(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20241119BHJP
B60K 35/233 20240101ALI20241119BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/233
(21)【出願番号】P 2021081243
(22)【出願日】2021-05-12
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】常峰 佑華
(72)【発明者】
【氏名】二村 健太
【審査官】河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-124758(JP,A)
【文献】特開2020-052336(JP,A)
【文献】特開2018-136523(JP,A)
【文献】特開平04-056633(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0101006(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の表示光を出射する表示器(120)と、
矩形状を成して、上辺(131a)が車両(1)の左右方向となるように配置されて、前記表示光を反射させる反射部(130)と、を備え、
前記反射部で反射された前記表示光を、運転者の前方に位置する前記車両のウインドシールド(20)に投影して、前記ウインドシールドの前方に虚像(30)として、前記運転者に視認させる車両用表示装置であって、
前記反射部は、前記上辺が、前記運転者側から見て前記車両の横方向外側に向けて下がるように傾斜して配置され
、
前記傾斜の角度は、反射される前記表示光の前記ウインドシールドに至るまでの距離が、前記反射部の左端側と右端側とで同等となるように設定された車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示器からの表示光を反射させて、前記反射部に入射させる他の反射部(130A)を備える請求項
1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記他の反射部の反射面は、前記虚像に対する歪を補正可能なように、非平面に形成された請求項
2に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ヘッドアップディスプレイとして、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。ヘッドアップディスプレイは、表示器と、凹面鏡とを有している。表示器の表示面から出射される表示情報の光は、凹面鏡の反射面で反射されて、車両のフロントウインドシールドの内表面部に入射される。そして、入射光(表示情報)は、運転者の視線方向に反射されると共に、内表面部の前方に虚像として結像される。
【0003】
そして、フロントウインドシールドの内表面部の中心から横方向(右ハンドル車の場合は右方向)に離れる部位(所定角度20度~30度の範囲)の曲率は、中心の曲率の約1.4倍となっている。また、凹面鏡の反射面のうち、反射中心から所定角度だけ右方向に離れる部位の曲率は、反射中心の曲率の約1.06倍(1.04~1.08倍)に設定されている。
【0004】
これにより、特許文献1では、フロントウインドシールドの曲率の変化率に合わせて、凹面鏡の反射面における曲率の変化率を設定することで、歪の少ない虚像をフロントウインドの前方に結像できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、車両のフロントウインドシールドの曲率の変化率に合わせて、凹面鏡の反射面における曲率に変化(曲率の分布)を持たせるようにしているので、凹面鏡の反射面を形成する際の手間が増大する。
【0007】
本開示の目的は、上記問題に鑑み、簡単な構成で、歪の少ない虚像を形成可能とする車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0009】
本開示では、画像の表示光を出射する表示器(120)と、
矩形状を成して、上辺(131a)が車両(1)の左右方向となるように配置されて、表示光を反射させる反射部(130)と、を備え、
反射部で反射された表示光を、運転者の前方に位置する車両のウインドシールド(20)に投影して、ウインドシールドの前方に虚像(30)として、運転者に視認させる車両用表示装置であって、
反射部は、上辺が、運転者側から見て車両の横方向外側に向けて下がるように傾斜して配置され、
傾斜の角度は、反射される表示光のウインドシールドに至るまでの距離が、反射部の左端側と右端側とで同等となるように設定されたことを特徴としている。
【0010】
この開示によれば、反射部を傾斜させることにより、反射部の左端側と右端側とで、表示光の反射部からウインドシールドに至る距離を同等にすることができるので、虚像に対する歪を抑制できる。本開示では、反射部の姿勢を傾けるといった簡単な内容で、歪の抑制が可能となる。
【0011】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態における車両用表示装置の全体構成を示す説明図である。
【
図2】比較例に対して、本開示での反射部の取付け姿勢を示す説明図である。
【
図3】反射部に対するオプトフェースを示す説明図である。
【
図4】第2実施形態における車両用表示装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態における車両用表示装置100を
図1~
図3に基づいて説明する。
図1に示すように、車両用表示装置100は、車両1(例えば、自動車)に搭載されたものであり、液晶ディスプレイ120から出射される表示情報を表す表示光を、車両1のウインドシールド20の投射位置20aに入射させる。そして、車両用表示装置100は、ドライバ(運転者)と投射位置20aとを結ぶ線の車両1の前方延長線上に、表示情報の表示像30を結像させて、表示像30を虚像としてドライバに視認させるものとなっている。
【0015】
この車両用表示装置100によって、ドライバは、表示像30と、車両1の前景とを重畳して視認することができるようになっている。車両用表示装置100は、いわゆる、ヘッドアップディスプレイ装置(虚像表示装置)である。以下、車両用表示装置100を、表示装置100と呼ぶことにする。尚、車両1において、左右方向をX方向、前後方向をY方向、上下方向をZ方向と定義する。
【0016】
ウインドシールド20は、車両1のフロント側に設けられており、例えば2枚のガラスとその中間に設けられる中間膜とから形成された合わせガラスが使用されている。ウインドシールド20は、
図1に示すように側方から見た場合、インストルメントパネル10側となる下端部に対して、天井側が後方に向かうように傾斜している。ウインドシールド20の傾斜面は、前方側にわずかに凸となるように湾曲している(曲率を有している)。また、ウインドシールド20は、天井側から見た場合、中央部に対して、左端側および右端側が、後方に回り込むように湾曲している(曲率を有している)。このように、ウインドシールド20は、湾曲していることから、一般的な凹面鏡と同一の効果により、表示像30を拡大してより遠方に表示できるようになっている。
【0017】
表示装置100は、
図1に示すように、バックライト110、液晶ディスプレイ120、反射部130、駆動部140、筐体150、防塵シート160、位置調整スイッチ170、および制御装置180等を備えている。
【0018】
表示装置100の主たる構成要素となるバックライト110、液晶ディスプレイ120、反射部130、駆動部140、および制御装置180は、筐体150内に収容されている。そして、筐体150は、ウインドシールド20の下端部から車室内後方、更には下方に延出されるインストルメントパネル10の内側に配設されている。また、防塵シート160は、筐体150の開口部151に設けられている。また、位置調整スイッチ170は、ドライバの操作し易い位置、例えば、インストルメントパネル10のドライバに対向する面に設けられている。
【0019】
尚、インストルメントパネル10の上面には、反射部130からの表示光を通過させる開口部10aが設けられている。以下、表示装置100の、各構成の詳細について説明する。
【0020】
バックライト110は、通電されることで液晶ディスプレイ120に対して光を出射する発光素子であり、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode=LED)が使用されている。バックライト110は、液晶ディスプレイ120に対する光軸に沿うように光を出射するようになっている。
【0021】
液晶ディスプレイ120は、表示情報(画像)を表す表示光を出射する表示器であり、制御装置180の駆動回路によって駆動制御されるようになっている。液晶ディスプレイ120は、例えば、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor=TFT)が用いられたTFT液晶パネル、デュアルスキャンタイプのディスプレイ(Dual Scan Super Twisted Nematic=D-STN)、TN(Twisted Nematic)セグメント液晶等が使用される。
【0022】
そして、液晶ディスプレイ120は、バックライト110から出射される光によって、表面(表示面)に形成した表示情報を表示光として、バックライト110とは反対側となる反射部130に向けて出射するようになっている。液晶ディスプレイ120の表示光を出射する面は、例えば、仮想されるX-Z平面に沿うように配置されており、また表示光の光軸が車両1の前後方向を向くように(出射方向が車両1の前方側を向くように)配置されている。
【0023】
液晶ディスプレイ120によって形成される表示情報は、例えば、車両用ナビゲーションシステムにおける地図情報、地図上における自車の現在位置情報、あるいは目的地への案内情報等とすることができる。あるいは、表示情報としては、車両1の走行時における車両情報としての、車速、エンジン回転数、エンジン冷却水温、およびバッテリ電圧等の情報としても良い。
【0024】
液晶ディスプレイ120は、上記のような複数種類の表示情報を1つずつ、あるいは、複数組み合わせて、液晶ディスプレイ120の表面に形成することができるようになっている。ドライバは表示切替えスイッチにより、表示情報をいずれにするか、選択できるようになっている。
【0025】
反射部130は、液晶ディスプレイ120からの表示光を反射させて、筐体150の開口部151、およびインストルメントパネル10の開口部10aを通して、ウインドシールド20の投射位置20aに投影する装置である。反射部130は、凹面鏡131、および軸部132等を有している。
【0026】
凹面鏡131は、表面がへこむ側に湾曲形成された拡大用の鏡であり、例えば、車両1の左右方向(X方向)に横長となる四角形(矩形状)を成しており、四角形の上辺131a(長辺)が車両1の左右方向となるように配置されている。凹面鏡131は、液晶ディスプレイ120からの表示光による表示情報を拡大してウインドシールド20へ反射させるようになっている。
【0027】
軸部132は、凹面鏡131の左右の辺131b(短辺)の中央位置から上辺131aの方向(車両1の左右方向)に突出するように設けられた軸である。軸部132は、筐体150内に設けられた軸支持部に支持されている。凹面鏡131は、軸部132を中心に回転(回動)可能となっている。
【0028】
ここで、反射部130(凹面鏡131)は、比較例の
図2(a)に対して、
図2(b)に示すように、上辺131aが、運転者側から見て車両1の横方向外側に向けて下がるように傾斜して配置されている。これに伴い、軸部132も同様に傾斜している。右ハンドル車の場合であると、運転席側から見て、反射部130の右端側が、下側に向くように傾斜している。また、左ハンドル車の場合であると、運転席側から見て、反射部130の左端側が、下側に向くように傾斜している。
【0029】
反射部130における上辺131aの傾斜の角度は、反射される表示光のウインドシールド20に至るまでの距離が、反射部130の左端側と右端側とで概ね、同等となるように設定されている。
【0030】
凹面鏡131の下端部は、後述する駆動部140のアーム141と接続されている。凹面鏡131は、アーム141が車両1の前後方向(
図1中のY方向)に摺動することにより、軸部132を中心として、時計方向(正方向)、あるいは反時計方向(逆方向)に回転するようになっている。
【0031】
凹面鏡131が回転することによって、反射角度が調整されて、ウインドシールド20に投影される表示情報の高さ方向の位置が変更され、これに伴って表示像30の高さ方向の位置が変更されることになる。凹面鏡131が時計方向に回転されると、表示像30の位置は、ウインドシールド20の上側に移動される。また、凹面鏡131が反時計方向に回転されると、表示像30の位置は、ウインドシールド20の下側に移動される。
【0032】
駆動部140は、反射部130を駆動して(回転させることで)、表示光に対する反射角度を調整する装置である。駆動部140は、モータによって車両1の前後方向に摺動されるアーム141を有している。モータは、例えば、入力されるパルス電圧に同期して動作する同期電動機(ステップモータ)となっている。
【0033】
アーム141は、モータ側と凹面鏡131とを接続する棒状部材である。アーム141の一端側は、モータによって車両1の前後方向に摺動される摺動部材に固定されており、また、アーム141の他端側は、凹面鏡131の、例えば、下端側に接続されている。凹面鏡131とアーム141は、リンク機構を成している。つまり、アーム141は、摺動部材によって摺動して、凹面鏡131を回転(回動)させるようになっている。
【0034】
アーム141が、凹面鏡131側に摺動するほど、凹面鏡131は、時計方向に回転して、凹面鏡131の傾きは小さくなる(垂直方向に立ち上がる)。逆に、アーム141が、凹面鏡131とは反対側に摺動するほど、凹面鏡131は、反時計方向に回転して、凹面鏡131の傾きは大きくなる(水平方向に寝る)。また、アーム141の摺動範囲が小さいほど、凹面鏡131の傾きの変化量が小さくなり、逆に、アーム141の摺動範囲が大きいほど、凹面鏡131の傾きの変化量が大きくなる。
【0035】
筐体150は、バックライト110、液晶ディスプレイ120、反射部130、駆動部140、および制御装置180等を収容する容器部材である。筐体150の上面には、上記で説明したように、インストルメントパネル10の開口部10aに対応するように開口部151が設けられている。開口部151は、反射部130によって反射された表示光をウインドシールド20に向けて通過させる。
【0036】
防塵シート160は、筐体150の開口部151を閉塞して、開口部151からの塵、埃等の侵入を防止する閉塞部材となっている。防塵シート160の基材となるシート部は、板状を成しており、凹面鏡131からの表示光、および太陽光(可視光)を透過させる透光性を有している。シート部は、例えば、透明な樹脂材(ポリカーボネートもしくはアクリル等)から形成されている。尚、シート部の材質としては、上記の樹脂材に代えて、ガラス材としてもよい。
【0037】
位置調整スイッチ170は、ドライバが入力操作することでウインドシールド20における表示像30の位置を、ドライバの好みに応じて、上側、あるいは下側に調整するための要求信号を生成する入力部となっている。位置調整スイッチ170は、例えばドライバに対向する四角形のスイッチ面を有しており、このスイッチ面の上側を押込むことで、表示像30の位置を上側に変更する要求信号が生成され、また、スイッチ面の下側を押込むことで、表示像30の位置を下側に変更する要求信号が生成されるようになっている。そして、生成された要求信号は、制御装置180に出力されるようになっている。
【0038】
制御装置180は、液晶ディスプレイ120の表示情報を制御すると共に、位置調整スイッチ170からの要求信号、あるいはイグニッションスイッチのオンオフ信号に応じて駆動部140におけるモータの作動を制御する制御手段となっている。
【0039】
表示装置100は、上記のように構成されており、以下、制御装置180による、表示装置100の作動について説明する。
【0040】
制御装置180は、車両1のイグニッションスイッチがオフされると、駆動部140のモータを作動させることで、反射部130の回転位置(反射角度)を、通常使用するドライバ設定位置から、筐体150内への太陽光の入射に伴う反射を抑制するためのリセットポジションに変更させるようになっている。
【0041】
そして、制御装置180は、イグニッションスイッチがオンされると、駆動部140を作動させることで、反射部130の回転位置をリセットポジションから、一旦、原点位置へ移動させる原点出し制御を行った後に、先回の運転時にドライバによって設定されていたドライバ設定位置に戻す。原点位置は、モータの回転における基本となる位置であり、上記のリセットポジション、およびドライバ設定位置への制御のために使用される。
【0042】
そして、制御装置180は、表示切替えスイッチによるドライバの指示に基づいて表示すべき表示情報を決定すると共に、駆動回路を介して液晶ディスプレイ120に表示情報を形成させる。
【0043】
すると、
図1に示すように、液晶ディスプレイ120は、バックライト110から出射される光によって、表示情報を表示光として反射部130(凹面鏡131)に出射させる。反射部130は、液晶ディスプレイ120から出射された表示光を、開口部151、防塵シート160、および開口部10aを通して、ウインドシールド20の投射位置20aに反射させる。投射位置20aに反射された表示光(表示情報)は、ドライバと投射位置20aとを結ぶ線の車両1の前方延長線上(ドライバの視野前方)に表示像30(虚像)として表示(結像)されて、ドライバに視認されることになる。
【0044】
そして、ドライバによって位置調整スイッチ170が操作されて、表示像30の位置を変更するための要求信号が生成されると、制御装置180は、駆動部140を作動させて、アーム141によって、反射部130を要求方向に回転させてドライバ設定位置に調整する。
【0045】
具体的には、要求信号が上側の要求であると、モータは、正方向に回転されて、アーム141が反射部130側に移動する。すると、
図1中、反射部130の上端側がドライバに近づく方向に回転され、表示像30はウインドシールド20において上側に移動される。逆に、要求信号が下側の要求であると、モータは、逆方向に回転されて、アーム141が反射部130とは反対側に移動する。すると、
図1中、反射部130の上端側がドライバから離れる方向に回転され、表示像30はウインドシールド20において下側に移動される。
【0046】
本実施形態では、反射部130(凹面鏡131)の上辺131aがドライバ(運転者)側から見て車両1の横方向外側に向けて下がるように傾斜して配置されている。
【0047】
これにより、ウインドシールド20が、後方に回り込むように湾曲していても、反射部130の左端側と右端側とで、表示光の反射部130からウインドシールド20(投射位置20a)に至る距離を同等にすることができるので(
図2(b))、表示像30(虚像)に対する歪を抑制できる。本実施形態では、反射部130の姿勢を傾けるといった簡単な内容で、歪の抑制が可能となる。
【0048】
また、比較例の
図3(a)に対して、反射部130を傾斜させることで、
図3(b)に示すように、凹面鏡131を、オプトフェースOPに沿って作成することが可能になるので、凹面鏡131のサイズを比較例よりも小さくすることができる。
【0049】
(第2実施形態)
第2実施形態の表示装置100Aを
図4に示す。第2実施形態の表示装置100Aは、第1実施形態の表示装置100に対して、液晶ディスプレイ120の配置を変更すると共に、他の反射部130Aを追加したものである。
【0050】
液晶ディスプレイ120の表示面は、例えば、仮想されるX-Y平面に沿うように、つまり出射方向が車両1の上側を向くように配置されている。そして、他の反射部130Aは、液晶ディスプレイ120からの表示光を反射させて、反射部130に入射させるように設けられている。他の反射部130Aの反射面は、例えば、平面鏡として形成されている。
【0051】
これにより、液晶ディスプレイ120と反射部130との直接的な距離を小さくしても、液晶ディスプレイ120からの表示光を他の反射部130Aで反射させることで、液晶ディスプレイ120から反射部130に至るまでの表示光の距離を同等にすることができる。よって、液晶ディスプレイ120と、反射部130との直接的な距離を短くすることができ、表示装置100Aの車両1の前後方向の寸法を小さくすることができる。
【0052】
(第2実施形態の変形例)
上記第2実施形態では、他の反射部130Aの反射面を平面鏡としたが、これに限らず、表示像30(虚像)に対する歪を補正可能なように、非平面に形成したものとしてもよい。非平面は、例えば、凸面、凹面、あるいはS字面等とすることができる。
【0053】
これにより、上記第1実施形態で説明した、凹面鏡131の上辺131aを傾けることによる表示像30の歪抑制の効果に加えて、更に他の反射部130Aによる歪低減の効果が得られるので、表示品位を更に向上させることができる。
【0054】
(その他の実施形態)
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、更に請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0055】
また、液晶ディスプレイ120(表示器)は、TFT液晶パネル、デュアルスキャンタイプのディスプレイ、TNセグメント液晶等が使用されるものとして説明したが、これに限定されることなく、エレクトロルミネセンス等の自発光式の表示器としても良い。更に、レーザをスキャンするレーザプロジェクターとしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 車両1
20 ウインドシールド
30 表示像(虚像)
100、100A 車両用表示装置
120 液晶ディスプレイ(表示器)
130 反射部
130A 他の反射部
131a 上辺