(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】クーラントチャネルを含む、金属切削用の旋削ツール
(51)【国際特許分類】
B23B 27/10 20060101AFI20241118BHJP
B23B 27/00 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
B23B27/10
B23B27/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023196442
(22)【出願日】2023-11-20
(62)【分割の表示】P 2020546954の分割
【原出願日】2019-02-28
【審査請求日】2023-12-18
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520333435
【氏名又は名称】エービー サンドビック コロマント
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レフ, ロニー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン, アダム
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクブラド, クリステル
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-017401(JP,U)
【文献】特開2014-046446(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03153261(EP,A1)
【文献】国際公開第2015/056496(WO,A1)
【文献】特開2011-005618(JP,A)
【文献】特開昭60-127904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/10、29/12、51/06
B23C 5/28
B23Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールボディ(2)と、旋削インサート(3)と、を含む旋削ツール(1)であって、
前記旋削ツール(1)は、インサートシート(4)を含み、前記インサートシート(4)には、前記旋削インサート(3)が載置され、
縦方向軸(A1)が、後端(16)から前端(17)まで伸長し、
前記インサートシート(4)は、底面(5)と、側面(6)と、を含み、
前記側面(6)は、第1の面(13)と、第2の面(14)と、を含み、
前記第1及び第2の面(13、14)は、角度(β)を互いに対して形成し、
前記旋削インサート(3)は、上面(7)と、反対側の底面(8)と、前記上面及び前記底面(7、8)を接続する側面(9)と、を含み、
前記旋削インサート(3)の前記底面(8)は、前記インサートシート(4)の前記底面(5)と接触し、
前記第1の面(13)は、接触面(19)を含み、
前記接触面(19)は、前記旋削インサート(3)の前記側面(9)の一部位と接触し、
前記ツールボディ(2)は、クーラントチャネル(10)を含み、
前記クーラントチャネル(10)は、クーラントチャネル入口(26)と、クーラントチャネル出口(11)と、の間を伸長し、
前記クーラントチャネル出口(11)は、前記旋削インサート(3)の前記側面(9)と、前記インサートシート(4)の前記側面(6)の前記第1の面(13)と、の間のボイド(24)に連通し、
前記クーラントチャネル(10)及び前記クーラントチャネル出口(11)は、前記クーラントチャネル出口(11)から出るクーラントストリームを、前記後端(16)から離れ、前記インサートシート(4)の前記底面(5)から離れる方向へ向けるよう配置され、
前記クーラントチャネル(10)及び前記クーラントチャネル出口(11)は、前記クーラントストリームを、前記旋削インサート(3)の前記側面(9)へ向けられるようにし、前記クーラントストリームが、前記インサートシート(4)の前記側面(6)の前記第1の面(13)へそれるようにする、
旋削ツール(1)。
【請求項2】
前記クーラントチャネル出口(11)は、部分的に、又は、完全に、前記第1の面(13)に形成されている、請求項1に記載の旋削ツール(1)。
【請求項3】
前記クーラントチャネル出口(11)は、前記旋削インサート(3)の前記側面(9)から、0.1から2.0mmである距離分だけ離れている、請求項1又は2に記載の旋削ツール(1)。
【請求項4】
前記インサートシート(4)の前記側面(6)は、第3の面(15)を含み、
前記第1の面(13)は、前記第3の面(15)に対向している、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の旋削ツール(1)。
【請求項5】
前記接触面(19)から前記旋削インサート(3)の前記上面(7)までの距離は、前記接触面(19)から前記旋削インサート(3)の前記底面(8)までの距離より短い、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の旋削ツール(1)。
【請求項6】
前記接触面(19)は、前記ボイド(24)に隣り合う、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の旋削ツール(1)。
【請求項7】
前記クーラントチャネル出口(11)から前記旋削インサート(3)の前記底面(8)までの距離は、前記クーラントチャネル出口(11)から前記旋削インサート(3)の前記上面(7)までの距離より短い、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の旋削ツール(1)。
【請求項8】
前記インサートシート(4)の前記側面(6)は、第3の面(15)を含み、
前記縦方向軸(A1)から、前記第1の面(13)までの距離は、前記縦方向軸(A1)から、前記第2及び第3の面(14、15)のそれぞれまでの距離より長く、
前記クーラントチャネル出口(11)は、前記第1の面(13)に形成されている、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の旋削ツール(1)。
【請求項9】
前記旋削ツール(1)は、シム(12)を含み、
前記インサートシート(4)の前記底面(5)は、前記シム(12)の上面により画定される、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の旋削ツール(1)。
【請求項10】
前記旋削インサート(3)は、その中心軸(A2)を中心に、対称、又は、実質的に対称に配置されており、
前記中心軸(A2)は、前記上面及び前記底面(7、8)に交差し、
前記縦方向軸(A1)から前記インサートシート(4)の前記第1の面(13)までの距離は、前記縦方向軸(A1)から前記旋削インサート(3)の前記中心軸(A2)までの距離より長く、
前記インサートシート(4)の前記第1の面(13)は、前記旋削インサート(3)の前記中心軸(A2)に対向している、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の旋削ツール(1)。
【請求項11】
前記ツールボディ(2)は、その幅が、前記後端(16)から離れる方向へ狭くなっているように、上面図において、テーパ状となっている部位(22)を含み、
前記部位の境界面は、前記インサートシート(4)の前記第1の面(13)である、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の旋削ツール(1)。
【請求項12】
前記旋削インサート(3)の前記上面(7)は、突起(23)を含み、前記突起は、前記旋削インサート(3)の前記側面(9)から離れており、前記旋削インサート(3)の前記底面(8)から前記突起(23)までの距離は、前記旋削インサート(3)の前記底面(8)から前記旋削インサート(3)の前記上面(7)と前記側面(9)との間の交差部までの距離より長い、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の旋削ツール(1)。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の旋削ツール(1)を提供することと、
金属ワークピース(20)を提供することと、
前記金属ワークピース(20)を、その回転軸(R1)を中心に回すことと、
前記旋削ツール(1)の縦方向軸(A1)を、前記金属ワークピース(20)の前記回転軸(R1)に鉛直に設定することと、
クーラントをクーラントチャネル(10)に供給し、クーラントストリームが、クーラントチャネル出口(11)から旋削インサート(3)の側面(9)へ向けられるようにし、前記クーラントストリームが、インサートシート(4)の第1の面(13)へそれるようにすることと、
前記旋削ツール(1)を、前記回転軸(R1)に平行、又は、実質的に平行な方向へ動かし、加工された表面(21)が、前記旋削インサート(3)の一部位により形成され、前記旋削ツール(1)の前記縦方向軸(A1)が、形成された、前記加工された表面(21)の前にあるようにすることと、
を含む、旋削方法。
【請求項14】
前記旋削インサート(3)の切り込み角(α)を、少なくとも3°であるが、30°を超えないよう設定することをさらに含む、請求項13に記載の旋削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属切削の技術分野に関する。より具体的には、本発明は、コンピュータ数値制御(computer numerical control又はCNC)機械などの機械での金属切削のために使用される旋削ツールの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、請求項1のプリアンブルに係る旋削ツールに言及する。換言すると、本発明は、ツールボディと、旋削インサートと、を含む旋削ツールに関する。旋削ツールは、インサートシートを含む。インサートシートには、旋削インサートが載置される。縦方向軸が、後端から前端まで伸長する。インサートシートは、底面と、側面と、を含む、側面は、第1の面と、第2の面と、を含む。第1及び第2の面は、角度を互いに対して形成する。旋削インサートは、上面と、反対側の底面と、上面及び底面を接続する側面と、を含む。旋削インサートの底面は、インサートシートの底面と接触する。旋削インサートの側面の一部位は、インサートシートの側面と接触する。ツールボディは、クーラントチャネルを含む。クーラントチャネルは、クーラントチャネル入口とクーラントチャネル出口との間を伸長する。
【0003】
そのような旋削ツールは、EP3153261A1から知られる。ここでは、旋削ツールは、ツールボディに形成されたインサートシートに載置された旋削インサートを含む。クーラントチャネルは、
図8に示すように、インサートシートから離れている、旋削インサートの下のクーラントチャネル出口まで提供されてよい。当該旋削ツールは、
図2に示すように、縦方向の旋削に好適に使用され、したがって、加工された表面を形成する。
【0004】
上記の旋削ツール及び加工方法は、顕著にポジティブな利益を提供することがわかっているが、発明者達は、改善された旋削ツールの必要性があることを見いだした。特に、発明者達は、長時間、特に、長時間の切削中の、300mmを超える長さを有するシャフトなどの、縦方向の旋削に使用できる旋削ツールの必要性があることを見いだした。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、長時間、特に、長時間の切削中の縦方向の旋削に使用できる、改善された旋削ツールを提供することである。
【0006】
本目的は、はじめに画定された旋削ツールと共に達成される。これは、クーラントチャネル出口が、旋削インサート(3)の側面と、インサートシートの側面の第1の面と、の間のボイドに連通することを特徴とする。
【0007】
そのような旋削ツールにより、発明者達は、インサートシートの塑性変形のリスクが減り、したがって、旋削ツール、特にツールボディを使用できる時間が延びることを見いだした。
【0008】
そのような旋削ツールにより、温度が、インサートシートのもの、特に、接触面の温度となる。したがって、ツールボディが、ある材料であって、その材料の降伏強度が、温度の上昇と共に下がる材料である場合に、ツールボディの変形のリスクが減る。
【0009】
旋削ツールは、回っている金属ワークピースの縦方向の旋削、つまり、送り方向が、金属ワークピースの回転軸に平行な旋削に適している。当該旋削ツールは、好ましくは、回っている金属ワークピースの回転軸に鉛直し、それから離れ、縦方向軸が、当該回転軸に鉛直する方向での旋削にも適している。換言すると、旋削ツールは、ノーズ切削エッジに隣り合う第1の切削エッジを使用する縦方向の旋削に適しており、好ましくは、(アウトフェイシング)加工される金属ワークピースの回転軸に鉛直し、それから離れる方向での、ノーズ切削エッジに隣り合う第2の切削エッジを使用する旋削に適している。ここでは、ノーズ切削エッジは、第1及び第2の切削エッジの間にあり、これらを接続する。旋削ツールの縦方向軸は、金属ワークピースの回転軸に鉛直する。
【0010】
旋削ツールは、好ましくは、スチール製のツールボディと、好ましくは、焼結炭化物、サーメット、又は立方晶窒化ホウ素などの耐摩耗材料製の旋削インサートと、を含む。旋削ツールは、金属ワークピースの加工に適している。
【0011】
旋削ツールは、インサートシートを含む。これは、インサートポケットとしても知られる。ここでは、旋削インサートは、スクリュ、又は、クランプ、又は、レバーなどを用いて、取り外し可能に載置又はクランプされる。
【0012】
旋削ツールは、好ましくは、正確に1つのインサートシートを含む。
【0013】
旋削ツールの後端は、接続部であり、これは、CNC旋盤などの加工ツールの加工インターフェースへの接続に適している。後端は、テーパ状の多角形を有してよく、フランジを含んでよい。後端は、断面図において、正方形状であってよい。
【0014】
縦方向軸は、後端から前端へ向けて伸長する。縦方向軸は、後端の、つまり、接続部の幾何学的中心軸である。
【0015】
縦方向軸から、旋削の遠位部までの距離は、縦方向軸から、ツールボディの遠位部までの距離より長い。そのような旋削ツールにより、アウトフェイシングが可能である。
【0016】
インサートシートは、前端へ向けて開いている。
【0017】
インサートシートは、底面と、側面と、を含む。底面の少なくとも一部位と、側面の少なくとも一部位と、のそれぞれは、旋削インサートと接触するための接触面又は支持面である。インサートシートの底面は、ツールボディの一部位であってよい。代替的に、底面は、シム又はシムプレートの上面の形態であってよい。そのようなシム又はシムプレートは、好ましくは、焼結炭化物製である。
【0018】
側面は、第1の面と、第2の面と、を含む。第1及び第2の面は、角度を互いに対して形成する。当該角度は、好ましくは、50°から160°、さらにより好ましくは、100°から150°である。第1及び第2の面のそれぞれは、好ましくは、接触面又は支持面を含む。側面は、好ましくは、ツールボディの一部である。
【0019】
旋削インサートは、上面と、反対側の底面と、上面及び底面を接続する側面と、を含む。上面は、すくい面を含む。上面は、好ましくは、1つ又はそれ以上の突起又は凹みの形態の切り屑ブレイキング手段を、好ましくは含む。側面は、逃げ面を含む。上面及び側面の間の交差部は、切削エッジを形成する。旋削インサートの底面は、平らであってもよく、又は、平らでなくともよく、この底面は、インサートシートの底面と接触する。
【0020】
旋削インサートの上面は、上面図において、好ましくは、120°対称、又は、180°対称である。
【0021】
第1の面は、接触面を含む。当該接触面は、旋削インサートの側面の一部位と接触する。換言すると、旋削インサートの側面は、少なくとも1つ、好ましくは2つの支持面を含む。好ましくは、旋削インサートの側面は、第2の面の一部位と接触する。
【0022】
旋削インサートの側面は、上面から底面まで、途切れることなくつながっている。換言すると、旋削インサートの側面は連続する面であり、つまり、いずれの貫通孔がない。
【0023】
ツールボディは、ツールボディに形成されたクーラントチャネルを含む。当該クーラントチャネルは、したがって、内部クーラントチャネルである。
【0024】
クーラントチャネルは、好ましくは、後端に連通するクーラントチャネル入口と、インサートシートの第1の面に形成されたクーラントチャネル出口と、の間を伸長する。
【0025】
クーラントチャネル出口は、好ましくは、断面図において、円形、又は、実質的に円形であり、好ましくは、0.5から3mmの直径を有する。
【0026】
クーラントチャネル出口は、好ましくは、旋削インサートの側面の反対側、又は、実質的に反対側に配置されている。
【0027】
クーラントチャネル出口は、旋削インサートの側面と、インサートシートの第1の面と、の間のボイド、又は、キャビティ、又は、ギャップに連通する。換言すると、第1の面の一部位と、第1の面に対向する、旋削インサートの側面の一部位と、の間には、ギャップがある。当該ボイドは、したがって、旋削インサートの側面と、インサートシートの側面の第1の面と、の間に配置されている。
【0028】
クーラントチャネル出口は、クーラントストリームを、旋削インサートの側面へ向け、当該クーラントストリームが、インサートシートの第1の面へそれるよう配置されている。換言すると、第1の面に対向する、旋削インサートの側面は、クーラントストリームを、第1の面へそらし、当該クーラントストリームがクーラントチャネル出口から出るよう配置されている。
【0029】
当該ボイドは、出口を含む。当該ボイドは、好ましくは、前端に連通する。換言すると、当該ボイドは、好ましくは、当該クーラントストリームの少なくとも一部が、ボイドを、後端から離れる方向へ出るよう開いている。
【0030】
1つの実施形態によると、クーラントチャネル出口は、第1の面に、部分的に、又は、完全に形成されている。
【0031】
そのような切削ツールにより、発明者達は、ツールボディの変形のリスクがさらに減ることを見いだした。
【0032】
1つの実施形態によると、チャネル出口は、旋削インサートの側面から、0.1から2.0mmである距離分だけ離れている。
【0033】
そのような切削ツールにより、発明者達は、ツールボディの変形のリスクがさらに減ることを見いだした。
【0034】
1つの実施形態によると、インサートシートの側面は、第3の面を含み、第1の面が、第3の面に対向している。
【0035】
そのような切削ツールにより、金属ワークピースの回転軸に鉛直し、それから離れる旋削における性能が改善される。なぜなら、第3の面が、そのような加工方向のための接触面を含み得るからである。
【0036】
第1の面は、上面図において、好ましくは、第3の面に平行、又は、実質的に平行である。
【0037】
1つの実施形態によると、接触面から、旋削インサートの上面までの距離は、接触面から、旋削インサートの底面までの距離より短い。
【0038】
換言すると、旋削インサートの上面までの接触面は、接触面から、旋削インサートの底面までの距離より短い。
【0039】
1つの実施形態によると、接触面は、ボイドに隣り合う。
【0040】
そのような切削ツールにより、接触面の摩耗をさらに減らすことができる。
【0041】
1つの実施形態によると、クーラントチャネル出口から、旋削インサートの底面までの距離は、クーラントチャネル出口から、旋削インサートの上面までの距離より短い。
【0042】
好ましくは、クーラントチャネル出口は、旋削インサートの底面を含む平面と交差する。
【0043】
1つの実施形態によると、縦方向軸から、第1の面までの距離は、縦方向軸から、第2及び第3の面のそれぞれまでの距離より長く、クーラントチャネル出口は、第1の面に形成されている。
【0044】
1つの実施形態によると、クーラントチャネル出口は、クーラントストリームを、後端から離れ、インサートシートの底面から離れる方向へ向けるよう配置されている。
【0045】
そのような旋削ツールにより、旋削インサートの有効なノーズ部の温度が下がり、したがって、旋削ツールを使用できる時間が延びる。
【0046】
換言すると、クーラントチャネル出口は、クーラントストリームを、前方方向及び上方方向へ向けるよう配置されており、旋削インサートの上面は、旋削インサートの底面の上にある。
【0047】
1つの実施形態によると、旋削ツールは、シムを含み、インサートシートの底面は、シムの上面により画定される。
【0048】
旋削ツールは、したがって、シム又はシッププレートを含む。当該シムは、旋削インサートの底面と、ツールボディと、の間に配置されている。シムの底面は、ツールボディと接触する。
【0049】
旋削インサート及びシムは双方とも、ツールボディのキャビティ又は切り欠き内に配置されている。
【0050】
シムは、好ましくは、焼結炭化物製である。
【0051】
1つの実施形態によると、旋削インサートは、その中心軸を中心に、対称、又は、実質的に対称に配置されており、当該中心軸は、上面及び底面と交差し、縦方向軸から、インサートシートの第1の面までの距離は、縦方向軸から、旋削インサートの中心軸までの距離より長く、インサートシートの第1の面は、旋削インサートの中心軸に対向している。
【0052】
旋削インサートは、当該中心軸を中心に対称に配置されおり、旋削インサートの上面が、上面図において、好ましくは、120°対称、又は、180°対称となるようになっている。
【0053】
好ましくは、上面図において、縦方向軸から、クーラントチャネル出口までの距離は、縦方向軸から、旋削インサートの中心軸までの距離より長い。
【0054】
1つの実施形態によると、ツールボディは、一部位を含み、その部位は、上面図において、その幅が、後端から離れる方向へ狭くなっているようにテーパ状となっており、当該部位の境界面は、インサートシートの第1の面である。
【0055】
当該部位は、したがって、インサートシートの第1の面により画定された境界面により限定される。当該部位は、インサートシートの第1の面に向かい合う第2の境界面により限定される。縦方向軸から、インサートシートの第1の面までの距離は、縦方向軸から、当該第2の境界面までの距離より短い。
【0056】
加工中、当該第2の境界面は、好ましくは、加工される金属ワークピースの回転軸に鉛直、又は、実質的に鉛直する。
【0057】
1つの実施形態によると、旋削インサートの上面は、突起を含み、この突起は、旋削インサートの側面から離れており、旋削インサートの底面から、突起までの距離は、旋削インサートの底面から、旋削インサートの上面と側面との間の交差部までの距離より長い。
【0058】
突起は、切り屑ブレーカ壁面を含む。
【0059】
1つの実施形態によると、旋削方法は、上記の旋削ツールのいずれかを提供することと、金属ワークピースを提供することと、金属ワークピースを、その回転軸を中心に回すことと、旋削ツールの縦方向軸を、金属ワークピースの回転軸に鉛直に設定することと、クーラントを、クーラントチャネルに供給し、クーラントストリームが、クーラントチャネル出口から、旋削インサートの側面へ向けられるようにし、当該クーラントストリームが、インサートシートの第1の面へそれるようにすることと、旋削ツールを、回転軸に平行、又は、実質的に平行な方向へ動かし、加工された表面が、旋削インサートの一部位により形成され、旋削ツールの縦方向軸が、形成された加工された表面の前にあるようにすることと、を含む。
【0060】
旋削ツールを、回転軸に平行、又は、実質的に平行な方向へ動かすことは、一般的に、送りとして知られ、インサートシートの第1の面が、送り方向へ対向しているようにする。旋削ツールを、回転軸に平行、又は、実質的に平行な方向へ動かすことは、旋削ツールの縦方向軸が、旋削インサートの有効なノーズ切削エッジの前にあるようにする。
【0061】
加工された表面は、金属切削により形成される。切削は、好ましくは、連続的なものである。切削深さは、好ましくは、0.5から10mm、さらにより好ましくは、1から3mmである。送り速度は、好ましくは、0.6から1.2mm/回転である。切削速度は、好ましくは、100から500m/minである。切削の長さは、好ましくは、200mmを超え、例えば、300mm及び1000mmの間である。クーラント圧は、好ましくは、5バールを超える。
【0062】
1つの実施形態によると、旋削方法は、旋削インサート(3)の切り込み角(α)を、少なくとも3°であるが、30°を超えないよう設定することをさらに含む。
【0063】
本発明の様々な実施形態、及び、添付の図面を参照して、本発明を、以下にさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る旋削ツールを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2の切削ツールの、旋削インサートのない斜視図である。
【
図5】
図5は、隠線に示すクーラントチャネル及び他の特徴のある、
図1に示すツールボディの側面図である。
【
図8】
図8は、隠線に示すクーラントチャネル及び他の特徴のある、
図1に示す切削ツールの上面図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態に係る切削ツールを含む旋削方法を示す上面図である。
【0065】
すべての旋削ツールの図は、縮尺して描かれている。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1から
図11を参照する。これらは、ツールボディ2と、旋削インサート3と、シム12と、を含む、第1の実施形態に係る旋削ツール1を示す。旋削インサート3は、インサートシート4に載置される。インサートシート4の底面5は、シム12の上面により画定される。インサートシート4は、ツールボディ2により形成された側面6をさらに含む。
図4に最良に見られるように、側面6は、第1の面13と、第2の面14と、第3の面15(
図4では隠れている)と、を含む。第1の面13は、第3の面15に対向しており、上面図において、
図8に見られるように、第1の面13は、第3の面15に平行している。
図8にさらに見られるように、第1及び第2の面は、125°の角度βを互いに対して形成する。
【0067】
図6から
図8に見られるように、縦方向軸A1は、加工ツールへの接続に適した接続部を含む後端16から、旋削ツール1の前端17まで伸長する。縦方向軸A1は、接続部の幾何学的中心軸である。インサートシート4は、前端17へ向けて開いている。
図9及び
図10は、
図8のB-B線及びC-C線のそれぞれに沿う断面図を示す。
【0068】
例えば、
図1に見られるように、旋削インサート3は、上面7と、反対側の底面8と、上面及び底面7及び8を接続する側面9と、を含む。旋削インサート3の側面9は、上面7から底面8まで、途切れることなくつながっている。したがって、当該側面9へ向けられたクーラントストリームは、当該側面9から離れ、第1の面13へそれる。
【0069】
上面及び側面7及び9の間の交差部は、ノーズ切削エッジ25を含む切削エッジを形成する。例えば、
図11に見られるように、旋削インサート3の底面8は、インサートシート4の底面5と接触し、インサートシート4の底面5は、シム12の上面により画定される。
図11をさらに参照すると、第1の面13は、旋削インサート3の側面9の一部位と接触する接触面19を含む。接触面19から、旋削インサート3の上面7までの距離は、接触面19から、旋削インサート3の底面8までの距離より短い。
【0070】
第2の面14は、旋削インサート3の側面9と接触する接触面を含む。
【0071】
図5及び
図8に見られるように、クーラントチャネル10が、ツールボディ2内に形成されており、これは、クーラントフルードを、後端16に形成されたクーラントチャネル入口26から、クーラントチャネル出口11まで届ける又は運ぶことに適している。クーラントチャネル出口11は、第1の面13に形成されている。
【0072】
クーラントチャネル10は、複数の、接続されたクーラントチャネルセクションを含む。クーラントチャネル出口11は、一定の直径の円形断面を有する、真っ直ぐなクーラントチャネルセクションの終端である。
【0073】
例えば、
図4に見ることができるように、クーラントチャネル出口11は、インサートシート4に連通する。
図11に見られるように、クーラントチャネル出口11は、ボイド24に連通しており、当該ボイド24は、旋削インサート3の側面9と、インサートシート4の側面6の第1の面13と、の間に形成されている。ボイド24及びクーラントチャネル出口11は、接触面19の下にあり、旋削インサート3の上面及び底面7及び8は、上下をそれぞれ画定する。ボイド24は、接触面19まで伸長する。
【0074】
例えば、
図4に見られるように、ツールボディ2は、その幅が、後端16から離れる方向へ狭くなっているように、
図8のように、上面図において、テーパ状となっている部位22を含む。当該部位22の境界面は、インサートシート4の第1の面13である。当該部位22は、インサートシート4の第1の面13に向かい合う第2の境界面により限定される。
【0075】
ここで、
図12に注目する。これは、旋削方法を描く。第2の実施形態に係る旋削ツール1が提供される。旋削ツール1は、ツールボディ2と、
図13に詳細に示す旋削インサート3と、を含む。第1の実施形態に係る旋削ツールと、第2の実施形態に係る旋削ツールと、の間の主な違いは、第2の実施形態に係る旋削ツール1について、後端が、断面図において、正方形又は矩形である接続部を含むことである。
【0076】
金属ワークピース20は、その回転軸R1を中心に回っている。旋削ツール1の縦方向軸A1は、金属ワークピース20の回転軸R1に鉛直する。クーラントフルードが、クーラントチャネルへ、クーラントチャネル出口を経由して供給され、クーラントストリームが、クーラントチャネル出口から、旋削インサートの側面へ向けられるようになっており、当該クーラントストリームが、インサートシートの第1の面へそれるようになっている。
【0077】
旋削ツールは、切削をはじめるよう設定される。旋削ツール1は、回転軸R1に平行な方向へ、
図12の右側へ向けて動かされ、旋削ツール1の縦方向軸A1が、加工された表面21を形成する、旋削インサート3のノーズ切削エッジ25の前にあるようになる。
【0078】
縦方向軸A1から、第1の面13までの距離は、縦方向軸A1から、第2及び第3の面14及び15のそれぞれまでの距離より長い。旋削方法は、旋削インサート3の切り込み角αを、25°前後に設定することを含む。
【0079】
ここで、
図13に注目する。第1の実施形態に係る旋削ツールに見られる旋削インサートと実質的に同様の旋削インサート3は、その中心軸A2を中心に、180°対称である。当該中心軸A2は、上面及び底面7及び8と交差し、クランピングスクリュのための孔と同心円をなす。旋削インサート3の上面7は、突起23を含む。当該突起23は、旋削インサート3の側面9から離れており、切り屑ブレーカ壁を含む。