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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】車載ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/00 20060101AFI20241119BHJP
   H02K 11/30 20160101ALI20241119BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20241119BHJP
   F16H 57/028 20120101ALI20241119BHJP
【FI】
B60K1/00
H02K11/30
H02K5/22
F16H57/028
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021055781
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022152851
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 祐也
(72)【発明者】
【氏名】結城 啓介
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-140803(JP,A)
【文献】特開2017-117534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00
H02K 11/30
H02K 5/22, 5/00
F16H 57/02
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機を収容するトランスアクスルケースを含む第1ユニットと、
前記回転電機と電気的に接続された電気部品を含み、前記第1ユニットの上方に配置された状態で当該第1ユニットと一体化された第2ユニットと、
を備え、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間に空気層が形成された車載ユニットであって、
前記回転電機と前記電気部品とを電気的に接続する導電部材が内部に配置されているとともに、前記空気層において、前記第1ユニットと前記第2ユニットとが連結する連結部と、
前記連結部において前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間を面シールするシール部と
を備え
前記第1ユニットは、前記回転電機を駆動するインバータと、前記インバータを収容する第2ケースと、をさらに含み、第1ケースである前記トランスアクスルケースの上面に前記第2ケースが取り付けられた構造を有し、
前記第2ユニットは、前記電気部品を収容する筐体をさらに含み、前記第2ケースの上面に前記筐体が取り付けられた構造を有し、
前記空気層は、前記第2ケースの上面と前記筐体の下面とに挟まれて形成され、
前記連結部は、前記空気層において前記第2ケースと前記筐体とを連結し、
前記導電部材は、前記インバータと前記電気部品とを電気的に接続し、
前記シール部は、前記第2ケースと前記筐体との間を面シールする
ことを特徴とする車載ユニット。
【請求項2】
前記第1ユニットと前記第2ユニットとは締結部材により複数個所で締結されており、
前記連結部のうちの少なくとも一部は、前記締結部材により締結された前記複数個所に囲まれた領域の内側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車載ユニット。
【請求項3】
前記連結部は、
前記第1ユニットの上面に設けられた開口端面を有する第1連結部と、
前記第2ユニットの下面に設けられた開口端面を有し、前記第1連結部と連結する第2連結部と、を含み、
前記シール部は、前記第1連結部の開口端面と記第2連結部の開口端面との間に挟み込まれたシール部材である
ことを特徴とする請求項2に記載の車載ユニット。
【請求項4】
前記シール部材は、前記締結部材で締結された荷重により各開口端面に密着されている
ことを特徴とする請求項3に記載の車載ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、走行用の回転電機を収容するトランスアクスルケースに電力制御ユニットが一体化された車載ユニットにおいて、電力制御ユニットがブラケットを介してトランスアクスルケースの上面に取り付けられた構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-060262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、トランスアクスルケースと電力制御ユニットとの間に空気層が形成されているため、この空気層で生じる振動や騒音が問題となる。例えば回転電機で振動が生じた際、その振動がトランスアクスルケースに伝播し、かつブラケットを介して電力制御ユニットに伝達することにより、トランスアクスルケースの上面とともに電力制御ユニットの下面が振動する。さらに、この上面の振動と下面の振動とによって、その間の空気層の空気が振動し、空気層で共鳴が生じる。このように、トランスアクスルケースと電力制御ユニットとの間に空気層が形成された構造では、トランスアクスルケースの上面での振動と、電力制御ユニットの下面での振動と、その間の空気層での共鳴とによって、振動と騒音とが悪化する虞がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、トランスアクスルケースを含むユニットと電気部品を含むユニットとが一体化され、その間に空気層が形成された構造において、振動と騒音とが悪化することを抑制することができる車載ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、回転電機を収容するトランスアクスルケースを含む第1ユニットと、前記回転電機と電気的に接続された電気部品を含み、前記第1ユニットの上方に配置された状態で当該第1ユニットと一体化された第2ユニットと、を備え、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間に空気層が形成された車載ユニットであって、前記回転電機と前記電気部品とを電気的に接続する導電部材が内部に配置されているとともに、前記空気層において、前記第1ユニットと前記第2ユニットとが連結する連結部と、前記連結部において前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間を面シールするシール部とを備えることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、空気層が形成される位置で第1ユニットと第2ユニットとが面シールされた面シール構造を有するため、この空気層を挟んで配置された第1ユニット側の面と第2ユニット側の面とで生じる振動を面シール構造により低減することができる。これにより、空気層での共鳴の発生を抑制することができるため、振動と騒音とが悪化することを抑制することができる。
【0008】
また、前記第1ユニットと前記第2ユニットとは締結部材により複数個所で締結されており、前記連結部のうちの少なくとも一部は、前記締結部材により締結された前記複数個所に囲まれた領域の内側に配置されてもよい。
【0009】
この構成によれば、締結部材により締結された複数個所に囲まれた領域の内側に連結部を配置することができる。これにより、その領域の内側に面シール構造が配置されるため、振動と騒音とを低減することができる。
【0010】
また、前記連結部は、前記第1ユニットの上面に設けられた開口端面を有する第1連結部と、前記第2ユニットの下面に設けられた開口端面を有し、前記第1連結部と連結する第2連結部と、を含み、前記シール部は、前記第1連結部の開口端面と記第2連結部の開口端面との間に挟み込まれたシール部材であってもよい。
【0011】
この構成によれば、第1連結部の開口端面と第2連結部の開口端面との間に挟み込まれたシール部材により面シール構造を形成することができる。
【0012】
また、前記シール部材は、前記締結部材で締結された荷重により各開口端面に密着されてもよい。
【0013】
この構成によれば、シール部材の圧縮荷重を締結部材により作用させることができるため、連結部でのシール性を確保することができる。
【0014】
また、前記第1ユニットは、前記回転電機を駆動するインバータと、前記インバータを収容する第2ケースと、をさらに含み、第1ケースである前記トランスアクスルケースの上面に前記第2ケースが取り付けられた構造を有し、前記第2ユニットは、前記電気部品を収容する筐体をさらに含み、前記第2ケースの上面に前記筐体が取り付けられた構造を有し、前記空気層は、前記第2ケースの上面と前記筐体の下面とに挟まれて形成され、前記連結部は、前記空気層において前記第2ケースと前記筐体とを連結し、前記導電部材は、前記インバータと前記電気部品とを電気的に接続し、前記シール部は、前記第2ケースと前記筐体との間を面シールしてもよい。
【0015】
この構成によれば、トランスアクスルケースとインバータとを含む第1ユニットに別ユニットとして第2ユニットが一体化された構造において、第2ケースと筐体との連結部における面シール構造によって、空気層での共鳴を抑制することができる。
【0016】
また、前記第2ユニットは、前記電気部品として前記回転電機を駆動するインバータと、前記インバータを収容する第2ケースと、をさらに含み、第1ケースである前記トランスアクスルケースの上面に前記第2ケースが取り付けられた構造を有し、前記空気層は、前記トランスアクスルケースの上面と前記第2ケースの下面とに挟まれて形成され、前記連結部は、前記空気層において前記トランスアクスルケースと前記第2ケースとを連結し、前記導電部材は、前記回転電機と前記インバータとを電気的に接続し、前記シール部は、前記トランスアクスルケースと前記第2ケースとの間を面シールしてもよい。
【0017】
この構成によれば、第1ユニットに別ユニットとしてインバータを含む第2ユニットが一体化された構造において、トランスアクスルケースと第2ケースとの連結部のおける面シール構造によって、空気層での共鳴を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、空気層が形成される位置で第1ユニットと第2ユニットとが面シールされた面シール構造を有するため、この空気層を挟んで配置された第1ユニット側の面と第2ユニット側の面とで生じる振動を面シール構造により低減することができる。これにより、空気層での共鳴の発生を抑制することができるため、振動と騒音とが悪化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態の車載ユニットを示す斜視図である。
図2図2は、電気ユニットを搭載する前の状態を示す図である。
図3図3は、電気ユニットを搭載した状態を示す図である。
図4図4は、電気ユニットの下面を示す図である。
図5図5は、PCUと電気ユニットとの連結部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における車載ユニットについて具体的に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0021】
図1は、実施形態の車載ユニットを示す斜視図である。車載ユニット1は、モータを動力源とする車両に搭載されるものである。この車載ユニット1は、モータを収容したトランスアクスルケース(以下、T/Aケースという)2と、モータを駆動するパワーコントロールユニット(以下、PCUという)3と、電気部品が収容された電気ユニット4とを備える。車載ユニット1では、T/Aケース2とPCU3と電気ユニット4とが一体化されている。
【0022】
具体的には、車載ユニット1は、上下方向の下側から上側に向けてT/Aケース2、PCU3、電気ユニット4の順に配置された積層構造を有する。この車載ユニット1は、T/Aケース2の上面にPCU3が取り付けられた機電一体ユニット10を備え、図2および図3に示すように、機電一体ユニット10の直上に別ユニットの電気ユニット4を搭載した構造を有する。この車載ユニット1では、第1ユニットとなる機電一体ユニット10に、第2ユニットとなる電気ユニット4が一体化されている。第1ユニットとなる機電一体ユニット10は、T/Aケース2を含む駆動ユニットと、PCU3を含む電力制御ユニットとを含んで構成されている。一方、第2ユニットとなる電気ユニット4は、モータに電気的に接続された電気部品を含んで構成されている。この電気ユニット4が機電一体ユニット10の上面(PCU3の上面)に取り付けられている。
【0023】
T/Aケース2は、モータとトランスアクスルとを収容するケースである。このT/Aケース2は、例えばアルミニウム等からなる金属製のケースである。また、このモータは、電動機および発電機として機能することが可能な回転電機(モータ・ジェネレータ)である。このトランスアクスルは、モータと駆動輪との間の動力伝達経路に設けられた動力伝達装置であって、モータから出力された動力を車両の駆動輪に伝達する。例えばトランスアクスルは変速機やデファレンシャルギヤ機構などを含んで構成されている。そして、駆動ユニットは、T/Aケース2とモータとトランスアクスルとを含んで構成されている。
【0024】
PCU3は、モータを制御する電力制御ユニットであって、バッテリからモータに供給される電力を制御する。このPCU3は、インバータと、インバータを収容するケース(以下、PCUケースという)11とを備えている。
【0025】
PCUケース11は、インバータを収容した状態でT/Aケース2の上面に取り付けられている。このPCUケース11は、例えばアルミニウム等からなる金属製のケースである。また、このインバータは、モータを駆動する電力変換装置である。例えばインバータは6つのトランジスタと、各トラジスタに逆方向に並列接続された6つのダイオードと、を備え、モータの三相コイル(U相、V相、W相)と電気的に接続されている。PCUケース11内のインバータとT/Aケース2内のモータとはバスバーを介して電気的に接続される。T/Aケース2は第1ケースであり、PCUケース11は第2ケースである。そして、PCUケース11の上面11aはPCU3の上面すなわち機電一体ユニット10の上面を形成する。このPCUケース11の上面11aに電気ユニット4が取り付けられる。
【0026】
電気ユニット4は、PCU3と電気的に接続された電気部品がユニット化されたものである。この電気部品は、PCU3のインバータと、T/Aケース2内のモータと、モータに電力を供給するバッテリとに電気的に接続されている。そして、電気ユニット4では、シールド機能を有する筐体21の内部に複数の電気部品が収容されてユニット化されている。電気ユニット4は、電気部品として少なくともDC/DCコンバータを含んで構成されている。DC/DCコンバータは、高電圧側電力ラインと低電圧側電力ラインとに接続された電力変換装置であって、バッテリおよびPCU3側(高電圧側電力ライン)の電力を降圧して複数の補機および低電圧バッテリ(低電圧側電力ライン)に供給する。つまり、電気ユニット4は、DC/DCコンバータと、DC/DCコンバータを収容する筐体21とを備えている。
【0027】
筐体21は、DC/DCコンバータを収容した状態でPCUケース11の上面11aに取り付けられている。この場合、筐体21に収容されたDC/DCコンバータはPCUケース11に収容されたインバータと導電部材5を介して電気的に接続されている。
【0028】
導電部材5は、電気ユニット4の電気部品とPCU3およびモータとを電気的に接続する。この導電部材5はPCU3側の高電圧側電力ラインとDC/DCコンバータ側の低電圧側電力ラインとを電気的に接続する。例えば導電部材5がバスバーや電力ケーブルなどにより構成されている。そして、導電部材5は、機電一体ユニット10と電気ユニット4とを連結する連結部6の内部に配置されている。
【0029】
連結部6は、機電一体ユニット10と電気ユニット4との連結部である。この連結部6は、第1ユニットと第2ユニットとを物理的に連結するとともに、第1ユニットと第2ユニットとを電気的に接続する導電部材5を配置するための内部空間を形成する部位である。図2に示すように、連結部6はPCU3の上面と電気ユニット4の下面とを連結する。さらに、PCUケース11と筐体21とを連結する連結部6の内部空間に導電部材5が設けられている。この連結部6は、PCU3側の連結部である第1連結部12と、電気ユニット4側の連結部である第2連結部22とを含む。
【0030】
PCUケース11の上面11aには、筐体21の下面21a側と連結する第1連結部12が設けられている。第1連結部12は、図5に示すように、上面11aから上方に突出した中空状に形成されている。この第1連結部12は、導電部材5が配置される内部空間を形成するとともに、上端に開口端面12aを有する。
【0031】
筐体21の下面21aには、PCUケース11の上面11a側と連結する第2連結部22が設けられている。第2連結部22は、図5に示すように、下面21aの一部が開口した形状に形成されている。この第2連結部22は、導電部材5が配置される内部空間を形成するとともに、下端に開口端面22aを有する。
【0032】
そして、第1連結部12と第2連結部22とが連結することによりPCUケース11と筐体21とが連結する。この場合、第1連結部12の開口端面12aと第2連結部22の開口端面22aとが上下方向に対向する位置に配置されている。そして、第1連結部12の開口端面12aと第2連結部22の開口端面22aとの間が、シール部7により面シールされている。
【0033】
シール部7は、連結部6において、PCU3と電気ユニット4との間を面シールする。すなわち、シール部7は第1ユニットと第2ユニットとの間を面シールする。そのため、PCUケース11と筐体21との間がシール部7によりを面シールされている。このシール部7は、例えばガスケットなどのシール部材により構成されている。そして、第1連結部12の開口端面12aと第2連結部22の開口端面22aとの間にシール部7が挟み込まれている。このシール部7によりシールされた連結部6の内部空間に導電部材5が配置されている。また、連結部6の外側には、空気層30が形成されている。
【0034】
空気層30は、第1ユニットと第2ユニットとの間に形成された空間である。本実施形態の空気層30は、図5に示すように、PCUケース11の上面11aと筐体21の下面21aとの間に形成された空間であって、上下方向においてPCUケース11の上面11aと筐体21の下面21aとに挟まれて形成されている。そして、上下方向における空気層30が形成されている位置に連結部6が設けられている。つまり、連結部6は、空気層30を形成するPCUケース11の上面11aの一部と筐体21の下面21aの一部とによって構成されるため、その空気層30を貫通するようにして上下方向に延在している。このように車載ユニット1では、空気層30において第1ユニットとなる機電一体ユニット10と第2ユニットとなる電気ユニット4とが連結されている。そして、機電一体ユニット10と電気ユニット4とはボルトなどの締結部材により締結されて一体化されている。
【0035】
例えば、PCUケース11と筐体21とはボルトによって締結されている。この場合、ボルトにより締結される箇所は複数設定されている。つまり、PCUケース11と筐体21とは複数の箇所でボルト締結されている。そして、連結部6は、PCUケース11と筐体21とがボルト締結された締結箇所に囲まれた領域Sの内側に配置されている。
【0036】
図4に示すように、筐体21の下面21a側には、複数のボルト孔23が設けられている。それぞれのボルト孔23は下面21aの周縁部に配置されている。また、四つのボルト孔23に囲まれた領域Sの内側に第2連結部22が設けられている。第2連結部22のうちの少なくとも一部が領域Sの内側に設けられている。
【0037】
さらに、図2に示すように、PCUケース11の上面11a側には、複数のボルト穴13が設けられている。PCUケース11側にも四つのボルト穴13が設けられており、それぞれのボルト穴13は上面11aの周辺部に配置されている。そして、電気ユニット4側のボルト孔23を挿通したボルトがPCUケース11側のボルト穴13に螺合される。これにより筐体21とPCUケース11とが一体化される。
【0038】
このように、PCUケース11と筐体21がボルト締結された際、筐体21はPCUケース11の上面11aに載置された状態でPCUケース11に固定されている。その際、連結部6は、複数の締結箇所により囲まれた領域Sの内側に配置されていることになる。要するに、連結部6およびシール部7のうちの少なくとも一部は領域Sの内側に設けられている。図4に示す例では、四つのボルト孔23が締結箇所となるため、このボルト孔23の位置を結ぶようにして四角形状の領域Sが設定される。そのため、筐体21の下面21aは全体が領域Sに含まれていなくてよい。
【0039】
また、車載ユニット1では、空気層30の位置に連結部6およびシール部7が配置されていることにより、PCUケース11の上面11aと筐体21の下面21aとが面シール構造を介して連結されている。つまり、車載ユニット1はPCUケース11と筐体21とが空気層30において面シールされた面シール構造を有する。このように面シール構造を空気層30の位置に有することにより、機電一体ユニット10の上面の振動と、電気ユニット4の下面の振動とを低減することができる。さらに、この上面と下面の振動を低減することによって、その間の空気層30での空気の振動を抑制することができる。このように、第1ユニットと第2ユニットとの連結部6に面シール構造を有することにより、空気層30での共鳴を抑制することができる。
【0040】
以上説明したように、実施形態によれば、機電一体ユニット10に電気ユニット4が一体化された構造において、機電一体ユニット10と電気ユニット4との締結箇所に囲まれた領域Sの内側に、機電一体ユニット10と電気ユニット4との間を面シールするシール部7が配置されている。このシール部7は、PCUケース11と筐体21との間の空気層30が形成される位置に設けられている。そのため、機電一体ユニット10の振動が電気ユニット4に伝達する際に、PCUケース11の上面11aの振幅(振動)と、筐体21の下面21aの振幅(振動)とを、シール部7による面シール構造によって抑制することができる。このように、面振幅を抑制することにより空間自身の振幅・共鳴、すなわち空気層30の空気が振動・共鳴することを抑制することができる。その結果、車載ユニット1において、振動と騒音とが悪化することを抑制することができる。例えば、T/Aケース2内のモータで生じたモータノイズやトランスアクスルで生じたギヤノイズがT/Aケース2に伝播した際、空気層30を有する構造であっても、面シール構造を有することによって、振動および騒音の悪化を抑制することができる。さらに、連結部6およびシール部7によって、シール機能と、振動騒音の低減機能とを実現することができる。
【0041】
また、車載ユニット1では、ボルトにより締結された荷重(上下方向の圧縮荷重)が連結部6に作用することにより、第1連結部12の開口端面12aと第2連結部22の開口端面22aとにシール部7が密着している。これにより、空気層30の振動を抑制できるとともに、連結部6でのシール性を確保することができる。
【0042】
なお、電気ユニット4に含まれる電気部品は、DC/DCコンバータに限定されない。例えば、電気ユニット4の電気部品は、DC/DCコンバータを制御する電子制御装置などを含んでもよい。同様に、PCU3に含まれる電気部品は、インバータに限定されない。PCUケース11には、リアクトルやコンデンサなどの電気部品が収容されてもよい。
【0043】
また、第1ユニットと第2ユニットとの組み合わせは上述した実施形態に限定されない。例えば、PCU3を第2ユニットとすることができる。この場合、第1ユニットはT/Aケース2を含む駆動ユニットとなり、第2ユニットはPCU3を含む電力制御ユニットとなる。また、T/Aケース2とPCUケース11とはボルト締結により一体化されている。そして、空気層30は、T/Aケース2とPCUケース11との間に形成されている。この空気層30はT/Aケース2の上面とPCUケース11の下面とに挟まれて形成されている。そのため、連結部6は、T/Aケース2とPCUケース11とを連結する。この連結部6は、T/Aケース2の上面に形成された第1連結部と、PCUケース11の下面に形成された第2連結部とを有する。この連結部6の内部に配置された導電部材5は、インバータとモータとを電気的に接続するバスバーにより構成されている。そして、シール部7は、T/Aケース2の上面とPCUケース11の下面との間を面シールする。これにより、第1ユニットのT/Aケース2と第2ユニットのPCUケース11との間に空気層30が形成された構造においても、複数の締結箇所に囲まれた領域Sの内側に連結部6およびシール部7が配置されるため、T/Aケース2の上面での振動とPCUケース11の下面での振動とを低減することができる。その結果、T/Aケース2とPCUケース11との間に形成された空気層30での共鳴の発生を抑制することができるため、振動と騒音とが悪化することを抑制することができる。
【0044】
また、第1ユニットと第2ユニットとの締結箇所は四点に限定されない。例えば、四ヶ所以上の複数点で第1ユニットと第2ユニットとが締結されてもよい。また、複数の締結箇所で囲まれた領域Sは、第1ユニットの上面全体および第2ユニットの下面全体を含む大きさであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 車載ユニット
2 トランスアクスルケース(T/Aケース)
3 パワーコントールユニット(PCU)
4 電気ユニット
5 導電部材
6 連結部
7 シール部
10 機電一体ユニット
11 PCUケース
11a 上面
12 第1連結部
12a 開口端面
21 筐体
21a 下面
22 第2連結部
22a 開口端面
23 ボルト孔
30 空気層
S 領域
図1
図2
図3
図4
図5