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特許7589391情報処理装置、決定方法、及び決定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-15
(45)【発行日】2024-11-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、決定方法、及び決定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0207 20230101AFI20241118BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALI20241118BHJP
【FI】
G06Q30/0207
G06Q10/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024507113
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(86)【国際出願番号】 JP2022031794
(87)【国際公開番号】W WO2024042627
(87)【国際公開日】2024-02-29
【審査請求日】2024-02-06
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100203677
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 力
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大心
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/079460(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0249844(US,A1)
【文献】特開2012-003428(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0300956(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習済モデル、ユーザ毎の行動特徴を示す行動特徴情報、前記ユーザ毎の属性を示す属性情報、前記各ユーザに対して行うクーポンの提供又はノベルティの提供の施策の候補を示す施策候補情報、施策の不平等を緩和するための値である施策スコア、及び予算を示す予算情報を取得する取得部と、
前記行動特徴情報、前記属性情報、及び前記施策候補情報に基づいて、データを生成する生成部と、
生成された前記データと前記学習済モデルとに基づいて、施策を行ったときの売上又は来店増加回数を予測する予測部と、
前記予測の結果である予測結果と前記施策スコアとを用いて、前記予算内で最適化計算を行い、前記ユーザ毎の施策を決定する決定部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
情報処理装置が、
学習済モデル、ユーザ毎の行動特徴を示す行動特徴情報、前記ユーザ毎の属性を示す属性情報、前記各ユーザに対して行うクーポンの提供又はノベルティの提供の施策の候補を示す施策候補情報、施策の不平等を緩和するための値である施策スコア、及び予算を示す予算情報を取得し、前記行動特徴情報、前記属性情報、及び前記施策候補情報に基づいて、データを生成し、生成された前記データと前記学習済モデルとに基づいて、施策を行ったときの売上又は来店増加回数を予測し、
前記予測の結果である予測結果と前記施策スコアとを用いて、前記予算内で最適化計算を行い、前記ユーザ毎の施策を決定する、
決定方法。
【請求項3】
情報処理装置に、
学習済モデル、ユーザ毎の行動特徴を示す行動特徴情報、前記ユーザ毎の属性を示す属性情報、前記各ユーザに対して行うクーポンの提供又はノベルティの提供の施策の候補を示す施策候補情報、施策の不平等を緩和するための値である施策スコア、及び予算を示す予算情報を取得し、前記行動特徴情報、前記属性情報、及び前記施策候補情報に基づいて、データを生成し、生成された前記データと前記学習済モデルとに基づいて、施策を行ったときの売上又は来店増加回数を予測し、
前記予測の結果である予測結果と前記施策スコアとを用いて、前記予算内で最適化計算を行い、前記ユーザ毎の施策を決定する、
処理を実行させる決定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、決定方法、及び決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
収益を向上させるための施策が行われている。例えば、クーポンが、ユーザに提供される。そして、ユーザは、店舗に来店し、クーポンを使いながら多くの品物を購入する。これにより、収益が向上する。しかし、来店予定のユーザにクーポンが提供された場合、単なる値下げになり、施策の効果が低い。そこで、ユーザにインセンティブを付与する技術が提案されている(特許文献1を参照)。特許文献1の情報処理装置は、複数のユーザの行動履歴及び素性情報に基づいて、ユーザにインセンティブを付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許6899350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、施策によっては、不平等が生じる場合がある。施策の不平等は、サービスに対する不信感を与えると考えられる。
【0005】
本開示の目的は、施策の不平等を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理装置が提供される。情報処理装置は、学習済モデル、ユーザ毎の行動特徴を示す行動特徴情報、前記ユーザ毎の属性を示す属性情報、前記各ユーザに対して行うクーポンの提供又はノベルティの提供の施策の候補を示す施策候補情報、施策の不平等を緩和するための値である施策スコア、及び予算を示す予算情報を取得する取得部と、前記行動特徴情報、前記属性情報、及び前記施策候補情報に基づいて、データを生成する生成部と、生成された前記データと前記学習済モデルとに基づいて、施策を行ったときの売上又は来店増加回数を予測する予測部と、前記予測の結果である予測結果と前記施策スコアとを用いて、前記予算内で最適化計算を行い、前記ユーザ毎の施策を決定する決定部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、施策の不平等を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】通信システムを示す図である。
図2】情報処理装置が有するハードウェアを示す図である。
図3】情報処理装置の機能を示すブロック図である。
図4】行動履歴テーブルの例を示す図である。
図5】行動特徴テーブルの例を示す図である。
図6】属性テーブルの例を示す図である。
図7】施策結果テーブルの例を示す図である。
図8】学習データの例を示す図である。
図9】学習部が実行する処理の例を示すフローチャートである。
図10】施策候補テーブルの例を示す図である。
図11】生成されるデータの例を示す図である。
図12】予測結果の例を示す図である。
図13】(A),(B)は、施策スコアの算出方法の例を示す図(その1)である。
図14】施策スコアの算出方法の例を示す図(その2)である。
図15】決定部が実行する処理の具体例を示す図である。
図16】ユーザ毎の施策の例を示す図である。
図17】情報処理装置が実行する処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら実施の形態を説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、本開示の範囲内で種々の変更が可能である。
【0010】
実施の形態.
図1は、通信システムを示す図である。通信システムは、情報処理装置100と端末装置200とを含む。情報処理装置100と端末装置200とは、ネットワークを介して、通信する。
情報処理装置100は、決定方法を実行する装置である。例えば、情報処理装置100は、サーバである。また、情報処理装置100は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などでもよい。
端末装置200は、ユーザが使用する装置である。例えば、端末装置200は、スマートフォン、タブレット端末などである。図1には、1つの端末装置が描かれている。端末装置の数は、2つ以上でもよい。
【0011】
次に、情報処理装置100が有するハードウェアを説明する。
図2は、情報処理装置が有するハードウェアを示す図である。情報処理装置100は、プロセッサ101、揮発性記憶装置102、不揮発性記憶装置103、及び通信インタフェース104を有する。
【0012】
プロセッサ101は、情報処理装置100全体を制御する。例えば、プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)などである。プロセッサ101は、マルチプロセッサでもよい。また、情報処理装置100は、処理回路を有してもよい。さらに、情報処理装置100は、マイクロコンピュータ、又はSoC(System on Chip)を有してもよい。
【0013】
揮発性記憶装置102は、情報処理装置100の主記憶装置である。例えば、揮発性記憶装置102は、RAM(Random Access Memory)である。不揮発性記憶装置103は、情報処理装置100の補助記憶装置である。例えば、不揮発性記憶装置103は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)である。
通信インタフェース104は、端末装置200と通信する。
【0014】
次に、情報処理装置100が有する機能を説明する。
図3は、情報処理装置の機能を示すブロック図である。情報処理装置100は、記憶部110、学習部120、取得部130、生成部140、予測部150、決定部160、及び出力部170を有する。
【0015】
記憶部110は、揮発性記憶装置102又は不揮発性記憶装置103に確保した記憶領域として実現してもよい。
学習部120、取得部130、生成部140、予測部150、決定部160、及び出力部170の一部又は全部は、処理回路によって実現してもよい。また、学習部120、取得部130、生成部140、予測部150、決定部160、及び出力部170の一部又は全部は、プロセッサ101が実行するプログラムのモジュールとして実現してもよい。例えば、プロセッサ101が実行するプログラムは、決定プログラムとも言う。例えば、決定プログラムは、記録媒体に記録されている。
【0016】
記憶部110は、行動履歴テーブル111、行動特徴テーブル112、属性テーブル113、施策結果テーブル114、学習済モデル115、及び施策候補テーブル116を記憶してもよい。行動履歴テーブル111、行動特徴テーブル112、属性テーブル113、施策結果テーブル114、学習済モデル115、及び施策候補テーブル116については、後で説明する。
【0017】
<学習フェーズ>
学習部120は、学習済モデル115を生成する。学習部120の機能を詳細に説明する。
学習部120は、行動履歴テーブル111を取得する。行動履歴テーブル111を示す。
【0018】
図4は、行動履歴テーブルの例を示す図である。行動履歴テーブル111は、ユーザの行動履歴を示す。行動履歴テーブル111は、ユーザID(identifier)、日時、及び滞在エリアの項目を有する。また、行動履歴テーブル111は、GPS(Global Positioning System)データ、改札入退場履歴を含んでもよい。
【0019】
学習部120は、行動履歴テーブル111に基づいて、ユーザの行動特徴を抽出する。学習部120は、行動特徴を行動特徴テーブル112に登録する。行動特徴テーブル112を示す。
【0020】
図5は、行動特徴テーブルの例を示す図である。行動特徴テーブル112は、ユーザ毎の行動特徴を示す。行動特徴テーブル112は、ユーザID、平均来店頻度、及び平均来店時刻の項目を有する。
学習部120は、ユーザがよく利用する施設、よく移動する時間を行動特徴として、抽出してもよい。また、学習部120は、休日及び平日の行動パターンを行動特徴として、抽出してもよい。
【0021】
学習部120は、属性テーブル113を取得する。属性テーブル113を示す。
【0022】
図6は、属性テーブルの例を示す図である。属性テーブル113は、ユーザ毎の属性を示す。属性テーブル113は、ユーザID、年齢、性別、住所などの項目を有する。
【0023】
学習部120は、施策結果テーブル114を取得する。施策結果テーブル114を示す。
【0024】
図7は、施策結果テーブルの例を示す図である。施策結果テーブル114は、過去に行われた施策の結果を示す。例えば、施策結果テーブル114は、ユーザID“00001”のユーザが100円クーポンをAストアで使い、かつ当該ユーザがAストアに1500円を支払ったことを示す。なお、1500円は、Aストアの売上と表現してもよい。また、施策結果テーブル114は、来店増加回数を含んでもよい。
【0025】
学習部120は、行動特徴テーブル112、属性テーブル113、及び施策結果テーブル114に基づいて、学習データを生成する。学習データを示す。
【0026】
図8は、学習データの例を示す図である。学習データ300は、学習部120に生成されたデータである。
学習部120は、学習データ300を用いて、学習済モデル115を生成する。学習済モデル115の生成では、重回帰分析が用いられてもよい。例えば、学習部120は、式(1)を用いて、重回帰分析を行う。
【0027】
【数1】
【0028】
なお、yは、目的変数である。行動特徴テーブル112及び属性テーブル113に基づく値は、x1~xiである。施策結果テーブル114に基づく値は、z1~zjである。Tは、施策有無情報である。α1~αi、及びβ1~βjは、補正係数である。γは、定数項である。また、施策効果は、式(2)を用いて算出されてもよい。
【0029】
【数2】
【0030】
なお、施策ありの場合とは、Tに“1”が入力された場合である。施策なしの場合とは、Tに“0”が入力された場合である。
【0031】
また、学習済モデル115の生成では、公知の方法が用いられてもよい。例えば、学習済モデル115の生成では、サポートベクターマシン(SVM)、勾配ブースティング決定木(GBDT)、S-Leaner、T-LeanerなどのMeta-Learner手法、Causal Tree、Causal ForestなどのCausal Tree手法などが用いられてもよい。
【0032】
このように、学習済モデル115は、生成される。学習済モデル115は、売上又は来店増加回数を予測するモデルである。学習部120は、記憶部110又は情報処理装置100に接続可能な外部装置に、学習済モデル115を格納する。なお、当該外部装置の図は、省略されている。
【0033】
次に、学習部120が実行する処理を、フローチャートを用いて説明する。
図9は、学習部が実行する処理の例を示すフローチャートである。
(ステップS11)学習部120は、行動履歴テーブル111に基づいて、ユーザの行動特徴を抽出する。
(ステップS12)学習部120は、行動特徴テーブル112、属性テーブル113、及び施策結果テーブル114を記憶部110から取得する。
(ステップS13)学習部120は、行動特徴テーブル112、属性テーブル113、及び施策結果テーブル114に基づいて、学習データを生成する。
(ステップS14)学習部120は、学習データを用いて、学習済モデル115を生成する。
(ステップS15)学習部120は、学習済モデル115を記憶部110に格納する。
【0034】
上記の説明では、情報処理装置100が学習済モデル115を生成する場合を説明した。学習済モデル115は、情報処理装置100以外の学習装置が生成してもよい。
【0035】
<活用フェーズ>
図3に戻って、取得部130などの機能を説明する。
取得部130は、学習済モデル115を取得する。例えば、取得部130は、記憶部110又は外部装置から学習済モデル115を取得する。
【0036】
取得部130は、行動特徴テーブル112及び属性テーブル113を取得する。例えば、取得部130は、行動特徴テーブル112及び属性テーブル113を記憶部110又は外部装置から取得する。ここで、行動特徴テーブル112は、行動特徴情報とも言う。属性テーブル113は、属性情報とも言う。
また、取得部130は、施策候補テーブル116を取得する。例えば、取得部130は、施策候補テーブル116を記憶部110又は外部装置から取得する。施策候補テーブル116を示す。
【0037】
図10は、施策候補テーブルの例を示す図である。施策候補テーブル116は、施策の候補を示す。施策候補テーブル116は、複数のユーザに行う施策の候補を示す情報と表現してもよい。施策候補テーブル116は、施策候補情報とも言う。
図10の施策候補テーブル116は、9つの施策を示している。例えば、施策No.1は、Aストアの100円クーポンを提供することを示す。例えば、施策No.2は、Bストアの100円クーポンを提供することを示す。
【0038】
生成部140は、行動特徴テーブル112、属性テーブル113、及び施策候補テーブル116に基づいて、データを生成する。当該データは、学習済モデル115に入力されるデータである。生成されるデータを示す。
【0039】
図11は、生成されるデータの例を示す図である。生成部140は、ユーザID“00001”の行動特徴、属性、及び9つの施策に基づいて、9つのデータを生成する。生成部140は、同様に、ユーザID“00002”などの全てのユーザに対応するデータを生成する。
【0040】
予測部150は、生成部140により生成されたデータと学習済モデル115とに基づいて、施策を行ったときの売上又は来店増加回数を予測する。詳細には、予測部150が当該データを学習済モデル115に入力することで、学習済モデル115は、施策を行ったときの売上又は来店増加回数を出力する。予測結果を示す。
【0041】
図12は、予測結果の例を示す図である。図12の予測結果は、来店増加回数を示す。例えば、予測結果“1.2”は、ユーザID“00001”のユーザにAストアの100円クーポンを提供した場合、当該ユーザの来店回数が“1.2”回に増えることを示す。
【0042】
取得部130は、施策の不平等を緩和するための値である施策スコアを取得する。例えば、取得部130は、記憶部110又は外部装置から施策スコアを取得する。ここで、施策スコアの算出方法を説明する。
【0043】
図13(A),(B)は、施策スコアの算出方法の例を示す図(その1)である。図13(A)は、前日と今日で異なるユーザが施策を受けることを評価する施策スコアを示す。図13(A)の式が示す“Coef”は、ユーザが設定してもよい。また、“Coef”は、自動で設定されてもよい。図13(A)の式の中の“i”には、“0”又は“1”が設定される。“0”は、施策を受けないことを示す。“1”は、施策を受けることを示す。前日と今日で異なるユーザが施策を受けることを評価する施策スコアを算出する場合、図13(A)の表における前日と案2とが参照される。そして、施策スコアは、前日と案2とに基づく内積と、“Coef”とを用いて、算出される。
【0044】
図13(B)は、複数の施策の中で、特定の施策に偏りがないことを評価する施策スコアを示す。図13(B)の式が示す“Coef”は、ユーザが設定してもよい。また、“Coef”は、自動で設定されてもよい。複数の施策の中で、特定の施策に偏りがない場合とは、図13(B)の表における案2の場合である。例えば、案2は、Aクーポンを21人に提供し、Bクーポンを20人に提供し、Cクーポンを19人に提供することを示す。このように、案2は、A~Cクーポンが多くの人に提供される場合を示す。言い換えれば、案2は、1つのクーポン(例えば、Aクーポン)が多く人に提供されない場合を示している。例えば、当該場合は、案1の場合である。施策スコアは、案2に基づく標準偏差と、“Coef”とを用いて、算出される。
【0045】
図14は、施策スコアの算出方法の例を示す図(その2)である。図14は、異なるユーザにも施策を行うことを評価する施策スコアを示す。図14の式が示す“Coef”は、ユーザが設定してもよい。また、“Coef”は、自動で設定されてもよい。異なるユーザにも施策を行う場合とは、図14の表における案2の場合である。施策スコアは、案2に基づく標準偏差と、“Coef”とを用いて、算出される。
このように、施策スコアは、算出される。図13,14の算出方法は、一例である。そのため、施策スコアは、上記以外の方法で算出されてもよい。
【0046】
また、取得部130は、予算を示す予算情報を取得する。例えば、取得部130は、記憶部110又は外部装置から予算情報を取得する。
【0047】
決定部160は、予測結果と施策スコアとを用いて、予算内で最適化計算を行い、ユーザ毎の施策を決定する。詳細には、決定部160は、式(3)を用いて、最適化計算を行う。また、制約条件として、式(4)が用いられる。
【0048】
【数3】
【0049】
【数4】
【0050】
ここで、式(3)は、目的関数とも言う。決定部160は、目的関数を最大化するために、式(3)を用いて、最適化計算を行う。また、最適化計算では、グリーディ法などの最適化手法、勾配降下法、ベイズ最適化などのパラメータ探索手法が用いられてもよい。
【0051】
決定部160が実行する処理を、具体例を用いて説明する。
【0052】
図15は、決定部が実行する処理の具体例を示す図である。まず、予算は、600円とする。決定部160は、予算内で施策Aを検討する。施策Aは、ユーザID“00001”のユーザにCストアの300円クーポンが提供され、ユーザID“00002”のユーザにAストアの100円クーポンが提供され、ユーザID“00004”のユーザにAストアの200円クーポンが提供されることを示す。決定部160は、施策Aに対応する予測結果の合計値を算出する。決定部160は、予測結果の合計値と施策スコアとを用いて、施策Aに対する評価値を算出する。
【0053】
決定部160は、予算内で施策Bを検討する。施策Bは、ユーザID“00001”のユーザにBストアの200円クーポンが提供され、ユーザID“00002”のユーザにCストアの100円クーポンが提供され、ユーザID“00003”のユーザにCストアの300円クーポンが提供されることを示す。決定部160は、施策Bに対応する予測結果の合計値を算出する。決定部160は、予測結果の合計値と施策スコアとを用いて、施策Bに対する評価値を算出する。
【0054】
決定部160は、施策Aに対する評価値と施策Bに対する評価値とを比較する。決定部160は、比較結果に基づいて、施策Aが最適であると判定する。決定部160は、同様の処理を繰り返し、最適な施策の検討を行う。そして、決定部160は、最適な施策を、ユーザ毎の施策として決定する。ここで、ユーザ毎の施策の例を示す。
【0055】
図16は、ユーザ毎の施策の例を示す図である。図16の表は、決定されたユーザ毎の施策を示している。例えば、ユーザID“00001”のユーザには、施策として、Aストアの100円クーポンが提供される。
また、図16の表は、決定された施策に対応する予測結果とコストを示している。
【0056】
なお、上記では、取得部130が取得した施策スコアを用いる場合を説明した。決定部160は、予算内で選択された施策に基づいて、施策スコアを算出し、算出された施策スコアを用いてもよい。例えば、決定部160は、施策Aに基づいて、施策スコアを算出し、算出された施策スコアを用いてもよい。また、決定部160は、算出された施策スコアが、取得部130により取得された施策スコアよりも大きい場合、施策の決定をやり直してもよい。
【0057】
また、決定部160は、式(5)を用いて、最適化計算を行ってもよい。また、制約条件として、式(4)が用いられる。
【0058】
【数5】
【0059】
出力部170は、ユーザ毎の施策を、施策情報として出力する。
【0060】
次に、情報処理装置100が実行する処理を、フローチャートを用いて、説明する。
図17は、情報処理装置が実行する処理の例を示すフローチャートである。
(ステップS21)取得部130は、学習済モデル115を取得する。
(ステップS22)取得部130は、行動特徴テーブル112、属性テーブル113、及び施策候補テーブル116を取得する。
(ステップS23)生成部140は、行動特徴テーブル112、属性テーブル113、及び施策候補テーブル116に基づいて、データを生成する。
【0061】
(ステップS24)予測部150は、生成されたデータと学習済モデル115とに基づいて、施策を行ったときの売上又は来店増加回数を予測する。
(ステップS25)取得部130は、施策スコアを取得する。
(ステップS26)取得部130は、予算情報を取得する。
(ステップS27)決定部160は、予測結果と施策スコアとを用いて、予算内で最適化計算を行い、ユーザ毎の施策を決定する。
(ステップS28)出力部170は、ユーザ毎の施策を、施策情報として出力する。
【0062】
ここで、予算が無限であれば、全てのユーザに一番良いクーポンを提供できる。しかし、予算には、制限がある。そのため、情報処理装置100は、予算内で施策の効果を最大化するために、最適化計算を行う。また、普通に最適化計算が行われた場合、特定のユーザに一番良いクーポンが提供される、という計算結果が毎回出力される可能性がある。例えば、ユーザID“00001”のユーザにAストアの300円クーポンが提供される、という計算結果が毎回出力される可能性がある。このような偏った計算結果が出力されることを防止するために、情報処理装置100は、最適化計算で、施策スコアを用いる。そして、偏った計算結果が出力されることを防止することは、施策の不平等を解消する。よって、実施の形態によれば、情報処理装置100は、施策の不平等を解消することができる。
【0063】
また、上記では、施策として、クーポンを提供する場合を示した。例えば、施策として、ノベルティが提供されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
100 情報処理装置、 101 プロセッサ、 102 揮発性記憶装置、 103 不揮発性記憶装置、 104 通信インタフェース、 110 記憶部、 111 行動履歴テーブル、 112 行動特徴テーブル、 113 属性テーブル、 114 施策結果テーブル、 115 学習済モデル、 116 施策候補テーブル、 120 学習部、 130 取得部、 140 生成部、 150 予測部、 160 決定部、 170 出力部、 200 端末装置、 300 学習データ。
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