(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】アルミニウム電解コンデンサ用分散体及びアルミニウム電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 9/028 20060101AFI20241118BHJP
H01G 9/15 20060101ALI20241118BHJP
H01G 9/00 20060101ALI20241118BHJP
【FI】
H01G9/028 G
H01G9/15
H01G9/00 290H
(21)【出願番号】P 2023552144
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 CN2022083006
(87)【国際公開番号】W WO2022218130
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】202110404800.X
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513222359
【氏名又は名称】シェンズェン カプチェム テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN CAPCHEM TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 1901, Capchem Plaza, No. 9 Changye Road, Liulian Community, Pingshan Street, Pingshan District, Shenzhen City, 518118, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】曹 宗澤
(72)【発明者】
【氏名】康 媛媛
(72)【発明者】
【氏名】王 涵
(72)【発明者】
【氏名】趙 大成
【審査官】北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-004986(JP,A)
【文献】特開2018-206868(JP,A)
【文献】特表2019-537281(JP,A)
【文献】特開2003-022938(JP,A)
【文献】特表2015-537370(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102768903(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/028
H01G 9/15
H01G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム電解コンデンサ用分散体であって、分散剤と、前記分散剤中に分散された導電性重合体及び添加剤とを含み、前記添加剤は、以下の構造式で示される化合物のうちの1つ又は複数から選択され、
前記化合物は、少なくとも1つのヒドロキシル基と少なくとも1つのエーテル基を有し、
nは1~10の整数であ
り、
R1、R2は、互いに独立して、スルホン酸基、硫酸基、カルボニル基、ヒドロキシアセトニル基、プロパントリオール基、プロパンジオール基、水素から選択され、
R1、R2の少なくとも一つは、ヒドロキシアセトニル基、プロパントリオール基、プロパンジオール基から選択される、ことを特徴とする分散体。
【請求項2】
前記添加剤は、以下の化合物1~12のうちの1つ又は複数から選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の分散体
。
【請求項3】
前記分散体の総質量に対して、前記添加剤の含有量は0.01%~10%である、ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の分散体。
【請求項4】
前記導電性重合体は、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、及びそれらの誘導体のうちの1つ又は複数から選択される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の分散体。
【請求項5】
前記分散剤は、有機溶媒及び/又は水から選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の分散体。
【請求項6】
アルミニウム電解コンデンサであって、表面に誘電体層を有する陽極体と、陰極体と、隔膜と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層とを含み、前記固体電解質層は、請求項1~
5のいずれか一項に記載の分散
体を含む、ことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ。
【請求項7】
表面に誘電体層を有する陽極体と、陰極体と、隔膜と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層とを含むアルミニウム電解コンデンサの製造方法であって、前記固体電解質層が、請求項1~5のいずれか一項に記載の分散体から形成される工程を含むことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解コンデンサの技術分野に関し、特に、アルミニウム電解コンデンサ用分散体及びアルミニウム電解コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
固体電解コンデンサは、電解質として導電率が高く、熱安定性の良い固体導電材料を採用しており、通常の電解コンデンサと比較して、通常の電解コンデンサのすべての特性を備えているだけでなく、良好な信頼性、長い使用寿命、高周波低インピーダンス、特別に大きなリプル電流に対する耐性などの特性を備えており、コンピュータ、通信、軍事、産業制御などの分野や、カメラ、ビデオレコーダ、フラットテレビ、ゲーム機などの消費財の電子製品の新世代の高級完成品に使用することができ、電子製品の集積化、小型化に有利であり、液漏れしやすく寿命が短いという液体電解コンデンサの欠点を克服することができる。中国の電子情報産業の急速な発展に伴い、近年の高分子固体電解コンデンサの開発傾向から、固体電解コンデンサは、徐々に通常の低電圧電解コンデンサに取って代わり、21世紀の電子情報産業の柱となる製品の一つとなるであろう。
【0003】
固体電解コンデンサの性能に対する人々の要求の向上に伴い、導電性高分子重合体電解質の導電性をさらに向上させ、コンデンサの等価抵抗(ESR値)を下げることは、研究者の共通の目標となっている。しかしながら、現在一般的に使用されている添加剤には、導電性高分子重合体との相溶性が悪く、分散性がよくないなどの問題が存在し、電荷の移動及び伝導率の向上が妨げられている。特に重要なのは、充放電の過程で固体電解コンデンサの容量抽出率が急激に低下し、ESR値が急激に上昇し、その結果、固体電解コンデンサの性能が急激に劣化し、故障に至ることである。
【0004】
適切な添加剤を分散体中に添加することは、重合体の導電性を向上させる効果的な方法である。従来技術では、主に絶縁破壊電圧を高めるために、ポリエチレングリコール及びその誘導体であるポリグリセリンを使用している。例えば、公開番号がCN103429796Aである中国発明特許は、ポリグリセリンを使用して、固体電解質としてPEDOT/PSSを含むコンデンサのESRを低減することを開示しているが、容量の向上は明らかではない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、従来技術における固体電解コンデンサの容量抽出が低く、ESRが大きいという問題を克服することである。上記の問題を解決するために、本発明は、アルミニウム電解コンデンサ用分散体、及び該分散体を採用して製造されるアルミニウム電解コンデンサを提供する。
【0006】
本発明が上述の技術的課題を解決するために採用する技術的解決策は下記のとおりである。
アルミニウム電解コンデンサ用分散体が提供される。この分散体は、分散剤と、前記分散剤中に分散された導電性重合体及び添加剤とを含み、前記添加剤は、以下の構造式で示される化合物のうちの1つ又は複数から選択され、
前記化合物は、少なくとも1つのヒドロキシル基と少なくとも1つのエーテル基を有し、R1、R2は、互いに独立して、硫黄含有基、炭素含有基、水素から選択され、nは1~10の整数である。nが1~10である場合、分散剤の水溶性は比較的良好である。n>10である場合、この分散剤の水溶性が低下し、コンデンサの全体的な性能に影響を与える。好ましくは、nは1~5の整数である。
【0007】
さらに、R1、R2は、互いに独立して、スルホン酸基、硫酸基、カルボニル基、ヒドロキシアセトニル基、プロパントリオール基、プロパンジオール基、水素、アルキル基から選択される。
【0008】
さらに、R1、R2の少なくとも一つは、ヒドロキシアセトニル基、プロパントリオール基、プロパンジオール基から選択される。R1又はR2はヒドロキシル基を有しているか、又は両端ともヒドロキシル基を有している。構造式で示される化合物は、エーテル結合とヒドロキシル基の両方を有するため、導電性重合体と誘電体酸化層との結合の緊密さを向上させることができる。これは、コンデンサの容量の向上、ESR値の低減に非常に有益である。
【0009】
さらに、前記添加剤は、以下の化合物1~12のうちの1つ又は複数から選択される。
【0010】
さらに、前記分散体の総質量に対して、前記添加剤の含有量は0.01%~10%であり、さらに好ましくは、前記添加剤の含有量は0.1%~5%である。添加剤の含有量が高すぎると、分散体の粘度が増加し、含浸効果に影響を及ぼし、コンデンサの性能に悪影響を及ぼす。一方、添加剤の含有量が低すぎると、明らかに性能を向上させることができない。
【0011】
さらに、前記導電性重合体は、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、及びそれらの誘導体のうちの1つ又は複数から選択される。ポリチオフェン及びその誘導物が好ましい。ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)がさらに好ましい。
【0012】
さらに、前記分散剤は、有機溶媒及び/又は水から選択される。前記分散剤は水であることが好ましい。分散体は、既知の方法により調製することができる。
【0013】
本発明は、アルミニウム電解コンデンサをさらに提供する。このアルミニウム電解コンデンサは、表面に誘電体層を有する陽極体と、陰極体と、隔膜と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層とを含み、前記固体電解質層は、上記の分散体により製造される。
【0014】
本発明によって提供されるアルミニウム電解コンデンサ用分散体及びアルミニウム電解コンデンサは、以下の有益な効果を有する。
(1)本発明のアルミニウム電解コンデンサ用分散体は、添加剤としてポリヒドロキシエーテル構造を有する化合物を使用して、アルミニウム電解コンデンサの容量抽出を向上させ、ESR値を低減する。これは、ポリヒドロキシ基構造の添加剤が、導電性高分子間の架橋を促進すると同時に、導電性重合体によって生成される電解質層と誘電体層Al2O3膜との結合の緊密さを向上させることができるためである。それにより、アルミニウム電解コンデンサの容量抽出率が向上し、アルミニウム電解コンデンサの損失値及び等価抵抗が低減する。
【0015】
(2)本発明のアルミニウム電解コンデンサ用分散体については、1≦n≦10の構造式で示される化合物は分散体中によりよく溶解することができ、分散系を破壊することがないので、分散体の粘度の上昇やゲル化が防止される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、具体的な実施例を参照しながら、本発明の技術的解決策を明確かつ完全に説明する。当然のことながら、ここで説明する実施例は、本発明の実施例の全てではなく一部にすぎない。当業者が創造的な作業なしに本発明の実施例に基づいて得る他の全ての実施例は、本発明の保護範囲に入る。
【0017】
本発明では、電解コンデンサの製造に採用されるコアパックは、16V1000の仕様、10*13のサイズを有する巻回型コアパックである。
<実施例1>
【0018】
本実施例は、本発明で開示されるアルミニウム電解コンデンサ分散体の製造方法、該分散体を使用して製造されたアルミニウム電解コンデンサを説明するためのものである。
【0019】
表1に示すように、PEDOT/PSSに化合物1を加えた。化合物1の質量分率は混合液の総量の5%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、その後、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0020】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<実施例2>
【0021】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1の質量分率を混合液の総量の0.1%としたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0022】
PEDOT/PSSに化合物1を加えた。化合物1の質量分率は混合液の総量の0.1%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、その後、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0023】
電解コンデンサコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<実施例3>
【0024】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1の質量分率を混合液の総量の3%としたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0025】
PEDOT/PSSに化合物1を加えた。化合物1の質量分率は混合液の総量の3%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、その後、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0026】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<実施例4>
【0027】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1の質量分率を混合液の総量の0.01%としたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
PEDOT/PSSに化合物1を加えた。化合物1の質量分率は混合液の総量の0.01%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、その後、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0028】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<実施例5>
【0029】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1の質量分率を混合液の総量の10%としたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0030】
PEDOT/PSSに化合物1を加えた。化合物1の質量分率は混合液の総量の10%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、その後、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0031】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<比較例1>
【0032】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1を添加しなかったことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0033】
マグネチックスターラーを使用してPEDOT/PSSを常温で6時間撹拌し、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0034】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<比較例2>
【0035】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1をグリセリンに置き換えたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0036】
表1に示すように、PEDOT/PSSにグリセリンを加えた。グリセリンの質量分率は混合液の総量の5%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0037】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<比較例3>
【0038】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1をポリエチレングリコール400に置き換えたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0039】
表1に示すように、PEDOT/PSSにポリエチレングリコール400を加えた。ポリエチレングリコール400の質量分率は混合液の総量の5%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0040】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<実施例6>
【0041】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1を化合物2に置き換え、化合物2の質量分率を混合液の総量の3%としたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0042】
PEDOT/PSSに化合物2を加えた。化合物2の質量分率は混合液の総量の3%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、その後、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0043】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<実施例7>
【0044】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1を化合物3に置き換え、化合物3の質量分率を混合液の総量の2%としたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0045】
PEDOT/PSSに化合物3を加えた。化合物3の質量分率は混合液の総量の2%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、その後、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0046】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<実施例8>
【0047】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1を化合物5に置き換え、化合物5の質量分率を混合液の総量の1%としたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0048】
PEDOT/PSSに化合物5を加えた。化合物5の質量分率は混合液の総量の1%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、その後、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0049】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<実施例9>
【0050】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1を化合物8に置き換え、化合物8の質量分率を混合液の総量の1%としたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0051】
PEDOT/PSSに化合物8を加えた。化合物8の質量分率は混合液の総量の1%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、その後、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0052】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<実施例10>
【0053】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1を化合物4に置き換えたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0054】
PEDOT/PSSに化合物4を加えた。化合物4の質量分率は混合液の総量の5%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、その後、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0055】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<実施例11>
【0056】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1を化合物6に置き換えたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0057】
PEDOT/PSSに化合物6を加えた。化合物6の質量分率は混合液の総量の5%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、その後、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0058】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<実施例12>
【0059】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1を化合物7に置き換えたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0060】
PEDOT/PSSに化合物7を加えた。化合物7の質量分率は混合液の総量の5%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、その後、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0061】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<実施例13>
【0062】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1を化合物9に置き換えたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0063】
PEDOT/PSSに化合物9を加えた。化合物9の質量分率は混合液の総量の5%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、その後、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0064】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<実施例14>
【0065】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1を化合物10に置き換えたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0066】
PEDOT/PSSに化合物10を加えた。化合物10の質量分率は混合液の総量の5%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、その後、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0067】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<実施例15>
【0068】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1を化合物11に置き換えたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0069】
PEDOT/PSSに化合物11を加えた。化合物11の質量分率は混合液の総量の5%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、その後、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0070】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
<実施例16>
【0071】
表1に示すように、実施例1と比較して、本実施例の唯一の違いは、化合物1を化合物12に置き換えたことであり、他のパラメータ及び方法は実施例1と同じである。詳細は、以下のとおりである。
【0072】
PEDOT/PSSに化合物12を加えた。化合物12の質量分率は混合液の総量の5%であり、マグネチックスターラーを使用して常温で6時間撹拌し、その後、ホモジナイザーで均質化して、本発明のアルミニウム電解コンデンサ分散体を得た。
【0073】
電解コンデンサのコアパックを、本実施例で調製したアルミニウム電解コンデンサ分散体中に負圧条件下で30分間浸漬し、乾燥した。上記のステップを3回繰り返し、封止後、アルミニウム電解コンデンサを組み立てた。
【0074】
実施例1~16及び比較例1~3で製造した電解コンデンサに対して性能テストを行った。自動電子部品分析装置を使用して、周波数120Hzにおけるコンデンサの静電容量、損失値、周波数100kHzにおける等価抵抗をテストした。
【0075】
【0076】
上記の実施例及び比較例のテスト結果を、以下の表2に示す。
【0077】
表2のデータからわかるように、本発明のアルミニウム電解コンデンサ用分散体により製造された電解コンデンサは、静電容量(Cap)≧1021μF、容量損失値(DF)≦3.01%、等価抵抗(ESR)≦7.02mΩであり、本発明の電解コンデンサは、より高い静電容量、より低い容量損失値及び等価抵抗を有する。
【0078】
表2の実施例1~5のテスト結果から、分散体中の化合物1の含有量が電解コンデンサ導電性能の向上と密接に関係していることが分かる。化合物1の含有量が0.1%~5%である場合、その分散体により製造された電解コンデンサの性能は著しく向上する。化合物1の含有量がより低いと、分散体の酸化アルミニウム膜への吸着作用が比較的弱く、アルミ電解コンデンサの性能を明らかに向上させることができない。化合物1の含有量がより高いと、分散体の粘度が増加し、含浸効果に影響を及ぼし、同時にコンデンサの性能に悪影響を及ぼす。表2の比較例1~3のテスト結果から、従来技術と比較して、本発明の添加剤は、アルミニウム電解コンデンサの容量抽出率を向上させるとともに、アルミニウム電解コンデンサの損失値及び等価抵抗を低減することができ、アルミニウム電解コンデンサの導電性能及び安定性を大幅に向上させることができることが分かる。
【0079】
上述は本発明の好適な実施形態に過ぎず、本発明はこれに限定されるものでなく、本発明の精神および原則内に属する限り、行われる全ての修正、同等の置き換え、改善などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。