(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】エアロゾル生成物品及びエアロゾル生成システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20241118BHJP
A24F 40/30 20200101ALI20241118BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20241118BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20241118BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20241118BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/30
A24F40/42
A24F40/57
A24D1/20
(21)【出願番号】P 2022522726
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2020082174
(87)【国際公開番号】W WO2021099231
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-09-07
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローガン, アンドリュー ロバート ジョン
(72)【発明者】
【氏名】フォーレン, ステラ
(72)【発明者】
【氏名】フランツ, ロベルト
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-527889(JP,A)
【文献】特表2018-537077(JP,A)
【文献】国際公開第2015/177045(WO,A1)
【文献】特表2019-505176(JP,A)
【文献】特表2018-527888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A24D 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場発生器(24)を含むエアロゾル生成装置(10)と共に使用するためのエアロゾル生成物品(1、2)であって、前記エアロゾル生成物品(1、2)は、
第1のエアロゾル生成物質(52)及び第2のエアロゾル生成物質(54)をそれぞれ収容するように構成された別個の第1の区画(46)及び第2の区画(48)と、
前記磁場発生器(24)により誘導加熱されるように構成された誘導加熱可能サセプタ(56)であって、前記第1の区画(46)に配置された第1の部分(58)及び前記第2の区画(48)に配置された第2の部分(60)を有する、誘導加熱可能サセプタ(56)と、
を備え、
前記誘導加熱可能サセプタ(56)の前記第1の部分(58)及び前記第2の部分(60)は、前記磁場発生器(24)に対して互いに異なる向きを有するように構成される、
エアロゾル生成物品。
【請求項2】
前記誘導加熱可能サセプタ(56)の前記第1の部分(58)及び前記第2の部分(60)はそれぞれ、第1の温度及び第2の温度に加熱されるように構成され、前記第1の温度及び前記第2の温度の一方は、前記第1の温度及び前記第2の温度の他方よりも高い、請求項1に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項3】
前記エアロゾル生成物品は、前記第1の区画(46)に前記第1のエアロゾル生成物質(52)を収容し、前記第2の区画(48)に前記第2のエアロゾル生成物質(54)を収容し、前記第1のエアロゾル生成物質(52)及び前記第2のエアロゾル生成物質(54)の各々は、固体マトリックス(62、64)を含み、前記誘導加熱可能サセプタ(56)の前記第1の部分(58)及び前記第2の部分(60)は、前記固体マトリックス(62、64)中に固定される、請求項1又は2に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項4】
前記誘導加熱可能サセプタ(56)の前記第1の部分(58)及び前記第2の部分(60)は、使用時に、前記磁場発生器(24)に対して、前記第2の部分(60)が前記第2の温度に加熱されるよりも急速に前記第1の部分(58)が前記第1の温度に加熱されるように配置される、請求項
2に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項5】
前記誘導加熱可能サセプタ(56)の前記第1の部分(58)は、誘導加熱可能材料を含み、前記誘導加熱可能サセプタ(56)の前記第2の部分(60)は、前記第1の部分(58)で発生する熱により伝導的に加熱されるように構成された非誘導加熱可能材料を含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項6】
前記誘導加熱可能サセプタ(56)は、前記第2の部分(60)が前記第1の区画(46)から前記第2の区画(48)へと延びるように形作られたプレートサセプタを含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項7】
前記第1の区画(46)及び前記第2の区画(48)は、実質的に流体不透過性の仕切り壁(50)により分離されている、請求項1~
6のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項8】
前記仕切り壁(50)は、前記第1の区画(46)と前記第2の区画(48)との間の熱伝達を最小限に抑えるように構成される断熱材料を含む、請求項
7に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項9】
前記誘導加熱可能サセプタ(56)は、前記仕切り壁(50)を貫いて延在する、請求項
7又は
8に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項10】
前記第1のエアロゾル生成物質(52)及び前記第2のエアロゾル生成物質(54)の一方は、加熱されるとニコチン蒸気を放出し、前記第1のエアロゾル生成物質(52)及び前記第2のエアロゾル生成物質(54)の他方は、加熱されると第2の蒸気を放出し、前記ニコチン蒸気は、前記第2の蒸気と反応して、ニコチン塩粒子を含むエアロゾルを形成する、請求項1~
9のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項11】
長手方向軸を有する実質的に螺旋状の誘導コイル(26)を備える磁場発生器(24)と、
請求項1~
10のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品(1、2)と、
を備えるエアロゾル生成システムであって、
前記第1の区画(46)及び前記第2の区画(48)は、螺旋状の前記誘導コイル(26)の内側に配置され、
前記誘導加熱可能サセプタ(56)の前記第1の部分(58)は、前記誘導コイル(26)の前記長手方向軸に実質的に平行な方向に延在し、前記誘導加熱可能サセプタ(56)の前記第2の部分(60)は、前記第1の部分(58)と交差する方向に延在する、
エアロゾル生成システム。
【請求項12】
前記第2の部分(60)は、前記第1の部分(58)に実質的に直交する方向に延在する、請求項
11に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項13】
前記磁場発生器(24)が組み込まれたエアロゾル生成装置(10)をさらに含み、前記エアロゾル生成装置(10)は、長手方向軸を有する空洞(22)を含み、螺旋状の前記誘導コイル(26)は、螺旋状の前記誘導コイル(26)の前記長手方向軸と前記空洞(22)とが実質的に平行になるように、前記空洞(22)の周りに延在する、請求項
11又は
12に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項14】
前記誘導加熱可能サセプタ(56)の前記第1の部分(58)及び前記第2の部分(60)はそれぞれ、第1の温度及び第2の温度に加熱されるように構成され、前記第1の温度及び前記第2の温度の一方は、前記第1の温度及び前記第2の温度の他方よりも高く、
前記誘導加熱可能サセプタ(56)の前記第1の部分(58)及び前記第2の部分(60)は、前記磁場発生器(24)に対して、前記第2の部分(60)が前記第2の温度に加熱されるよりも急速に前記第1の部分(58)が前記第1の温度に加熱されるように配置される、
請求項
11~
13のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、エアロゾル生成物品に関し、より具体的には、エアロゾル生成物品を加熱してユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成装置で使用するためのエアロゾル生成物品に関する。また、本開示の実施形態は、エアロゾル生成装置及びエアロゾル生成物品を含むエアロゾル生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エアロゾル生成物質(液体又は非液体)を燃やすのではなく加熱して、吸入のためのエアロゾルを生じさせる装置が消費者に人気になってきている。そのような装置は、いくつかの異なる手法のうちの1つを使用して、エアロゾル生成物質に熱を供給することができる。
【0003】
1つの手法は、抵抗加熱システムを採用するエアロゾル生成装置を提供することである。そのような装置では、エアロゾル生成物質を加熱することにより蒸気を発生させるための抵抗性加熱要素が提供され、蒸気は典型的には冷却され凝縮して、装置のユーザによる吸入のためのエアロゾルが形成される。
【0004】
別の手法は、誘導加熱システムを採用するエアロゾル生成装置を設けることである。そのような装置では、誘導コイル及びサセプタが設けられている。ユーザが装置を作動させると、電気エネルギーが誘導コイルに供給され、次いでこれにより交流電磁場が発生する。サセプタは電磁場と結合し、熱を発生させ、この熱が、例えば伝導によりエアロゾル発生物質に伝達されることにより蒸気が生じ、蒸気は典型的には冷却され凝縮して、装置のユーザによる吸入のためのエアロゾルが形成される。
【0005】
本開示の実施形態は、効果的なエアロゾル生成に必要な、エアロゾル生成物質の最適な加熱を提供することを追求している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、磁場発生器を含むエアロゾル生成装置と共に使用するためのエアロゾル生成物品が提供され、当該エアロゾル生成物品は、
第1のエアロゾル生成物質及び第2のエアロゾル生成物質をそれぞれ収容するように構成された別個の第1の区画及び第2の区画と、
上記磁場発生器により誘導加熱されるように構成された誘導加熱可能サセプタであって、第1の区画に配置された第1の部分及び第2の区画に配置された第2の部分を有する、誘導加熱可能サセプタと、
を備える。
【0007】
上記エアロゾル生成物品は、非液体エアロゾル生成物質を燃やすことなく、第1及び第2のエアロゾル生成物質を加熱して、第1及び第2のエアロゾル生成物質の少なくとも1種の成分を揮発させ、それにより蒸気を生成させ、その蒸気が冷却され凝縮して上記エアロゾル生成装置のユーザによる吸入のためのエアロゾルを形成する、上記エアロゾル生成装置で使用するためのものである。
【0008】
本開示の第2の態様によれば、エアロゾル生成システムが提供され、このエアロゾル生成システムは、
長手方向軸を有する実質的に螺旋状の誘導コイルを備える磁場発生器と、
上記第1の態様によるエアロゾル生成物品と、を備え、
第1の区画及び第2の区画は、螺旋状の誘導コイルの内側に配置され、
上記誘導加熱可能サセプタの第1の部分は、上記誘導コイルの長手方向軸に実質的に平行な方向に延在し、上記誘導加熱可能サセプタの第2の部分は、第1の部分と交差する方向に延在する。
【0009】
概していうと、蒸気とは、臨界温度よりも低い温度で気相である物質であり、これは、温度を低下させることなく圧力を増加させることによって蒸気を液体に凝縮させ得ることを意味する。一方、エアロゾルは、空気中又は別のガス中の微細な固体粒子又は液滴の浮遊物である。しかしながら、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特に、ユーザによる吸入のために生成される吸入可能媒体の形態に関して互換的に使用され得ることに留意されたい。
【0010】
第1及び第2のエアロゾル生成物質を、第1及び第2の部分を有する誘導加熱可能サセプタと共に、対応する別個の第1及び第2の区画内に提供することで、第1及び第2のエアロゾル生成物質を個別に加熱することが可能になる。転じて、これは、第1及び第2のエアロゾル生成物質の加熱を具体的な物質向けに適応させることを可能にし、それにより、ユーザ体験の向上のため改善された特性を有するエアロゾルを生成することができる。
【0011】
上記誘導加熱可能サセプタの第1及び第2の部分はそれぞれ、第1及び第2の温度に加熱されるように構成されてもよい。第1及び第2の温度の一方は、第1及び第2の温度の他方より高くてもよい。第1及び第2のエアロゾル生成物質は、異なる気化温度を有していてもよく、そのようにして、上記誘導加熱可能サセプタの第1及び第2の部分を異なる第1及び第2の温度に加熱することで、改善された特性を有するエアロゾルの生成が提供され得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のエアロゾル生成物質はそれぞれ、第1及び第2のエアロゾル生成液体を含んでもよく、第1の温度は、第1のエアロゾル生成液体の沸点より高くてもよく、第2の温度は、第2のエアロゾル生成液体の沸点より高くてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のエアロゾル生成物質の一方は、加熱されるとニコチン蒸気を放出するニコチン源を含んでもよく、第1及び第2のエアロゾル生成物質の他方は、送達促進化合物を含んでもよい。上記送達促進化合物は、加熱されると第2の蒸気を放出する。ニコチン蒸気は気相の第2の蒸気と反応してニコチン塩粒子を含むエアロゾルを形成し、これがエアロゾル生成装置/システムの下流端に送られ、ユーザにより吸入される。
【0014】
上記ニコチン源は、ニコチン、ニコチン塩、又はニコチン誘導体のうちの1つ以上を含んでもよい。ニコチン源は、天然ニコチン又は合成ニコチンを含んでもよい。ニコチン源は、純粋なニコチン、ニコチンの溶液、又は液体タバコ抽出物を含んでもよい。上記送達促進化合物は、ピルビン酸又は乳酸などの酸を含んでもよい。
【0015】
上記エアロゾル生成装置/システムは、第1及び第2の区画の両方の下流に位置する反応チャンバを含んでもよい。上記反応チャンバは、放出されたニコチン蒸気及び第2の蒸気を受け取り、それらが反応して吸入用のエアロゾルを形成することを可能にするように構成されてもよい。上記反応チャンバは、上記エアロゾル生成装置の一部を形成してもよく、典型的には、上記エアロゾル生成物品を受け入れるように適合されたエアロゾル生成空間(例えば、空洞)とマウスピースとの間に位置してもよい。代わりに、上記反応チャンバが上記エアロゾル生成物品の一部を形成してもよい。
【0016】
第1及び第2のエアロゾル生成物質の各々は、固体マトリックスを含んでもよく、上記誘導加熱可能サセプタの第1及び第2の部分は、上記固体マトリックス中に固定されてもよい。上記誘導加熱可能サセプタの第1及び第2の部分は、上記固体マトリックス中の所定位置にしっかりと保持される。加えて、そのような構成は、上記誘導加熱可能サセプタの第1及び第2の部分からそれぞれ、第1及び第2のエアロゾル生成物質への均一な熱伝達を容易にし及び/又は上記エアロゾル生成物品の製造を容易にし得る。
【0017】
上記固体マトリックスは、多孔質セラミック及び発泡材料のうちの少なくとも1つを含んでもよい。発泡材料はムースであってもよく、タバコを含んでもよい。したがって、ムースは、タバコムース、再構成タバコ(RTB)ムース、又はe-液体ムースを含んでもよい。
【0018】
上記発泡材料は、複数の微粒子(例えば、タバコ粒子)を含んでもよい。上記タバコ粒子は、50~180μmの粒子サイズを有し得る。発泡材料は、プロピレングリコール、グリセリン、又はそれらの組み合わせなどのエアロゾル形成剤をさらに含んでもよい。上記エアロゾル形成剤は、水をさらに含んでもよい。上記発泡材料は、溶媒及び/又は酸及び/又はエステルをさらに含んでもよい。上記発泡材料は、発泡剤をさらに含んでもよい。上記発泡剤は、タンパク質を含有しない多糖類であってもよい。上記発泡剤は、寒天、ジェランガム、レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及び/又はそれらの混合物からなる群から選択され得るが、これらに限定されない。上記発泡材料は、発泡安定剤を含んでもよい。上記発泡安定剤は、セルロースガム、ヒドロキシアルキル化炭水化物、それらの誘導体、例えばそれらの塩、好ましくはそのアルカリ金属塩、例えばそれらのナトリウム及び/又はカリウム塩、並びにそれらの混合物を含んでもよい。
【0019】
上記誘導加熱可能サセプタの第1及び第2の部分は、使用時に、磁場発生器に対して、第2の部分が第2の温度に加熱されるよりも急速に第1の部分が第1の温度に加熱されるように配置されてもよい。上記誘導加熱可能サセプタの第1及び第2の部分の加熱速度を制御することにより、改善された特性を有するエアロゾルの生成が提供され得る。上記誘導加熱可能サセプタの第1及び第2の部分の加熱速度が、上記誘導加熱可能サセプタの第1及び第2の部分の形状及び/又はサイズ、上記磁場発生器に対する上記誘導加熱可能サセプタの第1及び第2の部分の位置及び/又は向き、又は上記誘導加熱可能サセプタの第1及び第2の部分が形成される材料、のうちのいずれか1つ以上を変化させることにより制御されてもよい。
【0020】
上記誘導加熱可能サセプタの第1及び第2の部分は、上記磁場発生器に対して、互いに異なる向きを有するように構成されてもよい。上記誘導加熱可能サセプタの第1及び第2の部分の加熱速度を制御するために、異なる向きが使用されてもよい。例えば、第1及び第2の部分は、第2の部分と上記磁場発生器との間よりも強い電磁結合が第1の部分と上記磁場発生器との間に存在するように配向されてもよい。したがって、第1の部分は、第2の部分が加熱される第2の温度よりも高い第1の温度に加熱されてもよく、及び/又は、第1の部分は、第2の部分が第2の温度に加熱されるよりも急速に第1の温度に加熱されてもよい。
【0021】
上記誘導加熱可能サセプタの第1の部分は、誘導加熱可能材料を含んでもよく、上記誘導加熱可能サセプタの第2の部分は、非誘導加熱可能材料を含んでもよい。この構成では、上記誘導加熱可能サセプタの第2の部分は、第1の部分で生成された熱により伝導的に加熱されるように構成される。そのような構成は、第1の部分を誘導加熱することにより実現される第1の温度よりも低い第2の温度への第2の部分の伝導的な加熱を提供することができ、及び/又は、第1の部分と比較して、第2の部分のより遅い加熱速度を提供することができる。
【0022】
上記誘導加熱可能サセプタは、プレートサセプタを含んでもよく、上記プレートサセプタは、第2の部分が第1の区画から第2の区画へと延在するように形作られてもよい。これは、サセプタの製造を容易にし、それによりエアロゾル生成物品の製造を容易にし得る。
【0023】
第1及び第2の区画は、実質的に流体不透過性の仕切り壁により分離されてもよい。流体不透過性の上記仕切り壁により、第1及び第2のエアロゾル生成物質を、それぞれの別個の第1及び第2の区画内に確実に収容することができる。
【0024】
上記仕切り壁は、断熱材料を含んでもよい。上記断熱材料は、第1の区画と第2の区画との間の熱伝達を最小限に抑えるように構成されてもよい。第1の区画と第2の区画と間の熱伝達を最小限に抑えることにより、上記誘導加熱可能サセプタの第1及び第2の部分による第1及び第2のエアロゾル生成物質の加熱を注意深く制御して、所望の特性を有するエアロゾルを生成させることができる。
【0025】
上記誘導加熱可能サセプタは、上記仕切り壁を貫いて延在していてもよい。したがって、簡便な形で第1の部分を第1の区画内に位置させることができ且つ第2の部分を第2の区画内に位置させることができ、これがエアロゾル生成物品の製造を容易化し得る。
【0026】
上記誘導加熱可能サセプタの第2の部分は、第1の部分に実質的に直交する方向に延在していてもよい。これは、例えば、第2の部分が第1の区画から第2の区画へと上記仕切り壁を貫いて容易に延びることを可能にしながら、上記誘導加熱可能サセプタの第1の部分と上記磁場発生器との間のより強い電磁結合を可能にするであろう。
【0027】
第2の態様によるエアロゾル生成システムは、上記磁場発生器が組み込まれたエアロゾル生成装置をさらに含んでもよい。上記エアロゾル生成装置は、長手方向軸を有する空洞を含んでもよく、螺旋状の誘導コイルの長手方向軸と上記空洞とが実質的に平行になるように、螺旋状の当該誘導コイルが上記空洞の周りに延びていてもよい。そのような構成では、上記エアロゾル生成物品が上記空洞内に配置された場合に、上記誘導加熱可能サセプタの第1の部分が上記誘導コイルの長手方向軸に実質的に平行になり得る。これにより、上記誘導加熱可能サセプタの第1の部分と上記誘導コイルとの間の強力な電磁結合が確実になり、第2の部分が加熱される第2の温度よりも高い第1の温度に第1の部分を加熱することが可能になり、及び/又は、第2の部分が第2の温度に加熱されるよりも急速に第1の部分を第1の温度に加熱することが可能になり得る。
【0028】
上記誘導コイルは、任意の好適な材料、例えばリッツ線又はリッツケーブル、を含んでもよい。
【0029】
上記誘導加熱可能サセプタは、金属材料、金属合金材料、セラミック材料、炭素材料、及び金属材料で被覆された高分子繊維材料のうちの少なくとも1種を含んでもよい。上記誘導加熱可能サセプタは、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、及びそれらの合金、例えばニッケルクロム又はニッケル銅のうちの1種以上を含んでもよいが、これらに限定されない。上記サセプタの付近に電磁場を印加すると、渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失により電磁気から熱へのエネルギー変換がもたらされることに起因して、上記誘導加熱可能サセプタは、熱を発生させてもよい。
【0030】
第1及び/又は第2のエアロゾル生成物質は、エアロゾル生成液体を含んでもよい。
【0031】
第1及び/又は第2のエアロゾル生成物質は、非液体エアロゾル生成物質、例えば任意のタイプの固体又は半固体材料、を含んでもよい。エアロゾル生成固形物の例示的なタイプとしては、粉末、顆粒、ペレット、シュレッド、ストランド、粒子、ゲル、条片、ルーズリーフ、カットリーフ、カットフィラー、多孔質材料、発泡材料、又はシートが挙げられる。上記非液体エアロゾル生成材料は、植物由来の材料を含んでもよく、具体的にはタバコを含んでもよい。上記非液体エアロゾル生成材料は、有利には、再構成されたタバコを含んでもよい。
【0032】
第1及び/又は第2のエアロゾル生成物質は、エアロゾル形成剤を含んでもよい。上記エアロゾル形成剤の例としては、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコール及びその混合物が挙げられる。典型的には、第1及び/又は第2のエアロゾル生成物質は、乾燥重量ベースで約5%~約50%のエアロゾル形成剤含有量を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のエアロゾル生成物質は、乾燥重量ベースで約10%~約20%のエアロゾル形成剤含有量、場合により乾燥重量ベースで約15%を含んでいてもよい。
【0033】
加熱すると、第1及び第2のエアロゾル生成物質は、揮発性化合物を放出し得る。上記揮発性化合物は、ニコチン、又はタバコ香味料などの香味化合物を含んでもよい。
【0034】
上記磁場発生器は、使用時に、約20mT~最高密度点での約2.0Tの磁束密度を有する変動電磁場を伴って動作するように構成されてもよい。
【0035】
上記磁場発生器は、高周波で動作するように構成され得る電源及び回路を含んでもよい。上記電源及び上記回路は、約80kHz~500kHz、場合により約150kHz~250kHz、場合により約200kHzの周波数で動作するように構成されてもよい。上記電源及び上記回路は、使用される上記誘導加熱可能サセプタの種類に応じて、例えばMHz範囲などのより高い周波数で動作するように構成されてもよい。
【0036】
第1及び第2のエアロゾル生成物質が非液体エアロゾル生成材料を含む実施形態では、上記エアロゾル生成物品は、別個の第1及び第2の区画を備える通気性シェルを備えてもよい。上記通気性シェルは、電気絶縁性で非磁性の通気性材料を含んでもよい。この材料は、高い通気性を有して、高温に対する耐性を有するこの材料を通して空気が流れることを可能にし得る。好適な通気性材料の例としては、セルロース繊維、紙、綿、及び絹が挙げられる。上記通気性材料は、フィルタとして機能してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図2】
図1のエアロゾル生成装置と共に使用するためのエアロゾル生成物品の第1の例の概略的断面図である。
【
図3】
図1のエアロゾル生成装置と共に使用するためのエアロゾル生成物品の第2の例の概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
ここで、本開示の実施形態について、あくまで例として、添付の図面を参照しながら説明する。
【0039】
はじめに、
図1を参照すると、「ポッドタイプ」のエアロゾル生成物品と共に使用するためのエアロゾル生成装置10の例、具体的には
図2、
図3に示されるエアロゾル生成物品1、2の第1及び第2の例、が概略的に示されている。エアロゾル生成装置10は、近位端12と遠位端14とを有し、装置本体16を備える。装置本体16は、電源18及びコントローラ20を含む。電源18及びコントローラ20は、高周波数で動作するように構成されてもよい。電源18は、典型的には、例えば誘導充電式であり得る1つ以上のバッテリを備える。
【0040】
エアロゾル生成装置10は、略円筒形であり、エアロゾル生成装置10の近位端12に、略円筒形のエアロゾル生成空間22を、例えば空洞の形態で備える。円筒形のエアロゾル生成空間22は、
図2及び
図3に関連して後述するように、対応する形状の略円筒形のエアロゾル生成物品1、2を受け入れるように構成される。
【0041】
エアロゾル生成装置10は、電磁場を発生させるための磁場発生器24を備える。磁場発生器24は、実質的に螺旋状の誘導コイル26を備える。誘導コイル26は、円形の断面を有し、円筒形のエアロゾル生成空間22の周りに延び、長手方向軸を有する。誘導コイル26は、電源18及びコントローラ20により励磁され得る。コントローラ20は、電子部品の中でもとりわけ、電源18からの直流を誘導コイル26用の交流高周波電流に変換するように構成されるインバータを含む。
【0042】
エアロゾル生成装置10は、装置本体16に1つ以上の空気入口28を含み、空気入口28は、周囲の空気がエアロゾル生成空間22内へと流れ込むことを可能にする。また、エアロゾル生成装置10は、空気出口32を有するマウスピース30を含む。マウスピース30は、装置本体16の近位端12において着脱可能に取り付けられて、エアロゾル生成物品1、2を挿入し又は取り外す目的でエアロゾル生成空間22にアクセスすることを可能にする。
【0043】
図2を参照すると、エアロゾル生成装置10と共に使用するためのエアロゾル生成物品1の第1の例が示されてれる。エアロゾル生成装置10の誘導コイル26も
図2に示されており、エアロゾル生成物品1がエアロゾル生成空間22内に配置されたときに、エアロゾル生成物品1が誘導コイル26に対してどのように配置されるかを明確に示している。
【0044】
上述したように、エアロゾル生成物品1は「ポッドタイプ」の物品であり、実質的に円形の底部壁40、実質的に円形の上部壁42、及び実質的に円筒形の側壁44を有する。底部壁40及び上部壁42は、典型的には通気性を有し、複数の開口部若しくは穿孔を含むことができ、又は、開口部若しくは穿孔の必要なしで、空気が底部壁40及び上部壁42を通って流れることを可能にする多孔質構造を有する材料を含むことができる。
【0045】
エアロゾル生成物品1は、第1及び第2の区画46、48を備える。第1及び第2の区画46、48は、実質的に流体不透過性であり得る仕切り壁50により分離された別個の区画である。
【0046】
第1及び第2の区画46、48はそれぞれ、第1のエアロゾル生成物質52及び第2のエアロゾル生成物質54を収容し、いくつかの実施形態では、第1及び第2のエアロゾル生成物質52、54の一方はニコチン源を含むことができ、第1及び第2のエアロゾル生成物質52、54の他方はピルビン酸又は乳酸などの送達促進化合物を含むことができる。図示した第1の例では、第1及び第2のエアロゾル生成物質52、54の一方は、一種の固体又は半固体材料であり、典型的には、植物由来の材料、具体的にはタバコ、を含む。また、第1及び第2のエアロゾル生成物質52、54の一方又は両方がエアロゾル形成剤を含んでもよい。
【0047】
エアロゾル生成物品1は、磁場発生器24により、具体的には誘導コイル26により誘導加熱されるように構成された誘導加熱可能サセプタ56を含む。誘導加熱可能サセプタ56は、第1の区画46に配置された第1の部分58と、第2の区画48に配置された第2の部分60とを備える。誘導加熱可能サセプタ56は、概ねL字状であるプレートサセプタを含み、第2の部分60は、第1の部分58に実質的に直交する方向に延在する。エアロゾル生成物品1の第1の例では、誘導加熱可能サセプタ56の第2の部分60は、仕切り壁50を貫いて第1の区画46から第2の区画48へと延在する。
【0048】
第1の実現形態では、誘導加熱可能サセプタ56の第1及び第2の部分58、60は両方とも、誘導加熱可能材料を含む。当業者であれば理解するように、エアロゾル生成装置10の使用中に電磁誘導コイル26が励磁されると、交番し且つ時間変化する電磁場が生成される。この電磁場は、誘導加熱可能サセプタ56の第1及び第2の部分58、60と結合し、誘導加熱可能サセプタ56において渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失を生成させて、第1及び第2の部分58、60を加熱する。熱は、例えば、伝導、放射、及び対流により、誘導加熱可能サセプタ56の第1の部分58から第1の区画46内の第1のエアロゾル生成物質52に伝達される。同様に、熱は、例えば、伝導、放射、及び対流により、誘導加熱可能サセプタ56の第2の部分60から第2の区画48内の第2のエアロゾル生成物質54に伝達される。したがって、第1及び第2のエアロゾル生成物質52、54は、誘導加熱可能サセプタ56の対応する第1及び第2の部分58、60により、独立して加熱される。仕切り壁50は、第1及び第2のエアロゾル生成物質52、54の加熱を注意深く制御できるように、第1の区画46と第2の区画48との間の熱伝達を最小限に抑えるように構成される断熱材料を含むことができる。
【0049】
第1及び第2のエアロゾル生成物質52、54は、燃えることなく、誘導加熱可能サセプタ56の対応する第1及び第2の部分58、60により加熱される。第1及び第2のエアロゾル生成物質52、54の加熱により、1つ以上の揮発性化合物が放出され、第1及び第2の蒸気(例えば、ニコチン蒸気及び第2の蒸気)が生成される。第1及び第2の蒸気は、空気出口32を通って流れる際に、混合する傾向があり、反応する場合があり、冷却及び凝縮してエアロゾルを形成する。エアロゾルは、エアロゾル生成装置10のユーザによりマウスピース30を通して吸入され得る。
【0050】
第1の実現形態では、エアロゾル生成物品1がエアロゾル生成空間22内に配置されると、誘導加熱可能サセプタ56の第1及び第2の部分58、60は、例えば誘導加熱可能サセプタ56のL字状の形状のおかげで、誘導コイル26に対して互いに異なる向きを有するように構成される。具体的には、誘導加熱可能サセプタ56の第1の部分58は、誘導コイル26の長手方向軸に実質的に平行な方向に延在し、それにより、第1の部分58と誘導コイル26との間の強力な電磁結合が確実になるように構成される。逆に、誘導加熱可能サセプタ56の第2の部分60は、誘導コイル26の長手方向軸に実質的に直交する方向に延びて、第2の部分60と誘導コイル26との間により弱い電磁結合がもたらされるように構成される。第2の部分60と誘導コイル26との間のより弱い電磁結合のおかげで、誘導加熱可能サセプタ56の第1の部分58と誘導コイル26との間のより強い電磁結合により、第1の部分58を、第2の部分60が誘導加熱される第2の温度よりも高い第1の温度に誘導加熱することが可能になってもよい。代わりに又は加えて、第1の部分58と誘導コイル26との間のより強い電磁結合のおかげで、第1の部分58は、第2の部分60が第2の温度に加熱されるよりも急速に、第1の温度に加熱されてもよい。第1及び第2の部分58、60を異なる第1及び第2の温度に及び/又は異なる速度で加熱することで、別個の第1及び第2の区画46、48内での加熱を、異なる第1及び第2のエアロゾル生成物質52、54向けに適応化させることができ、それにより、改善された特性を有するエアロゾルを生成することができる。
【0051】
第2の実現形態では、L字状の誘導加熱可能サセプタ56の第1の部分58は、誘導加熱可能材料を含み、誘導加熱可能サセプタ56の第2の部分60は、非誘導加熱可能材料を含む。したがって、エアロゾル生成装置10の使用中に誘導コイル26が通電されると、誘導コイル26により生成された電磁場は、上述したように、誘導加熱可能サセプタ56の第1の部分58と結合し、第1の部分58を第1の温度に誘導加熱する。第1の部分58で生成された熱の一部は、例えば伝導、放射、及び対流により、第1の区画46内の第1のエアロゾル生成物質52に伝達される。また、第1の部分58で生成された熱の一部は、伝導により第2の部分60へと伝達され、それにより、第2の部分60は、第1の部分56で生成された熱により第2の温度に伝導的に加熱される。第2の部分60は、誘導加熱ではなく伝導加熱されるので、第2の部分60は、典型的には、第1の部分58が誘導的に加熱される第1の温度よりも低い第2の温度に加熱され、及び/又は第2の部分60は第1の部分58よりも遅い速度で加熱される。
【0052】
図3を参照すると、エアロゾル生成装置10と共に使用するためのエアロゾル生成物品2の第2の例が示されている。エアロゾル生成装置10の誘導コイル26も
図3に示されており、エアロゾル生成物品2がエアロゾル生成空間22内に配置されたときに、エアロゾル生成物品2が誘導コイル26に対してどのように配置されるかを明確に示している。エアロゾル生成物品2は、
図2を参照して上述したエアロゾル生成物品1に類似しており、対応する構成要素は同じ参照番号を使用して識別される。
【0053】
エアロゾル生成物品2は、仕切り壁50により分離された第1及び第2の区画46、48と、第1及び第2の部分58、60を有する誘導加熱可能サセプタ56とを含む。第1の区画46は、第1のエアロゾル生成物質52と、誘導加熱可能サセプタ56の第1の部分58とを収容する。第2の区画48は、第2のエアロゾル生成物質54と、誘導加熱可能サセプタ56の第2の部分60とを収容する。
【0054】
第1及び第2のエアロゾル生成物質52、54の各々は、固体マトリックス62、64を含み、誘導加熱可能サセプタ56の第1及び第2の部分58、60はそれぞれ、各固体マトリックス62、64中に固定されている。各固体マトリックス62、64は、典型的には、多孔質セラミック及び発泡材料のうちの少なくとも1つを、例えば再構成タバコムース又はe-液体ムースの形態で含み、これにより、誘導加熱可能サセプタ56の第1及び第2の部分58、60が、対応する第1及び第2の区画46、48の所定位置にしっかりと保持される。
【0055】
誘導加熱可能サセプタの第1及び第2の部分58、60を、第1及び第2の区画46、48において互いに分離されている別々の誘導加熱可能部分とすることができ、第1及び第2の部分58、60の両方が誘導加熱可能材料を備えることができる。エアロゾル生成装置10の使用時にエアロゾル生成物品2がエアロゾル生成空間22内に配置され、誘導コイル26が通電されると、交番し且つ時間変化する電磁場が生成される。この電磁場は、誘導加熱可能サセプタ56の第1及び第2の部分58、60と結合し、誘導加熱可能サセプタ56において渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失を生成させて、第1及び第2の部分58、60を独立して加熱する。熱は、例えば、伝導、放射、及び対流により、誘導加熱可能サセプタ56の第1の部分58から第1の区画46内の第1のエアロゾル生成物質52に伝達される。同様に、熱は、例えば、伝導、放射、及び対流により、誘導加熱可能サセプタ56の第2の部分60から第2の区画48内の第2のエアロゾル生成物質54に伝達される。したがって、第1及び第2のエアロゾル生成物質52、54は、誘導加熱可能サセプタ56の対応する第1及び第2の部分58、60により、独立して加熱される。
【0056】
第1及び第2のエアロゾル生成物質52、54は、燃えることなく、誘導加熱可能サセプタ56の対応する第1及び第2の部分58、60により加熱される。第1及び第2のエアロゾル生成物質52、54の加熱により、1つ以上の揮発性化合物が放出され、第1及び第2の蒸気が生成される。第1及び第2の蒸気は、空気出口32を通って流れる際に混合する傾向があり、冷却及び凝縮してエアロゾルを形成する。エアロゾルは、エアロゾル生成装置10のユーザによりマウスピース30を通して吸入され得る。
【0057】
図3から明らかなように、誘導加熱可能サセプタ56の第1及び第2の部分58、60はプレートサセプタであり、両方とも、誘導コイル26の長手方向軸に実質的に平行な方向に延びるように配置され、この方向は、誘導コイル26により生成される電磁場と結合するための最適な向きである。加えて、第1の部分58は、第2の部分60よりも、誘導コイル26の内周に近い位置に配置され、磁束密度は、誘導コイル26の中心長手方向軸に沿った最小値から誘導コイル26の内周に近い最大値まで増加するという事実に起因して、誘導加熱可能サセプタ56の第1の部分58は、第2の部分60が誘導加熱される第2の温度よりも高い第1の温度に誘導加熱される。代わりに又は加えて、第1の部分58は、誘導コイル26の内周に近接しているおかげで、第2の部分60が第2の温度に加熱されるよりも急速に第1の温度に加熱され得る。上述したように、第1及び第2の部分58、60を異なる第1及び第2の温度に及び/又は異なる速度で加熱することで、第1及び第2の区画46、48における加熱を、第1及び第2のエアロゾル生成物質52、54向けに適応化させることができ、それにより、改善された特性を有するエアロゾルを生成することができる。
【0058】
これまでの段落では例示的な実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な修正を加えることができることを理解されたい。したがって、特許請求の広さ及びスコープは、上述した例示的な実施形態に限定されるべきではない。
【0059】
本明細書において別途記載のない限り又は文脈に明らかに矛盾しない限り、上述した特徴の任意の組み合わせが、その全ての可能な変形形態にて、本開示によって包含される。例えば、
図2の第1の例に関連して説明したL字状の誘導加熱可能サセプタ56を、第1及び第2の部分58、60が第1及び第2の区画46、48の各々に設けられた固体マトリックス62、64に固定される、
図3の第2の例において採用し得るはずである。この場合、誘導加熱可能サセプタ56の第1及び第2の部分58、60の両方が誘導加熱可能材料を含むことができ、又は第1の部分58が誘導加熱可能材料を含むことができ、第2の部分60が第1の部分58により伝導的に加熱される非誘導加熱可能材料を含むことができる。逆に、
図3の第2の例に関連して説明した、別々の第1及び第2の部分58、60を含む誘導加熱可能サセプタ56を、
図2の第1の例において採用し得るはずである。
【0060】
文脈上、明らかに他の意味に解すべき場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、「含む、備える("comprise")」、「含んでいる、備えている("comprising")」などの語は、排他的意味又は網羅的意味とは反対に、包括的に、すなわち「含むが、それに限定されない」という意味で解釈されるべきである。