(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】不織布の製造装置
(51)【国際特許分類】
D04H 3/16 20060101AFI20241119BHJP
D01D 5/08 20060101ALI20241119BHJP
D01D 5/092 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
D04H3/16
D01D5/08 C
D01D5/092 103
(21)【出願番号】P 2020096224
(22)【出願日】2020-06-02
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神野 文夫
(72)【発明者】
【氏名】牧 伸明
(72)【発明者】
【氏名】徐 暁師
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-223214(JP,A)
【文献】特開昭61-097413(JP,A)
【文献】特開2009-215670(JP,A)
【文献】特開2010-242261(JP,A)
【文献】国際公開第2019/146656(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00-18/04
D01D 1/00-13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融した熱可塑性樹脂をフィラメントから構成されるフィラメント集合体として
、紡糸口金から押し出す紡糸手段と、
前記フィラメント集合体を延伸する延伸手段と、
前記紡糸手段と前記延伸手段との間に配置され、冷却エアーを前記フィラメント集合体に供給し冷却する
オープン型である冷却手段と、
を備える不織布の製造装置であって、
前記冷却手段は、前記フィラメント集合体の延伸方向からみて、前記紡糸手段を挟んで前記紡糸手段と並列に延在して配置される一対の吹出口と、前記一対の吹出口の端部と接続し、前記一対の吹出口とともに前記紡糸手段を取り囲むように配置される一対の側板と、を備え、
前記紡糸手段と前記冷却手段は、垂直方向に近接するように配置されて
おり、
前記紡糸手段と前記冷却手段との間、及び、前記冷却手段と前記延伸手段との間は、それぞれ、垂直方向に沿って、外部空間に開放されていることを特徴とする不織布の製造装置。
【請求項2】
前記フィラメント集合体の延伸方向からみて、前記一対の吹出口と、前記紡糸口金の延在方向両端部の一方を延在方向と垂直方向に延長した仮想線と、前記仮想線と近接する一方の前記側板と、により画定される領域の面積を方向
変換領域面積とすると、
前記側板に対して垂直な方向からみた前記側板の面積に対する前記方向
変換領域面積の割合が、0.02~0.5であることを特徴とする請求項1に記載の不織布の製造装置。
【請求項3】
前記紡糸口金の延在方向中央部に比べて、前記紡糸口金の前記延在方向両端部における最高温度を5~10℃高くすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の不織布の製造装置。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の不織布の製造装置。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂、またはポリプロピレンーエチレン共重合体を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の不織布の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却手段を備える不織布の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布の製造装置において、フィラメントから不織布を形成するものがある。例えば、その製造装置の一つであるスパンボンド製法によるものにおいては、紡糸手段により、紡糸口金の多数の紡糸孔から熱可塑性樹脂を重力により溶融紡糸して、フィラメントの束であるフィラメント集合体を形成する。このフィラメント集合体は、冷却手段により、制御された一様流である冷却エアーが水平方向から供給され、所望の硬さに冷却された後に、延伸手段により、垂直方向に引っ張られる。これにより、フィラメント集合体の繊維強度と繊維径が調整されるものである。その後、搬送手段により、直接捕集ベルト上に堆積するフィラメント集合体が搬送されるとともに、絡合手段により、フィラメント集合体同士を絡合させ不織布を形成している。
【0003】
このように、スパンボンド不織布製造装置は、紡糸手段及び延伸手段において、重力方向に紡糸及び延伸を行っているため、特に、垂直方向に大きくなっている。よって、スパンボンド不織布製造装置における垂直方向のサイズを小型化することが要望されていた。
【0004】
ここで、例えば、特許文献1には、スパンボンド不織布の製造装置であって、紡糸口金から溶融紡糸されたフィラメント集合体を所定の温度まで冷却するために、一対の冷却装置からの水平方向の冷却エアーをフィラメント集合体に供給するものが開示されている。また、特許文献1には、冷却エアーによって紡糸口金が冷却されて溶融紡糸への悪影響を防止するために、保温空間を設けることが開示されている。この引用文献1において、スパンボンド不織布製造装置の垂直方向のサイズを小型化するという要望に応えるために、保温空間を設けないことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許文献1において、仮に、保温空間を設けず、紡糸口金と冷却手段とを垂直方向に近接させると、それまで、紡糸口金と冷却手段との隙間より上方へと排気されていた分離ガスが、流路抵抗の比較的低いフィラメント集合体の側方へと排気されてしまうという問題が生じる(
図2参照)。このフィラメント集合体の側方への排気により、フィラメント集合体の側方両端部において、常に糸揺れが生じるため、固化する前のフィラメント同士が融着され、内部まで冷却されない柔らかい状態で延伸され、フィラメントに糸切れが生じるおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、垂直方向のサイズを小型化するとともに、フィラメント集合体の側方両端部における糸切れを抑制することができる不織布の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、不織布の製造装置は、溶融した熱可塑性樹脂をフィラメントから構成されるフィラメント集合体として押し出す紡糸手段と、前記フィラメント集合体を延伸する延伸手段と、前記紡糸手段と前記延伸手段との間に配置され、冷却エアーを前記フィラメント集合体に供給し冷却する冷却手段と、を備え、前記冷却手段は、前記フィラメント集合体の延伸方向からみて、前記紡糸手段を挟んで前記紡糸手段と並列に延在して配置される一対の吹出口と、前記一対の吹出口の端部と接続し、前記一対の吹出口とともに前記紡糸手段を取り囲むように配置される一対の側板と、を備え、前記紡糸手段と前記冷却手段は、垂直方向に近接するように配置されているものである。
【0009】
また、上記不織布の製造装置は、前記フィラメント集合体の延伸方向からみて、前記一対の吹出口と、前記紡糸口金の延在方向両端部の一方を延在方向と垂直方向に延長した仮想線と、前記仮想線と近接する一方の前記側板と、により画定される領域の面積を方向変換領域面積とすると、前記側板に対して垂直な方向からみた前記側板の面積に対する前記方向変換領域面積の割合が、0.02~0.5であることを特徴とするものとしてもよい。
【0010】
また、上記不織布の製造装置は、前記紡糸口金の延在方向中央部に比べて、前記紡糸口金の前記延在方向両端部における最高温度を5~10℃高くすることを特徴とするものとしてもよい。
【0011】
また、上記不織布の製造装置は、前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂であることを特徴とするものとしてもよい。
【0012】
また、上記不織布の製造装置は、前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂、またはポリプロピレンーエチレン共重合体を含むことを特徴とするものとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、垂直方向のサイズを小型化するとともに、フィラメント集合体の側方両端部における糸切れを抑制することができる不織布の製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る不織布製造装置の一例を示す概略図である。
【
図2】従来技術における冷却手段を説明する斜視図である。
【
図3】本実施形態における冷却手段を説明する図であり、(a)斜視図、(b)平面図、をそれぞれ表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、
図1から
図3を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は本実施形態の態様に限定されるものではない。
【0016】
<不織布製造装置>
本実施形態によるフィラメント集合体3及びこれを含む不織布5は、特別な装置を用いることなく、通常の複合溶融紡糸法による不織布製造装置により得ることができる。中でも、生産性に優れるスパンボンド法による不織布製造装置が好ましく用いられる。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る不織布製造装置の一例としてスパンボンド不織布製造装置(以下、「不織布製造装置」という)100における概略図を、限定目的ではなく例示目的で示す。図中の白抜きの矢印A、矢印B及び黒矢印Cは、フィラメント集合体3の紡出方向、フィラメント集合体3の搬送方向(MD方向)及び捕集ベルト51の周回方向をそれぞれ表している。また、図中の白抜きの矢印D、矢印E及び矢印Fは、冷却エアー、分離ガス及び高圧エアーをそれぞれ表している。さらに、図中のX軸方向は、搬送方向Bを示すものであり、Y軸方向は、搬送面上における搬送方向と直交するCD方向を示すものであり、Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向とそれぞれ直交するとともに紡出方向Aと平行な方向を示すものである。
【0018】
不織布製造装置100は、第1の押出機11及び第2の押出機12(紡糸手段)と、紡糸口金20(紡糸手段)と、冷却手段30と、イジェクター40(延伸手段)と、捕集コンベア50と、熱エンボスロール60と、ワインダー70と、から構成される。以下、それらの概要を順に説明する。
【0019】
第1の押出機11は、第1の原料樹脂1を溶融しながら、螺旋状の第1のローター13の回転により、所定流量の溶融物を紡糸口金20(紡糸手段)へと送液する。同様に、第2の押出機12は、第2の原料樹脂2を溶融しながら、螺旋状の第2のローター14の回転により、所定流量の溶融物を紡糸口金20へと送液する。
【0020】
(第1の原料樹脂)
第1の原料樹脂1は、熱可塑性樹脂を主成分とする。すなわち、第1の原料樹脂1は、第1の原料樹脂1の全固形分を基準にして90質量%以上100質量%以下の量で熱可塑性樹脂を含むことができる。第1の原料樹脂1に適用可能な熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系の樹脂が挙げられる。複合繊維からなるフィラメントの紡糸性等の観点から、熱可塑性樹脂には、ポリプロピレン(PP)が好ましく使用される。
【0021】
(第2の原料樹脂)
第2の原料樹脂2は、熱可塑性樹脂を主成分とする。詳細には、第2の原料樹脂2は、第2の原料樹脂2の全固形分を基準にして90質量%以上100質量%以下の量で熱可塑性樹脂を含む。
【0022】
第2の原料樹脂2の主成分に適用可能な熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類を使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。複合繊維からなるフィラメントの触り心地などの風合いの観点から、熱可塑性樹脂には、ポリエチレン(PE)を好ましく使用することができる。
【0023】
(添加物)
複合繊維からなるフィラメントは、第1の原料樹脂1及び第2の原料樹脂2のそれぞれにおいて、熱可塑性樹脂に加えて、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて添加物を含有していてもよい。
【0024】
添加物の原料としては、例えば、公知の耐熱安定剤及び耐候安定剤などの各種の安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス等が挙げられる。
【0025】
安定剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)等の老化防止剤;テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2’-オキザミドビス[エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2-ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステルなどを挙げることができる。また、これらを組み合わせて用いることもできる。
【0026】
滑剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
【0027】
また、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン等の充填剤を含有していてもよい。
【0028】
紡糸口金20は、所望の繊維構造を形成して吐出するように構成された複数の複合紡糸ノズル(不図示)を有する。このノズルより、第1の押出機11及び第2の押出機12からのそれぞれ溶融物が複合した複合繊維からなる複数のフィラメントの束(以下、「フィラメント集合体」という)3を重力方向に紡出する。この紡糸口金20には、制御手段(不図示)による紡糸口金20の温度制御を行うために、複数のヒーター(不図示)及び温度センサー(不図示)が配置され、紡糸口金20から紡出される全てのフィラメントの温度が同一となるようにフィードバック制御が行われる。なお、本実施形態の繊維構造としては、複合繊維を用いて説明するものであるが、これに限られることなく、例えば、一種の樹脂を第1の押出機11及び第2の押出機12より紡糸したものであってもよい。
【0029】
冷却手段30は、一対の冷却用送風機30L,30Rを含むオープン型であり、紡出されたフィラメント集合体3に対し、紡出方向Aと直交する方向であるX軸方向から層流かつ一様流である冷却エアーDを送風し、フィラメント集合体3を冷却する。また、フィラメント集合体3から排気される高温の分離ガスEは、紡出方向Aに沿わず、一対の冷却用送風機30L,30Rの上方へと排気されることから、フィラメント集合体3を効率的に冷却することができる。
【0030】
イジェクター40は、オープン型であり、駆動流体である高圧エアーFを紡出方向Aの成分をもたせてボディー42内へと噴射させ、ボディー42内に低圧部を生成させる。この生成された低圧部により、フィラメント集合体3は、ボディー42内に吸引され、高圧エアーFとともに、紡出方向Aへと延伸される。
【0031】
捕集コンベア50は、捕集ベルト51と、捕集ベルト51の逆台形型の周回軌道の頂点に掛け回される第1乃至第4のロール55~58と、上側周回軌道における捕集ベルト51の下方に対向配置される吸引ボックス59と、を備える。この捕集ベルト51は、第1乃至第4のロール55~58の少なくとも一つの駆動回転に伴い、時計回りに周回軌道を周回方向Cに移動する。イジェクター40から延伸されたフィラメント集合体3は、直接、捕集コンベア50の捕集ベルト51上に所定の厚さに堆積されるとともに、搬送方向Bにある熱エンボスロール60へと搬送される。
【0032】
熱エンボスロール60は、所定温度に加熱された凹凸の円筒面と、平らな円筒面とを有する一対の円筒ロールを備える。一対の円筒ロールは、堆積されたフィラメント集合体3を圧搾し、圧力と熱によりフィラメント集合体3の一部を絡合させ、不織布5を形成する。この交絡処理は、熱エンボス法ともいわれ、この方法により得られる不織布5は、表面にエンボスのパターンが現れる。
【0033】
本実施形態による不織布5には、熱エンボス法の他、繊維の交絡処理の方法として、ニードルパンチ、ウォータージェット、超音波等の手段を用いる方法、またはホットエアースルーにより熱融着させる方法を採用することができる。ニードルパンチ手段は、ニードルをフィラメント集合体3に差し込んで絡合させる方法である。ウォータージェット手段は、高圧の水をフィラメント集合体3に噴射して、絡合させる方法である。超音波手段は、超音波を利用して、一部のフィラメントを溶かして、絡合させる方法である。ホットエアースルーは、ホットエアーをフィラメント集合体3に吹き出して、一部のフィラメントを溶かして絡合させる方法である。
【0034】
(不織布)
本実施形態による不織布5は、フィラメント集合体3からなり、1つの層からなる単層構成を有していてもよく、また、複数の層からなる多層構成を有していてもよい。
【0035】
ワインダー70は、連続する不織布5に皺の発生させることなく、所定の巻き硬さで巻き取る。
【0036】
<従来技術における冷却手段について>
図2は、本実施形態における冷却手段30(
図3(a)参照)を説明するために、前提となる従来技術における冷却手段30’を説明する斜視図である。ここで、従来技術における冷却手段30’と本実施形態における冷却手段30とは、一対の側板32(
図3(a)参照)を備えるか否かの点で異なり、その他の構成や、これら構成の配置関係は全て共通することから、同一の符号を用いている。なお、
図2は、従来技術における冷却手段30’を説明するために模式的に誇張された図であり、実際における、一対の冷却用送風機30L,30R及びフィラメント集合体3の配置関係とは異なる。また、
図2における冷却用送風機30Rは、説明のために透過させて示している。さらに、図中の白抜きの矢印D1及び矢印D2は、冷却エアーを表すとともに、白抜きの矢印E1及び矢印E2は、分離ガスを表している。
【0037】
従来技術における冷却手段30’は、一対の冷却用送風機30L,30Rを備える。一対の冷却用送風機30L,30Rは、フィラメント集合体3が位置する冷却領域を挟んでX軸方向に対向配置されている。この冷却領域は、X軸方向からみて、一対の冷却用送風機30L,30Rの吹出口30ALの領域と一致する。これにより、二方向から冷却エアーDが冷却領域へ供給されるため、フィラメント集合体3を均一に冷却することができる。一対の冷却用送風機30L,30Rの吹出口30ALは、それぞれY軸方向とZ軸方向に平行なYZ平面上にあり、Y軸方向に延在する矩形形状を有する。この冷却用送風機30Lの吹出口30ALは、冷却エアーDを層流かつ一様流とするために整流格子(不図示)を備える。また、冷却用送風機30Rの吹出口(不図示)は、冷却用送風機30Lの吹出口30ALと同一の構成を備えている。以下では、主に、冷却用送風機30Rの吹出口からフィラメント集合体3に供給される冷却エアーDと、フィラメント集合体3の冷却後にフィラメント集合体3から排気される分離ガスEと、がそれぞれ通過する領域について説明する。
図2における吹出口からの冷却エアーD(D1,D2)及びこの冷却エアーD(D1,D2)がフィラメント集合体3に供給される供給領域Pは、任意のXY軸平面上におけるものを例示するものであるが、他のXY軸平面上における冷却エアーD(D1,D2)及び供給領域Pも同様の様態を有するものである。
【0038】
<従来技術における供給領域及び排気領域について>
冷却エアーD及び分離ガスEが通過する領域は、
図2に示すように、冷却エアーD(D1,D2)がフィラメント集合体3に供給される供給領域Pと、主に、フィラメント集合体3からの分離ガスE(E1,E2)が外気に排気される排気領域Q(Q1,Q2)と、に大別される。
【0039】
まず、供給領域Pは、冷却エアーD(D1,D2)がフィラメント集合体3に供給され、フィラメント集合体3を通過することにより、フィラメント集合体3を冷却する領域である。
【0040】
この供給領域Pにおいて、冷却用送風機30Rの吹出口からの冷却エアーD1がフィラメント集合体3を通過する際の流路抵抗が比較的高くなっている。一方、フィラメント集合体3のY軸方向両端側は側方に開放されている領域Q2であるため、Y軸方向への流路抵抗は比較的低い。よって、冷却用送風機30Rの吹出口におけるY軸方向両端部からの冷却エアーD2は、供給領域Pを回避するように、フィラメント集合体3のY軸方向の外側へと流れ、排気領域Q2より排気されている。
【0041】
この供給領域Pを回避する冷却エアーD2は、フィラメント集合体3のY軸方向両端部に糸切れを生じさせるおそれがあった。この要因としては、フィラメント集合体3のY軸方向両端部において、冷却エアーD2が、常にフィラメントに糸揺れを生じさせている。このフィラメントの糸揺れにより、固化する前のフィラメント同士が融着され、内部まで冷却されない柔らかい状態で延伸されるため、フィラメントに糸切れを生じさせるおそれがあった。その他の要因としては、フィラメント集合体3のY軸方向両端部において、冷却エアーD2が、フィラメントをY軸方向外側に広がるように移動させている。このフィラメントは、イジェクター40の開口部40AのY軸方向外側へと外れるように移動するため、フィラメントが開口部40Aに接触することにより、糸切れを生じさせるおそれがあった。
【0042】
次に、排気領域Qは、主に、フィラメント集合体3から排気された分離ガスE(E1,E2)が、フィラメント集合体3からさらに熱を奪いながら、周囲の空気との密度差によって上昇し、外気に排気される領域である。ここで、不織布製造装置100は、特に、Z軸方向のサイズを小型化するために、紡糸口金20と、一対の冷却用送風機30L,30Rとは、Z軸方向に僅かな隙間Tを有して近接するとともに、X軸方向には隙間が生じない状態で配置される(
図3(b)参照)。
【0043】
この排気領域Qは、一対の冷却用送風機30L,30Rと紡糸口金20との比較的狭い側方の隙間からなる領域Q1と、フィラメント集合体3のY軸方向両端側で側方に開放された領域Q2と、からなる。この比較的狭い側方の隙間からなる領域Q1では、フィラメント集合体3のY軸方向中央部から排気される分離ガスE1が通過する際の流路抵抗が比較的高くなっている。一方、側方に開放された領域Q2では、分離ガスE2が通過する際の流路抵抗が比較的低い。よって、フィラメント集合体3のY軸方向両端部から排気される分離ガスE2は、比較的狭い側方の隙間からなる領域Q1を回避するように、フィラメント集合体3のY軸方向の外側へと流れ、排気領域Q2より排気されている。
【0044】
この分離ガスE2は、供給領域Pにおける冷却エアーD2と同様に、フィラメント同士が融着するような糸揺れの発生や、イジェクター40の開口部40Aを外れるようなフィラメントの移動により、フィラメント集合体3のY軸方向両端部において糸切れを生じさせるおそれがあった。
【0045】
<本実施形態における冷却手段について>
図3は、本実施形態における冷却手段30を説明する図であり、(a)斜視図、(b)平面図、をそれぞれ表す。ここで、
図2と同様に、
図3(a)及び
図3(b)は、本実施形態における冷却手段30を説明するために模式的に誇張された図であり、
図3(a)における冷却用送風機30Rは、説明のために透過させて示している。また、図中の白抜きの矢印D1及び矢印D3は、冷却エアーを表すとともに、白抜きの矢印E1及び矢印E3は、分離ガスを表している。さらに、
図3(b)における点線は、一対の冷却用送風機30L,30Rの各吹出口が設けられる領域を示している。本実施形態における冷却手段30(
図3(a)参照)は、従来技術における冷却手段30’(
図2参照)と、一対の側板32を備える点で異なり、その他の構成や、これら構成の配置関係は全て共通する。
【0046】
本実施形態における冷却手段30は、
図3(b)に示すように、Z軸方向からみて、紡糸口金20を取り囲むように、X軸方向に対向配置されている一対の冷却用送風機30L,30Rと、Y軸方向に対向配置されている一対の側板32と、を備える。本実施形態において、フィラメント集合体3が、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系の樹脂からなる場合は、結晶分散温度を上回る適宜の温度まで冷却できるように、一対の冷却用送風機30L,30Rの風速等を適宜設定することが好ましい。また、本実施形態において、一対の冷却用送風機30L,30Rから供給される冷却エアーDが整流格子(不図示)を通過する際のレイノルズ数は、整流格子内における流れが層流となるように設定(Re=2000以下)されている。以下では、従来技術(
図2)と同様に、主に、冷却用送風機30Rの吹出口からフィラメント集合体3に供給される冷却エアーDと、フィラメント集合体3の冷却後にフィラメント集合体3から排気される分離ガスEと、がそれぞれ通過する領域について説明する。
【0047】
<本実施形態における供給領域及び排気領域について>
冷却エアーD及び分離ガスEが通過する領域は、
図3(a)に示すように、冷却エアーD(D1,D3)がフィラメント集合体3に供給される供給領域Pと、主に、フィラメント集合体3からの分離ガスE(E1,E3)が外気に排気される排気領域Q(Q1,Q3)と、に大別される。ここで、供給領域Pにおける冷却エアーD1と、排気領域Q1における分離ガスE1は、従来技術(
図2)と同様であるため、説明は省略する。
【0048】
まず、供給領域Pは、フィラメント集合体3のY軸方向両端側に一対の側板32が採用されることにより、Y軸方向への流路抵抗が従来技術より比較的高くなる。これにより、冷却用送風機30Rの吹出口におけるY軸方向両端部からの冷却エアーD3は、Y軸方向の外側への流れが制限される。よって、フィラメント同士が融着するような糸揺れの発生や、イジェクター40の開口部40Aを外れるようなフィラメントの移動は抑制され、フィラメントに糸切れが生じるおそれはなくなる。
【0049】
次に、排気領域Qは、フィラメント集合体3のY軸方向両端側に一対の側板32が採用されることにより、従来技術におけるフィラメント集合体3のY軸方向両端側から側方に開放されていた排気領域Q2(
図2参照)が、上方に開放された排気領域Q3へと変更される。これにより、フィラメント集合体3のY軸方向両端部から排気される分離ガスE3は、冷却エアーD3と同様に、Y軸方向の外側への流れが制限されるため、フィラメント同士が融着するような糸揺れの発生や、イジェクター40の開口部40AをY軸方向外側に外れるようなフィラメントの移動は抑制される。したがって、フィラメントに糸切れが生じるおそれはなくなる。
【0050】
本実施形態において、フィラメント集合体3のY軸方向両端側に一対の側板32を採用することにより、供給領域Pの冷却エアーD3及び排気領域Qの分離ガスE3におけるY軸方向の外側への流れを制限し、糸切れを抑制することができる。さらに、採用する一対の側板32と紡糸口金20との隙間Sを適宜選択することにより、糸切れを抑制することに加え、排気領域Qの分離ガスE3をスムーズに排気させ、フィラメント集合体3を均一に冷却すること、つまり、地合の均一性を向上させることをバランス良く高めることができる。
【0051】
<本実施形態における紡糸口金の設定温度について>
図3(a)に示すように、フィラメント集合体3のY軸方向両端側に一対の側板32を採用することにより、紡糸口金20のY軸方向両端部には、従来技術の分離ガスE(E2)と比べ、多くの分離ガスE(E3)が取り囲むように通過する。よって、この紡糸口金20のY軸方向両端部は、紡糸口金20のY軸方向中央部等と比べ、過度に冷却される現象が生じる。
【0052】
ここで、制御手段(不図示)により行われる紡糸口金20の温度制御は、紡糸口金20の設定温度と、紡糸口金20に設けられる温度センサーから取得される温度情報との差分が小さくなるように、紡糸口金20に設けられるヒーターを制御することにより行う。この紡糸口金20の設定温度は、第1の原料樹脂1及び第2の原料樹脂2等を溶融させた溶融物の融解温度以上で且つ熱分解温度未満に設定されている。本実施形態における紡糸口金20の設定温度は、例えば、180~250℃とするものであるが、これに限らない。
【0053】
ここで、例えば、紡糸口金20の設定温度を、紡糸口金20のY軸方向全体で同一温度に設定すると、分離ガスE3の影響により、紡糸口金20のY軸方向両端部から紡出されるフィラメントは、紡糸口金20のY軸方向中央部等から紡出されるフィラメントと比べ、過度に冷却されるため、早めに固化する。これにより、紡糸口金20のY軸方向両端部から紡出されるフィラメントには、イジェクター40からの吸引力により、過度な引張力が生じるため、糸切れが生じるおそれがあった。
【0054】
よって、本実施形態においては、分離ガスE3の影響を考慮し、紡糸口金20のY軸方向両端部における設定温度を、紡糸口金20のY軸方向中央部等における設定温度より、例えば、5~10℃高く設定することにより、紡糸口金20から紡出される全てのフィラメントの温度を同一にすることができるため、糸切れが生じるおそれがない。本実施形態における紡糸口金20のY軸方向両端部における設定温度を、紡糸口金20のY軸方向中央部等における設定温度より、例えば、5~10℃高く設定するものであるが、これに限らない。
【0055】
<側板についての比較評価>
本発明の実施例1乃至実施例7の各実施例に係る側板についての比較評価において、物性に係る5個のパラメータについて、比較例1に対する比較評価を行った。この比較評価について、以下の表1に示す。ここで、比較評価における共通する条件として、フィラメントの材質は、ポリプロピレン樹脂とした。また、紡糸口金20におけるY軸方向の幅Ws及びX軸方向の奥行きDsを、4(m)及び0.2(m)とし、側板32におけるZ軸方向の高さHp及びX軸方向の幅L(
図3参照)を、1.25(m)及び0.2(m)とし、吹出口30AL,30ARにおけるY軸方向の幅Wb(不図示)及びZ軸方向の高さHb(不図示)を、4.1(m)及び1(m)とし、紡糸口金20と一対の冷却用送風機30L,30RとのZ軸方向の隙間T(
図3参照)を、0.2(m)とした。さらに冷却用送風機30L,30Rにおいて、吹き出し速度を一定(1(m/s))とし、冷却エアーDの温度を一定(12.5(℃))とし、整流格子を通過する際のレイノルズ数を一定(Re=693)とした。
【0056】
【0057】
<糸切れ難さの評価について>
フィラメントに糸切れが生じると、不織布5中に塊状のフィラメントとして出現する。よって、糸切れ難さの評価は、欠陥検出器(COGNEX社製のSmartView自動欠陥検査システム)を用いて、不織布5の面積120000m2当たりの塊状(凸状)のフィラメントの個数、つまり、欠陥数を測定し、欠陥数が10個以上であれば、糸切れの発生が多いため「×」、6個以上10個未満であれば、糸切れの発生が少ないため「△」、3個以上6個未満であれば、糸切れの発生がほぼないため「○」、3個未満であれば、糸切れの発生がないため「◎」とした。
【0058】
<地合の均一性の評価について>
不織布には、フィラメントの太さのばらつきなどによりムラが生じる。よって、地合の均一性の評価は、地合計(野村商事株式会社製のFMT-MIII地合評価システム)を用いて、不織布5の光透過画像を取得し、地合指数(吸光度の変数係数であり、値が小さいほど地合が良好)を測定し、平均値が400以上であれば「×」、平均値が350以上400未満であれば「△」、平均値が300以上350未満であれば「○」、平均値が300未満であれば「◎」とした。
【0059】
<側板の有無について>
側板32の有無は、
図3(a)に示すように、冷却手段30に、一対の冷却用送風機30L,30Rとともに、紡糸口金20を取り囲む、一対の側板32が採用されているのかを示している。この一対の側板32の有無は、「糸切れ難さ」に影響を及ぼすパラメータである。
【0060】
本実施形態において、冷却手段30に一対の側板32が採用されていることが好ましい。ここで、一対の側板32が採用されていれば、
図3(a)に示すように、供給領域Pの冷却エアーD3及び排気領域Qの分離ガスE3におけるY軸方向の外側への流れを制限することができる。これにより、フィラメント同士が融着するような糸揺れの発生や、イジェクター40の開口部40Aを外れるようなフィラメントの移動は抑制され、「糸切れ難さの評価」を向上させることができる。
【0061】
<側板と紡糸口金との隙間S(m)について>
側板32と紡糸口金20との隙間S(m)は、
図3(b)に示すように、Z軸方向からみて、一方の側板32(
図3(b)の右側)と、紡糸口金20の一方のY軸方向端部(
図3(b)の右側)とのY軸方向に離間した隙間を示す。ここで、他方(
図3(b)の左側)の側板32と、紡糸口金20の他方のY軸方向端部(
図3(b)の左側)とのY軸方向に離間した隙間は、S(m)と同一とした。
【0062】
<側方開放面積Mに対する方向変換領域面積Nの割合について>
側方開放面積Mは、一対の側板32を採用していない場合(
図2参照)における、フィラメント集合体3のY軸方向両端側から外方に開放されている排気領域Q2の面積を示すものと定義する。この側方開放面積Mは、一対の側板32を採用した場合(
図3(a)参照)における、Y軸方向からみた側板32の面積(Hp×L)に相当する。ここで、Hp及びLは、側板32のZ軸方向の高さ及び側板32のX軸方向の幅をそれぞれ示す。
【0063】
また、方向変換領域面積Nは、一対の側板32を採用した場合(
図3(a)参照)における、冷却エアーD3及び分離ガスE3を、Y軸方向からZ軸方向へと方向変換させるとともに、排気させる一方の排気領域Q3の面積(例えば、
図3(b)の右側)を示すものと定義する。この方向変換領域面積Nは、
図3(b)に示すように、Z軸方向からみた、一対の吹出口30AL,30ARと、紡糸口金20の一方のY軸方向端部をX軸方向に延長した仮想線Ilと、この仮想線Ilと近接する一方の側板32と、により画定される領域の面積(S×L)(=S×Ds)を示す。ここで、S、L及びDsは、側板32と紡糸口金20とのY軸方向の隙間、側板32のX軸方向の幅及び紡糸口金20のX軸方向の奥行きをそれぞれ示す。
【0064】
側方開放面積Mに対する方向変換領域面積Nの割合は、(S×L)/(Hp×L)、つまり、S/Hpを示す。この側方開放面積Mに対する方向変換領域面積Nの割合は、「糸切れ難さの評価」及び「地合の均一性の評価」に影響を及ぼすパラメータである。
【0065】
本実施形態の側方開放面積Mに対する方向変換領域面積Nの割合(表1参照)は、0.02~0.5であるのが好ましい。ここで、側方開放面積Mに対する方向変換領域面積Nの割合が0.02以上であれば、排気領域Q3における分離ガスE3の排気流路面積は最低限確保されていることから、全体的な分離ガスE(E1,E3)のスムーズな排気を行うことができる。これにより、フィラメント集合体3への全体的な冷却エアーD(D1,D3)のスムーズな供給も行うことができるため、フィラメント集合体3を均一に冷却すること、つまり、「地合の均一性の評価」を向上させることができる。他方、側方開放面積Mに対する方向変換領域面積Nの割合が0.5以下であれば、供給領域Pにおける冷却エアーD3及び排気領域Q3における分離ガスE3のY軸方向の外側への流れを制限することができる。これにより、フィラメント同士が融着するような糸揺れの発生や、イジェクター40の開口部40Aを外れるようなフィラメントの移動は抑制されるため、「糸切れ難さの評価」を向上させることができる。
【0066】
<側板についての比較評価結果>
実施例1乃至実施例7の評価の対比から明らかなように、冷却手段30に、一対の側板32を採用した場合には、
図3(a)に示すように、供給領域Pの冷却エアーD3及び排気領域Qの分離ガスE3におけるY軸方向の外側への流れを制限することができる。これにより、フィラメント同士が融着するような糸揺れの発生や、イジェクター40の開口部40Aを外れるようなフィラメントの移動を抑制するため、「糸切れ難さの評価」が「△」以上となり、高めることができるとの結論を得た。
【0067】
ここで、側方開放面積Mに対する方向変換領域面積Nの割合が、0.02~0.5であれば、「糸切れ難さの評価」及び「地合の均一性の評価」がそれぞれ「○」以上となり、バランス良く高めることができる(実施例3~5参照)。
【0068】
以上に対し、比較例1では、冷却手段30に、一対の側板32を採用していない場合には、
図2に示すように、供給領域Pの冷却エアーD2及び排気領域Qの分離ガスE2におけるY軸方向の外側への流れを制限することができない。これにより、フィラメント同士が融着するような糸揺れの発生や、イジェクター40の開口部40Aを外れるようなフィラメントの移動を生じるため、「糸切れ難さの評価」が「×」となり、低下している。
【0069】
<その他>
本発明は、上述した各形態や、各実施例、随所に述べた変形例に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 第1の原料樹脂
2 第2の原料樹脂
3 フィラメント集合体
5 不織布
11 第1の押出機(紡糸手段)
12 第2の押出機(紡糸手段)
20 紡糸口金(紡糸手段)
30,30’ 冷却手段
30L,30R 冷却用送風機
30AL,30AR 吹出口
40 イジェクター(延伸手段)
40A 開口部
50 捕集コンベア
51 捕集ベルト
59 吸引ボックス
100 スパンボンド不織布製造装置
D1,D2,D3 冷却エアー
Ds 紡糸口金の奥行き
E1,E2,E3 分離ガス
Hp 側板の高さ
Hb 吹出口の高さ
Il 紡糸口金のY軸方向端部をX軸方向に延長した仮想線
L 側板の幅
M 側方開放面積
N 方向変換領域面積
P 供給領域
Q1,Q2,Q3 排気領域
S 側板と紡糸口金との隙間
T 紡糸口金と一対の冷却用送風機との隙間
Wb 吹出口の幅
Ws 紡糸口金の幅