(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
B60W 40/02 20060101AFI20241119BHJP
B60W 30/00 20060101ALI20241119BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20241119BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20241119BHJP
【FI】
B60W40/02
B60W30/00
G08G1/09 H
G06N20/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020133731
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2023-07-31
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】中村 昭仁
(72)【発明者】
【氏名】キム ペクキュ
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-241729(JP,A)
【文献】特開2018-105235(JP,A)
【文献】特開2018-26065(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108022450(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
G06N 3/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータプログラムであって、
コネクテッド車両の車載コンピュータシステムの非一時的なメモリであって、
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
コネクテッド車両のカスタム化ニーズを記述するカスタム化データを含むビークルツーエブリシング(V2X)データを生成させ、
V2X通信を介して、前記V2Xデータを含むフィードバックメッセージを送信させ、
前記V2X通信を介して、前記V2Xデータに少なくとも部分的に基づいて決定される前記コネクテッド車両の個別最適挙動を記述する車両挙動データを含む修正メッセージを受信させ、
前記コネクテッド車両が前記個別最適挙動を遂行するように前記車両挙動データに基づいて前記コネクテッド車両の車両制御システムの動作を修正させる、コンピュータ実行可能コードを記憶する非一時的なメモリを含み、
前記コネクテッド車両による前記個別最適挙動の遂行が前記コネクテッド車両の前記カスタム化ニーズも満足しながら前記コネクテッド車両が位置する領域の全体最適挙動の達成に貢献し、
前記コネクテッド車両のカスタム化ニーズが、1つ又は複数のカスタム化パラメータと前記1つ又は複数のカスタム化パラメータの1つ又は複数の重みとによって記述される、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、領域内の最適車両挙動を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
車道に存在する様々なタイプの車両、例えば、自律車両、半自律車両、又は人間駆動車両が存在し得る。車両は様々な目的地、運転計画及びその他の運転嗜好を有することがあるので、これらの車両の挙動を調整して車道での衝突の危険を低減することが困難になる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載の実施形態の1つの通例の態様は、コンピュータプログラムプロダクトであって、コネクテッド車両の車載コンピュータシステムの非一時的なメモリであって、プロセッサによって実行されると、当該プロセッサに、コネクテッド車両のカスタム化ニーズを記述するカスタム化データを含むビークルツーエブリシング(V2X)データを生成させ、V2X通信を介して、当該V2Xデータを含むフィードバックメッセージを送信させ、当該V2X通信を介して、当該V2Xデータに少なくとも部分的に基づいて決定される当該コネクテッド車両の個別最適挙動を記述する車両挙動データを含む修正メッセージを受信させ、当該コネクテッド車両が当該個別最適挙動を遂行するように当該車両挙動データに基づいて当該コネクテッド車両の車両制御システムの動作を修正させるコンピュータ実行可能コードを記憶する非一時的なメモリを含み、当該コネクテッド車両による当該個別最適挙動の遂行が当該コネクテッド車両の当該カスタム化ニーズも満足しながら当該コネクテッド車両が位置する領域の全体最適挙動の達成に貢献するコンピュータプログラムプロダクトを含む。この態様の他の実施形態は、対応するコンピュータシステム、装置、及び各々が各方法の作用を実行するように構成された1つ又は複数のコンピュータ記憶デバイス上に記録されたコンピュータプログラムを含む。
【0004】
実装形態は以下の特徴の1つ以上を含んでいてもよい。コンピュータプログラムプロダクトであって、当該コネクテッド車両による当該個別最適挙動の遂行が、当該コネクテッド車両と当該領域内の1つ又は複数の他の車両との間に衝突が発生しないことと、当該コネクテッド車両のカスタム化ニーズが当該1つ又は複数の他の車両の1つ又は複数のカスタム化ニーズに干渉することなく満足されることとのうちの1つ以上を示すコンピュータプログラムプロダクト。コンピュータプログラムプロダクトであって、当該コネクテッド車両と当該1つ又は複数の他の車両が当該領域内の車両グループに含まれ、当該領域の全体最適挙動の達成が、当該車両グループ内で衝突が発生しないことと、当該グループ内の各車両のカスタム化ニーズが当該グループ内の残りの車両のカスタム化ニーズを修正することなく満足されることとのうちの1つ以上を示すコンピュータプログラムプロダクト。コンピュータプログラムプロダクトであって、当該コネクテッド車両のカスタム化ニーズが、当該コネクテッド車両の運転意図及び当該運転意図の第1の重みと、当該コネクテッド車両の運転嗜好及び当該運転嗜好の第2の重みとのうちの1つ以上によって記述されるコンピュータプログラムプロダクト。上記の技法の実装形態は、ハードウェア、方法又はプロセス、或いはコンピュータからアクセス可能な媒体上のコンピュータソフトウェアを含んでいてもよい。
【0005】
1つの通例の態様は、コネクテッド車両のための方法であって、V2X通信を介して、当該V2Xデータを含むカスタム化ニーズを記述するカスタム化データを含むV2Xデータを送信することと、当該V2X通信を介して、当該V2Xデータに少なくとも部分的に基づいて決定される当該コネクテッド車両の個別最適挙動を記述する車両挙動データを受信することと、当該コネクテッド車両が当該個別最適挙動を遂行するように当該車両挙動データに基づいて当該コネクテッド車両の車両制御システムの動作を修正することとを含み、当該コネクテッド車両による当該個別最適挙動の遂行が当該コネクテッド車両の当該カスタム化ニーズも満足しながら当該コネクテッド車両が位置する領域の全体最適挙動の達成に貢献する方法を含む。この態様の他の実施形態は、対応するコンピュータシステム、装置、及び各々が各方法の作用を実行するように構成された1つ又は複数のコンピュータ記憶デバイス上に記録されたコンピュータプログラムを含む。
【0006】
実装形態は以下の特徴の1つ以上を含んでいてもよい。方法であって、当該コネクテッド車両による当該個別最適挙動の遂行が、当該コネクテッド車両と当該領域内の1つ又は複数の他の車両との間に衝突が発生しないことと、当該コネクテッド車両のカスタム化ニーズが当該1つ又は複数の他の車両の1つ又は複数のカスタム化ニーズに干渉することなく満足されることとのうちの1つ以上を示す方法。方法であって、当該コネクテッド車両と当該1つ又は複数の他の車両が当該領域内の車両グループに含まれ、当該領域の全体最適挙動の達成が、当該車両グループ内で衝突が発生しないことと、当該グループ内の各車両のカスタム化ニーズが当該グループ内の残りの車両のカスタム化ニーズを修正することなく満足されることとのうちの1つ以上を示す方法。方法であって、当該コネクテッド車両のカスタム化ニーズが、1つ又は複数のカスタム化パラメータと当該1つ又は複数のカスタム化パラメータの1つ又は複数の重みとによって記述される方法。方法であって、当該1つ又は複数のカスタム化パラメータが、当該コネクテッド車両に関連付けられた運転意図と運転嗜好との1つ以上を含む方法。方法であって、当該1つ又は複数のカスタム化パラメータを記述するパラメータデータと、当該1つ又は複数の重みを記述する重みデータと、当該コネクテッド車両のセンサデータ及び当該コネクテッド車両の先進運転支援システム(ADAS)データとのうちの1つ以上を含むV2Xデータを生成することをさらに含む方法。方法であって、当該コネクテッド車両の将来の挙動を予測することをさらに含み、当該V2Xデータが前記コネクテッド車両の前記将来の挙動を記述する予測データをさらに含む方法。方法であって、当該個別最適挙動が、当該コネクテッド車両について最適化された、前記コネクテッド車両の強制軌道、加速設定、ステアリング角設定及び速度設定を含む方法。方法であって、当該個別最適挙動が当該領域内の交通規則要求事項及び安全要求事項の1つ以上を満足する方法。上記の技法の実装形態は、ハードウェア、方法又はプロセス、或いはコンピュータからアクセス可能な媒体上のコンピュータソフトウェアを含んでいてもよい。
【0007】
1つの通例の態様は、システムであって、非一時的なメモリを含むコネクテッド車両の車載コンピュータシステムを含み、前記メモリは、当該車載コンピュータシステムによって実行されると、当該車載コンピュータシステムに、V2X通信を介して、当該V2Xデータを含むカスタム化ニーズを記述するカスタム化データを含むV2Xデータを送信させ、当該V2X通信を介して、当該V2Xデータに少なくとも部分的に基づいて決定される当該コネクテッド車両の個別最適挙動を記述する車両挙動データを受信させ、当該コネクテッド車両が当該個別最適挙動を遂行するように当該車両挙動データに基づいて当該コネクテッド車両の車両制御システムの動作を修正させるコンピュータコードを記憶するし、当該コネクテッド車両による当該個別最適挙動の遂行が当該コネクテッド車両の当該カスタム化ニーズも満足しながら当該コネクテッド車両が位置する領域の全体最適挙動の達成に貢献するシステムを含む。この態様の他の実施形態は、対応するコンピュータシステム、装置、及び各々が各方法の作用を実行するように構成された1つ又は複数のコンピュータ記憶デバイス上に記録されたコンピュータプログラムを含む。
【0008】
実装形態は以下の特徴の1つ以上を含んでいてもよい。システムであって、当該コネクテッド車両による当該個別最適挙動の遂行が、当該コネクテッド車両と当該領域内の1つ又は複数の他の車両との間に衝突が発生しないことと、当該コネクテッド車両のカスタム化ニーズが当該1つ又は複数の他の車両の1つ又は複数のカスタム化ニーズに干渉することなく満足されることとのうちの1つ以上を示すシステム。システムであって、当該コネクテッド車両と当該1つ又は複数の他の車両が当該領域内の車両グループに含まれ、当該領域の全体最適挙動の達成が、当該車両グループ内で衝突が発生しないことと、当該グループ内の各車両のカスタム化ニーズが当該グループ内の残りの車両のカスタム化ニーズを修正することなく満足されることとのうちの1つ以上を示すシステム。システムであって、当該コネクテッド車両のカスタム化ニーズが、1つ又は複数のカスタム化パラメータ及び当該1つ又は複数のカスタム化パラメータの1つ又は複数の重みとによって記述されるシステム。システムであって、当該1つ又は複数のカスタム化パラメータが、当該コネクテッド車両に関連付けられた運転意図及び運転嗜好の1つ以上を含むシステム。システムであって、当該コンピュータコードが、当該車載コンピュータシステムによって実行されると、当該車載コンピュータシステムに、当該コネクテッド車両の当該1つ又は複数のカスタム化パラメータを記述するパラメータデータと、当該1つ又は複数の重みを記述する重みデータと、センサデータと、当該コネクテッド車両のADASデータとのうちの1つ以上を含むV2Xデータをさらに生成させるシステム。システムであって、当該コンピュータコードが、当該車載コンピュータシステムによって実行されると、当該車載コンピュータシステムに、当該コネクテッド車両の将来の挙動をさらに予測させ、当該V2Xデータが当該コネクテッド車両の当該将来の挙動を記述する予測データをさらに含むシステム。上記の技法の実装形態は、ハードウェア、方法又はプロセス、或いはコンピュータからアクセス可能な媒体上のコンピュータソフトウェアを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示は、添付図面の図において限定ではなく例示をもって説明し、図中の同様の参照符号は同様の要素を指す。
【0010】
【
図1A】いくつかの実施形態による機械学習システム及び機械学習クライアントの動作環境を示すブロック図である。
【
図1B】いくつかの実施形態による機械学習システムと様々な車両内に搭載された機械学習クライアントの様々なインスタンスとを含むアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図1C】いくつかの実施形態による機械学習システムのコンポーネントと1つ又は複数のコネクテッド車両とを含むアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図1D】いくつかの実施形態による機械学習システムのコンポーネントと1つ又は複数のコネクテッド車両とを含む別のアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図2】いくつかの実施形態による機械学習クライアントを含む例示的なコンピュータシステムを示すブロック図である。
【
図3】いくつかの実施形態によるコネクテッド車両の個別最適挙動を遂行する方法を示す図である。
【
図4】いくつかの実施形態による領域内の全体最適挙動と当該領域内の車両の個別最適挙動とを提供する方法を示す図である。
【
図5A】いくつかの実施形態による最適車両挙動を提供するための例示的な動作シナリオを示すグラフ表現である。
【
図5B】いくつかの実施形態による最適車両挙動を提供するための例示的な動作シナリオを示すグラフ表現である。
【
図6A】いくつかの実施形態による最適車両挙動を提供するための別の例示的な動作シナリオを示すグラフ表現である。
【
図6B】いくつかの実施形態による最適車両挙動を提供するための別の例示的な動作シナリオを示すグラフ表現である。
【
図7A】いくつかの実施形態による最適車両挙動を提供する例示的なシミュレーションを示すグラフ表現である。
【
図7B】いくつかの実施形態による最適車両挙動を提供する例示的なシミュレーションを示すグラフ表現である。
【
図7C】いくつかの実施形態による最適車両挙動を提供する別の例示的なシミュレーションを示すグラフ表現である。
【
図7D】いくつかの実施形態による最適車両挙動を提供する別の例示的なシミュレーションを示すグラフ表現である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
いくつかの領域又はいくつかの状況においては、車両の基本的な運転要求事項の満足を保証することが困難になり得る。基本的な運転要求事項の例は、例えば、交通規則要求事項及び安全要求事項などを含む。例えば、車両に最適運転軌道が提供され、車両の衝突が発生しないように車両のADASシステムの最適動作を保証することが容易でない場合がある。別の例では、人間駆動車両の場合、車両の運転者は、(1)衝突のリスクを知り、(2)衝突の可能性を回避するための運転方法を決定する必要があろう。
【0012】
運転者が異なると、運転意図、運転嗜好、及びその他の運転習慣が異なることがある。運転者によっては円滑にまた燃費効率を良くするように運転することを好み、また別の運転者によっては移動時間を短縮し、又は運転の楽しみを増やすために高速で運転することを好む場合がある。現在、各々の運転者がその運転挙動を自分で決定している。運転者にその運転挙動を自分で選択させると他の車両との衝突のリスクが増加し、又は他の運転者にその運転嗜好又は意図を諦めさせる可能性があるため、このことは問題である。
【0013】
本明細書内で、相互に協働して上記パラグラフに記載した問題が解決されるように領域内での最適車両挙動を達成する機械学習システム及び機械学習クライアントについて説明する。最適車両挙動は、例えば、領域の全体最適挙動と領域内に存在する車両の個別最適挙動とを含む。例えば、機械学習システム及び機械学習クライアントは相互に協働して異なる車両の異なる運転嗜好及び意図を調停する。機械学習システム及び機械学習クライアントは相互に協働して車両間の衝突が発生しないことを保証し、可能な限り、各車両がそれ自体の嗜好及び意図を達成する能力を最大限にする。
【0014】
本明細書に記載の機械学習システム及び機械学習クライアントが提供する例示的な改良点及び利点を以下に説明する。例えば、機械学習システム及び機械学習クライアントは、いかなる特定の車両に対しても、それ自体の嗜好又は意図を特定の領域内の他の車両の嗜好又は意図と当該他の車両の安全動作とに優先させることを許可しない。
【0015】
別の例では、機械学習システム及び機械学習クライアントの実装形態では関連する終点間での頻繁な通信は要求されない。したがって、機械学習システム及び機械学習クライアントは車道速度で移動中の車両についてリアルタイムで動作でき、その結果、両者は現実世界における車両に使用することができる。さらに別の例では、機械学習システム及び機械学習クライアントは手動操作の車両又は非自律車両にも適用可能である。
【0016】
さらに別の例では、異なる車両の挙動を修正する方法を決定する際に運転嗜好及び意図の相対的な重みが考慮される。これとは対照的に、既存の解決策はいかなる特定の車両の運転嗜好又は意図の重みも考慮せず、まして一台の車両の他の車両に対するこれらのパラメータの相対的な重みを考慮することがない。その他の例示的な改良点及び利点も可能であるが、ここでは限定しない。
【0017】
機械学習システム及び機械学習クライアントの例示的な概要を以下に説明する。車両環境が、(1)自車両と(2)1組のリモート車両とを含むと仮定する。或いは、又はこれに加えて、車道環境は処理デバイス(例えば、クラウドサーバ、エッジサーバ、路側機など)を含む。自車両は機械学習システムのインスタンスを含むコネクテッド車両である。任意選択で、機械学習システムは処理デバイス内に搭載される。自車両及びリモート車両は自律車両であってもよく又はそうでなくてもよい。リモート車両はコネクテッド車両であってもよく又はそうでなくてもよい。リモート車両は機械学習クライアントのインスタンスを含んでいてもよく又は含んでいなくてもよい。
【0018】
機械学習クライアントは、リモート車両の少なくとも1つの電子制御ユニット(ECU)内に記憶されたソフトウェアを含む。機械学習クライアントは、リモート車両の車載センサ及びADASシステムを使用してV2Xデータを生成し、V2X伝送を介して機械学習システムへV2Xデータを含むフィードバックメッセージを提供するように動作することができる。V2Xデータはリモート車両のカスタム化ニーズを記述するカスタム化データを含んでいてもよい。ここで、車両(又は運転者)のカスタム化ニーズは車両(又は運転者)の運転意図、運転嗜好、及び任意のその他のニーズを含んでいてもよい。
【0019】
機械学習システムは、各々が機械学習クライアントのインスタンスを含む、領域内の様々な車両から受信したV2Xデータを収集する。こうして、機械学習システムは領域内の様々な車両の運転意図及び嗜好を記述するディジタルデータを受信する。機械学習システムはV2Xデータに少なくとも部分的に基づいて領域挙動データを決定する。領域挙動データは領域内に含まれる全車両の全体最適挙動を記述するディジタルデータを含む。例えば、領域挙動データはこれらの車両が相互に、また他のオブジェクトと対話できる方法を記述する。
【0020】
集合的且つ個別的に、領域内の車両の全体最適挙動は、他の車両との衝突が回避されることを保証し、運転者が他の運転者のカスタム化ニーズを修正することなく自分のカスタム化ニーズを満足することを可能にするということを記述する。
【0021】
機械学習システムは、V2Xデータを分析して各車両の運転意図及び嗜好と他の車両に対する当該運転意図及び嗜好の重みとを決定する。機械学習システムはまた、領域内の各車両の個別最適挙動を決定する。各車両の個別最適挙動は領域の全体最適挙動の一達成形態に貢献し、一方で各車両にカスタム化ニーズも満足される。機械学習システムは、領域の全体最適挙動が達成されるように各車両の個別最適挙動を当該車両の車両制御システム(例えば、ADASシステム)と調整するために必要な動作を実行する。
【0022】
機械学習システムは各車両の個別最適挙動を記述する車両挙動データを対応する車両へ送信する。次いで、対応する車両の車両制御システムは対応する車両を制御して車両挙動データが記述する個別最適挙動に準拠して動作させる。こうして、領域内の全車両の全体最適挙動が達成され、全車両のカスタム化ニーズも満足される。
【0023】
本明細書に記載するように、V2X通信の例は、専用狭域通信(DSRC)(DSRC通信のタイプの中でも特に、基本安全メッセージ(BSM)及び個人安全メッセージ(PSM)を含めて)を含む。V2X通信の別の例は、ロングタームエボルーション(LTE)、ミリ波(mmWave)通信、3G、4G、5G、LTE-V2X、5G-V2X、LTE車車間(LTE-V2V)、LTEデバイス間(LTE-D2D)、又はボイスオーバーLTE(VoLTE)などを含む。いくつかの例では、V2X通信はV2V通信、路車間(V2I)通信、車両とネットワーク間の(V2N)通信又はそれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0024】
本明細書に記載の無線メッセージ(例えば、V2Xメッセージ)の例は、これに限定されないが、DSRCメッセージ、BSMメッセージ、及びLTEメッセージを含む。無線メッセージの別の例は、LTE-V2Xメッセージ(例えば、LTE-V2Vメッセージ、LTE-V2Iメッセージ、LTE-V2Nメッセージなど)、5G-V2Xメッセージ、及びミリ波メッセージなどの1つ以上を含む。
【0025】
例示的な概要
図1Aを参照すると、いくつかの実施形態による機械学習クライアント199及び機械学習システム191の動作環境100が示されている。動作環境100は、以下の要素、すなわち、自車両110、及び1つ又は複数のリモート車両112(例えば、第1のリモート車両112A、...、N番目のリモート車両112N)の1つ以上を含んでいてもよい。任意選択で、動作環境100は処理デバイス140をさらに含んでいてもよい。動作環境100のこれらの要素はネットワーク105に通信可能に接続することができる。実際、動作環境100は任意の数の自車両110、リモート車両112、処理デバイス140及びネットワーク105を含んでいてもよい。
【0026】
ネットワーク105は従来のタイプの有線又は無線タイプであってもよく、スター構成、トークンリング構成、又はその他の構成を含む多数の様々な構成を有していてもよい。さらに、ネットワーク105は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)(例えば、インターネット)、又はそれを挟んで複数のデバイス及び/又はエンティティが通信可能なその他の相互接続データ経路を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ネットワーク105はピアツーピアネットワークを含んでいてもよい。ネットワーク105は、様々な異なった通信プロトコルでデータを送信する電気通信ネットワークの一部に接続されていてもよく、又はそれを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ネットワーク105は、ショートメッセージングサービス(SMS)及びマルチメディアメッセージングサービス(MMS)による方法を含めてデータを送受信するBluetooth(登録商標)通信ネットワーク又はセルラ通信ネットワークを含む。いくつかの実施形態では、ネットワーク105は、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、直接データ接続、ワイヤレスアプリケーションプロトコル(WAP)、Eメール、DSRC、全二重無線通信及びmmWaveのためのネットワークをさらに含む。いくつかの実施形態では、ネットワーク105は、WiFi(インフラストラクチャモード)、WiFi(アドホックモード)、可視光通信、TVホワイトスペース通信及び衛星通信のためのネットワークをさらに含む。ネットワーク105は、3G、4G、LTE、LTE-V2X、LTE-D2D、VoLTE、5G-V2X又は任意のその他のモバイルデータネットワークを含み得るモバイルデータネットワーク又はモバイルデータネットワークの組み合わせをも含んでいてもよい。さらに、ネットワーク105は1つ又は複数のIEEE802.11無線ネットワークを含んでいてもよい。
【0027】
自車両110は任意のタイプの車両であってもよい。例えば、自車両110は、以下のタイプの車両、すなわち、自動車、トラック、スポーツユーティリティ車両、バス、セミトラック、ドローン、又は任意のその他の車道ベースの乗り物の1つ以上を含んでいてもよい。自車両110は通信ユニットを含みネットワーク105に接続された他の終点と通信可能なコネクテッド車両であってもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、自車両110はDSRC無線機とDSRC準拠の全地球測位システム(GPS)ユニットとを含むDSRC対応の車両である。自車両110は、DSRC無線機に加えて他のV2X無線機をも含んでいてもよい。DSRCは本明細書に記載の実施形態の要求事項ではなく、任意の型式のV2X通信も実行可能である。
【0029】
自車両110は以下の要素、すなわち、プロセッサ125A、メモリ127A、通信ユニット145A、GPSユニット150、ECU152、センサセット154、車両制御システム156、及び機械学習システム191Aの1つ以上を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、自車両110は、機械学習クライアント199(例えば、機械学習クライアント199A)のインスタンスをも含んでいてもよい。自車両110のこれらの要素はバスを介して相互に接続されていてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、プロセッサ125A及びメモリ127Aは車載コンピュータシステム(
図2を参照する下記のコンピュータシステム200などの)の一要素であってもよい。車載コンピュータシステムは機械学習システム191A(又は機械学習クライアント199A)の動作を起動又は制御するように動作可能であってもよい。例えば、車載コンピュータシステムはメモリ127Aに記憶されたデータにアクセスし実行して機械学習クライアント199A又はその要素に関して本明細書に記載する(例えば、
図2を参照)機能を提供するように動作可能であってもよい。
【0031】
プロセッサ125Aは、演算を実行して表示デバイスに電子表示信号を提供する論理演算ユニット、汎用制御装置、又は何らかのその他のプロセッサアレイを含む。プロセッサ125Aはデータ信号を処理し、様々な演算アーキテクチャを含んでいてもよい。演算アーキテクチャの例は、複合命令セットコンピュータ(CISC)アーキテクチャ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)アーキテクチャ、又は命令セットの組み合わせを実装するアーキテクチャを含む。自車両110は1つ又は複数のプロセッサ125Aを含んでいてもよい。その他のプロセッサ、オペレーティングシステム、センサ、ディスプレイ、及び物理的な構成も可能である。
【0032】
メモリ127Aはプロセッサ125Aが実行可能な命令又はデータを記憶する。命令又はデータは本明細書に記載の技法を実行するためのコードを含んでいてもよい。メモリ127Aは、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、フラッシュメモリ、又は何らかのその他のメモリデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、メモリ127Aは、不揮発性メモリ又は同様の永続記憶デバイス及び媒体をも含む。永続記憶デバイスの例は、ハードディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、CD-ROMデバイス、DVD-ROMデバイス、DVD-RAMデバイス、DVD-RWデバイス、及びフラッシュメモリデバイスなどを含む。追加の永続記憶デバイスの例は、情報をより永続的に記憶するための何らかのその他の大容量記憶デバイスを含んでいてもよい。自車両110は1つ又は複数のメモリ127Aを含んでいてもよい。
【0033】
メモリ127Aは、以下の要素、すなわち、V2Xデータ128A、センサ及びADASデータ129、領域挙動データ130、意図データ131、嗜好データ132、車両挙動データ133、及び車両仕様データ134の1つ以上を記憶していてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、V2Xデータ128Aは自車両110それ自体に関連するディジタルデータを含んでいてもよい。例えば、V2Xデータ128Aは自車両110のカスタム化ニーズを記述するカスタム化データを含んでいてもよい。カスタム化ニーズは1つ又は複数のカスタム化パラメータと当該カスタム化パラメータの1つ又は複数の重みとによって記述されていてもよい。当該1つ又は複数のカスタム化パラメータは、例えば、意図データ131によって記述される運転意図と嗜好データ132によって記述される運転嗜好とを含んでいてもよい。例えば、V2Xデータ128Aは、(1)自車両110の運転者の運転意図又は嗜好と、(2)当該運転意図又は嗜好がどれ位強いかを記述する運転意図又は嗜好の重みとを記述するカスタム化データを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、V2Xデータ128Aは自車両110によって生成されたセンサ及びADASデータ129をさらに含む。いくつかの実施形態では、V2Xデータ128Aは自車両110の設計仕様の一部又は全部を記述する。自車両110の機械学習クライアント199Aは、フィードバックメッセージを介して、自車両110に関連するV2Xデータ128Aを他の終点(例えば、処理デバイス140又はリモート車両112)へ送信することができる。フィードバックメッセージは無線メッセージであってもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、V2Xデータ128Aは自車両110が存在する領域内の1組のリモート車両112から受信したV2Xデータの集合セットを含んでいてもよい。例えば、特定のリモート車両112から受信したV2Xデータの各インスタンスはリモート車両のカスタム化ニーズ(例えば、運転意図、運転嗜好、又はそれらの組み合わせ)を記述するカスタム化データを含んでいてもよい。特定のリモート車両112から受信したV2Xデータのインスタンスは、リモート車両112によって生成されたセンサ及びADASデータ及びリモート車両112の設計仕様の一部又は全部を記述するデータをも含んでいてもよい。リモート車両112から受信したV2Xデータを収集することで、リモート車両112のカスタム化ニーズ、設計仕様とセンサ及びADASデータが機械学習システム191Aの動作のために収集される。
【0037】
センサ及びADASデータ129はセンサデータ及びADASデータを含んでいてもよい。センサデータはセンサセット154のセンサによって記録された1つ又は複数のセンサ測定値を記述するディジタルデータを含む。センサデータは、自車両110の1つ又は複数のADASシステムがその機能を提供できるように当該1つ又は複数のADASシステムに入力してもよい。例えば、当該1つ又は複数のADASシステムは自車両110の環境を認識して当該環境への車両の応答を決定する。ADASデータは、ADASシステムの分析と車両の応答とを記述するディジタルデータを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、センサ及びADASデータ129は、自車両110の運転者の挙動と当該挙動のコンテキストとを記述するディジタルデータを含む。例えば、挙動のコンテキストは挙動の前、最中又はおそらくはその後に発生しているイベントを含んでいてもよい。これらのイベントは他の運転者の挙動、時刻、曜日、天気、運転状態が都会か田舎かなどを含む。センサ及びADASデータ129は、自車両110の一意的識別情報(例えば、車両識別番号(VIN))をも含んでいてもよい。
【0039】
センサ及びADASデータ129は、リモート車両112の運転者の挙動と自車両110のセンサセット154によって記録されたこれらの挙動のコンテキストとをも含んでいてもよい。センサ及びADASデータ129は、リモート車両112の一意的識別情報をも含んでいてもよい。例えば、センサ及びADASデータ129は、自動車登録番号及び州、プロビンス、英連邦、又はナンバープレートを発行する別の管轄区域などの、リモート車両112のナンバープレート情報を含んでいてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、機械学習クライアント199Aは、自車両110のセンサセット154及びADASシステムにセンサ及びADASデータ129を記録させることができる。いくつかの実施形態では、センサ及びADASデータ129は、機械学習クライアントを含まない周辺車両の挙動を記述するディジタルデータを含んでいてもよい。センサ及びADASデータ129はV2Xデータに含まれ、フィードバックメッセージを介して機械学習システム191へ送信されてもよい。こうして、機械学習システム191は、これらの車両の車両挙動データを生成する際に車両の将来の挙動を予測してそれによってこれらの車両の挙動を説明して衝突を回避するために使用可能なディジタルデータを受信する。
【0041】
領域挙動データ130は、自車両110が位置する領域内に存在する車両の全体最適挙動を記述するディジタルデータを含んでいてもよい。例えば、領域挙動データ130は、これらの車両がその環境内で相互に、また他のオブジェクトと対話できる方法を記述する。
【0042】
意図データ131は、自車両110の運転意図を記述するディジタルデータを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、運転意図は運転者の計画した軌道(例えば、現在の位置、将来の位置、速度、加速度、ステアリング角など)を含む。
【0043】
嗜好データ132は、自車両110の運転嗜好を記述するディジタルデータを含んでいてもよい。運転嗜好は、例えば、燃費、できるだけ迅速に目的地に到達すること、又は快適な経験などを優先させる運転者の嗜好を含む。
【0044】
車両挙動データ133は、自車両110の個別最適挙動を記述するディジタルデータを含んでいてもよい。個別最適挙動について以下に詳述する。
【0045】
車両仕様データ134は、自車両110の1つ又は複数の設計仕様を記述するディジタルデータを含んでいてもよい。例えば、1つ又は複数の設計仕様は、自車両110の全長、全幅、タイヤ間距離、最大加速度、最大ステアリング角、総重量、及び操縦性などを記述するディジタルデータを含んでいてもよい。自車両110の可制御性は、自車両110が車両制御システム156によって制御可能であるか否かを示す。自車両110が制御可能な車両である場合、機械学習システム191によって生成された個別最適挙動が自車両110によって自動的に遂行できる。自車両110が制御不能な車両である場合、人間の運転車がユーザ対話インタフェース161を介して提供された命令に従って個別最適挙動を遂行することができる(
図1Bを参照)。
【0046】
通信ユニット145Aは、ネットワーク105又は別の通信チャネルとの間でデータを送受信する。いくつかの実施形態では、通信ユニット145Aは、DSRC送受信機、DSRC受信機及び自車両110をDSRC対応デバイスにするために必要なその他のハードウェア又はソフトウェアを含んでいてもよい。例えば、通信ユニット145Aはネットワークを介してDSRCメッセージをブロードキャストするように構成されたDSRCアンテナを含む。DSRCアンテナはまた、ユーザが構成可能な固定又は可変間隔で(例えば、0.1秒毎、1.6Hz~10Hzの周波数範囲に対応する時間間隔で、など)BSMメッセージを送信することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、通信ユニット145Aは、ネットワーク105又は別の通信チャネルへの直接の物理的な接続のためのポートを含んでいてもよい。例えば、通信ユニット145Aは、ネットワーク105への無線通信のためのUSB、SD、CAT-5、又は同様のポートを含む。いくつかの実施形態では、通信ユニット145Aは、ネットワーク105又はその他の通信チャネルとの間で1つ又は複数の無線通信方法を用いてデータを交換するための無線送受信機を含む。無線通信方法の例は、IEEE802.11、及びIEEE802.16、BLUETOOTH(登録商標)の1つ以上を含んでいてもよい。無線通信方法の例は、ENISO14906:2004電子式料金徴収-アプリケーションインタフェースEN11253:2004DSRC-5.8GHzのマイクロ波を用いる物理層(レビュー)をさらに含んでいてもよい。無線通信方法の例は、EN12795:2002DSRC-DSRCデータリンク層:メディアアクセス及び論理リンク制御(レビュー)をさらに含んでいてもよい。無線通信方法の例は、EN12834:2002DSRC-アプリケーション層(レビュー)及びEN13372:2004DSRC-RTTTアプリケーションのためのDSRCプロファイル(レビュー)をさらに含んでいてもよい。無線通信方法の例は、2014年8月28日に出願され、「Full-DuplexCoordinationSystem」と題する米国特許出願第14/471,387号に記載の通信方法、又は別の好適な無線通信方法をさらに含んでいてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、通信ユニット145Aはセルラ通信ネットワーク上でデータを送受信するセルラ通信送受信機を含む。例えば、データは、ショートメッセージングサービス(SMS)、マルチメディアメッセージングサービス(MMS)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、直接データ接続、WAP、Eメール、又は別の好適なタイプの電子通信を介して送信又は受信することができる。いくつかの実施形態では、通信ユニット145Aは有線ポート及び無線送受信機を含む。通信ユニット145Aはまた、TCP/IP、HTTP、HTTPS、及びSMTP、ミリ波、DSRC、などを含む標準のネットワークプロトコルを用いて、ファイル又は媒体オブジェクトを配布するためにネットワーク105へのその他の従来の接続を提供する。
【0049】
通信ユニット145AはV2X無線機149を含んでいてもよい。V2X無線機149は、5.9GHz帯域でDSRCメッセージを送信するように動作可能なDSRC送信機を含むハードウェア要素を含んでいてもよい。5.9GHz帯域はDSRCメッセージ専用である。ハードウェア要素は、5.9GHz帯域でDSRCメッセージを受信するように動作可能なDSRC受信機をも含んでいてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、GPSユニット150は自車両110の従来のGPSユニットである。例えば、GPSユニット150は、GPS衛星と無線通信を行って自車両110の地理的な場所を記述するデータを取得するハードウェアを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、GPSユニット150は自車両110のDSRC準拠GPSユニットである。DSRC準拠GPSユニットは、自車両110の地理的な位置を記述するGPSデータを車線レベルの精度で提供するように動作可能である。
【0051】
ECU152は1つ又は複数のプロセッサと1つ又は複数のメモリとを含んでいてもよい。ECU152は、自車両110の車両制御システム156、センサセット154及び機械学習クライアント199A(又は機械学習システム191A)の動作を制御することができる。いくつかの実施形態では、自車両110の機械学習クライアント199A(又は機械学習システム191A)はECU152内に搭載されている。
【0052】
センサセット154は、自車両110の外側の車道環境を測定するように動作可能な1つ又は複数のセンサを含む。例えば、センサセット154は、自車両110の近位側の車道環境の1つ又は複数の物理的特徴を記録する1つ又は複数のセンサを含んでいてもよい。メモリ127は、センサセット154によって記録された1つ又は複数の物理的特徴を記述するセンサデータを記憶することができる。
【0053】
センサセット154は、自車両110の車室内部の環境を記録する様々なセンサをも含んでいてもよい。例えば、センサセット154は、内部/外部を問わず、自車両110の環境を監視する車載センサを含む。別の例では、センサセット154はカメラ、LIDAR、レーダー、赤外線センサ、及び内蔵カメラ、生体識別センサなどの、運転者の挙動を観察するセンサを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、センサセット154は、以下の車両センサ、すなわち、カメラ、LIDARセンサ、レーダーセンサ、レーザー高度計、赤外線検出器、動き検出器、サーモスタット、及び音響検出器の1つ以上を含んでいてもよい。センサセット154は、以下のセンサ、すなわち、一酸化炭素センサ、二酸化炭素センサ、酸素センサ、大容量エアフローセンサ、及びエンジン冷却液温度センサの1つ以上をも含んでいてもよい。センサセット154は、以下のセンサ、すなわち、スロットル位置センサ、クランクシャフト位置センサ、自動車エンジンセンサ、バルブタイマ、空燃比率計、及びブラインドスポット計の1つ以上をも含んでいてもよい。センサセット154は、以下のセンサ、すなわち、カーブフィーラー、欠陥検出器、ホール効果センサ、マニホールド絶対圧センサ、駐車センサ、レーダーガン、速度計、及び速度センサの1つ以上をも含んでいてもよい。センサセット154は、以下のセンサ、すなわち、タイヤ空気圧監視センサ、トルクセンサ、トランスミッション液温度センサ、、及びタービン速度センサ(TSS)、可変リラクタンスセンサ、及び車速センサ(VSS)の1つ以上をも含んでいてもよい。センサセット154は、以下のセンサ、すなわち、水センサ、車輪速センサ、及び任意のその他のタイプの自動車センサの1つ以上をも含んでいてもよい。
【0055】
車両制御システム156は自車両110の動作を制御することができる。例えば、車両制御システム156は自律機能の全部又は一部を自車両110に提供できる。いくつかの実施形態では、車両制御システム156は1つ又は複数のADASシステム、自律運転システム又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0056】
自車両110に含まれるADASシステムの例は、自動走行制御(ACC)システム、適応ハイビームシステム、適応照明制御システム、及び自動駐車システムの1つ以上を含む。ADASシステムの別の例は、自動車暗視システム、ブラインドスポットモニタ、衝突回避システム、横風安定処理システム、運転者眠気検出システム、及び運転者監視システムを含む。ADASシステムの別の例は、緊急運転者支援システム、前方衝突警告システム、交差点支援システム、インテリジェントスピード適応システム、車線逸脱警報システム(車線維持アシスタントとも呼ばれる)を含む。ADASシステムの別の例は、歩行者保護システム、交通標識認識システム、旋回アシスタント、及び逆走警告システムなどを含む。これらの例示的なADASシステムによって提供される特徴及び機能は、本明細書では、それぞれ「自律的特徴」又は「自律的機能」とも呼ぶ。実際、車載システムは、それが運転データ及び経路データを監視し追跡するための機能を有するいずれかの車両の特徴を含み、これはADASシステムに限ったことではない。
【0057】
自車両110の車道に存在するリモート車両112は自車両110と同様の構造を有していてもよい。ここでは同様の説明は繰り返さない。動作環境100は複数のリモート車両112(例えば、第1のリモート車両112A、...、N番目のリモート車両112N)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、第1のリモート車両112Aは、機械学習クライアント(例えば、機械学習クライアント199B)及び通信ユニット145Bのインスタンスを含んでいてもよい。リモート車両112Aは、そのローカル記憶デバイス内にV2Xデータ128Bを記憶していてもよい。リモート車両112Nはリモート車両112Aと同様の構造を有していてもよく、したがって、ここでは同様の説明は繰り返さない。
【0058】
V2Xデータ128A及びV2Xデータ128Bは同様の内容を有し、本明細書で個別的又は集合的に「V2Xデータ128」と呼ぶことができる。ここではV2Xデータ128Bについて同様の説明は繰り返さない。
【0059】
機械学習クライアント199A及び199Bは同様の構造を有し、同様の絹を提供していてもよく、本明細書で個別的又は集合的に「機械学習クライアント199」と呼ぶことができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、機械学習クライアント199は、プロセッサ125によって実行されると、プロセッサ125に、
図3を参照しながら以下に説明する方法300の1つ又は複数のステップを実行させるように動作可能なソフトウェアを含む。いくつかの実施形態では、機械学習クライアント199は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」又は特定用途向け集積回路(「ASIC」)を含むハードウェアを用いて実装できる。いくつかのその他の実施形態では、機械学習クライアント199はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを用いて実装できる。機械学習クライアント199は、デバイス(例えば、サーバ若しくはその他のデバイス)の組み合わせ、又はデバイスの1つに記憶することができる。
【0061】
機械学習クライアント199を、
図1B、2~3及び5A~7Dを参照しながら以下に詳述する。
【0062】
処理デバイス140は、クラウドサーバ、エッジサーバ、路側器、又は任意のその他の処理デバイスの1つであってもよい。処理デバイス140は、機械学習システム(例えば、機械学習システム191B)、プロセッサ125B、メモリ127B、通信ユニット145C及び任意のその他の適当なコンポーネントを含む。
【0063】
プロセッサ125A及び125Bは同様の構造を有し同様の機能を提供していてもよく、本明細書で個別的又は集合的に「プロセッサ125」と呼ぶことができる。メモリ127A及び127Bは同様の構造を有し同様の機能を提供していてもよく、本明細書で個別的又は集合的に「メモリ127」と呼ぶことができる。通信ユニット145A、145B及び145Cは同様の構造を有し同様の機能を提供していてもよく、本明細書で個別的又は集合的に「通信ユニット145」と呼ぶことができる。プロセッサ125B、メモリ127B、並びに通信ユニット145B及び145Cについては、ここでは同様の説明は繰り返さない。
【0064】
機械学習システム191A及び191Bは同様の構造を有し同様の機能を提供していてもよく、本明細書で個別的又は集合的に「機械学習システム191」と呼ぶことができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、機械学習システム191は、プロセッサ125によって実行されると、プロセッサ125に、
図4を参照しながら以下に説明する方法400の1つ又は複数のステップを実行させるように動作可能なソフトウェアを含む。いくつかの実施形態では、機械学習システム191は、FPGA又はASICを含むハードウェアを用いて実装できる。いくつかのその他の実施形態では、機械学習システム191はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを用いて実装できる。機械学習システム191は、デバイス(例えば、サーバ若しくはその他のデバイス)の組み合わせ、又はデバイスの1つに記憶することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、機械学習システム191は、プレディクタモジュール195及びネゴシエータモジュール197の1つ以上を含んでいてもよい。機械学習システム191とプレディクタモジュール195及びネゴシエータモジュール197とを
図1B~1D及び4~7Dを参照しながら以下に詳述する。
【0067】
図1Bを参照すると、いくつかの実施形態による機械学習システム191と様々なコネクテッド車両114に搭載された機械学習クライアント199の様々なインスタンスとを含むアーキテクチャ160が示されている。例えば、
図1Bには2つのコネクテッド車両114A及び114Bが示されている。コネクテッド車両114Aは車両制御システム156を含み、自律車両又は半自律車両であってもよい。例えば、コネクテッド車両114Aは1つ又は複数のADASシステムによって制御しシステム運転者によって駆動できる。コネクテッド車両114Bは車両制御システム156を含んでいてもよく又は含んでいなくてもよい。コネクテッド車両114Bは人間運転者によって駆動できる。
【0068】
各々のコネクテッド車両114は機械学習クライアント199のインスタンスを含む。各々のコネクテッド車両114は、
図1Aに示す自車両110又はリモート車両112であってもよい。各々のコネクテッド車両114について、機械学習クライアント199はそのセンサセット154及びADASシステムにセンサデータ及びADASデータを収集させる。
【0069】
いくつかの実施形態では、プレディクタモジュール195はコネクテッド車両114の機械学習クライアント199内に搭載されている。この場合、機械学習クライアント199はコネクテッド車両114の過去の挙動を記述するデータ構造を記憶している。プレディクタモジュール195は、コネクテッド車両114の現在のセンサデータ及び現在のADASデータを分析してコネクテッド車両114の過去の挙動との比較によってコネクテッド車両114の将来の挙動を推定する。機械学習クライアント199は、プレディクタモジュール195の能力を絶えず改良してコネクテッド車両114の挙動を予測する学習アルゴリズムを含んでいてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、プレディクタモジュール195は機械学習システム191内に搭載されている。コネクテッド車両114の将来の挙動を予測する動作は、コネクテッド車両114からV2Xデータを受信しこのV2Xデータを分析した後で機械学習システム191によって実行される(以下に詳述する)。
【0071】
言い換えれば、コネクテッド車両114の将来の挙動の予測は機械学習クライアント199又は機械学習システム191によって実行されるが、その両方によってではない。ただし、いくつかの実施形態では、コネクテッド車両114の将来の挙動はシステム運転者(例えば、ADASシステム又は自律運転システムなど)又はコネクテッド車両114の人間運転者によって提供できる。コネクテッド車両114の将来の挙動は、コネクテッド車両114の計画軌道(例えば、現在の位置、将来の位置、速度、加速度設定及びステアリング角設定など)を含んでいてもよい。コネクテッド車両114の将来の挙動は、コネクテッド車両114の運転意図の一部として含むことができる。
【0072】
機械学習クライアント199はセンサ及びADASデータに基づいてV2Xデータ128を生成し、任意選択として、ユーザ入力などのその他のデータを生成する。V2Xデータ128はセンサ及びADASデータを記述し、任意選択として、コネクテッド車両114の将来の挙動を記述する。例えば、V2Xデータ128は、コネクテッド車両114のカスタム化ニーズを記述するカスタム化データ(例えば、運転嗜好及び当該運転嗜好の重み、運転意図、当該運転意図の重み)を含む。別の例では、V2Xデータ128はコネクテッド車両114を取り囲む車道環境を記述するデータとコネクテッド車両114の車両状態を記述するデータとをさらに含む。さらに別の例では、V2Xデータ128はコネクテッド車両114の設計仕様を記述するデータをさらに含む。
【0073】
機械学習クライアント199は、通信ユニット145にV2Xネットワークを介してフィードバックメッセージを送信させ、フィードバックメッセージはそのペイロードとしてV2Xデータ128を含む。次いで、機械学習システム191はコネクテッド車両114から当該フィードバックメッセージを受信する。こうして、機械学習システム191はコネクテッド車両114の各々に1つずつ、複数のフィードバックメッセージを受信する。機械学習システム191はフィードバックメッセージの各々からV2Xデータをパースする。
【0074】
いくつかの実施形態では、機械学習システム191はコネクテッド車両114の過去の挙動を記述するデータ構造を記憶している。例えば、このデータ構造は、具体的なコネクテッド車両の挙動ではなく、コネクテッド車両一般の挙動を記述する。機械学習システム191のプレディクタモジュール195は、特定のコネクテッド車両114の現在のセンサ及びADASデータを分析して他のコネクテッド車両114の過去の挙動との比較によってコネクテッド車両114の将来の挙動を推定する。プレディクタモジュール195は、プレディクタモジュール195の能力を絶えず改良してこれらのコネクテッド車両114から受信したV2Xデータに基づいてコネクテッド車両の挙動を予測する学習アルゴリズムを含んでいてもよい。
【0075】
機械学習システム191のネゴシエータモジュール197は、当該コネクテッド車両114から受信したV2Xデータ128に基づいて各々のコネクテッド車両114のカスタム化ニーズを決定する。例えば、ネゴシエータモジュール197は、各々のコネクテッド車両114について、運転嗜好、当該運転嗜好の重み、運転意図、当該運転意図の重みなどの1つ以上を決定する。
【0076】
ネゴシエータモジュール197は、領域内に位置するコネクテッド車両114のグループについて、運転嗜好及び運転意図の相対的重みを決定する。
【0077】
ネゴシエータモジュール197は、領域内に位置するコネクテッド車両114の最適全体挙動を記述する領域挙動データを決定する。例えば、ネゴシエータモジュール197は、1つ又は複数の決定要因に基づいて領域挙動データを決定する。決定要因の例は、コネクテッド車両114のV2Xデータ(運転意図及び運転嗜好を含む)と、領域内の交通又は安全基準とを含む。決定要因の別の例は、領域内の現実世界のインシデントを記述する過去の衝突事故のデータ、及び車両製造業者、車道の関係当局、又は設計エンジニアの嗜好を含む。決定要因の別の例は、領域内の交通規則要求事項(例えば、速度制限、交通信号、移動方向など)、及び領域内の安全要求事項(例えば、2階の隣接する車両間の最小距離及び相対速度)を含む。決定要因の別の例は、上記のその他の決定要因に少なくとも部分的に基づいて生成されたディジタルシミュレーションを含む。
【0078】
ネゴシエータモジュール197は、V2Xデータを提供する各々のコネクテッド車両114について、この車両の個別最適挙動を記述する車両挙動データ133を生成する。この個別最適挙動は機械学習システム191によって最適化され、そうすることが領域の最適全体挙動に合致する限り、この車両がカスタム化ニーズ(例えば、その運転嗜好又は意図)を満足する能力を最大限にする。例えば、各々のコネクテッド車両114の個別最適挙動は領域の最適全体挙動の一達成形態に貢献する。また、各々のコネクテッド車両の個別最適挙動は他の車両がそのカスタム化ニーズを満足する能力に干渉しない。
【0079】
いくつかの実施形態では、各々のコネクテッド車両114の個別最適挙動は、車両のカスタム化ニーズの充足を最大限にしながら領域内の交通規則要求事項及び安全要求事項の1つ以上を満足する安全な挙動である。いくつかの実施形態では、個別最適挙動は、コネクテッド車両114について最適化されたコネクテッド車両114の強制軌道、加速設定、ステアリング角設定及び速度設定の1つ以上を含む。
【0080】
ネゴシエータモジュール197はコネクテッド車両114へ送信される修正メッセージを生成する。修正メッセージは無線メッセージでそれぞれ上記コネクテッド車両114の車両挙動データ133を含んでいてもよい。車両挙動データ133の異なるインスタンスは互いに異なる傾向があるが、これは異なる車両は異なるカスタム化ニーズ(例えば、異なる運転嗜好及び意図)を有する可能性があるからである。ネゴシエータモジュール197はコネクテッド車両114へそれぞれ修正メッセージを送信する。
【0081】
次いで、各々のコネクテッド車両114の機械学習クライアント199はその特定の修正メッセージを受信し、受信した修正メッセージ内に含まれる対応する車両挙動データ133をパースする。
【0082】
システム運転者を有し車両制御システム156によって制御可能なコネクテッド車両114(例えば、車両114A)について、機械学習クライアント199はその車両挙動データ133に基づいて車両制御システム156の1つ又は複数の動作を修正する。例えば、機械学習クライアント199はその車両挙動データ133に基づいて車両のADASシステムの設定を修正する。次いで、コネクテッド車両114Aは、その車両挙動データ133が記述する個別最適挙動に準拠して動作するように制御される。
【0083】
人間運転者を有し車両制御システム156によって制御されないコネクテッド車両114(例えば、車両114B)について、機械学習クライアント199はユーザ対話インタフェース161を介して運転者へ通知を提供する。通知は、車両挙動データ133が記述する個別最適挙動に準拠するように車両を操作させる命令を含んでいてもよい。ユーザ対話インタフェース161は、ディスプレイ(例えば、タッチスクリーン)、音響再生デバイス(例えば、スピーカー)、カメラ及び運転者と対話するために使用できる任意のその他のインタフェースを含んでいてもよい。
【0084】
図1Cは、いくつかの実施形態による機械学習システム191及び1つ又は複数のコネクテッド車両114のコンポーネントを含むアーキテクチャ170を示すブロック図である。ここで、この例では、機械学習システム191はプレディクタモジュール195及びネゴシエータモジュール197を含む。
【0085】
プレディクタモジュール195は、プロセッサによって実行されると、当該プロセッサに、コネクテッド車両114から受信したV2Xデータ128を分析させ、コネクテッド車両114の将来の挙動を予測させるコード及びルーチンを含む。プレディクタモジュール195は、その予測が時間と共に自動的に改善できるように機械学習アルゴリズムを含んでいてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、特定のコネクテッド車両114から受信したV2Xデータ128がそのカスタム化ニーズを記述するデータを含まない場合、プレディクタモジュール195は車両のカスタム化ニーズを推定することができる。さらに、特定のコネクテッド車両114から受信したV2Xデータ128がその将来の挙動を記述するデータを含まない場合、プレディクタモジュール195は車両の将来の挙動を記述する予測データ171を生成できる。例えば、プレディクタモジュール195は、運転嗜好及び当該運転嗜好の重み、運転意図及び当該運転意図の重み、及び車両の将来の挙動の1つ以上を車両のV2Xデータ128に基づいて推定することができる。
【0087】
ネゴシエータモジュール197は、プロセッサによって実行されると、当該プロセッサに、コネクテッド車両114から受信したV2Xデータ128を分析させ、コネクテッド車両114の車両挙動データを決定させるコード及びルーチンを含む。いくつかの実施形態では、ネゴシエータモジュール197は、プレディクタモジュール195が出力した予測された将来の挙動に基づいてその機能を提供する。
【0088】
いくつかの実施形態では、ネゴシエータモジュール197は機械学習アルゴリズムを含まないが、これは機械学習アルゴリズムから生成される挙動は実験的なものであり、安全用途には適さないからである。したがって、領域の全体最適挙動及びコネクテッド車両114の個別最適挙動の生成は機械学習アルゴリズム実行の副産物ではない。逆に、ネゴシエータモジュール197は最適化メカニズムを用いて安全が保障される挙動を生成することができる。最適化メカニズムの適用例を
図7A~7Dを参照しながら示す。
【0089】
プレディクタモジュール195及びネゴシエータモジュール197については
図1Bを参照して上記したので、ここでは同様の説明は繰り返さない。
【0090】
図1Dは、いくつかの実施形態による機械学習システム191及び1つ又は複数のコネクテッド車両114のコンポーネントを含む別のアーキテクチャ175を示すブロック図である。ここで、機械学習システム191はオフラインティーチャ―194及びセーフティチェッカー193をさらに含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、最適化メカニズムが最適化されたソリューションを生成するには長い時間がかかることがある。そこで、ネゴシエータモジュール197のオフラインティーチャ―として最適化メカニズムを適用するオフラインティーチャ―194をオフラインで追加することができる。この場合、ネゴシエータモジュール197は機械学習アルゴリズムで実装できる。生成された車両挙動の安全性を保証するために、セーフティチェッカー193が追加され、ネゴシエータモジュール197が生成した領域の全体最適挙動又はいずれかの個別最適挙動が安全であるか否かがチェックされる。例えば、セーフティチェッカー193は特定のコネクテッド車両114の個別最適挙動が領域内の安全要求事項を満足するか否かを決定する。個別最適挙動が安全要求事項を満足する場合、セーフティチェッカー193は個別最適挙動を記述する車両挙動データ133を特定のコネクテッド車両114へ送信する。そうでない場合、セーフティチェッカー193は車両挙動データ133を送信せず、ネゴシエータモジュール197にこの特定のコネクテッド車両114の個別最適挙動を再度生成するように命令する。
【0092】
プレディクタモジュール195及びネゴシエータモジュール197については
図1B~1Cを参照して上記したので、ここでは同様の説明は繰り返さない。
【0093】
上記の
図1A~1Dと下記の
図2~7Dとを組み合わせて参照すると、機械学習システム191及び機械学習クライアント199は基本的な運転要求事項の違反の全体のリスクを最小限にすることができる。機械学習システム191及び機械学習クライアント199は異なる車両のカスタム化ニーズの充足を最大限にする(例えば、車両の全体最意図を最大限にする)ことができる。さらに、機械学習システム191及び機械学習クライアント199は、車両の優先度を、その運転意図(又は運転嗜好)と当該運転意図(又は運転嗜好)の重みとに基づいてカスタム化することができる。
【0094】
例示的なコンピュータシステム
図2を参照すると、いくつかの実施形態による機械学習クライアント199を含む例示的なコンピュータシステム200を示すブロック図が示されている。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム200は、
図3を参照しながら以下に説明する方法300の1つ又は複数のステップを実行するようにプログラミングされた専用コンピュータシステムを含んでいてもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、コンピュータシステム200はコネクテッド車両114(例えば、自車両110又はリモート車両112)の要素であってもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム200はコネクテッド車両114の車載コンピュータであってもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム200は、コネクテッド車両114のエンジン制御ユニット、ヘッドユニット又はいくつかのその他のプロセッサベースのコンピューティングデバイスを含んでいてもよい。
【0096】
コンピュータシステム200は、いくつかの実施例による以下の要素、すなわち、機械学習クライアント199、プロセッサ125、及び通信ユニット145の1つ以上を含んでいてもよい。コンピュータシステム200は、以下の要素、すなわち、センサセット154、GPSユニット150、メモリ127、車両制御システム156、及び記憶装置241の1つ以上をさらに含んでいてもよい。コンピュータシステム200のコンポーネントはバス220に通信可能に接続されている。
【0097】
好ましい実施形態では、プロセッサ125は信号線237を介してバス220に通信可能に接続されている。車両制御システム156は信号線238を介してバス220に通信可能に接続されている。通信ユニット145は信号線246を介してバス220に通信可能に接続されている。センサセット154は信号線232を介してバス220に通信可能に接続されている。GPSユニット150は信号線230を介してバス220に通信可能に接続されている。記憶装置241は信号線242を介してバス220に通信可能に接続されている。メモリ127は信号線244を介してバス220に通信可能に接続されている。
【0098】
以下の要素、すなわち、プロセッサ125、通信ユニット145、センサセット154、GPSユニット150、車両制御システム156、及びメモリ127について
図1Aを参照して上記した。ここでは上記の説明は繰り返さない。
【0099】
記憶装置241は、本明細書に記載の機能を提供するためのデータを記憶する非一時的記憶媒体であってもよい。記憶装置241は、DRAMデバイス、SRAMデバイス、フラッシュメモリ、又はいくつかのその他のデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、記憶装置241は、情報をより永続的な形で記憶するための不揮発性メモリ又は同様の永続記憶デバイス又は媒体(例えば、ハードディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、フラッシュメモリデバイスなど)をさらに含む。
【0100】
図2に示す好ましい実施形態では、機械学習クライアント199は、通信モジュール202、カスタム処理モジュール204、V2Xデータモジュール206、及び遂行モジュール208を含む。いくつかの実施形態では、機械学習クライアント199はプレディクタモジュール195をさらに含む。機械学習クライアント199のこれらのコンポーネントは、バス220を介して相互に通信可能に接続されている。いくつかの実施形態では、機械学習クライアント199のコンポーネントは単一のサーバ又はデバイス内に記憶することができる。いくつかのその他の実施形態では、機械学習クライアント199のコンポーネントは分散して複数のサーバ又はデバイスに記憶することができる。
【0101】
通信モジュール202は、機械学習クライアント199とコンピュータシステム200のその他のコンポーネントとの間の通信を処理するルーチンを含むソフトウェアであってもよい。いくつかの実施形態では、通信モジュール202はコンピュータシステム200のメモリ127内に記憶でき、プロセッサ125によってアクセスし実行することができる。通信モジュール202は、プロセッサ125とコンピュータシステム200の他のコンポーネントとの間の信号線222を介した協働及び通信を行うように構成させることができる。
【0102】
通信モジュール202は、動作環境100の1つ又は複数の要素との間で通信ユニット145を介してデータを送受信する。例えば、通信モジュール202は、他の車両のV2Xデータ又はコネクテッド車両114のV2Xデータを通信ユニット145を介して受信又は送信する。通信モジュール202は、
図1A~1Dを参照して上記したデータ又はメッセージのいずれかを通信ユニット145を介して送信又は受信することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、通信モジュール202は、機械学習クライアント199のその他のコンポーネントからデータを受信し、当該データを記憶装置241及びメモリ127の1つ以上に記憶する。機械学習クライアント199のその他のコンポーネントは、通信モジュール202に、コンピュータシステム200のその他のコンポーネント又は動作環境100と(通信ユニット145を介して)通信させることができる。例えば、V2Xデータモジュール206は通信モジュール202を用いてセンサセット154と通信し、センサセット154にセンサデータを記録させることができる。
【0104】
カスタム処理モジュール204は、コネクテッド車両114のカスタム化データを生成するルーチンを含むソフトウェアであってもよい。いくつかの実施形態では、カスタム処理モジュール204はコンピュータシステム200のメモリ127内に記憶でき、プロセッサ125によってアクセスし実行することができる。カスタム処理モジュール204は、プロセッサ125とコンピュータシステム200の他のコンポーネントとの間の信号線224を介した協働及び通信を行うように構成させることができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、カスタム処理モジュール204は、コネクテッド車両114のカスタム化ニーズを記述するカスタム化データを生成するように動作可能である。例えば、カスタム処理モジュール204は、1つ又は複数のユーザ入力又はコネクテッド車両114の過去の移動データに基づいてコネクテッド車両114のカスタム化ニーズを決定することができる。コネクテッド車両114のカスタム化ニーズは1つ又は複数のカスタム化パラメータと当該カスタム化パラメータの1つ又は複数の重みによって記述することができる。例えば、当該1つ又は複数のカスタム化パラメータは、コネクテッド車両114の運転意図及び運転嗜好の1つ以上を含む。カスタム化ニーズは、(1)運転意図及び当該運転意図の重みと、(2)運転嗜好と当該運転嗜好の重みとの1つ以上によって記述することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、カスタム処理モジュール204は生成されたカスタム化データをV2Xデータモジュール206へ送信する。
【0107】
V2Xデータモジュール206は、コネクテッド車両114のV2Xデータを生成するルーチンを含むソフトウェアであってもよい。いくつかの実施形態では、V2Xデータモジュール206はコンピュータシステム200のメモリ127内に記憶でき、プロセッサ125によってアクセスし実行することができる。V2Xデータモジュール206は、プロセッサ125とコンピュータシステム200の他のコンポーネントとの間の信号線226を介した協働及び通信を行うように構成させることができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、V2Xデータモジュール206は、コネクテッド車両114のセンサセット154及びADASシステムにセンサ及びADASデータを収集させる。任意選択として、プレディクタモジュール195はコネクテッド車両114の機械学習クライアント199内に記憶されている。V2Xデータモジュール206はプレディクタモジュール195にコネクテッド車両114のセンサ及びADASデータを分析させコネクテッド車両114の過去の挙動との比較によってコネクテッド車両114の将来の挙動を推定させる。プレディクタモジュール195はコネクテッド車両114の将来の挙動を記述するデータをV2Xデータモジュール206へ送信する。
【0109】
V2Xデータモジュール206はコネクテッド車両114のV2Xデータを生成するように動作可能である。いくつかの実施形態では、V2Xデータはコネクテッド車両114のカスタム化ニーズを記述するカスタム化データを含む。例えば、V2Xデータは1つ又は複数のカスタム化パラメータを記述するパラメータデータ(例えば、運転意図又は運転嗜好など)及び当該1つ又は複数のカスタム化パラメータの1つ又は複数の重みを記述する重みデータの1つ以上を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、V2Xデータは、センサ及びADASデータをさらに含む。例えば、V2Xデータはコネクテッド車両114を取り囲む車道環境を記述するデータとコネクテッド車両114の車両状態を記述するデータとをさらに含む。いくつかの実施形態では、V2Xデータは、コネクテッド車両114の設計仕様を記述するデータと、コネクテッド車両114の将来の挙動との1つ以上をさらに含む。
【0111】
V2Xデータモジュール206は、通信ユニット145にV2Xネットワークを介してフィードバックメッセージを送信させ、当該フィードバックメッセージはそのペイロードとしてコネクテッド車両114のV2Xデータを含む。
【0112】
プレディクタモジュール195は、コネクテッド車両114の将来の挙動を予測するルーチンを含むソフトウェアであってもよい。いくつかの実施形態では、プレディクタモジュール195はコンピュータシステム200のメモリ127内に記憶でき、プロセッサ125によってアクセスし実行することができる。プレディクタモジュール195は、プロセッサ125とコンピュータシステム200の他のコンポーネントとの間の信号線228を介した協働及び通信を行うように構成させることができる。
【0113】
プレディクタモジュール195については
図1Bを参照して上記した。ここでは同様の説明は繰り返さない。
【0114】
遂行モジュール208は、コネクテッド車両114の個別最適挙動を遂行するルーチンを含むソフトウェアであってもよい。いくつかの実施形態では、遂行モジュール208はコンピュータシステム200のメモリ127内に記憶でき、プロセッサ125によってアクセスし実行することができる。遂行モジュール208は、プロセッサ125とコンピュータシステム200の他のコンポーネントとの間の信号線223を介した協働及び通信を行うように構成させることができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、遂行モジュール208は機械学習システム191から修正メッセージを受信し、当該修正メッセージからコネクテッド車両114の車両挙動データをパースする。車両挙動データはコネクテッド車両114の個別最適挙動を記述する。遂行モジュール208は、コネクテッド車両114が個別最適挙動を遂行するように当該車両挙動データに基づいてコネクテッド車両114の車両制御システム156の動作を修正する。例えば、遂行モジュール208は、コネクテッド車両114が個別最適挙動に準拠して動作することを制御されるように車両挙動データに基づいて車両制御システム156の動作を修正する。
【0116】
いくつかの実施形態では、コネクテッド車両114による個別最適挙動の遂行が、コネクテッド車両114が位置する領域の全体最適挙動の達成に貢献する。一方で、個別最適挙動の遂行はコネクテッド車両のカスタム化ニーズを満足させる。
【0117】
いくつかの実施形態では、コネクテッド車両114による個別最適挙動の遂行は、コネクテッド車両114と領域内の1つ又は複数のその他の車両との間に衝突が発生しないことを示す。また、コネクテッド車両114による個別最適挙動の遂行は、コネクテッド車両114のカスタム化ニーズが1つ又は複数の他の車両の1つ又は複数のカスタム化ニーズに干渉することなく満足されるということを示す。
【0118】
いくつかの実施形態では、コネクテッド車両114及び1つ又は複数の他の車両は領域内の車両グループに含まれる。領域の全体最適挙動の達成形態は、(1)当該車両グループ内で衝突が発生しないことと、(2)当該グループ内の各車両のカスタム化ニーズが当該グループ内のいかなる他の車両のカスタム化ニーズも修正することなく満足されることとの1つ以上を示す。
【0119】
いくつかの実施形態では、個別最適挙動は、コネクテッド車両114のために最適化されたコネクテッド車両114の強制軌道、加速設定、ステアリング角設定及び速度設定の1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、個別最適挙動は領域内の交通規則要求事項及び安全要求事項の1つ以上を満足する。
【0120】
例示的なプロセス
図3を参照すると、いくつかの実施形態によるコネクテッド車両114での個別最適挙動を遂行する例示的な方法300のフローチャートが示されている。方法300の各ステップは任意の順序で実行可能であり、必ずしも
図3に示す順序でなくてもよい。コネクテッド車両114は自車両110又はリモート車両112であってもよい。方法300はコネクテッド車両114の機械学習クライアント199によって実行できる。
【0121】
ステップ301で、V2Xデータモジュール206はコネクテッド車両114のカスタム化ニーズを記述するカスタム化データを含むV2Xデータを生成する。
【0122】
ステップ303で、V2Xデータモジュール206は、V2Xデータを含むフィードバックメッセージをV2X通信を介して送信する。
【0123】
ステップ305で、遂行モジュール208は、コネクテッド車両114の個別最適挙動を記述する車両挙動データを含む修正メッセージをV2X通信を介して受信する。例えば、個別最適挙動は、機械学習システム191によって、コネクテッド車両114のV2Xデータに少なくとも部分的に基づいて決定される。
【0124】
ステップ307で、遂行モジュール208はコネクテッド車両114が制御可能な車両であるか否かを決定する。コネクテッド車両114が制御可能な車両である場合、方法300はステップ309へ進む。そうでない場合、方法300はステップ311へ進む。
【0125】
例えば、遂行モジュール208はコネクテッド車両114が車両制御システム156によって制御されているか否かを決定する。コネクテッド車両114が車両制御システム156によって制御されている場合、方法300はステップ309へ進む。コネクテッド車両114が人間運転者によって制御されている場合、方法300はステップ311へ進む。
【0126】
ステップ309で、遂行モジュール208は、コネクテッド車両114が個別最適挙動を遂行するように車両挙動データに基づいてコネクテッド車両114の車両制御システム156の動作を修正する。ここで、コネクテッド車両114による個別最適挙動の遂行が、コネクテッド車両114が位置する領域の全体最適挙動の達成に貢献する。一方で、コネクテッド車両114のカスタム化ニーズも個別最適挙動の遂行によって満足される。
【0127】
ステップ311で、遂行モジュール208は個別最適挙動の通知をユーザ対話インタフェース161を介してコネクテッド車両114の運転者へ提供する。こうして、人間運転者は、コネクテッド車両114の個別最適挙動も遂行されるように通知によって提供される命令に従うことができる。
【0128】
図4は、いくつかの実施形態による、領域内の全体最適挙動と当該領域内の車両の個別最適挙動とを提供する方法400を示す図である。方法400の各ステップは任意の順序で実行可能であり、必ずしも
図4に示す順序でなくてもよい。方法400は、クラウドサーバ、エッジサーバ、路側機、自車両110又は車道の任意のその他の終点にインストール可能な機械学習システム191によって実行できる。
【0129】
ステップ401で、機械学習システム191のネゴシエータモジュール197は領域内の車両からV2Xデータを受信し、V2Xデータから各車両のカスタム化データをパースする。
【0130】
ステップ403で、ネゴシエータモジュール197は、カスタム化データに基づいて、1つ又は複数のカスタム化パラメータによって記述される各車両のカスタム化ニーズと当該1つ又は複数のカスタム化パラメータの1つ又は複数の重みとを決定する。例えば、各車両のカスタム化データに基づいて、ネゴシエータモジュール197は、運転嗜好及び当該運転嗜好の重みと運転意図及び当該運転意図の重みとの1つ以上を決定する。
【0131】
ステップ405で、ネゴシエータモジュール197は領域内の制御不能な車両にとって安全な区域を決定する。制御不能な車両は車両制御システムによって制御されていない車両であってもよい。例えば、制御不能な車両は機械学習システム191によって生成される個別最適挙動を自動的に遂行しない。
【0132】
例えば、ネゴシエータモジュール197は制御不能な車両が存在する区域を制御不能な車両にとっての安全な区域として確保してもよい。いくつかの実施形態では、他の制御不能な車両は制御不能な車両の安全な区域から締め出される。
【0133】
ステップ407で、ネゴシエータモジュール197は、V2Xデータに少なくとも部分的に基づいて、領域の全体最適挙動を記述する領域挙動データを決定する。全体最適挙動は領域内の車両(例えば、制御可能な車両、制御不能な車両、又はその両方)の強制軌道を含む。これらの強制軌道の遂行は、(1)領域内の交通規則要求事項及び安全要求事項を満足し、(2)車両のカスタム化ニーズの充足を最大限にする。
【0134】
例えば、ネゴシエータモジュール197は、領域内の安全要求事項が領域内の制御可能な車両の軌道を修正することによって満足させられるか否かを判断する。安全要求事項が領域内の制御可能な車両の軌道を修正することによって満足させられる場合、ネゴシエータモジュール197は領域内の制御可能な車両の軌道を修正して当該制御可能な車両の強制軌道を生成する。この場合、全体最適挙動は領域内の制御可能な車両の強制軌道を含む。ただし、安全要求事項が領域内の制御可能な車両の軌道を修正することによって満足させられない場合、ネゴシエータモジュール197は領域内の全ての車両(制御可能又は制御不能な車両を問わず)の軌道を修正する。ネゴシエータモジュール197は全ての車両の強制軌道を生成する。この場合、全体最適挙動は領域内の制御可能及び制御不能な車両の強制軌道を含む。
【0135】
ステップ409で、ネゴシエータモジュール197は領域挙動データに基づいて各車両の個別最適挙動を記述する車両挙動データを決定する。各車両の個別最適挙動は、(1)交通規則要求事項及び安全要求事項を満足し、(2)他の車両のカスタム化ニーズを修正することなく車両のカスタム化ニーズを満足する車両の強制軌道を含む。
【0136】
例えば、ネゴシエータモジュール197は、領域挙動データに基づいて車両の運転意図に含まれる軌道を修正して車両の強制軌道を生成してもよい。車両による強制軌道の遂行は、車両のカスタム化ニーズも満足しながら領域の全体最適挙動の一達成形態に貢献する。
【0137】
ステップ411で、ネゴシエータモジュール197は、各車両の個別最適挙動を記述する対応する車両挙動データをそれぞれ当該車両へ送信する。
【0138】
図5A~5Bは、いくつかの実施形態による最適車両挙動を提供するための例示的な動作シナリオを示すグラフ表現500及び550である。この動作シナリオでは、車道に4台の車両(車両A、B、C及びD)がある。車両の各々は機械学習クライアント199のインスタンスを含んでいてもよい。
【0139】
図5Aを参照すると、車両Aは「小さい」重みの燃費(例えば、「エコ」)という運転嗜好を有する。車両Aは車両D及びBが現在存在する正しい車線に移動するという計画軌道を有する。車両Bは「大きい」重みの時間の短縮という運転嗜好と直進するという計画軌道とを有する。車両Cは「小さい」重みの燃費という運転嗜好と左側の車線へ合流するという計画軌道とを有する。車両Dは「大きい」重みの「快適さ」という運転嗜好と直進するという計画軌道とを有する。これらの車両はV2Xデータ(運転嗜好、当該運転嗜好の重み及び計画軌道などを記述するデータを含む)をフィードバックメッセージを介してそれぞれ機械学習システム191へ送信することができる。
【0140】
図5Aに示すように、車両A~Dがそれぞれの計画軌道に従って移動する場合、これらの車両は同じ車線で互いに出会い、衝突が起こる可能性がある。
【0141】
機械学習システム191は、車両A~Dから受信したV2Xデータに少なくとも部分的に基づいてこれらの車両の全体最適挙動を決定することができる。全体最適挙動の一達成形態は(1)車両A~Dのいずれの間にも衝突が発生せず、(2)一方で車両A~Dの運転嗜好も満足される、ということを保証できる。機械学習システム191は、領域内で全体最適挙動が達成されるように車両の各々の個別最適挙動を決定する。機械学習システム191は、各々のそれぞれの車両の個別最適挙動を記述する車両挙動データを修正メッセージを介して送信する。
【0142】
図5Bを参照すると、車両Aの個別最適挙動はその計画軌道(「右側の車線へ移動する」)を「直進する」という強制軌道に修正することを含む。個別最適挙動を記述する車両挙動データを受信した場合、その結果として、車両Aは「直進する」という強制軌道に準拠して動作する。
【0143】
車両Bの個別最適挙動は、その計画軌道(「直進する」)を「左側の車線へ移動して移動速度を上げる」という強制軌道に修正することを含む。個別最適挙動を記述する車両挙動データを受信した場合、その結果として、車両Bは「左側の車線へ移動して移動速度を上げる」という強制軌道に準拠して動作する。
【0144】
車両Cの個別最適挙動は、その左側の車線へスムーズに合流することを含む。個別最適挙動を記述する車両挙動データを受信した場合、その結果として、車両Cはその左側の車線へスムーズに合流する。
【0145】
車両Dの個別最適挙動は、加速をオフにしてその計画軌道上を移動することを含む。個別最適挙動を記述する車両挙動データを受信した場合、車両Dは加速をオフにする。
【0146】
図6A~6Bは、いくつかの実施形態による最適車両挙動を提供するための別の例示的な動作シナリオを示すグラフ表現600及び650である。この動作シナリオでは、交差点に3台の車両(車両A、B及びC)がある。車両の各々は機械学習クライアント199のインスタンスを含んでいてもよい。
【0147】
図6Aを参照すると、車両Aは「大きい」重みの時間の短縮という運転嗜好を有する。車両Bは「小さい」重みの時間の短縮という運転嗜好を有する。車両Cは「小さい」重みの燃費という運転嗜好を有する。車両A~Cは、各々、直進するという計画軌道を有する。これらの車両は、V2Xデータ(運転嗜好、当該運転嗜好の重み及び計画軌道などを記述するデータを含む)をフィードバックメッセージを介してそれぞれ機械学習システム191へ送信することができる。
【0148】
図6Aに示すように、車両A~Cがそれぞれの計画軌道に従って移動する場合、これらの車両交差点で互いに出会い、衝突が起こる可能性がある。
【0149】
機械学習システム191は、車両A~Cから受信したV2Xデータに少なくとも部分的に基づいてこれらの車両の全体最適挙動を決定することができる。全体最適挙動の一達成形態は(1)車両A~Cのいずれの間にも衝突が発生せず、(2)一方で車両A~Cの運転嗜好も満足される、ということを保証できる。
【0150】
図6Bを参照すると、車両A及びBの運転嗜好は「時間の短縮」である一方、車両Cの運転嗜好は「エコ」であるため、機械学習システム191は車両A及びBに車両Cよりも前に交差点を通過するように命令することができる。車両Aの運転嗜好の重みは車両Bの運転嗜好の重みよりも大きいため、機械学習システム191は車両Aに車両Bよりも前に交差点を通過するように命令することができる。
【0151】
次いで、機械学習システム191は、車両Aが最初に交差点を通過し、車両Bが次に交差点を通過し、車両Cが最後に交差点を通過するように車両A~Cの個別最適挙動を決定する。機械学習システム191は、車両A~Cがそれぞれの個別最適挙動を遂行できるように、これらの車両の個別最適挙動を記述する車両挙動データを車両A~Cへそれぞれ送信する。
【0152】
図7A~7Bは、いくつかの実施形態による最適な車両挙動を提供する例示的なシミュレーションを示すグラフ表現700及び710である。シミュレーションには3台の車両(車両A、B及びC)が存在する。
【0153】
いくつかの実施形態では、機械学習システム191ネゴシエータモジュール197は最適化メカニズムを用いて車両の個別最適挙動を決定する。最適化メカニズム内には、基本的な運転要求事項が満足されるように1つ又は複数の制約事項が構成されている。最適化メカニズムの目的は、車両のカスタム化ニーズの充足の最大化を含む。例えば、最適化メカニズムの目的は、到着時間の最小化、燃費の最小化、急な動きの最小化、快適さの最小化などの1つ以上を含んでいてもよい。
【0154】
例えば、車両Aの運転嗜好が重みがWAの移動時間の短縮、車両Bの運転嗜好が重みがWBの燃費、車両Cの運転嗜好が重みがWCの快適さの経験であると仮定する。次いで、最適化メカニズムの目的は、重みWAで重み付けされた車両Aの到着時間の最小化、重みWBで重み付けされた車両Bの燃費の最小化、及び重みWCで重み付けされた車両Cの快適さの経験の最大化を含んでいてもよい。
【0155】
ネゴシエータモジュール197は、最適化メカニズムを適用する際に以下の要因(1)~(7)の1つ以上を考慮する。要因(1)は各車両が計画した軌道(「計画軌道」)を含む。要因(2)は車両の軌道が遵守すべき1つ又は複数の根本規則(例えば、運動方程式、速度制限、出力制限など)を含む。要因(3)は遵守すべき1つ又は複数の交通規則(例えば、各車両が正しい車線内に存在し正しい方向を向いていること、各車両が速度制限を守る必要があることなど)を含む。交通規則は、例えば、車線の形状、車線の物理的な境界、及び移動方向などを記述していてもよい。要因(4)は車両が隣接する車両と衝突しないこと(例えば、隣接する車両間は充分なスペースを保つ必要がある)を含む。要因(5)は車両の強制軌道が他の車両と衝突することなく可能であるか否かを含む。要因(6)は車両が制御可能であるか又は制御不能であるかを含む。要因(7)は領域内のいかなる車両についても衝突がないという要求事項を含む。
【0156】
図7Aのシミュレーションを参照すると、ネゴシエータモジュール197は、最適化メカニズムを適用する際に車両の到着時間を最小化する目的関数を用いて上記の要因(1)~(4)を考慮する。各車両の計画軌道を
図7Aに示す。最適化メカニズムは最適化問題の公式として混合整数線形計画法(MILP)を使用し、最適化ソルバ―(例えば、ORツール)を適用して最適化問題を解決する。各車両強制軌道によるシミュレーション結果を
図7Bに示す。ネゴシエータモジュール197は車道で衝突が発生しないように各車両の強制軌道を決定する。
【0157】
図7C~7Dは、いくつかの実施形態による最適車両挙動を提供する別の例示的なシミュレーションを示すグラフ表現730及び750である。車両A~Cの計画軌道を
図7Cに示す。ネゴシエータモジュール197は、メカニズムを適用する際に車両の到着時間を最小化する目的関数を用いて上記の要因(1)~(4)を考慮する。さらに、考慮する特定の車両グループについて、最適化メカニズムは他のグループの計画軌道を当該特定の車両グループの立ち入り禁止区域として定義する。最適化メカニズムはMILPを最適化問題の公式として使用し、最適化ソルバ―(例えば、ORツール)を適用して最適化問題を解決する。
【0158】
例えば、最適化問題を適用する際に、ネゴシエータモジュール197は交差する計画軌道を有する車両を決定する(例えば、車両B及びCは交差する計画軌道を有する)。ネゴシエータモジュール197は、交差する計画軌道を有する車両を同じグループに分類する。例えば、ネゴシエータモジュール197は、車両Aが他の車両との交差する計画軌道を有しないため、車両AをグループAに分類する。ネゴシエータモジュール197は車両B及びCが交差する計画軌道を有するため、車両B及びCをグループBに分類する。次に、ネゴシエータモジュール197は、特定のグループの強制軌道を決定する際に他のグループの計画軌道を考慮から除外する(例えば、他のグループの計画軌道は当該特定のグループにとって障害物を考えられる)。例えば、ネゴシエータモジュール197は、グループBの強制軌道を決定する際に車両Aの計画軌道を考慮から除外する。
【0159】
車両の強制軌道のシミュレーション結果を
図7Dに示す。例えば、ネゴシエータモジュール197はグループA内の車両Aの強制軌道を決定する。ネゴシエータモジュール197はまた、グループB内の車両B及びCの強制軌道をそれぞれ決定する。車両の衝突は発生しない。他の関連しない車両(例えば、車両A)の計画軌道を除外することで、
図7C~7Dの最適化メカニズムを実行する時間が
図7A~7Bに示すシミュレーションと比較して短くなる。
【0160】
上記の記述で、説明を分かり易くするために、本明細書を徹底的な理解を提供するために多くの具体的な詳細例について述べている。ただし、本開示がこれらの具体的な詳細例によらずに遂行できることは当業者には明らかであろう。いくつかのインスタンスで、構造及びデバイスは説明を分かりにくくしないためにブロック図の型式で示されている。例えば、この実施形態は主としてユーザインタフェース及び特定のハードウェアを参照しながら上記してもよい。ただし、この実施形態はデータ及びコマンドを受信できる任意のタイプのコンピュータシステム、及びサービスを提供する任意の周辺デバイスに適用できる。
【0161】
本明細書で「いくつかの実施形態」又は「いくつかのインスタンス」への言及は、当該実施形態又はインスタンスに関連して記載した特定の特徴、構造、又は特徴が本明細書の少なくとも1つの実施形態に含めることができるということを意味する。本明細書の様々な場所における「いくつかの実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同一の実施形態を参照しているものではない。
【0162】
以下の詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズム及び象徴的表現によって提示されている。これらのアルゴリズムの説明及び表現は、データ処理技術における当業者がその作業の本質を他の当業者に最も効果的に伝えるために用いる手段である。アルゴリズムは、ここでは、所望の結果をもたらすつじつまの合う首尾一貫した一連のステップであり、概してそのように考えられている。上記のステップは物理的量の物理的操作を必要とするステップである。普通は、必ずしも必要であるという訳ではないが、これらの物理量は、記憶され、転送され、組み合わされ、比較され、又はその他の方法で操作可能な電気信号又は磁気信号の形態をとる。これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語、数字、又は同種のものとして表すことは、主として共有使用の理由で場合によっては好都合であることが分かっている。
【0163】
ただし、これらの用語及び同様の用語の全てには適当な物理量が関連付けられるべきであり、これらの量に適用される好都合なラベルにすぎないことを念頭に置かれたい。特に断りのない限り、以下の考察から明らかなように、説明全体を通して、「処理する」又は「計算する」又は「算出する」又は「決定する」又は「表示する」、又は同種のものを含む考察が、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的な(電子的な)量として表されるデータを操作して、コンピュータシステムメモリ又はレジスタ又は他のそのような情報記憶装置、伝送装置、又は表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに変換するコンピュータシステム、又は同様の電子コンピューティングデバイスの動作及びプロセスを指すことが理解されよう。
【0164】
本明細書の実施形態は、本明細書に記載の動作を実行する装置にも関する。この装置は、要求される目的のために特別に構成されていてもよく、又はコンピュータ内に記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成される汎用コンピュータを含んでいてもよい。そのようなコンピュータプログラムは、これに限定されないが、コンピュータシステムバスに各々が結合されるフロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、CD-ROM、及び磁気ディスクを含む任意のタイプのディスク、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード若しくは光学式カード、不揮発性メモリを備えたUSBキーを含むフラッシュメモリ、又は電子命令を記憶するのに適した任意のタイプの媒体を含む、コンピュータ可読記憶媒体に記憶することができる。
【0165】
本明細書は、いくつかの完全にハードウェアの実施形態、いくつかの完全にソフトウェアの実施形態、又はハードウェア及びソフトウェアの両方の要素を含むいくつかの実施形態の形をとることができる。いくつかの好ましい実施形態では、本明細書は、これに限定されないが、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含むソフトウェアにおいて遂行される。
【0166】
さらに、本明細書は、コンピュータ又は任意の命令実行システムによって又はそれに関連して使用されるプログラムコードを提供する、コンピュータで使用可能な又はコンピュータで読み出し可能な媒体からアクセス可能なコンピュータプログラムプロダクトの形をとることができる。本明細書のために、コンピュータで使用可能な又はコンピュータが読み出し可能な媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって又はそれに関連して使用されるプログラムを含み、記憶し、通信し、伝搬し、又は転送することができる任意の装置であることもできる。
【0167】
プログラムコードを記憶又は実行するのに適したデータ処理システムは、メモリ要素に直接に又はシステムバスを通じて間接的に結合された少なくとも1つのプロセッサを含む。メモリ要素は、プログラムコードの実際の実行中に用いられるローカルメモリと、大容量記憶装置と、コードが実行中に大容量記憶装置から取り出されなければならない回数を減らすために少なくとも何らかのプログラムコードの一時記憶を提供するキャッシュメモリとを含むことができる。
【0168】
入出力又はI/Oデバイス(これに限定されないが、キーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイスなどを含む)は、直接に又は介在するI/Oコントローラを通じて、システムへ結合することができる。
【0169】
ネットワークアダプタもシステムへ結合されてよく、これによって、データ処理システムを、介在する私設又は公衆ネットワークを通じて他のデータ処理システム又はリモートプリンタ若しくは記憶デバイスに結合することが可能になる。モデム、ケーブルモデム及びイーサネット(登録商標)カードは、ごく少数の現在利用可能なタイプのネットワークアダプタである。
【0170】
そして、本明細書に示されたアルゴリズム及びディスプレイは、本質的にいかなる特定のコンピュータ又はその他の装置とも関係するものではない。様々な汎用システムを本明細書での教示に従ってプログラムと併せて使用してもよく、又は必要な方法ステップを実行するより専用の装置を構成するほうが好都合であることが証明される可能性がある。これらの様々なシステムに求められる構造は以下の説明から明らかになろう。さらに、本発明はいかなる特定のプログラミング言語も参照して説明されない。様々なプログラミング言語を用いて、記載した本明細書の教示を実施できることが理解されよう。
【0171】
本明細書の実施形態の上記記載は、例示及び説明のために提示されている。それは、包括的であったり、又は、開示された厳密な形態に本明細書を限定するよう意図されていない。多くの変更及び変形が上記の教示に照らして可能である。本開示の適用範囲は、この詳細な説明によってではなく、本願の特許請求の範囲によって限定されるよう意図される。当業者であれば理解するように、本明細書は、その主旨又は必須の特徴から逸脱することなしに、他の具体的な形態で具現化できる。同様に、モジュール、ルーチン、特徴、属性、方法及びその他の態様の特定の名称及び区分は、必須でも重要でもなく、本明細書又はその特徴を実施するメカニズムは、異なった名称、区分又はフォーマットを有していてもよい。さらに、当業者には明らかなように、モジュール、ルーチン、特徴、属性、方法、及び本開示の他の態様は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれら3つのあらゆる組み合わせとして実施されてよい。また、本明細書のコンポーネント(例えばモジュール)がどこにソフトウェアとして実施されようとも、当該コンポーネントは、スタンドアローンのプログラムとして、より大きいプログラムの部分として、複数の別個のプログラムとして、静的若しくは動的にリンクされたライブラリとして、カーネルローダブルモジュールとして、デバイスドライバとして、又はコンピュータプログラミング技術の当業者に現在又は将来知られるありとあらゆる他の方法によって実施することができる。さらに、本開示は、いかなる具体的なプログラミング言語による実施形態にも、又はいかなる具体的なオペレーティングシステム若しくは環境の実施形態にも決して限定されない。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲に示した本明細書の適用範囲を限定することなく例示するように意図される。
【0172】
本開示は以下の例を含む。
[例1]
コンピュータプログラムプロダクトであって、
コネクテッド車両の車載コンピュータシステムの非一時的なメモリであって、
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
コネクテッド車両のカスタム化ニーズを記述するカスタム化データを含むビークルツーエブリシング(V2X)データを生成させ、
V2X通信を介して、前記V2Xデータを含むフィードバックメッセージを送信させ、
前記V2X通信を介して、前記V2Xデータに少なくとも部分的に基づいて決定される前記コネクテッド車両の個別最適挙動を記述する車両挙動データを含む修正メッセージを受信させ、
前記コネクテッド車両が前記個別最適挙動を遂行するように前記車両挙動データに基づいて前記コネクテッド車両の車両制御システムの動作を修正させる、コンピュータ実行可能コードを記憶する非一時的なメモリを含み、
前記コネクテッド車両による前記個別最適挙動の遂行が前記コネクテッド車両の前記カスタム化ニーズも満足しながら前記コネクテッド車両が位置する領域の全体最適挙動の達成に貢献する、コンピュータプログラムプロダクト。
[例2]
前記コネクテッド車両による前記個別最適挙動の遂行が、前記コネクテッド車両と前記領域内の1つ又は複数の他の車両との間に衝突が発生しないことと、前記コネクテッド車両のカスタム化ニーズが前記1つ又は複数の他の車両の1つ又は複数のカスタム化ニーズに干渉することなく満足されることとのうちの1つ以上を示す、例1に記載のコンピュータプログラムプロダクト。
[例3]
前記コネクテッド車両と前記1つ又は複数の他の車両が前記領域内の車両グループに含まれ、前記領域の全体最適挙動の達成が、前記車両グループ内で衝突が発生しないことと、前記グループ内の各車両のカスタム化ニーズが前記グループ内の残りの車両のカスタム化ニーズを修正することなく満足されることとのうちの1つ以上を示す、例2に記載のコンピュータプログラムプロダクト。
[例4]
前記コネクテッド車両のカスタム化ニーズが、前記コネクテッド車両の運転意図及び前記運転意図の第1の重みと、前記コネクテッド車両の運転嗜好及び前記運転嗜好の第2の重みとのうちの1つ以上によって記述される、例1に記載のコンピュータプログラムプロダクト。
[例5]
コネクテッド車両のための方法であって、
ビークルツーエブリシング(V2X)通信を介して、前記コネクテッド車両のカスタム化ニーズを記述するカスタム化データを含むV2Xデータを送信することと、
前記V2X通信を介して、前記V2Xデータに少なくとも部分的に基づいて決定される前記コネクテッド車両の個別最適挙動を記述する車両挙動データを受信することと、
前記コネクテッド車両が前記個別最適挙動を遂行するように前記車両挙動データに基づいて前記コネクテッド車両の車両制御システムの動作を修正すること、とを含み、
前記コネクテッド車両による前記個別最適挙動の遂行が前記コネクテッド車両の前記カスタム化ニーズも満足しながら前記コネクテッド車両が位置する領域の全体最適挙動の達成に貢献する、方法。
[例6]
前記コネクテッド車両による前記個別最適挙動の遂行が、前記コネクテッド車両と前記領域内の1つ又は複数の他の車両との間に衝突が発生しないことと、前記コネクテッド車両のカスタム化ニーズが前記1つ又は複数の他の車両の1つ又は複数のカスタム化ニーズに干渉することなく満足されることとのうちの1つ以上を示す、例5に記載の方法。
[例7]
前記コネクテッド車両と前記1つ又は複数の他の車両が前記領域内の車両グループに含まれ、前記領域の全体最適挙動の達成が、前記車両グループ内で衝突が発生しないことと、前記グループ内の各車両のカスタム化ニーズが前記グループ内の残りの車両のカスタム化ニーズを修正することなく満足されることとのうちの1つ以上を示す、例6に記載の方法。
[例8]
前記コネクテッド車両のカスタム化ニーズが、1つ又は複数のカスタム化パラメータと前記1つ又は複数のカスタム化パラメータの1つ又は複数の重みとによって記述される、例5に記載の方法。
[例9]
前記1つ又は複数のカスタム化パラメータが、前記コネクテッド車両に関連付けられた運転意図と運転嗜好との1つ以上を含む、例8に記載の方法。
[例10]
前記1つ又は複数のカスタム化パラメータを記述するパラメータデータと、前記1つ又は複数の重みを記述する重みデータと、前記コネクテッド車両のセンサデータ及び前記コネクテッド車両の先進運転支援システム(ADAS)データとのうちの1つ以上を含むV2Xデータを生成することをさらに含む、例8に記載の方法。
[例11]
前記コネクテッド車両の将来の挙動を予測することをさらに含み、前記V2Xデータが前記コネクテッド車両の前記将来の挙動を記述する予測データをさらに含む、例5に記載の方法。
[例12]
前記個別最適挙動が、前記コネクテッド車両について最適化された、前記コネクテッド車両の強制軌道、加速設定、ステアリング角設定及び速度設定を含む、例5に記載の方法。
[例13]
前記個別最適挙動が前記領域内の交通規則要求事項及び安全要求事項の1つ以上を満足する、例5に記載の方法。
[例14]
システムであって、
非一時的なメモリを含むコネクテッド車両の車載コンピュータシステムを含み、
前記メモリは、前記車載コンピュータシステムによって実行されると、前記車載コンピュータシステムに、
ビークルツーエブリシング(V2X)通信を介して、前記コネクテッド車両のカスタム化ニーズを記述するカスタム化データを含むV2Xデータを送信させ、
前記V2X通信を介して、前記V2Xデータに少なくとも部分的に基づいて決定される前記コネクテッド車両の個別最適挙動を記述する車両挙動データを受信させ、
前記コネクテッド車両が前記個別最適挙動を遂行するように前記車両挙動データに基づいて前記コネクテッド車両の車両制御システムの動作を修正させるコンピュータコードを記憶し、
前記コネクテッド車両による前記個別最適挙動の遂行が前記コネクテッド車両の前記カスタム化ニーズも満足しながら前記コネクテッド車両が位置する領域の全体最適挙動の達成に貢献する、システム。
[例15]
前記コネクテッド車両による前記個別最適挙動の遂行が、前記コネクテッド車両と前記領域内の1つ又は複数の他の車両との間に衝突が発生しないことと、前記コネクテッド車両のカスタム化ニーズが前記1つ又は複数の他の車両の1つ又は複数のカスタム化ニーズに干渉することなく満足されることとのうちの1つ以上を示す、例14に記載のシステム。
[例16]
前記コネクテッド車両と前記1つ又は複数の他の車両が前記領域内の車両グループに含まれ、前記領域の全体最適挙動の達成が、前記車両グループ内で衝突が発生しないことと、前記グループ内の各車両のカスタム化ニーズが前記グループ内の残りの車両のカスタム化ニーズを修正することなく満足されることとのうちの1つ以上を示す、例15に記載のシステム。
[例17]
前記コネクテッド車両のカスタム化ニーズが、1つ又は複数のカスタム化パラメータ及び前記1つ又は複数のカスタム化パラメータの1つ又は複数の重みとによって記述される、例14に記載のシステム。
[例18]
前記1つ又は複数のカスタム化パラメータが、前記コネクテッド車両に関連付けられた運転意図及び運転嗜好の1つ以上を含む、例17に記載のシステム。
[例19]
前記コンピュータコードが、前記車載コンピュータシステムによって実行されると、前記車載コンピュータシステムに、前記コネクテッド車両の前記1つ又は複数のカスタム化パラメータを記述するパラメータデータと、前記1つ又は複数の重みを記述する重みデータと、センサデータと、前記コネクテッド車両の先進運転支援システム(ADAS)データとのうちの1つ以上を含むV2Xデータをさらに生成させる、例17に記載のシステム。
[例20]
前記コンピュータコードが、前記車載コンピュータシステムによって実行されると、前記車載コンピュータシステムに、前記コネクテッド車両の将来の挙動をさらに予測させ、前記V2Xデータが前記コネクテッド車両の前記将来の挙動を記述する予測データをさらに含む、例14に記載のシステム。