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特許7589378色彩設計支援装置、色彩設計支援方法、プログラム、塗料配合作成方法及び塗料製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】色彩設計支援装置、色彩設計支援方法、プログラム、塗料配合作成方法及び塗料製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20241118BHJP
【FI】
G06Q50/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2024035544
(22)【出願日】2024-03-08
【審査請求日】2024-07-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】門谷 晶子
(72)【発明者】
【氏名】小野 郁美
(72)【発明者】
【氏名】井口 さくら
(72)【発明者】
【氏名】権谷 晴之
(72)【発明者】
【氏名】藤枝 宗
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-277391(JP,A)
【文献】特開2006-268803(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0232449(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
色彩設計対象の属性を示す対象属性情報と、前記色彩設計対象を使用する使用者の属性を示す使用者属性情報と、に基づいて、前記色彩設計によって用いられることが決定され得る色彩の候補を推定する色彩候補推定処理を実行する制御部と、前記色彩候補推定処理により推定された候補を出力する出力部と、を備える色彩設計支援装置であって、
前記色彩候補推定処理では、色彩設計対象の属性に応じた色彩嗜好を示す対象依存嗜好情報と、使用者の属性及び塗料の光輝材の有無に応じた色彩嗜好を示す使用者依存嗜好情報と、を用いて、前記対象属性情報と前記使用者属性情報とに基づき、前記候補が推定される、
色彩設計支援装置。
【請求項2】
前記使用者依存嗜好情報は、さらに塗料の光輝感レベルに応じた色彩嗜好を示す、
請求項1に記載の色彩設計支援装置。
【請求項3】
色彩設計対象の属性を示す対象属性情報と、前記色彩設計対象を使用する使用者の属性を示す使用者属性情報と、に基づいて、前記色彩設計によって用いられることが決定され得る色彩の候補を推定する色彩候補推定処理を実行する制御部と、前記色彩候補推定処理により推定された候補を出力する出力部と、を備える色彩設計支援装置であって、
前記色彩候補推定処理では、色彩設計対象の属性及び塗料の光輝材の有無に応じた色彩嗜好を示す対象依存嗜好情報と、使用者の属性に応じた色彩嗜好を示す使用者依存嗜好情報と、を用いて、前記対象属性情報と前記使用者属性情報とに基づき、前記候補が推定される、
色彩設計支援装置。
【請求項4】
前記対象依存嗜好情報は、さらに塗料の光輝感レベルに応じた色彩嗜好を示す、
請求項3に記載の色彩設計支援装置。
【請求項5】
前記対象依存嗜好情報は、前記色彩設計対象の属性及び塗料の光輝材の有無に応じた色彩嗜好を示す、
請求項1又は2に記載の色彩設計支援装置。
【請求項6】
前記対象依存嗜好情報は、さらに塗料の光輝感レベルに応じた色彩嗜好を示す、
請求項5に記載の色彩設計支援装置。
【請求項7】
色彩設計対象の各属性において各色彩が好まれる度合いを示すスコアである対象依存スコアと、前記色彩設計対象の属性を示す対象属性情報とに基づき、前記対象属性情報が示す属性における前記対象依存スコアを算出し、
前記色彩設計対象の使用者の各属性において各色彩が好まれる度合いを示すスコアである使用者依存スコアと、前記色彩設計対象の使用者の属性を示す使用者属性情報とに基づき、前記使用者属性情報が示す属性における前記使用者依存スコアを算出し、
前記対象属性情報が示す属性における前記対象依存スコアと、前記使用者属性情報が示す属性における前記使用者依存スコアとがそれぞれ所定値以上である色彩を、前記色彩設計によって用いられることが決定され得る色彩の候補と推定する色彩候補推定処理を実行する制御部と、
前記色彩候補推定処理により推定された候補を出力する出力部と、
を備える色彩設計支援装置。
【請求項8】
前記色彩候補推定処理では、更に、色彩設計対象におけるトレンドカラーを示す情報も用いて、前記候補が推定され、
前記色彩候補推定処理は、さらに
前記色彩設計対象の各色彩とトレンドカラーとの近似度を示すスコアであるトレンドスコアと、前記色彩設計対象の色彩とに基づき、前記色彩設計対象の色彩のトレンドスコアを算出する処理を含み、
前記対象属性情報が示す属性における前記対象依存スコアと、前記使用者属性情報が示す属性における前記使用者依存スコアと、前記算出されたトレンドスコアがそれぞれ所定値以上である色彩を、前記色彩設計によって用いられることが決定され得る色彩の候補と推定する、
請求項7に記載の色彩設計支援装置
【請求項9】
前記色彩候補推定処理では、更に、色彩設計対象におけるトレンドカラーを示す情報も用いて、前記候補が推定される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の色彩設計支援装置。
【請求項10】
前記色彩設計対象は自動車車両であり、前記色彩設計対象の属性は自動車車両のボディタイプである、
請求項1から4、7から8のいずれか一項に記載の色彩設計支援装置。
【請求項11】
前記使用者の属性は、前記使用者が前記色彩設計対象を使用する国、前記使用者の性別及び前記使用者の年齢のうち少なくとも1つを含む、
請求項1から4、7から8のいずれか一項に記載の色彩設計支援装置。
【請求項12】
色彩設計対象の属性を示す対象属性情報と、前記色彩設計対象を使用する使用者の属性を示す使用者属性情報と、に基づいて、前記色彩設計によって用いられることが決定され得る色彩の候補を推定する色彩候補推定処理を実行する制御ステップと、
前記色彩候補推定処理により推定された候補を出力する出力ステップと、
を有し、
前記色彩候補推定処理では、色彩設計対象の属性に応じた色彩嗜好を示す対象依存嗜好情報と、使用者の属性及び塗料の光輝材の有無に応じた色彩嗜好を示す使用者依存嗜好情報と、を用いて、前記対象属性情報と前記使用者属性情報とに基づき、前記候補が推定される、
色彩設計支援方法。
【請求項13】
請求項1から4、7から8のいずれか一項に記載の色彩設計支援装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項1から4、7から8のいずれか一項に記載の色彩設計支援装置によって推定された候補、を示す情報をもとに塗料の配合を示す情報を作成する作成ステップ、
を有する塗料配合作成方法。
【請求項15】
請求項14に記載の塗料配合作成方法によって作成された塗料の配合を示す情報、の示す配合の塗料を製造する製造ステップ、
を有する塗料製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色彩設計支援装置、色彩設計支援方法、プログラム、塗料配合作成方法及び塗料製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの色彩設計(カラーデザイン)を行う際には、色のデザイン価値を考慮に入れて色彩設計を行う。色のデザインの価値は、通常、デザイナーの感覚やノウハウにより測られている。
しかしながら、専門家であるデザイナーによらなければデザインの価値を測ることができず、簡易にデザインの価値を測ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-118444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、色彩設計(カラーデザイン)を支援する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、色彩設計対象の属性を示す対象属性情報と、前記色彩設計対象を使用する使用者の属性を示す使用者属性情報と、に基づいて、前記色彩設計によって用いられることが決定され得る色彩の候補を推定する色彩候補推定処理を実行する制御部と、前記色彩候補推定処理により推定された候補を出力する出力部と、を備える色彩設計支援装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、色彩設計(カラーデザイン)を支援する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の色彩設計支援装置の概要を説明する説明図である。
図2】色彩設計支援装置による処理を示す図である。
図3】対象依存嗜好情報の一例を示す図である。
図4】使用者依存嗜好情報の一例を示す図である。
図5】実施形態における色彩設計支援装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6】実施形態の色彩設計支援装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】第1の実施形態の色彩設計支援装置による表示の一例である。
図8】第2の実施形態の色彩設計支援装置による表示の一例である。
図9】塗料配合作成装置及び塗料製造装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
(色彩設計支援装置)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態の色彩設計支援装置10の概要を説明する説明図である。色彩設計支援装置10は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)又はNPU(Neural Network Processing Unit)等のプロセッサ91とメモリ92とを備える制御部11を備える。
【0009】
制御部11は、例えば、情報取得処理と、色彩候補推定処理と、を実行する。
【0010】
(情報取得処理)
情報取得処理は、色彩候補推定処理に使用される情報を取得する処理である。情報取得処理により取得される情報は、色彩設計対象の属性を示す対象属性情報と、色彩設計対象を使用する使用者の属性を示す使用者属性情報を含む。
色彩設計対象は、特に限定されず、例えば、自動車車両、自動車部品、二輪車、鉄道車両、家電製品、情報端末、建物などが挙げられ、特に自動車車両が好適である。色彩設計対象が自動車車両であるとき、色彩設計対象の属性は例えば自動車車両のボディタイプである。自動車車両のボディタイプは、例えばSUV、セダン、スポーツカー、コンパクトカー、高級車、ファミリーカーなどである。色彩設計対象が自動車車両であるとき、色彩設計対象を使用する使用者は、自動車車両の使用者である。
使用者の属性は、例えば使用者が色彩設計対象を使用する国、使用者の性別及び使用者の年齢のうち少なくとも1つを含む。
なお、本発明において、色彩設計対象を使用する使用者は、通常複数人であり、好ましくは100人以上であり、より好ましくは1000人以上である。従って使用者属性情報は個人ではなく複数人の属性情報となる。
【0011】
(色彩候補推定処理)
色彩候補推定処理は、色彩設計対象の色彩設計によって用いられることが決定され得る色彩の候補(以下、「色彩候補」と呼ぶ)を推定する処理である。色彩候補は、例えば、色彩設計対象の色彩として適している色彩である。色彩候補推定処理は、対象属性情報と使用者属性情報に基づいて、色彩候補を推定する処理である。
図2は、色彩設計支援装置10による処理を示す図である。色彩設計支援装置10は、対象属性情報及び使用者属性情報を取得し、対象属性情報及び使用者属性情報に基づき色彩候補を推定する。色彩は例えば色相と光輝感レベルとの組み合わせである。光輝感レベルは、光輝感の違いを示す指標である。
【0012】
色彩候補推定処理は、例えば対象属性情報と、色彩設計対象の属性と当該色彩設計対象の色彩との関係を示す情報と、使用者属性情報と、使用者の属性と色彩設計対象の色彩との関係を示す情報と、に基づき色彩候補を推定する。色彩設計対象の属性と当該色彩設計対象の色彩との関係を示す情報は、例えば色彩設計対象の属性に応じた色彩嗜好を示す対象依存嗜好情報である。使用者の属性と色彩設計対象の色彩との関係を示す情報は、使用者の属性に応じた色彩嗜好を示す使用者依存嗜好情報である。
【0013】
対象依存嗜好情報は、例えば、所定の色彩設計対象やその属性において、各色彩が好まれる度合いを示す。対象依存嗜好情報は、例えば、好まれる度合いをスコア(以下、「対象依存スコア」と呼ぶ)により示す。対象依存スコアは、例えば色彩設計対象の属性や、色彩設計対象の色相と光輝感レベルとの組み合わせにより異なる生産数により決定される。対象依存嗜好情報において、例えば色彩設計対象の属性ごとに、生産されていない色彩の対象依存スコアが最低値を示す。対象依存嗜好情報において、対象依存スコアは正規化されてもよい。対象依存スコアは、例えば0.8から1.2までの値に正規化される。なお、0.8から1.2までの値は、社会心理学における2割の変化量が限界という考えに基づいている。
対象依存スコアは、デザイナーの感覚により適宜調整がなされてもよい。
【0014】
図3は、対象依存嗜好情報の一例を示す図である。図3に示す例は、色彩設計対象が自動車車両であり、色彩設計対象の属性が特定の国における自動車車両のボディタイプである場合の例である。図3に示す例は自動車車両のボディタイプがコンパクトカーである場合の例である。図3は、ボディタイプの色彩の色相(WHITE,GRAYなど)と光輝感レベル(L,M,S,T)に対応する対象依存スコアを示す。光輝感レベルは、L,M,S(光輝材あり)がハイライトとシェードのときの差を示しており、差はL,M,Sの順番に大きい。Tは光輝感レベルがソリッド(光輝材なし)であることを示す。
図3及び後述する図4の色彩の色相は例を示しているが、例えばRED(赤)の場合、さらに濃色・淡彩色(白に近い薄く淡い色)・中彩色(濃色と淡彩色の中間)などに分けることもできる。
尚、光輝材とは、塗膜にキラキラとした光輝感または光干渉性を付与するりん片状顔料または板状顔料のことである。該光輝材としては、例えば、りん片状のアルミニウム、蒸着アルミニウム、酸化アルミニウム、塩化オキシビスマス、雲母、酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、雲母状酸化鉄、酸化チタン被覆シリカ、酸化チタン被覆アルミナ、酸化鉄被覆シリカ、酸化鉄被覆アルミナ、ガラスフレーク、着色ガラスフレーク、蒸着ガラスフレーク、ホログラムフィルム等が挙げられる。
【0015】
対象依存スコアは、自動車車両の色彩ごとの生産数により決定される。図3に示す例においては、対象依存スコアを、カラーラインナップにない場合には最低値である0.8とし、カラーラインナップにある場合には生産数に基づき1.0~1.2の値にしている。図3に示す例においては、カラーラインナップがあり最も生産数が少ない自動車車両の色彩の対象依存スコアを1.0とし、最も生産数が多い自動車車両の色彩の対象依存スコアを1.2となるように、生産数を正規化している。
【0016】
使用者依存嗜好情報は、例えば、所定の属性において、使用者属性情報が示す属性の使用者により、色彩設計対象の色彩が好まれる度合いを示す。使用者依存嗜好情報は、例えば、使用者により好まれる度合いをスコア(以下、「使用者依存スコア」と呼ぶ)により示す。使用者依存スコアは、例えば国ごと、年齢ごと又は性別ごとの色彩の嗜好調査により決定される。嗜好調査により決定されなかった使用者依存スコアは、関連する色彩の使用者依存スコアやデザイナーの感覚などにより人為的に決定されてもよい。使用者依存嗜好情報において、使用者依存スコアは正規化されてもよい。使用者依存スコアは、対象スコアと同様の理由により、例えば0.8から1.2までの値に正規化される。
【0017】
図4は、使用者依存嗜好情報の一例を示す図である。図4は、特定の国における色彩の色相(WHITE,GRAYなど)と光輝感レベル(L,M,S,T)に対応する使用者依存スコアを示す例である。光輝感レベルは、L,M,S(光輝材あり)がハイライトとシェードのときの差を示しており、差はL,M,Sの順番に大きい。Tは光輝感レベルがソリッド(光輝材なし)であることを示す。
図4に示す例における使用者依存スコアにおいて、背景が白色である使用者依存スコアは色彩の嗜好調査により決定されたスコアであり、背景が灰色である使用者依存スコアは嗜好調査の結果がなかった、又はサンプル数が少なかったため、デザイナーによって人為的に決定されたスコアである。
【0018】
色彩候補推定処理は、例えば対象依存スコアと使用者依存スコアとに基づき、色彩候補を推定する。色彩候補推定処理は、例えば対象依存スコアと使用者依存スコアとがそれぞれ所定値以上である色彩を、色彩候補と推定する。色彩候補推定処理は、例えば対象依存スコアと使用者依存スコアから算出される値が所定値以上である色彩を、色彩候補と推定してもよい。対象依存スコアと使用者依存スコアから算出される値は、例えば平均値、最大値、最小値である。
【0019】
以上により、第1の実施形態の色彩設計支援装置10は、対象属性情報と使用者属性情報とに基づき、色彩候補を推定することができる。色彩設計を行う者は、推定された色彩候補に基づき、色彩設計を行うことができる。
【0020】
制御部11は、情報取得処理により色彩情報を取得し、取得された色彩情報が示す色彩の対象依存スコア及び/又は使用者依存スコアを算出するスコア算出処理を行ってもよい。
【0021】
<色彩設計支援装置10のハードウェア構成の一例>
図5は、実施形態における色彩設計支援装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。色彩設計支援装置10は、バスで接続されたプロセッサ91とメモリ92とを備える制御部11を備え、プログラムを実行する。色彩設計支援装置10は、プログラムの実行によって制御部11、インタフェース部12及び記憶部13を備える装置として機能する。
【0022】
より具体的には、プロセッサ91が記憶部13に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ92に記憶させる。プロセッサ91が、メモリ92に記憶させたプログラムを実行することによって、色彩設計支援装置10は、制御部11、インタフェース部12及び記憶部13を備える装置として機能する。
【0023】
制御部11は、色彩設計支援装置10の備える各機能部の動作を制御する。制御部11は、例えば記憶部13の記憶する情報を取得する。記憶部13の記憶する情報を取得する処理は、具体的には、読み出しである。制御部11は、例えば各種情報を記憶部13に出力してもよい。記憶部13に出力された情報を記憶部13は記録する。制御部11は、例えばインタフェース部12の取得した情報を取得する。制御部11は、例えばインタフェース部12を制御して、送信対象の情報を送信先に送信する。
【0024】
制御部11は、例えば、情報取得処理と、色彩候補推定処理と、を実行する。
【0025】
インタフェース部12は、色彩設計支援装置10を外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。インタフェース部12は、有線又は無線を介して外部装置と通信する。外部装置は、例えば、ネットワーク情報の送信元の装置である。インタフェース部12は、ネットワーク情報の送信元の装置との通信によって、ネットワーク情報を取得する。
【0026】
インタフェース部12は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成されてもよい。インタフェース部12は、これらの入力装置を色彩設計支援装置10に接続するインタフェースとして構成されてもよい。このように、インタフェース部12の入力装置は、有線又は無線、を介して色彩設計支援装置10に対する各種情報の入力を受け付ける。なお、ネットワーク情報等の各種情報は、必ずしもインタフェース部12の通信インタフェースに入力される必要はなくインタフェース部12の入力装置に入力されてもよい。各種情報がインタフェース部12の入力装置に入力される場合には、インタフェース部12は、外部装置と通信可能に構成されなくてもよい。
【0027】
インタフェース部12は、例えば、各種情報を出力する。インタフェース部12は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置や、スピーカーを含んで構成される。インタフェース部12は、これらの表示装置又はスピーカーを色彩設計算出装置10に接続するインタフェースとして構成されてもよい。したがってインタフェース部12の備える表示装置やスピーカーは、例えばインタフェース部12の入力装置に入力された情報を画像又は音声にて出力する。
【0028】
制御部11は、例えばインタフェース部12を構成する表示装置又はスピーカーの動作を制御して、推定された色彩候補や各色彩の対象依存スコア、使用者依存スコアを出力させてもよい。
【0029】
記憶部13は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などのコンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置(non-transitory computer-readable recording medium)を用いて構成される。記憶部13は色彩設計支援装置10に関する各種情報を記憶する。記憶部13は、例えば推定された色彩候補等の制御部11の動作により生じた各種情報を記憶する。記憶部13は、例えばクラウド上に存在していてもよい。
【0030】
図6は、実施形態の色彩設計支援装置10が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。制御部11が、情報取得処理を実行することで、色彩候補の推定に用いる情報を取得する(ステップS11)。制御部11が、色彩候補推定処理を実行することで、色彩候補を推定する。(ステップS12)。制御部11が、色彩候補を所定の出力先に出力させる(ステップS13)。所定の出力先は、例えばインタフェース部12を構成する表示装置又はスピーカーである。
【0031】
図7は、第1の実施形態の色彩設計支援装置10による表示の一例である。図7に示す例は、対象属性情報としてSEDAN(セダン)、使用者属性情報として使用者が色彩設計対象を使用する国であるJAPANが入力された場合における、ある色彩(色相)の使用者依存スコア及び対象依存スコアを示す。使用者依存スコア及び対象依存スコアは値が大きいほど、FINE、GOOD、NORMALに分けて判定され表示される。色彩設計を行う者は、色彩(色相)ごとに表示される対象依存スコア及び使用者依存スコアを確認し、確認した内容に基づき色彩(色相)を決定することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態において、制御部11の色彩候補推定処理は、対象属性情報と、色彩設計対象の属性と当該色彩設計対象の色彩との関係を示す情報と、使用者属性情報と、使用者の属性と色彩設計対象の色彩との関係を示す情報に加え、色彩設計対象における使用者によるトレンドカラーを示す情報(以下、「トレンド情報」と呼ぶ)に基づいて、色彩候補を推定する処理である。
トレンド情報は、色彩設計対象の色彩とトレンドカラーとの近似度を示す情報である。トレンド情報は、色彩設計対象の色彩とトレンドカラーが近似している場合と、色彩設計対象の色彩とトレンドカラーが近似していない場合とで、異なるスコアを示す情報である。以下、このスコアを「トレンドスコア」と呼ぶ。トレンドカラーと近似しない色彩設計対象の色彩のトレンドスコアは、対象依存スコアと使用者依存スコアの最小値よりも大きく設定されてもよい。これは、トレンドカラーと近似しない色彩の特定は難しいためである。
トレンド情報の一例において、トレンドカラーと近似した色彩設計対象の色彩のトレンドスコアを1.2とし、トレンドカラーと近似しない色彩設計対象の色彩のトレンドスコアを1.0とする。
【0033】
色彩設計対象が自動車車両などの場合、角度により見える色が異なる。そのため、ある角度から見える色彩を色彩設計対象の色彩としてもよい。
色彩設計対象の色彩とトレンドカラーとの近似は、例えば色彩とトレンドカラーの色差ΔE2000により判定され、ΔE2000が所定値以下であれば色彩とトレンドカラーは近似しており、ΔE2000が所定値より大きければ色彩とトレンドカラーは近似していないと判定される。
色彩設計対象の色彩とトレンドカラーとの近似は、例えば色彩とトレンドカラーの色相差により判定され、色相差が所定値以下であれば色彩とトレンドカラーは近似しており、色相差が所定値より大きければ色彩とトレンドカラーは近似していないと判定される。
【0034】
色差ΔE2000による判定及び色相差の判定のうち、1つ以上で色彩とトレンドカラーとが近似していると判定された場合に、色彩とトレンドカラーとが近似していると判定されてもよい。色差ΔE2000による判定及び色相差の判定において、色彩とトレンドカラーとが近似していると判定された場合に、色彩とトレンドカラーとが近似していると判定されてもよい。
【0035】
色彩候補推定処理は、例えば対象依存スコア、使用者依存スコア及びトレンドスコアに基づき、色彩候補を推定する。色彩候補推定処理は、例えば対象依存スコア、使用者依存スコア及びトレンドスコアがそれぞれ所定値以上である色彩を、色彩候補と推定する。色彩候補推定処理は、例えば対象依存スコア、使用者依存スコア及びトレンドスコアから算出される値が所定値以上である色彩を、色彩候補と推定する。対象依存スコア、使用者依存スコア及びトレンドスコアから算出される値は、例えば平均値、最大値、最小値である。
【0036】
図8は、第2の実施形態の色彩設計支援装置10による表示の一例である。図8に示す例は、対象属性情報としてSEDAN(セダン)、使用者属性情報として使用者が色彩設計対象を使用する国であるJAPANが入力された場合における、ある色彩(色相)の使用者依存スコア、対象依存スコア及びトレンドスコアを示す。第1の実施形態と同様に、トレンドスコアは値が大きいほど、FINE、GOOD、NORMALに分けて判定され表示される。色彩設計を行う者は、色彩(色相)ごとに表示される対象依存スコア、使用者依存スコア及びトレンドスコアを確認し、確認した内容に基づき色彩(色相)を決定することができる。
【0037】
以上により、第2の実施形態の色彩設計支援装置10は、対象属性情報と使用者属性情報とに基づき、トレンドを考慮して色彩候補を推定することができる。
第1の実施形態及び第2の実施形態では、例えば自動車車両の場合、対象属性情報と使用者属性情報を選定した1つのボディタイプに対して、色彩設計支援装置によって推定された色彩候補を基に、色彩設計支援装置10の利用者によって少なくとも1つの色彩候補が選定され、好ましくは複数の色彩候補が選定される。
【0038】
(塗料配合作成装置・塗料製造装置)
図9は、塗料配合作成装置20及び塗料製造装置30を示す図である。塗料配合作成装置20には、色彩設計支援装置10から推定された色彩候補が入力される。塗料配合作成装置20は色彩候補に基づいて、色彩候補を作成するための塗料の配合を示す情報を作成する。塗料配合作成装置20は、色彩と当該色彩を作成するための塗料の配合のデータに基づき、色彩候補に基づいて、色彩候補を作成するための塗料の配合を示す情報を作成する。塗料配合作成装置20は、作成した塗料の配合を示す情報を塗料製造装置30に出力する。
【0039】
塗料製造装置30には、塗料配合作成装置20から塗料の配合を示す情報が入力される。塗料製造装置30は、塗料の配合を示す情報の示す配合の塗料を製造する。塗料製造装置30は、所定の塗料を備え、入力される情報の示す塗料の配合になるように備えた塗料を配合することで、塗料を製造する。
上記の「色彩設計支援装置によって推定された色彩候補から塗料の配合を示す情報を作成する作成ステップ」及び「塗料の配合を示す情報の示す配合の塗料を製造する製造ステップ」は、例えば、特開2021-107781号公報に記載された発明(目標色彩データから配合組成データを取得し、実候補塗料を製造)と同様に行うことができる。
【0040】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0041】
上述した実施形態における色彩設計支援装置10の一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記録装置のことをいう。さらに「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものを含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…色彩設計支援装置、11…制御部、12…インタフェース部、13…記憶部
【要約】
【課題】色彩設計(カラーデザイン)を支援する技術を提供する。
【解決手段】色彩設計対象の属性を示す対象属性情報と、前記色彩設計対象を使用する使用者の属性を示す使用者属性情報と、に基づいて、前記色彩設計によって用いられることが決定され得る色彩の候補を推定する色彩候補推定処理を実行する制御部と、前記色彩候補推定処理により推定された候補を出力する出力部と、を備える色彩設計支援装置。
【選択図】図1
図1
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図9