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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 644C
H01L21/304 643A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023006892
(22)【出願日】2023-01-19
(65)【公開番号】P2024102771
(43)【公開日】2024-07-31
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】岡田 吉文
(72)【発明者】
【氏名】沖田 展彬
(72)【発明者】
【氏名】中村 一樹
【審査官】金田 孝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-189627(JP,A)
【文献】特開2021-052165(JP,A)
【文献】特開2015-023248(JP,A)
【文献】特開2008-084911(JP,A)
【文献】特開2003-051434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の高さ位置で基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、
前記第1の高さ位置よりも下方の第2の高さ位置で基板を保持可能に構成された第2の基板保持部と、
前記第1の基板保持部により保持された基板に第1の処理を行うことが可能かつ前記第2の基板保持部により保持された基板に第2の処理を行うことが可能に構成された処理部と、
前記第1の基板保持部から前記第2の基板保持部に基板を渡すために、基板を前記第1の高さ位置から前記第2の高さ位置に下降させる基板下降動作を行う基板移動部と、
制御部とを備え、
前記第2の処理は、処理液を用いた処理を含み、
前記処理部は、平面視で前記第2の基板保持部を取り囲むように形成されるとともに、前記第2の高さ位置に対応する上カップ位置と、前記上カップ位置よりも下方の下カップ位置との間で昇降可能に設けられた処理カップと、
前記処理カップを昇降させるカップ駆動部とを含み、
前記制御部は、前記基板移動部および前記カップ駆動部を制御することにより、前記基板移動部による前記基板下降動作、および前記処理カップを前記下カップ位置から前記上カップ位置に向かって上昇させるカップ上昇動作を、前記基板下降動作の期間および前記カップ上昇動作の期間の少なくとも一部が重複するように行わせ
前記処理部は、
基板の下面に接触することにより前記下面を洗浄する下面ブラシと、
前記下面ブラシを、前記第2の基板保持部により保持された基板の前記下面に接触する下面ブラシ処理位置と前記下面ブラシ処理位置から離間した下面ブラシ待機位置との間で移動させることが可能に構成された下面ブラシ移動部と、
基板の上面に前記処理液を含む流体を吐出する流体ノズルと、
前記流体ノズルを、前記第2の基板保持部により保持された基板の上方のノズル処理位置と前記第2の基板保持部により保持された基板から離間したノズル待機位置との間で移動させることが可能に構成されたノズル移動部と、
基板の外周端部に接触することにより前記外周端部を洗浄する端部ブラシと、
前記端部ブラシを、前記第2の基板保持部により保持された基板の前記外周端部に接触する端部ブラシ処理位置と前記第2の基板保持部により保持された基板から離間した端部ブラシ待機位置との間で移動させることが可能に構成された端部ブラシ移動部とを含み、
前記第2の処理は、前記処理液を用いた処理として前記下面ブラシによる基板の前記下面の洗浄処理、前記流体ノズルによる基板の前記上面の洗浄処理、および前記端部ブラシによる基板の前記外周端部の洗浄処理を含み、
前記制御部は、前記基板移動部および前記カップ駆動部に加えて、前記下面ブラシ移動部、前記ノズル移動部および前記端部ブラシ移動部を制御することにより、前記基板下降動作、前記カップ上昇動作、前記下面ブラシを前記下面ブラシ待機位置から前記下面ブラシ処理位置に移動させる下面ブラシ準備動作、前記流体ノズルを前記ノズル待機位置から前記ノズル処理位置に移動させるノズル準備動作、および前記端部ブラシを前記端部ブラシ待機位置から前記端部ブラシ処理位置に移動させる端部ブラシ準備動作を、前記基板下降動作の期間の少なくとも一部、前記カップ上昇動作の期間の少なくとも一部、前記下面ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部、前記ノズル準備動作の期間の少なくとも一部、および前記端部ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部のうち3以上の期間が互いに重複するように行わせる、基板処理装置。
【請求項2】
基板処理方法であって、
第1の高さ位置で第1の基板保持部により保持された基板に第1の処理を行うステップと、
前記第1の高さ位置よりも下方の第2の高さ位置で第2の基板保持部により保持された基板に処理液を用いた第2の処理を行うステップと、
前記第1の処理後前記第2の処理前に、前記第1の基板保持部から前記第2の基板保持部に基板を渡すために、基板を前記第1の高さ位置から前記第2の高さ位置に下降させる基板下降動作を行うステップと、
平面視で前記第2の基板保持部を取り囲むように形成されるとともに昇降可能に設けられた処理カップを前記第2の高さ位置に対応する上カップ位置に配置することにより、前記第2の処理で用いられる処理液を受け止めるステップと、
前記処理カップを、前記上カップ位置と前記上カップ位置よりも下方の下カップ位置との間で昇降させるステップとを含み、
前記第1の処理後前記第2の処理前に、前記基板下降動作の期間および前記処理カップを前記下カップ位置から前記上カップ位置に上昇させるカップ上昇動作の期間の少なくとも一部が重複するように、前記基板下降動作を行うステップと前記処理カップを昇降させるステップとが開始され
処理液を用いた前記第2の処理は、
前記第1の高さ位置よりも下方の前記第2の高さ位置で前記第2の基板保持部により保持された基板の下面に下面ブラシを接触させて基板の前記下面を洗浄することと、
前記第1の高さ位置よりも下方の前記第2の高さ位置で前記第2の基板保持部により保持された基板の上面に流体ノズルから処理液を含む流体を吐出して基板の前記上面を洗浄することと、
前記第1の高さ位置よりも下方の前記第2の高さ位置で前記第2の基板保持部により保持された基板の外周端部に端部ブラシを接触させて基板の前記外周端部を洗浄することとを含み、
前記基板処理方法は、
前記下面ブラシを、前記第2の基板保持部により保持された基板の前記下面に接触する下面ブラシ処理位置と前記下面ブラシ処理位置から離間した下面ブラシ待機位置との間で移動させるステップと、
前記流体ノズルを、前記第2の基板保持部により保持された基板の上方のノズル処理位置と前記第2の基板保持部により保持された基板から側方に離間したノズル待機位置との間で移動させるステップと、
前記端部ブラシを、前記第2の基板保持部により保持された基板の前記外周端部に接触する端部ブラシ処理位置と前記第2の基板保持部により保持された基板から側方に離間した端部ブラシ待機位置との間で移動させるステップとをさらに含み、
前記第1の処理後前記第2の処理前に、前記基板下降動作の期間の少なくとも一部、前記カップ上昇動作の期間の少なくとも一部、前記下面ブラシを前記下面ブラシ待機位置から前記下面ブラシ処理位置に移動させる下面ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部、前記流体ノズルを前記ノズル待機位置から前記ノズル処理位置に移動させるノズル準備動作の期間の少なくとも一部、および前記端部ブラシを前記端部ブラシ待機位置から前記端部ブラシ処理位置に移動させる端部ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部のうち3以上の期間が互いに重複するように、前記基板下降動作を行うステップ、前記処理液を受け止めるステップ、前記下面ブラシを移動させるステップ、前記流体ノズルを移動させるステップ、および前記端部ブラシを移動させるステップが開始される、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を洗浄する基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の各種基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。基板を洗浄するために、基板洗浄装置が用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された基板洗浄装置は、ウエハの裏面周縁部を保持する2つの吸着パッド、ウエハの裏面中央部を保持するスピンチャック、およびウエハの裏面を洗浄するブラシを備える。2つの吸着パッドがウエハを保持するとともに横方向に移動する。この状態で、ウエハの裏面中央部がブラシで洗浄される。その後、スピンチャックが吸着パッドからウエハを受け取り、スピンチャックがウエハの裏面中央部を保持しつつ回転する。この状態で、ウエハの裏面周縁部がブラシで洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5904169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の基板洗浄装置においては、多数の基板が順次搬入および搬出されることにより、各基板に洗浄処理が行われる。そのため、一の基板の処理に要する期間を短くすることができれば、多数の基板について処理効率を大きく向上させることができる。したがって、基板洗浄装置においては、基板処理のスループットのさらなる向上が求められる。
【0006】
本発明の目的は、基板処理のスループットを向上させることが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に従う基板処理装置は、第1の高さ位置で基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、前記第1の高さ位置よりも下方の第2の高さ位置で基板を保持可能に構成された第2の基板保持部と、前記第1の基板保持部により保持された基板に第1の処理を行うことが可能かつ前記第2の基板保持部により保持された基板に第2の処理を行うことが可能に構成された処理部と、前記第1の基板保持部から前記第2の基板保持部に基板を渡すために、基板を前記第1の高さ位置から前記第2の高さ位置に下降させる基板下降動作を行う基板移動部と、制御部とを備え、前記第2の処理は、処理液を用いた処理を含み、前記処理部は、平面視で前記第2の基板保持部を取り囲むように形成されるとともに、前記第2の高さ位置に対応する上カップ位置と、前記上カップ位置よりも下方の下カップ位置との間で昇降可能に設けられた処理カップと、前記処理カップを昇降させるカップ駆動部とを含み、前記制御部は、前記基板移動部および前記カップ駆動部を制御することにより、前記基板移動部による前記基板下降動作、および前記処理カップを前記下カップ位置から前記上カップ位置に向かって上昇させるカップ上昇動作を、前記基板下降動作の期間および前記カップ上昇動作の期間の少なくとも一部が重複するように行わせ、前記処理部は、基板の下面に接触することにより前記下面を洗浄する下面ブラシと、前記下面ブラシを、前記第2の基板保持部により保持された基板の前記下面に接触する下面ブラシ処理位置と前記下面ブラシ処理位置から離間した下面ブラシ待機位置との間で移動させることが可能に構成された下面ブラシ移動部と、基板の上面に前記処理液を含む流体を吐出する流体ノズルと、前記流体ノズルを、前記第2の基板保持部により保持された基板の上方のノズル処理位置と前記第2の基板保持部により保持された基板から離間したノズル待機位置との間で移動させることが可能に構成されたノズル移動部と、基板の外周端部に接触することにより前記外周端部を洗浄する端部ブラシと、前記端部ブラシを、前記第2の基板保持部により保持された基板の前記外周端部に接触する端部ブラシ処理位置と前記第2の基板保持部により保持された基板から離間した端部ブラシ待機位置との間で移動させることが可能に構成された端部ブラシ移動部とを含み、前記第2の処理は、前記処理液を用いた処理として前記下面ブラシによる基板の前記下面の洗浄処理、前記流体ノズルによる基板の前記上面の洗浄処理、および前記端部ブラシによる基板の前記外周端部の洗浄処理を含み、前記制御部は、前記基板移動部および前記カップ駆動部に加えて、前記下面ブラシ移動部、前記ノズル移動部および前記端部ブラシ移動部を制御することにより、前記基板下降動作、前記カップ上昇動作、前記下面ブラシを前記下面ブラシ待機位置から前記下面ブラシ処理位置に移動させる下面ブラシ準備動作、前記流体ノズルを前記ノズル待機位置から前記ノズル処理位置に移動させるノズル準備動作、および前記端部ブラシを前記端部ブラシ待機位置から前記端部ブラシ処理位置に移動させる端部ブラシ準備動作を、前記基板下降動作の期間の少なくとも一部、前記カップ上昇動作の期間の少なくとも一部、前記下面ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部、前記ノズル準備動作の期間の少なくとも一部、および前記端部ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部のうち3以上の期間が互いに重複するように行わせる。
【0011】
本発明のさらに他の局面に従う基板処理方法は、基板処理方法であって、第1の高さ位置で第1の基板保持部により保持された基板に第1の処理を行うステップと、前記第1の高さ位置よりも下方の第2の高さ位置で第2の基板保持部により保持された基板に処理液を用いた第2の処理を行うステップと、前記第1の処理後前記第2の処理前に、前記第1の基板保持部から前記第2の基板保持部に基板を渡すために、基板を前記第1の高さ位置から前記第2の高さ位置に下降させる基板下降動作を行うステップと、平面視で前記第2の基板保持部を取り囲むように形成されるとともに昇降可能に設けられた処理カップを前記第2の高さ位置に対応する上カップ位置に配置することにより、前記第2の処理で用いられる処理液を受け止めるステップと、前記処理カップを、前記上カップ位置と前記上カップ位置よりも下方の下カップ位置との間で昇降させるステップとを含み、前記第1の処理後前記第2の処理前に、前記基板下降動作の期間および前記処理カップを前記下カップ位置から前記上カップ位置に上昇させるカップ上昇動作の期間の少なくとも一部が重複するように、前記基板下降動作を行うステップと前記処理カップを昇降させるステップとが開始され、処理液を用いた前記第2の処理は、前記第1の高さ位置よりも下方の前記第2の高さ位置で前記第2の基板保持部により保持された基板の下面に下面ブラシを接触させて基板の前記下面を洗浄することと、前記第1の高さ位置よりも下方の前記第2の高さ位置で前記第2の基板保持部により保持された基板の上面に流体ノズルから処理液を含む流体を吐出して基板の前記上面を洗浄することと、前記第1の高さ位置よりも下方の前記第2の高さ位置で前記第2の基板保持部により保持された基板の外周端部に端部ブラシを接触させて基板の前記外周端部を洗浄することとを含み、前記基板処理方法は、前記下面ブラシを、前記第2の基板保持部により保持された基板の前記下面に接触する下面ブラシ処理位置と前記下面ブラシ処理位置から離間した下面ブラシ待機位置との間で移動させるステップと、前記流体ノズルを、前記第2の基板保持部により保持された基板の上方のノズル処理位置と前記第2の基板保持部により保持された基板から側方に離間したノズル待機位置との間で移動させるステップと、前記端部ブラシを、前記第2の基板保持部により保持された基板の前記外周端部に接触する端部ブラシ処理位置と前記第2の基板保持部により保持された基板から側方に離間した端部ブラシ待機位置との間で移動させるステップとをさらに含み、前記第1の処理後前記第2の処理前に、前記基板下降動作の期間の少なくとも一部、前記カップ上昇動作の期間の少なくとも一部、前記下面ブラシを前記下面ブラシ待機位置から前記下面ブラシ処理位置に移動させる下面ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部、前記流体ノズルを前記ノズル待機位置から前記ノズル処理位置に移動させるノズル準備動作の期間の少なくとも一部、および前記端部ブラシを前記端部ブラシ待機位置から前記端部ブラシ処理位置に移動させる端部ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部のうち3以上の期間が互いに重複するように、前記基板下降動作を行うステップ、前記処理液を受け止めるステップ、前記下面ブラシを移動させるステップ、前記流体ノズルを移動させるステップ、および前記端部ブラシを移動させるステップが開始される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板処理のスループットを向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的平面図である。
図2図1の基板洗浄装置の内部構成を示す外観斜視図である。
図3図1および図2の下チャックの外観斜視図である。
図4図1および図2の上チャックの外観斜視図である。
図5図1の基板洗浄装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
図6図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図7図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図8図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図9図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図10図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図11図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図12図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図13図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図14図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図15図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図16図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図17図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図18図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図19図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図20図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図21】他の実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的平面図である。
図22図21の基板洗浄装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
図23図22のリンス制御部によるリンス駆動部およびリンス液供給部の一制御例を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について図面を用いて説明する。本実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法は、基板洗浄装置および基板洗浄方法である。以下の説明において、基板とは、半導体基板(ウエハ)、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。また、本実施の形態では、基板の上面が回路形成面(表面)であり、基板の下面が回路形成面と反対側の面(裏面)である。さらに、本実施の形態で用いられる基板は、少なくとも一部が円形の外周部を有する。例えば、本実施の形態で用いられる基板は、ノッチを除いて円形状の外周端部を有する。
【0018】
1.基板洗浄装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的平面図である。図2は、図1の基板洗浄装置1の内部構成を示す外観斜視図である。本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を定義する。図1および図2以降の所定の図では、X方向、Y方向およびZ方向が適宜矢印で示される。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向(上下方向)に相当する。
【0019】
図1に示すように、基板洗浄装置1は、上側保持装置10A,10B、下側保持装置20、台座装置30、受渡装置40、下面洗浄装置50、カップ装置60、上面洗浄装置70、端部洗浄装置80および開閉装置90を備える。これらの構成要素は、ユニット筐体2内に設けられる。図2では、ユニット筐体2が点線で示される。
【0020】
ユニット筐体2は、矩形の底面部2aと、底面部2aの4辺から上方に延びる4つの側壁部2b,2c,2d,2eとを有する。側壁部2b,2cが互いに対向し、側壁部2d,2eが互いに対向する。側壁部2bの中央部には、矩形の開口が形成されている。この開口は、基板Wの搬入搬出口2xであり、ユニット筐体2に対する基板Wの搬入時および搬出時に用いられる。図2では、搬入搬出口2xが太い点線で示される。以下の説明においては、Y方向のうちユニット筐体2の内部から搬入搬出口2xを通してユニット筐体2の外方に向く方向(側壁部2cから側壁部2bを向く方向)を前方と呼び、その逆の方向(側壁部2bから側壁部2cを向く方向)を後方と呼ぶ。
【0021】
側壁部2bにおける搬入搬出口2xの形成部分およびその近傍の領域には、開閉装置90が設けられている。開閉装置90は、搬入搬出口2xを開閉可能に構成されたシャッタ91と、シャッタ91を駆動するシャッタ駆動部92とを含む。図2では、シャッタ91が太い二点鎖線で示される。シャッタ駆動部92は、基板洗浄装置1に対する基板Wの搬入時および搬出時に搬入搬出口2xを開放するようにシャッタ91を駆動する。これにより、シャッタ91は開状態となる。また、シャッタ駆動部92は、基板洗浄装置1における基板Wの洗浄時に搬入搬出口2xを閉塞するようにシャッタ91を駆動する。これにより、シャッタ91は閉状態となる。
【0022】
底面部2aの中央部には、台座装置30が設けられている。台座装置30は、リニアガイド31、可動台座32および台座駆動部33を含む。リニアガイド31は、2本のレールを含み、平面視で側壁部2bの近傍から側壁部2cの近傍までY方向に延びるように設けられている。可動台座32は、リニアガイド31の2本のレール上でY方向に移動可能に設けられている。台座駆動部33は、例えばパルスモータを含み、リニアガイド31上で可動台座32をY方向に移動させる。
【0023】
可動台座32上には、下側保持装置20および下面洗浄装置50がY方向に並ぶように設けられている。下側保持装置20は、吸着保持部21および吸着保持駆動部22を含む。吸着保持部21は、いわゆるスピンチャックであり、基板Wの下面を吸着保持可能な円形の吸着面を有し、上下方向に延びる軸(Z方向の軸)の周りで回転可能に構成される。以下の説明では、吸着保持部21により基板Wが吸着保持される際に、基板Wの下面のうち吸着保持部21の吸着面が吸着すべき領域を下面中央領域と呼ぶ。一方、基板Wの下面のうち下面中央領域を取り囲む領域を下面外側領域と呼ぶ。
【0024】
吸着保持駆動部22は、モータを含む。吸着保持駆動部22のモータは、回転軸が上方に向かって突出するように可動台座32上に設けられている。吸着保持部21は、吸着保持駆動部22の回転軸の上端部に取り付けられる。また、吸着保持駆動部22の回転軸には、吸着保持部21において基板Wを吸着保持するための吸引経路が形成されている。その吸引経路は、図示しない吸気装置に接続されている。吸着保持駆動部22は、吸着保持部21を上記の回転軸の周りで回転させる。
【0025】
可動台座32上には、下側保持装置20の近傍にさらに受渡装置40が設けられている。受渡装置40は、複数(本例では3本)の支持ピン41、ピン連結部材42およびピン昇降駆動部43を含む。ピン連結部材42は、平面視で吸着保持部21を取り囲むように形成され、複数の支持ピン41を連結する。複数の支持ピン41は、ピン連結部材42により互いに連結された状態で、ピン連結部材42から一定長さ上方に延びる。ピン昇降駆動部43は、可動台座32上でピン連結部材42を昇降させる。これにより、複数の支持ピン41が吸着保持部21に対して相対的に昇降する。
【0026】
下面洗浄装置50は、下面ブラシ51、2つの基板ノズル52、2つのブラシノズル52a,52b、気体噴出部53、昇降支持部54、下面ブラシ回転駆動部55aおよび下面ブラシ昇降駆動部55bを含む。図2に示すように、可動台座32上に、昇降支持部54が昇降可能に設けられている。昇降支持部54は、吸着保持部21から遠ざかる方向(本例では後方)において斜め下方に傾斜する上面54uを有する。
【0027】
図1に示すように、下面ブラシ51は、平面視において円形の外形を有し、本実施の形態においては比較的大型に形成される。具体的には、下面ブラシ51の直径は、吸着保持部21の吸着面の直径よりも大きく、例えば吸着保持部21の吸着面の直径の1.3倍である。また、下面ブラシ51の直径は、基板Wの直径の1/3よりも大きくかつ1/2よりも小さい。なお、基板Wの直径は、例えば300mmである。
【0028】
下面ブラシ51は、スポンジブラシであり、フッ素系樹脂等の比較的濡れ性が低い材料により形成されることが好ましい。この場合、下面ブラシ51に汚染物が付着することが低減される。これにより、下面ブラシ51が汚染しにくくなる。本例では、下面ブラシ51は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)により形成されるが、実施の形態はこれに限定されない。下面ブラシ51は、PVA(ポリビニールアルコール)等の比較的軟質な樹脂材料により形成されてもよい。
【0029】
下面ブラシ51は、基板Wの下面に接触可能な洗浄面を有する。また、下面ブラシ51は、洗浄面が上方を向くようにかつ洗浄面が当該洗浄面の中心を通って上下方向に延びる軸の周りで回転可能となるように、昇降支持部54の上面54uに取り付けられている。
【0030】
2つの基板ノズル52の各々は、下面ブラシ51の近傍に位置しかつ液体吐出口が上方を向くように、昇降支持部54の上面54u上に取り付けられている。基板ノズル52には、下面洗浄液供給部56(図5)が接続されている。下面洗浄液供給部56は、基板ノズル52に基板洗浄用の洗浄液を供給する。基板ノズル52は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時に、下面洗浄液供給部56から供給される洗浄液を基板Wの下面に吐出する。本実施の形態では、基板ノズル52に供給される洗浄液として純水が用いられる。
【0031】
2つのブラシノズル52a,52bは、下面ブラシ51を洗浄するために用いられる。2つのブラシノズル52a,52bの各々は、下面ブラシ51の近傍に位置するように、昇降支持部54の上面54u上に取り付けられている。ブラシノズル52a,52bには、ブラシ洗浄液供給部57(図5)が接続されている。ブラシ洗浄液供給部57は、ブラシノズル52a,52bにブラシ洗浄用の洗浄液を供給する。それにより、ブラシ洗浄液供給部57から供給された洗浄液が、ブラシノズル52a,52bから下面ブラシ51に向けて吐出される。2つの基板ノズル52に供給される洗浄液と2つのブラシノズル52a,52bに供給される洗浄液とは同じである。したがって、本実施の形態では、ブラシノズル52a,52bに供給される洗浄液として純水が用いられる。
【0032】
一方のブラシノズル52aは、下面ブラシ51の側方の位置で、当該ブラシノズル52aの先端部(液体吐出口)が下面ブラシ51の上方の位置に向くように設けられている。そのため、ブラシノズル52aから吐出される洗浄液は、下面ブラシ51の側方の位置から放物線を描くように下面ブラシ51の洗浄面の中央部に導かれる。他方のブラシノズル52bは、下面ブラシ51の側方の位置で、当該ブラシノズル52bの先端部(液体吐出口)が下面ブラシ51の側部(外周端部)に向くように設けられている。そのため、ブラシノズル52bから吐出される洗浄液は、下面ブラシ51の側方の位置から下面ブラシ51の側部(外周端部)に導かれる。
【0033】
後述するように、下面ブラシ51は、基板洗浄装置1の電源がオンしている間、基本的に回転している。したがって、ブラシノズル52a,52bから下面ブラシ51に洗浄液が吐出される際には、下面ブラシ51の全体が洗浄液により円滑に洗い流される。また、下面ブラシ51の洗浄面が均一に濡らされる。これにより、下面ブラシ51が部分的に硬化することが防止される。
【0034】
気体噴出部53は、一方向に延びる気体噴出口を有するスリット状の気体噴射ノズルである。気体噴出部53は、下面洗浄装置50の他の構成要素に対して独立して昇降可能に可動台座32上に設けられている。気体噴出部53を昇降動作させるための駆動部の説明は省略する。気体噴出部53の気体噴射口は、平面視で下面ブラシ51と吸着保持部21との間に位置しかつ上方を向いている。気体噴出部53には、噴出気体供給部58(図5)が接続されている。
【0035】
噴出気体供給部58は、気体噴出部53に気体を供給する。本実施の形態では、気体噴出部53に供給される気体として窒素ガス等の不活性ガスが用いられる。気体噴出部53は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時および後述する基板Wの下面の乾燥時に、噴出気体供給部58から供給される気体を基板Wの下面に噴射する。この場合、下面ブラシ51と吸着保持部21との間に、X方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。
【0036】
図1の下面ブラシ回転駆動部55aは、モータを含み、基本的には、基板洗浄装置1の電源がオンしている間、下面ブラシ51を回転させる。下面ブラシ昇降駆動部55bは、ステッピングモータまたはエアシリンダを含み、可動台座32上で昇降支持部54を昇降させる。
【0037】
底面部2aの中央部には、さらにカップ装置60が設けられている。カップ装置60は、カップ61およびカップ駆動部62を含む。カップ61は、平面視で下側保持装置20および台座装置30を取り囲むようにかつ昇降可能に設けられている。図2においては、カップ61が点線で示される。カップ駆動部62は、下面ブラシ51が基板Wの下面におけるどの部分を洗浄するのかに応じてカップ61を下カップ位置と上カップ位置との間で移動させる。下カップ位置はカップ61の上端部が吸着保持部21により吸着保持される基板Wよりも下方にある高さ位置である。また、上カップ位置はカップ61の上端部が吸着保持部21よりも上方にある高さ位置である。カップ61が上カップ位置にある状態で、カップ61と吸着保持部21とは側面視で互いに重なる。そのため、上カップ位置は、カップ61が吸着保持部21により吸着保持される基板Wの高さ位置に対応する高さ位置であるといえる。
【0038】
カップ61よりも上方の高さ位置には、平面視で台座装置30を挟んで対向するように一対の上側保持装置10A,10Bが設けられている。上側保持装置10Aは、下チャック11A、上チャック12A、下チャック駆動部13Aおよび上チャック駆動部14Aを含む。上側保持装置10Bは、下チャック11B、上チャック12B、下チャック駆動部13Bおよび上チャック駆動部14Bを含む。
【0039】
図3は、図1および図2の下チャック11A,11Bの外観斜視図である。図3では、下チャック11A,11Bが太い実線で示される。また、上チャック12A,12Bが点線で示される。図3の外観斜視図では、下チャック11A,11Bの形状が理解しやすいように、各部の拡縮率が図2の外観斜視図から変更されている。
【0040】
図3に示すように、下チャック11A,11Bは、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向(前後方向)に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。下チャック11A,11Bの各々は、2本の支持片200を有する。各支持片200には、傾斜支持面201および移動制限面202が設けられている。
【0041】
下チャック11Aにおいて、各支持片200の傾斜支持面201は、基板Wの外周端部を下方から支持可能でかつ下チャック11Bに向かって斜め下方に延びるように形成されている。移動制限面202は、傾斜支持面201の上端部から一定距離上方に延び、下チャック11Aの上端部に段差を形成する。一方、下チャック11Bにおいて、各支持片200の傾斜支持面201は、基板Wの外周端部を下方から支持可能でかつ下チャック11Aに向かって斜め下方に延びるように形成されている。移動制限面202は、傾斜支持面201の上端部から一定距離上方に延び、下チャック11Bの上端部に段差を形成する。
【0042】
図1の下チャック駆動部13A,13Bは、アクチュエータとしてエアシリンダまたはモータを含む。下チャック駆動部13A,13Bは、下チャック11A,11Bが互いに近づくように、または下チャック11A,11Bが互いに遠ざかるように、下チャック11A,11Bを移動させる。ここで、X方向における下チャック11A,11Bの目標位置が予め定められている場合、下チャック駆動部13A,13Bは、目標位置の情報に基づいてX方向における下チャック11A,11Bの位置をそれぞれ個別に調整することができる。例えば、下チャック11A,11Bの間の距離を基板Wの外径よりも小さくすることができる。この場合、下チャック11A,11Bの複数の傾斜支持面201上に基板Wを載置することができる。
【0043】
図4は、図1および図2の上チャック12A,12Bの外観斜視図である。図4では、上チャック12A,12Bが太い実線で示される。また、下チャック11A,11Bが点線で示される。図4の外観斜視図では、上チャック12A,12Bの形状が理解しやすいように、各部の拡縮率が図2の外観斜視図から変更されている。
【0044】
図4に示すように、上チャック12A,12Bは、下チャック11A,11Bと同様に、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向(前後方向)に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。上チャック12A,12Bの各々は、2本の保持片300を有する。各保持片300は、当接面301および突出部302を有する。
【0045】
上チャック12Aにおいて、各保持片300の当接面301は、当該保持片300の先端下部で、上チャック12Bを向くように形成され、X方向に直交する。突出部302は、当接面301の上端から上チャック12Bに向かって所定距離突出するように形成されている。一方、上チャック12Bにおいて、各保持片300の当接面301は、当該保持片300の先端下部で、上チャック12Aを向くように形成され、X方向に直交する。突出部302は、当接面301の上端から上チャック12Aに向かって所定距離突出するように形成されている。
【0046】
図1の上チャック駆動部14A,14Bは、アクチュエータとしてエアシリンダまたはモータを含む。上チャック駆動部14A,14Bは、上チャック12A,12Bが互いに近づくように、または上チャック12A,12Bが互いに遠ざかるように、上チャック12A,12Bを移動させる。ここで、X方向における上チャック12A,12Bの目標位置が予め定められている場合、上チャック駆動部14A,14Bは、目標位置の情報に基づいてX方向における上チャック12A,12Bの位置をそれぞれ個別に調整することができる。
【0047】
上記の上側保持装置10A,10Bにおいては、例えば下チャック11A,11B上に載置された基板Wの外周端部に向けて上チャック12A,12Bが移動する。基板Wの外周端部の複数の部分に上チャック12Aの2つの当接面301および上チャック12Bの2つの当接面301が接触することにより、基板Wの外周端部が保持され、基板Wが強固に固定される。
【0048】
上側保持装置10A,10Bは、下チャック11A,11Bの間の距離および上チャック12A,12B間の距離が予め定められた組み合わせで調整されることにより、退避状態、載置可能状態および保持状態の3つの状態に移行する。
【0049】
上側保持装置10A,10Bの退避状態は、下チャック11A,11Bの間の距離が基板Wの外径よりも大きくかつ上チャック12A,12Bの間の距離が基板Wの外径よりも大きい状態である。この場合、水平姿勢の基板Wを下チャック11A,11Bの間および上チャック12A,12Bの間を通して上下方向(Z方向)に移動させることができる。
【0050】
上側保持装置10A,10Bの載置可能状態は、下チャック11A,11Bの間の距離が基板Wの外径よりも小さくかつ上チャック12A,12Bの間の距離が基板Wの外径よりも大きい状態である。この場合、基板Wと上チャック12A,12Bとの干渉を防止しつつ、下チャック11A,11Bの複数の傾斜支持面201上に基板Wを水平姿勢で載置することができる。また、下チャック11A,11B上に載置された基板Wを取り上げることができる。
【0051】
上側保持装置10A,10Bの保持状態は、上側保持装置10A,10Bが載置可能状態にありかつ下チャック11A,11B上に基板Wが載置されている場合にのみ移行可能な状態である。具体的には、上側保持装置10A,10Bの保持状態は、下チャック11A,11Bの間の距離が基板Wの外径よりも小さくかつ上チャック12A,12Bが下チャック11A,11B上の基板Wの外周端部に接触し、基板Wを固定している状態である。
【0052】
ここで、上側保持装置10A,10Bにおいて、載置可能状態から保持状態への移行時には、上チャック12A,12Bが基板Wを挟んで互いに近づくようにX方向に移動する。このとき、上チャック12A,12Bの移動は、具体的には、次のように行われる。
【0053】
まず、一方の上チャックが他方の上チャックに向かって移動し、予め定められた目標位置で停止する。その後、他方の上チャックが一方の上チャックに向かって移動し、基板Wの外周端部の一部に接触する。さらに、他方の上チャックは、当該基板Wの外周端部の他の部分が一方の上チャックに接触するまで、一方の上チャックに向かって移動する。このようにして載置可能状態から保持状態への移行が行われる場合には、基板Wが下チャック11A,11B上で上記の目標位置を基準として位置決めされる。したがって、基板Wの寸法が既知である場合には、その寸法に基づいて目標位置を定めることにより、基板Wの中心を後述する平面基準位置rp(図6)に容易に位置決めすることができる。
【0054】
また、上側保持装置10A,10Bにおいて、保持状態から載置可能状態への移行時には、上チャック12A,12Bが基板Wを挟んで互いに遠ざかるようにX方向に移動する。このとき、上チャック12A,12Bの移動は、具体的には、次のように行われる。
【0055】
まず、一方の上チャックが予め定められた目標位置にある状態で、他方の上チャックが一方の上チャックから遠ざかるように移動する。他方の上チャックが基板Wから離間した後、一方の上チャックが他方の上チャックから遠ざかるように移動する。このようにして保持状態から載置可能状態への移行が行われる場合には、基板Wが下チャック11A,11B上で上記の目標位置を基準として位置決めされる。したがって、基板Wの寸法が既知である場合には、その寸法に基づいて目標位置を定めることにより、基板Wの中心を後述する平面基準位置rp(図6)に容易に位置決めすることができる。
【0056】
図1に示すように、Y方向において互いに対向する2つの側壁部2c,2bには、投光部19aおよび受光部19bがそれぞれ設けられている。投光部19aは投光素子を含む。受光部19bは受光素子を含む。投光部19aおよび受光部19bは、透過型の一の光電センサ19(図5)を構成する。
【0057】
投光部19aおよび受光部19bは、投光部19aが受光部19bよりも下方に位置するように配置される。また、投光部19aおよび受光部19bは、投光部19aと受光部19bとを結ぶ直線が、上側保持装置10A,10Bにより基板Wが保持された場合に、その基板Wを横切るように配置される。
【0058】
基板洗浄装置1においては、載置可能状態にある上側保持装置10A,10B上に基板Wが載置される際に、投光部19aから受光部19bに向けて光が出射される(図2の一点鎖線の矢印参照)。上側保持装置10A,10B上に基板Wが正常に載置されている場合、投光部19aから出射された光は基板Wにより遮断される。それにより、受光部19bは、投光部19aから出射された光を受光しない。一方、上側保持装置10A,10B上に基板Wが正常に載置されていない場合、投光部19aから出射された光は基板Wにより遮断されることなく受光部19bに入射する。したがって、受光部19bの受光素子から出力される受光信号に基づいて、上側保持装置10A,10B上に基板Wが正常に載置されているか否かを判定することができる。以下の説明では、この判定を基板載置状態判定と呼ぶ。
【0059】
基板洗浄装置1においては、上側保持装置10A,10Bが載置可能状態から保持状態に移行する際にも、投光部19aから受光部19bに向けて光が出射される。これにより、上記と同様の理由で、受光部19bの受光素子から出力される受光信号に基づいて、上側保持装置10A,10Bにより基板Wが正常に保持されているか否かを判定することができる。以下の説明では、この判定を基板保持状態判定と呼ぶ。
【0060】
図1に示すように、カップ61の一側方においては、平面視で上側保持装置10Bの近傍に位置するように、上面洗浄装置70が設けられている。上面洗浄装置70は、回転支持軸71、アーム72、スプレーノズル73および上面洗浄駆動部74を含む。
【0061】
回転支持軸71は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能に上面洗浄駆動部74により支持される。アーム72は、図2に示すように、上側保持装置10Bよりも上方の位置で、回転支持軸71の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム72の先端部には、スプレーノズル73が取り付けられている。
【0062】
スプレーノズル73には、上面洗浄流体供給部75(図5)が接続される。上面洗浄流体供給部75は、スプレーノズル73に洗浄液および気体を供給する。本実施の形態では、スプレーノズル73に供給される洗浄液として純水が用いられ、スプレーノズル73に供給される気体として窒素ガス等の不活性ガスが用いられる。スプレーノズル73は、基板Wの上面の洗浄時に、上面洗浄流体供給部75から供給される洗浄液と気体とを混合して混合流体を生成し、生成された混合流体を下方に噴射する。
【0063】
上面洗浄駆動部74は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸71を昇降させるとともに、回転支持軸71を回転させる。上記の構成によれば、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの上面上で、スプレーノズル73を円弧状に移動させることにより、基板Wの上面全体を洗浄することができる。
【0064】
図1に示すように、カップ61の他側方においては、平面視で上側保持装置10Aの近傍に位置するように、端部洗浄装置80が設けられている。端部洗浄装置80は、回転支持軸81、アーム82、ベベルブラシ83およびベベルブラシ駆動部84を含む。
【0065】
回転支持軸81は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能にベベルブラシ駆動部84により支持される。アーム82は、図2に示すように、上側保持装置10Aよりも上方の位置で、回転支持軸81の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム82の先端部には、下方に向かって突出するようにかつ上下方向の軸の周りで回転可能となるようにベベルブラシ83が設けられている。
【0066】
ベベルブラシ83は、上半部が逆円錐台形状を有するとともに下半部が円錐台形状を有する。このベベルブラシ83によれば、外周面の上下方向における中央部分で基板Wの外周端部を洗浄することができる。
【0067】
ベベルブラシ駆動部84は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸81を昇降させるとともに、回転支持軸81を回転させる。上記の構成によれば、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの外周端部にベベルブラシ83の外周面の中央部分を接触させることにより、基板Wの外周端部全体を洗浄することができる。
【0068】
ここで、ベベルブラシ駆動部84は、さらにアーム82に内蔵されるモータを含む。そのモータは、アーム82の先端部に設けられるベベルブラシ83を上下方向の軸の周りで回転させる。したがって、基板Wの外周端部の洗浄時に、ベベルブラシ83が回転することにより、基板Wの外周端部におけるベベルブラシ83の洗浄力が向上する。
【0069】
2.基板洗浄装置1の制御系
図5は、図1の基板洗浄装置1の制御系統の構成を示すブロック図である。基板洗浄装置1は、制御装置170を備える。制御装置170は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)および記憶装置を含む。RAMは、CPUの作業領域として用いられる。ROMは、システムプログラムを記憶する。記憶装置は、基板洗浄プログラムを記憶する。
【0070】
図5に示すように、制御装置170は、複数の基板洗浄装置1の各々の動作を制御するための機能部として、チャック制御部9A、吸着制御部9B、台座制御部9C、受渡制御部9D、下面洗浄制御部9E、カップ制御部9F、上面洗浄制御部9G、ベベル洗浄制御部9Hおよび搬入搬出制御部9Iを含む。CPUが記憶装置に記憶された基板洗浄プログラムをRAM上で実行することにより制御装置170の機能部が実現される。制御装置170の機能部の一部または全部が電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0071】
チャック制御部9Aは、基板洗浄装置1に搬入される基板Wを受け取り、吸着保持部21の上方の位置で保持するために、下チャック駆動部13A,13Bおよび上チャック駆動部14A,14Bを制御する。また、チャック制御部9Aは、上記の基板載置状態判定および基板保持状態判定が行われるように、光電センサ19を制御する。吸着制御部9Bは、吸着保持部21により基板Wを吸着保持するとともに吸着保持された基板Wを回転させるために、吸着保持駆動部22を制御する。
【0072】
台座制御部9Cは、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wに対して可動台座32を移動させるために、台座駆動部33を制御する。受渡制御部9Dは、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの高さ位置と、吸着保持部21により保持される基板Wの高さ位置との間で基板Wを移動させるために、ピン昇降駆動部43を制御する。
【0073】
下面洗浄制御部9Eは、基板Wの下面を洗浄するために、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55b、下面洗浄液供給部56および噴出気体供給部58を制御する。また、下面洗浄制御部9Eは、下面ブラシ51を洗浄するために、ブラシ洗浄液供給部57を制御する。カップ制御部9Fは、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの洗浄時に基板Wから飛散する洗浄液をカップ61で受け止めるために、カップ駆動部62を制御する。
【0074】
上面洗浄制御部9Gは、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの上面を洗浄するために、上面洗浄駆動部74および上面洗浄流体供給部75を制御する。ベベル洗浄制御部9Hは、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの外周端部を洗浄するために、ベベルブラシ駆動部84を制御する。搬入搬出制御部9Iは、基板洗浄装置1における基板Wの搬入時および搬出時にユニット筐体2の搬入搬出口2xを開閉するために、シャッタ駆動部92を制御する。
【0075】
3.基板洗浄装置1の動作
図6図20は、図1の基板洗浄装置1の動作の一例を説明するための模式図である。図6図20の各々においては、上段に基板洗浄装置1の平面図が示される。また、中段にY方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示され、下段にX方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示される。中段の側面図は図1のA-A線側面図に対応し、下段の側面図は図1のB-B線側面図に対応する。なお、基板洗浄装置1における各構成要素の形状および動作状態の理解を容易にするために、上段の平面図と中段および下段の側面図との間では、一部の構成要素の拡縮率が異なる。また、図6図21では、カップ61が二点鎖線で示されるとともに、基板Wの外形が太い一点鎖線で示される。
【0076】
さらに、図6図20の上段の平面図には、シャッタ91の状態またはその状態の変化が文字列で示されるとともに、上側保持装置10A,10Bの状態またはその状態の変化が文字列で示される。また、図6図21の中段の側面図には、下側保持装置20の状態またはその状態の変化が文字列で示される。なお、下側保持装置20の状態とは、吸着保持部21が回転しているか否かを示す状態である。
【0077】
まず、図6に示すように、初期状態(待機状態)としてユニット筐体2内に基板Wが存在しない状態を想定する。基板洗浄装置1に基板Wが搬入される前の初期状態では、開閉装置90のシャッタ91は閉状態にある。そのため、搬入搬出口2xはシャッタ91により閉塞されている。また、上側保持装置10A,10Bは、退避状態にある。そのため、下チャック11A,11Bは、互いの距離が基板Wの直径よりも十分に大きくなる状態で維持されている。また、上チャック12A,12Bも、互いの距離が基板Wの直径よりも十分に大きくなる状態で維持されている。下側保持装置20は、吸着保持部21の回転が停止された停止状態にある。
【0078】
また、初期状態では、台座装置30の可動台座32は、平面視で吸着保持部21の中心がカップ61の中心に位置するように配置されている。このとき、下面洗浄装置50は、可動台座32上で吸着保持部21からY方向に一定距離離間した位置にある。さらに、下面洗浄装置50の下面ブラシ51の洗浄面(上端部)は、吸着保持部21よりも下方に位置する。初期状態における下面ブラシ51の上下方向(Z方向)の位置を下面ブラシ待機位置と呼ぶ。基板Wが吸着保持部21により保持される場合に、下面ブラシ待機位置は当該基板Wの下方にある。特に、本実施の形態においては、下面ブラシ待機位置は、昇降支持部54により下面ブラシ51が昇降可能な上下方向の範囲のうち最も低い位置に相当する。
【0079】
また、初期状態では、受渡装置40は、複数の支持ピン41が吸着保持部21よりも下方に位置する状態にある。さらに、カップ装置60のカップ61は下カップ位置にある。以下の説明では、平面視におけるカップ61の中心位置を平面基準位置rpと呼ぶ。また、平面視で吸着保持部21の中心が平面基準位置rpにあるときの底面部2a上の可動台座32の位置を基準水平位置と呼ぶ。
【0080】
さらに、初期状態では、上面洗浄装置70のスプレーノズル73は、X方向においてカップ61から一側方に所定距離離間しかつ上側保持装置10A,10Bおよびカップ61よりも上方の待機位置で保持されている。以下、この初期状態のスプレーノズル73の待機位置をスプレーノズル待機位置と呼ぶ。
【0081】
また、端部洗浄装置80のベベルブラシ83は、X方向においてカップ61から他側方に所定距離離間しかつ上側保持装置10A,10Bおよびカップ61よりも上方の待機位置で保持されている。以下、この初期状態のベベルブラシ83の待機位置をベベルブラシ待機位置と呼ぶ。
【0082】
図7に示すように、基板洗浄装置1に基板Wが搬入される際には、基板Wがユニット筐体2内に進入する直前のタイミングで、シャッタ91が閉状態から開状態に移行する。また、図7に太い実線の矢印a1で示すように、下チャック11A,11Bが互いに近づくことにより、上側保持装置10A,10Bが退避状態から載置可能状態に移行する。
【0083】
上記のように、シャッタ91が閉状態から開状態に移行する動作をシャッタ開動作と呼ぶ。また、上側保持装置10A,10Bが退避状態から載置可能状態に移行する動作を載置準備動作と呼ぶ。この場合、図5のチャック制御部9Aおよび搬入搬出制御部9Iは、シャッタ開動作の期間および載置準備動作の期間の少なくとも一部が重複するように、各動作を開始させる。
【0084】
次に、図8に太い実線の矢印a2で示すように、図示しない基板搬送ロボットのハンド(基板保持部)Maが搬入搬出口2xを通してユニット筐体2の内部に進入し、ユニット筐体2内の略中央の位置に基板Wを移動させる。このとき、ハンドMaにより保持される基板Wは、下チャック11Aおよび上チャック12Aと下チャック11Bおよび上チャック12Bとの間に位置する。
【0085】
次に、ハンドMaが下降する。このとき、上側保持装置10A,10Bは、載置可能状態にある。そのため、ハンドMaが上側保持装置10A,10Bよりも下方に移動することにより、ハンドMaに保持された基板Wが、一対の下チャック11A,11B上に載置される。これにより、基板Wの下面周縁部の複数の部分が、下チャック11A,11Bの複数の支持片200(図3)によりそれぞれ支持される。その後、空のハンドMaが搬入搬出口2xから退出する。
【0086】
次に、ハンドMaの退出後、図9に示すように、シャッタ91が開状態から閉状態に移行する。また、光電センサ19(図5)による基板載置状態判定が行われる。具体的には、投光部19aから受光部19bに向けて光が出射されるとともに、受光部19bの受光信号に基づいて、上側保持装置10A,10B上に基板Wが正常に載置されているか否かが判定される。ここで、基板Wが正常に載置されていないと判定された場合には、基板Wの処理が停止される。
【0087】
また、ハンドMaの退出後には、図9に太い実線の矢印a3で示すように、上チャック12A,12Bが互いに近づくことにより、上チャック12A,12Bの複数の保持片300が基板Wの外周端部に当接する。これにより、上側保持装置10A,10Bが載置可能状態から保持状態に移行し、基板Wが上側保持装置10A,10Bにより保持される。この移行時には、上記のように上チャック12A,12Bのうち一方の上チャックを目標位置まで移動させた後、他方の上チャックを一方の上チャックに向けて移動させることにより、基板WがX方向において正確に位置決めされる。
【0088】
このとき、さらに、光電センサ19(図5)による基板保持状態判定が行われる。具体的には、投光部19aから受光部19bに向けて光が出射されるとともに、受光部19bの受光信号に基づいて、上側保持装置10A,10Bにより基板Wが正常に保持されているか否かが判定される。ここで、基板Wが正常に保持されていないと判定された場合には、基板Wの処理が停止される。
【0089】
本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、基板Wが上側保持装置10A,10Bにより保持された状態で、当該基板Wの下面中央領域が下面ブラシ51により洗浄される。そこで、ハンドMaの退出後には、基板Wの下面中央領域の洗浄の準備のために、下面ブラシ51が基板Wの下面のうち最初に接触すべき予め定められた領域(初期接触領域)に対向する位置まで移動する。本例では、初期接触領域は、基板Wの下面中央領域であるものとする。
【0090】
この場合、具体的には、平面視で下面ブラシ51が基板Wの初期接触領域に重なるように可動台座32がY方向に移動する。また、下面ブラシ51が基板Wの下面に近接する高さ位置まで近づくように昇降支持部54が上昇する。より具体的には、図9の例では、太い実線の矢印a4で示すように、平面視で下面ブラシ51の中心が平面基準位置rpに重なるまで、可動台座32が基準水平位置から前方に移動する。また、図9に太い実線の矢印a5で示すように、下面ブラシ51が下面ブラシ待機位置から基板Wの近傍の位置(基板Wから約5mm程度離間した位置)まで近づくように昇降支持部54が上昇する。なお、昇降支持部54は、下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する位置まで上昇してもよい。
【0091】
上記のように、シャッタ91が開状態から閉状態に移行する動作をシャッタ閉動作と呼ぶ。また、上側保持装置10A,10Bが載置可能状態から保持状態に移行する動作を保持移行動作と呼ぶ。さらに、下面ブラシ51が、平面視で基板Wの初期接触領域に重なるように移動する動作、および上下方向において下面ブラシ待機位置から上側保持装置10A,10Bにより保持された基板Wの下面に向かって移動する動作を第1のブラシ準備動作と呼ぶ。この場合、図5のチャック制御部9A、台座制御部9C、下面洗浄制御部9Eおよび搬入搬出制御部9Iは、シャッタ閉動作の期間、保持移行動作の期間および第1のブラシ準備動作の期間の少なくとも一部が重複するように、各動作を開始させる。
【0092】
ここで、ハンドMaの退出後には、さらに図9に太い実線の矢印a6で示すように、吸着保持部21が回転を開始する。すなわち、下側保持装置20が、停止状態から回転状態に移行する。この下側保持装置20の移行は、例えば基板Wがユニット筐体2の内部に進入してから基板Wが上側保持装置10A,10Bにより保持されるまでの間に行われる。
【0093】
次に、下面ブラシ51が基板Wの初期接触領域(本例では下面中央領域)に押し当てられる。また、図10に太い実線の矢印a7で示すように、下面ブラシ51が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。それにより、基板Wの下面中央領域に付着する汚染物質が下面ブラシ51により物理的に剥離される。
【0094】
図10の下段には、下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する部分の拡大側面図が吹き出し内に示される。その吹き出し内に示されるように、下面ブラシ51が基板Wに接触する状態で、基板ノズル52および気体噴出部53は、基板Wの下面に近接する位置に保持される。このとき、基板ノズル52は、白抜きの矢印a51で示すように、下面ブラシ51の近傍の位置で基板Wの下面に向かって洗浄液を吐出する。これにより、基板ノズル52から基板Wの下面に供給された洗浄液が下面ブラシ51と基板Wとの接触部に導かれることにより、下面ブラシ51により基板Wの裏面から除去された汚染物質が洗浄液により洗い流される。
【0095】
ここで、昇降支持部54の上面54uは、吸着保持部21から遠ざかる方向において斜め下方に傾斜している。この場合、基板Wの下面から汚染物質を含む洗浄液が昇降支持部54上に落下する場合に、上面54uによって受け止められた洗浄液が吸着保持部21から遠ざかる方向に導かれる。
【0096】
また、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時には、気体噴出部53が、図10の吹き出し内に白抜きの矢印a52で示すように、下面ブラシ51と吸着保持部21との間の位置で基板Wの下面に向かって気体を噴射する。本実施の形態においては、気体噴出部53は、気体噴射口がX方向に延びるように可動台座32上に取り付けられている。この場合、気体噴出部53から基板Wの下面に気体が噴射される際には、下面ブラシ51と吸着保持部21との間でX方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。それにより、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時に、汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に向かって飛散することが防止される。したがって、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時に、汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に付着することが防止され、吸着保持部21の吸着面が清浄に保たれる。
【0097】
なお、図10の例においては、気体噴出部53は、白抜きの矢印a52で示すように、気体噴出部53から下面ブラシ51に向かって斜め上方に気体を噴射するが、本発明はこれに限定されない。気体噴出部53は、気体噴出部53から基板Wの下面に向かってZ方向に沿うように気体を噴射してもよい。
【0098】
上記のように、基板Wの下面中央領域が洗浄されている間、下側保持装置20は継続して回転状態にある。それにより、基板Wの洗浄に用いられた洗浄液の液滴等が仮に吸着保持部21上に落下する場合でも、当該液滴等は回転する吸着保持部21から振り切られる。それにより、洗浄液の液滴等が吸着保持部21上に残留することが防止される。
【0099】
次に、図10の状態で、基板Wの下面中央領域の洗浄が完了すると、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wから所定距離離間するように、昇降支持部54が下降する。また、基板ノズル52から基板Wへの洗浄液の吐出が停止される。このとき、気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射は継続される。
【0100】
その後、図11に太い実線の矢印a8で示すように、平面視で基準水平位置よりも後方に所定距離ずれた位置まで可動台座32が移動する。このとき、気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射が継続されることにより、基板Wの下面中央領域が気体カーテンにより順次乾燥される。なお、気体噴出部53による基板Wの下面中央領域の乾燥時には、下面ブラシ51の回転が一時的に停止されていてもよい。
【0101】
次に、図12に太い実線の矢印a9で示すように、下面ブラシ51の洗浄面が吸着保持部21の吸着面(上端部)よりも下方に位置するように、昇降支持部54が下降する。これにより、下面ブラシ51が下面ブラシ待機位置(高さ位置)まで移動する。なお、下面ブラシ51は、基板Wの下面中央領域の洗浄後、気体噴出部53による乾燥前に、基板Wの下面に接触する位置から下面ブラシ待機位置まで移動してもよい。
【0102】
また、図12に太い実線の矢印a10で示すように、上チャック12A,12Bが基板Wの外周端部から離間するように、上チャック12A,12Bが互いに遠ざかる。これにより、上側保持装置10A,10Bが保持状態から載置可能状態に移行し、基板Wが取り上げ可能に下チャック11A,11B上に支持される。この移行時には、上記のように上チャック12A,12Bのうち一方の上チャックが目標位置にある状態で、他方の上チャックを一方の上チャックから遠ざかるように移動させる。これにより、下チャック11A,11B上の基板WがX方向において正確に位置決めされる。
【0103】
その後、図13の中段および下段に示すように、下側保持装置20が回転状態から停止状態に移行する。つまり、下側保持装置20の吸着保持部21の回転が停止する。この回転の停止には、例えば2sec程度の時間を要する。また、図13に太い実線の矢印a11で示すように、可動台座32が基準水平位置に向かって前方に移動する。さらに、図13に太い実線の矢印a12で示すように、複数の支持ピン41の上端部が下チャック11A,11Bよりもわずかに上方に位置するように、ピン連結部材42が上昇する。それにより、下チャック11A,11Bにより支持された基板Wが、複数の支持ピン41により受け取られる。
【0104】
ここで、図5の受渡制御部9Dは、複数の支持ピン41の上端部が吸着保持部21よりも下方の位置から下チャック11A,11Bの複数の支持片200(図3)よりもわずかに下方の高さ位置まで移動する間、複数の支持ピン41を高速で上昇させる。一方、受渡制御部9Dは、複数の支持ピン41の上端部が複数の支持片200よりもわずかに下方の高さ位置から複数の支持片200よりもわずかに上方の高さ位置まで移動する間、複数の支持ピン41を低速で上昇させる。これにより、複数の支持ピン41が基板Wに接触する際の基板Wの破損が防止されるとともに、初期状態にある複数の支持ピン41が基板Wを受け取るまでの時間が短縮される。
【0105】
上記のように、下側保持装置20が回転状態から停止状態に移行する動作を回転停止動作と呼ぶ。また、可動台座32が基準水平位置に向かって水平方向(本例では前方)に移動する動作を水平移動動作と呼ぶ。さらに、複数の支持ピン41が上昇する動作を上下移動動作と呼ぶ。可動台座32の水平移動動作および複数の支持ピン41の上下移動動作は、上側保持装置10A,10Bから下側保持装置20に基板Wを渡すために行われる動作である。この場合、図5のチャック制御部9A、台座制御部9Cおよび受渡制御部9Dは、回転停止動作の期間の少なくとも一部、水平移動動作の期間の少なくとも一部および上下移動動作の期間の少なくとも一部が互いに重複するように、各動作を開始させる。
【0106】
次に、図14に太い実線の矢印a13で示すように、下チャック11A,11Bが互いに遠ざかる。これにより、上側保持装置10A,10Bが載置可能状態から退避状態に移行する。このとき、下チャック11A,11Bは、平面視で複数の支持ピン41により支持される基板Wに重ならない位置にある。それにより、複数の支持ピン41により水平姿勢で支持された基板Wを上側保持装置10A,10Bの間を通して上下方向(Z方向)に移動させることが可能になる。さらに、本実施の形態では、上側保持装置10A,10Bが退避状態にあるときに、下チャック11A,11Bおよび上チャック12A,12Bは、平面視でカップ61に重ならない位置にある。
【0107】
次に、図15に太い実線の矢印a14で示すように、複数の支持ピン41の上端部が吸着保持部21よりも下方に位置するように、ピン連結部材42が下降する。それにより、複数の支持ピン41上に支持された基板Wが、吸着保持部21により受け取られる。この状態で、吸着保持部21は、基板Wの下面中央領域を吸着保持する。
【0108】
なお、図5の受渡制御部9Dは、複数の支持ピン41の上端部が吸着保持部21よりも上方の位置から吸着保持部21よりもわずかに上方の高さ位置まで移動する間、基板Wが浮遊しない程度に複数の支持ピン41を高速で下降させる。一方、受渡制御部9Dは、複数の支持ピン41の上端部が吸着保持部21よりもわずかに上方の高さ位置から吸着保持部21よりも下方の高さ位置まで移動する間、複数の支持ピン41を低速で下降させる。これにより、吸着保持部21が基板Wに接触する際の基板Wの破損が防止されるとともに、上側保持装置10A,10B上の基板Wが下側保持装置20に渡されるまでの時間が短縮される。
【0109】
ここで、上記のように、上側保持装置10A,10Bにより保持された基板Wが下降して下側保持装置20上に渡されるまでの受渡装置40の動作を基板下降動作と呼ぶ。本実施の形態では、受渡装置40の基板下降動作の期間のうち少なくとも一部の期間に重複するように、以下に説明するカップ上昇動作、第2のブラシ準備動作、第1のノズル準備動作および第3のブラシ準備動作が行われる。
【0110】
カップ上昇動作は、図15に太い実線の矢印a15で示すように、カップ61を下カップ位置から上カップ位置に上昇させる動作である。上記のように、下チャック11A,11Bおよび上チャック12A,12Bは、上側保持装置10A,10Bが退避状態にあるときに平面視でカップ61に重ならない。したがって、上記のカップ上昇動作は、少なくとも上側保持装置10A,10Bが退避状態にあるタイミングで開始されることが好ましい。この場合、カップ61の上昇時に、カップ61と上側保持装置10A,10Bとの干渉が防止される。
【0111】
第2のブラシ準備動作は、図15に太い実線の矢印a16で示すように、下面ブラシ51を下面ブラシ待機位置から下側保持装置20により保持された基板Wの下面に向かって上昇させる動作である。この第2のブラシ準備動作時には、後述する図17に太い実線の矢印a23で示すように、下面ブラシ51の回転(上下方向に延びる軸を基準とする自転)は継続されている。
【0112】
ここで、図5の下面洗浄制御部9Eは、第2のブラシ準備動作中、下面ブラシ51が基板Wの下面よりもわずかに下方の高さ位置に到達した時点で、一時的に下面ブラシ51の上昇を停止させるかまたは上昇速度を低下させる。それにより、下面ブラシ51が基板Wに接触する際の基板Wの破損が防止される。
【0113】
第1のノズル準備動作は、スプレーノズル73をスプレーノズル待機位置から基板Wの上方のスプレーノズル処理位置に向かって移動させる動作である。第1のノズル準備動作の開始時点で、スプレーノズル73は、基板W、上側保持装置10A,10Bおよびカップ61よりも上方の高さ位置にある。第1のノズル準備動作が開始されると、上面洗浄装置70の回転支持軸71が回転する。それにより、図15に太い実線の矢印a17で示すように、スプレーノズル73がスプレーノズル待機位置から基板Wの上方の位置まで移動する。続いて、回転支持軸71が所定距離下降する。それにより、図16に太い実線の矢印a18で示すように、スプレーノズル73の先端部が基板Wの上面から数cm程度上方の高さ位置まで下降し、スプレーノズル73がスプレーノズル処理位置に到達する。
【0114】
第3のブラシ準備動作は、ベベルブラシ83をベベルブラシ待機位置から基板Wの外周端部に接触するベベルブラシ処理位置に向かって移動させる動作である。第3のブラシ準備動作の開始時点で、ベベルブラシ83は、基板W、上側保持装置10A,10Bおよびカップ61よりも上方の高さ位置にある。第3のブラシ準備動作が開始されると、端部洗浄装置80の回転支持軸81が回転する。それにより、図15に太い実線の矢印a19で示すように、ベベルブラシ83がベベルブラシ待機位置から基板Wの外周端部の一部の上方の位置まで移動する。また、回転支持軸81が所定距離下降する。それにより、図16に太い実線の矢印a20で示すように、ベベルブラシ83が基板Wの外周端部の一部に接触する位置までベベルブラシ83が下降し、ベベルブラシ処理位置に到達する。
【0115】
ここで、図5のベベル洗浄制御部9Hは、第3のブラシ準備動作中、ベベルブラシ83が基板Wの外周端部からわずかに離間した位置に到達した時点で、一時的にベベルブラシ83の下降を停止させるかまたは下降速度を低下させる。それにより、ベベルブラシ83が基板Wに接触する際の基板Wの破損が防止される。
【0116】
次に、図17に太い実線の矢印a21で示すように、吸着保持部21が上下方向の軸(吸着保持駆動部22の回転軸の軸心)の周りで回転する。それにより、吸着保持部21に吸着保持された基板Wが水平姿勢で回転する。なお、吸着保持部21の回転開始のタイミングは、受渡装置40から下側保持装置20に渡された基板Wが吸着保持部21により吸着保持された後であればよい。
【0117】
その後、スプレーノズル73から基板Wの上面に洗浄液と気体との混合流体が噴射される。また、回転支持軸71が回転する。それにより、図17に太い実線の矢印a22で示すように、スプレーノズル73が回転する基板Wの上方の位置で円弧状に移動する。基板Wの上面全体に混合流体が噴射されることにより、基板Wの上面全体が洗浄される。
【0118】
また、このとき、ベベルブラシ83の外周面の中央部分が基板Wの外周端部に接触した状態で、ベベルブラシ83が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。それにより、基板Wの外周端部に付着する汚染物質がベベルブラシ83により物理的に剥離される。基板Wの外周端部から剥離された汚染物質は、スプレーノズル73から基板Wに噴射される混合流体の洗浄液により洗い流される。
【0119】
さらに、図17に太い実線の矢印a23で示すように、下面ブラシ51は継続して上下方向の軸の周りで回転(自転)する。さらに、基板ノズル52は基板Wの下面に向かって洗浄液を吐出し、気体噴出部53は基板Wの下面に向かって気体を噴射する。これにより、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの下面外側領域を全体に渡って下面ブラシ51により洗浄することができる。下面ブラシ51の回転方向は、吸着保持部21の回転方向とは逆であってもよい。この場合、基板Wの下面外側領域を効率よく洗浄することができる。
【0120】
なお、昇降支持部54は、可動台座32上で下側保持装置20に対してY方向に相対移動可能に構成されてもよい。この場合、図17に太い実線の矢印a24で示すように、昇降支持部54を可動台座32上でY方向に移動させる。それにより、可動台座32が所定の位置に固定された状態で下面ブラシ51による洗浄可能な範囲が拡大される。
【0121】
基板Wの上面、外周端部および下面外側領域の洗浄が完了すると、スプレーノズル73から基板Wへの混合流体の噴射が停止される。また、図18に太い実線の矢印a25で示すように、スプレーノズル73がスプレーノズル待機位置(初期状態の位置)まで移動する。また、図18に太い実線の矢印a26で示すように、ベベルブラシ83がベベルブラシ待機位置(初期状態の位置)まで移動する。さらに、昇降支持部54が下降する。これにより、下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する位置から下面ブラシ待機位置に移動する。また、基板ノズル52から基板Wへの洗浄液の吐出、および気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射が停止される。この状態で、吸着保持部21が高速で回転することにより、基板Wに付着する洗浄液が振り切られ、基板Wの全体が乾燥する(スピン乾燥)。なお、このスピン乾燥時には、下面ブラシ51の回転が一時的に停止されていてもよい。
【0122】
次に、図19に太い実線の矢印a27で示すように、カップ61が上カップ位置から下カップ位置まで下降する。その後、基板洗浄装置1のユニット筐体2内から基板Wが搬出される。ユニット筐体2内から基板Wが搬出される際には、図示しない基板搬送ロボットのハンド(基板保持部)Maがユニット筐体2内に進入する直前のタイミングで、シャッタ91が閉状態から開状態に移行する(シャッタ開動作)。
【0123】
続いて、図20に太い実線の矢印a28で示すように、基板搬送ロボットのハンド(基板保持部)Maが搬入搬出口2xを通してユニット筐体2に進入する。続いて、ハンドMaは、吸着保持部21上の基板Wを受け取り、搬入搬出口2xから退出する。ハンドMaの退出後、シャッタ91が開状態から閉状態に移行する(シャッタ閉動作)。
【0124】
なお、上記の基板Wの搬出に連続して、未処理の新たな基板Wがユニット筐体2内に搬入されてもよい(基板Wの入れ替え)。この場合、図5のチャック制御部9Aおよび搬入搬出制御部9Iは、処理後の基板Wを搬出するためのシャッタ開動作の期間と上側保持装置10A,10Bが未処理の基板Wを受け取るための載置準備動作の期間との少なくとも一部が重複するように、各動作を開始させる。
【0125】
上記のように、下面ブラシ51は、基板洗浄装置1の電源がオンしている間、基本的に継続して回転している。図5の下面洗浄制御部9Eは、ブラシ洗浄液供給部57を制御することにより、予め定められたブラシ洗浄期間中、ブラシ洗浄液供給部57から図1のブラシノズル52a,52bにブラシ洗浄用の洗浄液を供給する。この場合、ブラシ洗浄期間は、ユニット筐体2内に基板Wが存在しない期間を含んでもよい。また、ブラシ洗浄期間は、上下方向において下面ブラシ51が下面ブラシ待機位置にある期間を含んでもよい。
【0126】
4.効果
(a)上記の基板洗浄装置1においては、基板Wが上側保持装置10A,10Bにより保持され、当該基板Wの下面中央領域が洗浄される。次に、受渡装置40の基板下降動作により、基板Wが上側保持装置10A,10Bから下側保持装置20に渡される。このとき、上側保持装置10A,10Bにより保持された基板Wは、受渡装置40の基板下降動作により上側保持装置10A,10Bの高さ位置から下側保持装置20の吸着保持部21の高さ位置まで下降する。その後、基板Wは吸着保持部21により吸着保持され、回転する。この状態で、基板Wの下面外側領域が下面洗浄装置50により洗浄される。基板Wの上面が上面洗浄装置70により洗浄され、基板Wの外周端部が端部洗浄装置80により洗浄される。基板Wから飛散する洗浄液がカップ61により受け止められ、回収または廃棄される。
【0127】
(b)カップ61は、下側保持装置20により保持される基板Wの洗浄が行われない期間中、下カップ位置で待機状態となる。これにより、カップ61と基板洗浄装置1の他の構成要素との間の干渉が防止される。そこで、下側保持装置20により保持される基板Wの洗浄が開始される直前に、カップ61を下カップ位置から上カップ位置に上昇させるカップ上昇動作が行われる。
【0128】
図5の受渡制御部9Dおよびカップ制御部9Fは、基板下降動作の期間およびカップ上昇動作の期間の少なくとも一部が互いに重複するように、各動作を開始させる。これにより、基板下降動作の期間およびカップ上昇動作の期間が重複しないように各動作が行われる場合に比べて、一の基板Wの処理に要する期間がそれらの期間の重複期間分短縮される。それにより、基板処理のスループットが向上する。
【0129】
なお、基板下降動作およびカップ上昇動作は、同時に開始されるか、または同時に終了するように行われることが好ましい。この場合、それらの2つの動作期間のうち少なくとも一方の動作期間分の重複期間を確保することができる。
【0130】
(c)また、図5の受渡制御部9Dおよび下面洗浄制御部9Eは、基板下降動作の期間および第2のブラシ準備動作の期間の少なくとも一部が互いに重複するように、各動作を開始させる。これにより、基板下降動作の期間および第2のブラシ準備動作の期間が重複しないように各動作が行われる場合に比べて、一の基板Wの処理に要する期間がそれらの期間の重複期間分短縮される。それにより、基板処理のスループットが向上する。
【0131】
なお、基板下降動作および第2のブラシ準備動作は、同時に開始されるか、または同時に終了するように行われることが好ましい。この場合、それらの2つの動作期間のうち少なくとも一方の動作期間分の重複期間を確保することができる。
【0132】
(d)また、図5の受渡制御部9Dおよび上面洗浄制御部9Gは、基板下降動作の期間および第1のノズル準備動作の期間の少なくとも一部が互いに重複するように、各動作を開始させる。これにより、基板下降動作の期間および第1のノズル準備動作の期間が重複しないように各動作が行われる場合に比べて、一の基板Wの処理に要する期間がそれらの期間の重複期間分短縮される。それにより、基板処理のスループットが向上する。
【0133】
なお、基板下降動作および第1のノズル準備動作は、同時に開始されるか、または同時に終了するように行われることが好ましい。この場合、それらの2つの動作期間のうち少なくとも一方の動作期間分の重複期間を確保することができる。
【0134】
(e)さらに、図5の受渡制御部9Dおよびベベル洗浄制御部9Hは、基板下降動作の期間および第3のブラシ準備動作の期間の少なくとも一部が互いに重複するように、各動作を開始させる。これにより、基板下降動作の期間および第3のブラシ準備動作の期間が重複しないように各動作が行われる場合に比べて、一の基板Wの処理に要する期間がそれらの期間の重複期間分短縮される。それにより、基板処理のスループットが向上する。
【0135】
なお、基板下降動作および第3のブラシ準備動作は、同時に開始されるか、または同時に終了するように行われることが好ましい。この場合、それらの2つの動作期間のうち少なくとも一方の動作期間分の重複期間を確保することができる。
【0136】
)本実施の形態では、さらに、基板下降動作の期間の少なくとも一部と、カップ上昇動作の期間の少なくとも一部と、第2のブラシ準備動作の期間の少なくとも一部と、第1のノズル準備動作の期間の少なくとも一部と、第3のブラシ準備動作の期間の少なくとも一部とが互いに重複する。このように、多数の動作が並行して行われる場合には、基板処理のスループットがより向上する。
【0137】
なお、基板下降動作、カップ上昇動作、第2のブラシ準備動作、第1のノズル準備動作および第3のブラシ準備動作は、同時に開始されるか、または同時に終了するように行われることが好ましい。この場合、基板処理のスループットをさらに向上させることが可能になる。
【0138】
5.他の実施の形態
(a)上記実施の形態では、基板下降動作の期間の少なくとも一部と、カップ上昇動作の期間の少なくとも一部と、第2のブラシ準備動作の期間の少なくとも一部と、第1のノズル準備動作の期間の少なくとも一部と、第3のブラシ準備動作の期間の少なくとも一部とが互いに重複する。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0139】
基板下降動作の期間およびカップ上昇動作の期間の少なくとも一部が重複する場合、第2のブラシ準備動作の期間、第1のノズル準備動作の期間および第3のブラシ準備動作の期間は、基板下降動作の期間に重複しなくてもよい。この場合においても、基板下降動作の期間およびカップ上昇動作の期間の少なくとも一部が重複することにより、上記のように、基板処理のスループットが向上する。
【0140】
基板下降動作の期間および第2のブラシ準備動作の期間の少なくとも一部が重複する場合、カップ上昇動作の期間、第1のノズル準備動作の期間および第3のブラシ準備動作の期間は、基板下降動作の期間に重複しなくてもよい。この場合においても、基板下降動作の期間および第2のブラシ準備動作の期間の少なくとも一部が重複することにより、上記のように、基板処理のスループットが向上する。
【0141】
基板下降動作の期間および第1のノズル準備動作の期間の少なくとも一部が重複する場合、カップ上昇動作の期間、第2のブラシ準備動作の期間および第3のブラシ準備動作の期間は、基板下降動作の期間に重複しなくてもよい。この場合においても、基板下降動作の期間および第1のノズル準備動作の期間の少なくとも一部が重複することにより、上記のように、基板処理のスループットが向上する。
【0142】
基板下降動作の期間および第3のブラシ準備動作の期間の少なくとも一部が重複する場合、カップ上昇動作の期間、第2のブラシ準備動作の期間および第1のノズル準備動作の期間は、基板下降動作の期間に重複しなくてもよい。この場合においても、基板下降動作の期間および第3のブラシ準備動作の期間の少なくとも一部が重複することにより、上記のように、基板処理のスループットが向上する。
【0143】
(b)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1は、下側保持装置20により吸着保持された基板Wの下面外側領域にリンス液を供給するバックリンスノズルを有してもよい。さらに、基板洗浄装置1は、下側保持装置20により吸着保持された基板Wの上面にリンス液を供給するリンスノズルを有してもよい。
【0144】
図21は、他の実施の形態に係る基板洗浄装置1の模式的平面図である。図22は、図21の基板洗浄装置1の制御系統の構成を示すブロック図である。図21の模式的平面図は、図1の模式的平面図に対応する。図22のブロック図は、図5のブロック図に対応する。図21の基板洗浄装置1について、上記実施の形態に係る基板洗浄装置1と異なる点を説明する。
【0145】
図21に示すように、本例の基板洗浄装置1は、上側保持装置10A,10B、下側保持装置20、台座装置30、受渡装置40、下面洗浄装置50、カップ装置60、上面洗浄装置70、端部洗浄装置80および開閉装置90に加えて、上面リンス装置210をさらに備える。
【0146】
上面リンス装置210は、X方向におけるカップ61の側方の位置で端部洗浄装置80に隣り合うように設けられている。上面リンス装置210は、回転支持軸211、アーム212、リンスノズル213およびリンス駆動部214を含む。
【0147】
回転支持軸211は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能にリンス駆動部214により支持される。アーム212は、上側保持装置10Aよりも上方の位置で、回転支持軸211の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム212の先端部には、リンスノズル213が取り付けられている。
【0148】
リンスノズル213には、リンス液供給部215(図22)が接続される。リンス液供給部215は、リンスノズル213にリンス液を供給する。本例では、リンスノズル213に供給される洗浄液として純水が用いられる。リンスノズル213は、スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄中または洗浄後でかつ基板Wの乾燥前に、リンス液供給部215から供給される洗浄液を基板Wの上面に吐出する。
【0149】
リンス駆動部214は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸211を昇降させるとともに、回転支持軸211を回転させる。上記の構成によれば、図21に太い点線の矢印で示すように、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの上面上で、リンスノズル213を円弧状に移動させることにより、基板Wの上面全体にリンス液を供給することができる。
【0150】
また、上記のように、基板洗浄装置1がさらにバックリンスノズルを有する場合には、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの下面にもリンス液を供給することができる。このように、図21の基板洗浄装置1によれば、洗浄後または洗浄中の基板Wの上面および下面に対してリンス処理が可能である。
【0151】
図22に示すように、本例の制御装置170は、機能部として、図5に記載された各種制御部に加えて、リンス制御部9Jを含む。リンス制御部9Jの機能は、他の制御部と同様に、CPUが記憶装置に記憶された基板洗浄プログラムをRAM上で実行することにより実現される。リンス制御部9Jの一部または全部が電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。リンス制御部9Jは、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの上面にリンス処理を施すために、リンス駆動部214およびリンス液供給部215を制御する。
【0152】
図21の基板洗浄装置1においても、上記実施の形態に係る基板洗浄装置1と基本的に同様に、一の基板Wについて図6図20に示される一連の処理が行われる。ここで、上記の一連の処理中に、図22のリンス制御部9Jは、以下に示すように、リンス駆動部214およびリンス液供給部215を制御してもよい。
【0153】
図23は、図22のリンス制御部9Jによるリンス駆動部214およびリンス液供給部215の一制御例を説明するための側面図である。図23の側面図は、図21の基板洗浄装置1をY方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図であり、図21のC-C線側面図に対応する。さらに、図23の側面図により示される基板洗浄装置1の動作状態のタイミングは、上記実施の形態に係る基板洗浄装置1の図15の動作状態のタイミングに対応する。
【0154】
図23に示すように、本例では、受渡装置40の基板下降動作の期間のうち少なくとも一部の期間に重複するように、第2のノズル準備動作が行われる。第2のノズル準備動作は、リンスノズル213をカップ61の側方のリンスノズル待機位置から基板Wの上方のリンスノズル処理位置に向かって移動させる動作である。
【0155】
第2のノズル準備動作の開始時点で、リンスノズル213は、基板W、上側保持装置10A,10Bおよびカップ61よりも上方の高さ位置で保持されている。第2のノズル準備動作が開始されると、上面リンス装置210の回転支持軸211が回転する。それにより、図23に太い実線の矢印a29で示すように、リンスノズル213がリンスノズル待機位置から基板Wの上方の位置まで移動する。続いて、回転支持軸211が所定距離下降する。それにより、リンスノズル213の先端部が基板Wの上面から数cm程度上方の高さ位置まで下降し、リンスノズル213がリンスノズル処理位置に到達する。その後、リンスノズル処理位置にあるリンスノズル213から基板Wの上面にリンス液が供給される。
【0156】
本例では、図22の受渡制御部9Dおよびリンス制御部9Jは、基板下降動作の期間および第2のノズル準備動作の期間の少なくとも一部が互いに重複するように、各動作を開始させる。これにより、基板下降動作の期間および第2のノズル準備動作の期間が重複しないように各動作が行われる場合に比べて、一の基板Wの処理に要する期間がそれらの期間の重複期間分短縮される。それにより、基板処理のスループットが向上する。なお、図21の基板洗浄装置1には、下面洗浄装置50が設けられなくてもよいし、上面洗浄装置70が設けられなくてもよいし、端部洗浄装置80が設けられなくてもよい。
【0157】
なお、本例においても、受渡装置40の基板下降動作の期間のうち少なくとも一部の期間に重複するように、カップ上昇動作(図23の矢印a15)、第2のブラシ準備動作、第1のノズル準備動作(図23の矢印a17)および第3のブラシ準備動作(図23の矢印a19)が行われる。しかしながら、これらの動作(カップ上昇動作、第2のブラシ準備動作、第1のノズル準備動作および第3のブラシ準備動作)は、受渡装置40の基板下降動作の期間に重複しないように行われてもよい。
【0158】
(c)上記実施の形態では、上側保持装置10A,10Bにより保持された基板Wに対して、下面ブラシ51が基板Wの下面のうち最初に接触すべき予め定められた領域(初期接触領域)が基板Wの下面中央領域に設定されているが、本発明はこれに限定されない。初期接触領域は、下面中央領域からY方向に所定距離ずれた位置に設定されていてもよい。この場合、基板Wの下面中央領域の洗浄時には、下面ブラシ51が初期接触領域に接触した後、下面ブラシ51が下面上で初期接触領域から下面中央領域に移動するように可動台座32が動作する。
【0159】
(d)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、上側保持装置10A,10Bは、基板Wの外周端部を保持するように構成されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、上側保持装置10A,10Bの各々は、上記の下チャック11A,11Bおよび上チャック12A,12Bに代えて、複数の吸着パッドを備え、基板Wの下面の一部を吸着保持可能に構成されてもよい。この場合、上側保持装置10A,10Bは、基板Wの周縁部として、基板Wの下面外側領域を吸着保持する。それにより、基板Wが上側保持装置10A,10Bにより吸着保持された状態で、基板Wの下面中央領域を洗浄することができる。
【0160】
(e)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、上側保持装置10A,10Bから下側保持装置20に基板Wを渡すために、受渡装置40による複数の支持ピン41の上下移動動作が行われるが、本発明はこれに限定されない。
【0161】
基板洗浄装置1には、下側保持装置20を上側保持装置10A,10Bに対して相対的に昇降させる昇降駆動部が設けられてもよい。あるいは、上側保持装置10A,10Bを下側保持装置20に対して相対的に昇降させる昇降駆動部が設けられてもよい。これらの場合、下側保持装置20および上側保持装置10A,10Bのうち少なくとも一方が他方に対して相対的に昇降動作することにより、複数の支持ピン41を用いることなく2つの保持装置間で基板Wの受渡を行うことが可能になる。この場合、受渡装置40が不要となり、下側保持装置20の昇降駆動部または上側保持装置10A,10Bの昇降駆動部が、基板下降動作を行う構成要素として機能する。
【0162】
(f)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、上側保持装置10A,10Bから下側保持装置20に基板Wを渡すために、台座装置30による可動台座32の水平移動動作が行われるが、本発明はこれに限定されない。
【0163】
基板洗浄装置1には、上側保持装置10A,10Bを下側保持装置20に対してY方向に相対的に移動させる移動駆動部が設けられてもよい。この場合、上側保持装置10A,10Bが下側保持装置20に対してY方向に相対的に移動することにより、下側保持装置20を水平方向に移動させることなく2つの保持装置間で基板Wの受渡を行うことが可能になる。
【0164】
(g)上記実施の形態に示すように、基板洗浄用の洗浄液とブラシ洗浄用の洗浄液とが同じである場合、2つの基板ノズル52は設けられなくてもよい。この場合、基板Wの下面中央領域の洗浄時および基板Wの下面外側領域の洗浄時に、ブラシノズル52a,52bから下面ブラシ51に吐出される洗浄液を基板洗浄用の洗浄液として用いることができる。
【0165】
(h)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、下面ブラシ51による基板Wの下面中央領域の洗浄中に2つの基板ノズル52から基板Wに洗浄液が供給されるが、本発明はこれに限定されない。
【0166】
基板洗浄装置1においては、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄前に、予め下面ブラシ51を洗浄することにより下面ブラシ51に洗浄液を浸み込ませてもよい。この場合、洗浄液が浸み込んだ下面ブラシ51を基板Wの下面に接触させることにより、下面ブラシ51が基板Wに接触する状態で、新たな洗浄液の供給を要することなく基板Wの下面を洗浄することができる。
【0167】
(i)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1は、下面洗浄装置50、上面洗浄装置70、端部洗浄装置80のうち少なくとも1つの装置を有すればよく、少なくとも1つの装置以外の装置が設けられなくてもよい。さらに、上記実施の形態に係る基板洗浄装置1は、上側保持装置10A,10Bにより保持された基板Wに対して、洗浄処理以外の処理を行う構成要素を有してもよい。
【0168】
6.請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0169】
上記実施の形態においては、基板洗浄装置1が基板処理装置の例であり、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの高さ位置が第1の高さ位置の例であり、上側保持装置10A,10Bが第1の基板保持部の例であり、下側保持装置20により保持される基板Wの高さ位置が第2の高さ位置の例であり、下側保持装置20が第2の基板保持部の例である。
【0170】
また、下面ブラシ51による基板Wの下面中央領域の洗浄処理が第1の処理の例であり、基板Wの上面の洗浄処理、基板Wの外周端部の洗浄処理、基板Wの下面外側領域の洗浄処理および基板Wのリンス処理が第2の処理の例であり、下面洗浄装置50、上面洗浄装置70、端部洗浄装置80および上面リンス装置210が処理部の例である。
【0171】
また、受渡装置40が基板移動部の例であり、制御装置170が制御部の例であり、カップ61が処理カップの例であり、カップ駆動部62がカップ駆動部の例であり、下面ブラシ51が下面ブラシの例であり、昇降支持部54および下面ブラシ昇降駆動部55bが下面ブラシ移動部の例である。
【0172】
また、洗浄液およびリンス液が処理液の例であり、スプレーノズル73およびリンスノズル213が流体ノズルの例であり、回転支持軸71、アーム72、上面洗浄駆動部74、回転支持軸211、アーム212およびリンス駆動部214がノズル移動部の例であり、ベベルブラシ83が端部ブラシの例であり、回転支持軸81、アーム82およびベベルブラシ駆動部84が端部ブラシ移動部の例である。
【0173】
7.実施の形態の総括
(第1項)第1項に係る基板処理装置は、
第1の高さ位置で基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、
前記第1の高さ位置よりも下方の第2の高さ位置で基板を保持可能に構成された第2の基板保持部と、
前記第1の基板保持部により保持された基板に第1の処理を行うことが可能かつ前記第2の基板保持部により保持された基板に第2の処理を行うことが可能に構成された処理部と、
前記第1の基板保持部から前記第2の基板保持部に基板を渡すために、基板を前記第1の高さ位置から前記第2の高さ位置に下降させる基板下降動作を行う基板移動部と、
制御部とを備え、
前記第2の処理は、処理液を用いた処理を含み、
前記処理部は、平面視で前記第2の基板保持部を取り囲むように形成されるとともに、前記第2の高さ位置に対応する上カップ位置と、前記上カップ位置よりも下方の下カップ位置との間で昇降可能に設けられた処理カップと、
前記処理カップを昇降させるカップ駆動部とを含み、
前記制御部は、前記基板移動部および前記カップ駆動部を制御することにより、前記基板移動部による前記基板下降動作、および前記処理カップを前記下カップ位置から前記上カップ位置に向かって上昇させるカップ上昇動作を、前記基板下降動作の期間および前記カップ上昇動作の期間の少なくとも一部が重複するように行わせる。
【0174】
その基板処理装置においては、基板が第1の高さ位置で第1の基板保持部により保持され、第1の処理が行われる。次に、基板が第1の基板保持部から第2の基板保持部に渡される。このとき、基板下降動作により基板が第1の高さ位置から第2の高さ位置に下降する。基板が第2の高さ位置で第2の基板保持部により保持され、第2の処理が行われる。
【0175】
第2の処理では、処理液が用いられる。そこで、処理カップが上カップ位置に配置される。第2の処理に用いられる処理液は、上カップ位置にある処理カップにより受け止められる。処理カップは、処理液を受け止めない場合、他の部材との干渉を防止するために、下カップ位置に退避する。そのため、第2の処理を開始する際には、処理カップを下カップ位置から上カップ位置に上昇させる必要がある。上記の基板処理装置によれば、基板下降動作の期間、およびカップ上昇動作の期間の少なくとも一部が重複する。これらの期間が重複する期間を重複期間と呼ぶ。
【0176】
これにより、基板下降動作により基板が第2の高さ位置に下降した後にカップ上昇動作が開始される場合に比べて、一の基板の処理に要する期間が重複期間分短縮される。また、カップ上昇動作後に基板下降動作が開始される場合に比べて、一の基板の処理に要する期間が重複期間分短縮される。したがって、基板処理のスループットが向上する。
【0177】
(第2項)第2項に係る基板処理装置は、
第1の高さ位置で基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、
前記第1の高さ位置よりも下方の第2の高さ位置で基板を保持可能に構成された第2の基板保持部と、
前記第1の基板保持部により保持された基板に第1の処理を行うことが可能かつ前記第2の基板保持部により保持された基板に第2の処理を行うことが可能に構成された処理部と、
前記第1の基板保持部から前記第2の基板保持部に基板を渡すために、基板を前記第1の高さ位置から前記第2の高さ位置に下降させる基板下降動作を行う基板移動部と、
制御部とを備え、
前記処理部は、
基板の下面に接触することにより前記下面を洗浄する下面ブラシと、
前記下面ブラシを、前記第2の基板保持部により保持された基板の前記下面に接触する下面ブラシ処理位置と前記下面ブラシ処理位置から離間した下面ブラシ待機位置との間で移動させることが可能に構成された下面ブラシ移動部とを含み、
前記第2の処理は、前記下面ブラシによる基板の前記下面の洗浄処理を含み、
前記制御部は、前記基板移動部および前記下面ブラシ移動部を制御することにより、前記基板移動部による前記基板下降動作、および前記下面ブラシを前記下面ブラシ待機位置から前記下面ブラシ処理位置に移動させる下面ブラシ準備動作を、前記基板下降動作の期間および前記下面ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部が重複するように行わせる。
【0178】
その基板処理装置においては、基板が第1の高さ位置で第1の基板保持部により保持され、第1の処理が行われる。次に、基板が第1の基板保持部から第2の基板保持部に渡される。このとき、基板下降動作により基板が第1の高さ位置から第2の高さ位置に下降する。基板が第2の高さ位置で第2の基板保持部により保持され、第2の処理が行われる。
【0179】
第2の処理は、下面ブラシによる基板の下面の洗浄処理を含む。下面ブラシは、基板の下面の洗浄が行われない間、下面ブラシ待機位置に保持される。そのため、第2の処理を開始する際には、下面ブラシを下面ブラシ待機位置から下面ブラシ処理位置に移動させる必要がある。上記の基板処理装置によれば、基板下降動作の期間および下面ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部が重複する。これらの期間が重複する期間を重複期間と呼ぶ。
【0180】
これにより、基板下降動作により基板が第2の高さ位置に下降した後に下面ブラシ準備動作が開始される場合に比べて、一の基板の処理に要する期間が重複期間分短縮される。したがって、基板処理のスループットが向上する。
【0181】
(第3項)第3項に係る基板処理装置は、
第1の高さ位置で基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、
前記第1の高さ位置よりも下方の第2の高さ位置で基板を保持可能に構成された第2の基板保持部と、
前記第1の基板保持部により保持された基板に第1の処理を行うことが可能かつ前記第2の基板保持部により保持された基板に第2の処理を行うことが可能に構成された処理部と、
前記第1の基板保持部から前記第2の基板保持部に基板を渡すために、基板を前記第1の高さ位置から前記第2の高さ位置に下降させる基板下降動作を行う基板移動部と、
制御部とを備え、
前記処理部は、
基板の上面に処理液を含む流体を吐出する流体ノズルと、
前記流体ノズルを、前記第2の基板保持部により保持された基板の上方のノズル処理位置と前記第2の基板保持部により保持された基板から側方に離間したノズル待機位置との間で移動させることが可能に構成されたノズル移動部とを含み、
前記第2の処理は、前記流体ノズルによる基板の前記上面の洗浄処理を含み、
前記制御部は、前記基板移動部および前記ノズル移動部を制御することにより、前記基板移動部による前記基板下降動作、および前記流体ノズルを前記ノズル待機位置から前記ノズル処理位置に移動させるノズル準備動作を、前記基板下降動作の期間および前記ノズル準備動作の期間の少なくとも一部が重複するように行わせる。
【0182】
その基板処理装置においては、基板が第1の高さ位置で第1の基板保持部により保持され、第1の処理が行われる。次に、基板が第1の基板保持部から第2の基板保持部に渡される。このとき、基板下降動作により基板が第1の高さ位置から第2の高さ位置に下降する。基板が第2の高さ位置で第2の基板保持部により保持され、第2の処理が行われる。
【0183】
第2の処理は、流体ノズルによる基板の上面の洗浄処理を含む。流体ノズルは、基板の上面の洗浄が行われない間、ノズル待機位置に保持される。そのため、第2の処理を開始する際には、流体ノズルをノズル待機位置からノズル処理位置に移動させる必要がある。上記の基板処理装置によれば、基板下降動作の期間およびノズル準備動作の期間との少なくとも一部が重複する。これらの期間が重複する期間を重複期間と呼ぶ。
【0184】
これにより、基板下降動作により基板が第2の高さ位置に下降した後ノズル準備動作が開始される場合に比べて、一の基板の処理に要する期間が重複期間分短縮される。したがって、基板処理のスループットが向上する。
【0185】
(第4項)第4項に係る基板処理装置は、
第1の高さ位置で基板を保持可能に構成された第1の基板保持部と、
前記第1の高さ位置よりも下方の第2の高さ位置で基板を保持可能に構成された第2の基板保持部と、
前記第1の基板保持部により保持された基板に第1の処理を行うことが可能かつ前記第2の基板保持部により保持された基板に第2の処理を行うことが可能に構成された処理部と、
前記第1の基板保持部から前記第2の基板保持部に基板を渡すために、基板を前記第1の高さ位置から前記第2の高さ位置に下降させる基板下降動作を行う基板移動部と、
制御部とを備え、
前記処理部は、
基板の外周端部に接触することにより前記外周端部を洗浄する端部ブラシと、
前記端部ブラシを、前記第2の基板保持部により保持された基板の外周端部に接触する端部ブラシ処理位置と前記第2の基板保持部により保持された基板から側方に離間した端部ブラシ待機位置との間で移動させることが可能に構成された端部ブラシ移動部とを含み、
前記第2の処理は、前記端部ブラシによる基板の前記外周端部の洗浄処理を含み、
前記制御部は、前記基板移動部および前記端部ブラシ移動部を制御することにより、前記基板移動部による前記基板下降動作、および前記端部ブラシを前記端部ブラシ待機位置から前記端部ブラシ処理位置に移動させる端部ブラシ準備動作を、前記基板下降動作の期間および前記端部ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部が重複するように行わせる。
【0186】
その基板処理装置においては、基板が第1の高さ位置で第1の基板保持部により保持され、第1の処理が行われる。次に、基板が第1の基板保持部から第2の基板保持部に渡される。このとき、基板下降動作により基板が第1の高さ位置から第2の高さ位置に下降する。基板が第2の高さ位置で第2の基板保持部により保持され、第2の処理が行われる。
【0187】
第2の処理は、端部ブラシによる基板の外周端部の洗浄処理を含む。端部ブラシは、基板の外周端部の洗浄が行われない間、端部ブラシ待機位置に保持される。そのため、第2の処理を開始する際には、端部ブラシを端部ブラシ待機位置から端部ブラシ処理位置に移動させる必要がある。上記の基板処理装置によれば、基板下降動作の期間、および端部ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部が重複する。これらの期間が重複する期間を重複期間と呼ぶ。
【0188】
これにより、基板下降動作により基板が第2の高さ位置に下降した後端部ブラシ準備動作が開始される場合に比べて、一の基板の処理に要する期間が重複期間分短縮される。したがって、基板処理のスループットが向上する。
【0189】
(第5項)第1項に係る基板処理装置において、
前記処理部は、
基板の下面に接触することにより前記下面を洗浄する下面ブラシと、
前記下面ブラシを、前記第2の基板保持部により保持された基板の前記下面に接触する下面ブラシ処理位置と前記下面ブラシ処理位置から離間した下面ブラシ待機位置との間で移動させることが可能に構成された下面ブラシ移動部と、
基板の上面に処理液を含む流体を吐出する流体ノズルと、
前記流体ノズルを、前記第2の基板保持部により保持された基板の上方のノズル処理位置と前記第2の基板保持部により保持された基板から離間したノズル待機位置との間で移動させることが可能に構成されたノズル移動部と、
基板の外周端部に接触することにより前記外周端部を洗浄する端部ブラシと、
前記端部ブラシを、前記第2の基板保持部により保持された基板の外周端部に接触する端部ブラシ処理位置と前記第2の基板保持部により保持された基板から離間した端部ブラシ待機位置との間で移動させることが可能に構成された端部ブラシ移動部とを含み、
前記第2の処理は、前記処理液を用いた処理として前記下面ブラシによる基板の前記下面の洗浄処理、前記流体ノズルによる基板の前記上面の洗浄処理、および前記端部ブラシによる基板の前記外周端部の洗浄処理を含み、
前記制御部は、前記基板移動部および前記カップ駆動部に加えて、前記下面ブラシ移動部、前記ノズル移動部および前記端部ブラシ移動部を制御することにより、前記基板下降動作、前記カップ上昇動作、前記下面ブラシを前記下面ブラシ待機位置から前記下面ブラシ処理位置に移動させる下面ブラシ準備動作、前記流体ノズルを前記ノズル待機位置から前記ノズル処理位置に移動させるノズル準備動作、および前記端部ブラシを前記端部ブラシ待機位置から前記端部ブラシ処理位置に移動させる端部ブラシ準備動作を、前記基板下降動作の期間の少なくとも一部、前記カップ上昇動作の期間の少なくとも一部、前記下面ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部、前記ノズル準備動作の期間の少なくとも一部、および前記端部ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部のうち3以上の期間が互いに重複するように行わせてもよい。
【0190】
この場合、第2の処理は、下面ブラシによる基板の下面の洗浄処理、流体ノズルによる基板の上面の洗浄処理、および端部ブラシによる基板の外周端部の洗浄処理を含む。
【0191】
下面ブラシは、基板の下面の洗浄が行われない間、下面ブラシ待機位置に保持される。そのため、第2の処理を開始する際には、下面ブラシを下面ブラシ待機位置から下面ブラシ処理位置に移動させる必要がある。
【0192】
流体ノズルは、基板の上面の洗浄が行われない間、ノズル待機位置に保持される。そのため、第2の処理を開始する際には、流体ノズルをノズル待機位置からノズル処理位置に移動させる必要がある。
【0193】
端部ブラシは、基板の外周端部の洗浄が行われない間、端部ブラシ待機位置に保持される。そのため、第2の処理を開始する際には、端部ブラシを端部ブラシ待機位置から端部ブラシ処理位置に移動させる必要がある。
【0194】
上記の基板処理装置によれば、基板下降動作の期間の少なくとも一部、カップ上昇動作の期間の少なくとも一部、下面ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部、ノズル準備動作の期間の少なくとも一部、および端部ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部のうち3以上の期間が互いに重複する。これらの3以上の期間が重複する期間を重複期間と呼ぶ。
【0195】
これにより、基板下降動作、カップ上昇動作、下面ブラシ準備動作、ノズル準備動作、および端部ブラシ準備動作が、それらの期間のうち3以上の期間が互いに重複しないように行われる場合に比べて、一の基板の処理に要する期間が重複期間分短縮される。したがって、基板処理のスループットが向上する。
【0196】
(第6項)第6項に係る基板処理方法は、
第1の高さ位置で第1の基板保持部により保持された基板に第1の処理を行うステップと、
第1の高さ位置よりも下方の第2の高さ位置で第2の基板保持部により保持された基板に処理液を用いた第2の処理を行うステップと、
前記第1の処理後前記第2の処理前に、前記第1の基板保持部から前記第2の基板保持部に基板を渡すために、基板を前記第1の高さ位置から前記第2の高さ位置に下降させる基板下降動作を行うステップと、
平面視で前記第2の基板保持部を取り囲むように形成されるとともに昇降可能に設けられた処理カップを前記第2の高さ位置に対応する上カップ位置に配置することにより、前記第2の処理で用いられる処理液を受け止めるステップと、
前記処理カップを、前記上カップ位置と前記上カップ位置よりも下方の下カップ位置との間で昇降させるステップとを含み、
前記第1の処理後前記第2の処理前に、前記基板下降動作の期間および前記処理カップを前記下カップ位置から前記上カップ位置に上昇させるカップ上昇動作の期間の少なくとも一部が重複するように、前記基板下降動作を行うステップと前記処理カップを昇降させるステップとが開始される。
【0197】
その基板処理方法においては、基板が第1の高さ位置で第1の基板保持部により保持され、第1の処理が行われる。次に、基板が第1の基板保持部から第2の基板保持部に渡される。このとき、基板下降動作により基板が第1の高さ位置から第2の高さ位置に下降する。基板が第2の高さ位置で第2の基板保持部により保持され、第2の処理が行われる。
【0198】
第2の処理では、処理液が用いられる。そこで、処理カップが上カップ位置に配置される。第2の処理に用いられる処理液は、上カップ位置にある処理カップにより受け止められる。処理カップは、処理液を受け止めない場合、他の部材との干渉を防止するために、下カップ位置に退避する。そのため、第2の処理を開始する際には、処理カップを下カップ位置から上カップ位置に上昇させる必要がある。上記の基板処理方法によれば、基板下降動作の期間、およびカップ上昇動作の期間の少なくとも一部が重複する。これらの期間が重複する期間を重複期間と呼ぶ。
【0199】
これにより、基板下降動作により基板が第2の高さ位置に下降した後にカップ上昇動作が開始される場合に比べて、一の基板の処理に要する期間が重複期間分短縮される。また、カップ上昇動作後に基板下降動作が開始される場合に比べて、一の基板の処理に要する期間が重複期間分短縮される。したがって、基板処理のスループットが向上する。
【0200】
(第7項)第7項に係る基板処理方法は、
第1の高さ位置で第1の基板保持部により保持された基板に第1の処理を行うステップと、
第1の高さ位置よりも下方の第2の高さ位置で第2の基板保持部により保持された基板の下面に下面ブラシを接触させて基板の前記下面を洗浄することを含む第2の処理を行うステップと、
前記第1の処理後前記第2の処理前に、前記第1の基板保持部から前記第2の基板保持部に基板を渡すために、基板を前記第1の高さ位置から前記第2の高さ位置に下降させる基板下降動作を行うステップと、
前記下面ブラシを、前記第2の基板保持部により保持された基板の前記下面に接触する下面ブラシ処理位置と前記下面ブラシ処理位置から離間した下面ブラシ待機位置との間で移動させるステップとを含み、
前記第1の処理後前記第2の処理前に、前記基板下降動作の期間および前記下面ブラシを前記下面ブラシ待機位置から前記下面ブラシ処理位置に移動させる下面ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部が重複するように、前記基板下降動作を行うステップおよび前記下面ブラシを移動させるステップが開始される。
【0201】
その基板処理方法においては、基板が第1の高さ位置で第1の基板保持部により保持され、第1の処理が行われる。次に、基板が第1の基板保持部から第2の基板保持部に渡される。このとき、基板下降動作により基板が第1の高さ位置から第2の高さ位置に下降する。基板が第2の高さ位置で第2の基板保持部により保持され、第2の処理が行われる。
【0202】
第2の処理は、下面ブラシによる基板の下面の洗浄処理を含む。下面ブラシは、基板の下面の洗浄が行われない間、下面ブラシ待機位置に保持される。そのため、第2の処理を開始する際には、下面ブラシを下面ブラシ待機位置から下面ブラシ処理位置に移動させる必要がある。上記の基板処理方法によれば、基板下降動作の期間と、下面ブラシ準備動作の期間との少なくとも一部が重複する。これらの期間が重複する期間を重複期間と呼ぶ。
【0203】
これにより、基板下降動作により基板が第2の高さ位置に下降した後に下面ブラシ準備動作が開始される場合に比べて、一の基板の処理に要する期間が重複期間分短縮される。したがって、基板処理のスループットが向上する。
【0204】
(第8項)第8項に係る基板処理方法は、
第1の高さ位置で第1の基板保持部により保持された基板に第1の処理を行うステップと、
前記第1の高さ位置よりも下方の第2の高さ位置で第2の基板保持部により保持された基板の上面に流体ノズルから処理液を含む流体を吐出して基板の前記上面を洗浄することを含む第2の処理を行うステップと、
前記第1の処理後前記第2の処理前に、前記第1の基板保持部から前記第2の基板保持部に基板を渡すために、基板を前記第1の高さ位置から前記第2の高さ位置に下降させる基板下降動作を行うステップと、
前記流体ノズルを、前記第2の基板保持部により保持された基板の上方のノズル処理位置と前記第2の基板保持部により保持された基板から側方に離間したノズル待機位置との間で移動させるステップとを含み、
前記第1の処理後前記第2の処理前に、前記基板下降動作の期間および前記流体ノズルを前記ノズル待機位置から前記ノズル処理位置に移動させるノズル準備動作の期間の少なくとも一部が重複するように、前記基板下降動作を行うステップおよび前記流体ノズルを移動させるステップが開始される。
【0205】
その基板処理方法においては、基板が第1の高さ位置で第1の基板保持部により保持され、第1の処理が行われる。次に、基板が第1の基板保持部から第2の基板保持部に渡される。このとき、基板下降動作により基板が第1の高さ位置から第2の高さ位置に下降する。基板が第2の高さ位置で第2の基板保持部により保持され、第2の処理が行われる。
【0206】
第2の処理は、流体ノズルによる基板の上面の洗浄処理を含む。流体ノズルは、基板の上面の洗浄が行われない間、ノズル待機位置に保持される。そのため、第2の処理を開始する際には、流体ノズルをノズル待機位置からノズル処理位置に移動させる必要がある。上記の基板処理方法によれば、基板下降動作の期間およびノズル準備動作の期間の少なくとも一部が重複する。これらの期間が重複する期間を重複期間と呼ぶ。
【0207】
これにより、基板下降動作により基板が第2の高さ位置に下降した後にノズル準備動作が開始される場合に比べて、一の基板の処理に要する期間が重複期間分短縮される。したがって、基板処理のスループットが向上する。
【0208】
(第9項)第9項に係る基板処理方法は、
第1の高さ位置で第1の基板保持部により保持された基板に第1の処理を行うステップと、
前記第1の高さ位置よりも下方の第2の高さ位置で第2の基板保持部により保持された基板の外周端部に端部ブラシを接触させて基板の前記外周端部を洗浄することを含む第2の処理を行うステップと、
前記第1の処理後前記第2の処理前に、前記第1の基板保持部から前記第2の基板保持部に基板を渡すために、基板を前記第1の高さ位置から前記第2の高さ位置に下降させる基板下降動作を行うステップと、
前記端部ブラシを、前記第2の基板保持部により保持された基板の前記外周端部に接触する端部ブラシ処理位置と前記第2の基板保持部により保持された基板から側方に離間した端部ブラシ待機位置との間で移動させるステップとを含み、
前記第1の処理後前記第2の処理前に、前記基板下降動作の期間および前記端部ブラシを前記端部ブラシ待機位置から前記端部ブラシ処理位置に移動させる端部ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部が重複するように、前記基板下降動作を行うステップと前記端部ブラシを移動させるステップとが開始される。
【0209】
その基板処理方法においては、基板が第1の高さ位置で第1の基板保持部により保持され、第1の処理が行われる。次に、基板が第1の基板保持部から第2の基板保持部に渡される。このとき、基板下降動作により基板が第1の高さ位置から第2の高さ位置に下降する。基板が第2の高さ位置で第2の基板保持部により保持され、第2の処理が行われる。
【0210】
第2の処理は、端部ブラシによる基板の外周端部の洗浄処理を含む。端部ブラシは、基板の外周端部の洗浄が行われない間、端部ブラシ待機位置に保持される。そのため、第2の処理を開始する際には、端部ブラシを端部ブラシ待機位置から端部ブラシ処理位置に移動させる必要がある。上記の基板処理方法によれば、基板下降動作の期間、および端部ブラシ準備動作の期間との少なくとも一部が重複する。これらの期間が重複する期間を重複期間と呼ぶ。
【0211】
これにより、基板下降動作により基板が第2の高さ位置に下降した後端部ブラシ準備動作が開始される場合に比べて、一の基板の処理に要する期間が重複期間分短縮される。したがって、基板処理のスループットが向上する。
【0212】
(第10項)第6項に係る基板処理方法において、
処理液を用いた前記第2の処理は、
前記第1の高さ位置よりも下方の前記第2の高さ位置で前記第2の基板保持部により保持された基板の下面に下面ブラシを接触させて基板の前記下面を洗浄することと、
前記第1の高さ位置よりも下方の前記第2の高さ位置で前記第2の基板保持部により保持された基板の上面に流体ノズルから処理液を含む流体を吐出して基板の前記上面を洗浄することと、
前記第1の高さ位置よりも下方前記の第2の高さ位置で前記第2の基板保持部により保持された基板の外周端部に端部ブラシを接触させて基板の前記外周端部を洗浄することとを含み、
前記基板処理方法は、
前記下面ブラシを、前記第2の基板保持部により保持された基板の前記下面に接触する下面ブラシ処理位置と前記下面ブラシ処理位置から離間した下面ブラシ待機位置との間で移動させるステップと、
前記流体ノズルを、前記第2の基板保持部により保持された基板の上方のノズル処理位置と前記第2の基板保持部により保持された基板から側方に離間したノズル待機位置との間で移動させるステップと、
前記端部ブラシを、前記第2の基板保持部により保持された基板の前記外周端部に接触する端部ブラシ処理位置と前記第2の基板保持部により保持された基板から側方に離間した端部ブラシ待機位置との間で移動させるステップとをさらに含み、
前記第1の処理後前記第2の処理前に、前記基板下降動作の期間の少なくとも一部、前記カップ上昇動作の期間の少なくとも一部、前記下面ブラシを前記下面ブラシ待機位置から前記下面ブラシ処理位置に移動させる下面ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部、前記流体ノズルを前記ノズル待機位置から前記ノズル処理位置に移動させるノズル準備動作の期間の少なくとも一部、および前記端部ブラシを前記端部ブラシ待機位置から前記端部ブラシ処理位置に移動させる端部ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部のうち3以上の期間が互いに重複するように、前記基板下降動作を行うステップ、前記処理液を受け止めるステップ、前記下面ブラシを移動させるステップ、前記流体ノズルを移動させるステップ、および前記端部ブラシを移動させるステップが開始されてもよい。
【0213】
この場合、第2の処理は、下面ブラシによる基板の下面の洗浄処理、流体ノズルによる基板の上面の洗浄処理、および端部ブラシによる基板の外周端部の洗浄処理を含む。
【0214】
下面ブラシは、基板の下面の洗浄が行われない間、下面ブラシ待機位置に保持される。そのため、第2の処理を開始する際には、下面ブラシを下面ブラシ待機位置から下面ブラシ処理位置に移動させる必要がある。
【0215】
流体ノズルは、基板の上面の洗浄が行われない間、ノズル待機位置に保持される。そのため、第2の処理を開始する際には、流体ノズルをノズル待機位置からノズル処理位置に移動させる必要がある。
【0216】
端部ブラシは、基板の外周端部の洗浄が行われない間、端部ブラシ待機位置に保持される。そのため、第2の処理を開始する際には、端部ブラシを端部ブラシ待機位置から端部ブラシ処理位置に移動させる必要がある。
【0217】
上記の基板処理方法によれば、基板下降動作の期間の少なくとも一部、カップ上昇動作の期間の少なくとも一部、下面ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部、ノズル準備動作の期間の少なくとも一部、および端部ブラシ準備動作の期間の少なくとも一部のうち3以上の期間が互いに重複する。これらの3以上の期間が重複する期間を重複期間と呼ぶ。
【0218】
これにより、基板下降動作、カップ上昇動作、下面ブラシ準備動作、ノズル準備動作、および端部ブラシ準備動作が、それらの期間のうち3以上の期間が互いに重複しないように行われる場合に比べて、一の基板の処理に要する期間が重複期間分短縮される。したがって、基板処理のスループットが向上する。
【0219】
上記の実施形態に係る基板処理装置および基板処理方法によれば、基板処理のスループットが向上し、基板の処理効率が向上するので、基板処理の省エネルギー化が実現される。また、当該基板の処理に薬液が用いられる場合には、歩留まりの向上に伴って無駄な薬液の利用を低減することができるので、地球環境の汚染の低減に寄与することができる。
【符号の説明】
【0220】
1…基板洗浄装置,2…ユニット筐体,2a…底面部,2b,2c,2d,2e…側壁部,2x…搬入搬出口,9A…チャック制御部,9B…吸着制御部,9C…台座制御部,9D…受渡制御部,9E…下面洗浄制御部,9F…カップ制御部,9G…上面洗浄制御部,9H…ベベル洗浄制御部,9I…搬入搬出制御部,9J…リンス制御部,10A,10B…上側保持装置,11A,11B…下チャック,12A,12B…上チャック,13A,13B…下チャック駆動部,14A,14B…上チャック駆動部,19…光電センサ,19a…投光部,19b…受光部,20…下側保持装置,21…吸着保持部,22…吸着保持駆動部,30…台座装置,31…リニアガイド,32…可動台座,33…台座駆動部,40…受渡装置,41…支持ピン,42…ピン連結部材,43…ピン昇降駆動部,50…下面洗浄装置,51…下面ブラシ,52…基板ノズル,52a,52b…ブラシノズル,53…気体噴出部,54…昇降支持部,54u…上面,55a…下面ブラシ回転駆動部,55b…下面ブラシ昇降駆動部,56…下面洗浄液供給部,57…ブラシ洗浄液供給部,58…噴出気体供給部,60…カップ装置,61…カップ,62…カップ駆動部,70…上面洗浄装置,71,81,211…回転支持軸,72,82,212…アーム,73…スプレーノズル,74…上面洗浄駆動部,75…上面洗浄流体供給部,80…端部洗浄装置,83…ベベルブラシ,84…ベベルブラシ駆動部,90…開閉装置,91…シャッタ,92…シャッタ駆動部,170…制御装置,200…支持片,201…傾斜支持面,202…移動制限面,210…上面リンス装置,213…リンスノズル,214…リンス駆動部,215…リンス液供給部,300…保持片,301…当接面,302…突出部,Ma…ハンド,W…基板,rp…平面基準位置
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