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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】マイクロストリップアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
H01Q13/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023500545
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 JP2021043546
(87)【国際公開番号】W WO2022176305
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2021025518
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】鴫原 亮
(72)【発明者】
【氏名】村田 眞司
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-127014(JP,A)
【文献】特開昭58-215807(JP,A)
【文献】特開2003-051709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体製の基板と、
前記基板の第1表面に設けられる接地電極と、
前記基板の前記第1表面とは反対側の第2表面に設けられ互いに平行に延在する複数の放射素子と、前記第2表面に設けられて前記複数の放射素子と交差する方向に延在し、前記複数の放射素子を接続する接続素子とを有するアンテナエレメントと、
前記複数の放射素子のうちの平面視で端に位置する放射素子の前記接続素子の延長上に位置する部分に接続される第1端部と、前記基板の前記第1表面と前記第2表面との間の側面に設けられて給電される第2端部とを有する給電線路と、
前記基板の前記側面に前記給電線路に沿って設けられる区間を有し、前記端に位置する放射素子と前記接地電極を接続する接続線路と
を含
前記複数の放射素子は、前記複数の放射素子の前記接続素子に接続される接続部から見た先端側に設けられるスリット、又は、前記先端側に設けられ、平面視における前記複数の放射素子の延在方向に対して交差する方向側に位置する端辺が切り欠かれた切り欠き部を有する、マイクロストリップアンテナ。
【請求項2】
誘電体製の基板と、
前記基板の第1表面に設けられる接地電極と、
前記基板の前記第1表面とは反対側の第2表面に設けられ互いに平行に延在する複数の放射素子と、前記第2表面に設けられて前記複数の放射素子と交差する方向に延在し、前記複数の放射素子を接続する接続素子とを有するアンテナエレメントと、
前記複数の放射素子のうちの平面視で端に位置する放射素子の前記接続素子の延長上に位置する部分に接続される第1端部と、前記基板の前記第1表面と前記第2表面との間の側面に設けられて給電される第2端部とを有する給電線路と、
前記基板の前記側面に前記給電線路に沿って設けられる区間を有し、前記端に位置する放射素子と前記接地電極を接続する接続線路と
を含み、
前記接続素子は、前記複数の放射素子が延在する方向に配列される複数のスリットを有する、マイクロストリップアンテナ。
【請求項3】
前記接続素子は、前記複数の放射素子の延在方向における中央部を接続する、請求項1又は2に記載のマイクロストリップアンテナ。
【請求項4】
前記複数の放射素子の延在方向における長さは等しい、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマイクロストリップアンテナ。
【請求項5】
前記複数の放射素子の延在方向と、前記接続素子の延在方向とは、平面視で直交する、請求項1乃至のいずれか1項に記載のマイクロストリップアンテナ。
【請求項6】
前記給電線路の前記第1端部と、前記接続線路の前記端に位置する放射素子に接続される端部とは、前記基板の前記第2表面に設けられる、請求項1乃至のいずれか1項に記載のマイクロストリップアンテナ。
【請求項7】
前記接続線路は、前記給電線路を挟んで延在し、前記給電線路とともにコプレーナ線路を構成する2本の接続線路である、請求項1乃至のいずれか1項に記載のマイクロストリップアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロストリップアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、誘電体基体と、誘電体基体の下面に設けられる接地導体膜と、誘電体基体の上面に設けられる放射導体膜と、誘電体基体の側面に設けられ、接地導体膜及び放射導体膜を接続する接続用導体膜と含むアンテナ装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-112221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
誘電体基体上における波長は、誘電体基体の比誘電率によって変化し、比誘電率が大きいほど波長は短くなるため、比誘電率が大きい誘電体基体を用いれば、アンテナ装置を小型化することができる。
【0005】
従来のアンテナ装置は、比誘電率が38の誘電体セラミック基体を用いた片側短絡型マイクロストリップアンテナであり、3.8GHzの周波数で共振する。誘電体基体の寸法は10mm×8mm×4mmであり、3.8GHzの自由空間波長λは約77mmである。誘電体基体の寸法を自由空間波長λで表すと、約0.13λ×0.1λ×0.05λである。
【0006】
ところで、920MHz帯を使用するRFID(Radio Frequency Identifier)タグの分野では、小さい物体にRFIDタグを取り付けたいという要求があるため、体積が0.1cm~0.2cm程度のアンテナ装置が要求されている。
【0007】
この体積を寸法で表すと、一例として約7mm×約7mm×約2mmである。これを920MHzの自由空間波長λで表すと、約0.02λ×0.02λ×0.006λとなる。このため、従来の片側短絡型マイクロストリップアンテナでは、920MHz帯で通信可能で0.1cm~0.2cm程度の体積を実現することは不可能である。
【0008】
そこで、小形化が可能なマイクロストリップアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態のマイクロストリップアンテナは、誘電体製の基板と、前記基板の第1表面に設けられる接地電極と、前記基板の前記第1表面とは反対側の第2表面に設けられ互いに平行に延在する複数の放射素子と、前記第2表面に設けられて前記複数の放射素子と交差する方向に延在し、前記複数の放射素子を接続する接続素子とを有するアンテナエレメントと、前記複数の放射素子のうちの平面視で端に位置する放射素子の前記接続素子の延長上に位置する部分に接続される第1端部と、前記基板の前記第1表面と前記第2表面との間の側面に設けられて給電される第2端部とを有する給電線路と、前記基板の前記側面に前記給電線路に沿って設けられる区間を有し、前記端に位置する放射素子と前記接地電極を接続する接続線路とを含む。
【発明の効果】
【0010】
小形化が可能なマイクロストリップアンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】マイクロストリップアンテナ100を示す図である。
図2】マイクロストリップアンテナ100を示す図である。
図3】マイクロストリップアンテナ100を示す図である。
図4】マイクロストリップアンテナ100を示す図である。
図5】マイクロストリップアンテナ100において長さLa、Lb、Lcを変化させた場合の共振周波数及びVSWRの変化分を示す図である。
図6】シミュレーションモデルを示す図である。
図7】VSWRの周波数特性を示す図である。
図8】放射特性を示す図である。
図9】シミュレーションモデルを示す図である。
図10】VSWRの周波数特性を示す図である。
図11】放射特性を示す図である。
図12】実施形態の第1変形例のマイクロストリップアンテナ100M1を示す図である。
図13】実施形態の第1変形例のマイクロストリップアンテナ100M1を示す図である。
図14】実施形態の第2変形例のマイクロストリップアンテナ100M2を示す図である。
図15】実施形態の第2変形例のマイクロストリップアンテナ100M2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のマイクロストリップアンテナを適用した実施形態について説明する。
【0013】
<実施形態>
以下、本発明のマイクロストリップアンテナを適用した実施形態について説明する。以下では、XYZ座標系を定義して説明する。X軸に平行な方向(X方向)、Y軸に平行な方向(Y方向)、Z軸に平行な方向(Z方向)は、互いに直交する。また、以下では、説明の便宜上、-Z方向側を下側又は下、+Z方向側を上側又は上と称す場合がある。また、平面視とはXY面視することをいう。また、以下では構成が分かり易くなるように各部の長さ、太さ、厚さ等を誇張して示す場合がある。また、平行、上下、直角等の文言は、実施形態の効果を損なわない程度のずれを許容するものとする。
【0014】
図1乃至図4は、マイクロストリップアンテナ100を示す図である。図1はマイクロストリップアンテナ100を上側から示す斜視図であり、図2はマイクロストリップアンテナ100を下側から示す斜視図である。図3は平面図であり、図4はマイクロストリップアンテナ100を+X方向側から示す側面図である。
【0015】
マイクロストリップアンテナ100は、基板10、接地電極110、アンテナエレメント120、給電線路130、及び接続線路140を含む。マイクロストリップアンテナ100は、一例としてRFIDタグに利用することを想定しており、以下では一例として920MHz帯で通信する形態について説明する。
【0016】
本実施形態の目的は、小形化が可能なマイクロストリップアンテナを提供することであり、より具体的には、従来のマイクロストリップアンテナよりも更に小型で、一辺が約0.02λで、厚さが約0.006λの表面実装型のマイクロストリップアンテナ100を提供することである。λは、自由空間における920MHz帯の電波の波長である。
【0017】
基板10は、誘電体製であり、一例として比誘電率εrが93の高誘電率セラミック製である。高誘電率セラミックとしては、例えば、酸化バリウム、酸化チタン、酸化ネオジウム、酸化セリウム、酸化サマリウム、酸化ビスマスを主成分とする高誘電率セラミックを用いることができる。基板10は、一例として平面視で正方形の直方体状の基板であり、一例として、7mm(X方向)×7mm(Y方向)×2mm(Z方向)である。基板10の下面10A(-Z方向側の表面)は第1表面の一例であり、基板10の上面10B(+Z方向側の表面)は、第1表面の一例である下面10Aとは反対側の第2表面の一例である。
【0018】
接地電極110、アンテナエレメント120、給電線路130、及び接続線路140は、例えば、基板10の下面10A、上面10B、及び側面10Cに銀ペースト又は銅ペースト等の導電ペーストを印刷して焼成することによって形成することができる。側面10Cは、第1表面の一例である下面10Aと、第2表面の一例である上面10Bとの間に位置し、下面10Aと上面10Bとを接続する面である。ここでは、一例として銀ペーストで形成する形態について説明する。接地電極110、アンテナエレメント120、給電線路130、及び接続線路140の厚さは同一であり、一例として10μm~15μm程度である。
【0019】
接地電極110は、基板10の下面10Aに設けられる。接地電極110のX方向及びY方向の長さは一例として等しい。
【0020】
アンテナエレメント120は、Y方向に延在する4本の放射素子120Aと、X方向に延在する3本の接続素子120Bとを有する。図1には、構成を分かり易く示すために、4本の放射素子120Aと、3本の接続素子120Bとの境界を破線で示す。
【0021】
4本の放射素子120Aは互いに平行であり、X方向に等間隔で配列されている。3本の接続素子120Bは、4本の放射素子120Aの間に設けられ、4本の放射素子120AのY方向の長さの中央部120A1を接続している。中央部120A1は、放射素子120AのY方向の長さの中心を含む部分である。3本の接続素子120Bは、同一直線上に位置しており、4本の放射素子120Aと交差するX方向に延在している。
【0022】
アンテナエレメント120は、X方向に延在する1本の接続素子の+Y方向側と-Y方向側に8本の放射素子が接続されている構成として捉えることもできるが、ここではY方向に延在する4本の放射素子120Aと、X方向に延在する3本の接続素子120Bとを有する構成として説明する。
【0023】
給電線路130は、4本の放射素子120Aのうちの+X方向側の端に位置する1本の放射素子120AのY方向における中央部120A1に接続される端部131と、基板10の+X方向側の側面10Cの下端に位置する端部132とを有する。端部131は第1端部の一例であり、端部132は第2端部の一例である。+X方向側の端に位置する1本の放射素子120Aの中央部120A1は、接続素子120Bの延長上に位置し、端部131が接続される部分である。
【0024】
給電線路130は、端部131と端部132の間で、基板10の上面10B及び側面10Cの表面に沿って延在している。端部132は、図示しない同軸ケーブル等の芯線が接続されて給電される給電部である。なお、この同軸ケーブルのシールド線は、接地電極110に接続すればよい。
【0025】
2本の接続線路140は、給電線路130の+Y方向側と-Y方向側とに設けられており、給電線路130と等間隔で設けられている。給電線路130と、2本の接続線路140とは、コプレーナ線路150を構成する。コプレーナ線路150は、高周波信号の伝送に適している。
【0026】
各接続線路140は、4本の放射素子120Aのうちの+X方向側の端に位置する1本の放射素子120Aの+X方向側の端辺に接続される端部141と、接地電極110の+X方向側の端辺に接続される端部142とを有する。接続線路140は、基板10の下面10A、上面10B、及び側面10Cの表面に沿って、端部141と端部142との間に延在している。接続線路140のうち、側面10Cに設けられる区間は、基板10の側面10Cに給電線路130に沿って設けられる区間である。
【0027】
+Y方向側の接続線路140の端部141は、+X方向側の端に位置する1本の放射素子120Aの中央部120A1よりも+Y方向側に接続されている。-Y方向側の接続線路140の端部141は、+X方向側の端に位置する1本の放射素子120Aの中央部120A1よりも-Y方向側に接続されている。
【0028】
このようなマイクロストリップアンテナ100は、図3に示すように、アンテナエレメント120の全体のY方向の長さがLa、X方向の長さがLdである。また、放射素子120AのY方向において接続素子120Bよりも突出する区間の長さがLb、給電線路130のY方向の幅の中心と接続線路140との間の長さがLcである。一例として長さLaと長さLdは等しいが、異なっていてもよい。
【0029】
また、4本の放射素子120Aのうち、+X方向側の端と-X方向側の端とに位置する2本の放射素子120AのX方向の長さ(幅)がLe、X方向における中央側に位置する2本の放射素子120AのX方向の長さ(幅)がLgである。また、3本の接続素子120BのX方向の長さはLfである。長さLfは、4本の放射素子120AのX方向の間隔に相当する。ここでは、一例として長さLeは長さLgより長いが、同一であってもよく、長さLeが長さLgより短くてもよい。
【0030】
また、アンテナエレメント120は、両櫛歯状であるため、放射素子120A同士の間にノッチ部(切り欠き部)120Cを有する。長さLbは、ノッチ部120Cの長さである。
【0031】
このようなアンテナエレメント120を含むマイクロストリップアンテナ100は、長さLa×Ldのパッチ電極を含むマイクロストリップアンテナの共振周波数よりも、更に低い共振周波数を実現することができる。言い換えれば、同じ共振周波数においては、長さLa×Ldのパッチ電極を含むマイクロストリップアンテナよりも小型化したマイクロストリップアンテナ100を実現することができる。これは、高周波電流の経路を等価的に長くできるためである。
【0032】
一般に、セラミック製の基板を含むマイクロストリップアンテナでは、パッチ電極や接地電極等は、銀ペースト又は銅ペースト等の導電ペーストを印刷して焼成することにより形成している。セラミック製の基板は比誘電率にばらつきがある場合があるため、比誘電率のばらつきに備えて、各部の寸法をわずかに変化させた、パッチ電極を印刷するための版を数種類準備しておき、それらの版を用いて、導電ペーストを試し印刷し、所望の共振周波数や入力インピーダンスが得られる版を決定して量産する。
【0033】
ここで、共振周波数と入力インピーダンスは、パッチ電極の寸法に依存するため、パッチ電極を含むマイクロストリップアンテナでは共振周波数と入力インピーダンスを独立的に決定することは困難である。
【0034】
本実施形態では、共振周波数と入力インピーダンスをほぼ独立して決定できるマイクロストリップアンテナ100を提供する。基板10の比誘電率εrが93の場合には、0.1cmの体積を実現する寸法の一例は、約7mm×約7mm×約2mmであるため、基板10の寸法は前述の通り、一例として7mm×7mm×2mmである。
【0035】
この場合に、図3に示す長さLa、Lb、Lc、Ldは、一例として、La=Ld=6mm、Lb=2.4mm、Lc=0.8mmである。これらの長さLa、Lb、Lc、Ldを有する表面実装型のマイクロストリップアンテナ100は約920MHzで共振し、給電線路130の端部132(給電部)の入力インピーダンスは約50Ωになる。
【0036】
図5は、マイクロストリップアンテナ100において長さLa、Lb、Lcを変化させた場合の共振周波数及びVSWR(Voltage Standing Wave Ratio:電圧定在波比)の変化分を示す図である。図5に示す特性は電磁界シミュレーションで得たシミュレーション結果である。
【0037】
図5(A)には長さLaの変化分ΔLaに対する共振周波数の変化分Δf0及びVSWRの変化分を示し、図5(B)には長さLbの変化分ΔLbに対する共振周波数の変化分Δf0及びVSWRの変化分を示し、図5(C)には長さLcの変化分ΔLcに対する共振周波数の変化分Δf0及びVSWRの変化分を示す。ただし、長さLaを変化させる場合は長さLb及びLcは固定値である。同様に、長さLbを変化させる場合は長さLa及びLcは固定値であり、長さLcを変化させる場合は長さLa及びLbは固定値である。
【0038】
図5(A)及び図5(B)に示すように、長さLa又は長さLbを変化させた場合にVSWRはほとんど変化しないが、共振周波数は大きく変化することがわかる。また、図5(C)から、長さLcを変化させた場合、VSWRが大きく変化することがわかる。
【0039】
したがって、接地電極110、アンテナエレメント120、給電線路130、及び接続線路140の印刷に用いる版を数種類準備してマイクロストリップアンテナ100を作製する場合に、非常に容易に設計を行うことができる。
【0040】
また、作製した表面実装型のマイクロストリップアンテナ100の共振周波数が所望の共振周波数からずれている場合は、調整を行って共振周波数を合わせることが一般的に行われている。
【0041】
作製した表面実装型のマイクロストリップアンテナ100の共振周波数が所望の共振周波数よりも低い場合には、放射素子120Aの+Y方向側及び-Y方向側の端部を削ることにより、長さLaを短くすることができる。長さLaを短くすれば、図5(A)から分かるように、共振周波数を高くすることができる。
【0042】
一方、作製した表面実装型のマイクロストリップアンテナ100の共振周波数が所望の共振周波数よりも高い場合には、接続素子120Bの+Y方向側及び-Y方向側の端部をY方向における中心方向へ更に削って接続素子120Bを細くすることにより、ノッチ部120Cの長さLbを長くすることができる。長さLbを長くすることにより、図5(B)から分かるように、共振周波数を下げることができる。
【0043】
図6は、シミュレーションモデルを示す図である。図6(A)に示すマイクロストリップアンテナ100Aは、図1に示すマイクロストリップアンテナ100のシミュレーションモデルである。図6(B)に示すマイクロストリップアンテナ100Bは、アンテナエレメント120の放射素子120Aを3本にしたシミュレーションモデルである。図6(C)に示すマイクロストリップアンテナ100Cは、アンテナエレメント120の放射素子120Aを2本にしたシミュレーションモデルである。
【0044】
なお、シミュレーションは、マイクロストリップアンテナ100A~100Cを基板20の上面に実装した状態で行った。基板20は、上面に給電用の配線21と、平面視で配線21の三方に位置するグランド層22とを有する。一例として、配線21は給電線路130の端部132(給電部)に接続され、グランド層22は接地電極110とは絶縁されている。
【0045】
一例として、マイクロストリップアンテナ100Aにおける長さLaは6mm、長さLbは2.43mm、長さLcは0.82mm、長さLdは6mmである。マイクロストリップアンテナ100Bにおける長さLaは6mm、長さLbは2.58mm、長さLcは0.82mm、長さLdは6mmである。マイクロストリップアンテナ100Cにおける長さLaは6mm、長さLbは2.82mm、長さLcは1.1mm、長さLdは6mmである。
【0046】
図7は、VSWRの周波数特性を示す図である。図7(A)~(C)には、それぞれ、マイクロストリップアンテナ100A~100Cのシミュレーションモデルで得たVSWRの周波数特性を示す。
【0047】
図7(A)~(C)に示すように、VSWRが2の場合の帯域幅は、マイクロストリップアンテナ100Aでは2.6MHz、マイクロストリップアンテナ100Bでは2.4MHz、マイクロストリップアンテナ100Cでは3.0MHzであった。帯域幅に多少の違いはあるが、放射素子120Aの本数によってVSWRの周波数特性に大きな変化は生じないことが分かった。
【0048】
図8は、放射特性を示す図である。図8(A)~(C)には、それぞれ、マイクロストリップアンテナ100A~100Cのシミュレーションモデルで得た放射特性を示す。図8(A)~(C)には、左から右にかけて、3Dパターン、ZX面でのパターン、ZY面でのパターンを示す。
【0049】
図8(A)~(C)に示すように、3Dパターン、ZX面でのパターン、ZY面でのパターンは、利得及び指向性の両方において同様の傾向を示した。+Z方向の利得は、マイクロストリップアンテナ100Aでは-21.7dBi、マイクロストリップアンテナ100Bでは-22.1dBi、マイクロストリップアンテナ100Cでは-22.4dBiであった。放射素子120Aの本数によって利得及び指向性に大きな変化は生じないことが分かった。
【0050】
図9は、シミュレーションモデルを示す図である。図9(A)に示すマイクロストリップアンテナ100Aは、図1に示すマイクロストリップアンテナ100のシミュレーションモデルである。図9(B)に示すマイクロストリップアンテナ100Dは、接続線路140を1本にしたシミュレーションモデルである。すなわち、マイクロストリップアンテナ100Dは、コプレーナ線路を含まない構成である。図9(C)に示すマイクロストリップアンテナ50は、アンテナエレメント120の代わりにパッチ電極を含み、接続線路140を1本にしたシミュレーションモデルである。すなわち、マイクロストリップアンテナ50は、パッチ電極を含み、コプレーナ線路を含まない比較用のシミュレーションモデルである。
【0051】
なお、シミュレーションは、マイクロストリップアンテナ100A、100D、50を基板20の上面に実装した状態で行った。基板20は、上面に給電用の配線21と、平面視で配線21の三方に位置するグランド層22とを有する。一例として、配線21は給電線路130の端部132(給電部)に接続され、グランド層22は接地電極110とは絶縁されている。
【0052】
一例として、マイクロストリップアンテナ100Aにおける長さLaは6mm、長さLbは2.43mm、長さLcは0.82mm、長さLdは6mmである。マイクロストリップアンテナ100Dにおける長さLaは6mm、長さLbは1.8mm、長さLcは0.5mm、長さLdは6mmである。マイクロストリップアンテナ50における長さLaは4.95mm、長さLbは0mm、長さLcは0.5mm、長さLdは4.95mmである。
【0053】
図10は、VSWRの周波数特性を示す図である。図10(A)~(C)には、それぞれ、マイクロストリップアンテナ100A、100D、50のシミュレーションモデルで得たVSWRの周波数特性を示す。
【0054】
図10(A)~(C)に示すように、VSWRが2の場合の帯域幅は、マイクロストリップアンテナ100Aでは2.6MHzであるが、マイクロストリップアンテナ100DではVSWRの最小値は約4、マイクロストリップアンテナ50ではVSWRの最小値は約5.8であった。コプレーナ線路150である場合と、コプレーナ線路150ではない場合とでVSWRの周波数特性に違いが生じることが分かった。ただし、マイクロストリップアンテナ100DのVSWRの周波数特性のレベルは、マイクロストリップアンテナ50のVSWRの周波数特性のレベルよりも良好であることが確認できた。
【0055】
図11は、放射特性を示す図である。図11(A)~(C)には、それぞれ、マイクロストリップアンテナ100A、100D、50のシミュレーションモデルで得た放射特性を示す。図11(A)~(C)には、左から右にかけて、3Dパターン、ZX面でのパターン、ZY面でのパターンを示す。
【0056】
図11(A)~(C)に示すように、図11(A)~(C)に示す3Dパターン、ZX面でのパターン、ZY面でのパターンは、コプレーナ線路150である場合と、コプレーナ線路150ではない場合とで違いが生じることが分かった。+Z方向の利得は、マイクロストリップアンテナ100Aでは-21.7dBi、マイクロストリップアンテナ100Dでは-21.8dBi、マイクロストリップアンテナ100Cでは-25.2dBiであった。
【0057】
コプレーナ線路150を含むマイクロストリップアンテナ100Aでは、放射特性がX軸に対して対称となるため、偏波がX軸上にある。これに対して、マイクロストリップアンテナ100D、50では、偏波がX軸からずれることが分かった。
【0058】
また、コプレーナ線路150を含むマイクロストリップアンテナ100Aでは、給電部における入力インピーダンスの50Ωマッチングがとりやすく、給電部からの放射が抑えられる。これに対して、コプレーナ線路150を含まないマイクロストリップアンテナ100D、50では、給電部における入力インピーダンスの50Ωマッチングをとるのは難しいことが確認できた。
【0059】
また、コプレーナ線路150を含むマイクロストリップアンテナ100Aでは、利得の最大方向が天頂(+Z方向)になるが、マイクロストリップアンテナ100D、50では、利得の最大方向がずれるということを確認した。
【0060】
以上のように、比誘電率εrが93の高誘電率セラミック製の基板10に、4本の放射素子120Aと3本の接続素子120Bとを有するアンテナエレメント120を設け、コプレーナ線路150で接地電極110と接続することにより、X方向及びY方向の一辺が約0.02λで、厚さが約0.006λの表面実装型のマイクロストリップアンテナ100を提供することができる。この表面実装型のマイクロストリップアンテナ100の体積は約0.1cmである。
【0061】
したがって、小形化が可能なマイクロストリップアンテナ100を提供することができる。
【0062】
接続素子120Bは、複数の放射素子120Aの延在方向における中央部120A1を接続するので、接続素子120Bに対して放射素子120Aが対称的に配置され、放射素子120Aの延在方向において対称的な放射特性が得られる。
【0063】
また、複数の放射素子120Aの延在方向における長さは等しいので、放射素子120Aの延在方向と接続素子120Bの延在方向とにおいて均等な放射特性(平面的に均等な放射特性)が得られる。
【0064】
また、複数の放射素子120Aの延在方向と、接続素子120Bの延在方向とは、平面視で直交するので、放射素子120Aの延在方向と接続素子120Bの延在方向とにおいて、より均等な放射特性(平面的により均等な放射特性)が得られる。
【0065】
また、給電線路130の端部131と、接続線路140の+X方向側の端に位置する放射素子120Aに接続される端部141とは、基板10の上面10Bに設けられるので、放射素子120Aと、給電線路130及び接続線路140との接続部の作製が容易である。
【0066】
また、接続線路140は、給電線路130を挟んで延在し、給電線路130とともにコプレーナ線路150を構成する2本の接続線路140であるので、給電線路130の入力インピーダンスの整合を取りやすく、給電線路130の入力インピーダンスを50Ωに設定することができる。
【0067】
なお、以上では、マイクロストリップアンテナ100が2本の接続線路140を含み、給電線路130とコプレーナ線路150を構成する形態について説明したが、図9(B)に示すマイクロストリップアンテナ100Dのように接続線路140は1本であってもよい。給電線路130の端部132(給電部)の入力インピーダンスが50Ωからずれるため、放射特性が劣化するが、例えば構成上の制約等がある場合には、このような構成であってもよい。
【0068】
また、以上では、920MHzで共振するアンテナエレメント120を含むマイクロストリップアンテナ100について説明したが、共振周波数は920MHzに限られるものではない。
【0069】
また、以上では、アンテナエレメント120が4本の放射素子120Aを含む形態について説明したが、放射素子120Aは2本以上あれば何本であってもよい。例えば、放射素子120Aが3本であれば図6(B)に示すマイクロストリップアンテナ100Bのような構成になり、放射素子120Aが2本であれば図6(C)に示すマイクロストリップアンテナ100Cのような構成になる。
【0070】
また、マイクロストリップアンテナ100は、図12乃至図15に示すような構成に変形可能である。図12及び図13は、実施形態の第1変形例のマイクロストリップアンテナ100M1を示す図である。
【0071】
マイクロストリップアンテナ100M1は、放射素子120Aの先端にスリット121A、122Aを追加するとともに、接続素子120Bにスリット121B、122Bを追加した構成を有する。スリット121A、122Aは、放射素子120Aに設けた細長い開口部であり、スリット121B、122Bは、接続素子120Bに設けた細長い開口部である。
【0072】
スリット121A、122Aは、放射素子120Aの+Y方向側の端部と-Y方向側の端部とに設けられている。スリット121A、122Aは、放射素子120AのY方向における先端側から、この順番で設けられている。スリット121A、122Aは、X方向に長手方向を有する長方形であり、放射素子120AのX方向の幅の略全体にわたっている。一例として、スリット121A、122Aのサイズは等しい。
【0073】
また、マイクロストリップアンテナ100M1の放射素子120Aは、スリット121Aの4辺のうちの3辺に隣接する線路121A1と、スリット122Aの4辺のうちの3辺に隣接する線路122A1とを有する。
【0074】
+Y方向側のスリット121Aの4辺のうちの3辺に隣接する線路121A1は、スリット121Aの4辺のうちの+X方向側と-X方向側とでY方向に延在する2つの辺と、スリット121Aの4辺のうちの+Y方向側でX方向に延在する1つの辺とに隣接するコの字型の線路である。-Y方向側のスリット121Aの4辺のうちの3辺に隣接する線路121A1は、スリット121Aの4辺のうちの+X方向側と-X方向側とでY方向に延在する2つの辺と、スリット121Aの4辺のうちの-Y方向側でX方向に延在する1つの辺とに隣接する線路である。平面視において、+Y方向側の線路121A1と、-Y方向側の線路121A1とは、接続素子120BのY方向の幅の中心を通るX軸に平行な直線を対称軸として線対称である。
【0075】
+Y方向側のスリット122Aの4辺のうちの3辺に隣接する線路122A1は、スリット122Aの4辺のうちの+X方向側と-X方向側とでY方向に延在する2つの辺と、スリット122Aの4辺のうちの+Y方向側でX方向に延在する1つの辺とに隣接するコの字型の線路である。-Y方向側のスリット122Aの4辺のうちの3辺に隣接する線路122A1は、スリット122Aの4辺のうちの+X方向側と-X方向側とでY方向に延在する2つの辺と、スリット122Aの4辺のうちの-Y方向側でX方向に延在する1つの辺とに隣接する線路である。平面視において、+Y方向側の線路122A1と、-Y方向側の線路122A1とは、接続素子120BのY方向の幅の中心を通るX軸に平行な直線を対称軸として線対称である。
【0076】
スリット121B、122Bは、接続素子120Bの+Y方向側と-Y方向側とに設けられている。+Y方向側のスリット121B、122Bは、接続素子120Bの+Y方向側から接続素子120BのY方向における幅の中心に向かって、この順番に設けられている。-Y方向側のスリット121B、122Bは、接続素子120Bの-Y方向側から接続素子120BのY方向における幅の中心に向かって、この順番に設けられている。
【0077】
また、接続素子120Bは、Y方向においてスリット121Bよりも外側に位置する線路121B1と、スリット121B、122Bの間に位置する線路122B1とを有する。線路121B1、122B1のX方向の両端は、隣り合う2本の放射素子120Aに接続されている。
【0078】
作製した表面実装型のマイクロストリップアンテナ100の共振周波数を所望の共振周波に合わせるための調整を行う際に、線路121A1を削って放射素子120Aの長さLa及び長さLb(図3参照)を短くすることで、共振周波数を高くすることができる。また、線路121A1及び122A1を削って放射素子120Aの長さLa及び長さLb(図3参照)をさらに短くすることで、共振周波数をさらに高くすることができる。
【0079】
ここで、図12及び図13に示すマイクロストリップアンテナ100M1は、8つのスリット121Aを有する。共振周波数を合わせるための調整を行う際には、8つの線路121A1をすべて削る必要はなく、1つずつ削ることによって少しずつ共振周波数を高く調整することができる。また、1つの線路121A1を削る際にも、線路121A1の全体を削らなくても、例えばX方向に延在する辺の中央部を削るだけでも共振周波数を高くすることができる。
【0080】
同様に、8組の線路121A1及び122A1をすべて削る必要はなく、1組ずつ削ることによって少しずつ共振周波数を高く調整することができる。また、1組の線路121A1及び122A1を削る際にも、線路121A1及び122A1の全体を削らなくても、例えばX方向に延在する辺の中央部を削るだけでも共振周波数を高くすることができる。
【0081】
また、作製した表面実装型のマイクロストリップアンテナ100の共振周波数を所望の共振周波に合わせるための調整を行う際に、線路121B1を削って放射素子120Aの長さLb(図3参照)を長くすることで、共振周波数を低くすることができる。また、線路121B1及び122B1を削って長さLb(図3参照)を長くすることで、共振周波数をさらに低くすることができる。
【0082】
ここで、図12及び図13に示すマイクロストリップアンテナ100M1は、8つのスリット121Bを有する。共振周波数を合わせるための調整を行う際には、8つの線路121B1をすべて削る必要はなく、1つずつ削ることによって少しずつ共振周波数を低く調整することができる。また、1つの線路121B1を削る際にも、線路121B1の全体を削らなくても、例えばX方向における中央部を削るだけでも共振周波数を低くすることができる。
【0083】
同様に、8組の線路121B1及び122B1をすべて削る必要はなく、1組ずつ削ることによって少しずつ共振周波数を低く調整することができる。また、1組の線路121B1及び122B1を削る際にも、線路121B1及び122B1の全体を削らなくても、例えばX方向に延在する辺の中央部を削るだけでも共振周波数を低くすることができる。
【0084】
変形例1のマイクロストリップアンテナ100M1では、複数の放射素子120Aは、複数の放射素子120Aの接続素子120Bに接続される中央部120A1から見た先端側に設けられるスリット121A、122Aを有する。また、接続素子120Bは、複数の放射素子120Aが延在するY方向に配列される複数のスリット121B、122Bを有する。
【0085】
スリット121A、122Aに隣接する線路121A1、122A1、又は、スリット121B、122Bに隣接する線路121B1、122B1を削ることにより、マイクロストリップアンテナ100M1を作製した後に、共振周波数の調整を行うことができる。
【0086】
図14及び図15は、実施形態の第2変形例のマイクロストリップアンテナ100M2を示す図である。マイクロストリップアンテナ100M2は、放射素子120Aの先端に微小電極123A1を追加するとともに、接続素子120Bにスリット123Bを追加した構成を有する。スリット123Bは、接続素子120Bに設けた細長い開口部である。
【0087】
微小電極123A1は、放射素子120Aの先端の+X方向側と-X方向側とに設けられた切り欠き123Aよりも先端側の部分である。切り欠き123Aは、複数の放射素子120Aの延在方向(Y方向)に対して交差するX方向側に位置する端辺が切り欠かれた切り欠き部である。
【0088】
作製した表面実装型のマイクロストリップアンテナ100の共振周波数を所望の共振周波に合わせるための調整を行う際に、切り欠き123Aの間を繋ぐように微小電極123A1を削って放射素子120Aの長さLa及び長さLb(図3参照)を短くすることで、共振周波数を高くすることができる。このときに、微小電極123A1のうち、切り欠き123Aよりも先端側の部分は、島のように残ってもよい。
【0089】
スリット123Bは、接続素子120BのY方向における幅の中心よりも+Y方向側と-Y方向側とに1つずつ設けられている。接続素子120Bは、Y方向においてスリット123Bよりも外側に位置する線路123B1を有する。線路123B1のX方向の両端は、隣り合う2本の放射素子120Aに接続されている。
【0090】
作製した表面実装型のマイクロストリップアンテナ100の共振周波数を所望の共振周波に合わせるための調整を行う際に、線路123B1を削って放射素子120Aの長さLb(図3参照)を長くすることで、共振周波数を低くすることができる。
【0091】
ここで、図14及び図15に示すマイクロストリップアンテナ100M2は、8つの微小電極123A1を有する。共振周波数を合わせるための調整を行う際には、8つの微小電極123A1をすべて削る必要はなく、1つずつ削ることによって少しずつ共振周波数を高く調整することができる。
【0092】
また、図14及び図15に示すマイクロストリップアンテナ100M2は、8つのスリット123Bを有する。共振周波数を合わせるための調整を行う際には、8つの線路123B1をすべて削る必要はなく、1つずつ削ることによって少しずつ共振周波数を低く調整することができる。また、1つの線路123B1を削る際にも、線路123B1の全体を削らなくても、例えばX方向における中央部を削るだけでも共振周波数を低くすることができる。
【0093】
変形例2のマイクロストリップアンテナ100M2では、複数の放射素子120Aは、複数の放射素子120Aの接続素子120Bに接続される接続部である中央部120A1から見た先端側に設けられる微小電極123A1及び切り欠き123Aを有する。また、接続素子120Bは、複数の放射素子120Aが延在するY方向に配列される複数のスリット123Bを有する。
【0094】
微小電極123A1及び切り欠き123A、又は、スリット123Bに隣接する線路123B1を削ることにより、マイクロストリップアンテナ100M2を作製した後に、共振周波数の調整を行うことができる。
【0095】
以上、本発明の例示的な実施形態のマイクロストリップアンテナについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0096】
なお、本国際出願は、2021年2月19日に出願した日本国特許出願2021-025518に基づく優先権を主張するものであり、その全内容は本国際出願にここでの参照により援用されるものとする。
【符号の説明】
【0097】
10 基板
10A 下面(第1表面の一例)
10B 上面(第2表面の一例)
10C 側面
100、100A、100B、100C、100D、100M1、100M2 マイクロストリップアンテナ
110 接地電極
120 アンテナエレメント
120A 放射素子
120A1 中央部
120B 接続素子
120C ノッチ部
121A、122A スリット
121A1、122A1 線路
121B、122B スリット
121B1、122B1 線路
123A 切り欠き
123A1 微小電極
123B スリット
123B1 線路
130 給電線路
131 端部(第1端部の一例)
132 端部(第2端部、給電部の一例)
140 接続線路
141、142 端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15