(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、印刷装置及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241119BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20241119BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241119BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G06F3/12 340
G06F3/12 312
G06F3/12 347
G06F3/12 359
G06F3/12 360
B41J29/42 F
B41J29/38 401
H04N1/00 912
H04N1/00 127A
(21)【出願番号】P 2021006599
(22)【出願日】2021-01-19
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】若松 潤
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-077551(JP,A)
【文献】特開2016-055534(JP,A)
【文献】特開2016-162244(JP,A)
【文献】特開2006-048196(JP,A)
【文献】特開2006-347113(JP,A)
【文献】特開2004-192240(JP,A)
【文献】特開2005-165634(JP,A)
【文献】特開2016-049696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00- 29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、複数の印刷装置の印刷工程を管理する情報処理装置であって、
前記プロセッサは、
前記複数の印刷装置から、各印刷装置の実行状況に関する実行情報を取得し、
一の印刷装置において印刷データをラスタ画像に変換する処理に関して予め定められた条件を満たす
場合、当該一の印刷装置を除く他の印刷装置のうち印刷データをラスタ画像に変換する処理を行うことができる当該他の印刷装置を前記実行情報を用いて抽出し、
抽出された前記他の印刷装置に、前記一の印刷装置にて印刷予定の印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理をさせ、
前記他の印刷装置によって作成されたラスタ画像を前記一の印刷装置に送信するように制御
し、
前記予め定められた条件を満たさない場合、前記一の印刷装置にて印刷予定の印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理を前記一の印刷装置にさせる
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
プロセッサを備え、複数の印刷装置の印刷工程を管理する情報処理装置であって、
前記プロセッサは、
前記複数の印刷装置から、各印刷装置の実行状況に関する実行情報を取得し、
一の印刷装置において印刷データをラスタ画像に変換する処理に要する時間の度合いに基づいて定められる
予め定められた条件を満たすと、当該一の印刷装置を除く他の印刷装置のうち印刷データをラスタ画像に変換する処理を行うことができる当該他の印刷装置を前記実行情報を用いて抽出し、
抽出された前記他の印刷装置に、前記一の印刷装置にて印刷予定の印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理をさせ、
前記他の印刷装置によって作成されたラスタ画像を前記一の印刷装置に送信するように制御する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
印刷データをラスタ画像に変換する処理に要する時間の度合いとは、取得した前記実行情報のうち印刷データがラスタ画像に変換されていない印刷ジョブの数である
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
印刷データをラスタ画像に変換する処理に要する時間の度合いとは、取得した前記実行情報のうち印刷データがラスタ画像に変換されていない印刷ジョブの印刷ページ数の合計である
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
プロセッサを備え、複数の印刷装置の印刷工程を管理する情報処理装置であって、
前記プロセッサは、
前記複数の印刷装置から、各印刷装置の実行状況に関する実行情報を取得し、
一の印刷装置において印刷データをラスタ画像に変換する処理に関して予め定められた条件を満たすと、当該一の印刷装置を除く他の印刷装置のうち印刷データをラスタ画像に変換する処理を行うことができる当該他の印刷装置を前記実行情報を用いて抽出し、
抽出された前記他の印刷装置に、前記一の印刷装置にて印刷予定の印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理をさせ、
前記他の印刷装置によって作成されたラスタ画像を前記一の印刷装置に送信するように制御し、
印刷データをラスタ画像に変換する処理を行うことができる前記他の印刷装置として、変換する処理を即座に行える度合いに基づいて当該他の印刷装置を抽出する
ことを特徴とす
る情報処理装置。
【請求項6】
前記変換する処理を即座に行える度合いとは、
前記他の印刷装置の前記実行情報に印刷データがラスタ画像に変換されていない印刷ジョブがない印刷装置である
請求項
5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
プロセッサを備え、複数の印刷装置の印刷工程を管理する情報処理装置であって、
前記プロセッサは、
前記複数の印刷装置から、各印刷装置の実行状況に関する実行情報を取得し、
一の印刷装置において印刷データをラスタ画像に変換する処理に関して予め定められた条件を満たすと、当該一の印刷装置を除く他の印刷装置のうち印刷データをラスタ画像に変換する処理を行うことができる当該他の印刷装置を前記実行情報を用いて抽出し、
抽出された前記他の印刷装置に、前記一の印刷装置にて印刷予定の印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理をさせ、
前記他の印刷装置によって作成されたラスタ画像を前記一の印刷装置に送信するように制御し、
前記他の印刷装置の情報処理能力の度合いに応じて、当該他の印刷装置を抽出する
ことを特徴とす
る情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理能力の度合いとして、抽出される前記他の印刷装置と前記一の印刷装置とが同型の印刷装置であるか否かを判断する
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記情報処理能力の度合いとして、抽出される前記他の印刷装置は、前記一の印刷装置より高速に印刷データをラスタ画像に変換するか否かを判断する
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
プロセッサを備え、複数の印刷装置の印刷工程を管理する情報処理装置であって、
前記プロセッサは、
前記複数の印刷装置から、各印刷装置の実行状況に関する実行情報を取得し、
一の印刷装置において印刷データをラスタ画像に変換する処理に関して予め定められた条件を満たすと、当該一の印刷装置を除く他の印刷装置のうち印刷データをラスタ画像に変換する処理を行うことができる当該他の印刷装置を前記実行情報を用いて抽出し、
抽出された前記他の印刷装置に、前記一の印刷装置にて印刷予定の印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理をさせ、
前記他の印刷装置によって作成されたラスタ画像を前記一の印刷装置に送信するように制御し、
前記一の印刷装置に割り振られている各印刷ジョブを当該一の印刷装置が完了させる時刻である完了時刻を予測し、
予測された前記完了時刻が各印刷ジョブに予め定められたスケジュールにおける締め切りの時刻である締め切り時刻を超えない場合は、前記一の印刷装置を除く他の印刷装置に当該一の印刷装置に対して割り当てられている各印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理をさせない
ことを特徴とす
る情報処理装置。
【請求項11】
プロセッサ
と、
印刷装置に関する情報を表示する表示部と、
を備え、
前記プロセッサは、
複数の印刷装置の印刷工程を管理する工程管理装置から、当該複数の印刷装置に含まれる他の印刷装置で印刷する印刷データをラスタ画像に変換するジョブを受け付け、
受け付けた前記ジョブに含まれる印刷データをラスタ画像に変換し、
変換された前記ラスタ画像について自ら印刷を行わず、当該ラスタ画像を外部へ送信
し、
受け付けた前記印刷データをラスタ画像に変換している場合に、当該印刷データが他の印刷装置で印刷するデータである旨を示す情報を表示部に表示する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項12】
実行中の処理を中止させる中止処理を受け付ける受付部をさらに備え、
前記プロセッサは、
前記印刷データをラスタ画像に変換している場合に、前記中止処理を受け付けると、受け付けた当該中止処理が前記他の印刷装置で印刷するデータに関する処理である旨と、当該中止処理を実行するか否かを確認するための情報を前記表示部に表示する
ことを特徴とする請求項
11に記載の印刷装置。
【請求項13】
工程管理装置と複数の印刷装置とを含むシステムであって
前記工程管理装置は
、
前記複数の印刷装置から、各印刷装置が実行する印刷ジョブの実行状況を表す実行情報を取得し、
一の印刷装置において印刷データをラスタ画像に変換する処理に関して予め定められた条件を満たす
場合、当該一の印刷装置を除く他の印刷装置のうち印刷データをラスタ画像に変換する処理を行うことができる当該他の印刷装置を前記実行情報を用いて抽出し、
抽出された前記他の印刷装置に、前記一の印刷装置にて印刷予定の印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理をさせ、
前記他の印刷装置によって作成された前記ラスタ画像を前記一の印刷装置に送信するように制御し、
前記予め定められた条件を満たさない場合、前記一の印刷装置にて印刷予定の印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理を前記一の印刷装置にさせることを特徴とし、
前記複数の印刷装置の各々は、
前記工程管理装置から、前記一の印刷装置で印刷する印刷データをラスタ画像に変換する印刷ジョブを受け付け、
受け付けた前記印刷ジョブに含まれる印刷データをラスタ画像に変換し、
変換された前記ラスタ画像を、前記一の印刷装置にて印刷させるために送信する
ことを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、印刷装置、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術文献1(特開2013-225256号公報)には、クライアント端末から受信した印刷データをラスタライズ処理する印刷ジョブ送信装置が記載されている。ラスタライズ処理後の印刷ジョブを画像形成装置に送信する場合に要する第1送信時間を予測し、第1送信時間とラスタライズ処理に要した第1処理時間とを合算して第1時間を算出する第1算出手段と、ラスタライズ処理前の印刷ジョブを画像形成装置に送信する場合に要する第2送信時間を予測し、さらに、印刷ジョブを画像形成装置においてラスタライズ処理する場合に要する第2処理時間を予測し、第2送信時間と第2処理時間とを合算して第2時間を算出する。第1時間と第2時間とを比較して、第1時間が短い場合はラスタライズ処理後の印刷ジョブを、第2時間が短い場合はラスタライズ処理前の印刷ジョブを画像形成装置に送信する技術が開示されている。
先行技術文献2(特開2016-040740号公報)には、印刷装置において画像形成に用いられる描画データを作成する複数の描画データ作成手段と通信可能な情報処理装置が記載されている。描画データ作成手段が描画データの作成に用いる印刷の設定情報と印刷データを取得する取得手段と、設定情報を情報処理装置が扱う形式の装置用設定情報に変換する変換手段と、装置用設定情報が含む情報を解析して描画データ作成手段を選択し、選択した描画データ作成手段に応じた態様で装置用設定情報と印刷データを描画データ作成手段に出力する作成手段制御手段と、を有することを特徴とする技術が開示されている。
先行技術文献3(特開2016-162244号公報)には、種類の異なる複数の画像形成装置を管理装置において一括して管理する画像を処理するHWF(Hybrid Work Flow)システムにおいて、新たに受信したジョブデータが逆順ジョブである場合に、新たに受信したジョブデータのRIP(Raster Image Processor)処理をHWFサーバに委託することで、画像形成装置において実行する画像処理を管理装置側に委託する制御を効率的に行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-225256号公報
【文献】特開2016-040740号公報
【文献】特開2016-162244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の印刷装置の印刷前処理工程、印刷工程、後処理工程をまとめて工程管理装置で管理する印刷システムがある。印刷する際には印刷データをラスタ画像に変換する処理を行うが、印刷データによっては印刷データをラスタ画像に変換する処理に時間を要する。このラスタ画像に変換する処理を待つために、印刷の出力速度が低下することがある。
予定の時間内に印刷工程を完了させるために、ある印刷装置において出力される印刷物を分割して複数の印刷装置で出力するものや、印刷ジョブごと他の印刷装置で出力するものがある。しかし、最初に計画した印刷装置以外の印刷装置で出力すると、出力された印刷物を本来の順番と印刷束にまとめなおす作業等が発生する場合がある。
本発明は、印刷装置に割り当てられた印刷ジョブの印刷物を他の印刷装置で出力することを抑制しつつ、印刷工程にかかる時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、プロセッサを備え、複数の印刷装置の印刷工程を管理する情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記複数の印刷装置から、各印刷装置の実行状況に関する実行情報を取得し、一の印刷装置において印刷データをラスタ画像に変換する処理に関して予め定められた条件を満たす場合、当該一の印刷装置を除く他の印刷装置のうち印刷データをラスタ画像に変換する処理を行うことができる当該他の印刷装置を前記実行情報を用いて抽出し、抽出された前記他の印刷装置に、前記一の印刷装置にて印刷予定の印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理をさせ、前記他の印刷装置によって作成されたラスタ画像を前記一の印刷装置に送信するように制御し、前記予め定められた条件を満たさない場合、前記一の印刷装置にて印刷予定の印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理を前記一の印刷装置にさせることを特徴とする情報処理装置である。
請求項2に記載の発明は、プロセッサを備え、複数の印刷装置の印刷工程を管理する情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記複数の印刷装置から、各印刷装置の実行状況に関する実行情報を取得し、一の印刷装置において印刷データをラスタ画像に変換する処理に要する時間の度合いに基づいて定められる予め定められた条件を満たすと、当該一の印刷装置を除く他の印刷装置のうち印刷データをラスタ画像に変換する処理を行うことができる当該他の印刷装置を前記実行情報を用いて抽出し、抽出された前記他の印刷装置に、前記一の印刷装置にて印刷予定の印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理をさせ、前記他の印刷装置によって作成されたラスタ画像を前記一の印刷装置に送信するように制御することを特徴とする情報処理装置である。
請求項3に記載の発明は、印刷データをラスタ画像に変換する処理に要する時間の度合いとは、取得した前記実行情報のうち印刷データがラスタ画像に変換されていない印刷ジョブの数である請求項2に記載の情報処理装置である。
請求項4に記載の発明は、印刷データをラスタ画像に変換する処理に要する時間の度合いとは、取得した前記実行情報のうち印刷データがラスタ画像に変換されていない印刷ジョブの印刷ページ数の合計である請求項2に記載の情報処理装置である。
請求項5に記載の発明は、プロセッサを備え、複数の印刷装置の印刷工程を管理する情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記複数の印刷装置から、各印刷装置の実行状況に関する実行情報を取得し、一の印刷装置において印刷データをラスタ画像に変換する処理に関して予め定められた条件を満たすと、当該一の印刷装置を除く他の印刷装置のうち印刷データをラスタ画像に変換する処理を行うことができる当該他の印刷装置を前記実行情報を用いて抽出し、抽出された前記他の印刷装置に、前記一の印刷装置にて印刷予定の印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理をさせ、前記他の印刷装置によって作成されたラスタ画像を前記一の印刷装置に送信するように制御し、印刷データをラスタ画像に変換する処理を行うことができる前記他の印刷装置として、変換する処理を即座に行える度合いに基づいて当該他の印刷装置を抽出することを特徴とする情報処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記変換する処理を即座に行える度合いとは、前記他の印刷装置の前記実行情報に印刷データがラスタ画像に変換されていない印刷ジョブがない印刷装置である請求項5に記載の情報処理装置である。
請求項7に記載の発明は、プロセッサを備え、複数の印刷装置の印刷工程を管理する情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記複数の印刷装置から、各印刷装置の実行状況に関する実行情報を取得し、一の印刷装置において印刷データをラスタ画像に変換する処理に関して予め定められた条件を満たすと、当該一の印刷装置を除く他の印刷装置のうち印刷データをラスタ画像に変換する処理を行うことができる当該他の印刷装置を前記実行情報を用いて抽出し、抽出された前記他の印刷装置に、前記一の印刷装置にて印刷予定の印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理をさせ、前記他の印刷装置によって作成されたラスタ画像を前記一の印刷装置に送信するように制御し、前記他の印刷装置の情報処理能力の度合いに応じて、当該他の印刷装置を抽出することを特徴とする情報処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記情報処理能力の度合いとして、抽出される前記他の印刷装置と前記一の印刷装置とが同型の印刷装置であるか否かを判断することを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置である。
請求項9に記載の発明は、前記情報処理能力の度合いとして、抽出される前記他の印刷装置は、前記一の印刷装置より高速に印刷データをラスタ画像に変換するか否かを判断することを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置である。
請求項10に記載の発明は、プロセッサを備え、複数の印刷装置の印刷工程を管理する情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記複数の印刷装置から、各印刷装置の実行状況に関する実行情報を取得し、一の印刷装置において印刷データをラスタ画像に変換する処理に関して予め定められた条件を満たすと、当該一の印刷装置を除く他の印刷装置のうち印刷データをラスタ画像に変換する処理を行うことができる当該他の印刷装置を前記実行情報を用いて抽出し、抽出された前記他の印刷装置に、前記一の印刷装置にて印刷予定の印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理をさせ、前記他の印刷装置によって作成されたラスタ画像を前記一の印刷装置に送信するように制御し、前記一の印刷装置に割り振られている各印刷ジョブを当該一の印刷装置が完了させる時刻である完了時刻を予測し、予測された前記完了時刻が各印刷ジョブに予め定められたスケジュールにおける締め切りの時刻である締め切り時刻を超えない場合は、前記一の印刷装置を除く他の印刷装置に当該一の印刷装置に対して割り当てられている各印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理をさせないことを特徴とする情報処理装置である。
請求項11に記載の発明は、プロセッサと、印刷装置に関する情報を表示する表示部と、を備え、前記プロセッサは、複数の印刷装置の印刷工程を管理する工程管理装置から、当該複数の印刷装置に含まれる他の印刷装置で印刷する印刷データをラスタ画像に変換するジョブを受け付け、受け付けた前記ジョブに含まれる印刷データをラスタ画像に変換し、変換された前記ラスタ画像について自ら印刷を行わず、当該ラスタ画像を外部へ送信し、受け付けた前記印刷データをラスタ画像に変換している場合に、当該印刷データが他の印刷装置で印刷するデータである旨を示す情報を表示部に表示することを特徴とする印刷装置である。
請求項12に記載の発明は、実行中の処理を中止させる中止処理を受け付ける受付部をさらに備え、前記プロセッサは、前記印刷データをラスタ画像に変換している場合に、前記中止処理を受け付けると、受け付けた当該中止処理が前記他の印刷装置で印刷するデータに関する処理である旨と、当該中止処理を実行するか否かを確認するための情報を前記表示部に表示することを特徴とする請求項11に記載の印刷装置である。
請求項13に記載の発明は、工程管理装置と複数の印刷装置とを含むシステムであって前記工程管理装置は、前記複数の印刷装置から、各印刷装置が実行する印刷ジョブの実行状況を表す実行情報を取得し、一の印刷装置において印刷データをラスタ画像に変換する処理に関して予め定められた条件を満たす場合、当該一の印刷装置を除く他の印刷装置のうち印刷データをラスタ画像に変換する処理を行うことができる当該他の印刷装置を前記実行情報を用いて抽出し、抽出された前記他の印刷装置に、前記一の印刷装置にて印刷予定の印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理をさせ、前記他の印刷装置によって作成された前記ラスタ画像を前記一の印刷装置に送信するように制御し、前記予め定められた条件を満たさない場合、前記一の印刷装置にて印刷予定の印刷ジョブの印刷データをラスタ画像に変換する処理を前記一の印刷装置にさせることを特徴とし、前記複数の印刷装置の各々は、前記工程管理装置から、前記一の印刷装置で印刷する印刷データをラスタ画像に変換する印刷ジョブを受け付け、受け付けた前記印刷ジョブに含まれる印刷データをラスタ画像に変換し、変換された前記ラスタ画像を、前記一の印刷装置にて印刷させるために送信することを特徴とする情報処理システムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、印刷装置に割り当てられた印刷ジョブの印刷物を他の印刷装置で出力することを抑制しつつ、印刷工程にかかる時間を短縮することができる。
請求項2の発明によれば、印刷データをラスタ画像に変換する処理に要する時間の度合いに基づかずに他の印刷装置が印刷データをラスタ画像に変換する処理を行う構成と比較して、印刷データをラスタ画像に変換する処理に起因する処理待ちの発生をより効率よく抑制することができる。
請求項3の発明によれば、印刷データをラスタ画像に変換する処理に起因する処理待ちが発生する可能性に応じて、印刷データをラスタ画像に変換する処理を他の印刷装置にさせることできる。
請求項4の発明によれば、印刷データをラスタ画像に変換する処理に起因する処理待ちが発生する可能性に応じて、印刷データをラスタ画像に変換する処理を他の印刷装置にさせることできる。
請求項5の発明によれば、印刷データをラスタ画像に変換することができない他の印刷装置を選択することを抑制することができる。
請求項6の発明によれば、印刷データをラスタ画像に変換することができる可能性の高い他の印刷装置を選択することができる。
請求項7の発明によれば、印刷装置の情報処理能力の度合いに応じずに他の印刷装置を抽出する構成に比べて、より処理に適した他の印刷装置を抽出することができる。
請求項8の発明によれば、印刷装置間の差異によるバラつきを抑制することができる。
請求項9の発明によれば、印刷データをラスタ画像に変換する処理の速度が減少することを抑制することができる。
請求項10の発明によれば、他の印刷装置への必要以上の負担を抑制することができる。
請求項11の発明によれば、印刷装置に割り当てられた印刷ジョブの印刷物を他の印刷装置で出力することを抑制しつつ、印刷工程にかかる時間を短縮することができる。
請求項12の発明によれば、印刷装置を操作している者が意図せずに中止処理を行うことを抑制することができる。
請求項13の発明によれば、印刷装置に割り当てられた印刷ジョブの印刷物を他の印刷装置で出力することを抑制しつつ、印刷工程にかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施の形態が適用される印刷システムの全体構成例を示したものである。
【
図2】本実施の形態に係る工程管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本実施の形態に係る工程管理装置の機能構成例を示す図である。
【
図4】本実施の形態に係る印刷装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図5】本実施の形態に係る印刷装置が備える制御部の機能構成例を示す図である。
【
図6】本実施の形態に係る工程管理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図7】本実施の形態に係る印刷システムの動作例を示す図である。
【
図8】本実施の形態に係る印刷装置が備えるジョブ管理部の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施の形態に係る印刷装置が備えるジョブ管理部の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<印刷システムの全体構成の説明>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される印刷システム1の全体構成例を示したものである。
図示する印刷システム1は、印刷ジョブを管理する工程管理装置100と、印刷ジョブに基づいて印刷を行う複数の印刷装置300(300a~300d)とを備える。工程管理装置100は、複数の印刷装置300を管理する。この工程管理装置100及び印刷装置300は、ネットワーク500に接続される。
なお、複数の印刷装置300のうち、第1の印刷装置300aに対してそれ以外の他の印刷装置300b~300dという表現を採用し、また、他の印刷装置300b~300dのうちの第2の印刷装置300bとの表現を採用している。但し、本実施の形態の説明にて区別する必要がない場合は、「印刷装置300」と称する場合がある。また、
図1には、4つの印刷装置300を示したが、印刷装置300の台数は4つには限定されない。
【0009】
ネットワーク500は、工程管理装置100と印刷装置300との間の情報通信に用いられる通信手段であり、例えば、LAN(Local Area Network)である。また、これに限られるものではなく、例えば、外部ネットワークでもよいし、通信は有線、無線を問わない。
【0010】
工程管理装置100は、複数の印刷装置300と複数の印刷ジョブとを管理するコンピュータ装置である。工程管理装置100は、情報処理装置の一例であり、例えばパーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)やサーバ装置等が例示される。工程管理装置100は、印刷工程で印刷装置に合わせてジョブを表紙、本文、カバー等に分割したり、納期に合わせて印刷をスケジューリングしたり、印刷実行を指示したりする。
【0011】
印刷装置300は、印刷ジョブに基づいて、紙等の記録媒体に画像を形成し、印刷媒体として出力する装置である。本実施の形態において、画像を形成するための機構は特に限定されず、色材としてトナーを使用する電子写真方式や、色材としてインクを使用するインクジェット方式等、既存の種々の方法が用いられる。また、印刷装置300は、印刷機能のみを備えた装置を用いてもよいし、これに加えて後処理装置を備えた一体型の装置でも良い。後処理装置とは、画像形成された印刷媒体を加工する装置であり、例えば、印刷媒体に穴を空けるパンチ処理や印刷媒体をまとめるステープル処理や印刷媒体を折り曲げる折り処理を行う装置である。
【0012】
ここで、印刷ジョブとは、印刷装置300で印刷を行うために作成される処理の単位である。そして、印刷ジョブのデータは、印刷データと、印刷データ以外の各種制御情報とからなる。印刷データとは、記録材に画像を形成するための画像を表すデータである。印刷データ以外の各種制御情報は、例えば、印刷ジョブ名のデータや、用紙サイズおよび紙質等を特定する用紙名や型番等の用紙種類のデータや、印刷ジョブを完了しなければならない締め切りである完了希望時刻の情報データ等である。また、本実施の形態では、印刷ジョブが処理されるべき段階を示す情報である出力指定情報がある(後述)。
【0013】
印刷装置300で取得する印刷データは、一般にページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されている。ここで、ページ記述言語は、画像をその画像を構成するオブジェクトごとの描画コマンドの集まりとして表現する。ページ記述言語で記述された印刷データは、印刷装置300にてラスタ画像に変換され、印刷が実行される。ここで、ラスタ画像は、画像を各々予め定められた数の色値の組を有する画素の集まりとして表現する。一般に、ページ記述言語をラスタ画像に変換する処理装置をRIP(Raster Image Processor)といい、ページ記述言語をラスタ画像に変換することをRIP処理するということがある。以下、ページ記述言語で記述された印刷データをラスタ画像に変換する処理を「RIP処理」と称する場合がある。印刷ジョブの印刷データには、ページ記述言語で記述されたデータと、ラスタ画像のデータとがある。
【0014】
ページ記述言語で記載された印刷データをラスタ画像に変換するRIP処理は、印刷データの内容によっては時間がかかる場合がある。この場合は、RIP処理すべき印刷データが印刷装置300に貯まり、予定の時間内にて印刷ジョブが完了しないことが発生する。
本実施の形態において、第1の印刷装置300aにて、RIP処理すべき印刷データが予め定められた量を超えると、工程管理装置100は、RIP処理が可能な他の印刷装置300b~300dの中で第2の印刷装置300bにRIP処理を代行させる。そして、第2の印刷装置300bにてRIP処理されたラスタ画像と各種制御情報とは、工程管理装置100を介し、または第2の印刷装置300bから直接、第1の印刷装置300aに送信される。ラスタ画像を取得した第1の印刷装置300aは、その印刷ジョブに対するRIP処理を行わずに、印刷を行う。
【0015】
<工程管理装置のハードウェア構成>
図2は、本実施の形態に係る工程管理装置100のハードウェア構成例を示す図である。
図示するように、本実施の形態に係る工程管理装置100は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)101と、BIOS(Basic Input Output System)等のプログラムを格納する記憶領域であるROM(Read Only Memory)102と、プログラムの実行領域であるRAM(Random Access Memory)103とを備える。また、工程管理装置100は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種プログラム、各種プログラムに対する入力データ、各種プログラムからの出力データ等を記憶する記憶領域であるHDD(Hard Disk Drive)104を備える。さらに、工程管理装置100は、外部との通信を行うための通信インタフェース(通信I/F)105と、ディスプレイ等の表示機構106と、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力デバイス107を備える。
【0016】
<工程管理装置の機能構成>
次に、工程管理装置100の機能構成について説明する。
図3は、本実施の形態に係る工程管理装置100の機能構成を示す図である。
工程管理装置100は、ユーザが入力デバイス107を介して工程管理装置100に印刷ジョブを入力するのを受け付ける入力受付部111と、入力受付部111が受け付けた印刷ジョブや外部の印刷装置300等から送られた印刷ジョブを受け付ける印刷ジョブ受付部112を備える。また、受け付けた印刷ジョブのスケジュールを管理するスケジュール管理部113を備える。
【0017】
また、工程管理装置100は、印刷装置300から印刷装置300に登録されている印刷ジョブの実行情報を取得するジョブ実行情報取得部115と、印刷装置300の状態を取得する印刷装置状態取得部116とを備える。また、取得したジョブ実行情報を用いてジョブの完了時刻を推測するジョブ完了時刻推測部117と、取得したジョブ実行情報を用いて印刷装置300におけるRIP処理待ちのジョブが閾値を超えているかを判定するRIP処理待ち度判定部118と、取得したジョブ実行情報と印刷装置情報とを用いてRIP処理をすることができる印刷装置300を検出する第2の印刷装置検出部119とを備える。さらに、印刷ジョブを生成する印刷ジョブ生成部120と、生成された印刷ジョブを記憶する印刷ジョブ記憶部122と印刷ジョブを出力する印刷ジョブ出力部121とを備える。またさらに、印刷装置300からラスタ画像を取得するラスタ画像取得部123と、取得したラスタ画像を記憶するラスタ画像記憶部124と、記憶されたラスタ画像を印刷装置300へ送信するラスタ画像出力部125を備える。
【0018】
印刷ジョブ受付部112は、工程管理装置100の入力デバイス107もしくは外部の印刷装置300から印刷ジョブを受け付ける。ここで受け付ける印刷ジョブは、印刷ジョブを実行する印刷装置300が定まっていない、または印刷ジョブを実行する印刷装置300が定まっているものがある。
【0019】
スケジュール管理部113は、印刷ジョブを実行する第1の印刷装置300aを、印刷装置300の中から決定する。
印刷ジョブ受付部112が受け付けた印刷ジョブを実行する第1の印刷装置300aが定まっていない場合は、スケジュール管理部113が受け付けた印刷ジョブを実行する第1の印刷装置300aを予め定められた条件にしたがって決定する。予め定められた条件とは、例えば、受け付けたジョブにて要求される機能、印刷装置の処理能力、および後処理工程の有無等である。また、印刷ジョブをどの印刷装置300で実行するかをユーザが定めるものとしてもよい。
【0020】
ジョブ実行情報取得部115は、
図1に示す各印刷装置300へジョブ問い合わせを送信し、印刷装置300にジョブ登録されている印刷ジョブのジョブ実行情報を取得する。ここで行われるジョブ問い合わせは、上述した第1の印刷装置300aと、RIP処理を代行させる可能性がある他の印刷装置300b~dに対して行われる。ここで、「ジョブ登録されている印刷ジョブ」とは、印刷装置300にて処理すべきジョブである。また、「ジョブ実行情報」とは、登録されている印刷ジョブに対して、どの処理がされたか、もしくはどの処理が実行中であるかを表す情報である。ジョブ実行情報は、そのジョブが、例えば、「印刷ジョブ登録後保留」、「RIP処理待ち」、「RIP処理中」、「RIP処理後保留」、「印刷待ち」、「印刷中」、「印刷完了」等の状態にあることを示している。
【0021】
ここで、「印刷ジョブ登録後保留」の状態とは、印刷装置300にジョブ登録した後、改めてユーザから、実行指示が来るまで実行されない状態である。「RIP処理待ち」とは、RIP処理がなされるのを待機している状態である。ここで印刷装置300は、RIP処理実行の指示を受けている印刷ジョブについて、優先順位に基づき順番にラスタ処理を行っている。RIP処理実行の指示を受けている印刷ジョブであり、RIP処理の順番待ちをしている印刷ジョブが、「RIP処理待ち」状態の印刷ジョブである。「RIP処理中」の状態とは、ラスタ画像に変換する処理を実際に行っている状態である。「印刷待ち」とは、ラスタ画像に変換されたジョブが、印刷実行指示を受けている状態である。「RIP処理後保留」とは、RIP処理完了後、改めてユーザから、実行指示が来るまで実行しない状態である。「印刷待ち」とは、画像形成を実際に行う画像形成部320(
図4参照)が他の印刷ジョブの画像形成を行っている場合や、画像形成部320の用紙交換を行っている場合等により発生する。「印刷中」とは、画像形成部320で実際に画像形成されている状態である。「印刷完了」とは印刷された記録媒体が出力され印刷ジョブが完了した状態である。
【0022】
印刷装置状態取得部116は、印刷装置300の状態を示す情報を取得する。ここで、印刷装置300の状態を示す情報とは、例えば、印刷装置300が用紙交換中であることを示した情報や故障していることを示した情報、アイドル状態であることを示す情報等である。ここで、アイドル状態とは、印刷に関する処理を行ってはいないが、すぐにでも使用できる状態である。印刷装置300の状態を表す情報は、実行情報の一例である。
【0023】
ジョブ完了時刻推測部117は、第1の印刷装置300aに新たに登録する印刷ジョブが、完了希望時刻までに完了するかを推測する。
ジョブ完了時刻推測部117は、第1の印刷装置300aに新たに登録する印刷ジョブに対して、第1の印刷装置300aに印刷ジョブを登録した場合に印刷ジョブが完了する時刻を推測する。この印刷ジョブが完了する時刻の推測は、ジョブ実行情報取得部115が取得したジョブ実行情報や第1の印刷装置300aの印刷速度等を用いて推測される。そして、推測された完了予測時刻と完了希望時刻とを比較することで、第1の印刷装置300aに新たに登録する印刷ジョブが完了希望時刻までに完了するかを推測する。
また、ジョブ完了時刻推測部117は、印刷装置300に登録済みの印刷ジョブに対しても印刷ジョブの完了予測時刻の推測を行う。
【0024】
RIP処理待ち度判定部118は、ジョブを登録しようとする第1の印刷装置300aについて、RIP処理待ち時間がどれくらい発生しているかを取得し、待ち時間として予め定められた時間より多いか否かを判定する。
RIP処理待ちの印刷ジョブの数は、印刷データをラスタ画像に変換する「処理に要する時間の度合い」の一例である。この「処理に要する時間の度合い」としては、他にもRIP処理待ちの印刷ジョブの印刷ページ数の合計等がある。「処理に要する時間の度合い」は、取得したジョブ実行情報から把握される。なお、「処理に要する時間の度合い」の把握については、その他に、過去のRIP処理に要した時間とそのRIP処理を行ったページ数を記憶しておき、平均RIP処理時間を算出し、RIP処理待ちページ数と平均RIP処理時間を掛け合わせることでRIP処理待ち時間を算出する等を採用してもよい。
【0025】
第2の印刷装置検出部119は、変換する処理を即座に行える度合いに基づいてRIP処理を行うことができる第2の印刷装置300bを検出する。ここで、「変換する処理を即座に行える度合い」とは、RIP処理の印刷ジョブを受けた場合に受け付けたRIP処理を即座に行えるかを示す度合いである。「変換する処理を即座に行える度合い」として、例えば、印刷装置300の処理すべき印刷ジョブの量や印刷装置300の状態を用いることができる。
第2の印刷装置検出部119は、ジョブ実行情報取得部115から、代行してRIP処理を行う候補となる他の印刷装置300b~300dのジョブ実行情報を取得して、ジョブ実行情報にRIP処理待ち及びRIP処理中のジョブがない印刷装置300を第2の印刷装置300bとして検出する。本実施の形態ではRIP処理待ちおよびRIP処理中のジョブがないものを検出するとしたが、RIP処理待ちの印刷ジョブ数が予め定められた閾値以下の印刷装置300を第2の印刷装置300bとして検出するとしてもよい。
【0026】
また、「変換する処理を即座に行える度合い」として他の印刷装置300b~300dに登録されている印刷ジョブのRIP処理待ちの印刷データのデータ量を用いてもよい。
また、印刷装置状態取得部116から印刷装置300の状態を表す情報を取得して判断することもできる。例えば、他の印刷装置300b~300dの状態を表す情報として、「アイドル状態」であることを取得した場合には、「アイドル状態」のものを第2の印刷装置300bとして検出してもよい。
【0027】
さらに、第2の印刷装置検出部119による第2の印刷装置300bの検出は、他の条件を採用してもよい。ここで他の条件としては、印刷装置300の情報処理能力の度合いに基づく条件が一例である。「情報処理能力の度合い」とは、例えば、検出される第2の印刷装置300bが第1の印刷装置300aの機種と同一であることや、第2の印刷装置300bが第1の印刷装置300aより高性能な機種であるという条件等がある。また、高性能な機種の一例として、より高速に印刷データをラスタ画像に変換することができる機種を挙げることができる。
【0028】
印刷ジョブ生成部120は、印刷データと印刷データ以外の各種制御情報を有する印刷ジョブを生成する。より詳しくは、印刷ジョブ生成部120は、第2の印刷装置検出部119が検出した第2の印刷装置300bにRIP処理をさせるための印刷ジョブを生成する。第2の印刷装置300bにRIP処理させるための印刷ジョブには、ページ記述言語で記述された印刷データが含まれる。また、この印刷ジョブには、RIP処理後送信を出力指定情報(後述)とした制御情報が含まれる。この印刷ジョブは、RIP処理後のラスタ画像の送信先として工程管理装置100のラスタ画像取得部123を指定することもできる。また、RIP処理後のラスタ画像の送信先として、第1の印刷装置300aを指定することもできる。
【0029】
ここで、出力指定情報とは、印刷ジョブが処理されるべき段階を示す情報である。本実施の形態では、出力指定情報としては、「受信後保留」、「RIP処理後保留」、「RIP処理後送信」及び「印刷」がある。印刷装置300が「受信後保留」の印刷ジョブを受信すると、受信した印刷ジョブをジョブ登録する処理を行い、印刷ジョブを保留状態にする。また、「RIP処理後保留」の印刷ジョブに対しては、RIP処理までを行なわれ、RIP処理後、印刷ジョブが保留状態になる。「RIP処理後送信」の印刷ジョブに対しては、RIP処理後に、変換されたラスタ画像をラスタ画像取得部123もしくは第1の印刷装置300aに送信する。「印刷」の印刷ジョブに対しては、記録媒体に画像形成をして出力する印刷ジョブである。
【0030】
また、印刷ジョブ生成部120は、ラスタ画像記憶部124に記憶されているラスタ画像を用いて、印刷データをラスタ画像とする印刷ジョブを生成する。この印刷ジョブを受け付けた第1の印刷装置300aは、印刷データをラスタ画像に変換する必要がない。
【0031】
印刷ジョブ出力部121は、印刷ジョブ生成部120で生成された印刷ジョブを、第1の印刷装置300aおよび第2の印刷装置300bへ送信する。
【0032】
<印刷装置のハードウェア構成>
図4は、本実施の形態に係る印刷装置300のハードウェア構成例を示す図である。
印刷装置300は、印刷装置300を制御する制御部310と、制御部310による制御のもとで実際に印刷を行う画像形成部320とを備える。デジタルフロントエンド(DEF)とも呼ばれる制御部310は、画像形成部320が画像形成を行うのに必要な画像処理等の情報処理を行っている。制御部310のハードウェア構成は、演算手段であるCPU301と、BIOS等のプログラムを格納する記憶領域であるROM302と、プログラムの実行領域であるRAM303とを備える。また、印刷装置300は、OSやアプリケーション等の各種プログラム、各種プログラムに対する入力データ、各種プログラムからの出力データ等を記憶する記憶領域であるHDD304を備える。さらに、印刷装置300は、外部との通信を行うための通信インタフェース(通信I/F)305と、ディスプレイ等の表示機構306と、物理ボタンやタッチパネル等の入力デバイス307とを備える。
【0033】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0034】
<印刷装置の機能構成>
次に、印刷装置300の機能構成について説明する。
図5は印刷装置300の機能構成例を示したブロック図である。
印刷装置300の制御部310は、工程管理装置100から情報を受信する受信部311と工程管理装置100へ情報を送信する送信部312とを備える。また、ユーザが入力デバイス307を用いて印刷装置300に入力した情報を受け付ける受付部313と、表示機構306の表示を制御する表示制御部314とを備える。また、受付部313または受信部311から取得した印刷ジョブを管理するジョブ管理部315と、印刷ジョブに含まれる印刷データをラスタ画像に変換するRIP処理部316とを有する。さらに、画像形成部320へラスタ画像と画像形成部320を制御する情報を送信し、画像形成部320の状態を表す情報を取得する出力装置通信部317と、印刷ジョブを記憶する蓄積部318を備える。
【0035】
ジョブ管理部315は、工程管理装置100から印刷ジョブを受け付けると、印刷ジョブを蓄積部318へ記憶させる。そして、印刷ジョブの出力指定情報またはユーザの指示に従って、RIP処理部316や出力装置通信部317に処理の実行指示を出す。また、ジョブ管理部315は、工程管理装置100から受信部311を介して取得したイベント情報や、RIP処理部316、受付部313から様々なイベント情報を受け付け、受け付けたイベントに応じた処理を実行する。
【0036】
RIP処理部316は、ジョブ管理部315から「RIP処理」の実行指示を受けると、蓄積部318にある印刷データをRIP処理する。
RIP処理部316は、ラスタ画像に変換し終えると、変換されたラスタ画像を蓄積部318に記憶させ、RIP処理が終了したことをジョブ管理部315に伝える。
【0037】
出力装置通信部317は、ジョブ管理部315から印刷実行指示を受けると、画像形成部320と通信し、ラスタ画像と出力指示を画像形成部320に送信する。さらに、出力装置通信部317は、画像形成部320が画像形成を行い出力完了したことを検知し、出力完了したことをジョブ管理部315へ伝える。
【0038】
蓄積部318は、ジョブ管理部315が受け付けた印刷ジョブを蓄積する。
また、蓄積部318は、RIP処理部316が変換したラスタ画像を蓄積する。蓄積されたラスタ画像は、画像形成部310において印刷データの受け付けが可能となったならば、ジョブ管理部315の管理の下、順次、出力装置通信部317を介して画像形成部320に渡される。また、自らが第2の印刷装置300bとなり、第1の印刷装置300aのためのRIP処理を行なった場合は、蓄積されたラスタ画像は送信部312から工程管理装置100のラスタ画像取得部123へ送信される。または、第1の印刷装置300aに対して、直接、ラスタ画像を送信する。
【0039】
表示制御部314は、ジョブ受付画面や、実行中ジョブの表示を行う。第2の印刷装置300bが第1の印刷装置300aのためのRIP処理を行っている場合に、第2の印刷装置300bの表示画面に第1の印刷装置300aのためのRIP処理を実行していることを表示する。しかし、ユーザの設定により、この内容を表示しないとする場合もある。また、表示制御部314は、第1の印刷装置300aためのRIP処理を行っている際に受付部313より処理中断指示が入ると、当該RIP処理が第1の印刷装置300aのための処理である旨を表示すると同時に、中止させてよいかの確認画面を表示する。
【0040】
受付部313は、入力デバイス307を介してユーザから、処理の実行指示または中断指示等の様々な指示を受け付ける。
【0041】
<工程管理装置の動作>
図6と
図7と用いて工程管理装置100の動作を説明する。
図6は工程管理装置100の動作例を示すフローチャートである。さらに、
図7は工程管理装置100の動作の具体例である。
【0042】
工程管理装置100は、新たな印刷ジョブを受け付け、まず、ジョブ実行情報取得部115は、現状の印刷ジョブのジョブ実行情報を取得するため、新たな印刷ジョブを実行する第1の印刷装置300aに対してジョブ問い合わせを行う(ステップ101)。そして、ジョブ実行情報取得部115は、第1の印刷装置300aのジョブ実行情報を取得する(ステップ102)。
図7の具体例において、印刷装置300aに登録されているジョブのジョブ実行情報は、ジョブ1に「印刷中」、ジョブ2と3に「印刷待ち」、ジョブ4に「RIP処理中」、ジョブ5から9に「RIP処理待ち」となっている。ステップ102では、これらのジョブ実行情報を取得する。
【0043】
続いて、ジョブ完了時刻推測部117は、第1の印刷装置300aに新規に登録する印刷ジョブの完了予測時刻を算出する(ステップ103)。ジョブ完了時刻推測部117は、算出された完了予測時刻と、新たな印刷ジョブに含まれていたジョブ完了希望時刻とを比較し、算出された完了予測時刻が完了希望時刻を超えるか否かを判定する(ステップ104)。なお、ここでジョブ実行情報の中に完了希望時刻がない印刷ジョブの場合は、完了予測時刻が完了希望時刻を超えないとする。
【0044】
ステップ104で、算出した完了予測時刻が完了希望時刻を越えない場合は(ステップ104でNO)、第1の印刷装置300aで全ての処理を行うものとし、印刷ジョブ生成部120は、印刷データのデータタイプをPDL(ページ記述言語)とし出力指定情報を「印刷」とする印刷ジョブを生成する(ステップ118)。そして、印刷ジョブ出力部121は、生成された印刷ジョブを第1の印刷装置300aに送信し(ステップ119)、処理が終了する。
【0045】
ステップ104で、完了予測時刻が完了希望時刻を越える場合は(ステップ104でYES)、RIP処理待ち度判定部118は、第1の印刷装置300aに既に登録されている印刷ジョブのジョブ実行情報を用いて、第1の印刷装置300aのRIP処理待ち状態である印刷ジョブの数を算出する(ステップ105)。
図7の具体例では、ジョブ5~9のジョブ実行状態が「RIP処理待ち」となっているため、「RIP処理待ち」の印刷ジョブの数が5つと算出される。
【0046】
RIP処理待ち度判定部118は、算出された「RIP処理待ち」の印刷ジョブ数が予め定められた閾値を超えているか否かを判定する(ステップ106)。ここで、「予め定められた閾値」は、ユーザが設定する値で、処理待ちのジョブ数や処理待ちの総ページ数で判断する。RIPの処理待ち数が予め定められた閾値を超えていない場合は(ステップ106でNO)、第1の印刷装置300aで全ての処理を行うものとし、印刷ジョブ生成部120は印刷データのデータタイプをPDL(ページ記述言語)とし出力指定情報を「印刷」とする印刷ジョブを生成する(ステップ118)。そして、印刷ジョブ出力部121が生成された印刷ジョブを第1の印刷装置300aに送信し(ステップ119)、処理を終了する。
【0047】
ステップ106で、「RIP処理待ち」の印刷ジョブの数が閾値を超えている場合は(ステップ106でYES)、RIP処理を行うことができる第2の印刷装置300bを検出する処理を行う。
第2の印刷装置300bを検出する処理では、第2の印刷装置検出部119は、まず最初に、他の印刷装置300b~dのうち一つを選択する(ステップ107)。
次に、ジョブ実行情報取得部115は、現状の印刷ジョブのジョブ実行情報を取得するため、選択された他の印刷装置300b~dの何れかにジョブ問い合わせを行う(ステップ108)。そして、ジョブ実行情報取得部115は、問い合わせを行なった他の印刷装置300b~dのジョブ実行情報を取得する(ステップ109)。
図7の具体例では、ステップ108にて他の印刷装置300b~dの一つである第2の印刷装置300bにジョブ問い合わせを行なっている。そして、ステップ109にて他の印刷装置300b~dの一つである第2の印刷装置300bから、ジョブ1~3が「印刷完了」であるジョブ実行情報を取得している。
【0048】
次に、第2の印刷装置検出部119は、他の印刷装置300b~dのうち一つにて、「RIP処理中」である印刷ジョブと、「RIP処理待ち」である印刷ジョブがあるか否かを判定する(ステップ110)。
図7の具体例では、工程管理装置100にて、他の印刷装置300b~dのうち一つである第2の印刷装置300bでは、「RIP処理中」である印刷ジョブと「RIP処理待ち」である印刷ジョブがない、と判定される。
【0049】
RIP処理待ち又はRIP処理中のジョブがない場合は(ステップ110でNO)、第2の印刷装置検出部119は、その装置を第2の印刷装置300bとし、印刷ジョブ生成部120が第2の印刷装置300bにRIP処理させるための印刷ジョブを生成する(ステップ111)。第2の印刷装置300bにRIP処理させるための印刷ジョブとは、印刷データをPDL(ページ記述言語)とし、出力指定情報を「RIP処理後送信」とする印刷ジョブである。
【0050】
工程管理装置100の印刷ジョブ出力部121は、生成された印刷ジョブを第2の印刷装置300bへ送信する(ステップ112)。工程管理装置100は、第2の印刷装置300bから、RIP処理されたラスタ画像データの受信が完了するのを待つ(ステップ113)。工程管理装置100は、第2の印刷装置300bからラスタ画像を受信すると、印刷ジョブ生成部120はデータタイプをRaster(ラスタ画像)とする印刷ジョブを生成する(ステップ114)。そして、印刷ジョブ出力部121は、生成された印刷ジョブを第1の印刷装置300aに送信(ステップ115)し、処理を終了する。
【0051】
ステップ110で、RIP処理中またはRIP処理待ちのジョブがある場合には(ステップ110でYES)、いまだ検査されておらず、RIP処理を行うことができる装置の候補となる他の印刷装置300b~dがさらにあるか否かを判断する(ステップ116)。ステップ116で、RIP処理を行うことができるか否かについて検査されていない他の印刷装置300b~dがある場合は(ステップ116でYES)、いまだ検査されていない他の印刷装置300b~dを選択する(ステップ117)。そして、RIP処理を行うことができるか否かを判定するため、ステップ108へ戻って上記処理を行う。
【0052】
ステップ116で、いまだ検査されていない他の印刷装置300b~dがない場合は(ステップ116でNO)、印刷ジョブ生成部120は、第1の印刷装置300aで全ての処理を行うものとし、印刷データのデータタイプをPDL(ページ記述言語)とし出力指定情報を「印刷」とする印刷ジョブを生成する(ステップ118)。そして、印刷ジョブ出力部121が生成された印刷ジョブを第1の印刷装置300aに送信し(ステップ119)、処理を終了する。
【0053】
<印刷装置のジョブ管理部の動作>
次に、印刷装置300のジョブ管理部315の動作を
図8及び
図9を用いて説明する。
図8及び
図9は、印刷装置300の動作例を示すフローチャートである。
印刷装置300のジョブ管理部315は、工程管理装置100、RIP処理部316、及び受付部313等からイベントが発生するのを常時待機している(ステップ301)。なお、ジョブ管理部315はイベントが発生するのを常時待機せずに、予め定められた間隔でイベントの発生を把握する構成としてもよい。
【0054】
ジョブ管理部315はイベントが発生するのを確認すると、まず、工程管理装置100から印刷ジョブを受信したものであるか否かを判断する(ステップ302)。工程管理装置100から印刷ジョブを受け付けた場合に(ステップ302でYES)、ジョブ管理部315は、印刷ジョブに含まれる出力指定情報を確認し、出力指定情報に応じた処理を行う(ステップ303)。出力指定情報に応じた処理の例として、出力指定情報が「受信後保留」の場合は、受信した印刷ジョブの登録のみを行う。「RIP処理後保留」の場合は、RIP処理部316にRIP処理実行指示を送信する。「RIP処理後送信」の場合は、RIP処理部316に、RIP処理実行指示を送信する。「印刷」の場合は、印刷データのデータタイプを判断し、データタイプがRasterである場合には出力装置通信部317に印刷実行指示を送信する。印刷データのデータタイプがPDLの場合は、RIP処理部316にRIP処理実行指示を送信する。出力指定情報に応じた処理(ステップ303)が完了すると、ステップ301に戻りイベントの発生を待機する。
【0055】
ステップ302で、イベントが工程管理装置100から印刷ジョブを受け付けたものではないと判断した場合は(ステップ302でNO)、取得したイベントが、RIP処理が完了した通知を受信したものであるか否かを判断する(ステップ304)。取得したイベントが、RIP処理部316から送られたRIP処理が完了した通知である場合は(ステップ304でYES)、RIP処理が完了した印刷ジョブに含まれる出力指定情報を確認し、出力指定情報に応じた処理を行う(ステップ305)。出力指定情報に応じた処理の例として、出力指定情報が「RIP処理後保留」の場合は何もしない。出力指定情報が「RIP処理後送信」の場合は、ジョブ管理部315は、ラスタ画像を予め定められた送信先に送信する指示を送信部312に送る。出力指定情報が「印刷」の場合は、ジョブ管理部315が、出力装置通信部317に印刷実行指示を送信する。ステップ305の出力指定情報に応じた処理が完了すると、ステップ301に戻り、イベントの発生を待機する。
【0056】
ステップ304で、取得したイベントが、RIP処理が完了した通知を受信したものではないと判断した場合は(ステップ304でNO)、取得したイベントが受付部313から受け付けた印刷ジョブに関する指示であるか否かを判断する(ステップ306)。受付部313から受け付けた印刷ジョブに関する指示の例として、印刷ジョブの「削除指示」、「中断指示」、「終了指示」及び「再開指示」等がある。ここで、「中断指示」とは、印刷ジョブの処理を一時的に中断させる処理であり、改めてユーザから指示がある場合にジョブの処理が再開することができる状態にする指示である。また、「終了指示」とは、印刷装置300が現在行っている処理を終了させる指示である。「再開指示」とは、保留状態又は中断状態の印刷ジョブの処理を再開させる指示である。
【0057】
ステップ306で、受け付けたイベントが印刷ジョブに関する指示でないと判断されると(ステップ306でNO)、処理を行なわずにステップ301に戻り、イベントの発生を待機する。
ステップ306で、受け付けたイベントが受付部313からの印刷ジョブに関する指示であると判断されると(ステップ306でYES)、受け付けた指示に係る印刷ジョブに含まれる出力指定情報が「RIP処理後送信」であるか否かを判断する(ステップ307)。出力指定情報が「RIP処理後送信」でないと判断した場合は(ステップ307でNO)、受け付けた指示に応じた処理を行ない(ステップ312)、ステップ301に戻り、イベントの発生を待機する。ここで、ステップ312の処理の具体例として、ジョブ管理部315は、受付部313が「中断指示」を受けた場合は、RIP処理等の処理を中断し、再開を待つ。また、「終了指示」を受けた場合には、処理を終了させる。また、「削除指示」を受けた場合には、受けた印刷ジョブの情報を削除する。「再開指示」を受けた場合は、中断している印刷ジョブの処理を再開させる。
【0058】
ステップ307で、印刷ジョブに含まれる出力指定情報が「RIP処理後送信」であると判断すると(ステップ307でYES)、受け付けた指示が印刷ジョブの実行を阻害する指示であるか否かを判断する(ステップ308)。ここで、「印刷ジョブの実行を阻害する指示」とは、第1の印刷装置300aに代行して第2の印刷装置300bが行うRIP処理の妨げとなる指示であり、例えば、印刷ジョブの「削除指示」、「中断指示」及び「終了指示」等がある。また、RIP処理を阻害しない指示とは、例えば、「再開指示」等がある。
ステップ308で、印刷ジョブの実行を阻害しない処理であると判断された場合は(ステップ308でNO)、受け付けた指示に応じた処理を行ない(ステップ312)、ステップ301に戻り、イベントの発生を待機する。
【0059】
ステップ308で、RIP処理を阻害する指示であると判断すると(ステップ308でYES)、ジョブ管理部315は表示制御部314を用いて、第1の印刷装置300aのための処理を阻害する処理であることを表示し、さらに、ジョブ管理部315は表示制御部314を用いて、受け付けた指示を実行するか否かを選択する画面を表示させる(ステップ309)。
そして、ジョブ管理部315は、指示を実行させるか否かの選択を受け付けたか否かを判断する(ステップ310)。処理を実行する選択を受け付けたら(ステップ310でYES)、受け付けた指示に応じた処理を行ない(ステップ312)、ステップ301に戻り、イベントの発生を待機する。
ステップ310にて、処理を実行しない選択を受け付けたら(ステップ310でNO)、受け付けた指示を、実行せずに削除する(ステップ311)。そして、ステップ301に戻り、イベントの発生を待機する。
【0060】
また、ステップ309にて、第1の印刷装置300aのための処理を阻害する指示を実行するか否かをユーザに選択させる構成としたが、第1の印刷装置300aのための処理を阻害する指示は実行しないとする構成とすることもできる。
【0061】
なお、本実施の形態では、新たな印刷ジョブを第1の印刷装置300aに登録する際に、第2の印刷装置300bがRIP処理を代行する構成となっているが、第1の印刷装置300aに既に登録済みの印刷ジョブに対して、第2の印刷装置300bがRIP処理を代行する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0062】
100…工程管理装置、115…ジョブ実行情報取得部、116…印刷装置状態取得部、117…ジョブ完了時刻推測部、118…RIP処理待ち度判定部、119…第2の印刷装置検出部、120…印刷ジョブ生成部、123…ラスタ画像取得部、300a…第1の印刷装置、300b~d…他の印刷装置、313…受付部、314…表示制御部、315…ジョブ管理部