ調整溝62は螺旋Sに沿って延在し得る。螺旋Sは螺旋中心SC及びピッチ角δを有する。ピッチ角δは、調整スリーブ44の既定の回転角度に対するインサートカートリッジ26の半径方向調整の大きさを規定する。ピッチ角δの値が低くなるにつれて、インサートカートリッジ26の半径方向の調整が微細になる。各螺旋Sは、連続する転回間で一定の分離距離SDを有するアルキメデスの螺旋であり得る。各螺旋Sのピッチ角δは10°未満であり得る。本説明及び特許請求の範囲全体での「ピッチ角」という用語の使用は、螺旋が螺旋中心SCを中心とする円となす角度を指すことを理解されたい。
【0051】
本願の主題のいくつかの実施形態によれば、調整スリーブ44はちょうど1つのスリーブ調整溝62を含み得る。ちょうど1つのスリーブ調整溝62は、螺旋中心SC周りに連続的に(すなわち、途切れることなく)延在し得る。螺旋中心SCはホルダ中心軸Bに包含され得る。ちょうど1つのスリーブ調整溝62は、スリーブ軸A周りに1~2転回(1転回は360度に等しい)の間にわたって延在し得る。
【0052】
ここで、複数のインサートカートリッジ26のうちの1つを示す
図6~
図8を参照する。各インサートカートリッジ26は、反対のカートリッジ前方面64及びカートリッジ後方面66を含む。各インサートカートリッジ26は、カートリッジ前方面64とカートリッジ後方面66との間に延在するカートリッジ周辺面68をさらに含む。インサートカートリッジ26はまた、それぞれの切削インサート28をその中に取り外し可能に保持するためのインサートポケット30を含む。インサートポケット30は、カートリッジ前方面64及びカートリッジ周辺面68に向かって開口している。回転切削工具20が組み立てられるとき、インサートポケット30は工具ホルダ22の周囲に配置される。さらに、インサートポケット30は、インサートカートリッジ26の回転的に先行する部分に配置される。
【0053】
本願の主題のいくつかの実施形態によれば、インサートカートリッジ26は、カートリッジ前方面64内に窪んだカートリッジピン凹部70を含み得る。カートリッジピン凹部70は、クランプ機構に属するクランプ部材(例えば、プレート)の対応の部分(例えば、ピン)を受け入れるように設計され、かつ、本説明においてさらに説明される。カートリッジピン凹部70は止まり孔であり得る。好ましくは、インサートカートリッジ26は、カートリッジ前方面64内に少なくとも部分的に窪んだクランプポケット71を含み得る。カートリッジピン凹部70はクランプポケット71に配置され得る。カートリッジピン凹部70は、(例えば)クランプ部材のピンがまだその中に配置されていても、インサートカートリッジ26が自由に変位させられることを可能にするように細長くされ得る。
【0054】
カートリッジ後方面66はカートリッジ係合面72を含む。カートリッジ係合面72の形状は、それぞれの本体係合面42の形状に対応する。カートリッジ係合面72は、それぞれの本体係合面42に対してスライド変位可能である。さらに、カートリッジ係合面72は、それぞれの本体係合面42と相互に係合し、その結果、インサートカートリッジ26は、反対の内向き調整方向DI及び外向き調整方向DOに変位可能である。本願の主題のいくつかの実施形態によれば、工具ホルダ22は、任意のインサートカートリッジ26の内向き調整方向DI及び外向き調整方向DOの変位がインサートポケット30を、及び特に、切れ刃29を半径方向に変位させることになるように構成される。すなわち、ホルダ中心軸Bに沿った図では、内向き調整方向DI及び外向き調整方向DOは、ホルダ中心軸B及び切れ刃29に交差する半径線に平行である。しかしながら、図示の実施形態では、内向き調整方向DI及び外向き調整方向DOは、ホルダ中心軸Bを通過も交差もせず、及びしたがって、ホルダ中心軸Bに対して傾斜している。
【0055】
本願の主題のいくつかの実施形態によれば、工具ホルダ22は、カートリッジ係合面72及びそれぞれの本体係合面42の一方又は両方内に窪んだ少なくとも1つの係合凹部74を含み得る。工具ホルダ22はさらに、カートリッジ係合面72及びそれぞれの本体係合面42のうちの一方又は両方から突出する少なくとも1つの係合突起76を含み得る。言い換えると、各本体係合面42は、少なくとも1つの直線の係合凹部74及び/又は少なくとも1つの直線の係合突起76を含み得、各カートリッジ係合面72は、少なくとも1つの直線の係合凹部74及び/又は少なくとも1つの直線の係合突起76を含み得る。
【0056】
少なくとも1つの係合凹部74は真っ直ぐに(すなわち、直線的に)延在し得る。少なくとも1つの係合突起76は真っ直ぐに(直線的に)延在し得る。各本体係合面42に設けられた少なくとも1つの係合突起76及び/又は少なくとも1つの係合凹部74は内向き調整方向DI及び外向き調整方向DOに延在する。各本体係合面42に配置された少なくとも1つの係合突起76及び/又は少なくとも1つの係合凹部74は本体周辺面38まで延在し得る。少なくとも1つの係合突起76は少なくとも1つの係合凹部74に係合され得る。そうした構成は、内向き調整方向DI及び外向き調整方向DOでのみのインサートカートリッジ26の移動を可能にすることに留意されたい。
【0057】
本願の主題のいくつかの実施形態によれば、工具ホルダ22は、カートリッジ係合面72及びそれぞれの本体係合面42のうちの一方内に窪んだちょうど1つの係合凹部74を含み得る。工具ホルダ22はさらに、カートリッジ係合面72及びそれぞれの本体係合面42のうちの他方の1つから突出するちょうど1つの係合突起76を含み得る。
【0058】
本願の主題の他のいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの直線の係合凹部74は、互いに平行である複数の係合凹部74を含み得る。少なくとも1つの直線の係合突起76は、互いに平行である複数の係合突起76を含み得る。
【0059】
図面において、本体係合面44及びカートリッジ係合面72の両方が、直線の係合突起76と交互に直線の係合凹部74を備えており、2つの表面42、72は、他方の係合凹部74を占有する各々の係合突起76と相補的に互いに係合する。直線の係合突起76の各対はそれぞれの直線の係合凹部74によって接続される。したがって、複数の係合突起76が複数の係合凹部74に係合するとき、カートリッジ係合面72とそれぞれの本体係合面42との間に鋸歯状の係合が形成され得る。
【0060】
各インサートカートリッジ26は少なくとも1つのカートリッジピン78をさらに含む。少なくとも1つのカートリッジピン78はカートリッジ後方面66から突出する。本願の主題のいくつかの実施形態によれば、インサートカートリッジ26の各々は、その上に異なる数のカートリッジピン78を有し得る。
図12~
図14を参照すると、この非限定的な例では、インサートカートリッジ26のうちの2つが3つのカートリッジピン78を有し、インサートカートリッジ26のうちの1つが4つのカートリッジピン78を有する。さらに、1つのカートリッジ26のカートリッジ後方面66から突出するカートリッジピン78は、他のカートリッジの位置とは異なる位置で突出してもよい。したがって、複数のインサートカートリッジ26は互いに同一でなくてもよい。調整スリーブ44がちょうど1つのスリーブ調整溝62を有する構成の場合、これにより、すべてのインサートカートリッジ26がホルダ中心軸Bから同じ半径方向距離に配置されることを可能にする。
【0061】
各インサートカートリッジ26について、カートリッジピン78のうちの少なくとも1つが、スリーブ調整溝62のうちのそれぞれの1つに配置され、それによって、少なくとも1つのアクティブなカートリッジピン78aを規定する。アクティブなカートリッジピン78aの目的は、係合突起76との係合を提供することであり、これにより、ホルダ本体の前方本体部分32に対して調整スリーブ44が回転すると、インサートカートリッジ26を内向き調整方向DI及び外向き調整方向DOに促すことを可能にする。内向き調整方向DI及び外向き調整方向DOは、ホルダ中心軸Bを包含し、かつ、少なくとも1つのアクティブなカートリッジピン78aと交差する軸ピン半平面PPに対して非垂直であることに留意されたい。そうでなければ、インサートカートリッジ26の変位が阻止される。
【0062】
各スリーブ調整溝62が、スリーブ貫通孔壁面54及びスリーブ周辺面50のうちの少なくとも一方と交差する構成では、カートリッジピン78は、部分的にそれぞれのスリーブ調整溝62に配置され、かつ、部分的にそれぞれのスリーブ調整溝62に配置されない(すなわち、溝内側開口部62a又は溝外側開口部62bを超えて延在することによって)。しかしながら、そうしたカートリッジピン78は、アクティブなカートリッジピン78aとして規定されないことに留意されたい。
【0063】
本願の主題のいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのインサートカートリッジ26について、2つのカートリッジピン78が、2つのアクティブなカートリッジピン78aを規定するスリーブ調整溝62のうちのそれぞれの1つに配置される。
【0064】
本願の主題のいくつかの実施形態によれば、各インサートカートリッジ26は複数のカートリッジピン78を含み得る。各インサートカートリッジ26について、複数のカートリッジピン78は、直線的に配列され得、カートリッジ係合面72に配置された少なくとも1つの直線の係合凹部74及び/又は少なくとも1つの直線の係合突起76と同じ直線方向を有する。言い換えれば、複数のカートリッジピン78は、カートリッジ係合面72に配置された少なくとも1つの直線の係合凹部74及び/又は少なくとも1つの直線の係合突起76に平行な方向に延在する。複数の直線的に配列されたカートリッジピン78の各々は、ピン距離PDだけ、その隣接するピンから離間され得る。一般的に、ピン距離PDは分離距離SDに等しいものであり得る。
【0065】
本願の主題のいくつかの実施形態によれば、各インサートカートリッジ26について、カートリッジピン78のうちの少なくとも1つは、スリーブ調整溝62のうちのいずれにも配置されなくてもよく、それによって、少なくとも1つの非アクティブなカートリッジピン78bを規定する。上記のアクティブなカートリッジピン78aに関する議論に従って、部分的にそれぞれのスリーブ調整溝62に配置され、かつ、部分的にそれぞれのスリーブ調整溝62に配置されないカートリッジピン78が非アクティブなカートリッジピン78bとして規定される。したがって、工具ホルダ22の任意の所定の位置において(及び任意の所定の時点で)、各カートリッジピン26は、アクティブ又は非アクティブのいずれかであるが、両方ではなく又はいずれでもない。
【0066】
図4を参照すると、本体係合面42の各々は、本体前方面36内に窪んだ関連のピン格納チャネル80を有し得る。したがって、前方本体部分32は、本体前方面36内に窪んだ複数のカートリッジピン格納チャネル80を含み得る。カートリッジピン格納チャネル80の数は、本体係合面42の数に対応し、及びしたがって、インサートカートリッジ26の数に対応する。本願の主題のいくつかの実施形態によれば、各カートリッジピン格納チャネル80は、直線的に配列され得、少なくとも1つの直線の係合凹部74及び/又は少なくとも1つの直線の係合突起76が本体係合面42に配置されるのと同じ直線方向を有する。言い換えると、各ピン格納チャネル80は、関連の本体係合面42の直線の係合凹部74又は直線の係合突起76に平行な方向に延在する。カートリッジピン格納チャネル80の目的は本説明において後で説明される。
【0067】
内側調整位置にある工具ホルダ22を示す
図12に着目する。内側調整位置では、調整スリーブ44はホルダ中心軸Bに対して第1角度位置に配置される。各インサートポケット30は、それぞれの第1半径方向ポケット距離R1だけホルダ中心軸Bから離間される。本願の主題のいくつかの実施形態によれば、内側調整位置において、少なくとも1つのインサートカートリッジ26について、少なくとも1つのアクティブなカートリッジピン78aから半径方向内側に配置された任意の非アクティブなカートリッジピン78bが、カートリッジピン格納チャネル80のうちの1つ内に配置され得る。
【0068】
本願の主題のいくつかの実施形態によれば、工具ホルダ22の調整された位置のうちのいずれか(例えば、内側調整位置又は外側調整位置のいずれか)において、複数のインサートカートリッジ26は、クランプ構成82によってホルダ本体24に軸方向にクランプされ得る。
【0069】
本願の主題のいくつかの実施形態によれば、クランプ構成82はクランププレート84を含み得る。クランププレート84は、反対のプレート前方面86及びプレート後方面88と、それらの間に延在するプレート周辺面90と、を含み得る。
【0070】
クランププレート84はプレート貫通孔92を含み得る。プレート貫通孔92は、プレート前方面86及びプレート後方面88に対して開口し得る。クランププレート84は、複数のプレートクランプ部分93を含み得る。クランプ部分の数はインサートカートリッジ26の数に対応する。図面に示すこの非限定的な例では、クランププレート84は、3つのプレートクランプ部分93を有する三角形状を有する。
【0071】
クランププレート84はプレート留めねじ94によって工具ホルダ22に取り外し可能に取り付けられ得る。プレート留めねじ94は、ねじ下部ねじ山部分96を含み得る。プレート留めねじ94は、ねじ下部ねじ山部分96が本体ねじ山孔40にねじで係合された状態で、プレート貫通孔92内に配置され得る。各プレートクランプ部分93は、それぞれのインサートカートリッジ26をホルダ本体24にクランプして係合し得る。
【0072】
本願の主題のいくつかの実施形態によれば、プレート貫通孔92は、プレート貫通孔ねじ山部分98を含み得る。プレート留めねじ94は、ねじ上部ねじ山部分100を含み得る。ねじ下部ねじ山部分96は、ねじ上部ねじ山部分100とは反対の螺旋方向を有し得る。ねじ上部ねじ山部分100は、プレート貫通孔ねじ山部分98にねじで係合され得る。そうした構成では、プレート留めねじ94の頭部を受け入れるための円錐形の皿孔(図示せず)はない。これは、円錐形の皿孔のための限られたスペースが与えられた、対応の小さいクランププレート84を有する小さな回転切削工具20に有利である。
【0073】
本願の主題のいくつかの実施形態によれば、クランププレート84は、プレート後方面88から突出する複数のプレートピン102を含み得る。プレートピン102の数はインサートカートリッジ26の数に対応する。各インサートカートリッジ26について、それぞれのプレートピン102はカートリッジピン凹部70内に配置され得る。これは、工具ホルダ22の位置を調整するときに、インサートカートリッジ26が工具ホルダ22から落下することを阻止する。
【0074】
代替として、本願の主題のいくつかの他の実施形態によれば、クランプ構成82は、複数のクランプねじを含み得、各インサートカートリッジ26は、クランププレート(図示せず)なしでそれぞれのクランプねじによってホルダ本体24に個別に軸方向にクランプされる。
【0075】
内側調整位置から外側調整位置への工具ホルダ22の調整は、以下のステップを実行することによって達成される。本願の主題のいくつかの実施形態によれば、軸方向にクランプされた複数のインサートカートリッジ26が、内向き調整方向DI及び外向き調整方向DOにおけるそれらの変位を可能にするために十分にクランプから外される。図面に示すこの非限定的な例では、これは、プレート留めねじ94を部分的に緩めることによって達成される。代替として、複数のクランプねじを含む上述した構成の場合、各クランプねじは個別に部分的に緩められる。調整スリーブ44は、ホルダ中心軸B周りにスリーブ回転方向DRSに回転させられる。調整スリーブ44が回転させられると、外向き溝壁面63bは、最初に、少なくとも1つのアクティブなカートリッジピン78aに当接する。さらに続く回転時に、スリーブ中心軸Aから回転スリーブ方向DRSに距離が減少するようにスリーブ調整溝62が延在することによって、外向き溝壁面63bは、各インサートカートリッジ28の少なくとも1つのアクティブなカートリッジピン78aに半径方向外向き方向に半径方向調整力Fを作用させる。調整力は、同時に、インサートカートリッジ26を外向き調整方向DOに変位させるように促す。
【0076】
本願の主題のいくつかの実施形態によれば、いくつかのインサートカートリッジ26について、回転スリーブ方向DRSにおける調整スリーブ44の回転中に、アクティブなカートリッジピン78aのうちの1つが、溝外側開口部62bを介してスリーブ調整溝62のうちのそれぞれの1つを「出る」ことができることに留意されたい。そうした場合、アクティブなカートリッジピン78aは、スリーブ調整溝62のうちのそれぞれの1つ内にもはや配置されず、非アクティブなカートリッジピン78bになる。同様に、いくつかのインサートカートリッジ26について、非アクティブなカートリッジピン78bのうちの1つが、溝内側開口部62aを介してスリーブ調整溝62のうちのそれぞれの1つに「入る」ことができる。したがって、非アクティブなカートリッジピン78bは、スリーブ調整溝62のうちのそれぞれの1つに配置され、アクティブなカートリッジピン78aになる。調整スリーブ44の完全な転回(すなわち、360°の転回)ごとに、1つのアクティブなカートリッジピン78aが非アクティブなカートリッジピン78bになり得、1つの非アクティブなカートリッジピン78bがアクティブなカートリッジピン78aになり得ることに留意されたい。したがって、複数のカートリッジピンを有する構成において、分離距離SDがピン距離PDに対応する場合、調整スリーブ44は、N回にわたって完全に転回(すなわち、360°転回)されることができ、Nは、インサートカートリッジ26上のカートリッジピンの数に等しい。有利なことに、これは最大切削直径を増大させる。
【0077】
工具ホルダ22の2つの外側調整位置にある工具ホルダ22を示す
図13及び
図14に着目する。外側調整位置では、調整スリーブ44は、第1角度位置に対して回転角αだけ回転させられる。
【0078】
図13に示す外側調整位置では、回転角αは135°に等しい(すなわち、1転回の半分未満)。
図14に示す外側調整位置では、回転角αは720°に等しい(すなわち、2転回)。調整スリーブ44は、ホルダ中心軸Bに対して第2角度位置に配置される。
図14に示すように、調整スリーブ44が完全に正確にちょうど1転回(すなわち、360°)又はその任意の倍数であるとき、第1角度位置と第2角度位置とが同じであることに留意されたい。そうでなければ、
図13に示すように、第1角度位置と第2角度位置とは異なる。しかしながら、
図13及び
図14の両方において、調整スリーブ44は、その内側調整位置から回転的にオフセットされている(
図14において、720°だけ)と見なされる。
【0079】
各インサートポケット30は、ホルダ中心軸Bからそれぞれ第2半径方向ポケット距離R2だけ離間される。第2半径方向ポケット距離R2は、各インサートカートリッジ26について、第1半径方向ポケット距離R1よりも大きい。
【0080】
図14に示すように、本願の主題のいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのインサートカートリッジ26について、少なくとも1つの非アクティブなカートリッジピン78bが、少なくとも1つのアクティブなカートリッジピン78aから半径方向外側に配置され得る。
【0081】
本願の主題のいくつかの実施形態によれば、内側調整位置及び外側調整位置において、異なるカートリッジピン78が、インサートカートリッジ26のうちの少なくともいくつかについて、少なくとも1つのアクティブなカートリッジピン78aを規定し得る。
【0082】
外側調整位置から内側調整位置への工具ホルダ22の調整は、逆のステップを実行することによって達成される。調整スリーブ44は、ホルダ本体の前方本体部分32に対して、ホルダ中心軸B周りに、回転スリーブ方向DRSとは反対の回転方向に回転させられる。内向き溝壁面63aは、最初に当接し、その後、各インサートカートリッジ28上の少なくとも1つのアクティブなカートリッジピン78aに内向き方向に半径方向調整力Fを作用させる。調整力は、同時に、インサートカートリッジ26を内向き調整方向DOに変位させるように促し、それによって、第1半径方向ポケット距離R1だけホルダ中心軸Bから再び離間させるようにインサートポケット30を変位させる。
【0083】
本願の主題はある程度詳細に説明されたが、以下に請求するように、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正がなされ得ることを理解されたい。