(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】キャパシタ部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
H01G4/30 201K
H01G4/30 201G
H01G4/30 311F
H01G4/30 512
H01G4/30 516
H01G4/30 517
(21)【出願番号】P 2019073778
(22)【出願日】2019-04-08
【審査請求日】2021-11-04
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】10-2019-0007916
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ダエ スン
(72)【発明者】
【氏名】パク、チ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ボク ギ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ベク ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドン ギ
【合議体】
【審判長】篠原 功一
【審判官】井上 信一
【審判官】畑中 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-299244(JP,A)
【文献】特開2003-145522(JP,A)
【文献】特開2006-196620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に対向するように積層された複数の誘電体層及び複数の内部電極を含み、前記第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、及び前記第1面から前記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記本体に配置され、前記内部電極と連結される外部電極と、を含み、
前記第2面には複数の凸部が含まれ、前記複数の凸部は互いに離隔して配置され、
前記複数の凸部のうち、前記第2面からの高さが最も高い凸部を第1凸部、その次に高い凸部を第2凸部、さらにその次に高い凸部を第3凸部と定義するとき、前記第1凸部、前記第2凸部、及び前記第3凸部は互いに離隔して配置され、
前記第1凸部及び前記第2凸部の中心間距離、並びに前記第2凸部及び前記第3凸部の中心間距離は300μm以上であり、
前記凸部の直径は250μm以下であ
り、
前記第1凸部の高さは5μm以下であり、前記第2凸部の高さは前記第1凸部の高さの3分の2以下である、キャパシタ部品。
【請求項2】
前記複数の凸部は互いに前記第2方向に離間して配置される、請求項1に記載のキャパシタ部品。
【請求項3】
前記凸部の断面形状は円形である、請求項1
または2に記載のキャパシタ部品。
【請求項4】
前記誘電体層は
、吸着器具の真空ホールによって吸着された部分である吸着部を含み、
前記誘電体層の吸着部の中心から隣接する誘電体層の吸着部の中心までの距離は300μm以上である、請求項1から
3の何れか1項に記載のキャパシタ部品。
【請求項5】
前記内部電極の厚さをte、前記誘電体層の厚さをtdと定義するとき、td>2×teを満たす、請求項1から
4の何れか1項に記載のキャパシタ部品。
【請求項6】
前記外部電極は、電極層と、前記電極層上に配置される導電性樹脂層と、を含む、請求項1から
5の何れか1項に記載のキャパシタ部品。
【請求項7】
前記電極層は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群より選択された複数の導電性金属、及びガラスを含む、請求項
6に記載のキャパシタ部品。
【請求項8】
前記導電性樹脂層は、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群より選択された複数の導電性金属、及びベース樹脂を含む、請求項
6または
7に記載のキャパシタ部品。
【請求項9】
第1方向に対向するように積層された複数の誘電体層及び複数の内部電極を含み、前記第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、及び前記第1面から前記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記本体に配置され、前記内部電極と連結される外部電極と、を含み、
前記誘電体層は
、吸着器具の真空ホールによって吸着された部分である吸着部を含み、
前記誘電体層の吸着部は隣接する誘電体層の吸着部と重ならないように配置され、
前記誘電体層の吸着部および前記隣接する誘電体層の吸着部は前記隣接する誘電体層に隣接する他の誘電体層の吸着部と重ならないように配置され、
前記誘電体層の吸着部の中心から前記隣接する誘電体層の吸着部の中心まで、および前記隣接する誘電体層の吸着部の中心から前記他の誘電体層の吸着部の中心までの距離は300μm以上であり、
前記吸着部の直径は250μm以下であ
り、
前記第2面には第1凸部、第2凸部及び第3凸部が含まれ、
前記第1凸部は前記第2面に配置された誘電体層の吸着部であり、
前記第2凸部は前記第2面に配置された誘電体層と接する誘電体層の吸着部に位置し、
前記第3凸部は前記第2面に配置された誘電体層と接する誘電体層に接する他の誘電体層の吸着部に位置し、
前記第2面からの前記第1凸部の高さは5μm以下であり、前記第2面からの前記第2凸部の高さは、前記第2面からの前記第1凸部の高さの3分の2以下である、キャパシタ部品。
【請求項10】
吸着器具の真空ホールを介して離型フィルム上に形成されたセラミックグリーンシートを吸着させて前記離型フィルムから剥離する段階と、
前記剥離されたセラミックグリーンシートをセラミックグリーンシートが積層された積層体上に積層して加圧する段階と、を含み、
前記セラミックグリーンシートのうち前記真空ホールによって吸着された部分を吸着部と定義するとき、前記積層時に、前記剥離されたセラミックグリーンシートの吸着部が、前記積層体の最上部に位置するセラミックグリーンシートの吸着部および前記積層体の上から2番目に位置するセラミックグリーンシートの吸着部と重ならないように積層して加圧する、キャパシタ部品の製造方法であって、
前記積層時に、前記剥離されたセラミックグリーンシートの吸着部の中心から前記積層体の最上部に位置するセラミックグリーンシートの吸着部の中心まで、および前記積層体の最上部に位置するセラミックグリーンシートの吸着部の中心から前記2番目に位置するセラミックグリーンシートの吸着部の中心までの距離が300μm以上になるように積層して加圧し、
前記吸着部の直径は250μm以下であ
り、
前記加圧する段階後に、前記積層体の最上部に位置するセラミックグリーンシートの吸着部によって形成された凸部の表面からの高さは5μm以下であり、前記積層体の上から2番目に位置するセラミックグリーンシートの吸着部によって前記積層体の最上部に位置するセラミックグリーンシートに形成された凸部の表面からの高さは、前記積層体の最上部に位置するセラミックグリーンシートの吸着部によって形成された凸部の表面からの高さの3分の2以下である、キャパシタ部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタ部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャパシタ部品のうちの一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)やプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品の印刷回路基板に装着されて、電気を充電又は放電させる重要な役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシタは、小型でありながら高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。
【0004】
なお、最近の電装部品に対する業界の関心が高まり、積層セラミックキャパシタに対しても、自動車やインフォテインメントシステムに用いるための高信頼性特性が求められている。
【0005】
一般に、積層セラミックキャパシタは、吸着器具の真空ホールを介してセラミックグリーンシートを吸着させて離型フィルムから剥離した後、積層体上に積層して加圧する工程を含む。
【0006】
一方、積層体における各セラミックグリーンシートの真空ホールによる吸着部の位置が同一の場合には、加圧時の真空ホールの部分に圧力が伝達されず、圧力が伝達されない部分が蓄積されることによって浮きが発生して層間断層が生じるという問題があった。かかる層間断層をホールダメージによる層間断層と呼ぶ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的のうちの一つは、信頼性に優れたキャパシタ部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、第1方向に対向するように積層された複数の誘電体層及び複数の内部電極を含み、上記第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、及び第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記本体に配置され、上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記第2面には複数の凸部が含まれ、上記複数の凸部は互いに離隔して配置されるキャパシタ部品を提供する。
【0009】
本発明の他の一実施形態は、第1方向に対向するように積層された複数の誘電体層及び複数の内部電極を含み、上記第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、及び第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記本体に配置され、上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記誘電体層は吸着部を含み、上記誘電体層の吸着部は隣接する誘電体層の吸着部と重ならないように配置されるキャパシタ部品を提供する。
【0010】
本発明のさらに他の一実施形態によるキャパシタ部品の製造方法は、吸着器具の真空ホールを介して離型フィルム上に形成されたセラミックグリーンシートを吸着させて上記離型フィルムから剥離する段階と、上記剥離されたセラミックグリーンシートをセラミックグリーンシートが積層された積層体上に積層して加圧する段階と、を含み、上記セラミックグリーンシートのうち上記真空ホールによって吸着された部分を吸着部と定義するとき、上記積層時に、上記剥離されたセラミックグリーンシートの吸着部が、上記積層体の最上部に位置するセラミックグリーンシートの吸着部と重ならないように積層して加圧する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のいくつかの効果の一効果として、ホールダメージが発生する誘電体層の吸着部の位置が隣接する誘電体層の吸着部と重ならないように積層してキャパシタ部品の信頼性を向上させることができる点が挙げられる。
【0012】
但し、本発明の多様且つ有益な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一般のキャパシタ部品の製造段階のうち剥離工程を示す模式図である。
【
図2】一般のキャパシタ部品の製造段階のうち積層工程を示す模式図である。
【
図3】ホールダメージによる層間断層を撮影した写真である。
【
図4】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す斜視図である。
【
図5】
図4のI-I'線に沿った概略断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の製造段階のうち剥離工程を示す模式図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の製造段階のうち積層工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0015】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0016】
図面において、X方向は、第2方向又は長さ方向、Y方向は、第3方向又は幅方向、Z方向は、第1方向、積層方向、又は厚さ方向と定義されることができる。
【0017】
図1は一般のキャパシタ部品の製造段階のうち剥離工程を示す模式図であり、
図2は一般のキャパシタ部品の製造段階のうち積層工程を示す模式図であり、
図3はホールダメージによる層間断層を撮影した写真である。
【0018】
一般に、キャパシタ部品の製造方法は、本体を製造するための剥離工程及び積層工程を含む。
【0019】
図1を参照すると、剥離工程では、吸着器具20の真空ホール22を介してセラミックグリーンシートSを吸着面21に吸着させて離型フィルム30から剥離する。
【0020】
図2を参照すると、積層工程では、上記剥離されたセラミックグリーンシートSをセラミックグリーンシートが積層された積層体40'上に積層して加圧する。
【0021】
図2及び
図3を参照すると、加圧時の真空ホール22の部分には吸着器具20の圧力が伝達されず、圧力が伝達されない部分に浮き上がりが発生するようになる。かかる浮き上がり現象をホールダメージと呼ぶ。すなわち、真空ホール22によって吸着された吸着部Dにホールダメージが発生するようになる。
【0022】
積層体における各セラミックグリーンシートの真空ホールによる吸着部Dの位置が同一の場合には、ホールダメージが同一の位置に蓄積されることによって層間断層が生じるようになる。その結果、ショート(短絡)不良率が高まり、信頼性が劣化する。
【0023】
そこで、本発明では、ホールダメージが発生する吸着部Dの位置が重ならないようにセラミックグリーンシートを積層してホールダメージが蓄積されることを防止することにより、層間断層を抑制してキャパシタ部品のショート不良率を下げるとともに、信頼性を向上させようとする。
【0024】
キャパシタ部品
図4は本発明の一実施形態によるキャパシタ部品を概略的に示す斜視図であり、
図5は
図4のI-I'線に沿った概略断面図であり、
図6は
図5のP1領域の拡大図であり、
図7は
図5のP2領域の拡大図である。
【0025】
以下、
図4から
図7を参照して、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品について詳細に説明する。
【0026】
本発明の一実施形態によるキャパシタ部品100は、第1方向(Z方向)に対向するように積層された複数の誘電体層111及び複数の内部電極121、122を含み、上記第1方向(Z方向)に対向する第1面及び第2面1、2、第1面及び第2面と連結され、第2方向(X方向)に対向する第3面及び第4面3、4、及び第1面から第4面と連結され、第3方向(Y方向)に対向する第5面及び第6面5、6を含む本体110と、上記本体に配置され、上記内部電極121、122と連結される外部電極131、132と、を含む。
【0027】
本体110は、誘電体層111と内部電極121、122とが交互に積層されて形成されたものであってもよい。
【0028】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図面に示されているように、本体110は、六面体形状やそれと類似した形状を有することができる。本体110は、焼成過程における本体110に含まれるセラミック粉末の収縮により、完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0029】
本体110は、厚さ方向(Z方向)に互いに対向する第1面及び第2面1、2と、上記第1面及び第2面1、2と連結され、長さ方向(X方向)に互いに対向する第3面及び第4面3、4と、第1面及び第2面1、2と連結され、第3面及び第4面3、4と連結され、且つ幅方向(Y方向)に互いに対向する第5面及び第6面5、6と、を有することができる。
【0030】
本体110を形成する複数の誘電体層111は、焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認できないほど一体化していることができる。
【0031】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する材料は、十分な静電容量を得ることができる限り特に制限されず、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、又はチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。
【0032】
また、上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの粉末に、本発明の目的に応じて、様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0033】
複数の内部電極121、122は、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される。
【0034】
内部電極121、122は、誘電体層を間に挟んで互いに対向するように交互に配置される第1内部電極121と、第2内部電極122と、を含むことができる。
【0035】
第1内部電極及び第2内部電極121、122は、本体110の第3面及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0036】
図5を参照すると、第1内部電極121は、第4面4と離隔し、且つ第3面3に露出し、第2内部電極122は、第3面3と離隔し、且つ第4面4に露出することができる。また、本体の第3面3には、第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には、第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0037】
この際、第1内部電極及び第2内部電極121、122は、中央に配置された誘電体層111によって電気的に分離されることができる。
【0038】
第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は、特に制限されず、例えば、パラジウム(Pd)、パラジウム-銀(Pd-Ag)合金などの貴金属材料と、ニッケル(Ni)及び銅(Cu)のうち1つ以上の物質からなる導電性ペーストを用いて形成することができる。
【0039】
上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0040】
この際、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品100は、上記本体110の内部に配置され、上記誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部と、上記容量形成部の上部及び下部に形成されるカバー部112と、を含むことができる。
【0041】
カバー部112は、内部電極121、122を含むことなく、誘電体層111と同一の材料を含むことができる。すなわち、カバー部112は、セラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、又はチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。
【0042】
カバー部112は、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部の上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成することができ、基本的には物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0043】
図6を参照すると、本体110の第2面2には複数の凸部M1、M2が含まれ、上記複数の凸部は互いに離隔して配置される。
【0044】
この際、複数の凸部は、上記第2方向に互いに離隔して配置されることができ、凸部の高さは5μm以下であってもよい。
【0045】
また、上記複数の凸部のうち上記第2面からの高さが最も高い凸部M1、その次に高い凸部M2をそれぞれ第1凸部及び第2凸部M1、M2と定義するとき、上記第1凸部及び第2凸部M1、M2は互いに離隔して配置されることができる。
【0046】
この際、第1凸部M1と第2凸部M2の中心間距離d1は、第1凸部及び第2凸部M1、M2が離隔して配置されることができれば特に限定されない。但し、例えば、第1凸部及び第2凸部M1、M2の中心間距離d1が短いほどホールダメージが蓄積されて層間断層が発生する確率が高くなるため、第1凸部M1と第2凸部M2の中心間距離d1を300μm以上とすることができる。
【0047】
図2及び
図3を参照すると、加圧時の真空ホール22の部分には圧力が伝達されないため、吸着部Dに浮き上がり現象が発生するようになる。かかる浮き上がり現象をホールダメージと呼ぶ。すなわち、真空ホール22によって吸着された吸着部Dにホールダメージが発生するようになる。
【0048】
積層体における各セラミックグリーンシートの真空ホールによる吸着部Dの位置が同一の場合には、ホールダメージが同一の位置に蓄積されることによって層間断層が生じるようになる。その結果、ショート不良率が高まり、信頼性が劣化する。
【0049】
しかし、本発明では、ホールダメージが発生する吸着部Dの位置が重ならないようにセラミックグリーンシートを積層してホールダメージが蓄積されることを防止することにより、層間断層を抑制してキャパシタ部品のショート不良率を下げるとともに、信頼性を向上させることができる。
【0050】
図6を参照すると、第2面に配置された誘電体層111aの下に位置する誘電体層111b、111cも本体の第2面に影響を与えて凸部を形成する可能性があるため、第2面は複数の凸部を含むことがある。つまり、第1凸部M1は上記第2面に配置された誘電体層111aの吸着部Daであり、上記第2凸部M2は上記第2面に配置された誘電体層111aと接する誘電体層111bの吸着部Db上に位置する。
【0051】
但し、第2面と離れるほど誘電体層の吸着部が第2面に与える影響は少なくなるため、第2面に配置された誘電体層111aの吸着部Da、及び第2面に配置された誘電体層111aの直下に形成された誘電体層111bの吸着部Dbによって形成された凸部M1、M2を除けば、第2面は平面に近いものとなり得る。
【0052】
また、第1凸部M1の場合には肉眼で確認できるが、第2面に配置された誘電体層111aの直下に形成された誘電体層111bの吸着部Dbによって形成された凸部M2の場合には肉眼では確認することが難しい可能性がある。但し、第2面に配置された誘電体層111aの直下に形成された誘電体層111bの吸着部Dbによって形成された凸部M2も、3D表面粗さ測定器を利用することで明確に確認することができる。
【0053】
凸部の高さは5μm以下であってもよい。また、上記複数の凸部のうち上記第2面からの高さが最も高い凸部M1、その次に高い凸部M2をそれぞれ第1凸部及び第2凸部M1、M2と定義するとき、第1凸部M1の高さh1は5μm以下であってもよく、第2凸部M2の高さh2は第1凸部M1の高さh1の2/3以下であってもよい。
【0054】
吸着部Dの位置が重ならないように積層するためホールダメージが蓄積されることがない。これにより、第2面からの高さが最も高い凸部M1の高さも5μm以下と非常に低いレベルとなる。すなわち、第1凸部の高さh1は、ホールダメージが蓄積される結果となる
図2の凸部の高さhに比べて非常に低い。
【0055】
また、第2面と遠い誘電体層の吸着部は、第2面に与える影響が少ないため、凸部間の高さが異なり得る。これにより、第2凸部の高さh2は、上記第1凸部の高さh1の2/3以下であることができる。
【0056】
凸部は、上記第2及び第3方向の断面形状が円形であることができる。
【0057】
加圧時の真空ホール22の部分には圧力が伝達されないため、吸着部Dは真空ホール22に対応する形状を有し、真空ホール22は一般的に円形の形状を有する。そのため、吸着部の影響を受けて形成される凸部も円形であることができる。
【0058】
また、凸部の直径は、真空ホールの直径に対応する形状及びサイズを有することから250μm以下であってもよい。
【0059】
図6を参照すると、誘電体層111は吸着部Dを含み、誘電体層111bの吸着部Dbの中心から隣接する誘電体層111a、111cの吸着部Da、Dcの中心までの距離d1、d2はそれぞれ300μm以上であってもよい。
【0060】
誘電体層の吸着部の中心から隣接する誘電体層の吸着部の中心までの距離d1、d2が短いほどホールダメージが蓄積されて、層間断層が発生する確率が高くなるため、誘電体層の吸着部の中心から隣接する誘電体層の吸着部の中心までの距離d1、d2は300μm以上であることができる。
【0061】
一方、
図7を参照すると、内部電極121、122の厚さをte、誘電体層111の厚さをtdと定義するとき、td>2×teを満たすことができる。
【0062】
すなわち、本発明の一実施形態において、上記誘電体層111の厚さtdは、上記内部電極121、122の厚さteの2倍よりも大きいことを特徴とする。
【0063】
一般に、高電圧電装用の電子部品に係る分野では、高電圧環境下で絶縁破壊電圧の低下に伴う信頼性の問題が主な問題となっている。
【0064】
本発明の一実施形態によるキャパシタ部品は、高電圧環境下で絶縁破壊電圧の低下を防ぐために、上記誘電体層111の厚さtdを上記内部電極121、122の厚さteの2倍よりもさらに大きくすることにより、内部電極間の距離である誘電体層の厚さを増加させることで、絶縁破壊電圧特性を向上させることができる。
【0065】
上記誘電体層111の厚さtdが上記内部電極121、122の厚さteの2倍以下である場合には、内部電極間の距離である誘電体層の厚さが薄く絶縁破壊電圧が低下することがある。
【0066】
上記内部電極の厚さteは1μm未満であってもよく、上記誘電体層の厚さtdは2.8μm未満であってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0067】
外部電極131、132は、本体に配置され、上記内部電極121、122と連結される。
【0068】
外部電極131、132は、本体の第3面3に配置される第1外部電極131と、本体の第4面4に配置される第2外部電極132と、を含むことができる。
【0069】
第1外部電極131は、上記第1内部電極121と連結される第1電極層131aと、上記第1電極層131a上に配置される第1導電性樹脂層131bと、を含むことができる。
【0070】
第2外部電極132は、上記第2内部電極122と連結される第2電極層132aと、上記第2電極層132a上に配置される第2導電性樹脂層132bと、を含むことができる。
【0071】
第1外部電極131は、上記第1導電性樹脂層131b上に配置される第1Niめっき層131cと、上記第1Niめっき層上に配置される第1Snめっき層131dと、をさらに含むことができる。
【0072】
第2外部電極132は、上記第2導電性樹脂層132b上に配置される第2Niめっき層132cと、上記第2Niめっき層上に配置される第2Snめっき層132dと、をさらに含むことができる。
【0073】
上記第1及び第2外部電極131、132は、静電容量を形成するために、上記第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ電気的に連結されることができ、上記第2外部電極132は、上記第1外部電極131とは異なる電位に連結されることができる。
【0074】
上記第1及び第2電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含むことができる。
【0075】
上記第1及び第2電極層131a、132aに用いられる導電性金属は、静電容量を形成するために上記内部電極と電気的に連結されることができる材料であれば特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群より選択された一つ以上であってもよい。
【0076】
上記第1及び第2電極層131a、132aは、上記導電性金属粉末にガラスフリットを添加して設けられた導電性ペーストを塗布した後、焼成することにより形成されることができる。
【0077】
上記第1及び第2導電性樹脂層131b、132bは、第1及び第2電極層131a、132a上に形成され、且つ第1及び第2電極層131a、132aを完全に覆う形で形成されることができる。
【0078】
すなわち、本体110の第3面3から第1電極層131aのバンド部Bの先端までの距離が本体110の第3面3から第1導電性樹脂層131bのバンド部Bの先端までの距離よりも短くてもよく、本体110の第4面4から第2電極層132aのバンド部Bの先端までの距離が本体110の第4面4から第2導電性樹脂層132bのバンド部Bの先端までの距離よりも短くてもよい。
【0079】
第1及び第2導電性樹脂層131b、132bは、導電性金属及びベース樹脂を含むことができる。
【0080】
上記第1及び第2導電性樹脂層131b、132bに含まれるベース樹脂は、接合性及び衝撃吸収性を有する。また、導電性金属粉末と混合してペーストを製造することができるものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ系樹脂を含むことができる。
【0081】
上記第1及び第2導電性樹脂層131b、132bに含まれる導電性金属は、第1及び第2電極層131a、132aと電気的に連結されることができる材料であれば特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群より選択された一つ以上を含むことができる。
【0082】
上記第1及び第2Niめっき層131c、132cは、第1及び第2導電性樹脂層131b、132b上に形成され、第1及び第2導電性樹脂層131b、132bを完全に覆う形で形成されることができる。
【0083】
上記第1及び第2Snめっき層131d、132dは、第1及び第2Niめっき層131c、132c上に形成され、第1及び第2Niめっき層131c、132cを完全に覆う形で形成されることができる。
【0084】
上記第1及び第2Snめっき層131d、132dは、実装特性を向上させる役割を果たす。
【0085】
第1及び第2外部電極131、132は、本体の第3面3又は第4面4に配置される接続部Cと、上記接続部Cから上記本体の第1面及び第2面1、2の一部まで延びるバンド部Bと、を含むことができる。この際、バンド部Bは、上記本体の第1面及び第2面1、2の一部だけでなく、上記接続部Cから上記本体の第5面及び第6面5、6の一部にまで延びることができる。
【0086】
キャパシタ部品の製造方法
図8は本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の製造段階のうち剥離工程を示す模式図であり、
図9は本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の製造段階のうち積層工程を示す模式図である。
【0087】
以下、
図8及び
図9を参照して、本発明の一実施形態によるキャパシタ部品について詳細に説明する。
【0088】
本発明の一実施形態によるキャパシタ部品の製造方法は、吸着器具20の真空ホール22を介して離型フィルム30上に形成されたセラミックグリーンシートSを吸着させて上記離型フィルムから剥離する段階と、上記剥離されたセラミックグリーンシートをセラミックグリーンシートが積層された積層体40上に積層して加圧する段階と、を含み、上記セラミックグリーンシートのうち上記真空ホールによって吸着された部分を吸着部Dと定義するとき、上記積層時に、上記剥離されたセラミックグリーンシートの吸着部D3が、上記積層体の最上部に位置するセラミックグリーンシートの吸着部D2と重ならないように積層して加圧することを特徴とする。
【0089】
図8を参照すると、剥離工程では、吸着器具20の真空ホール22にセラミックグリーンシートSを吸着面21に吸着させて離型フィルム30から剥離する。
【0090】
真空ホール22は、空気を吸入してセラミックグリーンシートSを吸着する役割を果たす。
【0091】
この際、真空ホール22の直径は、特に限定しないが、250μm以下であってもよい。250μmを超えると、剥離されたセラミックグリーンシートSの吸着部D3を積層体40の最上部に位置するセラミックグリーンシートS2の吸着部D2と重ならないように積層させるための移動距離が増加しすぎる可能性があり、ホールダメージが増加するおそれがある。
【0092】
また、真空ホール22の直径は小さいほど有利となるため特に限定しない。但し、真空ホール22を形成するための一般の製作方法であるエッチング加工法を適用した場合、180μm未満では真空ホール22を形成することが難しくなるため、180μm以上とすることができる。
【0093】
図9を参照すると、積層工程では、剥離されたセラミックグリーンシートの吸着部D3が上記積層体40の最上部に位置するセラミックグリーンシートの吸着部D2と重ならないように積層して加圧する。
【0094】
これにより、剥離されたセラミックグリーンシートSの吸着部D3と、積層体40の最上部に位置するセラミックグリーンシートS2の吸着部D2とが重ならないため、ホールダメージが蓄積されることを防止することができ、層間断層を抑制して、キャパシタ部品の信頼性を向上させることができる。
【0095】
この際、剥離されたセラミックグリーンシートSの吸着部D3の中心から上記積層体40の最上部に位置するセラミックグリーンシートS2の吸着部D2の中心までの距離が300μm以上になるように積層して加圧することができる。
【0096】
上述した剥離工程と積層工程を繰り返すことで所望の厚さの積層体を形成した後、切断及び焼成してキャパシタ部品の本体を得ることができる。その後、外部電極を形成する工程を経てキャパシタ部品を完成することができる。
【0097】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0098】
100 キャパシタ部品
110 本体
121 第1内部電極
122 第2内部電極
111 誘電体層
112 カバー部
131 第1外部電極
132 第2外部電極