(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】超音波診断装置および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2023101164
(22)【出願日】2023-06-20
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩
【審査官】井海田 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/059668(WO,A1)
【文献】特開2010-051817(JP,A)
【文献】特開2017-196129(JP,A)
【文献】特開2013-070794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 ー 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブであって、前記プローブの超音波の送受信領域は、第1の点と、前記第1の点とは異なる第2の点と、前記第1および第2の点とは異なる第3の点とを含む、プローブと、
表示部と、
少なくとも1つのプロセッサと
を含む超音波診断装置であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
被検体の前記送受信領域に対応する第1の領域の位置情報をメモリに記憶させることであって、前記被検体の第1の領域は、前記第1の点に対応する第1の対応点と、前記第2の点に対応する第2の対応点と、前記第3の点に対応する第3の対応点とを含み、前記第1の対応点、前記第2の対応点、および前記第3の対応点の位置情報をメモリに記憶させること、
前記第1の対応点、前記第2の対応点、および前記第3の対応点の位置情報を記憶した後、リアルタイムの超音波の送受信領域の前記第1の点と前記第1の対応点との間の第1の距離を示す第1のインジケータを表示部に表示させること、
第1のインジケータが、前記第1の距離が零であることを示す表示態様に変化した後で、リアルタイムの前記プローブの超音波の送受信領域の前記第2の点と前記第2の対応点との間の第2の距離を示す第2のインジケータを表示部に表示させること、
前記第2のインジケータが、前記第2の距離が零であることを示す表示態様に変化した後で、リアルタイムの超音波の送受信領域の前記第3の点と前記第3の対応点との間の第3の距離を示す第3のインジケータを表示部に表示させること
を実行する、超音波診断装置。
【請求項2】
前記第1の対応点、前記第2の対応点、および前記第3の対応点の位置情報は、3D医用画像の座標系における位置情報として記憶される、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記3D医用画像は、前記超音波診断装置とは別の医用装置により取得された画像である、請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記第1の対応点、前記第2の対応点、および前記第3の対応点の位置情報は、前記超音波
診断装置により取得される超音波画像の座標系における位置情報として記憶される、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
医用画像を表示部に表示させる、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記第1の点は、
プローブ面の第1の部分に対応する点である、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記第2の点は、前記プローブ面の第2の部分に対応する点であり、
前記第3の点は、前記プローブの送受信領域の深部に対応する点である、請求項6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記第1のインジケータが前記表示部に表示された後、前記第1の距離が零になるように前記プローブが操作されることによって、前記第1のインジケータは、前記第1の距離が零であることを示す表示態様に変化する、請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記第2のインジケータが前記表示部に表示された後、前記プローブが、前記プローブの中心軸を中心に回転するように操作されることによって、前記前記第2のインジケータは、前記第2の距離が零であることを示す表示態様に変化する、請求項8に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記第3のインジケータが前記表示部に表示された後、前記プローブの中心軸を含み前記送受信領域に垂直な面内で、前記プローブの傾き角が調整されるように前記プローブが操作されることによって、前記第3のインジケータは、前記第3の距離が零であることを示す表示態様に変化する、請求項9に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記第2の点は、前記プローブの送受信領域の深部に対応する点であり、
前記第3の点は、前記プローブ面の第2の部分に対応する点である、請求項6に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記第1のインジケータが前記表示部に表示された後、前記第1の距離が零になるように前記プローブが操作されることによって、前記第1のインジケータは、前記第1の距離が零であることを示す表示態様に変化する、請求項11に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記第2のインジケータが前記表示部に表示された後、前記プローブの中心軸を含み前記送受信領域に垂直な面内で、前記プローブの傾き角が調整されるように前記プローブが操作されることによって、前記第2のインジケータは、前記第2の距離が零であることを示す表示態様に変化する、請求項12に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
前記第3のインジケータが前記表示部に表示された後、前記プローブが、前記プローブの中心軸を中心に回転するように操作されることによって、前記前記第3のインジケータは、前記第3の距離が零であることを示す表示態様に変化する、請求項13に記載の超音波診断装置。
【請求項15】
前記プローブの第1の部分は、前記プローブ面の中央部であり、前記プローブの第2の部分は前記プローブ面の端部である、請求項7~14のうちのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項16】
プローブであって、前記プローブの超音波の送受信領域は、第1の点と、前記第1の点とは異なる第2の点と、前記第1および第2の点とは異なる第3の点とを含む、プローブと、
表示部と、
少なくとも1つのプロセッサと
を含む超音波診断装置に含まれる記憶媒体であって、
被検体の前記送受信領域に対応する第1の領域は、前記第1の点に対応する第1の対応点と、前記第2の点に対応する第2の対応点と、前記第3の点に対応する第3の対応点とを含み、
前記記憶媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサに実行される命令を記憶しており、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記第1の対応点、前記第2の対応点、および前記第3の対応点の位置情報を前記記憶媒体又は他の記憶媒体に記憶させること、
前記第1の対応点、前記第2の対応点、および前記第3の対応点の位置情報を記憶した後、リアルタイムの超音波の送受信領域の前記第1の点と前記第1の対応点との間の第1の距離を示す第1のインジケータを表示部に表示させること、
第1のインジケータが、前記第1の距離が零であることを示す表示態様に変化した後で、リアルタイムの前記プローブの超音波の送受信領域の前記第2の点と前記第2の対応点との間の第2の距離を示す第2のインジケータを表示部に表示させること、
前記第2のインジケータが、前記第2の距離が零であることを示す表示態様に変化した後で、リアルタイムの超音波の送受信領域の前記第3の点と前記第3の対応点との間の第3の距離を示す第3のインジケータを表示部に表示させること
を実行させる、記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インジケータを表示する超音波診断装置、当該超音波診断装置で実行される命令を含む記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置、CT、MRIなどの様々な医用装置は、非侵襲的に被検体を検査することができるので、定期検診や人間ドッグなどで使用されている。定期検診や人間ドッグでは、医用装置を用いて被検体の検査部位の3Dの医用画像データを取得し、医師が医用画像に基づいて被検体の画像診断が行われる。この画像診断によって、被検体に腫瘍や病変と考えられる部位を発見することがある。このような部位が発見された場合、医師は、超音波診断装置を使用して、患者に穿刺針を刺し入れて組織を採取したり、患者に穿刺針を差し入れて治療することがある。
【0003】
患者に穿刺針を刺し入れて治療又は組織の採取を行なう場合、骨や大血管などを避けながらターゲット(例えば、腫瘍)に穿刺針を刺す必要がある。そこで、穿刺針を刺し入れる前に、超音波画像を見ながら穿刺針の挿入経路に適した領域を特定し、挿入経路を特定する事前準備が行われる。事前準備で挿入経路を決定した後、穿刺作業が実行される。穿刺作業では、表示部に、事前準備で特定した領域を表示させて、穿刺が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
穿刺作業は、事前準備とは別の日時で行われる場合がある。また、事前準備の作業者と別の人が穿刺作業をする場合もある。このような場合、穿刺作業では、事前準備で特定された領域を探索して、同じ領域を表示させる必要がある。しかし、穿刺を行うときに、事前準備で特定された領域と同じ領域を探索することは容易ではない。そこで、事前準備で特定された領域と同じ領域を探索する手法が開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1では、事前準備で特定された領域の角部C1′,C2′,C3′,C4′の位置情報を記憶しておき、穿刺作業のときに、角部C1′,C2′,C3′,C4′の位置情報に基づいて、事前準備で特定された領域を探索する。具体的には、事前準備で特定された領域の角部C1′,C2′,C3′,C4′と、リアルタイムの超音波画像の送受信領域の角部C1,C2,C3,C4との間の距離D1、D2、D3、D4を表すインジケータId1,Id2,Id3,Id4を表示部に表示させる。インジケータId1,Id2,Id3,Id4は、距離D1、D2、D3、D4に応じた面積の四角形で表されている。距離が短くなると、インジケータの四角形の面積が小さくなり、距離が零になると、インジケータは「+」の図形に変化する。したがって、ユーザは、インジケータが表す四角形の面積の大きさを参考にして、事前準備で特定された領域を探索することが可能である。
【0007】
しかし、特許文献1の手法では、ユーザは、4つのインジケータId1,Id2,Id3,Id4の四角形の面積の大きさを同時に確認しながら、事前準備で特定された領域が表示されるように、プローブを操作する必要がある。したがって、ユーザは、4つのインジケータId1,Id2,Id3,Id4の四角形の面積がどのように変化しているかを同時に把握しながら、プローブを操作する必要があるので、プローブの位置合わせに手間が掛かるという問題がある。
【0008】
したがって、事前に特定した領域を探索する場合に、プローブを容易に位置合わせすることができる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点は、プローブであって、前記プローブの超音波の送受信領域は、第1の点と、前記第1の点とは異なる第2の点と、前記第1および第2の点とは異なる第3の点とを含む、プローブと、
表示部と、
少なくとも1つのプロセッサと
を含む超音波診断装置であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記被検体の前記送受信領域に対応する第1の領域の位置情報をメモリに記憶させることであって、前記被検体の第1の領域は、前記第1の点に対応する第1の対応点と、前記第2の点に対応する第2の対応点と、前記第3の点に対応する第3の対応点とを含み、前記第1の対応点、前記第2の対応点、および前記第3の対応点の位置情報をメモリに記憶させること、
前記第1の対応点、前記第2の対応点、および前記第3の対応点の位置情報を記憶した後、リアルタイムの超音波の送受信領域の前記第1の点と前記第1の対応点との間の第1の距離を示す第1のインジケータを表示部に表示させること、
第1のインジケータが、前記第1の距離が零であることを示す表示態様に変化した後で、リアルタイムの前記プローブの超音波の送受信領域の前記第2の点と前記第2の対応点との間の第2の距離を示す第2のインジケータを表示部に表示させること、
前記第2のインジケータが、前記第2の距離が零であることを示す表示態様に変化した後で、リアルタイムの超音波の送受信領域の前記第3の点と前記第3の対応点との間の第3の距離を示す第3のインジケータを表示部に表示させること
を実行する、超音波診断装置である。
【0010】
本発明の第2の観点は、プローブであって、前記プローブの超音波の送受信領域は、第1の点と、前記第1の点とは異なる第2の点と、前記第1および第2の点とは異なる第3の点とを含む、プローブと、
表示部と、
少なくとも1つのプロセッサと
を含む超音波診断装置に含まれる記憶媒体であって、
前記被検体の前記送受信領域に対応する第1の領域は、前記第1の点に対応する第1の対応点と、前記第2の点に対応する第2の対応点と、前記第3の点に対応する第3の対応点とを含み、
前記記憶媒体は、前記少なくとも1つのプロセッサに実行される命令を記憶しており、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記第1の対応点、前記第2の対応点、および前記第3の対応点の位置情報を前記記憶媒体又は他の記憶媒体に記憶させること、
前記第1の対応点、前記第2の対応点、および前記第3の対応点の位置情報を記憶した後、リアルタイムの超音波の送受信領域の前記第1の点と前記第1の対応点との間の第1の距離を示す第1のインジケータを表示部に表示させること、
第1のインジケータが、前記第1の距離が零であることを示す表示態様に変化した後で、リアルタイムの前記プローブの超音波の送受信領域の前記第2の点と前記第2の対応点との間の第2の距離を示す第2のインジケータを表示部に表示させること、
前記第2のインジケータが、前記第2の距離が零であることを示す表示態様に変化した後で、リアルタイムの超音波の送受信領域の前記第3の点と前記第3の対応点との間の第3の距離を示す第3のインジケータを表示部に表示させること
を実行させる、記憶媒体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、被検体の前記送受信領域に対応する第1の領域の位置情報をメモリに記憶させることであって、前記被検体の第1の領域は、前記第1の点に対応する第1の対応点と、前記第2の点に対応する第2の対応点と、前記第3の点に対応する第3の対応点とを含み、前記第1の対応点、前記第2の対応点、および前記第3の対応点の位置情報をメモリに記憶させる。そして、第1の対応点、第2の対応点、および第3の対応点の位置情報をメモリに記憶した後、ユーザが、前記被検体の第1の領域を表示部に再び表示させる作業を行う場合、先ず、表示部に、第1のインジケータが表示される。第1のインジケータは、第1の点と第1の対応点との間の第1の距離を表している。ユーザは、第1のインジケータを見ながら、第1の距離が零になるように、プローブを操作する。第1のインジケータは、例えば、第1の距離に応じて、第1のインジケータの表示態様が変化するように設定することができる。したがって、ユーザは、表示部の第1のインジケータを見ることによって、第1の点が第1の対応点に対して遠くに離れているのか、あるいは近づいているのかを、視覚的に容易に認識することができる。ユーザがプローブを操作することにより、第1のインジケータが、「第1の距離は零である」ことを表す表示態様に変化した場合、ユーザは、第1の点が第1の対応点に一致したことを、視覚的に認識することができる。つまり、ユーザは、第1の点を第1の対応点に位置合わせできたことがわかる。そして、第1のインジケータが「第1の距離は零である」ことを示す表示態様に変化した後に、プロセッサは、表示部に次のインジケータ、即ち、第2のインジケータを表示する。
【0012】
第2のインジケータは、第2の点と第2の対応点との間の第2の距離を表している。ユーザは、第1の点が第1の対応点からズレないように注意しながら、第2のインジケータを参考にして、第2の距離が零になるように、プローブを操作する。第2のインジケータは、例えば、第2の距離に応じて、第2のインジケータの表示態様が変化するように設定することができる。したがって、ユーザは、表示部の第2のインジケータを見ることによって、第2の点が第2の対応点に対して遠くに離れているのか、あるいは近づいているのかを、視覚的に容易に認識することができる。ユーザがプローブを操作することにより、第2のインジケータが、「第2の距離は零である」ことを表す表示態様に変化した場合、ユーザは、第2の点が第2の対応点に一致したことを、視覚的に認識することができる。つまり、ユーザは、第2の点を第2の対応点に位置合わせできたことがわかる。そして、第2のインジケータが、「第2の距離は零である」ことを表す表示態様に変化した後で、プロセッサは、表示部に次のインジケータ、即ち、第3のインジケータを表示する。
【0013】
第3のインジケータは、第3の点と第3の対応点との間の第3の距離を表している。ユーザは、第1の点が第1の対応点からズレないように、更に、第2の点が第2の対応点からズレないように注意しながら、第3のインジケータを参考にして、第3の距離が零になるように、プローブを操作する。第3のインジケータは、例えば、第3の距離に応じて、第3のインジケータの表示態様が変化するように設定することができる。したがって、ユーザは、表示部の第3のインジケータを見ることによって、第3の点が第3の対応点に対して遠くに離れているのか、あるいは近づいているのかを、視覚的に容易に認識することができる。ユーザがプローブを操作することにより、第3のインジケータが、「第3の距離は零である」ことを示す表示態様に変化した場合、ユーザは、第3の点が第3の対応点に一致したことを、視覚的に認識することができる。つまり、ユーザは、第3の点を第3の対応点に位置合わせできたことがわかる。
【0014】
したがって、プローブの送受信領域の第1の点、第2の点、および第3の点を、メモリに記憶した第1の対応点、第2の対応点、および第3の対応点に一致させることができるので、被検体の第1の領域を表示部に再び表示することができる。
【0015】
また、本発明では、第1のインジケータ、第2のインジケータ、および第3のインジケータを表示部に一斉に表示するのでは無く、先ず、第1のインジケータを表示する。したがって、表示部には、第1のインジケータが表示されているが、第2及び第3のインジケータは表示されていないので、ユーザは第1の点の位置合わせのみに集中することができる。第1の点の位置合わせが完了した後、第2のインジケータが表示されるので、ユーザは、第1の点が第1の対応点からズレないように注意しながら、第2のインジケータを参考にして、第2の点の位置合わせに集中することができる。そして、第2の点の位置合わせが完了した後、第3のインジケータが表示され、ユーザは、第3の点の位置合わせを行う。このように、本発明では、3つのインジケータを一斉に表示するのでは無く、第1のインジケータを表示し、第1の点の位置合わせができたら、第2のインジケータを表示し、第2の点の位置合わせができたら、第3の点インジケータを表示する。したがって、ユーザは第1の点の位置合わせ、第2の点の位置合わせ、および第3の点の位置合わせに集中することができるので、第1の点、第2の点、および第3の点の位置合わせを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態における超音波診断装置1のブロック図である。
【
図2】穿刺針の穿刺ルートを決定する作業のフローチャートである。
【
図5】座標系の対応付けが終了した後の表示部8を示す図である。
【
図7】領域61の位置情報を記憶させるときの説明図である。
【
図8】対応点の位置情報を記憶するときの説明図である。
【
図11】プローブ2を被検体110の体表に接触させたときの説明図である。
【
図12】ユーザがプローブ2を操作した後の様子を示す図である。
【
図14】点C2が対応点B2に一致した様子を示す図である。
【
図17】点C3が対応点B3に一致した様子を示す図である。
【
図18】点C1、C2、およびC3を別の位置に設定した例を示す図である。
【
図19】参照医用画像を使用せずに穿刺ルートを決定するフローチャートを示す図である。
【
図21】穿刺ルートを探索するときの説明図である。
【
図22】表示部8に表示されたインジケータId1を示す図である。
【
図23】インジケータId1が「+」の表示形態に変化した様子を示す図である。
【
図24】表示部8に表示されたインジケータId2を示す図である。
【
図25】インジケータId2が「+」の表示形態に変化した様子を示す図である。
【
図26】表示部8に表示されたインジケータId3を示す図である。
【
図27】インジケータId3が「+」の表示形態に変化した様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、以下の形態に限定されることはない。
【0018】
(1)第1の実施形態
図1は、第1の実施形態における超音波診断装置1のブロック図である。
超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送信ビームフォーマ3、送信器4、受信器5、受信ビームフォーマ6、プロセッサ7、表示部8、メモリ9、およびユーザインターフェース10を有している。
【0019】
超音波プローブ2は、アレイ状に配置された複数の振動素子2aを有している。送信ビームフォーマ3および送信器4は、超音波プローブ2内に配列された複数の振動素子2aをドライブし、振動素子2aから超音波が送信される。
【0020】
また、超音波プローブ2には磁気センサ12が設けられている。磁気センサ12は、例えばホール素子を含むことができる。磁気センサ12は、磁気発生部11から発生する磁気を検出する。磁気センサ12により検出された検出信号は、有線通信又は無線通信によりプロセッサ7に入力される。
【0021】
超音波プローブ2の振動素子2aから送信された超音波は被検体内において反射し、反射エコーが振動素子2aで受信される。振動素子2aは、受信したエコーを電気信号に変換し、この電気信号をエコー信号として受信器5に出力する。受信器5はエコー信号に対して所定の処理を実行し、受信ビームフォーマ6に出力する。受信ビームフォーマ6は、受信器5から受け取った信号に受信ビームフォーミングを実行し、エコーデータを出力する。
【0022】
受信ビームフォーマ6は、ハードウェアビームフォーマであってもよいし、ソフトウェアビームフォーマであってもよい。受信ビームフォーマ6がソフトウェアビームフォーマである場合、受信ビームフォーマ6は、i)グラフィックス処理ユニット(GPU)、ii)マイクロプロセッサ、iii)中央処理装置(CPU)、iv)デジタル信号プロセッサ(DSP)、v)論理演算を実行することができる他の種類のプロセッサ、のうちの1つまたは複数を含む1つまたは複数のプロセッサを備えることができる。受信ビームフォーマ6を構成するプロセッサは、プロセッサ7とは別のプロセッサで構成されていてもよいし、プロセッサ7で構成されていてもよい。
【0023】
超音波プローブ2は、送信ビームフォーミングおよび/または受信ビームフォーミングの全部または一部を行うための電気回路を含むことができる。例えば、送信ビームフォーマ3、送信器4、受信器5、および受信ビームフォーマ6の全部または一部は、超音波プローブ2内に設けることができる。
【0024】
プロセッサ7は、送信ビームフォーマ3、送信器4、受信器5、および受信ビームフォーマ6を制御する。また、プロセッサ7は、超音波プローブ2と電子通信している。プロセッサ7は、振動素子2aのどれがアクティブであるか、および超音波プローブ2から送信される超音波ビームの形状を制御する。プロセッサ7は表示部8とも電子通信している。プロセッサ7は、エコーデータを処理して超音波画像を生成することができる。「電子通信」という用語は、有線通信と無線通信の両方を含むように定義することができる。プロセッサ7は、一実施形態によれば中央処理装置(CPU)を含むことができる。他の実施形態によれば、プロセッサ7は、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、または他のタイプのプロセッサなど、処理機能を実行することができる他の電子構成要素や1つ以上のプロセッサを含むことができる。他の実施形態によれば、プロセッサ7は、処理機能を実行することができる複数の電子構成要素を含むことができる。例えばプロセッサ7は、中央処理装置、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、およびグラフィックスプロセッシングユニットを含む電子構成要素のリストから選択された2つ以上の電子構成要素を含むことができる。
【0025】
また、プロセッサは、磁気センサ12からの磁気検出信号に基づいて、磁気発生部11を原点とする三次元空間の座標系における前記超音波プローブ2の位置及び傾きの情報を算出する。さらに、プロセッサ7は、プローブの位置および傾きの情報に基づいてエコー信号の三次元空間の座標系における位置情報を算出する。第1の実施形態では、磁気発生部11を原点とする三次元空間の座標系を、超音波画像の座標系というものとする。
【0026】
プロセッサ7は、RFデータを復調する複合復調器(図示せず)を含むこともできる。別の実施形態では、処理チェーン(processing chain)の早い段階で復調を実行することができる。
【0027】
また、プロセッサ7は、受信ビームフォーマ6による処理によって得られたデータに基づいて、様々な超音波画像(例えば、Bモード画像、カラードップラ画像、Mモード画像、カラーMモード画像、スペクトルドップラ画像、エラストグラフィ画像、TVI画像、歪み画像、歪み速度画像、など)を生成することができる。また、1つまたは複数のモジュールが、これらの超音波画像を生成することができる。
【0028】
画像ビームおよび/または画像フレームは保存され、データがメモリに取得された時を示すタイミング情報を記録することができる。前記モジュールは、例えば、画像フレームを座標ビーム空間から表示空間座標に変換するために走査変換演算を実行する走査変換モジュールを含むことができる。被検体に処置が実施されている間にメモリから画像フレームを読み取り、その画像フレームをリアルタイムで表示する映像プロセッサモジュールを設けることもできる。映像プロセッサモジュールは画像フレームを画像メモリに保存することができ、超音波画像は画像メモリから読み取られ表示部8に表示される。
【0029】
本明細書において、「画像」という用語は、可視画像と可視画像を表すデータの両方を広く指すものとすることができる。また、「データ」という用語は、走査変換演算前の超音波データであるローデータ(raw data)と、走査変換演算後のデータである画像データを含み得る。
尚、プロセッサ7が担当する上述の処理タスクを、複数のプロセッサで実行するようにしてもよい。
【0030】
また、受信ビームフォーマ6がソフトウェアビームフォーマである場合、ビームフォーマが実行する処理を、単一のプロセッサで実行させてもよいし、複数のプロセッサで実行させてもよい。
【0031】
表示部8は、例えば、LED(Light Emitting Diode)表示部、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)表示部である。また、表示部8は、モニタとタッチパネルとの組合せとしてもよい。
【0032】
メモリ9は、任意の既知のデータ記憶媒体である。一例では、超音波診断装置は、メモリとして、非一過性の記憶媒体および一過性の記憶媒体を含む。また、超音波診断装置は、複数のメモリを含むこともできる。非一過性の記憶媒体は、例えば、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)、ROM(Read Only Memory)などの不揮発性の記憶媒体である。非一過性の記憶媒体は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性の記憶媒体を含むことができる。プロセッサ7によって実行されるプログラムは、非一過性の記憶媒体に記憶されている。一過性の記憶媒体は、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶媒体である。
【0033】
また、メモリ9には、医用画像装置100で被検体の事前検査を行うことにより取得された3次元(3D)医用画像データ(ボリュームデータ)が記憶される。3D医用画像データは、ユーザがエコーガイド下穿刺の準備作業や、エコーガイド下穿刺の穿刺作業などを実行するときに使用される画像である。エコーガイド下穿刺において、3D医用画像データがどのように使用されるかについては後述する。
【0034】
尚、プロセッサ7は、外部記憶装置に有線接続又は無線接続することができるように構成することもできる。この場合、プロセッサ7に実行させる命令を、メモリ9と外部記憶装置との両方に分散させて記憶させることも可能である。
【0035】
ユーザインターフェース10は、ユーザ(例えば、医師、技師、操作者)の入力を受け付けることができる。例えば、ユーザインターフェース10は、ユーザからの指示や情報の入力を受け付ける。ユーザインターフェース10は、キーボード(keyboard)、ハードキー(hard key)、トラックボール(trackball)、ロータリーコントロール(rotary control)およびソフトキー等を含んでいる。ユーザインターフェース10は、ソフトキー等を表示するタッチスクリーンを含んでいてもよい。
超音波診断装置1は上記のように構成されている。
【0036】
以下では、超音波診断装置1を用いて、被検体に穿刺を行う例を説明する。具体的には、ユーザが、被検体の穿刺ルートを決定する作業を行い、この作業の後に、ユーザが被検体に穿刺針を刺入する作業を行う例を取り挙げて、第1の実施形態の説明をする。
【0037】
図2は、穿刺針の穿刺ルートを決定する作業のフローチャートである。
ステップST1では、医用画像装置100(
図1参照)で取得された3次元(3D)の医用画像データ(ボリュームデータ)を、超音波診断装置のメモリ9に記憶する。
【0038】
図3は、ステップST1の説明図である。
ユーザ(例えば、医師、超音波診断技師)は、超音波診断装置1を医用画像装置100に(有線又は無線)接続し、医用画像装置100で取得された3D医用画像データ(ボリュームデータ)VDを、超音波診断装置1のメモリ9に記憶する。この3D医用画像データVDは、ユーザがエコーガイド下穿刺の準備作業や、エコーガイド下穿刺の穿刺作業などを実行するときに使用される画像である。医用画像装置100は、例えば、MRI装置、CT装置、PET装置、超音波診断装置などである。尚、3D医用画像データVDを、メモリ9ではなく、超音波診断装置1がアクセス可能な外部記憶装置に記憶してもよい。
3D医用画像データVDを、超音波診断装置1のメモリ9に記憶した後、ステップST2に進む。
【0039】
ステップST2では、表示部8に超音波画像および参照医用画像を表示する。
図4は、ステップST2の説明図である。
ステップST2では、ユーザは超音波プローブ2を被検体の体表面に当接させて超音波の送受信を開始する。
図4の上半分には、被検体110と、被検体110の断面111の拡大図が示されている。超音波の送受信により被検体110のスキャンが行われる領域(以下、「送受信領域」と呼ぶ)を符号60で示してある。プロセッサ7は、被検体110から得られたエコー信号に基づいて作成された超音波画像UGを前記表示部8に表示させる。超音波画像UGは画像表示領域8aに表示される。超音波画像UGは例えばBモード画像である。また、プロセッサ7は、表示部8に、参照医用画像MGを表示させる。参照医用画像MGは、メモリ9に記憶された3D医用画像データVD(
図3参照)に基づいて作成された断面画像である。参照医用画像MGは画像表示領域8bに表示される。超音波画像UG及び参照医用画像MGは表示部8に並べて表示されている。超音波画像UG及び参照医用画像MGを表示部8に表示させた後、ステップST3に進む。
【0040】
ステップST3では、ユーザは、超音波画像UGの座標系と参照医用画像MGの座標系とを対応付ける処理を行なう。具体的には、ユーザは、表示部8に表示された超音波画像UGと参照医用画像MGとを見比べながら、いずれか一方又は両方の画像の断面位置を調整して、同一断面の超音波画像UGと参照医用画像MGとを表示させる。超音波画像UGの断面の移動は、ユーザが前記超音波プローブ2を操作することによって実行される。また、参照医用画像MGの断面の移動は、ユーザがユーザインターフェース10を操作して、参照医用画像の断面を変更する指示を入力することにより実行される。
【0041】
超音波画像UGの断面と、参照医用画像MGの断面が同一であるかどうかは、例えばユーザが特徴的な部位を基準にして判断する。ユーザは、表示部8に同一断面の超音波画像UGおよび参照医用画像MGが表示されていると判断したら、ユーザインターフェース10を操作して、超音波画像UGの任意の箇所に点を指定する。また、操作者は、参照医用画像MGから、超音波画像UGに指定した点と同一位置と思われる箇所を特定し、参照医用画像MGの特定した箇所にも点を指定する。ユーザは、超音波画像および参照医用画像の複数の箇所について、このような点の指定を行なう。
【0042】
上記のように、点を指定すると、これら超音波画像UGの座標系と参照医用画像MGの座標系とを対応付けることができる。したがって、前記超音波画像UGの座標系と前記参照医用画像MGの座標系との座標変換が可能になる。
図5に、座標系の対応付けが終了した後の表示部8を示す。プロセッサ7は、画像表示領域8aにリアルタイムの超音波画像UGが表示されるように、表示部8を制御する。また、プロセッサ7は、3D医用画像データVDの中から、リアルタイムの超音波画像UGに対応する断面の画像を特定し、その特定した断面の画像を、参照医用画像MGとして画像表示領域8bに表示されるように、表示部8を制御する。プロセッサ7は、リアルタイムの超音波画像の座標系の位置情報を、参照医用画像MGの座標系の位置情報に座標変換することによって、3D医用画像データVDの中から、リアルタイムの超音波画像UGに対応する断面を特定することができる。また、プロセッサ7は、参照医用画像MGに重なるように輪郭線OLも表示する。輪郭線OLで囲まれる領域は、超音波画像UGに対応する領域である。座標系の対応付けが終了したら、ステップST4に進む。
【0043】
ステップST4では、ユーザは、超音波プローブ2で被検体110の体内を走査しながら、ターゲット(例えば、腫瘍)にアクセスするための穿刺ルート(例えば、穿刺針を刺入する位置及び刺入角度)を探索する。
【0044】
図6はステップST4の説明図である。
ステップST4では、ユーザは、被検体110における同一断面についてのリアルタイムの超音波画像UG及び参照医用画像MGを見て、超音波プローブ2の位置を調整するとともに、プローブ2の体表面に対する角度を変えながら、穿刺ルートを探索する。
図6では、ユーザは、超音波の送受信領域60に対応する被検体110の領域61(グレーでハイライトされた部分)に、最適な穿刺ルートを発見することができた例が示されている。ユーザは、最適な穿刺ルートが得られる領域61を探索することができたら、ステップST5に進む。
【0045】
ステップST5では、ユーザは、ユーザインターフェース10を操作して、最適な穿刺ルートが得られる領域61の位置情報を記憶させるための命令を入力する。
【0046】
図7は、最適な穿刺ルートが得られる領域61の位置情報を記憶させるときの説明図である。
図7では、説明の便宜上、送受信領域60と、最適な穿刺ルートが得られる領域61とを別々に示してある。
第1の実施形態では、送受信領域60の輪郭上に位置する3点C1、C2、およびC3が、最適な穿刺ルートが得られる領域61の位置情報を記憶するための基準点となる。点C1は、プローブ2のプローブ面2bの中央部2cに対応する点である。点C2は、プローブ面2bの長手方向の端部2dに対応する点である。点C3は、送受信領域60の最深部の点である。
【0047】
最適な穿刺ルートが得られる領域61は、点C1に対応する対応点B1と、点C2に対応する対応点B2と、点C3に対応する対応点B3とを有している。
プロセッサ7は、最適な穿刺ルートが得られる領域61の対応点B1、B2、およびB3の位置情報を記憶する(
図8参照)。
【0048】
図8は、対応点の位置情報を記憶するときの説明図である。
プロセッサは、対応点B1、B2、およびB3の位置情報を、3D医用画像データVDの座標系の位置情報としてメモリに記憶する。具体的には、ユーザがユーザインターフェース10を操作して、対応点B1、B2、およびB3の位置情報を記憶させる命令を入力すると、プロセッサ7は、対応点B1、B2、およびB3の位置情報を、3D医用画像VDの座標系における点b1、b2、およびb3の位置情報としてメモリ9に記憶する。
【0049】
これらの対応点B1、B2、およびB3の位置情報は、後述する穿刺準備時に、最適な穿刺ルートが得られる領域61をユーザが再び見つけ出すことができるようにするために使用される。最適な穿刺ルートが得られる領域61をユーザが再び見つけ出す手順については、後述する。対応点B1、B2、およびB3の位置情報が記憶されると、穿刺針の穿刺ルートを決定する作業が終了する。
穿刺針の穿刺ルートを決定する作業が終了したら、ユーザは穿刺作業を行う。
【0050】
図9は、穿刺作業のフロー図である。
ステップST20では、ユーザは、被検体110をプローブ2で操作して、最適な穿刺ルートが得られる領域61(
図8参照)を再び見つけ出すための作業を行う。
尚、ステップST20は、ステップST11~ST16を含んでいるので、以下、ステップST11~ST16について、順に説明する。
【0051】
ステップST11では、ユーザは、最適な穿刺ルートが得られる領域61を見つけ出す作業を開始する。
図10は、探索の開始直後の説明図である。
図10の左上には、被検体110をz方向から見た図、
図10の右上には、被検体をx方向から見た図が示されており、
図10の下半分には、表示部8が示されている。
【0052】
尚、
図10では、リアルタイムの送受信領域60の点C1、C2、およびC3と、最適な穿刺ルートが得られる領域61の対応点B1、B2、およびB3との位置関係を理解しやすくするため、被検体110内に、
図8に示した領域61(および対応点B1、B2、およびB3)が破線で示されている。
【0053】
表示部8の画像表示領域8aは超音波画像を表示する領域であり、画像表示領域8bは超音波画像に対応する参照医用画像を表示する領域である。
図10では、プローブ2は被検体110から離れており、プローブ2が空中放置された状態が示されている。したがって、画像表示領域8aおよび8bに、被検体の画像は表示されていない。
【0054】
ユーザは、ユーザインターフェース10を操作して、送受信領域60の点C1に関するインジケータId1を表示部8に表示するための命令を入力する。この命令が入力されると、プロセッサは、表示部8の画像表示領域8bにインジケータId1を表示する。インジケータId1は、リアルタイムの超音波の送受信領域60の点C1と対応点B1との間の距離D1を示している。第1の実施形態では、インジケータId1は、距離D1に応じた□(四角形)の面積で表される。距離D1が長いほどインジケータId1の面積は大きくなり、距離D1が短いほどインジケータId1の面積は小さくなる。また、距離D1が零の場合は、インジケータId1は「+」の図形で表される。したがって、ユーザは、表示部8に表示されているインジケータId1を見ることによって、点C1と対応点B1との位置関係を視覚的に容易に認識することができる。
図10では、プローブ2は被検体110の体表面から離れているので、表示部8には、被検体の超音波画像および参照医用画像は表示されておらず、インジケータId1は大きい面積の四角形で表されている。
【0055】
したがって、ユーザは、表示部8のインジケータId1を見ることによって、送受信領域60の点C1が対応点B1から離れていることを視覚的に容易に認識することができる。インジケータId1が表示された後、ステップST12に進む。
【0056】
ステップST12では、ユーザは、最適な穿刺ルートが得られる領域61(
図6参照)を見つけるために、プローブ2を被検体110の体表に接触させる。
【0057】
図11は、プローブ2を被検体110の体表に接触させたときの説明図である。
ユーザがプローブ2を被検体110の体表に接触させると、表示部8の画像表示領域8aに、送受信領域60におけるスキャンにより得られた超音波画像70が表示される。また、表示部8の画像表示領域8bには、3D医用画像データVDのうち、超音波画像70に対応する断面の画像が、参照医用画像71として表示される。更に、参照医用画像71には、超音波画像70の輪郭に対応する輪郭線OLも表示される。輪郭線OLで囲まれる領域は、超音波画像70に対応する領域である。
【0058】
また、画像表示領域8bには、インジケータId1が表示されている。ユーザがプローブ2を被検体110の体表に接触させると距離D1が短くなるので、プロセッサ7は、距離D1が短くなった分、インジケータId1の面積が小さくなるように、インジケータId1の表示態様を制御する。したがって、ユーザは画像表示領域8bのインジケータId1を見ることによって、送受信領域60の点C1が対応点B1に近づいていることを認識することができる。
【0059】
ユーザは、画像表示領域8aおよび8bの画像を確認しながら、送受信領域60の点C1が対応点B1に一致するように、プローブ2を操作する(
図12参照)。
【0060】
図12は、ユーザがプローブ2を操作した後の様子を示す図である。
ユーザがプローブ2を操作することによって、送受信領域60の点C1が、最適な穿刺ルートが得られる領域61の対応点B1に一致すると、距離D1がD1=0となる。D1=0になると、プロセッサ7は、インジケータId1を、「距離D1が零である」ことを示す表示態様に変化させる。具体的には、プロセッサは、インジケータId1を、「□(四角形)」から「+」の表示態様に変化させる。ユーザは、画像表示領域8bに表示されたインジケータId1が「□」から「+」の表示態様に変化することを確認することによって、点C1が対応点B1に一致したことを認識することができる。尚、第1の実施形態では、プロセッサ7は、距離D1の値が、所定の閾値TH以下(又は閾値TH未満)の値になった場合に、距離D1が零(D1=0)であると判定し、インジケータId1の表示態様を「□」から「+」に変化させる。したがって、「距離D1が零である」とは、必ずしも厳密にD1=0である必要はなく、点C1が対応点B1に十分に近い位置に存在しており、その結果、距離D1が実質的に零であると見なせる場合も含むものとして解釈されるべきである。
ユーザは、インジケータId1が「+」に変化したことを確認できたら、ステップST13に進む。
【0061】
ステップST13では、次のインジケータを表示する。
図13は、ステップST13の説明図である。
ステップST13では、ユーザは、ユーザインターフェース10を操作して、次のインジケータId2を表示する命令を入力する。ユーザインターフェース10が次のインジケータId2を表示するためのユーザの入力を受け付けると、プロセッサ7は、次のインジケータId2を表示部8に表示させる。
【0062】
インジケータId2は、リアルタイムの超音波の送受信領域60の点C2と、点C2の対応点B2との間の距離D2を表している。第1の実施形態では、インジケータId2は、距離D2に応じた四角形の面積で表される。距離D2が長いほどインジケータId2の面積は大きくなり、距離D2が短いほどインジケータId2の面積は小さくなる。また、距離D2が零の場合は、インジケータId2は「+」の図形で表される。したがって、ユーザは、表示部8に表示されているインジケータId2を見ることによって、点C2と対応点B2との位置関係を視覚的に容易に認識することができる。
図13では、点C2は対応点B2から離れているので、表示部8には、インジケータId2は四角形で表されている。
【0063】
したがって、ユーザは、点C2が対応点B2から離れていることを視覚的に認識することができる。インジケータId2が表示された後、ステップST14に進む。
【0064】
ステップST14では、ユーザは、画像表示領域8bのインジケータId2を確認しながら、送受信領域60の点C2が対応点B2に一致するように、プローブ2を操作する。具体的には、ユーザは、点C1が対応点B1からズレないようにプローブ2を被検体110の体表面に押し当てた状態で、中心軸2eを中心にプローブ2を右回り(又は左回り)に回転する。
【0065】
点C1が対応点B1からズレないようにプローブ2を被検体110の体表面に押し当てた状態で、ユーザが中心軸2eを中心にプローブ2を回転すると、送受信領域60の点C2が対応点B2に近づいていく。点C2が対応点B2に近づいていくと、それに伴って距離D2が短くなるので、インジケータId2の四角形の面積が小さくなっていく。したがって、ユーザは、プローブ2を回転することによって、点C2が対応点B2に近づいていることを視覚的に認識することができる。ユーザはインジケータId2の四角形の大きさを確認しながら、点C2が対応点B2に重なるように、プローブ2の回転角度を調整する(
図14参照)。
【0066】
図14は、点C2が対応点B2に一致した様子を示す図である。
ユーザがプローブ2の回転角度θを調整することによって、送受信領域60の点C2が、最適な穿刺ルートが得られる領域61の対応点B2に一致すると、距離D2がD2=0となる。D2=0になると、プロセッサ7は、インジケータId2を、「距離D2が零である」ことを示す表示態様に変化させる。具体的には、プロセッサは、インジケータId2を「□(四角形)」から「+」の表示態様に変化させる。ユーザは、画像表示領域8bに表示されたインジケータId2が「□」から「+」に変化することを確認することによって、点C2が対応点B2に一致したことを認識することができる。尚、第1の実施形態では、プロセッサ7は、距離D2の値が、所定の閾値TH以下(又は閾値TH未満)の値になった場合に、距離D2が零(D2=0)であると判定し、インジケータId2の表示態様を「□」から「+」に変化させる。したがって、「距離D2が零である」とは、必ずしも厳密にD2=0である必要はなく、点C2が対応点B2に十分に近い位置に存在しており、その結果、距離D2が実質的に零であると見なせる場合も含むものとして解釈されるべきである。
ユーザは、インジケータId2が「+」に変化したことを確認できたら、ステップST15に進む。
【0067】
ステップST15では、次のインジケータを表示する。
図15は、ステップST15の説明図である。
ステップST15では、ユーザは、ユーザインターフェース10を操作して、次のインジケータId3を表示する命令を入力する。ユーザインターフェース10が次のインジケータId3を表示するためのユーザの入力を受け付けると、プロセッサ7は、次のインジケータId3を表示部8に表示させる。
【0068】
インジケータId3は、リアルタイムの超音波の送受信領域60の点C3と、点C3の対応点B3との間の距離D3を表している。第1の実施形態では、インジケータId3は、距離D3に応じた四角形の面積で表される。距離D3が長いほどインジケータId3の面積は大きくなり、距離D3が短いほどインジケータId3の面積は小さくなる。また、距離D3が零の場合は、インジケータId3は「+」の図形で表される。したがって、ユーザは、表示部8に表示されているインジケータId3を見ることによって、点C3と対応点B3との位置関係を視覚的に容易に認識することができる。
図15では、点C3は対応点B3から離れているので、表示部8には、インジケータId3は四角形で表されている。
【0069】
したがって、ユーザは、点C3が対応点B3から離れていることを視覚的に認識することができる。インジケータId3が表示された後、ステップST16に進む。
【0070】
ステップST16では、ユーザは、画像表示領域8bの画像を確認しながら、送受信領域60の点C3が対応点B3に一致するように、プローブ2を操作する(
図16参照)。
【0071】
図16は、プローブ2の操作方法の説明図である。
ユーザは、点C1およびC2が対応点B1およびB2からそれぞれズレないようにプローブ2を被検体110の体表面に押し当てた状態で、中心軸2eを含み送受信領域60に対して垂直な面62内でプローブ2を傾ける。
【0072】
プローブ2を垂直面62内で矢印方向Aに傾けると、垂直面62内におけるプローブ2の傾き角δを調整することができるので、送受信領域60の点C3を対応点B3に近づけることができる。点C3が対応点B3に近づいていくと、それに伴って距離D3が短くなるので、インジケータId3(
図15参照)の四角形の面積が小さくなっていく。そこで、ユーザは、インジケータId3の四角形の大きさを確認しながら、点C3が対応点B3に重なるように、プローブ2の傾き角δを調整する(
図17参照)。
【0073】
図17は、点C3が対応点B3に一致した様子を示す図である。
ユーザが、プローブ2の傾き角δを調整することによって、送受信領域60の点C3が、最適な穿刺ルートが得られる領域61の対応点B3に一致すると、距離D3がD3=0となる。D3=0になると、プロセッサ7は、インジケータId3を、「距離D3が零である」ことを示す表示態様に変化させる。具体的には、プロセッサは、インジケータId3を「□(四角形)」から「+」の図形に変化させる。ユーザは、画像表示領域8bに表示されたインジケータId3が「□」から「+」に変化することを確認することによって、点C3が対応点B3に一致したことを認識することができる。尚、第1の実施形態では、プロセッサ7は、距離D3の値が、所定の閾値TH以下(又は閾値TH未満)の値になった場合に、距離D3が零(D3=0)であると判定し、インジケータId3の表示態様を「□」から「+」に変化させる。したがって、「距離D3が零である」とは、必ずしも厳密にD3=0である必要はなく、点C3が対応点B3に十分に近い位置に存在しており、その結果、距離D3が実質的に零であると見なせる場合も含むものとして解釈されるべきである。
【0074】
このようにして、3つの点C1、C2、およびC3を対応点B1、B2、およびB3に位置合わせすることができる。したがって、ユーザは、最適な穿刺ルートが得られる被検体110の領域61を表示部8に再び表示することができる。最適な穿刺ルートが得られる領域61が表示部8に表示された後、ステップST21に進み、ユーザは、表示部8に表示された超音波画像70および参照医用画像71を確認しながら、被検体110に実際に穿刺を行い、フローを終了する。
【0075】
第1の実施形態では、ユーザは、先ず、
図2に示すフローに従って、穿刺ルートを決める作業を実行する。穿刺ルートを決める場合、ユーザは、被検体110の体内から、最適な穿刺ルートが得られる領域61を特定する。最適な穿刺ルートが得られる領域61は、送受信領域60の点C1、点C2、および点C3に対応する対応点B1、対応点B2、および対応点B3を含んでいる。これらの対応点B1、対応点B2、および対応点B3の位置情報はメモリ9に記憶される。そして、対応点B1、対応点B2、および対応点B3の位置情報をメモリ9に記憶した後、ユーザは、穿刺の作業を実行する。穿刺の作業を実行する場合、ユーザは、ステップST20において、最適な穿刺ルートが得られる領域61を再び見つけ出すための作業を行う。ステップST20では、ユーザは、先ず、表示部8に、インジケータId1を表示する。インジケータId1は、点C1と対応点B1との間の距離D1を表している。ユーザは、インジケータId1を見ながら、距離D1が零になるように、プローブ2を操作する。インジケータId1は距離D1(すなわち、点C1と対応点B1との間の距離)を表している。インジケータId1は、距離D1に応じて表示態様が変化する。第1の実施形態では、□(四角形)の面積で距離D1を表し、点C1が対応点B1に一致すると、「+」に変化する。したがって、ユーザは、表示部8のインジケータId1を見ることによって、点C1が対応点B1に対して遠くに離れているのか、あるいは近づいているのかを、視覚的に容易に認識することができる。ユーザがプローブ2を操作することにより、インジケータId1が、「+」(つまり、D1=0)の表示態様に変化した場合、ユーザは、点C1が対応点B1に一致したことを、視覚的に認識することができる。つまり、ユーザは、点C1を対応点B1に位置合わせできたことがわかる。そして、インジケータId1が、「距離D1は零である」ことを表す表示態様に変化した後で、ユーザは、表示部8に次のインジケータ、即ち、インジケータId2を表示させる。
【0076】
インジケータId2は、点C2と対応点B2との間の距離D2(
図13参照)を表している。ユーザは、点C1が対応点B1からズレないように注意しながら、インジケータId2を参考にして、距離D2が零になるように、プローブ2を操作する。第1の実施形態では、インジケータId2は、距離D2に応じて表示態様が変化し、□(四角形)の面積で距離D2を表し、点C2が対応点B2に一致すると、「+」に変化する。したがって、ユーザは、表示部8のインジケータId2を見ることによって、点C2が対応点B2に対して遠くに離れているのか、あるいは近づいているのかを、視覚的に容易に認識することができる。ユーザがプローブ2を操作することにより、インジケータId2が、「+」(つまり、D2=0)の表示態様に変化した場合(
図14参照)、ユーザは、点C2が対応点B2に一致したことを、視覚的に認識することができる。つまり、ユーザは、点C2を対応点B2に位置合わせできたことがわかる。そして、インジケータId2が、「+」(つまり、D2=0)の表示態様に変化した後で、ユーザは、表示部8に次のインジケータ、即ち、インジケータId3を表示させる。
【0077】
インジケータId3は、点C3と対応点B3との間の距離D3(
図15参照)を表している。ユーザは、点C1が対応点B1からズレないように、更に、点C2が対応点B2からズレないように注意しながら、インジケータId3を参考にして、距離D3が零になるように、プローブ2を操作する。第1の実施形態では、インジケータId3は、距離D3に応じて表示態様が変化し、□(四角形)の面積で距離D3を表し、点C3が対応点B3に一致すると、「+」に変化する。したがって、ユーザは、表示部8のインジケータId3を見ることによって、点C3が対応点B3に対して遠くに離れているのか、あるいは近づいているのかを、視覚的に容易に認識することができる。ユーザがプローブ2を操作することにより、インジケータId3が、「+」の表示態様に変化した場合、ユーザは、点C3が対応点B3に一致したことを、視覚的に認識することができる。つまり、ユーザは、点C3を対応点B3に位置合わせできたことがわかる。
【0078】
したがって、プローブ2の送受信領域60の点C1、点C2、および点C3を、メモリ9に記憶した対応点B1、対応点B2、および対応点B3に一致させることができるので、ユーザは、最適な穿刺ルートが得られる領域61を再び見つけ出すことができる。
【0079】
また、第1の実施形態では、表示部8にインジケータId1、インジケータId2、およびインジケータId3を表示部8に一斉に表示するのでは無く、先ず、インジケータId1を表示する。したがって、ユーザが点C1の位置合わせを行っている間、表示部8には、
図11に示すように、インジケータId1が表示されているが、インジケータId2およびId3は表示されていないので、ユーザは点C1の位置合わせのみに集中することができる。そして、点C1の位置合わせが完了した後、インジケータId2が表示されるので(
図13参照)、ユーザは、点C1が対応点B1からズレないように注意しながら、インジケータId2を参考にして、点C2の位置合わせに集中することができる。点C2の位置合わせが完了した後(
図14参照)、インジケータId3が表示され(
図15参照)、ユーザは、点C3の位置合わせを行う。このように、第1の実施形態では、3つのインジケータId1、Id2、およびId3を一斉に表示するのでは無く、インジケータId1を表示し、点C1の位置合わせができたら、インジケータId2を表示し、点C2の位置合わせができたら、インジケータId3を表示していく。したがって、ユーザは点C1の位置合わせ、点C2の位置合わせ、および点C3の位置合わせに集中することができるので、プローブの位置合わせを容易に行うことができる。
【0080】
第1の実施形態では、3つのインジケータId1、Id2、およびId3のうちのインジケータId1を最初に表示部8に表示して、点C1の位置決めを最初に行っている。点C1は、
図7に示すように、プローブ2のプローブ面2bの中央部2cに対応する点である。したがって、点C1の位置決めを最初に行うと、被検体の体表面に対してプローブ面2bの中央部2cの位置を確定することができるので、残りの点C2およびC3を、プローブ2の簡単な操作で位置合わせすることができる。例えば、第1の実施形態では、点C1を最初に位置決めすることによって、点C2は、プローブ2を回転操作するだけで位置合わせすることができ(
図14参照)、点C3は、プローブ2を傾ける操作をするだけで位置合わせすることができる(
図17参照)。したがって、プローブ2の簡単な操作で、最適な穿刺ルートが得られる領域61を容易に見つけ出すことができる。尚、第1の実施形態では、点C1を、プローブ2のプローブ面2bの中央部2cに対応する点として設定されている。しかし、点C1は、必ずしも、プローブ面2bの中央部2cに対応する点として設定する必要は無く、プローブ面2b内の他の部分に対応する点として設定することができる。例えば、点C1をプローブ面2bの端部2f(
図7参照)に対応するように設定することができる。点C1を端部2fに対応する点として設定した場合、点C1を位置決めすることによって、被検体の体表面に対してプローブ面2bの端部2fの位置を確定することができるので、残りの点C2およびC3を、プローブ2の簡単な操作で位置合わせすることができる。
【0081】
第1の実施形態では、インジケータId1、Id2、およびId3は、インジケータId1、Id2、およびId3の順で、表示部8に表示されている。しかし、インジケータId1、Id2、およびId3を表示する順序は、インジケータId1、Id2、およびId3の順に限定されることはなく、他の順でインジケータId1、Id2、およびId3を表示してもよい。例えば、インジケータId1、Id3、およびId2の順にインジケータを表示するようにしてもよい。この場合、点C1を位置決めした後、ユーザは、プローブ2を傾ける操作をすることによって、点C3を対応点B3に位置合わせする。したがって、点C2を位置合わせする前に、点C3の位置合わせが実行される。点C3を位置合わせした後、ユーザは、点C1および点C3が位置ずれしないようにプローブ2を回転操作することによって、点C2を対応点B2に位置合わせする。したがって、点C1、点C3、および点C2の順で位置決めをする場合も、プローブ2の簡単な操作で、最適な穿刺ルートが得られる領域61を容易に見つけ出すことができる。
【0082】
また、第1の実施形態では、点C1、点C2、および点C3のうち、点C1を最初に位置決めしている。しかし、点C1ではなく、点C2又は点C3を最初に位置決めしてもよい。
【0083】
また、第1の実施形態では、送受信領域60の点C1は、プローブ面の中央部に対応し、点C2はプローブ面の端部に対応し、点C3は送受信領域60の深部に対応している。しかし、点C1、C2、およびC3を、別の位置に設置してもよい。
図18は、点C1、C2、およびC3を別の位置に設定した例を示す図である。
図18の(a)は、点C1、C2、およびC3が送受信領域60の角部に位置している例を示しており、
図18の(b)は、点C1が送受信領域60の内部に配置されている例を示している。このように、点C1、C2、C3の位置は、送受信領域60の輪郭上の位置だけでなく、送受信領域60の内部に設定することもできる。
【0084】
また、第1の実施形態では、3つのインジケータを使用して、最適な穿刺ルートが得られる領域61を見つけ出しているが、4つ以上のインジケータを使用してもよい。
【0085】
また、第1の実施形態では、表示部8に、扇形の超音波画像が表示される例について説明されているが、本発明は、扇形の超音波画像に限定されることはなく、任意の形状の超音波画像(例えば、正方形の超音波画像)に適用することができる。
【0086】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。ただし、第1の実施形態と同一事項については説明を省略する。
【0087】
第2の実施形態では、参照医用画像を使用せずに穿刺ルートを決定する例について、
図19のフローチャートを参照しながら説明する。
【0088】
ステップST31では、ユーザは、超音波プローブ2で被検体110の体内を走査しながら、最適な穿刺ルートを探索する作業を行う。
【0089】
図20はステップST31の説明図である。
ステップS31では、ユーザは超音波プローブ2を被検体110の体表面に当接させて超音波の送受信を開始する。そして、プロセッサ7は、エコー信号に基づいて作成された超音波画像UGを前記表示部8に表示させる。超音波画像UGは画像表示領域8cに表示される。超音波画像UGは例えばBモード画像である。
次に、ユーザは、超音波プローブ2で被検体110の体内を走査しながら、ターゲット(例えば、腫瘍)にアクセスするための穿刺ルート(例えば、穿刺針を刺入する位置及び刺入角度)を探索する。
【0090】
図21は、穿刺ルートを探索するときの説明図である。
ユーザは、プローブ2を操作し、穿刺ルートを探索する。
図21では、ユーザは、超音波の送受信領域60に対応する被検体110の領域61(グレーでハイライトされた部分)に、最適な穿刺ルートを発見することができた例が示されている。ユーザは、最適な穿刺ルートが得られる領域61を探索することができたら、ステップST32に進む。
【0091】
ステップST32では、ユーザは、ユーザインターフェース10を操作して、最適な穿刺ルートが得られる領域61の対応点B1、B2、およびB3の位置情報を記憶させるための命令を入力する。この命令が入力されると、プロセッサ7は、対応点B1、B2、およびB3の位置情報を、超音波画像UGの座標系の位置情報として記憶する。
【0092】
つまり、第2の実施形態では、プロセッサ7は、点C1、C2、およびC3の位置情報を、参照医用画像のボリュームデータVDではなく、超音波画像UGの座標系における位置情報として記憶する。
【0093】
最適な穿刺ルートが得られる領域61の対応点B1、B2、およびB3の位置情報を記憶した後、ユーザは穿刺作業を行う。穿刺作業については、
図9のフローを参照しながら説明する。尚、第2の実施形態では、ステップS32で穿刺針を刺入する位置及び刺入角度を決めてから、穿刺作業を開始するまで、被検体110は動いておらず、同じ位置に留まっているものとする。
【0094】
ステップST20では、ユーザは、被検体110をプローブ2で操作して、最適な穿刺ルートが得られる領域61(
図21参照)を再び見つけ出すための作業を行う。
尚、第2の実施形態におけるステップST20は、第1の実施形態と基本的に共通しているので、ステップST20について以下に簡単に説明する。
【0095】
ステップST11において、プロセッサ7は、表示部8にインジケータId1を表示させる。
図22は、表示部8に表示されたインジケータId1を示す図である。インジケータId1は、点C1と点E1との間の距離を示している。第1の実施形態では、インジケータId1は参照医用画像71に重なるように表示されていたが(
図11参照)、第2の実施形態では、インジケータId1は、超音波画像70に重なるように表示される。インジケータId1を表示させたら、ステップST12に進む。
【0096】
ステップST12では、ユーザは、インジケータId1を見ながら、点C1の位置合わせを行う。
図23に示すように、インジケータId1が「+」の表示形態に変化したら、ステップST13に進む。
【0097】
ステップST13では、次のインジケータId2が表示される。
図24は、表示部8に表示されたインジケータId2を示す図である。インジケータId2は、点C2と点E2との間の距離を示している。インジケータId2を表示させたら、ステップST14に進む。
【0098】
ステップST14では、ユーザは、インジケータId2を見ながら、プローブ2を回転させて点C2の位置合わせを行う。
図25に示すように、インジケータId2が「+」の表示形態に変化したら、ステップST15に進む。
【0099】
ステップST15では、次のインジケータId3が表示される。
図26は、表示部8に表示されたインジケータId3を示す図である。インジケータId3は、点C3と点E3との間の距離を示している。インジケータId3を表示させたら、ステップST16に進む。
【0100】
ステップST16では、ユーザは、インジケータId3を見ながら、プローブ2の傾き角を調整して点C3の位置合わせを行う。
図27に示すように、インジケータId3が「+」の表示形態に変化したら、ステップST21に進み、ユーザは、表示部8に表示された超音波画像を参照しながら、被検体110に実際に穿刺を行い、フローを終了する。
【0101】
第2の実施形態の超音波診断装置1によっても第1の実施形態と同一の効果を得ることができる。また、第2の実施形態では、参照医用画像のボリュームデータVDではなく、超音波画像UGの座標系における位置情報が記憶されるので、参照医用画像の座標系と超音波画像の座標系とを対応付ける作業が不要となり、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 超音波診断装置
2 超音波プローブ
2a 振動素子
2b プローブ面
2c 中央部
2d、2f 端部
2e 中心軸
3 送信ビームフォーマ
4 送信器
5 受信器
6 受信ビームフォーマ
7 プロセッサ
8 表示部
8a、8b、8c 画像表示領域
9 メモリ
10 ユーザインターフェース
11 磁気発生部
12 磁気センサ
60 送受信領域
61 領域
62 垂直面
70 超音波画像
71 参照医用画像
100 医用画像装置
110 被検体
111 断面
【要約】 (修正有)
【課題】プローブを容易に位置合わせすることができる技術を提供する。
【解決手段】送受信領域60の点C1、C2、およびC3に対応する対応点B1、B2、およびB3を記憶した後、リアルタイムの超音波の送受信領域の点C1と対応点B1との間の距離D1を示すインジケータId1を表示部8に表示させること、インジケータId1が、距離D1が零であることを示す表示態様に変化した後で、リアルタイムの超音波の送受信領域60の点C2と対応点B2との間の距離D2を示すインジケータId2を表示部8に表示させること、インジケータId2が、距離D2が零であることを示す表示態様に変化した後で、リアルタイムの超音波の送受信領域60の点C3と対応点B3との間の距離D3を示すインジケータId3を表示部8に表示させることを実行する、超音波診断装置。
【選択図】
図17