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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】連結部材
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/07 20060101AFI20241119BHJP
   F26B 9/06 20060101ALI20241119BHJP
   F26B 25/08 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
F16B5/07 J
F26B9/06 B
F26B25/08 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021074897
(22)【出願日】2021-04-27
(65)【公開番号】P2022169077
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2024-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】坂本 誠
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕美子
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-037962(JP,A)
【文献】実開平04-036111(JP,U)
【文献】特開2016-003695(JP,A)
【文献】米国特許第09618027(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/07
F26B 9/06
F26B 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの被連結体において互いに対応する一対の連結用孔が形成された重合領域を連結する連結部材であって、
先端に向かって二つに分岐する一対のアーム部及び当該両アーム部の基端側を繋ぐ股部で構成された二股先端部と、
該二股先端部の基端に連続して設けられ、作業者が連結作業時に把持可能な把持部とを備え、
前記把持部には、前記両被連結体の重合領域に前記二股先端部を前記両連結用孔側から跨がせて前記股部を前記両連結用孔の開口周縁に当接させた状態において、当該両連結用孔の少なくとも一方の開口周縁に前記一方の被連結体側から係合させる第1係合部が設けられていることを特徴とする連結部材。
【請求項2】
請求項1に記載の連結部材において、
前記一方のアーム部には、前記二股先端部が前記両被連結体の重合領域を跨いだ状態において、前記一方の被連結体の表面に当接する第1当接部が設けられ、
前記他方のアーム部には、前記二股先端部が前記両被連結体の重合領域を跨いだ状態において、前記他方の被連結体の表面に当接する第2当接部が設けられていることを特徴とする連結部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の連結部材において、
前記他方のアーム部は、前記両連結用孔に挿通可能な形状をなし、
前記他方のアーム部の前記一方のアーム部側には、前記股部に近づくにつれて次第に一方のアーム部側に位置するよう傾斜する傾斜面部が形成されていることを特徴とする連結部材。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の連結部材において、
前記把持部には、前記二股先端部側に向けて打撃を加えることが可能な第1叩打部と、前記二股先端部とは反対側に打撃を加えることが可能な第2叩打部とが設けられていることを特徴とする連結部材。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の連結部材において、
前記両被連結体には、前記連結用孔が一対二組設けられ、
前記把持部は、前記二股先端部の基端に連続して設けられ、前記第1係合部を有する中途部と、該中途部に連続して設けられ、前記二股先端部が前記一組目の両連結用孔側から前記両被連結体の重合領域を跨いだ状態において前記二組目の両連結用孔に挿通可能な挿通部と、該挿通部に連続して設けられ、前記二組目の両連結用孔に前記挿通部を挿通させた状態において当該二組目の両連結用孔の少なくとも他方の連結用孔の開口周縁に前記他方の被連結体側から係合させる第2係合部を有する基部とを備えていることを特徴とする連結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、穀物乾燥機の穀物貯留タンクを組み立てる際において、穀物貯留タンクを構成する隣り合う2つの側板を連結する連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、穀物乾燥機の穀物貯留タンクは、矩形板状をなす複数の側板を矩形枠状に連結して囲い部を形成するとともに当該囲い部を上下に複数積み上げて連結することにより組み立てられるのが一般的である。
【0003】
ところで、上述の如き穀物乾燥機の穀物貯留タンクは、大きな形状をなしており、その組立や分解の作業が大掛かりなものになるため、各側板の連結及び分解作業を出来るだけ簡単に行いたいという要望がある。
【0004】
これに対応するために、例えば、特許文献1では、細長い略L字形状をなす楔金具と、断面ハット形状をなす楔受け金具とを用いて穀物貯留タンクを組み立てている。楔受け金具は、断面略U字状をなす本体部と、該本体部の各直線状の縁部から互いに反対側に延出する一対のフランジ部とを備え、隣り合う2つの側板において互いに対応する一対の連結用孔が形成された各連結壁を重ね合わせた後、両連結用孔に楔受け金具の本体部を挿通させるとともに、楔受け金具の両フランジ部を一方の連結壁側から一方の連結用孔の開口周縁に当接させている。そして、他方の連結壁側に飛び出す楔受け金具の本体部に楔金具を嵌合させて楔受け金具の本体部が両連結用孔から抜け出ない状態にすることにより両側板を連結させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-169151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の連結構造では、2つの側板を連結する際に、楔受け金具の本体部を一方の連結壁側から両連結用孔に挿通させた後、その状態を一方の手で保持しながら他方の連結壁側において他方の手で楔金具を楔受け金具の本体部に嵌合させる必要があるので、連結作業が難しくて連結作業に時間がかかってしまうという問題があった。この特許文献1の連結構造では、2つの側板を分解する際の分解作業においても同様に時間がかかってしまう。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、2つの被連結体を連結又は分解する際において、簡単な作業で連結又は分解できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、連結部材の構造に工夫を凝らすことで一方の被連結体側からのみ作業を行って2つの被連結体の連結又は分解を行えるようにしたことを特徴とする。
【0009】
具体的には、2つの被連結体において互いに対応する一対の連結用孔が形成された重合領域を連結する連結部材を対象とし、次のような対策を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明では、先端に向かって二つに分岐する一対のアーム部及び当該両アーム部の基端側を繋ぐ股部で構成された二股先端部と、該二股先端部の基端に連続して設けられ、作業者が連結作業時に把持可能な把持部とを備え、前記把持部には、前記両被連結体の重合領域に前記二股先端部を前記両連結用孔側から跨がせて前記股部を前記両連結用孔の開口周縁に当接させた状態において、当該両連結用孔の少なくとも一方の開口周縁に前記一方の被連結体側から係合させる第1係合部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、前記一方のアーム部には、前記二股先端部が前記両被連結体の重合領域を跨いだ状態において、前記一方の被連結体の表面に当接する第1当接部が設けられ、前記他方のアーム部には、前記二股先端部が前記両被連結体の重合領域を跨いだ状態において、前記他方の被連結体の表面に当接する第2当接部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記他方のアーム部は、前記両連結用孔に挿通可能な形状をなし、前記他方のアーム部の前記一方のアーム部側には、前記股部に近づくにつれて次第に一方のアーム部側に位置するよう傾斜する傾斜面部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、前記把持部には、前記二股先端部側に向けて打撃を加えることが可能な第1叩打部と、前記二股先端部とは反対側に打撃を加えることが可能な第2叩打部とが設けられていることを特徴とする。
【0014】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、前記両被連結体には、前記連結用孔が一対二組設けられ、前記把持部は、前記二股先端部の基端に連続して設けられ、前記第1係合部を有する中途部と、該中途部に連続して設けられ、前記二股先端部が前記一組目の両連結用孔側から前記両被連結体の重合領域を跨いだ状態において前記二組目の両連結用孔に挿通可能な挿通部と、該挿通部に連続して設けられ、前記二組目の両連結用孔に前記挿通部を挿通させた状態において当該二組目の両連結用孔の少なくとも他方の連結用孔の開口周縁に前記他方の被連結体側から係合させる第2係合部を有する基部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明では、作業者は、連結部材の把持部を把持して両被連結体の重合領域に設けられた両連結用孔に一方の被連結体側から他方のアーム部の先端部分を挿入するとともに、二股先端部を中心として連結部材を一方の被連結体側に回動させながら他方のアーム部を両連結用孔に押し込む。その後、二股先端部が両被連結体の重合領域を跨ぐ状態にして股部を両被連結用孔の開口周縁に当接させる。そして、股部を両連結用孔の開口周縁に当接させた状態において把持部を両被連結体に接近させて第1係合部を両連結用孔の少なくとも一方の開口周縁に係合させる。すると、2つのアーム部により両被連結体の離間する方向の移動が規制された状態で股部と第1係合部とで連結部材が少なくとも一方の被連結体に固定されて両被連結体がその重なり方向において連結される。このように、両被連結体を連結する際に、一方の被連結体側から作業するだけで両被連結体をその重なり方向に連結させることができるので、連結作業が簡単であり、連結作業にかかる時間を短くすることができる。
【0016】
第2の発明では、第1当接部と第2当接部とで両被連結体が挟み込まれるので、両被連結体が隙間なく接触するようになり、両被連結体を強固に連結した状態にすることができる。
【0017】
第3の発明では、他方のアーム部を両連結用孔に挿通させる際、傾斜面部が両連結用孔の開口周縁を摺接させながら股部までスムーズに案内するようになる。したがって、二股先端部が両被連結体を跨ぐ姿勢となるまでの連結部材の操作が簡単になり、短い時間で効率良く連結作業を行うことができる。
【0018】
第4の発明では、第1叩打部に打撃を加えると、連結部材に対してその先端側に向けて大きな力が加わるので、二股先端部を両被連結体の重合領域に跨がせる際に簡単に前進させることができる。一方、第2叩打部に打撃を加えると、連結部材に対してその基端側に向けて大きな力が加わるので、その加わる力が作用して連結部材と両連結用孔との間の係合関係を解除させることができるとともに、二股先端部を両被連結体の重合領域から簡単に後退させることができる。
【0019】
第5の発明では、作業者は、連結部材の把持部を把持して両連結部材の重合領域の二組目の両連結用孔に他方の被連結体側から二股先端部全体を挿通させるとともに、連結部材の中途部を中心として当該連結部材を他方の被連結体に向けて回動させながら他方のアーム部を一組目の両連結用孔に一方の被連結体側から押し込む。その後、連結部材をその先端側に前進させることにより、二股先端部が両被連結体の重合領域を跨ぐ状態にして股部を一組目の両被連結体の両開口周縁に当接させる一方、第1係合部を両連結用孔の少なくとも一方の開口周縁に係合させる。さらに、作業者が把持部の基部を両被連結体に接近させて第2係合部を二組目の両連結用孔の少なくとも他方の開口周縁に係合させる。すると、2つのアーム部により両被連結体の離間する方向の移動が規制された状態で、股部、第1係合部及び第2係合部の3つで連結部材が両被連結体に固定され、当該両被連結体は、その重なり方向の移動が規制されるとともに、その重なり方向に対して交差する方向においても相対位置がずれなくなる。このように、両被連結体を互いにずれること無く強固に連結させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態1に係る連結部材で連結することにより組み立てられた穀物貯留タンクを備えた穀物乾燥機の斜視図である。
図2】本発明の実施形態1に係る連結部材で連結する穀物貯留タンクの一部分解斜視図である。
図3】本発明の実施形態1に係る連結部材の斜視図である。
図4】本発明の実施形態1に係る連結部材で2つの側板を連結する直前の状態を示す断面図である。
図5図4の後、連結部材による連結作業を開始した直後の状態を示す断面図である。
図6図5の後、連結部材による連結作業を行っている途中の状態を示す断面図である。
図7図6の後、連結部材による連結作業を行っている途中の状態を示す断面図である。
図8図7の後、連結部材による連結作業が終了する直前の状態を示す断面図である。
図9図8の後、連結部材による連結作業が終了した直後の状態を示す断面図である。
図10】本発明の実施形態2の図3相当図である。
図11】本発明の実施形態2に係る連結部材で2つの側板を連結する直前の状態を示す断面図である。
図12図11の後、連結部材による連結作業を開始した直後の状態を示す断面図である。
図13図12の後、連結部材による連結作業を行っている途中の状態を示す断面図である。
図14図13の後、連結部材による連結作業を行っている途中の状態を示す断面図である。
図15図14の後、連結部材による連結作業が終了する直前の状態を示す断面図である。
図16図15の後、連結部材による連結作業が終了した直後の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0022】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る穀物乾燥機1を示す。該穀物乾燥機1は、穀物を貯留する穀物貯留タンク2と、該穀物貯留タンク2の下部に配設された乾燥ユニット3と、該乾燥ユニット3の側方から穀物貯留タンク2の側方にまで上方に向かって直線状に延びる昇降機4とを備え、穀物貯留タンク2、乾燥ユニット3及び昇降機4の順に循環させながら穀物を乾燥させるようになっている。
【0023】
穀物貯留タンク2は、矩形枠状をなすとともに上下に複数積み上げられた囲い部5を備え、該囲い部5は、図2に示すように、矩形板状をなす複数の側板6(被連結体)と、該側板6を連結する多数の連結部材10とで組み立てられている。
【0024】
隣り合う2つの側板6の互いに重ね合わせる領域には、互いに対応する一対の連結用孔6aが形成されている。
【0025】
連結部材10は、図3に示すように、金属板を切削加工することにより形成され、正面視で略Y字形状をなしている。
【0026】
連結部材10は、先端に向かって二つに分岐する一対のアーム部7a及び当該両アーム部7aの基端側を繋ぐ股部7bで構成された二股先端部7と、該二股先端部7の基端に連続して設けられ、作業者が把持可能な把持部8とを備え、二股先端部7は、両側板6の重合領域に両連結用孔6a側から跨ぐことができるようになっている。
【0027】
一方のアーム部7aは、略直線状の形状をなしていて、一方のアーム部7aの先端側における他方のアーム部7a側には、二股先端部7が両側板6を跨いだ状態において、一方の側板6に当接する第1当接部7cが設けられている。
【0028】
また、一方のアーム部7aの中央部分から基端側に亘る部分には、他方のアーム部7a側に開放する第1切欠凹部7dが形成されている。
【0029】
一方、他方のアーム部7aは、両連結用孔6aに挿通可能な形状をなしていて、他方のアーム部7aを両連結用孔6aに挿通させることにより、両側板6の重合領域に二股先端部7を両連結用孔6a側から跨がせることができるようになっている。
【0030】
他方のアーム部7aの先端側における一方のアーム部7a側には、股部7bに近づくにつれて次第に一方のアーム部7a側に位置するよう傾斜する第1傾斜面部7eが形成されている。
【0031】
また、他方のアーム部7aの先端側における板厚方向一側には、他方のアーム部7aの先端に近づくにつれて次第にアーム部7aの板厚が薄くなるように傾斜する第2傾斜面部7fが形成されている。
【0032】
他方のアーム部7aの中央部分における一方のアーム部7a側には、二股先端部7が両側板6の重合領域を跨いだ状態において、他方の側板6に当接する第2当接部7gが設けられ、該第2当接部7gは、第1切欠凹部7dの中央部分に対向する位置となっている。
【0033】
さらに、他方のアーム部7aの基端側には、一方のアーム部7a側に開放する第2切欠凹部7hが形成されている。
【0034】
把持部8は、二股先端部7の一方のアーム部7aの基端部分から当該一方のアーム部7aの反対側に直線状に延びる中途部8aと、該中途部8aにおける二股先端部7の反対側に連続して設けられた基部8bとを備えている。
【0035】
該基部8bは、正面視で略矩形状をなし、その略中央には、提げ紐を取り付け可能な貫通孔8cが形成されている。
【0036】
基部8bにおける中途部8aの反対側は、二股先端部7側に向けて打撃を加えることが可能な第1叩打部8dになっている。
【0037】
また、基部8bは、両アーム部7aの並設方向における一方のアーム部7a側に中途部8aよりも張り出した形状をなしていて、その張出形状部分は、二股先端部7とは反対側に打撃を加えることが可能な第2叩打部8eになっている。
【0038】
基部8bの両アーム部7aの並設方向における他方のアーム部7a側には、正面視で三角形状をなす第3切欠凹部8fが形成され、該第3切欠凹部8fの二股先端部7側の壁部分が本発明の第1係合部8gを構成している。
【0039】
該第1係合部8gは、図4乃至図9に示すように、他方のアーム部7aを一方の側板6側から両連結用孔6aに挿通させるとともに、両側板6の重合領域に二股先端部7を両連結用孔6a側から跨がせて股部7bを両連結用孔6aの開口周縁に当接させた状態において、一方の連結用孔6aの開口周縁に一方の側板6側から係合させるようになっていて、これにより、2つの側板6の重合領域が連結するようになっている。
【0040】
次に、本発明の実施形態1に係る連結部材10を用いて2つの側板6を連結又は分解する手順について詳述する。
【0041】
まず、作業者は、図4に示すように、両側板6の重合領域に設けられた両連結用孔6aに対して一方の側板6側において二股先端部7が斜め下方を向くように連結部材10の把持部8を把持する。
【0042】
次に、作業者は、図5に示すように、両連結用孔6aに一方の側板6側から他方のアーム部7aの先端部分を挿入する。
【0043】
次いで、作業者は、図6及び図7に示すように、二股先端部7を中心として連結部材10を一方の側板6側に回動させながら他方のアーム部7aを両連結用孔6aに押し込む。
【0044】
しかる後、作業者は、二股先端部7が両側板6の重合領域を跨ぐ状態においてハンマー等にて二股先端部7側に向けた打撃を第1叩打部8dに加えて連結部材10を前進させる。すると、図8に示すように、第1当接部7cが一方の側板6に当接し、且つ、第2当接部7gが他方の側板6に当接するとともに、股部7bが両連結用孔6aの開口周縁に当接する。
【0045】
そして、作業者は、股部7bを両連結用孔6aの開口周縁に当接させた状態において把持部8を両側板6に接近させて第1係合部8gを一方の連結用孔6aの開口周縁に係合させる。すると、2つのアーム部7aにより両側板6の離間する方向の移動が規制された状態で股部7bと第1係合部8gとで連結部材10が一方の側板6に固定されて両側板6がその重なり方向において連結される。
【0046】
このように、本発明の実施形態1の連結部材10は、両側板6を連結する際に、一方の側板6側から作業するだけで両側板6をその重なり方向に連結させることができるので、連結作業が簡単であり、連結作業にかかる時間を短くすることができる。
【0047】
また、二股先端部7が両側板6の重合領域を跨ぐ状態になった際、第1当接部7cと第2当接部7gとで両側板6の重合領域が挟み込まれるので、両側板6の重合領域が隙間なく接触するようになり、両側板6を強固に連結した状態にすることができる。
【0048】
また、他方のアーム部7aを両連結用孔6aに挿通させる際、他方のアーム部7aには、第1傾斜面部7eが形成されているので、当該第1傾斜面部7eが両連結用孔6aの開口周縁を摺接させながら股部7bまでスムーズに案内するようになる。したがって、二股先端部7が両側板6の重合領域を跨ぐ姿勢となるまでの連結部材10の操作が簡単になり、短い時間で効率良く連結作業を行うことができる。
【0049】
また、連結部材10には、当該連結部材10に対して二股先端部7側に向けた打撃を加えることが可能な第1叩打部8dが設けられているので、連結部材10に対してその先端側に向けた大きな力を加えることができ、二股先端部7を両側板6の重合領域に跨がせる際に簡単に前進させることができる。
【0050】
尚、作業者は、連結部材10により連結された両側板6を分解する際、第2叩打部8eにハンマー等で打撃を加える。すると、連結部材10に対してその基端側に向けて大きな力が加わるので、その加わる力が作用して第1係合部8gが一方の連結用孔6aの開口周縁から外れて連結部材10と連結用孔6aとの間の係合関係が解除されるとともに、二股先端部7を両側板6の重合領域から簡単に後退させることができる。
【0051】
このように、本発明の実施形態1によると、簡単な作業で2つの側板6を連結又は分解することができる。
【0052】
尚、本発明の実施形態1では、第1係合部8gを一方の連結用孔6aの開口周縁に係合させているが、これに限らず、第1係合部8gを両連結用孔6aの開口周縁に係合させるようにしてもよい。
【0053】
《発明の実施形態2》
図10は、本発明の実施形態2の連結部材10を示す。この実施形態2では、両側板6の重合部分に設けられた一対二組の連結用孔6aを利用して両側板6を連結する点、把持部8の一部構造が異なる点、及び、他方のアーム部7aに第2切欠凹部7hが形成されていない点が実施形態1と異なっている以外は実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、異なる部分のみを説明する。
【0054】
実施形態2の把持部8における中途部8aは、細長い形状をなしていて、その長手方向中央部分に第1係合部8gが設けられている。
【0055】
中途部8aの二股先端部7の反対側には、図11乃至図16に示すように、中途部8aと直交する方向に延びる挿通部8hが連続して設けられ、該挿通部8hは、二股先端部7が一組目の両連結用孔6a側から両側板6の重合領域を跨いだ状態において二組目の両連結用孔6aに挿通可能になっている。
【0056】
実施形態2の基部8bは、平面視で略台形状をなしていて、挿通部8hにおける中途部8aの反対側に連続して設けられている。
【0057】
基部8bの両アーム部7aの並設方向における一方のアーム部7a側には、正面視で三角形状をなす第4切欠凹部8iが形成され、該第4切欠凹部8iの二股先端部7側の壁部分が本発明の第2係合部8jを構成している。
【0058】
該第2係合部8jは、二股先端部7が一組目の両連結用孔6a側から両側板6の重合領域を跨いだ状態で、且つ、二組目の両連結用孔6aに挿通部8hを挿通させた状態において当該二組目の他方の連結用孔6aの開口周縁に他方の側板6側から係合させるようになっていて、これにより、2つの側板6の重合領域が連結するようになっている。
【0059】
次に、本発明の実施形態2に係る連結部材10を用いて2つの側板6を連結又は分解する手順について詳述する。
【0060】
まず、作業者は、図11に示すように、両側板6の重合領域において下側の両連結用孔6aを一組目の両連結用孔6aとし、上側の両連結用孔6aを二組目の両連結用孔6aとすると、二組目の両連結用孔6aに対して他方の側板6側において二股先端部7が真横を向くように連結部材10の把持部8を把持する。
【0061】
その後、図12に示すように、二組目の両連結用孔6aに二股先端部7を他方の側板6側から通過させた後、図13及び図14に示すように、中途部8aを中心として連結部材10を他方の側板6側に回動させながら他方のアーム部7aを一組目の両連結用孔6aに押し込む。すると、挿通部8hが二組目の両連結用孔6aに位置する状態になる。
【0062】
しかる後、作業者は、ハンマー等にて二股先端部7側に向けた打撃を第1叩打部8dに加えて連結部材10を前進させる。すると、図15に示すように、第1当接部7cが一方の側板6に当接し、且つ、第2当接部7gが他方の側板6に当接するとともに、股部7bが両連結用孔6aの開口周縁に当接し、さらには、第1係合部8gが一方の連結用孔6aの開口周縁に係合する。
【0063】
その後、作業者は、把持部8の基部8bを両側板6に接近させて第2係合部8jを二組目の他方の連結用孔6aの開口周縁に係合させる。すると、2つのアーム部7aにより両側板6の離間する方向の移動が規制された状態で、股部7b、第1係合部8g及び第2係合部8jの3つで連結部材10が両側板6に固定され、両側板6は、その重なり方向の移動が規制された状態で、且つ、その重なり方向に対して交差する方向においても相対位置がずれなくなる。
【0064】
このように、本発明の実施形態2の連結部材10は、両側板6を互いにずれることなく強固に連結させることができる。
【0065】
尚、作業者は、連結部材10により連結された実施形態2の両側板6を分解する際、第2叩打部8eにハンマー等で打撃を加える。すると、連結部材10に対してその基端側に向けて大きな力が加わるので、その加わる力が作用して第1係合部8gが一組目の一方の連結用孔6aの開口周縁から外れるとともに、第2係合部8jが二組目の他方の連結用孔6aから外れて連結部材10と各連結用孔6aとの間の係合関係を解除させることができる。このように、本発明の実施形態2の連結部材10は、二股先端部7を両側板6の重合領域から簡単に後退させることができる。
【0066】
また、本発明の実施形態2では、第1係合部8gを一組目の一方の連結用孔6aの開口周縁に係合させ、且つ、第2係合部8jを二組目の他方の連結用孔6aの開口周縁に係合させているが、これに限らず、第1係合部8gを一組目の両連結用孔6aの開口周縁に係合させ、且つ、第2係合部8jを二組目の両連結用孔6aの開口周縁に係合させるようにしてもよい。
【0067】
また、本発明の実施形態1,2の連結部材10は、穀物乾燥機1の穀物貯留タンク2の隣り合う2つの側板6を連結するのに用いたが、その他の装置や機械等の連結構造においても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、例えば、穀物乾燥機の穀物貯留タンクを組み立てる際において、穀物貯留タンクを構成する隣り合う2つの側板を連結する連結部材に適している。
【符号の説明】
【0069】
6 側板
6a 連結用孔
7 二股先端部
7a アーム部
7b 股部
7c 第1当接部
7e 第1傾斜面部
7g 第2当接部
8 把持部
8a 中途部
8b 基部
8d 第1叩打部
8e 第2叩打部
8g 第1係合部
8h 挿通部
8j 第2係合部
10 連結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16