(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】プレターゲットイメージング剤
(51)【国際特許分類】
C07D 401/12 20060101AFI20241118BHJP
A61K 51/04 20060101ALI20241118BHJP
C07D 409/14 20060101ALI20241118BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
C07D401/12 CSP
A61K51/04
C07D409/14
A61K31/444
(21)【出願番号】P 2023535896
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 US2021063552
(87)【国際公開番号】W WO2022132924
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-06-13
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【氏名又は名称】吉光 真紀
(72)【発明者】
【氏名】カグノリニ,アルド
(72)【発明者】
【氏名】ホウイ,アダム トーマス
(72)【発明者】
【氏名】リー,シーミン
(72)【発明者】
【氏名】ライト,ジャスティン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ション,フイ
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-112326(JP,A)
【文献】特表2018-511648(JP,A)
【文献】国際公開第2019/168170(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/143016(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/105913(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/
A61K 51/
C07D 409/
A61K 31/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物、
【化1】
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
【化2】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の式の化合物、
【化3】
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
【化4】
である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
以下の式の化合物、
【化5】
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
【化6】
である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
以下の式の化合物、
【化7】
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
【化8】
である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とともに、先行請求項のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【請求項10】
【化9】
又はその薬学的に許容される塩、並びにエタノール及びPBS緩衝液を含む、組成物。
【請求項11】
前記組成物が、アスコルビン酸塩又はアスコルビン酸を含まない、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
【化10】
又はその薬学的に許容される塩、並びにエタノール及びPBS緩衝液を含む、組成物。
【請求項13】
前記組成物が、アスコルビン酸塩又はアスコルビン酸を含まない、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
【化13-1】
【化13-2】
からなる群から選択される、中間体。
【請求項15】
以下の式の化合物、
【化14】
(Xは、C-F、C-
18F、又はNであり、
Yは、C-F、C-
18F、又はNであり、
X及びYの一方(両方ではない)は、Nであり、
XがNである場合、YはC-F又はC-
18Fであり、
YがNである場合、XはC-F又はC-
18Fである)
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
【化15】
である、請求項
15に記載の化合物。
【請求項17】
【化16】
である、請求項
15に記載の化合物。
【請求項18】
【化17】
である、請求項
15に記載の化合物。
【請求項19】
【化18】
である、請求項
15に記載の化合物。
【請求項20】
1種以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とともに、請求項
15~
19のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【請求項21】
生体分子を放射性標識する方法であって、
TCO部分を前記生体分子に結合させ、それにより生体分子-TCOコンジュゲートを形成することと、
前記生体分子-TCOコンジュゲートを18F標識テトラジンと反応させて、生体分子-TCO-テトラジン-18F分子を形成することとを含み、前記18F標識テトラジンは、
【化19】
からなる群から選択される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミド、及びこの化合物の[18F]放射線標識バージョン、並びにこれらの化合物の薬学的に許容される塩、並びにこれらの化合物の調製のための中間体、並びにプレターゲットイメージングのためのこれらの化合物の使用方法、並びに診断イメージング(プレターゲットイメージングなど)のためのこれらの化合物の組成物及び配合物、並びにこれらの化合物、組成物、及び配合物を使用するプレターゲットイメージングの方法に関する。
【0002】
本発明はまた、化合物N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミド、及びこの化合物の18F標識バージョン、並びにこれらの化合物の薬学的に許容される塩、並びにこれらの化合物の調製のための中間体、並びにプレターゲットイメージングのためのこれらの化合物の使用方法、並びに診断イメージング(プレターゲットイメージングなど)のためのこれらの化合物の組成物及び配合物、並びにこれらの化合物、組成物、及び配合物を使用するプレターゲットイメージングの方法に関する。
【背景技術】
【0003】
歴史的に、高分子を使用したPETイメージングは、全長抗体を直接標識することで実現されてきた。抗体は絶妙な特異性及び選択性を有しているが、クリアランスが遅く脳透過性が低いためにしばしば妨げられる。抗体を用いたイメージングは、長寿命の放射性核種を利用し、非特異的なバックグラウンド信号をクリアするために、放射性免疫複合体の注射後7~10日後にイメージングが実行される。このタイムラインは臨床診療に容易に組み込まれず、治療対象を高いレベルの放射能に曝露する。通常の臨床診療への混乱及び治療対象への放射線曝露を最小限に抑えるために、プレターゲットベースのイメージングシステムが開発されている。このプレターゲットアプローチは、テトラジンとトランスシクロオクテン(TCO)誘導体との間の双直交逆電子需要ディールス・アルダー(IEDDA)反応に基づく2ステップのプロセスであり、高分子の特異性及び選択性、並びに短寿命の放射性核種を含む小分子の急速な薬物動態を利用する。周辺ターゲットの文献に記載されているプレターゲットイメージングの前臨床例は多数ある(J.Med.Chem.2017,60,8201-8217、及びJ.Label Compd.Radiopharm 2014,57 285-290を参照されたい)。
【0004】
抗体ベースのCNSイメージング剤の場合、血液脳関門(BBB)には追加の課題がある。2017年、Syvanen教授ら(Uppsala University)は、トランスフェリン受容体(TfR)を介した血液脳関門を通過する輸送を通じて、Aβプロトフィブリルを標的とする二重特異性抗体の脳への取り込みが改善されることを実証した。124I標識抗体を使用したその後のPETイメージング研究では、注射後3日で、トランスジェニックマウスと野生型マウスとの間で分布が異なることが示された。様々な脳領域の分布パターンは、Aβの病理と良好な相関関係があった。Stina Syvanen et al.Theranostics,2017;7(2):308-318を参照されたい。Syvanen S、Fang XT、Faresjo R、Rokka J、Lannfelt L、Olberg DE、Eriksson J、Sehlin D.Fluorine-18-Labeled Antibody Ligands for PET Imaging of Amyloid-β in Brain.ACS Chem.Neurosci.2020,11,4460-4468も参照されたい。
【0005】
脳浸透性の高分子以上に、CNSプレターゲットイメージング研究を成功させるためのもう1つの必要条件は、脳浸透性で、急速にクリアする、反応性でありながら安定な、反応性テトラジン基を含む小分子チェイサーの可用性である。いくつかの11C及び18F標識小分子テトラジンチェイサーは、かなりの脳への取り込みがあると報告されている(Hannes Mikula et al.Bioconjugate Chem.2016,27,7,1707-1712、及びHannes Mikula et al.Angew.Chem.Int.Ed.2014,53,9655-9659を参照されたい)。ただし、CNSプレターゲットイメージング研究でのそれらの適用は報告されていない。
【0006】
2019年、Brendon Cook及び共同研究者は、ラットの脳におけるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の分布を研究するためのCNSプレターゲットイメージングの最初の症例を報告した(2019 World Molecular Imaging Congress Conference,Poster 139)。ラットに2.5mMのASO-TCOコンジュゲートを30μLの生理食塩水で髄腔内投与し、続いてASO-TCO投与の24時間後及び168時間後、CNS浸透性テトラジン[
18F]537-Tzを静脈内注射した。静的PET-CTスキャンを、[
18F]537-Tzの投与の75~90分後に実行した。対照群と比較して、ASO-TCOを投与された動物の脳及び脊椎でより高い放射性トレーサーの取り込みが観察された。[
18F]537-Tzは、動的PETイメージングにより、野生型マウスで脳への取り込み(10分P.I.で1.7±0.9%ID)を示したことも報告された。この[
18F]537-Tz化合物は、2-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル)-N-(2-フルオロエチル)アセトアミドであると考えられている。
【化1】
【0007】
比較すると、本明細書に開示される[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミド及び[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミドのCD-1雄マウスにおけるダイナミックPETイメージングは、これらの化合物が血液脳関門を容易に通過し、それぞれ3.3±0.4%ID/g及び4.3±0.3%ID/gのピーク脳取り込みに達することを示した。次いで、これらの化合物は、注射後60分までに脳からほぼバックグラウンドレベル(筋肉)まで安定したクリアランスを示した。着実な脳への浸透及び脳からの迅速かつ完全なウォッシュアウトを備えたこれらの薬剤は、より大きなウィンドウを提供して、より高い信号対バックグラウンド比を達成し、より良好な画質をもたらす。したがって、本発明者らは、本明細書に開示される化合物が、プレターゲットCNSイメージングに利点をもたらすと期待している。
【0008】
本実施形態は、新規化合物、組成物、配合物、及びプレターゲットイメージングのための方法を提供する。したがって、治療対象をイメージングする能力を向上させるこのタイプの改善された技術は、診断イメージングの臨床的利益及び影響を拡大するためにも必要である。改良されたイメージング剤は、現在知られている薬剤と比較して、強化されたプレターゲットイメージを提供する。
【0009】
本実施形態はまた、本明細書において「化合物1」とも呼ばれる化合物N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミドを提供し、これは、構造的に式Iの化合物として表すことができる。
【化2】
【0010】
式Iの化合物は遊離塩基として上に示されている。式Iの化合物は、薬学的に許容される塩に変換されてもよく、本実施形態では塩の形態で使用され得る。
【0011】
本実施形態は、本明細書において「化合物2」とも呼ばれる化合物、化合物1の
18F-バージョンを提供し、これは、構造的に式IIの化合物として表すことができる。
【化3】
【0012】
式IIの化合物は遊離塩基として上に示されている。式IIの化合物は、薬学的に許容される塩に変換されてもよく、本実施形態では塩の形態で使用され得る。
【0013】
本実施形態は、式I若しくは式IIのいずれかの薬学的に許容される塩の使用、又は遊離塩基としての化合物の使用を提供する。
【0014】
本実施形態は、例えば、プレターゲットイメージング剤などのイメージング剤の調製のための、式Iの化合物及び/若しくは式IIの化合物、並びに/又はそれらの混合物の使用を更に提供する。
【0015】
本実施形態は、ヒトにおけるイメージング(プレターゲットイメージング)のための放射性医薬品の製造のための、式I又はIIの化合物の使用を提供する。別の態様では、本発明は、式I又はIIの化合物を調製する方法を提供する。
【0016】
別の態様では、本実施形態は、エタノール(例えば、10%EtOH(v/v)など)及び好ましくはヒトで使用するため緩衝液(PBS緩衝液であり得る)で配合される、化合物1若しくは化合物2、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、式I及び式IIのテトラジン部分がアスコルビン酸塩配合物によって容易に還元され得ることが見出されたので、配合物はアスコルビン酸塩又はアスコルビン酸を含まないことにも留意されたい。したがって、アスコルビン酸塩配合物は、イメージングのための多くの配合物で容易に使用されるが、式I又は式IIの化合物を用いたイメージングには適さない場合がある。
【0017】
本発明はまた、検出可能な量の化合物1若しくは2、又はその薬学的に許容される塩、又はその組成物を治療対象に導入することを含む、プレターゲットイメージングのための方法を提供する。
【0018】
本実施形態はまた、本明細書において「化合物3」とも呼ばれるN-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミドを提供し、これは、構造的に式IIIの化合物として表すことができる。
【化4】
【0019】
式IIIの化合物は遊離塩基として示されている。式IIIの化合物は、薬学的に許容される塩に変換されてもよく、本実施形態では塩の形態で使用され得る。
【0020】
本実施形態は、本明細書において「化合物4」とも呼ばれる化合物、化合物3の
18F-バージョンを提供し、これは、構造的に式IVの化合物として表すことができる。
【化5】
【0021】
式IVの化合物は遊離塩基として示されている。式IVの化合物は、薬学的に許容される塩に変換されてもよく、本実施形態では塩の形態で使用され得る。
【0022】
本実施形態は、式III又はIVのいずれかの薬学的に許容される塩の使用、又は遊離塩基としての化合物の使用を提供する。
【0023】
本実施形態は、例えば、プレターゲットイメージング剤などのイメージング剤の調製のための、式IIIの化合物及び/若しくは式IVの化合物、並びに/又はそれらの混合物の使用を更に提供する。
【0024】
本実施形態は、ヒトにおけるイメージング(プレターゲットイメージング)のための放射性医薬品の製造のための、式III又はIVの化合物の使用を提供する。別の態様では、本発明は、式III’又はIVの化合物を調製する方法を提供する。
【0025】
別の態様では、本実施形態は、エタノール(例えば、10%EtOH(v/v)など)及び好ましくはヒトで使用するため緩衝液(PBS緩衝液であり得る)で配合される、化合物3若しくは化合物4、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、式III及び式IVのテトラジン部分がアスコルビン酸塩配合物によって容易に還元され得ることが見出されたので、配合物はアスコルビン酸塩又はアスコルビン酸を含まないことにも留意されたい。したがって、アスコルビン酸塩配合物は、イメージングのための多くの配合物で容易に使用されるが、式III又は式IVの化合物を用いたイメージングには適さない場合がある。
【0026】
本発明はまた、検出可能な量の化合物3若しくは4、又はその薬学的に許容される塩、又はその組成物を治療対象に導入することを含む、プレターゲットイメージングのための方法を提供する。
【0027】
本実施形態は、以下に構造的に表すことができる式Vの化合物:
【化6】
(式中、Xは、C-F、C-
18F、又はNであってもよく、
Yは、C-F、C-
18F、又はNであってもよく、
X及びYの一方(両方ではない)は、Nであり、
XがNである場合、YはC-F又はC-
18Fであり、
YがNである場合、XはC-F又はC-
18Fである)、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0028】
当業者は、式Vが上記の化合物1、2、3及び4(並びにこれらの化合物の薬学的に許容される塩)を包含する属として表すことを理解するであろう。したがって、化合物1、2、3及び4(又は式I~IV)の実施形態、並びにそれらの関連する使用、組成物、配合物などに関する上記の開示は、式Vの化合物にも同様に適用される。
【0029】
本実施形態は、式Vのいずれかの薬学的に許容される塩の使用、又は遊離塩基としての化合物の使用を提供する。
【0030】
本実施形態は、例えば、プレターゲットイメージング剤などのイメージング剤の調製のための、式Vの化合物、並びに/又はそれらの混合物の使用を更に提供する。
【0031】
本実施形態は、ヒトにおけるイメージング(プレターゲットイメージング)のための放射性医薬品の製造のための、式Vの化合物の使用を提供する。別の態様では、本発明は、式Vの化合物を調製する方法を提供する。
【0032】
別の態様では、本実施形態は、エタノール(例えば、10%EtOH(v/v)など)及び好ましくはヒトで使用するため緩衝液(PBS緩衝液であり得る)で配合される、式Vの化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、式Vのテトラジン部分がアスコルビン酸塩配合物によって容易に還元され得ることが見出されたので、配合物はアスコルビン酸塩又はアスコルビン酸を含まないことにも留意されたい。したがって、アスコルビン酸塩配合物は、イメージングのための多くの配合物で容易に使用されるが、式Vの化合物を用いたイメージングには適さない場合がある。
【0033】
本発明はまた、検出可能な量の式Vの化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はその組成物を治療対象に導入することを含む、プレターゲットイメージングのための方法を提供する。
【0034】
以下の調製及び実施例は、本発明の実施をよりよく解明するために提供される。これらのスキーム、調製、及び実施例のステップに対する好適な反応条件は、当該技術分野において周知であり、溶媒及び共試薬の置換を含む反応条件の適切な変更は、当業者の能力の範囲内である。
【0035】
更に、当業者であれば、いくつかの状況下で、部分(moieties)が導入される順序が重要ではないことを認識するであろう。式I又は式II又は式III又は式IVの化合物を生成するのに必要なステップの特定の順番は、熟練した化学者によく理解されているように、合成される特定の化合物、出発化合物、及び置換部分の相対的な不安定性に依存する。これらの化合物は、当技術分野で周知の方法による合成の都合のよい時点で保護又は修飾することができる。本発明の中間体及び最終生成物は、必要に応じて、再結晶、又はシリカゲル若しくはアルミナなどの固体支持体上でのクロマトグラフィーなどの一般的な技術によって更に精製することができる。
【0036】
本発明の化合物は、好ましくは、様々な経路によって投与される放射性医薬組成物として配合される。好ましくは、そのような組成物は、好ましくはヒトにおいて、静脈内使用のためのものである。そのような医薬組成物及びそれらを調製するためのプロセスは、当該技術分野において周知である。例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy(P.P.Gerbino,21st ed.,Lippincott,Williams & Wilkins,2006)を参照されたい。
【0037】
好ましい配合物は、化合物1又は化合物2の調製物であり得る。好ましい配合物は、化合物3又は化合物4の調製物であり得る。特に好ましいのは、本明細書に記載の手順に従って調製された化合物1又は化合物2又は化合物3又は化合物4である。化合物1又は化合物2の好ましい配合物は、例えば、10%EtOH(v/v)などのエタノール中で配合される。この配合物はまた、PBS緩衝液などの緩衝液を含み得る。他の成分も使用することができる。化合物3又は化合物4の好ましい配合物は、例えば、10%EtOH(v/v)などのエタノール中で配合される。この配合物はまた、PBS緩衝液などの緩衝液を含み得る。他の成分も使用することができる。
【0038】
式I及びII及びIII及びIVの化合物は、好ましくはヒトの臨床イメージングを含む、プレターゲットイメージングに驚くほどかつ予想外に有利であることが発見された。いくつかの実施形態では、式I、II、III、IV、又はVの化合物は、プレターゲットイメージングに使用され得る。例えば、式I~Vの化合物は、脳浸透性である可能性があり、したがって、CNS(中枢神経系)のプレターゲットイメージングのためのトレーサーとして使用され得る。いくつかの実施形態では、CNS標的のプレターゲットイメージングは、3つ又は4つのステップで達成され得る。
【0039】
1.生物配合物-TCOコンジュゲート(例えば、シャトル二重特異性抗体-TCOコンジュゲート、若しくはオリゴヌクレオチド-TCOコンジュゲート)のI.V.(静脈内)又はI.T(髄腔内)投与、
【0040】
2.生物配合物-TCOコンジュゲートの分布及び全身性クリアランスを可能にするのに十分な時間(日)を待つ、
【0041】
3.末梢循環生物配合物-TCOコンジュゲートをマスクするための末梢制限テトラジンのI.V.注射の任意選択のステップ、
【0042】
4.式I又は式II又は式III又は式Vの式IVの脳浸透性化合物のI.V.投与、それに続く脳PETイメージング。
【0043】
生物配合物-TCOコンジュゲートの調製に関しては、そのような技術の使用は文献に公開されており(以下を参照)、腫瘍学のプレターゲットイメージング研究で知られている。
【0044】
1.Bioconjugate Chem.2018,29,538-545(TCO antibody conjugation;Use of clearing agent to mask circulating antibody-TCO)
【0045】
2.Bioconjugate Chem.2013,24,1210-1217(TCO antibody conjugation)
J. Med.Chem.2017,60,8201-8217(TCO antibody conjugation,Pretargeting Radioligand Optimization)
【0046】
オリゴヌクレオチド-TCOコンジュゲーションの場合、このタイプのコンジュゲート(TCO-PEG4オリゴ修飾)は、Bio-Synthesis社(Lewisville,Texas,USA)から市販されている。したがって、当業者は、生物配合物-TCOコンジュゲートの調製をどのように達成するかを理解するであろう。
【0047】
プレターゲットイメージングの潜在的な利点のいくつかには、放射能の送達を、高い特異性及び選択性を備えた生物配合物などのターゲットベクターから分離することによって短命の放射性核種を使用する能力、並びに治療対象の放射能への曝露を減らす能力が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミド精製の代表的な半分取HPLCクロマトグラムである。
【
図2】配合された[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミドの代表的な分析用HPLCクロマトグラムである。
【
図3】[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミド精製の代表的な半分取HPLCクロマトグラムである。
【
図4】配合された[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミドの代表的な分析用HPLCクロマトグラムである。
【
図5】[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミド精製の代表的な半分取HPLCクロマトグラムである。
【
図6】配合された[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミドの代表的な分析用HPLCクロマトグラムである。
【
図7】テトラジンとのMalat1 ASO-TCO反応の代表的なESI質量結果である。
【
図8】テトラジンの代表的な放射性微量[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロピコリンアミド、[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミド、及びMalat1 ASO-TCOとの反応物である。
【0049】
以下では、特定の略語を使用する場合がある。これらの略語は次のことを意味する。「CAS番号」はChemical Abstracts Registry番号を指し、「Ci」はキュリー(複数可)を指し、「CT」はコンピュータ断層撮影を指し、「δ」は、核磁気共鳴分光法における化学シフトを指し、「DMF」はN,N-ジメチルホルムアミドを指し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを指し、「DMSO-d6」は重水素化DMSOを指し、「ES/MS」はエレクトロスプレー質量分析を指し、「EtOH」はエタノール又はエチルアルコールを指し、「HATU」は1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェートを指し、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを指し、「h」及び「hr」は時間(複数可)を指し、「min」は分(複数可)を指し、「%ID/g」はグラム当たりの注射用量%を指し、「mCi」はミリキュリー(複数可)を指し、「MHz」はメガヘルツを指し、「μL」はマイクロリットル(複数可)を指し、「N」は、実験における複製の数又はサンプルサイズを指し、「NMR」は核磁気共鳴を指し、「PET」は陽電子放出断層撮影を指し、「OAc」は酢酸塩を指し、「ppm」は100万分の1を指し、「s」は一重項を指し、「SEM」は平均の標準誤差を指し、「tR」は保持時間を指し、「THF」はテトラヒドロフランを指す。
【0050】
一般的化学及び調製
下記の調製及び実施例は、本発明について更に例示し、本発明の化合物の典型的な合成を表す。試薬及び出発材料は、容易に入手可能であるか、又は当業者によって容易に合成され得る。調製及び実施例は、限定ではなく例示として記載されており、当業者によって様々な変更がなされ得ることを理解されたい。
【0051】
1H及び19FスペクトルのNMR分光分析は、Bruker Avance(商標)III HD 400MHz NMR分光計で実行され、CDCl3又はDMSO-d6溶液として得られ、残留溶媒共鳴(CDCl3、7.26ppm;DMSO-d6、2.50ppm)を1H NMR参照標準として使用して、ppmで報告される。19Fスペクトルには参照標準は使用されない。ピーク重複度が報告される場合、下記の略語、s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、m(多重項)、br-s(ブロードな一重項)、dd(二重の二重項)、dt(二重の三重項)が使用され得る。結合定数(J)は、報告される場合、ヘルツ(Hz)で報告される。
【0052】
ES/MSは、Waters(登録商標)Acquity UPLCシステムで実行される。エレクトロスプレー質量分析測定(ポジティブ及び/又はネガティブモードで取得)は、UPLCシステムに接続されたWaters(登録商標)Acquity QDa質量検出器で実行される。以下の実験の項で別段に指定されない限り、LC-MS条件は次のとおりである。カラム:Waters Acquity UPLC(登録商標)BEH 2.1×30mm、1.7μ;波長250~650nm。次の2つの勾配のうちの1つを使用する:勾配1:最初は10%Bで0.5分間保持し、10~98%Bで3.5分間保持し、98%Bで0.5分間保持し、0.6分間10%Bに戻す;勾配2:最初は10% Bで0.5分間保持し、10~98%Bで1.5分間保持し、98%Bで0.5分間保持し、再平衡化するために10%Bに戻す。カラム温度:40℃+/-10℃;流量:0.5mL/分;Aの溶媒:0.1%HCOOHを含む脱イオン水;Bの溶媒:100%アセトニトリル。
【0053】
もちろん、他の機器及び検出手段並びにES/MSについては当業者に知られており、当業者には知られているであろう。
【0054】
使用する場合の分取及び分析用HPLC条件の詳細を以下に示す。
【0055】
実施例1
N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミド
【化7】
[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メタンアミン塩酸塩(115mg、0.51mmol、Click Chemistry Tools、CAS番号1416711-59-5)及び2-フルオロピリジン-3-カルボン酸(90mg、0.64mmol)のジクロロメタン(6mL)中の撹拌溶液に、HATU(260mg、0.67mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.2mL、1.0mmol)を添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、有機層を飽和NaHCO
3水溶液、飽和NaCl水溶液で順次洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣を、酢酸エチル中の0~50%ジクロロメタンの勾配で溶出するシリカ上のカラムクロマトグラフィーによって精製し、所望のクロマトグラフィー画分の溶媒蒸発後に紫色の固体として表題化合物を得る(150mg、収率64%、ヘキサフルオロリン酸塩を含む)。表題化合物を、20mLのジクロロメタンに溶解し、3×0.5M酢酸カリウム水溶液で洗浄することによって更に精製する(75mg、0.16mmol)。得られた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、紫色の固体として精製された表題化合物を得る(51mg)。
1H NMR(400.13MHz、DMSO-d
6)δppm:4.63(d、J=6.0Hz、2H)、7.51~7.47(m、1H)、7.65(d、J=8.6Hz、2H)、8.26-8.22(m、1H)、8.36-8.39(m、1H)、8.51-8.48(m、2H)、9.17-9.12(m、1H)、10.58(s、1H)。
19F NMR(376.45MHz、DMSO-d
6)δ ppm:-67.6。ES/MS(m/z):311(M+H)。
【0056】
調製物1
2-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチル-フェニル]スルファニルピリジン-3-カルボン酸
【化8】
メチル2-クロロピリジン-3-カルボキシレート(380mg、2.2mmol)及び2-エチルヘキシル3-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチル-フェニル]スルファニルプロパノエート(900mg、2.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(180mg、0.20mmol)及び4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(230mg、0.40mmol)の1,4-ジキソアン(8mL)中の溶液を、N
2で5分間バブリングし、THF中のカリウムtert-ブトキシドの1M溶液(2.20mL、2.20mmol)を添加する。反応混合物を密封し、100℃まで一晩加熱する。反応混合物を室温に冷却し、1N NaOH水溶液(6mL)を添加する。得られた混合物を室温で2~3時間撹拌し、水(30mL)で希釈し、酢酸エチル(2×30mL)で抽出する。水層を1N HCl水溶液でpH約1に中和し、酢酸エチル(2×30mL)で抽出する。有機層を合わせ、飽和NaCl水溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣を、酢酸エチル中0~100%ヘキサンの勾配で溶出するシリカ上のカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(270mg、収率33%)を黄色固体として得る。ES/MS(m/z):382[M+H]。
【0057】
調製物2
2-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチル-フェニル]スルフィニル-N-[[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メチル]ピリジン-3-カルボキサミド
【化9】
2-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチル-フェニル]スルファニルピリジン-3-カルボン酸(100mg、0.26mmol)及び[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メタンアミン塩酸塩(59mg、0.26mmol、Click Chemistry Tools、CAS番号1416711-59-5)及びHATU(122mg、0.41mmol)のジクロロメタン(2.6mL)中の撹拌溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(120μL、0.67mmol)を添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。揮発性物質を減圧下で除去する。得られた残渣を酢酸エチル(50mL)に溶解し、0.5M KHCO
3水溶液(2×30mL)及び飽和NaCl水溶液(30mL)で順次洗浄する。有機抽出物をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィー(0~100%ヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、2-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチル-フェニル]スルファニル-N-[[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メチル]ピリジン-3-カルボキサミド(121mg、収率84%)をピンク色の泡状物として得る。
【0058】
2-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチル-フェニル]スルファニル-N-[[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メチル]ピリジン-3-カルボキサミド(121mg、0.22mmol)のジクロロメタン(2.5mL)中の攪拌溶液に、3-クロロペルオキシ安息香酸(純度77%、36mg、0.16mmol)を添加する。混合物を室温で30分間撹拌し、減圧下で濃縮する。得られた残渣を、0~100%ヘキサン/酢酸エチルの勾配で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製して、2-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチル-フェニル]スルフィニル-N-[[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メチル]ピリジン-3-カルボキサミド(91mg、0.16mmol、収率73%)をピンク色の泡状物として得る:1H NMR(400.13MHz)、DMSO-d6) δ ppm:2.39(s、3H)、3.69(s、6H)、4.60-4.42(m、2H)、6.50-6.46(m、3H)、7.19(d、J=1.1Hz、1H)、7.36-7.33(m、1H)、7.59-7.56(m、5H)、8.10-8.07(m、1H)、8.43(d、J=8.5、2H)、8.69-8.67(m、1H)、9.08(t、1H)、10.56(s、1H)。ES/MS(m/z):567(M+H)。
【0059】
調製物3
2-(2,4-ジメトキシ-8-メチル-ジベンゾチオフェン-5-イウム-5-イル)-N-[[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メチル]ピリジン-3-カルボキサミドトリフルオロメタンスルホネート
【化10】
2-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチル-フェニル]スルフィニル-N-[[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メチル]ピリジン-3-カルボキサミド(25mg、0.04mmol)及びジエチルアミノポリスチレン(3.2mmol/g、100mg、0.32mmol)の0℃に冷却したジクロロメタン(3mL)中の撹拌スラリーに、トリフルオロメタンスルホン酸無水物のジクロロメタン(150μL、0.15mmol)中の1M溶液を添加する。反応混合物を室温まで温め、30分間撹拌し、水を一滴加えて反応をクエンチする。混合物を濾過し、固体をジクロロメタンで洗浄する。合わせた濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣を、ジクロロメタン中0~15%メタノールの勾配を使用したシリカゲル上のクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(10mg、0.014mmol、収率32%)を紫色の固体として得る:
1H NMR(400.13MHz、DMSO-d
6) δ ppm:2.46(s、3H)、3.86(s、3H)、4.03(s、3H)、4.94-4.81(m、2H)、6.43(d、J=2.1Hz、1H)、7.45-7.42(m、1H)、7.67(d、J=2.1Hz、1H)、7.80(d、8.5Hz、2H)、7.91-7.88(m、1H)、8.18(d、J=8.4Hz、1H)、8.28(s、1H)、8.65(d、J=8.4Hz、2H)、8.60~8.59(m、1H)、8.73~8.70(m、1H)、10.30(t、1H)、10.61(s、1H)。
19F NMR(376.45MHz、DMSO-d
6) δ ppm:-77.7。ES/MS(m/z):549(M
+)。
【0060】
実施例2
[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミド
【化11】
表題化合物放射線合成の典型的な放射化学収率は、0.435~1.442Ciの開始活性を使用し、合成時間50分で、3.6±1.34%(N=3)である。
【0061】
[
18F]フッ化物活性(0.435~1.442Ci)は、Sep-Pak Accell Plus QMA Plusライトカートリッジ(130mg、37~55μm、Waters部品番号WAT023525;注射用水5mLで事前調整済み)で維持され、アセトニトリルを含有する0.8mLの重炭酸テトラエチルアンモニウム水溶液[水(0.2mL)及びアセトニトリル(0.6mL)中の重炭酸テトラエチルアンモニウム(3.5mg)]を使用してTRACERlab FX
F-N反応容器内に溶出される。溶出した活性物質を70℃に加熱し、圧縮窒素ガスパージ及び真空下で5分間乾燥させる。次いで温度を100℃に上げ、真空下で5分間保持すると、[
18F]テトラエチルアンモニウムフルオリドが得られる。反応器を35℃に冷却し、無水DMSO(1mL)中の2-(2,4-ジメトキシ-8-メチル-ジベンゾチオフェン-5-イウム-5-イル)-N-[[4-(1,2,4,5)-テトラジン-3-イル)フェニル]メチル]ピリジン-3-カルボキサミドトリフルオロメタンスルホネート(1mg、1.43μmol)の溶液を添加する。温度を40℃に上げ、反応混合物を40℃で5分間維持する。次いで、混合物を水中の0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸3.5mLで希釈し、得られた粗反応混合物を精製のために半分取HPLCカラムに装填する(条件は
図1に列挙されている)。精製された[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミドを含むHPLC画分(
図1)を、40mLの水を含むバイアル内に収集し、Sep-Pak(登録商標)Light 1cc Vac C18カートリッジ(50mg、55~105μm、Waters部品番号WAT054955;5mLのEtOH及び5mLの水で連続的に前処理済み)に装填する。維持された[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミドを0.5mLのEtOHを使用して溶出し、リン酸緩衝食塩水中の10%(v/v)EtOHの5mLの配合物に再構成する。得られた[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミドの量は、0.014~0.033Ciの範囲であった。配合された[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミドの代表的な分析HPLCを
図2に示す。
【0062】
実施例3
N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミド
【化12】
[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メタンアミン塩酸塩(60mg、0.27mmol、Click Chemistry Tools、CAS番号1416711-59-5)及び6-フルオロピリジン-2-カルボン酸(45mg、0.32mmol)のジクロロメタン(4mL)中の混合物に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(150μL、0.86mmol)、続いてHATU(135mg、0.35mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌する。得られたピンク色のスラリーをジクロロメタンと1Mクエン酸水溶液との間で分配する。層を分離し、水相をジクロロメタン(3×10mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、シリカゲル上で減圧下で濃縮する。得られた残渣を、溶離液としてジクロロメタン/酢酸エチルの勾配で溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製して、フルオロリン酸塩で汚染された粗表題化合物を得る。粗生成物をジクロロメタン(10mL)に溶解し、0.5M酢酸カリウム水溶液(2×10mL)で洗浄する。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、純粋な表題化合物(64mg、収率77%)をマゼンタの固体として得る:
1H NMR(400.13MHz、DMSO-d
6) δ ppm:4.62(d、J=6.2Hz、2H)、7.45-7.43(m、1H)、7.61(d、J=8.8Hz、2H)、8.02-7.99(m、1H)、8.20(q、1H)、8.46(d、J=8.5Hz、2H)、9.39(t、1H)、10.56(s、1H)。
19F NMR(376.45MHz、DMSO-d
6) δ ppm:-68.0。ES/MS(m/z):311(M+H)。
【0063】
調製物4
6-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチルフェニル]スルファニルピリジン-2-カルボン酸
【化13】
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(312mg、0.33mmol)及びビス(2-ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル(365mg、0.66mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(15mL)中の溶液に、メチル6-ブロモピリジン-2-カルボキシレート(1.71g、8.0mmol)、2-エチルヘキシル3-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチル-フェニル]スルファニルプロパノエート(3.0g、6.6mmol) 及びカリウムtert-ブトキシド(2.3g、19.8mmol)のN,N-ジメチルアセトアミド(20mL)中の溶液を添加する。混合物をN
2下、120℃で6時間撹拌し、より小規模な反応(N,N-ジメチルアセトアミド中の2-エチルヘキシル3-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチル-フェニル]スルファニルプロパノエート(100mg、0.22mmol)及びメチル6-ブロモピリジン-2-カルボキシレート(58mg、0.27mmol)を使用)と組み合わせる。反応混合物を2M NaOH水溶液(10mL)で処理し、40℃で1時間撹拌する。混合物を水(70mL)で希釈し、EtOAc(30mL)で抽出し、有機層を廃棄する。1N HCl水溶液を加えて水相をpH約3に調整する。酸性化した混合物をEtOAc(2×30mL)で抽出する。合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮する。得られた残渣を分取HPLC(カラム:YMC-Triart C18、250×50mm、7μm)により精製し、0.225%ギ酸を含む水中40%~80%アセトニトリルの勾配で25分間溶出する。所望の画分を凍結乾燥して、表題化合物(1.49g、収率53%)を黄色固体として得る。ES/MS(m/z):382[M+H]。ES/MS条件:LC(低pH):ES/MSは、Shimadzu LCMS 2020液体クロマトグラフィーシステムで実行される。エレクトロスプレー質量分析測定(ポジティブモードで取得)は、LCシステムに接続されたスキャンモード四重極質量分析で実行される。LC-MSカラム:Xtimate(登録商標)C18 2.1×30mm、3μm、勾配:10~80%B 3分、80%B 0.5分、カラム温度:50℃、流速:1.2mL/分、溶媒A:0.037%ギ酸を含む脱イオン水、溶媒B:0.018%ギ酸を含むアセトニトリル、波長UV220nm及び254nm。
【0064】
調製物5
6-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチル-フェニル]スルフィニル-N-[[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メチル]ピリジン-2-カルボキサミド
【化14】
6-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチル-フェニル]スルファニルピリジン-2-カルボン酸(150mg、0.39mmol)及び[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メタンアミン塩酸塩(90mg、0.40mmol、Click Chemistry Tools、CAS番号1416711-59-5)のジクロロメタン(4mL)中の撹拌溶液に、HATU(190mg、0.49mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.14mL、0.80mmol)を添加する。混合物を室温で一晩撹拌する。反応混合物を減圧下で部分容積まで濃縮し、30mLの酢酸エチルで希釈し、0.5M KHCO
3水溶液(2回)及び飽和NaCl水溶液(1回)で順次洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣を、ヘキサン中0~90%酢酸エチルの勾配で溶出するシリカ上のカラムクロマトグラフィーによって精製して、6-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチル-フェニル]スルファニル-N-[[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メチル]ピリジン-2-カルボキサミド(180mg、収率85%)を紫色の泡状固体として得る。ES/MS(m/z):551(M+H)。
【0065】
6-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチル-フェニル]スルファニル-N-[[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メチル]ピリジン-2-カルボキサミド(180mg、0.33mmol)のジクロロメタン(10mL)中の撹拌溶液に、3-クロロペルオキシ安息香酸(純度77%、73mg、0.33mmol)を添加する。得られた混合物を室温で2~3時間撹拌する。混合物を、ヘキサン中0~100%酢酸エチルの勾配で溶出するシリカ上のカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(167mg、収率99%)を紫色の泡状固体として得る。ES/MS(m/z):567(M+H)。
【0066】
調製物6
6-(2,4-ジメトキシ-8-メチル-ジベンゾチオフェン-5-イウム-5-イル)-N-[[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メチル]ピリジン-2-カルボキサミドトリフルオロメタンスルホネート
【化15】
6-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチル-フェニル]スルフィニル-N-[[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メチル]ピリジン-2-カルボキサミド(88mg、0.16mmol)及びポリマー担持トリエチルアミン(0.4g、1mmol、3.2mmol/g)の0℃のジクロロメタン(8mL)中の撹拌懸濁液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物のジクロロメタン中の1M溶液(0.42mL、0.42mmol)を添加する。混合物を室温で30分間撹拌し、水の滴下により反応をクエンチする。得られた懸濁液を濾過し、ジクロロメタンで洗浄し、減圧下で濃縮する。得られた残渣を、ジクロロメタン中の0~15%メタノールの勾配で溶出するシリカ上のカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(91mg、収率81%)を紫色の固体として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ ppm:2.49(s、3H)、4.01-4.00(m、6H)、4.75-4.63(m、2H)、5.75(s、1H)、7.01(d、J=2.1 Hz、1H)、7.62-7.59(m、3H)、7.76-7.72(m、2H)、8.23(t、J=7.8 Hz、1H)、8.30(dd、J=0.9、7.8 Hz、1H)、8.37-8.34(m、1H)、8.44(d、J=8.3 Hz、1H)、8.55-8.52(m、2H)、9.12-9.08(m、1H)、10.61(s、1H)。
19F NMR(376MHz、DMSO-d
6) δ ppm:-77.7。ES/MS(m/z):549(M
+)。
【0067】
実施例4
[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミド
【化16】
[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミド放射線合成の典型的な放射化学収率は、0.675~1.327Ciを使用し、剛性時間45~50分で、18.5±4.6%(N=6)である。
【0068】
[
18F]フッ化物活性(0.195~1.475Ci)は、Sep-Pak Accell Plus QMA Plusライトカートリッジ(130mg、37~55μm、Waters部品番号WAT023525;注射用水5mLで事前調整済み)で維持され、0.8mLの重炭酸テトラエチルアンモニウム水溶液[水(0.2mL)及びアセトニトリル(0.6mL)中の重炭酸テトラエチルアンモニウム(3.5mg)]を使用してTRACERlab FX
F-N反応容器内に溶出される。溶出した活性物質を70℃に加熱し、圧縮窒素ガスパージ及び真空下で5分間乾燥させる。温度を100℃に上げ、真空下で5分間保持すると、[
18F]テトラエチルアンモニウムフルオリドが得られる。1mLの無水DMSOを反応器に添加し、反応器を35℃に冷却する。[
18F]テトラエチルアンモニウムフルオリド溶液を、6-(2,4-ジメトキシ-8-メチル-ジベンゾチオフェン-5-イウム-5-イル)-N-[[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メチル]ピリジン-2-カルボキサミドトリフルオロメタンスルホネート(1mg、1.43μmol)の無水DMSO(0.2mL)中の溶液を含むTRACERlab注入バイアル(RV2)内に移し、室温で5分間保持する。混合物を3.5mLの水中0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸水溶液で希釈し、得られた粗反応混合物を精製のために半分取HPLCカラムに装填する(条件は
図3に列挙される)。精製された[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミドを含むHPLC画分(
図3)を、40mLの水を含むバイアル内に収集し、Sep-Pak(登録商標)Light 1cc Vac C18カートリッジ(50mg、55~105μm、Waters部品番号WAT054955;5mLのEtOH及び5mLの水で事前調整済み)に装填する。維持された[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミドを0.5mLのEtOHを使用して溶出し、リン酸緩衝食塩水中の10%(v/v)EtOHの5mLの配合物に再構成する。得られた[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミドの量は、0.0085~0.066Ciの範囲であった。配合された[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミドの代表的な分析用HPLCを
図4に示す。
【0069】
比較参考:例5
N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミド
【化17】
[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メタンアミン塩酸塩(60mg、0.27mmol、Click Chemistry Tools、CAS番号1416711-59-5)及び6-フルオロピリジン-3-カルボン酸(46mg、0.33mmol)のジクロロメタン(4mL)中の撹拌溶液に、HATU(135mg、0.35mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.1mL、0.57mmol)を添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。反応混合物を濃縮し、酢酸エチルで希釈し、有機層を飽和NaHCO
3水溶液、飽和NaCl水溶液で順次洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣を、酢酸エチル中の0~50%ジクロロメタンの勾配で溶出するシリカ上のカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を紫色の固体として得る(18mg、0.06mmol)。
1H NMR(400.13MHz、CDCl
3):4.81(d、J=5.9Hz、2H)、6.61-6.56(m、1H)、7.06(dd、J=2.1、8.4Hz、1H)、7.62(d、J=8.1Hz、2H)、8.35-8.30(m、1H)、8.69-8.64(m、3H)、10.24(s、1H)、
19F NMR(376.45MHz、CDCl
3) δ ppm:-62.8。ES/MS(m/z):311[M+H)]
+。
【0070】
調製物7
6-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチル-フェニル]スルファニルピリジン-3-カルボン酸
【化18】
エチル6-クロロピリジン-3-カルボキシレート(280mg、1.51mmol)及び2-エチルヘキシル3-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチルフェニル]スルファニルプロパノエート(740mg、1.66mmol)の1,4-ジキソアン(10mL)中の溶液に、THF中のカリウムtert-ブトキシドの1M溶液(1.8mL、1.8mmol)を添加する。溶液を80℃に4~5時間加熱し、次いで室温で一晩撹拌する。2M水酸化リチウム水溶液(10mL、20mmol)を添加し、混合物を80℃で2~3時間撹拌する。溶液を室温に冷却し、2N HClで酸性化し、酢酸エチルで抽出する。次いで、有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をシリカゲルカラム(0~80%ヘキサン/酢酸エチル)で精製して、表題化合物(527mg、1.31mmol)をオフホワイトの固体として得る。ES/MS(m/z):382[M+H]
+。
【0071】
調製物8
N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-((3’,5’-ジメトキシ-5-メチル-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)スルフィニル)ニコチンアミド
【化19】
6-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)-4-メチルフェニル]スルファニルピリジン-3-カルボン酸(94mg、0.25mmol)及び[4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)フェニル]メタンアミン塩酸塩(55mg、0.25mmol)及びHATU(115mg、0.30mmol)のジクロロメタン(2mL)中の撹拌混合物に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.07mL、0.4mmol)を添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。得られた残渣をジクロロメタンで希釈し、飽和NaHCO
3水溶液及び飽和NaCl水溶液で順次洗浄する。有機抽出物をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィー(0~80%ヘキサン/酢酸エチル)により精製して、N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-((3’,5’-ジメトキシ-5-メチル-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)チオ)ニコチンアミド(70mg、0.13mmol)をピンク色の泡状物として得る。
【0072】
N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-((3’,5’-ジメトキシ-5-メチル-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)チオ)ニコチンアミド(70mg、0.13mmol)のジクロロメタン(4mL)中の溶液に、3-クロロペルオキシ安息香酸(20mg、0.09mmol、純度77%)を添加する。混合物を室温で2~3時間撹拌する。次いで、混合物をシリカゲルカラム(12g、0~100%ヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、表題化合物(24mg)をピンク色の泡状物として得る:ES/MS(m/z):567[M+H]+。
【0073】
調製物9
5-(5-((4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)カルバモイル)ピリジン-2-イル)-2,4-ジメトキシ-8-メチル-5H-ジベンゾ[b,d]チオフェン-5-イウムトリフルオロメタンスルホネート
【化20】
N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-((3’,5’-ジメトキシ-5-メチル-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)スルフィニル)ニコチンアミド(23mg、0.04mmol)及びジエチルアミノポリスチレン(3.2mmol/g、70mg、0.22mmol)の0℃に冷却したジクロロメタン(3mL)中の撹拌スラリーに、トリフルオロメタンスルホン酸無水物のジクロロメタン中の1M溶液(130μL、0.13mmol)を添加する。反応混合物を室温まで温め、30分間撹拌する。水を一滴加えることにより反応を停止させる。混合物を濾過し、固体をジクロロメタンで洗浄する。合わせた濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣を、ジクロロメタン中0~20%メタノールの勾配を使用したシリカゲル上のクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(12mg、0.017mmol、収率41%)を紫色の固体として得る:
1H NMR(400.13MHz、DMSO-d
6)δ ppm:2.55(s、3H)、3.95(s、3H)、4.00(s、3H)、4.64-4.62(m、2H)、6.92(d、J=2.1Hz、1H)、7.62-7.57(m、3H)、7.69(d、J=2.1Hz、8.26(d、J=8.2Hz、1H)、8.39-8.37(m、2H)、8.48-8.44(m、2H)、8.54-8.52(m、1H)、8.92-8.91(m、1H)、9.48-9.44(m、1H)、10.58(s、1H)、
19F NMR(376.45MHz、DMSO-d
6)δ ppm:-77.7。ES/MS(m/z):549[M
+]。
【0074】
比較参考例6
[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミド
【化21】
[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミド放射線合成の典型的な放射化学収率は、0.318~0.615Ciの開始活性を使用し、剛性時間50分で、20±2.18%(N=3)である。
【0075】
[
18F]フッ化物活性(0.318~0.615Ci)は、Sep-Pak Accell Plus QMA Plusライトカートリッジ(130mg、37~55μm、Waters部品番号WAT023525)で維持され、0.8mLの重炭酸テトラエチルアンモニウム水溶液[水(0.2mL)及びアセトニトリル(0.6mL)中の重炭酸テトラエチルアンモニウム(3.6mg)]を使用してTRACERlab FX
F-N反応容器内に溶出される。溶出した活性物質を70℃に加熱し、圧縮窒素ガスパージ及び真空下で5分間乾燥させる。次いで、温度を100℃に上げ、真空下で5分間保持すると、テトラエチルアンモニウム[
18F]フルオリドが得られる。次いで、反応器を30℃に冷却し、1.2mLの無水DMSOを反応器に添加する。テトラエチルアンモニウム[
18F]フルオリド溶液を、5-(5-((4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)カルバモイル)ピリジン-2-イル)-2,4-ジメトキシ-8-メチル-5H-ジベンゾ[b,d]チオフェン-5-イウムトリフルオロメタンスルホネート[0.3mLの無水DMSO中(1mg、1.83μmol)]の前駆体溶液を含むTRACERlab注入バイアル(RV2)に移し、室温で2分間維持する。次いで、混合物を水中の1%(v/v)TFA 3.5mLで希釈し、得られた粗反応混合物を精製のために半分取HPLCカラムに装填する(条件は
図5に列挙されている)。精製された[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミドを含むHPLC画分(
図5)を、40mLの水中0.02%(v/v)TFAを含むバイアルに収集し、Sep-Pak(登録商標)Light C18カートリッジ(130mg、55~105μm、Waters部品番号WAT023501)に装填する。
【0076】
維持された[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミドを5mLの0.02%(v/v)TFA水溶液で洗浄し、1mLのEtOHを使用して溶出し、PBS中の10%(v/v)EtOHの10mLの配合物に再構成する。得られた[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミドの量は、0.046~0.125Ciの範囲であった。配合された[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミドの代表的な分析HPLCクロマトグラムを
図6に示す。
【0077】
[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミド(実施例2)のPET-CTイメージング
Siemens Inveon(登録商標)Multimodality Scanner(Siemens、Germany)を、マイクロPET/CTイメージングに使用する。雄CD-1(6週齢、約30g)マウスを、3%イソフルラン/97%酸素で麻酔し、スキャナーのベッドに置く。マウスに[18F]-N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミドをボーラス静脈内尾静脈注射(150μLの生理食塩水総量で約350μCi)により投与する。合計4回の動的PETスキャンを実行し、続いて解剖学的位置合わせのための短い高解像度CTスキャンを実行する。PET画像は取得時間の1分ごとに生成される。脳、筋肉、及び骨へのトレーサーの取り込みは、融合したPET/CT画像に基づいて関心領域(ROI)を視覚的に描画することによって決定し、対応する活動値はInveon(登録商標)Research Workplaceソフトウェアを使用して決定する。全ての値は、グラムあたりの注射量の割合(%ID/g)として表される。
【0078】
4つの60分のPETスキャンの分析は、[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミドが血液脳関門を容易に通過することを示している。3.3%ID/gのピーク脳取り込みが注射後4.5分で観察され、続いて、59.5分で1.2%ID/gまでトレーサーが安定してクリアランスされる。[18F]-N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミドの取り込みは、肝臓、腎臓、及び心臓などの臓器において身体の末梢全体でも観察される。脱フッ素化がないことと一致して、スキャン期間中の骨の取り込みは低いままであった。CD-1雄マウス(n=4)における[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミドについて、時間活性曲線が生成される。データは以下に表形式(表1)で示される。
【0079】
表1は、[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミド(脳、筋肉、及び骨、N=4)の60分間のPET時間活性結果を示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0080】
[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミド(実施例4)のPET-CTイメージング
Siemens Inveon(登録商標)Multimodality Scanner(Siemens、Germany)を、マイクロPET/CTイメージングに使用する。雄CD-1(6週齢、約30g)マウスを、3%イソフルラン/97%酸素で麻酔し、スキャナーのベッドに置いた。マウスに[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミドをボーラス静脈内尾静脈注射(150μLの生理食塩水総量で約300μCi)により投与する。合計4回の動的PETスキャンを実行し、続いて解剖学的位置合わせのための短い高解像度CTスキャンを実行する。PET画像は取得時間の1分ごとに生成される。脳、筋肉、及び骨へのトレーサーの取り込みは、融合したPET/CT画像に基づいて関心領域(ROI)を視覚的に描画することによって決定し、対応する活動値はInveon(登録商標)Research Workplaceソフトウェアを使用して決定する。全ての値は、グラムあたりの注射量の割合(%ID/g)として表される。
【0081】
4つの60分のPETスキャンの分析は、[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミドが血液脳関門を容易に通過することを示している。4.3%ID/gのピーク脳取り込みが注射後2.5分で観察され、続いて、59.5分で1.1%ID/gまでトレーサーが安定してクリアランスされる。[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミドの取り込みは、肝臓、腎臓、及び心臓などの臓器において身体の末梢全体でも観察される。脱フッ素化がないことと一致して、スキャン期間中の骨の取り込みは低いままであった。CD-1雄マウス(n=4)における[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミドについて、時間活性曲線が生成される。データは以下に表形式(表2)で示される。
【0082】
表2は、[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミド(脳、筋肉、及び骨、N=4)の60分間のPET時間活性結果を示す。
【表2-1】
【表2-2】
【0083】
[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミド(比較例6)のPET-CTイメージング
Siemens Inveon(登録商標)Multimodality Scanner(Siemens、Germany)を、マイクロPET/CTイメージングに使用する。雄CD-1(6週齢、30~40g)マウスを、3%イソフルラン/97%酸素で麻酔し、スキャナーのベッドに置く。マウスに[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミドをボーラス静脈内尾静脈注射(150μLの生理食塩水総量で約300μCi)により投与する。合計2回の動的PETスキャンを実行し、続いて解剖学的位置合わせのための短い高解像度CTスキャンを実行する。PET画像は取得時間の1分ごとに生成される。脳、筋肉、及び骨へのトレーサーの取り込みは、融合したPET/CT画像に基づいて関心領域(ROI)を視覚的に描画することによって決定し、対応する活動値はInveon(登録商標)Research Workplaceソフトウェアを使用して決定する。全ての値は、グラムあたりの注射量の割合(%ID/g)として表される。
【0084】
2つのPETスキャンの分析は、[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミドが血液脳関門を通過することを示している。2.6%ID/gのピーク脳取り込みが注射後2.5分で観察され、続いて、59.5分で1.1%ID/gまでトレーサーが安定してクリアランスされる。[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミドの取り込みは、肝臓、腎臓、及び心臓などの臓器において身体の末梢全体で観察される。脱フッ素化がないことと一致して、スキャン期間中の骨の取り込みは低いままであった。CD-1雄マウス(n=2)における[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミドについて、時間活性曲線が生成される。データは以下に表形式(表3)で示される。
【0085】
表3は、[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミド(脳、筋肉、及び骨、N=2)の60分間のPET時間活性結果を示す。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0086】
表1及び2に示すPET-CTデータは、実施例2及び実施例4の18F標識化合物が、CD-1マウスで試験した場合に血液脳関門を通過することを示している。ピーク脳取り込み(%ID/g)は注射後約2分で観察され、次いで、トレーサーは注射後60分で筋肉への取り込みによって定義されるベースラインレベルまで安定してクリアランスされる。インビボ脱フッ素化がないことと一致して、スキャン期間中の骨の取り込みは低いままであった。これらのデータは、実施例2及び実施例4の18F標識化合物がCNSプレターゲットイメージング用のPET-CTイメージング剤として有用であることを示している。
【0087】
2つのPETスキャンの分析は、[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミド(比較例6)が血液脳関門を通過することを示している。2.6%ID/gのピーク脳取り込みが注射後2.5分で観察され、続いて、59.5分で1.1%ID/gまでトレーサーが安定してクリアランスされる。
【0088】
比較すると、本明細書に開示される[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミド(実施例2)及び[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミド(実施例4)のCD-1雄マウスにおけるダイナミックPETイメージングは、これらの化合物が血液脳関門を容易に通過し、それぞれ3.3±0.4%ID/g及び4.3±0.3%ID/gのピーク脳取り込みに達することを示した。次いで、これらの化合物は、注射後60分までに脳からほぼバックグラウンドレベル(筋肉)まで安定したクリアランスを示した。
【0089】
これらの薬剤は、より高い脳への浸透及び脳からの迅速かつ完全なウォッシュアウトを備え、したがってより大きなウィンドウを提供して、より高い信号対バックグラウンド比を達成し、より良好な画質をもたらす。したがって、本発明者らは、本明細書に開示される[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロニコチンアミド(実施例2)及び[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミド(実施例4)が、[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロニコチンアミド(比較例6)に勝る利点をプレターゲットCNSイメージングに提供すると期待している。
【0090】
プレターゲットイメージング研究における潜在的な応用に加えて、放射性標識テトラジンは、生体分子の標識に有用な補欠分子族であることも複数の出版物で示されている。Steven Liangらは、ラクダ科動物の単一ドメイン抗体フラグメントのソルターゼ媒介修飾とその後の18F標識テトラジンによる放射性標識を報告している(Angew.Chem.Int. Ed.2016,55,528-533、WO2017/059397A1)。Stina Syvanenらは、トランスシクロオクテン(TCO)基による官能化とその後の18F標識テトラジンとの結合を室温で行うことによる二重特異性抗体の放射性標識を報告している(ACS Chem.Neurosci.2020,11,24,4460-4468)。Michael Zalutskyらは、AlFキレート又はフルオロピリジン官能基の両方を有する放射性標識テトラジンによるナノボディなどの生体分子の放射性標識を開示している(Bioconjugate Chem.2018,29,4090-4103、WO2020/242948A1)。
【0091】
文献の先例に基づいて、本明細書で特許請求されているテトラジンは、生体分子の標識のための補欠分子族としての有用性を有することが期待される。生体分子、Malat1アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)に結合したトランスシクロオクテン(TCO)を有するテトラジンN-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロピコリンアミド及びN-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミドの反応性(2019 World Molecular Imaging Congress Conference,Poster 139)は、それぞれLC-MS及びHPLC-放射線検出で監視した[19F]実験及び[18F]実験の両方で確認された。
【0092】
2.5mg/mL(2.67μM)のMalat1 ASO-TCOの水溶液に、2当量のテトラジンを添加し、光から保護して室温で30分間穏やかに振盪した。反応混合物を、Waters(登録商標)Xevo QTof質量分析計を備えたWaters(登録商標)Acquity UPLCシステムでES/MSによって監視した。LC-MS条件は次のとおりであった:カラム:Waters(登録商標)ACQUITY PREMIER UPLCオリゴヌクレオチドBEH C18(130Å、1.7μm、2.1mm×50mm);波長250~650nm;勾配:最初は5%Bで3.5分間保持、1.5分で5~75%B、75%Bで4分間保持、0.5分で75~98%Bに増加、98%Bで1分間保持、再平衡化のために5%Bに戻す;カラム温度:70℃+/-5℃;流量:0.2mL/分;Aの溶媒:水中の7mM TEA及び100mM HFIP;Bの溶媒:75%メタノール/25%アセトニトリル中の7mM TEA及び100mM HFIP。
【0093】
ネガティブモードの質量スペクトル(500~3000m/z)を目的のピークから合計し、MaxEntで処理してゼロ電荷質量の結果を生成した。各テトラジン(N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロピコリンアミド及びN-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミド)は、282Daの差(7502Da~7784Daへのシフト)を示し、親は残っておらず、Malat1 ASO-TCOとテトラジンとの完全な反応を示した(
図7)。
【0094】
[18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロピコリンアミド及び[18F]N-(4-(1、2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミドを計算し、それぞれ0.4mLを2部のMalat1-ASO-TCOと反応させた。反応物を光から保護して室温で15分間穏やかに振盪した後、水で100倍に希釈した。次いで、希釈した試料を、BGO一致検出器を備えたAgilent 1290シリーズUPLC UVで分析した。HPLC条件は次のとおりであった:カラム:Waters(登録商標)ACQUITY PREMIER UPLCオリゴヌクレオチドBEH C18(130Å、1.7μm、2.1mm×50mm);勾配:最初は5%Bで3分間保持、1.5分で5~75%B、75%Bで6分間保持、1分で75~98%Bに増加、98%Bで1分間保持、再平衡化のために5%Bに戻す;カラム温度:70℃+/-5℃;流量:0.25mL/分;Aの溶媒:水中の7mM TEA及び100mM HFIP;Bの溶媒:75%メタノール/25%アセトニトリル中の7mM TEA及び100mM HFIP。
【0095】
Malat1 ASO-TCOとの反応前後の各テトラジン([
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-2-フルオロピコリンアミド及び[
18F]N-(4-(1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6-フルオロピコリンアミド)の放射性微量は、未反応テトラジンからなる単一ピーク(RT=9分)から2つのピークへのシフトを示したが、より早い溶出ピーク(RT=3.4分)は反応種を表す(
図8)。
【0096】
したがって、本実施形態では、分子を放射性標識する方法が開示される。特に、第1のステップにおいて、生体分子は、TCO部分を結合又は含むように修飾されて、生体分子-TCOコンジュゲートを形成する。(これを行うための1つの例示的な方法は、上記のACS Chem.Neurosci.2020,11,24,4460-4468に開示されている)。次いで、第2のステップにおいて、生体分子-TCOコンジュゲートが18F標識テトラジンと反応して、環化付加反応を介して生体分子-TCO-テトラジン-18Fを形成する。
【0097】
具体的には、方法は、生体分子を放射性標識する方法であって、
TCO部分を前記生体分子に結合させ、それにより生体分子-TCOコンジュゲートを形成することと、
生体分子-TCOコンジュゲートを18F標識テトラジンと反応させて、生体分子-TCO-テトラジン-18F分子を形成することとを含み、18F標識テトラジンは、式IIの化合物及び式IVの化合物からなる群から選択される方法を含み得る。