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特許7589467梱包検査装置、梱包検査方法、梱包検査システム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】梱包検査装置、梱包検査方法、梱包検査システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20240101AFI20241119BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20241119BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20241119BHJP
【FI】
G06Q10/08
G16Y20/20
G16Y40/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020148319
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042754
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】菊池 浩太
(72)【発明者】
【氏名】野原 隆史
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-118259(JP,A)
【文献】特許第6678855(JP,B1)
【文献】特開2020-045132(JP,A)
【文献】特許第6598182(JP,B1)
【文献】特開2008-297086(JP,A)
【文献】特開2019-021065(JP,A)
【文献】RotationNet + 多視点画像データセット,[online],人口知能研究センター,2020年10月31日,インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20201031223821/https://www.airc.aist.go.jp/achievements/ja/p-009.html>,[2024年6月24日検索]
【文献】赤塚隼ほか,画像認識を用いた商品棚解析ソリューション-画像から商品の陳列情報を一括把握-,NTT DOCOMOテクニカル・ジャーナル[online],Vol. 26 No. 2(Jul. 2018),2018年07月,インターネット<URL:https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/technical_journal/bn/vol26_2/vol26_2_005jp.pdf>,[2024年6月24日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16Y 20/20
G16Y 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
案件毎に、対象となる物品群が示された案件情報を取得する案件情報取得部と
前記案件情報に基づいて、案件毎に、梱包箱と前記梱包箱に梱包する物品と前記梱包箱に物品を重ねて梱包する際の上段又は下段の何れに梱包するかを物品毎に示す梱包状態とが対応付けられた梱包仕様情報を作成する梱包仕様作成部と、
案件に対応付けられた梱包箱を一意に識別する識別情報を取得する識別情報取得部と
梱包前の物品が撮像された第1画像に基づいて物品を識別する物品識別部と、
前記梱包仕様情報、及び前記物品識別部による識別結果に基づいて、梱包前の物品が梱包箱に梱包される対象であるか否かを判定する梱包対象検査部と、
梱包過程において下段に梱包する物品が梱包された状態が撮像された第2画像、及び前記梱包仕様情報に基づいて、梱包過程における下段の梱包状態が正しいか否かを判定し、正しい梱包状態である場合に次の上段の梱包作業が進められるようにする梱包状態検査部と、
を備える梱包検査装置。
【請求項2】
前記物品識別部は、前記第1画像を物品識別モデルに入力することによって得られる出力結果に基づいて物品を識別し、
前記梱包状態検査部は、前記第2画像を梱包状態識別モデルに入力することによって得られる出力結果に基づいて梱包過程における下段の梱包状態が正しいか否かを判定し、
前記梱包状態識別モデルは、学習用画像に梱包状態が正しいか否かを示すラベルが対応付けられた学習用のデータセットに基づいて、画像と正しい梱包状態との対応関係を学習した学習済みモデルであり、
前記梱包状態識別モデルの学習用画像は、梱包過程における下段の梱包状態が撮像された画像を含む、
請求項1に記載の梱包検査装置。
【請求項3】
前記物品識別モデルは、学習用画像に対象物品か否かを示すラベルが対応付けられた学習用のデータセットに基づいて、画像と対象物品との対応関係を学習した学習済みモデルであり、
前記物品識別モデルの学習用画像は、対象物品が互いに異なる位置から撮像された画像群、及び梱包箱に梱包され得る物品であって対象物品とは異なる非対象物品の画像を含む、
請求項に記載の梱包検査装置。
【請求項4】
前記物品識別モデルの学習用画像は、複数の対象物品が撮像された画像、及び対象物品と非対象物品とが混在した画像を含む、
請求項又は請求項に記載の梱包検査装置。
【請求項5】
前記梱包状態識別モデルの学習用画像は、梱包過程にある梱包状態が撮像された画像を含む、
請求項に記載の梱包検査装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の梱包検査装置と、
梱包箱に付されたコードから読み取った情報を、前記識別情報として前記梱包検査装置に出力するコードリーダと、
梱包前の物品を撮像し、撮像した画像を前記梱包検査装置に出力する撮像装置と、
を備える梱包検査システム。
【請求項7】
梱包検査装置のコンピュータによる梱包検査方法であって、
案件情報取得部が、案件毎に対象となる物品群が示された案件情報を取得し、
梱包仕様作成部が、前記案件情報に基づいて、案件毎に、梱包箱と前記梱包箱に梱包する物品と前記梱包箱に物品を重ねて梱包する際の上段又は下段の何れに梱包するかを物品毎に示す梱包状態とを対応させた梱包仕様情報を作成し、
識別情報取得部が、案件に対応付けられた梱包箱を一意に識別する識別情報を取得し、
物品識別部が、梱包前の物品が撮像された第1像に基づいて物品を識別し、
梱包対象検査部が、前記梱包仕様情報、及び前記物品識別部による識別結果に基づいて、梱包前の物品が梱包箱に梱包される対象であるか否かを判定し、
梱包状態検査部が、梱包過程において下段に梱包する物品が梱包された状態が撮像された第2画像、及び前記梱包仕様情報に基づいて、梱包過程における下段の梱包状態が正しいか否かを判定し、正しい梱包状態である場合に次の上段の梱包作業が進められるようにする、
梱包検査方法。
【請求項8】
梱包検査装置のコンピュータに、
案件毎に対象となる物品群が示された案件情報を取得させ、
前記案件情報に基づいて、案件毎に、梱包箱と前記梱包箱に梱包する物品と前記梱包箱に物品を重ねて梱包する際の上段又は下段の何れに梱包するかを物品毎に示す梱包状態とを対応させた梱包仕様情報を作成させ、
案件に対応付けられた梱包箱を一意に識別する識別情報を取得させ、
梱包前の物品が撮像された第1像に基づいて物品を識別させ、
前記梱包仕様情報、及び前記物品を識別させた識別結果に基づいて、梱包前の物品が梱包箱に梱包される対象であるか否かを判定させ
梱包過程において下段に梱包する物品が梱包された状態が撮像された第2画像、及び前記梱包仕様情報に基づいて、梱包過程における下段の梱包状態が正しいか否かを判定させ、正しい梱包状態である場合に次の上段の梱包作業が進められるようにする、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包検査装置、梱包検査方法、梱包検査システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品を梱包する現場等において正しい梱包がなされているか検品する技術がある。例えば、梱包状態を撮像した画像を用いて、その梱包状態が正しい状態か否かを判定する技術が開示されている(例えば、特許文献1-2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-210646号公報
【文献】特開2020-45132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1-2の技術は、ラインのような搬送機構を用いて単一商品を次々に梱包していくような、梱包状態が1つのパターンに固定される単純な状況を想定している。すなわち、梱包状態を確認するのみでは検査できない状況が想定されていない。例えば、多品種の商品が梱包箱ごとに重なり合って1つの梱包箱に梱包されるような場合において、商品を収容した後の梱包状態を上から確認するのみでは、正しい梱包が行われているか検査することが困難であった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、商品が重なり合って1つの梱包箱に梱包されるような場合であっても、正しい梱包が行われているか否かを判定することができる梱包検査装置、梱包検査方法、梱包検査システム、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の、梱包検査装置は、案件毎に、対象となる物品群が示された案件情報を取得する案件情報取得部と前記案件情報に基づいて、案件毎に、梱包箱と前記梱包箱に梱包する物品と前記梱包箱に物品を重ねて梱包する際の上段又は下段の何れに梱包するかを物品毎に示す梱包状態とが対応付けられた梱包仕様情報を作成する梱包仕様作成部と、案件に対応付けられた梱包箱を一意に識別する識別情報を取得する識別情報取得部と、梱包前の物品が撮像された第1像に基づいて物品を識別する物品識別部と、前記梱包仕様情報、及び前記物品識別部による識別結果に基づいて、梱包前の物品が梱包箱に梱包される対象であるか否かを判定する梱包対象検査部と、梱包過程において下段に梱包する物品が梱包された状態が撮像された第2画像、及び前記梱包仕様情報に基づいて、梱包過程における下段の梱包状態が正しいか否かを判定し、正しい梱包状態である場合に次の上段の梱包作業が進められるようにする梱包状態検査部と、を備える。
【0007】
本発明の、梱包検査システムは、上記に記載の梱包検査装置と、梱包箱に付されたコードから読み取った情報を、前記識別情報として前記梱包検査装置に出力するコードリーダと、梱包前の物品を撮像し、撮像した画像を前記梱包検査装置に出力する撮像装置と、を備える。
【0008】
本発明の、梱包検査方法は、梱包検査装置のコンピュータによる梱包検査方法であって、案件情報取得部が、案件毎に対象となる物品群が示された案件情報を取得し、梱包仕様作成部が、前記案件情報に基づいて、案件毎に、梱包箱と前記梱包箱に梱包する物品と前記梱包箱に物品を重ねて梱包する際の上段又は下段の何れに梱包するかを物品毎に示す梱包状態とを対応させた梱包仕様情報を作成し、識別情報取得部が、案件に対応付けられた梱包箱を一意に識別する識別情報を取得し、物品識別部が、梱包前の物品が撮像された第1像に基づいて物品を識別し、梱包対象検査部が、前記梱包仕様情報、及び前記物品識別部による識別結果に基づいて、梱包前の物品が梱包箱に梱包される対象であるか否かを判定し、梱包状態検査部が、梱包過程において下段に梱包する物品が梱包された状態が撮像された第2画像、及び前記梱包仕様情報に基づいて、梱包過程における下段の梱包状態が正しいか否かを判定し、正しい梱包状態である場合に次の上段の梱包作業が進められるようにする。
【0009】
本発明の、プログラムは、梱包検査装置のコンピュータに、案件毎に対象となる物品群が示された案件情報を取得させ、前記案件情報に基づいて、案件毎に、梱包箱と前記梱包箱に梱包する物品と前記梱包箱に物品を重ねて梱包する際の上段又は下段の何れに梱包するかを物品毎に示す梱包状態とを対応させた梱包仕様情報を作成させ、案件に対応付けられた梱包箱を一意に識別する識別情報を取得させ、梱包前の物品が撮像された第1像に基づいて物品を識別させ、前記梱包仕様情報、及び前記物品を識別させた識別結果に基づいて、梱包前の物品が梱包箱に梱包される対象であるか否かを判定させ、梱包過程において下段に梱包する物品が梱包された状態が撮像された第2画像、及び前記梱包仕様情報に基づいて、梱包過程における下段の梱包状態が正しいか否かを判定させ、正しい梱包状態である場合に次の上段の梱包作業が進められるようにする、プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、商品が重なり合って1つの梱包箱に梱包されるような場合であっても、正しい梱包が行われているか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による梱包検査装置10が適用された梱包検査システム1の例を示す図である。
図2】本発明の実施形態による梱包検査装置10が適用された梱包検査システム1の例を示す図である。
図3】本発明の実施形態による梱包検査装置10の構成例を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態による梱包仕様情報121の構成例を示す図である。
図5】本発明の実施形態による梱包検査装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態による梱包検査装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態による梱包検査装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態の変形例1に係る物品識別モデル122の学習方法を説明するための図である。
図9】本発明の実施形態の変形例2に係る物品識別モデル122の学習方法を説明するための図である。
図10】本発明の実施形態の変形例3に係る梱包仕様情報121の構成例を示す図である。
図11図10の梱包仕様情報121に対応する梱包状態の一例を示す図である。
図12図10の梱包仕様情報121に対応する梱包状態の一例を示す図である。
図13】本発明の実施形態の変形例4に係る梱包仕様情報121の構成例を示す図である。
図14図13の梱包仕様情報121に対応する梱包状態の一例を示す図である。
図15図13の梱包仕様情報121に対応する梱包状態の一例を示す図である。
図16】本発明の実施形態の変形例5に係る梱包仕様情報121の構成例を示す図である。
図17図16の梱包仕様情報121に対応する梱包状態の一例を示す図である。
図18】本発明の実施形態の変形例6に係る撮像上の工夫を説明する図である。
図19】本発明の実施形態の変形例6に係る撮像上の工夫を説明する図である。
図20】本発明の実施形態の変形例6に係る撮像上の工夫を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
梱包検査システム1は、梱包箱BXに物品BPが正しく梱包されることを検査するシステムである。本実施形態における梱包箱は、物品を収容するために使用される容器である。物品には、梱包箱に梱包された状態で配送可能な任意の商品、ノベルティグッズ、販促用部材などが含まれる。包装箱は、例えば、段ボール箱、各種の封筒、外装箱などである。包装箱には、物品を包む包装物、包装袋などが含まれてもよい。また、包装箱の形状は、少なくとも物品を収容可能であれば任意の形状であってよく、例えば、立方体や直方体などの箱型形状のほか、筒状などの形状であってもよい。
【0014】
図1図2は、本発明の実施形態による梱包検査装置10が適用された梱包検査システム1の例を示す図である。本実施形態では、2つの検査、「ピッキング検査」と、「梱包状態検査」が行われる。
【0015】
「ピッキング検査」は、梱包前に行われる検査である。ピッキング検査では、これから梱包箱BXに梱包しようとしている物品が梱包対象として正しいか否かが判定される。ピッキング検査が行われることにより、梱包対象が正しく選択されていることが、梱包前に確認できる。このため、1つの梱包箱BXに多品種の物品BPを梱包する場合など複雑な状況であっても、梱包対象ではない物品BPが誤って梱包されてしまうような過剰梱包、或いは、梱包対象の物品BPが1つだけ梱包されないような梱包ミスを防ぐことが可能である。
【0016】
図1には、梱包検査装置10を「ピッキング検査」に適用する例が示されている。この場合、梱包検査システム1は、撮像装置CMと、コードリーダRDと、梱包検査装置10と、を備える。撮像装置CMは、物品BPを撮像し、撮像した画像を梱包検査装置10に出力する。コードリーダRDは、梱包箱BXに付されたコードCDを読み取り、読み取った情報(梱包箱ID)を梱包検査装置10に出力する。
【0017】
梱包検査装置10は、PC(Personal Computer)などのコンピュータ装置である。梱包検査装置10は、例えば、梱包仕様情報121と、物品識別モデル122とを記憶する。梱包仕様情報121は、梱包の仕様を規定する情報であって、案件毎に、梱包箱BXと、その梱包箱BXに梱包する物品BPとが対応付けられた情報である。物品識別モデル122は、画像に基づいて物品を識別する学習済みモデルである。
【0018】
梱包検査装置10は、撮像装置CMから取得した画像を物品識別モデル122に入力する。物品識別モデル122は、入力された画像に基づいて、画像に撮像された物品を識別し、識別結果を出力する。梱包検査装置10は、物品識別モデル122から得られた識別結果と、コードリーダRDから取得した梱包箱IDとを用いて、梱包仕様情報121を参照する。梱包検査装置10は、梱包仕様情報121を参照することにより、物品BPが梱包箱BXに梱包する対象とする物品(梱包対象)であるか否かを判定し、判定結果を出力する。この図の例では、物品BPが梱包対象であると判定され、「ピッキングOK」が出力されたことが示されている。梱包検査システム1では、「ピッキングOK」が出力されたことを受けて、物品BPを梱包箱BXに収容する梱包作業に移行する。
【0019】
「梱包状態検査」は、梱包作業後に行われる検査である。梱包状態検査では、梱包箱BXに収容された物品BPの状態(梱包状態)が正しいか否かが判定される。梱包状態検査が行われることにより、物品BPが正しい向きや数量で梱包箱BXに収容されているか確認することができる。このため、梱包箱BXへの収容が不適切であるために、例えば、梱包箱BXに梱包対象の全ての物品BPが収容できなかったり、収容した物品BPが破損してしまったりするような不具合の発生を低減させることが可能である。
【0020】
図2には、梱包検査装置10を「梱包状態検査」に適用する例が示されている。この場合、梱包検査システム1は、撮像装置CMと、コードリーダRDと、梱包検査装置10と、を備える。撮像装置CMは、物品BPが梱包箱BXに収容された梱包状態KJを撮像し、撮像した画像を梱包検査装置10に出力する。コードリーダRDは、梱包箱BXに付されたコードCDを読み取り、読み取った情報(梱包箱ID)を梱包検査装置10に出力する。
【0021】
梱包検査装置10は、例えば、梱包仕様情報121と、梱包状態識別モデル123とを記憶する。梱包仕様情報121は、梱包箱BXに物品BPを梱包する際の梱包状態が対応付けられた情報である。梱包状態識別モデル123は、画像に基づいて正しい梱包状態か否かを識別する学習済みモデルである。
【0022】
梱包検査装置10は、撮像装置CMから取得した画像を梱包状態識別モデル123に入力する。梱包状態識別モデル123は、入力された画像に基づいて、画像に撮像された梱包状態が正しいか否かを識別し、識別結果を出力する。梱包検査装置10は、梱包状態識別モデル123から得られた識別結果と、コードリーダRDから取得した梱包箱IDとを用いて、梱包仕様情報121を参照する。梱包検査装置10は、梱包仕様情報121を参照することにより、梱包状態KJが正しいか否かを判定し、判定結果を出力する。この図の例では、正しい梱包状態であると判定され、「梱包状態OK」が出力されたことが示されている。梱包検査システム1では、「梱包状態OK」が出力されたことを受けて、物品BPが収容された梱包箱BXを配送する作業に移行する。
【0023】
図3は、本発明の実施形態による梱包検査装置10の構成例を示すブロック図である。梱包検査装置10は、例えば、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。通信部11は、撮像装置CM、及びコードリーダRDと通信を行う。
【0024】
記憶部12は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。記憶部12は、梱包検査装置10の各種の処理を実行するためのプログラム、及び各種の処理を行う際に利用される一時的なデータを記憶する。
【0025】
記憶部12は、例えば、案件情報120と、梱包仕様情報121と、物品識別モデル122と、梱包状態識別モデル123とを記憶する。案件情報120は、案件に関する情報である。ここでの案件は、例えば客先からの注文内容に応じて作成されるものであって、注文を受けた物品群が示された情報である。案件情報120は、配送先の住所や納期などの情報が含まれていてもよい。
【0026】
梱包仕様情報121は、上述した通り、梱包の仕様を規定する情報であって、案件毎に、梱包箱BXと、その梱包箱BXに梱包する物品BPとが対応付けられた情報である。また、梱包仕様情報121は、梱包箱BXに物品BPを梱包する際の梱包状態が対応付けられた情報である。梱包仕様情報121は、案件情報120に基づいて梱包仕様作成部131によって作成される。梱包仕様作成部131が梱包仕様情報121を作成する方法については後で詳しく説明する。
【0027】
物品識別モデル122は、画像に基づいて物品を識別する学習済みモデルである。物品識別モデル122は、学習用のデータセットをRNN(Recurrent Neural Network)などの学習モデルに機械学習させることにより作成される。ここでの学習用のデータセットは、学習用の画像(入力データ)に、所定の物品であるか否かを示すラベル(正解データ)を対応づけた情報である。学習用のデータセットを機械学習させることにより、学習モデルは、画像(入力データ)に基づいて特定の物品か否か(正解データ)を導出できるように、学習モデル内の変数(パラメータ)を調整する。このように、特定の物品か否かを識別できるようにパラメータを調整した学習モデルが学習済みモデルとなり、すなわち物品識別モデル122となる。
【0028】
梱包状態識別モデル123は、画像に基づいて梱包状態の良し悪しを識別する学習済みモデルである。梱包状態識別モデル123は、学習用のデータセットをRNN(Recurrent Neural Network)などの学習モデルに機械学習させることにより作成される。ここでの学習用のデータセットは、学習用の画像(入力データ)に、正しい梱包状態であるか否かを示すラベル(正解データ)を対応づけた情報である。学習用のデータセットを機械学習させることにより、学習モデルは、画像(入力データ)に基づいて正しい梱包状態であるか否か(正解データ)を導出できるように、学習モデル内の変数(パラメータ)を調整する。このように、正しい梱包状態か否かを識別できるようにパラメータを調整した学習モデルが学習済みモデルとなり、すなわち梱包状態識別モデル123となる。本実施形態は、例えば、特定の梱包状態ごとに、その梱包状態であるか否かを識別する学習済みモデルが、梱包状態識別モデル123として作成される。
【0029】
制御部13は、梱包検査装置10が備えるハードウェアとしてのCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のProcessing Unit(プロセッシングユニット)が記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、機能が実現される。
【0030】
制御部13は、例えば、案件情報取得部130と、梱包仕様作成部131と、梱包箱ID取得部132と、物品識別部133と、梱包対象検査部134と、梱包状態検査部135とを備える。
【0031】
案件情報取得部130は、案件情報120を取得する。案件情報120は、予め記憶部12に記憶されている情報であってもよいし、外部の客先端末(不図示)から通知される情報であってもよい。案件情報取得部130は、取得した案件情報120を梱包仕様作成部131に出力する。
【0032】
梱包仕様作成部131は、案件情報120に基づいて梱包仕様情報121を作成する。梱包仕様作成部131は、例えば、案件情報120に示された物品群に基づいて、物品BPを梱包する梱包箱BXを、一つまたは複数選択する。梱包仕様作成部131は、選択した梱包箱BXごとに、その梱包箱BXに収容する物品BPを決定する。この場合において、梱包仕様作成部131は、梱包箱BXに物品BPを収容する順序を決定するようにしてもよい。例えば、梱包箱BXの底(下段)には、比較的重量の大きい物品BPを収容し、その上(上段)に、比較的重量の小さい物品BPを乗せるようにする。これにより、重量の小さい物品BPが破損しないように収容することができる。梱包仕様作成部131は、案件毎に、梱包箱BXに収容する物品BPを対応づけた情報を作成する。梱包仕様作成部131は、作成した情報を梱包仕様情報121として、記憶部12に記憶させる。
【0033】
梱包箱ID取得部132は、梱包箱IDを取得する。梱包箱IDは、案件毎の梱包箱BXを一意に識別する情報であり、梱包箱BXに付されたコードCDに埋め込まれた情報である。梱包箱ID取得部132は、コードリーダRDにより読み取られた情報を、通信部11を介して受信することで梱包箱IDを取得する。梱包箱ID取得部132は、取得した梱包箱IDを、梱包対象検査部134及び梱包状態検査部135に出力する。
【0034】
物品識別部133は、「ピッキング検査」において、物品BPを識別した識別結果を取得する。物品識別部133は、撮像装置CMにより撮像された物品BPの画像を取得し、取得した画像を物品識別モデル122に入力する。物品識別部133は、物品識別モデル122からの出力を取得する。物品識別部133は、物品識別モデル122からの出力結果を、物品BPの識別結果とする。物品識別部133は、物品BPを識別した識別結果を梱包対象検査部134に出力する。
【0035】
梱包対象検査部134は、「ピッキング検査」において、物品BPが梱包対象であるか否かを判定する。梱包対象検査部134は、梱包箱ID取得部132から取得した梱包箱IDに基づいて、梱包仕様情報121を参照する。梱包対象検査部134は、梱包仕様情報121を参照することによって、梱包箱BXに対応付けられた案件を識別し、梱包箱BXに収容されるべき物品BPを特定する。そして、梱包対象検査部134は、物品識別部133から取得した物品BPの識別結果から特定される物品が、梱包箱BXに収容されるべき物品BPであるか否かを判定する。
【0036】
梱包対象検査部134は、画像から識別される物品が、梱包箱BXに収容されるべき物品BPである場合には「ピッキングOK」を梱包検査装置10から出力させる。一方、梱包対象検査部134は、物品が、梱包箱BXに収容されるべき物品BPでない場合には「ピッキングNG」を梱包検査装置10から出力させる。
【0037】
梱包状態検査部135は、「梱包状態検査」において、正しい梱包状態であるか否かを判定する。梱包対象検査部134は、梱包箱ID取得部132から取得した梱包箱IDに基づいて、梱包仕様情報121を参照する。梱包対象検査部134は、梱包仕様情報121を参照することによって、梱包箱BXに対応付けられた梱包状態を特定する。そして、梱包状態検査部135は、撮像装置CMにより撮像された梱包箱BXにおける梱包状態の画像を取得し、取得した画像を梱包状態識別モデル123に入力する。梱包状態検査部135は、梱包状態識別モデル123からの出力に基づいて、正しい梱包状態であるか否かを識別する。
【0038】
梱包状態検査部135は、画像から識別される梱包状態が、正しい梱包状態である場合には「梱包状態OK」を梱包検査装置10から出力させる。一方、梱包状態検査部135は、梱包状態が、正しい梱包状態でない場合には「梱包状態NG」を梱包検査装置10から出力させる。
【0039】
図4は、本発明の実施形態による梱包仕様情報121の構成例を示す図である。梱包仕様情報121は、例えば、案件IDと、梱包箱IDと、物品IDと、物品個数と、梱包状態などの項目を備える。案件IDは、案件を一意に識別する情報である。梱包箱IDは、案件に対応づけられた梱包箱BXを一意に識別する情報である。物品IDは、梱包箱BXに収容する物品BPを一意に識別する情報である。物品個数は、物品IDで特定される物品を梱包箱BXに収容する個数である。梱包状態は、梱包箱BXに物品BPに収容した状態(梱包状態)を示す情報である。
【0040】
図5から図7は、本発明の実施形態による梱包検査装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。図5には、梱包検査装置10が行う処理の概要が示されている。図6には、梱包検査装置10が行う「ピッキング検査」の処理の流れが示されている。図7には、梱包検査装置10が行う「梱包状態検査」の処理の流れが示されている。
【0041】
図5に示すように、梱包検査装置10は、案件情報120を取得する(ステップS10)。梱包検査装置10は、取得した案件情報120に基づいて、梱包仕様情報121を作成する(ステップS11)。そして、ピッキングの工程において、梱包検査装置10は、ピッキング検査を行う(ステップS12)。ピッキングOKの場合に梱包作業が行われ、梱包検査装置10は、その梱包作業後に梱包状態検査を行う(ステップS13)。
【0042】
図6に示すように、ピッキング検査において、梱包前の物品BPと梱包箱BXとが用意される。まず、梱包検査装置10は、梱包箱IDを取得する(ステップS120)。次に、梱包検査装置10は、物品BPが撮像された画像(物品画像)を取得する(ステップS121)。梱包検査装置10は、取得した画像を物品識別モデル122に入力する(ステップS122)。梱包検査装置10は、物品識別モデル122から物品BPを識別した識別結果を取得する(ステップS123)。梱包検査装置10は、物品BPが梱包対象の物品であるか否かを判定する(ステップS124)。梱包検査装置10は、梱包箱IDに基づいて梱包仕様情報121を参照し、梱包箱BXに梱包すべき物品を特定する。梱包検査装置10は、特定した物品のなかに画像から識別された物品BPが含まれている場合に、物品BPが梱包対象の物品であると判定する。一方、梱包検査装置10は、特定した物品のなかに画像から認識した物品BPが含まれていない場合に、物品BPが梱包対象の物品でないと判定する。
【0043】
梱包検査装置10は、物品BPが梱包対象の物品であると判定した場合、「ピッキングOK」を出力する(ステップS125)。一方、梱包検査装置10は、物品BPが梱包対象の物品でないと判定した場合、「ピッキングNG」を出力する(ステップS126)。梱包検査装置10は、梱包箱BXに梱包する物品群の全てについて、ピッキングOKを出力した場合、処理を終了する(ステップS127)。一方、梱包検査装置10は、梱包箱BXに梱包する物品群の全てについて、ピッキングOKを出力していない場合には、ステップS120に戻って、物品が梱包対象であるか否かの判定を繰り返す。
【0044】
図7に示すように、梱包作業がおこなわれると、梱包状態検査において、梱包状態が撮像される。梱包検査装置10は、梱包状態が撮像された画像(梱包状態画像)を取得する(ステップS131)。梱包検査装置10は、取得した画像を梱包状態識別モデル123に入力する(ステップS132)。梱包検査装置10は、梱包状態識別モデル123から梱包状態を識別した識別結果を取得する(ステップS133)。梱包検査装置10は、梱包状態が正しい状態であるか否かを判定する(ステップS134)。梱包検査装置10は、梱包箱IDに基づいて梱包仕様情報121を参照し、梱包箱BXにおける正しい梱包状態を特定する。梱包検査装置10は、特定した梱包状態が、画像から認別された梱包状態と一致する場合には、正しい梱包状態であると判定する。一方、梱包検査装置10は、特定した梱包状態が、画像から認別された梱包状態と一致しない場合には、正しい梱包状態でないと判定する。
【0045】
梱包検査装置10は、梱包状態が正しいと判定した場合、「梱包状態OK」を出力する(ステップS135)。一方、梱包検査装置10は、梱包状態が正しくないと判定した場合、「梱包状態NG」を出力する(ステップS136)。そして、梱包検査装置10は、処理を終了する。
【0046】
なお、上述した図6図7のフローチャートでは、梱包箱IDを取得した後に、画像を取得する場合を例に説明したが、これに限定されることはない。梱包検査装置10は、画像を取得した後に、梱包箱IDを取得するようにしてもよい。具体的に、図6において、ステップS121~123の後に、ステップS120が行われる処理の流れであってもよい。図7において、ステップS131~133の後に、ステップS130が行われる処理の流れであってもよい。
【0047】
以上説明したように、実施形態の梱包検査装置10は、案件情報取得部130と、梱包仕様作成部131と、梱包箱ID取得部132と、物品識別部133と、梱包対象検査部134とを備える。案件情報取得部130は、案件情報120を取得する。案件情報120は、案件毎に、対象となる物品群が示された情報である。梱包仕様作成部131は、案件情報120に基づいて、梱包仕様情報121を作成する。梱包仕様情報121は、案件毎に、梱包箱BXと、その梱包箱BXに梱包する物品BPとが対応付けられた情報である。梱包箱ID取得部132は、梱包箱IDを取得する。梱包箱IDは、案件に対応付けられた梱包箱BXを一意に識別する情報である。梱包箱ID取得部132は、「識別情報取得部」の一例である。梱包箱IDは、「識別情報」の一例である。物品識別部133は、梱包前の物品BPが撮像された画像を、物品識別モデル122に入力することによって得られる出力結果に基づいて、物品BPを識別する。梱包対象検査部134は、梱包前の物品BPが、梱包箱BXに梱包される対象であるか否かを判定する。
【0048】
これにより、実施形態の梱包検査装置10では、梱包前に、梱包箱BXに梱包しようとしている物品BPが、梱包対象として正しいか否かを判定することができる。これにより、商品が重なり合って1つの梱包箱に梱包されるような場合であっても、商品の収容前にピッキング検査を行うことによって、正しい梱包が行われているか否かを判定することができる。
【0049】
また、実施形態の梱包検査システム1は、梱包検査装置10と、コードリーダRDと、撮像装置CMを備える。コードリーダRDは、梱包箱BXに付されたコードCDから読み取った情報を、梱包箱IDとして梱包検査装置10に出力する。撮像装置CMは、梱包前の物品BPを撮像し、撮像した画像を梱包検査装置10に出力する。これにより、実施形態の梱包検査装置10では、上述した効果と同様の効果を奏する。
【0050】
(実施形態の変形例1)
ここで、実施形態の変形例1について説明する。本変形例では、梱包検査装置10が、ピッキング作業が行われる現場の状況に応じて物品識別モデル122を生成する。
【0051】
図8は、本発明の実施形態の変形例1に係る物品識別モデル122の学習方法を説明するための図である。図8では、物品Aを識別できるように学習モデルM1を学習させる。図8に示すように、梱包検査装置10は、例えば、学習モデルM1に対し、物品Aの画像に、その画像が物品Aの画像であることを示すラベルを対応づけた学習用データセットを学習させる(a)。また、梱包検査装置10は、(a)の画像とは異なる視点から物品Aを撮像した画像に、その画像が物品Aの画像であることを示すラベルを対応づけた学習用データセットを学習させる(b)。また、梱包検査装置10は、物品Aとは異なる物品BP#を撮像した画像に、その画像が物品Aの画像でないことを示すラベルを対応づけた学習用データセットを学習させる(c)。物品BP#は、ピッキング作業が行われる現場において物品Aの代わりにピッキングされ得る物品である。物品Aの代わりにピッキングされ得る物品は、ピッキング作業が行われる現場の配置や、作業の内容に応じて任意に選択されてよい。すなわち、本変形例では、現場において、特に、誤ってピッキングされ得る物品について、物品Aとは異なる物品であることを学習モデルに学習させる。これにより、物品識別モデル122は、誤った物品がピッキングされた場合に、その物品が梱包対象でないことを精度よく識別することが可能となる。
【0052】
以上説明したように、実施形態の変形例1に係る梱包検査装置10では、物品識別モデル122は、学習用画像に対象物品か否かを示すラベルが対応付けられた学習用のデータセットに基づいて、画像と対象物品との対応関係を学習した学習済みモデルである。物品識別モデル122の学習用画像は、対象物品が互いに異なる位置から撮像された画像群、及び梱包箱に梱包され得る物品であって対象物品とは異なる非対象物品の画像を含む。これにより、実施形態の変形例1では、現場で誤った物品がピッキングされた場合に、その物品が梱包対象でないことを精度よく識別することが可能となる。
【0053】
(実施形態の変形例2)
ここで、実施形態の変形例2について説明する。本変形例では、梱包検査装置10が、複数個の物品を識別する物品識別モデル122を生成する。
【0054】
図9は、本発明の実施形態の変形例2に係る物品識別モデル122の学習方法を説明するための図である。図9では、物品Aが4つあるか否かを識別できるように学習モデルM2を学習させる。図9に示すように、梱包検査装置10は、例えば、学習モデルM2に対し、トレーに載置された4つの物品Aの画像に、その画像が、物品Aが4つある画像であることを示すラベルを対応づけた学習用データセットを学習させる(a)。ここでのトレーは、ピッキング作業が行われる現場において用いられるトレーと同様なものを使用することが好ましい。
【0055】
また、梱包検査装置10は、トレーに(a)の画像とは異なる態様で物品Aが4つ載置されている様子を撮像した画像に、その画像が、物品Aが4つある画像であることを示すラベルを対応づけた学習用データセットを学習させる(b)。また、梱包検査装置10は、トレーに物品A及び物品Aとは異なる物品BP#が載置された画像に、その画像が、物品Aが4つある画像でないことを示すラベルを対応づけた学習用データセットを学習させる(c)。すなわち、本変形例では、現場の状況、この例では、トレーに4つの物品Aが載置されてピッキング作業が行われる状況に応じた学習を行う。これにより、物品識別モデル122は、現場においてトレーに載置されてきた物品BPを個別に撮像する必要がなく、トレーに乗せられた様子を撮像すればよいため、撮像作業が容易となる。また、物品識別モデル122は、物品の識別と、個数の識別と、を同時に行うことが可能となる。
【0056】
以上説明したように、実施形態の変形例2に係る梱包検査装置10では、物品識別モデル122の学習用画像は、複数の対象物品が撮像された画像、及び対象物品と非対象物品とが混在した画像を含む学習用画像に対象物品か否かを示すラベルが対応付けられた学習用のデータセットに基づいて、画像と対象物品との対応関係を学習した学習済みモデルである。これにより、実施形態の変形例2では、現場の状況に応じた学習を行うことができ、撮像作業が容易となったり、物品の識別と個数の識別とを同時に行うことができたりするため、効率よく検査することが可能となる。
【0057】
(実施形態の変形例3)
ここで、実施形態の変形例3について説明する。本変形例では、梱包検査装置10が、梱包作業が行われる現場の状況に応じて梱包状態識別モデル123を生成する。図10図12は、実施形態の変形例3を説明するための図である。図10は、本発明の実施形態の変形例3における梱包仕様情報121の構成例を示す図である。図11図12は、図10の梱包仕様情報121に対応する梱包状態の一例を示す図である。図10に示すように、梱包箱BXに、物品ID(BP101)の物品を6個、物品ID(BP202)の物品を3個、物品ID(BP203)の物品を3個、それぞれ梱包する場合を考える。
【0058】
この場合、図11に示すように、物品ID(BP101)の物品6個が、梱包箱BXの左側面に沿って一列に並べられる。また、その右側に、物品ID(BP101)の物品と同じ形状の物品が6個ずつ2列並べられる。その右側に物品ID(BP202)の物品3個が並べられ、その右側に物品ID(BP203)の物品3個が並べられる。
【0059】
また、図10のような梱包仕様情報121である場合、図11における物品ID(BP202)の物品3個の位置と、に物品ID(BP203)の物品3個の位置とを逆にした配置状態となることも考えられる。このように、1つの梱包箱BXに多品種の物品BPを梱包する場合、複数通りの梱包状態が取り得る。
【0060】
本変形例では、梱包検査装置10は、学習モデルに、複数通りの梱包状態のうちの正しい梱包状態と、正しくない梱包状態との両方を学習させる。図11の例に示した梱包状態が正しい梱包状態とする場合、梱包検査装置10は、学習モデルに、図11の画像に正しい梱包状態であることを示すラベルを対応づけた学習用データセットを学習させる。さらに、梱包検査装置10は、図12の画像に誤った梱包状態であることを示すラベルに対応づけた学習用データセットを学習させる。すなわち、本変形例では、梱包対象がきちんとピックアップされた状況において、正しい梱包状態と、誤った梱包状態との両方を学習モデルに学習させる。これにより、物品識別モデル122は、誤った梱包状態で梱包された場合に、その梱包状態が正しい状態でないことを精度よく識別することが可能となる。
【0061】
以上説明したように、実施形態の変形例3に係る梱包検査装置10は、梱包状態検査部135を更に備える。梱包状態検査部135は、物品BPが梱包箱BXに梱包された梱包状態が撮像された画像を、梱包状態識別モデル123に入力することによって得られる出力結果、及び、梱包仕様情報121に基づいて梱包状態が正しいか否かを判定する。梱包状態識別モデル123は、学習用画像に梱包状態が正しいか否かを示すラベルが対応付けられた学習用のデータセットに基づいて、画像と正しい梱包状態との対応関係を学習した学習済みモデルである。梱包状態識別モデル123の学習用画像は、正しい梱包状態が撮像された画像、及び梱包箱に梱包される物品群の内訳が正しいが梱包状態が正しくない梱包状態の画像を含む。これにより、梱包検査装置10は、誤った梱包状態で梱包された場合に、その梱包状態が正しい状態でないことを精度よく識別することが可能となる。
【0062】
(実施形態の変形例4)
ここで、実施形態の変形例4について説明する。本変形例では、梱包検査装置10が、梱包作業の過程を学習させた梱包状態識別モデル123を生成する。図13図15は、実施形態の変形例4を説明するための図である。図13は、本発明の実施形態の変形例4おける梱包仕様情報121の構成例を示す図である。図14図15は、図13の梱包仕様情報121に対応する梱包状態の一例を示す図である。図13に示すように、梱包箱BXに、図10に示した物品群に加えて、さらに物品ID(BP301)の物品を梱包する場合を考える。そして、梱包箱BXの下段に図14に示すように物品群を収容し、梱包箱BXの上段に図15に示すような物品ID(BP301)の物品を乗せるように梱包するものとする。
【0063】
この場合、物品ID(BP301)の物品を乗せた後に撮像された画像からは、その下にある物品群の梱包状態を確認することができない。この対策として、本変形例では、梱包の途中の過程を示す画像を学習させる。これにより、梱包の最終段階では確認することができない梱包状態について、梱包状態識別モデル123が正しい梱包状態であるか否かを識別することができるようになる。
【0064】
本変形例では、梱包作業において、梱包の過程(例えば、下段の梱包が終了した時点)で、その梱包状態が撮像装置CMにより撮像され、撮像された画像が梱包検査装置10に出力される。梱包状態識別モデル123は、その梱包過程の梱包状態が正しいか否かを識別し、正しい梱包状態である場合に、次の梱包過程に作業が進められる。これにより、梱包状態識別モデル123は、梱包過程における梱包状態が正しい状態であるか識別することが可能となる。
【0065】
以上説明したように、実施形態の変形例4に係る梱包検査装置10では、梱包状態識別モデル123の学習用画像は、梱包過程にある梱包状態が撮像された画像を含む。これにより、梱包検査装置10は、梱包過程における梱包状態が正しい状態であるか識別することが可能となり、梱包作業を精度よく検査することが可能となる。
【0066】
(実施形態の変形例5)
ここで、実施形態の変形例5について説明する。本変形例では、梱包検査装置10が、物品が互いに重なって梱包された状態を学習させた梱包状態識別モデル123を生成する。図16図17は、実施形態の変形例5を説明するための図である。図16は、本発明の実施形態の変形例5おける梱包仕様情報121の構成例を示す図である。図17は、図13の梱包仕様情報121に対応する梱包状態の一例を示す図である。
【0067】
図15に示すように、梱包箱BXに、物品ID(BP401)、物品ID(BP402)、及び物品ID(BP403)で特定される物品を、それぞれ1つずつ梱包する場合を考える。これらの3つの物品群は、梱包箱BXに重ねて収容され、梱包の最終段階では物品ID(BP401)の物品の一部しか外に出ていない状態で梱包されるものとする。このような場合において、梱包検査装置10は、梱包の最終段階において視認可能な物品ID(BP401)の物品の一部を用いて、ID(BP401)の物品の向きなどが特定でき、正しい梱包状態か否かを特定することが可能である場合には、梱包の最終段階の画像のみを学習させた梱包状態識別モデル123を用いる。一方、梱包検査装置10は、梱包の最終段階において視認可能な部分のみでは正しい梱包状態か否かを特定することができない場合には、梱包過程、及び最終段階の画像の両方を学習させた梱包状態識別モデル123用いる。これにより、梱包検査装置10は、必要に応じて梱包過程の梱包状態を検査対象とし、必要なければ最終段階の梱包状態のみを検査対象とすることができる。したがって、状況に応じて、効率よくかつ精度よく梱包状態を検査することが可能となる。
【0068】
(実施形態の変形例6)
ここで、実施形態の変形例6について説明する。本変形例では、学習用の画像を撮像する際に撮像を支援する装置を用いる。図18に示すように、本変形例では、例えば、物品BPを様々な視点から撮像するために、電動式レールDRを用いる。電動式レールDRには撮像装置CMが固定される。電動式レールDRは、被写体(物品BP)の周囲を矢印方向に移動する。電動式レールDRの移動と連動して撮像装置CMが連続撮像を行う。これにより、物品BPを、様々な視点から撮像した画像を容易に得ることができる。
【0069】
図19に示すように、被写体(物品BP)を回転台KDの上に載置するようにしてもよい。回転台KDを回転させ、その回転に連動させて撮像装置CMが固定位置から連続撮像を行う。これにより、物品BPを、様々な視点から撮像した画像を容易に得ることができる。
【0070】
図20に示すように、撮像に、簡易的な暗室を用いてもよい。これにより、撮像環境を一定にすることができ、学習用画像から特徴を抽出し易くなる。ピックアップ作業や梱包作業において撮像される画像の環境についても、このような暗室を用いて行うことによって、識別の精度向上も期待できる。
【0071】
なお、上述した実施形態では、梱包箱BXに物品BPを梱包する場合を例示して説明した。しかしながらこれに限定されることはない。本実施形態は、物品群と、その物品群を組み合わせて作成される1つの複合物品の検査に適用することができる。例えば、パンフレットと、シールとを組合せの対象とし、パンフレットの所定箇所にシールが貼られているかを検査するシステムに適用することが可能である。この場合、ピッキング検査において、所定のパンフレットと、所定のシールとが正しくピッキングされたか検査される。そして、梱包状態検査において、パンフレットの所定箇所に、正しくシールが貼られているかが検査される。
【0072】
また、本実施形態は、冊子に用紙(正誤表など)を挿し込む作業の検査に適用することができる。この場合、ピッキング検査において、所定の冊子と、所定の挿し込み用紙とが正しくピッキングされたか検査される。そして、梱包状態検査において、冊子の所定箇所に、正しく用紙が挿し込まれているかが検査される。
【0073】
また、本実施形態は、台紙に試供品(化粧品などのサンプルなど)を挿し込む作業の検査に適用することができる。この場合、ピッキング検査において、所定の台紙と、所定の試供品とが正しくピッキングされたか検査される。そして、梱包状態検査において、台紙の所定箇所に、正しく試供品が挿し込まれているかが検査される。
【0074】
また、本実施形態は、冊子に付帯物(カバーや帯、ポケットなど)を取付ける作業の検査に適用することができる。この場合、ピッキング検査において、所定の冊子と、所定の付帯物とが正しくピッキングされたか検査される。そして、梱包状態検査において、冊子の所定箇所に、正しく付帯物が取り付けられたかが検査される。
【0075】
また、本実施形態は、冊子に付帯物(カバーや帯、ポケットなど)を取付ける作業の検査に適用することができる。この場合、ピッキング検査において、所定の冊子と、所定の付帯物とが正しくピッキングされたか検査される。そして、梱包状態検査において、冊子の所定箇所に、正しく付帯物が取り付けられたかが検査される。
【0076】
上述した実施形態における梱包検査システム1、及び梱包検査装置10の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0077】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1…梱包検査システム
10…梱包検査装置
120…案件情報
121…梱包仕様情報
122…物品識別モデル
123…梱包状態識別モデル
13…制御部
130…案件情報取得部
131…梱包仕様作成部
132…梱包箱ID取得部(識別情報取得部)
133…物品識別部
134…梱包対象検査部
135…梱包状態検査部
CM…撮像装置
RD…コードリーダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20