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特許7589608テレプレゼンスシステム、画像処理方法及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】テレプレゼンスシステム、画像処理方法及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/14 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
H04N7/14 120
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021046730
(22)【出願日】2021-03-22
(65)【公開番号】P2022145977
(43)【公開日】2022-10-05
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】木田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】中山 貴裕
【審査官】醍醐 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-027395(JP,A)
【文献】特開2006-352749(JP,A)
【文献】特開2017-143376(JP,A)
【文献】特開2006-333301(JP,A)
【文献】特開2014-175837(JP,A)
【文献】古谷 優樹 ,遠隔者の身体的存在感を高めるテレプレゼンスロボットの提案,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2020年04月27日,Vol. 119 No. 446,PP.53-57
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/14-7/173
H04N 21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の拠点に配置されたテレプレゼンスロボットの表示部に表示される画像を処理する画像処理装置であって、前記表示部の背面方向を撮影した画像情報をリアルタイムに取得する背景画像取得部と、前記第1の拠点に対して遠隔地である第2の拠点の人物を含む画像情報をリアルタイムに取得する人物画像取得部と、前記人物を含む画像情報から当該人物が映り込んだ領域を抽出する抽出部と、前記抽出した人物の画像情報と前記表示部の背面方向の画像情報とを合成する合成部と、を備える画像処理装置と、
前記第2の拠点の人物を含む領域を撮影する人物撮影部と、
前記表示部が設けられたテレプレゼンスロボットと、
前記表示部の背面方向を撮影する背景撮影部と、
を備える、テレプレゼンスシステムであって、
前記表示部として、第1の表示部と、前記第1の表示部に対して異なる方向に向かって画像を表示する第2の表示部と、を有し、
前記背景撮影部として、前記第1の表示部の背面方向を撮影する第1の撮影部と、前記第2の表示部の背面方向を撮影する第2の撮影部と、を有する、テレプレゼンスシステム。
【請求項2】
第1の拠点に配置されたテレプレゼンスロボットの表示部に表示される画像を処理する画像処理装置であって、前記表示部の背面方向を撮影した画像情報をリアルタイムに取得する背景画像取得部と、前記第1の拠点に対して遠隔地である第2の拠点の人物を含む画像情報をリアルタイムに取得する人物画像取得部と、前記人物を含む画像情報から当該人物が映り込んだ領域を抽出する抽出部と、前記抽出した人物の画像情報と前記表示部の背面方向の画像情報とを合成する合成部と、を備える画像処理装置と、
前記第2の拠点の人物を含む領域を撮影する人物撮影部と、
前記表示部が設けられたテレプレゼンスロボットと、
前記表示部の背面方向を撮影する背景撮影部と、
を備える、テレプレゼンスシステムであって、
前記表示部として、第1の表示部と、前記第1の表示部に対して異なる方向に向かって画像を表示する第2の表示部と、を有し、
前記背景撮影部として、360度カメラを有する、テレプレゼンスシステム。
【請求項3】
第1の拠点に配置されたテレプレゼンスロボットの表示部に表示される画像を処理する画像処理方法であって、
前記テレプレゼンスロボットの第1の表示部の背面方向を前記テレプレゼンスロボットの第1の撮影部によって撮影した画像情報をリアルタイムに取得する工程と、
前記テレプレゼンスロボットにおける前記第1の表示部に対して異なる方向に向かって画像を表示する第2の表示部の背面方向を前記テレプレゼンスロボットの第2の撮影部によって撮影した画像情報をリアルタイムに取得する工程と、
前記第1の拠点に対して遠隔地である第2の拠点の人物を含む画像情報をリアルタイムに取得する工程と、
前記人物を含む画像情報から当該人物が映り込んだ領域を抽出する工程と、
前記抽出した人物の画像情報と前記第1の表示部の背面方向の画像情報とを合成して前記第1の表示部に表示する工程と、
前記抽出した人物の画像情報と前記第2の表示部の背面方向の画像情報とを合成して前記第2の表示部に表示する工程と、
を備える、画像処理方法。
【請求項4】
第1の拠点に配置されたテレプレゼンスロボットの表示部に表示される画像を処理する画像処理プログラムであって、
前記テレプレゼンスロボットの360度カメラによって取得した前記テレプレゼンスロボットの周辺全域の画像情報に基づいて前記テレプレゼンスロボットの第1の表示部の背面方向の画像情報をリアルタイムに取得する処理と、
前記テレプレゼンスロボットの周辺全域の画像情報に基づいて前記テレプレゼンスロボットにおける前記第1の表示部に対して異なる方向に向かって画像を表示する第2の表示部の背面方向の画像情報をリアルタイムに取得する処理と、
前記第1の拠点に対して遠隔地である第2の拠点の人物を含む画像情報をリアルタイムに取得する処理と、
前記人物を含む画像情報から当該人物が映り込んだ領域を抽出する処理と、
前記抽出した人物の画像情報と前記第1の表示部の背面方向の画像情報とを合成して前記第1の表示部に表示する処理と、
前記抽出した人物の画像情報と前記第2の表示部の背面方向の画像情報とを合成して前記第2の表示部に表示する処理と、
をコンピュータに実行させる、画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、テレプレゼンスシステム、画像処理方法及び画像処理プログラムに関し、例えば、テレプレゼンスロボットの表示部に表示される画像を処理する画像処理装置、テレプレゼンスシステム、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、対話の一方の人物に対して他方の人物が、遠隔地に居ながらにして一方の人物がいる場所に居るように、一方の人物に感じさせて対話を実現するためのテレプレゼンス技術が一般化されている。
【0003】
このようなテレプレゼンス技術は、例えば、特許文献1に開示されているように、第1の拠点に配置されたテレプレゼンスロボットの表示部に、第1の拠点に対して遠隔地である第2の拠点の人物を含む画像を表示し、第2の拠点に居る人物が第1の拠点に居るような仮想状態を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-208416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願人は、以下の課題を見出した。特許文献1のテレプレゼンス技術は、テレプレゼンスロボットの表示部に第2の拠点の人物の他に当該人物の背景も映り込んだ画像を表示する。そのため、第2の拠点に居る人物が第1の拠点に居るような仮想状態において、臨場感に乏しい課題を有する。
【0006】
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、第2の拠点に居る人物が第1の拠点に居るような仮想状態において、臨場感を向上することができる、画像処理装置、テレプレゼンスシステム、画像処理方法及び画像処理プログラムを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の画像処理装置は、第1の拠点に配置されたテレプレゼンスロボットの表示部に表示される画像を処理する画像処理装置であって、
前記表示部の背面方向を撮影した画像情報をリアルタイムに取得する背景画像取得部と、
前記第1の拠点に対して遠隔地である第2の拠点の人物を含む画像情報をリアルタイムに取得する人物画像取得部と、
前記人物を含む画像情報から当該人物が映り込んだ領域を抽出する抽出部と、
前記抽出した人物の画像情報と前記表示部の背面方向の画像情報とを合成する合成部と、
を備える。
【0008】
本開示の一態様のテレプレゼンスシステムは、
上述の画像処理装置と、
前記第2の拠点の人物を含む領域を撮影する人物撮影部と、
前記表示部が設けられたテレプレゼンスロボットと、
前記表示部の背面方向を撮影する背景撮影部と、
を備える。
【0009】
上述のテレプレゼンスシステムは、前記表示部として、第1の表示部と、前記第1の表示部に対して異なる方向に向かって画像を表示する第2の表示部と、を備えることが好ましい。
【0010】
上述のテレプレゼンスシステムは、前記背景撮影部として、前記第1の表示部の背面方向を撮影する第1の撮影部と、前記第2の表示部の背面方向を撮影する第2の撮影部と、を備えることが好ましい。
【0011】
上述のテレプレゼンスシステムは、前記背景撮影部として、360度カメラを備えることが好ましい。
【0012】
本開示の一態様の画像処理方法は、第1の拠点に配置されたテレプレゼンスロボットの表示部に表示される画像を処理する画像処理方法であって、
前記表示部の背面方向を撮影した画像情報をリアルタイムに取得する工程と、
前記第1の拠点に対して遠隔地である第2の拠点の人物を含む画像情報をリアルタイムに取得する工程と、
前記人物を含む画像情報から当該人物が映り込んだ領域を抽出する工程と、
前記抽出した人物の画像情報と前記表示部の背面方向の画像情報とを合成する工程と、
を備える。
【0013】
本開示の一態様の画像処理プログラムは、第1の拠点に配置されたテレプレゼンスロボットの表示部に表示される画像を処理する画像処理プログラムであって、
前記表示部の背面方向を撮影した画像情報をリアルタイムに取得する処理と、
前記第1の拠点に対して遠隔地である第2の拠点の人物を含む画像情報をリアルタイムに取得する処理と、
前記人物を含む画像情報から当該人物が映り込んだ領域を抽出する処理と、
前記抽出した人物の画像情報と前記表示部の背面方向の画像情報とを合成する処理と、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、第2の拠点に居る人物が第1の拠点に居るような仮想状態において、臨場感を向上することができる、画像処理装置、テレプレゼンスシステム、画像処理方法及び画像処理プログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1のテレプレゼンスシステムを用いてテレプレゼンスロボットの表示部に画像を表示する様子を示す図である。
図2】実施の形態1のテレプレゼンスシステムの制御系を示すブロック図である。
図3】実施の形態1の画像処理装置で実行される画像処理の流れを示すフローチャート図である。
図4】実施の形態2のテレプレゼンスシステムの制御系を示すブロック図である。
図5】実施の形態2のテレプレゼンスロボットを示す前方斜視図である。
図6】実施の形態2のテレプレゼンスロボットを示す後方斜視図である。
図7】実施の形態3のテレプレゼンスシステムの制御系を示すブロック図である。
図8】実施の形態3のテレプレゼンスロボットを示す前方斜視図である。
図9】画像処理装置に含まれるハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本開示が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0017】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態のテレプレゼンスシステムを用いてテレプレゼンスロボットの表示部に画像を表示する様子を示す図である。図2は、本実施の形態のテレプレゼンスシステムの制御系を示すブロック図である。
【0018】
本実施の形態のテレプレゼンスシステム1は、図1及び図2に示すように、テレプレゼンスロボット2、人物撮影部3、マイク4、スピーカ5、表示部6及び画像処理装置7を備えている。
【0019】
テレプレゼンスロボット2は、図1に示すように、第1の拠点H1に配置されており、ネットワーク10に接続されている。ここで、ネットワーク10は、例えば、インターネットであり、電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築されている。
【0020】
テレプレゼンスロボット2は、図1及び図2に示すように、移動部21、表示部22、前景撮影部23、背景撮影部24、マイク25、スピーカ26及び制御部27を備えている。移動部21は、台車21a、台車21aに回転可能に設けられた一対の駆動車輪21b並びに従動車輪21c、及び駆動車輪21bを回転駆動する一対の駆動機構21dを備えている。
【0021】
駆動機構21dは、モータ及び減速機などを備えている。駆動機構21dは、制御部27から受信した制御情報に基づいて駆動して、駆動車輪21bを回転させることで、テレプレゼンスロボット2の前進移動、後進移動、及び回転を可能にする。
【0022】
これにより、テレプレゼンスロボット2は、任意の位置に移動することができる。ここで、テレプレゼンスロボット2は、例えば、図示を省略した環境カメラで取得した環境情報に基づいて自律移動したり、外部からの操作に基づいて移動したり、第1の拠点H1に対して遠隔地である第2の拠点H2に居る人物P2の動作に基づいて移動したり、するとよい。
【0023】
なお、上記移動部21の構成は一例であり、これに限定されない。例えば、移動部21の駆動車輪21b及び従動車輪21cの数は任意でよく、テレプレゼンスロボット2を任意の位置に移動させることができれば、公知の機構を用いることができる。
【0024】
表示部22は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示装置を備えている。表示部22は、第2の拠点H2に居る人物P2の画像情報と、表示部22の背面方向の画像情報と、の合成画像を表示する。ここで、図1では、ハッチングによって表示部22の背面方向の画像を簡略化して示している。
【0025】
表示部22は、テレプレゼンスロボット2の前方に向かって画像を表示可能に移動部21に固定されている。つまり、表示部22の表示面は、テレプレゼンスロボット2の前方に向かって配置されている。
【0026】
このとき、表示部22の表示面は、テレプレゼンスロボット2の前方に向かって突出する湾曲面であるとよい。また、表示部22は、例えば、第2の拠点H2に居る人物P2を略実寸表示した際に、少なくとも当該人物P2の上半身を表示可能な大きさを有するとよい。
【0027】
前景撮影部23は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を有するカメラを備えている。前景撮影部23は、表示部22の正面方向(つまり、画像の表示方向)をリアルタイムに撮影可能に移動部21に固定されている。つまり、前景撮影部23は、テレプレゼンスロボット2の前方領域を撮影範囲としている。このとき、前景撮影部23は、表示部22の近傍に配置されているとよい。
【0028】
背景撮影部24は、CMOSなどの撮像素子を有するカメラを備えている。背景撮影部24は、表示部22の背面方向(つまり、画像の表示方向に対して逆方向)をリアルタイムに撮影可能に移動部21に固定されている。つまり、背景撮影部24は、テレプレゼンスロボット2の後方領域を撮影範囲としている。
【0029】
マイク25は、第1の拠点H1の内部の音を集音する。スピーカ26は、第2の拠点H2の内部の音を出力する。これらのマイク25及びスピーカ26は、移動部21に設けられている。但し、マイク25及びスピーカ26は、第1の拠点H1に配置されていればよい。制御部27は、移動部21の駆動機構21d、表示部22、前景撮影部23、背景撮影部24、マイク25及びスピーカ26を制御する。
【0030】
人物撮影部3は、図1に示すように、第2の拠点H2の内部を撮影可能に当該第2の拠点H2に配置されている。そのため、人物撮影部3の撮影領域に人物P2が居る場合、人物撮影部3は、人物P2を含む画像を撮影することになる。
【0031】
マイク4は、第2の拠点H2の内部に配置されている。マイク4は、第2の拠点H2の内部の音を集音する。スピーカ5は、第2の拠点H2の内部に配置されている。スピーカ5は、第1の拠点H1の内部の音を出力する。表示部6は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示装置を備えている。
【0032】
表示部6は、第2の拠点H2の内部に配置されており、テレプレゼンスロボット2の前景撮影部23が撮影した第1の拠点H1における表示部22の正面方向の画像を表示する。このとき、表示部6は、人物撮影部3の近傍に配置されているとよい。これらの人物撮影部3、マイク4、スピーカ5及び表示部6は、ネットワーク10に接続されている。
【0033】
画像処理装置7は、図2に示すように、背景画像取得部71、人物画像取得部72、抽出部73及び合成部74を備えており、ネットワーク10に接続されている。背景画像取得部71は、テレプレゼンスロボット2の背景撮影部24が撮影した表示部22の背面方向の画像情報をリアルタイムに取得する。但し、背景画像取得部71は、表示部22の背面方向の画像情報を取得できればよく、例えば、背景撮影部24を備えていてもよい。
【0034】
人物画像取得部72は、人物撮影部3が撮影した第2の拠点H2に居る人物P2を含む画像情報をリアルタイムに取得する。但し、人物画像取得部72は、第2の拠点H2に居る人物P2を含む画像情報を取得できればよく、例えば、人物撮影部3を備えていてもよい。
【0035】
抽出部73は、第2の拠点H2に居る人物P2を含む画像情報から当該人物P2が映り込んだ領域を抽出する。抽出部73は、例えば、第2の拠点H2に居る人物P2を含む画像情報にクロマキー処理を施すことで、人物P2が映り込んだ領域を抽出することができる。但し、第2の拠点H2に居る人物P2を含む画像情報から当該人物P2が映り込んだ領域を抽出する手法は限定されず、公知の手法を用いることができる。
【0036】
合成部74は、抽出した人物P2の画像情報と、表示部22の背面方向の画像情報と、を合成する。このとき、合成部74は、表示部22の背面方向の画像に対して抽出した人物P2の画像が予め設定された位置に配置されるように、相互の画像情報を合成するとよい。
【0037】
ここで、合成部74は、例えば、クロマキー合成によって、抽出した人物P2の画像情報と、表示部22の背面方向の画像情報と、を合成することができるが、相互の画像情報を合成する手法は限定されず、公知の手法を用いることができる。
【0038】
次に、本実施の形態の画像処理装置7で実行される画像処理の流れを説明する。図3は、本実施の形態の画像処理装置で実行される画像処理の流れを示すフローチャート図である。
【0039】
先ず、背景画像取得部71は、テレプレゼンスロボット2の背景撮影部24が撮影した表示部22の背面方向の画像情報をリアルタイムに取得する。それと共に、人物画像取得部72は、人物撮影部3が撮影した第2の拠点H2に居る人物P2を含む画像情報をリアルタイムに取得する(S1)。
【0040】
次に、抽出部73は、第2の拠点H2に居る人物P2を含む画像情報から当該人物P2が映り込んだ領域を抽出する(S2)。そして、合成部74は、抽出した人物P2の画像情報と、表示部22の背面方向の画像情報と、を合成する(S3)。これにより、抽出した人物P2の画像情報と、表示部22の背面方向の画像情報と、の合成画像を生成することができる。
【0041】
次に、本実施の形態のテレプレゼンスシステム1を用いて第1の拠点H1に居る人物P1と第2の拠点H2に居る人物P2とが対話している状態を説明する。第2の拠点H2に居る人物P2は、表示部6に表示される第1の拠点H1に居る人物P1を含む画像を見つつ、スピーカ5から出力される第1の拠点H1の内部の音を聞いて、表示部6に向かって動作すると共に話し掛ける。
【0042】
このとき、第2の拠点H2では、人物撮影部3によって第2の拠点H2に居る人物P2を含む画像が撮影されると共に、マイク4によって人物P2の音声を含む第2の拠点H2の内部の音が集音される。
【0043】
第1の拠点H1に居る人物P1は、テレプレゼンスロボット2の表示部22に表示される合成画像を見つつ、スピーカ26から出力される人物P2の音声を含む第2の拠点H2の内部の音を聞いて、表示部22に向かって動作すると共に話し掛ける。
【0044】
このとき、第1の拠点H1では、前景撮影部23によって第1の拠点H1に居る人物P1を含む画像が撮影されると共に、背景撮影部24によって表示部22の背面方向の画像が撮影される。また、マイク25によって当該人物P1の音声を含む第1の拠点H1の内部の音が集音される。
【0045】
これにより、第2の拠点H2に居る人物P2が第1の拠点H1に居るような仮想状態において、第1の拠点H1に居る人物P1と第2の拠点H2に居る人物P2とが対話することができる。このとき、テレプレゼンスロボット2の表示部22には、抽出した人物P2の画像情報と、表示部22の背面方向の画像情報と、が合成された合成画像が表示される。
【0046】
このように本実施の形態のテレプレゼンスシステム1、画像処理装置7及び画像処理方法は、テレプレゼンスロボット2の表示部22に、抽出した人物P2の画像情報と、表示部22の背面方向の画像情報と、を合成した合成画像を表示する。
【0047】
そのため、第2の拠点H2に居る人物P2が第1の拠点H1に居るような仮想状態において、合成画像における人物P2の背景を第1の拠点H1に居る人物P1の視線方向の背景と略等しくすることができ、臨場感を向上することができる。
【0048】
また、テレプレゼンスロボット2の表示部22の背面方向の画像情報や第2の拠点H2に居る人物P2を含む画像情報をリアルタイムに取得するので、臨場感を一層、向上することができる。
【0049】
ここで、テレプレゼンスロボット2の表示部22の表示面が当該テレプレゼンスロボット2の前方に向かって突出する湾曲面である場合、当該表示面に人物P2が丸みを帯びて表示され、臨場感をさらに向上することができる。
【0050】
なお、本実施の形態のテレプレゼンスロボット2の表示部22は、画像をテレプレゼンスロボット2の前方に向かって表示するように配置されているが、表示部22が画像を表示する方向は限定されず、例えば、テレプレゼンスロボット2の側方でもよく、テレプレゼンスロボット2の後方でもよい。この場合、背景撮影部24の配置は、表示部22の配置に応じて、適宜、変更すればよい。
【0051】
<実施の形態2>
図4は、本実施の形態のテレプレゼンスシステムの制御系を示すブロック図である。図5は、本実施の形態のテレプレゼンスロボットを示す前方斜視図である。図6は、本実施の形態のテレプレゼンスロボットを示す後方斜視図である。
【0052】
本実施の形態のテレプレゼンスシステム101は、実施の形態1のテレプレゼンスシステム1と略等しい構成とされているため、重複する説明は省略し、等しい要素には等しい符号を用いて説明する。
【0053】
テレプレゼンスシステム101は、実施の形態1のテレプレゼンスシステム1に対して、テレプレゼンスロボット102が表示部(第1の表示部)22に加えて、第2の表示部103を備えている点で相違する。
【0054】
第2の表示部103は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示装置を備えている。第2の表示部103は、第2の拠点H2に居る人物P2の画像情報と、第2の表示部103の背面方向の画像情報と、の合成画像を表示する。
【0055】
第2の表示部103は、テレプレゼンスロボット2の後方に向かって画像を表示可能に移動部21に固定されている。そのため、第2の表示部103の表示面は、テレプレゼンスロボット2の後方に向かって配置されている。
【0056】
画像処理装置104の合成部105は、テレプレゼンスロボット2の第1の表示部22に表示させる画像として、抽出した第2の拠点H2の人物P2の画像情報と、背景撮影部24が撮影した第1の表示部22の背面方向の画像情報と、を合成して合成画像を生成する。
【0057】
また、画像処理装置104の合成部105は、テレプレゼンスロボット2の第2の表示部103に表示させる画像として、抽出した第2の拠点H2の人物P2の画像情報と、前景撮影部23が撮影した第2の表示部103の背面方向の画像情報と、を合成して合成画像を生成する。
【0058】
これにより、テレプレゼンスロボット2の第1の表示部22には、抽出した第2の拠点H2の人物P2の画像情報と、背景撮影部24が撮影した第1の表示部22の背面方向の画像情報と、の合成画像を表示することができる。
【0059】
また、第2の表示部103には、抽出した第2の拠点H2の人物P2の画像情報と、前景撮影部23が撮影した第2の表示部103の背面方向の画像情報と、の合成画像を表示することができる。
【0060】
そのため、第1の拠点H1に居る人物P1は、テレプレゼンスロボット2の前側だけでなく、後側からも第2の拠点H2に居る人物P2と対話することができ、例えば、テレプレゼンスロボット2の前後から夫々、複数の人物が第2の拠点H2に居る人物P2と対話することができる。
【0061】
ここで、第2の拠点H2の表示部6は、前景撮影部23によって撮影された画像及び背景撮影部24によって撮影された画像の両方を表示してもよく、第1の拠点H1に居る人物P1が映り込んだ側の画像のみを表示してもよい。
【0062】
なお、本実施の形態のテレプレゼンスロボット102の第2の表示部103は、画像をテレプレゼンスロボット102の後方に向かって表示するように配置されているが、第2の表示部103が画像を表示する方向が、第1の表示部22が画像を表示する方向と異なるように配置されていればよい。
【0063】
また、テレプレゼンスロボット102は、第1の表示部22を用いて対話するために、前景撮影部23及び背景撮影部24を備え、第2の表示部103を用いて対話するために、別の前景撮影部及び背景撮影部を備えていてもよい。
【0064】
<実施の形態3>
図7は、本実施の形態のテレプレゼンスシステムの制御系を示すブロック図である。図8は、本実施の形態のテレプレゼンスロボットを示す前方斜視図である。本実施の形態のテレプレゼンスシステム201は、実施の形態2のテレプレゼンスシステム101と略等しい構成とされているため、重複する説明は省略し、等しい要素には等しい符号を用いて説明する。
【0065】
テレプレゼンスシステム201は、図7に示すように、実施の形態2のテレプレゼンスシステム101に対して、前景撮影部23及び背景撮影部24に代わって、テレプレゼンスロボット202が360度カメラ203を備えている点で相違する。
【0066】
360度カメラ203は、例えば、図8に示すように、第1の表示部22及び第2の表示部103の上端部に固定されている。360度カメラ203は、一般的な360度カメラを用いることができ、例えば、デュアルレンズ型の360度カメラを用いることができる。
【0067】
これにより、テレプレゼンスロボット202の周辺全域の画像情報を取得することができ、当該画像情報を用いて、画像処理装置204の合成部205は、第1の表示部22に表示させる画像として、抽出した第2の拠点H2の人物P2の画像情報と、360度カメラ203が撮影した第1の表示部22の背面方向の画像情報と、を合成して合成画像を生成することができる。
【0068】
また、画像処理装置204の合成部205は、テレプレゼンスロボット2の第2の表示部103に表示させる画像として、抽出した第2の拠点H2の人物P2の画像情報と、360度カメラ203が撮影した第2の表示部103の背面方向の画像情報と、を合成して合成画像を生成することができる。
【0069】
このようなテレプレゼンスシステム201は、実施の形態2のテレプレゼンスシステム101に比べて、撮影部の個数を少なくすることができ、テレプレゼンスシステム201を安価に構成することができる。
【0070】
<他の実施の形態>
上記実施の形態に係る画像処理装置は、次のようなハードウェア構成を備えることができる。図9は、画像処理装置に含まれるハードウェア構成の一例を示す図である。上述した様々な実施の形態において、画像処理装置における処理の手順を説明したように、本開示は画像処理方法としての形態も採り得る。
【0071】
図9に示す装置は、インタフェース303と共に、プロセッサ301及びメモリ302を備えている。上述した実施の形態で説明した画像処理装置の一部の構成は、プロセッサ301がメモリ302に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現される。つまり、このプログラムは、プロセッサ301を画像処理装置の一部の構成として機能させるためのプログラムである。このプログラムは、画像処理装置に、その構成、又はその一部における処理を実行させるためのプログラムであると言える。
【0072】
上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータ(情報通知装置を含むコンピュータ)に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、この例は、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/Wを含む。さらに、この例は、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM、EPROM、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0073】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 テレプレゼンスシステム
2 テレプレゼンスロボット
21 移動部、21a 台車、21b 駆動車輪、21c 従動車輪、21d 駆動機構
22 表示部
23 前景撮影部
24 背景撮影部
25 マイク
26 スピーカ
27 制御部
3 人物撮影部
4 マイク
5 スピーカ
6 表示部
7 画像処理装置
71 背景画像取得部
72 人物画像取得部
73 抽出部
74 合成部
10 ネットワーク
101 テレプレゼンスシステム
102 テレプレゼンスロボット
103 第2の表示部
104 画像処理装置
105 合成部
201 テレプレゼンスシステム
202 テレプレゼンスロボット
203 360度カメラ
204 画像処理装置
205 合成部
301 プロセッサ
302 メモリ
303 インタフェース
H1 第1の拠点
H2 第2の拠点
P1、P2 人物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9