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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20241119BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20241119BHJP
   B65H 29/52 20060101ALI20241119BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241119BHJP
   B65H 29/20 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G03G15/20 505
G03G21/16 185
G03G21/16 195
B65H29/52
G03G15/00 460
B65H29/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021026239
(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公開番号】P2022127975
(43)【公開日】2022-09-01
【審査請求日】2024-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】濱田 敏行
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-086480(JP,A)
【文献】特開平09-114153(JP,A)
【文献】特開2020-148874(JP,A)
【文献】特開2000-155493(JP,A)
【文献】特開2004-170905(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0148212(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102854780(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/16
B65H 29/52
G03G 15/00
B65H 29/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を用紙に定着する定着装置と、前記定着装置でトナー像が定着された用紙を搬送する搬送ローラー対と、前記定着装置から前記搬送ローラー対へ用紙が搬送される湾曲路と、を備え、トナー像定着面を前記湾曲路の内周側に向けて用紙が搬送される画像形成装置であって、
前記湾曲路内に前記内周から突出するガイド位置と前記内周との間で移動可能な第1ガイドコロを備え、
前記第1ガイドコロは、支軸に回動可能に支持された連結板の下端部に回転可能に支持され、自重によって前記ガイド位置に維持され、
用紙が前記湾曲路に沿って搬送される際、前記第1ガイドコロは用紙に従動して回転しながら該用紙に押圧されて前記ガイド位置から前記内周側へ移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記湾曲路の外周側への前記連結板の回動を規制する規制部を備えることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
用紙の搬送方向における前記第1ガイドコロの下流側において、前記支軸に回転可能に支持され、前記内周から前記湾曲路に突出する第2ガイドコロを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1ガイドコロと第2ガイドコロとは前記支軸の軸方向にずれて配置されていることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記支軸は、前記内周側へ移動可能に支持されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像が定着された用紙を案内するガイドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の小型化に伴い、用紙の搬送経路は、長さを短くしたり湾曲したりするように形成される場合がある。搬送経路は、一般に、一対のガイド間に形成される。また、搬送経路には、所定の間隔で搬送ローラー対が設けられている。
【0003】
搬送経路の長さが短くなって隣接する搬送ローラー対の間隔が狭くなると、隣接する搬送ローラー対間に用紙が挟持されて搬送されることになる。両搬送ローラー対間で用紙を適切に撓ませたり引っ張ったりするために、搬送ローラー対の回転速度を調整することが必要になる。また、例えば、定着装置と排出装置間の搬送経路が湾曲する場合には、用紙のトナー定着面がガイドに接触して、トナーがガイドに固着することがある。
【0004】
そこで、特許文献1には、定着装置から排出される用紙を案内するガイド部材を備える画像形成装置が開示されている。ガイド部材は、円柱状のコロガイドを有し、コロガイドは外周面の一部が、搬送経路を搬送される用紙のトナーが定着された面に接触するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-331931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記特許文献1に記載されている画像形成装置では、コロガイドに用紙から加わる圧力が高い場合(例えば厚紙の場合)、定着されたトナー像がコロガイドに付着してしまう。すると、コロガイドのガイド性能が劣化して紙詰まりが発生したり、付着したトナーによって画像に欠損筋が発生したりするという問題が生じる。
【0007】
そこで本発明は上記事情を考慮し、トナー像が定着された用紙を安定して案内できるガイドを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、トナー像を用紙に定着する定着装置と、前記定着装置でトナー像が定着された用紙を搬送する搬送ローラー対と、前記定着装置から前記搬送ローラー対へ用紙が搬送される湾曲路と、を備え、トナー像定着面を前記湾曲路の内周側に向けて用紙が搬送される画像形成装置であって、前記湾曲路内に前記内周から突出するガイド位置と前記内周との間で移動可能な第1ガイドコロを備え、用紙が前記湾曲路に沿って搬送される際、前記第1ガイドコロは用紙に従動して回転しながら該用紙に押圧されて前記ガイド位置から前記内周側へ移動することを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置において、前記第1ガイドコロは、支軸に回動可能に支持された連結板の下端部に回転可能に支持され、自重によって前記ガイド位置に維持されることを特徴としてもよい。
【0010】
本発明の画像形成装置において、前記湾曲路の外周側への前記連結板の回動を規制する規制部を備えることを特徴としてもよい。
【0011】
本発明の画像形成装置において、用紙の搬送方向における前記第1ガイドコロの下流側において、前記支軸に回転可能に支持され、前記内周から前記湾曲路に突出する第2ガイドコロを備えることを特徴としてもよい。
【0012】
本発明の画像形成装置において、前記第1ガイドコロと第2ガイドコロとは前記支軸の軸方向にずれて配置されていることを特徴としてもよい。
【0013】
本発明の画像形成装置において、前記支軸は、前記内周側へ移動可能に支持されていることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トナー像が定着された用紙が湾曲路を搬送される際に、用紙から第1ガイドコロに加わる圧力を逃がすことができるので、第1ガイドコロへのトナーの付着を防止できる。したがって、定着装置の下流側に湾曲路を形成することができ、画像形成装置の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を模式的に示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、定着装置と中間ローラー対間の搬送経路を模式的に示す正面図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、ガイド部材(第1ガイドコロ及び第2ガイドコロ)を、各コロの軸方向から見た図である。
図3B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、ガイド部材(第1ガイドコロ及び第2ガイドコロ)を、各コロの軸方向と直交する方向から見た図である。
図4】本発明の一実施形態に画像形成装置において、ガイド部材と定着排出ローラー対との、幅方向における位置関係を示す図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、定着装置と中間ローラー対間の搬送経路を通過する用紙(用紙先端が定着排出ローラー対を通過した後)を示す正面図である。
図5B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、定着装置と中間ローラー対間の搬送経路を通過する用紙(用紙先端が中間ローラー対に到達した状態)を模式的に示す正面図である。
図6A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、定着装置と中間ローラー対間の搬送経路を通過する用紙(用紙先端部が中間ローラー対に挟持された状態)を模式的に示す正面図である。
図6B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、定着装置と中間ローラー対間の搬送経路を通過する用紙(用紙後端が定着排出ローラー対を通過した後)を模式的に示す正面図である。
図7A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、定着装置と中間ローラー対間の搬送経路を通過する用紙(中間ローラー対の逆回転時)を模式的に示す正面図である。
図7B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において、定着装置と中間ローラー対間の搬送経路を通過する用紙(用紙先端が両面印刷経路に進入した状態)を模式的に示す正面図である。
図8A】本発明の一実施形態に画像形成装置において、ガイド部材の第1の変形例を示す図である。
図8B】本発明の一実施形態に画像形成装置において、ガイド部材の第2の変形例を、支軸の軸方向から見た図である。
図8C】本発明の一実施形態に画像形成装置において、ガイド部材の第2の変形例を、支軸の軸方向と直交する方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0017】
まず、図1を用いて、画像形成装置の全体の構成について説明する。図1は画像形成装置の内部構成を模式的に示す正面図である。以下、図1における紙面手前側を画像形成装置の正面側(前側)とする。各図のL、Rは、それぞれ画像形成装置の左側、右側を示す。
【0018】
画像形成装置1の装置本体2には、用紙Sが収容される給紙カセット3と、給紙カセット3から用紙Sを送り出す給紙装置5と、用紙Sにトナー像を形成する画像形成部7と、トナー像を用紙Sに定着する定着装置9と、用紙Sを排出する排出ローラー対11が備えられている。装置本体2の上面には、排出ローラー対によって排出された用紙Sが積載される排出トレイ13が設けられている。
【0019】
装置本体2には、用紙Sの主搬送経路15と両面印刷経路17とが形成されている。主搬送経路15は、給紙装置5から上向きに湾曲し、画像形成部7と定着装置9とを通って略直線状に水平方向に沿って延びて、排出ローラー対11へ向かって上向きに湾曲するように形成されている。両面印刷経路17は、定着装置9と排出ローラー対11との間の分岐部Bで主搬送経路15から分岐し、給紙装置5と画像形成部7との間の合流部Jで主搬送経路15に合流するように形成されている。以降の説明において、給紙装置5から排出ローラー対11へ向かう主搬送経路15に沿った方向、及び、分岐部Bから合流部Jへ向かう両面印刷経路17に沿った方向を、用紙Sの搬送方向とする。搬送方向と直交する方向を用紙Sの幅方向とする。また、上流側、下流側は、用紙Sの搬送方向における上流側、下流側を示す。
【0020】
主搬送経路15には、上流側から順に、第1中間ローラー対21、レジストローラー対23、定着排出ローラー対25、第2中間ローラー対27が備えられている。第1中間ローラー対21は、給紙装置5と画像形成部7との間の主搬送経路15の湾曲部に配置されている。レジストローラー対23は、画像形成部7の上流側の間に配置されている。定着排出ローラー対25は、定着装置9と分岐部Bとの間に配置されている。第2中間ローラー対27は、分岐部Bと排出ローラー対11との間に配置されている。両面印刷経路17には、上流側から順に、両面搬送ローラー対31、第3中間ローラー対33、第4中間ローラー対35が備えられている。両面搬送ローラー対31は、分岐部Bの下流側に配置されている。
【0021】
次に、画像形成動作について簡単に説明する。給紙カセット3から給紙装置5によって主搬送経路15に給紙された用紙は、第1中間ローラー対21によって主搬送経路15に沿って搬送され、レジストローラー対23によってスキューが調整される。その後、画像形成部7に搬送されて、用紙の一面にトナー像が形成される。トナー像が形成された用紙は、主搬送経路15に沿って定着装置9に搬送される。定着装置9は、トナー像を用紙の一面に定着する。トナー像が定着された用紙は、定着排出ローラー対25と第2中間ローラー対27によって主搬送経路15に沿って搬送され、排出ローラー対11によって排出される。排出された用紙は排出トレイ13に積載される。
【0022】
両面印刷が行われる場合は、定着装置9によって一面にトナー像が形成された用紙は、第2中間ローラー対27によってスイッチバックされて、分岐部Bで主搬送経路15から両面印刷経路17に搬送される。そして、両面搬送ローラー対31、第3中間ローラー対33、第4中間ローラー対35によって両面印刷経路17に沿って搬送されて、合流部Jで主搬送経路15に合流する。このように用紙がスイッチバックされて両面印刷経路17を搬送されることで、用紙の表裏が反転する。その後、前述のように主搬送経路15に沿って搬送されて、画像形成部7によって用紙の他の一面にトナー像が形成され、定着装置9によってトナー像が定着される。その後、定着排出ローラー対25、第2中間ローラー対27によって搬送されて、排出ローラー対11によって排出される。
【0023】
次に、図2を参照して、定着装置9と第2中間ローラー対27との間の主搬送経路15及び両面印刷経路17について説明する。図2は、定着装置9と第2中間ローラー対27間の搬送経路を模式的に示す正面図である。第2中間ローラー対27は、本発明の搬送ローラー対の一例である。
【0024】
前述のように、定着装置9と第2中間ローラー対27との間の主搬送経路15は、上向きに湾曲するように形成されている。詳細には、定着装置9からほぼ水平方向に沿った右方向に延び、上向きの円弧状に湾曲し、第2中間ローラー対27に向かって上向きに延びている。このように、主搬送経路15は、定着装置9から第2中間ローラー対27に向かう円弧状の湾曲路15aを含んでいる。湾曲路15aは、内周側に配置された内ガイド41と、外周側に配置された外ガイド43との間に形成されている。内ガイド41は、上向きの円弧状に形成されている。外ガイド43は、両面印刷経路17に沿う直線状に形成されている。定着装置9を通過した用紙は、トナー像が定着された面(トナー像定着面)を、湾曲路15aの内周側、すなわち、内ガイド41に向けて搬送される。
【0025】
定着排出ローラー対25は、排出駆動ローラー51と排出従動ローラー53とで構成されている。排出駆動ローラー51が一方向に回転すると、排出従動ローラー53が従動して回転し、定着装置9から分岐部Bへ用紙を搬送する。両面搬送ローラー対31は、排出駆動ローラー51と両面従動ローラー55とで構成されている。排出駆動ローラー51が一方向に回転すると、両面従動ローラー55が従動して回転し、分岐部Bから両面印刷経路17へ用紙を搬送する。このように排出駆動ローラー51は、定着排出ローラー対25と両面搬送ローラー対31の双方に兼用される。
【0026】
湾曲部15aの内周側には、2つのガイド部材61が支持されている。ガイド部材61について、図2に加えて、図3A及び図3B図4を参照して説明する。図3A及び図3Bは、ガイド部材61を、各コロの軸方向及び軸方向と直交する方向から見た図である。図4は幅方向における2つのガイド部材61の位置を示す図である。
【0027】
図3A及び図3Bに示されるように、ガイド部材61は、第1ガイドコロ63と、第2ガイドコロ65と、両ガイドコロ63、65を連結する2枚の連結板67と、を有している。
【0028】
2枚の連結板67は、それぞれ長尺状の板部材である。2枚の連結板67の上端部は、内ガイド41に設けられた固定側の支軸71に回動可能に支持されている。2枚の連結板67の下端部は、可動側の支軸73で連結されている。
【0029】
第1ガイドコロ63は、幅方向の厚さが比較的薄い円盤状の部材である。第1ガイドコロ63の外周面は、断面が円弧状に湾曲している。第1ガイドコロ63は、可動側の支軸73に回転可能に支持されている。第2ガイドコロ65は、幅方向の厚さが第1ガイドコロ63と同等の円盤状の部材である。第2ガイドコロ65の外周面は、断面が円弧状に湾曲している。第2ガイドコロ65は、固定側の支軸71に回転可能に支持されている。この例では、第2ガイドコロ65の径は、第1ガイドコロ63の径よりも大きい。
【0030】
図2に示されるように、固定側の支軸71は、内ガイド41の上端部に支持されている。これにより、自重によって連結板67が固定側の支軸71から鉛直方向に沿って垂下する。この際、第1ガイドコロ63の一部は、湾曲路15aに内周側から突出する。第1ガイドコロ63のこの位置をガイド位置とする。好ましくは、第1ガイドコロ63の一部は、湾曲部15aの頂部に内周側から突出する。また、第2ガイドコロ65の一部も、第1ガイドコロ63よりも下流側において、湾曲路15aよりも下流側の主搬送経路15に内周側から突出する。
【0031】
連結板67は、固定側の支軸71を中心として、主搬送経路15に向かう方向及び主搬送経路15から内周側に退避する方向に回動可能である。内ガイド41には、連結板67が固定側の支軸71から鉛直方向に沿って垂下した姿勢から、主搬送経路15に向かう方向への回動を規制する規制片47が設けられている。これにより、第1ガイドコロ63は、ガイド位置から湾曲路15aへの移動が規制される。
【0032】
図4に示されるように、ガイド部材61は、定着排出ローラー対25よりも幅方向Wの外側に配置されている。
【0033】
上記構成を有するガイド部材61による用紙のガイド作用について図5A図7Bを参照して説明する。図5A図7Bは、定着装置9と第2中間ローラー対27間の搬送経路を通過する用紙を模式的に示す正面図である。この例では、両面印刷時のガイド部材61の作用について説明する。
【0034】
図5Aに示されるように、用紙Sは、定着装置9を通過後、定着排出ローラー対25(排出駆動ローラー51と排出従動ローラー53)によって主搬送経路15に沿って第2中間ローラー対27へ向かって搬送される。前述のように、用紙Sは、トナー像定着面が湾曲路15aの内周側に向けて搬送される。この際、用紙Sは、第1ガイドコロ63に接触して外ガイド43に向けて案内され、用紙Sの先端S1が外ガイド43に当接する。第1ガイドコロ63は用紙Sとの接触によって回転すると共に用紙Sで押圧されて、連結板67が内周側へ揺動してやや内周側へ移動する。
【0035】
その後、図5Bに示されるように、用紙Sは外ガイド43に沿って第2中間ローラー対27へ向かって搬送される。用紙Sの先端S1が第2中間ローラー対27に到達した状態では、用紙Sは湾曲路15aの外周側へ撓むように変形する。
【0036】
図6Aに示されるように、用紙Sの先端S1が第2中間ローラー対27を通過し、後端S2が定着装置9を通過すると、用紙Sは第2中間ローラー対27と定着排出ローラー対25とに挟持されて搬送される。この際、用紙Sが撓みすぎないように、第2中間ローラー対27は定着排出ローラー対25よりも早い速度で回転する。これにより、用紙Sは両ローラー対25、27間で緊張し、内周側の面、すなわち、トナー像定着面が第1ガイドコロ63及び第2ガイドコロ65に接触して案内される。第1ガイドコロ63と第2ガイドコロ65とは用紙Sの搬送に伴って回転すると共に用紙Sで押圧される。第1ガイドコロ63は内周側に移動して(図6Aの矢印参照)、用紙Sから第1ガイドコロ63に加わる圧力が逃がされる。
【0037】
そして、図6Bに示されるように、用紙Sの後端S2が定着排出ローラー対25を通過すると、用紙Sの後端部は第2ガイドコロ65によって案内される。連結板67は自重によって規制片47に当接するまで回動し、第1ガイドコロ63はガイド位置に戻る。
【0038】
その後、図7Aに示されるように、所定のタイミングで第2中間ローラー対27が逆回転する。これにより、用紙Sの搬送方向が反転され、用紙Sの先端部は、第2ガイドコロ65によって両面印刷経路17へ向けて案内される。そして、第1ガイドコロ61と外ガイド17とによって両面印刷経路17へ案内される。この際、第1ガイドコロ63がガイド位置から内周側へ移動して、用紙Sから第1ガイドコロ63に加わる圧力を逃がす。
【0039】
その後、図7Bに示されるように、用紙Sの先端部は、外ガイド43に案内されて、両面搬送ローラー対31(排出駆動ローラー51及び両面従動ローラー55)によって両面印刷経路17に搬送される。この際、用紙Sは、両面搬送ローラー対31と第2中間ローラー対27とに挟持される。両面搬送ローラー対31は第2中間ローラー対27よりも遅い速度で回転するので、用紙Sは両ローラー対31、27間で外周側に撓む。
【0040】
上記説明したように、本発明の画像形成装置1においては、トナー像が定着された用紙Sが湾曲路15aを搬送される際に、トナー像定着面を第1ガイドコロ63及び第2ガイドコロ65とで案内する。また、第1ガイドコロ63は、湾曲路15aから内周側に移動可能である。このように、用紙Sから圧力が加わりやすい湾曲路15aにおいて、用紙Sから第1ガイドコロ63に加わる圧力を逃がすことができるので、第1ガイドコロ63へのトナーの付着を防止できる。したがって、定着装置9の下流側に湾曲路15aを形成することができ、画像形成装置1の小型化が可能となる。
【0041】
第1ガイドコロ63は連結板67と自身の自重によってガイド位置に維持されている。このため、第1ガイドコロ63にごく弱い力が加わっても、ガイド位置から退避するように移動して、用紙Sから加わる圧力を確実に逃がすことができる。したがって、用紙Sからのトナー像の剥離をより確実に防止できる。さらに、連結板67が規制片47に当接することで、第1ガイドコロ63が湾曲路15a内に過度に突出することを規制できる。
【0042】
また、第1ガイドコロ61に加えて第2ガイドコロ65を設けることで、両面印刷時にも用紙を主搬送経路15から両面印刷経路17に円滑に案内することができる。
【0043】
次に、図8A図9Cを参照して、本発明の変形例について説明する。図8Aは第1の変形例を示し、図8B及び図8Cは第2の変形例を示す。
【0044】
図8Aに示される第1の変形例においては、第1ガイドコロ63と第2ガイドコロ65とが、幅方向Y(支軸71、73の軸方向)にずれて配置されている。
【0045】
第1ガイドコロ63と第2ガイドコロ65が用紙Sのトナー像定着面に接触する面積は狭く、また、それぞれが用紙Sから加えられる力は小さいが、各コロとの接触によってトナー像定着面からトナーが剥離する場合もある。第1の変形例によれば、第1ガイドコロ63と第2ガイドコロ65とがトナー像定着面に接触する位置が幅方向Yにずれることで、トナー像定着面からのトナー剥離位置が分散するので、画像欠陥のレベルを軽減できす。
【0046】
図8B及び図8Cに示される第2の変形例においては、固定側の支軸71が、主搬送経路15から内周側へ移動可能に支持されている。すなわち、固定側の支軸71の両端部が、装置本体3に設けられた支持部材81に、水平方向に移動可能に支持されている。支持部材81には、水平方向に沿った溝穴83が形成されている。この溝穴83に、固定側の支軸71の端部が挿通される。さらに、溝穴83には、端部を主搬送経路15に向かう方向に付勢するコイルバネ85が収容されている。
【0047】
第2の変形例によれば、第2ガイドコロ65に用紙Sから圧力が加わった場合、固定側の支軸71がコイルバネ85の付勢力に抗して、溝穴83内を主搬送経路15から内周側に移動して、圧力を逃がすことができる。したがって、第1ガイドコロ63及び第2ガイドコロ65へのトナーの付着をより軽減できる。
【0048】
上記実施形態では、ガイド部材61が第1ガイドコロ63と第2ガイドコロ65とを備えた例について説明したが、ガイド部材61が第1ガイドコロ63のみを備えてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、第1ガイドコロ63は、自身と連結板67の自重によってガイド位置に維持されていたが、第1ガイドコロ63をガイド位置に維持する構成は上記実施形態に限らない。第2の変形例と同様に、可動側の支軸73を水平方向に移動可能に支持して、コイルバネ等によって、内周側から湾曲路15aに突出するガイド位置に付勢されるようにしてもよい。この場合、用紙から第1ガイドコロ63に圧力が加えられると、第1ガイドコロ63はコイルバネの付勢力に抗して、湾曲路15aから内周側に移動する。
【0050】
本発明は特定の実施形態について記載されてきたが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の範囲及び主旨を逸脱しない限りにおいて、当業者は上記実施形態を改変可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 画像形成装置
9 定着装置
15a 湾曲路
27 第2中間ローラー対(搬送ローラー対)
47 規制片
63 第1ガイドコロ
65 第2ガイドコロ
67 連結板
71 支軸
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C