(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】イヌ甲状腺機能低下症および他の自己免疫性状態の発症リスクを評価および低減するための試薬、キット、ならびに方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/68 20180101AFI20241118BHJP
C12Q 1/6883 20180101ALI20241118BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20241118BHJP
A23K 50/40 20160101ALI20241118BHJP
A23K 20/142 20160101ALI20241118BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20241118BHJP
【FI】
C12Q1/68 ZNA
C12Q1/6883 Z
C12N15/12
A23K50/40
A23K20/142
C12N15/09 200
(21)【出願番号】P 2022536857
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 US2019067481
(87)【国際公開番号】W WO2021126208
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】502329223
【氏名又は名称】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】ブロックマン、ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ジュエル、デニス
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-519320(JP,A)
【文献】特表平11-513561(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0300109(US,A1)
【文献】特表2017-500022(JP,A)
【文献】特表2007-512023(JP,A)
【文献】BIANCHI, Matteo et al.,“A Multi-Breed Genome-Wide Association Analysis for Canine HypothyroidismIdentifies a Shared Major Risk Locus on CFA12”,PLOS ONE,2015年08月11日,Vol. 10, No. 8,p.e0134720,DOI:10.1371/journal.pone.0134720
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00- 3/00
C12N 15/00- 15/90
A23K 50/00- 50/10
A23K 50/20- 50/90
A23K 10/00- 40/35
A23K 50/15
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SNP Affx 206229307およびSNP Affx-206560187についてハプロタイプTAを有するイヌ対象を特定する方法であって、
前記イヌ対象から得られた生体試料を、
前記イヌ対象の12番染色体の252750に位置するSNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピー、または
前記イヌ対象の12番染色体の254127に位置するSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピー、または
前記イヌ対象の12番染色体の252750に位置するSNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピーおよび
前記イヌ対象の12番染色体の254127に位置するSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピー、のいずれかの存在について分析するステップを含み、
前記SNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピー、または
前記SNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピー、または
前記SNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピーおよび
前記SNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピーの前記存在が、前記イヌ対象がSNP Affx-206229307およびSNP Affx-206560187についてハプロタイプTAを有することを示す、方法。
【請求項2】
甲状腺機能低下症を発症する可能性が高いイヌ対象を特定する方法であって、
前記イヌ対象から得られた生体試料を、
前記イヌ対象の12番染色体の252750に位置するSNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピー、または
前記イヌ対象の12番染色体の254127に位置するSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピー、または
前記イヌ対象の12番染色体の252750に位置するSNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピーおよび
前記イヌ対象の12番染色体の254127に位置するSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピー、のいずれかの存在について分析することを含み、
前記SNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピー、または
前記SNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピー、または
前記SNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピーおよび
前記SNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピーの前記存在が、前記イヌ対象が甲状腺機能低下症を発症する可能性が高いことを示す、方法。
【請求項3】
前記試料が、ゲノムDNA試料である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記試料が、前記イヌ対象の血液、唾液、濾胞根、鼻腔スワブ、または口腔スワブ、好ましくは唾液から得られる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記試料が、DNAシークエンシング、制限酵素消化、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ハイブリダイゼーション、リアルタイムPCR、逆転写PCR、またはリガーゼ連鎖反応から選択される少なくとも1つの核酸分析技術を実施することによって分析される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記試料が、全ゲノムSNPチップを使用した分析、一本鎖高次構造多型分析(SSCP)アッセイ、制限断片長多型(RFLP)、自動蛍光シークエンシング;クランプ変性ゲル電気泳動(CDGE);変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)、移動度シフト分析、制限酵素分析、ヘテロ二本鎖分析、化学ミスマッチ切断(CMC)、RNase保護アッセイ、ヌクレオチドミスマッチを認識するポリペプチドの使用、アレル特異的PCR、配列解析、およびSNP遺伝子型決定から選択される少なくとも1つの核酸解析技術を実施することによって分析される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記試料が、ハイブリダイゼーションベースの方法、酵素ベースの方法、DNAの物理的特性に基づく増幅後の方法、およびシークエンシング方法から選択される少なくとも1つの核酸解析技術を実施することによって分析される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記試料が、動的アレル特異的ハイブリダイゼーション、分子ビーコン法およびSNPマイクロアレイからなる群から選択されるハイブリダイゼーションベースの方法;制限断片長多型(RFLP)、PCRベースの方法、フラップエンドヌクレアーゼ、プライマー伸長法、5’-ヌクレアーゼおよびオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイからなる群から選択される酵素ベースの方法;一本鎖高次構造多型分析、温度勾配ゲル電気泳動、変性高速液体クロマトグラフィー、高分解能アンプリコン融解曲線解析、DNAミスマッチ結合タンパク質、SNPlex、およびサーベイヤーヌクレアーゼアッセイからなる群から選択されるDNAの物理的特性に基づく増幅後の方法;ならびにシークエンシング方法から選択される少なくとも1つの核酸解析技術を実施することによって分析される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
イヌ対象における甲状腺機能低下症のリスクを低減させる方法であって、
前記イヌ対象を、請求項2~8のいずれかに従って甲状腺機能低下症を発症する可能性の高いイヌ対象であるとして特定するステップと、
前記イヌ対象に、低アルギニン栄養組成物の毎日の食餌を与えるステップであって、前記低アルギニン栄養組成物が、1日の総栄養摂取量当たり1.84%以下のアルギニンを含有する、与えるステップと、を含む、方法。
【請求項10】
前記イヌ対象が、1日の総栄養摂取量当たり1.04%未満のアルギニンを含有する低アルギニン栄養組成物の毎日の食餌を与えられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記イヌ対象が、1日の総栄養摂取量当たり1.04~1.84%のアルギニンを含有する低アルギニン栄養組成物の毎日の食餌を与えられる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
イヌ甲状腺機能低下症を有するイヌ対象を治療する方法であって、
前記イヌ対象を甲状腺機能低下症を有すると特定するステップと、
前記イヌ対象を、請求項2~8のいずれかに従って甲状腺機能低下症を発症する可能性の高いイヌ対象であるとして特定するステップと、
低アルギニン栄養組成物の毎日の食餌を前記イヌ対象に与えるステップであって、前記低アルギニン栄養組成物の前記毎日の食餌が、1日の総栄養摂取量当たり1.84%以下のアルギニンを含有する、与えるステップと、を含む、方法。
【請求項13】
前記イヌ対象が、1日の総栄養摂取量当たり1.04%未満のアルギニンを含有する低アルギニン栄養組成物の毎日の食餌を与えられる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記イヌ対象が、1日の総栄養摂取量当たり1.04~1.84%のアルギニンを含有する低アルギニン栄養組成物の毎日の食餌を与えられる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
イヌ対象における甲状腺機能低下症のリスクを低減させる方法であって、
前記イヌ対象を、請求項2~8のいずれかに従って甲状腺機能低下症を発症する可能性の高いイヌ対象であるとして特定するステップと、
前記イヌ対象に、タンパク質源、炭水化物源、野菜源、および果実源を含む有効量の組成物を含む毎日の食餌を与えるステップであって、前記タンパク質源が、鶏肉、卵タンパク質、コーングルテンミール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記炭水化物源が、雑穀、酒米、ひき割りエンバク、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記野菜源が、ニンジン、ほうれん草、トマト搾りかす、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、および前記果実源が、柑橘類パルプである、与えるステップと、を含む、方法。
【請求項16】
前記イヌ対象を、甲状腺機能低下症を有すると特定するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記イヌの毎日の食餌が、1日の総栄養摂取量当たり1.84%以下のアルギニンを含有する低アルギニン食である、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記イヌの毎日の食餌が、1日の総栄養摂取量当たり1.04~1.84%のアルギニンを含有する低アルギニン食である、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
イヌ甲状腺機能低下症は、イヌにおいて最もよく見られる内分泌系の問題である。発生率の推定値は、動物156匹中1匹~500匹中1匹の範囲である。疾患の発症は典型的には、中年期(4~6歳)である。イヌ甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモン(T3/T4)の不十分なレベルの結果であり、甲状腺ホルモン補充(合成T4)で治療されている。治療に反応するイヌの予後は良好であるが、疾患は進行性である。イヌは定期的にモニタリングし、必要に応じて投薬量を調整する必要がある。
【0002】
イヌ甲状腺機能低下症は自己免疫性の病態であり、甲状腺ホルモンおよびサイログロブリンに対する抗体は、罹患したイヌの血清にしばしば見られる。原発性甲状腺機能低下症、リンパ球性甲状腺炎(甲状腺組織のリンパ球浸潤により特徴付けられる)、および甲状腺組織がほとんど破壊されたリンパ球性甲状腺炎の末期であると考えられる、特発性萎縮症の2つの組織学的分類がある。
【0003】
すべてのイヌについて甲状腺機能低下症を発症するリスクが等しいわけではない。疾患に何らかの遺伝的な要素があることを示唆する品種素因がある。
【0004】
一塩基多型(SNP)は、一般的なタイプの遺伝的変異である。SNPは、特定の座位における単一塩基対の変異である。すなわち、SNPは、ゲノム内の特定の位置で生じるDNA配列中の一塩基における差異である。典型的には、特定の位置でのSNPについては、その位置のアレルと呼ばれる2つの可能性のあるヌクレオチド変異がある。集団内では、ゲノム内の特定の塩基位置に最もよく現れるヌクレオチド変異は、メジャーアレルと呼ばれ、その特定の塩基位置であまり一般的ではないヌクレオチド変異は、マイナーアレルと呼ばれる。イヌは、大部分の多細胞生物のように、2組の染色体を有する。したがって、各イヌは、各遺伝子または遺伝子座の2つのコピー、したがって各SNPの2つのコピーを有する。したがって、イヌのゲノム中の各SNPについて、イヌは、2つのコピーのメジャーアレル、または1つのマイナーアレルと1つのマイナーアレル、または2つのマイナーアレルを有してもよい。
【0005】
SNPは、生物学的マーカーとして作用し得る。一部のSNPは、薬剤応答および特定の疾患を発症するリスクの予測に有用であることが見出されている。SNP遺伝子型判定は、ゲノム内のSNPの検出を指す。SNPを検出し、SNP遺伝子型判定を行う多数の方法がある。
【0006】
甲状腺機能低下症およびその他の自己免疫病態を発症する可能性またはリスクの高いイヌを特定する方法、このようなイヌにおけるイヌ甲状腺機能低下症およびその他の自己免疫病態のリスクを低減する方法、ならびに股関節の関節炎を発症する可能性が高いと特定されたイヌにおけるイヌの股関節の関節炎の発症を予防または遅延させる方法のための改善された方法を開発する必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
イヌ対象から得られた試料中のSNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーまたは2コピーのいずれか、およびSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーまたは2コピーのいずれかを検出する方法が提供される。SNP Affx-206229307およびSNP Affx-206560187に対するTAハプロタイプを有するとしてイヌ対象を特定する方法が提供される。方法は、SNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピー、またはSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピー、またはSNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピーおよびSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピーのいずれかの存在について、イヌ対象から得られた生体試料を分析することを含む。SNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピーの存在を検出するか、またはSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピーの存在を検出するか、またはSNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピーおよびSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピーを検出するか、のいずれかは、イヌ対象がSNP Affx-206229307およびSNP Affx-206560187についてTAハプロタイプを有することを示す。
【0008】
甲状腺機能低下症を発症する可能性が高いイヌ対象を特定する方法が提供される。方法は、SNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピー、またはSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピー、またはSNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピーおよびSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピーのいずれかの存在について、イヌ対象から得られた生体試料を分析するステップを含む。SNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピー、またはSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピー、またはSNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピーおよびSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピーの存在が、イヌ対象が、甲状腺機能低下症を発症する可能性が高いことを示す。
【0009】
いくつかの実施形態では、試料は、DNAシークエンシング、制限酵素消化、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ハイブリダイゼーション、リアルタイムPCR、逆転写PCR、またはリガーゼ連鎖反応を実施することによって分析される。いくつかの実施形態では、試料はゲノムDNA試料である。いくつかの実施形態では、試料は、ネコ対象の血液、唾液、濾胞根、鼻腔スワブ、または口腔スワブ、好ましくは唾液から得られる。いくつかの実施形態では、試料は、全ゲノムSNPチップを使用した分析、一本鎖高次構造多型分析(SSCP)アッセイ、制限断片長多型(RFLP)、自動蛍光シークエンシング;クランプ変性ゲル電気泳動(CDGE);変性剤勾配ゲル電気泳動(DGGE)、移動度シフト分析、制限酵素分析、ヘテロ二本鎖分析、化学ミスマッチ切断(CMC)、RNase保護アッセイ、ヌクレオチドミスマッチを認識するポリペプチドの使用、アレル特異的PCR、配列解析、およびSNP遺伝子型決定から選択される少なくとも1つの核酸解析技術を実施することによって分析される。いくつかの実施形態では、試料は、ハイブリダイゼーションベースの方法、酵素ベースの方法、DNAの物理的特性に基づく増幅後の方法、およびシークエンシング方法から選択される少なくとも1つの核酸解析技術を実施することによって分析される。
【0010】
イヌ対象における甲状腺機能低下症のリスクを低減させる方法が提供される。方法は、イヌ対象を、甲状腺機能低下症を発症する可能性の高いイヌ対象であるとして特定することと、当該イヌ対象に、低アルギニン栄養組成物の毎日の食餌および/またはタンパク質源、炭水化物源、野菜源、および果実源を含む組成物の有効量を含む食餌を与えることとを含み、ここでタンパク質源が、鶏肉、卵タンパク質、コーングルテンミール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、炭水化物源が、雑穀(millet)、酒米、ひき割りエンバク、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、野菜源が、ニンジン、ほうれん草、トマト搾りかす、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、果実源が、柑橘類パルプである。
【0011】
甲状腺機能低下症を有するイヌを治療する方法が提供される。方法は、イヌを、SNP Affx-206229307およびSNP Affx-206229307についてTAハプロタイプを有すると特定ことと、このイヌ対象に、低アルギニン栄養組成物の毎日の食餌および/またはタンパク質源、炭水化物源、野菜源、および果実源を含む組成物の有効量を含む食餌を与えることと、を含み、ここでタンパク質源が、鶏肉、卵タンパク質、コーングルテンミール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、炭水化物源が、雑穀、酒米、ひき割りエンバク、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、野菜源が、ニンジン、ほうれん草、トマト搾りかす、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、果実源が、柑橘類パルプである。
【0012】
低アルギニンイヌ用食物組成物もまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】母集団構造を示す実施例2に記載されたデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好適な実施形態の以下の説明は、本質的に単に例示的であり、いかなる点においても本発明、その適用、または用途を制限することは意図されていない。
【0015】
本発明で使用する場合、および添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が別様を明確に規定しない限り、複数形を含む。
【0016】
「イヌ」という用語は、Canis familiarisのようなコンパニオンアニマル、作業犬等などであるイヌを含む。用語「イヌ(dog)」は、用語「イヌ(canine)」の同義語である。
【0017】
甲状腺機能低下症の可能性を低減し、甲状腺機能低下症の発症を遅らせ、および/または甲状腺機能低下症の重症度を低減するための、甲状腺機能低下症の可能性またはリスクの高いイヌ対象を治療するための組成物および方法が提供される。治療は、イヌ対象に低アルギニン食餌を与えることを含む。組成物および方法は、甲状腺機能低下症の可能性を低減し、甲状腺機能低下症の発症を遅らせ、および/または甲状腺機能低下症の重症度を低減するために有用であり、それらを必要とする動物において不安またはストレスの症状を治療する。いくつかの実施形態では、イヌ対象は、甲状腺機能低下症を発症するリスクが高いと特定されている。いくつかの実施形態では、イヌ対象は、イヌ対象のゲノム中に、遺伝子マーカーの存在、特に2つのSNPについての特定のハプロタイプの存在を検出することによって、甲状腺機能低下症を発症するリスクが高いと特定される。いくつかの実施形態では、イヌ対象は症状を有しない。いくつかの実施形態では、イヌ対象は、症状を呈するか、または甲状腺機能低下症を有する疑いがある。いくつかの実施形態では、方法は、例えばイヌ対象ゲノム中に、遺伝子マーカーの存在、特に2つのSNPについての特定のハプロタイプの存在を検出することによって、甲状腺機能低下症を発症するリスクが高いイヌ対象を特定するステップと、次にそのイヌ対象に低アルギニン食餌を与えるステップと、を含む、治療方法である。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「治療」は、甲状腺機能低下症または甲状腺機能低下症の1つ以上の症状を排除、低減、または予防することを指す。治療とは、治療的および/または予防的活性を指す。甲状腺機能低下症の症状を有するイヌにおいて、治療とは、症状の除去、症状の進行の停止または低減、症状の重症度の低減および症状の予防を指す。初期の症状を除去し、停止させ、進行を低減させる、または症状の重症度を低減させる治療は継続することができ、また継続的な治療は、症状を除去し、停止させ、進行を低減させ、または症状の重症度を低減させ、および/または症状の再発もしくは発症を防止し、または症状のさらなる発症の重症度を低減させることができる。いくつかの実施形態では、イヌを治療する前に、遺伝子マーカーの存在を検出することによって、イヌが甲状腺機能低下症のリスクが高いと特定され得る。いくつかの実施形態では、イヌを治療する前に、イヌは甲状腺機能低下症の症状を有すると特定され得る。いくつかの実施形態では、イヌは、治療前に甲状腺機能低下症の症状を特定されることなく、甲状腺機能低下症の治療を受けてもよい。いくつかの実施形態では、甲状腺機能低下症の治療前に、イヌは、甲状腺機能低下症を有するかまたは発症する素因を有していると特定され得る。
【0019】
低アルギニン含有量を有する毎日の食餌として役立つことができる組成物が提供される。方法において有用な組成物は、イヌ用食物組成物であってもよい。
【0020】
遺伝的関連研究により、甲状腺機能低下症の発症の可能性またはリスクが高いイヌを特定するために使用できる遺伝的マーカーが、明らかになった。甲状腺機能低下症の発症リスクを高めることに関連する遺伝的因子の同一性は、甲状腺機能低下症の発症リスクの高いイヌにおける表現型の差異およびそれらの影響に関する洞察を提供する。こうした洞察により、特定の栄養素の摂取、処理、産生、および除去を操作することによって、表現型の違いの影響を最小化する戦略が可能となる。甲状腺機能低下症の発症の可能性またはリスクが高いことを示す遺伝的マーカーを有すると特定されたイヌにおいて、栄養学的介入は、甲状腺機能低下症の発症の可能性を低減させ、疾患の発症を遅らせ、および/または疾患の進行を遅らせることができる。
【0021】
イヌゲノム全体にわたって遺伝子マーカーを含有するイヌの高密度遺伝子型アレイを使用してイヌのコホートを遺伝子型決定した後、甲状腺機能低下症と臨床的に診断されたイヌの群と、同年齢の対照イヌの群とで全ゲノム関連研究を実施した。2つのSNP、すなわちAffx-206229307およびAffx-206560187は、塩基性関連試験においてゲノムワイド有意性を超えて、並べ替え検定に耐えた。集団構造を共変量として有するロジスティックモデルを使用した追加解析により、これらと同じ2つのSNPがゲノムワイド有意性を超えて特定された。
【0022】
SNP Affx-206229307のマイナーアレルはTであり、メジャーアレルはCである。SNP Affx-206560187のマイナーアレルはAであり、メジャーアレルはGである。2つのSNPは緊密に連結されており、ゲノム内で互いに非常に近く、一緒に遺伝する。バリアントは一緒に発生する。SNP Affx-206229307のマイナーアレルの存在は、SNP Affx-206560187のマイナーアレルの存在と一緒に発生する。
【0023】
バリアントは一緒に発生するため、2つのSNPは本明細書においてハプロタイプと呼称される。したがって、ハプロタイプTAは、各SNPにおけるマイナーアレルを示す。いずれかのSNPの遺伝子型決定により、他のSNPの遺伝子型を推測することができる。SNP Affx-206229307におけるマイナーアレルTの存在を検出することにより、SNP Affx-206560187におけるマイナーアレルAの存在、すなわちハプロタイプTAの存在を推測することができる。同様に、SNP Affx-206560187のマイナーアレルAの存在を検出することにより、SNP Affx-206229307のマイナーアレルT、すなわちハプロタイプTAの存在を推測することができる。
【0024】
SNP Affx-206560187およびSNP Affx-206229307は、12番染色体で発生する。イヌは、12番染色体対を含む39の染色体対を有する。すなわち、犬は12番染色体を2コピー有する。TAハプロタイプは、12番染色体対の両方の染色体上で発生し得るか、または12番染色体の2つのコピーのうちの1つのみで発生し得、それによりもう1つのコピーは、SNPについてメジャーアレル-メジャーアレルハプロタイプを有する。12番染色体の2つのコピーのうち1つのみのTAハプロタイプの存在により、イヌは甲状腺機能低下症を発症する可能性またはリスクの高いイヌになる可能性がある。したがって、ゲノムを、1つのマイナーアレルの存在、またはハプロタイプの両方のマイナーアレルの存在について調べることができ、マイナーアレルの存在は、イヌが、TAハプロタイプを有する少なくとも1つの12番染色体を有することを示す。マイナーアレルがゼロであることは、イヌが12番染色体のどちらのコピーにもTAハプロタイプを有していないことを示している。
【0025】
本明細書に記載されるように、甲状腺機能低下症を発症する可能性またはリスクが高いことは、個々のイヌが甲状腺機能低下症を発症する平均的確率が、イヌの集団の平均的確率と比較してより高いことを意味する。TAハプロタイプTAを有するイヌにおける甲状腺機能低下症の発生率は、TAハプロタイプTAを有しないイヌにおける甲状腺機能低下症の発生率よりも高い。すなわち、甲状腺機能低下症は、TAハプロタイプを有するイヌにおいて、TAハプロタイプを有しないイヌよりも高い割合で起こる。
【0026】
甲状腺機能低下症の可能性またはリスクの高いイヌ対象を特定するための方法、および甲状腺機能低下症の可能性を低減するためにそのようなイヌ対象を治療するための方法が提供される。治療方法は、イヌ対象に低アルギニン食餌を与えるステップを含む。いくつかの実施形態では、甲状腺機能低下症の可能性またはリスクの高いイヌを特定するための方法、および甲状腺機能低下症のリスクを低減するためのこのようなイヌ対象を治療するための方法は、イヌ対象からの試料を分析して、SNP Affx-206229307のマイナーアレルTの存在を検出し、それによって、イヌ対象が、SNP Affx-206229307のTTまたはTC遺伝子型を有するかどうかを判定することを含み、これはまた、イヌ対象がSNP Affx-206560187の、それぞれAAまたはAG遺伝子型を有することを示している。いくつかの実施形態では、甲状腺機能低下症の可能性またはリスクの高いイヌを特定するための方法、および甲状腺機能低下症のリスクを低減するためのこのようなイヌ対象を治療するための方法は、イヌ対象からの試料を分析して、SNP Affx-206560187のマイナーアレルAの存在を検出し、それによって、イヌ対象が、SNP Affx-206560187のAAまたはAG遺伝子型を有するかどうかを判定することを含み、これはまた、イヌ対象がSNP Affx-206229307の、それぞれTTまたはTC遺伝子型を有することを示している。いくつかの実施形態では、甲状腺機能低下症の可能性またはリスクの高いイヌを特定するための方法、および甲状腺機能低下症のリスクを低減するためのこのようなイヌ対象を治療するための方法は、イヌ対象からの試料を分析して、SNP Affx-206229307のマイナーアレルTの存在およびSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの存在を検出することを含む。SNP Affx-206229307のマイナーアレルTの存在は、イヌ対象が、SNP Affx-206229307のTTまたはTC遺伝子型を有することを示し、SNP Affx-206560187のマイナーアレルAの存在は、イヌ対象が、SNP Affx-206560187のAAまたはAG遺伝子型を有することを示す。SNP Affx-206229307のマイナーアレルTの存在が検出され、そこからSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの存在が推定されるか、またはSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの存在が検出され、SNP Affx-206229307のマイナーアレルTの存在が推定されるか、またはSNP Affx-206229307のマイナーアレルTおよびAffx-206560187のマイナーアレルAの両方の存在が検出される場合、イヌがTAハプロタイプを有すると特定される。
【0027】
本明細書で使用される場合、低アルギニン食餌は、総乾燥重量(カロリーではない)のパーセントに基づく1日の総栄養摂取量のパーセントとして表される、低レベルのアルギニンを有する毎日の食餌を指す。低レベルのアルギニンは、総乾燥重量のパーセントに基づく1日の総栄養摂取量のパーセントとして、アルギニンの1.84%以下に相当する。いくつかの実施形態では、低アルギニン食餌は、総乾燥重量のパーセントに基づく1日の総栄養摂取量のパーセントとして1.04~1.84%のアルギニンを指す。いくつかの実施形態では、低アルギニン食餌は、総乾燥重量のパーセントに基づく1日の総栄養摂取量のパーセントとして表される、1.21%以下のアルギニンを有する毎日の食餌を指す。いくつかの実施形態では、低アルギニン食餌は、総乾燥重量のパーセントに基づく1日の総栄養摂取量のパーセントとして表される、1.11%以下のアルギニンを有する毎日の食餌を指す。いくつかの実施形態では、組成物は、乾物ベースの組成物の総重量に基づいて、1.04%未満のアルギニンを含有する食物組成物を含む。下記の表14は、参照テキスト「Nutrient Requirements of Domestic Animals:Nutrient Requirements of cats,Revised Edition,National Academy Press Washington.DC.1986.page 63-67」に表示される表10からの抜粋であり、これは、ペットフード組成物に使用される様々なタンパク質源に含まれる特定のアミノ酸の割合を示している。表14の抜粋部分は、アルギニンの%を示す。当業者は、Official Publication of the Association of American Feed Control Officials,Inc.(AAFCO),Atlanta,Ga.,(2012)に開示されているように、イヌの毎日の栄養要件を提供するために、適切なドッグフードを容易に配合することができる。「Nutrient Requirements of Domestic Animals:Nutrient Requirements of cats,Revised Edition,National Academy Press Washington.DC.1986.page 63-67」(この参照文献では表10に示す、本明細書の表14で関連部分で抜粋されている)の表を使用して、当業者であれば、アルギニンのレベルを総乾燥重量のパーセントに基づいて1日の総栄養摂取量の1.84%以下に制限しながら(いくつかの実施形態では総乾燥重量のパーセントに基づく1日の総栄養摂取量の1.04~1.84%のアルギニンのレベルのアルギニンで、いくつかの実施形態では、総乾燥重量のパーセントに基づく1日の総栄養摂取量の1.21%以下のレベルのアルギニンで、いくつかの実施形態では、総乾燥重量のパーセントに基づく1日の総栄養摂取量の1.11%以下のレベルのアルギニンで)毎日の栄養要件を提供するために適切なドッグフードを容易に配合することができる
【0028】
「1日の栄養摂取量」および「1日当たりの総栄養摂取量」は、1日当たりの乾物摂取量を意味する。すなわち、1日当たりの栄養消費量の計算には、水重量は含まれない。食物および食物成分が水/水分を含む限りにおいて、乾物は、タンパク質、繊維、脂肪、ミネラルなどを含む水以外の試料中のすべてのものを表す。乾物重量は、総重量から任意の水の重量を引いたものある。1日当たりの乾物摂取量は、すべての水を除いた1日当たりの総栄養摂取量として算出される。例えば、1日の栄養摂取量の特定のパーセントに等しい成分の量は、乾物形態でのその成分(すなわち、すべての水を除く)の、1日に消費される乾物の総量(同様に、すべての水を除く)に対する量を指す。当業者であれば、乾物量、乾物重量、および乾物パーセンテージとして表される栄養量および栄養パーセンテージを容易に認識し、理解するであろう。食物は、湿った、しっとりした、または乾燥したものを問わず、一般に一定量の水を含有しているため、1日の乾物摂取量を計算する際に、こうした食物の水成分は除外される。1日当たりの乾物摂取量である、1日当たりの総栄養摂取量を計算するために、水は除外される。乾物ベースでの1日の総摂取量に占める成分のパーセントを計算するために、総摂取量から水を取り除き、1日の総乾物摂取量を得、成分のパーセントは、乾物として存在する成分の量に基づく。1日の総栄養摂取量当たりの特定の%以下のアルギニンを含有する、または1日の総栄養摂取量当たりの特定の%未満のアルギニンを含有する低アルギニンの毎日の食餌の言及、および1日の総栄養摂取量当たり特定の%未満のアルギニンを含有する、または1日の総栄養摂取量当たりの特定の%以下のアルギニンを含有する低アルギニン栄養組成物への言及、ならびに同様の説明部分は、1日に消費されるアルギニンの限界または範囲を、1日に供給/消費される食物/栄養物の総量のパーセンテージとして確立することを目的としている。1日当たりのイヌが消費する/イヌに与えられるアルギニンの量は、記載された特定のパーセンテージを超えない。すべての量は、乾物重量ベースに基づく。例えば、「1日の総栄養摂取量当たり1.21%以下のアルギニンを含有する低アルギニン食餌である、イヌの低アルギニンの毎日の食餌」とは、1日の間に/1日にわたってイヌに与える/イヌにより消費される総食物/栄養物の乾物重量の100グラムごとに、総食物/栄養物の乾物重量100グラムのアルギニン成分の乾物重量は1.21グラム以下であることを意味する。
【0029】
「食物」、「食物組成物」、「ペットフード組成物」、または「ネコ用食物組成物」は、いくつかの実施形態では、それが与えられるイヌの栄養的に完全な食餌でありうる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「成分」は、組成物の任意の要素を指す。
【0031】
用語「栄養素」は、栄養を提供する物質を指す。場合によっては、成分は、複数の「栄養素」を含んでもよく、例えば、組成物は、タンパク質および炭水化物の両方を含む重要な栄養素を含むトウモロコシを含んでもよい。
【0032】
食物組成物は、ドッグフードの形態で提供され得る。イヌの飼い主は一般的に知られている様々なタイプのドッグフードを入手することができる。ドッグフードの選択としては、ウェットドッグフード、セミモイストドッグフード、ドライドッグフード、およびイヌ用トリーツ(treats)が挙げられるがこれらに限定されない。ウェットドッグフードは、一般的に約65%を超える含水量を有する。セミモイストドッグフードは通常約20%~約65%の含水量を有し、湿潤剤、ソルビン酸カリウム、および微生物増殖(細菌およびカビ)を防ぐためのその他の成分を含む場合がある。食物キブルを含むがこれに限定されないドライドッグフードは、一般的に約15%未満の含水量を有する。ペット用トリーツは、典型的には、セミモイスト、噛むことができるトリーツ、任意の数の形態の乾燥したトリーツ、または焼いた、押し出された、もしくは打ち抜かれたトリーツ、糖菓トリーツ、または当業者に知られているその他の種類のトリーツであってもよい。
【0033】
本明細書で使用される場合、「キブル」または「食物キブル」という用語は、イヌ用飼料の粒状ペレット様成分を指す。いくつかの実施形態では、食物キブルは15重量%未満の水分または含水量を有する。食物キブルは、硬いものから柔らかいものまで様々な食感であり得る。食物キブルは、内部構造が膨らんだものから密なものまで様々であり得る。食物キブルは、押し出しプロセスまたはベーキングプロセスによって形成され得る。非限定的な例では、食物キブルは均一な内部構造または多様な内部構造を持ち得る。例えば、食物キブルは被覆したキブルを形成するためにコアおよび被覆を含んでもよい。「キブル」または「食物キブル」という用語が使用されるとき、それは被覆されていないキブルまたは被覆されたキブルを指すことができることを理解すべきである。
【0034】
本明細書で使用される場合、「押し出す」または「押し出し」という用語は、前処理され、かつ/または調製された成分混合物を、押出機を通して送るプロセスを指す。押し出しのいくつかの実施形態では、食物キブルは、湿った成分および乾燥した成分の混合物を含むキブル生地を熱および圧力下で押し出して食物キブル形成できる、押し出しプロセスによって形成される。任意のタイプの押出機を使用することができ、その例としては、単軸スクリュー押出機および二軸スクリュー押出機が挙げられるがこれらに限定されない。以下に記述される供給源、成分、および要素のリストは、その組み合わせおよび混合物も企図され、本明細書の範囲内となるようにリストされている。
【0035】
本明細書で意図されるように、組成物は、栄養的に完全かつバランスのとれたイヌ用食物組成物を包含することを意味するが、これらに限定されない。「栄養的に完全な食餌」とは、食餌に関して、健康なイヌの通常の健康を維持するのに十分な栄養素を含む食餌である。栄養的に完全なバランスのとれたドッグフード組成物は当業者によく知られている。例えば、栄養的に完全でバランスのとれた動物飼料組成物に好適な栄養素および成分などの物質、ならびにそれらの推奨量は、例えばOfficial Publication of the Association of American Feed Control Officials,Inc.(AAFCO),Atlanta,Ga.,(2012)に見つけることができる。
【0036】
イヌ甲状腺機能低下症の可能性の増加を示す遺伝的要因
【0037】
表1は、SNPのAffx-206229307およびAffx-206560187のそれぞれに関する情報を提示する。表に記されたように、両方のSNPは、イヌの12番染色体にマッピングされる。SNP Affx-206229307は、12番染色体の252750位置にマッピングされる。SNP Affx-206560187は、12番染色体の254127位置にマッピングされる。Affx-206229307のマイナーアレルおよびメジャーアレルはそれぞれTおよびCである。SNP Affx-206560187のマイナーアレルおよびメジャーアレルはそれぞれAおよびGである。最も重要なハプロタイプは、マイナーアレルの組み合わせに対応し、したがってTAである。
【表1】
【0038】
各SNPは、イヌの主要組織適合複合体ゲノム領域内に位置するARG1遺伝子内に存在する遺伝子座で発生する。ARG1遺伝子は、酵素アルギナーゼ1(本明細書ではアルギナーゼと呼ばれる)をコードする。TAハプロタイプを有するARG1のアレルは、イヌにおける甲状腺機能低下症およびおそらくは他の自己免疫性障害の発症の重要なリスク因子である。
【0039】
一酸化窒素(NO)は、免疫活性を調節し、これは、(正常な免疫および自己免疫に関して)免疫促進分子であり、ARG1は、免疫機能におけるNOの重要な調節因子である。このように、ARG1は免疫活性に調節効果を有する。
【0040】
NOの増加(産生/レベル/活性)は免疫活性の増加に対応し、NOの減少は免疫活性の減少に対応する。放出されると、NOは、侵入する病原体に対して細胞傷害性であり、感染部位への免疫細胞の動員を誘導し、正常な免疫応答におけるTh1/Th2 T細胞バランスの調節因子となる。NOはまた、自己免疫疾患を引き起こす宿主組織の破壊、免疫浸潤、細胞傷害性T細胞の活性強化にも関係している。
【0041】
NOは、アルギニンからの反応によって産生される。より具体的には、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)は、アルギニンをNOに変換し、反応副産物であるシトルリンに変換するが、シトルリンはそれ自体が、アルギニンを産生および補充するシトルリン-NO経路と呼ばれる一連の反応の出発物質である。シトルリン-NO経路によって産生されたアルギニンは、iNOSによってNOおよびシトルリンに変換される。
【0042】
アルギナーゼはアルギニンをオルニチンおよび尿素に加水分解し、一酸化窒素応答におけるNOの産生を下方制御する機構を提供する。マクロファージでは、アルギナーゼは、遊離アルギニンについてiNOSと競合する。アルギニンがオルニチンおよび尿素に加水分解されるアルギナーゼの活性は、事実上、iNOSがNOおよびシトルリンを産生するための基質として作用するために利用可能なアルギニンの量を減少させる。アルギニンと競合することにより、アルギニンを処理するアルギナーゼの活性は、iNOSによるアルギニンから産生されるNOの量を低減することによって、およびより多くのアルギニンを作製するためにシトルリン-NO経路で使用されるであろうiNOSによるアルギニンから産生されるシトルリンの量を低減することによって、NO産生を制限する。
【0043】
したがって、ARG1遺伝子のタンパク質産生物であるアルギナーゼは、NO産生を調節し、それによって正常な免疫応答および自己免疫応答を調節する。ARG1遺伝子の発現レベル、産生されたアルギナーゼタンパク質の量、およびアルギナーゼの安定性および活性のレベルは、NO産生に影響を与える。ARG1遺伝子の発現の増加、および/またはアルギナーゼの産生および/または活性の増加は、NO産生を低減させ、それにより正常な免疫応答および自己免疫応答が下方制御される一方、ARG1遺伝子の発現の減少、および/またはアルギナーゼの産生および/または活性の減少は、NO産生の増加をもたらし、正常な免疫応答および自己免疫応答を増加させる。
【0044】
いかなる理論にも結合されることを意図しないが、2つのSNPハプロタイプTAは、発現の減少、および/またはアルギナーゼ活性の減少を伴うアルギナーゼの産生のいずれかの可能性を有するARG1のバリアントをコードするアレルを表し、アルギニンをオルニチンおよび尿素に変換する能力の低下をもたらし、したがってNOの負の調節を減少させる。すなわち、これらの多型のマイナーアレルは、アルギナーゼの低下および/または活性が低下したアルギナーゼをもたらし得る。発現または活性が低下しているため、ARG1マイナーアレル遺伝子型を有するイヌは、ARG1メジャーアレル遺伝子型を有するイヌと比較して、効果的にアルギニンについてiNOSと競合するアルギナーゼを有しない。したがって、ARG1マイナーアレル遺伝子型を有するイヌでは、より多くのNOが産生され、免疫応答が増加する。結果として生じるNOの過剰産生は、イヌにおける自己免疫性および甲状腺機能亢進症の発症に寄与する要因である。
【0045】
循環アルギニン濃度の大幅な低下および循環シトルリン濃度の大幅な低下は、イヌに低アルギニン食餌を与えることによって達成され得る。低アルギニン食餌は、甲状腺機能低下症の発症リスクを低減させる。
【0046】
甲状腺機能低下症の発症の可能性またはリスクが高いと特定されたイヌ対象において、甲状腺機能低下症の発症の可能性またはリスクを低減させるために使用される治療は、イヌ対象に低アルギニン食餌を摂ることを含む。甲状腺機能低下症の発症の可能性またはリスクが高いと特定されたイヌ対象において、甲状腺機能低下症の発症の可能性またはリスクを低減させるために使用される治療は、イヌ対象に低アルギニン食餌を与えることを含む。いくつかの実施形態では、低アルギニン食餌は高繊維食餌でもある。いくつかの実施形態では、治療方法は、1)TAハプロタイプを有するイヌを特定するため、遺伝子型解析を実施することによって甲状腺機能低下症を発症する可能性またはリスクが高いイヌを特定するステップと、ネコに低アルギニン食餌を与えるステップと、を含む。
【0047】
イヌ対象を、甲状腺機能低下症を発症する可能性またはリスクの高いイヌであるとして特定するための方法に有用なキット、試薬、その他の物品、および組成物が提供される。キット、試薬、他の物品、および組成物は、TAハプロタイプを検出するために遺伝子型を評価する方法に有用であり得る。イヌ対象を治療して、甲状腺機能低下症を予防し、その可能性を低減させ、発症を遅延させ、および/またはその重症度を低減させるために、方法に有用なキット、試薬、その他の物品、および組成物が提供される。イヌ対象は、本明細書に提供される方法によって、甲状腺機能低下症を発症する可能性が高いと特定され得る。イヌ対象を治療して、甲状腺機能低下症を予防し、その可能性を低減させ、発症を遅延させ、および/またはその重症度を低減させる方法は、イヌ対象に低アルギニン食餌を与えることを含み得る。
【0048】
Affx-206229307およびAffx-206560187
【0049】
Affx-206229307
【0050】
Affx-206229307は、CanFam3.1参照ゲノムのイヌ12番染色体、位置252750に位置するSNPを指す(chr12:252750)。Affx-206229307は、イヌARG1遺伝子内の遺伝子座に位置する。
【0051】
配列番号1-Affx-206229307 SNPは、ヌクレオチド101とともに100bp上流および99bp下流に位置する200個のヌクレオチド配列で示される。
【0052】
>canFam3_dna範囲=chr12:252650-252849 5’パッド=100 3’パッド=100 ストランド=+リピートマスキング=なし
5’-TCAAATTCCC ATTCTTGGCA ACAAGCACCC ACCACCCCTC TGCCTGACAC
ATTCTGCTCT CTTCCTTCGT TCCCTTCTTG CATGACCGCC CCACACACCG
[T/C]CTTCATTGA GCAGATATAA TTGCCCCTTC TTTAAACCTC AATCCAGGGA CCCCTGGGTG GTTCAGTGGT GAGTGTCTGC CTTTGGCTCA GGGTGTAATC-3’
【0053】
Affx-206560187
【0054】
Affx-206560187は、CanFam3.1参照ゲノムのイヌ12番染色体、位置254127に位置するSNPを指す(chr12:254127)。Affx-206560187は、イヌARG1遺伝子内の遺伝子座に位置する。
【0055】
配列番号2-Affx-206560187 SNPは、ヌクレオチド101とともに100bp上流および100bp下流に位置する201個のヌクレオチド配列で示される。
【0056】
>canFam3_dna範囲=chr12:254027-254227 5’パッド=100 3’パッド=100 ストランド=+リピートマスキング=なし
5’-CCACCTTTTC TTCCTTTTGT TCAGTTATTT TAATTCTGTC TTCATCAAAG
CCCATCCCAA GAATAAGGGA GTATATTGCA GTTTTGCGAT TAACGCGAGC[A/G]CTAGAAGAA ACACTTCTAT GTCAGCAAAA TGTCCCCGTG TTCTGGGAGA GAACT TTGAA GGAGG ACGGG GGAAGTGCAG CAGTGTTTAC TGACA GTCCA G-3’
【0057】
開示されたSNPを含有するゲノム配列には、いくつかの方法でアクセスすることができる。SNP Affx-206229307のイヌ参照ゲノムCanFam3.1によって定義される染色体および位置は、chr12:252750である。SNP Affx-206560187のイヌ参照ゲノムCanFam3.1によって定義される染色体および位置は、chr12:254127である。当業者は、カリフォルニア大学のSanta Cruz Genome browserなどの公開されているインターフェースを使用して、対象のSNPを特定し、ゲノムブラウザツールを使用して隣接DNA配列を抽出することができる。さらに、イヌ参照ゲノムは、次のような多くの供給源から公開されている、<ftp://ftp.ensembl.org/pub/release-94/fasta/canis_familiaris/dna/>または<http://hgdownload.cse.ucsc.edu/goldenPath/canFam3/bigZips/>または<ftp://ftp.ncbi.nlm.nih.gov/genomes/all/GCA/000/002/285/GCA_000002285.2_CanFam3.1>。これらのデータベースを使用して、関連するDNA配列を抽出することができる。
【0058】
イヌ対象において甲状腺機能低下症を発症するリスクの増加に関連する単一の核酸多型を検出する方法が提供される。イヌ対象において甲状腺機能低下症の可能性の増加に関連するTAハプロタイプを有するイヌを特定する方法が提供される。甲状腺機能低下症を発症するリスクが高いイヌを特定する方法が提供される。イヌ対象における甲状腺機能低下症を発症するリスクを低減させる方法が提供される。イヌにおける甲状腺機能低下症の発症リスクを低減させる方法は、甲状腺機能低下症の予防、症状の低減、症状の重症度の低減、または症状の発症の遅延をもたらし得る。甲状腺機能低下症を発症するリスクが高いまたは上昇していると特定されたイヌにおいて、甲状腺機能低下症を発症するリスクを低減させる方法が提供される。TAハプロタイプを検出し、甲状腺機能低下症を発症するリスクを決定し、甲状腺機能低下症を発症するリスクが高いイヌを特定し、甲状腺機能低下症を発症する可能性を低減させ、イヌを治療するために使用されるキット、試薬、および組成物が提供される。
【0059】
イヌ対象は、いずれかのSNPで少なくとも1つのマイナーアレルを検出することによって、TAハプロタイプの存在について調査されてもよい。いくつかの実施形態では、イヌ対象は、TAハプロタイプの1つのマイナーアレル、またはTAハプロタイプの両方のマイナーアレルの存在について調査されてもよい。個々のイヌのゲノムの調査に基づくTAハプロタイプの検出を、甲状腺機能低下症を発症する可能性またはリスクが高いイヌ対象を特定するために使用することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、イヌ対象からの試料を、マイナーアレルTおよびマイナーアレルの両方の存在について調査して、TAハプロタイプの存在を検出することができる。いくつかの実施形態では、イヌ対象からの試料を、マイナーアレルTおよびマイナーアレルのうちのいずれか1つの存在について調査して、TAハプロタイプの存在を検出することができる。マイナーアレルの検出の欠如は、イヌがメジャーアレル/メジャーアレルCGハプロタイプに対してホモ接合性であることを示す。
【0061】
いくつかの実施形態では、イヌ対象からの試料を、Affx-206229307のメジャーアレルCおよび/またはAffx-206560187のメジャーアレルGの存在について調査して、CGハプロタイプの存在を検出することができる。TAハプロタイプの存在を検出するために、Affx-206229307のマイナーアレルTおよび/またはAffx-206560187のマイナーアレルAについて試料を調査しなければならないが、試料が、CGハプロタイプの存在を検出するため、Affx-206229307のメジャーアレルCおよび/またはAffx-206560187のメジャーアレルGの存在について調査された場合、メジャーアレルが検出されず、すなわち、CGハプロタイプが存在しない場合、それにより、対象が、12番染色体の各コピー上にTAハプロタイプを有し、それによって、より高いリスクおよび/またはより重度の甲状腺機能低下症のリスクになり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、試料はゲノムDNA試料である。いくつかの実施形態では、試料は、イヌ対象の血液、唾液、濾胞根、鼻腔スワブ、または口腔スワブから得られる。いくつかの実施形態において、生体試料は、PERFORMAgene PG-100経口試料採取キット(DNA Genotek、OraSure Technologies,Inc.、Bethlehem,PA)などの市販のキットを使用して、イヌ対象からのゲノムDNA試料である。
【0063】
いくつかの実施形態では、方法は、TAハプロタイプを有するイヌを特定することを含む。すなわち、本方法は、chr12:252750に位置するSNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピーの存在を検出すること、またはchr12:254027-254227に位置するSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピーの存在を検出すること、またはchr12:252750に位置するSNP Affx-206229307のマイナーアレルTの1コピーもしくは2コピーの存在を検出しかつchr12:254027-254227に位置するSNP Affx-206560187のマイナーアレルAの1コピーもしくは2コピーの存在を検出すること、のいずれかを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、TAハプロタイプは、以下から選択される少なくとも1つの核酸分析技術を含む方法を使用して検出される:DNAシークエンシング、制限酵素消化、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ハイブリダイゼーション、リアルタイムPCR、逆転写PCR、またはリガーゼ連鎖反応。
【0065】
いくつかの実施形態では、TAハプロタイプは、以下からなる群から選択される少なくとも1つの核酸分析技術を実施することによって検出される:全ゲノムSNPチップを使用した分析、一本鎖高次構造多型分析(SSCP)アッセイ、制限断片長多型(RFLP);自動蛍光シークエンシング、クランプ変性ゲル電気泳動(CDGE);変性剤勾配ゲル電気泳動(DGGE)、移動度シフト分析、制限酵素分析、ヘテロ二本鎖分析、化学ミスマッチ切断(CMC)、RNase保護アッセイ、ヌクレオチドミスマッチを認識するポリペプチドの使用、アレル特異的PCR、配列解析、およびSNP遺伝子型決定。
【0066】
いくつかの実施形態では、TAハプロタイプは、以下からなる方法:ハイブリダイゼーションベースの方法、酵素ベースの方法、DNAの物理的特性に基づく増幅後の方法、およびシークエンシング方法からなる方法のタイプから選択される方法を使用して検出される。
【0067】
いくつかの実施形態では、TAハプロタイプは、以下からなる方法のタイプから選択される方法を使用して検出される:動的アレル特異的ハイブリダイゼーション、分子ビーコン法およびSNPマイクロアレイからなる群から選択されるハイブリダイゼーションベースの方法;制限断片長多型(RFLP)、PCRベースの方法、フラップエンドヌクレアーゼ、プライマー伸長法、5’-ヌクレアーゼおよびオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイからなる群から選択される酵素ベースの方法;一本鎖高次構造多型分析、温度勾配ゲル電気泳動、変性高速液体クロマトグラフィー、高分解能アンプリコン融解曲線解析、DNAミスマッチ結合タンパク質、SNPlex、およびサーベイヤーヌクレアーゼアッセイからなる群から選択されるDNAの物理的特性に基づく増幅後の方法;ならびにシークエンシング方法。
【0068】
いくつかの実施形態では、TAハプロタイプは、一方または両方のSNPを調べるための遺伝子マーカーを含む遺伝子マーカーを含有する高密度アレイを使用して検出される。
【0069】
いくつかの実施形態では、TAハプロタイプは、一方または両方のSNPを調べるための遺伝子マーカーを含有する低密度アレイを使用して検出される。
【0070】
いくつかの実施形態では、TAハプロタイプは、遺伝子マーカーを含有する高密度アレイを使用して検出される。アレイの例としては、GeneChip(登録商標)Canine Genome 2.0 Array(Affymetrix、Thermo Fisher Scientific、Waltham,MA)、Dog Genome Microarray(Core Life Sciences、Irvine CA)、Illumina Canine HDパネル、および追加の50,000~100,000カスタム遺伝子マーカー(SNP)(The Illumina Canine HDパネルおよび追加の50,000~100,000カスタム遺伝子マーカー(SNP)、例えばInfinium(登録商標)iSelect(登録商標)カスタム遺伝子型決定(Illumina,Inc.San Diego,CA))のような市販のマイクロアレイが含まれる。
【0071】
いくつかの実施形態では、MassARRAYシステムが、TAハプロタイプの存在の検出に使用される。MassARRAYシステムは、質量分析を利用してPCR由来アンプリコンを正確に測定する非蛍光検出プラットフォームである。質量分析は、エンドポイントPCRと組み合わせて、ユニバーサルサイクリング条件下で高度に多重化された反応を可能にし、正確で迅速、かつ費用効果の高い分析を提供する。MassARRAYシステムは、限られた入力材料で標的遺伝子検査のための独自のソリューションを提供する。
【0072】
いくつかの実施形態では、ビーズアレイ技術が、TAハプロタイプの検出に使用される。例えば、Illumina BeadArray技術やInfinium HDアッセイ(Illumina,Inc.San Diego,CA)を使用することができる。いくつかの実施形態では、ビーズアレイ技術は、SNPアレルの存在の検出に使用される。Illumina BeadArray技術は、平面シリカスライド上のマイクロウェル内で自己集合する小さなシリカビーズに基づいている。各ビーズは、Infiniumアッセイにおいて捕捉配列として作用する特定のオリゴヌクレオチドの数十万のコピーで覆われている。ビーズが自己集合すると、独自開発のデコーディングプロセスが各ビーズの位置をマッピングし、各ビーズが個別に品質管理されるようにする。この製造プロセスの結果、すべてのBeadChipは、可能な限り高い品質基準を保証するために厳格な試験を受けることになる。Infiniumアッセイは、多くの代替的なPCR依存性アッセイとは異なり、データ品質を損なうことなく、無制限の多重化に合わせて調整することができる。単純に合理化されたワークフローは、調査されるSNPの数に関係なく、すべての製品で共通している。同様に、データ取得プロセスと解析は同じである。Infiniumアッセイプロトコルは、シングルチューブサンプル調製と、PCRまたはライゲーションステップを伴わない全ゲノム増幅を特徴とし、労力と試料処理エラーを大幅に低減する。標識されていないDNAサンプルをBeadChip上でハイブリダイズさせた後、2ステップのアレル検出により、高いコールレートと精度が得られる。選択性および特異性は、2ステップで達成される。ビーズに結合した50merオリゴに対する標的ハイブリダイゼーションは、高い選択性を提供する一方、酵素による単一塩基伸長は、アッセイ読み出しのための標識ヌクレオチドも組み込まれている。染色試薬は、より高いシグナルを、および赤色チャネルと緑色チャネルの間のよりバランスのとれた強度を提供するように最適化される。これらの機能は、精度、高いコールレート、および低ノイズでのコピー数データに寄与する。Infiniumアッセイは、遺伝子型決定研究で各SNPに対して2色の読み出し値(各アレルに対して1色)を生成する。各2色チャネルAおよびBの強度値は、単一のゲノム遺伝子座でのアレル比についての情報を伝達する。典型的な研究では、有意な統計的表示を確実にするため、多数のサンプル(数百~数万)の値が組み込まれている。これらの値が適切に正規化され、プロットされた明確なパターン(またはクラスタ)が現れると、アッセイされた遺伝子座で試料が同一の遺伝子型を有し、類似のシグナルプロファイル(AおよびB値)を示し、およびクラスタ内で統合する。二倍体生物については、2アレル遺伝子座は、3つのクラスタ(AA、ABおよびBB)を呈することが予想される。遺伝子型コールは、代表的な試料セットからの統計データを提供する、標準クラスタファイルに由来する情報に基づく。これにより、所与の遺伝子座についての既知のデータに対してアッセイの単一強度を参照することによって、遺伝子型をコールすることが可能になる。コール精度はクラスタデータの品質と結びついているため、正確な遺伝子型決定には、効率的で堅牢なクラスタリングアルゴリズムが不可欠である。Illumina Gebtrain2アルゴリズムは、遺伝子型決定試料のクラスタパターンを正確かつ効率的に特定し、概要を報告する。
【0073】
SNPアレルは、ハイブリダイゼーションベースの方法を使用して検出されてもよい。ハイブリダイゼーションベースの方法の例には、動的アレル特異的ハイブリダイゼーション、分子ビーコンを用いる方法、および高密度オリゴヌクレオチドSNPアレイまたは低密度オリゴヌクレオチドSNPアレイを含むSNPマイクロアレイを用いる方法が挙げられる。SNPは、相補的なDNAプローブをSNP部位にハイブリダイズすることによって調査することができる。動的アレル特異的ハイブリダイゼーションでは、ゲノムセグメントが増幅され、ビオチン化プライマーとのPCR反応を介してビーズに結合される。次いで、増幅された生成物をストレプトアビジンカラムに付着させ、洗浄して、非ビオチン化鎖を除去する。次いで、アレル特異的オリゴヌクレオチドは、二本鎖DNAに結合されたときに蛍光を発する分子の存在下で添加される。強度は、融解温度(Tm)が決定され得るまで、温度が増加するにつれて測定される。SNPは、予想よりも低いTmによって検出される。特異的に操作された一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、分子ビーコンを使用するSNP検出で使用される。オリゴヌクレオチドが設計され、相補領域が各末端にあり、プローブ配列がその間に位置し、その結果、プローブは、その天然の単離された状態でヘアピンまたはステムループ構造を取る。フルオロフォアは、プローブの一方の端に取り付けられ、蛍光クエンチャーは他方の端に取り付けられる。フルオロフォアは、オリゴがヘアピン構成であり、分子が蛍光を放出しないときに、クエンチャーに近接している。プローブ配列は、アッセイで使用されるゲノムDNAに対して相補的である。分子ビーコンのプローブ配列が、アッセイ中にその標的ゲノムDNAと遭遇した場合、アニーリングおよびハイブリダイズする。オリゴは、ヘアピン構成を想定しなくなり、蛍光を発する。高密度オリゴヌクレオチドSNPアレイは、小さなチップ上にアレイされた数十万個のプローブを含み、多くのSNPを同時に調査することを可能にする。SNP部位をいくつかの異なる場所に有するように設計されたいくつかの冗長プローブ、ならびにSNPアレルとのミスマッチを含有することが、各SNPを調査するために使用される。これらの冗長プローブの各々に対する標的DNAのハイブリダイゼーションの異なる量により、特定のホモ接合性およびヘテロ接合性のアレルを決定することができる。
【0074】
TAハプロタイプは、酵素ベースの方法を使用して検出されてもよい。DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼ、およびヌクレアーゼを含む広範な酵素が用いられてもよい。酵素ベースの方法の例としては、制限断片長多型(RFLP)に基づく方法、PCRベースの方法、フラップエンドヌクレアーゼを利用する方法、プライマー伸長法を利用する方法、5’-ヌクレアーゼを利用する方法、およびオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイを含む方法が挙げられる。SNPを検出するためのRFLP方法は、ゲノム試料を消化するために多くの異なる制限エンドヌクレアーゼを使用する。酵素が予想される制限部位を切断するかどうかは、ゲルアッセイを介して断片長を決定することによって確認することができる。RFLPアッセイは、SNPの存在下または非存在下で切断する酵素を含むように設計され、断片長のパターンを使用して、SNPの存在または非存在を決定することができる。PCRベースの方法には、テトラプライマー増幅難治性突然変異系PCR、またはARMS-PCR、および複数のqPCR反応が含まれる。テトラプライマー増幅難治性突然変異系PCR、またはARMS-PCRは、2つの対のプライマーを使用して、1つのPCR反応において2つのアレルを増幅する。プライマーは、2つのプライマー対がSNP位置で重複するように設計されるが、各々が、可能性のあるSNPのうちの1つのみに完全に合致するように設計される。あるいは、複数のqPCR反応を、各アレルを別々に標的とする異なるプライマーセットで実行することができる。いくつかの実施形態は、構造特異的切断を触媒するエンドヌクレアーゼであるフラップエンドヌクレアーゼ(FEN)を利用する。この切断はミスマッチに非常に敏感であり、高い特異性を有するSNPを調査するために使用することができる。クレアバーゼと呼ばれるFENは、2つの特異的オリゴヌクレオチドプローブと組み合わされ、標的DNAとともに、クレアバーゼによって認識される三重アルタイト構造を形成することができる。Invaderオリゴヌクレオチドと呼ばれる第一のプローブは、標的DNAの3’末端に対して相補的である。Invaderオリゴヌクレオチドの最後の塩基は、標的DNA中のSNPヌクレオチドと重複する非合致の塩基である。第二のプローブは、標的DNAの5’末端に相補的であるが、SNPヌクレオチドの3’側を超えても延在するアレル特異的プローブである。アレル特異的プローブは、SNPヌクレオチドに相補的な塩基を含有する。
【0075】
プライマー伸長法は、最初にSNPヌクレオチドのすぐ上流の塩基へのプローブのハイブリダイゼーションを伴い、続いて、DNAポリメラーゼがSNPヌクレオチドに相補的な塩基を付加することによってハイブリダイゼーションプライマーを伸長させる、2ステップのプロセスである。この組み込まれた塩基が検出され、SNPアレルが決定される。プライマー伸長法は、いくつかのアッセイフォーマットで使用される。これらのフォーマットは、MALDI-TOF質量分析法(Sequenomを参照)およびELISAのような方法を含む広範な検出技術を使用する。SequenomのiPLEX SNP遺伝子型解析方法は、MassARRAY質量分析計を使用する。プライマー伸長法の柔軟性および特異性により、ハイスループット分析に適している。プライマー伸長プローブをスライド上に配列付けすることができ、多くのSNPを一度に遺伝子型決定することができる。アレイドプライマー伸長法(APEX)と呼ばれるこの技術は、プローブのディファレンシャルハイブリダイゼーションに基づく方法よりもいくつかの利点を有する。
【0076】
Illumina IncorporatedのInfiniumアッセイは、プライマー伸長法に基づく全ゲノム遺伝子型決定パイプラインの一例である。Infiniumアッセイでは、100,000を超えるSNPを遺伝子型決定することができる。アッセイは、プライマー伸長反応においてハプテン標識ヌクレオチドを使用する。ハプテン標識は、抗体によって認識され、これは次に検出可能なシグナルに結合される。APEX-2は、アレイドプライマー伸長遺伝子型決定法であり、効率的な均質なマルチプレックスPCR(最大640プレックス)およびマイクロアレイ上の4色単一塩基伸長を使用して、数百のSNPまたは変異を並列で同定することができる。マルチプレックスPCRは、SNP/変異ごとに、試験された塩基対を含有するアンプリコンを生成する2つのオリゴヌクレオチドを必要とする。5’-ヌクレアーゼを利用する方法は、SNP遺伝子型決定のためのTaqManアッセイにおけるTaq DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性を使用する方法を含む。TaqManアッセイは、PCR反応と同時に実施され、PCR反応が進行するにつれて、結果をリアルタイムに読み取ることができる。オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイを含む方法において、オリゴヌクレオチドDNAリガーゼは、DNA断片の3’末端から、直接隣接するDNA断片の5’末端へのライゲーションを触媒する。この機構は、SNP多型部位上で直接2つのプローブをハイブリダイズすることによってSNPを調査するために使用することができ、それにより、プローブが標的DNAと同一である場合にライゲーションが発生し得る。SNPを検出するための他の増幅後の方法の例としては、DNAの物理的特性に基づく方法が挙げられる。このような方法は、最初に標的DNAのPCR増幅を伴う。
【0077】
SNPアレルを検出するいくつかの方法は、融解温度および一本鎖高次構造などのDNAの物理的特性に基づく。一本鎖高次構造を使用する方法は、三次構造に折り畳まれる一本鎖DNA(ssDNA)に基づく。高次構造は配列依存性であり、ほとんどの単一塩基対変異は構造の形状を変化させる。ゲルに適用されるとき、三次形状は、ssDNAの移動度を決定し、SNPアレルを区別する機構を提供する。この方法は、最初に標的DNAのPCR増幅を伴う。二本鎖PCR産物は、熱およびホルムアルデヒドを使用して変性され、ssDNAが産生される。ssDNAは、非変性電気泳動ゲルに適用され、三次構造に折り畳まれる。DNA配列の差異は、三次構造を変化させ、ssDNA鎖の移動度における差異として検出される。温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)法または温度勾配キャピラリー電気泳動(TGCE)法は、部分的に変性したDNAがより限定され、ゲルまたは他の多孔質材料中でより遅く移動するという原理に基づく。別の方法では、変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)は、逆相HPLCを使用してSNPを調査する。DHPLCでは、固相が一本鎖DNAと二本鎖DNAに異なる親和性を有する。使用される別の方法は、アンプリコン全体の高分解能融解曲線解析である。DNAミスマッチ結合タンパク質を使用して、SNPを検出してもよい。サーマス・アクアティカス由来のMutSタンパク質は、異なる親和性を有する異なる一塩基ミスマッチを結合し、キャピラリー電気泳動において使用して、6組のミスマッチをすべて区別することができる。SNPlexは、アプライドバイオシステムズ社が販売する独自の遺伝子型解析プラットフォームである。サーベイヤーヌクレアーゼアッセイは、すべての塩基置換および小さな挿入/欠失(インデル)を認識し、両方のDNA鎖のミスマッチ部位の3’側を切断するミスマッチエンドヌクレアーゼ酵素である、サーベイヤーヌクレアーゼを使用する。シークエンシング技術は、SNP検出にも使用することができる。シークエンシング技術の進歩により、より実用的なシークエンシングによるSNP検出が可能となる。
【0078】
次世代シークエンシング技術を使用したシークエンシングによる遺伝子型解析は、一般的な慣行となっている。シークエンシングによる遺伝子型解析は、GBSとも呼ばれ、ゲノムワイド関連研究(GWAS)などの遺伝子型解析研究を実施するために、一塩基多型(SNP)を発見する方法である。GBSは、制限酵素を使用してゲノムの複雑さを低減し、複数のDNA試料を遺伝子型解析する。消化後、PCRを実施して断片プールを増加させ、その後、次世代シークエンシング技術を使用してGBSライブラリーを配列解析する。合成によるIlluminaショートリードシークエンシングやPacBioの単一分子リアルタイムシークエンシングなどの次世代シークエンシング技術の進歩に伴い、GBSを行うことがより実行可能になってきている。将来、ナノポアの単一分子シークエンシングなどの新技術の開発により、全ゲノムシークエンシング/遺伝子型決定が可能になる可能性がある。
【0079】
組成物および配合物
【0080】
上述の方法論の適用により、イヌ甲状腺機能低下症の可能性を低減する治療から利益を得ることが特定されたイヌに有意な利益をもたらす組成物、食物、および食餌を提供するために組み合わされた生理活性のある食餌成分を特定した。TAハプロタイプを有するイヌ対象におけるイヌ甲状腺機能低下症のリスクは、低アルギニン食餌を与えることによって大幅に低減することができる。
【0081】
食物は、成体イヌのための栄養的に完全な食餌である。特定の態様では、食物は、成熟したコンパニオンイヌのために配合された栄養的に完全な食餌である。
【0082】
いくつかの実施形態では、組成物は、乾物ベースでの組成物の総重量に基づいて、1.84%未満のアルギニンを含有する食物組成物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、乾物ベースでの組成物の総重量に基づいて、1.04~1.84%のアルギニンを含有する食物組成物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、乾物ベースでの組成物の総重量に基づいて、1.21%以下のアルギニンを含有する食物組成物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、乾物ベースでの組成物の総重量に基づいて、1.11%以下のアルギニンを含有する食物組成物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、乾物ベースでの組成物の総重量に基づいて、1.04%未満のアルギニンを含有する食物組成物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、乾物ベースでの組成物の総重量に基づいて4%~75%以上の量のタンパク質、乾物ベースで組成物での総重量に基づいて5%~50%以上の量の脂肪、および乾物ベースでの組成物の総重量に基づいて5%~75%以上の炭水化物を含むことができ、食物組成物は、イヌによる消費に適している。
【0083】
いくつかの実施形態では、そのような組成物は、栄養的に完全で、かつバランスのとれた低アルギニン組成物であり、当該組成物は、いくつかの実施形態では1.04~1.84%、いくつかの実施形態では1.21%以下、およびいくつかの実施形態では1.11%以下の、アルギニンを含有する。いくつかの実施形態では、栄養的に完全で、かつバランスのとれたドッグフード組成物は、4重量%~90重量%、5重量%~75重量%、10重量%~60重量%のタンパク質、15重量%~50重量%のタンパク質、0重量%~90重量%、2重量%~80重量%、5重量%~75重量%、および10重量%~50重量%の炭水化物、2重量%~60重量%、5重量%~50重量%、および10重量%~35重量%の脂肪を含み得る。組成物はさらに、0~15重量%または2重量%~8重量%のビタミンおよびミネラル、抗酸化物質、ならびに動物の栄養的必要性を支援する他の栄養素を含有してもよい。
【0084】
組成物内、特に本明細書に提供される方法に投与される食物中の含有に好適なタンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミン、ミネラル、バランス剤(balancing agent)などの供給源は、当業者に公知の従来の材料から選択され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、食物組成物の成分として有用なタンパク質は、哺乳類、鳥類タンパク質、爬虫類、両生類、魚類、無脊椎動物タンパク質およびその組み合わせを含む動物タンパク質等の動物源由来のタンパク質;例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、シカ、ウサギ、ウマ、カンガルー由来、それらの乳、凝乳、乳清または血液、ならびに平滑筋、横紋筋、肝臓、腎臓、腸または心臓等の内部組織および臓器由来であり;追加の鳥類のタンパク質源として、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル、ダチョウ、ウズラ、ハト、それらの卵ならびに平滑筋、横紋筋、肝臓、腎臓、腸または心臓等の臓器が包含され;両生類の供給源として、カエルまたはサンショウウオが挙げられ;爬虫類のタンパク質源として、ワニ、トカゲ、カメおよびヘビが挙げられ;魚類タンパク質源として、ナマズ、ニシン、サーモン、マグロ、ブルーフィッシュ、タラ、オヒョウ、マス、メカジキおよびそれらの卵が挙げられ、無脊椎動物タンパク質源として、ロブスター、カニ、ハマグリ、ムール貝またはカキおよびそれらの組み合わせ、肉タンパク質分離物、乳清タンパク質分離物、卵タンパク質、それらの混合物等が挙げられ、ならびに大豆タンパク質分離物、コーングルテンミール、小麦グルテン、それらの混合物等の植物源を含み得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、食物組成物の成分として有用な炭水化物には、限定されるものではないが、トウモロコシ、全粒黄トウモロコシ、穀実用ソルガム、小麦、大麦、米、雑穀、酒米、ひき割りエンバク、および多糖類(例えば、デンプンおよびデキストリン)、ならびに加水分解されるとエネルギーとして代謝される糖類(例えば、ショ糖、ラクトース、マルトース、グルコースおよび果糖)のうちの1つ以上を含み得る。本明細書に開示される組成物への含有に適した追加の炭水化物源の例としては、果実およびトマト以外の搾りかす野菜が挙げられる。
【0087】
食物組成物の成分として有用な脂肪は、以下に限定されないが、家禽脂肪、牛脂、ラード、精選白色獣脂(choice white grease)、大豆油、トウモロコシ油、キャノーラ油、ヒマワリ油、それらの混合物などの任意の供給源由来であってもよい。脂肪は、食物組成物内に完全に組み込まれてもよく、食物組成物の外側に堆積されてもよく、または2つの方法の混合であってもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、組成物は、グルコサミン、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、メチルスルホニルメタン(「MSM」)、クレアチン、抗酸化物質、ペルナカナリキュラータ、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の物質の有効量をさらに含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、食物組成物は、さらに、限定されないが、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン(DL-メチオニンおよびL-メチオニンを含む)、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、タウリン、カルニチン、アラニン、アスパラギン酸、シスチン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、およびヒドロキシプロリン等の1つ以上のアミノ酸を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、食物組成物は、さらに、限定されないが、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、マルガロレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、g-リノレン酸、a-リノレン酸、ステアリドン酸、アラキジン酸、ガドレイン酸、DHGLA、アラキドン酸、エイコサテトラ酸、EPA、ベヘン酸、エルカ酸、ドコサテトラ酸、およびDPAなどであるがこれらに限定されない1つ以上の脂肪酸を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、食物組成物は、さらに、限定されないが、水分、タンパク質、脂肪、粗繊維、灰分、食物繊維、可溶性繊維、不溶性繊維、ラフィノース、およびスタキオース等の1つ以上の多量栄養素を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、食物組成物は、さらに、β-カロテン、α-リポ酸、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、リコピン、ルテイン、およびケルセチンなどであるがこれらに限定されない1つ以上の微量栄養素を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、食物組成物は、さらに、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩化物、鉄、銅、銅、マンガン、亜鉛、ヨウ素、セレン、セレン、コバルト、硫黄、フッ素、クロム、ホウ素、およびシュウ酸塩などであるがこれらに限定されない1つ以上のミネラルを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、食物組成物は、さらに、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、キヌア子実、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ピリドキシン、パントテン酸、葉酸、ビタミンB12、ビオチン、およびコリンなどであるがこれらに限定されない1つ以上の他のビタミンを含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、食物組成物は、繊維をさらに含み、繊維は、例えば、セルロース、ビートパルプ、ピーナッツ殻、および大豆繊維などの植物繊維源を含む、様々な供給源から供給され得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、食物組成物は、安定化物質、例えば、組成物の貯蔵寿命を延ばす傾向がある物質をさらに含む。このような物質の潜在的に適切な例として、例えば、防腐剤、抗酸化剤、協力剤および捕捉剤、包装ガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、ならびに湿潤剤が挙げられる。乳化剤および/または増粘剤の例としては、例えば、ゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、および加工デンプンが挙げられる。
【0097】
いくつかの実施形態において、食物組成物は、着色、嗜好性、および栄養の目的のための意図される添加剤として、例えば、着色剤、酸化鉄、塩化ナトリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、およびその他の食用塩類、ビタミン、ミネラル、および香味料を含み得る。組成物中のこのような添加剤の量は、一般的には、最大5%(組成物の乾量基準)である。
【0098】
いくつかの実施形態では、イヌにおける甲状腺機能低下症の可能性を低減および/または治療するのに有用な組成物、食物、および食餌は、3つのタンパク質源(鶏肉、卵タンパク質、およびコーングルテンミール)、3つの炭水化物源(雑穀、酒米、およびひき割りエンバク)、ならびに特定の野菜(ニンジン、ほうれん草、およびトマト搾りかす)、ならびに特定の果実成分(柑橘類パルプ)を含む。いくつかの実施形態では、そのような組成物は、栄養的に完全で、かつバランスのとれた低アルギニン組成物であり、当該組成物は、いくつかの実施形態では1.04~1.84%、いくつかの実施形態では1.21%以下、およびいくつかの実施形態では1.11%以下の、アルギニンを含有する。
【0099】
いくつかの実施形態では、イヌにおける甲状腺機能低下症の可能性を低減および/または治療するのに有用な組成物、食物、および食餌は、タンパク質源、炭水化物源、植物源、果実源、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む。タンパク質源は、鶏肉、卵タンパク質、コーングルテンミール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、炭水化物源は、雑穀、酒米、ひき割りエンバク、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。野菜源は、ニンジン、ほうれん草、トマト搾りかす、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、果実源は、柑橘類パルプである。いくつかの実施形態では、そのような組成物は、栄養的に完全で、かつバランスのとれた低アルギニン組成物であり、当該組成物は、いくつかの実施形態では1.04~1.84%、いくつかの実施形態では1.21%以下、およびいくつかの実施形態では1.11%以下の、アルギニンを含有する。
【0100】
いくつかの実施形態では、組成物、食物、および食餌は、乾物ベースの組成物の総重量に基づいて5%~25%の量で鶏肉を含み、任意選択で、いくつかの実施形態では1.04~1.84%、いくつかの実施形態では1.21%以下、およびいくつかの実施形態では1.11%以下のアルギニンを含有する低アルギニン組成物であってもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、組成物、食物、および食餌は、乾物ベースの組成物の総重量に基づいて4%~15%の量で卵タンパク質を含み、任意選択で、いくつかの実施形態では1.04~1.84%、いくつかの実施形態では1.21%以下、およびいくつかの実施形態では1.11%以下のアルギニンを含有する低アルギニン組成物であってもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、組成物、食物、および食餌は、乾物ベースの組成物の総重量に基づいて6%~20%の量でコーングルテンミールを含み、任意選択で、いくつかの実施形態では1.04~1.84%、いくつかの実施形態では1.21%以下、およびいくつかの実施形態では1.11%以下のアルギニンを含有する低アルギニン組成物であってもよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、組成物、食物、および食餌は、乾物ベースの組成物の総重量に基づいて0.5%~2%の量で、ニンジン、ほうれん草、トマト搾りかす、およびそれらの組み合わせを含み、任意選択で、いくつかの実施形態では1.04~1.84%、いくつかの実施形態では1.21%以下、およびいくつかの実施形態では1.11%以下のアルギニンを含有する低アルギニン組成物であってもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、組成物、食物、および食餌は、乾物ベースの組成物の総重量に基づいて0.5%~2%の量で柑橘類パルプを含み、任意選択で、いくつかの実施形態では1.04~1.84%、いくつかの実施形態では1.21%以下、およびいくつかの実施形態では1.11%以下のアルギニンを含有する低アルギニン組成物であってもよい。
【0105】
特定の実施形態では、組成物は、乾物ベースの組成物の総重量に基づいて、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、22.5%、または25%の量で鶏肉を含み、任意選択で、いくつかの実施形態では、1.04~1.84%、いくつかの実施形態では、1.21%以下、およびいくつかの実施形態では、1.11%以下のアルギニンを含有する低アルギニン組成物であってもよい。これらの実施形態の特定の態様では、組成物は、エンドポイントとしてこれらの値のうちのいずれか2つによって定義される範囲内の鶏肉の乾燥重量を含み得る。
【0106】
特定の実施形態では、組成物は、乾物ベースの組成物の総重量に基づいて、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または15%の量で卵タンパク質を含み、任意選択で、いくつかの実施形態では、1.04~1.84%、いくつかの実施形態では、1.21%以下、およびいくつかの実施形態では、1.11%以下のアルギニンを含有する低アルギニン組成物であってもよい。これらの実施形態の特定の態様では、組成物は、エンドポイントとしてこれらの値のうちのいずれか2つによって定義される範囲内の卵タンパク質の乾燥重量を含み得る。
【0107】
特定の実施形態では、組成物は、乾物ベースの組成物の総重量に基づいて、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%の量でコーングルテンミールを含み、任意選択で、いくつかの実施形態では、1.04~1.84%、いくつかの実施形態では、1.21%以下、およびいくつかの実施形態では、1.11%以下のアルギニンを含有する低アルギニン組成物であってもよい。これらの実施形態の特定の態様では、組成物は、エンドポイントとしてこれらの値のうちのいずれか2つによって定義される範囲内のコーングルテンミールの乾燥重量を含み得る。
【0108】
特定の実施形態では、組成物は、乾物ベースの組成物の総重量に基づいて、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、または1.9%、または2.0%の量で野菜源を含み、任意選択で、いくつかの実施形態では、1.04~1.84%、いくつかの実施形態では、1.21%以下、およびいくつかの実施形態では、1.11%以下のアルギニンを含有する低アルギニン組成物であってもよい。これらの実施形態の特定の態様では、組成物は、エンドポイントとしてこれらの値のうちのいずれか2つによって定義される範囲内の野菜源の乾燥重量を含み得る。
【0109】
特定の実施形態では、組成物は、乾物ベースの組成物の総重量に基づいて、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、または1.9%、または2.0%の量で果実源を含み、任意選択で、いくつかの実施形態では、1.04~1.84%、いくつかの実施形態では、1.21%以下、およびいくつかの実施形態では、1.11%以下のアルギニンを含有する低アルギニン組成物であってもよい。これらの実施形態の特定の態様では、組成物は、エンドポイントとしてこれらの値のうちのいずれか2つによって定義される範囲内の柑橘類パルプの乾燥重量を含み得る。
【0110】
特定の実施形態では、組成物は、乾物ベースの組成物の総重量に基づいて、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%の量で、雑穀、酒米、ひき割りエンバク、およびそれらの組み合わせから選択される炭水化物を含み、任意選択で、いくつかの実施形態では、1.04~1.84%、いくつかの実施形態では、1.21%以下、およびいくつかの実施形態では、1.11%以下のアルギニンを含有する低アルギニン組成物であってもよい。これらの実施形態の特定の態様では、組成物は、エンドポイントとしてこれらの値のうちのいずれか2つによって定義される範囲内の炭水化物源の乾燥重量を含み得る。
【0111】
この実施形態のうちの別の態様では、食物は、雑穀、酒米、ひき割りエンバク、およびそれらの組み合わせから選択される、組成物の乾燥重量で5%~50%の炭水化物を含み、任意に、いくつかの実施形態では1.04~1.84%、いくつかの実施形態では1.21%以下、任意選択で、いくつかの実施形態では、1.04~1.84%、いくつかの実施形態では、1.21%以下、およびいくつかの実施形態では、1.11%以下のアルギニンを含有する低アルギニン組成物であってもよい。
【0112】
組成物の調製
【0113】
低アルギニン組成物は、イヌによる消費に適した食品として調製されてもよい。これらの食品は、任意の粘稠度または水分含量であってもよく、すなわち、組成物は、モイスト、セミモイスト、またはドライ食品であってもよい。「モイスト」食品は、一般に60%~90%以上の水分含量を有する食品である。「ドライ」食品は、一般に、3%~11%の水分含量を有する食物であり、小片またはキブルの形態で製造されることが多い。「セミモイスト」の食物は、一般的に25%~35%の水分含量を有する。食物はまた、例えば、柔らかい、噛みごたえのある肉のような粒子または破片、ならびに外側穀物成分またはコーティングおよび内側「クリーム」成分を有するキブルなどの、1つ以上の一貫性を有する成分を含んでもよい。
【0114】
低アルギニン食品は、当業者に公知の従来的な食物調製プロセスを使用して、缶詰または湿潤形態で調製されてもよい。通常、すり潰した動物タンパク質組織を、穀物、適切な炭水化物源、脂肪、油、およびバランス成分(ビタミンおよびミネラル混合物、無機塩、セルロース、ビートパルプ等を含む)等のその他の成分ならびに加工に充分な量の水と混合する。これらの成分は、成分のブレンド中に加熱を行うのに好適な容器中で混合する。例えば、直接の蒸気注入による、または熱交換器を備えた容器を使用することによる等の、任意の好適な方法を使用して、混合物の加熱を行うことができる。配合物のすべての成分の添加後、混合物を50°F~212°Fの温度に加熱する。この範囲外の温度を使用することができるが、他の加工助剤を使用しなと商業的に実用的でない場合がある。適切な温度まで加熱をすると、材料は通常、粘性液体の形態であり、缶に分注する。蓋を付け、容器を密閉する。次いで、密閉した缶を、内容物を殺菌するために設計した従来の装置の中に配置する。殺菌は通常、使用する温度、組成物の性質および関連する要因に依存して、適切な時間、約230℃を超える温度に加熱することにより達成される。本発明の組成物および食品はまた、それらの調製の前、最中、または後に、食物組成物に添加されてもよく、または食物組成物と組み合わされてもよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、食品は、当業者に公知の従来のプロセスを使用して、乾燥形態で調製されてもよい。通常、乾燥動物性タンパク質、植物性タンパク質、穀物等を含む乾燥成分を粉砕して、ともに混合する。脂肪、油、水、動物性タンパク質、水等を含む液体または湿潤成分を加え、乾燥物質と混合する。様々な成分を組み合わせるために使用される特定の配合、添加の順序、組み合わせ、および方法および機器は、当技術分野で公知のものから選択することができる。例えば、特定の実施形態では、結果として生じる混合物は、乾燥および湿潤成分の混合物が、高圧および高温で機械的作業に供され、小さな開口部または口径を押し通され、例えば、回転ナイフでキブルに切断される、押出成形プロセスを使用して形成される、キブルまたは類似の乾燥片に加工される。得られたキブルを乾燥させて、例えば、風味、脂肪、油類、粉末成分等を含む、1つ以上の局所コーティング剤で任意選択的に被覆する。キブルはまた、押出成形ではなくベーキング法を用いて生地より調製することができ、この方法では、生地を型に配置した後、乾式加熱プロセスを行う。
【0116】
組成物を調製する場合、任意の成分は、一般的に、配合の処理中、例えば、組成物のその他の成分を混合している間および/または混合した後に、組成物に組み込むことができる。これらの成分の組成物への分配は、従来の手段により達成することができる。特定の実施形態では、すり潰した動物および/または家禽のタンパク質性組織は、栄養バランス剤、無機塩を含む他の成分と混合され、加工に十分な水とともに、セルロース、ビートパルプ、充填剤等を含むその他の成分をさらに含み得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、組成物は、より噛みやすいように配合される。特定の実施形態では、組成物および食物は、ライフステージ、年齢、サイズ、体重、体組成、および品種など、イヌ間の特定の栄養の違いに対処するために配合される。
【0118】
低アルギニン組成物は、成熟した成体ネコの必要性を満たすために、栄養的に完全な食餌として配合される。栄養的に完全な食餌は、食餌に関して、健康なイヌの通常の健康を維持するのに十分な栄養素を含み得る食餌である。栄養的に完全なバランスのとれたドッグフード組成物は当業者によく知られている。例えば、栄養的に完全でバランスのとれた動物飼料組成物に好適な栄養素および成分などの物質、ならびにそれらの推奨量は、例えば、Official Publication of the Association of American Feed Control Officials,Inc.(AAFCO),Atlanta,Ga.(2012)に見つけることができる。
【0119】
組成物は、甲状腺機能低下症の発症リスクを低減させるために投与された場合、甲状腺機能低下症の発症リスクがあると特定されているイヌに、酸化(ペルオキシレドキシン)、ミネラル輸送(セルロプラスミン)、および免疫系(プロテアソーム)に関連するタンパク質のレベルの特異的改善をもたらし得る生物学的効果をもたらすことを含む。
【0120】
本明細書に記述されるすべての刊行物は、本発明に関連して使用される可能性のある、刊行物に報告されている材料および方法論を記載および開示する目的で、参照により組み込まれる。
【0121】
本発明が適用可能であるさらなる領域は、以下に提供される発明を実施するための形態から明らかになるであろう。発明を実施するための形態および特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているものの、例示の目的のみを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図していないと理解されるべきである。
【実施例】
【0122】
実施例1
【0123】
イヌゲノム全体にわたって約750,000個の遺伝子マーカーを含有するAffymetrix Canine High Density Genotype Arrayを使用して、約900匹のイヌのコホートを、遺伝子型決定した。全ゲノム関連研究を、甲状腺機能低下症と臨床的に診断された125匹のイヌ、および732匹の年齢が一致した対照に対して実施した。2つのSNP、すなわちAffx-206229307およびAffx-206560187は、塩基性関連試験においてゲノムワイド有意性を超えて、最大5000の並べ替えを使用した並べ替え検定に耐えた。集団構造を共変量として有するロジスティックモデルを使用した追加解析により、これらと同じ2つのSNPがゲノムワイド有意性を超えて特定された。
【0124】
実施例2
【0125】
イヌコホート
【0126】
本試験の対象は、1000匹のイヌコホートのサブセットであった。対象は、米国全土で約20の獣医クリニックによって特定されたクライアントが所有する動物であった。選択基準には、7歳以上かつ純血状態であることが含まれた。特定の品種は選択されなかった。コホートは、米国全土のイヌ品種の集団統計を大まかに表す100種を超える異なる品種から構成された。
【0127】
DNA抽出
【0128】
DNA試料を、DNA Genetek唾液採取キットを使用して82の症例および300の対照から採取した。収集スポンジを、イヌの口腔の頬と歯茎の間のポケットの中に30秒間入れて、唾液と細胞を吸収させ、それらを安定化溶解液に入れ、DNA抽出まで-80℃で保存した。溶解溶液を解凍し、Qiagen DNA抽出キットを製造業者の指示に従って使用してDNAを抽出した。
【0129】
遺伝子型決定
【0130】
およそ730,000のSNPで構成されるAffymetrix Axiom Canine HD遺伝子型アレイを使用して、ゲノムワイド遺伝子型決定を実施した。遺伝子型決定は、5%(--maf 0.05)超のマイナーアレル頻度の場合、Plink(https://www.cog-genomics.org/plink2)を使用してフィルタリングされ、遺伝子型決定コールの10%(--mind 0.1)超の欠落個体を外し、およびコールの10%(--geno 0.1)超の欠落遺伝子型を外した。157,498個のSNPがフィルタリングによって除去され、571,678個のSNPが下流解析のために残された。
【0131】
表現型解析
【0132】
コホート内の動物を、有資格の獣医師によって徹底的に調べた。クライアントとのインタビューおよび臨床検査に基づいて、甲状腺機能低下症の臨床徴候を有するイヌが特定され、そのように診断された。
【0133】
GWAS
【0134】
最初のパスとして、遺伝子型決定アレルと甲状腺機能低下症に罹患した個体との間で、塩基性関連試験が実行された。解析には、さらに有意性の階層として、解析中の各SNPの並び替え検定を含めた(plink--dog--bfile dup_Affy_HD--pheno affy_hd_covariant.txt--1--pheno-name Hypothyroidism--assoc--mperm 5000--allow-no-sex--maf 0.05--out Hypothyroid_mperm)。2つのSNPのみが、ゲノムワイド有意性および並び替え試験の両方にパスした。
【0135】
SNPのAffx-206229307およびAffx-206560187は、TA/CGの段階的ハプロタイプと連鎖不平衡(r2=0.99 D’=1)にある。TAハプロタイプのオッズ比は3より大きく、罹患集団および非罹患集団におけるマイナーアレルの頻度に基づいており、リスク比は2.63である。
【0136】
第2のゲノムワイド関連解析は、集団構造を考慮に入れるために、コホートのPCA解析からの最初の2つの固有ベクトルを用いるロジスティック回帰モデルを使用して行われた。LD(r
2>0.5)のSNPに対してはすべての遺伝子型が取り除かれ、Golden Helix、Bolder COからのSVSソフトウェアを使用して、主成分分析が実行された。最初の2つの固有ベクトルを
図1にプロットして、集団構造を示す。(plink--dog--bfile dup_Affy_HD--pheno affy_hd_covariant.txt--1--pheno-name Hypothyroidism--logistic--allow-no-sex--covar affy_hd_covariant.txt--covar-number 1,2--maf 0.05--out~/JeffWork/Affy_genotypes/Targets/Hypo_log_covar).このモデルを使用して、ARG1遺伝子の2つのSNPは、ゲノムワイドの有意性をわずかに下回るものの、依然として有意である(表2)。
【0137】
【表2】
CHR 染色体
SNP SNP ID
BP 染色体の位置
A1 マイナーアレル
F_A 罹患における頻度
F_U 非罹患における頻度
A2 メジャーアレル
CHISQ カイ二乗値
P p値
OR オッズ比
【0138】
【表3】
CHR 染色体
SNP SNP ID
EMP1 並べ替えp値
EMP2 調整されたp値
【0139】
【表4】
CHR 染色体
SNP SNP ID
BP 染色体の位置
A1 マイナーアレル
TEST 相加アレルモデル
OR 回帰傾きに基づくオッズ比
P p値
【0140】
実施例3
【0141】
循環アルギニンおよびオルニチン濃度を変更する食物の能力を評価するために実施された研究では、健康な成犬に、増加したアルギニン食物を与えた(1.11%対1.21%)。より低アルギニン食物は、循環アルギニン濃度の有意な低減(より高い食物の0.66)および循環シトルリン濃度の有意な低減(より高アルギニン食物の場合0.34)をもたらした。データは、1.21パーセント未満のアルギニン、好ましくは1.11以下の食物が、循環アルギニン濃度および循環シトルリン濃度の両方を有意に低減させるのに効果的であることを示す。
【0142】
実施例4
【0143】
唾液試料はイヌから得られる。試料は、採取されたものとして別の場所の研究室に出荷されてもよく、部分的に処理され、その後、別の場所の検査室に出荷されるか、または研究室および採取の場所で完全に処理および分析されてもよい。試料が、採取されたものとして別の場所の研究室に出荷されるか、部分的に処理され、その後、別の場所の研究室に出荷される場合、研究室によって試料から収集された一部またはすべてのデータが、採取場所および/または獣医師および/またはイヌの所有者もしくは責任者に送られる場合がある。唾液サンプルが得られた後、分析のために処理し、Affx-206229307のマイナーアレルの1コピーもしくは2コピー、および/またはAffx-206560187のマイナーアレルの1コピーもしくは2コピーの存在について評価してもよい。Affx-206229307のマイナーアレルを1コピーもしくは2コピー、および/またはAffx-206560187のマイナーアレルを1コピーもしくは2コピーが存在するイヌは、甲状腺機能低下症を発症する可能性が高いと考えられる。
【0144】
実施例5
【0145】
PERFORMAgene PG-100経口採取キットを使用して、イヌから試料を採取する。
【0146】
その際、動物は、唾液採取前に30分間食べる、または10分間は飲んではならず、採取を行う個人は、スポンジで動物の歯またはほおを擦り取ることはできず、また、動物にそのスポンジを咀嚼させたり噛ませたりしてはならない。
【0147】
PERFORMAgene PG-100経口採取キットの一部として提供される採取チューブは、DNA試料を保存する液体を含み、試料を分析するためにラボに必要である。試料採取前にキャップを取り外すべきではない。
【0148】
採取プロトコルの第1のステップでは、スポンジは動物の口の頬嚢に入れる。唾液は、スポンジを動かし、唾液が自然に溜まる場所(頬嚢および舌下)をふき取ることによって、30秒間採取される。6カ月以上経過した動物については、中程度の拘束が必要となる場合がある。
【0149】
次に、チューブを真っ直ぐに保持し、チューブからのキャップはねじ止めされていない。キャップを上下逆にし、口腔スワブをチューブ内に置く。キャップは、輸送中に液体試料が漏れるのを防ぐため、しっかりとねじ止めされている。チューブを反転させ、例えば10回など、何度も激しく振って、試料を完全に混合する。
【0150】
永久マーカーを使用して、チューブラベル上の空白に動物識別番号を明確に記載してもよい。
【0151】
PG-100採取キットを用いて、Performagene chemistryで採取され、保存された、Performagene(商標)試料の0.5mLのアリコートからのDNAの手動精製のための段階的な研究室プロトコルは、以下の通りである。手動精製に必要な試薬は、PG-AC1試薬パッケージまたはPG-AC4試薬パッケージで入手可能である。
【0152】
DNA試料が採取され、そして、Performagene溶液と混合されると、DNAは直ちに安定化される。Performagene試料は、採取時から1年間、室温で安定である。Performagene試料は、-15℃~-20℃で無期限に保存することができ、DNAを劣化させることなく、複数回の凍結融解サイクルを実施することができる。
【0153】
精製プロセスでは、以下の装置および試薬を使用する:15,000×gで実行することができる微量遠心機、50℃の空気または水インキュベーター、室温でのエタノール(95%~100%)、DNA緩衝液:TE(10mMのトリス-HCl、1mMのEDTA、pH8.0)または類似の溶液、任意のグリコーゲン(20mg/mL)(例えば、Invitrogen Cat.番号10814-010)、室温でのエタノール(70%)および5MのNaCl溶液。
【0154】
最初のステップでは、試料を5秒間激しく振盪することによって混合する。これは、粘性試料が、Performagene溶液と適切に混合することを確実にするためである。
【0155】
試料を、50℃の空気インキュベーター中で最低2時間、または50℃の水インキュベーター中で最低1時間インキュベートする。Performagene中のDNAは、インキュベーションステップを行わなくても室温で安定している。この熱処理ステップは、DNAが適切に放出され、ヌクレアーゼが永久的に不活化されることを確実にするために不可欠である。このインキュベーションステップは、試料が動物から採取された後、および精製される前に、任意の時点で実施され得る。試料全体のインキュベーションが推奨される。試料は、より好都合であれば、50℃で一晩インキュベートされ得る。温度平衡が水インキュベーターよりも遅いため、空気インキュベーターではより長い時間が必要となる。
【0156】
任意選択で、採取スポンジを除去してもよい。キャップが取り除かれ、採取用スポンジが管の内側に押し付けられ、可能な限り多くの試料が抽出される。スポンジおよびキャップは廃棄される。スポンジの除去は、ワークフローの好みによって決定される。
【0157】
次に、混合した500μLのPerformagene試料が1.5mLの微量遠心機チューブに移される。Performagene試料の残りは、室温または凍結(-15℃~-20℃)で保管することができる。次いで、20μL(1/25体積)のPG-L2P精製器を微量遠心チューブに添加し、数秒間ボルテックスすることにより混合する。不純物および阻害剤が沈殿すると、試料は濁る。
【0158】
試料を、氷上で10分間インキュベートし(室温インキュベーションは置換可能であるが、不純物除去にはわずかに効果が少ない)、その後、15,000×gで室温で5分間遠心分離する。より長時間の遠心分離(最大15分)は、最終DNA溶液の濁り(高A320)を減少させるのに有益であり得る。透明な上清をピペットチップで新鮮な微量遠心チューブに移し、濁り不純物を含有するペレットを廃棄する。500μLの上清に、25μL(1/20体積)の5MのNaClを添加し、続いて混合する。NaClの添加は、DNAの効率的な回収を確保するために必要である。500μLの上清に、600μLの室温95%~100%のエタノールを加え、その後、反転による穏やかな混合を10回行う。エタノールと混合中、DNAが沈殿する。DNAは、試料中のDNAの量に応じて、DNA繊維の塊として、または微細な沈殿物として現れることがある。塊が見られなくても、次のステップに注意深く従うことによってDNAを回収する。
【0159】
試料を室温で10分間放置し、DNAを完全に沈殿させる。次いで、チューブを、既知の配向で遠心分離器に入れ(DNAペレットは遠心分離後には見えない場合がある)、>15,000×gで室温で2分間遠心分離する。例えば、各チューブは、キャップのヒンジ部分がローターの中心から離れて指し示すように、微量遠心機内に配置されてもよい。遠心分離後、ペレットの位置を(小さすぎて容易に見えない場合でも)確認することができ、ヒンジの下のチューブの先端にある。
【0160】
上清をピペットチップで除去し、廃棄する。ペレットはDNAを含有する。ペレットが上側の壁上にあるようにチューブを回転させると、ピペットチップを下側の壁に沿って安全に移動させ、上清をすべて除去することができる。上清は不純物を含有してもよく、可能な限り完全に除去されるべきである。ペレットの過剰乾燥は、DNAの溶解をより困難にする可能性がある。DNAは、最初に250μLの70%エタノールを添加することによって洗浄され、次いで室温で1分間放置される。エタノールは、ペレットを妨害することなくピペットチップで除去される。70%エタノールの洗浄は、残留阻害剤を除去するのに役立つ。しかし、エタノールを完全に除去することは、下流の適用の間の阻害を防ぐために不可欠である。したがって、チューブを6秒間遠心分離して、任意の残りのエタノールをプールし、ピペットチップで除去する。
【0161】
100μLのDNA緩衝液(例えば、TE緩衝液)をチューブに添加して、DNAペレットを溶解する。少なくとも5秒間ボルテックスすることは、溶解プロセスを助ける。DNAの完全な再水和を確保するため、室温に一晩置いておく。DNAを定量し、下流の適用で使用することができる。
【0162】
DNA試料中の二本鎖DNA(dsDNA)の量を定量するために、蛍光染料を使用するアッセイは、260nmでの吸光度よりも特異的である。RNAを汚染することによって干渉が少ないため、蛍光法によってDNAを定量化するために、PicoGreen(登録商標)またはSYBR(登録商標)Green Iなどの蛍光染料を使用してdsDNAを定量化してもよい。あるいは、InvitrogenのQuant-iT(商標)PicoGreen dsDNA Assay Kit(カタログ番号Q-33130)等の市販のキットを使用してもよい。いずれのプロトコルでも、精製DNAは、好ましくは、TE溶液で1:50に希釈され、定量アッセイでは5μLが使用される。
【0163】
あるいは、DNAは、吸光度によって定量化されてもよく、その場合、精製された試料は、最初にRNaseで処理されて、汚染RNAを消化し、次いでDNAのエタノール沈殿によってRNA断片を除去することが好ましい。Performagene試料由来のDNAは、通常、血液試料中に見られるRNAよりも明らかに多いRNAを含有する。アルコール沈殿DNAが完全に溶解されていることを確認してから、吸光度を読み取る。260nmでの1.0の吸光度は、純粋なdsDNAの50ng/μL(50μg/mL)の濃度に相当する。過度に大量の試料の使用を避けるために、100μL以下の容量の試料を読み取ることができる分光光度計キュベットを使用する必要がある。260nmでの吸光度値は、0.1~1.5であるべきである。値が低いほど信頼性に欠ける場合がある。
【0164】
精製されたRNase処理されたDNAの10μLアリコートを、90μLのTE(1/10希釈)で希釈し、穏やかにピペッティングアップダウンすることによって混合する。気泡がなくなるのを待つ。TEは、参照(空白)セルで使用される。吸光度は、320nm、280nm、および260nmで測定される。補正されたA280およびA260値は、A280およびA260値から320nm(A320)での吸光度を差し引くことによって計算される。ng/μLでのDNA濃度=補正A260×10(希釈係数)×50(換算係数)。A260/A280比:補正されたA260を補正されたA280で割る。
【0165】
実施例6
【0166】
給餌前、対照食物、および試験食物(甲状腺機能低下症の発症リスクがあると特定されているイヌにおける甲状腺機能低下症のリスクを低減させるための食物組成物)
【0167】
イヌに投与される食物には、試験開始前の動物に提供された給餌前組成物、ならびに対照食物、および甲状腺機能低下症の発症リスクがあると特定されたイヌにおける甲状腺機能低下症のリスクを低減するための例示的試験食物が含まれる。これらの食物中の水分、灰分、タンパク質、粗脂肪、繊維、および総脂肪酸のレベルを、以下の表5に提示する。
【0168】
【表5】
*炭水化物(窒素を含まない抽出物)=100%-(%タンパク質+%脂肪+%繊維+%灰分+%水分)
【0169】
試験食物は、鶏肉、卵タンパク質、およびコーングルテンミールを含むタンパク質源、雑穀、酒米、およびひき割りエンバクなどの炭水化物源、ならびにニンジン、ほうれん草、およびトマト搾りかす、ならびに柑橘類パルプなどの野菜源を配合している。全体的な組成において類似しているが、対照食物は、必ずしも、鶏肉、卵タンパク質、コーングルテンミール、雑穀、酒米、ひき割りエンバク、ニンジン、ほうれん草、トマト搾りかす、および柑橘類パルプの組み合わせを含むわけではなく、それぞれ、本明細書に記載される濃度内ではるかに少ない。すなわち、対照食物および試験食物は両方とも、これらの組成物が与えられるイヌの栄養要件を満たすように配合されているが、これらの食餌を配合するために使用される成分の供給源は互いに異なっている。
【0170】
実施例7
【0171】
酸化ストレスに対する耐性の改善
【0172】
表5に記載される試験食物をイヌに与えると、各々が酸化ストレスの改善に関連する、3つの特異的タンパク質、ペルオキシレドキシン-1、セルロプラスミン、およびプロテアソーム-1のレベルが改善する。セルロプラスミン、ペルオキシレドキシン-1、およびプロテアソームの各々のレベルは、ベースラインデータならびに対照食物を与えたイヌで得られたデータと比較して著しく上昇した。これらの酵素の各々は、酸化ストレスに対する身体の防御に関与するため、試験食物の投与は、甲状腺機能低下症の発症リスクがあると特定されているイヌにおける甲状腺機能低下症のリスクを低減させるのに有用であり得る。各々のレベルの決定は、標準的な実験用試薬、アッセイ、およびプロトコルを使用して行うことができる。
【0173】
実施例8
【0174】
表6は、1.84%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.21%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.11%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.04%未満で存在する総アルギニン、ならびにいくつかの実施形態では1.04~1.84%で存在する総アルギニン、を含む組成の割合(成分組成の乾燥重量に対する%)を有する特定の実施形態を記載する。
【0175】
【0176】
実施例9
【0177】
表7は、1.84%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.21%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.11%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.04%未満で存在する総アルギニン、ならびにいくつかの実施形態では1.04~1.84%で存在する総アルギニン、を含む組成の割合(成分組成の乾燥重量に対する%)を有する特定の実施形態を記載する。
【0178】
【0179】
実施例10
【0180】
表8は、1.84%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.21%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.11%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.04%未満で存在する総アルギニン、ならびにいくつかの実施形態では1.04~1.84%で存在する総アルギニン、を含む組成の割合(成分組成の乾燥重量に対する%)を有する特定の実施形態を記載する。
【表8】
【0181】
実施例11
【0182】
表8は、1.84%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.21%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.11%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.04%未満で存在する総アルギニン、ならびにいくつかの実施形態では1.04~1.84%で存在する総アルギニン、を含む組成の割合(成分組成の乾燥重量に対する%)を有する特定の実施形態を記載する。
【表9】
【0183】
実施例12
【0184】
表10は、1.84%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.21%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.11%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.04%未満で存在する総アルギニン、ならびにいくつかの実施形態では1.04~1.84%で存在する総アルギニン、を含む組成の割合(成分組成の乾燥重量に対する%)を有する特定の実施形態を記載する。
【表10】
【0185】
実施例13
【0186】
表11は、1.84%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.21%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.11%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.04%未満で存在する総アルギニン、ならびにいくつかの実施形態では1.04~1.84%で存在する総アルギニン、を含む組成の割合(成分組成の乾燥重量に対する%)を有する特定の実施形態を記載する。
【表11】
【0187】
実施例14
【0188】
表12は、1.84%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.21%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.11%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.04%未満で存在する総アルギニン、ならびにいくつかの実施形態では1.04~1.84%で存在する総アルギニン、を含む組成の割合(成分組成の乾燥重量に対する%)を有する特定の実施形態を記載する。
【表12】
【0189】
実施例15
【0190】
表13は、1.84%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.21%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.11%以下で存在する総アルギニン、およびいくつかの実施形態では1.04%未満で存在する総アルギニン、ならびにいくつかの実施形態では1.04~1.84%で存在する総アルギニン、を含む組成の割合(成分組成の乾燥重量に対する%)を有する特定の実施形態を記載する。
【表13】
【表14】
【配列表】