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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】両面太陽電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0216 20140101AFI20241118BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20241118BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20241118BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20241118BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20241118BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20241118BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
H01L31/04 240
H01L31/04 420
H01L21/90 M
H01L21/316 M
H01L21/318 M
H01L21/31 C
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023513415
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 CN2021088063
(87)【国際公開番号】W WO2022205523
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】202110334916.0
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517366220
【氏名又は名称】横店集団東磁股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】任勇
(72)【発明者】
【氏名】何悦
(72)【発明者】
【氏名】任海亮
(72)【発明者】
【氏名】郭▲帥▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼磊
(72)【発明者】
【氏名】周▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼徳爽
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210516735(CN,U)
【文献】特表2020-506529(JP,A)
【文献】特開2019-129274(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109216473(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109004038(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0284833(US,A1)
【文献】特許第6793274(JP,B1)
【文献】特開2013-161847(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109087956(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/078
H01L 31/18-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PN接合を有するシリコンウェハと、
前記シリコンウェハのN型層側に位置して前記シリコンウェハから離れる方向に沿って順次積層された表面の第1ケイ素酸化物層、表面の第2ケイ素酸化物層、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層、表面の第2窒素含有ケイ素化合物層および表面の第3ケイ素酸化物層と、
前記シリコンウェハのP型層側に位置して前記シリコンウェハから離れる方向に沿って順次積層されたパッシベーション層、裏面のケイ素酸化物層、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層および裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層とを備え、
前記表面の第2窒素含有ケイ素化合物層は、前記シリコンウェハから離れる方向に沿って順次積層されたSiNx2/SiNx3/SiO積層構造であり、前記裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層は、前記シリコンウェハから離れる方向に沿って順次積層されたSiNx2/SiNx3積層構造であり、x2は0.75~1.34で、x3は0.75~1.34で、xは1~2で、yは1~2である、両面太陽電池。
【請求項2】
前記表面の第1ケイ素酸化物層、表面の第2ケイ素酸化物層、表面の第3ケイ素酸化物層および裏面のケイ素酸化物層は、いずれもSiO層である、請求項1に記載の両面太陽電池。
【請求項3】
前記表面の第1窒素含有ケイ素化合物層および裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層はいずれもSiNx1層であり、x1は独立して0.75~1.34である、請求項1または2に記載の両面太陽電池。
【請求項4】
前記パッシベーション層はアルミナ層である、請求項1~のいずれか1項に記載の両面太陽電池。
【請求項5】
前記両面太陽電池は銀電極を更に備え、
前記シリコンウェハのN型層側の前記銀電極は、前記表面の第1ケイ素酸化物層、表面の第2ケイ素酸化物層、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層、表面の第2窒素含有ケイ素化合物層および表面の第3ケイ素酸化物層を貫通し、
前記シリコンウェハのP型層側の前記銀電極は、前記裏面のケイ素酸化物層、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層および裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を貫通する、請求項1~のいずれか1項に記載の両面太陽電池。
【請求項6】
前記表面の第2ケイ素酸化物層の屈折率は1.4以上であり、
前記表面の第2ケイ素酸化物層の厚さは5nm以上であり、
前記表面の第1窒素含有ケイ素化合物層の屈折率は2.0以上であり、
前記表面の第1窒素含有ケイ素化合物層の厚さは15nm以上であり、
前記表面の第3ケイ素酸化物層の屈折率は1.4以上であり、
前記表面の第3ケイ素酸化物層の厚さは5nm以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の両面太陽電池。
【請求項7】
前記パッシベーション層の厚さは10nm以上であり、
前記裏面のケイ素酸化物層の屈折率は1.4以上であり、
前記裏面のケイ素酸化物層の厚さは5nm以上であり、
前記裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層の屈折率は2.0以上であり、
前記裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層の厚さは10nm以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の両面太陽電池。
【請求項8】
前記PN接合を有するシリコンウェハのN型層側で前記表面の第1ケイ素酸化物層を成長させた後、前記表面の第2ケイ素酸化物層、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層、表面の第2窒素含有ケイ素化合物層および表面の第3ケイ素酸化物層を順次成長させることを含む表面成長と、前記パッシベーション層、裏面のケイ素酸化物層、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層および裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を順次成長させることを含む裏面成長とを行い、前記両面太陽電池を取得するステップを含む、
請求項1~のいずれか1項に記載の両面太陽電池の製造方法。
【請求項9】
前記表面の第2ケイ素酸化物層を成長させる方法はPECVDプラズマ強化化学気相法である、請求項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記表面成長および前記裏面成長は、いずれもプラズマ強化化学気相成長である、請求項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記製造方法は、前記表面成長および前記裏面成長の後に銀電極を製造することを更に含む、請求項10のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記裏面成長は、前記パッシベーション層を成長させる前に、まず、前記PN接合を有して前記表面の第1ケイ素酸化物層を成長させたシリコンウェハをプラズマ強化化学気相成長炉に置き、真空引き試験およびリーク検出・圧力保持試験を行い、作動ガスを導入し、前記プラズマ強化化学気相成長炉の温度を310~330℃とし、圧力を1450~1550Paとし、定温定圧で9~11s保持し、
前記作動ガスは笑気を含む、請求項11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記パッシベーション層を成長させる方法は、温度を310~330℃とし、圧力を1450~1550Paとし、作動ガスおよびパッシベーション層原料ガスを導入し、定温定圧で170~190s保持した後、真空引きを45~55s行い、温度を470~490℃とし、圧力を850~950Paとし、作動ガスおよびアンモニアガスを導入し、定温定圧で9~11s保持した後、温度、圧力、作動ガスおよびアンモニアガスの導入量を340~360s保持し、前記パッシベーション層を取得することを含み、
前記作動ガスは笑気を含み、
前記パッシベーション層原料ガスはトリメチルアルミニウムを含む、請求項12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記裏面のケイ素酸化物層を成長させる方法は、温度を470~490℃とし、圧力を1450~1550Paとし、作動ガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で75~85s保持した後、真空引きを290~310s行い、温度を470~490℃とし、圧力を1600~1800Paとし、シリコン原料ガスおよびアンモニアガスを導入し、定温定圧で9~11s保持し、前記裏面のケイ素酸化物層を取得することを含み、
前記作動ガスは笑気を含み、
前記シリコン原料ガスはシランを含む、請求項13のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層を成長させる方法は、温度を470~490℃とし、圧力を1650~1750Paとし、アンモニアガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で235~245s保持し、前記裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層を取得することを含み、
前記シリコン原料ガスはシランを含む、請求項14のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を成長させる方法は、温度を470~490℃とし、圧力を1650~1750Paとし、アンモニアガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で125~135s保持した後、温度を470~490℃とし、圧力を1650~1750Paとし、前記シリコン原料ガスの導入量を低減し、前記アンモニアガスの導入量を増加し、定温定圧で125~135s保持し、前記裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を取得することを含み、
前記シリコン原料ガスはシランを含む、請求項15のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項17】
前記裏面成長は、前記裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を成長させた後、真空引きを行って保護ガスを充填して常圧に戻し、前記両面太陽電池を取り出すことを更に含む、請求項16のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記表面成長は、前記表面の第2ケイ素酸化物層を成長させる前に、まず、前記PN接合を有して前記表面の第1ケイ素酸化物層を成長させたシリコンウェハをプラズマ強化化学気相成長炉に置き、真空引きを行い、リーク検出し、再び真空引きを行い、作動ガスおよびシリコン原料ガスを導入し、前記プラズマ強化化学気相成長炉の温度を490~510℃とし、圧力を195~205Paとし、定温定圧で15~25s保持し、前記作動ガスは笑気を含み、前記シリコン原料ガスはシランを含み、
前記表面の第2ケイ素酸化物層を成長させる方法は、温度を490~510℃とし、圧力を195~205Paとし、作動ガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で75~85s保持した後、真空引きを15~25s行い、温度を490~510℃とし、圧力を225~235Paとし、シリコン原料ガスおよびアンモニアガスを導入し、定温定圧で15~25s保持し、前記表面の第2ケイ素酸化物層を取得することを含み、前記作動ガスは笑気を含み、前記シリコン原料ガスはシランを含み、
前記表面の第1窒素含有ケイ素化合物層を成長させる方法は、温度を490~510℃とし、圧力を225~235Paとし、アンモニアガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で60~70s保持し、前記表面の第1窒素含有ケイ素化合物層を取得することを含み、前記シリコン原料ガスはシランを含み、
前記表面の第2窒素含有ケイ素化合物層を成長させる方法は、温度を490~510℃とし、圧力を225~235Paとし、アンモニアガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で155~165s保持した後、温度を490~510℃とし、圧力を225~235Paとし、前記シリコン原料ガスの導入量を低減し、前記アンモニアガスの導入量を増加し、定温定圧で240~260s保持した後、温度を490~510℃とし、圧力を185~195Paとし、前記シリコン原料ガス、前記アンモニアガスおよび作動ガスを導入し、定温定圧で155~165s保持した後、真空引きを行ってから前記シリコン原料ガスおよび前記作動ガスを導入し、温度を490~510℃とし、圧力を175~185Paとし、定温定圧で6~15s保持し、前記表面の第2窒素含有ケイ素化合物層を取得することを含み、前記シリコン原料ガスはシランを含み、前記作動ガスは笑気を含み、
前記表面の第3ケイ素酸化物層を成長させる方法は、温度を490~510℃とし、圧力を175~185Paとし、作動ガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で175~185s保持することを含み、前記作動ガスは笑気を含み、前記シリコン原料ガスはシランを含み、
前記表面成長は、前記表面の第3ケイ素酸化物層を成長させた後、真空引きを行い、前記プラズマ強化化学気相成長炉の炉管を洗浄し、再び真空引きを行って常圧に戻し、前記両面太陽電池を取り出すことを更に含む、請求項17のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項19】
前記PN接合を有するシリコンウェハのN型層側で前記表面の第1ケイ素酸化物層を成長させた後、前記表面の第2ケイ素酸化物層、前記表面の第1窒素含有ケイ素化合物層、前記表面の第2窒素含有ケイ素化合物層および前記表面の第3ケイ素酸化物層を順次成長させることを含む表面成長と、前記パッシベーション層、前記裏面のケイ素酸化物層、前記裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層および前記裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を順次成長させることを含む裏面成長とを行い、更に銀電極を製造し、前記両面太陽電池を取得するステップを含み、
前記表面成長および前記裏面成長は、いずれもプラズマ強化化学気相成長であり、
前記パッシベーション層を成長させる方法は、温度を310~330℃とし、圧力を1450~1550Paとし、作動ガスおよびパッシベーション層原料ガスを導入し、定温定圧で170~190s保持した後、真空引きを45~55s行い、温度を470~490℃とし、圧力を850~950Paとし、前記作動ガスおよびアンモニアガスを導入し、定温定圧で9~11s保持した後、温度、圧力、作動ガスおよびアンモニアガスの導入量を340~360s保持し、前記パッシベーション層を取得することを含み、
前記裏面のケイ素酸化物層を成長させる方法は、温度を470~490℃とし、圧力を1450~1550Paとし、作動ガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で75~85s保持した後、真空引きを290~310s行い、温度を470~490℃とし、圧力を1600~1800Paとし、前記シリコン原料ガスおよびアンモニアガスを導入し、定温定圧で9~11s保持し、前記裏面のケイ素酸化物層を取得することを含み、
前記裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層を成長させる方法は、温度を470~490℃とし、圧力を1650~1750Paとし、アンモニアガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で235~245s保持し、前記裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層を取得することを含み、
前記裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を成長させる方法は、温度を470~490℃とし、圧力を1650~1750Paとし、アンモニアガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で125~135s保持した後、温度を470~490℃とし、圧力を1650~1750Paとし、前記シリコン原料ガスの導入量を低減し、前記アンモニアガスの導入量を増加し、定温定圧で125~135s保持し、前記裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を取得することを含み、
前記表面の第2ケイ素酸化物層を成長させる方法は、温度を490~510℃とし、圧力を195~205Paとし、作動ガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で75~85s保持した後、真空引きを15~25s行い、温度を490~510℃とし、圧力を225~235Paとし、前記シリコン原料ガスおよびアンモニアガスを導入し、定温定圧で15~25s保持し、前記表面の第2ケイ素酸化物層を取得することを含み、
前記表面の第1窒素含有ケイ素化合物層を成長させる方法は、温度を490~510℃とし、圧力を225~235Paとし、アンモニアガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で60~70s保持し、前記表面の第1窒素含有ケイ素化合物層を取得することを含み、
前記表面の第2窒素含有ケイ素化合物層を成長させる方法は、温度を490~510℃とし、圧力を225~235Paとし、アンモニアガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で155~165s保持した後、温度を490~510℃とし、圧力を225~235Paとし、前記シリコン原料ガスの導入量を低減し、前記アンモニアガスの導入量を増加し、定温定圧で240~260s保持した後、温度を490~510℃とし、圧力を185~195Paとし、前記シリコン原料ガス、前記アンモニアガスおよび作動ガスを導入し、定温定圧で155~165s保持した後、真空引きを行ってから前記シリコン原料ガスおよび前記作動ガスを導入し、温度を490~510℃とし、圧力を175~185Paとし、定温定圧で6~15s保持し、前記表面の第2窒素含有ケイ素化合物層を取得することを含み、
前記表面の第3ケイ素酸化物層を成長させる方法は、温度を490~510℃とし、圧力を175~185Paとし、作動ガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で175~185s保持することを含む、請求項18のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、太陽電池の技術分野に関し、両面太陽電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、良く注目されているモジュールの電圧誘起劣化(Potential Induced Degradation、PIDと略記される)現象による太陽光発電システムの発電量低下の問題は、ますます多く注目されている。該現象は、最初にSunpower社により2005年に発見され、PIDとは、モジュールが長期間にわたって高電圧の作用下にあることで、ガラス、封止材の間に漏れ電流が存在し、モジュール性能が設計基準より低くなることを意味する。2010年に、米国再生可能エネルギー研究所(NREL)およびSolon社の研究により、P型結晶シリコン電池セルで製造されたモジュールでも、負のバイアス下で潜在的なPID現象を有することを見出した。
【0003】
いくつかの太陽光発電所の実際の経験によると、太陽光発電システムのシステム電圧は、結晶シリコン電池モジュールに対して持続的な「電圧誘起劣化」効果を有し、その発生原因は、主に、ガラスにおけるNaイオンが高電圧の影響で電池の表面に移動し、モジュールの電力が急速に低下するからである。近年、PID現象は発電所の品質に影響を及ぼす重要な要素の1つとなり、著しい場合は、1枚のモジュールの電力を50%以上減衰させ、発電所全体の電力出力に影響を及ぼし、発電所のインベスターに大きな損失を与えるため、モジュールのPID現象は、太陽光発電業界でますます重視されている。この2年間、両面発電モジュールは、発電所のインベスターの収益を大きく向上させることができているため、大規模に発展し適用されている。両面モジュールのPID問題は、業界で広く重視されている。
【0004】
PERC両面電池の裏面に位置するパッシベーション膜AlO/Si界面は、高い負電荷密度を有し、良好なフィールドパッシベーション効果を形成する。高温高湿環境で、Naイオンがガラスから析出する。正の電圧の作用で、電池セルが高電位となり、フレームが低電位となり、Naイオンは電池セルから流出し、電池セルの表面に濃化しない。負の電圧で、電池セルが低電位となり、フレームが高電位となり、Naイオンは封止材を貫通して電池セルの表面に到達する。裏面でのNaイオンの濃化により、余分なフィールド効果が形成され、これによりAlOパッシベーション膜における電荷が再分布し、フィールドパッシベーション効果は低下する。結果により、図1に示すように、電池セルの裏面パッシベーション効果が悪化し、モジュールの電力が著しく減衰し、モジュールフレームに近づくほど、電池が受ける電位が大きくなり、Naイオンの移動度が高くなるため、フレームの周囲にある電池セルは、PID減衰の発生確率がより大きくなることが分かった。
【0005】
CN106876490Aでは、高変換効率の抗PIDのN型結晶シリコン両面電池が開示されており、N型シリコン基板の表面に、P+層、酸化ケイ素層、アルミナ層および金属電極を順次形成し、N型シリコン基板の裏面に、N+層、窒化ケイ素層および金属電極を順次形成し、表面の金属化領域の下方に、20nm以上の1層の緻密酸化ケイ素層が存在する。CN110137309Aで開示される技術案は以下のとおりである。(1)酸化層を成長させる条件を明確にする。(2)原子層堆積法を用いて裏面のアルミナメッキ成膜プロセスを行う場合、裏面のアルミナの厚さが2~10nmであることを確保する。(3)両面PERC電池のアルミナメッキ成膜プロセスを行った後、裏面の窒化ケイ素メッキ成膜プロセスを行い、両面PERC電池の裏面の窒化ケイ素メッキ膜の厚さが80~110nmで、屈折率が2.12~2.3であることを確保する。(4)両面PERC電池は、裏面の窒化ケイ素メッキ成膜プロセスを経た後に、表面の窒化ケイ素メッキ成膜プロセス、裏面のレーザグルービングプロセス、スクリーン印刷プロセスを行うと、検出・選別することができ、製造が完了する。CN209119114Uはシリコン基板と、前記シリコン基板の両側の表面にそれぞれ設けられた表面膜および裏面膜とを備える抗PID両面電池を提供し、前記表面膜は、積層して設けられた表面反射防止膜および表面誘電体膜を含み、前記裏面膜は、裏面反射防止膜および裏面誘電体膜を含む。本考案の抗PID両面電池は、表面誘電体膜および裏面誘電体膜によりイオン移動を効果的に阻止し、電圧誘起劣化を低減し、変換効率を向上させることができる。(1)表面誘電体膜および裏面誘電体膜をいずれも酸化ケイ素膜とする。(2)表面誘電体膜および裏面誘電体膜の屈折率がいずれも1.4~1.7である。(3)表面誘電体膜および裏面誘電体膜の厚さをいずれも1~10nmとする。(4)裏面膜はアルミナ膜を更に含み、且つ、前記裏面誘電体膜、アルミナ膜および裏面反射防止膜は、前記シリコン基板から離れる方向に沿って順次積層される。(5)表面反射防止膜、裏面反射防止膜をいずれもSiNx膜またはSiO膜のうちのいずれか1種とする。
【0006】
CN207602585Uは、ガラス、EVA膜、両面電池、EVA膜およびバックシートを備える抗PIDの両面電池モジュールの封止構造を開示しており、該両面電池モジュールの封止構造は、シングルガラス構造およびダブルガラス構造に分けられ、シングルガラス構造は、上から下へ順にガラス、EVA膜、両面電池、EVA膜およびバックシートであり、ダブルガラス構造は、上から下へ順にガラス、EVA膜、両面電池、EVA膜およびガラスであり、バックシートは、高遮水層、遮水層および保護層を備え、上から下へ順に高遮水層、遮水層および保護層である。CN207624714Uは、ガラス、第1封止接着膜、両面電池、第2封止接着膜およびバックシートを備える抗PID両面電池のシングルガラス封止構造を開示しており、ガラス、第1封止接着膜、両面電池、第2封止接着膜およびバックシートは、上から下へ順に接続されており、バックシートは3層構造であり、上から下へ順に二酸化チタンがドープされたポリオレフィン材料、電気絶縁かつ酸素遮断層、および保護層であり、3層構造は上から下へ順に接続されており、第1封止接着膜は3層構造であり、上から下へ順に接着層、バリア層、接着層であり、第2封止接着膜は2層構造であり、上から下へ順に接着層およびバリア層である。CN109087956Aは、新型の両面PERC電池構造およびその製造プロセスを紹介しており、前記電池の表面と裏面のパッシベーション層の構造が対称で、両面電池の反り量を大きく低減し、モジュールの機械的負荷強度を向上させ、積層パッシベーション構造は、電池の抗PID性能を確保する上で、独特の表面パッシベーション層堆積プロセスを採用し、表面および裏面の光学(反射防止効果)と電気(水素パッシベーション効果を向上させる)性能を最適化し、電池の表面変換効率、両面率および抗LID効果の改善および向上を実現し、それとともに、該発明で使用される両面PERC電池プロセスにおいて、表面および裏面のSiOとAlO層は、それぞれ熱酸化およびALDにより同時に形成され、表面および裏面のSiNx/SiN/SiO/SiO積層は、それぞれPECVD堆積により形成され、表面および裏面の堆積順序が調整可能である。
【0007】
しかし、いくつかの抗PIDの方案において、以下のような欠点が存在する。CN106876490Aの記載について、該方案は、まず、N型電池について説明しており、適用範囲に限界性があり、次に、該解決策は、20nm以上の1層の緻密酸化ケイ素層を追加しているだけであり、電位フィールド効果を効果的に阻止することができない。CN110137309Aの記載について、該方案は、両面電池構造について説明しているだけで、表面構造が順にSiN層および酸化ケイ素層であり、裏面構造が順にアルミナ層およびSiN膜層構造であり、このようなプロセス構造の形態においては、裏面に顕著な欠陥が存在し、イオンの濃化または侵入を効果的に阻止することができず、両面PERC電池の抗PIDは失効しやすい。CN209119114Uの記載について、該方案は、シリコン基板に近い誘電体層が酸化ケイ素層であることを明確にし、且つ、屈折率および厚さを明確にしているが、裏面膜層構造は、順に裏面誘電体膜、アルミナ膜および裏面反射防止膜が前記シリコン基板から離れる方向に沿って順次積層されると説明されており、この構造には一部の膜層欠陥が存在し、表面イオンの濃化、発生した電位フィールド効果を効果的に阻止することができない。CN207602585Uの記載について、該考案の方案は、抗PIDの効果を達成するために、モジュール封止側が両面PERC電池をシングルガラスモジュールおよび両面モジュールに封止するために使用される封止材の設計および説明を提供しているだけで、両面PERC電池側の対応する改善については説明していない。CN207624714Uの記載について、該考案の方案は、両面PERC電池がシングルガラスモジュールの封止で使用するモジュール封止材の抗PIDに対する改善を重点として説明しており、両面PERC電池側の対応する改善については説明していない。CN109087956Aの記載について、該発明特許は、両面のPERC電池構造を重点として説明して、該両面電池構造について膜層を詳細に説明している。該発明特許は、まず、PIDの問題について研究および保護説明をしておらず、データのサポートや表現もなく、次に、該両面PERC電池の膜層構造は、本願と一部が類似するが、顕著な膜層構造の欠陥が存在し、主に、該膜層構造における裏面膜層がSiO/AlO/SiN/SiN/SiO/SiO積層構造であり、ここで、裏面のPID失効メカニズムのうちの1つは、裏面膜層に対するNaイオンの侵食であり、これにより、AlOパッシベーション層の失効を招き、一方、SiO膜は非常に有効で、AlOパッシベーション層に対するNaイオンの破壊影響を阻止することができるが、CN109087956Aの方案において、該重要なSiO膜層をSi基板に近い層に置いており、これは、明らかに抗PID膜層構造の設計に合致しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願の目的は、両面太陽電池およびその製造方法を提供することにある。本願に係る両面太陽電池は、特殊な膜層構造の設計を採用し、統合膜層の緻密性および電気的特性を強化し、裏面PID現象の発生を非常に効果的に緩和することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本願は以下の技術案を採用する。
【0010】
態様1において、本願は、PN接合を有するシリコンウェハと、前記シリコンウェハのN型層側に位置して前記シリコンウェハから離れる方向に沿って順次積層された表面の第1ケイ素酸化物層、表面の第2ケイ素酸化物層、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層、表面の第2窒素含有ケイ素化合物層および表面の第3ケイ素酸化物層と、前記シリコンウェハのP型層側に位置して前記シリコンウェハから離れる方向に沿って順次積層されたパッシベーション層、裏面のケイ素酸化物層、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層および裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層とを備える両面太陽電池を提供する。
【0011】
本願に係る両面太陽電池において、表面の第1ケイ素酸化物層は界面パッシベーション層として機能し、表面の第2ケイ素酸化物層は表面バリア層として機能し、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層は、高屈折率でのバリア層および光吸収層として機能し、表面の第2窒素含有ケイ素化合物層は、中間屈折率での光吸収層として機能し、表面の第3ケイ素酸化物層は、低屈折率での光吸収層として機能する。パッシベーション層の作用は、裏界面のパッシベーションを向上させることであり、裏面のケイ素酸化物層の作用は、外部イオンの侵入を阻止することであり、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層は、高屈折率でのバリア層および光吸収層として機能し、裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層は、低屈折率での光吸収層として機能する。裏面のケイ素酸化物層および裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層は、両面PERC電池の裏面PIDを解決するのに最も重要な構造である。研究により、発明者は、モジュールのガラスにおけるNaイオンの析出後の濃化および侵食をどのように阻止するかが非常に重要であり、特に、両面PERC電池の裏面の露出膜層にとって、膜層構造の最適化により統合膜層の緻密性および電気的特性を強化し、裏面PID現象の発生を非常に効果的に緩和することができることを見出した。
【0012】
そのため、本願の膜層構造の最適化により、表面は、Naイオンの侵食を効果的に阻止することができ、裏面は、Naイオンの濃化分極現象および侵食を効果的に緩和することができる。
【0013】
図2に示すように、発明者は、両面PERC電池PID失効モデルの確立および分析により、以下のような問題を見出した。(1)モジュールが負のバイアスにある場合、大量のNa+イオンがモジュールのガラスから移出し、電位フィールドの作用により電池付近へ移動する。(2)一部のNa+イオンは、表面の緻密でない膜層の隙間を介してPN接合領域付近に侵入し、PN接合領域を破壊(PID-shunt)し、電池の発電が失効となる。(3)一部のNa+イオンは、モジュール側の電池と電池との間の隙間を介して電池の裏面に移動し、パッシベーション領域で濃化し、裏面の有害な電位フィールド(PID-polarization)を形成し、裏面の分極現象を引き起こす。
【0014】
以下は、本願の好ましい技術案であるが、本願の技術案を限定するものではなく、以下の好ましい技術案により、本願の技術目的および有益な効果をより良く達成して実現することができる。
【0015】
本願の好ましい技術案として、前記表面の第1ケイ素酸化物層、表面の第2ケイ素酸化物層、表面の第3ケイ素酸化物層および裏面のケイ素酸化物層は、いずれもSiO層である。好ましくは、前記表面の第1ケイ素酸化物層は熱酸化ケイ素層である。好ましくは、前記表面の第2ケイ素酸化物層、表面の第3ケイ素酸化物層および裏面のケイ素酸化物層は、電着酸化ケイ素層である。
【0016】
本願の好ましい技術案として、前記表面の第1窒素含有ケイ素化合物層および裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層はいずれもSiNx1層であり、x1は独立して0.75~1.34で、例えば、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3または1.34等である。
【0017】
好ましくは、前記表面の第2窒素含有ケイ素化合物層および裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層は、独立して前記シリコンウェハから離れる方向に沿って順次積層されたSiNx2/SiNx3積層構造または前記シリコンウェハから離れる方向に沿って順次積層されたSiNx2/SiNx3/SiO積層構造であり、ただし、x2は0.75~1.34で、例えば、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3または1.34等であり、x3は0.75~1.34で、例えば、0.75、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3または1.34等であり、xは1~2で、例えば、1、1.5または2等であり、yは1~2で、例えば、1、1.5または2等であり、x1>x2>x3である。
【0018】
好ましくは、前記表面の第2窒素含有ケイ素化合物層は、前記シリコンウェハから離れる方向に沿って順次積層されたSiNx2/SiNx3/SiO積層構造であり、前記裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層は、前記シリコンウェハから離れる方向に沿って順次積層されたSiNx2/SiNx3積層構造である。
【0019】
好ましくは、前記パッシベーション層はアルミナ層である。
【0020】
好ましくは、前記両面太陽電池は銀電極を更に備える。好ましくは、前記シリコンウェハのN型層側の銀電極は、表面の第1ケイ素酸化物層、表面の第2ケイ素酸化物層、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層、表面の第2窒素含有ケイ素化合物層および表面の第3ケイ素酸化物層を貫通する。好ましくは、前記シリコンウェハのP型層側の銀電極は、裏面のケイ素酸化物層、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層および裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を貫通する。
【0021】
本願の好ましい技術案として、前記表面の第2ケイ素酸化物層の屈折率は1.4以上で、例えば、1.4、1.5、1.6または1.7等である。本願において、表面の第2ケイ素酸化物層の屈折率が低すぎると、該表面の第2ケイ素酸化物層の膜層緻密性が悪くなり、外部イオンに対する膜層の阻止作用に影響を及ぼす。好ましくは、前記表面の第2ケイ素酸化物層の厚さは5nm以上で、例えば、5nm、6nm、7nm、8nm、9nmまたは10nm等である。本願において、表面の第2ケイ素酸化物層の厚さが低すぎると、膜層の緻密性が足りなくなり、外部イオンに対する膜層の阻止作用に影響を及ぼす。
【0022】
好ましくは、前記表面の第1窒素含有ケイ素化合物層の屈折率は2.0以上で、例えば、2.0、2.1、2.2、2.3または2.4等である。本願において、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層の屈折率が低すぎると、膜層の緻密性が足りなくなり、外部侵入イオンに対する膜層の阻止作用に影響を及ぼす。好ましくは、前記表面の第1窒素含有ケイ素化合物層の厚さは15nm以上で、例えば、15nm、16nm、17nm、18nmまたは19nm等である。本願において、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層の厚さが低すぎると、膜層の緻密性が足りなくなり、外部侵入イオンに対する膜層の阻止作用に影響を及ぼす。
【0023】
好ましくは、前記表面の第3ケイ素酸化物層の屈折率は1.4以上で、例えば、1.4、1.5、1.6、1.7または1.8等である。本願において、表面の第3ケイ素酸化物層の屈折率が低すぎると、光吸収のミスマッチを引き起こし、最終的に太陽電池の光電変換効率に影響を及ぼす。好ましくは、前記表面の第3ケイ素酸化物層の厚さは5nm以上で、例えば、5nm、6nm、7nm、8nm、9nmまたは10nm等である。本願において、表面の第3ケイ素酸化物層の厚さが低すぎると、光吸収のミスマッチを引き起こし、最終的に太陽電池の光電変換効率に影響を及ぼす。
【0024】
本願において、表面の第2ケイ素酸化物層、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層および表面の第3ケイ素酸化物層の設計を最適化することにより、Naイオンが表面の緻密でない膜層の隙間を通過してPN接合領域付近に侵入し、PN接合領域を破壊し、最終的に電池の抗PIDを失効させることを効果的に阻止することができる。
【0025】
本願の好ましい技術案として、前記パッシベーション層の厚さは10nm以上で、例えば、10nm、11nm、12nm、13nm、14nmまたは15nm等である。本願において、パッシベーション層の厚さが薄すぎると、パッシベーション効果に影響を及ぼす一方、外部イオンの侵入および濃化に敏感となる。
【0026】
好ましくは、前記裏面のケイ素酸化物層の屈折率は1.4以上で、例えば、1.4、1.5、1.6、1.7または1.8等である。本願において、裏面のケイ素酸化物層の屈折率が低すぎると、該膜層の緻密性が悪くなり、外部イオンに対する膜層の阻止作用に影響を及ぼす。好ましくは、前記裏面のケイ素酸化物層の厚さは5nm以上で、例えば、5nm、6nm、7nm、8nm、9nmまたは10nm等である。裏面のケイ素酸化物層の厚さが低すぎると、該膜層の緻密性が悪くなり、外部イオンに対する膜層の阻止作用に影響を及ぼす。
【0027】
好ましくは、前記裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層の屈折率は2.0以上で、例えば、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4または2.5等である。本願において、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層の屈折率が低すぎると、該膜層の緻密性が悪くなり、外部イオンに対する膜層の阻止作用に影響を及ぼす。好ましくは、前記裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層の厚さは10nm以上で、例えば、10nm、11nm、12nm、13nm、14nmまたは15nm等である。裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層の厚さが低すぎると、該膜層の緻密性が悪くなり、外部イオンに対する膜層の阻止作用に影響を及ぼす。
【0028】
本願は、パッシベーション層、裏面のケイ素酸化物層および裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層の設計を最適化することにより、Naイオンが裏面で濃化する際に発生する電位フィールド効果による分極現象を効果的に抵抗することができる。
【0029】
態様2において、本願は、PN接合を有するシリコンウェハのN型層側で表面の第1ケイ素酸化物層を成長させた後、表面の第2ケイ素酸化物層、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層、表面の第2窒素含有ケイ素化合物層および表面の第3ケイ素酸化物層を順次成長させることを含む表面成長と、パッシベーション層、裏面のケイ素酸化物層、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層および裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を順次成長させることを含む裏面成長とを行い、前記両面太陽電池を取得するステップを含む態様1に記載の両面太陽電池の製造方法を提供する。本願に係る製造方法は、技術が成熟し、プロセスが簡単で、産業化大規模生産に適する。
【0030】
本願の好ましい技術案として、表面の第2ケイ素酸化物層を成長させる方法は熱酸化法である。
【0031】
好ましくは、前記表面成長および裏面成長は、いずれもプラズマ強化化学気相成長(PECVD)である。本願において、PECVD法を採用する利点は以下のとおりである。1.成膜が速く、量産に寄与する。2.ガス流量および化学結合の配合比を柔軟に調整することができる。3.同一の炉管内で多層膜構造を実現することができる。
【0032】
好ましくは、前記製造方法は、表面成長および裏面成長の後に銀電極を製造することを更に含む。
【0033】
本願の好ましい技術案として、裏面成長は、パッシベーション層を成長させる前に、まず、PN接合を有して表面の第1ケイ素酸化物層を成長させたシリコンウェハをプラズマ強化化学気相成長炉に置き、真空引き試験およびリーク検出・圧力保持試験を行い、作動ガスを導入し、反応器の温度を310~330℃とし、例えば、310℃、320℃または330℃等とし、圧力を1450~1550Paとし、例えば、1450Pa、1480Pa、1500Pa、1520Paまたは1550Pa等とし、定温定圧で9~11s保持し、例えば、9s、10sまたは11s等保持する。好ましくは、前記作動ガスは笑気を含む。
【0034】
好ましくは、パッシベーション層を成長させる方法は、温度を310~330℃とし、例えば、310℃、320℃または330℃等とし、圧力を1450~1550Paとし、例えば、1450Pa、1480Pa、1500Pa、1520Paまたは1550Pa等とし、作動ガスおよびパッシベーション層原料ガスを導入し、定温定圧で170~190s保持し、例えば、170s、180sまたは190s等保持した後、真空引きを45~55s行い、例えば、45s、50sまたは55s等行い、温度を470~490℃とし、例えば、470℃、480℃または490℃等とし、圧力を850~950Paとし、例えば、850Pa、900Paまたは950Pa等とし、作動ガスおよびアンモニアガスを導入し、定温定圧で9~11s保持し、例えば、9s、10sまたは11s等保持した後、温度、圧力、作動ガスおよびアンモニアガスの導入量を340~360s保持し、例えば、340s、350sまたは360s等保持し、パッシベーション層を取得することを含む。好ましくは、前記作動ガスは笑気を含む。好ましくは、前記パッシベーション層原料ガスはトリメチルアルミニウム(TMA)を含む。
【0035】
好ましくは、裏面のケイ素酸化物層を成長させる方法は、温度を470~490℃とし、例えば、470℃、480℃または490℃等とし、圧力を1450~1550Paとし、例えば、1450Pa、1500Paまたは1550Pa等とし、作動ガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で75~85s保持し、例えば、75s、80sまたは85s等保持した後、真空引きを290~310s行い、例えば、280s、300sまたは310s等行い、温度を470~490℃とし、例えば、470℃、480℃または490℃等とし、圧力を1600~1800Paとし、例えば、1600Pa、1700Paまたは1800Pa等とし、シリコン原料ガスおよびアンモニアガスを導入し、定温定圧で9~11s保持し、例えば、9s、10sまたは11s等保持し、裏面のケイ素酸化物層を取得することを含む。好ましくは、前記作動ガスは笑気を含む。好ましくは、前記シリコン原料ガスはシランを含む。
【0036】
好ましくは、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層を成長させる方法は、温度を470~490℃とし、圧力を1650~1750Paとし、例えば、1650Pa、1700Paまたは1750Pa等とし、アンモニアガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で235~245s保持し、例えば、235s、240sまたは245s等保持し、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層を取得することを含む。好ましくは、前記シリコン原料ガスはシランを含む。
【0037】
好ましくは、裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を成長させる方法は、温度を470~490℃とし、例えば、470℃、480℃または490℃等とし、圧力を1650~1750Paとし、例えば、1650Pa、1700Paまたは1750Pa等とし、アンモニアガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で125~135s保持し、例えば、125s、130sまたは135s等保持した後、温度を470~490℃とし、例えば、470℃、480℃または490℃等とし、圧力を1650~1750Paとし、例えば、1650Pa、1700Paまたは1750Pa等とし、シリコン原料ガスの導入量を低減し、アンモニアガスの導入量を増加し、定温定圧で125~135s保持し、例えば、125s、130sまたは135s等保持し、裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を取得することを含む。好ましくは、前記シリコン原料ガスはシランを含む。
【0038】
好ましくは、前記裏面成長は、裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を成長させた後、真空引きを行って保護ガスを充填して常圧に戻し、製品を取り出すことを更に含む。
【0039】
本願の好ましい技術案として、前記表面成長は、表面の第2ケイ素酸化物層を成長させる前に、まず、PN接合を有して表面の第1ケイ素酸化物層を成長させたシリコンウェハをプラズマ強化化学気相成長炉に置き、真空引きを行い、リーク検出し、再び真空引きを行い、作動ガスおよびシリコン原料ガスを導入し、反応器の温度を490~510℃とし、例えば、490℃、500℃または510℃等とし、圧力を195~205Paとし、例えば、195Pa、200Paまたは205Pa等とし、定温定圧で15~25s保持し、例えば、15s、20sまたは25s等保持する。好ましくは、前記作動ガスは笑気を含む。好ましくは、前記シリコン原料ガスはシランを含む。
【0040】
好ましくは、表面の第2ケイ素酸化物層を成長させる方法は、温度を490~510℃とし、例えば、490℃、500℃または510℃等とし、圧力を195~205Paとし、例えば、195Pa、200Paまたは205Pa等とし、作動ガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で75~85s保持し、例えば、75s、80sまたは85s等保持した後、真空引きを15~25s行い、例えば、15s、20sまたは25s等行い、温度を490~510℃とし、例えば、490℃、500℃または510℃等とし、圧力を225~235Paとし、例えば、225Pa、230Paまたは235Pa等とし、シリコン原料ガスおよびアンモニアガスを導入し、定温定圧で15~25s保持し、例えば、15s、20sまたは25s等保持し、表面の第2ケイ素酸化物層を取得することを含む。好ましくは、前記作動ガスは笑気を含む。好ましくは、前記シリコン原料ガスはシランを含む。
【0041】
好ましくは、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層を成長させる方法は、温度を490~510℃とし、例えば、490℃、500℃または510℃等とし、圧力を225~235Paとし、例えば、225Pa、230Paまたは235Pa等とし、アンモニアガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で60~70s保持し、例えば、60s、65sまたは70s等保持し、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層を取得することを含む。好ましくは、前記シリコン原料ガスはシランを含む。
【0042】
好ましくは、表面の第2窒素含有ケイ素化合物層を成長させる方法は、温度を490~510℃とし、例えば、490℃、500℃または510℃等とし、圧力を225~235Paとし、例えば、225Pa、230Paまたは235Pa等とし、アンモニアガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で155~165s保持し、例えば、155s、160sまたは165s等保持した後、温度を490~510℃とし、例えば、490℃、500℃または510℃等とし、圧力を225~235Paとし、例えば、225Pa、230Paまたは235Pa等とし、シリコン原料ガスの導入量を低減し、アンモニアガスの導入量を増加し、定温定圧で240~260s保持し、例えば、240s、250sまたは260s等保持した後、温度を490~510℃とし、例えば、490℃、500℃または510℃等とし、圧力を185~195Paとし、例えば、185Pa、190Paまたは195Pa等とし、シリコン原料ガス、アンモニアガスおよび作動ガスを導入し、定温定圧で155~165s保持し、例えば、155s、160sまたは165s等保持した後、真空引きを行ってからシリコン原料ガスおよび作動ガスを導入し、温度を490~510℃とし、例えば、490℃、500℃または510℃等とし、圧力を175~185Paとし、例えば、175Pa、180Paまたは185Pa等とし、定温定圧で6~15s保持し、例えば、6s、10sまたは15s等保持し、表面の第2窒素含有ケイ素化合物層を取得することを含む。好ましくは、前記シリコン原料ガスはシランを含む。前記作動ガスは笑気を含む。
【0043】
好ましくは、表面の第3ケイ素酸化物層を成長させる方法は、温度を490~510℃とし、例えば、490℃、500℃または510℃等とし、圧力を175~185Paとし、例えば、175Pa、180Paまたは185Pa等とし、作動ガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で175~185s保持し、例えば、175s、180sまたは185s保持することを含む。好ましくは、前記作動ガスは笑気を含む。好ましくは、前記シリコン原料ガスはシランを含む。
【0044】
好ましくは、前記表面成長は、表面の第3ケイ素酸化物層を成長させた後、真空引きを行い、炉管を洗浄し、再び真空引きを行って常圧に戻し、製品を取り出すことを更に含む。
【0045】
本願に記載の製造方法の更なる好ましい技術案として、前記方法は、PN接合を有するシリコンウェハのN型層側で表面の第1ケイ素酸化物層を成長させた後、表面の第2ケイ素酸化物層、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層、表面の第2窒素含有ケイ素化合物層および表面の第3ケイ素酸化物層を順次成長させることを含む表面成長と、パッシベーション層、裏面のケイ素酸化物層、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層および裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を順次成長させることを含む裏面成長とを行い、銀電極を製造し、前記両面太陽電池を取得するステップを含む。
【0046】
前記表面成長および裏面成長は、いずれもプラズマ強化化学気相成長であり、パッシベーション層を成長させる方法は、温度を310~330℃とし、圧力を1450~1550Paとし、作動ガスおよびパッシベーション層原料ガスを導入し、定温定圧で170~190s保持した後、真空引きを45~55s行い、温度を470~490℃とし、圧力を850~950Paとし、作動ガスおよびアンモニアガスを導入し、定温定圧で9~11s保持した後、温度、圧力、作動ガスおよびアンモニアガスの導入量を340~360s保持し、パッシベーション層を取得することを含み、裏面のケイ素酸化物層を成長させる方法は、温度を470~490℃とし、圧力を1450~1550Paとし、作動ガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で75~85s保持した後、真空引きを290~310s行い、温度を470~490℃とし、圧力を1600~1800Paとし、シリコン原料ガスおよびアンモニアガスを導入し、定温定圧で9~11s保持し、裏面のケイ素酸化物層を取得することを含み、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層を成長させる方法は、温度を470~490℃とし、圧力を1650~1750Paとし、アンモニアガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で235~245s保持し、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層を取得することを含み、裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を成長させる方法は、温度を470~490℃とし、圧力を1650~1750Paとし、アンモニアガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で125~135s保持した後、温度を470~490℃とし、圧力を1650~1750Paとし、シリコン原料ガスの導入量を低減し、アンモニアガスの導入量を増加し、定温定圧で125~135s保持し、裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を取得することを含み、表面の第2ケイ素酸化物層を成長させる方法は、温度を490~510℃とし、圧力を195~205Paとし、作動ガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で75~85s保持した後、真空引きを15~25s行い、温度を490~510℃とし、圧力を225~235Paとし、シリコン原料ガスおよびアンモニアガスを導入し、定温定圧で15~25s保持し、表面の第2ケイ素酸化物層を取得することを含み、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層を成長させる方法は、温度を490~510℃とし、圧力を225~235Paとし、アンモニアガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で60~70s保持し、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層を取得することを含み、表面の第2窒素含有ケイ素化合物層を成長させる方法は、温度を490~510℃とし、圧力を225~235Paとし、アンモニアガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で155~165s保持した後、温度を490~510℃とし、圧力を225~235Paとし、シリコン原料ガスの導入量を低減し、アンモニアガスの導入量を増加し、定温定圧で240~260s保持した後、温度を490~510℃とし、圧力を185~195Paとし、シリコン原料ガス、アンモニアガスおよび作動ガスを導入し、定温定圧で155~165s保持した後、真空引きを行ってからシリコン原料ガスおよび作動ガスを導入し、温度を490~510℃とし、圧力を175~185Paとし、定温定圧で6~15s保持し、表面の第2窒素含有ケイ素化合物層を取得することを含み、表面の第3ケイ素酸化物層を成長させる方法は、温度を490~510℃とし、圧力を175~185Paとし、作動ガスおよびシリコン原料ガスを導入し、定温定圧で175~185s保持することを含む。
【発明の効果】
【0047】
従来技術と比べ、本願は、以下の有益な効果を有する。
【0048】
(1)本願は、既存のデバイスを基に、余分な資金投入を増加しないとともに、安全性を考慮した前提で、PID失効モデルの確立および分析により、両面PERC電池の抗PIDの失効を効果的に解決する発明方案を提供する。本願に係る両面太陽電池は、特殊な膜層構造の設計(表面膜層の多層設計および裏面膜層の多層設計を含み、ここで、裏面のケイ素酸化物層および裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層は、両面PERC電池の裏面PIDを解決するのに最も重要な構造である)を採用し、統合膜層の緻密性および電気的特性を強化し、裏面PID現象の発生を非常に効果的に緩和することができる。
【0049】
(2)本願の製造方法は、操作しやすく、フローが短く、産業化大規模生産を実現しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】両面電池-ダブルガラスモジュールの実験室-1500VバイアスでのPID失効EL画像である。
図2】両面PERC電池のPID失効モデルである。
図3】実施例1に係る両面太陽電池の構造模式図であり、ここで、1がPN接合を有するシリコンウェハで、2がパッシベーション層で、3が裏面のケイ素酸化物層で、4が裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層で、5が裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層で、6が表面の第1ケイ素酸化物層で、7が表面の第2ケイ素酸化物層で、8が表面の第1窒素含有ケイ素化合物層で、9が表面の第2窒素含有ケイ素化合物層で、10が表面の第3ケイ素酸化物層である。
図4】実施例1に係る両面太陽電池の製造方法のフローチャートである。
図5A】実施例1に係る両面太陽電池のシングルガラスモジュールの1回試験における初期EL画像である。
図5B】実施例1に係る両面太陽電池のシングルガラスモジュールにおけるサンプル1#が96hのPIDを経たEL画像である。
図5C】実施例1に係る両面太陽電池のシングルガラスモジュールにおけるサンプル1#が192hのPIDを経たEL画像である。
図5D】実施例1に係る両面太陽電池のシングルガラスモジュールにおけるサンプル1#が288hのPIDを経たEL画像である。
図6A】実施例1に係る両面太陽電池のシングルガラスモジュールにおけるサンプル2#の初期EL画像である。
図6B】実施例1に係る両面太陽電池のシングルガラスモジュールにおけるサンプル2#が96hのPIDを経たEL画像である。
図6C】実施例1に係る両面太陽電池のシングルガラスモジュールにおけるサンプル2#が192hのPIDを経たEL画像である。
図6D】実施例1に係る両面太陽電池のシングルガラスモジュールにおけるサンプル2#が288hのPIDを経たEL画像である。
図7A】実施例1に係る両面太陽電池のダブルガラスモジュールの初期EL画像である。
図7B】実施例1に係る両面太陽電池のダブルガラスモジュールが96hのPIDを経たEL画像である。
図7C】実施例1に係る両面太陽電池のダブルガラスモジュールが192hのPIDを経たEL画像である。
図7D】実施例1に係る両面太陽電池のダブルガラスモジュールが288hのPIDを経たEL画像である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本願をより良く説明し、本願の技術案を理解しやすくするために、以下、本願について更に詳細に説明する。ただし、下記実施例は、本願の簡単な例に過ぎず、本願の保護範囲を代表または限定するものではなく、本願の保護範囲は、特許請求の範囲に準ずる。以下、本願の典型的であるが非限定的な実施例である。
【0052】
<実施例1>
本実施例は、両面太陽電池を提供し、前記太陽電池の構造は、図3に示す。前記両面太陽電池は、PN接合を有するシリコンウェハ1と、PN接合を有するシリコンウェハ1のN型層側に位置して該シリコンウェハから離れる方向に沿って順次積層された表面の第1ケイ素酸化物層6、表面の第2ケイ素酸化物層7、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層8、表面の第2窒素含有ケイ素化合物層9および表面の第3ケイ素酸化物層10と、PN接合を有するシリコンウェハ1のP型層側に位置して該シリコンウェハから離れる方向に沿って順次積層されたパッシベーション層2、裏面のケイ素酸化物層3、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層4および裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層5とを備えた。前記両面太陽電池は銀電極を更に備え、PN接合を有するシリコンウェハ1のN型層側の銀電極は、表面の第1ケイ素酸化物層、表面の第2ケイ素酸化物層、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層、表面の第2窒素含有ケイ素化合物層および表面の第3ケイ素酸化物層を貫通し、PN接合を有するシリコンウェハ1のP型層側の銀電極は、裏面のケイ素酸化物層、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層および裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層を貫通した。
【0053】
本実施例において、前記表面の第1ケイ素酸化物層6、表面の第2ケイ素酸化物層7、表面の第3ケイ素酸化物層10および裏面のケイ素酸化物層3はいずれもSiO層であり、表面の第1ケイ素酸化物層6は熱酸化ケイ素層であり、表面の第2ケイ素酸化物層7、表面の第3ケイ素酸化物層10および裏面のケイ素酸化物層3は電着酸化ケイ素層である。前記パッシベーション層2はアルミナ層(AlO、x=1.5)であった。
【0054】
本実施例において、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層はSiNx1層(x1=4/3)であり、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層もSiNx1層(x1=4/3)であった。表面の第2窒素含有ケイ素化合物層9は、PN接合を有するシリコンウェハ1から離れる方向に沿って順次積層されたSiNx2/SiNx3/SiO積層構造(x2=4/3、x3=4/3、x=1、y=1)であった。裏面の第2窒素含有ケイ素化合物層5は、PN接合を有するシリコンウェハ1から離れる方向に沿って順次積層されたSiNx2/SiNx3積層構造(x2=4/3、x3=4/3)であった。
【0055】
本実施例に係る両面太陽電池において、表面の第2ケイ素酸化物層7の屈折率は1.45で、厚さは6nmであり、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層8の屈折率は2.2で、厚さは20nmであり、表面の第3ケイ素酸化物層10の屈折率は1.4で、厚さは5であり、パッシベーション層2の厚さは10nmであり、裏面のケイ素酸化物層3の屈折率は1.45で、厚さは12nmであり、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層4の屈折率は2.2で、厚さは15nmであった。
【0056】
本実施例は、前記両面太陽電池の製造方法を更に提供し、その具体的なステップは以下のとおりであった。P型ガリウムドープシリコンウェハを前工程で処理(テクスチャリングし、HF/HCl混合酸で洗浄し、拡散し、表面でレーザによりSEをドープ)し、PN接合を有するシリコンウェハを取得し、PN接合を有するシリコンウェハのN型層側で熱酸化法により表面の第1ケイ素酸化物層を成長させ、更に表面成長および裏面成長を行い、裏面レーザグルービング、銀電極のスクリーン印刷および焼結を経て、前記両面太陽電池を取得した。そのフローチャートは図4に示すとおりであった。
【0057】
前記裏面成長の方法は、以下のステップを含む。
【0058】
ステップ(1):熱酸化工程を経た後のシリコンウェハをグラファイトボート内に挿入し、ロボットアームにより管式PECVD炉内管に送り込み、時間を110sとし、温度を320℃とし、圧力を10000paとし、ボート搬入速度を1000mm/minとした。
【0059】
ステップ(2):ロボットアームを炉管内から引き出し、炉管を閉じたとともに、温度を320℃とし、真空引き試験およびリーク検出・圧力保持試験を行った。
【0060】
ステップ(3):定温定圧段階に入り、時間を10sとし、温度を320℃とし、圧力を1500paとし、笑気を流量5800sccmで導入した。
【0061】
ステップ(4):アルミナ堆積段階に入り、時間を180sとし、温度を320℃とし、圧力を1500paとし、笑気を流量5800sccmで導入し、トリメチルアルミニウムTMA開度を75%とし、無線周波数電力を7000Wとし、パルスのオン/オフ比を20/1000とした。
【0062】
ステップ(5):反応で残留したガスを空にするように真空引きを行い、時間を50sとし、温度を480℃とし、圧力を0paとした。
【0063】
ステップ(6):2回目の定温定圧段階に入り、時間を10sとし、温度を480℃とし、圧力を900paとし、アンモニアガスを流量2500sccmで導入し、笑気を流量2500sccmで導入した。
【0064】
ステップ(7):アルミナの活性化前処理過程を行い、即ち、ステップ(4)で成長したアルミナに対してHパッシベーションされた部分イオン注入を行い、時間を350sとし、温度を480℃とし、圧力を900paとし、アンモニアガスを流量2500sccmで導入し、笑気を流量2500sccmで導入し、無線周波数電力を3500Wとし、パルスのオン/オフ比を30/120とした。
【0065】
ステップ(8):酸化ケイ素成長段階に入り、時間を80sとし、温度を480℃とし、圧力を1500paとし、シランを流量650sccmで導入し、笑気を流量5200sccmで導入し、無線周波数電力を8000Wとし、パルスのオン/オフ比を36/1000とした。
【0066】
ステップ(9):反応で残留したガスを空にするように真空引きを行い、時間を300sとし、温度を480℃とし、圧力を0paとした。
【0067】
ステップ(10):3回目の定温定圧段階に入り、時間を10sとし、温度を480℃とし、圧力を1700paとし、シランを流量1250sccmで導入し、アンモニアガスを流量4880sccmで導入した。
【0068】
ステップ(11):1層目の高屈折率SiNx1層成長段階に入り、時間を240sとし、温度を480℃とし、圧力を1700paとし、シランを流量1250sccmで導入し、アンモニアガスを流量4880sccmで導入し、無線周波数電力を13000Wとし、パルスのオン/オフ比を50/700とした。
【0069】
ステップ(12):2層目のSiNx2層成長段階に入り、時間を130sとし、温度を480℃とし、圧力を1700paとし、シランを流量850sccmで導入し、アンモニアガスを流量6000sccmで導入し、無線周波数電力を13000Wとし、パルスのオン/オフ比を50/600とした。
【0070】
ステップ(13):3層目のSiNx3層成長段階に入り、時間を130sとし、温度を480℃とし、圧力を1700paとし、シランを流量600sccmで導入し、アンモニアガスを流量6500sccmで導入し、無線周波数電力を13000Wとし、パルスのオン/オフ比を50/600とした。
【0071】
ステップ(14):プロセスが終了した後、真空引きを行って窒素を充填して常圧に戻す段階に入り、時間を150sとし、温度を430℃とし、圧力を10000paとし、窒素ガスを流量40000sccmで導入した。
【0072】
ステップ(15):炉の扉を開けてボートを取り出し、裏面PECVDメッキ成膜プロセスのフロー全体を終了し、時間を110sとし、温度を430℃とし、圧力を10000paとし、ボート搬出速度を1000mm/minとした。
【0073】
前記表面成長の方法は、以下のステップを含む。
【0074】
ステップ(1):ボートを搬入し、シリコンウェハをグラファイト担持治具に置き、ロボットアームで管式PECVDメッキ成膜装置に送り込み、時間を120sとし、温度を500℃とし、圧力を10000paとした。
【0075】
ステップ(2):真空引きを行い、炉管に対して1回目の真空引きを行い、時間を200sとし、温度を500℃とし、圧力を0paとした。
【0076】
ステップ(3):プロセスガスが導入される前にプロセス効果を確保するように、リーク検出を行い、真空が漏れるか否かを試験し、時間を20sとし、温度を500℃とし、圧力を10000paとした。
【0077】
ステップ(4):真空引きを行い、炉管に対して急速な真空引きを再び行い、時間を20sとし、温度を500℃とし、圧力を0paとした。
【0078】
ステップ(5):定圧にし、圧力をプロセス設定値に真空引き、一部のプロセスガスを予め導入し、時間を20sとし、温度を500℃とし、圧力を200paとし、シラン流量を985sccmとし、笑気流量を4620sccmとした。
【0079】
ステップ(6):酸化ケイ素を堆積し、時間を80sとし、温度を500℃とし、圧力を200paとし、シランを流量985sccmで導入し、笑気を流量4620sccmで導入し、無線周波数電力を12600Wとし、パルスのオン/オフ比を5/150とした。
【0080】
ステップ(7):真空引きを行い、余分な反応ガスを抽出し、次のステップに進むことを準備し、時間を20sとし、温度を500℃とし、圧力を0paとした。
【0081】
ステップ(8):定圧にし、圧力をプロセス設定値に真空引き、一部のプロセスガスを予め導入し、時間を20sとし、温度を500℃とし、圧力を230paとし、シラン流量を2200sccmとし、アンモニアガス流量を6600sccmとした。
【0082】
ステップ(9):1層目の高屈折率SiNx1層を堆積し、時間を65sとし、温度を500℃とし、圧力を230paとし、シランを流量2200sccmで導入し、アンモニアガスを流量6600sccmで導入し、無線周波数電力を16500Wとし、パルスのオン/オフ比を5/80とした。
【0083】
ステップ(10):2層目のSiNx2層を堆積する段階に入り、時間を160sとし、温度を500℃とし、圧力を230paとし、シランを流量1000sccmで導入し、アンモニアガスを流量12000sccmで導入し、無線周波数電力を17500Wとし、パルスのオン/オフ比を5/80とした。
【0084】
ステップ(11):3層目のSiNx3層を堆積する段階に入り、時間を250sとし、温度を500℃とし、圧力を230paとし、シランを流量800sccmで導入し、アンモニアガスを流量12200sccmで導入し、無線周波数電力を17500Wとし、パルスのオン/オフ比を5/80とした。
【0085】
ステップ(12):SiO層を堆積する段階に入り、時間を160sとし、温度を500℃とし、圧力を190paとし、シランを流量1000sccmで導入し、アンモニアガスを流量2800sccmで導入し、笑気を流量7800sccmで導入し、無線周波数電力を17500Wとし、パルスのオン/オフ比を5/80とした。
【0086】
ステップ(13):真空引きを行い、余分な反応ガスを抽出し、次のステップに進むことを準備し、時間を20sとし、温度を500℃とし、圧力を0paとした。
【0087】
ステップ(14):定圧にし、圧力をプロセス設定値に真空引き、一部のプロセスガスを予め導入し、時間を10sとし、温度を500℃とし、圧力を180paとし、シラン流量を600sccmとし、笑気流量を9600sccmとした。
【0088】
ステップ(15):最外層の酸化ケイ素層を堆積し、時間を180sとし、温度を500℃とし、圧力を180paとし、シランを流量600sccmで導入し、笑気を流量9600sccmで導入し、無線周波数電力を14500Wとし、パルスのオン/オフ比を5/150とした。
【0089】
ステップ(16):真空引きを行い、余分な反応ガスを抽出し、時間を25sとし、温度を500℃とし、圧力を0paとした。
【0090】
ステップ(17):炉管を洗浄し、炉内の残留ガスをパージし、時間を15sとし、温度を500℃とし、圧力を0paとし、窒素ガス流量を25000sccmとした。
【0091】
ステップ(18):真空引きを行い、余分な反応ガスを抽出し、時間を15sとし、温度を500℃とし、圧力を0paとした。
【0092】
ステップ(19):常圧に戻し、炉の扉を開くことを準備し、時間を90sとし、温度を500℃とし、圧力を10000paとし、窒素ガス流量を50000sccmとした。
【0093】
ステップ(20):炉の扉を開き、グラファイトボートを取り出し、表面PECVDメッキ成膜プロセスのフロー全体を終了し、時間を110sとし、温度を500℃とし、圧力を10000paとし、ボート搬出速度を1000mm/minとした。
【0094】
本実施例に係る両面太陽電池を両面PERC電池-シングルガラスモジュールに製造し、その構造は、フロントシートガラス/表面EVA/電池セル/裏面白色EVA/白色バックシートであった。
【0095】
上記シングルガラスモジュールから2つのサンプル(1#および2#)を取り出してPID試験を行い、PID試験のバイアスは-1500Vであった。試験結果は、以下の表に示すように、合格と判定する標準は、PID 96hのピーク電力減衰が3%以下で、PID 192hおよび288hのピーク電力減衰が5%以下であることであった。
【0096】
【表1】
【0097】
以上の表から分かるように、シングルガラスモジュールは、288hの-1500Vバイアス試験を経て、電力減衰を依然として<2.5%以内に保持することができる。
【0098】
図5(A)~図5(D)はそれぞれ異なる時間での1#のEL画像(ELはElectroluminescenc、即ち、エレクトロルミネッセンスを意味する)であり、図6(A)~図6(D)は、それぞれ異なる時間での2#のEL画像であり、上記図から分かるように、初期試験から288hまで、EL画像には明らかな電池失効暗セルが見られなかった。
【0099】
本実施例に係る両面太陽電池を両面PERC電池-ダブルガラスモジュールに製造し、その構造はフロントシートガラス/高透明EVA/電池セル/透明POE/バックシートガラスであった。
【0100】
上記ダブルガラスモジュールからサンプル(3#)を取り出してPID試験を行い、PID試験のバイアスは-1500Vであった。試験結果は、以下の表に示すように、合格と判定する標準は、PID 96hのピーク電力減衰が3%以下であり、PID 192hおよび288hのピーク電力減衰が5%以下であった。
【0101】
【表2】
【0102】
以上の表から分かるように、ダブルガラスモジュールは、288hの-1500Vバイアス試験を経て、電力減衰を依然として1.0%付近に保持した。
【0103】
図7(A)~図7(D)は、それぞれ異なる時間での3#のEL画像であり、上記図から分かるように、初期試験から288hまで、EL画像には明らかな電池失効暗セルが見られなかった。
【0104】
<実施例2>
本実施例に係る両面太陽電池の構造および材料種類は実施例1と同じであり、本実施例に係る両面太陽電池の具体的な厚さパラメータは、表面の第2ケイ素酸化物層7の屈折率が1.43で、厚さが7nmであり、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層8の屈折率が2.1で、厚さが23nmであり、表面の第3ケイ素酸化物層10の屈折率が1.4で、厚さが8nmであり、パッシベーション層2の厚さが12nmであり、裏面のケイ素酸化物層3の屈折率が1.485で、厚さが12nmであり、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層4の屈折率が2.3で、厚さが18nmであった。
【0105】
本実施例の製造方法と実施例1との区別は、本実施例の裏面成長および表面成長の方法が以下のとおりであることにある。
【0106】
前記裏面成長の方法は、以下のステップを含む。
【0107】
ステップ(1):熱酸化工程を経た後のシリコンウェハをグラファイトボート内に挿入し、ロボットアームにより管式PECVD炉内管に送り込み、時間を110sとし、温度を310℃とし、圧力を10000paとし、ボート搬入速度を1000mm/minとした。
【0108】
ステップ(2):ロボットアームを炉管内から引き出し、炉管を閉じるとともに、温度を310℃とし、真空引き試験およびリーク検出・圧力保持試験を行った。
【0109】
ステップ(3):定温定圧段階に入り、時間を10sとし、温度を310℃とし、圧力を1450paとし、笑気を流量5800sccmで導入した。
【0110】
ステップ(4):アルミナ堆積段階に入り、時間を170sとし、温度を310℃とし、圧力を1450paとし、笑気を流量5800sccmで導入し、トリメチルアルミニウムTMA開度を75%とし、無線周波数電力を7000Wとし、パルスのオン/オフ比を20/1000とした。
【0111】
ステップ(5):反応で残留したガスを空にするように真空引きを行い、時間を45sとし、温度を470℃とし、圧力を0paとした。
【0112】
ステップ(6):2回目の定温定圧段階に入り、時間を9sとし、温度を470℃とし、圧力を850paとし、アンモニアガスを流量2500sccmで導入し、笑気を流量2500sccmで導入した。
【0113】
ステップ(7):アルミナの活性化前処理過程を行い、即ち、ステップ(4)で成長したアルミナに対してHパッシベーションされた部分イオン注入を行い、時間を340sとし、温度を470℃とし、圧力を850paとし、アンモニアガスを流量2500sccmで導入し、笑気を流量2500sccmで導入し、無線周波数電力を3500Wとし、パルスのオン/オフ比を30/120とした。
【0114】
ステップ(8):酸化ケイ素成長段階に入り、時間を75sとし、温度を470℃とし、圧力を1450paとし、シランを流量650sccmで導入し、笑気を流量5200sccmで導入し、無線周波数電力を8000Wとし、パルスのオン/オフ比を36/1000とした。
【0115】
ステップ(9):反応で残留したガスを空にするように真空引きを行い、時間を290sとし、温度を470℃とし、圧力を0paとした。
【0116】
ステップ(10):3回目の定温定圧段階に入り、時間を9sとし、温度を470℃とし、圧力を1650paとし、シランを流量1250sccmで導入し、アンモニアガスを流量4880sccmで導入した。
【0117】
ステップ(11):1層目の高屈折率SiNx1層成長段階に入り、時間を235sとし、温度を470℃とし、圧力を1650paとし、シランを流量1250sccmで導入し、アンモニアガスを流量4880sccmで導入し、無線周波数電力を13000Wとし、パルスのオン/オフ比を50/700とした。
【0118】
ステップ(12):2層目のSiNx2層成長段階に入り、時間を125sとし、温度を470℃とし、圧力を1650paとし、シランを流量850sccmで導入し、アンモニアガスを流量6000sccmで導入し、無線周波数電力を13000Wとし、パルスのオン/オフ比を50/600とした。
【0119】
ステップ(13):3層目のSiNx3層成長段階に入り、時間を125sとし、温度を470℃とし、圧力を1650paとし、シランを流量600sccmで導入し、アンモニアガスを流量6500sccmで導入し、無線周波数電力を13000Wとし、パルスのオン/オフ比を50/600とした。
【0120】
ステップ(14):プロセスが終了した後、真空引きを行って窒素を充填して常圧に戻す段階に入り、時間を150sとし、温度を430℃とし、圧力を10000paとし、窒素ガスを流量40000sccmで導入した。
【0121】
ステップ(15):炉の扉を開けてボートを取り出し、裏面PECVDメッキ成膜プロセスのフロー全体を終了し、時間を110sとし、温度を430℃とし、圧力を10000paとし、ボート搬出速度を1000mm/minとした。
【0122】
前記表面成長の方法は、以下のステップを含む。
【0123】
ステップ(1):ボートを搬入し、シリコンウェハをグラファイト担持治具に置き、ロボットアームで管式PECVDメッキ成膜装置に送り込み、時間を120sとし、温度を4900℃とし、圧力を10000paとした。
【0124】
ステップ(2):真空引きを行い、炉管に対して1回目の真空引きを行い、時間を200sとし、温度を490℃とし、圧力を0paとした。
【0125】
ステップ(3):プロセスガスが導入される前にプロセス効果を確保するように、リーク検出を行い、真空が漏れるか否かを試験し、時間を20sとし、温度を490℃とし、圧力を10000paとした。
【0126】
ステップ(4):真空引きを行い、炉管に対して急速な真空引きを再び行い、時間を20sとし、温度を490℃とし、圧力を0paとした。
【0127】
ステップ(5):定圧にし、圧力をプロセス設定値に真空引き、一部のプロセスガスを予め導入し、時間を15sとし、温度を490℃とし、圧力を195paとし、シラン流量を985sccmとし、笑気流量を4620sccmとした。
【0128】
ステップ(6):酸化ケイ素を堆積し、時間を75sとし、温度を450℃とし、圧力を195paとし、シランを流量985sccmで導入し、笑気を流量4620sccmで導入し、無線周波数電力を12600Wとし、パルスのオン/オフ比を5/150とした。
【0129】
ステップ(7):真空引きを行い、余分な反応ガスを抽出し、次のステップに進むことを準備し、時間を15sとし、温度を500℃とし、圧力を0paとした。
【0130】
ステップ(8):定圧にし、圧力をプロセス設定値に真空引き、一部のプロセスガスを予め導入し、時間を15sとし、温度を490℃とし、圧力を225paとし、シラン流量を2200sccmとし、アンモニアガス流量を6600sccmとした。
【0131】
ステップ(9):1層目の高屈折率SiNx1層を堆積し、時間を60sとし、温度を450℃とし、圧力を225paとし、シランを流量2200sccmで導入し、アンモニアガスを流量6600sccmで導入し、無線周波数電力を16500Wとし、パルスのオン/オフ比を5/80とした。
【0132】
ステップ(10):2層目のSiNx2層を堆積する段階に入り、時間を155sとし、温度を490℃とし、圧力を225paとし、シランを流量1000sccmで導入し、アンモニアガスを流量12000sccmで導入し、無線周波数電力を17500Wとし、パルスのオン/オフ比を5/80とした。
【0133】
ステップ(11):3層目のSiNx3層を堆積する段階に入り、時間を240sとし、温度を490℃とし、圧力を225paとし、シランを流量800sccmで導入し、アンモニアガスを流量12200sccmで導入し、無線周波数電力を17500Wとし、パルスのオン/オフ比を5/80とした。
【0134】
ステップ(12):SiO層を堆積する段階に入り、時間を160sとし、温度を490℃とし、圧力を185paとし、シランを流量1000sccmで導入し、アンモニアガスを流量2800sccmで導入し、笑気を流量7800sccmで導入し、無線周波数電力を17500Wとし、パルスのオン/オフ比を5/80とした。
【0135】
ステップ(13):真空引きを行い、余分な反応ガスを抽出し、次のステップに進むことを準備し、時間を20sとし、温度を490℃とし、圧力を0paとした。
【0136】
ステップ(14):定圧にし、圧力をプロセス設定値に真空引き、一部のプロセスガスを予め導入し、時間を10sとし、温度を490℃とし、圧力を180paとし、シラン流量を600sccmとし、笑気流量を9600sccmとした。
【0137】
ステップ(15):最外層の酸化ケイ素層を堆積し、時間を175sとし、温度を490℃とし、圧力を175paとし、シランを流量600sccmで導入し、笑気を流量9600sccmで導入し、無線周波数電力を14500Wとし、パルスのオン/オフ比を5/150とした。
【0138】
ステップ(16):真空引きを行い、余分な反応ガスを抽出し、時間を25sとし、温度を490℃とし、圧力を0paとした。
【0139】
ステップ(17):炉管を洗浄し、炉内の残留ガスをパージし、時間を15sとし、温度を490℃とし、圧力を0paとし、窒素ガス流量を25000sccmとした。
【0140】
ステップ(18):真空引きを行い、余分な反応ガスを抽出し、時間を15sとし、温度を490℃とし、圧力を0paとした。
【0141】
ステップ(19):常圧に戻し、炉の扉を開くことを準備し、時間を90sとし、温度を490℃とし、圧力を10000paとし、窒素ガス流量を50000sccmとした。
【0142】
ステップ(20):炉の扉を開き、グラファイトボートを取り出し、表面PECVDメッキ成膜プロセスのフロー全体を終了し、時間を110sとし、温度を490℃とし、圧力を10000paとし、ボート搬出速度を1000mm/minとした。
【0143】
本実施例に係る両面太陽電池を、実施例1の方法に従って両面PERC電池-シングルガラスモジュールに製造し、このモジュールを用いて実施例1の方法に従ってPID試験を行い、試験結果は以下のとおりであった。
【0144】
【表3】
【0145】
本実施例に係る両面太陽電池を、実施例1の方法に従って両面PERC電池-ダブルガラスモジュールに製造し、このモジュールを用いて実施例1の方法に従ってPID試験を行い、試験結果は以下のとおりであった。
【0146】
【表4】
【0147】
<実施例3>
本実施例に係る両面太陽電池の構造および材料種類は実施例1と同じであり、本実施例に係る両面太陽電池の具体的な厚さパラメータは、表面の第2ケイ素酸化物層7の屈折率が1.48で、厚さが10nmであり、表面の第1窒素含有ケイ素化合物層8の屈折率が2.4で、厚さが20nmであり、表面の第3ケイ素酸化物層10の屈折率が1.42で、厚さが8nmであり、パッシベーション層2の厚さが15nmであり、裏面のケイ素酸化物層3の屈折率が1.48で、厚さが15nmであり、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層4の屈折率が2.4で、厚さが20nmであった。
【0148】
前記裏面成長の方法は、以下のステップを含む。
【0149】
ステップ(1):熱酸化工程を経た後のシリコンウェハをグラファイトボート内に挿入し、ロボットアームにより管式PECVD炉内管に送り込み、時間を110sとし、温度を330℃とし、圧力を10000paとし、ボート搬入速度を1000mm/minとした。
【0150】
ステップ(2):ロボットアームを炉管内から引き出し、炉管を閉じたとともに、温度を330℃とし、真空引き試験およびリーク検出・圧力保持試験を行った。
【0151】
ステップ(3):定温定圧段階に入り、時間を11sとし、温度を330℃とし、圧力を1550paとし、笑気を流量5800sccmで導入した。
【0152】
ステップ(4):アルミナ堆積段階に入り、時間を190sとし、温度を330℃とし、圧力を1550paとし、笑気を流量5800sccmで導入し、トリメチルアルミニウムTMA開度を75%とし、無線周波数電力を7000Wとし、パルスのオン/オフ比を20/1000とした。
【0153】
ステップ(5):反応で残留したガスを空にするように真空引きを行い、時間を50sとし、温度を490℃とし、圧力を0paとした。
【0154】
ステップ(6):2回目の定温定圧段階に入り、時間を11sとし、温度を490℃とし、圧力を950paとし、アンモニアガスを流量2500sccmで導入し、笑気を流量2500sccmで導入した。
【0155】
ステップ(7):アルミナの活性化前処理過程を行い、即ち、ステップ(4)で成長したアルミナに対してHパッシベーションされた部分イオン注入を行い、時間を360sとし、温度を490℃とし、圧力を950paとし、アンモニアガスを流量2500sccmで導入し、笑気を流量2500sccmで導入し、無線周波数電力を3500Wとし、パルスのオン/オフ比を30/120とした。
【0156】
ステップ(8):酸化ケイ素成長段階に入り、時間を85sとし、温度を490℃とし、圧力を1550paとし、シランを流量650sccmで導入し、笑気を流量5200sccmで導入し、無線周波数電力を8000Wとし、パルスのオン/オフ比を36/1000とした。
【0157】
ステップ(9):反応で残留したガスを空にするように真空引きを行い、時間を300sとし、温度を490℃とし、圧力を0paとした。
【0158】
ステップ(10):3回目の定温定圧段階に入り、時間を11sとし、温度を490℃とし、圧力を1800paとし、シランを流量1250sccmで導入し、アンモニアガスを流量4880sccmで導入した。
【0159】
ステップ(11):1層目の高屈折率SiNx1層成長段階に入り、時間を245sとし、温度を490℃とし、圧力を1750paとし、シランを流量1250sccmで導入し、アンモニアガスを流量4880sccmで導入し、無線周波数電力を13000Wとし、パルスのオン/オフ比を50/700とした。
【0160】
ステップ(12):2層目のSiNx2層成長段階に入り、時間を135sとし、温度を490℃とし、圧力を1750paとし、シランを流量850sccmで導入し、アンモニアガスを流量6000sccmで導入し、無線周波数電力を13000Wとし、パルスのオン/オフ比を50/600とした。
【0161】
ステップ(13):3層目のSiNx3層成長段階に入り、時間を135sとし、温度を490℃とし、圧力を1750paとし、シランを流量600sccmで導入し、アンモニアガスを流量6500sccmで導入し、無線周波数電力を13000Wとし、パルスのオン/オフ比を50/600とした。
【0162】
ステップ(14):プロセスが終了した後、真空引きを行って窒素を充填して常圧に戻す段階に入り、時間を150sとし、温度を430℃とし、圧力を10000paとし、窒素ガスを流量40000sccmで導入した。
【0163】
ステップ(15):炉の扉を開けてボートを取り出し、裏面PECVDメッキ成膜プロセスのフロー全体を終了し、時間を110sとし、温度を430℃とし、圧力を10000paとし、ボート搬出速度を1000mm/minとした。
【0164】
前記表面成長の方法は、以下のステップを含む。
【0165】
ステップ(1):ボートを搬入し、シリコンウェハをグラファイト担持治具に置き、ロボットアームで管式PECVDメッキ成膜装置に送り込み、時間を120sとし、温度を510℃とし、圧力を10000paとした。
【0166】
ステップ(2):真空引きを行い、炉管に対して1回目の真空引きを行い、時間を200sとし、温度を510℃とし、圧力を0paとした。
【0167】
ステップ(3):プロセスガスが導入される前にプロセス効果を確保するように、リーク検出を行い、真空が漏れるか否かを試験し、時間を20sとし、温度を510℃とし、圧力を10000paとした。
【0168】
ステップ(4):真空引きを行い、炉管に対して急速な真空引きを再び行い、時間を20sとし、温度を510℃とし、圧力を0paとした。
【0169】
ステップ(5):定圧にし、圧力をプロセス設定値に真空引き、一部のプロセスガスを予め導入し、時間を25sとし、温度を510℃とし、圧力を205paとし、シラン流量を985sccmとし、笑気流量を4620sccmとした。
【0170】
ステップ(6):酸化ケイ素を堆積し、時間を85sとし、温度を510℃とし、圧力を205paとし、シランを流量985sccmで導入し、笑気を流量4620sccmで導入し、無線周波数電力を12600Wとし、パルスのオン/オフ比を5/150とした。
【0171】
ステップ(7):真空引きを行い、余分な反応ガスを抽出し、次のステップに進むことを準備し、時間を25sとし、温度を510℃とし、圧力を0paとした。
【0172】
ステップ(8):定圧にし、圧力をプロセス設定値に真空引き、一部のプロセスガスを予め導入し、時間を25sとし、温度を510℃とし、圧力を235paとし、シラン流量を2200sccmとし、アンモニアガス流量を6600sccmとした。
【0173】
ステップ(9):1層目の高屈折率SiNx1層を堆積し、時間を70sとし、温度を510℃とし、圧力を235paとし、シランを流量2200sccmで導入し、アンモニアガスを流量6600sccmで導入し、無線周波数電力を16500Wとし、パルスのオン/オフ比を5/80とした。
【0174】
ステップ(10):2層目のSiNx2層を堆積する段階に入り、時間を165sとし、温度を510℃とし、圧力を235paとし、シランを流量1000sccmで導入し、アンモニアガスを流量12000sccmで導入し、無線周波数電力を17500Wとし、パルスのオン/オフ比を5/80とした。
【0175】
ステップ(11):3層目のSiNx3層を堆積する段階に入り、時間を260sとし、温度を510℃とし、圧力を235paとし、シランを流量800sccmで導入し、アンモニアガスを流量12200sccmで導入し、無線周波数電力を17500Wとし、パルスのオン/オフ比を5/80とした。
【0176】
ステップ(12):SiO層を堆積する段階に入り、時間を165sとし、温度を510℃とし、圧力を195paとし、シランを流量1000sccmで導入し、アンモニアガスを流量2800sccmで導入し、笑気を流量7800sccmで導入し、無線周波数電力を17500Wとし、パルスのオン/オフ比を5/80とした。
【0177】
ステップ(13):真空引きを行い、余分な反応ガスを抽出し、次のステップに進むことを準備し、時間を20sとし、温度を510℃とし、圧力を0paとした。
【0178】
ステップ(14):定圧にし、圧力をプロセス設定値に真空引き、一部のプロセスガスを予め導入し、時間を15sとし、温度を510℃とし、圧力を185paとし、シラン流量を600sccmとし、笑気流量を9600sccmとした。
【0179】
ステップ(15):最外層の酸化ケイ素層を堆積し、時間を185sとし、温度を510℃とし、圧力を185paとし、シランを流量600sccmで導入し、笑気を流量9600sccmで導入し、無線周波数電力を14500Wとし、パルスのオン/オフ比を5/150とした。
【0180】
ステップ(16):真空引きを行い、余分な反応ガスを抽出し、時間を25sとし、温度を510℃とし、圧力を0paとした。
【0181】
ステップ(17):炉管を洗浄し、炉内の残留ガスをパージし、時間を15sとし、温度を510℃とし、圧力を0paとし、窒素ガス流量を25000sccmとした。
【0182】
ステップ(18):真空引きを行い、余分な反応ガスを抽出し、時間を15sとし、温度を510℃とし、圧力を0paとした。
【0183】
ステップ(19):常圧に戻し、炉の扉を開く準備をし、時間を90sとし、温度を510℃とし、圧力を10000paとし、窒素ガス流量を50000sccmとした。
【0184】
ステップ(20):炉の扉を開き、グラファイトボートを取り出し、表面PECVDメッキ成膜プロセスのフロー全体を終了し、時間を110sとし、温度を510℃とし、圧力を10000paとし、ボート搬出速度を1000mm/minとした。
【0185】
本実施例に係る両面太陽電池を、実施例1の方法に従って両面PERC電池-シングルガラスモジュールに製造し、このモジュールを用いて実施例1の方法に従ってPID試験を行い、試験結果は以下のとおりであった。
【0186】
【表5】
【0187】
本実施例に係る両面太陽電池を、実施例1の方法に従って両面PERC電池-ダブルガラスモジュールに製造し、このモジュールを用いて実施例1の方法に従ってPID試験を行い、試験結果は以下のとおりであった。
【0188】
【表6】
【0189】
<実施例4>
本実施例に係る両面太陽電池と実施例1との区別は、裏面のケイ素酸化物層3の屈折率が1.2であることだけにある。
【0190】
本実施例に係る両面太陽電池を、実施例1の方法に従って両面PERC電池-シングルガラスモジュールに製造し、このモジュールを用いて実施例1の方法に従ってPID試験を行い、試験結果は以下のとおりであった。
【0191】
【表7】
【0192】
本実施例に係る両面太陽電池を、実施例1の方法に従って両面PERC電池-ダブルガラスモジュールに製造し、このモジュールを用いて実施例1の方法に従ってPID試験を行い、試験結果は以下のとおりであった。
【0193】
【表8】
【0194】
<実施例5>
本実施例に係る両面太陽電池と実施例1との区別は、裏面のケイ素酸化物層3の厚さが4nmであることだけにある。本実施例に係る両面太陽電池を、実施例1の方法に従って両面PERC電池-シングルガラスモジュールに製造し、このモジュールを用いて実施例1の方法に従ってPID試験を行い、試験結果は以下のとおりであった。
【0195】
【表9】
【0196】
本実施例に係る両面太陽電池を、実施例1の方法に従って両面PERC電池-ダブルガラスモジュールに製造し、このモジュールを用いて実施例1の方法に従ってPID試験を行い、試験結果は以下のとおりであった。
【0197】
【表10】
【0198】
<実施例6>
本実施例に係る両面太陽電池と実施例1との区別は、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層4の屈折率が1.8であることだけにある。
【0199】
本実施例に係る両面太陽電池を、実施例1の方法に従って両面PERC電池-シングルガラスモジュールに製造し、このモジュールを用いて実施例1の方法に従ってPID試験を行い、試験結果は以下のとおりであった。
【0200】
【表11】
【0201】
本実施例に係る両面太陽電池を、実施例1の方法に従って両面PERC電池-ダブルガラスモジュールに製造し、このモジュールを用いて実施例1の方法に従ってPID試験を行い、試験結果は以下のとおりであった。
【0202】
【表12】
【0203】
<実施例7>
本実施例に係る両面太陽電池と実施例1との区別は、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層4の厚さが4nmであることだけにある。
【0204】
本実施例に係る両面太陽電池を、実施例1の方法に従って両面PERC電池-シングルガラスモジュールに製造し、このモジュールを用いて実施例1の方法に従ってPID試験を行い、試験結果は以下のとおりであった。
【0205】
【表13】
【0206】
本実施例に係る両面太陽電池を、実施例1の方法に従って両面PERC電池-ダブルガラスモジュールに製造し、このモジュールを用いて実施例1の方法に従ってPID試験を行い、試験結果は以下のとおりであった。
【0207】
【表14】
【0208】
<比較例1>
本比較例に係る両面太陽電池と実施例1との区別は、裏面のケイ素酸化物層3を含まないことだけにある。
【0209】
本比較例に係る両面太陽電池を、実施例1の方法に従って両面PERC電池-シングルガラスモジュールに製造し、このモジュールを用いて実施例1の方法に従ってPID試験を行い、試験結果は以下のとおりであった。
【0210】
【表15】
【0211】
本比較例に係る両面太陽電池を、実施例1の方法に従って両面PERC電池-ダブルガラスモジュールに製造し、このモジュールを用いて実施例1の方法に従ってPID試験を行い、試験結果は以下のとおりであった。
【0212】
【表16】
【0213】
<比較例2>
本比較例に係る両面太陽電池と実施例1との区別は、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層4を含まないことだけにある。
【0214】
本比較例に係る両面太陽電池を、実施例1の方法に従って両面PERC電池-シングルガラスモジュールに製造し、このモジュールを用いて実施例1の方法に従ってPID試験を行い、試験結果は以下のとおりであった。
【0215】
【表17】
【0216】
本比較例に係る両面太陽電池を、実施例1の方法に従って両面PERC電池-ダブルガラスモジュールに製造し、このモジュールを用いて実施例1の方法に従ってPID試験を行い、試験結果は以下のとおりであった。
【0217】
【表18】
【0218】
上記実施例および比較例のデータをまとめると、実施例1~3に係る両面太陽電池は、特殊な膜層構造の設計(表面膜層の多層設計および裏面膜層の多層設計を含み、ここで、裏面のケイ素酸化物層および裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層は、両面PERC電池の裏面PIDを解決するのに最も重要な構造である)を採用し、統合膜層の緻密性および電気的特性を強化し、裏面PID現象の発生を非常に効果的に緩和することができることが分かる。
【0219】
実施例4は、裏面のケイ素酸化物層3の屈折率が低いため、膜層の緻密性が足りなくなり、裏面のパッシベーション層に対するNaイオンの破壊を引き起こす。
【0220】
実施例5は、裏面のケイ素酸化物層3の厚さが低いため、膜層が薄くなり、裏面のパッシベーション層に対するNaイオンの破壊を引き起こしやすい。
【0221】
実施例6は、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層4の屈折率が低いため、膜層の緻密性が足りなくなり、裏面のパッシベーション層に対するNaイオンの破壊を引き起こす。
【0222】
実施例7は、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層4の厚さが低いため、膜層が薄くなり、裏面のパッシベーション層に対するNaイオンの破壊を引き起こしやすい。
【0223】
比較例1は、裏面のケイ素酸化物層3を含まないため、保護膜層による阻止がなくなり、裏面のパッシベーション層に対するNaイオンの破壊を引き起こす。
【0224】
比較例2は、裏面の第1窒素含有ケイ素化合物層4を含まないため、保護膜層による阻止がなくなり、裏面のパッシベーション層に対するNaイオンの破壊を引き起こす。
【0225】
本願は、上記実施例により本願の詳細方法を説明するが、本願は上記詳細方法に限定されず、即ち、本願は上記詳細方法に依存しなければ実施できないことを意味するものではないことを出願人より声明する。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D