(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】カートリッジ、および、印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
B41J2/175 119
B41J2/175 169
B41J2/175 141
B41J2/175 503
B41J2/175 153
(21)【出願番号】P 2020180082
(22)【出願日】2020-10-28
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長島 巧
(72)【発明者】
【氏名】小泉 義弘
(72)【発明者】
【氏名】大屋 瞬
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-056118(JP,A)
【文献】特開2006-043922(JP,A)
【文献】特開2019-171738(JP,A)
【文献】特開2002-019142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を受け入れる液体導入部を有する印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジであって、
前記液体を収容する液体収容部であって、前記カートリッジを前記カートリッジ装着部に挿入する挿入方向側に位置する収容部前壁と、前記収容部前壁と対向する収容部後壁と、前記収容部前壁と前記収容部後壁と交差する収容部底壁と、を有する液体収容部と、
前記収容部底壁に形成された液体流入口と、前記液体収容部の前記液体を前記液体導入部に供給する液体供給部と、を備え、
前記液体供給部は、前記カートリッジ装着部の前記挿入方向側に位置する回転支点を中心に前記カートリッジの前記収容部後壁側が下方へ回転移動することで前記液体導入部に接続され、
前記挿入方向について、前記液体流入口と前記収容部後壁の内面である後壁内面との第1距離は、前記液体流入口と前記収容部前壁の前記内面である前壁内面との第2距離よりも短い、カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載のカートリッジであって、
前記収容部底壁の前記内面である底壁内面は、前記挿入方向について、前記液体流入口と前記収容部後壁との間に位置し、前記液体流入口に接続された第1底壁内面であって、前記液体流入口に向かうに従い前記液体収容部の外方側に位置するように前記挿入方向に対して傾斜する第1底壁内面を有し、
前記第1底壁内面の傾斜角は、前記液体供給部が前記液体導入部に接続される際の前記カートリッジの回転角よりも大きい、カートリッジ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカートリッジであって、
前記収容部底壁の前記内面である底壁内面は、前記挿入方向について、前記液体流入口と前記収容部前壁との間に位置し、前記液体流入口に接続された第2底壁内面であって、前記挿入方向に沿って延びる第2底壁内面を有し、
前記第2底壁内面は、前記液体供給部が前記液体導入部に接続された前記カートリッジの装着状態では、前記液体流入口に向かうに従い下方側に位置するように前記挿入方向に対して傾斜する、カートリッジ。
【請求項4】
印刷システムであって、
カートリッジが装着されるカートリッジ装着部を有する印刷装置と、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の前記カートリッジと、を備える、印刷システム。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷システムであって、
前記印刷装置は、さらに、
水頭差を利用して前記カートリッジからの前記液体が供給される吐出ヘッドであって、液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドと前記カートリッジとを連通させる流通管と、を備える、印刷システム。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の印刷システムであって、
前記カートリッジ装着部は、
挿入方向に沿って前記カートリッジが挿入されて、前記カートリッジを収容する収容室と、
前記挿入方向と交差する方向に延びる液体導入部であって、前記カートリッジの液体供給部に接続される液体導入部と、
前記収容室の出入口である挿抜開口部を有する第1装置壁と、
前記第1装置壁と対向する第2装置壁と、
開口部を有する装置底壁を形成し、前記カートリッジを支持する支持部材であって、前記装置底壁は前記第1装置壁と前記第2装置壁と交差する、支持部材と、を備え、
前記液体導入部は、前記支持部材に対して前記収容室を挟んで反対側に位置し、
前記カートリッジ装着部はさらに、第2装置壁側に位置し、前記支持部材を回転移動させて前記開口部を重力方向側に変位させることで、前記開口部を介して前記液体導入部の先端部を、前記収容室内に配置させる回転支点を備える、印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カートリッジおよび印刷システムについての技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置に着脱可能に装着されるカートリッジは、液体収容室と液体供給口とを備える(特許文献1)。従来の技術では、液体収容室の底面のうち液体供給口を挟む両側部分が液体供給口に向かって傾斜している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
両側部分が傾斜している場合、液体供給口に円滑に液体を流通させることはできるが、液体収容室の容積が小さくなり、液体の収容量が小さくなる場合が生じ得る。また一般に、カートリッジの出荷時には、カートリッジは個装箱に収容される。底面の両側部分が傾斜している場合、個装箱にカートリッジを収容した場合、カートリッジと個装箱の内壁面との間に隙間が生じ、個装箱の容積に占めるカートリッジの割合、すなわち個装箱の容積効率が低下する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本開示の第1形態によれば、液体を受け入れる液体導入部を有する印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジが提供される。このカートリッジは、前記液体を収容する液体収容部であって、前記カートリッジを前記カートリッジ装着部に挿入する挿入方向側に位置する収容部前壁と、前記収容部前壁と対向する収容部後壁と、前記収容部前壁と前記収容部後壁と交差する収容部底壁と、を有する液体収容部と、前記収容部底壁に形成された液体流入口と、前記液体収容部の前記液体を前記液体導入部に供給する液体供給部と、を備え、前記液体供給部は、前記カートリッジ装着部の前記挿入方向側に位置する回転支点を中心に前記カートリッジの前記収容部後壁側が下方へ回転移動することで前記液体導入部に接続され、前記挿入方向について、前記液体流入口と前記収容部後壁の内面である後壁内面との第1距離は、前記液体流入口と前記収容部前壁の前記内面である前壁内面との第2距離よりも短い。
【0006】
(2)本開示の第2形態によれば、印刷システムが提供される。この印刷システムは、カートリッジが装着されるカートリッジ装着部を有する印刷装置と、上記形態に記載の前記カートリッジと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態としての印刷システムの構成を示す斜視図。
【
図2】カートリッジ装着部を+Z方向側から見た図。
【
図5】カートリッジ装着部を+Y方向側から見た図。
【
図6】カートリッジ装着部にカートリッジが装着された図。
【
図8】カートリッジ装着部を+Z方向側から見た図。
【
図29】第1参考例のカートリッジを収容した個装箱を示す模式図。
【
図30】第2参考例のカートリッジを収容した個装箱を示す模式図。
【
図31】カートリッジを収容した個装箱を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.実施形態:
A-1.印刷システムの構成:
図1は、本開示の実施形態としての印刷システム1の構成を示す斜視図である。
図1には、互いに直交する3つの空間軸であるXYZ軸が描かれている。X軸,Y軸,Z軸の矢印が向いている方向は、それぞれX軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向を示している。X軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向を、それぞれ+X方向,+Y方向,+Z方向とする。X軸,Y軸,Z軸の矢印が向いている方向と逆の方向が、それぞれX軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向である。X軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向を、それぞれ-X方向,-Y方向,-Z方向とする。X軸,Y軸,Z軸に沿った方向で正負を問わないものを、それぞれX方向,Y方向,Z方向とよぶ。これ以降に示す図及び説明についても同様である。
【0009】
印刷システム1は、印刷装置10と、印刷装置10に液体であるインクを供給するカートリッジ4とを備える。
【0010】
本実施形態の印刷装置10は、インクを吐出ヘッド22から吐出するインクジェットプリンターである。この印刷装置10は、ポスター等のA2サイズ~A0サイズなどの大判の用紙に印刷を行う大型のプリンターである。印刷装置10は、カートリッジ装着部6と、制御部31と、キャリッジ20と、吐出ヘッド22と、駆動機構30とを備える。また、印刷装置10は、印刷装置10の動作を利用者が操作するための操作ボタン15を備える。
【0011】
カートリッジ装着部6には、複数のカートリッジ4がそれぞれ着脱可能に装着される。本実施形態では、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のインクに対応して4種類のカートリッジ4が1つずつ、すなわち合計4つのカートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される。ブラックのインクを収容するカートリッジ4をカートリッジ4Kとも呼び、イエローのインクを収容するカートリッジ4をカートリッジ4Yとも呼び、マゼンタのインクを収容するカートリッジ4をカートリッジ4Mとも呼び、シアンのインクを収容するカートリッジ4をカートリッジ4Cとも呼ぶ。本実施形態において、カートリッジ4Kは、カートリッジ4C,4M,4Yよりも多くの液体を収容可能に構成されている。よって、カートリッジ4Kを第1種カートリッジ4Aとも呼び、カートリッジ4C,4M,4Yを第2種カートリッジ4Bとも呼ぶ。
【0012】
印刷装置10は、+Y方向側の前面に交換用カバー13を有する。交換用カバー13の+Z方向側を+Y方向側である手前側に倒すと、カートリッジ装着部6の開口が現れて、カートリッジ4の着脱が可能となる。カートリッジ装着部6にカートリッジ4が装着されると、流通管としてのチューブ24を介してキャリッジ20に設けられた吐出ヘッド22にカートリッジ4からのインクが供給可能となる。つまり、チューブ24は、吐出ヘッド22とカートリッジ4とを連通させる。本実施形態では、水頭差を利用してカートリッジ4からの液体が吐出ヘッド22に供給される。具体的には、後述するカートリッジ装着部6の液体貯留部内のインクの液面と、吐出ヘッド22のノズル孔に形成された液面との水頭差によってインクが吐出ヘッド22に供給される。なお、他の実施形態では、印刷装置10の図示しないポンプ機構によって、カートリッジ4内のインクを吸引することで、インクが吐出ヘッド22に供給されてもよい。なお、チューブ24は、インクの種類毎に設けられている。また、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着されて、液体としてのインクが印刷装置10に供給できる状態を「装着状態」とも呼ぶ。
【0013】
吐出ヘッド22には、インクの種類毎にノズルが設けられている。吐出ヘッド22は、ノズルから印刷用紙2に向かってインクを吐出して文字や画像等のデータを印刷する。カートリッジ4をカートリッジ装着部6に装着する様子や、カートリッジ4及びカートリッジ装着部6の詳細構成については後述する。本帆実施形態では、印刷装置10は、カートリッジ装着部6がキャリッジ20の動きとは連動しない、いわゆる「オフキャリッジタイプ」と呼ばれるプリンターである。キャリッジ20にカートリッジ装着部6が設けられ、キャリッジ20と共にカートリッジ装着部6が移動する、いわゆる「オンキャリッジタイプ」と呼ばれるプリンターにも本開示は適用できる。
【0014】
制御部31は、印刷装置10の各部の制御や、カートリッジ4との信号の授受を行う。キャリッジ20は、吐出ヘッド22を印刷用紙2に対して相対的に移動させる。
【0015】
駆動機構30は、制御部31からの制御信号に基づいてキャリッジを往復動させる。駆動機構30は、タイミングベルト32と、駆動モーター34とを備える。タイミングベルト32を介して駆動モーター34の動力をキャリッジ20に伝達することによって、キャリッジ20がX方向に沿った方向である主走査方向に往復移動する。また、印刷装置10は、印刷用紙2を+Y方向である副走査方向に移動させるための搬送機構を備える。印刷が行なわれる際には、搬送機構によって印刷用紙2が副走査方向に移動し、前面カバー11上に印刷完了後の印刷用紙2が出力される。
【0016】
キャリッジ20を主走査方向に移動させた印刷領域外の位置には、ホームポジションと呼ばれる領域が設けられている。ホームポジションには、正常に印刷を実行させるためのメンテナンスを行うメンテナンス機構が搭載されている。メンテナンス機構は、キャップ部材8と、図示しない昇降機構と、図示しない吸引ポンプとを備える。キャップ部材8は、吐出ヘッド22の底面側でノズルが形成されている面に押し付けられて、ノズルを取り囲むように閉空間を形成する。昇降機構は、吐出ヘッド22のノズル面に押し付けるためにキャップ部材8を昇降させる。吸引ポンプは、キャップ部材8が吐出ヘッド22のノズル面に押し付けられることで形成される閉空間に負圧を導入する。
【0017】
本実施形態において、印刷システム1の使用状態において、印刷用紙2を搬送する副走査方向に沿った軸をY軸とし、重力方向に沿った軸をZ軸とし、キャリッジ20の移動方向に沿った軸をX軸とする。ここで、「印刷システム1の使用状態」とは、水平な面に印刷システム1が設置された状態をいう。また、本実施形態では、副走査方向を+Y方向、その逆方向を-Y方向とし、重力方向を-Z方向、反重力方向を+Z方向とする。X方向とY方向は水平方向に沿った方向である。また、印刷システム1を前面側から見たときに、右側から左側に向かう方向を+X方向とし、その逆方向を-X方向とする。また本実施形態では、装着のためにカートリッジ装着部6にカートリッジ4が挿入される挿入方向が-Y方向であり、カートリッジ4がカートリッジ装着部6から取り外される方向が+Y方向である。よって、カートリッジ装着部6のうち、-Y方向側を奥側とも呼び、+Y方向側を手前側とも呼ぶ。また、本実施形態では、複数のカートリッジ4の配列方向がX方向となる。
【0018】
A-2.カートリッジ4の装着状態の概略構成:
図2は、カートリッジ装着部6を+Z方向側から見た図である。
図3は、
図2の3-3断面図である。
図4は、
図3の領域R4の拡大図である。
図2では、カートリッジ装着部6にはカートリッジ4Kが装着されている。
図2~
図4を用いてカートリッジ4の装着過程および装着状態の概略構成を説明する。なお、カートリッジ4C,4M,4Y,4Kについて、装着過程および装着状態は同じである。
【0019】
図3に示すように、カートリッジ4は、挿入方向に沿って挿入されて、カートリッジ装着部6の第1装置壁67が有する挿抜開口部674を介して、カートリッジ装着部6の収容室61に挿入される。これにより、収容室61はカートリッジ4を収容する。挿抜開口部674は、カートリッジ4の収容室61への出入口である。カートリッジ4がカートリッジ装着部6の収容室61に挿入された状態では、カートリッジ装着部6の支持部材610によって-Z方向側からカートリッジ4が支持される。また、カートリッジ4がカートリッジ装着部6の収容室61に装着された装着状態では、カートリッジ4の液体供給部442と、カートリッジ装着部6の液体導入部642とが接続される。これにより、カートリッジ4の液体収容部450に収容されたインクが、液体供給部442を介して液体導入部642に供給される。また、本実施形態では、液体供給部442から液体導入部642にインクが供給される一方で、カートリッジ装着部6の液体貯留部699に収容された空気が、気泡となって液体導入部642、液体供給部442を流通して液体収容部450に導入する。これにより、液体収容部450の気液交換が行われる。なお、他の実施形態では、カートリッジ4が液体収容部450と外部とを連通させる大気連通路を有し、この大気連通路を介して気液交換が行われてもよい。大気連通路は液体供給部442とは異なる位置に配置されており、例えば、液体収容部450を形成する壁に形成される。
【0020】
液体貯留部699からチューブ24を介して液体が吐出ヘッド22に供給される場合、液体導入部642を介して気液交換が行われてカートリッジ4から液体貯留部699に液体が補充される。これにより、液体貯留室699の大気と接する液面LFが一定の高さに維持される。これにより、液面LFと、吐出ヘッド22の大気と接するノズル孔の液面との高さの差である水頭差が一定に維持されるので、水頭差を駆動力として吐出ヘッドに供給される液体を安定に供給できる。
【0021】
液体導入部642は、カートリッジ4から供給される液体を受け入れる。液体導入部642は、筒状の部材であり、内部に液体を流通させる内部流路を有する。液体導入部642は、基端部642aと先端部642bとを有する。先端部642bには、内部流路に連通する開口が形成されており、この開口を介して液体供給部442のインクが内部流路に流通する。基端部642aは、液体貯留部699に接続されており、内部流路を流通したインクを液体貯留部699に流通させる。液体貯留部699は、収容室61の-Z方向側に位置する。液体貯留部699は
図1に示すチューブ24を介して吐出ヘッド22と連通する。以上のように、液体導入部642は、液体貯留部699とチューブ24を介して吐出ヘッド22と連通する。液体導入部642の中心軸CA1は、装着状態における液体供給部442の中心軸CA2と平行であり、Z方向に対して傾斜している。つまり、液体導入部642が延びる方向である中心軸CA1に沿った方向は、カートリッジ4の挿入方向と交差する。液体供給部442の中心軸CA2とは、液体供給部442が延びる方向に沿った方向である。
【0022】
図4に示すように、カートリッジ4の装着状態では、カートリッジ4の回路基板50と、カートリッジ装着部6の装置側端子部70とが接触することで電気的に接続される。装置側端子部70は、保持機構73によって保持される。装置側端子部70は、複数の装置側端子721と、端子保持部750と、コネクター739とを有する。
【0023】
複数の装置側端子721は、本実施形態では9つ設けられている。複数の装置側端子721のそれぞれは、導電性を有する金属の板部材である。装置側端子721は、端子回転支点Rpを有する。装置側端子721は、端部である回路基板50のカートリッジ側端子521と接触する部分が端子回転支点Rpを支点に弾性変形できる。弾性変形する方向は、Y方向とZ方向に沿った方向である。端子保持部750は、複数の装置側端子721を保持する。コネクター739は、複数の装置側端子721と電気的に接続されている。またコネクター739は、図示しない配線によって印刷装置10の制御部31と電気的に接続される。これにより、回路基板50と制御部31とがデータ通信可能となる。
【0024】
保持機構73は、付勢部材780と、取付部材782とを有する。付勢部材780は、コイルばねによって構成されている。取付部材782は、内側に付勢部材780を配置する。また、取付部材782には、装置側端子部70が取り付けされている。付勢部材780は、カートリッジ4のカートリッジ装着部6への挿入が完了した状態では、圧縮される。これにより、付勢部材780は、取付部材782を介して装置側端子部70を第1装置壁67側であるカートリッジ4の取り外し方向側に向かう方向の外力Faを加える。外力Faによって、装置側端子部70は回路基板50に押し当てられるため、装置側端子721とカートリッジ側端子521との接触が良好に維持される。
【0025】
上記のごとく、保持機構73は、装置側端子部70をカートリッジ4の挿入方向D1に沿った方向に変位可能に保持する。また、付勢部材780のうち装置側端子部70側の一端部は、挿入方向D1と交差するX方向及びZ方向に微小に移動可能に構成されている。これにより、装置側端子部70は、保持機構73によって挿入方向D1と交差するX方向及びZ方向に微小に移動可能に保持されている。
【0026】
カートリッジ4のカートリッジ装着部6への装着過程は、端子接続過程と、端子接続過程の次に実行される供給部接続過程とによって構成される。端子接続過程は、第1装置壁67の挿抜開口部674を介して、カートリッジ4を-Y方向である挿入方向D1に移動させて、カートリッジ装着部6の収容室61に挿入することで、装置側端子721とカートリッジ側端子521とを接触させて電気的に接続する過程である。供給部接続過程は、
図3に示すように、装置側端子721とカートリッジ側端子521との電気的な接続を維持した状態で、支持部材610が有する回転支点698を支点として、カートリッジ4の後面47側を矢印に示す接続方向D2に回転移動させることで、液体導入部642と液体供給部442とを接続する過程である。回転支点698は、カートリッジ装着部6のうち、挿入方向D1側である第2装置壁62側に位置する。この液体供給部442が液体導入部642に接続される際のカートリッジ4の回転移動の回転角の大きさを、回転角θ1とする。本実施形態では回転角θ1は、5°に設定されている。つまり、液体導入部642に液体供給部442が接続されたカートリッジ4の装着状態では、カートリッジ4の後壁47側が下方向側に5°だけ回転した状態である。
【0027】
図3に示すように、供給部接続過程では、カートリッジ4が有する凹形状の供給部位置決め部448に、カートリッジ装着部6が有する突起である装置側供給部位置決め部644が入り込むことで、液体供給部442の中心軸CA2と交差する液体供給部442の動きが規制される。これにより、液体供給部442の液体導入部642に対する位置決めが行われる。装置側供給部位置決め部644は、略直方体形状である。装置側供給部位置決め部644は、一端部644aと他端部644bとを有する。一端部644aは液体貯留部699側に位置する。一端部644aは、他端部644bよりも収容室61側に位置する。
【0028】
カートリッジ4の装着状態では、支持部材610の底部を形成する主壁613は、Y方向に対して傾斜する。具体的には、支持部材610の主壁613は、+Y軸方向に向かうに従って下側である-Z方向側に位置するように傾斜する。この主壁613は、カートリッジ4が装着されていないカートリッジ装着部6の初期配置状態では、Y方向に平行である。
【0029】
カートリッジ装着部6は、カートリッジ4の装着状態において、支持部材610を初期配置状態の位置に戻すために、外力Ft1を支持部材610に加える装置付勢部材625を有する。装置付勢部材625は、支持部材610と液体貯留部699との間に設けられたコイルばねであり、装着状態では圧縮状態となる。圧縮状態によって+Z方向成分を有する外力Ft1を支持部材610に加える。一方で、カートリッジ4の装着状態では、カートリッジ4のカートリッジ係合部497が、カートリッジ装着部6の装着係合部697と係合することで、装着状態が維持される。装着係合部697は、カートリッジ装着部6の係合形成体677に形成されている。
【0030】
A-3.カートリッジ装着部6の詳細構成:
図5は、カートリッジ装着部6を+Y方向側から見た図である。
図6は、カートリッジ装着部6にカートリッジ4が装着された図である。
図7は、カートリッジ装着部6の斜視図である。
図8は、カートリッジ装着部6を+Z方向側から見た図である。
図9は、カートリッジ装着部6の部分拡大図である。
図10は、装置側端子部70の断面模式図である。
図6~
図10では、理解の容易のためにカートリッジ装着部6の一部の構成の図示は省略している。カートリッジ装着部6について、X方向を幅方向、Y方向を奥行方向、Z方向を高さ方向とも呼ぶ。以下において、特に状態についての記載がない場合には、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着されていない初期配置状態のときのカートリッジ装着部6を前提に各要素について説明する。
【0031】
図5~
図7に示すように、カートリッジ装着部6は、カートリッジ4が収容される収容室61を形成する。収容室61は、略直方体形状である。収容室61のうちで、各カートリッジ4C,4M,4Y,4Kを収容する部分であるスロット61C,61M,61Y,61Kは、概ね各カートリッジ4C,4M,4Y,4Kの外観形状に対応している。本実施形態では、カートリッジ4Kは他のカートリッジ4C,4M,4Yに比べ、収容する液体の量を大きくするためにX方向の寸法が大きい。よって、本実施形態では、スロット61Kの幅は、他のスロット61C,61M,61Yの幅よりも大きい。
【0032】
図7に示すように、カートリッジ装着部6は、収容室61を形成する6つの装置壁62,63,64,65,66,67を有する。本開示において「壁」とは、単一の壁に加え、複数の壁によって構成された壁を含む概念である。第1装置壁67は、カートリッジ4を収容室61に挿入したり取り外したりする際に通過させる挿抜開口部674を形成する。第2装置壁62は、収容室61の-Y方向側の壁を形成する。第2装置壁62は、Y方向において第1装置壁67と対向する。第2装置壁62は、印刷装置10の使用状態において、概ね垂直な壁である。
【0033】
装置上壁63は、収容室61の+Z方向側の壁を形成する。装置底壁64は、Z方向において装置上壁63と対向し、収容室61の-Z方向側の壁を形成する。装置底壁64は、支持部材610によって形成されている。装置底壁64は複数の開口部614を有する。本実施形態では、開口部614は、スロット61C,61M,61Y,61Kに応じて4つ形成されている。装置上壁63および装置底壁64は、第2装置壁62と第1装置壁67と交差する。本開示において、「交わる」や「交差する」とは、(i)2つの要素が相互に交差し実際に交わる状態、(ii)一方の要素を延ばした場合に他方の要素に交わる状態、及び、(iii)相互の要素をそれぞれ延ばした場合に互いの要素が交わる状態、のいずれかの状態であることを意味する。
【0034】
第1装置側壁65は、収容室61の+X方向側の壁を形成する。第2装置側壁66は、X方向において第1装置側壁65と対向し、収容室61の-X方向側の壁を形成する。第1装置側壁65および第2装置側壁66は、第2装置壁62と第1装置壁67と装置上壁63と装置底壁64と交差する。
【0035】
図7および
図8に示すように、カートリッジ装着部6は、さらに、支持部材610と、液体導入部642と、供給部位置決め部644と、装置案内部602と、係合形成体677と、を有する。支持部材610は、装着されるカートリッジ4の数に応じて複数設けられている。本実施形態では、支持部材610は4つ設けられている。支持部材610は、収容室61の重力方向側の装置底壁64を形成する。支持部材610は、カートリッジ4を重力方向側である-Z方向側から支持する。支持部材610は、Y方向に沿って延びる部材である。支持部材610は、凹形状である。支持部材610は、装置底壁64を形成する主壁613と、第1支持側壁611と、第2支持側壁612とを有する。
【0036】
主壁613は、重力方向側に位置する凹形状の底部を形成する。主壁613のうち、第1装置壁67側の端部には、開口部614が形成されている。開口部614は、主壁613の厚み方向に主壁613を貫通する。
【0037】
図7に示すように、第1支持側壁611は、主壁613の+X方向側端部から反重力方向である+Z方向に立ち上がる。第2支持側壁612は、主壁613の-X軸方向側端部から+Z方向に立ち上がる。第1支持側壁611と第2支持側壁612とは、X方向に対向する。
【0038】
装置案内部602は、カートリッジ4を挿入方向および取り外し方向に案内する。装置案内部602は、支持部材610ごとに設けられている。装置案内部602は、第1支持側壁611と第2支持側壁612とのそれぞれに設けられている。装置案内部602は、第1支持側壁611と第2支持側壁612に設けられた突起である。
図8に示すように、第1支持側壁611に設けられた第1装置案内部602aは、第1支持側壁611から第2支持側壁612に向かって突出する突起である。第1装置案内部602aは、Y方向に沿って延びる。また、第1装置案内部602aは、Y方向に間隔をあけて複数配置されている。第2支持側壁612に設けられた第2装置案内部602bは、第2支持側壁612から第1支持側壁611に向かって突出する突起である。第2装置案内部602bは、Y方向に沿って延びる。また、第2装置案内部602bは、Y方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0039】
図7および
図8に示すように、液体導入部642は、カートリッジ4の液体を受け入れる。カートリッジ装着部6の初期配置状態では、液体導入部642は、収容室61内に位置することなく、収容室61よりも-Z方向側に位置する。つまり、液体導入部642は、支持部材610に対して収容室61を挟んで反対側に位置する。これにより、カートリッジ4がカートリッジ装着部6の収容室61に挿入される場合に、液体導入部642にカートリッジ4が衝突することを防止できる。上述のごとく、
図3に示すように、液体導入部642の先端部642bは、回転支点698を中心に支持部材610を接続方向D2に回転移動させて開口部614を押し下げることで、収容室61内に配置される。つまり、変位機構としての回転支点698は、支持部材610を回転移動させて開口部614を重力方向側に変位させることで、開口部614を介して液体導入部642の先端部642bを、収容室61内に配置させる。
【0040】
図7に示す装置側供給部位置決め部644は、供給部位置決め部448に受け入れられることで、液体供給部442の液体導入部642に対する動きを規制する。これにより、液体供給部442の位置決めが行われる。カートリッジ装着部6の初期配置状態では、装置側供給部位置決め部644は、収容室61内に位置することなく、収容室61よりも-Z方向側に位置する。つまり、装置側供給部位置決め部644は、支持部材610に対して収容室61を挟んで反対側に位置する。これにより、カートリッジ4がカートリッジ装着部6の収容室61に挿入される場合に、装置側供給部位置決め部644にカートリッジ4が衝突することを防止できる。装置側供給部位置決め部644の他端部644bは、回転支点698を中心に支持部材610を接続方向D2に回転させて開口部614を押し下げることで、収容室61内に配置される。つまり、回転支点698は、支持部材610を回転させて開口部614を変位させることで、開口部614を介して装置側供給部位置決め部644の他端部644bを、収容室61内に配置させる。
【0041】
図8に示すように、カートリッジ装着部6は、さらに、装置側端子部70と、装置側識別部材630とを有する。
図9に示すように、装置側端子部70が有する端子保持部750は、装置側端子721が露出した保持部表面750faと、第1保持部側壁750ftと、第2保持部側壁750fwとを備える。第1保持部側壁750ftは、端子保持部750の-X方向側の側壁を形成する。第2保持部側壁750fwは、端子保持部750の+X方向側の側壁を形成する。
【0042】
図8および
図9に示すように、装置側識別部材630は、収容室61の各スロット61C,61M,61Y,61Kに正しい種類のカートリッジ4C,4M,4Y,4Kが挿入されたか否かを識別するために用いられる。装置側識別部材630は、カートリッジ4C,4M,4Y,4Kが収容する液体の色に応じて、異なるパターン形状を形成する。
図8では、各スロット61C,61M,61Y,61Kにおいて、装置側識別部材630は便宜上同じパターン形状としているが、実際には異なるパターン形状となる。装置側識別部材630は、支持部材610の主壁613に設けられている。
【0043】
図9に示すように、装置側識別部材630は、少なくとも1つ以上のリブによって形成されている。パターン形状は、リブの数と位置によって定められる。カートリッジ4にも、リブによって形成されたカートリッジ側識別部材が設けられている。カートリッジ側識別部材は、カートリッジ4の種類、すなわち収容する液体の色に応じて異なるパターン形状を形成している。そして、正しい種類のカートリッジ4が対応するスロット61C~61Kに挿入される場合は、装置側識別部材630とカートリッジ側識別部材とが衝突することなく、嵌め合う。一方、誤った種類のカートリッジ4がスロット61C~61Kに挿入された場合は、装置側識別部材630とカートリッジ側識別部材とが衝突し、カートリッジ4の更なる挿入が阻害される。これにより、誤った種類のカートリッジ4がカートリッジ装着部6の各スロット61C~61Kに装着される可能性を低減できる。
【0044】
図9に示すように、装置側端子部70は、上述した複数の装置側端子721、端子保持部750、コネクター739に加え、装置側端子位置決め部756を有する。装置側端子位置決め部756は、カートリッジ4の収容室61への挿入過程において、カートリッジ4の端子位置決め部に受け入れられて、挿入方向と交差する方向であるX方向とY方向の動きが規制される。これにより、装置側端子721とカートリッジ側端子521との挿入方向と交差する方向についての位置決めが行われる。
【0045】
装置側端子位置決め部756は、スロット61C~61Kごとに、2つずつ設けられている。2つの装置側端子位置決め部756のうち、一方を第1装置側端子位置決め部756tとも呼び、他方を第2装置側端子位置決め部756wとも呼ぶ。第1装置側端子位置決め部756tと第2装置側端子位置決め部756wはそれぞれY方向に沿って延びる柱状部材である。第1装置側端子位置決め部756tは、第1保持部側壁750ftに設けられている。第2装置側端子位置決め部756wは、第2保持部側壁750fwに設けられている。
【0046】
図10に示すように、端子保持部750の保持部表面750faは、+Y方向成分および+Z方向成分を含む方向を向いてY方向およびZ方向に対して傾斜する。装置側端子721のうち回路基板50と接触する端子接点722は、保持部表面750faから突出している。端子接点722は矢印YR1の向きに弾性変形可能な状態となっている。装置側端子位置決め部756の+Y方向側端部は、端子接点722に比べて+Y方向側に位置する。
【0047】
図8に示すように、装置側端子部70と、装置側識別部材630とは、それぞれ支持部材610に設けられている。支持部材610が延びる方向であるY方向について、装置側端子部70および装置側識別部材630は、液体導入部642や開口部614を挟んで第1装置壁67とは反対側に位置する。具体的には、装置側端子部70および装置側識別部材630は、第2装置壁62近傍に設けられている。また、装置側端子部70は、装置側識別部材630に比べて-Y方向側である第2装置壁62側に位置する。これにより、カートリッジ4の挿入過程において、カートリッジ側識別部材と装置側識別部材630との嵌め合わせが開始された後に、装置側端子721とカートリッジ側端子521との接触が開始される。よって、誤った種類のカートリッジ4のカートリッジ側端子521と、装置側端子721とが接触して、誤った種類のカートリッジ4が装着された状態で回路基板50の記憶装置と制御部31とが電気的に接続されることを防止できる。
【0048】
図7に示すように、係合形成体677は、支持部材610よりも+Y方向側に形成されている。また、係合形成体677は、挿抜開口部674よりも-Z方向側に位置する。係合形成体677には、各スロット61C~61Kに対応して、
図3に示す装着係合部697が4つ配置されている。
【0049】
A-4.カートリッジ4の詳細構成:
図11は、第1種カートリッジ4Aの斜視図である。
図12は、第1種カートリッジ4Aの分解斜視図である。
図13は、第1種カートリッジ4Aの一部を示す第1図である。
図14は、第1種カートリッジ4Aの一部を示す第2図である。
図15は、第1種カートリッジ4Aの第1側面図である。
図16は、第1種カートリッジ4Aの第2側面図である。
図17は、第1種カートリッジ4Aの正面図である。
図18は、第1種カートリッジ4Aの背面図である。
図19は、第1種カートリッジ4Aの上面図である。カートリッジ4について、Y方向は奥行方向、Z方向が高さ方向、X方向が幅方向である。カートリッジ4は、大容量の液体を収容し、外形が大きいカートリッジである。カートリッジ4の外形について、Y方向の寸法が最も大きく、Z方向の寸法、X方向の寸法の順に小さい。カートリッジ4を示す図について、X方向、Y方向、Z方向は、カートリッジ4のカートリッジ装着部6への挿入が完了した状態である端子接続過程の完了状態のときを基準としている。つまり、カートリッジ4を示す図について、X方向、Y方向、Z方向は、支持部材610を回転移動させる供給部接続過程の前の状態のときを基準としている。
【0050】
図12に示すように、第1種カートリッジ4Aは、上壁43を形成する液体収容体401と、底壁44を形成するアダプター402とを備える。アダプター402は、液体収容体401に嵌合によって取り付けられる。液体収容体401とアダプター402とは、合成樹脂によって形成されている。液体収容体401とアダプター402とは同じ材料によって形成されていてもよいし、異なる材料によって形成されていてもよい。また、液体収容体401を形成する部材は、アダプター402を形成する部材よりも軽量であってもよい。こうすることで、カートリッジ4の操作性が向上する。
【0051】
図11に示すように、第1種カートリッジ4Aの外形は、略直方体形状である。第1種カートリッジ4Aは、外殻を形成する本体41と、本体41に取り付けられた回路基板50とを備える。本体41は、上述の液体収容体401とアダプター402とによって形成されている。
【0052】
第1種カートリッジ4Aの本体41は、前壁42と、後壁47と、上壁43と、底壁44と、第1側壁45と、第2側壁46と、コーナー部89とを有する。各壁42,43,44,45,46,47は、各面42,43,44,45,46,47とも呼ぶ。前壁42と後壁47とは、挿入方向に沿ったY方向において対向する。上壁43と底壁44とは、Z方向において対向する。Z方向は、液体供給部442の延びる方向に沿った中心軸CA2と平行である。第1側壁45と第2側壁46とはX方向において対向する。つまり、第1側壁45と第2側壁46とが対向する対向方向OD1は、挿入方向D1に沿った方向である。
【0053】
図15に示すように、前壁42は、カートリッジ4が装着部6に挿入される挿入方向D1側に位置する。つまり、前壁42は、挿入方向D1側である-Y方向側の挿入先端面を形成する。後壁47は取り外し方向である+Y方向側の面を形成する。上壁43は、+Z方向側に位置し、前壁42と後壁47とに交差する。
図11に示すように、底壁44は、装着状態において重力方向側である-Z方向側に位置し、
図3に示す接続方向D2の接続先端面を形成する。つまり、底壁44は、接続方向D2側に位置する。底壁44は、前壁42と後壁47とに交差する。底壁44には、挿入開口部446が形成されている。挿入開口部446内には、液体供給部442が配置されている。液体供給部442の中心軸CA2が、挿入開口部446を通るように液体供給部442は配置される。カートリッジ4の装着過程において、カートリッジ装着部6の液体導入部642が、挿入開口部446に挿通される。挿入開口部446および液体供給部442は、挿入方向について、カートリッジ4の中央部MPと、後壁47側の端部との間の領域RYに位置する。
【0054】
図17に示すように、第1側壁45は-X方向側に位置し、第2側壁46は+X方向側に位置する。第1側壁45と第2側壁46とはそれぞれ、前壁42と後壁47と上壁43と底壁44とに交差する。コーナー部89は、前壁42と底壁44とが交差するコーナー部分に設けられている。コーナー部89は、内方に凹んだ凹部90を有する。
【0055】
第1種カートリッジ4Aは、さらに、
図11に示す、液体を収容する液体収容部450と、液体供給部442と、カートリッジ側識別部材430と、供給部位置決め部448と、回路基板50と、カートリッジ案内部447と、
図18に示すカートリッジ係合部497と、を備える。
【0056】
図12に示すように、液体収容部450は、収容部前壁432と、収容部後壁437と収容部上壁433と、収容部底壁431と、第1収容部側壁435と、第2収容部側壁436と、を備える。これらの壁431~436によって、液体収容部450の外殻は形成される。
【0057】
収容部前壁432は、前壁42の一部である。収容部前壁432は、挿入方向D1側に位置する。つまり収容部前壁432は、挿入方向D1側の先端面を形成する。収容部後壁437は、後壁47の一部である。収容部後壁437は、収容部前壁432と対向する。収容部後壁437と収容部前壁432との対向方向OD1は、中心軸CA2と直交する方向であり、挿入方向D1に沿った方向である。
【0058】
収容部底壁431は、収容部前壁432と収容部後壁437と交差する。収容部底壁431は、液体収容部450の-Z方向側の底面を形成する。収容部底壁431には、液体供給部442が配置されている。収容部上壁433は、上壁43と同じである。収容部上壁433は、収容部底壁431と対向する。収容部上壁433は、収容部前壁432と収容部後壁437と交差する。
【0059】
第1収容部側壁435は、第1側壁45の一部である。第2収容部側壁436は、第2側壁46の一部である。第1収容部側壁435と第2収容部側壁436とは、収容部前壁432と収容部後壁437と収容部上壁433と収容部底壁431と交差する。
【0060】
図12に示す液体供給部442は、液体収容部450と連通し、中心軸CA2を有する。中心軸CA2に沿った方向はZ方向である。液体供給部442の延びる方向である中心軸CA2に沿った方向は、挿入方向D1である-Y方向と交差する。本実施形態では、中心軸CA2は、挿入方向D1と直交する。つまり、液体供給部442は、挿入方向と直交する方向、本実施形態ではZ方向に延びる。液体供給部442は、液体収容部450の収容部底壁431からアダプター402側に突出する筒状部材である。液体供給部442は、アダプター402の凹形状の供給部配置室461に配置される。供給部配置室461の凹形状の底部には、
図11に示す挿入開口部446が形成されている。
【0061】
図12に示すように、液体供給部442は内部流路449を有し、液体収容部450の液体を外部である液体導入部642に供給する。液体供給部442の基端部である供給基端部442e2は、液体収容部450内に位置する。液体供給部442の先端部である供給先端部442e1は、外部に向かって開口する。液体供給部442の内部流路449には、内部流路449を開閉する図示しない弁機構が配置されている。弁機構は、供給先端部442e1側から順に、弁座と、弁体と、付勢部材とを有する。弁座はゴムやエラストマーによって形成された円環状の部材である。弁体は柱状部材であり、弁座に形成された弁孔を塞ぐ。付勢部材は、弁体を弁座側に付勢するコイルばねである。カートリッジ4の装着状態では、液体導入部642が弁体を弁座から離れる方向に押すことで、弁機構が開弁する。また、液体供給部442は、供給基端部442e2と供給先端部442e1との間に液体流入口443を有する、液体流入口443は、収容部底壁431に形成された円形状の開口である。液体収容部450の液体は、弁体の側壁に形成された開口部を介して液体流入口443に流入する。液体流入口443は内部流路449の一部である。
【0062】
図11に示すカートリッジ側識別部材430は、カートリッジ4がカートリッジ装着部6の正しいスロット61C,61M,61Y,61Kに挿入されたか否かを識別するために用いられる。カートリッジ側識別部材430は、リブであり、底壁44のうちで前壁42に近い側、本実施形態ではコーナー部89と隣接する位置に配置されている。カートリッジ側識別部材430は、カートリッジ4C,4M,4Y,4Kが収容する液体の色に応じて、異なるパターン形状を形成する。パターン形状は、リブの数と位置によって定められる。
【0063】
供給部位置決め部448は、装置側供給部位置決め部644を受け入れて、液体供給部442の液体導入部642に対する位置決めを行う。具体的には、供給部接続過程において、供給部位置決め部448は、装置側供給部位置決め部644を受け入れて、接続方向D2と交差する方向の供給部位置決め部448の動きを規制することで、液体導入部642に対する液体供給部442の位置決めを行う。供給部位置決め部448は、底壁44に形成され、底壁44の外表面から窪んだ凹部である。なお、他の実施形態では、供給部位置決め部448は、底壁44を貫通する孔であってもよい。供給部位置決め部448は略直方体形状の凹部であり、底壁44の外表面側に形成された入口部の開口面積は、入口部よりも奥側である凹部の底部側の開口面積よりも大きい。これにより、供給部接続過程において、供給部位置決め部448は、装置側供給部位置決め部644を容易に受け入れることができる。供給部位置決め部448は、挿入方向D1について、液体供給部442や挿入開口部446を挟んで回路基板50が有するカートリッジ側端子521とは反対側に位置する。本実施形態では、供給部位置決め部448は、底壁44のうちで後壁47近傍に形成されている。
【0064】
図18に示すように、カートリッジ係合部497は、後壁47に設けられている。カートリッジ係合部497は、後壁47の外表面から窪んだ凹部である。
【0065】
図13に示すように、回路基板50は、コーナー部89に配置されている。回路基板50は、表面50faに配置された複数のカートリッジ側端子521と、裏面に配置された記憶装置525とを有する。装置側端子と接触することで電気的に接続可能な複数のカートリッジ側端子521は、配線を介して記憶装置525に電気的に接続されている。複数のカートリッジ側端子521は、本実施形態では9つ設けられている。複数のカートリッジ側端子521が配置された表面50faは、挿入方向D1に対して傾斜している。具体的には、表面50faは、-Z方向成分と-Y方向成分とを含む方向を向いて、挿入方向に対して傾斜する。記憶装置525には、カートリッジ4に関する情報、例えば、製造年月日や液体残量が記憶されている。装着状態において、複数のカートリッジ側端子521は、対応する装置側端子721と接触することで電気的に接続される。これにより、印刷装置10の制御部31と、記憶装置525とが電気的に接続され、データ通信が可能となる。
【0066】
図14に示すように、回路基板50は、コーナー部89の凹部90に配置されている。
図11に示すように、凹部90は前壁42と底壁44とに亘って設けられている。
図14に示すように、凹部90は、前壁42側に位置する入口開口部を形成する凹部前壁982と、凹部90の底部を形成する凹部底壁988と、一対の凹部側壁902t,902wとを有する。
【0067】
凹部底壁988は、Y方向に対して傾斜する部分を有する。本実施形態において、傾斜する部分は、Y方向について凹部前壁982に向かうに従い、+Z方向側に位置するように傾斜する。回路基板50は、この傾斜した部分に配置される。
【0068】
一対の凹部側壁902t、902wは、凹部底壁988に接続された壁である。一対の凹部側壁902t、902wは、X方向に対向する。第1凹部側壁902tは、凹部底壁988の-X方向側端部に接続されている。第2凹部側壁902wは、凹部底壁988の+X方向側端部に接続されている。第1凹部側壁902tと第2凹部側壁902wとを区別することなく用いる場合には、凹部側壁902と呼ぶ。凹部前壁982に形成された開口である入口開口部は、装置側端子部70が凹部90に挿入される際の入り口となる。
【0069】
一対の凹部側壁902t,902wには、一対の端子位置決め部906t,906wがそれぞれ設けられている。一対の端子位置決め部906t,906wは、X軸方向に互いに向かい合うように設けられている。一対の端子位置決め部906t,906wを区別して用いる場合には、第1端子位置決め部906t、第2端子位置決め部906wとも呼び、区別して用いない場合には端子位置決め部906とも呼ぶ。端子位置決め部906は、凹部側壁902に形成された溝である。第1端子位置決め部906tは、第1凹部側壁902tの表面から窪んだ形状を有する溝である。第2端子位置決め部906wは、第2凹部側壁902wの表面から窪んだ形状を有する溝である。
【0070】
第1端子位置決め部906tは、端子接続過程において、
図9に示す第1装置側端子位置決め部756tを受け入れる。つまり、第1端子位置決め部906tには、第1装置側端子位置決め部756tが挿入される。第2端子位置決め部906wは、端子接続過程において、
図9に示す第2装置側端子位置決め部756wを受け入れる。つまり、第2端子位置決め部906tには、第2装置側端子位置決め部756wが挿入される。端子位置決め部906への装置側端子位置決め部756の挿入は、カートリッジ側識別部材430と装置側識別部材630との嵌め合いが開始された後に行われる。また、端子位置決め部906への装置側端子位置決め部756の挿入は、装置側端子721とカートリッジ側端子521との接触が開始する前に開始される。
【0071】
装置側端子位置決め部756が端子位置決め部906に受け入れられることで、装置側端子位置決め部756と端子位置決め部906とが接触する。これにより、カートリッジ側端子521の装置側端子721に対する挿入方向と交差する方向であるZ方向とX方向との動きが規制される。動きが規制されることで、カートリッジ側端子521の装置側端子721に対する挿入方向と交差する方向であるZ方向とX方向の位置決めが行われる。端子位置決め部906は、+Y方向側に端部壁916を有する。この端部壁916に装置側端子位置決め部756の先端部が当たった当接位置から、さらにカートリッジ4が挿入方向D1側に押し進められることで端子接続過程は完了する。当接位置からカートリッジ4が挿入方向D1側にさらに推し進められることで、
図4に示す保持機構73が挿入方向D1側に押し込まれる。これにより、装置側端子部70はカートリッジ4の動きに追従して挿入方向D1側に移動する。よって、端子接続過程が完了した状態では、
図4に示す付勢部材780が圧縮した状態となる。また、端子接続過程が完了した状態では、装置側端子721とカートリッジ側端子521とが接触する。
【0072】
図11および
図19に示すように、カートリッジ案内部447は、挿入方向D1に沿って延びる。カートリッジ案内部447は、カートリッジ装着部6の装置案内部602によって挿入方向D1に案内される。カートリッジ案内部447は、第1側壁45と第2側壁46にそれぞれ形成されている。
図11には、理解の容易のために、第1側壁45に形成されたカートリッジ案内部447にシングルハッチングを付している。カートリッジ案内部447は、段差によって第1側壁45と第2側壁46にそれぞれ形成されている。つまり、カートリッジ4の幅について、底壁44を含む一部分は、一部分よりも底壁44から離れた部分にある他部分よりも小さい。これにより、カートリッジ案内部447を形成する段差が形成される。カートリッジ案内部447は、-Z方向を向く面である。第1側壁45に形成されたカートリッジ案内部447を第1カートリッジ案内部447aとも呼び、第2側壁46に形成されたカートリッジ案内部447を第2カートリッジ案内部447bとも呼ぶ。
【0073】
カートリッジ装着部6にカートリッジ4が挿入された場合、装置案内部602の+Z方向側の面とカートリッジ案内部447が接触することで、カートリッジ4の姿勢を維持した状態で、カートリッジ4の挿入方向D1への動きが案内される。カートリッジ4が収容室61に挿入される過程において、第1装置案内部602aの+Z方向側の面は第1カートリッジ案内部447aと接触し、第2装置案内部602bの+Z方向側の面は第2カートリッジ案内部447bと接触する。
【0074】
図11および
図12に示すように、アダプター402は、端子位置決め部906とカートリッジ側端子521とを有するコーナー部89と、カートリッジ側識別部材430と、挿入開口部446と、供給部位置決め部448と、カートリッジ案内部447と、供給部配置室461と、を有する。
【0075】
図20は、第1種カートリッジ4Aの断面図である。
図20では、液体供給部442内に配置されている弁機構は省略している。
図20を用いて、液体収容部450の詳細構成について説明する。ここで、収容部前壁432の内面を前壁内面482と呼び、収容部後壁437の内面を後壁内面487と呼び、収容部底壁431の内面を底壁内面481と呼ぶ。
【0076】
挿入方向D1について、液体流入口443と後壁内面487との距離である第1距離Dt1は、液体流入口443と前壁内面482との距離である第2距離Dt2よりも短い。本実施形態では、第1距離Dt1は、第2距離Dt2の半分以下である。本実施形態において、第1距離Dt1や第2距離Dt2における液体流入口443の基準位置は、中心軸CA2である。
【0077】
底壁内面481は、挿入方向D1について、液体流入口443と収容部後壁437との間に位置する後壁側内面425と、液体流入口443と収容部前壁432との間に位置する前壁側内面429とを有する。
【0078】
後壁側内面425は、第1底壁内面422と、第1段差面423と、第1端部内面424とを有する。第1底壁内面422は、液体流入口443に接続された面である。第1段差面423は、挿入方向D1について、第1底壁内面422と第1端部内面424との間に位置し、第1底壁内面422と第1端部内面424とを繋ぐ。第1段差面423の一端は第1底壁内面422に接続され、第1段差面423の他端は第1端部内面424に接続されている。第1端部内面424は、挿入方向D1について、第1段差面423を挟んで第1底壁内面422とは反対側に位置する。第1端部内面424は、後壁内面487に接続された面である。
【0079】
後壁側内面425は、液体流入口443に向かうに従い液体収容部450の外方側、すなわち液体供給部442の突出方向側に位置するように挿入方向D1に対して傾斜する。つまり、後壁側内面425を構成する第1底壁内面422と第1段差面423と第1端部内面424とのそれぞれは、液体流入口443に向かうに従い液体収容部450の外方側に位置するように挿入方向D1に対して傾斜する。言い換えれば、後壁側内面425は、液体流入口443に向かうに従い、収容部上壁433から収容部底壁431に向かう方向である-Z方向側に位置するように傾斜する。
【0080】
この傾斜の関係は、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着された装着状態でも同様である。つまり、カートリッジ4の装着状態において、後壁側内面425を構成する第1底壁内面422と第1段差面423と第1端部内面424とのそれぞれは、液体流入口443に向かうに従い液体収容部450の外方側に位置するように挿入方向D1に対して傾斜する。このような傾斜の関係を有させるために、挿入方向D1や挿入方向D1に沿った対向方向OD1と、後壁側内面425との成す角度である傾斜角は、液体供給部442が液体導入部642に接続される際の回転角θ1よりも大きく設定されている。例えば、第1底壁内面422や第1端部内面424と、挿入方向D1との成す角度である傾斜角θ2は、8°に設定されている。これにより、カートリッジ4の装着状態では、第1底壁内面422や第1端部内面424は、水平方向に対して3°傾斜することで、液体流入口443に近づくにつれて下方側に位置する。
【0081】
前壁側内面429は、第2底壁内面426と、第2段差面427と、第2端部内面428と、を有する。第2底壁内面426は、液体流入口443に接続された面である。第2段差面427は、挿入方向D1について、第2底壁内面426と第2端部内面428との間に位置し、第2底壁内面426と第2端部内面428とを繋ぐ。第2段差面427の一端部は第2底壁内面426に接続され、第2段差面427の他端は第2端部内面428に接続されている。第2端部内面428は、挿入方向D1について、第2段差面427を挟んで第2底壁内面426とは反対側に位置する。第2端部内面428は、前壁内面482に接続された面である。
【0082】
第2底壁内面426と第2端部内面428とはそれぞれ、中心軸CA2と直交する方向に延びる。第2段差面427は、中心軸CA2に沿った方向に延びる。液体供給部442を液体導入部642に接続する際には、上述のごとく後壁47側が下方へ回転移動する。これにより、カートリッジ4の装着状態では、第2底壁内面426と第2端部内面428とはそれぞれ、液体流入口443に向かうに従い下方側に位置するように水平方向に対して傾斜する。
【0083】
図21は、第2種カートリッジ4Bの斜視図である。
図22は、第2種カートリッジ4Bの正面図である。
図23は、第2種カートリッジ4Bの背面図である。第2種カートリッジ4Bと第1種カートリッジ4Aとの異なる点は、液体収容体401Bの幅が、
図11に示す液体収容体401の幅よりも小さい点である。これにより、液体収容体401Bに形成された液体収容部450が収容できる液体の量は、液体収容体401に形成された液体収容部450が収容できる液体の量よりも小さい。第2種カートリッジ4Bのその他の構成については、第1種カートリッジ4Aと同様の構成であるため、同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。
【0084】
第2種カートリッジ4Bのアダプター402は、第1種カートリッジ4Aのアダプター402と、カートリッジ側識別部材430が形成するパターン形状を除いて同一の構成である。これにより、容量が異なるカートリッジ4A,4Bについて、アダプター402を共通に用いることができる。
【0085】
A-5.カートリッジのカートリッジ装着部への装着過程:
図24は、装着過程を説明する第1図である。
図25は、装着過程を説明する第2図である。
図26は、
図25の断面図であり、
図2の3-3断面に相当する図である。
図27は、装着過程を説明する第3図である。
図28は、
図27の断面図であり、
図2の3-3断面に相当する図である。
図24~
図26は端子接続過程を示し、
図27、
図28は供給部接続過程を示している。
【0086】
図24に示すように、カートリッジ4をカートリッジ装着部6に装着する際には、まずカートリッジ4をカートリッジ装着部6の挿抜開口部674から収容室61内に挿入する。カートリッジ4のカートリッジ装着部6への挿入方向D1は、-Y方向であり、カートリッジ案内部447が延びる方向と平行である。
【0087】
カートリッジ4が、
図24に示す状態からさらに挿入方向D1に押し進められると、
図25に示すように端子接続過程が完了する。
図25に示す端子接続過程の完了状態では、アダプター402の+Y方向側の端部402eが係合形成体677よりも挿入方向D1側に位置する。また、
図26に示すように、端子接続過程の完了状態では、カートリッジ側端子521と装置側端子721とが接触している。また、端子接続過程の完了状態では、付勢部材780が圧縮されており、付勢部材780から装置側端子部70が外力Faを受ける。利用者は、カートリッジ4を挿入方向D1側に押しつつ、回転支点698を支点とした回転方向である接続方向D2にカートリッジ4を回転移動させることで、供給部接続過程を実行する。
【0088】
カートリッジ4が接続方向D2へ回転移動すると、液体導入部642と液体供給部442との接続が開始される前に、供給部位置決め部448による装置側供給部位置決め部644の受け入れが開始されて、その後、液体導入部642に対する液体供給部442の位置決めが開始される。つまり、液体供給部442による液体供給部442の中心軸CA2と交差する動きが規制される。供給部接続過程では、装置側供給部位置決め部644が液体導入部642に挿入される際に、カートリッジ4がY方向に微小に移動する場合が生じ得る。この場合、付勢部材780が伸縮することで、装置側端子部70がカートリッジ側端子521の動きに追従するように動く。これにより、カートリッジ側端子521と装置側端子721との接触を良好に維持できる。
【0089】
図28に示すように、供給部接続過程が完了したカートリッジ4の装着状態では、回路基板50のカートリッジ側端子521と、装置側端子部70の装置側端子721とが接触し、液体供給部442と液体導入部642とが接続する。装着状態では、カートリッジ4の挿入方向D1と、液体供給部442が延びる方向とは交差する。また、装着状態では、液体供給部442の延びる方向が重力方向成分を含む方向となるように、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される。これにより、液体供給部442内の液体を円滑に流通させることができる。よって、液体収容部450内に消費されることなく残留する液体の量を低減できる。本実施形態では、装着状態において、液体供給部442が延びる方向である中心軸CA2と、重力方向とが、5°の角度を形成するように液体供給部442が重力方向に対して傾斜する。なお、この角度は、第1底壁内面422や第1端部内面424と、挿入方向D1との成す角度である傾斜角θ2よりも小さければ上記に限定されるものではなく、5°より小さい角度であってもよい。
【0090】
また
図28に示すように、カートリッジ4の装着状態では、装着係合部697とカートリッジ係合部497とが係合することで、カートリッジ4の装着状態が維持される。また、カートリッジ4の装着状態において、後壁側内面425や前壁側内面429は、液体流入口443に向かうに従い下方側に位置するように傾斜する。これにより、液体収容部450の液体を円滑に液体流入口443に流通させることができるので、液体収容部450に消費されることなく残留する液体の量を低減できる。
【0091】
カートリッジ4をカートリッジ装着部6から取り出す場合には、利用者は、カートリッジ4の後壁47側を持ち上げることで、回転支点698を支点として接続方向D2とは反対方向である接続解除方向D3に回転移動させる。これにより、カートリッジ4の本体によって押されることで装着係合部697が変位して、装着係合部697とカートリッジ係合部497との係合が解除される。ユーザーは、装着係合部697とカートリッジ係合部497との係合を解除した後に、取り外し方向にカートリッジ4を移動させることで、カートリッジ4をカートリッジ装着部6から取り出す。
【0092】
図29は、第1参考例のカートリッジ4Tを収容した個装箱830を示す模式図である。カートリッジ4Tと、カートリッジ4の異なる点は、前壁側内面429Tが挿入方向D1に対して傾斜している点である。前壁側内面429Tが挿入方向D1に対して傾斜することで、底壁44の外面も挿入方向D1に対して傾斜する部分を有する。これにより、カートリッジ4Tを段ボールなどの直方体形状の個装箱830に収容した場合、カートリッジ4と個装箱830との間に隙間、すなわちデッドスペースDSが生じる。これにより、個装箱830の容積効率が低下する。
【0093】
図30は、第2参考例のカートリッジ4Vを収容した個装箱830を示す模式図である。カートリッジ4Vと、カートリッジ4の異なる点は、カートリッジ4Vの前壁側内面429Tが、カートリッジ4Tと同様に傾斜している点と、アダプター402Vの形状である。カートリッジ4Vにおいて、個装箱830の容積効率を向上させるために、底壁44の外面を挿入方向D1に沿った形状にした場合、アダプター402Vの厚みを過度に大きくする必要が生じる。例えば、図に示す領域Rgにおいて過度に厚みが大きくなる。
【0094】
図31は、カートリッジ4を収容した個装箱830を示す模式図である。
図31に示すように、第2端部内面428や第2底壁内面426は挿入方向D1に沿っているため、収容部底壁431の厚みを過度に大きくすることなく、後壁側内面425や第2底壁内面426に対応する収容部底壁431の外面を挿入方向D1に沿った形状にできる。これにより、収容部底壁431側に配置されるアダプター402についても、過度に厚みを大きくすることなく、底壁44を挿入方向D1に沿った形状にできる。つまり、カートリッジ4の底壁44を構成するアダプター402のうちで、過度に厚みを大きくすることなく挿入方向D1に沿った形状にできる領域を大きくできる。これにより、カートリッジ4が個装箱830に収容された場合に、カートリッジ4と個装箱830との間の隙間を低減できるので、個装箱830の容積効率を向上できる。
【0095】
上記実施形態によれば、カートリッジ4において、収容部底壁431の底壁内面481のうちで、液体流入口443と収容部前壁432との間に位置する第2底壁内面426は、中心軸CA2と直交する方向、すなわち挿入方向D1に沿って延びている。ここで、
図26および
図28に示すように、液体供給部442が液体導入部642に接続される際に、回転支点698を中心に収容部後壁437側が下方へ回転移動する。これにより、カートリッジ4の収容部後壁437側が下方へ回転移動することで、第2底壁内面426は液体流入口443に近づくにつれて下方に位置するように傾斜する。ここで、
図26に示すように、第1距離Dt1は第2距離Dt2よりも短いことで、第2底壁内面426の面積を大きくできる。カートリッジ4が挿入方向D1に沿った形状の第2底壁内面426を有していても、カートリッジ4の装着状態において、第2底壁内面426を液体流入口443に近づくにつれて下方に位置するように傾斜させることができるので、液体収容部450の液体を円滑に液体供給部442に流通させることができる。また、第2底壁内面426を挿入方向D1に沿った形状に形成できるので、第2底壁内面426を挿入方向D1に対して傾斜させた形状にする場合に比べ、液体収容部450の容積が小さくなることを抑制できる。このため、液体の収容量が小さくなることを抑制できる。また、第2底壁内面426を挿入方向D1に沿った形状に形成できるので、カートリッジ4の底壁44のうちで、挿入方向D1に沿った形状に形成できる領域を大きくできる。これにより、カートリッジ4が個装箱830に収容された場合に、カートリッジ4と個装箱830との間の隙間を低減できるので、個装箱830の容積効率を向上できる。
【0096】
また上記実施形態によれば、第1底壁内面422や第1端部内面424と、挿入方向D1との成す角度である傾斜角θ2は、液体供給部442が液体導入部642に接続される際のカートリッジ4の回転角θ1よりも大きい。これにより、カートリッジ4の装着状態において、第1端部内面424と第1底壁内面422とはそれぞれ、液体流入口443に向かうに従い、下方に位置するように挿入方向D1に対して傾斜する。本実施形態では、後壁側内面425において、液体流入口443に向かう液体の流通経路が、液体流入口443に向かうに従い下方に位置するように挿入方向D1に対して傾斜する。これにより、第1底壁内面422上の液体が重力によって液体流入口443に向かって円滑に流通するので、液体収容部450に消費されることなく残留する液体の量を低減できる。
【0097】
また上記第1実施形態では、印刷システム1は、水頭差を利用してカートリッジ4からの液体を吐出ヘッド22に供給する。これにより、印刷システム1は、カートリッジ4からの液体を吐出ヘッド22に供給するポンプを備える必要が無いため、印刷システム1の構成を簡素化したり小型化したりできる。
【0098】
また上記実施形態によれば、
図24~
図28に示すように、挿抜開口部674を介して収容室61にカートリッジ4を挿入した後に、回転支点698を中心に開口部614を重力方向側に変位させることで液体導入部642の先端部642bを収容室61内に配置させることで、液体導入部642と液体供給部442とを接続することができる。これにより、カートリッジ4を収容室61に水平方向に挿入する端子接続過程では、カートリッジ4が、挿入方向D1と交差する方向に形成されている液体導入部642に衝突することを防止できる。よって、カートリッジ4のカートリッジ装着部6に装着する際の操作性を向上できる。
【0099】
また上記実施形態によれば、
図28に示すように、カートリッジ4は挿入方向D1側に位置する前壁42と交差する底壁44に液体供給部442が配置されている。これにより、装着状態において、液体供給部442が配置された底壁44を重力方向側に位置させることができるので、液体収容部450の液体を円滑に液体供給部442に流通させることができる。これにより、消費されることなく残留する液体収容部450の量を低減できる。また、
図24に示すように、カートリッジ4の挿入方向D1および挿入方向D1と反対方向である取り外し方向は、Y方向であり水平方向に沿った方向である。これにより、カートリッジ4をカートリッジ装着部6に対して挿抜する際には、水平方向にカートリッジ4を移動させればよいので、カートリッジ4の操作性を向上できる。特に本実施形態のごとく、大容量の液体を収容する外形の大きいカートリッジ4をカートリッジ装着部6に対して水平方向に沿って挿入したり取り外したりできるので、カートリッジ4の操作性をより向上できる。以上のように、カートリッジ4の装着状態において、カートリッジ4の挿入方向D1と、液体供給部442とが延びる方向とが交差することで、挿入方向D1を水平方向とし、延びる方向を鉛直方向成分を含む方向に設定できる。これにより、カートリッジ4の操作性を向上しつつ、液体収容部450内に消費されることなく残留する液体の量を低減できる。
【0100】
また上記実施形態によれば、
図11および
図19に示すように、カートリッジ4は、カートリッジ案内部447を備えることで、挿入方向D1に円滑に移動させることができる。特に、本実施形態では、カートリッジ4の外形は挿入方向D1が最も大きい。よって、カートリッジ4が、挿入方向に案内されるカートリッジ案内部447を有することで、カートリッジ4を挿入方向D1により円滑に移動させることができる。また、
図19に示すように、カートリッジ案内部447は、第1側壁45に形成された第1カートリッジ案内部447aと、第1側壁45に対応する第2側壁46に形成された第2カートリッジ案内部447bとを有する。これにより、カートリッジ4の幅方向両側にカートリッジ案内部447を設けることができるので、カートリッジ4をカートリッジ装着部6に対して挿入方向に移動させる際に、カートリッジ4の挿入姿勢を安定にできる。
【0101】
また上記実施形態によれば、
図11に示すように、カートリッジ側端子521を有する回路基板50が、前壁42と底壁44とが交差するコーナー部89に配置されている。これにより、カートリッジ4をカートリッジ装着部6の収容室61に対して挿入方向に移動させることで、カートリッジ側端子521と装置側端子721の接触を容易に行うことができる。特に本実施形態では、
図14に示すように、カートリッジ4が、コーナー部89に端子位置決め部906を有することで、装着過程において、カートリッジ側端子521と装置側端子721との接触を確実に行うことができる。
【0102】
また上記実施形態によれば、
図12に示すように、カートリッジ4は、液体収容体401とアダプター402とを有するので設計の自由度を向上できる。例えば、液体収容部450の容量が異なる複数の液体収容体401,401Bについて、共通のアダプター402を用いることができる。また、カートリッジ4が液体収容体401とアダプター402とを有することで、液体が消費された後において、液体収容体401をアダプター402から取り外して、新たな液体収容体401をアダプター402に取り付けることができる。これにより、カートリッジ4のリサイクル性が向上する。
【0103】
また本実施形態では、異なる種類の液体収容体401,401Bに対して共通に用いることができるアダプター402に、カートリッジ装着部6と協働する要素である、端子位置決め部906や供給部位置決め部448やカートリッジ側識別部材430やカートリッジ係合部497やカートリッジ案内部447が設けられている。これにより、液体収容体401の種類が異なっても、同じ種類のアダプター402を用いることができるので、カートリッジ4の製造コストを低減できる。また、これにより、液体収容体401,401Bの構造を単純化できる。
【0104】
また上記実施形態によれば、
図11に示すように、供給部位置決め部448は、挿入方向D1である-Y方向について、液体供給部442を挟んで回路基板50が有するカートリッジ側端子521とは反対側に位置する。また、
図26に示すように、回転支点698は、カートリッジ端子521が位置する側に配置されている。これにより、回転支点698を中心としてカートリッジ4を回転移動させて液体供給部442と液体導入部642とを接続する場合には、回転支点698と供給部位置決め部448との距離を長くできる。回転支点698と供給部位置決め部448との距離を長くすることで、カートリッジ4を回転移動する際の供給部位置決め部448の移動軌跡について、カーブを小さく、すなわち曲率を小さくできる。つまり、供給部位置決め部448の移動軌跡をより直線に近づけることができる。これにより、供給部位置決め部448が装置側端子位置決め部642を受け入れやすくできる。またこれにより、装置側供給部位置決め部642の突出長さをより大きくしても、供給部位置決め部448によって円滑に受け入れることができる。よって、装置側供給部位置決め部642の突出長さを大きくできるので、供給部接続過程のより早い段階で、装置側供給部位置決め部642が供給部位置決め部448によって受け入れられる。これにより、液体供給部442と液体導入部642の位置決めをより精度良く行うことができる。
【0105】
B.他の実施形態:
B-1.他の実施形態1:
上記実施形態では、
図24に示すように、挿入方向D1は水平方向に平行であったが、これに限定されるものではない。他の実施形態では、挿入方向D1は水平方向成分を有すれば、挿入方向D1に対して傾斜していてもよい。例えば、挿入方向D1は、水平方向に対して0°より大きく15°以下の範囲内で傾斜していてもよい。
【0106】
B-2.他の実施形態2:
上記実施形態では、
図12に示すように、液体収容体401とアダプター402とは別体であったが一体であってもよい。
【0107】
B-3.他の実施形態3:
本開示は、インクジェットプリンター及びそのインクカートリッジに限らず、インク以外の他の液体を噴射する任意の印刷装置及びそのカートリッジにも適用することができる。例えば、以下のような各種の印刷装置及びそのカートリッジに適用可能である。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置
(2)液晶ディスプレイ等の画像表示装置用のカラーフィルターの製造に用いられる色材を噴射する印刷装置
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、面発光ディスプレイ(Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材を噴射する印刷装置
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する印刷装置
(5)精密ピペットとしての試料印刷装置
(6)潤滑油の印刷装置
(7)樹脂液の印刷装置
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する印刷装置
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に噴射する印刷装置
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を噴射する印刷装置
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッドを備える印刷装置
【0108】
なお、「液滴」とは、印刷装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、印刷装置が噴射させることができるような材料であれば良い。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であれば良く、粘性の高い又は低い液状態の材料、及び、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含するものとする。
【0109】
C.他の形態:
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0110】
(1)本開示の第1形態によれば、液体を受け入れる液体導入部を有する印刷装置のカートリッジ装着部に着脱可能に装着されるカートリッジが提供される。このカートリッジは、前記液体を収容する液体収容部であって、前記カートリッジを前記カートリッジ装着部に挿入する挿入方向側に位置する収容部前壁と、前記収容部前壁と対向する収容部後壁と、前記収容部前壁と前記収容部後壁と交差する収容部底壁と、を有する液体収容部と、前記収容部底壁に形成された液体流入口と、前記液体収容部の前記液体を前記液体導入部に供給する液体供給部と、を備え、前記液体供給部は、前記カートリッジ装着部の前記挿入方向側に位置する回転支点を中心に前記カートリッジの前記収容部後壁側が下方へ回転移動することで前記液体導入部に接続され、前記挿入方向について、前記液体流入口と前記収容部後壁の内面である後壁内面との第1距離は、前記液体流入口と前記収容部前壁の前記内面である前壁内面との第2距離よりも短い。ここで、液体供給部が液体導入部に接続される際に、回転支点を中心に収容部後壁側が下方へ回転移動する。これにより、収容部底壁の内面のうち液体流入口と収容部前壁との間に位置する部分である第2底壁内面は、カートリッジのカートリッジ装着部に装着された装着状態において水平な方向である挿入方向に沿って延びている場合でも、カートリッジの装着状態では液体流入口に近づくにつれて下方に位置するように傾斜する。ここで上記形態によれば、第1距離は第2距離よりも短いことで、上記の第2底壁内面の面積をより大きくできる。これにより、挿入方向に沿った第2底壁内面を形成しても、カートリッジの装着状態において、第2底壁内面を液体流入口に向かって傾斜させることができるので、液体収容部の液体を円滑に液体供給部に流通させることができる。また、第2底壁内面を挿入方向に沿った形状に形成できるので、液体収容部の容積が小さくなることを抑制できるので、液体の収容量が小さくなることを抑制できる。また、第2底壁内面を挿入方向に沿った形状に形成できるので、カートリッジの底壁のうちで、挿入方向に沿った形状に形成できる領域を大きくできる。これにより、カートリッジが個装箱に収容された場合に、カートリッジと個装箱との間の隙間を低減できるので、個装箱の容積効率を向上できる。
【0111】
(2)上記形態において、前記収容部底壁の前記内面である底壁内面は、前記挿入方向について、前記液体流入口と前記収容部後壁との間に位置し、前記液体流入口に接続された第1底壁内面であって、前記液体流入口に向かうに従い前記液体収容部の外方側に位置するように前記挿入方向に対して傾斜する第1底壁内面を有し、前記第1底壁内面の傾斜角は、前記液体供給部が前記液体導入部に接続される際の前記カートリッジの回転角よりも大きくてもよい。この形態によれば、カートリッジを回転させて装着状態にした場合に、第1底壁内面を液体流入口に向かうに従い下方に位置するように傾斜させることができる。これにより、液体収容部に残留する液体の量を低減できる。
【0112】
(3)上記形態において、前記収容部底壁の前記内面である底壁内面は、前記挿入方向について、前記液体流入口と前記収容部前壁との間に位置し、前記液体流入口に接続された第2底壁内面であって、前記挿入方向に沿って延びる第2底壁内面を有し、前記第2底壁内面は、前記液体供給部が前記液体導入部に接続された前記カートリッジの装着状態では、前記液体流入口に向かうに従い下方側に位置するように前記挿入方向に対して傾斜していてもよい。この形態によれば、第2底壁内面を挿入方向に沿った形状に形成できるので、液体収容部の容積が小さくなることを抑制できるので、液体の収容量が小さくなることを抑制できる。また、第2底壁内面を挿入方向に沿った形状に形成できるので、カートリッジが個装箱に収容された場合に、カートリッジと個装箱との間の隙間を低減できるので、個装箱の容積効率を向上できる。
【0113】
(4)本開示の第2形態によれば、印刷システムが提供される。この印刷システムは、カートリッジが装着されるカートリッジ装着部を有する印刷装置と、上記形態に記載の前記カートリッジと、を備える。この形態によれば、挿入方向に沿った第2底壁内面を形成しても、カートリッジの装着状態において、第2底壁内面を液体流入口に向かって傾斜させることができるので、液体収容部の液体を円滑に液体供給部に流通させることができる。また、第2底壁内面を挿入方向に沿った形状に形成できるので、液体収容部の容積が小さくなることを抑制できるので、液体の収容量が小さくなることを抑制できる。また、第2底壁内面を挿入方向に沿った形状に形成できるので、カートリッジの底壁のうちで、挿入方向に沿った形状に形成できる領域を大きくできる。これにより、カートリッジが個装箱に収容された場合に、カートリッジと個装箱との間の隙間を低減できるので、個装箱の容積効率を向上できる。
【0114】
(5)上記形態において、前記印刷装置は、さらに、水頭差を利用して前記カートリッジからの前記液体が供給される吐出ヘッドであって、液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドと前記カートリッジとを連通させる流通管と、を備えてもよい。この形態によれば、カートリッジからの液体を吐出ヘッドに供給するポンプを備える必要が無いため、印刷システムの構成を簡素化できる。
【0115】
(6)上記形態において、前記カートリッジ装着部は、挿入方向に沿って前記カートリッジが挿入されて、前記カートリッジを収容する収容室と、前記挿入方向と交差する方向に延びる液体導入部であって、前記カートリッジの液体供給部に接続される液体導入部と、前記収容室の出入口である挿抜開口部を有する第1装置壁と、前記第1装置壁と対向する第2装置壁と、開口部を有する装置底壁を形成し、前記カートリッジを支持する支持部材であって、前記装置底壁は前記第1装置壁と前記第2装置壁と交差する、支持部材と、を備え、前記液体導入部は、前記支持部材に対して前記収容室を挟んで反対側に位置し、前記カートリッジ装着部はさらに、第2装置壁側に位置し、前記支持部材を回転移動させて前記開口部を重力方向側に変位させることで、前記開口部を介して前記液体導入部の先端部を、前記収容室内に配置させる回転支点を備えてもよい。この形態によれば、挿抜開口部を介して収容室にカートリッジを挿入した後に、開口部を重力方向側に変位させることで液体導入部の先端部を収容室内に配置させることで、液体導入部と液体供給部とを接続することができる。これにより、カートリッジをカートリッジ装着部に装着する際の操作性を向上できる。
【0116】
本開示は、上記形態の他に、カートリッジの製造方法、カートリッジのカートリッジ装着部への装着機構などの形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0117】
1…印刷システム、2…印刷用紙、4,4C,4M,4K,4T,4V…カートリッジ、4A…第1種カートリッジ、4B…第2種カートリッジ、6…カートリッジ装着部、8…キャップ部材、10…印刷装置、13…交換用カバー、15…操作ボタン、20…キャリッジ、22…吐出ヘッド、24…チューブ、30…駆動機構、31…制御部、32…タイミングベルト、34…駆動モーター、41…本体、42…前壁、43…上壁、44…底壁、45…第1側壁、46…第2側壁、47…後壁、50…回路基板、50fa…表面、61…収容室、61C,61M,61Y,61K…スロット、62…第2装置壁、63…装置上壁、64…装置底壁、65…第1装置側壁、66…第2装置側壁、67…第1装置壁、70…装置側端子部、73…保持機構、89…コーナー部、90…凹部、401,401B…液体収容体、402,402V…アダプター、402e…端部、422…第1底壁内面、423…第1段差面、424…第1端部内面、425…後壁側内面、426…第2底壁内面、427…第2段差面、428…第2端部内面、429,429T…前壁側内面、430…カートリッジ側識別部材、431…収容部底壁、432…収容部前壁、433…収容部上壁、435…第1収容部側壁、436…第2収容部側壁、437…収容部後壁、442…液体供給部、443…液体流入口、446…挿入開口部、447…カートリッジ案内部、447a…第1カートリッジ案内部、447b…第2カートリッジ案内部、448…供給部位置決め部、449…内部流路、450…液体収容部、461…供給部配置室、481…底壁内面、482…前壁内面、487…後壁内面、497…カートリッジ係合部、521…カートリッジ側端子、525…記憶装置、602…装置案内部、602a…第1装置案内部、602b…第2装置案内部、610…支持部材、611…第1支持側壁、612…第2支持側壁、613…主壁、614…開口部、625…装置付勢部材、630…装置側識別部材、642…液体導入部、642a…基端部、642b…先端部、644…供給部位置決め部、644a…一端部、644b…他端部、674…挿抜開口部、677…係合形成体、697…装着係合部、698…回転支点、699…液体貯留部、721…装置側端子、722…端子接点、739…コネクター、750…端子保持部、750fa…保持部表面、750ft…第1保持部側壁、750fw…第2保持部側壁、756…部、756t…部、756w…部、780…付勢部材、782…取付部材、830…個装箱、902…凹部側壁、902t…第1凹部側壁、902w…第2凹部側壁、906…端子位置決め部、906t…第1端子位置決め部、906w…第2端子位置決め部、916…端部壁、982…凹部前壁、988…凹部底壁、442e1…供給先端部、442e2…供給基端部、CA1…中心軸、CA2…中心軸、D1…挿入方向、D2…接続方向、D3…接続解除方向、DS…デッドスペース、Dt1…第1距離、Dt2…第2距離、Fa…外力、Ft1…外力、LF…液面、MP…中央部、OD1…対向方向、Rp…端子回転支点