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特許7589353中空サセプタピンを有するエアロゾル発生装置用ヒーター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】中空サセプタピンを有するエアロゾル発生装置用ヒーター
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20241118BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20241118BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20241118BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/40
A24F40/20
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023530887
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2021082252
(87)【国際公開番号】W WO2022112115
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】20209532.9
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ ロドリゲス アルベス
(72)【発明者】
【氏名】カリ リカルド
(72)【発明者】
【氏名】キールナン エドワード
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-529214(JP,A)
【文献】特表2020-532977(JP,A)
【文献】特表2018-537960(JP,A)
【文献】特表2020-529217(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0192701(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0098027(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置用ヒーター組立品であって、
エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーと、
前記加熱チャンバー内で中央に配設された真空気密中空ピンと、
前記ピンの外表面上のサセプタ層と、を備えるヒーター組立品。
【請求項2】
前記ピンが、磁気的に不活性な材料を含む、または磁気的に不活性な材料で作製されている、請求項1に記載のヒーター組立品。
【請求項3】
前記サセプタ層が複数の個別の部分を備える、請求項1または請求項2に記載のヒーター組立品。
【請求項4】
個別の部分の長さと幅のうちの一方または両方が、1ミリメートル~5ミリメートルである、請求項3に記載のヒーター組立品。
【請求項5】
二つ以上の個別の部分が前記ピンの長軸方向軸に沿って分離されている、請求項3または請求項4に記載のヒーター組立品。
【請求項6】
二つ以上の個別の部分が規則的なパターンで配設されている、請求項3~5のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項7】
個別の部分が、その形状、サイズ、厚さ、材料のうちの一つ以上によって、別の個別の部分と異なる、請求項3~6のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項8】
一つ以上の第一の個別の部分が第一の加熱ゾーンを画定し、また一つ以上の第二の個別の部分が第二の加熱ゾーンを画定し、かつ前記第一の加熱ゾーンおよび前記第二の加熱ゾーンが前記ピンの長軸方向軸に沿って異なる位置に配設されている、請求項3~7のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項9】
前記第一の加熱ゾーンを加熱するための第一のインダクタコイルと、前記第二の加熱ゾーンを加熱するための第二のインダクタコイルとを備える、請求項8に記載のヒーター組立品。
【請求項10】
前記第一の加熱ゾーンと前記第二の加熱ゾーンの両方を加熱するための単一のインダクタコイルを備える、請求項8に記載のヒーター組立品。
【請求項11】
前記第一の加熱ゾーン内の前記第一の個別の部分のうちの一つ以上が、それらの数、形状、サイズ、厚さ、材料のうちの一つ以上によって、前記第二の加熱ゾーン内の前記第二の個別の部分のうちの一つ以上と異なる、請求項8~10のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項12】
前記サセプタ層が、炭化ケイ素、モリブデン、黒鉛、ステンレス鋼、ステンレス鋼合金、Kovar(登録商標)、銅、銅タングステン合金、銅モリブデン合金、電気メッキ導電体のうちの一つ以上を含む、またはそれから作製されている、請求項1~11のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項13】
前記ピンが、鉱物、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリアクリルアミド、ビニルエステル樹脂、木材、セラミック、アルミナ、ジルコニア、アラミド、ガラス繊維、ポリエチレン、ガラス様材料のうちの一つ以上を含む、またはそれから作製されている、請求項1~12のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載のヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置。
【請求項15】
請求項14に記載のエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備え、前記エアロゾル発生物品が、前記加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成されている、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品に関する。本開示は、エアロゾル発生装置にさらに関する。本開示は、エアロゾル発生装置とエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なベイパーを発生するためのエアロゾル発生装置を提供することが知られている。こうした装置は、エアロゾル発生物品中に含有されたエアロゾル形成基体を燃焼することなく加熱してもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中にエアロゾル発生物品を挿入するためにロッド形状を有してもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入された後に、エアロゾル形成基体を加熱するために、加熱チャンバーの中に、またはその周りに配設されている。
【0003】
発熱体は誘導加熱を使用し、それによってインダクタコイル中の交流電流が交番磁場を誘発することが知られている。この交番磁場は、サセプタが導電性である場合、サセプタ内に交流環電流(渦電流)を誘発することができるので、誘導場と呼ばれる。サセプタが磁性である場合、ヒステリシス損失がサセプタ内で生じることになる。導電性と磁性の両方であるサセプタにおいて、両方の効果(渦電流およびヒステリシス損失)はサセプタが加熱することを引き起こす。一般的に、交番磁場によって侵入された時に加熱する材料は、サセプタと呼ばれる。このようにして発生された熱は次いで、エアロゾル発生基体に伝播され、エアロゾル発生基体が加熱すること、従ってエアロゾルを発生することを引き起こす。一部の誘導加熱装置は、複数の加熱ゾーンを有するように設計されていて、すなわち加熱システムは、全消耗品の下位部分のみ加熱することができる。これは、例えば単一の消耗品を複数回使用することを可能にするためであってもよく、またはエアロゾルを発生するために、または単により長い期間にわたってより均一なユーザー体験を達成するためにどの下位部分を使用するかに応じて異なるユーザー体験を単一の消耗品が提供することを可能にするためであってもよい。サセプタの異なる加熱ゾーンを加熱するために、異なるインダクタコイルを使用することが知られている。
【0004】
発熱体によって生成された熱は、加熱チャンバーから不注意に放散される場合がある。熱は、エアロゾル発生装置の構成要素を介した熱伝導によって、加熱チャンバーから不注意に放散される場合がある。加熱チャンバーからの熱放散は、加熱チャンバー内の熱損失を引き起こす場合がある。加熱チャンバー内の熱損失は、より低効率の加熱をもたらす場合がある。加熱チャンバーを所望の温度に加熱するために、過剰な量のエネルギーが必要になる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加熱チャンバーからの熱損失を低減しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいであろう。サセプタからの熱損失を低減しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいことになる。ユーザーが握る装置の外側ハウジングの加熱を低減しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいことになる。エアロゾル発生装置の他の構成要素に対して加熱チャンバーを断熱することが望ましいことになる。加熱チャンバーの外側の他の構成要素に対してサセプタを断熱することが望ましいことになる。加熱チャンバーの効果的な断熱を提供しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいことになる。
【0006】
ヒーター組立品によって消費されるエネルギーの量を低減しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいことになる。複数の加熱ゾーンのうちの特定の加熱ゾーンを選択的に加熱しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいことになる。異なる加熱ゾーン間の熱的伝達を低減しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいことになる。サセプタの熱質量を低減しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品が提供されている。ヒーター組立品は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーを備えてもよい。ヒーター組立品は、中空ピンを備えてもよい。中空ピンは、加熱チャンバー内で中央に配設されてもよい。中空ピンは、真空であってもよい。ヒーター組立品は、ピンの外表面上にサセプタ層を備えてもよい。
【0008】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品が提供されている。ヒーター組立品は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーを備える。ヒーター組立品は、真空中空ピンをさらに備える。ピンは、加熱チャンバー内で中央に配設されている。ヒーター組立品は、ピンの外表面上にサセプタ層をさらに備える。
【0009】
本発明のヒーター組立品を提供することによって、加熱チャンバーからの熱損失は低減される場合がある。本発明のヒーター組立品を提供することによって、ピン上のサセプタ層からの熱損失は低減される場合がある。本発明のヒーター組立品を提供することによって、ユーザーが握る装置の外側ハウジングの加熱は低減される場合がある。本発明のヒーター組立品を提供することによって、エアロゾル発生装置の他の構成要素に対する加熱チャンバーの断熱は改善される場合がある。本発明のヒーター組立品を提供することによって、加熱チャンバーの外側の他の構成要素に対するサセプタの断熱は改善される場合がある。本発明のヒーター組立品を提供することによって、サセプタの熱質量が低減されたエアロゾル発生装置を提供できる場合がある。本発明のヒーター組立品を提供することによって、ヒーター組立品によって消費されるエネルギーの量が低減されたエアロゾル発生装置を提供できる場合がある。本発明のヒーター組立品を提供することによって、異なる加熱ゾーン間の熱伝導率が低減される場合がある。本発明のヒーター組立品を提供することによって、異なる加熱ゾーン間の熱伝達が低減される場合がある。本発明のヒーター組立品を提供することによって、複数の加熱ゾーンのうちの特定の加熱ゾーンを選択的に加熱してもよいエアロゾル発生装置を提供できる場合がある。
【0010】
本明細書で使用される「真空中空ピン」という用語は、その内部に真空気密中空空間を備えるピンを指す。
【0011】
本明細書で使用される「中空空間」という用語は、固体材料を実質的に含まない、すなわち固体化合物または固体物質で充填されていない体積に関する。言い換えれば、「中空空間」という用語は、気体状組成物で満たされうるが、そうでなければ空である体積に関する。気密中空空間は、周囲環境から気密封止されている。言い換えれば、気密中空空間の内部は、周囲環境と流体接続していない。それによって、気密中空空間とピンの外側の空気との間の気体の循環に起因する熱的損失は回避される場合がある。
【0012】
本明細書で使用される「真空気密中空空間」という用語は、内部に真空を有する気密中空空間を指す。本明細書で使用される「真空」という用語は、周囲圧力を著しく下回って低減され気体圧力を有する気体状組成物を指す。例えば、真空気密中空空間内の気体圧力は、0.5バールを下回ってもよい。真空気密中空空間内の気体圧力は、0.1バールを下回ってもよい。真空気密中空空間内の気体圧力は、0.01バールを下回ってもよい。真空気密中空空間内の気体圧力は、1ミリバールを下回ってもよい。真空気密中空空間内の気体圧力は、0.1ミリバールを下回ってもよく、または0.01ミリバールを下回ってもよく、または0.001ミリバールを下回ってもよい。真空の概して低い熱伝導率に起因して、真空中空ピンは、特に低い熱伝導率を有する場合がある。真空の概して低い熱質量に起因して、真空中空ピンは、特に低い熱質量を有する場合がある。
【0013】
真空にされた中空ピンの代替として、中空ピンは、気体状組成物で充填された気密中空空間を備えてもよい。気密中空空間は、ほぼ周囲圧力にて気体状組成物で充填されてもよい。気密中空空間内の気体圧力は、0.9バール~1.1バール、好ましくは約1.0バールであってもよい。気密中空空間は、摂氏約20度で、ほぼ周囲圧力にて気体状組成物で充填されてもよい。当業者に周知の通り、気密中空空間内の気体圧力の温度依存性の変動が生じる場合がある。気体状組成物は、不活性気体を含んでもよい。気体状組成物は、窒素およびアルゴンのうちの一つ以上を含んでもよい。気体状組成物は、周囲空気の組成を有してもよい。気体状組成物は、約80パーセントの窒素と約20パーセントの酸素とを含んでもよい。気密中空空間は、周囲空気で充填されてもよい。気体状組成物は、周囲圧力にて周囲空気の組成を有してもよい。気密中空空間と外側の空気の間の気体の循環の抑制に起因して、ピンから装置の他の構成要素への熱的損失は低減される場合がある。
【0014】
ピンは、非強磁性材料を含んでもよく、またはそれから作製されてもよい。ピンは、磁気的に不活性な材料を含んでもよく、またはそれから作製されてもよい。本明細書で使用される「磁気的に不活性な材料」という用語は、交番磁場によって侵入された時に実質的に加熱しない材料を指す。ピンは、サセプタ材料ではない材料を含んでもよく、またはそれから作製されてもよい。これは、ピンが、変化する磁場の侵入によって加熱可能であるいかなるサセプタ材料も含まないことを意味する。それ故に、使用時に、サセプタ層を加熱するために、変化する磁場のより多くのエネルギーが利用可能である。
【0015】
ピンは、鉱物、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリアクリルアミド、ビニルエステル樹脂、木材、セラミック、アルミナ、ジルコニア、アラミド、ガラス繊維、ポリエチレン、ガラス様材料のうちの一つ以上を含んでよく、またはそれから作製されてもよい。ピンは、アルミナまたはジルコニアなど、非導電性かつ非強磁性のセラミックを含んでもよく、またはそれから作製されてもよい。
【0016】
ピンは、磁気的に不活性かつ断熱性である材料を含んでもよく、またはそれから作製されてもよい。ピンは、磁気的に不活性、断熱性、かつ電気絶縁性である材料を含んでもよく、またはそれから作製されてもよい。
【0017】
本明細書で使用される「サセプタ層」または「サセプタ層の個別の部分」は、変化する磁場に供された時に加熱するピンの外側表面上に提供された導電性要素であるサセプタ要素を指す。これはサセプタ要素内で誘発される渦電流、またはヒステリシス損失、または渦電流とヒステリシス損失の両方の結果であってもよい。使用中に、サセプタ要素は、エアロゾル発生装置のヒーター組立品の加熱チャンバーの中に受容されたエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と熱的に接触して、または熱的に近接近して位置する。このようにして、エアロゾル形成基体は、サセプタ要素によって加熱され、これによってエアロゾルが形成される。
【0018】
有利なことに、ピンの外表面上にサセプタ層から形成された加熱ゾーンを提供することは、サセプタ層のサイズ、位置、形状、パターンのうちの一つ以上を変更することによって、加熱ゾーンのサイズ、または位置、またはサイズと位置を簡単に変えることを可能にする。下にあるピンのサイズおよび構成は、変更されないままであってもよい。これは、より柔軟な製造プロセスを提供する場合がある。さらに、サセプタ層をピンの外表面上に提供することによって、ピンはサセプタ材料よりも軽いまたは安価でありうる非サセプタ材料から形成されてもよい。ピンが中空の真空空洞を備えることに加えて、ピンは、断熱性材料から形成されてもよい。これは、サセプタ層内で発生した熱が加熱ゾーン内に集中したままになることを追加的に可能にする場合がある。これは、エアロゾル発生装置の他の構成要素へと失われる熱の量を追加的に低減する場合がある。例えば、これは、エアロゾル発生装置のハウジングが使用中に加熱される程度を追加的に低減する場合がある。
【0019】
本明細書で使用される「断熱」および「断熱性」という用語は、改良された非定常平面熱源(MTPS)法を使用して測定した通りの、23℃および相対湿度50%で約50ミリワット毎メートルケルビン(mW/(m K))未満のバルク熱伝導率を有する材料を指す。
【0020】
サセプタ層は、ピンの外表面上に施されたサセプタ材料の箔またはフィルムを備えてもよい。例えば、ピンの外表面に糊付けまたは溶接されているサセプタ材料の箔またはフィルムである。
【0021】
サセプタ層は、ピンの外表面上に堆積されたサセプタコーティングであってもよい。例えば、サセプタコーティングは、液体として外表面上に塗布されてもよく、または印刷されてもよい。サセプタコーティングは、蒸発堆積などの真空堆積プロセス、またはスパッタリングによって、ピンの外表面上に堆積されてもよい。サセプタコーティングは、電着によってピンの外表面上に堆積されてもよい。
【0022】
サセプタ層は、エアロゾル形成基体をエアロゾル化するために十分な温度に誘導加熱されることができる任意の材料から形成されてもよい。サセプタ層のために適切な材料としては、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオビウム、アルミニウム、ニッケル、ニッケル含有化合物、チタン、および金属材料の複合材料が挙げられる。好ましいサセプタ層は、金属または炭素を含む。有利なことに、サセプタ層は、例えばフェライト鉄、強磁性合金(強磁性鋼またはステンレス鋼など)、強磁性粒子、フェライトなどの強磁性材料を含んでもよく、またはそれから成ってもよい。適切なサセプタ層はアルミニウムであってもよく、またはアルミニウムを含んでもよい。サセプタ層は、好ましくは5パーセント超、好ましくは20パーセント超、より好ましくは50パーセント超、または90パーセント超の強磁性材料または常磁性材料を含む。好ましいサセプタ要素は摂氏250度を超える温度に加熱されてもよい。
【0023】
サセプタ層は、金属または金属合金を含んでもよい。サセプタ層は、金属または金属合金から形成されてもよい。
【0024】
サセプタ層は、炭化ケイ素、モリブデン、黒鉛、ステンレス鋼、ステンレス鋼合金、Kovar(登録商標)、銅、銅タングステン合金、銅モリブデン合金、電気メッキ導電体(ニッケル、銀、金、銀白金合金、銀パラジウム合金など)のうちの一つ以上を含んでもよく、またはそれから作製されてもよい。
【0025】
サセプタ層は単層を含んでもよい。サセプタ層は多層を含んでもよい。
【0026】
サセプタ層は、0.1ミリメートル~1ミリメートル、好ましくは0.1ミリメートル~0.3ミリメートルの厚さを有してもよい。
【0027】
サセプタ層は、ピンの外表面の任意の適切な量にわたって延びてもよい。サセプタ層は、ピンの周囲の周りに部分的にのみ延びてもよい。サセプタ層は、ピンの全周囲の周りに延びてもよい。サセプタ層は、ピンの長さの一部のみに沿って延びてもよい。サセプタ層は、実質的にピンの全長、例えばピンの全長の少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントに沿って延びてもよい。
【0028】
サセプタ層は、均一な層であってもよい。サセプタ層は、複数の個別の部分を備えてもよい。個々の個別の部分の間には、間隙があってもよい。サセプタ層の個別の部分を使用することによって、サセプタ層の総熱質量は低減されてもよい。サセプタ層の熱質量を低減することは有利なことに、ヒーター組立品の熱慣性を低減する場合がある。サセプタ層の熱質量を低減することは有利なことに、サセプタ層を望ましい温度に加熱するために必要なエネルギーを低減する場合がある。
【0029】
個別の部分の長さと幅のうちの一方または両方は、1ミリメートル~5ミリメートル、好ましくは2ミリメートル~3ミリメートルであってもよい。
【0030】
二つ以上の個別の部分は、ピンの長軸方向軸に沿って分離されてもよい。例えば、二つ以上の円周リングは、ピンの長軸方向軸に沿って分離されてもよい。
【0031】
個別の部分は細片、リング、円、楕円形、または長方形の形態を描いてもよい。
【0032】
二つ以上の個別の部分が規則的なパターンで配設されていて、好ましくは、複数の円周リングがピンの長軸方向軸に沿って等距離で配設されてもよい。規則的なパターンは、ハニカム様のパターンであってもよい。
【0033】
一部またはすべての個別の部分は同一であってもよい。
【0034】
個別の部分は、その形状、サイズ、厚さ、材料のうちの一つ以上によって、別の個別の部分と異なってもよい。
【0035】
ヒーター組立品は、ピンの長軸方向軸に沿ってサセプタ層にわたって画定された単一の加熱ゾーンを備えてもよい。ヒーター組立品は複数の個別の加熱ゾーンを備えてもよい。使用中、異なる個別の加熱ゾーンは、異なる温度に加熱されてもよい。複数の個別の加熱ゾーンは、相互に直接隣接して位置付けられてもよい。ヒーター組立品は、ピンの長軸方向軸に沿ってサセプタ層にわたって異なる個別の加熱ゾーンを備えてもよい。これは、加熱ゾーンを使用して、サセプタ層に熱的に近接しているエアロゾル発生物品の異なる部分を加熱することを可能にする場合がある。例えば、エアロゾル形成体の同じエアロゾル形成基体の異なる部分、または異なるエアロゾル形成基体、またはエアロゾル形成基体とエアロゾル発生物品である。
【0036】
複数の個別の加熱ゾーンは、ピンの長軸方向軸に沿って離隔されてもよい。これは、加熱ゾーンを使用して、エアロゾル発生物品の隣接する部分を不注意にも加熱することなく、サセプタ層の異なる部分に熱的に近接しているエアロゾル発生物品の異なる部分を加熱することを可能にする場合がある。例えば、離隔したエアロゾル形成基体を加熱することである。例えば、第一の加熱ゾーンで第二のエアロゾル形成基体を実質的に加熱することなく、または第二の加熱ゾーンで第一のエアロゾル形成基体を実質的に加熱することなく、第一の加熱ゾーンで第一のエアロゾル形成基体を加熱すること、および第二の加熱ゾーンで第二のエアロゾル形成基体を加熱することである。
【0037】
複数の個別の加熱ゾーンは、同じサセプタ材料(複数可)から形成されてもよい。加熱ゾーンのうちの一つ以上は、少なくとも一つの他の加熱ゾーンのサセプタ層に対して異なる組成を有する、それ故に異なるサセプタ特性を有するサセプタ層から形成されてもよい。この配設を用いて、第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料の異なるサセプタ特性のおかげで、第一の加熱ゾーンおよび第二の加熱ゾーンによって、異なる加熱プロファイルを提供できる場合がある。各加熱ゾーンによって提供される熱は、各サセプタ層の部分を形成する、または各サセプタ層を形成しているサセプタ材料(複数可)の選択によって微調整される場合がある。これはまた、サセプタ層の逐次的な加熱を容易にする場合がある。例えば、交流電流の異なる周波数で最適な加熱が生じるサセプタ材料から加熱ゾーンを形成することによってである。第一の加熱ゾーンおよび第二の加熱ゾーンは、異なる温度サイクルを有してもよい。
【0038】
サセプタ層の一つ以上の第一の個別の部分は、第一の加熱ゾーンを画定してもよく、また一つ以上の第二の個別部分は、第二の加熱ゾーンを画定してもよい。第一の加熱ゾーンおよび第二の加熱ゾーンは、ピンの長軸方向軸に沿って異なる位置に配設されてもよい。ピンが真空および中空であることに起因して、熱伝導率は低減されてもよく、これによって個別の加熱ゾーン間の熱伝達は低減されてもよい。これは、特定の加熱ゾーンの選択的な加熱を改善する場合がある。
【0039】
第一の加熱ゾーン内の第一の個別の部分のうちの一つ以上は、それらの数、形状、サイズ、厚さ、材料のうちの一つ以上によって、第二の加熱ゾーン内の第二の個別の部分のうちの一つ以上と異なってもよい。これは、第一の加熱ゾーンおよび第二の加熱ゾーンの異なるサセプタ特性をもたらす場合がある。
【0040】
ヒーター組立品は、第一の加熱ゾーンを加熱するための第一のインダクタコイルと、第二の加熱ゾーンを加熱するための第二のインダクタコイルとを備えてもよい。
【0041】
ヒーター組立品は、第一の加熱ゾーンと第二の加熱ゾーンの両方を加熱するための単一のインダクタコイルを備えてもよい。
【0042】
サセプタ層の上に、ピンは、保護外部層(例えば保護セラミック層または保護ガラス層)を有してもよい。保護外部層は、サセプタ層を封入してもよい。
【0043】
ピンは、任意の適切な断面を有してもよい。例えば、ピンは正方形、楕円形、長方形、三角形、五角形、六角形、または同様の断面形状を有してもよい。ピンは、平面状の、または平坦な断面積を有してもよい。ピンは、実質的に円形断面積を有することが好ましい。
【0044】
ピンは、5ミリメートル~15ミリメートル、例えば6ミリメートル~12ミリメートル、または8ミリメートル~10ミリメートルの長さを有することが好ましい。ピンは、1ミリメートル~8ミリメートル、より好ましくは約3ミリメートル~約5ミリメートルの幅を有することが好ましい。ピンは、約0.01ミリメートル~約2ミリメートルの厚さを有してもよい。ピンは、一定の断面、例えば円形断面を有する場合、1ミリメートル~5ミリメートルの好ましい幅または直径を有する。
【0045】
ピンは、加熱チャンバーの中に突出してもよい。ピンは、チャンバーの中に突出する自由端を有することが好ましい。自由端は、エアロゾル発生物品がチャンバーの中に挿入されている時に、エアロゾル発生物品の中に挿入されるために構成されていることが好ましい。ピンの自由端はテーパー状であることが好ましい。これは、ピンの一部分の断面積が、自由端に向かう方向で減少することを意味する。有利なことに、テーパー状の自由端は、ピンをエアロゾル発生物品の中に挿入することを容易にする。有利なことに、テーパー状の自由端は、チャンバーの中へのエアロゾル発生物品の挿入中に、細長いピンによって変位されたエアロゾル形成基体の量を低減する場合がある。これは必要とされるクリーニングの量を低減する場合がある。ピンは、その自由端にて鋭利な先端に向かってテーパー状であることが好ましい。
【0046】
ピンの少なくとも一部分は、加熱チャンバーの長軸方向で延びてもよい。すなわち、ピンの少なくとも一部分は、チャンバーの長軸方向軸と実質的に平行に延びてもよい。本明細書で使用される「実質的に平行」という用語は、プラスまたはマイナス10度以内、好ましくはプラスまたはマイナス5度以内を意味する。有利なことに、これは、エアロゾル発生物品が加熱チャンバーの中に挿入されている時に、ピンの少なくとも一部分をエアロゾル発生物品の中の挿入することを容易にする。
【0047】
一つ以上のインダクタコイルの磁気軸は、加熱チャンバーの長軸方向軸に対してある角度を成していてもよく、すなわち非平行であってもよい。好ましい実施形態において、インダクタコイルの一つ以上の磁気軸は、加熱チャンバーの長軸方向軸と実質的に平行である。これは、よりコンパクトな配設を容易にする場合がある。ピンの少なくとも一部分は、一つ以上のインダクタコイルの磁気軸と実質的に平行であることが好ましい。これは、一つ以上のインダクタコイルによるピン上のサセプタ層の均一な加熱を容易にする場合がある。特に好ましい実施形態において、ピンは、一つ以上のインダクタコイルの磁気軸、およびチャンバーの長軸方向軸と実質的に平行である。
【0048】
本発明は、本明細書に記載の通りのヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置にさらに関する。
【0049】
本発明は、本明細書に記載の通りのヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムにさらに関する。エアロゾル発生物品は、加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成されてもよい。
【0050】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を指す。揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱すること、または燃焼することによって放出されてもよい。加熱または燃焼の代替として、一部の場合において、化学反応によって、または超音波などの機械的な刺激によって揮発性化合物が放出されてもよい。エアロゾル形成基体は固体または液体であってもよく、または固体構成成分と液体構成成分の両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。
【0051】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。
【0052】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置を指す。エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品と、エアロゾル形成基体を含むカートリッジとのうちの一方または両方と相互作用してもよい。一部の実施例において、エアロゾル発生装置はエアロゾル形成基体を加熱して、基体からの揮発性化合物の放出を容易にする場合がある。電気的に作動するエアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを形成するための、電気ヒーターなどのアトマイザーを備えてもよい。
【0053】
本明細書で使用される「エアロゾル発生システム」という用語は、エアロゾル形成基体とのエアロゾル発生装置の組み合わせを指す。エアロゾル形成基体が、エアロゾル発生物品の一部を形成する時、エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品とのエアロゾル発生装置の組み合わせを指す。エアロゾル発生システムにおいて、エアロゾル形成基体およびエアロゾル発生装置は協働して、エアロゾルを発生する。
【0054】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、ピンの主軸、ヒーター組立品の主軸、エアロゾル発生装置の主軸、エアロゾル発生物品の主軸、またはエアロゾル発生装置もしくはエアロゾル発生物品の構成要素の主軸に沿った方向を記述するために使用され、また「横断方向」という用語は、長軸方向と直角を成す方向を記述するために使用される。加熱チャンバーを参照する時、「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品がチャンバーの中に挿入されている方向を指し、また「横断方向」という用語は、エアロゾル発生物品がチャンバーの中に挿入されている方向と直角を成す方向を指す。
【0055】
一般的に、加熱チャンバーは、エアロゾル発生物品が挿入される開放端と、開放端の反対側の閉鎖端とを有する。こうした実施形態において、長軸方向は開放端と閉鎖端の間に延びる方向である。ある特定の実施形態において、加熱チャンバーの長軸方向軸は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸と平行である。例えば、チャンバーの開放端はエアロゾル発生装置の近位端に位置付けられている。他の実施形態において、加熱チャンバーの長軸方向軸は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に対してある角度を成していて、例えばエアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向である。例えば、加熱チャンバーの開放端は、エアロゾル発生装置の一方の側面に沿って位置付けられていて、これによって、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して直角を成す方向で加熱チャンバーの中に挿入されてもよい。
【0056】
本明細書で使用される「近位」という用語は、ユーザー端(またエアロゾル発生装置の口側端)を指し、また「遠位」という用語は、近位端の反対側の端を指す。加熱チャンバーまたはインダクタコイルを参照する時、「近位」という用語は、加熱チャンバーの開放端に最も近い領域を指し、また「遠位」という用語は、閉鎖端に最も近い領域を指す。エアロゾル発生装置の端または加熱チャンバーの端はまた、エアロゾル発生装置を通して空気が流れる方向に関して言及される場合がある。近位端は「下流端」として言及されてもよく、また遠位端は「上流端」として言及されてもよい。
【0057】
本明細書で使用される「長さ」という用語は、ピンの長軸方向、加熱チャンバーの長軸方向、エアロゾル発生装置の長軸方向、エアロゾル発生物品の長軸方向、またはエアロゾル発生装置もしくはエアロゾル発生物品の構成要素の長軸方向における主要な寸法を指す。
【0058】
本明細書で使用される「幅」という用語は、ピンの横断方向、加熱チャンバーの横断方向、エアロゾル発生装置の横断方向、エアロゾル発生物品の横断方向、またはエアロゾル発生装置もしくはエアロゾル発生物品の構成要素の横断方向における、その長さに沿った特定の場所での主要な寸法を指す。「厚さ」という用語は、幅と直角を成す横断方向における寸法を指す。
【0059】
以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0060】
実施例A:エアロゾル発生装置用ヒーター組立品であって、
エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーと、
加熱チャンバー内で中央に配設された真空中空ピンと、
ピンの外表面上のサセプタ層と、を備えるヒーター組立品。
実施例B:サセプタ層が均一な層である、実施例Aに記載のヒーター組立品。
実施例C:サセプタ層が複数の個別の部分を備える、実施例Aに記載のヒーター組立品。
実施例D:サセプタ層が多層を含む、実施例A~Cのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例E:ピンが、磁気的に不活性な材料を含む、または磁気的に不活性な材料で作製されている、実施例A~Dのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例F:個別の部分の長さと幅のうちの一方または両方が、1ミリメートル~5ミリメートル、好ましくは2ミリメートル~3ミリメートルである、実施例C~Eのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例G:二つ以上の個別の部分がピンの長軸方向軸に沿って分離されている、実施例C~Fのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例H:個別の部分が細片、リング、円、楕円形、または長方形の形態を描く、実施例C~Gのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例I:二つ以上の個別の部分が規則的なパターンで配設されていて、好ましくは、複数の円周リングがピンの長軸方向軸に沿って等距離で配設されている、実施例C~Hのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例J:個別の部分が、その形状、サイズ、厚さ、材料のうちの一つ以上によって、別の個別の部分と異なる、実施例C~Iのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例K:一つ以上の第一の個別の部分が第一の加熱ゾーンを画定し、また一つ以上の第二の個別の部分が第二の加熱ゾーンを画定し、かつ第一の加熱ゾーンおよび第二の加熱ゾーンがピンの長軸方向軸に沿って異なる位置に配設されている、実施例C~Jのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例L:第一の加熱ゾーンを加熱するための第一のインダクタコイルと、第二の加熱ゾーンを加熱するための第二のインダクタコイルとを備える、実施例Kに記載のヒーター組立品。
実施例M:第一の加熱ゾーンと第二の加熱ゾーンの両方を加熱するための単一のインダクタコイルを備える、実施例Kに記載のヒーター組立品。
実施例N:第一の加熱ゾーン内の第一の個別の部分のうちの一つ以上が、それらの数、形状、サイズ、厚さ、材料のうちの一つ以上によって、第二の加熱ゾーン内の第二の個別の部分のうちの一つ以上と異なる、実施例K~Mのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例O:サセプタ層が、0.1ミリメートル~1ミリメートル、好ましくは0.1ミリメートル~0.3ミリメートルの厚さを有する、実施例A~Nのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例P:サセプタ層が、炭化ケイ素、モリブデン、黒鉛、ステンレス鋼、ステンレス鋼合金、Kovar(登録商標)、銅、銅タングステン合金、銅モリブデン合金、電気メッキ導電体(ニッケル、銀、金、銀白金合金、銀パラジウム合金など)のうちの一つ以上を含む、またはそれから作製されている、実施例A~Oのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例Q:ピンが、鉱物、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリアクリルアミド、ビニルエステル樹脂、木材、セラミック、アルミナ、ジルコニア、アラミド、ガラス繊維、ポリエチレン、ガラス様材料のうちの一つ以上を含む、またはそれから作製されている、実施例A~Pのいずれかに記載のヒーター組立品。
実施例R:実施例A~Qのいずれかに記載のヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置。
実施例S:実施例Rに記載のエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備え、エアロゾル発生物品が、加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成されている、エアロゾル発生システム。
【0061】
一つの実施形態に関して説明される特徴は、本発明の他の実施形態にも等しく適用されてもよい。
【0062】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1a-1b】図1aおよび図1bは、本発明のヒーター組立品用のピンを示す。
図2図2は、本発明のヒーター組立品を示す。
図3図3は、本発明のヒーター組立品用のピンを示す。
図4a-4b】図4aおよび図4bは、本発明のヒーター組立品用のピンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1aは、本発明のヒーター組立品用のピン10の側面図を示す。図1bは、図1aのピン10の断面図を示す。長軸方向のピン10の中央長軸方向軸は、点線12によって示されている。ピン10は、非強磁性材料である第一の材料14で作製されている。ピンは、図1bに示す通り、気密中空空間16を囲む内部空洞を備える。中空空間16は真空である。サセプタ層18は、ピン10の外表面上に配設されている。サセプタ層18は、複数の個別の部分20を備える。図1aに示す通り、個々の個別の部分20の各々は、円周リングに対応する。隣り合う円周リング間の間隙は、ピン10の長軸方向軸に沿ってサセプタ層18の個別の部分20を分離する。個別の部分20は、ピン10の長軸方向軸12に沿って等距離で配設されている円周リングによって規則的なパターンで配設されている。
【0065】
図2は、本発明のヒーター組立品22をエアロゾル発生装置の一部として断面図で示す。ヒーター組立品22は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバー24を備える。
【0066】
中空真空ピン10は、加熱チャンバー24内で中央に配設されている。ピンは、ヒーター組立品22の遠位端にて支持基部26上に据え付けられている。長軸方向のピン10と加熱チャンバー24との共通の中央長軸方向軸は、点線12によって示されている。ピン10は、図1に示すものと同じピン10である。ピン10は、本明細書に記載の通りの任意のタイプのピンであってもよい。
【0067】
ピン10のサセプタ層18は、ヒーター組立品22のインダクタコイル28によって加熱される。ヒーター組立品22は、空気吸込み口30およびハウジング32をさらに備える。
【0068】
エアロゾル発生物品(図示せず)は、中空封止部材34内の中央開口部を介して加熱チャンバー24の中に挿入されてもよい。エアロゾル発生物品は、その遠位端にて固体エアロゾル形成基体を含む中空円筒状管と、その近位端にてマウスピースフィルターを含むマウスピースとを備えてもよい。エアロゾル発生物品の遠位端は、加熱チャンバー24の中に挿入されてもよく、これによってエアロゾル発生物品の中空円筒状管は、ピン10と断熱材管36の間に配設されている。
【0069】
図3は、本発明のヒーター組立品用のピン10の一実施形態を断面図で示す。図3のピン10は、サセプタ層18が、均一なサセプタ層18の形態で図3のピン10上に被覆されている点で、図1のピン10と異なる。
【0070】
図4aおよび図4bは各々、本発明のヒーター組立品用のピン10の一実施形態を示す。図4aおよび図4bは、断面図で示されていなく、そのためピン10の中空の真空内部は示されていない。
【0071】
図4aの実施形態において、サセプタ層18は、円の形態にあるサセプタ層18の個別の部分40を備える。
【0072】
図4bの実施形態において、サセプタ層18の円形状の個別の部分38は、第一の加熱ゾーン40を画定する。サセプタ層18の円周方向のリング形状の個別の部分20は、第二の加熱ゾーン42を画定する。第一の加熱ゾーン40および第二の加熱ゾーン42は、ピン10の長軸方向軸に沿って異なる位置に配設されている。第一の加熱ゾーン40および第二の加熱ゾーン42における個別の部分20、38の異なる配設に起因して、第一の加熱ゾーン40および第二の加熱ゾーン42は異なるサセプタ特性を有する。それ故に、図2の実施形態に示す通り、完全な基板層18が単一の均一なインダクタコイル30によって加熱される場合でさえも、第一の加熱ゾーン40は、第二の加熱ゾーン42と異なる温度に加熱されてもよい。別の方法として、または追加的に、第一の加熱ゾーン40および第二の加熱ゾーン42の各々は、それぞれ別個の第一のインダクタコイルおよび第二のインダクタコイルによって、望ましい温度に個別に加熱されてもよい。第一のインダクタコイルおよび第二のインダクタコイルは、第一の加熱ゾーン40および第二の加熱ゾーン42のそれぞれの軸方向位置に対応する、ピン10の長軸方向軸に沿った異なる位置に配設されてもよい。
図1a
図1b
図2
図3
図4a
図4b