(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20241119BHJP
H03K 17/78 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
H05K13/02 B
H03K17/78 P
(21)【出願番号】P 2021040940
(22)【出願日】2021-03-15
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】真砂 宏康
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 淳
(72)【発明者】
【氏名】安藤 大輝
(72)【発明者】
【氏名】重本 章吾
(72)【発明者】
【氏名】行實 孝太
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-165273(JP,A)
【文献】特開2014-018885(JP,A)
【文献】特開2021-150551(JP,A)
【文献】国際公開第2018/229989(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/002029(WO,A1)
【文献】特開2013-058511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
H03K 17/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を投光する投光部と、
前記投光部から投光された光の照射領域からの反射光の受光量を検出する受光部と、
受光量より前記照射領域に存在する物体の色情報を取得する取得部と、
取得される色情報と前記照射領域を搬送される搬送物の基準値とを比較して前記搬送物の繋ぎ目部分を検出する繋ぎ目検出部と、
前記搬送物を搬送する通路が前記照射領域全体に存在する状態で検出される受光量を基に設定された通路検出閾値と検出される受光量とを比較して、前記照射領域に前記搬送物の先端が到達したことを検出する先端検出部と、
前記搬送物の搬送速度を用いて、前記先端の到達が検出された時点から前記基準値を取得するまでの待機時間を算出する算出部と、
前記先端の到達が検出された時点から前記待機時間が経過すると、その時点で取得されている色情報を前記基準値として設定する設定部と、を備えるセンサ装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記搬送速度と前記照射領域の搬送方向の長さとを用いて前記待機時間を算出する請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記通路検出閾値として、前記通路が前記照射領域全体に存在する状態で検出される前記受光量に基づいて、該受光量よりも高い第1閾値および該受光量よりも低い第2閾値が設定されている請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記搬送物は、複数の部品が長手方向に沿って1列に並んで搭載されたキャリアテープであり、長手方向に繋ぎ用テープで接続された繋ぎ目部分を有している請求項1から3の何れか1項に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投光部と受光部とを備えたセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板等の基板上に電子部品を搭載(実装)し、電子回路基板を生産する部品実装装置は、テープフィーダーを備えている。テープフィーダーは、電子部品を収納したキャリアテープが巻回されたリールから当該キャリアテープを間欠的に送出しながら電子部品を供給するものである。キャリアテープは、テープフィーダーに設けられたアルミ等からなるテープ通路上を搬送される。
【0003】
リールには、複数のキャリアテープが長手方向にスプライシングテープを用いて接続された状態で巻回されている。そのため、搬送されるキャリアテープには繋ぎ目が存在しており、キャリアテープのロットを管理するために、繋ぎ目部分を検出している。
【0004】
繋ぎ目の検出の手法として、キャリアテープの側部に設けられている送出用の嵌合孔の有無を検出する手法がある。キャリアテープの繋ぎ目ではスプライシングテープにて嵌合孔が塞がれるため、センサにて嵌合穴が無い状態を検出し、繋ぎ目と判断している。
【0005】
また、従来、特許文献1に示すような、周囲の物理量を受信信号として検出し、該受信信号を閾値で判別して物理量によってオンオフを識別する検出センサが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、キャリアテープの繋ぎ目を嵌合穴が無い状態を検出して判断する手法では、キャリアテープが蛇行するとセンサが嵌合孔を検出できず、繋ぎ目部分を検出することができないといった問題があった。
【0008】
本発明の一態様は、より精度よく搬送物の繋ぎ目部分を検出可能なセンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るセンサ装置は以下の構成を採用する。
【0010】
すなわち、本発明の一側面に係るセンサ装置は、光を投光する投光部と、前記投光部から投光された光の照射領域からの反射光の受光量を検出する受光部と、受光量より前記照射領域に存在する物体の色情報を取得する取得部と、取得される色情報と前記照射領域を搬送される搬送物の予め取得している基準値とを比較して前記搬送物の繋ぎ目部分を検出する繋ぎ目検出部と、前記搬送物を搬送する通路が前記照射領域全体に存在する状態で検出される受光量を基に設定された通路検出閾値と検出される受光量とを比較して、前記照射領域に前記搬送物の先端が到達したことを検出する先端検出部と、前記搬送物の搬送速度を用いて、前記先端の到達が検出された時点から前記基準値を取得するまでの待機時間を算出する算出部と、前記先端の到達が検出された時点から前記待機時間が経過すると、その時点で取得されている色情報を前記基準値として設定する設定部と、を備える。
【0011】
上記構成によれば、搬送物の繋ぎ目部分を、搬送物の色情報と繋ぎ目部分の色情報との違いを基に検出する。これにより、従来の手法よりも精度よく繋ぎ目部分を検出できる。また、上記構成によれば、搬送物の先端が到達したことを検出した時に、設定部が繋ぎ目部分の検出に用いる基準値を自動で取得する。これにより、目視して基準値を設定する操作が不要となり、センサ装置の利便性が向上する。
【0012】
しかも、上記構成によれば、算出部が搬送物の搬送速度を用いて待機時間を算出する。待機時間は、先端検出部にて搬送物の先端が検出された時点から基準値を取得して設定するタイミングを決定する要素であり、待機時間が短い場合は、照射領域全体に搬送物が入り込んでいない状態の受光量に基づいて基準値が設定される恐れがある。上記構成のように、搬送速度より算出した待機時間を用いることで、常に正確に基準値を設定することが可能となる。
【0013】
上記一側面に係るセンサ装置において、前記算出部は、前記搬送速度と前記照射領域の搬送方向の長さとを用いて前記待機時間を算出する構成であってもよい。
【0014】
上記構成によれば、搬送速度に加えて照射領域の搬送方向の長さを用いるので、より正確に待機時間を算出することが可能で、常に正確に基準値を設定することが可能となる。
【0015】
上記一側面に係るセンサ装置において、前記通路検出閾値として、前記通路が前記照射領域全体に存在する状態で検出される前記受光量に基づいて、該受光量よりも高い第1閾値および該受光量よりも低い第2閾値が設定されている構成であってもよい。
【0016】
上記構成によれば、搬送物の色が、通路よりも反射光量が多くなる色であっても、逆に反射光量が少なくなる色であっても、搬送物の先端の到達を検出することができる。
【0017】
上記一側面に係るセンサ装置において、前記搬送物は、複数の部品が長手方向に沿って1列に並んで搭載されたキャリアテープであり、長手方向に繋ぎ用テープで接続された繋ぎ目部分を有している構成であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、より精度よく搬送物の繋ぎ目部分を検出可能なセンサ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係るカラーセンサが搭載されるテープフィーダーの構成を示す模式図である。
【
図2】上記テープフィーダーに適用されるキャリアテープの平面図である。
【
図3】上記テープフィーダーにおけるテープ通路と、カラーセンサと、テープ通路を搬送されるキャリアテープとの関係を示す模式図である。
【
図4】本実施形態に係るカラーセンサの構成を示す分解斜視図である。
【
図5】本実施形態に係るカラーセンサの構成を示すブロック図である。
【
図6】投光部の照射領域にキャリアテープが入っていない状態から、照射領域全体にキャリアテープが入るまでの受光量の変化を示す図である。
【
図7】投光部の照射領域にスプライシングテープが入っていない状態から、照射領域全体にスプライシングテープが入るまでの不一致度の変化を示す図である。
【
図8】本実施形態に係るカラーセンサの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。本実施形態では、本開示のセンサ装置の一態様として、キャリアテープを送出するテープフィーダーに搭載されるカラーセンサ1を例示する。
【0021】
§1 適用例
まず、
図1、
図3、
図5~
図7を用いて、センサ装置であるカラーセンサ1が適用される場面の一例について説明する。
図1に示すように、カラーセンサ1は、例えばテープフィーダー100に搭載され、テープ通路104を搬送されるキャリアテープ10における繋ぎ目部分を検出する。キャリアテープ10は、
図3に示すように、スプライシングテープ15によって繋がれている。繋ぎ目検出部(
図5参照)は、予め取得しているキャリアテープ10のRDB値の基準値と取得されるRGB値とを比較して、
図7に示すように色の違いである不一致度を求める。そして、不一致度を基にスプライシングテープ15を検出して繋ぎ目部分を検出する。これにより、嵌合孔12が塞がれている状態を検出する手法に比べて、キャリアテープ10が蛇行しても繋ぎ目部分を問題なく検出することができる。
【0022】
先端検出部25(
図5参照)は、
図6に示すように、通路検出閾値と受光量とを比較することでキャリアテープの先端を検出する。先端が検出されると、基準値設定部26(
図5参照)が、先端が検出された時点から所定の待機時間が経過したのちのRGB値をスプライシングテープ15の検出に用いる上記基準値として設定する。これにより、基準値を自動にて設定することができ、カラーセンサ1の利便性が向上する。しかも、算出部(
図5参照)がキャリアテープ10の搬送速度を用いて待機時間を算出するので、常に正確に基準値を設定することが可能となる。
【0023】
§2 構成例
(1.テープフィーダー100)
図1は、本実施形態に係るカラーセンサ1が搭載されるテープフィーダー100の構成を示す模式図である。
図1に示すように、テープフィーダー100は、キャリアテープ10を用いて電子部品等の部品を供給する、オートローディング方式のテープフィーダーである。テープフィーダー100は、前後方向に細長い形状をなす本体部101を備えている。テープフィーダー100は、さらに、第1送出部102と、第2送出部103と、テープ通路104と、本実施形態に係るカラーセンサ1と、制御部(不図示)と、を備えている。
【0024】
第1送出部102は、本体部101の前端部分に備えられ、第2送出部103は、本体部101の後端部分に備えられている。第1送出部102および第2送出部103は、本体部101の後端部から前端部に向かう方向にキャリアテープ10を送り出す。テープ通路104は、本体部101に設けられたキャリアテープ10を案内するための通路であり、例えば、アルミ等から構成される。キャリアテープ10は、第1送出部102および第2送出部103により、テープ通路104に沿って搬送される。
図1の構成では、キャリアテープ10は、本体部101の後端部から本体部101の内部に導入され、テープ通路104を通じて本体部101の上面前部に案内される。
【0025】
カラーセンサ1は、後述する投光部2からの光がテープ通路104上に投光されるように、テープ通路104に面して配設されている。カラーセンサ1は、テープ通路104を搬送されるキャリアテープ10の繋ぎ目部分を検出する。また、本実施形態では、カラーセンサ1は、キャリアテープ10の先端が投光部2の照射領域(検出領域)に到達したことを検出した時に、繋ぎ目部分の検出に用いる基準値を自動で取得するようになっている。カラーセンサ1の詳細については後述する。
【0026】
制御部は、テープフィーダー100の各部分を制御する。テープフィーダー100の制御部とカラーセンサ1が備える後述する判定部4との間で、各種の情報および信号の遣り取りが行われる。テープフィーダー100とカラーセンサ1は、マスターとスレーブの関係にある。
【0027】
(2.キャリアテープ10)
テープフィーダー100に適用されるキャリアテープ10について、
図2、
図3を参照して説明する。
図2は、テープフィーダー100に適用されるキャリアテープ10の平面図である。
図3は、テープフィーダー100におけるテープ通路104と、カラーセンサ1と、テープ通路104を搬送されるキャリアテープ10との関係を示す模式図である。
【0028】
図2に示すように、キャリアテープ10は、帯状のテープであり、厚み方向の一方の表面10Aに、部品13を収納する複数の凹状の部品収納部11が長手方向に沿って1列に並んで配置されている。部品収納部11に対して幅方向の一方の側方には、長手方向に一定間隔で並ぶ複数の嵌合孔12が設けられている。嵌合孔12は、キャリアテープ10をその厚み方向に貫通して設けられている。キャリアテープ10は、表面10Aの反対側の裏面をテープ通路104に向けた状態でテープフィーダー100に装着される。このようなキャリアテープ10には、白色、黒色、グレーおよび透明等の色違いがある。
【0029】
そして、
図3に示すように、キャリアテープ10は、長手方向の端部同士が繋ぎ用テープであるスプライシングテープ15にて接続されている。スプライシングテープ15にも、青色、水色、黄色および黒色等の色違いがある。
【0030】
(3.カラーセンサ1)
図4は、本実施形態に係るカラーセンサ1の構成を示す分解斜視図である。
図4に示すように、カラーセンサ1は、投光部2と、受光部3と、判定部4と、基板5と、ケース6と、レンズ部7と、カバー8と、を備えている。
【0031】
投光部2は光を投光し、受光部3は、投光部2から投光された光の照射領域からの反射光の受光量を検出する。投光部2は、白色LED(発光ダイオード)等の投光素子と、投光回路と、を備えている。受光部3は、PTR(フォトトランジスタ)やPD(フォトダイオード)等のRGBそれぞれの波長領域の受光素子と、受光回路と、を備えている。受光回路は、受光素子の受光量に応じた電気信号を増幅する増幅回路、およびA/D変換器等を備えている。
【0032】
なお、受光部3においては、1つの受光素子にて無彩色および有彩色の検出を行ってもよいし、受光素子を2個設けて無彩色の検出と有彩色の検出とを分けて行ってもよい。
【0033】
判定部4は、受光部3が検出した受光量に基づいて、スプライシングテープ15を検出することで、キャリアテープ10の繋ぎ目部分を検出する。また、テープ通路104上におけるキャリアテープ10の有無を検出し、照射領域にキャリアテープ10の先端が到達したことを検出した時に、スプライシングテープ15の検出に用いる基準値を自動で取得する。このような判定部4の詳細については後述する。
【0034】
基板5は、これら投光部2、受光部3および判定部4を搭載する。ケース6は、基板5およびレンズ部7を支持する支持部材である。レンズ部7は、ケース6の下面に取り付けられ、基板5は、投光部2および受光部3を搭載した面が下方に向くようにケース6内部に設置される。レンズ部7は、投受光レンズであり、投光素子より投光した光の光線を制御するレンズと、照射領域で反射した光を受光素子に集めるレンズと、を有する。カバー8は、遮光部材であり、ケース6の上部の開口を塞いで、外乱光および粉塵の侵入を防止する。
【0035】
(4.判定部4)
図5は、本実施形態に係るカラーセンサ1の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、判定部4は、投光制御部21と、RGB値取得部22と、記憶部23と、繋ぎ目検出部24と、先端検出部25と、基準値設定部26と、算出部29と、を備えている。判定部4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や専用プロセッサ等により構成されるコンピュータ装置からなる。
【0036】
投光制御部21は、投光部2の駆動を制御する。投光回路は、投光制御部21の制御の下、発光素子を所定のパルス信号に基づいて駆動し、光をテープ通路104に向かって照射する。照射領域に存在する物体からの反射光は、受光部3の受光素子によって受光され、受光回路を経てRGB値取得部22および先端検出部25に入力される。
【0037】
RGB値取得部(取得部)22は、受光回路を経て入力される受光量に基づいて、照射領域に存在する物体の色情報であるRGB値を取得する。RGB値取得部22は、取得したRGB値を繋ぎ目検出部24に送出する。
【0038】
繋ぎ目検出部24は、RGB値取得部22より入力されたRGB値と、予め取得しているキャリアテープ10の基準値(基準RGB値)とを比較して、キャリアテープ10の繋ぎ目部分を検出する。つまり、繋ぎ目検出部24は、スプライシングテープ15を検出する。繋ぎ目検出部24は、スプライシングテープ15を検出すると出力部27に検出したことを通知し、これを受けて出力部27が外部に繋ぎ目部分の検出を通知する。
【0039】
本実施形態では、後述するように、スプライシングテープ15を検出するための繋ぎ目検出閾値が設定されている。繋ぎ目検出部24は、入力されたRGB値と基準値との不一致度を繋ぎ目検出閾値と比較することで、スプライシングテープ15を検出する。キャリアテープ10の基準値、および繋ぎ目検出閾値は、記憶部23に記憶されている。
【0040】
先端検出部25は、受光回路を経て入力される受光量と通路検出閾値とを比較して、照射領域にキャリアテープ10の先端が到達したことを検出する。通路検出閾値は、テープ通路が照射領域全体に存在する状態で検出される受光量を基に設定され、記憶部23に記憶されている。
【0041】
算出部29は、キャリアテープ10の搬送速度を用いて、先端検出部25にてキャリアテープ10の先端の到達が検出された時点から基準値を取得するまでの待機時間を算出する。本実施形態では、算出部29は、キャリアテープ10の搬送速度と、照射領域の搬送方向の長さとを用いて待機時間を算出する。
【0042】
例えば、投光素子から投光される光の照射領域に相当するスポット径が2mm、搬送速度が100mm/msecの場合、算出部29は、待機時間を、2(mm)/100(mm/msec)=20msecと算出する。別の例として、スポット径が2mm、搬送速度が5mm/msecの場合、算出部29は、待機時間を、2(mm)/5(mm/msec)=400msecと算出する。さらに、別の例として、スポット径が5mm、搬送速度が5mm/msecの場合、算出部29は、待機時間を、5(mm)/5(mm/msec)=1000msecと算出する。なお、キャリアテープ10の搬送速度は、入出力部28を介してテープフィーダー100から判定部4に入力され、記憶部23に格納される。
【0043】
基準値設定部(設定部)26は、繋ぎ目検出部24が用いるキャリアテープ10の基準値を設定する。基準値設定部26は、先端検出部25にてキャリアテープ10の先端の到達が検出された時点から、算出部20にて算出された待機時間が経過すると、その時点でRGB値取得部22に取得されている色情報を基準値として設定する。設定された基準値は記憶部23に記憶される。また、基準値設定部26が用いる待機時間についても記憶部23に記憶されている。
【0044】
記憶部23は、繋ぎ目検出閾値テーブル、通路検出閾値テーブル、搬送速度格納部、および基準値格納部を備えている。記憶部23には入出力部28を介して外部から値を入力することもできる。
【0045】
繋ぎ目検出閾値テーブルには、繋ぎ目検出部24が用いる繋ぎ目検出閾値が格納されている。本実施形態では、色違いのスプライシングテープ15に対応できるように、繋ぎ目検出閾値として、後述する有彩色用閾値および無彩色用閾値の2つが設定されている(
図7参照)。
【0046】
通路検出閾値テーブルには、先端検出部25が用いる通路検出閾値が格納されている。前述したように、通路検出閾値は、テープ通路104が照射領域全体に存在する状態で検出される受光量を基に設定されている。通路検出閾値は、照射領域全体にテープ通路104が存在する状態ではない、つまり、照射領域の一部にキャリアテープ10が含まれていると判定できる値である。本実施形態では、テープ通路104が照射領域全体に存在する状態で検出される受光量に基づいて、該受光量よりも高い第1閾値および該受光量よりも低い第2閾値が設定されている。
【0047】
搬送速度格納部には、テープフィーダー100より入力され、算出部29にて用いられるキャリアテープ10の搬送速度が格納されている。搬送速度は、テープフィーダー100より入力される毎に書き換えられる。
【0048】
基準値格納部には、基準値設定部26で設定された基準値が格納される。基準値は、先端検出部25がキャリアテープ10の先端の到達を検出される度に設定され、自動で書き換えられる。
【0049】
(5.基準値の設定)
図6を用いて、基準値の設定について説明する。
図6は、投光部2の照射領域にキャリアテープ10が入っていない状態から、照射領域全体にキャリアテープ10が入るまでの受光量の変化を示す図である。
図6に示すように、照射領域にキャリアテープ10の先端が到達していない区間Aでは、受光部3はテープ通路104からの反射光の受光量Lを検出している。
【0050】
照射領域にキャリアテープ10の先端が到達すると、その時点から受光量が増加し出す。受光量が増加する区間Bが、照射領域をキャリアテープ10の先端部が進んでいる区間である。キャリアテープ10が照射領域の全体に入ると増加が止まり受光量Hで横這いとなる。受光量Hで横這いとなる区間Cが、キャリアテープ10からの反射光を安定して検出している区間である。
【0051】
通路検出閾値は、受光量Lと受光量Hとの間の値に設定される。
図6の例では、区間Bの中央値よりもやや高い値に設定されている。
図6は、キャリアテープ10が白色等、テープ通路104よりも反射光量が多くなる例を示している。図示してはいないが、キャリアテープ10が黒色やグレー等、テープ通路104よりも反射光量が少なくなる場合もある。その場合は、検出される受光量は、キャリアテープ10の先端が照射領域に入った時点から減少し出し、受光量Lよりも低くなる。そのため、上述したように、通路検出閾値は、区間Aで検出される受光量Lよりも高い第1閾値と、該受光量Lよりも低い第2閾値が設定されている。
図6に示す通路検出値は第1閾値に相当する。
【0052】
図6に示すように、先端検出部25がキャリアテープ10の先端の到達を検出した時点では、照射領域にはテープ通路104がまだ含まれている。そのため、基準値を取得するには、先端の到達が検出された時間から、照射領域全体にキャリアテープ10が入り込むまで待機する必要がある。この待機する時間が待機時間である。待機時間が短い場合は、照射領域全体に搬送物が入り込んでいない状態の受光量に基づいて基準値が設定される恐れがある。待機時間が長い場合は、基準値の設定が遅れる。
【0053】
本実施形態では、算出部29がキャリアテープ10の搬送速度に応じて待機時間を設定するので、短過ぎたり長すぎたりすることなく、常に適格な待機時間を設定することができ、延いては正確に基準値を設定することが可能となる。
【0054】
(6.スプライシングテープ15の検出)
図7を用いて、スプライシングテープ15の検出について説明する。
図7は、投光部2の照射領域にスプライシングテープ15が入っていない状態から、照射領域全体にスプライシングテープ15が入るまでの不一致度の変化を示す図である。
図7に示すように、照射領域にスプライシングテープ15の先端が到達していない区間Dでは、受光部3はキャリアテープ10からの反射光の受光量を検出しているため、取得されるRGB値と基準値との不一致度D0は小さい。
【0055】
照射領域にスプライシングテープ15の先端が到達すると、その時点から不一致度が増加し出す。受光量が増加する区間Dが、照射領域をスプライシングテープ15の先端部が進んでいる区間である。スプライシングテープ15が照射領域の全体に入ると増加が止まり、
図7の例では不一致度D1、D2で横這いとなる。
【0056】
不一致度D1は、無彩色のスプライシングテープ15の受光量に基づくRGB値と基準値との不一致度である。不一致度D2は、有彩色のスプライシングテープ15の受光量に基づくRGB値と基準値との不一致度である。スプライシングテープ15が有彩色である場合、スプライシングテープ15が無彩色である場合よりも不一致度が高くなる。
【0057】
繋ぎ目検出閾値は、このような有彩色の無彩色のスプライシングテープ15のカラーバリエーションに対応して、有彩色用閾値および無彩色用閾値の2種類設定されている。2種類設定することで、スプライシングテープ15の検出のみならず、スプライシングテープ15が無彩色であるか有彩色であるかも検出することができる。
【0058】
スプライシングテープ15が、有彩色用閾値又は無彩色用閾値の何れか一方に決まっている場合は、対応する方の閾値が繋ぎ目検出閾値として設定される。無彩色用閾値を設定しておくことで、無彩色および有彩色の何れのスプライシングテープ15についても対応できる。
【0059】
(7.カラーセンサ1の動作)
図8、
図9を用いて、カラーセンサ1の動作を説明する。
図8は、本実施形態に係るカラーセンサ1の動作を示すフローチャートである。
図9は、
図8の続きを示すフローチャートである。カラーセンサ1は、例えば、テープフィーダー100がキャリアテープ10の搬送を開始するタイミングで動作を開始する。
【0060】
図8に示すように、動作開始時、判定部4は、記憶部23より値を読み出して、通路検出閾値を先端検出部25に、搬送時間を算出部29に、繋ぎ目閾値を繋ぎ目検出部24にセットする(S1)。次に、算出部29が、搬送時間と照射領域の搬送方向の長さとを用いて待機時間を算出する(S2)。
【0061】
次に、判定部4は投光部2による投光および受光部3による受光量の検出を開始する(S3)。受光量が入力されると、先端検出部25は、受光量が通路検出閾値を超えたかを判断する(S4)。受光部3が複数の受光素子を備える場合は、受光量の総和が通路検出閾値を超えたかを判断する。先端検出部25は、受光量が通路検出閾値を超えたと判断するまで、S4を繰り返す。
【0062】
S4において、受光量が通路検出閾値を超えたと判断すると、先端検出部25は基準値設定部26にキャリアテープ10の先端を検出したことを通知する(S5)。通知を受けると、基準値設定部26は、その時点から計数を開始する(S6)。計数を開始すると、基準値設定部26は、カウント値が待機時間に到達したかを判断する(S7)。到達していないと判断すると、基準値設定部26はカウント値を1UPし(S8)、その後S7に戻る。基準値設定部26は、S7にてカウント値が待機時間に到達したと判断するまで、S7、S8を繰り返す。
【0063】
S7において、カウント値が待機時間に到達したと判断すると、基準値設定部26は、RGB値取得部22に基準値取得を指示する(S9)。指示を受けると、RGB値取得部22は、その時点で取得しているRGB値を記憶部23に送出する(S10)。記憶部23は入力されたRGB値を基準値として記憶する(S11)。ここまでのS1~S11の処理にて、キャリアテープ10の基準値が、自動的に取得され記憶部23に記憶される。
【0064】
図9に示すように、判定部4は、基準値が記憶されると、記憶部23より基準値を読み出して繋ぎ目検出部24にセットする(S12)。繋ぎ目検出部24は、RGB値取得部22より入力されるRGB値と基準値とを比較してそれらの不一致度を算出し(S13)、不一致度が繋ぎ目検出閾値を超えたかを判断する(S14)。繋ぎ目検出部24は、S14にて超えていないと判断すると、S16に進んで外部より動作終了信号を受信したかを判断し、受信していないと判断すると、S13に戻る。
【0065】
一方、繋ぎ目検出部24は、S14にて超えたと判断すると、出力部27にスプライシングテープ15を検出したことを通知し(S15)、これを受けて出力部27が外部に通知する。その後、S16に進んで外部より動作終了信号を受信したかを判断し、受信していないと判断すると、S13に戻る。判定部4は、S16にて動作終了信号を受信したと判断すると、投光部2による投光および受光部3による受光量の検出を終了し(S17)、動作を終了する。
【0066】
(8.主な効果)
上記構成によれば、キャリアテープ10とスプライシングテープ15との色情報の違い(色差)を検出することで、キャリアテープ10の繋ぎ目部分を検出する。キャリアテープ10が蛇行したとしても、キャリアテープ10が照射領域から逸脱するようなことは起こらない。これにより、キャリアテープ10が蛇行しても繋ぎ目部分を問題なく検出することができる。
【0067】
このようにスプライシングテープ15を色情報の違いにて検出する場合、キャリアテープ10とは色彩の異なるスプライシングテープ15を用いることが好ましい。つまり、白色のキャリアテープ10には、青色、水色、黄色および黒色のスプライシングテープ15を用いることが適している。黒色、透明色およびグレーのキャリアテープ10には、青色、水色および黄色のスプライシングテープ15を利用することが適している。
【0068】
ところで、特許文献1の検出センサの技術を用いた場合、ユーザが照射領域にキャリアテープ10が存在することを目視して、ティーチングスイッチを操作して、キャリアテープ10の基準値を記憶させる必要がある。また、モード切換スイッチを操作して、基準値を記憶させるためのティーチングモードと動作モードとを切り換える必要もある。
【0069】
これに対し、上記構成によれば、先端検出部25にて照射領域にキャリアテープ10の先端が到達したことを検出し、基準値設定部26が、先端が検出された時点から待機時間が経過したのちのRGB値を基準値として設定する。これにより、目視することなく、基準値を自動に設定することが可能となる。したがって、目視し実行する必要のあるモード切換スイッチの操作およびティーチングスイッチの操作が不要となり、基準値を自動にて設定することが可能となり、カラーセンサ1の利便性が向上する。
【0070】
しかも、算出部(
図5参照)がキャリアテープ10の搬送速度を用いて待機時間を算出する。待機時間は、先端検出部にて搬送物の先端が検出された時点から基準値を取得して設定するタイミングを決定する要素であり、待機時間が短い場合は、照射領域全体に搬送物が入り込んでいない状態の受光量に基づいて基準値が設定される恐れがある。搬送速度より算出した待機時間を用いることで、常に正確に基準値を設定することが可能となる。
【0071】
また、上記構成によれば、通路検出閾値として、テープ通路104が照射領域全体に存在する状態で検出される受光量に基づいて、該受光量よりも高い第1閾値および該受光量よりも低い第2閾値が設定されている。したがって、キャリアテープ10の色が、テープ通路104よりも反射光量が多くなる色であっても、逆に反射光量が少なくなる色であっても、キャリアテープ10の先端の到達を検出することができる。
【0072】
§3 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0073】
(1)前述した実施形態では、記憶部23が、繋ぎ目検出閾値テーブル、通路検出閾値テーブル、搬送速度格納部、および基準値格納部を備えている。そして、動作開始時、記憶部23より値が読み出されて、通路検出閾値が先端検出部25に、搬送速度が算出部29に、繋ぎ目閾値が繋ぎ目検出部24にセットされる構成であった。しかしながら該構成に限らず、動作開始時に、マスターであるテープフィーダー100の制御部から繋ぎ目検出閾値、通路検出閾値、搬送速度が、入力される構成であってもよい。
【0074】
〔ソフトウェアによる実現例〕
判定部4の各ブロックは、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。後者の場合、判定部4は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0075】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 カラーセンサ
2 投光部
3 受光部
4 判定部
10 キャリアテープ(搬送物)
15 スプライシングテープ(繋ぎ用テープ)
21 投光制御部
22 RGB値取得部(取得部)
23 記憶部
24 繋ぎ目検出部
25 先端検出部
26 基準値設定部(設定部)
29 算出部
100 テープフィーダー
104 テープ通路(通路)