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特許7589539通行情報提供装置、通行情報提供方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】通行情報提供装置、通行情報提供方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20241119BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20241119BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G01C21/26 A
G01C21/26 P
G09B29/00 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020212580
(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公開番号】P2022098912
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】篠田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 規史
(72)【発明者】
【氏名】直島 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】日下 聡
(72)【発明者】
【氏名】別府 重憲
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慶太
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/026396(WO,A1)
【文献】特開2017-067457(JP,A)
【文献】国際公開第2018/079694(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-25/00
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路における人の移動に関する情報を人流情報として取得する取得部と、
取得した前記人流情報を利用して、前記道路における通行の可否を推定する推定部と、
推定された前記道路における通行可否の状況を表す通行可否情報を出力する出力部と
を備え
推定された前記道路における通行可否の状況と、ユーザの所在位置の情報と、避難所としての施設の位置情報とに基づいて、前記ユーザが避難する避難所としての前記施設までの推奨する経路を表す推奨経路情報を生成する提案部と、
前記人流情報に基づいた前記道路の通行実績を利用して、前記道路における予め設定された区間毎に当該道路を通行できる可能性を表す指標を通行指標として設定する設定部と
をさらに備え、
前記提案部は、前記通行可否の状況と、前記ユーザの所在位置の情報と、前記避難所としての施設の位置情報とに加えて、前記通行指標をも利用して、前記避難所としての施設までの推奨する経路を表す前記推奨経路情報を生成する機能を備え、
前記人流情報に基づいて通行可能であると推定されなかった区間であっても、前記通行指標に基づいて、推奨する前記経路に組み込まれる前記区間があ
通行情報提供装置。
【請求項2】
道路における人の移動に関する情報を人流情報として取得する取得部と、
取得した前記人流情報を利用して、前記道路における通行の可否を推定する推定部と、
推定された前記道路における通行可否の状況を表す通行可否情報を出力する出力部と
を備え、
推定された前記道路における通行可否の状況と、ユーザの所在位置の情報と、前記ユーザが向かう目的地の位置情報とに基づいて、前記ユーザの所在位置から前記目的地までの推奨する経路を表す推奨経路情報を生成する提案部と、
前記人流情報に基づいた前記道路の通行実績を利用して、前記道路における予め設定された区間毎に当該道路を通行できる可能性を表す指標を通行指標として設定する設定部と
をさらに備え、
前記提案部は、前記通行可否の状況と、前記ユーザの所在位置の情報と、前記目的地の位置情報とに加えて、前記通行指標をも利用して、前記目的地までの推奨する経路を表す前記推奨経路情報を生成する機能を備え、
前記人流情報に基づいて通行可能であると推定されなかった区間であっても、前記通行指標に基づいて、推奨する前記経路に組み込まれる前記区間がある
通行情報提供装置。
【請求項3】
前記取得部は、さらに、気象情報と、道路の渋滞情報と、緊急通報情報と、センサ情報とのうちの少なくとも一つを状況情報として取得し、
前記提案部は、前記人流情報に加えて、前記状況情報をも利用して前記推奨経路情報を生成する
請求項1又は請求項に記載の通行情報提供装置。
【請求項4】
前記人流情報は、携帯端末装置の位置情報と、前記道路の状況が撮影されている撮影画像と、SNS(Social Networking Service)を利用して投稿されたSNS情報とのうちの少なくとも前記携帯端末装置の位置情報を含む
請求項1乃至請求項の何れか一つに記載の通行情報提供装置。
【請求項5】
前記携帯端末装置の位置情報の移動状態に基づいて当該携帯端末装置を所持している人の移動手段の種類を判定する解析部をさらに備える
請求項に記載の通行情報提供装置。
【請求項6】
コンピュータによって、
道路における人の移動に関する情報を人流情報として取得し、
取得した前記人流情報を利用して、前記道路における通行の可否を推定し、
推定された前記道路における通行可否の状況を表す通行可否情報を出力する通行情報提供方法であって、
前記人流情報に基づいた前記道路の通行実績を利用して、前記道路における予め設定された区間毎に当該道路を通行できる可能性を表す指標を通行指標として設定し、
推定された前記道路における通行可否の状況と、ユーザの所在位置の情報と、避難所としての施設の位置情報とに加えて、前記通行指標をも利用して、前記避難所としての施設までの推奨する経路を表す推奨経路情報を生成し、
前記人流情報に基づいて通行可能であると推定されなかった区間であっても、前記通行指標に基づいて、推奨する前記経路に組み込まれる前記区間がある、通行情報提供方法。
【請求項7】
コンピュータによって、
道路における人の移動に関する情報を人流情報として取得し、
取得した前記人流情報を利用して、前記道路における通行の可否を推定し、
推定された前記道路における通行可否の状況を表す通行可否情報を出力する通行情報提供方法であって、
前記人流情報に基づいた前記道路の通行実績を利用して、前記道路における予め設定された区間毎に当該道路を通行できる可能性を表す指標を通行指標として設定し、
推定された前記道路における通行可否の状況と、ユーザの所在位置の情報と、前記ユーザが向かう目的地の位置情報とに加えて、前記通行指標をも利用して、前記目的地までの推奨する経路を表す推奨経路情報を生成し、
前記人流情報に基づいて通行可能であると推定されなかった区間であっても、前記通行指標に基づいて、推奨する前記経路に組み込まれる前記区間がある、
通行情報提供方法。
【請求項8】
道路における人の移動に関する情報を人流情報として取得する処理と、
取得した前記人流情報を利用して、前記道路における通行の可否を推定する処理と、
推定された前記道路における通行可否の状況を表す通行可否情報を出力する処理と
前記人流情報に基づいた前記道路の通行実績を利用して、前記道路における予め設定された区間毎に当該道路を通行できる可能性を表す指標を通行指標として設定する処理と、
推定された前記道路における通行可否の状況と、ユーザの所在位置の情報と、前記ユーザが向かう目的地の位置情報とに加えて、前記通行指標をも利用して、前記目的地までの推奨する経路を表す推奨経路情報を生成し、前記人流情報に基づいて通行可能であると推定されなかった区間であっても、前記通行指標に基づいて、推奨する前記経路に組み込まれる前記区間がある処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項9】
道路における人の移動に関する情報を人流情報として取得する処理と、
取得した前記人流情報を利用して、前記道路における通行の可否を推定する処理と、
推定された前記道路における通行可否の状況を表す通行可否情報を出力する処理と、
前記人流情報に基づいた前記道路の通行実績を利用して、前記道路における予め設定された区間毎に当該道路を通行できる可能性を表す指標を通行指標として設定する処理と、
推定された前記道路における通行可否の状況と、ユーザの所在位置の情報と、前記ユーザが向かう目的地の位置情報とに加えて、前記通行指標をも利用して、前記目的地までの推奨する経路を表す推奨経路情報を生成し、前記人流情報に基づいて通行可能であると推定されなかった区間であっても、前記通行指標に基づいて、推奨する前記経路に組み込まれる前記区間がある処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路を通行できるか否かの情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
災害が発生する虞がある場合や災害が発生してしまった場合には、住民の安全な避難や支援物資の迅速な供給が望まれる。
【0003】
なお、特許文献1(特開2019-139462号公報)には、携帯端末装置を利用して道路の混雑状況を推定する技術が開示されている。また、特許文献2(特開2011-169856号公報)には、冠水の可能性のある冠水領域において、冠水していても二次電池によるモータ走行により車両が通行可能か否かを判定し、判定結果に基づいて経路の作成を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-139462号公報
【文献】特開2011-169856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
避難所などの目的地までの経路上に、道路の冠水や陥没、住宅火災などに起因して通行できない部分が有ると、避難者や物資運搬車は、その通行できない通行不可部分を迂回する必要がある。避難者や物資運搬車が、通行不可部分があることを知らずに当該通行不可部分を通る経路でもって目的地に向かうと、通行不可部分に至ったところで引き返し、別の経路を探すというような事態となってしまう。このような場合、引き返し等に因る時間のロスのために、目的地に着くまでに多くの時間が掛かってしまう。
【0006】
このような引き返しによる時間のロスを削減すべく、道路の冠水等の障害のために通行できない部分を避けて目的地に至る経路を設定するためには、道路の通行可否に関する実状に合った情報を得ることが望まれる。
【0007】
本発明は上記課題を解決するために考え出された。すなわち、本発明の主な目的は、上記のような要求に応えるために、道路の通行可否に関する実状に合った情報を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る通行情報提供装置は、その一形態として、
道路における人の移動に関する情報を人流情報として取得する取得部と、
取得した前記人流情報を利用して、前記道路における通行の可否を推定する推定部と、
推定された前記道路における通行可否の状況を表す通行可否情報を出力する出力部と
を備える。
【0009】
また、本発明に係る通行情報提供方法は、その一形態として、
コンピュータによって、
道路における人の移動に関する情報を人流情報として取得し、
取得した前記人流情報を利用して、前記道路における通行の可否を推定し、
推定された前記道路における通行可否の状況を表す通行可否情報を出力する。
【0010】
さらに、本発明に係るコンピュータプログラムは、その一形態として、
道路における人の移動に関する情報を人流情報として取得する処理と、
取得した前記人流情報を利用して、前記道路における通行の可否を推定する処理と、
推定された前記道路における通行可否の状況を表す通行可否情報を出力する処理と
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、道路の通行可否に関する実状に合った情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の通行情報提供装置を含む情報提供システムを説明するイメージ図である。
図2】第1実施形態の通行情報提供装置を含む情報提供システムの構成を説明するブロック図である。
図3】携帯端末装置の位置情報に基づく人流情報を説明する図である。
図4】通行可否情報を説明するイメージ図である。
図5】推奨する経路について説明する図である。
図6】避けたい距離範囲や事案のデータをユーザが入力する場合における携帯端末装置の表示例を表す図である。
図7】通行情報提供装置により提供される情報の表示形態例を説明するイメージ図である。
図8】第1実施形態の通行情報提供装置における情報提供動作の一例を説明するフローチャートである。
図9】第2実施形態の通行情報提供装置の構成を説明するブロック図である。
図10】その他の実施形態の通行情報提供装置の構成を説明するブロック図である。
図11図10に表される通行情報提供装置の情報提供動作の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る第1実施形態の通行情報提供装置を含む情報提供システムのイメージを表す図である。情報提供システム1は、人流の情報に基づいて道路の通行可否を推定することによって、道路の通行可否を表す通行可否情報をユーザに提供するシステムである。また、情報提供システム1は、災害が発生した場合に、そのような通行可否情報を利用して、避難するのに推奨する避難所と当該避難所までの推奨する経路を算出し、当該経路を表す推奨経路情報を提供することが可能である。さらにまた、情報提供システム1は、通行可否情報を利用して、ユーザが向かう目的地までの推奨する経路を算出し、当該経路を表す推奨経路情報を提供することが可能である。
【0015】
図1に表されているように、情報提供システム1は、通行情報提供装置2を備えている。通行情報提供装置2は、サーバなどのコンピュータ装置であり、情報提供システム1を利用するユーザが所持している携帯端末装置3と情報通信網を介して接続されている。携帯端末装置3は、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを利用して所在位置を表す位置情報を発信する機能を備えている。また、携帯端末装置3は、情報を表示する表示装置33を備え、通行情報提供装置2から受信した情報を表示装置33に表示させることができる。
【0016】
通行情報提供装置2は、また、情報提供システム1を利用するユーザが操作可能な情報機器5にも情報通信網を介して接続可能である。情報機器5は、例えばPC(Personal Computer)であり、通信機能を有し、当該通信機能によって通行情報提供装置2から受信した情報を表示装置55に表示させることが可能である。
【0017】
通行情報提供装置2は、さらに、道路の通行に関わる情報を持つ情報源4に情報通信網を介して接続されている。通行情報提供装置2が接続する情報源4は特に限定されず、予め定められた取得対象の情報を出力可能な一つあるいは複数の情報源4に適宜に接続される。通行情報提供装置2が情報源4から取得する取得対象の情報の具体例としては、道路の渋滞情報、道路の工事箇所を表す工事情報、消防署への通報内容を表す情報(緊急通報情報とも記す)、気象情報、道路を撮影している監視カメラの撮影画像が挙げられる。さらに、取得対象の情報の具体例としては、SNS(Social Networking Service)を利用して投稿されたSNS情報、車載カメラによる車外の状況が撮影されている撮影画像、マンホール蓋や住宅外壁に設置されている浸水センサなどのセンサ情報も挙げられる。
【0018】
図2は、通行情報提供装置2と、当該通行情報提供装置2に接続する携帯端末装置3との構成例を表すブロック図である。
【0019】
携帯端末装置3は、プロセッサ30と、通信インターフェース31と、記憶装置32と、表示装置33とを有して構成されている。表示装置33は、映像や文字などの情報を表示する構成を備えた装置であり、その表示動作はプロセッサ30により制御される。通信インターフェース31は、情報通信網を利用して、他の通信機能を備えた装置と通信する装置である。
【0020】
記憶装置32は、データや、コンピュータプログラム(以下、プログラムとも記す)35を記憶する記憶媒体を備えている。記憶装置32には複数の種類があり、携帯端末装置3に搭載される記憶装置32の種類は限定されるものではなく、ここでは、記憶装置32の構成や動作の説明は省略される。また、複数種の記憶装置32が携帯端末装置3に備えられてもよく、この場合には、それらをまとめて記憶装置32と記すこととする。情報提供システム1においては、記憶装置32には、通行情報提供装置2から取得されたアプリケーションプログラム(以下、アプリAPmとも記す)が、プログラム35の一つとして格納されている。
【0021】
プロセッサ30は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサであり、記憶装置32に記憶されているプログラム35を読み出して実行することにより、当該プログラム35に基づいた様々な機能を持つことができる。ここでは、プロセッサ30は、通行情報提供装置2から供給されたアプリAPmに基づいて、情報提供システム1を利用するための機能部として、受信部17と、発信部18と、通知部19とを有している。
【0022】
受信部17は、携帯端末装置3の所在位置を特定するのに必要な情報をGPSなどの測位システムから受信する。
【0023】
発信部18は、測位システムから受信した情報に基づいた携帯端末装置3の所在位置を表す位置情報を、通行情報提供装置2に向けて発信する。
【0024】
また、携帯端末装置3に備えられている入力装置(図示せず)の操作によって、避難所を検索する指令をユーザが入力した場合に、発信部18は、その指令を避難所検索要求として通行情報提供装置2に向けて発信する。
【0025】
さらにまた、携帯端末装置3の入力装置の操作によって、目的地の情報と当該目的地までの経路を検索する指令をユーザが入力した場合に、発信部18は、その指令を経路検索要求として目的地の情報と共に通行情報提供装置2に向けて発信する。
【0026】
通知部19は、通行情報提供装置2から受信した情報を予め定められた表示形態でもって表示装置33に表示させる。通行情報提供装置2から受信する情報には、前述したような道路の通行可否を表す通行可否情報や、避難所あるいは目的地までの推奨経路情報などがある。
【0027】
通行情報提供装置2は、プロセッサ20と、通信インターフェース21と、記憶装置22とを有して構成されている。通信インターフェース21は、情報通信網を利用して、他の通信装置と通信する装置である。
【0028】
記憶装置22は、データや、プログラム24を記憶する記憶媒体を備えている。記憶装置には、磁気ディスク装置や、半導体メモリ素子などの複数の種類があり、さらに、半導体メモリ素子には、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの複数の種類があるというように、多数の種類がある。通行情報提供装置2が備える記憶装置22の種類は1つに限定されるものではなく、複数種の記憶装置22が通行情報提供装置2に備えられることが多い。ここでは、通行情報提供装置2に備えられる記憶装置22の種類や数は限定されず、その説明は省略される。また、通行情報提供装置2に複数種の記憶装置22が備えられる場合には、それらをまとめて記憶装置22と記すこととする。
【0029】
記憶装置22に記憶されているプログラム24の一つとして、情報提供システム1を構成するための機能を通行情報提供装置2に持たせるアプリケーションプログラム(以下、アプリAPsとも記す)が格納されている。また、記憶装置22には、プログラム24の別の一つとして、情報提供システム1を利用するための機能を携帯端末装置3に持たせるアプリAPmが格納されている。このアプリAPmは、例えば、携帯端末装置3からの要求に応じて、携帯端末装置3に提供される。
【0030】
さらに、記憶装置22には、道路の位置や建物の位置が表されている地図や、ハザードマップのデータが格納されている。ハザードマップとは、自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図である。
【0031】
さらに、記憶装置22には、モデル25が格納されている。モデル25は、AI(Artificial Intelligence)の技術による機械学習モデルであり、第1実施形態では、次のような機械学習モデルがモデル25として記憶装置22に格納されている。
【0032】
すなわち、モデル25の一つは、上記したような地図のデータおよび人流情報を入力データとし、道路の通行可否の状態を表す通行可否情報を出力データとする機械学習モデル(以下、通行可否判断モデルとも記す)である。人流情報とは、人の流れに関する情報であり、第1実施形態では、人流情報は、携帯端末装置3から発信される位置情報を含む。
【0033】
具体例を用いて説明すると、通行可否判断モデルは、図3のような道路50や川51などが表されている地図52のデータと、点mにより表されている携帯端末装置3の所在位置の情報に基づく人流情報とが入力すると、図4に表されるような通行可否情報を出力する。図4は、人流情報に基づいた通行可否情報の一例を説明するイメージ図である。図4の例では、地図52において、道路50における予め定められた区間毎に、通行可否の状態が色分けや濃淡などにより区別可能に表されている。この例では、人流情報に基づいて人の通行が検知されない区間は、通行を妨げる何らかの障害がある虞があると想定されることから、通行を回避することが望ましい通行不可部分として濃い色で表されている。また、人流情報に基づいて人の通行が検知される区間は、通行可能部分であるとして、通行不可部分よりも淡い色で表されている。
【0034】
上記したような通行可否判断モデルは、人流情報と、当該人流情報に対応する道路の通行可否状態との関係を機械学習することによって生成される。
【0035】
ところで、SNS情報が情報源4から取得される場合には、SNS情報は例えばAI技術により解析される。この解析により、道路の通行状態に関わる情報がSNS情報に含まれている場合には、その通行状態に関わる情報とその場所の情報、さらに投稿時刻の情報がSNS情報から抽出される。このようにして得られた情報は人流情報として利用してもよい。なお、AI技術を利用してSNS情報を解析する場合には、その解析で利用される機械学習モデルもモデル25として記憶装置22に格納される。
【0036】
また、監視カメラや車載カメラによる撮影画像が情報源4から取得される場合には、撮影画像は例えばAI技術により解析される。この解析により、道路の通行状態に関わる情報が撮影画像に含まれている場合には、その通行状態に関わる情報とその場所の情報が撮影画像から抽出される。また、撮影画像の情報に関連付けられている撮影時刻の情報が抽出される。このようにして得られた情報は人流情報として利用してもよい。なお、AI技術を利用して撮影画像を解析する場合には、その解析で利用される機械学習モデルもモデル25として記憶装置22に格納される。
【0037】
なお、SNS情報や撮影画像から得られた情報を人流情報として利用する場合には、通行可否判断モデルは、そのようなSNS情報や撮影画像に基づく人流情報も機械学習して生成される。
【0038】
さらにまた、道路50の通行に関し、道路50を歩行者は通行できるが、車は通行できない場合や、路面電車は優先的に通行できるが、車と歩行者は通行禁止であるというように、同じ道路50であっても移動手段によって通行可否が異なる場合があることが想定される。また、移動方向が互いに逆向きの車線のうちの一方側の車線は通行できるが、工事や事故等の障害に因り他方側の車線は通行できないというように、同じ道路50であっても車線の違いによって通行可否が異なる場合があることが想定される。さらにまた、地上の一般道は通行できるが、その上側の高架の自動車専用道路は障害発生のために通行できないというように、地図上では同じ場所を通っていても道路の種類によって通行可否が異なる場合があることが想定される。
【0039】
位置情報を発信している携帯端末装置3を所持しているユーザの移動手段や走行車線や通行している道路の種類は、位置情報(つまり、携帯端末装置3)の移動速度や移動方向や移動の仕方などを利用して、推定することができる。つまり、徒歩による移動速度は時速4~5キロメートル程度であり、車による移動速度はそれよりも速いというように、徒歩での移動か、それよりも速く移動する車などを利用した移動であるのかというような移動手段は、移動速度を利用して判別可能である。また、近接している複数の位置情報(携帯端末装置3)が同様に(換言すれば、塊となって)移動している場合には、それら塊の携帯端末装置3は路面電車で移動していると推定可能である。さらに、移動方向が互いに逆向きの車線を有する道路においては、位置情報(携帯端末装置3)の移動方向によって、携帯端末装置3が移動している車線は判別可能である。さらにまた、一般道では信号により停止することがあるのに対して、自動車専用道路では信号で停止することはない。このことから、信号が無いことによって自動車専用道路を走行している自動車での移動は、一般道を移動している場合よりも移動速度は速いと推定されることにより、自動車専用道路と一般道の何れの道路を走行しているかの判別は、移動速度により可能である。
【0040】
通行可否判断モデルは、人流情報(携帯端末装置3の位置情報)に加えて、その人流情報の移動速度と移動方向の情報も入力データとすることとし、移動手段や、移動している車線や、移動している道路の種類毎に通行可否情報を出力してもよい。この場合には、通行可否判断モデルは、人流情報の移動速度と移動方向の情報をも含む入力データと、移動手段や、移動している車線や、移動している道路の種類毎の通行可否状態との関係を機械学習することによって生成される。また、人流情報の移動方向は、例えば、人流情報(携帯端末装置3の位置情報)を追跡することにより得られ、また、移動速度は、追跡により得られた移動距離と移動時間に基づいて算出される。人流情報の移動方向と移動速度の算出手法は、ここでは限定されず、その説明は省略される。
【0041】
さらに、モデル25として、所在位置あるいは指定された始点から避難する際に推奨する避難所(以下、推奨避難所とも記す)の位置および当該避難所までの経路(推奨経路)のデータを出力する機械学習モデル(以下、避難所検索モデルとも記す)が記憶装置22に格納される。この避難所検索モデルは、携帯端末装置3(ユーザ)の所在位置あるいは指定された始点を表す位置情報と、その所在位置から避難する避難所候補を含む地図の情報と、道路の通行可否の状態を表す通行可否情報とを入力データとする。さらに、入力データとして、通行を妨げる障害に関する障害情報が含まれる。障害情報としては、例えば、気象情報や、ハザードマップや、渋滞情報や、工事情報や、消防署への緊急通報内容の情報などが挙げられる。避難所検索モデルは、上記したような入力データと、避難するのに推奨する避難所の位置および当該避難所までの経路との関係を機械学習することによって生成される。
【0042】
このように生成される避難所検索モデルは、次のような推奨経路を出力する。例えば、図5に表されるように、所在位置Pからの距離が最も短い避難所は避難所AAであるが、所在位置Pから避難所AAまでの最短距離の経路L1の途中に、通行可否情報に基づき通行を回避した方が好ましいと想定される部分DDがあるとする。あるいは、その経路L1での移動途中で、障害情報である気象情報に基づき豪雨となると予想され、豪雨により経路L1の途中に道路が冠水する虞があると想定される部分があるとする。このような場合には、最短距離の経路L1ではなく、危険な箇所を避けて別の迂回経路でもって避難所AAに向かう必要があるが、避難所AAに到着するまでの時間が長くなる。これに対し、避難所BBは避難所AAよりも所在位置から遠いが、避難所BBまでの最短距離の経路L2に、通行可否情報や障害情報に基づき通行の障害となる要因はないと想定されるとする。また、これにより、所在位置Pから避難所BBまでに要する時間は、所在位置Pから迂回して避難所AAに向かう場合よりも短いと想定されるとする。このような場合には、避難所検索モデルは、推奨避難所として避難所BBを提示し、当該避難所BBまでの推奨経路として経路L2のデータを出力する。
【0043】
さらにまた、別のモデル25として、経路検索モデルが記憶装置22に格納される。経路検索モデルは、携帯端末装置3(ユーザ)の所在位置あるいは指定された始点からユーザが向かう目的地までの推奨する経路(以下、推奨経路とも記す)のデータを出力する機械学習モデルである。この経路検索モデルは、携帯端末装置3(ユーザ)の所在位置あるいは指定された始点を表す位置情報と、目的地の情報と、所在位置あるいは指定された始点から目的地までの領域を含む地図の情報と、通行可否情報と、前述したような障害情報とを入力データとする。このような入力データと、所在位置あるいは指定された始点から目的地までの推奨経路との関係を機械学習することにより、経路検索モデルが生成される。
【0044】
ところで、避難所検索モデルや経路検索モデルが出力する推奨避難所や推奨経路は一つとは限らず、複数の推奨避難所や推奨経路を優先順位の情報が付された状態で出力するように、避難所検索モデルや経路検索モデルは機械学習により生成されてもよい。また、避難所検索モデルや経路検索モデルは、1つあるいは複数の推奨避難所や推奨経路をそれぞれ説明付きで出力するように機械学習により生成されてもよい。例えば、避難所検索モデルや経路検索モデルは、距離が最も短い最短経路と、最も推奨する経路とを、それらの差異の説明付きで出力してもよい。この場合には、避難所検索モデルや経路検索モデルから出力される経路の説明は、ユーザが経路を選択する際の重要な情報となり、ユーザの経路選択を支援する。
【0045】
さらに、ユーザが徒歩で移動している場合と、車で移動する場合というようにユーザの移動手段が異なると、推奨経路が異なる場合がある。このようなことを考慮し、避難所検索モデルや経路検索モデルは、移動手段のデータをも含む入力データと、推奨避難所や推奨経路との関係を機械学習にすることにより生成されてもよい。このように生成された避難所検索モデルや経路検索モデルは、移動手段のデータをも含む入力データに基づき、入力された移動手段に応じた推奨避難所や推奨経路を出力する。移動手段のデータは、ユーザによる携帯端末装置3や情報機器5の操作により入力される。
【0046】
さらに、或るユーザは、障害箇所から100メートルの範囲は避けて通りたいと考え、別のユーザは、障害箇所から150メートルの範囲は避けて通りたいと考えるというように、ユーザによって、障害箇所からの避けたい距離範囲が異なることが想定される。また、ユーザが通行を避けたい事案として、緊急通報情報(消防情報)に基づいた火災や救助やその他の警戒の事案や、SNS情報に基づいたトラブルや犯罪や反社会的行為などの事案というように様々な事案がある。このようなことを考慮し、避難所検索モデルや経路検索モデルは、避けたい距離範囲や事案のデータをも含む入力データと、推奨避難所や推奨経路との関係を機械学習にすることにより生成されてもよい。このように生成された避難所検索モデルや経路検索モデルは、避けたい距離範囲のデータをも含む入力データに基づき、入力された避けたい距離範囲が反映された推奨避難所や推奨経路を出力する。避けたい距離範囲や事案のデータは、ユーザによる携帯端末装置3や情報機器5の操作により入力される。図6には、避けたい距離範囲や事案のデータをユーザが入力する場合における携帯端末装置3の表示装置33の表示画面の一例が表されている。図6の例では、表示装置33には、地図52が表示されると共に、通行を避けた事案の選択項目と、当該項目を選択したか否かを表示するチェック欄と、避けたい距離範囲の入力欄(あるいは選択欄)とが表示されている。さらに、表示装置33における地図52には、避けたい距離範囲の入力欄に入力されている距離に応じた避けたい範囲の具体例が点線Cにより表されている。
【0047】
図2に表されるプロセッサ20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの1つあるいは複数のプロセッサにより構成され、記憶装置22に記憶されているプログラム24を読み出して実行することにより、当該プログラム24に基づいた様々な機能を持つことができる。ここでは、プロセッサ20は、アプリAPsに基づいて、機能部として、取得部11と、解析部12と、推定部13と、提案部14と、出力部15とを有している。
【0048】
取得部11は、予め定められたタイミング毎(例えば所定の時間間隔毎)に、携帯端末装置3から位置情報を人流情報として取得する。さらに、取得部11は、予め定められた情報源4から道路の通行状態に関わる情報(例えば、SNS情報、渋滞情報)を予め定められたタイミング毎(例えば所定の時間間隔毎)に取得する。取得部11により取得された情報は記憶装置22に格納される。また、それら取得された情報には、取得された時刻や、SNSに投稿された時刻などの時刻情報が含まれている。
【0049】
解析部12は、取得部11により取得された人流情報を解析することにより、人(携帯端末装置3)の移動方向および移動速度を算出する。つまり、解析部12は、同じ携帯端末装置3から取得した位置情報を追跡し、当該追跡結果に基づいて携帯端末装置3の移動方向を判定し、また、移動距離と移動時間を求め、さらに、当該移動距離と移動時間から移動速度を算出する。
【0050】
さらに、取得部11がSNS情報を情報源4から取得する場合には、解析部12は、SNS情報を解析することによって、SNS情報から通行状態に関わる情報とその場所の情報、さらに投稿時刻の情報を人流情報として抽出する。このようにSNS情報から情報を抽出する手法としては、例えば、AI技術を利用する手法がある。AI技術を利用してSNS情報を解析する場合には、前述したように、その解析で利用される機械学習モデルがモデル25として記憶装置22に格納される。解析部12は、そのモデル25を利用したSNS情報の解析により、SNS情報から人流情報を抽出する。SNS情報から抽出された情報は、通行実績として記憶装置22に格納される。
【0051】
さらにまた、取得部11が監視カメラや車載カメラの撮影画像を情報源4から取得する場合には、解析部12は、撮影画像を解析することによって、撮影画像から通行状態に関わる情報とその場所の情報、さらに撮影時刻の情報を人流情報として抽出する。このように撮影画像から情報を抽出する手法としては、例えば、AI技術を利用する手法がある。AI技術を利用して撮影画像を解析する場合には、前述したように、その解析で利用される機械学習モデルがモデル25として記憶装置22に格納される。解析部12は、そのモデル25を利用した撮影画像の解析により、撮影画像から人流情報を抽出する。撮影画像から抽出された情報は、通行実績として記憶装置22に格納される。
【0052】
推定部13は、取得部11により携帯端末装置3から人流情報として取得された位置情報と、記憶装置22に格納されているモデル25である通行可否判断モデルと、地図のデータとを利用して、道路における通行可否の状態を推定する。推定部13により推定される道路の通行可否の状態は、道路における予め定められた区間毎に推定される。
【0053】
また、推定部13は、解析部12によって人(携帯端末装置3)の移動方向および移動速度が算出された場合には、算出された移動方向および移動速度の情報をも利用して、道路における通行可否の状態を推定してもよい。さらに、推定部13は、解析部12によってSNS情報が解析された場合には、SNS情報の解析により得られた人流情報をも利用して、道路における通行可否の状態を推定してもよい。さらに、推定部13は、解析部12によって撮影画像が解析された場合には、撮影画像の解析により得られた人流情報をも利用して、道路における通行可否の状態を推定してもよい。
【0054】
このように推定された通行可否の状態を表す情報は通行可否情報として記憶装置22に蓄積される。その通行可否情報には、生成された時刻の情報が関連付けられている。
【0055】
さらにまた、推定部13は、上記したような道路における通行可否の状態の推定を、予め定められた更新タイミング毎(例えば予め定められた更新時間間隔毎(例えば3分が経過する毎))に実行する。換言すれば、推定部13は、通行可否情報を自動更新する。
【0056】
提案部14は、避難所検索要求と、所在位置あるいはユーザにより指定された始点の位置の情報とを携帯端末装置3又は情報機器5から受信した場合には、推奨避難所と当該推奨避難所までの推奨経路を表す提案情報を生成する。その提案情報の生成には、例えば、記憶装置22の避難所検索モデルが利用される。また、提案情報の生成には、所在位置あるいはユーザにより指定された始点の位置の情報に加えて、所在位置から避難する避難所候補を含む地図の情報と、道路の通行可否の状態を表す通行可否情報と、通行を妨げる障害に関する障害情報とが利用される。
【0057】
また、利用する避難所検索モデルによっては、提案情報には、優先順位が付された複数の推奨避難所とそれら推奨避難所までの推奨経路の情報が含まれる場合がある。また、1つの推奨避難所に関し、複数の推奨経路が示される場合もある。また、提案部14は、移動手段(徒歩、車など)に応じた推奨避難所と推奨経路を表す提案情報を提案してもよい。この場合には、移動手段を表す情報が携帯端末装置3あるいは情報機器5のユーザによる操作によって、入力される。
【0058】
また、提案部14は、経路検索要求と、目的地の位置情報と、所在位置あるいはユーザにより指定された始点の位置の情報とを携帯端末装置3又は情報機器5から受信した場合には、目的地までの推奨経路を表す提案情報を生成する。その提案情報の生成には、例えば、記憶装置22の経路検索モデルが利用される。また、提案情報の生成には、所在位置あるいはユーザにより指定された始点の位置の情報に加えて、所在位置から目的地を含む地図の情報と、道路の通行可否の状態を表す通行可否情報と、通行を妨げる障害に関する障害情報とが利用される。
【0059】
また、利用する経路検索モデルによっては、提案情報には、優先順位が付された複数の推奨経路の情報が含まれる場合がある。また、提案部14は、移動手段(徒歩、車など)に応じた推奨経路を表す提案情報を生成してもよい。この場合には、移動手段を表す情報が携帯端末装置3あるいは情報機器5のユーザによる操作によって入力される。
【0060】
出力部15は、推定部13による最新の通行可否情報を携帯端末装置3や情報機器5に向けて送信する。送信するタイミングとしては、例えば、推定部13が通行可否情報を生成する度や、携帯端末装置3のユーザが設定した時間間隔毎や、携帯端末装置3から情報の更新を要求する指令を受信したときなどがある。
【0061】
また、通行情報提供装置2がSNS情報を取得している場合には、出力部15は、解析部12によるSNS情報の解析結果である人流情報(通行状態に関わる情報とその場所の情報、投稿時刻の情報)を携帯端末装置3や情報機器5に向けて送信してもよい。さらに、通行情報提供装置2が撮影画像を取得している場合には、出力部15は、解析部12による撮影画像の解析結果である人流情報(通行状態に関わる情報とその場所の情報、撮影時刻の情報)を携帯端末装置3や情報機器5に向けて送信してもよい。このようなSNS情報や撮影画像に基づいた人流情報は、例えば、通行可否情報に関連付けられて携帯端末装置3や情報機器5に向けて送信される。また、出力部15は、撮影画像を携帯端末装置3や情報機器5に向けて送信してもよい。
【0062】
さらに、出力部15は、情報源4から取得し通行可否情報の生成に利用された障害情報を当該通行可否情報に関連付けて携帯端末装置3や情報機器5に向けて送信してもよい。
【0063】
さらに、出力部15は、提案部14により提案情報が生成された場合には、当該提案情報を生成する契機となった避難所検索要求あるいは経路検索要求を発信した携帯端末装置3や情報機器5に向けて、生成された提案情報を返信する。このように、提案情報を送信(返信)する際に、出力部15は、最新の通行可否情報をも携帯端末装置3に向けて送信してもよい。
【0064】
上記のように、出力部15によって通行情報提供装置2から出力された情報が携帯端末装置3や情報機器5により受信されると、携帯端末装置3の通知部19や情報機器5の制御機能によって、その受信した情報が表示装置33,55に予め定められた表示態様で表示される。
【0065】
図7は、携帯端末装置3の表示装置33における通行可否情報の表示例である。図7の例では、表示装置33において、地図52が表示され、通行可否情報に基づいて、地図52に表されている道路50の通行可否状態が色分けや濃淡などにより区別可能に表示されている。また、表示装置33の地図52において、通行情報提供装置2から受信した人流情報に基づき、SNS情報や撮影画像から得られた通行状態に関わる情報に対応する場所を表すマーク51s,51cが表示される。さらに、表示装置33の地図52において、障害情報に基づいた障害発生箇所には、障害発生を表すマーク53や画像54が表示される。なお、図7の例では、障害発生を表す画像54は、浸水領域を表す画像である。
【0066】
さらに、表示装置33において、通行可否情報や人流情報(SNS情報や撮影画像)や障害情報の詳細情報が詳細情報表示欄57に文字により表示される。例えば、地図52に表されているマーク51s,51c,53や画像54がユーザにより指定(クリック)されることにより、その指定されたマーク51s,51c,53や画像54に関連する情報の詳細が詳細情報表示欄57に表示される。さらに、地図52に表されている道路50がユーザにより指定(クリック)されると、その指定された道路区間における通行実績の取得時間が詳細情報表示欄57に表示されてもよい。
【0067】
さらに、通行可否情報や人流情報(SNS情報や撮影画像)や障害情報に対応する道路の色分けやマーク51s,51c,53や画像54などは、表示の有無を選択可能となっており、その選択可能な情報の項目名が表示情報項目欄58に例えば一覧表示される。その表示されている項目名に例えばチェックを付けたり、外すことにより、地図52における情報(道路の色分けやマーク51s,51c,53や画像54など)の表示の有無が切り換えられる。
【0068】
さらに、携帯端末装置3の表示装置33に、推奨避難所と推奨経路を表す提案情報が表示される場合には、例えば、地図52に、その推奨避難所や、推奨経路が表示される。また、表示装置33の例えば詳細情報表示欄57には、推奨避難所の位置や、推奨経路についての説明が文字により表示される。さらに、詳細情報表示欄57には、推奨避難所や推奨経路についての推奨される理由(説明)が文字により表示されてもよい。このように理由(説明)をする場合には、避難所検索モデルや経路検索モデルは、そのような理由(説明)をも出力するように学習されたモデルである。
【0069】
さらに、携帯端末装置3が監視カメラや車載カメラの撮影画像が受信した場合には、表示装置33に撮影画像を表示してもよい。
【0070】
情報機器5においても同様に通行情報提供装置2から提供された情報が表示される。
【0071】
第1実施形態の通行情報提供装置2を含む情報提供システム1は上記のように構成されている。以下に、通行情報提供装置2における情報提供動作の一例を図8に基づき説明する。図8は通行情報提供装置2における情報提供動作の一例を説明するフローチャートである。
【0072】
例えば、まず、通行情報提供装置2の取得部11が携帯端末装置3から位置情報を人流情報として取得し、情報源4から、予め定められた取得対象の情報を取得する(図8におけるステップ101)。その後、解析部12が、携帯端末装置3の位置情報を解析することにより、人流情報(携帯端末装置3の位置情報)の移動速度と移動方向を算出する(ステップ102)。また、解析部12は、必要に応じて、SNS情報や撮影画像をモデル25を利用して解析することにより、SNS情報や撮影画像から人流情報を抽出する。
【0073】
然る後に、推定部13が、人流情報とモデル25等を利用して道路における通行可否の状態を推定する(ステップ103)。また、避難所検索要求や経路検索要求を受信している場合には、提案部14が、推奨避難所や推奨経路を表す提案情報を生成する(ステップ104)。
【0074】
その後、出力部15が、生成された通行可否情報や提案情報や、SNS情報や撮影画像の解析による人流情報、取得された障害情報などの予め定められた送信対象の情報を携帯端末装置3や情報機器5に向けて出力する(ステップ105)。
【0075】
通行情報提供装置2は上記のような一連の情報提供動作を実行し、携帯端末装置3や情報機器5に道路の通行可否情報や、推奨避難所や推奨経路を表す提案情報などを提供する。このような情報提供動作は、例えば、予め設定された時間間隔毎に実行されることにより、携帯端末装置3や情報機器5における表示される通行可否情報や提案情報は自動更新される。
【0076】
第1実施形態の通行情報提供装置2は、上記のように構成されていることにより、道路の通行可否に関する実状に合った情報を提供することができるという効果を得ることができる。これにより、通行情報提供装置2により情報を提供されたユーザが、障害に遭うことなく、避難所や目的地に向かう確率が高まり、安全な避難や、支援物資の供給の迅速化が図られる。
【0077】
<第2実施形態>
以下に、本発明に係る第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態における情報提供システムを構成する構成部分と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0078】
第2実施形態の通行情報提供装置2は、第1実施形態の構成に加えて、図9に表されるような設定部16を備えている。なお、図9では、通行情報提供装置2における第2実施形態の説明で利用する主要な部分のみを図示しており、他の構成部分の図示が省略されている。
【0079】
設定部16は、道路50における予め設定された区間毎に、人流情報に基づいた道路50の通行実績を利用して、当該道路の区間を通行できる可能性を表す指標を通行指標として設定する。この通行指標を設定する手法は限定されないが、例えば、AI技術を利用することが考えられる。
【0080】
提案部14は、通行可否情報と、障害情報と、携帯端末装置3(ユーザ)の所在位置あるいはユーザにより指定された始点の位置の情報と、避難所としての施設の位置情報あるいは目的地の位置情報とに加えて、通行指標をも利用して提案情報を生成する。
【0081】
例えば、避難所までの複数の経路のうちの何れにおいても、通行不可と推定された区間が含まれているとする。ただ、それら通行不可と推定された区間に設定されている通行指標を参照すると、或る通行不可と推定された区間は、単に携帯端末装置3の所在が確認されていないだけであり、通行できる可能性があると想定される場合がある。本来ならば通行不可と推定された区間を避けた経路を推奨経路とすべきところであるが、避難経路が他に無い場合には、提案部14は、その通行指標に基づいて通行できる可能性がある区間を通る経路を推奨経路とし当該推奨経路を表す提案情報を生成する。
【0082】
第2実施形態の通行情報提供装置2は、第1実施形態と同様の構成を備えていることから、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。その上、第2実施形態の通行情報提供装置2は、設定部16を備えていることにより、過去の通行実績をも考慮した推奨経路の情報を提供できる。
【0083】
<その他の実施形態>
本発明は第1と第2の実施形態に限定されずに様々な実施の形態を採り得る。例えば、第1と第2の実施形態では、通行情報提供装置2が取得する携帯端末装置3の位置情報は、当該通行情報提供装置2から供給されたアプリAPmに基づく携帯端末装置3の動作によるものである。通信情報提供装置2は、そのような携帯端末装置3から送信された位置情報に加えて、情報源4の一つとしての電気通信事業者のコンピュータ装置から携帯端末装置の位置情報を取得してもよい。
【0084】
また、SNS情報を経路検索に考慮すべき期間は限定した方が好ましいと考えられる。このため、SNS情報を利用する投稿時間からの期間が情報有効期間として予め定められ、SNS情報から解析部12により抽出された人流情報にはその情報有効期間の情報が関連付けられてもよい。さらに、情報有効期間が関連付けられている人流情報が、推定部13による通行可否情報の生成や、提案部14による推奨避難所や推奨経路の生成に利用される場合には、情報有効期間内の人流情報が通行可否情報や推奨避難所や推奨経路の生成に利用される。また、SNS情報の一つ一つは、点のような情報であることから、当該情報に基づいた通行を迂回する範囲(距離)は、図6に表されるようなデータ入力画面を利用した携帯端末装置3のユーザにより、あるいは、通行情報提供装置2の操作者により適宜設定されてもよい。あるいは、その迂回する範囲(距離)は、AI技術により定められてもよい。この場合には、SNS情報の投稿内容と迂回する範囲(距離)との関係が機械学習されることにより生成されるモデルが利用される。
【0085】
さらに、例えば、図10は、本発明に係る通行情報提供装置の最小構成例を表すブロック図である。通行情報提供装置40は、例えば、コンピュータ装置であり、機能部として、取得部41と、推定部42と、出力部43とを備えている。取得部41は、道路における人の移動に関する情報を人流情報として取得する。推定部42は、取得した人流情報を利用して、道路における通行の可否を推定する。出力部43は、推定された道路における通行可否の状況を表す通行可否情報を出力する。これら取得部41と、推定部42と、出力部43との機能は、例えば、第1や第2の実施形態と同様に、プロセッサがコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0086】
このような通行情報提供装置40は、例えば、次のように情報提供に関わる動作を実行する。図11は通行情報提供装置40における情報提供動作の一例を説明するフローチャートである。
【0087】
例えば、取得部41が、道路における人の移動に関する情報を人流情報として取得する(ステップ201)。その後、推定部42が、取得した人流情報を利用して、道路における通行の可否を推定する(ステップ202)。然る後に、出力部43が、推定された道路における通行可否の状況を表す通行可否情報を出力する(ステップ203)。
【0088】
このような通行情報提供装置40は、人流情報を利用することにより、道路の通行可否に関する実状に合った情報を提供することができるという効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0089】
2,40 通行情報提供装置
3 携帯端末装置
5 情報機器
11,41 取得部
13,42 推定部
15,43 出力部
16 設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11