(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】セルロース系バイオマスの処理のための方法および組成物ならびにそれによって生成される生成物
(51)【国際特許分類】
C12P 19/14 20060101AFI20241118BHJP
C13K 1/02 20060101ALI20241118BHJP
C13K 3/00 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
C12P19/14 A
C13K1/02
C13K3/00
(21)【出願番号】P 2023166614
(22)【出願日】2023-09-28
(62)【分割の表示】P 2021134059の分割
【原出願日】2016-04-08
【審査請求日】2023-10-27
(32)【優先日】2015-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517352153
【氏名又は名称】コメット バイオリファイニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リチャード,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ダゴスティノ,デニス
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-517243(JP,A)
【文献】国際公開第2011/046816(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/115039(WO,A1)
【文献】特開2002-171960(JP,A)
【文献】ECKARD A.D. et al.,Bioresource Technology,Vol.132 (2013),pp.202-209
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 19/14
C13K 1/02
C13K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)95%のグルコース、および(b)キシロース、キシロオリゴ糖およびキシランの1種以上を含む5%の非グルコース糖類を含有する、グルコースシロップの製造方法であって、
セルロースII、水和セルロースIIおよびアルカリセルロースIVの混合物を含有する活性化セルロースを、1種以上のセルラーゼ酵素、界面活性剤およびポリアスパラギン酸を用いた酵素的加水分解に供して、グルコースに富む糖類ストリームを生成するステップ;および
上記グルコースに富む糖類ストリームからグルコースシロップを取得するステップ
を含む、上記方法。
【請求項2】
グルコースシロップが5%のキシロース、キシロオリゴ糖、キシラン、またはその組み合わせを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
グルコースシロップがポリアスパラギン酸を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポリアスパラギン酸が1 ppb~10000 ppmの濃度で存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
グルコースシロップが95%のグルコース、4%のキシロース、および1%のキシロオリゴ糖を含有する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行出願の相互参照
本出願は、2015年4月10日に出願された米国特許出願第62/145,785号および2015年10月26日に出願された米国特許出願第62/246,271号によるパリ条約に基づく優先権を主張し、その内容全体は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
技術分野
本出願は、セルロース系バイオマスを処理してセルロース性の糖類を生成する方法に関する。1つの態様では、セルロース系原料を活性化する方法および/またはグルコースを生成するための酵素的加水分解が提供される。活性化されたセルロース系原料および活性化されたセルロース系原料の酵素的加水分解から生成された生成物もまた提供される。
【背景技術】
【0003】
セルロース系バイオマスからのグルコースなどの糖類の生成は、多くの研究開発の焦点となっている。しかしながら、多くの工程の高いコストおよび低い変換率が、セルロース性糖質技術(cellulosic sugar technology)の幅広い適用を制限している。
【0004】
セルロース系バイオマスを糖類に変換する多数の異なる方法が、当技術分野において知られている。これらは通常、セルロース系バイオマスを物理的および/または化学的に変化させて、セルロース系バイオマスに含まれる多糖類の構造を開く前処理ステップ、ならびに多糖類を単糖類に分解する酵素的または化学的加水分解ステップを含む。
【0005】
セルロースを基にした高収量のグルコース(>90%)が報告されているが、これらの収量は通常、低濃度のグルコース、典型的には2~5%で得られる。高い酵素投入量であっても、グルコースの存在が通常セルラーゼ酵素の活性を低下させるため、グルコースの高収量と高濃度の両方をもたらす方法は、実現が困難である。セルラーゼ酵素活性は時間とともに低下するので、収量を維持するために、酵素的加水分解反応への新しい酵素の追加を必要とする。しかしながら、セルラーゼ酵素の高いコストは非常に高額になりうる。セルラーゼ酵素はまた、難分解性セルロースおよび/またはリグニンに結合して、セルロースのグルコースへの更なる加水分解に利用できなくなる可能性がある。この非生産的な結合はまた、酵素使用量を減少させ経費を下げるために望ましい酵素の再利用を妨げる。
【0006】
様々な異なる工程が、セルロース系原料の前処理のために開発されており、様々な酵素的加水分解工程が、処理されたセルロース系原料を糖類に変換するために開発されている。例えば、Parekh(PCT公開番号第WO2014/026154号)は、主に酸性条件下でのリグノセルロース系バイオマスのための二段階の前処理工程を記載する。Schiffinoら(米国特許出願公開第2011/0250645号)は、アルカリ処理されたバイオマスからの単糖類の遊離を改善する方法を記載する。Liuら(米国特許出願公開第2011/0300586号)は、セルロースの結晶化度を低下させる目的を有し、またヘミセルロース-セルロース複合体を解離させるための、リグノセルロース系バイオマスに対する二段階の前処理工程を記載する。実施形態は、軽度の蒸気処理または自動加水分解(autohydrolysis)と、それに続く希酸もしくは熱湯による加水分解を含む。
【発明の概要】
【0007】
要約
この要約は、後に続くより詳細な説明に読者を導くことを目的とし、いかなる特許請求された発明もしくはまだ特許請求されていない発明をも限定または規定することを目的としない。その特許請求の範囲および図面を含む本文書のいずれかの部分に開示される構成要素または工程ステップの任意のコンビネーション(combination)またはサブコンビネーション(sub-combination)に、1つ以上の発明が存在しうる。
【0008】
1つの広範な態様では、原料中のセルロースの化学反応性および/または酵素反応性を増加させるためにセルロース系原料を活性化する方法が提供される。活性化されたセルロースはその後、例えば活性化されたセルロースを酵素的加水分解に供することなどによって、セルロース性の糖類に変換されうる。
【0009】
この態様では、セルロース系原料は、第一高温活性化ステップと、それに続くより低い温度でアルカリ条件下での第二活性化ステップに供されうる。この実施形態では、本方法は、原料を、原料が190℃より高い温度、200 psigより高い圧力で処理される第一活性化ステップに供して、セルロースIIおよび不溶性固形物を含む第一活性化セルロースストリームを生成することを含みうる。不溶性固形物は、セルロース以外の原料の成分、例えばリグニンなどを含みうる。続いて、第一活性化セルロースストリームは、第一活性化セルロースストリームが第一活性化ステップより低い温度でアルカリによって処理される第二活性化ステップに供され、セルロースIVを含む第二活性化セルロースストリームを生成しうる。好ましくは、第一活性化ステップは、水の存在下で行われる。
【0010】
理論に制限されることなく、第一活性化ステップは、セルロース系原料中のセルロースの結晶状態を変化させ、セルロース系原料中のセルロースIIの量と比較して、より高い割合のセルロースIIを含む第一活性化セルロースストリームを生成すると考えられる。第二活性化ステップは、第一活性化セルロースストリーム中のセルロースの結晶状態を更に変化させ、第一活性化セルロースストリーム中のセルロースIVの量と比較して、より高い割合のセルロースIVを含む第二活性化セルロースストリームを生成すると考えられる。1つの実施形態では、本明細書に記載される二段階活性化法は、セルロースII、水和セルロースIIおよびアルカリセルロースIVの混合物を生成する。任意選択で、セルロース性物質は、可溶性の非セルロース性成分を除去するために、1つの活性化ステップもしくはそれぞれの活性化ステップの後、例えば洗浄および/またはろ過されるなど、処理されうる。
【0011】
本明細書に記載されるセルロースの活性化方法はまた、グルカンレベルの増加および/またはリグニンなどのセルロース系原料の非セルロース性成分レベルの減少を伴う活性化セルロースをもたらすことが決定されている。例えば、1つの実施形態では、本明細書に記載される方法は、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも75%のグルカンを含む活性化セルロースを生成する。1つの実施形態では、本明細書に記載される方法は、25%未満、20%未満または15%未満のリグニンを含む活性化セルロースを生成する。
【0012】
別の広範な態様では、酵素的加水分解の間、酵素を安定化し、酵素活性を維持し、および/または酵素再利用ストリームを得るための方法ならびに組成物が提供される。
【0013】
別の広範な態様では、セルロースの酵素的加水分解における使用に適した酵素的加水分解混合物が提供される。好ましい実施形態では、酵素的加水分解混合物は、本明細書に記載される方法に従って生成された活性化セルロースと接触させる。
【0014】
これらの態様では、セルロースの酵素的加水分解のための、界面活性剤および/または分散剤と組み合わせた1種以上のセルラーゼ酵素が提供される。理論に制限されることなく、セルラーゼ酵素は、界面活性剤および/または分散剤と複合体を形成し、それが酵素を安定化し、酵素活性の維持を助け、酵素分解を防ぎ、および/または酵素的加水分解後の酵素の回収を促進しうると考えられる。また、オリゴペプチドなどの分散剤の存在は、リグニンおよび/または他の非セルロース性成分との相互作用によるセルラーゼ酵素の非生産性結合の防止に役立つと考えられる。好ましい実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート界面活性剤などの非イオン界面活性剤である。別の好ましい実施形態では、界面活性剤は、Tween(商標)、アルコキシル化グリセリドおよびノニルフェノールなどの界面活性剤の混合物である。1つの実施形態では、分散剤は、非酵素的オリゴペプチド、任意選択でポリアミノ酸、任意選択で500~10,000、1000~5000または3500~4500の分子量を有するポリアミノ酸である。好ましい実施形態では、ポリアミノ酸はポリアスパラギン酸である。
【0015】
本明細書に記載される方法および組成物は、セルロースの活性化および/またはセルロース性の糖類の生成に関して多くの利点を示し、それはいくつかの実施形態から得られうる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物の使用は、約12%超のグルコース、約14%超のグルコース、約16%超のグルコースまたは約18%超のグルコースを含む、グルコースに富む糖類ストリームを生じうる。更に、これらまたは他の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物は、高収量の単糖類を生じうる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物は、グルコースの理論的収量の約70%超、約80%超、約85%超、約90%超または約95%超のグルコースの収量を生じうる。酵素的加水分解反応におけるグルコースの理論的収量は、酵素的加水分解に供する活性化されたセルロース性材料のグルカン量に基づいて決定されうる。いくつかの好ましい実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物は、グルコースの高収量と高濃度との両方を有するグルコースに富む糖類ストリームを生じうる。例えば、1つの実施形態では、グルコースに富む糖類ストリームは、約12%超のグルコースおよび70%を超える収量、または14%超のグルコースおよび80%を超える収量、または16%超のグルコースおよび90%を超える収量を有する。
【0016】
別の広範な態様では、グルコースなどのセルロース性の糖類を生成するための活性化セルロースの酵素的加水分解のための方法が提供される。この実施形態では、酵素的加水分解は、バッチ式工程または連続工程として実施されうる。酵素的加水分解は、本明細書において開示されるような酵素的加水分解混合物および/または活性化セルロースを用いて実施されうる。
【0017】
別の態様では、酵素的加水分解に使用された酵素を除去するためにグルコースに富む糖類ストリームを処理する方法が提供される。酵素的加水分解に使用された酵素の除去および/または再利用は、酵素的加水分解に必要とされる酵素の量を減少させ、ひいてはセルロース性の糖類の生成に関連するコストを減少させうる。例えば、本明細書に記載される方法および組成物は、酵素的加水分解の後に酵素再利用ストリーム中のセルラーゼ酵素活性の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも85%を回収するように使用されうる。酵素再利用ストリームは、活性化セルロースを処理し続けるために再利用されてもよく、および/または本明細書に記載されるような第二活性化セルロースストリームなどの新たな活性化セルロースを処理するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、グルコースに富む糖類ストリームは、2回以上繰り返される同一の酵素除去処理、または異なる酵素除去処理のいずれかの複数回の酵素除去処理を受ける。
【0018】
別の態様では、本明細書に記載されるような方法によって生成されたグルコースに富む糖類ストリームが提供される。1つの実施形態では、糖類ストリームは、12%超、14%超、16%超または18%超のグルコースを含有する。1つの実施形態では、糖類ストリームは、ポリアスパラギン酸を含有する。いくつかの実施形態では、ポリアスパラギン酸は、1 ppb ~ 10000 ppmの濃度で存在する。
【0019】
別の態様では、(a)セルロースII、水和セルロースIIおよびアルカリセルロースIVの混合物を含有する活性化セルロースを供給すること;ならびに活性化セルロースを、1種以上のセルラーゼ酵素、界面活性剤および分散剤を用いた酵素的加水分解に供して、グルコースに富む糖類ストリームを生成することを含む、グルコースに富む糖類ストリームを生成する方法が提供される。任意選択で、活性化セルロースは、本明細書に記載される方法を用いて生成される。
【0020】
別の態様では、非グルコース糖類を更に含有するグルコースに富む糖類ストリームが提供され、そこで非グルコース糖類は、キシロース、キシロオリゴ糖およびキシランの1種以上である。1つの実施形態では、非グルコース糖類は、その組成物の乾燥物質の約3~8%、約4~7%または約5~6%を占める。特定の実施形態では、グルコースに富む糖類ストリームは約5%の非グルコース糖類を含有する。
【0021】
本発明の更なる態様では、本発明のグルコースに富む糖類ストリーム中のグルコースのフルクトースへの変換によって調製される、フルクトースに富む糖類ストリームが提供される。フルクトースに富む糖類ストリームは、非フルクトース糖類を更に含有しており、そこで非フルクトース糖類はキシロース、キシロオリゴ糖およびキシランの1種以上である。1つの実施形態では、非フルクトース糖類は、その組成物の乾燥物質の約1~8%、約2~7%または約3~6%を占める。特定の実施形態では、フルクトースに富む糖類ストリームは約5%の非グルコース糖類を含有する。
【0022】
本発明の別の態様では、より低いグリセミック指数のグルコースシロップまたはより低いグリセミック指数のフルクトースシロップが提供され、そのグルコースシロップまたはフルクトースシロップは、約1~8%、約2~7%または約3~6%のキシロース、キシロオリゴ糖およびキシランの1つ以上を含有し、そのグリセミック指数は、従来の方法で製造された従来のグルコースシロップまたはフルクトースシロップのグリセミック指数より低い。
【0023】
本開示の他の特徴および利点は、下記の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本開示の趣旨および範囲内での様々な変更および修正は、この詳細な説明から当業者にとって明白になるため、詳細な説明および特定の実施例は、開示の実施形態を示していると同時に、説明のためだけに与えられていることを理解するべきである。特に、任意の方法は、本明細書に開示されるすべての態様を用いてもよく、または態様の任意の特定のコンビネーション(combination)もしくはサブコンビネーション(sub-combination)を用いてもよいことが認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本出願に含まれる図面は、本明細書の教示の方法および組成物の様々な実施例を説明するためであって、決して教示されるものの範囲を限定することを意図しない。
本開示は以下、下記の図面と関連して記載される。
【
図1】セルロース系原料の二段階活性化、活性化された原料の酵素的加水分解、ならびに酵素再利用ストリームおよびグルコースに富み酵素の少ない糖類ストリームを得るための酵素除去処理を含む、好ましい実施形態に従った方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
これ以降、様々な方法および組成物が記載され、それぞれの請求項に係る発明の実施形態の例を提供する。これ以降記載される実施形態はいかなる請求項に係る発明も制限せず、任意の請求項に係る発明はこれ以降記載されるものと異なる方法および組成物を含みうる。請求項に係る発明は、これ以降記載される任意の1つの方法および組成物のすべての特徴を有する方法および組成物、または下記の複数のもしくはすべての方法および組成物に共通する特徴に限定されるものではない。これ以降記載される方法または組成物は、いずれの請求項に係る発明の実施形態でもない可能性がある。これ以降記載される、本明細書において特許請求されていない方法または組成物において開示される任意の発明は、別の保護文書、例えば、継続的特許出願の対象物であるかもしれず、出願人、発明者または所有者が、本明細書におけるその開示によって、任意のこのような発明を放棄する、請求権を放棄する、または一般に開放する(dedicate)ことを意図しない。
【0026】
セルロース性の糖類を生成するためのセルロース系バイオマスの処理に有用な様々な方法および組成物が、本明細書に記載される。1つの実施形態では、セルロース系原料を活性化して、活性化セルロースを生成する方法が提供される。セルロース系原料を高温高圧での第一活性化ステップと、その後のアルカリを用いた第一活性化ステップより低温での第二活性化ステップに供することは、セルロースの単糖類への加水分解に有利な化学的および/または物理的特性を有する活性化セルロースを生じることが決定されている。
【0027】
本明細書において開示される方法は、セルロース系原料10を用いる。セルロース系原料10は、セルロース性糖質技術分野において公知の任意の原料でありうる。例えば、セルロース系原料は、1種以上のわら、トウモロコシ茎葉、バガス、硬木、軟木、エネルギー作物などを含みうる。
【0028】
プラントに供給される原材料農産物は、原材料農産物中に存在する岩、土および他の物質を除去するため、ならびに工程に供給される原材料農産物または森林由来の原料のサイズを減らすために、破砕、粉砕、製粉などによって処理されてもよく、または別の方法で処理されてもよい。
【0029】
図1において例示されるように、セルロース系原料10は、そこでセルロース系原料10が第一活性化ステップに供されて第一活性化セルロースストリーム16を生成する、反応器14に供給されうる。第一活性化ステップでは、セルロース系原料10は、高温高圧で処理されて、セルロースIIおよび不溶性固形物を含有する第一活性化セルロースストリーム16を生成しうる。
【0030】
反応器14は、バッチ式反応器または連続工程式反応器でありうる。バッチ式反応器の場合、セルロース系原料10は反応器14に供給され、撹拌タンク反応器でありうるその反応器は、所望の時間、稼働条件に引き上げられうる。反応器14が連続フロー反応器である場合、それは当技術分野において知られるような蒸気曝露反応器であってもよく、所望の稼働条件で維持されうる。
【0031】
第一活性化ステップは、原料中のセルロースIIの量と比較して、第一活性化セルロースストリーム中のセルロースIIの量を増加させる条件下で実施されうる。
【0032】
温度は、190℃より高く、任意選択で210℃より高く、好ましくは220℃より高く、約250℃未満でありうる。従って、工程は190℃~250℃、210℃~250℃、220℃~240℃、または222℃~230℃の範囲の温度で実施されうる。
【0033】
圧力は、200 psigより高く、任意選択で500 psig未満でありうる。反応器内の圧力は、最低限の場合、飽和蒸気熱力学によって温度に対応する。1つの実施形態では、圧力は、加圧ガスの追加または過熱を加えることによって、その値より上に上昇しうる。
【0034】
セルロース系原料10は、30分未満、20分未満、10分未満または5分未満の間、第一活性化ステップに供されうる。処理時間の長さは、活性化ステップの程度、例えば、反応器14の温度および圧力を含む多くの要因に応じて変動するであろう。
【0035】
温度、圧力および処理時間は、任意の望ましい組合せで組み合わされうることが理解されるであろう。従って、例えば、第一活性化ステップは、原料を200~500 psigの圧力および200~250℃の温度に1~30分間曝す、または200~500 psigの圧力および190~215℃の温度に4分未満の間曝すことを含みうる。
【0036】
任意選択で、第一活性化ステップは水の存在下で行われる。水は、セルロース系原料10中に存在するもの、セルロース系原料が反応器14に導入される際に反応器14内に存在するものの1つ以上によって、および供給ストリーム12によって導入されることによって、反応器14に導入されうる。反応器に導入される総水分量は、少なくとも30%であってもよく、90%に達しうる。特定の実施形態では、50%の水分が反応器内に入っている。
【0037】
反応器14内に存在する水は、水蒸気または液体の水の形態であってよく、好ましくは液体の水の形態である。第一活性化ステップの温度および圧力は、液体の水が反応器14内に存在できるように選択されうることが理解されるであろう。
【0038】
第一活性化セルロースストリーム16は、重量にして約30%~50%の固形物含量を有しうる。固形物は、続いて第二活性化ステップに供されうるセルロースを主に含有する。固形物は更に、リグニン、ヘミセルロース、および灰分、タンパク質、またはエキス分などの微量成分を含有しうる。
【0039】
任意選択で、セルロース性材料は、第一活性化ステップおよび/または第二活性化ステップ後に、同一条件下もしくは異なる条件下のいずれかで、1つ以上の洗浄ステップに供されうる。この目的で、第一活性化セルロースストリーム16は、第二活性化ステップの前に、ヘミセルロースおよびいくらかの灰分、エキス分およびリグニンなどの可溶性の非セルロース性成分を除去するために、1つ以上の洗浄ステップに供されうる。第一洗浄はこれらの可溶物を除去し、可溶物は酸性pHであるため、洗浄ステップはまた、第二アルカリ活性化段階におけるアルカリの必要を減少させる。
【0040】
図1において例示されるように、第一活性化セルロースストリーム16および洗浄水20は、洗浄反応器18に導入されて、廃水22および洗浄された第一活性化セルロースストリーム24を生じうる。
【0041】
洗浄水20は、熱湯、例えば、約40℃~100℃または約50℃~95℃の温度の水などでありうる。廃水ストリーム22は、処理されて工程内もしくは他の場所で再利用されてもよく、廃棄されてもよい。
【0042】
洗浄反応器18は、当技術分野において公知の任意の設計でありうる。任意選択で、洗浄反応器18は向流的に稼働してもよく、それは向流式ベルトフィルターでありうる。他のろ過または分離法、例えば、フィルタープレス、ツインワイヤープレス、ツインロールプレス、ロータリーバキュームフィルターまたは遠心分離なども使用されうる。
【0043】
図1において例示されるように、洗浄された第一活性化セルロースストリーム24は、反応器26に供給され、そこで洗浄された第一活性化セルロースストリーム24は、第二活性化ステップに供されて、第二活性化セルロースストリーム30を生じる。別の実施形態では、第一活性化セルロースストリームの一部または全部が、反応器26内に導入されうる。以下の記載は、第一洗浄ステップの使用を例示する
図1に基づく。第二活性化ステップでは、洗浄された第一活性化セルロースストリーム24は、第一活性化ステップより低い温度でアルカリによって処理され、セルロースIVを含有する第二活性化セルロースストリームを生成しうる。
【0044】
反応器26は、バッチ式反応器または連続工程式反応器でありうる。バッチ式反応器の場合、洗浄された第一活性化セルロースストリーム24は反応器26に供給され、撹拌タンク反応器でありうるその反応器は、所望の時間、稼働条件に引き上げられうる。反応器26が連続フロー反応器である場合、それは当技術分野において知られるような蒸気曝露反応器であってもよく、所望の稼働条件で維持されうる。
【0045】
第二活性化ステップは、洗浄された第一活性化セルロースストリーム24中のセルロースIVの量と比較して、第二活性化セルロースストリーム中のセルロースIVの量を増加させる条件下で実施されうる。
【0046】
温度は、任意選択で60℃より高く、約180℃未満、約160℃未満、約140℃未満、約120℃未満、約100℃未満または約80℃未満でありうる。従って、この工程は、60℃~180℃、60℃~160℃、60℃~140℃、60℃~120℃、60℃~100℃または60℃~80℃の範囲内の温度で実施されうる。
【0047】
任意選択で、第二活性化ステップは、超大気圧(superatmospheric pressure)で行われる。例えば、超大気圧は、約0.1~400 psigの圧力でありうる。
【0048】
洗浄された第一活性化セルロースストリーム24は、180分未満、120分未満、90分未満または60分未満、任意選択で15分より長く、30分より長く、または45分より長く、第二活性化ステップに供されうる。処理時間の長さは、活性化ステップの程度、例えば、反応器26の温度および圧力を含む多くの要因に応じて変動するであろう。
【0049】
温度、圧力および処理時間は、任意の望ましい組合せで組み合わされうることが理解されるであろう。従って、例えば、第二活性化ステップは、第一活性化セルロースストリームを15~120分間、0~500 psigの圧力で60~240℃の温度に曝す、または少なくとも60分間、0~300 psigの圧力で80~150℃の温度に曝すことを含みうる。
【0050】
図1において例示されるように、第二活性化ステップは、好ましくは第一活性化セルロースストリームをアルカリの存在下で処理することを含む。アルカリは、反応器26内に任意の方法で導入されうる。例えば、例示されるように、アルカリストリーム28は別個に反応器26内に導入される。アルカリストリーム28が、洗浄された第一活性化セルロースストリーム24の反応器26内への導入に先立って、それと同時に、またはその後に反応器26内に導入されうることが理解されるであろう。あるいは、アルカリストリーム28は、洗浄された第一活性化セルロースストリーム24に導入され、その後、組み合わされたストリームが反応器26内に導入されうる。
【0051】
アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムおよびアンモニアの1種以上を含みうる。1つの実施形態では、アルカリは水酸化ナトリウムである。1つの実施形態では、アルカリは、第一活性化セルロースストリーム24中の全不溶性固形物の約10%~1%、約7%~2%または好ましくは6%未満で投入される。アルカリはセルロースを膨潤させ、更にセルロースの分子間および分子内の水素結合を切断し、それによって更に結晶構造を変える。
任意選択で、第二活性化ステップは、酸化剤ならびに/または酵素、例えば、ラッカーゼおよび/もしくはリグニン修飾酵素などの存在下で行われうる。
【0052】
第二活性化ステップでの使用に適した酸化剤の例は、過酸化水素(H2O2)を含むが、それに限定されない。1つの実施形態では、酸化剤は、第一活性化セルロースストリーム16/24中の全不溶性固形物の約2%未満および/または0.0001%より高い濃度で投入される。1つの実施形態では、酸化剤は、第一活性化セルロースストリーム16/24中の全不溶性固形物の約1%未満、約0.1%未満または約0.001%未満、任意選択で約1%~0.0001%で投入される。
第二活性化ステップでの使用に適した酵素の例は、リグニン修飾酵素、例えばラッカーゼ酸化酵素などを含むが、それに限定されない。
【0053】
第二活性化セルロースストリーム30は、重量にして約5%~50%固形物、好ましくは約20%~35%固形物の固形物含量を有しうる。固形物は、主としてセルロースを含み、それは任意選択で回収および再利用されうる。他の成分はヘミセルロースおよびリグニンであり、ともに20%未満である。
【0054】
任意選択で、第二活性化セルロースストリーム30は、アルカリおよび可溶化されたリグニンを除去するために、活性化後1回以上の洗浄ステップに供されうる。
【0055】
第二活性化セルロースストリーム30および洗浄水34は、洗浄反応器32に導入されて、廃水36および洗浄された第二活性化セルロースストリーム38を生じうる。洗浄反応器32は、洗浄反応器18と同様の方法で、または異なる方法で稼働されうる。
【0056】
洗浄水34は、熱湯、例えば、約50℃~95℃または約60℃~95℃の温度の水などでありうる。廃水ストリーム36は、処理されて工程内もしくは他の場所で再利用されてもよく、廃棄されてもよい。
【0057】
洗浄反応器32は、当技術分野において公知の任意の設計でありうる。任意選択で、洗浄反応器32は向流的に稼働してもよく、それは向流式ベルトフィルターでありうる。他のろ過または分離法、例えば、フィルタープレス、ツインワイヤープレス、ツインロールプレス、ロータリーバキュームフィルターまたは遠心分離なども使用されうる。
【0058】
セルロース系原料を高温での第一活性化ステップとそれに続くより低温でアルカリ条件下での第二活性化ステップに供する利点は、第一高温活性化ステップのみを受けた原料と比較して第二活性化セルロースストリーム30中の、グリカンのレベルを増加させ、リグニンのレベルを減少させることが示されている。理論に制限されることなく、本明細書に記載される二段階活性化工程は、原料中のセルロースの結晶化度を変化させ、酵素的加水分解に対するセルロースの物理的および/または化学的特性を改善すると考えられる。1つの実施形態では、二段階活性化工程は、セルロースIIおよびアルカリセルロースIVを含む活性化セルロースを生じる。
【0059】
当業者は、セルロースが、鎖間および鎖内の水素結合の位置に対応して、いくつかの異なる結晶構造で存在することを理解するであろう。例えば、セルロース系バイオマス中に見られる天然に存在するセルロースは、構造IαおよびIβを有するセルロースIである。再生されたセルロース繊維中のセルロースは、通常セルロースIIである。再生されたセルロース繊維とは、セロファンまたはレーヨンのビスコース生成のためのビスコース法によって生成された繊維を指す。セルロースIのセルロースIIへの変換は不可逆的である。セルロースIIIおよびセルロースIVの構造は、様々な化学的処理によって生成されうる。セルロースの異なる結晶形態は、特有のX線回析パターンによって同定されうる。セルロースおよびセルロースの異なる結晶構造は更に、Perez およびSamain,“Structure and Engineering of Cellulose”Advances in Carbohydrate Chemistry and Biochemistry, Vol. 64, Elsevier (2010)に記載され、その全体は参照により本明細書に組み入れられる。
【0060】
洗浄された第二活性化セルロースストリーム38は、酵素的加水分解反応器40内で1種以上のセルラーゼ酵素42を用いた酵素的加水分解に供され、グルコースに富む糖類ストリーム44を生成しうる。第二活性化セルロースストリーム30の一部または全部が酵素的加水分解に供されてもよく、従って、第二活性化セルロースストリーム30の一部しか、または全く洗浄を受けなくてもよいことが理解されるであろう。下記の説明は、洗浄ステップを受けても受けていなくても、第二活性化セルロースストリーム30に適用されうる。
【0061】
驚くべきことに、本明細書に開示される二段階活性化工程によって生成されうる、セルロースII(セルロースIIおよび水和セルロースIIの組合せでありうる)ならびにセルロースIV(アルカリセルロースIVでありうる)を含有する活性化セルロースは、特に酵素的加水分解を受けやすいことが決定された。特に、活性化セルロースは、セルラーゼ酵素を吸着する驚くべき能力を示した。グルコースに富む糖類ストリーム中での活性化セルロースの1種以上のセルラーゼ酵素との接触は、最初に、活性化セルロースに吸着されている酵素を生じうる。セルロースはその後、グルコースに富む糖類ストリームから除去され、任意選択で酵素的加水分解反応器40内に導入されうる。
【0062】
従って、本明細書に開示される任意の方法によって生成された活性化セルロースは、酵素的加水分解を受けて、セルロースをグルコースなどのセルロース性の糖類に分解しうる。あるいは、本明細書に開示される酵素的加水分解工程は、任意の従来の酵素的加水分解セルロース系原料とともに使用されうる。
【0063】
従って、活性化セルロース、任意選択で本明細書に記載されるような第二活性化セルロースストリームは、1種以上のセルラーゼ酵素と接触することによって、グルコースに富む糖類ストリームを生成しうる。
図1において例示されるように、洗浄された第二活性化セルロースストリーム30および酵素ストリーム42は、酵素的加水分解反応器40内に導入され、グルコースに富む糖類ストリーム44を生成する。洗浄された第二活性化セルロースストリーム30は、酵素ストリーム42の反応器40内への導入に先立って、それと同時に、またはその後に酵素的加水分解反応器40内に導入されうる。あるいは、または加えて、酵素ストリーム42は洗浄された第二活性化セルロースストリーム30に導入され、組み合わされたストリームが酵素的加水分解反応器40内に導入されうる。
【0064】
酵素的加水分解反応器40は、当技術分野において公知の任意の酵素的加水分解反応器であってよく、バッチ式または連続的に稼働しうる。酵素的加水分解反応器40は、任意の従来の温度および圧力、セルロース投入量、酵素投入量などで稼働しうる。例えば、酵素的加水分解反応器40は、40℃~55℃の温度範囲で稼働しうる。
【0065】
セルラーゼ酵素は、セルロースを単糖類に分解するように選択されうる。例えば、セルラーゼ酵素は、1,4-β-D-グリコシド結合を単糖類に加水分解するように選択されうる。1種以上のセルラーゼ酵素は、セロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼおよびβ-グルコシダーゼ活性の少なくとも1つを有する酵素を含みうる。セルラーゼ酵素調製物は、細菌、酵母または菌類の天然培養物などの多数の起源から単離されうるが、当業者は、組換え技術を用いて産生された酵素の使用を認識するであろう。本明細書に記載される方法での使用に適した市販の酵素の例は、Novozymes社のCtec 2または3、AB Enzymes社のRohamentを含むが、それらに限定されない。
【0066】
1種以上のセルラーゼ酵素は、グルカンのグラムあたり0.1~120 mg、0.2~60 mgまたは1~30 mgの酵素タンパク質の投入量で添加されうる。1つの実施形態では、セルラーゼ酵素は、活性化セルロース中のグルカンのグラムあたり0.1~5 mgの酵素タンパク質の投入量で添加される。1つの実施形態では、1種以上のセルラーゼ酵素は、活性化セルロースに対して約2~約60 Filter Paper Units (FPU)/gグルカン、または任意選択で約2~30もしくは1~15 FPU/gグルカンの投入量で添加される。1種以上のセルラーゼ酵素は、独立して活性化セルロースに直接添加されてもよく、後に記載されるように最初に界面活性剤および/または分散剤と組み合わされてもよい。
【0067】
酵素的加水分解によってセルロースを単糖類に変換するために、1種以上のセルラーゼ酵素を、適切な時間の長さ(例えば、24~144時間、48~144時間、48~60時間または24~72時間)活性化セルロースと接触させることができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、活性化セルロースのグリカン含量に基づいたグルコースの理論的収量の少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、または95%が、酵素的加水分解の間にグルコースに変換され、グルコースに富む糖類ストリームが生成される。いくつかの実施形態では、酵素的加水分解は、所定の時間、または所定のグルコース収量が得られるまで行われる。セルロース基質が枯渇するため、またはグルコースの存在がセルラーゼ酵素の活性を阻害するため、一定時間後、セルロースの酵素的加水分解由来のグルコース生成の速度は低下しうる。
【0069】
任意選択で、活性化セルロースは、界面活性剤および/または分散剤の存在下で1種以上のセルラーゼ酵素と接触させることができる。好ましい実施形態では、分散剤はポリアスパラギン酸である。
【0070】
驚くべきことに、活性化セルロース、特に本明細書に開示される活性化セルロースを界面活性剤および/またはポリアスパラギン酸などの分散剤の存在下で酵素的加水分解に供すると、単糖類の生成に多くの利点を示すことが決定された。例えば、界面活性剤および/または分散剤の存在は、セルラーゼ酵素の安定性を向上させ、セルラーゼ酵素の分解からの保護を助け、非可逆的な結合を妨げ、および/またはセルラーゼ酵素の活性を改善しうる。界面活性剤および/または分散剤の存在はまた、酵素的加水分解後のセルラーゼ酵素の酵素再利用ストリームへの回収を改善すると考えられる。例えば、いくつかの実施形態では、セルラーゼ酵素は、活性化セルロースの酵素的加水分解に使用され、その結果生じたグルコースに富む糖類ストリームから除去されて、酵素的加水分解反応器40に再利用され、または更なる酵素的加水分解のために新たな活性化セルロースと接触されうる。いくつかの実施形態では、セルラーゼ酵素は、各サイクルが48~72時間続く、少なくとも3~4回の酵素的加水分解に使用・再利用されうる。
【0071】
界面活性剤は、非イオン界面活性剤、任意選択でTweenなどのポリソルベート界面活性剤でありうる。界面活性剤はまた、界面活性剤の混合物でありうる。好ましい実施形態では、界面活性剤はTween 80、アルコキシル化グリセリドおよびノニルフェノールの混合物である。1つの実施形態では、界面活性剤は、約2%未満および/または約0.01%超の投入量で存在する。1つの実施形態では、界面活性剤は、活性化セルロース中のセルロース含量の重量の1%~0.01%、0.5%~0.05%または約0.1%~0.2%の投入量で存在する。
【0072】
分散剤は、オリゴペプチド、任意選択で、500~10,000または1000~5000の分子量を有する非酵素的なポリペプチドでありうる。オリゴペプチドは、ポリアスパラギン酸でありうる。ポリアスパラギン酸は、500~10,000、1000~5000または3500~4500の分子量を有しうる。ポリアスパラギン酸は、活性化セルロース中のセルロース含量の重量の約2%未満および/または約0.001%より高い投入量で存在しうる。いくつかの実施形態では、ポリアスパラギン酸は、活性化セルロース中のセルロース含量の重量の1%~0.001%、0.25%~0.025%、または約0.1%の投入量で存在しうる。
【0073】
任意選択で、酵素的加水分解混合物中の界面活性剤の分散剤(例えば、ポリアスパラギン酸)に対する比率は、0.1:1~10:1、任意選択で0.5:1~2:1である。
任意選択で、1種以上のセルラーゼ酵素に対する分散剤(例えば、ポリアスパラギン酸)のモル比は、0.01~10:1である。
【0074】
従って、1種以上のセルラーゼ酵素、1種以上の界面活性剤および1種以上の分散剤を含有する酵素的加水分解混合物は、任意の酵素的加水分解工程に使用してもよく、または本明細書に開示される任意の活性化および酵素的加水分解工程と関連して使用してもよい。酵素的加水分解混合物は、本明細書に記載されるようなセルロースIIおよびセルロースIVを含有する活性化セルロースの酵素的加水分解に特に適している。
【0075】
1種以上のセルラーゼ酵素、界面活性剤および分散剤は、単独で、またはコンビネーションもしくはサブコンビネーションで酵素的加水分解反応器40内に導入されうる。例えば、それらは、ストリーム38を反応器40内に導入する前に、それぞれ個別に活性化セルロースと組み合わされうる(例えば、それぞれを連続してストリーム38に添加してもよく、またはストリーム38を3つのストリームに分割し、セルラーゼ酵素、界面活性剤および分散剤を、それぞれ分割されたストリームの1つに添加してもよい)。あるいは、1種以上のセルラーゼ酵素、界面活性剤および分散剤は、その混合物を活性化セルロースと組み合わせる前に、一緒に混合されてストリーム42を形成しうる(例えば、ストリーム42を反応器40に導入する、またはストリーム38を反応器40に導入する前にストリーム42をストリーム38に導入する)。酵素、界面活性剤および分散剤を活性化セルロースと接触する前に一緒に混合することは、酵素の安定化を助け、酵素の分解を防ぐ三成分複合体の形成を促進すると考えられる。従って、1種以上のセルラーゼ酵素は、活性化セルロースを酵素的加水分解に供する前に、界面活性剤および分散剤と混合されうる。例えば、1種以上のセルラーゼ酵素は、それらを活性化セルロース(例えば、ストリーム38)と接触させる前、もしくは活性化セルロースを酵素的加水分解に供する前に、少なくとも5秒間、少なくとも10秒間、少なくとも30秒間または少なくとも1分間、界面活性剤および分散剤と混合されうる。
【0076】
図1において例示されるように、グルコースに富む糖類ストリーム44は、グルコースに富み酵素の少ない糖類ストリーム48および酵素再利用ストリーム50を得るために酵素除去ステップに供されうる。酵素除去ステップは、当技術分野において公知の任意の酵素除去ステップであってよく、当技術分野において公知の任意の装置において実施されうる。任意選択で、酵素除去ステップは、グルコースに富む糖類ストリーム44を、例えば限られた時間、セルロースと接触させることを含み、これは本明細書において開示された任意の方法によって生成された活性化セルロースでありうる。
【0077】
例えば、酵素除去ステップは、以下のステップを含みうる:
(a)酵素を含んでいるグルコースに富む糖類ストリームをセルロースと接触させ、その上に吸着した酵素を有するセルロースを得るステップ;ならびに、
(b)グルコースに富む糖類ストリームをセルロース除去ステップに供して、低下したセルロースレベルを有するグルコースに富み酵素の少ない糖類ストリームおよび酵素再利用ストリームを得るステップ。
【0078】
任意選択で、ステップ(a)は、グルコースに富む糖類ストリームを活性化セルロース、任意選択で、本明細書に記載される方法に従って生成された第二活性化セルロースストリームと接触させることを含む。
【0079】
理論に制限されることなく、グルコースに富む糖類ストリーム中の酵素はセルロース上に吸着し、グルコースに富む糖類ストリームからセルロースを除去することがストリームから酵素を除去し、結果的にグルコースに富み酵素の少ない糖類ストリーム48および酵素再利用ストリーム50をもたらすと考えられる。特に好ましい実施形態では、グルコースに富む糖類ストリーム中のセルラーゼ酵素は、界面活性剤および分散剤の存在下にあり、グルコースに富む糖類ストリーム44中の酵素は、グルコースに富む糖類ストリーム44を本明細書に記載される方法を用いて生成された活性化セルロース16、24、30、38と接触させることによって除去される。
【0080】
従って、セルロースストリーム52は、反応器46内に導入されうる。反応器46は、グルコースに富む糖類ストリーム44とセルロースが互いに接触することを可能にして、溶液から酵素を回収し、セルロースをその上に吸着した酵素とともに分離できるようにする任意の反応器を含みうる。従って、例えば、反応器46は、グルコースに富む糖類ストリームおよびセルロースを混合して混合ストリーム54を生じるための撹拌槽反応器または栓流反応器を含みうる。
【0081】
グルコースに富む糖類ストリームおよびセルロースは、約2時間未満、約90分未満または約60分未満の間一緒に接触させることができ、約10分~60分、または約30分~90分の間一緒に接触させることができる。
【0082】
続いて、混合ストリーム54は、分離器56での固液分離ステップに供される。分離器56は、当技術分野において公知の任意の分離器でありうる。分離器56は、ろ過、デカンテーション、重力分離、遠心分離、または圧搾機の使用など、当技術分野において公知の任意の分離技術を使用しうる。例えば、分離器56は、ろ過器、圧搾機、任意選択でツインスクリュープレス、ツインワイヤープレスまたはツインロールプレスを含みうる。
【0083】
酵素再利用ストリーム50は、高固形物ストリームでありうる。例えば、酵素再利用ストリームは、約30%超、約40%超または約50%超のセルロース性固形物を含有しうる。
【0084】
酵素再利用ストリーム50は、新たな活性化セルロース上で酵素的加水分解を行うために使用されうる。あるいは、酵素再利用ストリーム50は、反応器40に再利用されうる。従って、反応器40がバッチ式で稼働する場合、グルコースに富む糖類ストリームのパージ(purge)ストリームが回収され、処理されることによって、再利用ストリーム50を得られうる。驚くべきことに、この工程によって再利用される酵素は、通常、1回、2回、3回または4回再利用された後でさえもそれらの活性を維持することが決定された。結果として、グルコースに富む糖類ストリーム48は、約12%超のグルコース、約14%超のグルコース、約16%超のグルコースまたは約18%超のグルコースを含有しうる。更に、グルコースの理論的収量の約70%超、約80%超、約85%超、約90%超または約95%超のグルコースの収量が得られうる。
【0085】
任意選択で、グルコースに富む糖類ストリーム48は、検出可能なレベルのポリアスパラギン酸を含有しうる。1つの実施形態では、糖類ストリームは、約1 ppb~10000 ppmのポリアスパラギン酸を含有する。
【0086】
驚くべきことに、本明細書において開示される活性化セルロースの酵素的加水分解によって生じるグルコースに富む糖類ストリームは、キシロース、キシロースのオリゴマー(キシロオリゴ糖)およびキシランの1種以上である約5%の非グルコース糖類を含有することが見出された。本明細書において記載される場合、キシロオリゴ糖は、約2から約10の重合度(dp)を有するキシロースのポリマーを指す。本明細書において記載される場合、キシランは、>10の重合度(dp)を有するキシロースのポリマーを指す。
【0087】
特定の態様では、活性化セルロースの酵素的加水分解は、本明細書において開示されるような加水分解混合物を用いて実施されうる。更なる態様では、グルコースに富む糖類ストリームは、本明細書に記載されるセルロース活性化方法および/または酵素的加水分解方法を用いて調製される。
【0088】
トウモロコシなどの供給源から標準的な方法を用いて得られたグルコースはまた、約5%の非グルコース糖類を有することも知られている。しかしながら、トウモロコシグルコースに見出される非グルコース糖類は、マルトース、マルトトリオース、より高分子のデキストロースの糖類など、よりグリセミック指数の高い糖類である。
【0089】
1つの実施形態では、本明細書において開示されるグルコースに富む糖類ストリーム中に見出される非グルコース糖類は、組成物の乾燥物質の約1~8%、約2~7%または約3~6%を占め、キシロース、キシロオリゴ糖およびキシランの1種以上である。特定の実施形態では、グルコースに富む糖類ストリームの乾燥物質は、95%のグルコース、4%のキシロース、1%のキシロオリゴ糖を含有することが見出された。
【0090】
本明細書において開示される方法から得られたグルコースは、例えば、S.Z. Dziedzicらにより“Handbook of starch hydrolysis products and their derivatives” December 31, 1995, 55-58ページ(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されるようなフルクトースへのグルコース異性化などの公知の方法を用いて、フルクトースに変換されうる。本明細書において開示される方法から得られたグルコースの変換により得られるフルクトースもまた、約3~5%の非グルコース糖類を含み、その非グルコース糖類は、キシロースおよび/またはキシロースのオリゴマーであることが見出された。
【0091】
本発明の更なる態様では、本明細書において開示されるグルコースに富む糖類ストリーム中のグルコースのフルクトースへの変換によって調製されるフルクトースに富む糖類ストリームが提供される。フルクトースに富む糖類ストリームはまた、非フルクトース糖類を含有し、この非フルクトース糖類はキシロース、キシロオリゴ糖およびキシランの1種以上である。1つの実施形態では、非フルクトース糖類は、組成物の乾燥物質の約1~8%、約2~7%または約3~6%を占める。
【0092】
本発明の別の態様では、より低いグリセミック指数のグルコース生成物またはより低いグリセミック指数のフルクトース生成物が提供され、そのグルコース生成物またはフルクトース生成物は、約1~8%、約2~7%または約3~6%、好ましくは5%の非グルコースまたは非フルクトース糖類を含有し、その非グルコースまたは非フルクトース糖類は、キシロース、キシロオリゴ糖およびキシランの1種以上である。
【0093】
更なる態様では、グルコース生成物またはフルクトース生成物のグリセミック指数は、従来の方法で製造された従来のグルコースシロップまたはフルクトースシロップのグリセミック指数より低い。グリセミック指数(GI)は、例えば、“In vitro method for predicting glycemic index of foods using simulated digestion and an artificial neural network”R. L. Magalettaら、Cereal Chemistry vol. 87, no. 4, 2010に記載されるような、当技術分野において公知の方法を用いて測定されうる。
【0094】
本明細書に記載される方法によって得られたグルコース生成物またはフルクトース生成物は、様々な食品および飲料の製造において、よりグリセミック指数の低い製品を提供するために、よりグリセミック指数の高いグルコースまたはフルクトースの代わりに使用されうる。よりグリセミック指数の低い食品および飲料は、血糖およびインスリンレベルの管理において健康上の利点を提供し、ひいては心臓疾患および/または糖尿病のリスクを減少させうる。より低いグリセミック指数を有する食品はまた、食欲および体重減少の制御においても有用でありうる。
【0095】
セルロース系原料の活性化のための本明細書に記載される1つ以上の実施形態は、セルロース系原料からセルロース性の糖類を生成するために、セルロースの酵素的加水分解のための本明細書に記載される1つ以上の実施形態とともに使用されうることが理解されるであろう。
【0096】
上記に記載されてきたことは、本発明の説明であり、非限定的であることを意図し、当業者は、本明細書に添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の範囲から逸脱することなく、他の変更および改変がなされうることを理解するであろう。特許請求の範囲は、好ましい実施形態および実施例によって限定されるべきではないが、全体として記載と一致する最も広義の解釈が与えられるべきである。
【0097】
上記の開示は本出願を一般的に記載するが、下記の具体的な実施例を参照することによって、より完全な理解を得ることができる。これらの実施例は、単に説明の目的で記載され、開示の範囲を限定することを意図するものではない。状況が示唆するか適切である場合、形式の変更および等価物の代替が企図される。特定の用語が本明細書において用いられているが、このような用語は説明的な意味を意図し、限定を目的とするものではない。 下記の非限定的な実施例は、本開示の実例である。
【実施例】
【0098】
[実施例1]
セルロースを活性化するためのサトウキビバガスの処理
セルロースを活性化するための様々な方法を、サトウキビバガスを用いて検討した。サトウキビバガスを、220℃、5分間の滞留時間の第一水蒸気処理ステップとそれに続く80℃の湯を用いた熱湯洗浄、または第一水蒸気処理とそれに続くアルカリ過酸化水素による処理のいずれかに供した。90℃で60分間または120分間、および固体で投入する1%過酸化物でのアルカリ洗浄。
【0099】
表1に示されるように、水蒸気処理ステップとそれに続くアルカリ過酸化水素による二段階処理の使用は、水蒸気による処理および熱湯洗浄と比較して、有意にグルカンのレベルを増加させ、リグニンの量を減少させた。
【0100】
【0101】
[実施例2]
活性化されたサトウキビバガスの酵素的加水分解
実施例1において調製された水不溶性セルロース成分を、その後、72時間の酵素的加水分解に供した。界面活性剤Tween 80および3500~4500の分子量を有する分散剤ポリアスパラギン酸の1:1比率の混合物を含有しているComet additive S-001もまた、アルカリ処理されたサトウキビバガスのための酵素的加水分解混合物に添加された。
【0102】
表2に示されるように、Comet additive S-001存在下でアルカリ処理されたサトウキビバガスの酵素的加水分解は、グルカンのグラムあたり105.1グラムのグルコースのグルコース収量をもたらし、グルカンのグラムあたり~110グラムのグルコースの理論的収量に近いものであった。
【0103】
【0104】
更に、表3に示されるように、Comet additive S-001存在下での酵素的加水分解は、添加剤なしで酵素的加水分解を受けたアルカリ処理サトウキビバガスと比較して、単量体キシロースの収量を変化させなかった。従って、添加剤は収量に悪影響を及ぼさなかった。
【0105】
【0106】
酵素的加水分解の72時間後の上清中に存在する総タンパク質含量の割合の分析を表4に示す。Comet additive S-001の使用は、より高い割合の総タンパク質をもたらし、上清中のより高レベルの酵素および酵素の安定性の改善を示した。
【0107】
【0108】
アルカリ処理されたサトウキビバガスを、Comet additive S-001の存在下で複数回の再利用加水分解に供した。表5に示されるように、再利用加水分解は、酵素の損失を最小限に抑えて、酵素的加水分解の繰り返し期間にわたり、高収量および高濃度のグルコースを生成することができた。
【0109】
【0110】
[実施例3]
セルロースを活性化するためのコムギわらの処理
セルロース系原料を活性化するための方法を、コムギわらを用いて検討した。コムギわらを、220℃、5分間の滞留時間の第一水蒸気処理ステップ、それに続く80℃での熱湯洗浄、それに続く90℃で60分間および固体で投入する1%過酸化物でのアルカリ洗浄に供した。
表6に示されるように、アルカリ過酸化水素による二段階処理の使用は、高レベルのグルカン(75.1%)を含む水不溶性成分をもたらした。
【0111】
【0112】
[実施例4]
活性化されたコムギわらの酵素的加水分解
水蒸気処理されたコムギわら、または水蒸気処理された後アルカリ処理されたコムギわらの水不溶性セルロース成分を、表7~9に示されるような酵素的加水分解に供した。界面活性剤Tween 80もまた、表中に記載されるように添加された。
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
水蒸気処理され、続いてアルカリ過酸化物処理されたコムギわらの酵素的加水分解の、界面活性剤(Tween 80)の添加を伴う更なる研究は、表10~12に示されるように行われた。
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
[実施例5]
本明細書に記載される活性化および酵素的変換方法によって生成されるセルロース性グルコース生成物は、下記の仕様を有するように調製され、測定された。
【0121】
化学データおよび物理データ
全固形物50~70%
水分30~50%
【0122】
組成(乾燥物質に基づく)
グルコース 95%
キシロース 4%
キシロオリゴ糖 1%
灰分 <0.01%
【0123】
pH: 3~5
導電率: (30% DS)50 μs/cm
比重: 1.2
外見: 透明な溶液
匂い: 甘い
【0124】
鉱物灰含量(PPM)
塩化物 16
硫酸塩 <1
カルシウム 5
カリウム <1
マグネシウム <1
ナトリウム 2
リン 2
【0125】
グリセミック指数データ
上述の組成を有するセルロース性グルコース生成物は、72のグリセミック指数(GI)を有することが見出された。比べて、グルコース単独では100のグリセミック指数を有することが知られている。デキストロースもまた100のグリセミック指数を有することが知られているが、マルトースおよびマルトデキストリンは、それぞれ105および110のグリセミック指数を有することが知られている。
【0126】
本開示は、現在実施例と考えられるものに関して記載されており、本開示は、開示された実施例に限定されないことが理解されるべきである。反対に、本開示は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれる様々な改変および等価の改変(arrangements)を含むよう意図される。
【0127】
すべての出版物、特許および特許出願は、それぞれ個々の出版物、特許および特許出願が、全体として参照により組み入れられることが具体的かつ個々に示されたのと同程度まで、全体として参照により本明細書に組み入れられる。
本出願は以下を提供する。
1. セルロース系原料を活性化する二段階の方法であって、
(a)原料を、190℃より高い温度および200 psigより高い圧力で処理する第一活性化ステップに供して、セルロースIIおよび不溶性固形物を含有する第一活性化セルロースストリームを生成するステップ;
(b)第一活性化セルロースストリームを、第一活性化ステップより低い温度でアルカリによって処理する第二活性化ステップに供して、セルロースIVを含有する第二活性化セルロースストリームを生成するステップ
を含む、上記方法。
2. 第一活性化ステップが水の存在下で行われる、上記1に記載の方法。
3. 第一活性化ステップが、原料を200~500 psigの圧力および200~250℃の温度に1~30分間曝すことを含む、上記1または2に記載の方法。
4. 第一活性化ステップが、原料を200~500 psigの圧力および190~215℃の温度に4分未満の間曝すことを含む、上記1または2に記載の方法。
5. 第一活性化セルロースストリームを洗浄して、第二活性化ステップの前に可溶性の非セルロース性成分を除去するステップを更に含む、上記1~4のいずれかに記載の方法。
6. 第一活性化セルロースストリームを洗浄するステップが、約50~95℃の水の使用、任意選択で向流洗浄の使用を含む、上記5に記載の方法。
7. 第一活性化セルロースストリームが約30~50%(wt/wt)の固形物含量を有する、上記1~6のいずれかに記載の方法。
8. 第二活性化ステップが、第一活性化セルロースストリームを60~240℃の温度に15~120分間曝すことを含む、上記1~7のいずれかに記載の方法。
9. 第二活性化ステップが、第一活性化セルロースストリームを80~150℃の温度に少なくとも60分間曝すことを含む、上記8に記載の方法。
10. 第二活性化ステップが、超大気圧(superatmospheric pressure)で、任意選択で約0.1~400 psigで行われる、上記1~9のいずれかに記載の方法。
11. 第二活性化ステップにおけるアルカリが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムおよびアンモニアの1つ以上を含む、上記1~10のいずれかに記載の方法。
12. 第二活性化ステップにおけるアルカリが水酸化ナトリウムを含み、水酸化ナトリウムが第一活性化セルロースストリーム中の不溶性固形物の約10%~1%または好ましくは約6%未満で投入される、上記1~11のいずれかに記載の方法。
13. 第二活性化ステップが、酸化剤および/または酵素、任意選択でラッカーゼもしくはリグニン修飾酵素の存在下で行われる、上記1~12のいずれかに記載の方法。
14. 酸化剤が過酸化水素であり、任意選択で第一活性化セルロースストリーム中の不溶性固形物の1%未満で投入される、上記13に記載の方法。
15. 第二活性化セルロースストリームが、セルロースII、水和セルロースIIおよびアルカリセルロースIVの混合物を含有する、上記1~14のいずれかに記載の方法。
16. 第二活性化セルロースストリームを洗浄して、可溶性の非セルロース性成分を除去するステップを更に含む、上記1~15のいずれかに記載の方法。
17. 第二活性化セルロースストリームを洗浄するステップが、約60~95℃の水の使用、任意選択で向流洗浄の使用を含む、上記16に記載の方法。
18. グルコースに富む糖類ストリームを生成する方法であって、上記1~17のいずれかに記載の方法から得られた第二活性化セルロースストリームを1種以上のセルラーゼ酵素と接触させて、グルコースに富む糖類ストリームを生成するステップを含む、上記方法。
19. 1種以上のセルラーゼ酵素が、1,4-β-D-グリコシド結合を単糖類に加水分解するように選択される、上記18に記載の方法。
20. 1種以上のセルラーゼ酵素が、セロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼおよびβ-グルコシダーゼ活性の少なくとも1つを有する酵素、任意選択で市販のNovozymes社のCtec 2または3、AB Enzymes社のRohamentを含む、上記18または19に記載の方法。
21. 第二活性化セルロースストリームを界面活性剤および/または分散剤と接触させることを更に含む、上記18~20のいずれかに記載の方法。
22. 分散剤がオリゴペプチド、任意選択で500~10,000または1000~5000の分子量を有する非酵素的ポリペプチドである、上記21に記載の方法。
23. ポリペプチドがポリアスパラギン酸である、上記22に記載の方法。
24. ポリペプチドが、第二活性化ストリームのセルロース含量の重量の2%未満、1%~0.001%、0.25~0.025%、または約0.1%の投入量で第二活性化セルロースストリームに添加される、上記22または23に記載の方法。
25. 界面活性剤が非イオン界面活性剤、任意選択でTween(商標)などのポリソルベート界面活性剤である、上記21~24のいずれかに記載の方法。
26. 界面活性剤が、Tween、アルコキシル化グリセリドおよびノニルフェノールを含む界面活性剤の混合物である、上記21~25のいずれかに記載の方法。
27. 界面活性剤が、第二活性化ストリームのセルロース含量の重量の2%未満、1%~0.01%、0.5%~0.05%、または約0.1%~0.2%の投入量で第二活性化セルロースストリームに添加される、上記25または26に記載の方法。
28. 1種以上のセルラーゼ酵素、界面活性剤および分散剤が、第二活性化セルロースストリームに個別に添加される、上記21~27のいずれかに記載の方法。
29. 1種以上のセルラーゼ酵素が、第二活性化セルロースストリームと接触する前に、任意選択で少なくとも10秒間、界面活性剤および分散剤と混合される、上記21~27のいずれかに記載の方法。
30. 1種以上のセルラーゼ酵素が、界面活性剤および分散剤と三成分複合体を形成する、上記29に記載の方法。
31. 1種以上のセルラーゼ酵素が、グルカンのgあたり0.1~120、任意選択で0.1~5 mgの酵素タンパク質の投入量で、第二活性化セルロースストリームに添加される、上記18~30のいずれかに記載の方法。
32. 1種以上のセルラーゼ酵素が、約2~60 FPU/gグルカンの投入量で第二活性化セルロースストリームに添加される、上記31に記載の方法。
33. 第二活性化セルロースストリームを、24~144時間、48~144時間、48~60時間、24~96時間、60時間未満または48時間未満の間、1種以上のセルラーゼ酵素と接触させて、グルコースに富む糖類ストリームを生成する、上記18~32のいずれかに記載の方法。
34. グルコースに富む糖類ストリームを酵素除去処理に供して、グルコースに富み酵素の少ない糖類ストリームおよび酵素再利用ストリームを得るステップを更に含む、上記18~33のいずれかに記載の方法。
35. 酵素除去処理が、
(a)酵素を含んでいるグルコースに富む糖類ストリームをセルロースと接触させ、その上に吸着した酵素を有するセルロースを得るステップ;ならびに、
(b)グルコースに富む糖類ストリームをセルロース除去ステップに供して、低下したセルロースレベルを有するグルコースに富み酵素の少ない糖類ストリームおよび酵素再利用ストリームを得るステップ
を含む、上記34に記載の方法。
36. グルコースに富む糖類ストリームを、活性化セルロース、任意選択で上記1~17のいずれかに記載の方法に従って生成された第二活性化セルロースストリームと、任意選択で約60分未満の間接触させる、上記35に記載の方法。
37. セルロース除去ステップがろ過を含み、任意選択で酵素再利用ストリームが約40 wt %より多くのセルロース固形物を含有する、上記35または36に記載の方法。
38. 酵素再利用ストリームと新たな活性化セルロースとを混合することを更に含む、上記34~37のいずれかに記載の方法。
39. 上記35に記載のセルロース除去ステップを繰り返すことを更に含む、上記35~38のいずれかに記載の方法。
40. グルコースに富む糖類ストリームが、約12%超のグルコース、約14%超のグルコース、約16%超のグルコースまたは約18%超のグルコースを含有する、上記18~39のいずれかに記載の方法。
41. 前記方法が、グルコースの理論的収量の約70%超、約80%超、約85%超、約90%超または約95%超のグルコースの収量を生じる、上記18~40のいずれかに記載の方法。
42. 活性化セルロースからグルコースに富む糖類ストリームを生成する方法であって、活性化セルロースを、1種以上のセルラーゼ酵素、界面活性剤およびポリアスパラギン酸を用いた酵素的加水分解に供して、グルコースに富む糖類ストリームを生成するステップを含む、上記方法。
43. 1種以上のセルラーゼ酵素が、1,4-β-D-グリコシド結合を単糖類に加水分解するように選択される、上記42に記載の方法。
44. 1種以上のセルラーゼ酵素が、セロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼおよびβ-グルコシダーゼ活性の少なくとも1つを有する酵素を含む、上記42または43に記載の方法。
45. ポリアスパラギン酸が、500~10,000の分子量を有する、上記42~44のいずれかに記載の方法。
46. ポリアスパラギン酸が1000~5000の分子量を有する、上記42~44のいずれかに記載の方法。
47. ポリアスパラギン酸が3500~4500の分子量を有する、上記42~44のいずれかに記載の方法。
48. ポリアスパラギン酸が、第二活性化ストリームのセルロース含量の重量の2%未満、1%~0.001%、0.25~0.025%、または約0.1%の投入量で存在する、上記42~47のいずれかに記載の方法。
49. 界面活性剤が非イオン界面活性剤、任意選択でTween(商標)などのポリソルベート界面活性剤である、上記44~48のいずれかに記載の方法。
50. 界面活性剤が、Tween、アルコキシル化グリセリドおよびノニルフェノールを含む界面活性剤の混合物である、上記44~49のいずれかに記載の方法。
51. 界面活性剤が、第二活性化ストリームのセルロース含量の重量の2%未満、1%~0.01%、0.5%~0.05%、または約0.1%~0.2%の投入量で存在する、上記49または50に記載の方法。
52. 1種以上のセルラーゼ酵素、界面活性剤およびポリペプチドが、個別に活性化セルロースと混合される、上記42~51のいずれかに記載の方法。
53. 1種以上のセルラーゼ酵素を、活性化セルロースを酵素的加水分解に供する前に、任意選択で少なくとも10秒間、界面活性剤およびポリペプチドと混合する、上記42~51のいずれかに記載の方法。
54. 1種以上のセルラーゼ酵素が、界面活性剤およびポリアスパラギン酸と三成分複合体を形成する、上記53に記載の方法。
55. 1種以上のセルラーゼ酵素が、グルカンのgあたり0.1~5 mgの酵素タンパク質の投入量で存在する、上記42~54のいずれかに記載の方法。
56. 1種以上のセルラーゼ酵素が、2~60 FPU/gグルカンで存在する、上記55に記載の方法。
57. 活性化セルロースを、24~144時間、48~144時間、48~60時間、24~96時間、60時間未満または48時間未満の間、酵素的加水分解に供するステップを更に含む、上記42~56のいずれかに記載の方法。
58. グルコースに富む糖類ストリームを酵素除去処理に供して、グルコースに富み酵素の少ない糖類ストリームおよび酵素再利用ストリームを得るステップ、酵素再利用ストリームを酵素的加水分解に再利用するステップを更に含む、上記41~57のいずれかに記載の方法。
59. 酵素的加水分解に使用するために酵素再利用ストリームを導入した後に、前記方法が、理論的収量の約70%超、約80%超、約85%超、約90%超または約95%超のグルコースの収量を生じる、上記58に記載の方法。
60. (a)グルコースに富む糖類ストリームをセルロースと接触させ、その上に吸着した酵素を有するセルロースを得るステップ;ならびに、
(b)グルコースに富む糖類ストリームをセルロース除去ステップに供して、低下したセルロースレベルを有するグルコースに富み酵素の少ない糖類ストリームおよび酵素再利用ストリームを得るステップ
を含む、上記58または59に記載の方法。
61. グルコースに富む糖類ストリームを、活性化セルロース、任意選択で上記1~17のいずれかに記載の方法に従って生成された第二活性化セルロースストリームと接触させる、上記60に記載の方法。
62. セルロース除去ステップがろ過を含む、上記60または61に記載の方法。
63. 酵素再利用ストリームと新たな活性化セルロースとを混合するステップを更に含む、上記58~62のいずれかに記載の方法。
64. 上記58に記載のセルロース除去ステップを繰り返すことを更に含む、上記58~63のいずれかに記載の方法。
65. グルコースに富む糖類ストリームが、約12%超のグルコース、約14%超のグルコース、約16%超のグルコースまたは約18%超のグルコースを含有する、上記42~64のいずれかに記載の方法。
66. グルコースの収量が、約70%超、約80%超、約85%超、約90%超または約95%超である、上記42~65のいずれかに記載の方法。
67. グルコースに富む糖類ストリームを生成する方法であって、
(a)セルロースII、水和セルロースIIおよびアルカリセルロースIVの混合物を含有する活性化セルロースを供給するステップ;
(b)活性化セルロースを、1種以上のセルラーゼ酵素、界面活性剤および分散剤を用いた酵素的加水分解に供して、グルコースに富む糖類ストリームを生成するステップ
を含む、上記方法。
68. 活性化セルロースが、上記1~17のいずれかに記載の方法によって生成される、上記67に記載の方法。
69. 分散剤が、10,000未満の分子量を有する非酵素的ポリペプチドである、上記67または68に記載の方法。
70. 分散剤が、活性化セルロースのセルロース含量の重量の2%未満、1%~0.001%、0.25%~0.025%、または約0.1%の投入量で存在する、上記67~69のいずれかに記載の方法。
71. 分散剤がポリアスパラギン酸である、上記70に記載の方法。
72. ポリアスパラギン酸が、1000~5000、任意選択で3500~4500の分子量を有する、上記71に記載の方法。
73. 界面活性剤が、活性化セルロースのセルロース含量の重量の2%未満、1%~0.01%、0.5%~0.05%、または約0.1%~0.2%の投入量で存在する、上記67~72のいずれかに記載の方法。
74. 界面活性剤が非イオン界面活性剤、任意選択でTween(商標)などのポリソルベート界面活性剤である、上記73に記載の方法。
75. 界面活性剤が、Tween、アルコキシル化グリセリドおよびノニルフェノールを含む界面活性剤の混合物である、上記74に記載の方法。
76. 1種以上のセルラーゼ酵素、界面活性剤および分散剤が、活性化セルロースに個別に添加される、上記67~75のいずれかに記載の方法。
77. 1種以上のセルラーゼ酵素を、活性化セルロースを酵素的加水分解に供する前に、任意選択で少なくとも10秒間、界面活性剤および分散剤と混合する、上記67~75のいずれかに記載の方法。
78. グルコースに富む糖類ストリームを酵素除去処理に供して、グルコースに富み酵素の少ない糖類ストリームおよび酵素再利用ストリームを得るステップを更に含む、上記67~77のいずれかに記載の方法。
79. グルコースに富む糖類ストリームが、約12%超のグルコース、約14%超のグルコース、約16%超のグルコースまたは約18%超のグルコースを含有する、上記67~78のいずれかに記載の方法。
80. グルコースの収率が、約70%超、約80%超、約85%超、約90%超または約95%超である、上記67~75のいずれかに記載の方法。
81. (a)1種以上のセルラーゼ酵素;
(b)界面活性剤または界面活性剤の混合物;および
(c)500~10,000の分子量を有するポリアスパラギン酸
を含む、酵素的加水分解混合物。
82. 1種以上のセルラーゼ酵素が、1,4-β-D-グリコシド結合を単糖類に加水分解する、上記81に記載の酵素的加水分解混合物。
83. 1種以上のセルラーゼ酵素が、セロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼおよびβ-グルコシダーゼ活性の1つ以上を有する酵素を含む、上記81または82に記載の酵素的加水分解混合物。
84. ポリアスパラギン酸が1000~5000の分子量を有する、上記81~83のいずれかに記載の酵素的加水分解混合物。
85. 界面活性剤が非イオン界面活性剤、任意選択でTween(商標)などのポリソルベート界面活性剤である、上記81~84のいずれかに記載の方法。
86. 界面活性剤のポリアスパラギン酸に対する比率が、0.1:1~10:1、任意選択で0.5:1~2:1である、上記81~85のいずれかに記載の酵素的加水分解混合物。
87. 上記18~80のいずれかに記載の方法によって生成されたグルコースに富む糖類ストリーム。
88. 前記糖類ストリームが、12%超のグルコース、14%超のグルコース、16%超のグルコースまたは18%超のグルコースを含有する、上記87に記載のグルコースに富む糖類ストリーム。
89. 前記糖類ストリームが、ポリアスパラギン酸を含有する、上記87または88に記載のグルコースに富む糖類ストリーム。
90. ポリアスパラギン酸が、1 ppb~10000 ppmの濃度で存在する、上記87~89のいずれかに記載のグルコースに富む糖類ストリーム。
91. グルコースに富む糖類ストリームが非グルコース糖類を含有する、上記87~89のいずれかに記載のグルコースに富む糖類ストリーム。
92. 非グルコース糖類が、キシロース、キシロオリゴ糖またはキシランの1種以上である、上記91に記載のグルコースに富む糖類ストリーム。
93. 乾燥物質組成が、約95%のグルコースおよび約5%の非グルコース糖類を含む、上記91または92に記載のグルコースに富む糖類ストリーム。
94. 約95%のグルコースおよび約5%の非グルコース糖類を含有するグルコースシロップであって、非グルコース糖類が、キシロース、キシロオリゴ糖およびキシランの1種以上である、グルコースシロップ。
95. 約95%のフルクトースおよび約5%の非フルクトース糖類を含有するフルクトースシロップであって、非フルクトース糖類が、キシロース、キシロオリゴ糖およびキシランの1種以上である、フルクトースシロップ。
96. 上記93に記載のグルコースに富む糖類ストリームのグルコース異性化によって調製される、上記95に記載のフルクトースシロップ。