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特許7589338自動ジアゾメタン作製装置、反応装置及び固相クエンチャ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】自動ジアゾメタン作製装置、反応装置及び固相クエンチャ
(51)【国際特許分類】
   C07C 245/16 20060101AFI20241118BHJP
【FI】
C07C245/16
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023513454
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 IN2021050811
(87)【国際公開番号】W WO2022044038
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】202011036463
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】508176500
【氏名又は名称】カウンシル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン,アージャイ クマール
(72)【発明者】
【氏名】パバラジャ,スリハリ
(72)【発明者】
【氏名】ジャイスワル,ディーパク クマール
(72)【発明者】
【氏名】アーンド,ドニャネシュワール
(72)【発明者】
【氏名】ラナ,アビラシュ
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-513624(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111423338(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0029138(KR,A)
【文献】特表2013-544238(JP,A)
【文献】特開2015-203084(JP,A)
【文献】国際公開第2019/060818(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 245/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.一体型ポンプと;
ii.管状流動反応装置[キャピラリマイクロリアクタ]と;
iii.液-液マイクロセパレータと;
iv.固体MOFクエンチャと、
を含む、式1:
CH
式1
の高毒性ジアゾメタンの生成、利用及びクエンチングのための自動装置であって、
前記自動装置が、高毒性ジアゾメタンの実験室規模の生成及び利用のためのDiazo-M-pen、又は高毒性ジアゾメタンの工業規模の生成、利用及びクエンチングのためのDiazo-M-cubeの形態である、自動装置。
【請求項2】
i.有機溶媒中の式2:
【化1】

のN-メチル-N-ニトロソアミンの原液を連続で流して、T-ミキサーで水性無機塩基と混合し、さらに20~30℃の範囲内の温度で管状流動反応装置[キャピラリマイクロリアクタ]に通すステップであって、式2が、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジン、N-メチル-N-ニトロソウレア、N-メチル-N-ニトロソカルバマート、N-メチル-N-ニトロソウレタン及びN-メチル-N-ニトロソ-p-トルエンスルホンアミドからなる群から選択される、前記ステップと;
ii.水層と0.1~0.4Mのジアゾメタンを含有する有機層とを連続フローマイク
ロセパレータで分離するステップと;
iii.ジアゾメタンを含有する有機層を、前記固体MOFクエンチャと反応させて、前記固体MOFクエンチャはカルボキシルMOF、MOFでコートされた綿から選択され、対応するカルボキシルMOF及びMOFでコートされた綿繊維を形成させるステップと、
を含む、請求項1に記載の自動装置を通した式1のジアゾメタンのワンクリック生成、利用及びクエンチングのための連続フロー方法。
【請求項3】
前記無機塩基が、水酸化カリウムである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記管状流動反応装置[キャピラリマイクロリアクタ]が、ジアゾメタンと反応しないPFA、PTFE、及びPEからなる群から選択される材料を用いて調製される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記管状流動反応装置[キャピラリマイクロリアクタ]が、少なくとも1mmの内径及び1.6mm(1/16インチ)の外径を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記有機溶媒が、エーテル、又はメタノールであり、前記エーテルはジエチルエーテルである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記マイクロセパレータが、疎水性に基づく膜セパレータである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記カルボキシルMOFが、HKUST、UiO-66、MIL-100、Eu-MOF、MIL-101-(Cr)、及びMIL-101-(Fe)からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記カルボキシルMOFがHKUST-10M、HKUST-20M、HKUST-30M、HKUST-35M、HKUST-40M、HKUST-50M、HKUST-60M、UiO-66-60M、MIL-100-60M、Eu-MOF-60M、MIL-101(Cr)-60M、及びMIL-101(Fe)-60Mからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記カルボキシルMOFが、HKUSTでコートされた綿繊維の形態である、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体型ポンプ、管状流動反応装置、液-液マイクロセパレータ、固体MOFクエンチャなどで構成された、式1:
CH
式1
の高毒性ジアゾメタンの生成、利用及びクエンチングのための自動装置(Diazo-M-pen及びDiazo-M-cube)に関する。
【0002】
詳細には本発明は、自動装置[Diazo-pen又はDiazo-cube]を通した式1のジアゾメタンのワンクリック生成のための連続フロー方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ジアゾメタンは、カルボン酸、フェノール、アルコール、エノール、ヘテロ原子の中にメチル又はメチレン基を導入するための広範囲の有用性を有し、ケトン環拡大又は鎖延長、及びケトンからエポキシドへの変換などにも用いられる。さらに、酸塩化物からα-ジアゾケトンへの変換、シクロプロピル又は窒素含有複素環式化合物を生成するためのオレフィンでの環化付加反応、ケトン又はアミノ酸のホモログ化にも使用される。さらなる例は、殺生物剤及び殺虫剤、並びに機能性化学薬品、重合反応のための溶媒、サキナビル(Roche Laboratories)、シタグリプチンなどのAPI中間体の形成をはじめとする薬物及び天然製品の多段階合成を含む。ジアゾメタンの並外れた性能の1つが、基質のキラリティーを損なうことなく、又は分子のいずれの残り部分にも影響を及ぼさずに、炭素の付加が行われることである。特にアーント・アイシュタート反応では、他の代わりの試薬は利用できず、ジアゾメタンを使用することが必須となる。ジアゾメタンは、広い合成汎用性にもかかわらず、発癌性、アレルゲン性、有毒性及び爆発性のために、非常に危険な試薬である。
【0004】
ジアゾメタンのバッチ方法の合成では、すりガラスジョイント及び火炎研磨されていない任意のガラス製品の使用に対して注意が必要である。過去数十年間では、Aldrich Chemical Company, Inc., Milwaukee, Wis., USA,Aldrichimica Acta 16(1): 3-10 (1983)の装置、エルレンマイヤーガラス製品などのジアゾメタン調製用の一連の特殊設計機器が、利用可能である。無水ジアゾメタンを生成するために、古典的蒸留技術が適用されてきたことが、留意すべき点である。ジアゾメタンの高爆発性及び遺伝毒性は、求核性DNAとの反応であり、その場合、数ppmの暴露であっても熱による咽頭炎及び呼吸困難を引き起こす。結果的にこの分野の作業者は、生成、蒸留及び運搬において重大な安全性問題に直面しなければならず、そのことが、多くの潜在的好機を逸した原因である。したがって、安全かつ効率的な化学的アプローチを開発して、ジアゾメタンの化学作用の範囲を新たな未踏の次元にまで拡大することが、非常に急がれている。
【0005】
蒸留工程を回避するために、複数の実験室規模の連続フローツールが、潜在的に毒性、反応性又は爆発性の中間体の安全かつ簡便な現場オンデマンド生成(in situ on-demand production)に向けて出現した。現在では、ジアゾメタンが爆発の危険性をほとんど、又は全く生じずに小規模の流動反応で合成され得ることが、発見されている。しかし、モジュール式流動化学機器が入手不可能であること、及び反応装置を設計することに関与する高価格、訓練されていない労働力、実験室規模の生産性、埋入された膜の低透過性、汚損、低い柔軟性などが、工業的適用性を制限している。その一方で、高い化学量論量のジアゾメタンが、化学反応に必要となり、それが合成後仕上げ
工程での未使用ジアゾメタンの暴露につながる。現在まで、過剰な未使用ジアゾメタンのためのクエンチング工程は、探究されていない。
【0006】
上述の問題を理解するために、本発明者らは、実験室規模のための自動Diazo-pen及びキロスケールのDiazo-cubeを提示し、Diazo-cubeは、工業規模のために並列化されたDiazo-cubeとして拡大され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は、一体型ポンプ、管状流動反応装置、液-液マイクロセパレータ、固体MOFクエンチャなどで構成された、式1:
CH
式1
の高毒性ジアゾメタンの生成、利用及びクエンチングのための自動装置(Diazo-M-pen及びDiazo-M-cube)を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、多機能性で(multi-operational)中間体精製及び溶媒交換合成を行わない式Iの医薬品原薬(API)の自動Diazo-M-penシステムを提供することである。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、多段階工程システムを完全に安全な手法で実行し得る工業規模のDiazo-M-cubeシステムを提供することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、自動装置[Diazo-pen又はDiazo-cube]を通した式1のジアゾメタンのワンクリック生成のための連続フロー方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって本発明は、
i.一体型ポンプと;
ii.管状流動反応装置と;
iii.液-液マイクロセパレータと;
iv.固体MOFクエンチャと、
を含む、高毒性ジアゾメタンの生成、利用及びクエンチングのための自動装置を提供する。
【0012】
本発明の実施形態において、該自動装置は、高毒性ジアゾメタンの生成及び利用のためのDiazo-M-pen、又は高毒性ジアゾメタンの生成、利用及びクエンチングのためのDiazo-M-cubeを含む。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、
i.有機溶媒中の式2:
【0014】
【化1】
【0015】
(式中、Rは、SO-、-C(=O)-、及び-C(=NH)-からなる群から選択される電子吸引ラジカルである)のN-メチル-N-ニトロソアミンの原液を連続で流して、T-ミキサーで水性無機塩基と混合し、さらに20~30℃の範囲内の温度でキャピラリマイクロリアクタに通すステップと;
ii.水層とジアゾメタンを含有する有機層とを連続フローマイクロセパレータで分離するステップと;
iii.ジアゾメタンを含有する有機層を、カルボン酸、フェノール、アルキン、酸無水物、カルボキシラート系MOF、MOFでコートされた綿と反応させて、対応するエステル、ピラゾール、エーテル、ジアゾケトン、安定したMOF及び安定したMOFでコートされた綿繊維を形成させるステップと、
を含む、自動装置を通した式1:
CH
式1
のジアゾメタンのワンクリック生成、利用及びクエンチングのための連続フロー方法を提供する。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態において、有機層中の前記ジアゾメタンの濃度は、約0.1~0.4Mで維持される。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態において、式2は、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジン、N-メチル-N-ニトロソウレア、N-メチル-N-ニトロソカルバマート、N-メチル-N-ニトロソウレタン及びN-メチル-N-ニトロソ-p-トルエンスルホンアミドからなる群から選択される。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態において、前記無機塩基は、水酸化カリウムである。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態において、前記キャピラリマイクロリアクタ[管状流動反応装置]は、ジアゾメタンと反応しないPFA、PTFE、PEからなる群から選択される材料、好ましくは少なくとも約1mmの内径及び1.6mm(1/16インチ)の外径を有するPFAを用いて調製される。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態において、前記有機溶媒は、エーテル、好ましくはジエチルエーテル及びメタノールから選択される。
【0021】
本発明のさらに別の実施形態において、前記マイクロセパレータは、疎水性に基づく膜セパレータである。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態において、前記エステルは、安息香酸メチル、4-ニトロ安息香酸メチル、4-エトキシ安息香酸メチル、3,5-ジメチル安息香酸メチル、4-(ベンジルオキシ)安息香酸メチル、及び4-(ベンジルオキシ)安息香酸メチルからなる群から選択される。
【0023】
本発明のさらに別の実施形態において、前記ピラゾールは、5-(p-トリル)-1H-ピラゾールからなる群から選択される。
【0024】
本発明のさらに別の実施形態において、前記エーテルは、1-ブロモ-4-メトキシベンゼン、及び4-ブロモ-1,2-ジメトキシベンゼンからなる群から選択される。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態において、前記ジアゾケトンは、(R)-ベンジル(4-ジアゾ-3-オキソ-1-フェニルブタン-2-イル)カルバマートである。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態において、前記カルボキシル化MOFは、HKUST、HKUSTでコートされた綿繊維、UiO-66、MIL-100、Eu-MOF、MIL-101-(Cr)、MIL-101-(Fe)からなる群から選択される。
【0027】
本発明のさらに別の実施形態において、前記安定したカルボキシル化MOFは、HKUST-10M、HKUST-20M、HKUST-30M、HKUST-35M、HKUST-40M、HKUST-50M、HKUST-60M、HKUSTでコートされた綿繊維、60M、UiO-66-60M、MIL-100-60M、Eu-MOF-60M、MIL-101(Cr)-60M、MIL-101(Fe)-60Mからなる群から選択される。
【0028】
本発明のさらに別の実施形態において、前記Diazo-penは、実験室規模のジアゾメタン作製及びその適用のために選択され、前記Diazo-cubeは、工業規模のジアゾメタン作製及びその適用のために選択される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】Diazo-M-pen及びDiazo-cubeの概略図を表す。
図2】様々な反応でのDiazo-penの利用のための概略図を表す。
図3】ジアゾメタンクエンチャHKUSTの開発のための変色実験を表す。
図4】元のHKUST及び1時間ジアゾメタン処置されたHKUST-60MのSEM及びEDX分析画像を表す。
図5】元のHKUST及び様々な時間でジアゾメタン処置されたHKUSTのATR-IR分析を表す。
図6】元のHKUST及び1時間ジアゾメタン処置されたHKUSTの粉末XRD分析を表す。
図7】元のHKUST及び1時間ジアゾメタン処置されたHKUSTの疎水性分析を表す。
図8】HKUSTでコートされた綿及び1時間ジアゾメタンに暴露されたHKUSTの変色実験を表す。
図9】元のUiO-66及び1時間ジアゾメタン処置されたUiO-66-60MのSEM及びEDX分析画像を表す。
図10】UiO-66及び様々な時間でジアゾメタン処置されたUiO66-60MのATR-IR分析を表す。
図11】元のMIL-101-Cr及び様々な時間でジアゾメタン処置されたMIL-101-Cr-60MのATR-IR分析を表す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
略語のリスト
BPR=背圧レギュレータ
DCE=ジクロロエタン
MeCN=アセトニトリル
TEA=トリエチルアミン
ETFE=エチレンテトラフルオロエチレン
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
HRMS=高分解能質量分析
ID=内径
IR=赤外線
NMR=核磁気共鳴
OD=外径
PE=ポリエチレン
PFA=ペルフルオロアルコキシアルカン
PTFE=ポリテトラフルオロエチレン
SS=ステンレス鋼
TLC=薄層クロマトグラフィー
UV=紫外線
【0031】
用いられた生物学的材料の詳細
本発明で用いられた綿は、現地の業者であるUppal Rd, IICT Colony, Tarnaka, Hyderabad, Telangana 500007から調達される。
【0032】
本発明の詳細な記載
本明細書で用いられる修飾語「約」は、2つのエンドポイントの絶対値により定義された範囲を開示していると見なされなければならない。例えば表現「約1~約4」はまた、範囲「1~4」を開示している。用語「約」は、1つの数字を修飾するために用いられる場合、示された数字を含む前記数字の±10%をいう場合がある。例えば「約10%」は、9%~11%の範囲に及ぶ場合があり、「約1」は、0.9~1.1を意味する。
【0033】
本明細書で用いられる用語「減圧」は、大気圧未満である圧力をいう。例えば減圧は、約1kPa(約10mbar)~約5kPa(約50mbar)である。
【0034】
本明細書で用いられる用語「ポンプ」は、流体(液体又は気体)又は時にはスラリーを機械作用により移動させるデバイスをいう。
【0035】
本明細書で用いられる用語「プロトン性溶媒」は、不安定なHを含有する任意の有機溶媒をいい、非プロトン性溶媒はその逆である。
【0036】
本明細書で用いられる用語「プロトン酸」は、不安定なHを含有する任意の試薬をいい、生成物はその逆である。
【0037】
本明細書で用いられる用語「塩基」は、不安定なOH又はプロトン受容体を含有する任意の試薬をいい、生成物はその逆である。
【0038】
本発明は、Diazo-pen又はDiazo-cube及びそれらの類似体を通した、式1:
CH
式1
のジアゾメタンの調製のための自動超高速多機能型連続フロー反応システムを提供する。
【0039】
本発明は、式1の高安全性自動ジアゾメタン作製装置(Pen及びCube)のための
連続フロー方法システムを提供する。
【0040】
本発明は、式1のジアゾメタンの調製、抽出及び膜による液-液分離のための一体型連続フロー反応システムDiazo-penを用いた方法を提供する。
【0041】
Diazo-penは、シリンジポンプと、管状マイクロリアクタと、マイクロセパレータと、で構成され、該マイクロセパレータは、漏出を予防するように該デバイスを密封するためにネジによってきつく押さえ付けられた2つの金属ホルダーの間に挟まれた、3枚の交互に並んだポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート及び同一寸法の溝を有するPTFE疎水性膜の中に挟まれた長く曲がりくねったトンネルからなる。
【0042】
中央部分の膜マイクロセパレータは、疎水性PTFE膜を有する特殊設計のレーザで掘られたマイクロパターンのあるPTFEシートのアセンブリで構成され、該疎水性膜は、平均孔径0.25~0.45mmを有する。
【0043】
ジアゾメタン中間体及びそのさらなる生成物は、式2が式3の塩基と反応すること、有機溶媒で抽出すること、及びマイクロセパレータで水層-有機層分離により式1のジアゾメタンCHを得ること、により調製されてもよい。
【0044】
【化2】
【0045】
式2は、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジン、N-メチル-N-ニトロソウレア、N-メチル-N-ニトロソカルバマート、N-メチル-N-ニトロソウレタン及びN-メチル-N-ニトロソ-p-トルエンスルホンアミド、並びにそれらの混合物からなる群から選択されるアミン化合物である。
【0046】
図3は、KOH、NaOH、NHOH、LiOH、RbOH、CsOH、Ca(OH)、Ba(OH)、Sr(OH)、及びそれらの混合物からなる群から選択される塩基化合物である。
【0047】
有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、THF、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、トルエン、MTBE、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、N-メチルピロリドン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0048】
反応は、PTFE、PFA、PE、SS-316、astealloy、ガラス及び
それらの混合物からなる群から選択されるキャピラリマイクロリアクタで実行される。
【0049】
水層-有機層連続分離は、膜セパレータ、比重に基づく分離、疎水性に基づく分離、濾紙及びそれらの混合で実施されてもよい。
【0050】
Diazo-penを通して合成されたジアゾメタンが、以下の反応で用いられた。
【化3】
【0051】
i.式1と反応させることによる式4のエステル化で、式5の化合物を得るためのDiazo-pen;ここで、式4のカルボン酸化合物としては、安息香酸、4-ニトロ安息香酸、4-エトキシ安息香酸、3,5-ジメチル安息香酸、4-(ベンジルオキシ)安息香酸、及び3-ブロモ-4-メチル安息香酸、並びにそれらの混合物が挙げられる。
ii.式1と反応させることによる式6のピラゾール環形成で、式7の化合物を得るためのDiazo-pen;ここで、式6のアルキン化合物としては、1-エチニル-4-メチルベンゼン及びその混合物が挙げられる。
iii.式1と反応させることによる式8のフェノール基保護で、式9の化合物を得るためのDiazo-pen;ここで、式8のフェノール化合物としては、4-ブロモフェノール、及び4-ブロモ-2-メトキシフェノール、並びにそれらの混合物が挙げられる。
iv.式1で処置することによる式10の変換で、式11の化合物を得るためのDiazo-pen;ここで、式10の無水(R)-化合物としては、2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-3-フェニルプロパン酸(炭酸エチル)無水物、及びその混合物が挙げられる。
v.式1と反応させることによる式12のカルボキシル化MOFの安定化で、式13の化合物を得るためのDiazo-pen;ここで、式12のカルボキシル化MOFは、HKUST、HKUSTでコートされた綿繊維、UiO-66、MIL-100、Eu-MOF、MIL-101-(Cr)、MIL-101-(Fe)、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0052】
本発明は、工業規模の現場ジアゾメタン作製、抽出、分離、及び試薬を通したさらなる消費、並びに最終的に、未使用のジアゾメタンの分解のために新たに開発されたクエンチャを通すことを提供する。
【0053】
第三の実施形態(Diazo-cube)によれば、カルボン酸、アルキン、アルコール、カルボキシル化MOFの存在下で実施されてもよい。
【0054】
本発明は、
1.ジアゾメタン作製ステップにおいて、
溶媒の混合物中の式2のNMU及び式3の塩基の溶液をDiazo-pen反応装置に導入し、反応混合物を反応装置内で0~40℃の範囲内の温度及び約0~500kPa(
約0~5bar)の圧力で約1~10分間維持して、式1の化合物を得るステップ、
を含むジアゾメタン利用の合成のための高度に安全な方法を提供する。
【0055】
ステップa)における反応のための溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、THF、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、トルエン、MTBE、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、N-メチルピロリドン、及びそれらの混合物の群から選択される溶媒の混合物である。
【0056】
表1は、Diazo-pen反応装置を用いたステップa)のモデル反応の最適化を表しており、一般には反応の性能は、流速(滞留時間)、溶媒、及び温度に依存することを見出した。複数の反応条件を試験した後、最終的に、滞留時間4.5分及び周囲温度で、ジアゾメタンを収率86%(表1の登録番号3の2.5mmolh-1生成率)で得た。
【0057】
表1:連続フロー方法における式1合成の最適化
【化4】
【表1】
【0058】
反応条件:式2=1:2比のMeOH&ジエチルエーテル中の0.162M、式3=水中の30重量%;式1の収率は、安息香酸の滴定に基づく。
【0059】
結果を、従来のバッチ方法/流動方法での過去に報告された文献と比較すると、バッチ方法の場合、高温(45~60℃)、反応時間3時間、さらに抽出時間0.5~1時間、その後より高温で蒸留する必要があり、不要な触媒であるジエチレングリコールモノエチルエーテルを使用することは、特筆すべきである(1998年米国特許、米国特許第5817778号明細書)。
【0060】
図2は、式5~13の生成のための概略的な一体化連続フローの全工程システムの例示である。Diazo-penの全工程システムは、ジアゾメタンの連続作製のための要素、即ち、合成、クエンチング、抽出、液-液マイクロセパレータからなる。
【0061】
(a)エステル形成反応のためのDiazo-pen
Diazo-penからの式1の流出粗混合物と式4を、別々に適切な非プロトン性溶
媒に溶解し、バッチ方法下で撹拌し、式5を得る。複数のパラメータを試験した後、最終的に、個々のステップの設定により、21分のジアゾメタン暴露で式5を収率63~90%で得た(図2)。
【0062】
(b)ピラゾール合成反応のためのDiazo-pen
Diazo-penからの式1の流出粗混合物と、別々に適切な非プロトン性溶媒に溶解した1-エチニル-4-メチルベンゼンを、一緒に混合してバッチ方法下で撹拌し、式7を得る。複数のパラメータを試験した後、最終的に、ピラゾールのステップでは、21分のジアゾメタン暴露で式7を収率41%で得た(図2)。
【0063】
(c)フェノール基保護反応のためのDiazo-pen
置換フェノールの原液を、丸底フラスコで調製し、Diazo-penの出口を、RBと直接接続し、システムに漏出がないことを確認した。Diazo-penは、フェノール基保護のために即時調製したジアゾメタンを注入するように設定した。一般にフェノール基保護は、反応時間、温度及び圧力に依存し、最終的に収率36~67%で式9が、反応時間21分で得られた。反応完了後に、反応混合物が減圧下で蒸発され、過剰なDEEを除去した。得られた混合物を公知の先行技術で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過して濃縮した。
【0064】
(d)アーント・アイシュタート合成反応のためのDiazo-pen
一般に、調製したばかりの(R)-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-3-フェニルプロパン酸(炭酸エチル)無水物を、非プロトン性溶媒に溶解し、Diazo-penを通して即時作製したジアゾメタンと共に短時間、撹拌した。最終的に、収率79%で式11が、反応時間21分で得られた。得られた混合物は、公知の先行技術を通して抽出及び単離した。
【0065】
(e)Diazo-penを通したMOFの安定化
カルボキシラート系金属有機物構造体(MOF)は、極めて高い多孔性を有し、ほとんどがデバイス内の気体貯蔵、感知、触媒、及び電気活性材料などの様々な適用で用いられる。カルボキシラート系MOFの基本課題は、極性溶媒中の不安定性である。Cu系MOF(HKUST)は、極めて高い多孔性を有するが、安定性を欠くため、複数の適用が探究されていない。安定性問題を解決するために、本発明者らは、ジアゾメタンで処置するためのモデルMOFとしてHKUSTを選択した。第一に本発明者らは、公知の先行技術からHKUSTを調製し、Diazo-penから作製したジアゾメタンに直接、限られた時間(0~60分)暴露した。図3は、式13a~13gを得るためのHKUSTの変色特性(暗青色から緑色へ)を通したジアゾメタン感知を記載している。一般に反応性能は、ジアゾメタン暴露時間に依存することが見出されており、1時間が、HKUST 100mgを飽和するのに充分であることが見出された。ジアゾメタン暴露の間の分子レベル変化の詳細な見通しを知るために、本発明者らは、ATR-IR分析を実行し、エステル形成に対応する2850及び2925cm-1あたりの2つの新しいピークが、出現した。IRの結果から、未反応のカルボン酸基がエステル形態に変換されていることが示される(図4)。さらに、MOFの形状及びサイズに関する構造的変化を知るために、本発明者らは、SEM分析を実行し、結果から、結晶サイズが維持されているが多孔性が上昇したことが示される(図5)。次に、ジアゾメタン暴露の間の結晶欠損をチェックするために、本発明者らは、粉末XRDを実行し(図6)、結果から、結晶形状及びサイズの変化がないことが示される。図7は、処置及び非処置のHKUST部分の接触角を記載しており、結果から、接触角が式13gで125に増加したことが示される。さらに本発明者らは、式13gのpH安定性をチェックし、結果から、pH0~14の下では式13gが安定していることが示される。
【0066】
次の発明では、ジアゾメタンのための装着可能な固体クエンチャを提供するために、HKUST MOFを綿の表面にコーティングし、ジアゾメタンガスに暴露した。色が青色から緑色に変化し、ジアゾメタンの吸収及び分解を示した。
【0067】
次に本発明者らは、公知の先行技術を通して複数のカルボキシル化MOF(UiO-66、MIL-100、Eu-MOF、MIL-101(Cr)、MIL-101(Fe))を合成し、直接Diazo-penに1時間暴露し、さらなる試料を、様々な分析技術を通して特徴づけた(図8~10)。
【0068】
(2)Diazo-cube
Diazo-penは、自動シリンジポンプに基づき、ありとあらゆる実験のために、式2と、式3の塩基溶液とを供給すること、及び実験室規模で使用することを必要とする。さらに本発明を拡大するために、本発明は、ジアゾメタン試薬の現場作製と、反応生成物からの分離と、次の、発癌性試薬での所望の生成物の合成及びクエンチングによる未反応発癌性試薬の分解と、最終的な所望の生成物の分離と、の全てを安全な系列的手法で可能にするマイクロ流体力学デバイスからなるDiazo-cubeプラットフォーム(図11)を提供する。Diazo-cubeでは、MeOH:DEE中の式2の溶液及び水中の塩基の溶液を、ポンプを用いてT-ミキサーでキャピラリマイクロリアクタに導入した。式2溶液の流速(0~30ml/分)は、試薬及び基質の化学量論に従って、塩基溶液と同じ速度(0~30ml/分)に保持した。2種の溶液は、化学量論を維持するために(式2:式3)の比の流速でT-ミキサーに導入し、その後、ジアゾメタン作製のために滞留時間0~4分及び室温でPTFE管に通した。首尾よく完了した後、水層及びDEE連続フローの液滴を、本発明者らにより部分的に改良し過去に報告したマイクロセパレータを通して分離した。滞留時間0~10分、圧力0~1000kPa(0~10bar)が、式1の粗有機溶液の水性廃棄物除去に充分であることが見出された。さらに、マイクロセパレータからの流出溶液を、再循環ポンプに接続し、酸又はフェノール又はアルキン又はアルケン又は酸無水物又はアルデヒドの溶液をボトルに入れポンプと接続した。式1溶液の流速を、試薬及び基質の化学量論に従って保持し、反応を起こすために短い滞
留時間並びに周囲温度及び圧力でペルフルオロアルコキシ(PFA)管にスムーズに通した。次に、流出した反応混合物中の過剰のジアゾメタンを、HKUST MOFが充填された触媒カートリッジに通した。合成後の工程は、先行技術に従って実施した。
【0069】
実験で用いられた材料及び方法
試薬及び化学薬品のほとんどは、Spectrochem又はAVRA又はSigma-Aldrichから購入し、任意のさらなる精製を行うことなくそのままの状態で用いた。一般的有機化学薬品及び塩は、インドのAVRA chemicalsより購入した。
【0070】
脱イオン水(導電率18.2mS)を、全ての実験に用いた。仕上げ及び精製手順の全ては、試薬級の溶媒を使用して実行した。分析薄層クロマトグラフィー(TLC)は、分析クロマトグラフィーシリカゲル60 F254でプレコートされたプレート(0.25mm)を用いて実施した。展開したクロマトグラムを、UVランプ(254nm)により分析した。
【0071】
PTFE(id=100~1000μm)管、T字形接合部及び背圧コントローラ(BPR)は、Upchurch IDEX HEALTH & SCIENCEより調達した。ポンプは、KNAUERから購入した。SS318キャピラリは、インド、ムンバイのSpectrum Marketから購入した。加熱反応装置は、Thales Nano Nanotechnology, Inc.から購入した。
【0072】
測定方法
高分解能質量分析(HRMS)は、JMS-T100TD機器(DART)及びThermo Fisher Scientific Exactive (APCI)により取得した。
【0073】
核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、CDCl又はDMSO-d溶媒中、Bruker 600、500、400又は300MHzで記録された。H NMRの化学シフトは、テトラメチルシラン(δ0.00パート・パー・ミリオン(ppm))に対するppmで表される。13C NMRの化学シフトは、CDCl(δ77.0ppm)に対するppmで表される。データは、以下の通り報告される:化学シフト、多重度(s=一重線、d=二重線、dd=二重線の二重線、t=三重線、q=四重線、quin=五重線、sext=六重線、m=多重線)、カップリング定数(Hz)、及び積分値。
【0074】
GC/MS分析は、HP-5カラム(30m×0.25mm、Hewlett-Packard)を具備したShimadzu technology GCMS-QP2010機器及び3軸検出器を有する作り付けのMS 5975CVL MSDシステムで実行した。ATR分析は、Portable FTIR分光計Bruker ALPHAで実行した。
【0075】
式1の合成のための一般的手順
1.MeOH及びジエチルエーテル中の式2の溶液、別個に水中の式3の溶液を、シリンジに入れ、図1に記載されたようにポンプと接続した。
2.試薬及び基質の化学量論に従って、式2溶液の流速を、式3の流速に応じて変動させ、反応を起こすためにペルフルオロアルコキシ(PTFE)管(内径(id)=800~1000μm、長さ=1~4m、容量=1.0~3.0mL)にスムーズに通した。
3.滞留時間1~10分、0~25℃及び圧力0~100kPa(0~1bar)で、式1のジアゾメタン作製に充分であることを見出した(表1)。
4.水層及び有機層の連続フロー分離は、本発明者らの実験室で過去に報告したマイクロセパレータを通して実施した。滞留時間1~3分、圧力0~100kPa(0~1bar)で、式1の粗有機溶液の水性廃棄物除去に充分であることを見出した。
5.作製された式1をクエンチし、カルボン酸基で滴定した。
【実施例
【0076】
以下の実施例は、例示として与えられており、それゆえ本発明の範囲を限定すると解釈されてはならない。
【0077】
実施例1
Diazo-M-penを用いた式1の合成
MeOH:DEE中の式2(1:2比、0.162M)の溶液及び水中のKOHの溶液(30重量%)を、シリンジポンプを用いてT-ミキサーでキャピラリマイクロリアクタに導入した。式2溶液の流速は、試薬及び基質の化学量論に従って、KOH溶液と同じ速度に維持されるようにした。2種の溶液を、1:33比(式2:式3)の流速でT-ミキサーに導入して、化学量論を維持し、その後、滞留時間3.3分及び室温でのジアゾメタン作製のためにPTFE管(id=1000μm、l=2.55m、vol.=2ml)に通した(表1、登録番号6)。首尾よく完了した後、水層及びDEE連続フローの液滴は、本発明者らにより部分的に改良されたマイクロセパレータを通して分離した(Organic Synthesis and Process Chemistry 2019, 23, 9, 1892-1899)。滞留時間1.16分、圧力0~100kPa(0~1bar)で、式1の粗有機溶液の水性廃棄物除去に充分であることを見出した
。流出したDEE反応混合物を、安息香酸で滴定して安息香酸メチルを得て、ジアゾメタン濃度を確認した(DEE中に0.21M)。
【0078】
実施例2
式5の合成のための一般的手順
1.Teflonコートされた磁気撹拌棒を具備した炉乾燥済み10~50mL試験管に、カルボン酸(1mmol)を添加した。その後、DEE又はメタノール又はエタノール又はTHF(0~10ml)をシリンジで添加し、さらに試験管をセプタムで密封し、追加で窒素バルーンを試験管の上に配置した。
2.次に、ジアゾメタン溶液を、上記の通り設計されたDiazo-penを通して0~21分間添加した(1mmolジアゾメタンに相当)。
3.0~21分間のジアゾ暴露の後、生成物を水性NaHCO(3×20mL)で洗浄し、その後、ブライン(30mL)で洗浄した。
4.有機相をNaSOで脱水し、減圧下で濃縮して、式5を得た。
【0079】
実施例2~7
安息香酸メチル(5a)の合成
【0080】
【化5】
【0081】
Teflonコートされた磁気撹拌棒を具備した炉乾燥済み50mL試験管に、安息香酸(122mg、1mmol)を添加した。その後、DEE(10ml)をシリンジで添加した。その後、試験管をセプタムで密封し、加えて窒素バルーンを試験管の上に配置した。次に、ジアゾメタン溶液を、上記の通り設計されたDiazo-penを通して21分間添加した(1mmolジアゾメタンに相当)。21分間のジアゾ暴露の後、得られた生成物を水性NaHCO(3×20mL)で洗浄し、その後、ブライン(30mL)で洗浄した。有機相をNaSOで脱水し、減圧下で濃縮して、無色の液体の式5aを得た(117mg、86%)。
【0082】
実施例3
4-ニトロ安息香酸メチル(5b)の合成
【0083】
【化6】
【0084】
式(5b)の化合物は、上記の実施例2の手順及び対応する反応体を含む一般的手順に従って合成した。粗製の材料を減圧下で乾燥し、白色固体の5bを得た(128mg、71%)。スペクトルデータは、文献に報告された値と一致した(Tetrahedron
Letters 2015, 56, 7008)。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.72 (s, 1H), 7.16 (dd, J = 30.7, 7.8 Hz, 2H), 3.88 (s, 3H), 2.54 (s, 3H), 2.34 (s, 3H)。13C NMR (101 MHz, CDCl) δ 168.26, 137.03, 135
.23, 132.74, 131.61, 131.02, 129.33, 51.77, 21.25, 20.80。MS (EI): m/z 181.04 (M+)。
【0085】
実施例4
4-エトキシ安息香酸メチル(5c)の合成
【0086】
【化7】
【0087】
式(5b)の化合物は、上記の実施例2の手順及び対応する反応体を含む一般的手順に従って合成した。粗製の材料を減圧下で乾燥し、無色液体の5cを得た(153mg、85%)。スペクトルデータは、文献に報告された値と一致した(Organic Letters 2015, 17, 5276)。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.97 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 6.89 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 4.07 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.87 (s, 3H), 1.42 (t, J = 7.0 Hz, 3H)。13C NMR (101 MHz,
CDCl) δ 165.85, 161.73, 130.54, 121.35, 113.01, 62.64, 50.78, 13.65。MS (EI): m/z 180.08。
【0088】
実施例5
3,5-ジメチル安息香酸メチル(5d)の合成
【0089】
【化8】
【0090】
式(5d)の化合物は、上記の実施例2の手順及び対応する反応体を含む一般的手順に従って合成した。粗製の材料を減圧下で乾燥し、無色液体の5dを得た(153mg、85%)。スペクトルデータは、文献に報告された値と一致した(xxx)。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.72 (s, 1H), 7.16 (dd, J = 30.7, 7.8 Hz, 2H), 3.88 (s, 3H), 2.54 (s, 3H), 2.34 (s, 3H)。13C NMR (101 MHz, CDCl) δ 168.26, 137.03, 135.23, 132.74, 131.61, 131.02, 129.33, 51.77, 21.25, 20.80。MS (EI): m/z 164.20。
【0091】
実施例6
4-(ベンジルオキシ)安息香酸メチル(5e)の合成
【0092】
【化9】
【0093】
式(5d)の化合物は、上記の実施例2の手順及び対応する反応体を含む一般的手順に従って合成した。粗製の材料を減圧下で乾燥し、白色固体の5eを得た(218mg、90%)。スペクトルデータは、文献に報告された値と一致した(Organic Letters 2019, 21, 5331)。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.13 - 7.89 (m, 2H), 7.57 - 7.27 (m, 5H), 7.04 - 6.95 (m, 2H), 5.12 (s, 2H), 3.88 (s, 3H)。13C NMR (101 MHz, CDCl) δ 166.85, 162.51, 136.28, 131.64, 128.71, 128.24, 127.52, 122.87, 114.49, 70.13, 51.91。MS (EI): m/z
242.8。
【0094】
実施例7
3-ブロモ-4-メチル安息香酸メチル(5f)の合成
【0095】
【化10】
【0096】
式(5f)の化合物は、上記の実施例2の手順及び対応する反応体を含む一般的手順に従って合成した。粗製の材料を減圧下で乾燥し、白色固体の5fを得た(194mg、85%)。スペクトルデータは、文献に報告された値と一致した(Organic Letters 2020, 22, 1624)。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.20 (s, 1H), 7.87 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 3.91 (s, 3H), 2.45 (s, 3H)。13C NMR (101 MHz, CDCl) δ 166.85, 162.51, 136.28, 131.64, 128.71, 128.24, 127.52, 122.87, 114.49, 70.13, 51.91。MS (EI): m/z 229.07。
【0097】
実施例8
5-フェニル-1H-ピラゾール(7a)の合成
【0098】
【化11】
【0099】
Teflonコートされた磁気撹拌棒を具備した炉乾燥済み50mL試験管に、1-エチニル-4-メチルベンゼン(116mg、1mmol)を添加した。その後、DEE(10ml)をシリンジで添加した。その後、試験管をセプタムで密封し、加えて窒素バルーンを試験管の上に配置した。次に、ジアゾメタン溶液を、上記の通り設計されたDiazo-penを通して21分間添加した(1mmolジアゾメタンに相当)。21分間のジアゾ暴露の後、反応混合物をさらに12時間撹拌して、反応を完了させた。次に、反応混合物をクエンチし、ブライン(3×20mL)で洗浄し、その後、NHCl(30mL)で洗浄した。有機相をNaSOで脱水し、減圧下で濃縮した。有機相をNaSOで脱水し、減圧下で濃縮して、白色固体を得た(65mg、41%)。スペクトルデータは、文献に報告された値と一致した(Chemical Communications 2019, 55, 7986)。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.48 (s, 1H),
6.84 (d, J = 8.0 Hz, 3H), 6.38 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 5.81 (d, J = 2.1 Hz, 2H), 1.48 (s, 3H)。13C NMR (101 MHz, CDCl) δ 141.85, 134.46, 130.27, 106.83, 84.41, 26.03。MS: m/z 158.34。
【0100】
実施例9:1-ブロモ-4-メトキシベンゼン(9a)の合成
【0101】
【化12】

正確な質量:185.97
【0102】
Teflonコートされた磁気撹拌棒を具備した炉乾燥済み50mL試験管に、DEE(10mL)中の4-ブロモフェノール(171mg、1mmol)をシリンジで添加した。その後、試験管をセプタムで密封し、加えて窒素バルーンを試験管の上に配置した。次に、ジアゾメタン溶液を、上記の通り設計されたDiazo-penを通して21分間添加した(1mmolジアゾメタンに相当)。21分間のジアゾ暴露の後、反応混合物をさらに3時間撹拌して、反応を完了させた。次に、反応混合物をクエンチし、NaHCO(3×20mL)で洗浄し、その後ブライン(30mL)で洗浄した。有機相をNaSOで脱水し、減圧下で濃縮して、無色液体の9bを得た(67.3mg、36%)。スペクトルデータは、文献に報告された値と一致した(Angewandte Chemie International Edition 2018, 57, 12869)。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.38 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 6.80 - 6.76 (m, 2H), 3.78 (s, 3H)。13C NMR (101 MHz, CDCl) δ 158.71,
132.26, 115.74, 112.84, 55.46。MS (EI): m/z 186.04。
【0103】
実施例10:4-ブロモ-1,2-ジメトキシベンゼン(9b)の合成
【0104】
【化13】
【0105】
式(9b)の化合物は、上記の実施例9の手順及び対応する反応体を含む一般的手順に従って合成した。粗製の材料を減圧下で乾燥し、赤茶色の液体の9bを得た(145.4mg、67%)。スペクトルデータは、文献に報告された値と一致した(Angewandte Chemie International Edition 2018, 57, 12869)。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.03 (dd, J = 8.5, 2.3 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.74 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.86 (s, 3H)。13C NMR (101 MHz, CDCl) δ 149.76, 148.35, 123.40, 114.80, 112.74, 112.50, 56.11, 56.06。MS (EI): m/z 217.06。
【0106】
実施例11:3-(ベンジルアミノ)-1-ジアゾ-4-フェニルブタン-2-オン(11a)の合成
【0107】
【化14】
【0108】
Teflonコートされた磁気撹拌棒を具備した炉乾燥済み500mL丸底(RB)フラスコに、(R)-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-3-フェニルプロパン酸(炭酸エチル)無水物(1.5g、4mmol)を添加した。その後、DEE(50ml)をシリンジで添加した。その後、RBをセプタムで密封し、加えて窒素バルーンをフラスコの上に配置した。次に、ジアゾメタン溶液を、設計されたDiazo-penを通して126分間添加した(6mmolジアゾメタンに相当)。126分間のジアゾ暴露の後、反応混合物をさらに6時間撹拌して、反応を完了させた。次に、反応混合物をクエンチし、NaHCO(3×20mL)で洗浄し、その後ブライン(30mL)で洗浄した。有機相をNaSOで脱水し、減圧下で濃縮して、白色固体の11aを得た(1.0g、79%)。スペクトルデータは、文献に報告された値と一致した(RSC Advances 2014, 4, 37419)。
H NMR (500 MHz, CDCl) δ 7.39 - 7.22 (m, 8H), 7.17 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 5.36 (s, 1H), 5.20 (s, 1H), 5.13 - 5.01 (m, 2H), 4.48 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 3.04 (d, J =
6.6 Hz, 2H)。
13C NMR (101 MHz, CDCl) δ 192.75 (s), 155.76 (s), 136.11 (d, J = 15.3 Hz), 129.
37 (s), 128.67 (d, J = 15.3 Hz), 128.19 (d, J = 17.4 Hz), 127.15 (s), 67.09 (s),
58.90 (s), 54.67 (s), 38.55 (s)。
MS (EI): m/z 323.35。
【0109】
実施例12~24
金属有機物構造体の合成
HKUST-10M(13a)の合成
Teflonコートされた磁気撹拌棒を具備した炉乾燥済み50mL試験管に、HKUST(100mg)及びDEE(10mL)を添加した。その後、試験管をセプタムで密封し、加えて窒素バルーンを試験管の上に配置した。次に、ジアゾメタン溶液を、設計されたDiazo-penを通して10分間添加した(0.48mmolジアゾメタンに相当)。10分間のジアゾ暴露の後、反応混合物をさらに2分間撹拌して、反応を完了させた。次にMOF反応混合物を減圧下で乾燥して、式13aを得た。
【0110】
実施例13
HKUST-20M(13b)の合成
Teflonコートされた磁気撹拌棒を具備した炉乾燥済み50mL試験管に、HKUST(100mg)及びDEE(10mL)を添加した。その後、試験管をセプタムで密封し、加えて窒素バルーンを試験管の上に配置した。次に、ジアゾメタン溶液を、設計されたDiazo-penを通して20分間添加した(0.95mmolジアゾメタンに相当)。20分間のジアゾ暴露の後、反応混合物をさらに5分間撹拌して、反応を完了させた。次に、MOF混合物を減圧下で乾燥して、式13bを得た。
【0111】
実施例14
HKUST-30M(13c)の合成
Teflonコートされた磁気撹拌棒を具備した炉乾燥済み50mL試験管に、HKUST(100mg)及びDEE(10mL)を添加した。その後、試験管をセプタムで密封し、加えて窒素バルーンを試験管の上に配置した。次に、ジアゾメタン溶液を、設計されたDiazo-penを通して30分間添加した(1.42mmolジアゾメタンに相当)。30分間のジアゾ暴露の後、反応混合物をさらに5分間撹拌して、反応を完了させた。次に、MOF混合物を減圧下で乾燥して、式13cを得た。
【0112】
実施例15
HKUST-35M(13d)の合成
Teflonコートされた磁気撹拌棒を具備した炉乾燥済み50mL試験管に、HKUST(100mg)及びDEE(10mL)を添加した。その後、試験管をセプタムで密封し、加えて窒素バルーンを試験管の上に配置した。次に、ジアゾメタン溶液を、設計されたDiazo-penを通して35分間添加した(1.64mmolジアゾメタンに相当)。35分間のジアゾ暴露の後、反応混合物をさらに追加で5分間撹拌して、反応を完了させた。次に、MOF混合物を減圧下で乾燥して、式13dを得た。
【0113】
実施例16
HKUST-40M(13e)の合成
Teflonコートされた磁気撹拌棒を具備した炉乾燥済み50mL試験管に、HKUST(100mg)及びDEE(10mL)を添加した。その後、試験管をセプタムで密封し、加えて窒素バルーンを試験管の上に配置した。次に、ジアゾメタン溶液を、設計されたDiazo-penを通して40分間添加した(1.9mmolジアゾメタンに相当)。40分間のジアゾ暴露の後、反応混合物をさらに追加で5分間撹拌して、反応を完了させた。次に、MOF混合物を減圧下で乾燥して、式13eを得た。
【0114】
実施例17
HKUST-50M(13f)の合成
Teflonコートされた磁気撹拌棒を具備した炉乾燥済み50mL試験管に、HKUST(100mg)及びDEE(10mL)を添加した。その後、試験管をセプタムで密封し、加えて窒素バルーンを試験管の上に配置した。次に、ジアゾメタン溶液を、設計されたDiazo-penを通して50分間添加した(2.35mmolジアゾメタンに相当)。50分間のジアゾ暴露の後、反応混合物をさらに5分間撹拌して、反応を完了させた。次に、MOF混合物を減圧下で乾燥して、式13fを得た。
【0115】
実施例18
HKUST-60M(13g)の合成
Teflonコートされた磁気撹拌棒を具備した炉乾燥済み50mL試験管に、HKUST(100mg)及びDEE(10mL)を添加した。その後、試験管をセプタムで密封し、加えて窒素バルーンを試験管の上に配置した。次に、ジアゾメタン溶液を、設計されたDiazo-penを通して60分間添加した(2.82mmolジアゾメタンに相当)。60分間のジアゾ暴露の後、反応混合物をさらに追加で5分間撹拌して、反応を完了させた。次に、MOF混合物を減圧下で乾燥して、式13gを得た。
【0116】
実施例19
綿繊維HKUST-60M(13h)の合成
Teflonコートされた磁気撹拌棒を具備した炉乾燥済み50mL試験管に、分枝状ポリ(エチレンイミン)(PEI)(50%水中の200mg、mw=25000)をメタノール50mLに溶解し、10分間撹拌して、透明懸濁液を得た。さらにHKUST(500mg)をPEI溶液に添加し、10時間撹拌して、均一な懸濁液を得た。次に、予め乾燥された綿繊維(1.5g)をMOF懸濁液に添加し、3時間撹拌して、均一なHKUST MOFコーティングを得た。HKUSTでコートされた綿繊維をさらにメタノールで洗浄し、減圧下で乾燥して、青色の綿繊維を得た。その一方で、式(13h)の化合物は、綿繊維でコートされたHKUST 100mgにより、上記の実施例18の手順に従って合成した(60分)。粗製の繊維を減圧下で乾燥して、緑色の綿繊維を得た。
【0117】
実施例20
UiO-66-60M(13i)の合成
式(13i)の化合物は、上記の実施例18の手順及び対応するUiO-66 MOFを含む一般的手順に従って合成した。粗製の材料を減圧下で乾燥し、白色固体の13iを得た。
【0118】
実施例21
MIL-100(Al)-60M(13j)の合成
式(13j)の化合物は、上記の実施例18の手順及び対応するMIL-100(Al)を含む一般的手順に従って合成した。粗製の材料を減圧下で乾燥し、白色固体の13jを得た。
【0119】
実施例22
Eu-MOF-60M(13k)の合成
式(13k)の化合物は、上記の実施例18の手順及び対応するEu-MOFを含む一般的手順に従って合成した。粗製の材料を減圧下で乾燥し、白色固体を得た。
【0120】
実施例23
MIL-101(Cr)-60M(13l)の合成
式(13l)の化合物は、上記の実施例18の手順及び対応するMIL-101(Cr)を含む一般的手順に従って合成した。粗製の材料を減圧下で乾燥し、緑色固体を得た。
【0121】
実施例24
MIL-101(Fe)-60M(13m)の合成
式(13m)の化合物は、上記の実施例18の手順及び対応するMIL-101(Fe)を含む一般的手順に従って合成した。粗製の材料を減圧下で乾燥し、褐色固体を得た。
【0122】
実施例25
Diazo-M-cubeを用いた式1の合成
1.MeOH及びジエチルエーテル中の式2の溶液、別個に水性KOHで構成された式3の溶液を、シリンジに入れ、図1に記載のようにポンプに接続した。
2.式2溶液の流速は、試薬及び基質の化学量論に従って、式3の流速に応じて変動させ、反応を起こすためにペルフルオロアルコキシ(PTFE)管(内径(id)=800~1000μm、長さ=10~40m、容量=10.0~25.0mL)にスムーズに通した。
3.滞留時間1~10分、0~25℃及び圧力0~100kPa(0~1bar)で、式1のジアゾメタン作製に充分であることを見出した。
4.水層及び有機層の連続フロー分離は、本発明者らにより過去に報告されたマイクロセパレータを通して実施した。滞留時間0~1分、圧力0~100kPa(0~1bar)で、式1の粗有機溶液の水性廃棄物除去に充分であることを見出した。
5.次に、DEE中の式1の溶液と、別個にDEE中の式4の溶液を、ボトルに入れ、図1に記載のようにポンプに接続した。
6.式1溶液の流速は、試薬及び基質の化学量論に従って、式4の流速に応じて変動させ、反応を起こすためにペルフルオロアルコキシ(PFA)管(内径(id)=800~1000μm、長さ=10~20m、容量=15.0~20mL)にスムーズに通した。
7.滞留時間0~1分、0~30℃及び圧力0~100kPa(0~1bar)で、式5の化合物を形成させるための式4のエステル化に充分であることを見出した。
8.次に過剰なジアゾメタンの除去;流出した反応混合物を、HKUST MOFが充填された触媒カートリッジに通した。滞留時間0~5分、0~30℃で、ジアゾメタン除去に充分であることを見出した。
9.次に、反応混合物の溶媒を、真空下で除去して、式5を得た。
【0123】
実施例26
Diazo-cubeを用いた式1の合成
MeOH:DEE中の式2の溶液(1:2比、0.162M)及び水中のKOHの溶液(30重量%)を、ポンプを用いてT-ミキサーでキャピラリマイクロリアクタに導入した。式2溶液の流速(3ml/分)は、試薬及び基質の化学量論に従って、KOH溶液と同じ速度(3ml/分)に保持した。2種の溶液を、化学量論を維持するために1:33(式2:KOH)の比の流速でT-ミキサーに導入し、その後、ジアゾメタン作製のため
に滞留時間3.3分及び室温でPTFE管(id=1000μm、l=25.5m、vol.=20mL)に通した。首尾よく完了した後、水層及びDEE連続フローの液滴を、本発明者らにより部分的に改良されたマイクロセパレータを通して分離した(Organic Synthesis and Process Chemistry 2019,
23, 9, 1892-1899)。滞留時間1.16分、圧力0~100kPa(0~1bar)で、式の粗有機溶液の水性廃棄物除去に充分であることを見出した。流出されたDEE反応混合物をバッチ方法の下、安息香酸で滴定し、3265mL/日のエーテル性ジアゾメタン溶液(0.21M)に相当する93.5g/日の式5を生成した。さらに、完全に安全なDiazo-cubeシステム(ゼロ暴露)を作製するために、DEE中の式1の溶液を直接、再循環ポンプに接続し、式4の溶液(DEE中の0.21M)をボトルに入れ、図1に記載のようにポンプに接続した。式1溶液の流速は、試薬及び基質の化学量論に従って、(2ml/分)に、式4では(2ml/分)に維持し、反応を起こすために滞留時間1.25分、25℃及び圧力100kPa(1bar)でペルフルオロアルコキシ(PFA)管(内径(id)=1000μm、長さ=6.4m、容量=5mL)にスムーズに通した。次に、流出した反応混合物中のジアゾメタンの過剰な分解物を、HKUST MOFを充填された触媒カートリッジに通した。流出した反応混合物の溶媒を、真空下で除去して、式5を75%で得た。
【0124】
発明の利点
・本発明は、ジアゾメタンの合成のための一体型連続フロー多機能プロトコルシステムの開発に関する。
・本発明はさらに、ジアゾメタン全工程システムを4.4分で自動生成し、収率を改善するための前記方法に関する。
・本発明はさらに、選択されたMOF印刷適用に適用可能なDiazo-pen又はDiazo-cubeのための前記方法に関する。
・追加で新たに発明された固形クエンチャ粉末及びフィルター研究により、究極的には、エナンチオピュアなAPIを含む近代的な低分子医薬品における、一体型連続合成のための完全な安全環境の特定が可能になり、後期機能的生物活性化合物を迅速に製造するための将来的な欠陥を補うことができる。
図1
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