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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】バッグインカートン用のカートン
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20241119BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20241119BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
B65D77/06 D
B65D5/02 J
B65D5/54 301E
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020195012
(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公開番号】P2022083599
(43)【公開日】2022-06-06
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】安藤 聡真
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-034031(JP,A)
【文献】実開昭57-105226(JP,U)
【文献】実開昭58-167056(JP,U)
【文献】実開昭58-019964(JP,U)
【文献】米国特許第05193712(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-79/02
B65D 5/00-5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙からなる外箱であるカートンと、プラスチックフィルムを基材として製袋された内袋とからなるバッグインカートン用のカートンにおいて、
カートンは組み立てた初期の状態において、
その外形は、天面、前側胴部、左側胴部、右側胴部、後ろ側胴部、及び底面の6面からなる直方体であって、
その内側にはスパウトを備えて液体を収納可能な内袋を収納可能であって、
スパウトはプラスチックの成型品からなり、その根元部分にカートンに固定するための溝を有しており、
カートンの天面は、4面の胴部から上方に向けて接続するフラップが、直角に折り込まれて3層に重なって形成されており、
天面の最内層には、後ろ側胴部から連続するフラップ(36)が、後ろ側から前側に向かって折り込まれており、
このフラップ(36)には、先端の辺に凹形状の切れ込みが設けてあり、
このフラップ(36)には、切れ込みより内側に幅方向に折り罫線が設けてあり、
またこのフラップ(36)と、後ろ側胴部との間の稜線の中央部には、スリットが形成されており、
天面の中間の層には、前側胴部から連続するフラップ(38)が、後ろ側に向かって折り込まれており、
このフラップ(38)は、先端の中央部のつまみ部を形成する縦方向の2本のカット済み線(39)、及びそれと連続して、下方に向かってハの字形を形成することができる、2本のミシン目(29)が引き裂き可能に形成されており、
またこのフラップ(38)には、前側胴部との間の稜線と、ハの字形の間には、幅方向に折り罫線(A)が設けてあり、
天面の最外層には、左側胴部、及び右側胴部から連続するフラップ(30、33)が、左右から内側に向かって折り込まれて中央で突き合せられて、前記中間の層に重ねて積層されており、
これらの左右のフラップ(30、33)には、前記先端の中央部をつまみ部として下方に向かってハの字形に形成された部分と一致して、カット済み線(39)に重なるミシン目(24、41)、ミシン目(29)に重なるカット済み線(21、35)が設けてあり、
前側胴部の上部には、切り抜き可能な円形のミシン目(20)が設けてあり、
前側胴部の円形のミシン目の下には、幅方向に折り罫線(B)が設けてあり、
この折り罫線(B)の両端部から、左側胴部、及び右側胴部の上辺とフラップとの稜線の、中央部に至るミシン目(25、26)が2箇所設けてあり、
さらにこの中央部に至るミシン目(25、26)に連続して、前側胴部に向かう稜線にミシン目(19、27)が2箇所設けてあり、
内容物の液体を取り出すに際しては、
カートンの天面の最外層、及び天面の中間の層の、前記つまみ部を手指でつまんで2層一緒に引き起こし、つまみ部及びハの字形に形成された部分のミシン目(29)を切り裂いて開封し、
さらに前側に向かって引き、折り罫線(B)の両端部から、前記左右側胴部の上辺とフラップとの稜線に至るミシン目(25、26)、及び前側胴部に向かう稜線のミシン目(19、27)の切り裂きによる、三角形の張り出しを前側胴部の左右に連続して形成し、
続いて、前記切り取り可能な円形のミシン目(20)を切り取って、開口部を形成し、
次に後ろ側胴部から連続する、最内層のフラップ(36)を後方に引き起こし、
続いて最外層の左側胴部、及び右側胴部から連続するフラップ(30、33)の、開封時にカット済み線(21、35)とミシン目(24、41)で切り裂かれたフラップの残部を、左右から内側に直角に折り込み、
次に、後ろ側胴部から連続する、フラップ(36)を前方に折り込み、
更に折り罫線で、前方に下るスロープを形成するとともに、
先端の辺の凹形状の切れ込みを、スパウトの溝に嵌め込んで固定し、スパウトを円形の開口部から突き出して露出させ、
次に前側胴部から連続するつまみ部及びハの字形に形成された部分、及び同形状に切り取られた、天面の中間の層のフラップ(38)とを2層一緒に、前記スロープ及び天面にかぶせて、折り罫線(A)から折り罫線(B)に下るスロープを形成し、
この時、前側胴部上部の、前記三角形の張り出しはカートンの内部に入れ込み、
つまみ部は、後ろ側胴部から連続するフラップ(36)と、後ろ側胴部との間の稜線の、前記スリットに挿入して固定し、
カートンを、組み立てた初期の状態の6面体に、このスロープを加えた7面体として、
内容物の液体を注ぎ出し可能な状態にすることができることを特徴とする、バッグインカートン用のカートン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二重容器に関するものである。特に外側は紙容器からなり、内側にプラスチックフィルムを基材とする内袋を収納して構成され、液体容器として用いることのできる、バッグインカートン用のカートンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代の生活様式において、液体の商品の流通、販売の場面で、プラスチックフィルムを用いた液体容器や、液体用紙容器を用いた商品は数多く生産、流通、販売され消費者の手元に届けられ、生活を支えている。
【0003】
たとえばジュース、乳飲料、酒類などの飲料は、メーカーにおいて液体充填装置により、ビンやプラスチックボトル、液体用紙容器などの液体容器に所定量が充填され、密封され、商品として送り出される。
【0004】
なかでも、バッグインカートンと呼ばれる容器があり、これはプラスチックフィルムを用いたバッグと呼ばれる内袋に、液体が充填された後にスパウトが打栓され、紙箱に収納された二重容器である。
【0005】
このような二重容器の場合、外側が紙容器であることから、直方体、あるいは立方体形状にすることができるために、積み重ねが容易で、倉庫などでの在庫効率や、輸送効率の向上を図ることが可能である。
【0006】
また外側の紙容器によって、耐衝撃性をはじめとする機械的強度の強化や、紫外線などの環境の影響を遮断することが可能である。また外側の紙容器には印刷などの表面加飾が容易であり、さらにプラスチック容器そのままの状態に比べて、外側が紙箱であれば持ち運びに便利であり、ハンドリングも容易である。
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、以下の構成を有する。なお、( )内の数字は、図4を始めとする図面に付された符号と対応している。
紙からなる外箱であるカートンと、プラスチックフィルムを基材として製袋された内袋とからなるバッグインカートン用のカートンにおいて、
カートンは組み立てた初期の状態において、
その外形は、天面、前側胴部、左側胴部、右側胴部、後ろ側胴部、及び底面の6面からなる直方体であって、
その内側にはスパウトを備えて液体を収納可能な内袋を収納可能であって、
スパウトはプラスチックの成型品からなり、その根元部分にカートンに固定するための溝を有しており、
カートンの天面は、4面の胴部から上方に向けて接続するフラップが、直角に折り込まれて3層に重なって形成されており、
天面の最内層には、後ろ側胴部から連続するフラップ(36)が、後ろ側から前側に向かって折り込まれており、
このフラップ(36)には、先端の辺に凹形状の切れ込みが設けてあり、
このフラップ(36)には、切れ込みより内側に幅方向に折り罫線が設けてあり、
またこのフラップ(36)と、後ろ側胴部との間の稜線の中央部には、スリットが形成されており、
天面の中間の層には、前側胴部から連続するフラップ(38)が、後ろ側に向かって折り込まれており、
このフラップ(38)は、先端の中央部のつまみ部を形成する縦方向の2本のカット済み線(39)、及びそれと連続して、下方に向かってハの字形を形成することができる、2本のミシン目(29)が引き裂き可能に形成されており、
またこのフラップ(38)には、前側胴部との間の稜線と、ハの字形の間には、幅方向に折り罫線(A)が設けてあり、
天面の最外層には、左側胴部、及び右側胴部から連続するフラップ(30、33)が、左右から内側に向かって折り込まれて中央で突き合せられて、前記中間の層に重ねて積層されており、
これらの左右のフラップ(30、33)には、前記先端の中央部をつまみ部として下方に向かってハの字形に形成された部分と一致して、カット済み線(39)に重なるミシン目(24、41)、ミシン目(29)に重なるカット済み線(21、35)が設けてあり、
前側胴部の上部には、切り抜き可能な円形のミシン目(20)が設けてあり、
前側胴部の円形のミシン目の下には、幅方向に折り罫線(B)が設けてあり、
この折り罫線(B)の両端部から、左側胴部、及び右側胴部の上辺とフラップとの稜線の、中央部に至るミシン目(25、26)が2箇所設けてあり、
さらにこの中央部に至るミシン目(25、26)に連続して、前側胴部に向かう稜線にミシン目(19、27)が2箇所設けてあり、
内容物の液体を取り出すに際しては、
カートンの天面の最外層、及び天面の中間の層の、前記つまみ部を手指でつまんで2層一緒に引き起こし、つまみ部及びハの字形に形成された部分のミシン目(29)を切り裂いて開封し、
さらに前側に向かって引き、折り罫線(B)の両端部から、前記左右側胴部の上辺とフラップとの稜線に至るミシン目(25、26)、及び前側胴部に向かう稜線のミシン目(19、27)の切り裂きによる、三角形の張り出しを前側胴部の左右に連続して形成し、
続いて、前記切り取り可能な円形のミシン目(20)を切り取って、開口部を形成し、
次に後ろ側胴部から連続する、最内層のフラップ(36)を後方に引き起こし、
続いて最外層の左側胴部、及び右側胴部から連続するフラップ(30、33)の、開封時にカット済み線(21、35)とミシン目(24、41)で切り裂かれたフラップの残部を、左右から内側に直角に折り込み、
更に折り罫線で、前方に下るスロープを形成するとともに、
先端の辺の凹形状の切れ込みを、スパウトの溝に嵌め込んで固定し、スパウトを円形の開口部から突き出して露出させ、
次に前側胴部から連続するつまみ部及びハの字形に形成された部分、及び同形状に切り取られた、天面の中間の層のフラップ(38)とを2層一緒に、前記スロープ及び天面にかぶせて、折り罫線(A)から折り罫線(B)に下るスロープを形成し、
この時、前側胴部上部の、前記三角形の張り出しはカートンの内部に入れ込み、
つまみ部は、後ろ側胴部から連続するフラップ(36)と、後ろ側胴部との間の稜線の、前記スリットに挿入して固定し、
カートンを、組み立てた初期の状態の6面体に、このスロープを加えた7面体として、
内容物の液体を注ぎ出し可能な状態にすることができることを特徴とする、バッグインカートン用のカートンである。
【0008】
このような、液体を収納することのできる二重容器の場合、内袋に取り付けられたスパウトは、外側の紙容器から外側に向けて、突き出して露出させることによって、必要なときに取り出すことを、より便利に行なうことができる。
【0009】
このとき、スパウトは使用前の準備として、外側の紙容器に開口部及び開口部に連続するフラップを設けておき、スパウトを開口部から引き出して後、スパウトを紙容器の開口部に該フラップを用いて固定するなどの、使用前の作業を必要とするため、煩雑さが避けられなかった。
【0010】
あるいは、スパウトをあらかじめ紙容器から外に突き出して露出させておく場合には、スパウトを固定しておくためのプラスチックパーツを必要とする場合がある上、突き出して露出したスパウトなどによって、積み重ねやハンドリングに支障が出るという問題があった。
【0011】
特許文献1には液体用のバッグインカートン用のカートンにおいて、使用後の分解、分離、分別に利便性のあるバッグインカートン用のカートンが提案されているが、使用前の状態において、紙容器は直方体の一辺を斜めにカットした7面体形状であり、ラップラウンド方式の包装形態に対応することは困難であった。加えて、スパウトは外に突き出して露出しており、紙容器の形状、及び露出したスパウトによって積み重ねやハンドリングに支障が出るという問題があった。
【0012】
あるいは、直方体形状の紙容器にスパウト付きの内袋を内蔵して、使用に際してスパウトを外側に突き出して露出させ、固定して開栓しようとすれば、人手でその一連の組み立て作業を行う必要があり、煩雑な作業を必要とした。
【0013】
図1は、一般的なバッグインカートンを説明するための、斜視(一部透視)模式図である。
【0014】
この例において、カートン(10)は7面体であって、天面(16)、底面(11)、前側胴部(12)、左側胴部(13)、右側胴部(14)、後ろ側胴部(15)の6面体に加えて、天面(16)から前側胴部(12)に下る面であるスロープ(17)を備えており、スロープ(17)からは、あらかじめ内袋(50)に連続するスパウト(51)がカートン(10)の外部に突き出して固定されている。
【0015】
このような形態のバッグインカートン用のカートン(10)は、このままではラップラウンド方式の自動包装形態にはなじまず、さらにあらかじめスロープ(17)を含む外形で作られているために、輸送、保管、取り扱いにおいて積み重ねに支障をきたし、利便性に劣るものであった。
【0016】
また液体が充填された内袋(50)をカートン(10)の内側に入れて、スパウト(51)をスロープ(17)に固定して組み立て作業を行うために、時には固定のための別部材を必要とし、そのコスト、装着の手間がかかる場合もあった。またスパウト(51)をカートン(10)の切り欠き部分、及び開口部に合わせる作業の煩雑さもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特開2018-122912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、紙からなる外箱であるカートンと、プラスチックフィルムを基材としてスパウトを備えた内袋から構成される二重容器において、ラップラウンド方式の包装形態に対応可能であることに加えて、初期の状態では6面体のカートンにおいて、開栓に際しては、カートンの一部を開封し、内袋のスパウトを紙容器の外部に引き出して固定し、スロープを加えた7面体とする作業を容易に行うことのできる、バッグインカートン用のカートンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
紙からなる外箱であるカートンと、プラスチックフィルムを基材として製袋された内袋とからなるバッグインカートン用のカートンにおいて、
カートンは組み立てた初期の状態において、
その外形は、天面、前側胴部、左側胴部、右側胴部、後ろ側胴部、及び底面の6面からなる直方体であって、
その内側にはスパウトを備えて液体を収納可能な内袋を収納可能であって、
スパウトはプラスチックの成型品からなり、その根元部分にカートンに固定するための溝を有しており、
カートンの天面は、4面の胴部から上方に向けて接続するフラップが、直角に折り込まれて3層に重なって形成されており、
天面の最内層には、後ろ側胴部から連続するフラップが、後ろ側から前側に向かって折り込まれており、
このフラップには、先端の辺に凹形状の切れ込みが設けてあり、
このフラップには、切れ込みより内側に幅方向に折り罫線が設けてあり、
またこのフラップと、後ろ側胴部との間の稜線の中央部には、スリットが形成されており、
天面の中間の層には、前側胴部から連続するフラップが、後ろ側に向かって折り込まれており、
このフラップは、先端の中央部のつまみ部を形成する縦方向の2本のカット済み線、及びそれと連続して、下方に向かってハの字形を形成することができる、2本のミシン目が引き裂き可能に形成されており、
またこのフラップには、前側胴部との間の稜線と、ハの字形の間には、幅方向に折り罫線(A)が設けてあり、
天面の最外層には、左側胴部、及び右側胴部から連続するフラップが、左右から内側に向かって折り込まれて中央で突き合せられて、前記中間の層に重ねて積層されており、
これらの左右のフラップには、前記先端の中央部をつまみ部として下方に向かってハの字形に形成された部分と一致して、カット済み線に重なるミシン目、ミシン目に重なるカット済み線が設けてあり、
前側胴部の上部には、切り抜き可能な円形のミシン目が設けてあり、
前側胴部の円形のミシン目の下には、幅方向に折り罫線(B)が設けてあり、
この折り罫線(B)の両端部から、左側胴部、及び右側胴部の上辺とフラップとの稜線の、中央部に至るミシン目が2箇所設けてあり、
さらにこの中央部に至るミシン目に連続して、前側胴部に向かう稜線にミシン目が2箇所設けてあり、
内容物の液体を取り出すに際しては、
カートンの天面の最外層、及び天面の中間の層の、前記つまみ部を手指でつまんで2層一緒に引き起こし、つまみ部及びハの字形に形成された部分のミシン目を切り裂いて開封し、
さらに前側に向かって引き、折り罫線(B)の両端部から、前記左右側胴部の上辺とフラップとの稜線に至るミシン目、及び前側胴部に向かう稜線のミシン目の切り裂きによる、三角形の張り出しを前側胴部の左右に連続して形成し、
続いて、前記切り取り可能な円形のミシン目を切り取って、開口部を形成し、
次に後ろ側胴部から連続する、最内層のフラップを後方に引き起こし、
続いて最外層の左側胴部、及び右側胴部から連続するフラップの、開封時にカット済み線とミシン目で切り裂かれたフラップの残部を、左右から内側に直角に折り込み、
次に、後ろ側胴部から連続する、フラップを前方に折り込み、
更に折り罫線で、前方に下るスロープを形成するとともに、
先端の辺の凹形状の切れ込みを、スパウトの溝に嵌め込んで固定し、スパウトを円形の開口部から突き出して露出させ、
次に前側胴部から連続するつまみ部及びハの字形に形成された部分、及び同形状に切り取られた、天面の中間の層のフラップとを2層一緒に、前記スロープ及び天面にかぶせて、折り罫線(A)から折り罫線(B)に下るスロープを形成し、
この時、前側胴部上部の、前記三角形の張り出しはカートンの内部に入れ込み、
つまみ部は、後ろ側胴部から連続するフラップと、後ろ側胴部との間の稜線の、前記スリットに挿入して固定し、
カートンを、組み立てた初期の状態の6面体に、このスロープを加えた7面体として、
内容物の液体を注ぎ出し可能な状態にすることができることを特徴とする、バッグインカートン用のカートンである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、紙からなる外箱であるカートンと、プラスチックフィルムを基材としてスパウトを備えた内袋から構成される二重容器において、ラップラウンド方式の包装形態に対応可能であることに加えて、初期の状態では6面体のカートンにおいて、開栓に際しては、カートンの一部を開封し、内袋のスパウトを紙容器の外部に引き出して固定し、スロープを加えた7面体とする作業を容易に行うことのできる、バッグインカートン用のカートンを提供することが可能である。
【0021】
特にカートンは、初期の状態において6面体であることによって、二重容器がラップラウンド方式の自動包装形態に対応可能であることに加えて、保管や取り扱いなどにおいて積み重ねが容易であって、輸送効率の点でもメリットは大きい。スパウトも初期の状態において、カートン内に格納されているために、外部からの接触や汚染の恐れもなく、衛生面においても好ましい。
【0022】
また内容物の注ぎ出しのための開栓においては、天面と前側胴部の上部にスロープを形成し、スパウトを引き出すとともに、固定するための別部材を必要とすることなく、カートンへの固定を容易に行うことができ、利便性に優れたバッグインカートン用のカートンである。
【0023】
また、6面体のカートンの稜線部分には、3層が重なって強度に富む天面を除けば、ミシン目が稜線に露出して配置されていないために、例えば外力が加わる製函時などにおいて、ミシン目を起因とする破れ等の発生リスクを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、一般的なバッグインカートンを説明するための、斜視(一部透視)模式図である。
図2図2は、本発明に係るバッグインカートン用のカートンの一実施態様において、その構成を説明するための、斜視(一部透視)模式図である。
図3図3は、本発明に係るバッグインカートン用のカートンの一実施態様において、カートンを組み立てた初期状態の外観を説明するための、斜視模式図である。
図4図4は、本発明に係るバッグインカートン用のカートンの一実施態様において、その詳細を説明するための、カートンの平面展開模式図である。
図5図5は、本発明に係るバッグインカートン用のカートンの一実施態様において、カートンを開封し、スロープを形成した状態を説明するための、斜視模式図である。
図6図6は、本発明に係るバッグインカートン用のカートンの一実施態様において、前側胴部から連続するフラップとそれに連続するつまみ部と、後ろ側胴部から連続するフラップを引き起こした状態を説明するための、斜視模式図である。
図7図7は、本発明に係るバッグインカートン用のカートンの一実施態様において、スロープを形成しようとする途中の状態を説明するための、斜視模式図である。
図8図8は、本発明に係るバッグインカートン用のカートンの一実施態様において、カートンをスロープを加えた7面体とし、スパウトを引き出して固定し、内容物の液体を注ぎ出し可能とした状態を説明するための斜視(一部透視)模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を図2図8を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0026】
図2は、本発明に係るバッグインカートン用のカートンの一実施態様において、その構成を説明するための斜視(一部透視)模式図である。
【0027】
本発明によるバッグインカートン(100)用のカートン(10)は、紙からなるカートン(10)と、プラスチックフィルムを基材として製袋された内袋(50)とからなる二重容器の外箱であり、カートン(10)の外形は、組み立てた初期状態において直方体形状であって、天面(16)、前側胴部(12)、左側胴部(13)、右側胴部(14)、後ろ側胴部(15)、及び底面(11)の6面からなる。
【0028】
特にカートン(10)が、初期の状態において6面体であることによって、二重容器がラップラウンド方式の自動包装形態に対応可能であることに加えて、保管や取り扱いなどにおいて積み重ねが容易であって、輸送効率の点で優れている。
【0029】
カートン(10)の内部に収納されている内袋(50)は、その内部に液体を収納可能であって、スパウト(51)による注ぎ出しが可能であり、また例えばスパウト(51)を螺合式のキャップで密封する場合には、繰り返しの開閉が可能である。
【0030】
またスパウト(51)も初期の状態において、カートン(10)内に格納されているために、外部からの接触や汚染の恐れもなく、衛生面においても好ましい。
【0031】
内袋(50)を構成するプラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン-6、ナイロン-66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。
【0032】
特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルムとする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。そのほか延伸ポリアミドフィルムを積層して用いる場合には、積層体に突き刺しに対する強靭性や、衝撃に対する強靭性を付与することができる。
【0033】
製袋は、プラスチックフィルムを基材として、例えば内袋(50)の内側になる面にシーラント層を設けた積層体として、シーラント層同士を対向させて重ね、シールして製袋することができる。
【0034】
シーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
【0035】
シーラント層の形成には、押出機などを用いて溶融した樹脂を製膜して、プラスチックフィルム上に層形成することができる。あるいは、あらかじめフィルムの状態に製膜してある材料を、ラミネートによって積層することによって、プラスチックフィルムの表面にシーラント層を形成することも可能である。
【0036】
またプラスチックフィルムは、接着剤層を介して他の層と積層して積層体とすることができる。積層体の層構成やその材料構成、厚さなどは、バッグインカートン(100)に対する要求品質に応じて適宜設計することができる
【0037】
また、たとえば内容物の保存性を向上させることなどを目的として、内袋(50)を構成する積層体中に、ガスバリア層を設けることができる。たとえば、アルミニウムなどの金属箔や、金属蒸着膜、あるいはプラスチックフィルムの表面にガスバリア層を設けてなる、ガスバリアフィルムを用いることができる。
【0038】
積層体中にガスバリア層を設ける場合には、環境条件による内容物の変化や劣化を防止することが可能であり、内容物の長期保存性の向上に効果的である。
【0039】
スパウト(51)は、例えば熱可塑性樹脂の成型品を用いることができ、これもシーラント層とのシールで接着することができる。スパウト(51)にはキャップをかぶせるなどして、内袋(50)は密封が可能である。
【0040】
図2に示すように、カートンが初期の状態において6面体であることによって、内袋(50)をカートン(10)内に収納する場合にも、ラップラウンド方式の自動包装形態に対応可能である。
【0041】
これに加えて、保管や取り扱いなどにおいても積み重ねが容易であって、輸送効率の点でもメリットは大きい。スパウト(51)も初期の状態において、カートン(10)内に格納されているために、外部からの接触や汚染の恐れもなく、衛生面においても好ましい。
【0042】
本発明は、内容物の注ぎ出しのためのスパウト(51)の開栓においては、カートン(10)を開封し、天面(16)と前側胴部(13)の上部にスロープを形成し、スパウト(51)をカートン(10)の外部に引き出すとともに、カートンへ(10)の固定を容易に行うことができ、利便性に優れたバッグインカートン用のカートン(10)を提供しようとするものである。
【0043】
図3は、本発明に係るバッグインカートン用のカートンの一実施態様において、カートンを組み立てた初期状態の外観を説明するための、斜視模式図である。
【0044】
前述のように、本発明によるバッグインカートン用のカートン(10)は、直方体形状であって、天面(16)、前側胴部(12)、左側胴部(13)、右側胴部(14)、後ろ側胴部(15)、及び底面(11)の6面からなる。なお、天面(16)は、図3において網掛けして示した面である。
【0045】
天面(16)は、4面の胴部から上方に向けて接続するフラップが、3層に重なって形成されており、図3に示す状態においては、最外層には、左側胴部(13)、及び右側胴部(14)から連続する2枚のフラップが、中央で突き合わされて配置された状態が可視となっている。
【0046】
2枚のフラップは、左右から内側に向かって直角に折り込まれて、天面(16)の中央で突き合せられて、天面(16)の中央部を縦に横切る、突き合せ線(22)を形成している。
【0047】
また、前述のように組み立てた初期状態において、左右の2枚のフラップは、天面(1
6)の最外層に設けてあり、この左右の2枚フラップの、先端のつまみ部(23)となる部分は、カートン(10)の開封においてきっかけとする部分であり、ミシン目(24)及びミシン目(41)を切り裂いて形成可能である。
【0048】
それに連続する、下方に向かってハの字形に形成された部分が、カット済み線(21)、及びカット済み線(31)によって示されている。このハの字形の終点は、天面(16)の端部、すなわち天面(16)の左右の稜線に達する。
【0049】
また、天面(16)の最外層の下には、3層の中間の層が積層されて配置されており、最外層に一致して、最外層のカット済み線(21)及びカット済み線(41)に重なるミシン目、最外層のミシン目(24)及び最外層のミシン目(41)に重なるカット済み線が設けてある。しかしながらこの中間の層は、図3においては最外層の下側にあるために不可視である。この部分は図4において説明を加える。
【0050】
天面(16)の中間の層は、前側胴部(13)から連続するフラップであって、後ろ側に向かって直角に折り込まれており、前述のように、このフラップには、最外層の2枚のフラップと位置を同じくして、つまみ部にはカット済み線が設けられている。
【0051】
またこの中間の層のフラップには、最外層の2枚のフラップと位置を同じくして、ハの字形の部分にはミシン目が引き裂き可能に形成されている。
【0052】
このように、天面(16)において、つまみ部(23)及びハの字形に関して、最外層のミシン目と中間の層のカット済み線が、また最外層のカット済み線(21)と中間の層のミシン目が、位置を同じくして重なっていることによって、後述するカートン(10)の開封に際して、ミシン目を切り裂く作業をより容易に行うことに効果的である。
【0053】
これは、上下の層でミシン目同士が2層重なることがなく、切り裂きに要する力がミシン1層分で一定となり、安定的にかつ容易になるためである。
【0054】
すなわち、カートン(10)の開封に際しては、天面(16)の最外層と中間の層の、つまみ部及びハの字形を2層同時につまんで、ミシン目を切り裂いて天面(16)の開封を行うことができる。
【0055】
天面(16)の最内層には、後ろ側胴部(15)から連続するフラップが、後ろ側胴部(15)から前側に向かって直角に折り込まれており、このフラップには、先端の辺に凹形状の切れ込みが設けてあるが、最内層であるために、これも図3においては不可視である。この部分においても図4において説明を加える。
【0056】
さらに本発明においては、図3から見て取れるように、6面体のカートン(10)の稜線部分には、3層になっている天面(16)を除いて、ミシン目が稜線に露出して配置されていないために、製函時などにおいて外力が加わる場合でも、ミシン目に起因する破れのリスクを低減させることができる。
【0057】
天面には折り罫線(32)、及び折り罫線(34)が設けてあり、また前側胴部(12)には折り罫線(B)が設けてある。これらは、カートン(10)を開封して、内容物の注ぎ出しを可能にする際に、スロープを形成する部分である。
【0058】
開封の後、スロープが形成される際には折り罫線(43)は、図3においては稜線を形成しているが、カートン(10)を開封して、ミシン目を切り裂き、ここにスロープが形成された後には、平坦となる。
【0059】
また、前側胴部(12)には、その上部の稜線近くに円形のミシン目(20)が設けてあり、この部分は円形に切り抜くことが可能である。この部分は、カートン(10)の開封時には、収納されている内袋のスパウトを、外部に突き出して露出させるための開口部とすることができる。
【0060】
このように本発明は、カートン(10)が初期の状態において6面体であることによって、得られるメリットに加えて、内容物の注ぎ出しに際しては、天面(16)を構成するフラップに設けられたミシン目やカット済み線を、つまみ部などを手指で容易に切り裂いて、カートン(10)にスロープを形成することができる。
【0061】
また、スパウト(51)をカートン(10)の外部に引き出すとともに、カートン(10)の、スロープへの固定を容易に行うことができ、利便性に優れたバッグインカートン用のカートン(10)とすることができる。
【0062】
図4は、本発明に係るバッグインカートン用のカートンの一実施態様において、その詳細を説明するための、カートンの平面展開模式図である。
【0063】
本発明は、2重容器の外箱であって、紙を材料としたカートン(10)に係るものである。2重容器は外箱であるカートン(10)と、プラスチックフィルムを基材として製袋された内袋とからなるバッグインカートンと呼ばれる形態の容器であって、内部に液体を収納して、スパウトから注ぎ出すことが可能である。
【0064】
カートン(10)は、ブランクス(9)を組み立てた初期の状態において、その外形は直方体であって、天面(16)、前側胴部(12)、左側胴部(13)、右側胴部(14)、後ろ側胴部(15)、及び底面(11)を立体に組み立てて形成される6面から形成されている。すなわち図4は、カートン(10)の組み立て前のブランクス(9)の一実施態様を、平面展開模式図にして示すものである。
【0065】
尚、図4に示す平面展開模式図において、符号が表記されていないものも含めて、一点鎖線で示してある部分は、すべてカートン(10)を組み立てるための、折り罫線を表している。
【0066】
図4に示す例において、天面(16)は、ブランクス(9)において上部に示す部分であって、4面の胴部から上方に向けて接続する4枚のフラップが示されている。ブランクス(9)の組み立て後には、これらが3層に重なって天面(16)を構成する。
【0067】
4面の胴部に接続するフラップは、左側胴部から連続するフラップ(30)、右側胴部から連続するフラップ(33)、前側胴部から連続するフラップ(38)、及び後ろ側胴部から連続するフラップ(36)の4枚である。
【0068】
図4に示す例において、左側胴部から連続するフラップ(30)には、ミシン目(24)、それに連続するカット済み線(21)、及び折り罫線(32)が設けられている。
【0069】
左側胴部から連続するフラップ(30)と左側胴部(13)との境界は、カートン(10)組み立て後には天面(16)の左側稜線となるが、前胴部側半分がミシン目(19)、後ろ胴部側半分が折り罫線で構成されている。
【0070】
右側胴部から連続するフラップ(33)については、左側胴部から連続するフラップ(30)と構成はすべて同様であるが、前側胴部(12)を挟んで、左右対称に構成されている。
【0071】
すなわち、右側胴部から連続するフラップ(33)には、ミシン目(41)、それに連続するカット済み線(35)、及び折り罫線(34)が設けられている。
【0072】
右側胴部から連続するフラップ(33)と右側胴部(14)との境界は、カートン(10)組み立て後には、天面(16)の右側稜線となるが、前胴部側半分がミシン目(27)、後ろ胴部側半分が折り罫線で構成されている。
【0073】
左側胴部から連続するフラップ(30)、及び右側胴部から連続するフラップ(33)、は、図3で示すカートン(10)を組み立てた初期状態の、突き合せ線(22)で向かい合って、天面(16)の可視部分、すなわち最外層を形成するものである。
【0074】
したがって左右両側のフラップによってなる、つまみ部(23)が最外層に配置されており、つまみ部(23)の両側はミシン目(24)及びミシン目(41)で切り離すことが可能である。
【0075】
図3で示したつまみ部(23)は、組み立てたカートン(10)の天面(16)において、中間の層のつまみ部(42)と積層されており、開封における切り離しは、つまみ部(23)とつまみ部(42)とを重ねた状態で、同時に行なうことができる。
【0076】
ブランクス(9)の組み立てによって、2枚のフラップが天面(16)で突き合わされた場合には、このミシン目(24)及びミシン目(41)の2本の平行線に連続して、前側胴部(12)に向かってハの字形が形成されるのであり、このハの字の部分はカット済み線(21)、及びカット済み線(35)によって、あらかじめ切り離された状態となっている。
【0077】
開封のための、つまみ部(23)及びつまみ部(42)の切り離しは、つまみ部(23)及びつまみ部(42)の重なりを手指でつまんで、上方に向けて引っ張り、ミシン目を引き裂くことによって行うことができる。
【0078】
この切り離しによって、左側胴部から連続するフラップ(30)は分割され、左側胴部(13)には、分割された残部が連続したまま残る。
【0079】
右側胴部から連続するフラップ(33)も同様であって、右側胴部(14)には、分割された残部が、連続したまま残る。この状態は、図6において示す。
【0080】
前側胴部から連続するフラップ(38)には、先端の中央部につまみ部(42)が配置されており、つまみ部(42)の両側は、2本の平行なカット済み線(39)であらかじめ切り離された状態となっている。
【0081】
この2本の平行なカット済み線(39)に連続して、下方に向かってハの字形が、ミシン目(29)によって引き裂き可能に形成されている。このハの字形の2本のミシン目(29)は前側胴部から連続するフラップ(38)の左右両端部に達している。このミシン目(29)の引き裂きは、開封時につまみ部(42)を、手指でつまんで上方に向けて引っ張りミシン目(29)を引き裂くことによって行うことができる。
【0082】
このつまみ部の引き裂きは、天面(16)の最外層になるフラップのつまみ部(23)と、中間の層になるフラップのつまみ部(42)とが積層され、重なった状態で、行うことができる。つまみ部に連続するハの字形の部分も同様である。
【0083】
この積層は、最外層になるフラップと、中間の層になるフラップとを、例えば接着剤などを介して接着することによって積層することもでき、その場合には、2層同時の引き裂きがより安定して、より容易に行うことに効果的である。この部分の接着方法には、特段の制約を設けるものではなく、ブランクス(9)の表面にシーラント層が設けてある場合には、シールによる接着をするのでもよい。
【0084】
また、前側胴部から連続するフラップ(38)には、折り罫線(A)が幅方向に設けてあり、開封してカートン(10)を内容物の注ぎ出しが可能な状態にしようとする際に、前側胴部(12)に設けてある折り罫線(B)との間で、天面(16)から前側胴部(12)にかけて斜めに下るスロープを形成し、その結果カートン(10)を7面体とすることができる。
【0085】
なお、折り罫線(A)は、左側胴部から連続するフラップ(30)の折り罫線(32)及び、右側胴部から連続するフラップ(33)の折り罫線(34)と、組み立てにおいて天面(16)の同位置に設けられて、重なるものである。この部分は斜めに下るスロープの上端になる部分である。
【0086】
また、天面(16)の最内層に配置されているのは、後ろ側胴部から連続するフラップ(36)であって、カートン(10)を組み立てた初期状態においては、後ろ側から前側に向かって直角に折り込まれている。
【0087】
この後ろ側胴部から連続するフラップ(36)には、先端の辺に凹形状の切れ込み(18)が設けてある。さらにフラップには、凹形状の切れ込み(18)より下方に、幅方向に折り罫線が設けてあり、この後ろ側胴部から連続するフラップ(36)と、後ろ側胴部(15)との間の稜線の左右中央部には、スリット(37)が形成されている。
【0088】
スリット(37)は、カット済み線と同様に、すでにカットされた細い隙間であって、折り罫線(A)と折り罫線(B)との間でスロープ(17)を形成し、カートン(10)を7面体とした際には、つまみ部(42)、及びつまみ部(23)の積層された部分を、このスリット(37)に挿入して、スロープ(17)及び天面(16)を固定することができる。
【0089】
前側胴部(12)の上部には、切り抜き可能な円形のミシン目(20)が設けてあり、この部分は、スロープ(17)の途中に位置するものである。スロープ(17)のこの円形のミシン目(20)を切り抜くことによって、カートン(10)内部に収納した内袋(50)のスパウト(51)を、形成された円形の穴によって、カートン(10)のスロープ(17)から外部に突き出して露出させ、内容物の液体の注ぎ出しを可能にすることができる。
【0090】
前述のように、前側胴部(12)の円形のミシン目(20)の下には、幅方向に折り罫線(B)が設けてある。この折り罫線(B)は、カートン(10)にスロープ(17)を形成した際には、前側胴部(12)とスロープ(17)の下端との境界線になる部分である。
【0091】
この折り罫線(B)の両端部から、左側胴部(13)、及び右側胴部(14)の上辺とフラップとの稜線の中央部に向かって、ミシン目(25)が左側胴部(13)に、ミシン目(26)が右側胴部(14)にそれぞれ設けてある。
【0092】
さらにこの稜線の中央部から連続して、前側胴部(12)に向けての稜線に、ミシン目
(19)、及びミシン目(27)が左右それぞれに設けてある。
【0093】
これらのV字形のミシン目を切り裂くことによって、カートン(10)を開封し、スロープ(17)を形成しようとする際には、これらのミシン目の切り裂きによって形成される、三角形の張り出しを前側胴部(12)に連続して、その左右に張り出して形成することができる。
【0094】
したがって、左側胴部(13)及び右側胴部(14)には、三角形の張り出し部分の欠損部分が生じ、この部分が、開封によって形成されるスロープ(17)の側面を形作るものとなる。
【0095】
図5は、本発明に係るバッグインカートン用のカートンの一実施態様において、カートンを開封し、スロープを形成した状態を説明するための、斜視模式図である。
【0096】
前述したように、本発明によるバッグインカートン用のカートン(10)は、スロープ(17)を形成した状態において、内袋(50)のスパウト(51)をカートン(10)の外部に引き出して固定し、内容物の液体の安定した注ぎ出しを可能にする。
【0097】
スロープ(17)の中央部、折り罫線(43)の下には円形のミシン目(20)が位置しており、これを切り抜くことによってスロープ(17)の途中に、円形の開口部を形成することができる。折り罫線(43)は、カートン(10)を組み立てた初期状態においては、前側胴部(12)と天面(16)の間の稜線を形成した部分であるが、スロープが形成されたのちには、その途中の位置で平坦になっている。
【0098】
図5において、この円形の開口部の内側には、後ろ側胴部から連続するフラップ(36)の凹型の切り込み(18)があって一部可視となっている。カートン(10)内部に収納されている内袋(50)のスパウト(51)は、根元部分の溝を凹型の切り込み(18)と円形の開口部とによって固定される。
【0099】
すなわちスパウト(51)を、スロープ(17)からカートン(10)の外部に引き出して露出させ、固定し、内容物の液体を注ぎ出し可能な状態にすることができる。
【0100】
スロープ(17)は、折り罫線(A)と折り罫線(B)の間に形成されており、開封が終わった段階では、カートン(10)は元の6面体から、スロープを(17)加えた7面体に変化している。
【0101】
したがって天面(16)はその面積が縮小しており、もとの天面(16)と前側胴部(12)との境界の稜線は、スロープ(17)の表面に、折り罫線(43)が平坦になってその痕跡をとどめている。
【0102】
初期の6面体の状態においては、天面(16)の最外層は、左側胴部(13)、及び右側胴部(14)から連続するフラップが突き合せられて形成されているが、ミシン目を切り抜いたり、切り裂いたりして、スロープ(17)を形成した7面体の状態においては、左側胴部から連続するフラップ(30)の分割された一部、及び右側胴部から連続するフラップ(33)の分割された一部が、突き合わされて、突き合わせ線(22)を形成して、天面(16)の最外層を形成している。
【0103】
また、つまみ部(42)はつまみ部(23)と積層された状態で、図4に示す折り罫線(28)で直角に折り曲げられて、更にスリット(37)に差し込まれてスロープ(17)及び天面(16)を固定している。
【0104】
したがって、この折り罫線(28)は、つまみ部がスリット(37)に差し込まれたのち、天面(16)と後ろ側胴部(15)との稜線の中央部分を形成している。
【0105】
図6は、本発明に係るバッグインカートン用のカートンの一実施態様において、前側胴部から連続するフラップとそれに連続するつまみ部と、後ろ側胴部から連続するフラップを引き起こした状態を説明するための、斜視模式図である。
【0106】
内容物の液体を取り出すに際しては、スパウト(51)を露出させ、固定するためのスロープ(17)を形成するために、まず天面(16)の最外層、及び天面(16)の中間の層の、つまみ部を手指でつまんで2層一緒に引き起こし、図中矢印(1)の方向に引っ張り、つまみ部、及びハの字形の部分のミシン目を切り裂いて開封する。
【0107】
すなわち、3層から構成される天面(16)のフラップを開封して、再構成することによってスパウト(51)を引き出すための、開口部及びスロープ(17)を形成するものである。
【0108】
すなわち天面(16)と前側胴部(12)との間に、スロープ(17)を設けようとするものであって、これによって、カートン(10)を組み立てた初期状態では6面からなる直方体は、スロープ(17)の面を含めた7面体へと変化させることができる。
【0109】
まず、天面(16)の最外層のつまみ部(23)、及び中間の層のつまみ部(42)を重ねたまま手指でつまんで把持し、図中矢印(1)の方向に引っ張って、ミシン目を引き裂き、カートン(10)の天面(16)の開封を開始する。この時、前述のように左側胴部から連続するフラップ(30)、及び右側胴部から連続するフラップ(33)は分割され、分割された残部(44)及び残部(45)が、左右の胴部にそれぞれ連続したまま残る。
【0110】
最内層の、後ろ側胴部から連続するフラップ(36)もまた、矢印(2)の方向に後方に、開くことができる。これによって、4面の胴部から連続する4枚すべてのフラップは、一旦天面(16)から離れた状態となり、スロープ(17)を形成する再構成に移行することが可能になる。
【0111】
図7は、本発明に係るバッグインカートン用のカートンの一実施態様において、スロープを形成しようとする途中の状態を説明するための、斜視模式図である。
【0112】
さらに、つまみ部及び前側胴部(12)の上部を、図中矢印(3)の方向に前側に向かって引き、折り罫線(B)の両端部から左右側胴部の上辺とフラップとの稜線に至るミシン目(26)、及びこの稜線の前胴部側のミシン目(27)の切り裂きによる、三角形の張り出し(46)が、前側胴部(12)の右側に連続して形成される。
【0113】
同様にして三角形の張り出しが、前側胴部(12)の左側にも形成されるが、図7においては、前側胴部(12)及びフラップ(38)の向こう側になっており、不可視である。これらの三角形の張り出しは、スロープ(17)形成においては、カートン(10)内側に差し込まれて収納されるものである。
【0114】
次に、後ろ側胴部に連続するフラップ(36)を、矢印(4)方向に押し下げて天面(16)、及びそれに続くスロープ(17)の最内層を形成する。後ろ側胴部に連続するフラップ(36)には、先端の辺に凹形状の切れ込み(18)、及び折り罫線が設けてあり、カートン(10)内部に収納されている内袋(50)のスパウト(51)の根元部分の溝と嵌め合わせて固定することができる。
【0115】
図8は、本発明に係るバッグインカートン用のカートンの一実施態様において、カートンをスロープを加えた7面体とし、スパウトを引き出して固定し、内容物の液体を注ぎ出し可能とした状態を説明するための斜視(一部透視)模式図である。
【0116】
本発明によるカートン(10)において、内容物の液体を取り出すに際して、スパウト(51)をカートン(10)の外部に引き出して固定する作業を行う。図8で示す例では、図7で示した状態に引き続いて、前側胴部から連続するフラップのつまみ部(42)及びハの字形に形成された部分、及び同形状に切り取られた、天面の中間の層のフラップの分割された一部とを2層一緒に、後ろ側胴部から連続するフラップ(36)で形成されたスロープ(17)及び天面(16)となる部分を矢印(5)方向にかぶせて、折り罫線(A)から折り罫線(B)に至るスロープ(17)を形成する。
【0117】
この時、前側胴部(12)上部の、左右の三角形の張り出しはカートン(10)の内側に差し込んで収納し、つまみ部は、後ろ側胴部から連続するフラップ(36)と、後ろ側胴部との間の稜線の、スリット(37)に矢印(6)方向に挿入して固定し、カートン(10)を、初期の状態の6面体から、このスロープを加えた7面体として、内容物の液体を注ぎ出し可能な状態にすることができる。
【0118】
このようにして本発明によれば、紙からなる外箱であるカートンと、プラスチックフィルムを基材としてスパウトを備えた内袋から構成される二重容器において、ラップラウンド方式の包装形態に対応可能であることに加えて、初期の状態では6面体のカートンにおいて、開栓に際しては、カートンの一部を開封し、内袋のスパウトを紙容器の外部に引き出して固定し、スロープを加えた7面体とする作業を容易に行うことのできる、バッグインカートン用のカートンを提供することが可能である。
【符号の説明】
【0119】
1・・・矢印
2・・・矢印
3・・・矢印
4・・・矢印
5・・・矢印
6・・・矢印
9・・・ブランクス
10・・・カートン
11・・・底面
12・・・前側胴部
13・・・左側胴部
14・・・右側胴部
15・・・後ろ側胴部
16・・・天面
17・・・スロープ
18・・・凹形状の切れ込み
19・・・ミシン目
20・・・円形のミシン目
21・・・カット済み線
22・・・フラップ
23・・・つまみ部
24・・・ミシン目
25・・・ミシン目
26・・・ミシン目
27・・・ミシン目
28・・・折り罫線
29・・・カット済み線
30・・・右側胴部から連続するフラップ
31・・・折り罫線
32・・・折り罫線
33・・・右側胴部から連続するフラップ
34・・・折り罫線
35・・・カット済み線
36・・・後ろ側胴部から連続するフラップ
37・・・スリット
38・・・前側胴部から連続するフラップ
39・・・カット済み線
41・・・カット済み線
42・・・つまみ部
43・・・折り罫線
44・・・残部
45・・・残部
50・・・内袋
51・・・スパウト
100・・・バッグインカートン
A・・・折り罫線
B・・・折り罫線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8