(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】電子機器及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20241119BHJP
H04W 8/00 20090101ALI20241119BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20241119BHJP
H04W 48/20 20090101ALI20241119BHJP
H04M 1/725 20210101ALI20241119BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W8/00 110
H04W48/16 110
H04W48/16 130
H04W48/20
H04M1/725
(21)【出願番号】P 2020059822
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼澤 和輝
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-170922(JP,A)
【文献】特開2018-019285(JP,A)
【文献】特開2005-094053(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0066304(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0106930(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部がネットワークを経由して接続した実績のある端末装置の識別情報を記
憶する記憶部と、
前記無線通信部の通信制御を行う処理部と、
を含み、
前記処理部は、
外部アクセスポイントの探索処理を行い、
前記探索処理によって探索された前記外部アクセスポイントが形成するネットワークに
おいて、前記記憶部に記憶された前記識別情報に対応する前記端末装置を探索する第2探
索処理を行い、
前記記憶部は、
前記端末装置の前記識別情報と、前記端末装置に関するジョブの実績を表すジョブ実績
情報とを対応付けて記憶し、
前記処理部は、
前記第2探索処理の結果と前記ジョブ実績情報に基づいて決定された
、前記第2探索処
理によって探索された前記端末装置が接続される前記外部アクセスポイントに前記無線通
信部を接続させ
、
前記ジョブは、印刷ジョブであり、
前記ジョブ実績情報は、印刷実行回数及び印刷タイミングの少なくとも1つである、こ
とを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1において、
前記外部アクセスポイントは、第1外部アクセスポイントと第2外部アクセスポイント
を含み、
前記処理部は、
前記探索処理によって前記第1外部アクセスポイント及び前記第2外部アクセスポイン
トが探索された場合に、
前記無線通信部を前記第1外部アクセスポイントに接続し、前記第1外部アクセスポイ
ントに前記識別情報に対応する前記端末装置が接続されているか否かを判定した後、
前記無線通信部を前記第2外部アクセスポイントに接続し、前記第2外部アクセスポイ
ントに前記識別情報に対応する前記端末装置が接続されているか否かを判定することによ
って、前記第2探索処理を行う、ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1において、
前記ジョブ実績情報は、ジョブ実行回数及びジョブ実行タイミングの少なくとも1つで
ある、ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれか一項において、
前記処理部は、
前記第2探索処理によって、複数の前記端末装置が探索された場合、探索された複数の
前記端末装置のうち、前記ジョブ実績情報に基づいて決定された前記端末装置が接続され
る前記外部アクセスポイントに前記無線通信部を接続させる、ことを特徴とする電子機器
。
【請求項5】
請求項1乃至
3のいずれか一項において、
前記第2探索処理によって前記端末装置が探索された前記外部アクセスポイントを、第
1~第N(Nは2以上の整数)外部アクセスポイントとした場合に、
前記処理部は、
第M外部アクセスポイント(Mは1以上N以下の整数)が形成するネットワークにおい
てL個の前記端末装置(Lは1以上の整数)が探索された場合、探索されたL個の前記端
末装置に対応するL個の前記ジョブ実績情報に基づいて、前記第M外部アクセスポイント
の接続優先度を表す優先度情報を求め、
前記優先度情報に基づいて、前記無線通信部を接続させる前記外部アクセスポイントを
決定する、ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1乃至
5のいずれか一項において、
前記無線通信部は、前記外部アクセスポイント経由の通信と、内部アクセスポイントを
用いた通信が可能であり、
前記ジョブ実績情報は、
前記外部アクセスポイント経由のジョブ実績と、前記内部アクセスポイントを用いたジ
ョブ実績のうち、前記外部アクセスポイント経由のジョブ実績を表す情報である、ことを
特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1乃至
6のいずれか一項において、
前記記憶部は、
前記無線通信部と前記外部アクセスポイントとの接続実績を表す接続実績情報を記憶し
、
前記処理部は、
前記探索処理によって探索された前記外部アクセスポイントのうち、前記接続実績情報
に基づいて接続実績があると判定された前記外部アクセスポイントを対象として、前記第
2探索処理を行う、ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
無線通信を行う電子機器による無線通信方法であって、
外部アクセスポイントの探索処理を行い、
前記探索処理によって探索された前記外部アクセスポイントが形成するネットワークに
おいて接続した実績のある端末装置を探索する第2探索処理を行い、
前記第2探索処理の結果と前記端末装置に関するジョブの実績を表すジョブ実績情報に
基づいて決定された
、前記第2探索処理によって探索された前記端末装置が接続される前
記外部アクセスポイントに、前記電子機器を接続
し、
前記ジョブは、印刷ジョブであり、
前記ジョブ実績情報は、印刷実行回数及び印刷タイミングの少なくとも1つである、こ
とを特徴とする無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び無線通信方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アクセスポイントに自動接続することにより無線通信を行う電子機器及び無線通信方法が知られている。特許文献1には、電子機器の無線通信が切断されると、周囲に存在する接続実績のあるアクセスポイントのうち、直近に接続したアクセスポイントに優先的に接続することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている電子機器及び無線通信方法においては、接続可能なアクセスポイントが複数有る場合において、電波の強さによって優先度を決める旨が開示されているに過ぎず、アクセスポイントと接続する端末装置についてまでは考慮されていなかった。そのため、電子機器が自動接続したアクセスポイントと、ユーザーの端末装置が接続したアクセスポイントとが一致しない場合があり、この場合にはユーザーは、アクセスポイントを介して端末装置を電子機器に接続できない。そして、結局ユーザーが手動で電子機器との接続を設定する手間を要してしまい、電子機器がアクセスポイントに自動接続しても役に立たないという問題も生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、無線通信を行う無線通信部と、前記無線通信部がネットワークを経由して接続した実績のある端末装置の識別情報を記憶する記憶部と、前記無線通信部の通信制御を行う処理部と、を含み、前記処理部は、外部アクセスポイントの探索処理を行い、前記探索処理によって探索された前記外部アクセスポイントが形成するネットワークにおいて、前記記憶部に記憶された前記識別情報に対応する前記端末装置を探索する第2探索処理を行い、前記第2探索処理によって探索された前記端末装置が接続される前記外部アクセスポイントに前記無線通信部を接続させる電子機器に関係する。
【0006】
また、本開示の一態様は、無線通信を行う電子機器による無線通信方法であって、外部アクセスポイントの探索処理を行い、前記探索処理によって探索された前記外部アクセスポイントが形成するネットワークにおいて接続した実績のある端末装置を探索する第2探索処理を行い、前記第2探索処理によって探索された前記端末装置が接続される前記外部アクセスポイントに、前記電子機器を接続する無線通信方法に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】電子機器としてのプリンターの構成例を示すブロック図。
【
図5】接続する外部アクセスポイントを決定する処理例を説明するフローチャート。
【
図6】接続する外部アクセスポイントを決定する他の処理例を説明するフローチャート。
【
図7】第2探索処理の詳細例を説明するフローチャート。
【
図8】外部アクセスポイントの接続候補のリストの例。
【
図9】第2探索処理の他の処理例を説明するフローチャート。
【
図11】ジョブ実績及び優先度を決定する参照元であるジョブレコードの例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本開示の必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.無線通信システムの構成例
図1は、本実施形態の無線通信システム10の構成例を模式的に示す図である。無線通信システム10は、電子機器200と、外部アクセスポイントAP1,AP2,AP3と、端末装置TM1,TM2,TM3,TM4を含む。
図1では電子機器200は外部アクセスポイントAP1,AP2,AP3に接続されている。また端末装置TM1は外部アクセスポイントAP1に接続され、端末装置TM2,TM4は外部アクセスポイントAP2に接続され、端末装置TM3は外部アクセスポイントAP3に接続されている。即ち端末装置TM1は外部アクセスポイントAP1のネットワークに所属し、端末装置TM2、TM4は外部アクセスポイントAP2のネットワークに所属し、端末装置TM3は外部アクセスポイントAP3のネットワークに所属している。なお端末装置TM3は外部アクセスポイントAP2にも接続されており、外部アクセスポイントAP2のネットワークにも所属している。なお以下では外部アクセスポイントAP1,AP2,AP3を、適宜、単に外部アクセスポイントAPと総称する。また端末装置TM1,TM2,TM3,TM4を、適宜、単に端末装置TMと総称する。また「ネットワークに所属する」ことを、適宜、「所属する」と記載する。例えば、外部アクセスポイントAPの通信可能な範囲にある端末装置TMは、外部アクセスポイントAPのネットワークに所属している。また、本実施形態では、「通信規格に従った通信接続」のことを、適宜、単に「接続」と記載する。なお、無線通信システム10は、
図1の構成に限定されず、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。例えば、電子機器200に接続される外部アクセスポイントの個数は任意であり、外部アクセスポイントに接続される端末装置の個数も任意である。また端末装置TM3のように、1つの端末装置が複数の外部アクセスポイントのネットワークに所属していてもよい。
【0010】
電子機器200は、例えば、無線ネットワークを介して、端末装置TMから所定のジョブを受けて、ジョブの実行処理を行う。なお電子機器200は、無線ネットワークを介さないジョブの実行処理を行ってもよい。ジョブは、例えば、端末装置TMから電子機器200に対して行った命令或いは指示等を含むものである。電子機器200は、例えば、後述するプリンターであるが、パーソナルコンピューター、ウェアラブル機器、生体情報測定機器、ロボット、映像機器、携帯情報端末又は物理量計測機器等であってもよい。なお、ウェアラブル機器はスマートウォッチ或いはアクティビティトラッカー等をいう。また、生体情報測定機器は、脈拍計或いは歩数計等をいう。また、映像機器はカメラ或いはプロジェクター等をいう。また、携帯情報端末は、スマートフォン、タブレット端末或いは携帯ゲーム機等をいう。また、物理量計測機器は、温度計或いは体重計等をいう。また、プリンターは、例えば、印刷機能を有する機器であるが、他の機能を有してもよい。また、他の機能は、例えば、コピー機能、スキャン機能或いはファクシミリ機能等である。また、印刷機能以外の機能を有するプリンターは、複合機とも呼ぶことができる。
【0011】
外部アクセスポイントAPは、無線ネットワーク内の装置の無線通信を中継する装置である。例えば、電子機器200と端末装置TMは、外部アクセスポイントAPを介して無線通信をすることが可能になる。外部アクセスポイントAPは、自己の識別情報が解読可能なようにビーコン等の無線通信用電波を定期的に発信している。なお、外部アクセスポイントAPの識別情報は、例えば、SSID(Service Set Identifier)である。また、電子機器200或いは端末装置TMのユーザーは、外部アクセスポイントAPからの電波を受信したとき、所定のパスワードを入力することで、当該外部アクセスポイントAPと接続することが可能になる。また、当該ユーザーは、再度同一の外部アクセスポイントAPと接続する場合は、パスワードの入力を行うことなく自動的に当該外部アクセスポイントAPと接続することができる。また、外部アクセスポイントAPは、ルーターとも呼ぶことができる。
【0012】
端末装置TMは、無線通信等の通信機能を有する。端末装置TMのユーザーは、端末装置TMから電子機器200に対して、無線通信を介して所定のジョブを送信できるが、有線ネットワークを介して所定のジョブを送信してもよい。なお、端末装置TMは、例えば、前述した携帯情報端末であるが、パーソナルコンピューター等であってもよい。また、端末装置TMは、無線通信規格に従い、端末装置TMに固有の識別情報を含めたデータを送信する。端末装置TMに固有の識別情報は、例えば、IPアドレスやMACアドレスである。そのため、外部アクセスポイントAPに複数の端末装置TMが所属していても、当該複数の端末装置TMは、互いに区別することが可能である。
【0013】
2.端末装置の構成例
図2は、端末装置TMの構成例を示すブロック図である。端末装置TMは、処理部110、無線通信部120、表示部130、操作部140、報知部150、記憶部160を含む。
【0014】
処理部110は、無線通信部120、表示部130、操作部140、報知部150、記憶部160の各部の制御を行うものである。なお、処理部110の実現構成については、後述する電子機器200の処理部210と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0015】
無線通信部120は、外部の機器に対して無線通信を行うインターフェースである。無線通信部120は、無線通信規格に準拠した無線通信機能を有する半導体装置により実現できる。無線通信部120は、無線通信機能を有する単独の半導体装置によって実現してもよいし、他の機能を併せ持つ半導体装置の一部の機能として実現してもよい。なお、無線通信規格は、例えば、Wi-Fi(登録商標)規格などの無線LANの規格であるが、Bluetooth(登録商標)等の他の無線通信規格であってもよい。また、無線通信部120は、前述した外部アクセスポイントAPからの無線通信用電波を受信したとき、ユーザーにより入力されたパスワードにより、当該外部アクセスポイントAPと端末装置TMが接続可能な状態になる。また、無線通信部120は、再度同一の外部アクセスポイントAPと接続する場合は、自動的に当該外部アクセスポイントAPと接続することも可能である。また、自動的に当該外部アクセスポイントAPと接続することは、例えば処理部110が、過去の接続時において、当該外部アクセスポイントAPの識別情報と当該パスワードを、後述する記憶部160に記憶する処理を行うこと等により、実現できる。また、無線通信部120は、外部アクセスポイントAPと接続することと、後述する電子機器200の内部アクセスポイントである第2無線通信部224と接続することを、選択できるようにしてもよい。
【0016】
表示部130は、各種情報をユーザーに表示するディスプレイ等で構成される。具体的には表示部130は、例えば、液晶ディスプレイにより実現できるが、有機ELディスプレイやドットマトリックスLED等で実現してもよい。
【0017】
操作部140は、ユーザーからの入力操作を受け付けるものである。操作部140は、ボタン、キーボード、タッチセンサー或いは音声入力用マイク等で実現できる。なお、表示部130と後述する操作部140を、例えば、タッチパネルにより一体的なハードウェアとしてもよい。
【0018】
報知部150は、ユーザーに対して端末装置TMに関する報知を行うものである。報知部150は、例えば、音を出力するスピーカーで実現できるが、振動を行う振動モーター或いは圧電素子で実現してもよく、光を発するLED或いは蛍光灯等で実現してもよく、これらの組み合わせで実現してもよい。なお、端末装置TMに関する報知は、表示部130と報知部150を両方用いて行ってもよい。
【0019】
記憶部160は、端末装置TM内のプログラム或いはデータを予め記憶するもの、或いは端末装置TMの動作に関する演算内容を一時的に記憶するものである。記憶部160は、レジスター、半導体メモリー、磁気記憶装置或いは光学式記憶装置等で実現できる。なお、半導体メモリーは、例えば、DRAMやSRAM等である。また、磁気記憶装置は、例えば、HDDである。また、光学式記憶装置は、例えば、CD-ROM或いはDVD-ROM等である。
【0020】
3.電子機器の構成例
図3は、電子機器200の構成例を示すブロック図である。電子機器200は処理部210と、無線通信部220と、記憶部230と、を含む。
【0021】
処理部210は、無線通信部220、記憶部230の各部の制御を行うものである。処理部210は、具体的にはプロセッサー又はコントローラーである。処理部210は、例えば、メインCPU、サブCPUなどの複数のCPUを含むことができる。メインCPUは、電子機器200の各部の制御や全体的な制御を行う。サブCPUは、例えば、無線通信部220の通信制御を行うCPUである。なお、電子機器200がプリンターである場合、印刷についての各種の処理を行うCPUが更に設けられてもよい。
【0022】
また、本実施形態の処理部210は、下記のハードウェアによって構成できる。ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むことができる。ハードウェアは、例えば、回路基板に実装された1又は複数の回路装置或いは1又は複数の回路素子によって構成できる。なお、回路装置は、例えば、集積回路装置である。また、回路素子は、例えば、抵抗或いはキャパシター等である。
【0023】
また、処理部210は、下記のプロセッサーにより実現できる。本実施形態の電子機器200は、情報を記憶するメモリーと、メモリーに記憶された情報に基づいて動作するプロセッサーと、を含む。なお、情報は、例えば、プログラムと各種のデータ等である。プロセッサーは、ハードウェアを含む。また、プロセッサーは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等、各種のプロセッサーを用いることが可能である。また、メモリーは、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリーであってもよいし、レジスターであってもよいし、ハードディスク装置等の磁気記憶装置であってもよいし、光学ディスク装置等の光学式記憶装置であってもよい。また、メモリーは、例えば、コンピューターによって読み取り可能な命令を格納しており、当該命令をプロセッサーが実行することによって、処理部210の機能が処理として実現される。なお、命令は、プログラムを構成する命令セットの命令でもよいし、プロセッサーのハードウェア回路に対して動作を指示する命令であってもよく、さらに、処理部210の全部又は一部はクラウドコンピューティングで実現されてもよい。また、本実施形態の処理部210は、外部アクセスポイントAPに所属する端末装置TMからジョブが送られたときに、当該外部アクセスポイントAPの識別情報と端末装置TMの識別情報を、後述する記憶部230に記憶する処理を行っている。
【0024】
また、処理部210は、電子機器200が前述したプリンターである場合、印刷機能、スキャナー機能或いはファクシミリ機能等についての処理を行う。処理部210は、後述する無線通信部220、記憶部230、表示部240、操作部250或いは印刷部260との間で制御の入出力を行う。なお、処理部210は、他のハードウェアとの間で制御を行ってもよい。また、他のハードウェアは、例えば、有線通信部、コピー部、スキャン部或いはファクシミリ部等である。
【0025】
無線通信部220は、電子機器200における無線通信を行うインターフェースである。無線通信部220は、無線通信規格に準拠した無線通信機能を有する半導体装置により実現できるが、無線通信機能を有する単独の半導体装置によって実現してもよいし、他の機能を併せ持つ半導体装置の一部の機能として実現してもよい。なお、無線通信規格は例えば、Wi-Fi(登録商標)などの無線LANの規格であるが、Bluetooth(登録商標)等の他の無線通信規格であってもよい。また、無線通信部220は、前述した外部アクセスポイントAPからの無線通信用電波を受信したとき、ユーザーにより入力されたパスワードにより、電子機器200と当該外部アクセスポイントAPが接続可能な状態になる。また、無線通信部220は、再度同一の外部アクセスポイントAPと接続する場合は、自動的に当該外部アクセスポイントAPと接続することも可能である。自動的に当該外部アクセスポイントAPと接続することは、例えば、処理部210が、過去の接続時において、当該外部アクセスポイントAPの識別情報と当該パスワードを、後述する記憶部230に記憶する処理を行うこと等により、実現できる。
【0026】
また、無線通信部220は、電子機器200が後述するプリンターである場合、外部アクセスポイントAPからの無線通信電波を受信する。また、無線通信部220は、当該無線通信電波を介して、端末装置TM等からのジョブに関する情報を受け取り、当該ジョブに関する情報を処理部210に送信する。
【0027】
記憶部230は、電子機器200内のプログラム又はデータを予め記憶するもの或いは端末装置TMの動作に関する一時的な演算内容を記憶するものである。なお、プログラムは、例えば、後述する探索処理或いは第2探索処理等である。また、データは、例えば、後述するジョブレコード等である。また、端末装置TMの動作に関する一時的な演算内容は、例えば、後述する探索処理における接続候補のリスト等である。記憶部230は、レジスター、半導体メモリー、磁気記憶装置或いは光学式記憶装置等で実現できる。なお、半導体メモリーは、例えば、DRAMやSRAM等である。また、磁気記憶装置は、例えば、HDDである。また、光学式記憶装置は、例えば、CD-ROM或いはDVD-ROM等である。
【0028】
また、記憶部230は、電子機器200が後述するプリンターである場合、プリンターに関する情報を記憶する。プリンターに関する情報は、例えば、前述した端末装置TMからのジョブの記録等であるが、他の情報であってもよい。また、ジョブの記録は、例えば、前述した外部アクセスポイントAPの識別情報、端末装置TMの識別情報、ジョブの種類、プリンターの稼働量或いはジョブの実行時刻等であるが、他の記録であってもよい。また、ジョブの種類は、例えば、印刷或いはファクシミリ等である。また、プリンターの稼働量は、例えば、印刷枚数或いはインク等の消耗量等である。
【0029】
また、
図3の電子機器200は、他の構成を備えてもよい。
図4は、電子機器200がプリンターの場合の構成例を示すブロック図である。以下は、電子機器200がプリンターの場合についての説明である。
図4のブロック図で示される電子機器200は、処理部210、無線通信部220、記憶部230、表示部240、操作部250及び印刷部260を含む。なお、処理部210、無線通信部220、記憶部230については前述した通りであるため、説明を省略する。また、前述したように、電子機器200はプリンター以外にも適用可能である。
【0030】
表示部240は、電子機器200に関する情報表示を表示するものである。なお、電子機器200に関する情報表示は、例えば、操作内容、印刷設定、印刷ジョブ履歴或いは後述する稼働状態等に関する表示である。また、表示部240は、例えば、液晶ディスプレイにより実現できるが、有機ELディスプレイやドットマトリックスLED等で実現してもよい。また、表示部240がタッチパネル等のハードウェアを含むことにより、後述する操作部250としても機能することができる。
【0031】
操作部250は、ユーザーからの入力操作を受け付けるものである。操作部250は、例えば、ボタン或いはタッチセンサーで実現できるが、音声入力用マイク等で実現してもよい。なお、操作部250と前述した表示部240を、例えば、タッチパネルにより一体的なハードウェアとしてもよい。
【0032】
印刷部260は、印刷媒体に対して画像の印刷を行うものである。印刷媒体は、例えば、紙或いは布等である。印刷部260は、例えば、印刷エンジンによって実現される。印刷エンジンは、例えば、インクジェット方式の吐出ヘッドであるが、当該吐出ヘッドを含むキャリッジの駆動機構等を含めてもよい。印刷エンジンは、搬送機構により搬送される印刷媒体に対して、吐出ヘッドからインクを吐出することで、印刷媒体に画像を印刷する。なお、印刷エンジンは、レーザー方式でトナーにより印刷するものでもよい。また、印刷部260は、印刷エンジンの稼働状態に関わる各種の物理量を検出するセンサー或いは検出結果をカウントするカウンター等を備えてもよい。処理部210は、例えば、当該センサー或いは当該カウンターを用いて、搬送機構の駆動量、吐出ヘッドの往復回数或いはインクの消費量等の情報を取得し、記憶部230に当該情報を記憶させる。
【0033】
4.接続する外部アクセスポイントを決定する処理例
図5は、本実施形態において、無線通信部220と接続する外部アクセスポイントAPを決定する処理例を示すフローチャートである。当該処理は、電子機器200の処理部210が実行する。なお、
図5において、外部アクセスポイントAPを単にAPと簡略して記載し、端末装置TMを単にTMと簡略して記載する。また、外部アクセスポイントAPと無線通信部220を接続することを、APとの接続と簡略して記載する。
図6、
図7、
図9、
図10及び
図11も同様である。
【0034】
処理部210は、無線接続が切断されて再度無線接続を行うとき、外部アクセスポイントAPの探索処理(S1)を行う。具体的には、SSIDスキャンを行う。無線接続が切断されて再度無線接続を行うときは、例えば、電源を投入するとき等である。探索処理は、例えば、接続実績の有る外部アクセスポイントAPを探索する処理である。言い換えると、探索処理は、自動接続が可能な外部アクセスポイントAPを探索する処理である。探索処理は、例えば、無線通信部220が、外部アクセスポイントAPから無線通信により受信したパケットから、外部アクセスポイントAPのSSIDを抽出し、当該SSIDと記憶部230に予め記憶されているSSIDが一致しているか否かを判定すること等により実現できる。
【0035】
処理部210は、外部アクセスポイントAPの探索処理(S1)の後、第2探索処理(S2)を行う。第2探索処理は、探索処理(S1)で探索された外部アクセスポイントAPが形成するネットワークに、接続実績がある端末装置TMが所属しているか否かを探索する処理である。なお、後述するが、この第2探索処理は様々な変形実施が可能である。また、接続実績の有る端末装置TMであることの判断は、例えば、処理部210が、当該外部アクセスポイントAPに所属する端末装置TMの識別情報と、記憶部230に予め記憶されている端末装置TMの識別情報が一致するか否かを判断すること等により、実現できる。具体的には、処理部210は、第2探索処理において、当該外部アクセスポイントAPに接続実績の有る端末装置TMが所属していた場合(S3でYES)、当該外部アクセスポイントAPと、無線通信部220とを接続することを決定する(S4)。なお、後述するように、端末装置TMにジョブ実績があれば、接続実績もあることになる。
【0036】
一方、処理部210は、接続実績の有る端末装置TMが所属する外部アクセスポイントAPが存在しなかった場合(S3でNO)、直近に接続した外部アクセスポイントAPと、無線通信部220とを接続することを決定する(S5)。なお、接続することを決定することは、例えば、外部アクセスポイントAPとの接続を確立することである。具体的には、処理部210は、オーセンティケーション要求(Authentication Request)と呼ばれる認証要求の送信及び当該認証要求の応答の受信を行った後、アソシエーション要求(Association Request)と呼ばれる接続要求の送信及び当該接続要求の応答の受信を行う。そして、処理部210は、暗号化が必要な場合には4ウェイハンドシェークと呼ばれる暗号鍵のやり取りを行って、外部アクセスポイントAPとの接続を確立する。また、直近に接続した外部アクセスポイントAPは、本実施形態の探索処理を開始する前であって、最も新しく無線接続した外部アクセスポイントAPである。以降の説明及びフローチャートについても同様である。また、処理部210は、一定期間内に、直近に接続した外部アクセスポイントAPと接続できなかった場合は、エラー報知を実行してもよい。
【0037】
このように、電子機器200は、無線通信を行う無線通信部220と、無線通信部220がネットワークを経由して接続した実績のある端末装置の識別情報を記憶する記憶部230と、無線通信部220の通信制御を行う処理部210と、を含むため、電子機器200は端末装置TMと無線通信による処理を実行することができる。これにより、端末装置TMのユーザーは、例えば、無線ネットワークを介して電子機器200に対して遠隔操作をすることが可能になる。また、処理部210は、外部アクセスポイントAPの探索処理を行い、探索処理によって探索された外部アクセスポイントAPが形成するネットワークにおいて、記憶部230に記憶された識別情報に対応する端末装置TMを探索する第2探索処理を行う。そして、処理部210は、第2探索処理によって探索された端末装置TMが接続される外部アクセスポイントAPに無線通信部220を接続させる。このようにすれば、処理部210は、探索処理より探索された外部アクセスポイントAPが形成するネットワークに、接続実績が有る端末装置TMが存在するか否かを、記憶部230に記憶された識別情報に基づいて判断できるようになる。そして、探索された外部アクセスポイントAPに、接続実績のある端末装置TMが所属していなかった場合には、当該外部アクセスポイントAPには無線通信部220が接続されず、接続実績のある端末装置TMが所属していた場合に、当該外部アクセスポイントAPに無線通信部220が接続されるようになる。従って、接続実績がある端末装置TMが接続されている外部アクセスポイントAPに対して、無線通信部220を接続できるようになり、端末装置TMの接続実績等についても考慮した外部アクセスポイントAPとの接続処理を実現できるようになる。これにより、探索処理及び第2探索処理を通じて、ユーザーが再度使用する可能性の高い外部アクセスポイントAPを的確に探索することが可能になる。従って、電子機器200と、ユーザーが当該電子機器200に対して接続したい端末装置TMが、同一の外部アクセスポイントAPに所属し、電子機器200と端末装置TMが互いに自動で接続できる可能性が高くなることから、無線接続作業におけるユーザーの負担を軽減することも可能になる。
【0038】
また、処理部210は、
図6及び
図7のフローチャートに従って、外部アクセスポイントAPを決定する処理を行ってもよい。なお、
図5と共通する処理については、説明を一部省略する。
【0039】
図6に示すように、処理部210は、
図5のS1と同様に、無線接続が切断されて再度無線接続を行うとき、外部アクセスポイントAPの探索処理(S101)を行う。そして、処理部210は、
図8に示すような、外部アクセスポイントAPの接続候補のリストを作成する(S102)。なお、
図6及び
図7のフローチャートにおいて、接続候補のリストは、適宜、リストと簡略して表記する。
図9についても同様である。接続候補のリストの作成は、例えば、無線通信部220が受信したパケットから抽出したSSIDのうち、記憶部230に記憶済のSSIDと一致したものを、記憶部230の所定の記憶領域に一時的に記憶する方法等により実現できる。接続候補のリストに挙げられる外部アクセスポイントAPの数は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。なお、処理部210は、接続候補のリストの作成の処理を一定期間ポーリングしてもよいし、S102以降の処理が開始した後に、接続候補のリストを定期的に更新してもよい。
【0040】
図7は、第2探索処理(S103)を詳細に示したフローチャートである。処理部210は、
図6のS102で作成された接続候補のリストの外部アクセスポイントに対して、順次、自動接続する処理を行う。具体的には処理部210は、接続候補のリストの先頭の行の外部アクセスポイントAPと既に接続済であるか否かを判断し、当該接続候補のリストの先頭の行の外部アクセスポイントAPと接続していない場合(S202でNO)、当該接続候補のリストの先頭の行の外部アクセスポイントAPと無線通信部220を自動接続する(S203)。また、処理部210は、既に接続候補のリストの先頭の行の外部アクセスポイントAPと接続済である場合(S202でYES)は、接続候補のリストの次の行の外部アクセスポイントAPと無線通信部220を自動接続する(S204)。
【0041】
処理部210は、接続した当該外部アクセスポイントAPに、ジョブ実績のある端末装置TMが所属している場合(S205でYES)、当該外部アクセスポイントAPと無線通信部220を接続することを決定し(S206)、第2探索処理を終了する。
【0042】
処理部210は、接続している外部アクセスポイントAPに、ジョブ実績のある端末装置TMが所属していなかった場合(S205でNO)、当該外部アクセスポイントAPが、接続候補のリストの最終行の外部アクセスポイントAPであるかを判断する(S207)。なお、ジョブ実績のある端末装置は接続実績のある端末装置でもある。当該外部アクセスポイントAPが、接続候補のリストの最終行の外部アクセスポイントAPであった場合(S207でYES)、直近に接続した外部アクセスポイントAPと無線通信部220を接続することを決定し(S208)、第2探索処理を終了する。即ち外部アクセスポイントAPと無線通信部220の接続が確立する。一方、当該外部アクセスポイントAPが、接続候補のリストの最終行の外部アクセスポイントAPではない場合(S207でNO)、接続候補のリストの次の行の外部アクセスポイントAPと無線通信部220を自動接続する処理(S204)を行う。例えば、
図8に示すように接続候補のリストの最初の行にある外部アクセスポイントAP1に、端末装置TMが所属していなかった場合、処理部210は、無線通信部220を外部アクセスポイントAP2と無線通信部220を自動接続する処理を行う。
【0043】
このように、処理部210は、探索処理によって第1外部アクセスポイント及び第2外部アクセスポイントが探索された場合に、無線通信部220を第1外部アクセスポイントに接続し、第1外部アクセスポイントに、識別情報に対応する端末装置TMが接続されているか否かを判定する。また、処理部210は、無線通信部220を第2外部アクセスポイントに接続し、第2外部アクセスポイントに、識別情報に対応する端末装置TMが接続されているか否かを判定することによって、第2探索処理を行う。例えば、第1外部アクセスポイントは、
図8のAP1であり、第2外部アクセスポイントは、
図8のAP2である。そして
図7に示すように、処理部210は、例えば、リストの先頭の外部アクセスポイントAP1に無線通信部220を接続し、当該外部アクセスポイントAP1に、識別情報に対応する端末装置TMが接続されているか否かを判定する。即ち、当該外部アクセスポイントAP1に、接続実績、狭義にはジョブ実績のある端末装置TMが接続されているか否かを判断する。また処理部210は、例えば、リストの次の行に有る外部アクセスポイントAP2に無線通信部220を接続し、当該外部アクセスポイントAP2に、識別情報に対応する端末装置TMが接続されているか否かを判定する。即ち、当該外部アクセスポイントAP2に、接続実績、狭義にはジョブ実績のある端末装置TMが接続されているか否かを判断する。このようにすれば、探索処理によって複数の外部アクセスポイントAP1,AP2が探索された場合に、各外部アクセスポイントAP1,AP2について、接続実績のある端末装置TMが所属しているか否かを判断して、無線通信部220を接続できるようになる。例えば、
図7に示すように、外部アクセスポイントAP1にジョブ実績の有る端末装置TMが所属していなかったとしても、直ぐに直近に接続した外部アクセスポイントAPと接続することを行わず、外部アクセスポイントAP2に所属する端末装置TMのジョブ実績も調べるようになる。これにより、接続可能な外部アクセスポイントAPが複数存在する場合において、電子機器200と、ユーザーが当該電子機器200と無線通信接続をしたい端末装置TMと、が同一の外部アクセスポイントAPに所属し、電子機器200と端末装置TMが互いに自動で接続できる可能性が高くなることから、無線接続作業におけるユーザーの負担を軽減することができる。
【0044】
また、処理部210は、
図9に示すようなフローチャートに従って、第2探索処理(S103)を実行するようにしてもよい。以下、
図6と
図9のフローチャートによって外部アクセスポイントAPの決定方法の処理について説明する。なお、
図6の探索処理等、前述と共通する処理については、説明を一部省略する。
【0045】
まず処理部210は、
図7のS202~S204と同様に、接続候補のリストの先頭の行の外部アクセスポイントAPと既に接続済であるか否かを判断し、当該接続候補のリストの先頭の行の外部アクセスポイントAPと接続していない場合(S302でNO)、当該接続候補のリストの先頭の行の外部アクセスポイントAPと無線通信部220を接続する(S303)。また、処理部210は、同様に、既に接続候補のリストの先頭の行の外部アクセスポイントAPと接続済である場合(S302でYES)は、接続候補のリストの次の行の外部アクセスポイントAPと無線通信部220を接続する(S304)。
【0046】
処理部210は、接続した当該外部アクセスポイントAPに、ジョブ実績の有る端末装置TMが所属しているか否かを判断する(S305)。そして処理部210は、当該外部アクセスポイントAPに、ジョブ実績の有る端末装置TMが所属したと判断した場合(S305でYES)、当該端末装置TMが、ジョブ実績が最大の端末装置TMか否かを判断する(S306)。なお、ジョブ実績が最大の端末装置TMか否かの判断は、例えば、端末装置TMの識別情報と後述する優先度を関連付けた情報が記憶部230に予め記憶されてあり、当該情報と、S305で得られた端末装置TMの識別情報を比較すること等で実現できるが、他の方法で実現してもよい。そして、当該端末装置TMが、ジョブ実績が最大の端末装置TMである場合(S306でYES)、当該外部アクセスポイントAPと無線通信部220を接続することを決定し(S307)、第2探索処理を終了する。例えば、処理部210は、後述する
図10等から、優先度が1の端末装置TM3が、外部アクセスポイントAP2に所属していることを判断し、外部アクセスポイントAP2と無線通信部220を接続することを決定する。
【0047】
処理部210は、接続した当該外部アクセスポイントAPに、ジョブ実績が有る当該端末装置TMが、ジョブ実績が最大の端末装置TMではないと判断した場合(S306でNO)、当該端末装置TMと当該端末装置TMの所属先である外部アクセスポイントAPと、を関連付けて記憶する(S308)。例えば、端末装置TM1の優先度は2である情報、言い換えれば、端末装置TM1のジョブ実績は最大ではない情報が、記憶部230に予め記憶されている。そして、当該情報は、S308の処理を通じて、
図10のように、所属先である外部アクセスポイントAP1の情報とともに、記憶部230の任意の領域に一時的に記憶される。なお、外部アクセスポイントAP1と無線通信部220が接続することはまだ決定されない。
【0048】
処理部210は、接続している外部アクセスポイントAPに、ジョブ実績のある端末装置TMが所属していなかった場合(S305でNO)、或いはS308の処理を行った場合、接続している当該外部アクセスポイントAPが、接続候補のリストの最終行の外部アクセスポイントAPであるかを判断する(S309)。そして、処理部210は、最終行の外部アクセスポイントAPでない場合(S309でNO)、接続候補のリストの次の行にある外部アクセスポイントAPと無線通信部220を自動接続する(S304)。
【0049】
処理部210は、接続している当該外部アクセスポイントAPが、接続候補のリストの最終行の外部アクセスポイントAPであると判断した場合(S309でYES)、接続候補のリストの中に、ジョブ実績の有る端末装置TMが所属している外部アクセスポイントAPが存在していたかを判断する(S310)。そして、処理部210は、ジョブ実績の有る端末装置TMが所属する当該外部アクセスポイントAPが存在していない場合には、直近に接続した外部アクセスポイントAPと無線通信部220を接続することを決定する(S312)。一方、当該外部アクセスポイントAPが存在している場合には、S308で記憶した外部アクセスポイントAP及び端末装置TMのうち、ジョブ実績が最大である端末装置TMの所属先である外部アクセスポイントAPと接続することを決定する(S311)。例えば、ジョブ実績が最大となる端末装置TM、言い換えれば、後述する優先度が最も高い端末装置TMが所属している外部アクセスポイントAPと無線通信部220を接続することを決定する。例えば、
図10において、仮に端末装置TM3がどの外部アクセスポイントAPにも所属していなかった場合は、接続優先度が2である端末装置TM1が所属する外部アクセスポイントAP1と無線通信部220を接続することが決定される。
【0050】
ここで、
図10の優先度について説明する。優先度は、端末装置TMの電子機器200に対するジョブ実績の尺度である。本実施形態では、ジョブ実績が高い端末装置TMほど、優先度の数字を小さく表示している。例えば、記憶部230は、ジョブ実績が最大の端末装置TMの優先度を1として記憶する。ジョブ実績は、例えば、
図11のようなレコード形式で記憶部230に記憶されたジョブをもとに、後述する方法等で決定される。なお、以降の説明において、
図11の形式のジョブをジョブレコードと呼ぶ。
【0051】
このように、記憶部230は、端末装置TMの識別情報と、端末装置TMに関するジョブの実績を表すジョブ実績情報とを対応付けて記憶する。これにより、接続実績のみならず、ジョブ実績の優劣をもって、端末装置TMについて比較できるようになり、ユーザーが接続したい外部アクセスポイントAPの探索精度が向上する。これにより、第2探索処理とジョブ実績に基づいて決定された外部アクセスポイントに無線通信部220を接続させることから、ジョブ実績の高い端末装置TMが所属している外部アクセスポイントAPと電子機器200を接続できる可能性が高くなる。これにより、端末装置TMのユーザーが接続したい外部アクセスポイントAPと、電子機器200と接続する外部アクセスポイントAPが一致する可能性が高くなり、無線接続作業におけるユーザーの負担を軽減することができる。
【0052】
また、処理部210は、第2探索処理によって、複数の端末装置TM1,TM2,TM3が探索された場合、探索された複数の端末装置TM1,TM2,TM3のうち、ジョブ実績情報に基づいて決定された端末装置TM3が接続される外部アクセスポイントAP2に無線通信部220を接続させる。これにより、ジョブ実績の有る端末装置TMが複数探索されたとしても、ジョブ実績の優劣を相対的に比較し、ジョブ実績の最も高い端末装置TMが所属する外部アクセスポイントAPを決定するため、ユーザーが接続したい外部アクセスポイントAPの探索精度が向上する。これにより、第2探索処理とジョブ実績に基づいて決定された外部アクセスポイントAPに無線通信部220を接続させることから、ジョブ実績の高い端末装置TMが所属している外部アクセスポイントAPと電子機器200を接続できる可能性が高くなる。これにより、端末装置TMのユーザーが接続したい外部アクセスポイントAPと、電子機器200と接続する外部アクセスポイントAPが一致する可能性が高くなり、無線接続作業におけるユーザーの負担を軽減することができる。
【0053】
次に、優先度の決定方法について説明する。優先度の決定は、
図11に示したジョブレコードをもとに、色々なパラメーターを作成し、当該パラメーターを比較すること等により、実現できる。例えば、ジョブレコードの数をもとに、各端末装置TMのジョブの回数を作成し、ジョブの回数をもとに優先度を決めることが実現できるが、他の方法で実現することもできる。例えば、
図11に示すように、端末装置TM1のジョブ回数は3であり、端末装置TM2のジョブ回数は2であり、端末装置TM3のジョブ回数は11である。よって、
図10に示すように、TM1の優先度は2であり、TM2の優先度は3であり、TM3の優先度は1である。
【0054】
また、優先度は、ジョブの回数以外のパラメーターをもとに決定してもよい。ジョブの回数以外のパラメーターは、例えば、ジョブ実行タイミングが挙げられる。例えば、ジョブが記憶された時刻をジョブ実行タイミングとしてもよい。これにより、特定の不合理を回避することができる。特定の不合理は、例えば、現状端末装置TMが接続する可能性が低い外部アクセスポイントAPに対して、無線通信部220と接続させてしまうこと等である。
【0055】
また、優先度は、複数のパラメーターをもとに決定してもよい。例えば、ジョブ実績は、所定期間とジョブ実行回数を組み合わせたパラメーターをもとに、決定してもよい。
【0056】
また、
図11のように、処理部210は、前述のS308の処理結果を記憶部230に記憶させるにあたり、優先度を決定するパラメーターを2つ記憶してもよいし、そのうち1つのパラメーターの記憶を任意に設定できるようにしてもよい。また、優先度を決定するパラメーターは3つ以上設定できるようにしてもよい。
【0057】
また、電子機器200がプリンターであるならば、ジョブ実績は、印刷ジョブ実績としてもよい。即ち、ジョブ実行回数は、印刷実行回数としてもよく、印刷ジョブ実績は、印刷タイミングを含めてもよい。
【0058】
また、処理部210は、総合的な考慮により、印刷ジョブ実績を決定してもよい。総合的な考慮は、例えば、印刷の所要時間、印刷した紙の枚数或いはトナー等の消耗品の消費量等を考慮して印刷ジョブ実績を決定すること等である。これにより、プリンターにかかる負荷が考慮できるので、ジョブ実績の高い端末装置TMの比較精度が向上する。
【0059】
また、処理部210は、印刷ジョブ実績は印刷ジョブだけに限定し、印刷機能以外の機能によるジョブを印刷ジョブ実績に含めないようにする限定処理を追加してもよい。なお、限定処理は、印刷機能以外のファクシミリ機能等に適用してもよい。
【0060】
また、印刷機能やファクシミリ機能等に応じて、ジョブ実績のパラメーターを変更できるようにしてもよい。例えば、印刷機能は実行回数をもとにジョブ実績を決定し、ファクシミリ機能は実行タイミングをもとにジョブ実績を決定してもよい。
【0061】
また、処理部210は、特定の端末装置TMを、強制的にジョブ実績が最大の端末装置TMと設定できるようにしてもよい。さらに、処理部210は、複数の端末装置TMに、異なる優先度のジョブ実績を予め付与する付与処理を行ってもよい。付与処理は、例えば、職場において、役職が最上位であるユーザーの端末装置TMを優先度1とし、次に役職が上位であるユーザーの端末装置TMを優先度2と、予め設定すること等である。
【0062】
このように、ジョブ実績情報は、ジョブ実行回数及びジョブ実行タイミングの少なくとも1つであってもよい。これにより、ジョブ実績を決める尺度が規定されるので、各端末装置TMのジョブ実績を的確に比較することができ、探索処理及び第2探索処理によって接続すべき外部アクセスポイントAPを適切に探索することができる。また、端末装置TMのユーザーが接続したい外部アクセスポイントAPと、電子機器200が接続する外部アクセスポイントAPを一致させる可能性を高くすることができることから、無線接続作業におけるユーザーの負担を軽減することができる。
【0063】
また、電子機器200がプリンターであるならば、ジョブは、印刷ジョブであり、ジョブ実績情報は、印刷実行回数及び印刷タイミングの少なくとも1つであってもよい。これにより、ジョブ実績を決める尺度が規定されるので、各端末装置TMのジョブ実績を的確に比較し、探索処理及び第2探索処理によって接続すべき外部アクセスポイントAPを適切に探索することができる。また、端末装置TMのユーザーが接続したい外部アクセスポイントAPと、プリンターが自動接続する外部アクセスポイントAPを一致させる可能性を高くすることができる。
【0064】
なお、
図5,
図6,
図7,
図9は、端末装置TMの個々のジョブ実績をもとに、接続する外部アクセスポイントAPを決定する方法であるが、外部アクセスポイントAPの決定方法は、種々の変形が可能である。例えば、同一の外部アクセスポイントAPに所属する全ての端末装置TMのジョブ実績を総合的に比較して、接続する外部アクセスポイントAPを決めてもよい。例えば、図示は省略するが、接続可能な外部アクセスポイントAPの数をN、順番の数をMとして、接続可能な外部アクセスポイントAPとして、それぞれ第1外部アクセスポイントAP1(M=1)と、第2外部アクセスポイントAP2(M=2)の2つ(N=2)が存在しているとする。また、第1外部アクセスポイントAP1にはジョブ実績が最大の端末装置TM1が1個(L=1)だけ所属するが、第2外部アクセスポイントAP2には、ジョブ実績が中位の端末装置TM2~TM9の8個(L=8)が所属しているとする。また、各端末装置TM1~TM9は個々にジョブ実績を有するものとする。この場合、処理部210は、端末装置TM1による1個のジョブ実績と、端末装置TM2~端末装置TM9による8個のジョブ実績を総合的に比較することで、端末装置TM1が所属する第1外部アクセスポイントAP1と、端末装置TM2~TM9が所属する第2外部アクセスポイントAP2の優先度情報をそれぞれ求め、当該優先度情報をもとに、どの外部アクセスポイントAPと無線通信部220を接続するかを決定してもよい。なお、Nの数は2以上の整数であればよい。また、Mは1以上N以下の整数であればよい。また、Lは1以上の整数であればよい。
【0065】
このように、第2探索処理によって端末装置TMが探索された外部アクセスポイントを、第1外部アクセスポイントAP1,第2外部アクセスポイントAP2とする。この場合、処理部210は、第2外部アクセスポイントが形成するネットワークにおいて8個の端末装置TM2~TM9が探索された場合、探索された8個の端末装置に対応する8個のジョブ実績情報に基づいて、第2外部アクセスポイントの接続優先度を表す優先度情報を求める。また、処理部210は、当該優先度情報に基づいて、無線通信部220を接続させる外部アクセスポイントを決定する。これにより、端末装置のジョブ実績を総合的に判断することができる。
【0066】
また、例えば、
図11のジョブレコードから、端末装置TMの電子機器200への接続実績は、外部アクセスポイントAP3を経由した端末装置TM3による接続実績が圧倒的に高いことが分かる。そこで、処理部210は、接続候補のリストを作成するあたり、ジョブ実績が最大の端末装置TM3と接続実績が高い外部アクセスポイントAP3を、リストの先頭に配置する処理を追加してもよい。これにより、1回目の探索処理でジョブ実績が最大の端末装置TM3を発見することができる(S306でYES)ことから、当該端末装置TM3と無線通信部220を接続して(S307)、フローの終了が早期化できるので、処理時間の短縮化が可能である。
【0067】
さらに、処理部210は、ジョブ実績のタイミングを考慮して、接続候補のリストにおける先頭の外部アクセスポイントAPを決定する処理を追加してもよい。例えば、
図11のように、ジョブ回数が最も高い端末装置TM3は、直近では外部アクセスポイントAP2に所属しているから、外部アクセスポイントAP2を接続候補のリストの先頭にしてもよい。また、ジョブ実績のタイミングを考慮するには、さらに所定の条件を設けてもよい。所定の条件は、例えば、端末装置TM3が一定期間継続して外部アクセスポイントAP2に所属すること等である。これにより、特定の事情を考慮することができる。特定の事情は、例えば、ジョブ回数が最も高い端末装置TM3が外部アクセスポイントAP2に直近で所属していた事象は、単純に一時的な事象であったという事情等である。
【0068】
また、処理部210は、
図11のジョブレコードの一部又は全部を修正又は削除が出来る処理を任意で実行できるようにしてもよい。これにより、不要になった端末装置TMの情報や、エラー情報等の不要な情報を削除すること等ができるので、ジョブ実績の精度を上げるとともに、記憶部230の記憶容量を確保することができる。
【0069】
5.第2無線通信部を有する電子機器を含む構成例
また、本実施形態の電子機器200は、
図12のブロック図のように、第1無線通信部222と、第2無線通信部224を備えるようにしてもよい。なお、処理部210、記憶部230、表示部240、操作部250、印刷部260は前述と同様につき、説明を省略する。
【0070】
第1無線通信部222は、外部アクセスポイントAPと無線通信を実行することが可能な機能を有するものである。第1無線通信部222は、例えば、Wi‐Fi(登録商標)方式などの無線LAN方式に従った無線通信を実行するが、他の無線通信規格方式で無線通信を実行してもよい。
【0071】
第2無線通信部224は、外部アクセスポイントAPを介さずに無線通信を実行することが可能な機能を有するものである。第2無線通信部224は、例えば、Wi‐Fi Direct(登録商標)方式に従った無線通信を実行するが、他の無線通信規格方式で無線通信を実行してもよい。第2無線通信部224は、図示しない内部アクセスポイントを含む。第2無線通信部224が機能する場合、電子機器200自身がアクセスポイントとして動作する。なお、第1無線通信部222と、第2無線通信部224は、それぞれ異なる半導体素子によって実現できるが、同一の半導体素子で実現してもよい。
【0072】
ところで、このような電子機器200に、前述の外部アクセスポイントAPの決定方法をそのまま適用すると、外部アクセスポイントを経由したジョブ実績と、内部アクセスポイントを使用したジョブ実績が、記憶部230に混在するという事象が発生する。この場合、処理部210は、外部アクセスポイントAPを介したジョブ実績が正確に把握できなくなる。そのため、端末装置TMのユーザーが外部アクセスポイントAPを使用して電子機器200と接続したい場合において、接続優先度の高い端末装置TMや接続すべき外部アクセスポイントAPを、精度良く探索できない問題が生じる。なお、端末装置TMのユーザーが外部アクセスポイントAPを使用して電子機器200と接続したい場合は、例えば、電子機器200の第2無線通信部224に不具合が生じた場合或いは端末装置TM側の無線通信部120に不具合が生じた場合等である。
【0073】
そこで、例えば、処理部210は、第1無線通信部222を介したジョブレコードと、第2無線通信部224を介したジョブレコードを別々に記憶部230に記憶させる処理と、第1無線通信部222を介したジョブレコードのみをもとに、ジョブ実績を決定する処理を行うようにしてもよい。また、処理部210は、例えば、第1無線通信部を介したジョブレコードのみを記憶部230に記憶させる処理を行ってもよい。また、処理部210は、例えば、第1無線通信部222或いは第2無線通信部224を介した事が分かる情報を含めたジョブレコードを記憶部230に記憶させる処理と、当該ジョブレコードから第1無線通信部222を介した情報のみを抽出することでジョブ実績を求める処理と、を行うようにしてもよい。
【0074】
なお、第1無線通信部222が受信した無線通信電波と、第2無線通信部224が受信した無線通信電波の区別は、例えば、第1無線通信部222の半導体素子と第2無線通信部224の半導体素子を異ならせることで実現することができるが、例えば、パケットデータ上で区別することで実現してもよいし、通信プロトコル上で区別することで実現してもよい。
【0075】
このように、電子機器200は、第1無線通信部222による外部アクセスポイントAP経由の通信と、第2無線通信部224による内部アクセスポイントを用いた通信が可能であることで、電子機器200の利便性を向上させることができる。また、ジョブ実績情報は、外部アクセスポイント経由のジョブ実績と、内部アクセスポイントを用いたジョブ実績のうち、外部アクセスポイント経由のジョブ実績を表す情報であるようにすることで、外部アクセスポイントを経由したジョブ実績を正確に把握することができる。そのため、端末装置TMのユーザーが外部アクセスポイントAPを用いて電子機器200と接続したい状況において、電子機器200は、当該ジョブ実績を利用して、ユーザーが接続したい外部アクセスポイントAPを適切に探索することができる。
【0076】
6.その他の構成例
また、他の変形例として、所定条件のもと、処理部210は、探索処理により探索された外部アクセスポイントAPのうち、一部の外部アクセスポイントAPのみに対して第2探索処理を実行する処理を行ってもよい。所定条件は、例えば、上述の探索処理(S1或いはS101)によって、無線通信部220と外部アクセスポイントAP4が自動接続可能であることが判明したが、記憶部230に記憶されているジョブレコードのうち、当該外部アクセスポイントAP4を経由したジョブレコードの占める割合が、他の外部アクセスポイントAPと比べて著しく少ないこと等である。なお、著しく少ないことは、絶対値としてゼロであることも含む。なお、記憶部230は、当該外部アクセスポイントAP4に対して、特別な優先度を付与して記憶してもよい。特別な優先度は、処理部210が、当該特別な優先度が付与された外部アクセスポイントAPを、接続実績の有る外部アクセスポイントAPではないものとみなし、接続候補のリストの作成の対象としない処理の対象とする指標等である。
【0077】
また、他の変形例として、処理部210は、探索処理によって、前述した内部アクセスポイントと接続可能となった場合、当該内部アクセスポイントをもとに接続候補のリストを作らない処理を行うようにしてもよい。
【0078】
このように、記憶部230は、無線通信部220と外部アクセスポイントAPとの接続実績を表す接続実績情報を記憶し、処理部210は、探索処理によって探索された外部アクセスポイントのうち、接続実績情報に基づいて接続実績があると判定された外部アクセスポイントを対象として、第2探索処理を行うようにしてもよい。これにより、ユーザーが接続したいと思われる外部アクセスポイントAPである可能性が低い外部アクセスポイントAPを、第2探索処理の対象から外すことができるので、第2探索処理を迅速に行うことができる。そのため、電子機器200は、ユーザーが接続したい外部アクセスポイントAPを迅速に自動接続できる可能性が高くなり、無線接続作業におけるユーザーの負担を軽減することができる。
【0079】
以上のように、本実施形態の電子機器は、無線通信を行う無線通信部と、無線通信部がネットワークを経由して接続した実績のある端末装置の識別情報を記憶する記憶部と、無線通信部の通信制御を行う処理部と、を含む。処理部は、外部アクセスポイントの探索処理を行う。また、処理部は、探索処理によって探索された外部アクセスポイントが形成するネットワークにおいて、記憶部に記憶された識別情報に対応する端末装置を探索する第2探索処理を行う。また、処理部は、第2探索処理によって探索された端末装置が接続される外部アクセスポイントに無線通信部を接続させる。
【0080】
このようにすれば、処理部は、探索処理より探索された外部アクセスポイントが形成するネットワークに、接続実績が有る端末装置が存在するか否かを、記憶部に記憶された識別情報に基づいて判断できるようになる。そして、探索された外部アクセスポイントに、接続実績のある端末装置が所属していた場合に、当該外部アクセスポイントに無線通信部が接続されるようになる。従って、端末装置の接続実績等についても考慮した外部アクセスポイントとの接続処理を実現できるようになる。
【0081】
また、外部アクセスポイントは、第1外部アクセスポイントと第2外部アクセスポイントを含む。処理部は、探索処理によって第1外部アクセスポイント及び第2外部アクセスポイントが探索された場合に、無線通信部を第1外部アクセスポイントに接続し、第1外部アクセスポイントに識別情報に対応する端末装置が接続されているか否かを判定する。その後、処理部は、無線通信部を第2外部アクセスポイントに接続し、第2外部アクセスポイントに識別情報に対応する端末装置が接続されているか否かを判定することによって、第2探索処理を行ってもよい。
【0082】
このようにすれば、探索処理によって複数の外部アクセスポイントが探索された場合に、各外部アクセスポイントについて、接続実績のある端末装置が所属しているか否かを判断して、無線通信部と接続できるようになる。
【0083】
また、記憶部は、端末装置の識別情報と、端末装置に関するジョブの実績を表すジョブ実績情報とを対応付けて記憶し、第2探索処理の結果と、ジョブ実績情報に基づいて決定された外部アクセスポイントに無線通信部を接続させるようにしてもよい。
【0084】
このようにすれば、端末装置のジョブ実績についても考慮した外部アクセスポイントとの接続処理を実現できるようになり、ユーザーが接続したい端末装置が所属する外部アクセスポイントを的確に把握することができる。
【0085】
また、ジョブ実績情報は、ジョブ実行回数及びジョブ実行タイミングの少なくとも1つであってもよい。
【0086】
このようにすることで、ジョブ実績を決める尺度が規定されるので、各端末装置のジョブ実績を的確に比較することができ、電子機器は、探索処理及び第2探索処理によって接続すべき外部アクセスポイントを適切に探索することができる。
【0087】
また、ジョブは、印刷ジョブであり、ジョブ実績情報は、印刷実行回数及び印刷タイミングの少なくとも1つであってもよい。
【0088】
このようにすることで、ジョブ実績を決める尺度が規定されるので、各端末装置のジョブ実績を的確に比較することができ、プリンターは、探索処理及び第2探索処理によって接続すべき外部アクセスポイントを適切に探索することができる。
【0089】
また、処理部は、第2探索処理によって、複数の端末装置が探索された場合、探索された複数の端末装置のうち、ジョブ実績情報に基づいて決定された端末装置が接続される外部アクセスポイントに無線通信部を接続させるようにしてもよい。
【0090】
このようにすることで、ジョブ実績の有る端末装置が複数探索されたとしても、ジョブ実績を相対的に比較することで、ユーザーが接続したい端末装置が所属する外部アクセスポイントを適切に探索することができる。
【0091】
また、第2探索処理によって端末装置が探索された外部アクセスポイントを、第1~第N(Nは2以上の整数)外部アクセスポイントとする。この場合、処理部は、第M(Mは1以上N以下の整数)外部アクセスポイントが形成するネットワークにおいてL個の端末装置(Lは1以上の整数)が探索されたとき、探索されたL個の端末装置に対応するL個のジョブ実績情報に基づいて、第M外部アクセスポイントの接続優先度を表す優先度情報を求め、優先度情報に基づいて、無線通信部を接続させる外部アクセスポイントを決定するようにしてもよい。
【0092】
このようにすることで、端末装置のジョブ実績を総合的に判断することができる。
【0093】
また、外部アクセスポイント経由の通信と、内部アクセスポイントを用いた通信が可能であり、ジョブ実績情報は、外部アクセスポイント経由のジョブ実績と、内部アクセスポイントを用いたジョブ実績のうち、外部アクセスポイント経由のジョブ実績を表す情報であるようにしてもよい。
【0094】
このようにすることで、外部アクセスポイントを経由したジョブ実績を正確に把握することができるので、内部アクセスポイントを持つ電子機器であっても、ユーザーが接続したい端末装置が所属する外部アクセスポイントを適切に探索することができる。
【0095】
また、記憶部は、無線通信部と外部アクセスポイントとの接続実績を表す接続実績情報を記憶し、処理部は、探索処理によって探索された外部アクセスポイントのうち、接続実績情報に基づいて接続実績があると判定された外部アクセスポイントを対象として、第2探索処理を行うようにしてもよい。
【0096】
このようにすることで、ユーザーが接続したいと思われる外部アクセスポイントである可能性が低い外部アクセスポイントを、第2探索処理の対象から外すことができるので、第2探索処理を迅速に行うことができる。
【0097】
また、本実施形態の無線通信方法は、外部アクセスポイントの探索処理を行い、探索処理によって探索された外部アクセスポイントが形成するネットワークにおいて接続した実績のある端末装置を探索する第2探索処理を行い、第2探索処理によって探索された端末装置が接続される外部アクセスポイントと接続する無線通信方法に関係する。
【0098】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また電子機器、端末装置等の構成・動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0099】
10…無線通信システム、AP,AP1,AP2,AP3…外部アクセスポイント、TM,TM1,TM2,TM3,TM4…端末装置、110…処理部、120…無線通信部、130…表示部、140…操作部、150…報知部、160…記憶部、200…電子機器、210…処理部、220…通信部、222…第1通信部、224…第2通信部、230…記憶部、240…表示部、250…操作部、260…印刷部