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▶ ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】超音波診断装置および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/06 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
A61B8/06
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023101286
(22)【出願日】2023-06-20
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩
【審査官】井海田 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-129859(JP,A)
【文献】特開2021-186092(JP,A)
【文献】特表2012-508053(JP,A)
【文献】特開2015-159904(JP,A)
【文献】特開2014-008147(JP,A)
【文献】特開2014-138761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 ー 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のプロセッサを含む超音波診断装置であって、
前記1つ以上のプロセッサが、
造影剤が投与された被検体のターゲットを含む断面から取得された複数の造影画像の中から、第1の時相における前記ターゲットが染影された状態を表す第1の造影画像と、第1の時相の後の第2の時相における前記ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判定するための第2の造影画像と、第2の時相の後の第3の時相における前記ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判定するための第3の造影画像とを選択すること、
前記第1の造影画像の前記ターゲットの特徴量と前記ターゲットと比較される組織の特徴量との間の第1の大小関係と、前記第2の造影画像の前記ターゲットの特徴量と前記組織の特徴量との間の第2の大小関係と、前記第3の造影画像の前記ターゲットの特徴量と前記組織の特徴量との間の第3の大小関係とを特定すること、
前記第1の大小関係、前記第2の大小関係、および前記第3の大小関係の全てが、前記ターゲットの特徴量が前記組織の特徴量よりも大きいことを表している、又は前記ターゲットの特徴量が前記組織の特徴量よりも小さいことを表している場合、前記ターゲットの特徴量の時間変化に基づいて、第2及び第3の時相において前記ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判断するための画像を生成すること、および
前記第1の大小関係、前記第2の大小関係、および前記第3の大小関係のうちの1つ又は2つの大小関係が、前記ターゲットの特徴量が前記組織の特徴量よりも大きいことを表しており、前記第1の大小関係、前記第2の大小関係、および前記第3の大小関係のうちの残りの大小関係が、前記ターゲットの特徴量が前記組織の特徴量よりも小さいことを表す場合、前記組織のデータと前記ターゲットのデータとに基づいて、第2及び第3の時相において前記ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判断するための画像を生成すること
実行する、超音波診断装置。
【請求項2】
前記第1の大小関係が、前記第1の造影画像の前記ターゲットの関心領域の特徴量と前記組織の関心領域の特徴量との間の第1の差分値を表し、
前記第2の大小関係が、前記第2の造影画像の前記ターゲットの関心領域の特徴量と前記組織の関心領域の特徴量との間の第2の差分値を表し、
前記第3の大小関係が、前記第3の造影画像の前記ターゲットの関心領域の特徴量と前記組織の関心領域の特徴量との間の第3の差分値を表す、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
ーザインターフェースが造影画像に関心領域を付与するユーザの命令を受け付けると、前記1つ以上のプロセッサは前記造影画像に前記関心領域を付与し、
前記関心領域は、ユーザが造影剤の排出されるタイミングを確認したい箇所に設置される、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記造影画像に付与された前記関心領域から第1のピクセルを選択すること、
前記第2の時相における前記第2の造影画像の前記組織の特徴量を読み出すこと、
前記第2の時相における前記第2の造影画像から、前記造影画像の第1のピクセルに対応する第2のピクセルの輝度値を読み出すこと、
前記第2の時相における前記第2の造影画像の前記組織の特徴量と前記第2のピクセルの輝度値との間の第4の差分値を計算すること、
前記第3の時相における前記第3の造影画像の前記組織の特徴量を読み出すこと、
前記第3の時相における前記第3の造影画像から、前記造影画像の第1のピクセルに対応する第3のピクセルの輝度値を読み出すこと、
前記第3の時相における前記第3の造影画像の前記組織の特徴量と前記第3のピクセルの輝度値との間の第5の差分値を計算すること、
前記第4の差分値と前記第5の差分値との組合せに基づいて、前記造影画像の第1のピクセルにおける色を割り当てる、請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
モリにはカラーマップが記憶されており、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記カラーマップの中から、前記第4の差分値と前記第5の差分値との組合せに対応する色を特定し、定した色を、前記第1のピクセルにおける色として割り当てる、請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記造影画像の前記関心領域から第1のピクセルを選択すること、
前記第1の時相における前記第1の造影画像から、前記造影画像の前記第1のピクセルに対応する第2のピクセルの輝度値を読み出すこと、
前記第2の時相における前記第2の造影画像から、前記造影画像の前記第1のピクセルに対応する第3のピクセルの輝度値を読み出すこと、
前記第3の時相における前記第3の造影画像から、前記造影画像の前記第1のピクセルに対応する第4のピクセルの輝度値を読み出すこと、
前記第2のピクセルの輝度値と前記第3のピクセルの輝度値との間の第4の差分値を計算すること、
前記第2のピクセルの輝度値と前記第4のピクセルの輝度値との間の第5の差分値を計算すること、
前記第4の差分値と前記第5の差分値との組合せに基づいて、前記造影画像の第1のピクセルにおける色を割り当てる、請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記メモリにはカラーマップが記憶されており、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記カラーマップの中から、前記第4の差分値と前記第5の差分値との組合せに対応する色を特定し、前記特定した色を、前記第1のピクセルにおける色として割り当てる、請求項6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記第2の時相は早期相であり、前記第3の時相は後期相である請求項4又は6に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記特徴量は、関心領域内の平均輝度である、請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記ターゲットは腫瘍であり、前記組織は肝実質である、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
1つ以上のプロセッサによって実行可能な1つ以上の命令が格納された、1つ以上の非一時的でコンピュータ読取可能な記録媒体であって、前記1つ以上の命令は、前記1つ以上のプロセッサに、
造影剤が投与された被検体のターゲットを含む断面から取得された複数の造影画像の中から、第1の時相における前記ターゲットが染影された状態を表す第1の造影画像と、第1の時相の後の第2の時相における前記ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判定するための第2の造影画像と、第2の時相の後の第3の時相における前記ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判定するための第3の造影画像とを選択すること、
前記第1の造影画像の前記ターゲットの特徴量と前記ターゲットと比較される組織の特徴量との間の第1の大小関係と、前記第2の造影画像の前記ターゲットの特徴量と前記組織の特徴量との間の第2の大小関係と、前記第3の造影画像の前記ターゲットの特徴量と前記組織の特徴量との間の第3の大小関係とを特定すること、
前記第1の大小関係、前記第2の大小関係、および前記第3の大小関係の全てが、前記ターゲットの特徴量が前記組織の特徴量よりも大きいことを表している、又は前記ターゲットの特徴量が前記組織の特徴量よりも小さいことを表している場合、前記ターゲットの特徴量の時間変化に基づいて、第2及び第3の時相において前記ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判断するための画像を生成すること、
前記第1の大小関係、前記第2の大小関係、および前記第3の大小関係のうちの1つ又は2つの大小関係が、前記ターゲットの特徴量が前記組織の特徴量よりも大きいことを表しており、前記第1の大小関係、前記第2の大小関係、および前記第3の大小関係のうちの残りの大小関係が、前記ターゲットの特徴量が前記組織の特徴量よりも小さいことを表す場合、前記組織のデータと前記ターゲットのデータとに基づいて、第2及び第3の時相において前記ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判断するための画像を生成すること
を実行させる、記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の造影画像の中から或る時相の造影画像を選択する超音波診断装置、および複数の造影画像の中から或る時相の造影画像を選択するための命令が記憶された記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波を利用した検査方法として、被検体に造影剤を注入し、被検体の造影画像を作成する造影超音波検査が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7053910号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
造影超音波検査では、早期相において、造影検査の基準時刻から超音波画像内の各点の輝度が閾値を超えるまでの時間の違い(造影剤の到達時間の違い)を色で表現した画像(Wash-in Parametric Image)を作成する技術が知られている。この技術は、早期相において、ターゲット(例えば、腫瘍)の染影速度と、その周囲の組織の染影速度との差を、1枚の画像で表現することができるので、ターゲットの診断をする上で非常に重要な技術である。例えば、典型的な肝腫瘍は、肝実質より早期に染影されるので、早期相の画像を作成することは、典型的な肝腫瘍の診断にとって極めて有用である。
【0005】
一方、造影超音波による肝細胞癌の診断を目的とした診断基準(CT/MRI LI-RADS)でも肝細胞癌の鑑別ガイドラインとして、造影剤がターゲットから流出していきターゲットの輝度が低下するタイミング(Washout)を評価することが定義されている。例えば、転移性肝癌は、造影剤の投与後1分程度で肝実質より輝度が低下することが知られており、肝細胞癌(HCC)は、造影剤の投与後5~10分後に、肝実質より輝度が低下することが知られている。このことからも、造影剤の到達時間だけではなく、ターゲットの輝度が低下するタイミングを表現する画像(Wash-out Parametric Image)も有用であると考えられる。
【0006】
しかし、実際には、腫瘍の血流状態や肝機能が悪い場合、また、深部で超音波の減衰が大きい場合、ターゲット(例えば、腫瘍)の輝度と肝実質の輝度との差が観察しにくいことがある。このような場合、ターゲットの輝度が低下するタイミング(Washout)の判定が行えないことがある。
【0007】
したがって、例えば、腫瘍の血流状態や肝機能が悪い場合、また、深部で超音波の減衰が大きい場合のように、ターゲット(例えば、腫瘍)の輝度と実質部の輝度との差が観察しにくくても、ターゲットの輝度が低下するタイミング(Washout)を求めることができる超音波診断装置の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点は、1つ以上のプロセッサを含む超音波診断装置であって、
前記1つ以上のプロセッサが、
造影剤が投与された被検体のターゲットを含む断面から取得された複数の造影画像の中から、第1の時相における前記ターゲットが染影された状態を表す第1の造影画像と、第1の時相の後の第2の時相における前記ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判定するための第2の造影画像と、第2の時相の後の第3の時相における前記ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判定するための第3の造影画像とを選択すること、
前記第1の造影画像の前記ターゲットの特徴量と前記ターゲットと比較される組織の特徴量との間の第1の大小関係と、前記第2の造影画像の前記ターゲットの特徴量と前記組織の特徴量との間の第2の大小関係と、前記第3の造影画像の前記ターゲットの特徴量と前記組織の特徴量との間の第3の大小関係とを特定すること、
前記第1の大小関係、前記第2の大小関係、および前記第3の大小関係の全てが、前記ターゲットの特徴量が前記組織の特徴量よりも大きいことを表している、又は前記ターゲットの特徴量が前記組織の特徴量よりも小さいことを表している場合、前記ターゲットの特徴量の時間変化に基づいて、第2及び第3の時相において前記ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判断するための画像を生成すること、
を含む、超音波診断装置である。
【0009】
本発明の第2の観点は、1つ以上のプロセッサによって実行可能な1つ以上の命令が格納された、1つ以上の非一時的でコンピュータ読取可能な記録媒体であって、前記1つ以上の命令は、前記1つ以上のプロセッサに、
造影剤が投与された被検体のターゲットを含む断面から取得された複数の造影画像の中から、第1の時相における前記ターゲットが染影された状態を表す第1の造影画像と、第1の時相の後の第2の時相における前記ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判定するための第2の造影画像と、第2の時相の後の第3の時相における前記ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判定するための第3の造影画像とを選択すること、
前記第1の造影画像の前記ターゲットの特徴量と前記ターゲットと比較される組織の特徴量との間の第1の大小関係と、前記第2の造影画像の前記ターゲットの特徴量と前記組織の特徴量との間の第2の大小関係と、前記第3の造影画像の前記ターゲットの特徴量と前記組織の特徴量との間の第3の大小関係とを特定すること、
前記第1の大小関係、前記第2の大小関係、および前記第3の大小関係の全てが、前記ターゲットの特徴量が前記組織の特徴量よりも大きいことを表している、又は前記ターゲットの特徴量が前記組織の特徴量よりも小さいことを表している場合、前記ターゲットの特徴量の時間変化に基づいて、第2及び第3の時相において前記ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判断するための画像を生成すること、
を実行させる、記憶媒体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、時相ごとに、ターゲットの特徴量とターゲットと比較される組織の特徴量との間の大小関係を特定し、特定した大小関係の全てが、ターゲットの特徴量が前記組織の特徴量よりも大きい(又は小さい)ことを表しているかどうかを判断する。したがって、ターゲットの輝度と比較対象の組織の輝度との差が観察しにくくても、前記ターゲットから造影剤が排出されるタイミングを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の超音波診断装置1で被検体をスキャンしている様子を示す図である。
図2】超音波診断装置1のブロック図である。
図3】造影画像が取得されるタイムラインの説明図である。
図4図3に示すタイムラインに従って取得されるデータの説明図である。
図5】フローチャートを示す図である。
図6】造影画像を選択するための初期画面の説明図である。
図7】画像群21が選択された後の表示部を示す図である。
図8】関心領域の付与方法の説明図である。
図9】ターゲットの比較対象となる組織に関心領域51および52が付与された様子を示す図である。
図10】後期相の造影画像の選択方法の説明図である。
図11】関心領域の付与方法の説明図である。
図12図9に示すデータ群61および62と、図11に示すデータ群63および64を時系列に並べて示した図である。
図13】差分値の計算方法の説明図である。
図14】ステップST5においてWO画像を作成するときのフローチャートの説明図である。
図15】表示部に表示される造影画像200を示す図である。
図16】関心領域45の説明図である。
図17】関心領域45のピクセルP1に割り当てる色を決定する手順の説明図である。
図18】カラーマップ81の説明図である。
図19】カラーマップ81の3つの領域82、83、および84を示す図である。
図20】差分値ΔE=B22-B221および差分値ΔL=B32-B331によって色を決定するときの説明図である。
図21】関心領域45のピクセルP2に割り当てる色を決定するときの説明図である。
図22】差分値ΔE=B22-B222および差分値ΔL=B32-B332によって色を決定するときの説明図である。
図23】WO画像を示す概略図である。
図24】ステップST1の説明図である。
図25】差分値の計算方法の説明図である。
図26】造影画像200の中に付与された関心領域45を示す図である。
図27】割り当てる色の決定方法の説明図である。
図28】2つの差分値ΔE(=B13-B23)および差分値ΔL(=B13-B33)に基づいて、ピクセルQ1に割り当てる色を決定するときの説明図である。
図29】ピクセルQ2およびQ3に割り当てられる色の説明図である。
図30】WO画像を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、以下の形態に限定されることはない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態の超音波診断装置1で被検体をスキャンしている様子を示す図、図2は、超音波診断装置1のブロック図である。
【0014】
超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送信ビームフォーマ3、送信器4、受信器5、受信ビームフォーマ6、プロセッサ7、表示部8、メモリ9、およびユーザインターフェース10を有している。
【0015】
超音波プローブ2は、アレイ状に配置された複数の振動素子2aを有している。送信ビームフォーマ3および送信器4は、超音波プローブ2内に配列された複数の振動素子2aをドライブし、振動素子2aから超音波が送信される。振動素子2aから送信された超音波は被検体57(図1参照)内において反射し、反射エコーが振動素子2aで受信される。振動素子2aは、受信したエコーを電気信号に変換し、この電気信号をエコー信号として受信器5に出力する。受信器5はエコー信号に対して所定の処理を実行し、受信ビームフォーマ6に出力する。受信ビームフォーマ6は、受信器5から受け取った信号に受信ビームフォーミングを実行し、エコーデータを出力する。
【0016】
受信ビームフォーマ6は、ハードウェアビームフォーマであってもよいし、ソフトウェアビームフォーマであってもよい。受信ビームフォーマ6がソフトウェアビームフォーマである場合、受信ビームフォーマ6は、i)グラフィックス処理ユニット(GPU)、ii)マイクロプロセッサ、iii)中央処理装置(CPU)、iv)デジタル信号プロセッサ(DSP)、v)論理演算を実行することができる他の種類のプロセッサ、のうちの1つまたは複数を含む1つまたは複数のプロセッサを備えることができる。受信ビームフォーマ6を構成するプロセッサは、プロセッサ7とは別のプロセッサで構成されていてもよいし、プロセッサ7で構成されていてもよい。
【0017】
超音波プローブ2は、送信ビームフォーミングおよび/または受信ビームフォーミングの全部または一部を行うための電気回路を含むことができる。例えば、送信ビームフォーマ3、送信器4、受信器5、および受信ビームフォーマ6の全部または一部は、超音波プローブ2内に設けることができる。
【0018】
プロセッサ7は、送信ビームフォーマ3、送信器4、受信器5、および受信ビームフォーマ6を制御する。また、プロセッサ7は、超音波プローブ2と電子通信している。プロセッサ7は、振動素子2aのどれがアクティブであるか、および超音波プローブ2から送信される超音波ビームの形状を制御する。プロセッサ7は表示部8とも電子通信している。プロセッサ7は、エコーデータを処理して超音波画像を生成することができる。「電子通信」という用語は、有線通信と無線通信の両方を含むように定義することができる。プロセッサ7は、一実施形態によれば中央処理装置(CPU)を含むことができる。他の実施形態によれば、プロセッサ7は、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、または他のタイプのプロセッサなど、処理機能を実行することができる他の電子構成要素を含むことができる。他の実施形態によれば、プロセッサ7は、処理機能を実行することができる複数の電子構成要素を含むことができる。例えばプロセッサ7は、中央処理装置、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、およびグラフィックスプロセッシングユニットを含む電子構成要素のリストから選択された2つ以上の電子構成要素を含むことができる。
【0019】
プロセッサ7は、RFデータを復調する複合復調器(図示せず)を含むこともできる。別の実施形態では、処理チェーン(processing chain)の早い段階で復調を実行することができる。
【0020】
また、プロセッサ7は、受信ビームフォーマ6による処理によって得られたデータに基づいて、様々な超音波画像(例えば、Bモード画像、カラードップラ画像、Mモード画像、カラーMモード画像、スペクトルドップラ画像、エラストグラフィ画像、TVI画像、歪み画像、歪み速度画像、など)を生成することができる。また、1つまたは複数のモジュールが、これらの超音波画像を生成することができる。
【0021】
画像ビームおよび/または画像フレームは保存され、データがメモリに取得された時を示すタイミング情報を記録することができる。前記モジュールは、例えば、画像フレームを座標ビーム空間から表示空間座標に変換するために走査変換演算を実行する走査変換モジュールを含むことができる。被検体に処置が実施されている間にメモリから画像フレームを読み取り、その画像フレームをリアルタイムで表示する映像プロセッサモジュールを設けることもできる。映像プロセッサモジュールは画像フレームを画像メモリに保存することができ、超音波画像は画像メモリから読み取られ表示部8に表示される。
【0022】
本明細書において、「画像」という用語は、可視画像と可視画像を表すデータの両方を広く指すものとすることができる。また、「データ」という用語は、走査変換演算前の超音波データであるローデータ(raw data)と、走査変換演算後のデータである画像データを含み得る。
【0023】
尚、プロセッサ7が担当する上述の処理タスクを、複数のプロセッサで実行するようにしてもよい。
【0024】
また、受信ビームフォーマ6がソフトウェアビームフォーマである場合、ビームフォーマが実行する処理を、単一のプロセッサで実行させてもよいし、複数のプロセッサで実行させてもよい。
【0025】
表示部8は、例えば、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイである。表示部8は、1つのディスプレイで構成されてもよいし、2つ以上のディスプレイを含んでいてもよい。また、表示部8はタッチパネルを含んでいてもよい。
【0026】
メモリ9は、任意の既知のデータ記憶媒体である。一例では、超音波診断装置は、メモリとして、非一過性の記憶媒体および一過性の記憶媒体を含む。また、超音波診断装置は、複数のメモリを含むこともできる。非一過性の記憶媒体は、例えば、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)、ROM(Read Only Memory)などの不揮発性の記憶媒体である。非一過性の記憶媒体は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性の記憶媒体を含むことができる。プロセッサ7によって実行されるプログラムは、非一過性の記憶媒体に記憶されている。一過性の記憶媒体は、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶媒体である。
【0027】
メモリ9には、プロセッサ7による実行が可能な1つ又は複数の命令が格納されている。この1つ又は複数の命令は、プロセッサ7に、所定の動作を実行させる。
【0028】
尚、プロセッサ7は、外部記憶装置に有線接続又は無線接続することができるように構成することもできる。この場合、プロセッサ7に実行させる命令を、メモリ9と外部記憶装置との両方に分散させて記憶させることも可能である。
【0029】
ユーザインターフェース10は、オペレータ56の入力を受け付けることができる。例えば、ユーザインターフェース10は、オペレータ56からの指示や情報の入力を受け付ける。ユーザインターフェース10は、タッチパネルおよび操作パネルを含んでいる。操作パネルは、キーボード(keyboard)、ハードキー(hard key)、トラックボール(trackball)、ロータリーコントロール(rotary control)などを含んでいる。また、タッチパネルはソフトキーやボタンなどを表示することができる。
超音波診断装置1は上記のように構成されている。
【0030】
次に、本例の超音波診断装置1の動作について説明する。本実施形態では、超音波診断装置1の動作として、被検体の造影画像のデータを取得し、取得した造影画像のデータに基づいて、ターゲットから造影剤が排出されるタイミングを表す画像を作成する例について説明する。
【0031】
先ず、造影画像のデータの取得方法について説明する。具体的には、以下のようにして造影画像のデータを取得する。
【0032】
図3は、造影画像が取得されるタイムラインの説明図である。
オペレータ56は、被検体57に造影剤を注入し、造影画像を取得する。造影剤は、マイクロバブルを有効成分とする造影剤を使用することができる。オペレータ56は、プローブ2を操作し、時点t11(造影剤を注入した時点、又は造影剤の注入時点に近い時点)から、検査部位の造影画像の取得を開始する。
【0033】
プロセッサ7は、被検体57に対して超音波を送信するよう超音波プローブ2を制御する。超音波プローブ2は、造影剤によって反射した超音波(エコー)を受信する。プロセッサ7は、エコー信号に対して所定の処理を実行し、造影剤によって反射された超音波の信号強度を示すデータを作成する。この造影剤によって反射された超音波の信号強度を示すデータを、造影画像のデータとして得ることができる。
【0034】
オペレータ56は、時点t11から所定の時間に渡って間欠的に造影画像のデータを取得する。オペレータ56は、例えば、時点t11~tn2の間の期間に渡って間欠的に造影画像のデータを取得する。時点t11~tn2の時間長は、例えば、15分程度の時間とすることができる。
【0035】
尚、オペレータ56は、時点t11~tn2の間、連続して超音波走査や画像記録を行うのではなく、所要のタイミングでデータを収集する。本実施形態では、期間SC1(時点t11~t12)の間は、連続して被検体57のデータの取得を行い、その後、一定時間が経過するたびに、数秒間のデータの取得SC2~SCnが実行される。本実施形態では、図3に示すタイムラインに従って被検体57のスキャンが実行される。
【0036】
図4は、図3に示すタイムラインに従って取得されるデータの説明図である。
先ず、オペレータ56は、造影剤を投与し、期間SC1(時点t11~t12)の間、連続的にスキャンを行い、複数の超音波画像を含む画像群21のデータを取得する。時点t11~t12の時間長は「TS1」で表されている。本実施形態では、時間長TS1は、60秒とするが、時間長TS1は、60秒より短くてもよいし、長くてもよい。時点t11~t12の間、プロセッサ7は、被検体57に対して超音波を送信するよう超音波プローブ2を制御する。超音波プローブ2は、造影剤によって反射した超音波(エコー)を受信する。プロセッサ7は、エコー信号に対して所定の処理を実行し、造影剤によって反射された超音波の信号強度を示す超音波画像を作成する。超音波画像は、例えば被検体57の肝臓の断面から取得された画像である。プロセッサ7は、取得した画像群21のデータをメモリ9に記憶する。本実施形態では、超音波画像として、2種類の超音波画像を作成する。1つは、造影剤で反射したエコー信号に含まれる非線形信号を強調した造影画像であり、もう1つは、Bモード画像である。したがって、画像群21は、時系列に並ぶ複数の造影画像を含む造影画像セット211と、時系列に並ぶ複数のBモード画像を含むBモード画像セット212とを含んでいる。
【0037】
時点t11~t12のデータを取得した後、オペレータ56は、データの取得を中断し、造影剤が注入されてから次のデータ取得を開始する時点t21が来るまで待つ。そして、オペレータ56は期間SC2(時点t21~t22)の間のデータを取得する。期間SC2の時間長は、例えば、5秒である。プロセッサ7は、エコー信号に対して所定の処理を実行し、画像群22を作成する。画像群22は、時系列に並ぶ複数の造影画像を含む造影画像セット221と、時系列に並ぶ複数のBモード画像を含むBモード画像セット222とを含んでいる。画像群22のデータはメモリ9に記憶される。
【0038】
時点t21~t22のデータを取得した後、オペレータ56は、データの取得を中断し、造影剤が注入されてから次のデータ取得を開始する時点t31が来るまで待つ。そして、オペレータ56は時点t31~t32の間(時間長TS3)にデータを取得する。時間長TS3は、例えば、5秒である。プロセッサ7は、エコー信号に対して所定の処理を実行し、画像群23を作成する。画像群23は、時系列に並ぶ複数の造影画像を含む造影画像セット231と、時系列に並ぶ複数のBモード画像を含むBモード画像セット232とを含んでいる。画像群23のデータはメモリ9に記憶される。
以下同様に、一定時間待った後でデータを取得するステップを繰り返し実行する。
【0039】
最後に、オペレータ56は時点tn1~tn2の間(時間長TSn)にデータを取得する。プロセッサ7は、エコー信号に対して所定の処理を実行し、画像群2nを作成する。画像群2nは、時系列に並ぶ複数の造影画像を含む造影画像セット2n1と、時系列に並ぶ複数のBモード画像を含むBモード画像セット2n2とを含んでいる。画像群2nのデータはメモリ9に記憶される。
このようにして、被検体57の検査データを取得する。
被検体57をスキャンすることにより得られたデータはメモリ9に記憶される。
【0040】
次に、オペレータ56は、被検体57から取得されたデータに基づいて、早期相および後期相においてターゲットから造影剤が排出(Washout)されたかどうかを判断するための画像(以下、「WO画像」と呼ぶ)を作成する。以下に、WO画像を作成する方法について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0041】
ステップST1では、被検体の検査で取得した複数の造影画像の中から、WO画像の作成に必要な時相の造影画像を選択する。本実施形態では、WO画像の作成に必要な時相として、以下の3つの時相を考える。
【0042】
(1)ターゲット(例えば、腫瘍)が造影剤で染影された状態を表す時相(以下、「染影時相」と呼ぶ)
(2)早期相、および
(3)後期相
ユーザは、染影時相の造影画像、早期相の造影画像、および後期相の造影画像を選択し、選択された造影画像に基づいて、時相毎に、ターゲットの平均輝度および肝実質の平均輝度を計算する。
【0043】
以下に、染影時相の造影画像、早期相の造影画像、および後期相の造影画像の選択方法、および、ターゲットの平均輝度および肝実質の平均輝度の計算方法について説明する。
【0044】
先ず、ユーザは、造影画像を選択するための初期画面を表示する。
図6は、造影画像を選択するための初期画面の説明図である。
表示部8にはサムネイル領域20が示されている。サムネイル領域20には、n個のサムネイル121~12nが示されている。n個のサムネイル121~12nは、被検体57をスキャンすることにより取得したn個の画像群21~2nに対応するサムネイルである。図6では、画像群21~2nのうち、代表して、4つの画像群21、22、23、および2nのサムネイル121、122、123、および12nが示されている。
【0045】
ここでは、先ず、染影時相の造影画像、早期相の造影画像、及び後期相の造影画像のうち、染影時相の造影画像を選択する方法について説明する。
【0046】
染影時相は、ターゲット(例えば、腫瘍)が造影剤で染影された状態を表す時相であり、造影剤を投与してから1分程度の時間が経過するまでの間に現れる時相である。一方、本実施形態では、被検体の検査により取得した画像群21~2nのうち、最初に取得した画像群21が、造影剤を投与してから1分程度の時間が経過するまでの間に取得された画像を表している。したがって、染影時相の造影画像は、画像群21の中に含まれると考えられる。そこで、ユーザは、サムネイル領域20の中から、画像群21を選択する。
【0047】
図7は、画像群21が選択された後の表示部を示す図である。
ユーザは、ユーザインターフェース10を操作して、画像群21を選択する命令を入力する。ユーザインターフェース10が、画像群21を選択するユーザの入力を受け付けると、プロセッサは、画像群21を選択する。尚、図7では、参考のため、表示部8の上に、画像群21に含まれる画像の概略図を示してある。画像群21は、造影画像セット211およびBモード画像セット212が含まれている。造影画像セット211は、造影画像2111~211aを含んでおり、Bモード画像セット212は、Bモード画像2121~212aを含んでいる。
【0048】
ユーザが画像群21を選択すると、画像表示領域40に、選択された画像群21の画像が再生される。画像表示領域40の上半分には、造影画像セット211の造影画像2111~211aが再生され、下半分にはBモード画像セット212のBモード画像2121~212aが再生される。したがって、ユーザは、時点t11~t12(図4参照)の間に取得した画像を動画として確認することができる。
【0049】
ユーザは、造影画像セット211(およびBモード画像セット212)の動画を参照しながら、造影画像セット211の造影画像2111~211aの中から、ターゲット(例えば、腫瘍)が造影剤で十分に染影されている時相の造影画像を選択する。例えば、ユーザが、造影画像2111~211aの中から、ターゲット(例えば、腫瘍)が造影剤で十分に染影されている時相の造影画像として、造影画像2114が適切であると判断した場合、ユーザは、ユーザインターフェース10を操作することにより、造影画像2111~211aの中から造影画像2114を選択する命令を入力する。ユーザインターフェース10が、造影画像2114を選択するユーザの入力を受け付けると、プロセッサは、染影時相の画像として、造影画像2114を選択する。
【0050】
染影時相の造影画像2114を選択した後、ユーザは、早期相の造影画像を選択する。早期相の造影画像は、早期相におけるターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判定するために選択される造影画像である。早期相は、造影剤を投与してから、例えば1分程度経過した時相である。造影画像2111~211aは、造影剤を投与してから1分程度の時間が経過するまでの間に取得された画像であるので、ユーザは、造影画像2111~211aの中から、早期相の造影画像を見つけることができる。例えば、ユーザが、造影画像2111~211aの中から、早期相の造影画像として、造影画像211aが適切であると判断した場合、ユーザは、ユーザインターフェース10を操作して、造影画像211aを早期相の造影画像として選択する命令を入力する。ユーザインターフェース10が、造影画像211aを早期相の造影画像として選択するユーザの入力を受け付けると、プロセッサは、造影画像211aを早期相の造影画像として選択する。
【0051】
このようにして、ユーザは、画像群21から、染影時相の造影画像2114と、早期相の造影画像211aを選択することができる。
【0052】
次に、ユーザは、ユーザインターフェース10を操作して、造影画像2111~211a上に関心領域を付与する。図8は、関心領域の付与方法の説明図である。
【0053】
ユーザは、画像表示領域40に表示されている画像セット211(および212)を参照しながら、検査部位のターゲット(例えば、腫瘍、病変)に関心領域を付与する。具体的には、ユーザは、画像セット211および212を参考にしながら、ターゲットの箇所を確認し、画像セット211および212のターゲットの箇所に関心領域を付与する命令を入力する。ユーザインターフェース10が関心領域を付与するユーザの入力を受け付けると、プロセッサ7は、画像セット211および212上に、関心領域41および42を表す図形を表示する。図8では、関心領域41および42は円の図形によって表されている。画像セット212(Bモード画像)における関心領域42の位置は、画像セット211(造影画像)における関心領域41の位置に対応している。ユーザは、ユーザインターフェース10を操作することによって、関心領域41および42を同時に移動させることができる。
【0054】
関心領域41が付与されると、プロセッサ7は、画像セット211の造影画像2111~211aに対して、関心領域41における特徴量を計算する。関心領域41における特徴量は、例えば、関心領域41における輝度情報を表す値として計算することができる。一例として、関心領域41における特徴量は、関心領域41に含まれる複数のピクセルの輝度の平均値(平均輝度)や標準偏差として計算することができる。以下では、説明の便宜上、関心領域の特徴量は平均輝度であるとする。このようにして、画像セット211の造影画像2111~211aごとに、関心領域41の特徴量を計算することができる。
【0055】
関心領域の特徴量(平均輝度)が計算されると、プロセッサは、TIC領域60に、造影画像2111~211aに対して計算された関心領域41の平均輝度の時間変化を表すデータ群61を表示する。データ群61の横軸は時間であり、縦軸は関心領域の平均輝度を示す。図8では、データ群61に含まれる各データは黒い四角で示されている。尚、図8では、データ群61を視覚的に見やすくするため、データ群61に含まれるデータの総数は、実際のデータの総数よりも少なく示されている。データ群61の各データは、画像セット211の造影画像2111~211aにおける関心領域41の平均輝度を表している。例えば、データD11は、染影時相T1の造影画像2114における関心領域41のターゲットの平均輝度B11を表しており、データD21は、早期相T2の造影画像211aにおける関心領域41のターゲットの平均輝度B21を表している。
【0056】
また、ユーザは、ターゲットの比較対象となる組織にも関心領域を付与する。図9は、ターゲットの比較対象となる組織に関心領域51および52が付与された様子を示す図である。本実施形態では、ターゲットの比較対象の組織は肝実質であり、肝実質に関心領域51(および52)が付与された例について考えるが、肝実質とは別の組織に関心領域を付与することも可能である。関心領域51および52が付与された後、関心領域51の平均輝度が計算され、関心領域51の平均輝度の時間変化を表すデータ群62が表示される。図9では、ターゲットの比較対象となる組織(肝実質)のデータ群62は白丸で示されている。データ群62の各データは、画像セット211の造影画像2111~211aにおける関心領域51の平均輝度を表している。例えば、データD12は、染影時相T1の造影画像2114における関心領域51の肝実質の平均輝度B12を表しており、データD22は、早期相T2の造影画像211aにおける関心領域51の肝実質の平均輝度B22を表している。
【0057】
上記のようにして、染影時相T1のデータD11およびD12と、早期相T2のデータD21およびD22を得ることができる。
【0058】
最後に、ユーザは、後期相の造影画像を選択する。
図10は、後期相の造影画像の選択方法の説明図である。
後期相の造影画像は、後期相におけるターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判定するために選択される造影画像である。後期相の造影画像は、一般には、造影剤投与後から、5分~10分の間に現れる。したがって、ユーザは、画像群21~2nのうち、造影剤投与後から5分~10分の間に収集された画像群を選択する。ここでは、ユーザは、造影剤投与後から5分経過後に収集された画像群22を選択するとする。ユーザは、ユーザインターフェース10を操作して、画像群21~2nの中から、後期相の造影画像を含む画像群22を選択する命令を入力する。ユーザインターフェース10が、複数の画像群21~2nの中から画像群22を選択するユーザの入力を受け付けると、プロセッサは画像群22を選択する。尚、図10では、参考のため、表示部8の上に、画像群22に含まれる画像の概略図を示してある。画像群22は、造影画像セット221およびBモード画像セット222が含まれている。造影画像セット221は、造影画像2211~221bを含んでおり、Bモード画像セット222は、Bモード画像2221~222bを含んでいる。
【0059】
ユーザが画像群22を選択すると、画像表示領域40に、選択された画像群22の画像が再生される。画像表示領域40の上半分には、造影画像セット221の造影画像2211~221bが再生され、下半分にはBモード画像セット222のBモード画像2221~222bが再生される。したがって、ユーザは、時点t21~t22(図4参照)の間に取得した画像を動画として確認することができる。
【0060】
ユーザは、造影画像セット221(およびBモード画像セット222)の動画を参照しながら、造影画像セット221の造影画像2211~221bの中から、後期相の造影画像を選択する。例えば、ユーザが、造影画像2211~221bの中から、後期相の造影画像として、造影画像2212が適切であると判断した場合、ユーザは、ユーザインターフェース10を操作して、造影画像2211~221bの中から造影画像2212を選択する命令を入力する。ユーザインターフェース10は、造影画像2212を選択するユーザの入力を受け付けると、プロセッサは、後期相の造影画像として、造影画像2212を選択する。
【0061】
次に、ユーザは、ユーザインターフェース10を操作して、造影画像2211~221b上に関心領域を付与する。図11は、関心領域の付与方法の説明図である。
【0062】
ユーザは、画像表示領域40に表示されている画像セット221(および222)を参照しながら、検査部位のターゲット(例えば、腫瘍、病変)に関心領域を付与する。具体的には、ユーザは、画像セット221および222を参考にしながら、ターゲットの箇所を確認し、画像セット221および222のターゲットの箇所に関心領域を付与する命令を入力する。ユーザインターフェース10が関心領域を付与するユーザの入力を受け付けると、プロセッサ7は、画像セット221および222上に、関心領域43および44を表す図形を表示する。図11では、関心領域43および44は円の図形によって表されている。画像セット222(Bモード画像)における関心領域44の位置は、画像セット221(造影画像)における関心領域43の位置に対応している。ユーザは、ユーザインターフェース10を操作することによって、関心領域43および44を同時に移動させることができる。
【0063】
関心領域43が付与されると、プロセッサ7は、画像セット221の造影画像2211~221bに対して、関心領域43における特徴量を計算する。関心領域43における特徴量は、例えば、関心領域43における輝度情報を表す値として計算することができる。ここでは、関心領域43における特徴量は、関心領域43に含まれる複数のピクセルの輝度の平均値(平均輝度)であるとする。したがって、画像セット221の造影画像2211~221bごとに、関心領域43の平均輝度を計算することができる。
【0064】
関心領域43の平均輝度が計算されると、プロセッサは、図11のTIC領域60に示されるように、画像セット221の造影画像2211~221bごとに計算された関心領域43の平均輝度を表示する。TIC領域60には、造影画像2211~221bに対して計算された関心領域43の平均輝度の時間変化を表すデータ群63が示されている。図11では、データ群63に含まれる各データは黒の四角形で示されている。尚、図11では、データ群63を視覚的に見やすくするため、データ群63に含まれるデータの総数は、実際のデータの総数よりも少なく示されている。データ群63の各データは、画像セット221の造影画像2211~221bにおける関心領域43の特徴量を表している。例えば、データD31は、後期相T3の造影画像2212における関心領域43のターゲットの平均輝度B31を表している。
【0065】
また、ユーザは、ターゲットの比較対象となる組織にも関心領域を付与する。図11は、ターゲットの比較対象となる組織に関心領域53および54が付与された様子を示す図である。本実施形態では、ターゲットの比較対象の組織は肝実質であり、肝実質に関心領域53(および54)が付与された例について考えることにする。関心領域53および54が付与された後、関心領域53の特徴量が計算され、関心領域53の平均輝度の時間変化を表すデータ群64が表示される。図11では、ターゲットの比較対象となる組織(肝実質)のデータ群64は、白丸で示されている。データ群64の各データは、画像セット221の造影画像2211~221dにおける関心領域53の特徴量を表している。例えば、データD32は、後期相T3の造影画像2212における関心領域53の肝実質の平均輝度B32を表している。
【0066】
上記のようにして、後期相T3のデータD31およびD32を得ることができる。
したがって、WO画像の作成に必要な3つの時相(染影時相、早期相、および後期相の)の輝度情報を得ることができる。
【0067】
図12は、図9に示すデータ群61および62と、図11に示すデータ群63および64を時系列に並べて示した図である。
【0068】
データ群61および62は、データ取得期間SC1(図4参照)に取得されたデータ群を表しており、データ群63および64は、データ取得期間SC2(図4参照)に取得されたデータ群を表している。データ取得期間SC1とSC2との間は、データは取得されていないので、データ群は存在していない。
【0069】
尚、図12には、データ群61~64の他に、時間強度曲線71および72が示されている。時間強度曲線71は、ターゲットのデータ群61とデータ群63を、時間軸方向に繋ぐことによって得られた曲線であり、時間強度曲線72は、肝実質のデータ群62とデータ群64を時間軸方向に繋ぐことによって得られた曲線である。
【0070】
図12から、染影時相T1、早期相T2、および後期相T3について、ターゲットの平均輝度と肝実質の平均輝度の違いを認識することができる。
【0071】
染影時相T1、早期相T2、および後期相T3のターゲットの平均輝度および肝実質の平均輝度を求めることができたら、ステップST2(図5参照)に進む。
【0072】
ステップST2では、プロセッサが、染影時相T1、早期相T2、および後期相T3のそれぞれの時相について、ターゲットの平均輝度と肝実質の平均輝度との間の大小関係を特定する。本実施形態では、ターゲットの平均輝度と肝実質の平均輝度との間の大小関係を特定するために、ターゲットの平均輝度と肝実質の平均輝度との間の差分値を計算する場合について説明するが、大小関係を特定することができるのであれば、差分値とは別の値を計算してもよい。
【0073】
図13は差分値の計算方法の説明図である。
プロセッサは、染影時相T1の造影画像2114におけるターゲットの関心領域41の平均輝度B11(即ち、データD11が表す平均輝度B11)と肝実質の関心領域51の平均輝度B12(即ち、データD12が表す平均輝度B12)との差分値Δ1を計算する。差分値Δ1を計算する場合、肝実質の関心領域51の平均輝度B12から、ターゲットの関心領域41の平均輝度B11を減算することによって、差分値Δ1(=B12-B11)を計算してもよいし、ターゲットの関心領域41の平均輝度B11から、肝実質の関心領域51の平均輝度B12を減算することによって、差分値Δ1(=B11-B12)を計算してもよい。本実施形態では、肝実質の関心領域51の平均輝度から、ターゲットの関心領域41の平均輝度を減算することによって、差分値Δ1が計算される。したがって、プロセッサは、肝実質の関心領域51の平均輝度B12から、ターゲットの関心領域41の平均輝度B11を減算することによって、差分値Δ1(=B12-B11)を計算する。
【0074】
また、プロセッサは、早期相T2の造影画像211aにおけるターゲットの関心領域41の平均輝度B21(即ち、データD21が表す平均輝度B21)と肝実質の関心領域51の平均輝度B22(即ち、データD22が表す平均輝度B22)との差分値Δ2を計算する。差分値Δ2を計算する場合、肝実質の関心領域51の平均輝度B22から、ターゲットの関心領域41の平均輝度B21を減算することによって、差分値Δ2(=B22-B21)を計算してもよいし、ターゲットの関心領域41の平均輝度B21から、肝実質の関心領域51の平均輝度B22を減算することによって、差分値Δ2(=B21-B22)を計算してもよい。本実施形態では、差分値Δ1と同様に、肝実質の関心領域51の平均輝度から、ターゲットの関心領域41の平均輝度を減算することによって、差分値Δ2が計算される。したがって、プロセッサは、肝実質の関心領域51の平均輝度B22から、ターゲットの関心領域41の平均輝度B21を減算することによって、差分値Δ2(=B22-B21)を計算する。
【0075】
さらに、プロセッサは、後期相T3の造影画像2212におけるターゲットの関心領域41の平均輝度B31(即ち、データD31が表す平均輝度B31)と肝実質の関心領域51の平均輝度B32(即ち、データD32が表す平均輝度B32)との差分値Δ3を計算する。差分値Δ3を計算する場合、肝実質の関心領域51の平均輝度B32から、ターゲットの関心領域41の平均輝度B31を減算することによって、差分値Δ3(=B32-B31)を計算してもよいし、ターゲットの関心領域41の平均輝度B31から、肝実質の関心領域51の平均輝度B32を減算することによって、差分値Δ3(=B31-B32)を計算してもよい。本実施形態では、差分値Δ1と同様に、肝実質の関心領域51の平均輝度から、ターゲットの関心領域41の平均輝度を減算することによって、差分値Δ3が計算される。したがって、プロセッサは、肝実質の関心領域51の平均輝度B32から、ターゲットの関心領域41の平均輝度B31を減算することによって、差分値Δ3(=B32-B31)を計算する。
これらの差分値Δ1、Δ2、およびΔ3を計算した後、ステップST3に進む。
【0076】
ステップST3では、プロセッサは、差分値Δ1、Δ2、およびΔ3の全てが正(又は負)であるかどうかを判断する。
【0077】
染影時相T1では、肝実質の平均輝度B12は、ターゲットの平均輝度B11よりも小さい(B12<B11)。したがって、差分値Δ1<0である。
【0078】
早期相T2では、肝実質の平均輝度B22は、ターゲットの平均輝度B21よりも小さい(B22<B21)。したがって、差分値Δ2<0である。
【0079】
一方、後期相T3では、肝実質の平均輝度B32は、ターゲットの平均輝度B31よりも大きい(B32>B31)。したがって、差分値Δ3>0である。
【0080】
このため、差分値Δ1およびΔ2は負であるが、差分値Δ3は正である。したがって、差分値Δ1、Δ2、およびΔ3には、正の差分値と負の差分値の両方が含まれていると判断される。差分値Δ1、Δ2、およびΔ3に、正の差分値と負の差分値の両方が含まれている場合、早期相では、ターゲットの輝度は肝実質の輝度よりも大きいが、後期相では、ターゲットの輝度は肝実質の輝度よりも小さいことを意味している。したがって、ターゲットの輝度は肝実質の輝度に対して変動が大きいと考えられるので、ターゲットの染影が良好な症例を表している。ターゲットの染影が良好な症例の場合、肝実質のデータとターゲットのデータとの両方のデータを利用することによって、ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判断するための有益な情報が得られると考えられる。そこで、差分値Δ1、Δ2、およびΔ3に、正の差分値と負の差分値の両方が含まれている場合、ステップST4に進み、プロセッサは、肝実質のデータとターゲットのデータを使用してWO画像を作成すると決定する。そして、ステップST5に進む。
【0081】
図14は、ステップST5においてWO画像を作成するときのフローチャートの説明図である。
ステップST51では、ユーザは、被検体の体内の中から、ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判断したい部位を特定し、特定した部位に関心領域を付与する。
【0082】
図15および図16は、ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判断したい部位に関心領域を付与する方法の説明図である。
【0083】
ユーザは、ユーザインターフェース10を操作して、造影画像200を表示する命令を入力する。ユーザインターフェース10が、造影画像200を表示するユーザの入力を受け付けると、図15に示すように、表示部8に造影画像200が表示される。造影画像200は、例えば、画像群21に含まれる造影画像2111~211a(又は、画像群22に含まれる造影画像2211~221b)の中から選択することができる。更に、ステップST1で選択した3つの造影画像(染影時相T1の造影画像2114、早期相の造影画像211a、および後期相の造影画像2212)の中から、造影画像を選択してもよい。造影画像200を選択した後、ユーザは、造影画像200に、造影剤が排出されるタイミングを確認したい箇所に関心領域を付与する。
【0084】
図16は、関心領域45の説明図である。
ユーザは、ユーザインターフェース10を操作して、造影剤が排出されるタイミングを確認したい箇所(例えば、ターゲット)に関心領域45を付与する命令を入力する。ユーザインターフェース10が関心領域45を付与するユーザの入力を受け付けると、プロセッサは、造影画像200に関心領域45を付与する。関心領域45は、例えば、ターゲットを含む領域である。造影画像200に関心領域45が付与されると、ステップST52に進む。
【0085】
ステップST52では、プロセッサは、関心領域45の中から、ピクセルを選択し、選択したピクセルに割り当てる色を決定する。ここでは、関心領域45内のピクセルP1の色を割り当てる例について説明する。
【0086】
図17は、関心領域45のピクセルP1に割り当てる色を決定する手順の説明図である。
プロセッサは、メモリから、早期相T2における造影画像211aの肝実質(関心領域51)の平均輝度B22を読み出す。また、プロセッサは、早期相T2における造影画像211aからピクセルP21の輝度値B221を読み出す。このピクセルP21は、造影画像200の関心領域45のピクセルP1に対応するピクセルである。そして、プロセッサは、肝実質の平均輝度B22とピクセルP21の輝度値B221との差分値ΔEを計算する。尚、差分値ΔEを計算する場合、肝実質の平均輝度B22からピクセルP21の輝度値B221を減算することによって、差分値ΔE(=B22-B221)を計算してもよいし、ピクセルP21の輝度値B221から肝実質の平均輝度B22を減算することによって、差分値ΔE(=B221-B22)を計算してもよい。本実施形態では、肝実質の平均輝度からピクセルの輝度値を減算することによって、差分値ΔEを計算する。したがって、プロセッサは、肝実質の平均輝度B22からピクセルP21の輝度値B221を減算することによって、差分値ΔE(=B22-B221)を計算する。
【0087】
また、プロセッサは、メモリから、後期相T3における造影画像2212の肝実質(関心領域51)の平均輝度B32を読み出し、さらに、後期相T3における造影画像2212のピクセルP31の輝度値B331を読み出す。このピクセルP31は、造影画像200の関心領域45のピクセルP1に対応するピクセルである。そして、プロセッサは、肝実質の平均輝度B32とピクセルP31の輝度値B331との差分値ΔLを計算する。尚、差分値ΔLを計算する場合、肝実質の平均輝度B32からピクセルP31の輝度値B331を減算することによって、差分値ΔL(=B32-B331)を計算してもよいし、ピクセルP31の輝度値B331から肝実質の平均輝度B32を減算することによって、差分値ΔL(=B331-B32)を計算してもよい。本実施形態では、差分値ΔEと同様に、肝実質の平均輝度からピクセルの輝度値を減算することによって、差分値ΔLを計算する。したがって、プロセッサは、肝実質の平均輝度B32からピクセルP31の輝度値B331を減算することによって、差分値ΔL(=B32-B331)を計算する。
【0088】
そして、プロセッサは、この2つの差分値ΔE(=B22-B221)および差分値ΔL(=B32-B331)の組合せに基づいて、関心領域45のピクセルP1(図16参照)に割り当てる色を決定する。
【0089】
図18図21は、2つの差分値ΔEおよびΔLに基づいて、関心領域45のピクセルP1に割り当てる色を決定する方法の説明図である。
【0090】
プロセッサは、2つの差分値ΔEおよびΔLに基づいて、カラーマップ81の中からピクセルP1に割り当てる色を決定する。
【0091】
カラーマップ81はメモリに記憶されている。カラーマップ81の横軸は、早期相T2における差分値ΔEを表しており、縦軸は後期相T3における差分値ΔLを表している。差分値ΔEおよびΔLは負の値を取る場合があるが、差分値ΔEおよびΔLが負の値の場合、カラーマップ81上では「ゼロ」と考える。
【0092】
カラーマップ81は、2つの差分値ΔEおよびΔLの組合せによって決まる色を表している。例えば、差分値ΔEがΔE=ΔEa、差分値ΔLがΔL=ΔLaの場合、この差分値の組合せで決まる色はCaである。したがって、2つの差分値ΔEおよびΔLの組合せによって色を決定することができる。尚、カラーマップ81は、2つの差分値ΔEおよびΔLの組合せに応じて、数千~数万通りの色を決定することができるが、ここでは、説明の便宜上、図19に示すように、カラーマップ81の領域を3つの領域82、83、および84に分け、領域82、83、および84には、それぞれ赤、黄、および青が割り当てられているとする。
【0093】
したがって、本実施形態では、関心領域45の各ピクセルは、赤、黄、および青の中から選択された色が割り当てられる。
【0094】
図17に戻ると、早期相T2の差分値ΔEはΔE=B22-B221であり、後期相T3の差分値ΔLはΔL=B32-B331である。したがって、プロセッサは、差分値ΔE=B22-B221と、差分値ΔL=B32-B331との組合せによって、ピクセルP1に割り当てる色を決定する。
【0095】
図20は、差分値ΔE=B22-B221および差分値ΔL=B32-B331によって色を決定するときの説明図である。
【0096】
早期相T2の差分値ΔEは、ΔE=B22-B221である。ここで、B22<B221である(図17参照)。したがって、ΔE=B22-B221は負の値であるので、プロセッサは、ΔE=B22-B221は「ゼロ」と判断する。
【0097】
一方、後期相T3の差分値ΔLは、ΔL=B32-B331である。ここで、B32>B331であるので(図17参照)、ΔL=B32-B331は正の値である。したがって、プロセッサは、軸ΔL上から(B32-B331)の点を特定する。
【0098】
したがって、プロセッサは、カラーマップ81の中から、差分値ΔE=B22-B221と差分値ΔL=B32-B331との組合せに対応する色C1を特定することができる。色C1は領域82に含まれているので、色C1は赤を表している。したがって、プロセッサは、関心領域45のピクセルP1における色として赤を割り当てる。割り当てる色を決定した後、ステップST53に進む。
【0099】
ステップST53では、プロセッサは、関心領域45から全てのピクセルが選択されたかどうかを判断する。ここでは、また、ピクセルP1しか選択されていないので、ステップST52に戻る。
そして、プロセッサは、他のピクセルについても、同様に、割り当てる色を決定する。
【0100】
図21は、関心領域45のピクセルP2に割り当てる色を決定するときの説明図である。
プロセッサは、メモリから、早期相T2の造影画像211aの肝実質(関心領域51)の平均輝度B22を読み出す。また、プロセッサは、早期相T2の造影画像211aからピクセルP22の輝度値B222を読み出す。このピクセルP22は、造影画像200の関心領域45のピクセルP2(図16参照)に対応するピクセルである。そして、プロセッサは、肝実質の平均輝度B22からピクセルP22の輝度値B222を減算することによって、差分値ΔE(=B22-B222)を計算する。
【0101】
また、プロセッサは、メモリから、後期相T3の造影画像2212の肝実質(関心領域51)の平均輝度B32を読み出し、更に、後期相T3の造影画像2212からピクセルP32の輝度値B332を読み出す。このピクセルP32は、造影画像200の関心領域45のピクセルP2に対応するピクセルである。そして、プロセッサは、肝実質の平均輝度B32からピクセルP32の輝度値B332を減算することによって、差分値ΔL(=B32-B332)を計算する。
【0102】
したがって、2つの差分値ΔE(=B22-B222)および差分値ΔL(=B32-B332)を計算することができる。
【0103】
2つの差分値ΔE及びΔLを計算した後、プロセッサは、この2つの差分値ΔE(=B22-B222)およびΔL(=B32-B332)に基づいて、関心領域45のピクセルP2(図16参照)に割り当てる色を決定する。
【0104】
図22は、差分値ΔE=B22-B222および差分値ΔL=B32-B332によって色を決定するときの説明図である。
早期相T2の差分値ΔEは、ΔE=B22-B222である。ここで、B22<B222である(図21参照)。したがって、ΔE=B22-B222は負の値であるので、プロセッサは、ΔE=B22-B222は「ゼロ」と判断する。
【0105】
また、後期相T3の差分値ΔLは、ΔL=B32-B332である。ここで、B32<B3322であるので(図21参照)、ΔL=B32-B332は負の値である。したがって、プロセッサは、ΔL=B32-B332は「ゼロ」と判断する。
【0106】
したがって、プロセッサは、カラーマップ81の中から、差分値ΔE=B22-B222と差分値ΔL=B32-B332との組合せに対応する色C2を特定することができる。色C2は領域84に含まれているので、色C2は青を表している。したがって、プロセッサは、関心領域45のピクセルP2における色として青を割り当てる。割り当てる色を決定した後、ステップST53に進む。
【0107】
ステップST53では、プロセッサは、関心領域45から全てのピクセルが選択されたかどうかを判断する。ここでは、ピクセルP1およびP2しか選択されていないので、ステップST52に戻る。
【0108】
以下同様に、プロセッサは、他のピクセルについても、2つの差分値ΔEおよびΔLの組合せに基づいて、割り当てる色を決定する。
【0109】
したがって、関心領域45内のピクセル毎に色を割り当てることができる。ステップST53において、全てのピクセルが選択されたと判断された場合、ステップST54に進み、WO画像を作成し、表示する。図23は、WO画像を示す概略図である。
【0110】
図23では、ターゲットの輝度が後期相で低下している(造影剤が排出されている)例が示されている。WO画像が表示されたら、図5のフローが終了する。
WO画像は、造影剤が排出されるタイミングを色で表現することができる。したがって、ユーザは、WO画像を見ることによって、ターゲットの輝度が低下するタイミングを視覚的に容易に認識することができる。
【0111】
上記の例では、ターゲットの染影が良好な症例について説明した。次に、ターゲットの染影が悪い症例について、図5のフローを参照しながら説明する。
【0112】
ステップST1では、先に説明した方法と同様に、染影時相T1、早期相T2、および後期相T3の造影画像を選択し、関心領域を付与する。
【0113】
図24は、ステップST1の説明図である。
プロセッサは、染影時相T1の造影画像2114、早期相T2の造影画像211a、および後期相T3の造影画像2212を選択する。そして、関心領域41および51を付与し、ターゲットにおける平均輝度の時間変化を表すデータ群91および93と、肝実質における平均輝度の時間変化を表すデータ群92および94を得る。
データ群91は、データ取得期間SC1に取得されたターゲットのデータ群を表しており、データ群93は、データ取得期間SC2に取得されたターゲットのデータ群を表している。また、データ群92は、データ取得期間SC1に取得された肝実質のデータ群を表しており、データ群94は、データ取得期間SC2に取得された肝実質のデータ群を表している。図24では、ターゲットの染影が悪い症例を表しており、染影時相T1、早期相T2、および後期相T3にわたって、ターゲットの平均輝度が肝実質の平均輝度よりも低い例が示されている。
【0114】
染影時相T1、早期相T2、および後期相T3のターゲットの平均輝度および肝実質の平均輝度を求めることができたら、ステップST2に進む。
【0115】
ステップST2では、プロセッサが、染影時相T1、早期相T2、および後期相T3のそれぞれの時相について、ターゲットの平均輝度と肝実質の平均輝度との間の大小関係を求める。本実施形態では、ターゲットの平均輝度と肝実質の平均輝度との間の大小関係として、ターゲットの平均輝度と肝実質の平均輝度との間の差分値を計算する場合について説明する。
【0116】
図25は差分値の計算方法の説明図である。
プロセッサは、染影時相T1の造影画像2114におけるターゲットの関心領域41の平均輝度B13(即ち、データD13が表す平均輝度B13)と肝実質の関心領域51の平均輝度B13(即ち、データD14が表す平均輝度B14)との差分値Δ1を計算する。差分値Δ1を計算する場合、肝実質の関心領域51の平均輝度B14から、ターゲットの関心領域41の平均輝度B13を減算することによって、差分値Δ1(=B14-B13)を計算してもよいし、ターゲットの関心領域41の平均輝度B13から、肝実質の関心領域51の平均輝度B14を減算することによって、差分値Δ1(=B13-B14)を計算してもよい。本実施形態では、肝実質の関心領域51の平均輝度から、ターゲットの関心領域41の平均輝度を減算することによって、差分値Δ1が計算される。したがって、プロセッサは、肝実質の関心領域51の平均輝度B14から、ターゲットの関心領域41の平均輝度B13を減算することによって、差分値Δ1(=B14-B13)を計算する。
【0117】
また、プロセッサは、早期相T2の造影画像211aにおけるターゲットの関心領域41の平均輝度B23(即ち、データD23が表す平均輝度B23)と肝実質の関心領域51の平均輝度B24(即ち、データD24が表す平均輝度B24)との差分値Δ2を計算する。差分値Δ2を計算する場合、肝実質の関心領域51の平均輝度B24から、ターゲットの関心領域41の平均輝度B23を減算することによって、差分値Δ2(=B24-B23)を計算してもよいし、ターゲットの関心領域41の平均輝度B23から、肝実質の関心領域51の平均輝度B24を減算することによって、差分値Δ2(=B23-B24)を計算してもよい。本実施形態では、差分値Δ1と同様に、肝実質の関心領域51の平均輝度から、ターゲットの関心領域41の平均輝度を減算することによって、差分値Δ2が計算される。したがって、プロセッサは、肝実質の関心領域51の平均輝度B24から、ターゲットの関心領域41の平均輝度B23を減算することによって、差分値Δ2(=B24-B23)を計算する。
【0118】
さらに、プロセッサは、後期相T3の造影画像2212におけるターゲットの関心領域41の平均輝度B33(即ち、データD33が表す平均輝度B33)と肝実質の関心領域51の平均輝度B34(即ち、データD34が表す平均輝度B34)との差分値Δ3を計算する。差分値Δ3を計算する場合、肝実質の関心領域51の平均輝度B34から、ターゲットの関心領域41の平均輝度B33を減算することによって、差分値Δ3(=B34-B33)を計算してもよいし、ターゲットの関心領域41の平均輝度B33から、肝実質の関心領域51の平均輝度B34を減算することによって、差分値Δ3(=B33-B34)を計算してもよい。本実施形態では、差分値Δ1と同様に、肝実質の関心領域51の平均輝度から、ターゲットの関心領域41の平均輝度を減算することによって、差分値Δ3が計算される。したがって、プロセッサは、肝実質の関心領域51の平均輝度B34から、ターゲットの関心領域41の平均輝度B33を減算することによって、差分値Δ3(=B34-B33)を計算する。
これらの差分値Δ1、Δ2、およびΔ3を計算した後、ステップST3に進む。
【0119】
ステップST3では、プロセッサは、全ての差分値Δ1、Δ2、およびΔ3が正(又は負)であるかどうかを判断する。
【0120】
染影時相T1では、肝実質の平均輝度B14は、ターゲットの平均輝度B13よりも大きい(B14>B13)。したがって、差分値Δ1>0である。
【0121】
早期相T2では、肝実質の平均輝度B24は、ターゲットの平均輝度B23よりも大きい(B24>B23)。したがって、差分値Δ2>0である。
【0122】
後期相T3では、肝実質の平均輝度B34は、ターゲットの平均輝度B33よりも大きい(B34>B33)。したがって、差分値Δ3>0である。
【0123】
このため、3つの差分値Δ1、Δ2、およびΔ3は正である。したがって、差分値Δ1、Δ2、およびΔ3は全て正であると判断される。差分値Δ1、Δ2、およびΔ3は全て正の場合、ターゲットが十分には染影していないと考えられる。この場合、ターゲットの染影が良好な症例と同様に、ターゲットと肝実質の差分値を使ってWO画像を求めようとすると、早期相におけるターゲットと肝実質の差分値と、後期相におけるターゲットと肝実質との差分値に、大きな違いが現れにくいので、好適なWO画像を得ることが難しい。そこで、本実施形態では、全ての差分値Δ1、Δ2、およびΔ3が正(又は負)であると判断された場合、ステップST6に進み、プロセッサは、ターゲットと肝実質の差分値を使わず、ターゲットの輝度(特徴量)の時間変化に基づいてWO画像を作成すると決定する。そして、ステップST5に進む。ステップST5について、図14のフローを参照しながら説明する。
【0124】
ステップST51では、ユーザは、図26に示すように、表示部8に、造影画像200を表示し、造影画像200の中に関心領域45を付与する。造影画像200に関心領域45が付与されると、ステップST52に進む。
【0125】
ステップST52では、プロセッサは、関心領域45のピクセル毎に、割り当てる色を決定する。以下、ステップST52について説明する。
【0126】
ステップST52では、プロセッサは、関心領域45の中から、ピクセルを選択し、選択したピクセルに割り当てる色を決定する。ここでは、関心領域45内のピクセルQ1の色を割り当てる例について説明する。
【0127】
図27は、割り当てる色の決定方法の説明図である。
プロセッサは、染影時相T1における造影画像2114からピクセルQ13の輝度値B13を読み出す。このピクセルQ13は、造影画像200の関心領域45のピクセルQ1に対応するピクセルである。
【0128】
また、プロセッサは、早期相T2における造影画像211aからピクセルQ23の輝度値B23を読み出す。このピクセルQ23は、造影画像200の関心領域45のピクセルQ1に対応するピクセルである。
【0129】
プロセッサは、染影時相T1の輝度値B13と早期相T2の輝度値B23との差分値ΔEを計算する。差分値ΔEを計算する場合、染影時相T1の輝度値B13から、早期相T2の輝度値B23を減算することによって、差分値ΔE(=B13-B23)を計算してもよいし、早期相T2の輝度値B23から、染影時相T1の輝度値B13を減算することによって、差分値ΔE(=B23-B13)を計算してもよい。本実施形態では、染影時相T1の輝度値から、早期相T2の輝度値を減算することによって、差分値ΔEが計算される。したがって、プロセッサは、染影時相T1の輝度値B13から、早期相T2の輝度値B23を減算することによって、差分値ΔE(=B13-B23)を計算する。
【0130】
また、プロセッサは、後期相T3の造影画像2212からピクセルQ33の輝度値B33を読み出す。このピクセルQ33は、造影画像200の関心領域45のピクセルQ1に対応するピクセルである。そして、プロセッサは、染影時相T1の輝度値B13と後期相T3の輝度値B33との差分値ΔLを計算する。差分値ΔLを計算する場合、染影時相T1の輝度値B13から、後期相T3の輝度値B33を減算することによって、差分値ΔL(=B13-B33)を計算してもよいし、後期相T3の輝度値B33から、染影時相T1の輝度値B13を減算することによって、差分値ΔL(=B33-B13)を計算してもよい。本実施形態では、染影時相T1の輝度値から、後期相T3の輝度値を減算することによって、差分値ΔLが計算される。したがって、プロセッサは、染影時相T1の輝度値B13から、後期相T3の輝度値B33を減算することによって、差分値ΔL(=B13-B33)を計算する。
【0131】
そして、プロセッサは、この2つの差分値ΔE(=B13-B23)および差分値ΔL(=B13-B33)の組合せに基づいて、関心領域45のピクセルQ1(図26参照)に割り当てる色を決定する。
【0132】
図28は、2つの差分値ΔE(=B13-B23)および差分値ΔL(=B13-B33)に基づいて、ピクセルQ1に割り当てる色を決定するときの説明図である。
【0133】
プロセッサは、2つの差分値ΔEおよびΔLに基づいて、カラーマップ81の中からピクセルQ1に割り当てる色を決定する。
【0134】
カラーマップ81はメモリに記憶されている。カラーマップ81の横軸は、染影時相T1と早期相T2との間の差分値ΔEを表し、縦軸は、染影時相T1と後期相T3との間の差分値ΔLを表している。尚、カラーマップ81は、2つの差分値ΔEおよびΔLの組合せに応じて、数千~数万通りの色を決定することができるが、ここでは、説明の便宜上、図28に示すように、カラーマップ81の領域を3つの領域82、83、および84に分け、領域82、83、および84には、それぞれ赤、黄、および青が割り当てられているとする。
【0135】
したがって、本実施形態では、関心領域45の各ピクセルは、赤、黄、および青の中から選択された色が割り当てられる。
【0136】
図27に示すように、染影時相T1と早期相T2との差分値ΔEは、ΔE=B13-B23であり、染影時相T1と後期相T3の差分値ΔLはΔL=B13-B33である。したがって、プロセッサは、カラーマップ81の中から、差分値ΔE=B13-B23と差分値ΔL=B13-B33との組合せに対応する色C1を特定することができる。色C1は領域83に含まれているので、色C1は黄を表している。したがって、プロセッサは、関心領域45のピクセルQ1における色として黄を割り当てる。割り当てる色を決定した後、ステップST53に進む。
【0137】
ステップST53では、プロセッサは、関心領域45から全てのピクセルが選択されたかどうかを判断する。ここでは、ピクセルQ1しか選択されていないので、ステップST52に戻り、以下同様に、各ピクセルの色を割り当てる。
【0138】
図29には、他のピクセルとして、ピクセルQ2に割り当てられる色C2と、ピクセルQ3に割り当てられる色C3が示されている。色C2は赤であり、色C3は青である。
【0139】
以下同様に、プロセッサは、他のピクセルについても、2つの差分値ΔEおよびΔLの組合せに基づいて、割り当てる色を決定する。
【0140】
したがって、関心領域45内のピクセル毎に色を割り当てることができる。ステップST53において、全てのピクセルが選択されたと判断された場合、ステップST54に進み、WO画像を作成し、表示する。図30は、WO画像を示す概略図である。図30では、早期相でターゲットの輝度が低下した例が示されている。
このようにして、WO画像を作成することができる。
【0141】
本実施形態では、ターゲットの染影が良好な症例では、ターゲットのデータと肝実質のデータの両方を使って(肝実質とターゲットの差分値を使って)WO画像を作成する。一方、ターゲットの染影が悪い症例の場合、ターゲットの染影が良好な症例と同様に、ターゲットのデータと肝実質のデータの両方を使ってWO画像を求めようとすると、早期相におけるターゲットと肝実質の差分値と、後期相におけるターゲットと肝実質との差分値に、大きな違いが現れにくいので、高品質なWO画像を得ることが難しい。そこで、本実施形態では、ターゲットの染影が悪い症例では、肝実質の輝度を使わずに、ターゲットの輝度のみを使ってWO画像を作成する。したがって、ターゲットの染影が悪い症例の場合であっても、どの時相においてターゲットから造影剤が排出されたかを判断するのに適したWO画像を取得することができる。
【0142】
また、本実施形態では、ターゲットの染影が良好な症例では、早期相における差分値と、後期相における差分値とに基づいて、ピクセルに割り当てる色が決定される。したがって、早期相(又は後期相)における差分値のみではなく、早期相と後期相の両方の差分値に基づいて色が割り当てられるので、早期相と後期相の両方の時相の情報を反映して色を決定することができ、高品質なWO画像を得ることができる。
【0143】
また、本実施形態では、染影時相T1、早期相T2、および後期相T3の造影画像に基づいてWO画像を作成したが、WO画像を作成することができるのであれば、これらの時相の造影画像の代わりに別の時相の造影画像を使用してWO画像を作成してもよい。
【0144】
また、本実施形態では、染影時相T1の造影画像として、ターゲットの輝度がピークとなる時相の造影画像を選択している。しかし、ターゲットが造影剤で十分に染影されている時相の造影画像を選択することができるのであれば、染影時相T1の造影画像は、必ずしもピーク時相の造影画像に限定されることはなく、染影時相の造影画像として、ピークからずれた時相の造影画像を選択してもよい。例えば、ターゲットの輝度と肝実質の輝度との差が最大となるときの時相の造影画像を、染影時相T1の造影画像として選択してもよい。
【0145】
また、本実施形態では、後期相T3の造影画像として、造影剤の投与後5分程度経過した時点の造影画像を選択している。しかし、後期相T3の造影画像は、造影剤の投与後5分程度経過した時点の造影画像に限定されることはない。例えば、造影剤の投与後10分程度経過した時点の造影画像を、後期相T3の造影画像として選択してもよい。
【符号の説明】
【0146】
1 超音波診断装置
2 超音波プローブ
2a 振動素子
3 送信ビームフォーマ
4 送信器
5 受信器
6 受信ビームフォーマ
7 プロセッサ
8 表示部
9 メモリ
10 ユーザインターフェース
20 サムネイル領域
21、22、23、2n 画像群
40 画像表示領域
41、42、43、44、45、51、53 関心領域
56 オペレータ
57 被検体
60 TIC領域
61、62、63、64 データ群
71、72 時間強度曲線
81 カラーマップ
82、83、84 領域
91、92、93、94 データ群
200 造影画像
【要約】      (修正有)
【課題】ユーザがデータ群の修正作業を容易に行うことができる超音波診断装置を提供する。
【解決手段】造影剤が投与された被検体のターゲットを含む断面から取得された複数の造影画像の中から、染影時相T1における造影画像2114と、染影時相T1の後の早期相T2における造影画像211aと、早期相T2の後の後期相T3における造影画像2212とを選択すること、造影画像2114のターゲットの平均輝度と肝実質の平均輝度との間の差分値Δ1と、造影画像211aのターゲットの平均輝度と肝実質の平均輝度との間の差分値Δ2と、造影画像2212のターゲットの平均輝度と肝実質の平均輝度との間の差分値Δ3とを計算すること、差分値Δ1、Δ2、およびΔ3の全てが正(又は負)の場合、ターゲットの平均輝度の時間変化に基づいて、ターゲットから造影剤が排出されたかどうかを判断するための画像を生成することを含む、超音波診断装置。
【選択図】図13
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