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特許7589626活性エネルギー線硬化性組成物、およびそれを用いた積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性組成物、およびそれを用いた積層体
(51)【国際特許分類】
   C09D 4/02 20060101AFI20241119BHJP
   C09D 7/42 20180101ALI20241119BHJP
   C09D 171/00 20060101ALI20241119BHJP
   C09D 4/00 20060101ALI20241119BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20241119BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20241119BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
C09D4/02
C09D7/42
C09D171/00
C09D4/00
C09D7/65
B32B27/30 A
B32B27/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021062681
(22)【出願日】2021-04-01
(62)【分割の表示】P 2020216014の分割
【原出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022103008
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004436
【氏名又は名称】東洋インキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松代 穂
【審査官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特許第6919110(JP,B2)
【文献】特開2013-082924(JP,A)
【文献】特許第6086358(JP,B1)
【文献】特開2018-141104(JP,A)
【文献】特開2017-171794(JP,A)
【文献】特開2003-261815(JP,A)
【文献】特開2014-122338(JP,A)
【文献】国際公開第2011/052690(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 4/02
C09D 7/42
C09D 171/00
C09D 4/00
C09D 7/65
B32B 27/30
B32B 27/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多官能ウレタン(メタ)アクリレート、一官能エチレン性不飽和モノマー、及び樹脂微粒子を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、1000~7000であり、
有機溶剤を含まないか、前記組成物総質量中の5質量%以下含むものであり、
前記組成物の25℃における粘度が、250~2500mPa・sであり、
紙基材用である、活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項2】
さらに、光重合開始剤を含有する、請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項3】
多官能ウレタン(メタ)アクリレートが、ポリエーテル由来の構成単位を有する、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項4】
25℃における粘度が、500~1500mPa・sである、請求項1~いずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項5】
樹脂微粒子が、ウレタン樹脂微粒子である、請求項1~いずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項6】
紙基材上に、印刷層と、請求項1~いずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物から形成された硬化層とを有する積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物、およびそれを用いた積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙基材(紙器ともいう)を用いたパッケージの分野では、印刷物への耐久性や美粧性を付与する目的で、各種基材に対しカラーインキを印刷後、コーティングニスを塗工する研究がさかんに行われている。紙器パッケージに関しては、印刷後、店頭へ陳列された際、美粧上、光沢性を求められる場合と艶消し性(マット性)とを要求される場合がある。特に、近年、艶消し効果を施す印刷物の需要は増加している。
【0003】
従来から、通常、紙器パッケージ用のマットコーティングニスには、高い艶消し性によって高級感を付与する目的で、樹脂とマット化剤と溶剤を含有させた溶剤系マットコーティングニスが用いられてきた。一般的に溶剤系のマットコーティングニスは、印刷後の乾燥工程で、ニス皮膜から溶剤成分が揮発することでニス皮膜の体積が減少し、ニス皮膜表面にマット化剤が配向した結果高いマット効果が得られる反面、作業性、環境性に劣るものであった。更には、溶剤系マットコーティングニスは、印刷中に溶剤成分が揮発することでインキの固形分が変動した結果、印刷中の粘度変動、揮発した溶剤による環境汚染のリスクなどが懸念されている。
【0004】
そこで、近年、作業性と環境性を改善した無溶剤型の活性化エネルギー線マットコーティングニスが開発されており、例えば、特許文献1には、光重合性アクリレートモノマー、樹脂ビーズおよび光開始剤を含有してなる活性エネルギー線硬化型コーティングニスであって、樹脂ビーズが、二種類の平均粒子径の樹脂ビーズからなり、艶消し感および耐摩擦性に優れた印刷物を特徴とする活性エネルギー線硬化型コーティングニスが提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、活性エネルギー線硬化性化合物、無機系艶消し剤及びアルミニウムキレート化合物を含有する無溶剤型活性エネルギー線硬化性組成物であって、無機系艶消し剤が、平均粒子径1~15μmのシリカであり、25℃に於けるチキソトロピック係数が2以下であり、塗工環境温度に於ける粘度が1000mPa・s以下であることを特徴とする無溶剤型活性エネルギー線硬化性組成物が提案されている。
【0006】
また、特許文献3には、ポリオール系化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物、及び多価イソシアネート系化合物を反応させてなるウレタン(メタ)アクリレート系化合物、及び有機フィラーを含有してなる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であり、ポリオール系化合物が、重量平均分子量60~300のポリオール化合物及び重量平均分子量3,000~20,000のポリオール化合物を含有し、上記有機フィラーとして、ポリウレタンフィラーとポリエチレンフィラーとを併用することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が提案されている。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1、特許文献2に開示の技術は、無溶剤型で作業性や環境性優れる反面、従来から主流であった溶剤系マットコーティングニスと比較すると十分なマット性を有しておらず、近年の高マット性が要求される紙器パッケージ用途としては課題が残るものであった。
【0008】
また、上記特許文献3は、美粧性の観点では十分なマット性を有していると考えられる反面、塗工性を付与するために溶剤を含有させた組成となっており、作業性や環境性では
課題が残るものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2010-241954号公報
【文献】特開2002-121210号公報
【文献】特開2015-101609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、作業性、環境性および印刷その他の塗工適性に優れ、印刷して硬化させた際には、基材密着性およびマット性(美粧性)に優れた、硬化層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は前記課題に対して鋭意研究を重ねた結果、以下に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を用いることで解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、一官能エチレン性不飽和モノマー、及び樹脂微粒子を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、1000~7000であり、
有機溶剤を含まないか、前記組成物総質量中の5質量%以下含むものであり、
前記組成物の25℃における粘度が、250~2500mPa・sである、活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
【0013】
また本発明は、さらに、光重合開始剤を含有する、上記活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
【0014】
また本発明は、多官能ウレタン(メタ)アクリレートが、ポリエーテル由来の構成単位を有する、上記活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
【0015】
また本発明は、一官能エチレン性不飽和モノマーが、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含む、上記活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
【0016】
また本発明は、25℃における粘度が、500~1500mPa・sである、上記活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
【0017】
また本発明は、樹脂微粒子が、ウレタン樹脂微粒子である、上記活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
【0018】
また本発明は、紙基材用である、上記活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
【0019】
また本発明は、紙基材上に、印刷層と、上記活性エネルギー線硬化性組成物から形成された硬化層とを有する積層体に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、作業性、環境性および印刷その他の塗工適性に優れ、印刷して硬化させた際には、基材密着性およびマット性(美粧性)に優れた、硬化層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物を提供することを可能とした。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
【0022】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、一官能エチレン性不飽和モノマー、樹脂微粒子及び、必要に応じて光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が、1000~7000であり、
有機溶剤を含まないか、前記組成物総質量中の5質量%以下含むものであり、
前記組成物の25℃における粘度が、250~2500mPa・sである。多官能ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量が該当範囲であることで表面タック性、耐ブロッキング性、罫線割れ耐性等が良好となり、組成物総質量中の有機溶剤は、5質量%以下とすることで粘度安定性が良好となり、組成物の25℃における粘度が、250~2500mPa・sとすることで平滑性、染み込み抑止性等が良好となり、印刷適性、印刷物の皮膜物性などを向上させる。
【0023】
以下の説明において、(メタ)アクリル、(メタ)アクリレートはそれぞれメタクリルおよび/またはアクリル、メタクリレートおよび/またはアクリレートを意味する。また、(メタ)アクリロイルはメタクリロイルおよび/またはアクリロイルを意味する。また、活性エネルギー線硬化性組成物を単に「組成物」と表記する場合があるが同義である。
【0024】
(多官能ウレタン(メタ)アクリレート)
本発明で用いられる多官能ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、1000~7000である。組成物の粘度を適切に維持して塗工適性を向上させるほか、紙基材への過度の浸透を起こすことなく、また活性エネルギー線硬化型樹脂組成物か形成された硬化層が均一となる。更に、硬化層は硬度が適度に保たれ、割れることもない。また、多官能であることで耐ブロッキング性が良好である。重量平均分子量は1500~5000であることが好ましく、1500~3500であることがなお好ましく、2000~3000であることが更に好ましい。また、多官能ウレタン(メタ)アクリレートの官能基数は、2~4であることが好ましく、2~3であることがなお好ましく、2であることが更に好ましい。ここで、官能基数とは、重合性の(メタ)アクリレート基その他の不飽和二重結合基の数をいう。
【0025】
なお、上記の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定値をいい、例えば、昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「Shodex GPCSystem-21」を用いて測定可能である。GPCは溶媒に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、溶媒としてはテトロヒドロフラン、重量平均分子量の決定はポリスチレン換算が好適である。
【0026】
多官能ウレタン(メタ)アクリレートのガラス転移温度(Tg)は、0~50℃であることが好ましく、5~40℃であることがなお好ましく、10~35℃であることが更に好ましく、15~30℃であることが特に好ましい。なおガラス転移温度は示差走査熱量計(DSC)による測定値を表し、DSC曲線におけるガラス転移に基づく吸熱開始温度と終了温度との中点をガラス転移温度とした。
【0027】
多官能ウレタン(メタ)アクリレートは以下の態様が好ましく、例えば、ポリオールと
ポリイソシアネートとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させてなるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを、水酸基を有する(メタ)アクリレートと反応させて得られるもの、ポリイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレートとを反応させて得られるもの等がある。あるいは、ポリオールとポリイソシアネートとを水酸基過剰の条件下に反応させてなる水酸基含有ウレタンプレポリマーを、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得ることもできる。
【0028】
上記ポリオール、水酸基含有(メタ)アクリレート、及びポリイソシアネートについて説明する。
【0029】
<ポリオール>
上記ポリオールとしては公知のものを使用でき、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール(ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール)、ポリカーボネートポリオール、ポリシロキサンポリオール、(メタ)アクリルポリオールなどが好適に挙げられ、脂肪族構造、脂環族構造を有していてもよい。これらの中でもポリエーテルポリオールが好ましい。ポリエーテルポリオールを使用すると、多官能ウレタン(メタ)アクリレートがポリエーテル由来の構造単位を有するものとなる。ポリエーテルポリオールは、例えば、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコールおよびこれらの共重合物であることが好ましい。多官能ウレタン(メタ)アクリレートがポリエーテル由来の構造単位を有すると、組成物の粘度、塗工適性を向上できる。
【0030】
<ポリイソシアネート>
上記ポリイソシアネートとしては公知のものを使用でき、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、および脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、および2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライド等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては例えば、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、およびリジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては例えば、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、およびダイマー酸のカルボキシ基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。
これらは3量体となってイソシアヌレート環構造となっていても良い。これらのポリイソシアネートは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
中でも好ましくはトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体である。
【0031】
<水酸基含有(メタ)アクリレート>
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸エチル-α-(ヒドロキシメチル)、単官能(メタ)アクリル酸グリセロール、あるいはこれらの(メタ)アクリレートと、ε-カプロラクトンラクトンの開環付加により末端に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルや、上記水酸基含有(メタ)アクリレートに対してエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを繰り返し付加したアルキレンオキサイド付加(メタ)アクリル酸エステル等の水酸基含有の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、から選ばれる少なくとも一種を含むものが好ましい。
【0032】
<一官能エチレン性不飽和モノマー>
本発明で用いる一官能エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのカーボン数が1~18の(アルキル)(メタ)アクリレートがあり、さらにベンジル(メタ)アクリレート、ブチルフェノール、オクチルフェノールまたはノニルフェノールまたはドデシルフェノールのようなアルキルフェノール、エチレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノメチロール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、アクリオロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が例示される。
中でも、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。当該アルキル基の炭素数としては2~10あるいは2~6であることが好ましく、2~4であることがなお好ましい。
一官能エチレン性不飽和モノマーは活性エネルギー線硬化性組成物の粘度を著しく低減させる効果を奏し、塗工皮膜の平滑性を向上させる。一官能エチレン性不飽和モノマーは、活性エネルギー線硬化性組成物総質量中に30~60質量%含むことが好ましく、35~55質量%含むことがなお好ましく、40~50質量%含むことが更に好ましい。また
上記多官能ウレタン(メタ)アクリレートと一官能エチレン性不飽和モノマーとの質量比は、10:90~40:60であることが好ましく、15:85~30:70であることが好ましい。一官能エチレン性不飽和モノマー総質量中にヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを70~100質量%含むことが好ましく、80~100質量%含むことがなお好ましく、85~100質量%含むことが更に好ましい。
【0033】
<二官能エチレン性不飽和モノマー>
本発明の組成物は、二官能エチレン性不飽和モノマーを含む場合も好ましい。当該二官能エチレン性不飽和モノマーは例えば、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレートその他のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート(数字は分子量を表す)、ポリエチレングリコール300ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール600ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール1000ジ(メタ)アクリレートその他のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、また、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが好適に挙げられ、ポリエーテル構造を含むものが好ましい。二官能エチレン性不飽和モノマー量は、組成物総質量中に15質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがなお好ましい。
なお、二官能エチレン性不飽和モノマーは上記多官能ウレタン(メタ)アクリレートである場合を含まない。
【0034】
<樹脂微粒子>
本発明において、樹脂微粒子は艶消し性の機能を担う。当該樹脂微粒子としては、平均粒子径が、1~10μmであることが好ましく、1.5~8μmであることがなお好ましく、2~6μmであることが更に好ましく、2~3μmであることがなお好ましい。ここでいう平均粒子径とは、レーザー回折法による体積平均粒子径をいい、例えばマイクロトラック・ベル社製T330EXIIなどを使用して測定をすることができる。
樹脂微粒子の好適な具体的例としては、例えば、ウレタン樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子、メラミン樹脂微粒子、メラミン-ベンゾグアナミン樹脂微粒子、アクリル樹脂微粒子(例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子)、アクリル-スチレン共重合体樹脂微粒子、ポリカーボネート樹脂微粒子、ポリエチレン樹脂微粒子、ポリスチレン樹脂微粒子、ベンゾグアナミン樹脂微粒子等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種類以上併用して使用しても良い。中でも、ウレタン樹脂微粒子がより好ましい。上記樹脂微粒子は、必要に応じて2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
樹脂微粒子は、組成物中総質量中に15~35質量%含むことが好ましく、20~30質量%含むことが好ましく、23~27質量%含むことがなお好ましい。樹脂微粒子のガラス転移温度は-30~40℃であることが好ましく、-20~30℃であることがなお好ましく、-15~25℃であることが更に好ましい。なおガラス転移温度は示差走査熱量計(DSC)による測定値を表し、DSC曲線におけるガラス転移に基づく吸熱開始温度と終了温度との中点をガラス転移温度とした。
【0036】
ウレタン樹脂微粒子の具体例としては、例えば、アートパールC-1000透明、アートパールC-600透明、アートパールC-400透明、アートパールC-800、アートパールMM-120T、アートパールJB-800T、アートパールJB-600T、アートパールP-800T、アートパールP-400T(根上工業株式会社製)などの架橋ウレタンビーズ等が挙げられる。
【0037】
シリコーン樹脂微粒子の具体例としては、KMP-594、KMP-597、KMP-
598、KMP-600、KMP-601、KMP-602(信越化学工業株式会社製)、トレフィルE-506S、EP-9215(東レ・ダウコーニング株式会社製)等が挙げられる。
【0038】
メラミン樹脂微粒子の具体例としては、エポスターSS、エポスターS、エポスターFS、エポスターS6、エポスターS12(株式会社日本触媒製)等が挙げられる。
メラミン-ベンゾグアナミン樹脂微粒子の具体例としては、エポスターM30(株式会社日本触媒製)が挙げられる。
【0039】
アクリル樹脂微粒子の具体例としては、エポスターMA1002、エポスターMA1004、エポスターMA1006、エポスターMA1010(株式会社日本触媒製)、タフチックFH-S005、タフチックFH-S008、タフチックFH-S010、タフチックFH-S015、タフチックFH-S020(東洋紡株式会社製)、ケミスノーM
X-80H3wT、MX-150、MX-180TA、MX-300、MX-500、MX-1000、MX-1500H、MX-2000、MX-3000(綜研化学株式会社製)等が挙げられる。
【0040】
アクリル-スチレン共重合体樹脂微粒子の具体例としてはエポスターMA2003(株式会社日本触媒社製)、FS-102、FS-201、FS-301、MG-451、MG-351、(日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社製)等が挙げられる。
【0041】
ポリカーボネート樹脂微粒子の具体例としては、特開2014-125495号公報記載の微粒子、特開2011-26471号公報記載の製造法によって得られる微粒子、特開2001-213970号公報記載の方法によって得られる微粒子等が挙げられる。
【0042】
ポリエチレン樹脂微粒子の具体例としてはミペロンXM-220、XM221U(三井化学株式会社製)、フロービーズLE-1080(住友精化株式会社製)等が挙げられる。
ポリスチレン系微粒子の具体例としては、ケミスノーSX-130H、SX-350H、SX-500H(綜研化学株式会社製)等が挙げられる。
【0043】
ベンゾグアナミン樹脂微粒子の具体例としては、エポスターMS、エポスターM05、エポスターL15(株式会社日本触媒製)等が挙げられる。
【0044】
<光重合開始剤>
また本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、光重合開始剤を含有することができる。光重合開始剤は、光などの活性エネルギー線照射によってラジカルを発生し、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートや一官能エチレン性不飽和モノマーのアクリレート基の架橋反応および重合反応を開始させる。光重合開始剤としては、アセトフェノン系光重合開始剤、アルキルフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、などが好適に挙げられ、中でも、アセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤などが好ましい。光重合開始剤は組成物総質量中に1~10質量%含むことが好ましく、2~7質量%含むことがなお好ましく、3~5質量%含むことが更に好ましい。
【0045】
前記アセトフェノン系光重合開始剤としては、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-(2-ヒドロキシエトキシ
)-フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-1-プロパノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン系光重合開始剤が挙げられる。
【0046】
アルキルフェノン系光重合開始剤としては、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等が挙げられる。
【0047】
ベンゾイン系光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0048】
ベンゾフェノン系光重合開始剤(d-1)としては、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。中でも4-メチルベンゾフェノンが好ましい。
【0049】
チオキサントン系光重合開始剤としては、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
【0050】
アンスラキノン系光重合開始剤としては、α-アシロキシムエステル、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート(「バイアキュア55」)、2-エチルアンスラキノン等が挙げられる。
【0051】
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(「OmniradTPO」)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド(「IRGACURE819」)等が挙げられる。
【0052】
前記光重合開始剤としては、1種または2種以上を組合せ使用しても良い。
【0053】
<組成物中の有機溶剤>
組成物は、有機溶剤を含まない、または、組成物総質量中の5質量%以下であることが本発明の課題を解決するうえで必須である。3質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがなお好ましい。当該範囲において印刷適性が向上するためである。使用できる有機溶剤は、コーティングニスに使われている公知の溶剤が挙げられる。
【0054】
<組成物の粘度>
組成物の粘度は、25℃で250~2500mPa・sであることが本発明の課題を解
決するうえで必須である。当該範囲であれば、印刷などで塗工した後に紙基材などへの過度な染み込みを抑制する。また、硬化層の表面が均一な膜となり、斑などを生じることはない。また、ここで言う粘度とは、JISK5600-2に記載された方法での測定値で、例えば、コーン径35mm、コーン角度2°であるコーンを用いたコーンプレート型粘度計を用いて、25℃環境下、せん断速度100毎秒で測定できる。組成物の25℃における粘度は、300~2000mPa・sであることが好ましく、500~1500mPa・sであることがなお好ましい。
【0055】
(添加剤)
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は添加剤として公知のものを適宜含むことができ例えば、レベリング剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、増感剤、硬化剤、可塑剤、湿潤剤、接着補助剤、消泡剤、帯電防止剤、などを使用することができ、特段の制限はない。
【0056】
(活性エネルギー線硬化性組成物の製造)
活性エネルギー線硬化性組成物の製造方法としては、重量平均分子量が、1000~7000の多官能ウレタン(メタ)アクリレート、一官能エチレン性不飽和モノマー、樹脂微粒子、および光重合開始剤を羽根つき撹拌機(ディスパー)などで30分~3時間程度撹拌することにより製造することができる。なお、混合しにくく、粘度等が不均一になりやすい場合はローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いてもよい。
【0057】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
【0058】
(積層体の製造)
本発明の積層体の製造方法は特に限定されないが、好ましくは、紙基材もしくはフィルム基材上に活性エネルギー線硬化性組成物が印刷・塗工され、硬化されて製造される。なお、基材上に印刷インキ組成物からなる印刷層を形成しておき、更に当該印刷層上に本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を印刷・塗工し、硬化して積層体を形成してもよい。
【0059】
活性エネルギー線硬化性組成物の印刷・塗工方法は特に限定されるものではなく、例えば、スプレー、シャワー、ディッピング、フローコート、グラビア印刷、フレキソ印刷、ロール、スピン、ディスペンサー、インクジェット印刷、スクリーン印刷等のようなウェットコーティング法が挙げられる。
【0060】
活性エネルギー線としては、遠紫外線、紫外線、近紫外線などの紫外線が挙げられる。一方、電子線やプロトン線を使用することも可能であり、この場合は光重合開始剤を用いなくても硬化し得るが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が好ましい。
【0061】
紫外線照射により硬化させる方法としては、150~450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いて、積算光量として30~5000mJ/cm、好ましくは100~1000mJ/cm照射すればよい。紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
【0062】
活性エネルギー線硬化性組成物は、印刷・塗工して層形成したのち、活性エネルギー線照射して硬化層とすることができる。
活性エネルギー線硬化性組成物を印刷・塗工する際の膜厚(硬化後の膜厚)としては、通常1~50μmであることが好ましく、1~30μmがより好ましく、1~20μmであることがなお好ましく、1~10μmであることが更に好ましく、1~5μmであることが特に好ましい。
【0063】
<紙基材>
本発明で用いる紙基材は、通常の紙や段ボールなどが好ましく、膜厚としては特に指定は無いが、0.2mm~1.0mmのものが好適に使用でき、印刷表面がコロナ処理されていても良い。また紙基材は意匠性を付与させる目的で表面がアルミなどの金属で蒸着処理されていても良く、更にアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂やその他の樹脂などで表面コート処理を施されていても良く、さらにコロナ処理などの表面処理が施されていても良い。例えばコートボール紙やマリーコート紙などが好適に挙げられる。
【0064】
<フィルム基材>
本発明で用いるフィルム基材は、通常のPET(ポリエチレンテレフタラート)やPVC(ポリ塩化ビニル)などが好適であり、特段の限定は無い。膜厚としては、0.02mm~1.0mmのものが好適に使用でき、基材表面がコロナ処理されていても良い。またフィルム基材はアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂やその他の樹脂などで表面コート処理を施されていても良く、さらにコロナ処理などの表面処理が施されていても良い。例えばコスモシャインA4300(東洋紡製)、E5101(東洋紡製)およびクリスパーK2323(東洋紡製)などが挙げられる。
【0065】
<印刷インキ組成物>
上記印刷インキ組成物は例えば、公知のグラビアインキ組成物、フレキソインキ組成物、紫外線硬化型フレキソインキ組成物、オフセットインキ組成物、紫外線硬化型オフセットインキ組成物、その他インキ組成物が挙げられ、いずれの印刷インキ組成物でもよい。中でも紫外線硬化型オフセットインキ組成物、紫外線硬化型フレキソインキ組成物を使用する場合、活性エネルギー線硬化性組成物を積層すれば、紫外線などでの硬化反応が互いの層間でも起こるため接着性が向上する。そのため印刷インキ組成物としては、紫外線硬化型オフセットインキ組成物、紫外線硬化型フレキソインキ組成物がより好ましい。
【0066】
<印刷インキの印刷>
印刷インキ組成物の印刷方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法等が挙げられる。インキ層の厚みとしては、0.1~15μmが好ましい。0.5~12μmであることがなお好ましい。印刷インキ組成物は有機溶剤系であっても水性であってもよく、更に紫外線硬化インキ組成物のいずれであってもよく、また上記印刷インキ組成物を組み合わせてインキ層を形成してもよく、印刷後に乾燥あるいは紫外線硬化して印刷層を形成することができる。
【実施例
【0067】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部および%は、特に注釈の無い場合、質量部および質量%を表わす。
【0068】
(重量平均分子量)
重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(東ソー株式会社製HLC-8220)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。下記に測定条件を示す。
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW2500
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW3000
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW4000
東ソー株式会社製TSKgelguardcolumnSuperAWH
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
【0069】
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度(Tg)は、DSC(示差走査熱量測定測定)により求めた。なお、測定機は株式会社リガク製 DSC8231を使用し、測定温度範囲-70~150℃、昇温速度10℃/分、DSC曲線におけるガラス転移に基づく吸熱開始温度と終了温度との中点をガラス転移温度とした。
【0070】
[合成例1:ウレタンアクリレートUA1の合成]
攪拌機、温度計、冷却管を備えた4Lのセパラブル4つ口フラスコにジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート(製品名:デスモジュールW 住化コベストロウレタン株式会社製)を262部(1モル)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(製品名:PTMG1000 三菱ケミカル株式会社製)2000部(2モル)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(製品名:ヒドロキシエチルアクリレート 大阪有機化学工業社製)232部(2モル)、p-メトキシフェノール1.247部(500ppm)を仕込み、空気を送り込みながら撹拌し、80℃で4時間反応させた。IRスペクトルでイソシアネート基に起因するピークの消失を確認して反応終了としたのち、40℃まで冷却を行い、淡黄色液体(UA1)2262部を得た。ウレタンアクリレートUA1の重量平均分子量は2200、Tgは25℃、官能基数は2であった。
【0071】
[合成例2:ウレタンアクリレートUA2の合成]
攪拌機、温度計、冷却管を備えた4Lのセパラブル4つ口フラスコにジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート(製品名:デスモジュールW 住化コベストロウレタン株式会社製)を79部(0.3モル)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(製品名:PTMG3000 三菱ケミカル株式会社製)11750部(0.6モル)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(製品名:ヒドロキシエチルアクリレート大阪有機化学工業株式会社製)70部(0.6モル)、p-メトキシフェノール0.97部(500ppm)を仕込み、空気を送り込みながら撹拌し、80℃で4時間反応させた。IRスペクトルでイソシアネート基に起因するピークの消失を確認して反応終了としたのち、40℃まで冷却を行い、淡黄色液体(UA2)1949部を得た。ウレタンアクリレートUA2の重量平均分子量は6200、Tgは9℃、官能基数は2であった。
【0072】
[合成例3:ウレタンアクリレートUA3の合成]
攪拌機、温度計、冷却管を備えた3Lのセパラブル4つ口フラスコにヘキサメチレンジイソシアネートの3量体の(製品名:スミジュールN3390 住化バイエルウレタン株式会社社製)を500部(1モル)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(製品名:PTMG250 三菱ケミカル株式会社製)675部(3モル)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(製品名:ヒドロキシエチルアクリレート大阪有機化学工業株式会社製)348部(3モル)、p-メトキシフェノール0.76部(500ppm)を仕込み、空気を送り込みながら撹拌し、80℃で4時間反応させた。IRスペクトルでイソシアネート基に起因するピークの消失を確認して反応終了としたのち、40℃まで冷却を行い、淡黄色液体(UA3)1523部を得た。ウレタンアクリレートUA3の重量平均分子量は1
200、Tgは35℃、官能基数は3であった。
【0073】
[合成例4:ウレタンアクリレートUA4の合成]
攪拌機、温度計、冷却管を備えた4Lのセパラブル4つ口フラスコにジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート(製品名:デスモジュールW 住化コベストロウレタン株式会社製)を158部(0.6モル)、両末端水酸基ポリブタジエン(製品名:NISSO-PBG-1000 日本曹達株式会社製)1680部(1.2モル)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(製品名:ヒドロキシエチルアクリレート大阪有機化学工業株式会社製)139部(1.2モル)、p-メトキシフェノール0.99部(500ppm)を仕込み、空気を送り込みながら撹拌し、80℃で4時間反応させた。IRスペクトルでイソシアネート基に起因するピークの消失を確認して反応終了としたのち、40℃まで冷却を行い、淡黄色液体(UA4)1977部を得た。ウレタンアクリレートUA4の重量平均分子量は3000、Tgは21℃、官能基数は2であった。
【0074】
[合成例5:ウレタンアクリレートUA5の合成]
攪拌機、温度計、冷却管を備えた4Lのセパラブル4つ口フラスコにジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート(製品名:デスモジュールW 住化コベストロウレタン株式会社製)を131部(0.5モル)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(製品名:PTMG2000 三菱ケミカル株式会社製)2000部(1.0モル)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(製品名:ヒドロキシエチルアクリレート大阪有機化学工業株式会社製)116部(1.0モル)、p-メトキシフェノール1.12部(500ppm)を仕込み、空気を送り込みながら撹拌し、80℃で4時間反応させた。IRスペクトルでイソシアネート基に起因するピークの消失を確認して反応終了としたのち、40℃まで冷却を行い、淡黄色液体(UA4)1977部を得た。ウレタンアクリレートUA5の重量平均分子量は3500、Tgは19℃、官能基数は2であった。
【0075】
[比較合成例1:ウレタンアクリレートUA6の合成]
攪拌機、温度計、冷却管を備えた4Lのセパラブル4つ口フラスコにジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート(製品名:デスモジュールW 住化コベストロウレタン株式会社製)を66部(0.25モル)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(製品名:PTMG4000 三菱ケミカル株式会社製)2000部(0.5モル)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(製品名:ヒドロキシエチルアクリレート大阪有機化学工業株式会社製)58部(0.5モル)、p-メトキシフェノール1.04部(500ppm)を仕込み、空気を送り込みながら撹拌し、80℃で4時間反応させた。IRスペクトルでイソシアネート基に起因するピークの消失を確認して反応終了としたのち、40℃まで冷却を行い、淡黄色液体(UA5)2077部を得た。ウレタンアクリレートUA6の重量平均分子量は9000、Tgは-9℃、官能基数は2であった。
【0076】
[比較合成例2:ウレタンアクリレートUA7の合成]
攪拌機、温度計、冷却管を備えた4Lのセパラブル4つ口フラスコにジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート(製品名:デスモジュールW 住化コベストロウレタン株式会社製)を576部(2.2モル)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(製品名:PTMG250三菱ケミカル株式会社製)990部(4.4モル)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(製品名:ヒドロキシエチルアクリレート大阪有機化学工業株式会社製)511部(4.4モル)、p-メトキシフェノール1.06部(500ppm)を仕込み、空気を送り込みながら撹拌し、80℃で4時間反応させた。IRスペクトルでイソシアネート基に起因するピークの消失を確認して反応終了としたのち、40℃まで冷却を行い、淡黄色液体(UA6)2124部を得た。ウレタンアクリレートUA7の重量平均分子量は700、Tgは44℃、官能基数は2であった。
表1に、上記合成したウレタン(メタ)アクリレートについてまとめた。
【0077】
(実施例1:活性エネルギー線硬化性組成物S1の作成)
ウレタンアクリレートUA1を12部、4-HBA(アクリル酸4-ヒドロキシブチル、大阪有機社製)を47部、ART PEARL MM-120T(ウレタン系微粒子、平均粒子径2μm、ガラス転移温度「Tg」22℃、根上工業社製)を25部、光重合開始剤であるOmnirad TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、IGM社製)を4部、添加剤としてシリコーン系消泡剤を12部混合し、羽根つき撹拌機で90分撹拌して活性エネルギー線硬化性組成物S1を得た。
【0078】
(実施例2~21:活性エネルギー線硬化性組成物S2~S21の作成)
表2-1に示した原料を記載された配合率で用いた以外実施例1と同様の手法により活性エネルギー線硬化性組成物S2~S21を得た。
【0079】
(比較例1~6:活性エネルギー線硬化性組成物T1~T6の作成)
表2-2に示した原料を記載された配合率で用いた以外実施例1と同様の手法により活性エネルギー線硬化性組成物T1~T6を得た。
【0080】
なお、表2-1~表2-2中の原料の略称は以下に表されるものである。
<一官能エチレン性不飽和モノマー>
・HEA(アクリル酸2-ヒドロキシエチル、大阪有機社製)
・LA(ラウリルアクリレート、大阪有機社製)
<二官能エチレン性不飽和モノマー>
・TEGDA(テトラエチレングリコールジアクリレート、大阪有機社製)
<樹脂微粒子>
・ART PEARL C-800透明(ウレタン樹脂微粒子、平均粒子径6μm、Tg=-13℃、根上工業社製)
・ART PEARL C-1000透明(ウレタン樹脂微粒子、平均粒子径3μm、Tg=-13℃、根上工業社製)
・ART PEARL J-4P(アクリル樹脂微粒子、平均粒子径2.2μm、根上工業社製)
・サイロスフェア C-1504(球状シリカ、平均粒子径4.5μm、富士シリシア社製)
<光重合開始剤>
・Omnirad1173(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、IGM社製)
<有機溶剤>
・PGM-AC(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、東洋石油化学社製)
【0081】
(実施例22)
<活性エネルギー線硬化性組成物S1の塗工>
枚葉印刷機「リスロン26(株式会社小森コーポレーション製)」を用いて、紙基材であるオーロラコート、(塗工紙ハイグロスタイプ、紙厚81μm、日本製紙社製)上にUV硬化型オフセットインキである「FDカルトンX墨M(東洋インキ社製、3官能以上の多官能(メタ)アクリルモノマーを含む)」を、墨濃度が1.75(測定器:X-Rite eXact(エックスライト社製)、条件:イルミナントD50、標準観測者2°、濃度ステータスE、フィルタなし)となるよう印刷し、UVランプで硬化させた。上記印刷の印刷速度は8000枚/時、UVランプの種類は空冷メタルハライドランプ2灯と高圧水銀ランプ1灯、UVランプの強度は上記3灯全て160W/cmとした(積算光量450mJ/cm)。
次に、上記で得られたFDカルトンX墨Mの印刷物上に、リスロン26のフレキソコーティングユニットを用いて活性エネルギー線硬化性組成物S1を塗工し、UVランプで硬化させ、積層体G1を得た。上記コーティングユニットのアニロックスロールとしては、彫刻パターンがトリヘリカル、線数が90line/inch、セル容積が25ml/mのものを用いた。また、フレキソコーティングの際は、印刷速度が8000枚/時で、S1の液温が25℃となるように温度を制御した。なお、UVランプの種類、灯数、強度は上述のFDカルトンX墨Mの硬化条件と同じである。
【0082】
(実施例23~43)
実施例22と同様の方法により、表2-1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物S2~S23を用いて積層体G2~G22(実施例)を得た。
【0083】
(実施例43)
実施例22で用いた紙基材(オーロラコート、(塗工紙ハイグロスタイプ、紙厚81μm、日本製紙(株)製)を表3-1に記載の紙基材(ユーライト、(塗工紙マットタイプ、紙厚79μm、日本製紙社製)に変更した以外、実施例22と同様の方法で積層体G22を得た。
【0084】
(実施例45)
実施例22で用いた紙基材(オーロラコート、(塗工紙ハイグロスタイプ、紙厚81μm、日本製紙社製)を表3-1に記載のフィルム基材(クリスパーK2323、ポリエステルフィルム、厚み75μm、東洋紡社製)に変更した以外、実施例22と同様の方法で積層体G23を得た。
【0085】
(比較例7~12)
表2-2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物T1~T6を用いた以外は、実施例22と同様の方法により、積層体H1~H6(比較例)を得た。
【0086】
(評価)
実施例および比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物および積層体について粘度安定性、染み込み抑止性、平滑性、艶消し性、表面タック性、耐ブロッキング性、接着性を下記のようにして評価した。評価結果は表3-1および表3-2に示した。
【0087】
<粘度安定性>
実施例および比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物について、粘度変化率を測定した。粘度変化率は、加温前後での粘度を測定し、加温後の粘度を加温前の粘度で除した値を100分率(%)で表した値である。上述の加温については、内径9.6cm高さ3.0cmの円柱状の金属製容器に、活性エネルギー線硬化性組成物を1cmの厚みとなるように注いだ後40℃環境下で30分間放置するという工程である。粘度測定については、液温25℃条件下でコーンプレート型粘度計を用いて測定した。評価基準は次の通りである。
5(優):粘度変化率0%以上3%未満
4(良):粘度変化率3%以上6%未満
3(可):粘度変化率6%以上9%未満
2(不可):粘度変化率9%以上12%未満
1(劣):粘度変化率12%以上
なお、実用上使用可能な評価は3、4および5である。
【0088】
<染み込み抑止性>
実施例および比較例で得られた活性エネルギー線硬化性組成物について、積層体を作成
する際に、UVオフセットインキの画線部上に塗工するのではなく、非画線部上に塗工し、UVランプを照射せずに排紙された硬化層を有する印刷物で、活性エネルギー線硬化性組成物の基材への染み込みによるまだら模様が発生するまでに要する時間を計測した。なおコーティングユニットでの塗工後にUVランプを照射してしまうと染み込み現象がその時点で停止するため、本評価ではUVランプは照射していない。評価基準は次の通りである。
5(優):15秒以上
4(良):12秒以上15秒未満
3(可):9秒以上12秒未満
2(不可):6秒以上9秒未満
1(劣):6秒未満
なお、実用上使用可能な評価は3、4および5である。
【0089】
<平滑性>
実施例および比較例で得られた積層体の、硬化層表面の算術平均粗さRaを測定した。Raの測定は、レーザー顕微鏡((株)キーエンス製VK-X100、倍率1000倍)を用いて計測した。評価基準は次の通りである。
5(優):Ra 1.0μm未満
4(良):Ra 1.0μm以上1.5μm未満
3(可):Ra 1.5μm以上2.0μm未満
2(不可):Ra 2.0μm以上2.5μm未満
1(劣):Ra 2.5μm以上
なお、実用上使用可能な評価は3、4および5である。
【0090】
<艶消し性>
実施例および比較例で得られた積層体について、硬化層表面の光沢を測定した。光沢は入射角60度にて測定した。評価基準は次の通りである。なお光沢の測定はBYK社製マイクロトリグロスを使用した。
5(優):光沢値6未満
4(良):光沢値6以上8未満
3(可):光沢値8以上10未満
2(不可):光沢値10以上12未満
1(劣):光沢値12以上
なお、実用上使用可能な評価は3、4および5である。
【0091】
<表面タック性>
実施例および比較例で得られた積層体について、硬化皮膜(硬化層)の表面タック(べたつき)の有無を評価した。硬化皮膜に10秒間強く指を強く押し当てた後、皮膜面から指を離し、その後、硬化層表面への指紋の付着度合いと指触によるべたつきを測定した。評価基準は次の通りである。
5(優):指紋の付着は無く、べたつきも感じない
4(良):僅かに指紋が付着するが、べたつきは感じない
3(可):指紋が付着するが、べたつきは感じない
2(不可):指紋が付着し、僅かにべたつきを感じる
1(劣):指紋が付着し、べたつきを感じる。
なお、実用上使用可能な評価は3、4および5である。
【0092】
<耐ブロッキング性>
実施例および比較例で得られた積層体について、硬化層同士が接触するように重ねて、10kgf/cmの加重をかけ、40℃、80%RHの環境下に24時間放置させ、取
り出し後、ブロッキング(硬化層同士が接触している状態から引き離した際に、片方の硬化層が、もう片方の硬化層に付着し転移する現象)の状態を評価した。なお、剥離抵抗については、25mm×100mmの試験片を作製し、23℃、50%RHの雰囲気下で30分間放置した後、剥離速度30mm/minで180℃剥離強度(N/25mm)を測定した評価基準は次の通りである。
5(優):ブロッキングなし(転移無し)
剥離抵抗0.01N/25mm未満
4(良):ブロッキングなし(転移無し)
剥離抵抗0.01N/25mm以上0.03N/25mm未満、
3(可):ブロッキングなし(転移無し)
剥離抵抗0.03N/25mm以上0.05N/25mm未満、
2(不可):ブロッキング発生(転移あり)
剥離抵抗0.05N/25mm以上
1(劣):ブロッキング発生かつ剥離の際に基材破壊あり
剥離抵抗0.05N/25mm以上
なお、実用上使用可能な評価は3、4および5である。
【0093】
<罫線割れ耐性>
実施例および比較例で得られた積層体について、硬化層を曲げ半径2mmとなるよう山折りにした後、折り曲げ箇所上で長さ100mmの粘着テープ(LP12、ニチバン(株)製)を用いて剥離試験を行い、硬化層が剥離した箇所の合計長さを計測した。評価基準は次の通りである。
5(優):剥離長さ 1mm未満
4(良):剥離長さ 1mm以上5mm未満
3(可):剥離長さ 5mm以上9mm未満
2(不可):剥離長さ 9mm以上13mm未満
1(劣):剥離長さ 13mm以上
なお、実用上使用可能な評価は3、4および5である。
【0094】
<接着性>
実施例および比較例で得られた積層体について、硬化層上に碁盤目剥離試験治具を用い1mmのクロスカットを100個作製した。その後、クロスカット上に粘着テープ(LP24、ニチバン(株)製)を貼り付け、90度方向に剥離し、硬化層の残留碁盤目の数を計測した。評価基準は次の通りである。
5(優):残留碁盤目の数=96~100個
4(良):残留碁盤目の数=91~95個
3(可):残留碁盤目の数=86~90個
2(不可):残留碁盤目の数=81~85個
1(劣):残留碁盤目の数=80個以下
なお、実用上使用可能な評価は3、4および5である。
【0095】
実用上使用可能な活性エネルギー線硬化性組成物とは、安定した印刷適性と良好な皮膜物性を同時に満たしたものである。つまり、粘度安定性で評価3以上であることと、染み込み抑止性、平滑性、艶消し性、表面タック性、耐ブロッキング性、罫線割れ耐性、接着性の全ての項目で評価3以上、を同時に満たすものである。
【0096】
上記実施例より、活性エネルギー線硬化性組成物中の溶剤量を低減することで、十分な粘度安定性を有し、安定した印刷適性を付与できる方法を見出した。また、またウレタン(メタ)アクリレートの分子量を1000~7000とすることで優れた硬化皮膜物性を得ることができた。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2-1】
【0099】
【表2-2】
【0100】
【表3-1】
【0101】
【表3-2】
【産業上の利用可能性】
【0102】
有機溶剤を配合しないため、もしくは低減できているため、本活性エネルギー線硬化性組成物は低環境負荷な低艶コーティング剤として有用である。