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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20241119BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
H04N1/12 Z
H04N1/00 E
H04N1/00 567J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020131950
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2022028506
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】新田 剛
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-111842(JP,A)
【文献】国際公開第2018/167973(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00 - 1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の原稿の画像を順次読み取る画像読取部と、
表示部と、
ユーザーにより操作される操作部と、
前記画像読取部により読み取られた前記複数の原稿の各原稿画像を記録紙に形成する画像形成部と、
前記画像読取部により前記複数の原稿が1枚ずつ読み取られるごとに、読み取られた原稿画像の角部の欠損の有無を検出する欠損検出部と、
前記欠損検出部によって前記原稿画像の角部の欠損が検出されたときは、前記原稿画像の角部の欠損の程度を示す欠損値が、閾値を示す第1閾値以上であるか否かを判定する判定部と、
(i)前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第1閾値未満であると判定された場合に、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせ、(ii)前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第1閾値以上であると判定された場合に、前記画像読取部による原稿の読み取りを中断させ、前記閾値を前記第1閾値よりも大きい予め定められた第2閾値に変更する旨の表示を前記表示部に表示させ、当該読み取りが中断された原稿を少なくとも含む原稿の読取再開指示が前記操作部に対してされると、前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第2閾値未満であると判定された場合に、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせる制御部と、を備え、
前記欠損検出部は、前記画像読取部により前記複数の原稿が1枚ずつ読み取られるごとに、当該原稿画像の各端辺を検出すると共に、当該原稿画像の角部における傾斜辺の有無を検出する傾斜辺検出部を備え、前記傾斜辺検出部によって前記傾斜辺が検出されたときは、当該原稿画像の角部の欠損有りとし、
前記判定部は、前記傾斜辺検出部によって前記傾斜辺が検出されたときは、当該原稿画像の各端辺のうちで当該傾斜辺の一端に交わる第1端辺と、当該原稿画像の各端辺のうちで当該傾斜辺の他端に交わる第2端辺とをそれぞれ端辺方向に延長させたときに形成される交点までの各欠損辺の長さをそれぞれ前記欠損値として算出し、前記各欠損辺の長さの少なくとも一方が前記第1閾値以上であるか否かを判定し、
前記制御部は、(i)前記判定部において前記各欠損辺の長さが両方とも前記第1閾値未満であると判定された場合に、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせ、(ii)前記判定部において前記各欠損辺の長さの少なくとも一方が前記第1閾値以上であると判定された場合に、前記画像読取部による原稿の読み取りを中断させ、前記閾値を前記第2閾値に変更する旨の表示を前記表示部に表示させ、当該読み取りが中断された原稿を少なくとも含む原稿の読取再開指示が前記操作部に対してされると、前記判定部において前記各欠損辺の長さが両方とも前記第2閾値未満であると判定された場合に、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせる、画像形成装置。
【請求項2】
複数の原稿の画像を順次読み取る画像読取部と、
表示部と、
ユーザーにより操作される操作部と、
前記画像読取部により読み取られた前記複数の原稿の各原稿画像を記録紙に形成する画像形成部と、
前記画像読取部により前記複数の原稿が1枚ずつ読み取られるごとに、読み取られた原稿画像の角部の欠損の有無を検出する欠損検出部と、
前記欠損検出部によって前記原稿画像の角部の欠損が検出されたときは、前記原稿画像の角部の欠損の程度を示す欠損値が、閾値を示す第1閾値以上であるか否かを判定する判定部と、
(i)前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第1閾値未満であると判定された場合に、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせ、(ii)前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第1閾値以上であると判定された場合に、前記画像読取部による原稿の読み取りを中断させ、前記閾値を前記第1閾値よりも大きい予め定められた第2閾値に変更する旨の表示を前記表示部に表示させ、当該読み取りが中断された原稿を少なくとも含む原稿の読取再開指示が前記操作部に対してされると、前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第2閾値未満であると判定された場合に、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記画像読取部による前記複数の原稿の画像の順次読み取りが終了した後、前記閾値が前記第2閾値に変更されている場合に前記閾値を前記第1閾値に復帰させる、画像形成装置。
【請求項3】
複数の原稿の画像を順次読み取る画像読取部と、
表示部と、
ユーザーにより操作される操作部と、
前記画像読取部により読み取られた前記複数の原稿の各原稿画像を記録紙に形成する画像形成部と、
前記画像読取部により前記複数の原稿が1枚ずつ読み取られるごとに、読み取られた原稿画像の角部の欠損の有無を検出する欠損検出部と、
前記欠損検出部によって前記原稿画像の角部の欠損が検出されたときは、前記原稿画像の角部の欠損の程度を示す欠損値が、閾値を示す第1閾値以上であるか否かを判定する判定部と、
(i)前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第1閾値未満であると判定された場合に、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせ、(ii)前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第1閾値以上であると判定された場合に、前記画像読取部による原稿の読み取りを中断させ、前記閾値を前記第1閾値よりも大きい予め定められた第2閾値に変更する旨の表示を前記表示部に表示させ、当該読み取りが中断された原稿を少なくとも含む原稿の読取再開指示が前記操作部に対してされると、前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第2閾値未満であると判定された場合に、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせる制御部と、を備え、
前記画像読取部は、
第1のプラテンガラスと、原稿が載置される第2のプラテンガラスとを有する原稿台と、
前記複数の原稿がセットされる原稿給紙トレイと、
原稿排出トレイと、
前記原稿給紙トレイにセットされた前記複数の原稿を1枚ずつ引出して前記第1のプラテンガラス上に通して搬送し、この搬送された原稿を前記原稿排出トレイに排出する原稿給送部と、
スキャナー部と、を備え、
前記制御部は、前記画像読取部が前記原稿給送部により1枚ずつ搬送された原稿を前記第1のプラテンガラスを介して前記スキャナー部にて読み取る搬送原稿読取モード、又は、前記画像読取部が前記第2のプラテンガラスに載置された原稿を前記スキャナー部にて読み取る載置原稿読取モードの何れであるかを判定し、前記搬送原稿読取モードの場合、前記欠損検出部による前記原稿画像の角部の欠損の検出を実行させ、前記載置原稿読取モードの場合、前記欠損検出部による前記原稿画像の角部の欠損の検出を実行させない、画像形成装置。
【請求項4】
複数の原稿の画像を順次読み取る画像読取部と、
表示部と、
ユーザーにより操作される操作部と、
前記画像読取部により読み取られた前記複数の原稿の各原稿画像を記録紙に形成する画像形成部と、
前記画像読取部により前記複数の原稿が1枚ずつ読み取られるごとに、読み取られた原稿画像の角部の欠損の有無を検出する欠損検出部と、
前記欠損検出部によって前記原稿画像の角部の欠損が検出されたときは、前記原稿画像の角部の欠損の程度を示す欠損値が、閾値を示す第1閾値以上であるか否かを判定する判定部と、
(i)前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第1閾値未満であると判定された場合に、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせ、(ii)前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第1閾値以上であると判定された場合に、前記画像読取部による原稿の読み取りを中断させ、前記閾値を前記第1閾値よりも大きい予め定められた第2閾値に変更する旨の表示を前記表示部に表示させ、当該読み取りが中断された原稿を少なくとも含む原稿の読取再開指示が前記操作部に対してされると、前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第2閾値未満であると判定された場合に、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせる制御部と、を備え、
前記制御部は、(iii)前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第2閾値以上であると判定された場合に、前記画像読取部による原稿の読み取りを中断させ、前記閾値を前記第2閾値よりも大きい予め定められた第3閾値に変更する旨の表示を前記表示部に表示させ、当該読み取りが中断された原稿を少なくとも含む原稿の読取再開指示が前記操作部に対してされると、前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第3閾値未満であると判定されると、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせる、画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第3閾値以上であると判定された場合に、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を禁止し、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせ、前記画像読取部による前記複数の原稿の画像の順次読み取りが終了した後、前記画像形成が禁止された原稿画像の頁番号を前記表示部に表示させる、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第3閾値以上であると判定された場合に、前記原稿画像の角部の欠損が原稿の内折れに起因することが前記欠損検出部によって検出されたときは、前記画像読取部による原稿の読み取りを中断させ、前記原稿の内折れを示す旨の表示を前記表示部に表示させ、当該読み取りが中断された原稿を少なくとも含む原稿の読取再開指示が前記操作部に対してされると、前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第3閾値未満であると判定された場合に、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせる、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
複数の原稿の画像を順次読み取る画像読取部と、
表示部と、
ユーザーにより操作される操作部と、
前記画像読取部により読み取られた前記複数の原稿の各原稿画像を記録紙に形成する画像形成部と、
前記画像読取部により前記複数の原稿が1枚ずつ読み取られるごとに、読み取られた原稿画像の角部の欠損の有無を検出する欠損検出部と、
前記欠損検出部によって前記原稿画像の角部の欠損が検出されたときは、前記原稿画像の角部の欠損の程度を示す欠損値が、閾値を示す第1閾値以上であるか否かを判定する判定部と、
(i)前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第1閾値未満であると判定された場合に、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせ、(ii)前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第1閾値以上であると判定された場合に、前記画像読取部による原稿の読み取りを中断させ、前記閾値を前記第1閾値よりも大きい予め定められた第2閾値に変更する旨の表示を前記表示部に表示させ、当該読み取りが中断された原稿を少なくとも含む原稿の読取再開指示が前記操作部に対してされると、前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第2閾値未満であると判定された場合に、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第2閾値以上であると判定された場合に、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を禁止し、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせ、前記画像読取部による前記複数の原稿の画像の順次読み取りが終了した後、前記画像形成が禁止された原稿画像の頁番号を前記表示部に表示させる、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、複数の原稿の読み取り時に原稿の角折れが検出された場合における制御に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な画像形成装置は、複数の原稿をトレイから順次引き出して、これらの原稿の画像を順次読み取る画像読取部と、これらの原稿の画像をそれぞれの記録紙に逐次記録して出力する画像形成部とを備える。例えば、複数の原稿をトレイから順次引き出して読み取る際に、原稿の角部等が折り返されている(つまり、原稿の角折れがある)と、読み取られた原稿の画像も角部が欠けることになる。この場合には、角部が欠けた状態の原稿の画像が記録紙に記録される。
【0003】
下記の特許文献1には、読み取った原稿の角折れを検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-160611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な画像形成装置に、上記した原稿の角折れ検出技術を適用し、複数の原稿をトレイから順次引き出して読み取る際に、原稿の角折れが検出されると、原稿の読み取りを中断し、ユーザーが原稿の角折れを直して当該原稿を再度セットした後に、読み取りを再開する構成とすることが考えられる。この構成によれば、角部が欠けた状態の原稿の画像が記録紙に記録されることが低減される。
【0006】
しかしながら、原稿の角折れが複数枚に亘って発生することがあり、原稿の角折れが検出される毎に読み取りが中断され、ユーザーが原稿の角折れを直して原稿を再度セットしなければならず、再読み込みできない状況が頻出する。
【0007】
また、原稿の角折れではなく、原稿の角破れ(つまり、原稿の角部の欠損)がある場合には、原稿の角破れを直すことができない。このため、原稿の角破れが検出された時点で、原稿の読み取りが中断されたままとなり、原稿の読み取りが遂行できないという問題がある。
【0008】
そこで、原稿の角破れがある場合、上記した原稿の角折れ検出の機能をオフにして、当該原稿の読み取りを再開させることにより、当該原稿の読み取りを遂行させることが考えられる。この場合には、再読み込み時に原稿の角折れが一切検出されないので、角部が欠けた状態の原稿の画像が記録紙に記録されることが頻出するおそれがある。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、原稿の角折れ又は角破れの検出後の再読み込み時に、検出済みの角折れ等と同程度の角折れ等が検出されることで再読み込みできない状況となることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、複数の原稿の画像を順次読み取る画像読取部と、表示部と、ユーザーにより操作される操作部と、前記画像読取部により読み取られた前記複数の原稿の各原稿画像を記録紙に形成する画像形成部と、前記画像読取部により前記複数の原稿が1枚ずつ読み取られるごとに、当該原稿画像の角部の欠損の有無を検出する欠損検出部と、前記欠損検出部によって前記原稿画像の角部の欠損が検出されたときは、前記原稿画像の角部の欠損の程度を示す欠損値が、閾値を示す第1閾値以上であるか否かを判定する判定部と、(i)前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第1閾値未満であると判定された場合に、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせ、(ii)前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第1閾値以上であると判定された場合に、前記画像読取部による原稿の読み取りを中断させ、前記閾値を前記第1閾値よりも大きい予め定められた第2閾値に変更する旨の表示を前記表示部に表示させ、当該読み取りが中断された原稿を少なくとも含む原稿の読取再開指示が前記操作部に対してされると、前記判定部において前記原稿画像の前記欠損値が前記第2閾値未満であると判定されると、前記原稿画像の保存、又は前記画像形成部による前記原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を前記画像読取部に読み取らせる制御部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、原稿の角折れ又は角破れの検出後の再読み込み時に、検出済みの角折れ等と同程度の角折れ等が検出されることで再読み込みできない状況となることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置を示す断面図である。
図2】本実施形態の画像形成装置における画像読取部を示す断面図である。
図3】本実施形態の画像形成装置の構成を示す機能ブロック図である。
図4】画像読取部により読み取られる原稿などを示す平面図である。
図5】(a)、(b)、(c)はそれぞれ、原稿の角部が該原稿の読み取られない裏面側に折り返された状態を示す平面図である。
図6】(a)、(b)、(c)はそれぞれ、原稿の角部が該原稿の読み取られる表面側に折り返された状態を示す平面図である。
図7】本実施形態の画像形成装置による読取処理を示すフローチャートである。
図8】(a)、(b)はそれぞれ、本実施形態の画像形成装置における操作部及び表示部を示す平面図である。
図9】本実施形態の画像形成装置による搬送原稿読取処理を示すフローチャートである。
図10】本実施形態の画像形成装置による搬送原稿読取処理を示すフローチャートである。
図11】本実施形態の画像形成装置による載置原稿読取処理を示すフローチャートである。
図12】画像読取部により読み取られた6枚の原稿、及び該各原稿の画像が記録されたそれぞれの記録紙を示す図である。
図13】画像読取部により読み取られた6枚の原稿、及び5枚の原稿の画像が記録されたそれぞれの記録紙を示す図である。
図14】変形例の搬送原稿読取処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態にかかる画像形成装置を示す断面図である。本実施形態の画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えたMFP(複合機)である。この画像形成装置1は、画像読取部11と、画像形成部12とを備えている。
【0015】
画像読取部11は、原稿を光学的に読み取るスキャナーを有し、この原稿の画像を示す画像データを生成する。
【0016】
画像形成部12は、画像読取部11で生成された画像データによって示される画像を記録紙に印刷するものであり、マゼンタ用の画像形成ユニット13M、シアン用の画像形成ユニット13C、イエロー用の画像形成ユニット13Y、及びブラック用の画像形成ユニット13Bkを備えている。各画像形成ユニット13M、13C、13Y、及び13Bkのいずれにおいても、感光体ドラム14の表面を均一帯電させ、感光体ドラム14の表面を露光して、感光体ドラム14の表面に静電潜像を形成し、感光体ドラム14の表面の静電潜像をトナー像に現像して、感光体ドラム14の表面のトナー像を、中間転写ベルト15に転写する。これにより、カラーのトナー像(画像)が中間転写ベルト15上に形成される。このカラーのトナー像は、中間転写ベルト15から記録紙に転写されて、記録紙上に熱定着される。
【0017】
図2は、本実施形態の画像読取部11の機械構成を示す断面図である。図2に示すように、画像読取部11は、第1のプラテンガラス31と原稿Mが載置される第2のプラテンガラス36(コンタクトガラス)とを有する原稿台37と、複数の原稿Mがセットされる原稿給紙トレイ21と、原稿排出トレイ25と、原稿給送部20と、スキャナー部30とを備えている。
【0018】
スキャナー部30は、キャリッジ32と、ミラー33A及びミラー33Bを有する光学系ユニット33と、集光レンズ34と、CCDセンサー35とを備える。キャリッジ32は、主走査方向に延びる形状を有する。キャリッジ32は、LED(Light Emitting Diode)などの光源32Aと、原稿Mにより反射された読取光をCCDセンサーに向けて反射するミラー32Cと、を備えている。また、キャリッジ32は、副走査方向Yに延びるレールに沿って、当該副走査方向Yに往復移動可能に設けられている。
【0019】
原稿給送部20は、搬送原稿読取モードにおいて、ピックアップローラー22、搬送ローラー23、及び排紙ローラー24により、原稿給紙トレイ21にセットされた複数の原稿Mを1枚ずつ引出して第1のプラテンガラス31上に通して搬送し、更に原稿Mを原稿排出トレイ25へと排出する。スキャナー部30では、キャリッジ32の光源32Aの光を、第1のプラテンガラス31を介して原稿Mに照射し、原稿Mで反射された光をキャリッジ32のミラー32Cで反射する。更に、この光は、光学系ユニット33のミラー33A及びミラー33Bで反射されて、集光レンズ34を通じてCCDセンサー35に入射する。このとき、集光レンズ34がCCDセンサー35の受光面に原稿Mの画像を結像し、CCDセンサー35が原稿Mの画像を読取る。
【0020】
原稿給送部20は、載置原稿読取モードにおいて、第2のプラテンガラス36に載置された原稿Mを読み取るための読取開始位置にキャリッジ32を移動させ、当該読取開始位置において、原稿Mの読み取りを開始させる。そして、キャリッジ32は、第2のプラテンガラス36の下方において、読取開始位置から副走査方向Y(図2では右方向)に移動しつつ、光源32Aから、原稿Mに向けて読取光を照射する。この結果、原稿Mから順次得られる読取光は、キャリッジ32のミラー32C、光学系ユニット33のミラー33A及びミラー33Bに反射され、集光レンズ34に入射する。このとき、集光レンズ34がCCDセンサー35の受光面に原稿Mの画像を結像し、CCDセンサー35が原稿Mの画像を読取る。
【0021】
図3は、画像形成装置1の主要内部構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように画像形成装置1は、制御ユニット41と、表示部42と、画像メモリー43と、操作部44と、タッチパネル45と、画像読取部11と、画像形成部12と、記憶部46とを備えている。
【0022】
表示部42は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイなどの表示装置である。
【0023】
表示部42の画面には、タッチパネル45が配置されている。タッチパネル45は、所謂抵抗膜方式や静電容量方式などのタッチパネルであって、タッチパネル45に対するユーザーの指などの接触(タッチ)をその接触位置とともに検知して、その接触位置の座標を示す検知信号を制御ユニット41の後述する操作受付部52などに出力する。従って、タッチパネル45は、表示部42の画面に対するユーザー操作が入力される操作部としての役割を果たす。なお、操作部44及びタッチパネル45は、特許請求の範囲における操作部の一例である。
【0024】
画像メモリー43は、画像読取部11により読取られた原稿の画像データを一時的に記憶する。
【0025】
操作部44は、決定キー、スタートキーなどのハードキーを備えている。
【0026】
記憶部46は、HDD(Hard Disk Drive)などの大容量の記憶装置である。
【0027】
制御ユニット41は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)などから構成される。上記プロセッサーは、CPU(Central Processing Unit)、MPU、ASIC等である。この制御ユニット41は、上記のROMまたは記憶部46に記憶された制御プログラムが上記のプロセッサーで実行されることにより、制御部51、操作受付部52、画像処理部53、欠損検出部54、及び判定部56として機能する。なお、制御ユニット41の上記の各構成は、制御プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されてもよい。
【0028】
制御部51は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。
【0029】
操作受付部52は、タッチパネル45から出力される検知信号に基づき、タッチパネル45に対するユーザー操作を受け付ける機能を有する。また、操作受付部52は、操作部44のハードキーに対するユーザー操作を受け付ける機能も有する。
【0030】
制御部51は、表示部42を制御して、画像形成処理に必要な設定項目の入力画面、情報の入力画面、あるいは画像形成装置1の操作ガイダンスなどを表示させる。
【0031】
画像処理部53は、画像メモリー43内の画像データに対して各種の画像処理を施す。
【0032】
欠損検出部54は、画像読取部11により複数の原稿が1枚ずつ読み取られるごとに、当該読み取られた原稿画像の角部の欠損の有無を検出する。具体的には、欠損検出部54は、画像読取部11により複数の原稿が1枚ずつ読み取られるごとに、当該原稿画像の各端辺を検出すると共に、当該原稿画像の角部における傾斜辺の有無を検出する傾斜辺検出部55を備え、傾斜辺検出部55によって傾斜辺が検出されたときは、当該原稿画像の角部の欠損有りとし、傾斜辺検出部55によって傾斜辺が検出されなかったときは、当該原稿画像の角部の欠損無しとする。なお、傾斜辺検出部55は、検出された傾斜辺の長さが、予め定められた基準長さ(例えば、2mm)未満である場合には、傾斜辺無しとするようにしてもよい。
【0033】
判定部56は、欠損検出部54によって原稿画像の角部の欠損が検出されたときは、原稿画像の角部の欠損の程度を示す欠損値が、閾値を示す予め定められた第1閾値(例えば、10mm)以上であるか否かを判定する。具体的には、判定部56は、傾斜辺検出部55によって傾斜辺が検出されたときは、当該原稿画像の各端辺のうちで当該傾斜辺の一端に交わる第1端辺と、当該原稿画像の各端辺のうちで当該傾斜辺の他端に交わる第2端辺とをそれぞれ端辺方向に延長させたときに形成される交点までの各欠損辺の長さをそれぞれ前記欠損値として算出する。そして、判定部56は、各欠損辺の長さの少なくとも一方が第1閾値以上であるか否かを判定する。
【0034】
制御部51は、(i)傾斜辺検出部55によって傾斜辺が検出されなかった場合、又は、判定部56において原稿画像の欠損値が第1閾値未満であると判定された場合に、原稿画像の記憶部46への保存、又は画像形成部12による原稿画像の画像形成を行わせる。そして、制御部51は、次の原稿がある場合に当該次の原稿を画像読取部11に読み取らせる。
【0035】
また、制御部51は、(ii)判定部56において原稿画像の欠損値が第1閾値以上であると判定された場合に、画像読取部11による原稿の読み取りを中断させる。そして、制御部51は、閾値を第1閾値よりも大きい予め定められた第2閾値(例えば、15mm)に変更する旨の表示を表示部42に表示させる。そして、制御部51は、当該読み取りが中断された原稿を少なくとも含む原稿の読取再開指示が操作部44に対してされると、判定部56において原稿画像の欠損値が第2閾値未満であると判定された場合に、原稿画像の保存、又は画像形成部12による原稿画像の画像形成を行わせる。そして、制御部51は、次の原稿がある場合に当該次の原稿を画像読取部11に読み取らせる。
【0036】
また、制御部51は、(iii)判定部56において原稿画像の欠損値が第2閾値以上であると判定された場合に、画像読取部11による原稿の読み取りを中断させる。そして、制御部51は、閾値を第2閾値よりも大きい予め定められた第3閾値(例えば、20mm)に変更する旨の表示を表示部42に表示させる。そして、制御部51は、当該読み取りが中断された原稿を少なくとも含む原稿の読取再開指示が操作部44に対してされると、判定部56において原稿画像の欠損値が第3閾値未満であると判定されると、原稿画像の保存、又は画像形成部12による原稿画像の画像形成を行わせる。そして、制御部51は、次の原稿がある場合に当該次の原稿を画像読取部11に読み取らせる。
【0037】
また、制御部51は、判定部56において原稿画像の欠損値が第3閾値以上であると判定された場合に、原稿画像の保存、又は画像形成部12による原稿画像の画像形成を禁止する。そして、制御部51は、次の原稿がある場合に当該次の原稿を画像読取部11に読み取らせる。そして、制御部51は、画像読取部11による複数の原稿の画像の順次読み取りが終了した後、禁止された原稿画像の頁番号を表示部42に表示させる。
【0038】
また、制御部51は、画像読取部11が原稿給送部20により1枚ずつ搬送された原稿Mを第1のプラテンガラス31を介してスキャナー部30にて読み取る搬送原稿読取モード、又は、画像読取部11が第2のプラテンガラス36に載置された原稿Mをスキャナー部30にて読み取る載置原稿読取モードの何れであるかを判定する。
【0039】
例えば、後述する図8(b)に示されているように、搬送原稿読取モードを示すタッチキー62aがユーザーによってタッチ操作されると、タッチパネル45により当該タッチ操作が受け付けられ、制御部51は、搬送原稿読取モードであると判定する。一方、載置原稿読取モードを示すタッチキー62bがユーザーによってタッチ操作されると、タッチパネル45により当該タッチ操作が受け付けられ、制御部51は、載置原稿読取モードであると判定する。ここでは、コピーを示すタッチキー62cがユーザーによってタッチ操作されたとし、連続読込コピーが実行されるとして以下に説明する。なお、保存を示すタッチキー62dがユーザーによってタッチ操作された場合には、連続読込保存が実行される。
【0040】
制御部51は、搬送原稿読取モードの場合、欠損検出部54による原稿画像の角部の欠損の検出を実行させる。一方、制御部51は、載置原稿読取モードの場合、欠損検出部54による原稿画像の角部の欠損の検出を実行させない。
【0041】
ここで、画像読取部11では、搬送原稿読取モードの場合、複数枚の原稿Mが原稿給紙トレイ21にセットされると、原稿給紙トレイ21上の原稿Mが1枚ずつ引出されて、原稿Mの画像が順次読み取られ、その度に、当該読取で得られた原稿Mの原稿画像imが画像メモリー43に記憶される。そして、画像形成部12では、画像メモリー43内の原稿画像imを記録紙に逐次画像形成する。これにより、複数の原稿Mが順次読み取られて、各原稿画像imがそれぞれの記録紙に逐次画像形成される。
【0042】
このとき、読取対象とされる原稿Mの角折れ又は角破れ(角折れ等)があると、読取で得られた各原稿Mの原稿画像imの角部が欠けることになる。そこで、本実施形態では、画像読取部11により原稿Mが読み取られる度に、当該読取で得られた原稿画像imの画像が欠けているか否か等を判定し、原稿画像imが欠けている程度を示す欠損値が第1閾値以上である場合に、閾値を第2閾値に変更し、更に第2閾値以上である場合に閾値を第3閾値に変更し、第3閾値未満の欠落については許容して、画像形成部12による原稿画像imの画像形成を実行する。一方、本実施形態では、第3閾値以上の欠落が生じていると判定した場合に、画像形成部12による原稿画像imの画像形成を禁止し、原稿画像imの画像形成を禁止した旨、及び又は画像形成が禁止された原稿Mの頁番号を表示部42に表示する。このため、本実施形態の画像形成装置1では、原稿の角折れ等が存在する場合であっても、ユーザーが第2閾値又は第3閾値に変更する作業を行う必要がなく、原稿の第3閾値未満の角折れ等を許容して記録紙に画像形成させることができる。一方、本実施形態の画像形成装置1では、第3閾値以上となる著しい角折れ等を検出することができ、記録紙に画像形成させることを禁止することができる。
【0043】
次に、上記原稿Mの読み取り、及び読取で得られた原稿画像imが欠けているか否かの判定について説明する。
【0044】
図4は、原稿Mを示す平面図である。図4に示すように原稿Mは、矩形のシートであって、その表面にテキスト、図形、写真などの画像が記録されている。なお、原稿Mの読取で得られる原稿画像imも原稿Mと同様の形状で現れるため、図4には原稿M及び原稿画像imの両方を示しているものとする(図5図6も同様)。
【0045】
画像読取部11は、原稿Mを読み取って、この読取で得られた原稿画像imを画像メモリー43に記憶する。そして、傾斜辺検出部55は、原稿画像imについて、既知のエッジ検出処理等を用いて原稿画像imの端辺、すなわち原稿画像imの輪郭をなす四辺を検出する。
【0046】
例えば、傾斜辺検出部55は、各端辺のうちの副走査方向Yに沿う2つの端辺maと該副走査方向Yと直交する主走査方向Xに沿う2つの端辺mbとを、原稿画像imの輪郭をなす四辺として検出するものとする。
【0047】
ここで、例えば図5(a)~(c)に示すように、読取対象となる原稿Mの角部が、該原稿Mの読み取られない裏面側に折り返されていること、又は、角部が破れていることがある。この場合は、原稿Mの読取で得られた原稿画像imには、その2つの端辺ma及び2つの端辺mb(四辺)の他に、端辺ma及び端辺mbのいずれに対しても傾斜している傾斜辺mcが形成される。例えば、傾斜辺検出部55は、原稿画像imに基づき、端辺maと端辺mbとが交わって形成される角部を検出(端辺maを示す画像と端辺mbを示す画像とが90度又はそれに近い角度で交差しているかを検出)する。そして、傾斜辺検出部55は、当該角部(交差点)が4つ存在しない場合は、端辺ma及び端辺mbのいずれでもない直線を示す画像であって、端辺ma及び端辺mbを示す画像の両方に交わっている画像を傾斜辺mcとして検出する。なお、この傾斜辺mcについても、上記キャリッジ32の光源32Aの照明により該傾斜辺mcに沿って影が生じるため、判定部56は、例えば上記エッジ検出処理等により、原稿画像imに基づき、原稿画像imの外縁部の内側と外側の濃度差が閾値以上となる直線状の境界を該傾斜辺mcとして検出する。
【0048】
続いて、判定部56は、図5(a)に示すように、傾斜辺検出部55によって傾斜辺mcが検出されたときは、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの一端に交わる第1端辺maと、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの他端に交わる第2端辺mbとをそれぞれ端辺ma、mbの方向に延長させたときに形成される交点isまでの各欠損辺ma1、mb1の長さを、それぞれ欠損値として算出する。そして、判定部56は、各欠損辺ma1、mb1の長さの少なくとも一方が第1閾値th1(=10mm)以上であるか否かを判定する。なお、図5(a)では、欠損辺ma1の長さが第1閾値th1未満であるが、欠損辺mb1の長さが第1閾値th1(=10mm)以上で第2閾値th2(=15mm)未満となっている。
【0049】
また、判定部56は、図5(b)に示すように、傾斜辺検出部55によって傾斜辺mcが検出されたときは、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの一端に交わる第1端辺maと、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの他端に交わる第2端辺mbとをそれぞれ端辺ma、mbの方向に延長させたときに形成される交点isまでの各欠損辺ma2、mb2の長さを、それぞれ欠損値として算出する。そして、判定部56は、各欠損辺ma2、mb2の長さの少なくとも一方が第2閾値th2(=15mm)以上であるか否かを判定する。なお、図5(b)では、欠損辺ma2の長さが第1閾値th1(=10mm)未満であるが、欠損辺mb2の長さが第2閾値th2(=15mm)以上で第3閾値th3(=20mm)未満となっている。
【0050】
また、判定部56は、図5(c)に示すように、傾斜辺検出部55によって傾斜辺mcが検出されたときは、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの一端に交わる第1端辺maと、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの他端に交わる第2端辺mbとをそれぞれ端辺ma、mbの方向に延長させたときに形成される交点isまでの各欠損辺ma3、mb3の長さを、それぞれ欠損値として算出する。そして、判定部56は、各欠損辺ma3、mb3の長さの少なくとも一方が第2閾値th3(=20mm)以上であるか否かを判定する。なお、図5(c)では、欠損辺ma3の長さが第2閾値th2(=15mm)以上で第3閾値th3(=20mm)未満であるが、欠損辺mb3の長さが第3閾値th3(=20mm)以上となっている。
【0051】
次に、図6(a)、(b)、(c)は、原稿Mの角部が該原稿Mの読み取られる表面側に折り返された状態を示している。この場合も、原稿Mの読取で得られた原稿画像imには、2つの端辺ma及び2つの端辺mb(四辺)の他に、副走査方向Y及び主走査方向Xのいずれに対しても傾斜している傾斜辺mcが形成される。更に、原稿Mの角部が傾斜辺mcで表面側に折り返されてなる三角片部分mdが形成され、この三角片部分mdの2つの傾斜辺me、mfが表面側に表れる。これらの傾斜辺mc、me、mfについても、上記キャリッジ32の光源32Aの照明により該各傾斜辺mc、me、mfに沿って影が生じるため、傾斜辺検出部55は、原稿画像imに基づき、各傾斜辺mc、me、mfを検出可能である。
【0052】
判定部56は、図6(a)に示すように、傾斜辺検出部55によって傾斜辺mcが検出されたときは、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの一端に交わる第1端辺maと、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの他端に交わる第2端辺mbとをそれぞれ端辺ma、mbの方向に延長させたときに形成される交点isまでの各欠損辺ma1、mb1の長さを、それぞれ欠損値として算出する。そして、判定部56は、各欠損辺ma1、mb1の長さの少なくとも一方が第1閾値th1(=10mm)以上であるか否かを判定する。
【0053】
また、判定部56は、図6(b)に示すように、傾斜辺検出部55によって傾斜辺mcが検出されたときは、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの一端に交わる第1端辺maと、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの他端に交わる第2端辺mbとをそれぞれ端辺ma、mbの方向に延長させたときに形成される交点isまでの各欠損辺ma2、mb2の長さを、それぞれ欠損値として算出する。そして、判定部56は、各欠損辺ma2、mb2の長さの少なくとも一方が第2閾値th2(=15mm)以上であるか否かを判定する。
【0054】
また、判定部56は、図6(c)に示すように、傾斜辺検出部55によって傾斜辺mcが検出されたときは、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの一端に交わる第1端辺maと、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの他端に交わる第2端辺mbとをそれぞれ端辺ma、mbの方向に延長させたときに形成される交点isまでの各欠損辺ma3、mb3の長さを、それぞれ欠損値として算出する。そして、判定部56は、各欠損辺ma3、mb3の長さの少なくとも一方が第2閾値th3(=20mm)以上であるか否かを判定する。
【0055】
次に、本実施形態の画像形成装置1による読取処理について、図7のフローチャートに従って説明する。
【0056】
まず、制御部51は、表示部42に、図8(a)に示すように、それぞれの機能に対応付けられた複数のタッチキー61a~61h等を示す表示画面を表示させる。ユーザーが、連続読込の実行指示を受け付けるためのタッチキー61hをタッチ操作し、タッチパネル45により当該タッチ操作が受け付けられると、連続読込の実行指示が操作受付部52に受け付けられる。制御部51は、連続読込の実行指示が操作受付部52に受け付けられると、図7に示す読取処理を開始する。
【0057】
制御部51は、表示部42に、図8(b)に示すように、原稿読取モードの選択画面を表示させる。制御部51は、搬送原稿読取モードを示すタッチキー62aへのタッチ操作が操作受付部52にて受け付けられると、搬送原稿読取モードであると判定する(S1でYES)。ユーザーは、複数の原稿Mを原稿給紙トレイ21にセットする。開始指示を受け付けるためのタッチキー62eをユーザーがタッチ操作し、タッチパネル45により当該タッチ操作が受け付けられると、開始指示が操作受付部52に受け付けられる。制御部51は、開始指示が操作受付部52に受け付けられると、図7に示す搬送原稿読取処理(S10)を開始する。
【0058】
一方、制御部51は、載置原稿読取モードを示すタッチキー62bへのタッチ操作が操作受付部52にて受け付けられると、載置原稿読取モードであると判定する(S1でNO)。ユーザーは、複数の原稿Mのうちの1枚目の原稿Mを第2のプラテンガラス36に載置する。開始指示を受け付けるためのタッチキー62eをユーザーがタッチ操作し、タッチパネル45により当該タッチ操作が受け付けられると、開始指示が操作受付部52に受け付けられる。制御部51は、開始指示が操作受付部52に受け付けられると、図7に示す載置原稿読取処理(S20)を開始する。なお、載置原稿読取処理(S20)については、後述する。
【0059】
ここで、搬送原稿読取処理(S10)について、図9図10を用いて説明する。制御部51は、原稿給紙トレイ21上の複数の原稿Mを1枚ずつ画像読取部11に読み取らせる(S101)。このように原稿が1枚読み取られる毎に、原稿画像imが画像メモリー43に記憶される。制御部51は、当該読取で得られた各原稿画像imと共に原稿の頁番号を画像メモリー43に記憶させる。
【0060】
そして、傾斜辺検出部55は、各原稿Mのそれぞれの原稿画像imに基づき、上述した各端辺を検出する(S102)。
【0061】
続いて、傾斜辺検出部55は、原稿画像imの角部における傾斜辺mcの有無を検出する(S103)。すなわち、原稿画像imに傾斜辺mcが有るか否かを判定する。このとき、傾斜辺検出部55により原稿画像imに傾斜辺mcが検出されていないと判定された場合は(S103でNO)、原稿画像imにおける角折れ等がなく全域が読み取られていることになる。このため、制御部51は、画像メモリー43から、原稿画像imに基づく画像形成を画像形成部12に記録紙に対して行わせる(S117)。
【0062】
ところで、判定部56は、傾斜辺検出部55によって傾斜辺mcが検出されたときは(S103でYES)、例えば図5(a)、図6(a)に示すように、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの一端に交わる第1端辺maと、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの他端に交わる第2端辺mbとをそれぞれ端辺ma、mbの方向に延長させたときに形成される交点isまでの各欠損辺ma1、mb1の長さを、それぞれ欠損値として算出する(S104)。
【0063】
続いて、判定部56は、各欠損辺ma1、mb1の長さの少なくとも一方が第1閾値th1(=10mm)以上であるか否かを判定する(S105)。
【0064】
そして、制御部51は、判定部56において各欠損辺ma1、mb1の長さが両方とも第1閾値th1(=10mm)未満であると判定されると(S105でNO)、原稿画像imにおける角折れ等が第1閾値未満で読み取られていることになるため、画像メモリー43から、原稿画像imに基づく画像形成を画像形成部12に記録紙に対して行わせる(S117)。
【0065】
そして、制御部51は、判定部56において各欠損辺ma1、mb1の長さの少なくとも一方が第1閾値th1(=10mm)以上であると判定されると(S105でYES)、閾値を第2閾値th2に変更済みであるか否かを判定する(S106)。ここでは、閾値が第1閾値th1のままであるとする。
【0066】
制御部51は、閾値を第2閾値th2に変更済みでないと判定すると(S106でNO)、今回読み取った原稿Mで読取を一旦中断させる(S107)。
【0067】
そして、制御部51は、閾値を第1閾値よりも大きい予め定められた第2閾値(例えば、15mm)に変更し、第2閾値に変更する旨の表示を表示部42に表示させる(S108)。
【0068】
そして、制御部51は、当該読み取りが中断された原稿Mを少なくとも含む原稿Mの読取再開指示の有無を判定する(S109)。当該読み取りが中断された原稿Mに角折れがあった場合にはユーザーが角折れを直す。一方、当該読み取りが中断された原稿Mに角破れがあった場合は修復できないのでそのままとする。当該原稿Mに続く一連の原稿Mが、ユーザーにより、原稿給紙トレイ21に再びセットされたとする。
【0069】
そして、制御部51は、当該読取再開指示が操作部44に対してされると(S109でYES)、S101に進み、画像読取部11にて原稿Mが再び読み取られ(S101)、原稿画像imを画像メモリー43に記憶させる。傾斜辺検出部55は、原稿画像imの角部の傾斜辺mcの有無を検出する(S102)。判定部56は、傾斜辺検出部55によって傾斜辺mcが検出されたときは(S103でYES)、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの一端に交わる第1端辺maと、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの他端に交わる第2端辺mbとをそれぞれ端辺ma、mbの方向に延長させたときに形成される交点isまでの各欠損辺の長さを、それぞれ欠損値として算出する(S104)。判定部56は、各欠損辺の長さの少なくとも一方が第1閾値th1以上であるか否かを判定し(S105)、第1閾値th1以上である場合(S105でYES)、閾値を第2閾値th2に変更済みであるか否かを判定する(S106)。ここでは、S108において閾値が第2閾値th2に変更されていることが画像メモリー43に記憶されているため、制御部51は、第2閾値th2に変更済みであると判定する(S106でYES)。そして、判定部56は、各欠損辺の長さの少なくとも一方が第2閾値th2(=15mm)以上であるか否かを判定する(S110)。
【0070】
そして、制御部51は、判定部56において各欠損辺の長さの両方ともが第2閾値th2(=15mm)未満であると判定されると(S110でNO)、原稿画像imにおける角折れ等が第2閾値未満で読み取られていることになるため、制御部51は、画像メモリー43から、原稿画像imに基づく画像形成を画像形成部12に記録紙に対して行わせる(S117)。
【0071】
ところで、判定部56は、各欠損辺の長さの少なくとも一方が第2閾値th2以上であると判定すると(S110でYES)、閾値を第3閾値th3に変更済みであるか否かを判定する(S111)。ここでは、閾値が第2閾値th2に変更済みであり、閾値が第3閾値th3に変更されていないとする。
【0072】
制御部51は、第3閾値th3に変更済みでないと判定すると(S111でNO)、今回読み取った原稿Mで読取を一旦中断させる(S112)。
【0073】
そして、制御部51は、閾値を第2閾値よりも大きい予め定められた第3閾値(例えば、20mm)に変更し、第3閾値に変更する旨の表示を表示部42に表示させる(S113)。
【0074】
そして、制御部51は、当該読み取りが中断された原稿Mを少なくとも含む原稿Mの読取再開指示の有無を判定する(S114)。当該読み取りが中断された原稿Mに角折れがあった場合にはユーザーが角折れを直し、当該読み取りが中断された原稿Mに角破れがあった場合は修復できないのでそのままとし、当該原稿Mに続く一連の原稿Mが、ユーザーにより原稿給紙トレイ21に再びセットされたとする。
【0075】
そして、制御部51は、当該読取再開指示が操作部44に対してされると(S114でYES)、S101に進み、画像読取部11にて原稿Mが再び読み取られ(S101)、原稿画像imを画像メモリー43に記憶させる。傾斜辺検出部55は、原稿画像imの角部の傾斜辺mcの有無を検出する(S102)。判定部56は、傾斜辺検出部55によって傾斜辺mcが検出されたときは(S103でYES)、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの一端に交わる第1端辺maと、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの他端に交わる第2端辺mbとをそれぞれ端辺ma、mbの方向に延長させたときに形成される交点isまでの各欠損辺の長さを、それぞれ欠損値として算出する(S104)。判定部56は、各欠損辺の長さの少なくとも一方が第1閾値th1以上であるか否かを判定し(S105)、第1閾値th1以上である場合(S105でYES)、閾値を第2閾値th2に変更済みであるか否かを判定する(S106)。ここでは、S108において閾値が第2閾値th2に変更され、かつ、S113において第3閾値th3に変更されていることが画像メモリー43にそれぞれ記憶されているため、制御部51は、閾値が第2閾値th2に変更済みであると判定し(S106でYES)、第2閾値th2以上である場合(S110でYES)、第3閾値th3に変更済みであると判定する(S111でYES)。判定部56は、各欠損辺の長さの少なくとも一方が第3閾値th3(=20mm)以上であるか否かを判定する(S115)。例えば図5(c)に示す場合では、制御部51は、判定部56によって、原稿画像imの各欠損辺ma3、mb3のうちの欠損辺mb3が第3閾値th3以上であると判定され(S115でYES)、この原稿Mの頁番号を画像メモリー43に記憶させる(S116)。
【0076】
そして、制御部51は、判定部56において各欠損辺の長さの両方ともが第3閾値th3(=20mm)未満であると判定されると(S115でNO)、原稿画像imにおける角折れ等が第3閾値未満で読み取られていることになるため、制御部51は、画像メモリー43から、原稿画像imに基づく画像形成を画像形成部12に記録紙に対して行わせる(S117)。
【0077】
そして、制御部51は、S116のあと、又は、S117のあと、次の原稿の有無を判定する(S118)。原稿給紙トレイ21に設けられた図示しない原稿検知センサーにて原稿給紙トレイ21上の原稿Mが検出される場合には、制御部51は、次の原稿があると判定し(S118でYES)、S101の処理に戻る。
【0078】
一方、原稿給紙トレイ21の図示しない原稿検知センサーにて原稿給紙トレイ21上の原稿Mが検出されない場合には、制御部51は、次の原稿がないと判定し(S118でNO)、画像メモリー43に頁番号が記憶されているか否かを判定する(S119)。制御部51は、頁番号が記憶されていると判定した場合(S119でYES)、画像形成部12にて記録紙に画像形成されなかった原稿Mの頁数、すなわち、複数の原稿Mのうちで第3閾値th3以上の角折れ等があった原稿Mの頁数を表示部42に表示させる(S120)。
【0079】
制御部51は、閾値が第1閾値th1以外に変更されているか否かを判定し(S121)、第2閾値th2又は第3閾値th3に変更されている場合(S121でYES)、閾値を第1閾値th1に復帰させ(S122)、本処理を終了させる。一方、制御部51は、閾値が第1閾値th1のままである場合(S121でNO)、本処理を終了させる。
【0080】
ところで、図7に示す載置原稿読取処理(S20)について、図11を用いて説明する。図11は、本実施形態の画像形成装置による載置原稿読取処理を示すフローチャートである。ここでは、ユーザーによって複数の原稿Mのうちの1枚目の原稿Mが第2のプラテンガラス36に載置されているとする。制御部51は、第2のプラテンガラス36に載置された原稿Mをスキャナー部30にて読み取らせ、スキャナー部30にて読み取られた原稿画像imを画像形成部12にて記録紙に画像形成させる(S201)。制御部51は、S201のあと、次の原稿の有無を判定する(S202)。第2のプラテンガラス36上に次の原稿Mがユーザーにより載置され、原稿台37に設けられた図示しない載置原稿検知センサーにて第2のプラテンガラス36上の原稿Mが検出される場合には、制御部51は、次の原稿があると判定し(S202でYES)、図8(b)に示すタッチキー62eをユーザーがタッチ操作し、タッチパネル45により当該タッチ操作が受け付けられると、第2のプラテンガラス36に載置された2枚目の原稿Mをスキャナー部30にて読み取らせ、スキャナー部30にて読み取られた原稿画像imを画像形成部12にて記録紙に画像形成させる(S201)。制御部51は、次の原稿がないと判定した場合(S202でNO)、又は、図示しない終了ボタンへのユーザーによるタッチ操作があると、本処理を終了させる。
【0081】
上記実施形態では、例えば、図12に示すように原稿給紙トレイ21にセットされた6枚の原稿Ma~Mfのいずれも角折れが生じていない場合(あるいは角破れが生じていない場合)は、各原稿Ma~Mfの画像が画像形成された6枚の記録紙Pa~Pfが画像形成装置1から排出される。
【0082】
また、図13に示すように原稿給紙トレイ21に6枚の原稿Ma~Mfがセットされ、1枚目原稿Maに角折れ等が生じていない場合は、原稿Maの画像が記録された1枚の記録紙Paが、画像形成装置1から排出される。
【0083】
2枚目の原稿Mbについては、第1閾値th1以上で第2閾値th2未満の角破れが生じていたので、2枚目の原稿Mbで読取が中断されたとしている。そして、制御部51は、閾値を第2閾値th2に変更すると共にその旨を表示部42に表示させ、2枚目~6枚目の原稿Mb~Mfが再度、ユーザーにより原稿給紙トレイ21にセットされ、2枚目の原稿Mb、及び3枚目の原稿Mcについては、第2閾値th2未満の角破れ(あるいは角折れ)が生じていても、各原稿Mb、Mcの原稿画像imが記録された2枚の記録紙Pb、Pcが、画像形成装置1から排出される。
【0084】
また、4枚目の原稿Mdについては、第2閾値th2以上で第3閾値th3未満の角破れが生じていたので、4枚目の原稿Mdで読取が中断されたとしている。そして、制御部51は、閾値を第3閾値th3に変更すると共にその旨を表示部42に表示させ、4枚目~6枚目の原稿Md~Mfが再度、ユーザーにより原稿給紙トレイ21にセットされ、4枚目の原稿Mdについては、第3閾値th3未満の角破れ(あるいは角折れ)が生じていても、原稿Mdの原稿画像imが記録された1枚の記録紙Pdが、画像形成装置1から排出される。
【0085】
また、5枚目の原稿Meについては、第3閾値th3以上の角破れが生じていたので、5枚目の原稿Meの原稿画像imについては記録紙への画像形成が禁止されている。
【0086】
また、6枚目の原稿Mfについては、第3閾値th3未満の角折れ等(正確には第2閾値th2未満の角折れ等)が生じているだけであるので、6枚目の原稿Mfの原稿画像imが記録された1枚の記録紙Pfが、画像形成装置1から排出される。
【0087】
上記実施形態によれば、制御部51は、(ii)判定部56において原稿画像の欠損値が第1閾値以上であると判定された場合に、画像読取部11による原稿の読み取りを中断させ、閾値を第1閾値よりも大きい予め定められた第2閾値に変更する旨の表示を表示部42に表示させ、当該読み取りが中断された原稿を少なくとも含む原稿の読取再開指示が操作部44に対してされると、判定部56において原稿画像の欠損値が第2閾値未満であると判定された場合に、原稿画像の保存、又は画像形成部による原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を画像読取部11に読み取らせる。言い換えれば、原稿の角折れ又は角破れが第1閾値以上である場合に角折れ等として検出され、角折れ等の判定基準が第1閾値よりも緩和された第2閾値に変更された後に、読み取りが中断された原稿の読取再開がされるので、原稿の角折れ等の検出後の再読み込み時では、検出済みの角折れ等と同程度の角折れ等が検出されないようにすることができる。これにより、原稿の角折れ又は角破れの検出後の再読み込み時に、検出済みの角折れ等と同程度の角折れ等が検出されることで再読み込みできない状況となることを防止することができる。このため、ユーザーが原稿の角折れを直す作業を低減させることができる。したがって、原稿の読み取りを迅速にかつ手間なく遂行させることができる。また、原稿の角折れ等の検出後の再読み込み時であっても、第2閾値以上の角折れ等を検出することができるので、第2閾値以上の角折れ等の検出を継続することができる。
【0088】
また、欠損検出部54は、画像読取部11により複数の原稿が1枚ずつ読み取られるごとに、原稿画像の各端辺を検出すると共に、当該原稿画像の角部における傾斜辺の有無を検出する傾斜辺検出部55を備え、傾斜辺検出部55によって傾斜辺が検出されたときは、当該原稿画像の角部の欠損有りとする。判定部56は、傾斜辺検出部55によって傾斜辺が検出されたときは、当該原稿画像の各端辺のうちで当該傾斜辺の一端に交わる第1端辺と、当該原稿画像の各端辺のうちで当該傾斜辺の他端に交わる第2端辺とをそれぞれ端辺方向に延長させたときに形成される交点までの各欠損辺の長さをそれぞれ算出し、各欠損辺の長さの少なくとも一方が第1閾値以上であるか否かを判定する。制御部51は、(ii)判定部56において各欠損辺の長さの少なくとも一方が第1閾値以上であると判定された場合に、画像読取部11による原稿の読み取りを中断させ、閾値を第2閾値に変更する旨の表示を表示部42に表示させ、当該読み取りが中断された原稿を少なくとも含む原稿の読取再開指示が操作部44に対してされると、判定部56において各欠損辺の長さが両方とも第2閾値未満であると判定された場合に、原稿画像の保存、又は画像形成部による原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を画像読取部11に読み取らせる。これにより、欠損辺の長さが第1閾値以上である場合に原稿の角折れ等として好適に検出することができる。そして、原稿の角折れ等の検出後では、角折れ等の判定基準が第1閾値よりも緩和された第2閾値に変更された後に、読み取りが中断された原稿の読取再開がされるので、原稿の角折れ等の検出後の再読み込み時では、検出済みの角折れ等と同程度の角折れ等が検出されないようにする構成を好適に実現することができる。
【0089】
また、制御部51は、画像読取部11による前記複数の原稿の画像の順次読み取りが終了した後、閾値が第2閾値に変更されている場合に、閾値を第1閾値に復帰させる。これにより、画像読取部11において新規の原稿の読み取りが実行される場合に、欠損辺の長さが第1閾値以上である原稿の角折れ等を確実に検出することができる。また、ユーザーが閾値を第1閾値に戻す作業を行う必要がない。
【0090】
また、制御部51は、画像読取部11が原稿給送部により1枚ずつ搬送された原稿を第1のプラテンガラス31を介してスキャナー部30にて読み取る搬送原稿読取モードの場合、欠損検出部54による原稿画像の角部の欠損の検出を実行させる。搬送原稿読取モードでは、原稿給送部による複数の原稿の搬送の際に、原稿の角折れ等が発生し易い。このため、原稿の角折れ等の発生の蓋然性が高い搬送原稿読取モードにおいて、効率的に原稿の角折れ等の検出を行うことができる。また、制御部51は、画像読取部11が第2のプラテンガラス36に載置された原稿をスキャナー部30にて読み取る載置原稿読取モードの場合、欠損検出部54による原稿画像の角部の欠損の検出を実行させない。載置原稿読取モードでは、ユーザーが1枚の原稿を第2のプラテンガラス36に載置するので、原稿の角折れ等が発生し難い。このため、原稿の角折れ等の発生の蓋然性が低い載置原稿読取モードにおいて、原稿の角折れ等の検出を行うことを不要とすることができる。
【0091】
また、制御部51は、(iii)判定部56において原稿画像の欠損値が第2閾値以上であると判定された場合に、画像読取部11による原稿の読み取りを中断させ、閾値を第2閾値よりも大きい予め定められた第3閾値に変更する旨の表示を表示部42に表示させ、当該読み取りが中断された原稿を少なくとも含む原稿の読取再開指示が操作部44に対してされると、判定部56において原稿画像の欠損値が第3閾値未満であると判定されると、原稿画像の保存、又は画像形成部による原稿画像の画像形成を行わせ、次の原稿がある場合に当該次の原稿を画像読取部11に読み取らせる。これにより、原稿の角折れ又は角破れが第2閾値以上である場合に角折れ等として検出され、角折れ等の判定基準が第2閾値よりも緩和された第3閾値に変更された後に、読み取りが中断された原稿の読取再開がされるので、原稿の角折れ等の検出後の再読み込み時では、検出済みの角折れ等と同程度の角折れ等が検出されないようにすることができる。
【0092】
また、制御部51は、判定部56において原稿画像の欠損値が第3閾値以上であると判定された場合に、原稿画像の保存、又は画像形成部による原稿画像の画像形成を禁止し、次の原稿がある場合に当該次の原稿を画像読取部11に読み取らせ、画像読取部11による複数の原稿の画像の順次読み取りが終了した後、前記禁止された原稿画像の頁番号を表示部42に表示させる。これにより、原稿画像の欠損値が第3閾値以上であると判定された著しい欠損がある場合、つまり、原稿の著しい角折れ等がある場合には、原稿画像の保存又は画像形成を禁止することができ、複数の原稿の順次読み取りが全て終了した後に、原稿画像の保存又は画像形成が禁止された原稿画像の頁番号をユーザーに報知することができる。
【0093】
また、上記搬送原稿読取処理を選択したときには、画像処理部53は、画像読取部11により読み取られた原稿画像imの濃度、コントラスト、解像度などを、原稿Mの各端辺の検出のために最適化しても構わない。
【0094】
次に、変形例に係る画像形成装置1について説明する。図14は、変形例の搬送原稿読取処理を示すフローチャートである。図14に示す変形例の搬送原稿読取処理は、上記の実施形態の図10に示す搬送原稿読取処理に比べて、S131~S133が追加されている点が上記の実施形態とは異なる。このため、S131~S133について説明する。
【0095】
制御部51は、判定部56において原稿画像imの欠損値(すなわち、上記実施形態と同様に、原稿画像imの各端辺ma、mb及び傾斜辺mcから算出された各欠損辺の長さの少なくとも一方)が第3閾値th3以上であると判定された場合(S115でYES)、欠損検出部54は、原稿Mの内折れであるか否かを検出する(S131)。すなわち、欠損検出部54は、原稿画像imの角部の欠損が原稿Mの内折れに起因するものであるか否かを検出する。
【0096】
具体的には、図6(a)、(b)、(c)に示すように、原稿Mが内折れである場合には、原稿Mの角部が傾斜辺mcで表面側に折り返されてなる三角片部分mdが形成され、この三角片部分mdの2つの傾斜辺me、mfが表面側に表れる。これらの傾斜辺mc、me、mfについても、上記キャリッジ32の光源32Aの照明により該各傾斜辺mc、me、mfに沿って影が生じるため、傾斜辺検出部55は、原稿画像imに基づき、各傾斜辺mc、me、mfを検出可能である。このため、傾斜辺検出部55は、各傾斜辺me、mfの少なくとも一方を検出した場合には、原稿Mが内折れであると検出する。すなわち、欠損検出部54は、原稿画像imの角部の欠損が原稿Mの内折れに起因するものであることを検出する。
【0097】
制御部51は、原稿画像imの角部の欠損が原稿Mの内折れに起因することが欠損検出部54によって検出されると(S131でYES)、画像読取部11による原稿Mの読み取りを中断させる(S132)。一方、制御部51は、原稿画像imの角部の欠損が原稿Mの内折れに起因するものでないことが欠損検出部54によって検出されると(S131でNO)、S116に進む。
【0098】
そして、制御部51は、原稿の内折れを示す旨の表示を前記表示部に表示させる(S133)。当該読み取りが中断された原稿Mに内折れがあった場合にはユーザーが当該内折れを直し、当該原稿Mに続く一連の原稿Mが、ユーザーにより原稿給紙トレイ21に再びセットされたとする。
【0099】
そして、制御部51は、S133のあと、S114の処理に進み、当該読み取りが中断された原稿Mを少なくとも含む原稿Mの読取再開指示の有無を判定する(S114)。制御部51は、当該読取再開指示が操作部44に対してされると(S114でYES)、S101に進み、画像読取部11にて原稿Mが再び読み取られ(S101)、原稿画像imを画像メモリー43に記憶させる。傾斜辺検出部55は、原稿画像imの角部の傾斜辺mcの有無を検出する(S103)。判定部56は、傾斜辺検出部55によって傾斜辺mcが検出されたときは(S103でYES)、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの一端に交わる第1端辺maと、原稿画像imの各端辺ma、mbのうちで当該傾斜辺mcの他端に交わる第2端辺mbとをそれぞれ端辺ma、mbの方向に延長させたときに形成される交点isまでの各欠損辺の長さを、それぞれ欠損値として算出する(S104)。判定部56は、各欠損辺の長さの少なくとも一方が第1閾値th1以上であるか否かを判定し(S105)、第1閾値th1以上である場合(S105でYES)、閾値を第2閾値th2に変更済みであるか否かを判定する(S106)。ここでは、S108において閾値が第2閾値th2に変更され、かつ、S113において第3閾値th3に変更されていることが画像メモリー43にそれぞれ記憶されているため、制御部51は、閾値を第2閾値th2に変更済みであると判定し(S106でYES)、第2閾値th2以上である場合(S110でYES)、第3閾値th3に変更済みであると判定する(S111でYES)。判定部56は、各欠損辺の長さの少なくとも一方が第3閾値th3(=20mm)以上であるか否かを判定する(S115)。S116以降については上記実施形態の場合と同じであるため、ここでの説明を省略する。
【0100】
変形例によれば、原稿Mの第3閾値th3以上の角折れが検出されたとしても、原稿画像imの角部の欠損が原稿Mの内折れに起因する場合には、ユーザーによって原稿Mの内折れを直して、当該原稿Mを少なくとも含む原稿Mを再度原稿給紙トレイ21にセットして原稿読取を実行することができるので、修復可能な角折れに効率良く検出することができ、読取不可能原稿を低減させることができる。
【0101】
なお、上記実施形態及び変形例では、予め定められた第1閾値、第2閾値及び第3閾値をそれぞれ、例えば10mm、15mm、20mmとしているが、これに限定されない。予め定められた任意の値とすればよい。また、第2閾値又は第3閾値は、第1閾値の10倍としてもよい。
【0102】
上記実施形態及び変形例では、判定部56において原稿画像の欠損値が第3閾値以上であると判定された場合に、原稿画像の保存、又は画像形成部12による原稿画像の画像形成を禁止しているが、第2閾値以上であると判定された場合に、原稿画像の保存、又は画像形成部12による原稿画像の画像形成を禁止してもよい。これにより、原稿画像の欠損値が第2閾値以上であると判定された著しい欠損がある場合、つまり、原稿の著しい角折れ等がある場合には、原稿画像の保存又は画像形成を禁止することができ、複数の原稿の順次読み取りが全て終了した後に、原稿画像の保存又は画像形成が禁止された原稿画像の頁番号をユーザーに報知することができる。
【0103】
なお、制御部51は、矩形状の原稿の周囲4辺における余白部分の距離である余白距離を、前記第1閾値、第2閾値、又は第3閾値の何れかに設定してもよい。具体的には、制御部51は、原稿画像im毎に既知のOCR(optical character recognition)処理を行うことにより、原稿画像において文字又は図形が記載された有効領域を特定する。例えば、制御部51は、傾斜辺検出部55にて検出された矩形状の原稿画像の各四辺から、文字又は図形が存在しない余白距離(例えば、数cm)だけ内側となる位置に、各辺と平行な直線で囲まれる矩形領域である有効領域を特定し、当該有効領域を示す原稿画像imにおける座標を記憶しておく。制御部51は、画像形成部12に、原稿Mの矩形状の有効領域の画像を記録紙に形成させる。そして、制御部51は、特定した余白距離を、前記第1閾値、第2閾値、又は第3閾値の何れかに設定してもよい。
【0104】
上記実施形態及び変形例では、判定部56は、傾斜辺検出部55によって傾斜辺mcが検出されると、原稿画像imの傾斜辺mcの一端に交わる第1端辺maと、原稿画像imの傾斜辺mcの他端に交わる第2端辺mbとをそれぞれ端辺ma、mbの方向に延長させたときに形成される交点isまでの各欠損辺ma1、mb1の長さを、それぞれ欠損値として算出しているが、これに限定されない。判定部56は、例えば、既知のパターンマッチングにより、基準となく矩形状の枠画像と、原稿画像imとを同一サイズで重ね合わせ、矩形状の枠画像における、原稿画像imの角部の欠損部分の横方向及び縦方向の長さを各欠損辺の長さとして算出してもよい。
【0105】
また、図1乃至図14を用いて説明した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0106】
1 画像形成装置
11 画像読取部
12 画像形成部
41 制御ユニット
42 表示部
44 操作部
45 タッチパネル(操作部)
51 制御部
54 欠損検出部
55 傾斜辺検出部
56 判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14