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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】地上給電装置及び給電方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/80 20160101AFI20241119BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20241119BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20241119BHJP
   B60L 53/65 20190101ALI20241119BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20241119BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20241119BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241119BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20241119BHJP
【FI】
H02J50/80
B60L5/00 B
B60L53/12
B60L53/65
B60L53/66
B60M7/00 X
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/40
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021101180
(22)【出願日】2021-06-17
(65)【公開番号】P2023000398
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2023-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】池村 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】津下 聖悟
(72)【発明者】
【氏名】橋本 俊哉
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-078294(JP,A)
【文献】特開2019-057990(JP,A)
【文献】特開2012-035789(JP,A)
【文献】特開2015-144526(JP,A)
【文献】特開2016-047983(JP,A)
【文献】特開2019-180185(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0171969(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0274788(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
H02J 7/00
B60M 7/00
B60L 5/00
B60L 53/12
B60L 53/65
B60L 53/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に非接触で電力を送電する地上給電装置であって、
通信距離が10メートル未満の狭域無線通信によって前記車両と直接通信する通信装置と、
当該地上給電装置による送電を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、当該地上給電装置から第1の車両への給電中に前記通信装置が第2の車両から車両識別情報を受信した場合に、該通信装置が該第2の車両から該車両識別情報を受信したときに該第1の車両への給電を停止する、地上給電装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記通信装置が前記第2の車両から前記車両識別情報を受信した後に所定の開始条件が成立したときに、該第2の車両への給電を開始する、請求項1に記載の地上給電装置。
【請求項3】
当該地上給電装置にて給電を行う可能性のある車両の車両識別情報のリストを記憶する記憶部を更に備え、
前記制御装置は、当該地上給電装置から前記第1の車両への給電中に前記通信装置が前記第2の車両から前記車両識別情報を受信した場合に、該車両識別情報が前記リストに登録されているときには該第1の車両への給電を停止し、該車両識別情報が該リストに登録されていないときには該第1の車両への給電を継続する、請求項1又は2に記載の地上給電装置。
【請求項4】
地上給電装置によって車両を非接触で給電する給電方法であって、
前記地上給電装置から第1の車両への給電中に、該地上給電装置の通信装置が第2の車両から車両識別情報を受信した場合に、該通信装置が該第2の車両から該車両識別情報を受信したときに該第1の車両への給電を停止することを含む、給電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地上給電装置及び給電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁界共鳴方式のような伝送方式を用いて、地面に設けられた地上給電装置と車両との間で非接触で電力を伝送する技術が知られている。特許文献1に記載の非接触給電システムでは、狭域通信によって地上給電装置と車両とのペアリングが行われると、地上給電装置から車両への給電が行われ、車両のバッテリが充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-240132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、地上給電装置の上を通過する複数の車両を連続的に給電することが想定されていない。このため、給電中の先行車両と給電前の後続車両との距離が近い場合に、地上給電装置から後続車両への給電を適切なタイミングで開始できないおそれがある。
【0005】
上記課題に鑑みて、本発明の目的は、地上給電装置の近傍に複数の車両が存在する場合に、地上給電装置による給電対象を円滑に切り替えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0007】
(1)車両に非接触で電力を送電する地上給電装置であって、通信距離が10メートル未満の狭域無線通信によって前記車両と直接通信する通信装置と、当該地上給電装置による送電を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、当該地上給電装置から第1の車両への給電中に前記通信装置が第2の車両から車両識別情報を受信した場合に、該通信装置が該第2の車両から該車両識別情報を受信したときに該第1の車両への給電を停止する、地上給電装置。
【0008】
(2)前記制御装置は、前記通信装置が前記第2の車両から前記車両識別情報を受信した後に所定の開始条件が成立したときに、該第2の車両への給電を開始する、上記(1)に記載の地上給電装置。
【0009】
(3)当該地上給電装置にて給電を行う可能性のある車両の車両識別情報のリストを記憶する記憶部を更に備え、前記制御装置は、当該地上給電装置から前記第1の車両への給電中に前記通信装置が前記第2の車両から前記車両識別情報を受信した場合に、該車両識別情報が前記リストに登録されているときには該第1の車両への給電を停止し、該車両識別情報が該リストに登録されていないときには該第1の車両への給電を継続する、上記(1)又は(2)に記載の地上給電装置。
【0010】
(4)地上給電装置によって車両を非接触で給電する給電方法であって、前記地上給電装置から第1の車両への給電中に、該地上給電装置の通信装置が第2の車両から車両識別情報を受信した場合に、該通信装置が該第2の車両から該車両識別情報を受信したときに該第1の車両への給電を停止することを含む、給電方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、地上給電装置の近傍に複数の車両が存在する場合に、地上給電装置による給電対象を円滑に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、非接触給電システムの構成を概略的に示す図である。
図2図2は、コントローラ及びコントローラに接続された機器の概略的な構成図である。
図3図3は、ECU及びECUに接続された機器の概略的な構成図である。
図4図4は、道路に設けられる磁界検出機の配列の一例を示す図である。
図5図5は、非接触給電システムにおいて用いられる通信システムの概略的な構成図である。
図6図6は、サーバのハードウェア構成を概略的に示す図である。
図7図7は、広域無線通信を利用した車両、サーバ及び地上給電装置間の通信に関する動作シーケンス図である。
図8図8は、広域無線通信を利用した車両、サーバ及び地上給電装置間の通信に関する、図7と同様な動作シーケンス図である。
図9図9は、サーバにおける、広域無線通信を利用した通信に関する処理の流れを示すフローチャートである。
図10図10は、地上給電装置における、広域無線通信を利用した通信に関する処理の流れを示すフローチャートである。
図11図11は、車両が地上給電装置に接近して給電が行われるときの車両及び地上給電装置の動作及び状態の推移を概略的に示す図である。
図12図12は、地上給電装置の状態及び動作の遷移を概略的に示す図である。
図13図13は、地上給電装置の状態及び動作の遷移を概略的に示す図である。
図14図14は、車両の状態及び動作の遷移を概略的に示す図である。
図15図15は、受電終了処理の実行に関する作業の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0014】
<非接触給電システムの全体構成>
図1は、非接触給電システム1の構成を概略的に示す図である。非接触給電システム1は、地上給電装置2と、道路100上の走行する車両3とを有し、地上給電装置2から車両3へ磁界共振結合(磁界共鳴)による非接触電力伝送を行う。特に、本実施形態では、非接触給電システム1は、車両3が走行しているときに、地上給電装置2から車両3への非接触電力伝送を行う。したがって、地上給電装置2は、車両3が走行しているときに、車両3へ非接触で電力を送電し、車両3は、車両3が走行しているときに、地上給電装置2から非接触で電力を受電する。地上給電装置2は、非接触で車両3に送電するように構成された送電装置4を有し、車両3は、非接触で送電装置4から受電するように構成された受電装置5を有する。図1に示されるように、送電装置4は車両3が走行する道路100内(地中)に、例えば車両3が走行する車線の中央に、埋め込まれる。
【0015】
なお、走行中という用語は、車両3が走行のために道路上に位置する状態を意味する。したがって、走行中という用語は、車両3が実際にゼロよりも大きい任意の速度で走っている状態のみならず、例えば信号待ちなどによって道路上で停止している状態も含む。一方、車両3が道路上に位置していても、例えば駐停車されているような場合には、走行中には含まれない。
【0016】
<地上給電装置の構成>
図1に示されるように、地上給電装置2は、送電装置4に加えて、電源21及びコントローラ22を備える。電源21及びコントローラ22は、道路100内に埋め込まれてもよいし、道路100内とは別の場所(地上を含む)に配置されてもよい。
【0017】
電源21は、送電装置4に電力を供給する。電源21は、例えば、単層交流電力を供給する商用交流電源である。なお、電源21は、三相交流電力を供給する他の交流電源であってもよいし、燃料電池のような直流電源であってもよい。
【0018】
送電装置4は、電源21から供給された電力を車両3へ送る。送電装置4は、送電側整流回路41、インバータ42及び送電側共振回路43を有する。送電装置4では、電源21から供給される交流電力が送電側整流回路41において整流されて直流電流に変換され、この直流電流がインバータ42において交流電力に変換され、この交流電力が送電側共振回路43に供給される。
【0019】
送電側整流回路41は、電源21及びインバータ42に電気的に接続される。送電側整流回路41は、電源21から供給される交流電力を整流して直流電力に変換し、直流電力をインバータ42に供給する。送電側整流回路41は例えばAC/DCコンバータである。
【0020】
インバータ42は送電側整流回路41及び送電側共振回路43に電気的に接続される。インバータ42は、送電側整流回路41から供給された直流電力を、電源21の交流電力よりも高い周波数の交流電力(高周波電力)に変換し、高周波電力を送電側共振回路43に供給する。
【0021】
送電側共振回路43は、コイル44及びコンデンサ45から構成される共振器を有する。コイル44及びコンデンサ45の各種パラメータ(コイル44の外径及び内径、コイル44の巻数、コンデンサ45の静電容量等)は、送電側共振回路43の共振周波数が所定の設定値になるように定められる。所定の設定値は、例えば10kHz~100GHzであり、好ましくは、非接触電力伝送用の周波数帯域としてSAE TIR J2954規格によって定められた85kHzである。
【0022】
送電側共振回路43は、コイル44の中心が車線の中央に位置するように、車両3が通過する車線の中央に配置される。インバータ42から供給された高周波電力が送電側共振回路43に印加されると、送電側共振回路43は、送電するための交流磁界を発生させる。なお、電源21が直流電源である場合には、送電側整流回路41は省略されてもよい。
【0023】
コントローラ22は、例えば汎用コンピュータであり、地上給電装置2の各種制御を行う。例えば、コントローラ22は、送電装置4のインバータ42に電気的に接続され、送電装置4による電力送信を制御すべくインバータ42を制御する。さらに、コントローラ22は、後述する地上側第1通信装置81及び地上側第2通信装置82を制御する。
【0024】
図2は、コントローラ22及びコントローラ22に接続された機器の概略的な構成図である。コントローラ22は、通信インターフェース221、メモリ222及びプロセッサ223を備える。通信インターフェース221、メモリ222及びプロセッサ223は信号線を介して互いに接続されている。
【0025】
通信インターフェース221は、地上給電装置2を構成する各種機器(例えば、インバータ42、後述する地上側センサ23、地上側第1通信装置81及び地上側第2通信装置82など)にコントローラ22を接続するためのインターフェース回路を有する。コントローラ22は、通信インターフェース221を介して他の機器と通信する。
【0026】
メモリ222は、例えば、揮発性の半導体メモリ(例えば、RAM)、不揮発性の半導体メモリ(例えば、ROM)等を有する。メモリ222は、プロセッサ223において各種処理を実行するためのコンピュータプログラムや、プロセッサ223によって各種処理が実行されるときに使用される各種データ等を記憶する。メモリ222は、例えば、地上給電装置2にて給電を行う可能性のある車両の車両識別情報のリスト(以下、「識別情報リスト」という)及び給電中の車両3の車両識別情報を記憶する。
【0027】
プロセッサ223は、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ223は、論理演算ユニット又は数値演算ユニットのような演算回路を更に有していてもよい。プロセッサ223は、メモリ222に記憶されたコンピュータプログラムに基づいて、各種処理を実行する。
【0028】
また、図2に示されるように、地上給電装置2は、地上側センサ23を更に備える。地上側センサ23は、地上給電装置2の状態を検出する。本実施形態では、地上側センサ23は、例えば、送電装置4の各種機器(特に、送電側共振回路43、インバータ42及び送電側整流回路41)に流れる電流を検出する送電装置電流センサ、送電装置4の各種機器に加わる電圧を検出する送電装置電圧センサ、送電装置4の各種機器の温度を検出する送電装置温度センサ、送電装置4が埋め込まれた道路上の異物を検出する異物センサ、及び送電装置4が埋め込まれた道路上の生体を検出する生体センサを含む。地上側センサ23の出力は、コントローラ22に入力される。
【0029】
なお、送電装置4は、車両3から電力を受電することができるように構成されてもよい。この場合、送電装置4は、後述する車両3の受電装置5と同様に、受電した電力を電源21に供給するための装置又は回路を有する。また、この場合、送電装置4は、車両3から電力を受電するのに、上述したコイル44及びコンデンサ45から構成される共振器を利用してもよい。
【0030】
<車両の構成>
一方、車両3は、図1に示されるように、受電装置5に加えて、モータ31、バッテリ32、パワーコントロールユニット(PCU)33及び電子制御ユニット(ECU)34を有する。本実施形態では、車両3は、モータ31が車両3を駆動する電動車両(EV)である。しかしながら、車両3は、モータ31に加えて内燃機関が車両3を駆動するハイブリッド車両(HV)であってもよい。
【0031】
モータ31は、例えば交流同期モータであり、電動機及び発電機として機能する。モータ31は、電動機として機能するとき、バッテリ32に蓄えられた電力を動力源として駆動される。モータ31の出力は減速機及び車軸を介して車輪30に伝達される。一方、車両3の減速時には車輪30の回転によってモータ31が駆動され、モータ31は発電機として機能して回生電力を発電する。
【0032】
バッテリ32は、充電可能な二次電池であり、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等から構成される。バッテリ32は車両3の走行に必要な電力(例えばモータ31の駆動電力)を蓄える。送電装置4から受電装置5が受電した電力が供給されると、バッテリ32が充電される。また、モータ31によって発電された回生電力がバッテリ32に供給されると、バッテリ32が充電される。バッテリ32が充電されると、バッテリ32の充電率(SOC:State Of Charge)が回復する。なお、バッテリ32は、車両3に設けられた充電ポートを介して地上給電装置2以外の外部電源によっても充電可能であってもよい。
【0033】
PCU33はバッテリ32及びモータ31に電気的に接続される。PCU33は、インバータ、昇圧コンバータ及びDC/DCコンバータを有する。インバータは、バッテリ32から供給された直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ31に供給する。一方、インバータは、モータ31によって発電された交流電力(回生電力)を直流電力に変換し、直流電力をバッテリ32に供給する。昇圧コンバータは、バッテリ32に蓄えられた電力がモータ31に供給されるときに、必要に応じてバッテリ32の電圧を昇圧する。DC/DCコンバータは、バッテリ32に蓄えられた電力がヘッドライト等の電子機器に供給されるときに、バッテリ32の電圧を降圧する。
【0034】
受電装置5は、送電装置4から受電し、受電した電力をバッテリ32に供給する。受電装置5は、受電側共振回路51、受電側整流回路54及び充電回路55を有する。
【0035】
受電側共振回路51は、路面との距離が小さくなるように車両3の底部に配置される。本実施形態では、受電側共振回路51は、車幅方向において車両3の中央に配置される。受電側共振回路51は、送電側共振回路43と同様の構成を有し、コイル52及びコンデンサ53から構成される共振器を有する。コイル52及びコンデンサ53の各種パラメータ(コイル52の外径及び内径、コイル52の巻数、コンデンサ53の静電容量等)は、受電側共振回路51の共振周波数が送電側共振回路43の共振周波数と一致するように定められる。なお、受電側共振回路51の共振周波数と送電側共振回路43の共振周波数とのずれ量が小さければ、例えば受電側共振回路51の共振周波数が送電側共振回路43の共振周波数の±20%の範囲内であれば、受電側共振回路51の共振周波数は送電側共振回路43の共振周波数と必ずしも一致している必要はない。
【0036】
図1に示されるように受電側共振回路51が送電側共振回路43と対向しているときに、送電側共振回路43によって交流磁界が生成されると、交流磁界の振動が、送電側共振回路43と同一の共振周波数で共鳴する受電側共振回路51に伝達される。この結果、電磁誘導によって受電側共振回路51に誘導電流が流れ、誘導電流によって受電側共振回路51において誘導起電力が発生する。すなわち、送電側共振回路43は受電側共振回路51へ送電し、受電側共振回路51は送電側共振回路43から受電する。
【0037】
受電側整流回路54は受電側共振回路51及び充電回路55に電気的に接続される。受電側整流回路54は、受電側共振回路51から供給される交流電力を整流して直流電力に変換し、直流電力を充電回路55に供給する。受電側整流回路54は例えばAC/DCコンバータである。
【0038】
充電回路55は受電側整流回路54及びバッテリ32に電気的に接続される。特に、バッテリ32へは、リレー38を介して接続される。充電回路55は、受電側整流回路54から供給された直流電力をバッテリ32の電圧レベルに変換してバッテリ32に供給する。送電装置4から送電された電力が受電装置5によってバッテリ32に供給されると、バッテリ32が充電される。充電回路55は例えばDC/DCコンバータである。
【0039】
ECU34は車両3の各種制御を行う。例えば、ECU34は、受電装置5の充電回路55に電気的に接続され、送電装置4から送信された電力によるバッテリ32の充電を制御すべく充電回路55を制御する。また、ECU34は、PCU33に電気的に接続され、バッテリ32とモータ31との間の電力の授受を制御すべくPCU33を制御する。さらに、ECU34は、後述する車両側第1通信装置71及び車両側第2通信装置72を制御する。
【0040】
図3は、ECU34及びECU34に接続された機器の概略的な構成図である。ECU34は、通信インターフェース341、メモリ342及びプロセッサ343を有する。通信インターフェース341、メモリ342及びプロセッサ343は信号線を介して互いに接続されている。
【0041】
通信インターフェース341は、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内ネットワークにECU34を接続するためのインターフェース回路を有する。ECU34は、通信インターフェース341を介して他の機器と通信する。
【0042】
メモリ342は、例えば、揮発性の半導体メモリ(例えば、RAM)及び不揮発性の半導体メモリ(例えばROM)を有する。メモリ342は、プロセッサ343において各種処理を実行するためのコンピュータプログラムや、プロセッサ343によって各種処理が実行されるときに使用される各種データ等を記憶する。
【0043】
プロセッサ343は、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ343は、論理演算ユニット又は数値演算ユニットのような演算回路を更に有していてもよい。プロセッサ343は、メモリ342に記憶されたコンピュータプログラムに基づいて、各種処理を実行する。
【0044】
また、図3に示されるように、車両3は、GNSS受信機35、ストレージ装置36、複数の車両側センサ37及びリレー38を更に備える。GNSS受信機35、ストレージ装置36、車両側センサ37及びリレー38は車内ネットワークを介してECU34に電気的に接続される。
【0045】
GNSS受信機35は、複数(例えば3つ以上)の測位衛星から得られる測位情報に基づいて、車両3の現在位置(例えば車両3の緯度及び経度)を検出する。具体的には、GNSS受信機35は、複数の測位衛星を捕捉し、測位衛星から発信された電波を受信する。そして、GNSS受信機35は、電波の発信時刻と受信時刻との差に基づいて測位衛星までの距離を算出し、測位衛星までの距離及び測位衛星の位置(軌道情報)に基づいて車両3の現在位置を検出する。GNSS受信機35の出力、すなわちGNSS受信機35によって検出された車両3の現在位置はECU34に送信される。このGNSS受信機35として、例えば、GPS受信機が用いられる。
【0046】
ストレージ装置36は、データを記憶する。ストレージ装置36は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)又は光記録媒体を備える。本実施形態では、ストレージ装置36は、地図情報を記憶する。地図情報には、道路に関する情報に加えて、地上給電装置2の設置位置情報等の情報が含まれる。ECU34はストレージ装置36から地図情報を取得する。なお、ストレージ装置36には地図情報が含まれていなくてもよく、この場合、ECU34は車両側第1通信装置71を介して車両3の外部(例えば、後述するサーバ91)から地図情報を取得してもよい。
【0047】
車両側センサ37は、車両3の状態を検出する。本実施形態では、車両側センサ37は、車両3の状態を検出するセンサとして、車両3の速度を検出する速度センサ、バッテリ32の温度を検出するバッテリ温度センサ、受電装置5の各種機器(特に、受電側共振回路51及び受電側整流回路54)の温度を検出する受電装置温度センサ、バッテリ32の充電電流値及び放電電流値を検出するバッテリ電流センサ、受電装置5の各種機器に流れる電流を検出する受電装置電流センサ、及び受電装置5の各種機器に加わる電圧を検出する受電装置電圧センサを含む。車両側センサ37の出力は、ECU34に入力される。
【0048】
リレー38は、バッテリ32と受電装置5との間に配置されて、バッテリ32と受電装置5とを接続・遮断する。リレー38が接続されているときには受電装置5が受電した電力がバッテリ32に供給される。しかしながら、リレー38が遮断されているときには受電装置5からバッテリ32へ電流が流れず、よって受電装置5は実質的に受電することができなくなる。
【0049】
なお、受電装置5は、地上給電装置2へ電力を送電することができるように構成されてもよい。この場合、受電装置5は、地上給電装置2の送電装置4と同様に、バッテリ32の電力を地上給電装置2へ送電するための構成を有する。また、この場合、受電装置5は、地上給電装置2へ電力を送電するのに、上述したコイル52及びコンデンサ53から構成される共振器を利用してもよい。
【0050】
<横ズレ検出装置の構成>
非接触電力伝送を効率的に行うためには、地上給電装置2の送電装置4と車両3の受電装置5との位置ズレが小さいことが必要である。このため、本実施形態では、非接触給電システム1は、車両3の進行方向に垂直な方向における送電装置4と受電装置5との位置ズレ(以下、「横ズレ」という)を検出するための横ズレ検出装置を有する。特に、本実施形態では、横ズレ検出装置は、車両3に設けられた交流磁界発生回路61及び交流電力発生回路64と、地上給電装置2に設けられた磁界検出機66とを備える。
【0051】
交流磁界発生回路61は、送電装置4(特に、送電側共振回路43)と受電装置5(特に、受電側共振回路51)との相対的な位置関係を検知するための交流磁界(以下、「横ズレ検知用の交流磁界」と称する)を発生させる。交流磁界発生回路61は、路面との距離が小さくなるように車両3の底部に配置される。本実施形態では、交流磁界発生回路61は、車幅方向において車両3の中央に配置され、車両3の前後方向において受電側共振回路51よりも前方に配置される。なお、交流磁界発生回路61は車両3の前後方向において受電側共振回路51と同一の位置又は受電側共振回路51よりも後方に配置されてもよい。
【0052】
交流磁界発生回路61は、送電側共振回路43と同様の構成を有し、コイル62及びコンデンサ63から構成される共振器を有する。コイル62及びコンデンサ63の各種パラメータ(コイル62の外径及び内径、コイル62の巻数、コンデンサ63の静電容量等)は、交流磁界発生回路61の共振周波数が所定の設定値になるように定められる。所定の設定値は、送電側共振回路43の共振周波数、すなわち磁界共振結合の共振周波数とは異なる値に設定される。なお、交流磁界発生回路61は必ずしも共振により磁界を発生させる必要はなく、よってコンデンサ63を有していなくてもよい。
【0053】
交流電力発生回路64は、バッテリ32及び交流磁界発生回路61に電気的に接続される。交流電力発生回路64は、交流電力を発生させ、交流電力を交流磁界発生回路61に供給する。例えば、交流電力発生回路64は発振回路及び増幅器を有する。発振回路は、例えばインバータから構成され、バッテリ32から供給された直流電力を所定周波数の交流電力に変換する。増幅器は発振回路の出力電力(交流電力)を増幅する。
【0054】
図1に示されるように、交流電力発生回路64はECU34に電気的に接続され、ECU34は交流電力発生回路64を制御する。交流電力発生回路64は、ECU34からの指令に基づいて、バッテリ32から供給された直流電力を交流電力に変換し、交流電力を交流磁界発生回路61に供給する。
【0055】
磁界検出機66は周囲の磁界を検出する。磁界検出機66は、例えば、磁気インピーダンス(MI:Magneto-Impedance)センサである。磁界検出機66の駆動電力は、例えば電源21等から駆動回路を介して磁界検出機66に供給される。なお、磁界検出機66は、ホールセンサ、磁気抵抗効果(MR:Magneto Resistive)センサ等であってもよい。
【0056】
図4は、道路100に設けられる磁界検出機66の配列の一例を示す図である。図4に示されるように、磁界検出機66は、送電装置4が設けられた道路において、車両3の進行方向において送電装置4の送電側共振回路43よりも手前に配置される。また、車両3の進行方向に対して垂直な方向に複数並んで配置される。特に、本実施形態では、複数の磁界検出機66は、車両3の進行方向に対して垂直な方向において互いに離間され、例えばこの方向において等間隔で配置される。また、磁界検出機66は地中(路面の下)又は路面の上に配置される。磁界検出機66の周囲の車両3から横ズレ検知用の交流磁界が発せられると、磁界検出機66は位置ズレ検知用の交流磁界を検出する。
【0057】
磁界検出機66はコントローラ22に電気的に接続され、磁界検出機66の出力はコントローラ22に送信される。したがって、本実施形態では、コントローラ22には、磁界検出機66からの出力が入力され、コントローラ22は、この出力に基づいて、受電側共振回路51と送電側共振回路43との間の横ズレの有無、すなわち送電装置4と受電装置5との横ズレの有無を検出する。
【0058】
このように構成された横ズレ検出装置では、車両3が地上給電装置2上を通過するときに複数並んだ磁界検出機66によって検出される磁界の強度に応じて、受電側共振回路51と送電側共振回路43との間における車両3の進行方向に垂直な方向の横ズレを検出する。受電側共振回路51と送電側共振回路43との間の横ズレが小さい場合、すなわち車両3が車線の中央付近を走行している場合には、車線の中央に配置された磁界検出機66によって検出される磁界の強度が最も強くなる。一方、受電側共振回路51と送電側共振回路43との間の横ズレが大きい場合、すなわち車両3が車線の中央からずれて走行している場合には、車線の中央から離れて配置された磁界検出機66によって検出される磁界の強度が最も強くなる。横ズレ検出装置は、このようにして受電側共振回路51と送電側共振回路43との間の横ズレの有無、すなわち送電装置4と受電装置5との横ズレの有無を検出することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、車両3に交流磁界発生回路61が設けられ、地上給電装置2に磁界検出機66が設けられる。しかしながら、地上給電装置2に交流磁界発生回路61が設けられ、車両3に磁界検出機が設けられてもよい。この場合、車両3に設けられた磁界検出機の出力に基づいて、車両3のECU34が受電側共振回路51と送電側共振回路43との間の横ズレの有無を検出する。
【0060】
また、本実施形態では、横ズレ検出装置は、磁界を用いて横ズレの有無を検出している。しかしながら、横ズレ検出装置は、磁界以外を用いて横ズレを検出してもよく、例えば、超音波を用いたソナー等であってもよい。また、本実施形態では、横ズレ検出装置は、横ズレの有無を検出しているが、車線の中央からの車両3の横ズレ量を検出してもよい。この場合、横ズレ検出装置によって検出された横ズレ量が所定の基準値以上である場合に、横ズレ検出装置は横ズレが生じていると判断する。
【0061】
<通信システムの構成>
図1に示されるような非接触給電システム1において、地上給電装置2から車両3へ非接触電力伝送を行うためには、地上給電装置2は、送電装置4上を走行する車両3を特定する必要があり、また、その車両3の要求給電電力などの情報が必要になる。このため、斯かる非接触電力伝送を行うためには、車両3から地上給電装置2へ車両識別情報を含む各種の車両情報を送信する必要があり、また、地上給電装置2は車両3から送信された車両情報を受信する必要がある。
【0062】
地上給電装置2は、送電装置4上を走行する車両3を特定するためには、地上給電装置2付近を走行する車両3のみから車両識別情報を受信することが必要になる。その一方で、車両3の速度が速くなると、地上給電装置2付近を走行する間に車両3から要求給電電力などを含む全ての車両情報を受信することができなくなるおそれがある。
【0063】
そこで、本実施形態では、車両3は、車両3が地上給電装置2の設置位置からある程度離れているときに、車両識別情報と紐づけられた車両情報を広域無線通信により、車両3から地上給電装置へ送信する。そして、車両3は、車両3が地上給電装置2の設置位置に近づいたときに、或いは車両3が地上給電装置2の送電装置4に到達したときに、車両識別情報を狭域無線通信により車両3から地上給電装置2に送信する。すなわち、本実施形態では、車両情報が広域無線通信で車両3から地上給電装置2に予め送信された後、車両識別情報が狭域無線通信で車両3から地上給電装置2に送信される。
【0064】
ここで、車両識別情報は、車両3を識別するための情報、例えば、車両IDである。この車両識別情報は、車両3のECU34のメモリ342内に予め記憶されている。
【0065】
また、車両情報は、電力伝送に関する車両3の情報であり、車両識別情報を含む。車両情報は、例えば、地上給電装置2から受電することを要求する電力(又は、電力量)、すなわち、車両要求電力(又は、車両要求電力量)を含む。車両要求電力は、車両3のECU34内において算出される。また、車両情報は、受電装置5の状態(バッテリ32と受電装置5との接続状態)、バッテリ32の充電率SOC、バッテリ32の温度及び許容充電電力Winのような車両の状態に関する情報を含んでもよい。この場合、バッテリ32の充電率SOCは、車両側センサ37(バッテリ電流センサ)によって検出されたバッテリ32の充電電流値及び放電電流値に基づいて、ECU34において算出される。また、バッテリ32の温度は、車両側センサ37(バッテリ温度センサ)により検出される。また、許容充電電力Winは、リチウムイオン電池の負極表面に金属リチウムを析出させないための充電電力の最大値を示しており、この許容充電電力Winは、バッテリ32の充電履歴、バッテリ32の充電率SOCおよびバッテリ32の温度に基づいてECU34において算出される。
【0066】
加えて、車両情報は、車両3の現在位置情報を含む。車両3の現在位置情報は、GNSS受信機35の出力に基づいて、ECU34において算出される。さらに、車両情報は、受電装置5のコイル44およびコンデンサ45の各種パラメータ(コイル44の外径及び内径、コイル44の巻数、コンデンサ45の静電容量等)、コイル44の地面からの高さ、及び受電側共振回路51の共振周波数のような受電装置5に関する情報を含んでもよい。斯かる車両情報は、車両3のECU34のメモリ342内に予め記憶されている。さらに、車両情報は、利用料金を請求する際に必要なユーザ情報、例えば、ユーザの決済口座を特定するための認証情報を含んでもよい。斯かる車両情報は、例えば、車両3の入力装置によりユーザにより事前に登録されるか、又は車両3に設けられたカード読み取り装置に認証情報を有するカードを挿入することによって事前に登録される。
【0067】
図5は、非接触給電システム1において用いられる通信システムの概略的な構成図である。図3及び図5に示されるように、車両3は、広域無線通信を行う車両側第1通信装置71と、狭域無線通信を行う車両側第2通信装置72とを有する。これら車両側第1通信装置71及び車両側第2通信装置72は、車内ネットワークを介してECU34に接続される。一方、図2及び図5に示されるように、地上給電装置2は、広域無線通信を行う地上側第1通信装置81と、狭域無線通信を行う地上側第2通信装置82とを有する。これら地上側第1通信装置81及び地上側第2通信装置82は、有線で電気的にコントローラ22に接続される。特に、本実施形態では、車両側第1通信装置71と地上側第1通信装置81とは広域無線通信を利用して直接的に又は間接的に一方向又は双方向の通信を行う。また、車両側第2通信装置72と地上側第2通信装置82とは、狭域無線通信を利用して直接的に一方向又は双方向の通信を行う。
【0068】
広域無線通信は、狭域無線通信に比べて通信距離が長い通信であり、具体的には例えば通信距離が10メートルから10キロメートルの通信である。広域無線通信としては、通信距離が長い種々の無線通信を用いることができ、例えば、3GPP、IEEEによって策定された4G、LTE、5G、WiMAX等の任意の通信規格に準拠した通信が用いられる。上述したように、本実施形態では、広域無線通信を利用して、車両識別情報と紐づけられた車両情報が、車両3から地上給電装置2へ送信される。
【0069】
本実施形態では、車両3の車両側第1通信装置71と、地上給電装置2の地上側第1通信装置81とは、サーバ91を介して通信を行う。具体的には、サーバ91は、光通信回線などで構成される通信ネットワーク92を介して、複数の無線基地局93に接続される。車両側第1通信装置71及び地上側第1通信装置81は、広域無線通信を用いて、無線基地局93と通信する。したがって、車両3の車両側第1通信装置71と、地上給電装置2の地上側第1通信装置81とは、広域無線通信を用いて通信を行う。
【0070】
なお、地上側第1通信装置81は、通信ネットワーク92に有線で接続されていてもよい。したがって、地上側第1通信装置81は、無線でなく有線でサーバ91に接続されていてもよい。また、車両側第1通信装置71は、無線により直接、又は通信ネットワークを介して、サーバ91を介さずに地上側第1通信装置81と通信を行ってもよい。したがって、サーバ91は、車両3と広域無線通信により通信を行うと共に、地上給電装置2と無線又は有線で通信を行う。
【0071】
図6は、サーバ91のハードウェア構成を概略的に示す図である。サーバ91は、図6に示されるように、外部通信モジュール911と、記憶装置912と、プロセッサ913とを備える。また、サーバ91は、キーボード及びマウスといった入力装置、及び、ディスプレイといった出力装置を有していてもよい。
【0072】
外部通信モジュール911は、サーバ91外の機器(地上給電装置2、車両3など)と通信を行う。外部通信モジュール911は、サーバ91を通信ネットワーク92に接続するためのインターフェース回路を備える。外部通信モジュール911は、通信ネットワーク92及び無線基地局93を介して、複数の車両3及び地上給電装置2それぞれと通信可能に構成される。
【0073】
記憶装置912は、揮発性の半導体メモリ(例えば、RAM)、不揮発性の半導体メモリ(例えば、ROM)、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)又は光記録媒体を有する。記憶装置912は、プロセッサ913によって各種処理を実行するためのコンピュータプログラムや、プロセッサ913によって各種処理が実行されるときに使用される各種データを記憶する。また、本実施形態では、記憶装置912は、地図情報を記憶する。地図情報には、道路に関する情報に加えて、地上給電装置2の設置位置情報等の情報が含まれる。
【0074】
プロセッサ913は、一つ又は複数のCPU及びその周辺回路を有する。プロセッサ913は、GPU、又は論理演算ユニット若しくは数値演算ユニットのような演算回路を更に有していてもよい。プロセッサ913は、サーバ91の記憶装置912に記憶されたコンピュータプログラムに基づいて、各種の演算処理を実行する。
【0075】
狭域無線通信とは、広域無線通信に比べて通信距離が短い通信を示しており、具体的には例えば通信距離が10メートル未満である通信を示している。狭域無線通信としては、通信距離が短い種々の近距離無線通信を用いることができ、例えば、IEEE、ISO、IEC等によって策定された任意の通信規格(例えば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標))に準拠した通信が用いられる。また、狭域無線通信を行うための技術としては、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)、DSRC(dedicated Short Range Communication)等が用いられる。上述したように、本実施形態では、狭域無線通信を利用して、車両識別情報が、車両3から地上給電装置2へ送信される。
【0076】
本実施形態では、車両3の車両側第2通信装置72と、地上給電装置2の地上側第2通信装置82とは、狭域無線通信により直接通信を行う。本実施形態では、車両側第2通信装置72は、車両識別情報を含む信号を送信し、地上側第2通信装置82は、車両識別情報を含む信号を受信する。
【0077】
車両側第2通信装置72は、電波又は磁界を発生させるアンテナと、アンテナに電力又は電流を供給する送信回路とを有する。送信回路は、発振回路、変調回路及び増幅回路を有し、発振回路で生成された搬送波を、変調回路にて車両識別情報に応じて変調し、変調された搬送波を増幅回路によって増幅した交流電流(交流電力)を、アンテナに流す。この結果、アンテナにおいて、電波又は磁界が発生する。
【0078】
地上側第2通信装置82は、電波又は磁界を受信するアンテナと、アンテナが受信した電波又は磁界から情報と取り出す受信回路とを有する。受信回路は、増幅回路及び復調回路を有し、アンテナで受信した電波又は磁界によって生成された微弱電流を増幅回路にて増幅し、増幅された信号を復調回路にて復調することで、信号に含まれていた情報(ここでは、車両識別情報)を取り出す。
【0079】
なお、車両側第2通信装置72と地上側第2通信装置82との通信は、電波によって行われてもよいし、磁界によって(すなわち、電磁誘導によって)行われてもよい。特に、搬送波の周波数が低い場合(例えば、50Hz~50kHz)には、磁界によって通信が行われる。この場合、アンテナとしては、コイルが用いられる。
【0080】
また、本実施形態では、車両側第2通信装置72は信号を送信し、地上側第2通信装置82は信号を受信するように構成される。しかしながら、車両側第2通信装置72は信号の送信に加えて受信を行うことができるように受信回路を有していてもよく、また、地上側第2通信装置82は信号の受信に加えて送信を行うことができるように送信回路を有していてもよい。
【0081】
さらに、本実施形態では、車両側第2通信装置72及び地上側第2通信装置82は、横ズレ検出装置とは別の装置として車両3及び地上給電装置2に設けられている。しかしながら、横ズレ検出装置の交流磁界発生回路61が車両側第2通信装置72として用いられ、横ズレ検出装置の磁界検出機66が地上側第2通信装置82として用いられてもよい。この場合、交流磁界発生回路61では車両識別情報に応じて変調された交流電流によって交流磁界が発生され、磁界検出機66では検出した交流磁界によって生成された交流電流を復調することで車両識別情報が取り出される。したがって、この場合、磁界検出機66によって検出された磁界の強度に基づいて横ズレが検出され、磁界検出機66によって検出された磁界に含まれる信号から車両識別情報が取り出される。
【0082】
<給電の概略的な流れ>
次に、本実施形態の非接触給電システム1において、地上給電装置2から車両3へ非接触電力伝送を行うときの制御の概略的な流れについて説明する。
【0083】
地上給電装置2から車両3へ非接触電力伝送を行うにあたっては、まず、車両3のECU34が、車両側第1通信装置71に、車両識別情報と紐づけられた車両情報を地上給電装置2の地上側第1通信装置81へ送信させる。車両側第1通信装置71が車両識別情報と紐づけられた車両情報を送信すると、広域無線通信を介して、地上給電装置2の地上側第1通信装置81が斯かる車両情報を受信する。特に、本実施形態では、地上給電装置2の地上側第1通信装置81は、地上給電装置2の周りの所定の近傍領域内に位置する車両3について、その車両3の車両情報を受信する。
【0084】
上述したように、地上給電装置2のコントローラ22のメモリ222には、地上給電装置にて給電を行う可能性のある車両3の車両識別情報の識別情報リストが記憶されている。地上給電装置2のコントローラ22は、地上側第1通信装置81が車両3から車両識別情報と紐づけられた車両情報を受信すると、この車両情報に紐づけられた車両識別情報を識別情報リストに登録する。特に、本実施形態では、地上側第1通信装置81が近傍領域内に位置する車両3の車両情報を受信することから、識別情報リストには、近傍領域内に位置する車両3の車両識別情報が登録されていることになる。
【0085】
地上給電装置2のコントローラ22は、識別情報リストに車両3の車両識別情報が一つでも登録されていると、車両側第2通信装置72と通信することができるように、すなわち車両側第2通信装置72から車両識別情報を受信することができるように地上側第2通信装置82を作動させる(後述する、「受信待機状態」にする)。このように地上側第2通信装置82が作動されると、車両側第2通信装置72から車両識別情報を含む信号を発信している車両3が近づくと、地上側第2通信装置82は車両側第2通信装置72が発信する車両識別情報を含む信号を受信することができる。
【0086】
また、地上給電装置2のコントローラ22は、識別情報リストに車両識別情報が登録されたときには、地上側第1通信装置81に、車両識別情報が識別情報リストに登録された旨の通知をこの車両識別情報により特定される車両3へ送信させる。なお、上述したように識別情報リストに車両識別情報が登録されると、地上側第2通信装置82が作動される。したがって、車両識別情報が識別情報リストに登録された旨の通知は、地上給電装置2が狭域無線通信を利用して車両識別情報を受信することができるように地上側第2通信装置82が作動されること又は作動されていることを示す通知であるということができる。
【0087】
車両識別情報が識別情報リストに登録された旨の通知を地上側第1通信装置81から広域無線通信を介して車両側第1通信装置71が受信すると、車両3のECU34は、車両3が地上給電装置2に近づいたときに、車両識別情報を含む信号を地上給電装置2の地上側第2通信装置82に発信することができるように車両側第2通信装置72に電力を供給して作動させ、加えて、車両3が地上給電装置2の上を走行したときに地上給電装置2から電力を受電することができるように受電装置5に電力を供給して作動させる(後述する、「受電アクティブ・信号発信状態」)。
【0088】
車両側第2通信装置72が作動されて車両識別情報を含む信号を発信し、地上側第2通信装置82が車両側第2通信装置72と通信することができるように作動されている状態で、車両3が地上給電装置2に接近すると、地上側第2通信装置82は、車両3の車両側第2通信装置72から発信された車両識別情報を含む信号を受信する。
【0089】
地上給電装置2のコントローラ22は、地上側第2通信装置82が車両識別情報を受信すると、受信した車両識別情報を識別情報リストと照合する。そして、受信した車両識別情報が識別情報リストに登録されているときには、車両3が地上給電装置2の上を走行したときに車両3へ電力を送電することができるように送電側共振回路43に電力を供給する(後述する、「送電アクティブ状態」にする)。このように地上給電装置2の送電側共振回路43に電力が供給された状態であって且つ車両3の受電装置5が作動された状態で車両3が移動して、車両3の受電側共振回路51が地上給電装置2の送電側共振回路43上に位置すると、地上給電装置2から車両3への給電が行われる。その後、車両3が移動して、車両3の受電装置5が地上給電装置2の送電装置4から離れると給電が終了される。
【0090】
以上説明したように、本実施形態では、車両3のECU34は、地上給電装置2から電力を受電するときには、車両側第1通信装置71に車両識別情報と紐づけられた車両情報を地上給電装置2の地上側第1通信装置81へ送信させる。加えて、ECU34は、車両側第1通信装置71が車両情報を送信した後に、車両側第2通信装置72に車両識別情報を地上給電装置2の地上側第2通信装置82へ送信させる。この結果、地上給電装置2は、車両3が地上給電装置2付近を走行する間には車両識別情報のみを狭域無線通信を介して受信することが必要になり、その他の車両情報を狭域無線通信を介して受信することが必要なくなる。このため、車両3の速度が多少速くても、地上給電装置2に必要な情報を送信することができる。
【0091】
<広域無線通信を利用した通信>
次に、図7図10を参照して、広域無線通信を利用した車両3、サーバ91及び地上給電装置2間の通信及びこの通信に関する車両3、サーバ91及び地上給電装置2の動作について説明する。図7は、広域無線通信を利用した車両3、サーバ91及び地上給電装置2間の通信に関する動作シーケンス図である。
【0092】
図7に示されるように、車両3のECU34は、車両情報を取得すると共に、取得した車両情報を車両側第1通信装置71にサーバ91へ広域無線通信を介して送信させる(ステップS11)。上述したように、車両情報は、車両識別情報、受電装置5の各種パラメータ、車両3の現在位置情報、車両要求電力及び電力伝送に関する車両3のその他の情報を含む。ECU34は、車両識別情報及び受電装置5の各種パラメータをメモリ342から取得し、車両3の現在位置情報をGNSS受信機35から取得する。また、ECU34は、車両3の各種状態に基づいて、車両要求電力を算出する。具体的には、ECU34は、バッテリ32の充電率SOCが高いほど車両要求電力を小さく設定し、バッテリ32の温度が高いほど車両要求電力を小さく設定する。
【0093】
また、車両3のECU34は、所定の時間間隔毎に、車両側第1通信装置71に車両情報を送信させる。この時間間隔は、常に一定である。或いは、この時間間隔は、状況に応じて変化してもよい。この場合、具体的には、この時間間隔は、例えば、GNSS受信機35から取得された車両3の現在位置からストレージ装置36に記憶された地上給電装置2の設置位置までの距離が短いほど、短くなるように設定される。
【0094】
サーバ91は、サーバ91と通信可能な複数の車両3から車両情報を受信すると、車両情報に含まれる各車両3の現在位置情報に基づいて、各地上給電装置2の近傍領域内に位置する車両3の車両識別情報を特定する(ステップS12)。具体的には、サーバ91は、各車両3から受信した車両情報に含まれる各車両3の現在位置情報と、サーバ91の記憶装置912に格納された各地上給電装置2の設置位置情報とに基づいて、各地上給電装置2の周りの所定の近傍領域内に位置する車両3の車両識別情報を特定する。
【0095】
上記「近傍領域」は、例えば、対象となる地上給電装置2から所定の距離(例えば、500m)以内の領域として設定される。或いは、上記「近傍領域」は、地上給電装置2に向かう車両3が走行する車線については、対象となる地上給電装置2から所定の第1距離以内であり、且つ地上給電装置2から離れる車両3が走行する車線については、対象となる地上給電装置2から第1距離よりも短い所定の第2距離以内の領域として設定されてもよい。
【0096】
また、上記「近傍領域」は、車両3の速度が速くなるほど拡がる領域であってもよい。具体的には、例えば、速度が所定の基準速度以下の車両3に対して或る領域が「所定の領域」として設定されると、速度が所定の基準速度よりも速い車両に対して、上記或る領域を含み且つ上記或る領域よりも広い領域が「近傍領域」として設定される。この場合、車両3の速度が速くなるほど、車両側第1通信装置71により車両情報がサーバ91を介して地上給電装置2に送信されるときの、車両3の現在位置から地上給電装置2の設置位置までの距離が長くなる。
【0097】
サーバ91は、所定の時間間隔毎に、各地上給電装置2の近傍領域内に位置する車両3の車両識別情報を特定する。この時間間隔は、車両3のECU34が、サーバ91に車両情報を送信する最も短い時間間隔と同程度であることが好ましい。
【0098】
サーバ91は、各地上給電装置2の近傍領域内に位置する車両3の車両識別情報を特定すると、各地上給電装置2に特定された車両識別情報に紐づいた車両3の車両情報を通信ネットワーク92を介して送信する(ステップS13)。したがって、各地上給電装置2へは、サーバ91から、その地上給電装置2の周りの近傍領域内に位置する車両3の車両情報が送信される。このとき送信される車両情報には、車両識別情報の他に、地上給電装置2における車両3への給電に必要な情報が含まれる。
【0099】
地上給電装置2の地上側第1通信装置81がサーバ91から車両情報を受信すると、地上給電装置2のコントローラ22は、受信した車両情報に紐づいた車両識別情報に基づいて、識別情報リストへの車両識別情報の登録・消去を行う(ステップS14)。具体的には、本実施形態では、コントローラ22は、受信した車両情報に紐づいた車両識別情報が過不足なく識別情報リストに登録された状態になるように、識別情報リストへの車両識別情報の登録・消去を行う。
【0100】
地上給電装置2のコントローラ22は、車両識別情報を識別情報リストに登録・消去すると、サーバ91に識別情報リストに登録されている車両識別情報を、地上側第1通信装置81に通信ネットワーク92を介して送信させる(ステップS15)。コントローラ22は、所定の時間間隔毎に、車両識別情報をサーバ91へ送信する。このとき、コントローラ22は、識別情報リストに登録されている全ての車両識別情報を送信する。なお、コントローラ22は、識別情報リストに新たに登録された車両識別情報及び識別情報リストから消去された車両識別情報のみを送信してもよい。この場合、コントローラ22は、所定の時間間隔毎でなく、識別情報リストに記載された車両識別情報が変化する毎に、車両識別情報をサーバ91へ送信してもよい。
【0101】
サーバ91は、地上給電装置2から、識別情報リストに登録されている車両識別情報を受信すると、識別情報リストに登録されている車両識別情報に対応する車両3へ、車両識別情報が識別情報リストに登録されている旨の通知(以下、「リスト登録通知」という)を送信する(ステップS16)。本実施形態では、リスト登録通知は、一定の時間間隔毎に送信される。リスト登録通知には、車両識別情報が識別情報リストに登録されている地上給電装置2の識別情報又は設置位置情報が含まれていてもよい。この結果、いずれかの地上給電装置2の識別情報リストに車両3の車両識別情報が登録されているときには、その車両3にはリスト登録通知が送信される。一方、いずれの地上給電装置2の識別情報リストにも車両3の車両識別情報リストが登録されていないときには、その車両3にはリスト登録通知が送信されない。このため、各車両3は、自らの車両識別情報が何れかの地上給電装置2に登録されているか否かを常に把握することができる。なお、サーバ91から新たに登録又は消去された車両識別情報のみを受信するきには、サーバ91は車両識別情報が識別情報リストに登録された旨又は消去された旨の通知が、この車両識別情報に対応する車両3へ送信される。
【0102】
ところで、図7に示した動作シーケンス図では、車両3が地上給電装置2の近傍領域に位置するか否かのみに基づいて、その地上給電装置2の識別情報リストへの車両識別情報の登録/消去が決められている。したがって、車両3の車両識別情報は、基本的に、車両3が地上給電装置2の近傍領域外へ出たときに、その地上給電装置2の識別情報リストから消去される。しかしながら、地上給電装置2の識別情報リストへの車両識別情報の登録/消去は、他の要因に基づいて行われてもよい。具体的には、例えば、或る地上給電装置2において車両3への給電が終了した場合には、その地上給電装置2の識別情報リストからはその車両3の車両識別情報を消去してもよい。また、車両3から、特定の地上給電装置2の識別情報リストからその車両3の車両識別情報の消去が要求された場合には、その地上給電装置2の識別情報リストからはその車両3の車両識別情報を消去してもよい。
【0103】
図8は、広域無線通信を利用した車両3、サーバ91及び地上給電装置2間の通信に関する、図7と同様な動作シーケンス図である。特に、図8は、地上給電装置2から車両3への給電が終了した後における動作を示している。
【0104】
車両3の地上給電装置2からの受電が終了する(ステップS21)と、車両3のECU34は、車両側第1通信装置71に受電終了情報をサーバ91へ送信させる(ステップS22)。受電終了情報は、地上給電装置2からの受電に関する情報を含む。具体的には、受電終了情報は、例えば、車両3の車両識別情報、地上給電装置2からの受電電力、受電効率、及び受電中及び受電前後における車両3の受電に関する異常検出結果等を含む。また、受電終了情報は、その他にも、受電期間(例えば、開始時刻及び終了時刻)、地上給電装置2からの受電電力量等を含んでもよい。受電終了情報に含まれる各種パラメータの値は、地上給電装置2からの受電中における車両側センサ37の出力等に基づいて、ECU34にて算出される。
【0105】
また、地上給電装置2の車両3への送電が終了する(ステップS23)と、地上給電装置2のコントローラ22は、地上側第1通信装置81に送電終了情報をサーバ91へ送信させる(ステップS24)。送電終了情報は、車両3への送電に関する情報を含む。具体的には、送電終了情報は、例えば、地上給電装置2の識別情報、車両3の車両識別情報、車両3への送電電力、送電効率、及び送電中及び送電前後における車両3の送電に関する異常検出結果等を含む。また、送電終了情報は、その他にも、送電期間(例えば、開始時刻及び終了時刻)、車両3への送電電力量等を含んでもよい。送電終了情報に含まれる各種パラメータの値は、車両3への送電中における地上側センサ23の出力等に基づいて、コントローラ22にて算出される。
【0106】
サーバ91は、同一の車両3の同じ期間についての受電終了情報と送電終了情報とをそれぞれ車両3及び地上給電装置2から受信すると、地上給電装置2から車両3への対応する給電についての給電終了処理を行う(ステップS25)。給電終了処理では、受電終了情報及び送電終了情報に基づいて、地上給電装置2から車両3への給電電力量の算出、算出された給電電力量に基づく車両3のユーザへの課金処理、地上給電装置2の送電装置4及び車両3の受電装置5の異常診断等が行われる。地上給電装置2から車両3への給電電力量は、例えば、地上給電装置2からの受電電力及び車両3への送電電力の時間推移に基づいて算出される。また、車両3のユーザへの課金処理では、例えば、ユーザの決済口座へ、地上給電装置2から車両3への給電電力量に応じた課金が行われる。また、送電装置4及び受電装置5の異常診断では、例えば、受電終了情報に含まれる受電電力と、送電終了情報に含まれる送電電力との間に大きな差がある場合には、送電装置4又は受電装置5に異常があると診断される。
【0107】
なお、給電終了処理は、一つの地上給電装置2において車両3への給電が終了する毎に、したがって車両3の受電装置5が一つの送電装置4上を通過する毎に行われる。このため、給電終了処理では、一つの地上給電装置2における車両3への給電について給電電力量等の算出が行われる。しかしながら、給電終了処理は、複数の地上給電装置2において車両3への給電が終了する毎に、したがって車両3の受電装置5が複数の送電装置4上を通過する毎に行われてもよい。この場合、給電終了処理では、複数の地上給電装置2において車両3へ給電された総給電電力量等が算出される。
【0108】
給電終了処理とは無関係に、図7のステップS11と同様に車両3からサーバ91へ車両情報が送信され(ステップS26)、図7のステップS12と同様にサーバ91は車両情報に基づいて各地上給電装置2の近傍領域内に位置する車両3の車両識別情報を特定する(ステップS27)。そして、或る地上給電装置2において或る車両3への給電終了処理が既に行われていると、サーバ91はステップS27において特定されたこの地上給電装置2の近傍領域内の車両3の車両識別情報から、既に給電終了処理が行われた車両3の車両識別情報を削除する(ステップS28)。
【0109】
その後、サーバ91は、各地上給電装置2の近傍領域内に位置すると特定された車両3の車両識別情報のうちステップS28において削除されていない車両識別情報に紐づいた車両情報を、各地上給電装置2へ送信する(ステップS29)。車両情報が各地上給電装置2へ送信されると、地上給電装置2のコントローラ22は、図7のステップS14と同様に識別情報リストへの車両識別情報の登録・消去を行う(ステップS30)。その後、図7のステップS15と同様に、識別情報リストに登録されている車両識別情報の送信が行われ(ステップS31)、図7のステップS16と同様に、リスト登録通知が送信される(ステップS32)。
【0110】
また、サーバ91が、車両3から、特定の地上給電装置2の識別情報リストからその車両3の車両識別情報を消去する要求(例えば、図14を参照して後述する「識別情報消去要求」等)を受信した場合には、ステップS28と同様に、その地上給電装置2の近傍領域内の車両3の車両識別情報からその車両3の車両識別情報が削除されてもよい。
【0111】
この結果、図8に示される処理が行われる場合には、識別情報リストには各地上給電装置2の近傍領域内に位置し且つその地上給電装置2からの給電が終了しておらず且つ識別情報消去要求がなされていない車両3の車両識別情報が登録されていることになる。そして、車両3は、車両3の車両識別情報がいずれかの地上給電装置2の識別情報リストに登録されているときには、リスト登録通知を受信する。
【0112】
図9は、サーバ91における、広域無線通信を利用した通信に関する処理の流れを示すフローチャートである。図9に示される処理は、サーバ91のプロセッサ913において、一定時間間隔毎に実行される。
【0113】
まず、サーバ91のプロセッサ913は、車両3及び地上給電装置2から受信した各種情報を取得する(ステップS41)。各種情報は、各車両3から受信してサーバ91の記憶装置912に格納されていた、車両情報及び車両識別情報に紐づいた受電終了情報を含む。また、各種情報は、各地上給電装置2から受信してサーバ91の記憶装置912に格納されていた、車両識別情報に紐づいた送電終了情報を含む。
【0114】
次いで、サーバ91のプロセッサ913は、同一の車両識別情報に紐づいた受電終了情報と送電終了情報とを、それぞれ車両3及び地上給電装置2から受信しているか否かを判定する(ステップS42)。ステップS42において対応する受電終了情報と送電終了情報とを受信していると判定された場合には、サーバ91のプロセッサ913は上述した給電終了処理を実行する(ステップS43)。一方、ステップS42において対応する受電終了情報と送電終了情報とを受信していないと判定された場合には、ステップS43がスキップされる。
【0115】
次いで、サーバ91のプロセッサ913は、ステップS41において取得された車両3の車両情報(特に、現在位置情報)及び各地上給電装置2の設置位置情報等に基づいて、各地上給電装置2の近傍領域内に位置する車両3の車両識別情報を特定する(ステップS44)。各地上給電装置2の近傍領域は、例えば、予めサーバ91の記憶装置912に記憶されている。
【0116】
次いで、サーバ91のプロセッサ913は、或る地上給電装置2において或る車両3への給電終了処理が既に行われている場合に、ステップS44において特定されたこの地上給電装置2の近傍領域内に位置する車両3の車両識別情報から、既に給電終了処理が行われたその車両3の車両識別情報を削除する(ステップS45)。その後、サーバ91のプロセッサ913は、各地上給電装置2の近傍領域内に位置すると特定された車両3の車両識別情報のうちステップS45において削除されていない車両識別情報に紐づいた車両情報を、各地上給電装置2へ送信する(ステップS46)。
【0117】
図10は、地上給電装置2における、広域無線通信を利用した通信に関する処理の流れを示すフローチャートである。図10に示される処理は、地上給電装置2のコントローラ22のプロセッサ223において、地上給電装置2の地上側第1通信装置81がサーバ91から車両識別情報に紐づいた車両情報を受信する毎に実行される。
【0118】
地上側第1通信装置81が、地上給電装置2の近傍領域内に位置する車両3の車両識別情報に紐づいた車両情報を受信すると(ステップS51)、プロセッサ223は、受信した車両情報に含まれる車両識別情報と、メモリ342に記憶されている識別情報リスト内の車両識別情報とを照合する(ステップS52)。
【0119】
その後、プロセッサ223は、ステップS52において車両識別情報を照合した結果、受信した車両情報に含まれる車両識別情報のうち、識別情報リストに未だ登録されていなかった車両識別情報を新たに識別情報リストに登録する(ステップS53)。加えて、プロセッサ223は、既に識別情報リストに登録されていた車両識別情報のうち、サーバ91から受信した車両情報に含まれる車両識別情報に含まれていない車両識別情報を、識別情報リストから消去する(ステップS54)。この結果、識別情報リストには、常に、各地上給電装置2の近傍領域内に位置する車両3の車両識別情報が登録されていることになる。その後、プロセッサ223は、識別情報リストに登録されている車両識別情報を、地上側第1通信装置81に通信ネットワーク92を介してサーバ91へ送信させる(ステップS55)
【0120】
<給電に関する車両及び地上給電装置の状態及び動作>
次に、図11図15を参照して、地上給電装置2から車両3への給電に関する、車両3及び地上給電装置2の状態及び動作について説明する。
【0121】
まずは、図11を参照して、地上給電装置2から車両3への給電が行われる際の、車両3及び地上給電装置2の動作及び状態の大まかな推移について説明する。図11は、車両3が地上給電装置2に接近して給電が行われるときの車両3及び地上給電装置2の動作及び状態の推移を概略的に示す図である。なお、図11に示される例では、説明を簡単にするために、車両3は一台のみしかなく、地上給電装置2も一つしかない場合の推移を示している。また、図11において長方形は車両3又は地上給電装置2の状態を、角が丸い四角は車両3又は地上給電装置2の動作をそれぞれ表している。
【0122】
図11に示される例では、最初の状態では、車両3は、地上給電装置2からかなり離れていて、地上給電装置2の近傍領域外に位置している。このため、地上給電装置2の識別情報リストには、車両3の車両識別情報は登録されていない。したがって、車両3にも、リスト登録通知は送信されていない。
【0123】
この状態では、地上給電装置2から車両3への給電は、当面開始されない。したがって、車両3の状態は、受電に関する機器には待機電力のみが供給されて車両側第2通信装置72には電力が供給されないスリープ状態に設定される(ステップS61)。また、地上給電装置2の状態も待機電力のみが供給されて地上側第2通信装置82には電力が供給されないスリープ状態に設定される(ステップS81)。
【0124】
その後、車両3が地上給電装置2の近傍領域内に侵入すると、上述したように、地上給電装置2の識別情報リストに車両3の車両識別情報が登録される(ステップS82)。また、これに伴って、車両3は、地上給電装置2の識別情報リストに車両識別情報が登録されていることを通知するリスト登録通知を受信する(ステップS62)。
【0125】
地上給電装置2の識別情報リストに車両識別情報が登録されると、地上給電装置2の状態は、地上側第2通信装置82に電力が供給される受信待機状態に設定される(ステップS83)。受信待機状態では、地上側第2通信装置82から近い距離で車両側第2通信装置72から信号が発信されると、地上側第2通信装置82はこの信号を受信することができる。また、車両3がリスト登録通知を受信すると、車両3の状態は、車両3の受電に関する機器に作動用の電力が供給されると共に車両側第2通信装置72に電力が供給されて車両3の車両識別情報を含む信号が発信される受電アクティブ・信号発信状態に設定される(ステップS63)。受電アクティブ・信号発信状態では、車両3の受電装置5の受電側共振回路51が地上給電装置2の送電装置4の送電側共振回路43上に位置すると、受電側共振回路51が送電側共振回路43から受電することができる。
【0126】
その後、車両3が地上給電装置2に接近して、地上側第2通信装置82が車両側第2通信装置72から発信された信号を受信することができるようになると(ステップS64)、車両側第2通信装置72から地上側第2通信装置82へ車両識別情報を含む信号が送信され、地上側第2通信装置82が車両側第2通信装置72から送信されたこの信号を受信する(ステップS84)。
【0127】
狭域無線通信では通信範囲が狭いため、地上側第2通信装置82が車両側第2通信装置72から発信された信号を受信することは、受信した車両識別情報によって特定される車両3が地上給電装置2の近くまで到達していることを表している。したがって、本実施形態では、地上側第2通信装置82が車両識別情報を含む信号を受信すると、地上給電装置2の状態が送電アクティブ状態に設定される(ステップS85)。送電アクティブ状態では、地上給電装置2の送電側共振回路43に微弱電力が供給される。
【0128】
その後、車両3の状態が受電アクティブ状態に設定され且つ地上給電装置2の状態が送電アクティブ状態に設定された状態で、車両3の受電側共振回路51が地上給電装置2の送電側共振回路43に接近して送電側共振回路43上に位置すると(ステップS65)、送電側共振回路43と受電側共振回路51との間に磁界共振結合が生じ、地上給電装置2の送電側共振回路43に流れる電流が増大する。このように送電側共振回路43に流れる電流が増大すると、地上給電装置2の状態が、送電側共振回路43に大きな電力が供給される本送電状態に設定される(ステップS86)。このとき、送電側共振回路43と受電側共振回路51との間には強力な磁界共振結合が生じ、よって送電側共振回路43から受電側共振回路51へと電力が供給され、よって地上給電装置2から車両3へ給電される。
【0129】
その後、車両3が移動して、車両3の受電側共振回路51が地上給電装置2の送電側共振回路43から離れると(ステップS66)、送電側共振回路43と受電側共振回路51との間に生じていた磁界共振結合が弱くなり、地上給電装置2の送電側共振回路43に流れる電流が低下する。このように送電側共振回路43に流れる電流が低下すると、送電側共振回路43に供給される電力が低下されて、地上給電装置2の状態が送電アクティブ状態へ戻される(ステップS87)。
【0130】
その後、車両3が地上給電装置2の送電側共振回路43から更に離れて、送電側共振回路43と受電側共振回路51との間の磁界共振結合が無くなると、車両3では受電終了処理が行われる(ステップS67)。受電終了処理では、受電終了情報を構成するパラメータの値が算出されると共に、算出された受電終了情報が車両3からサーバ91へ送信される。また、このとき地上給電装置2では送電終了処理が行われる(ステップS88)。送電終了処理では、送電終了情報を構成するパラメータの値が算出されると共に、算出された送電終了情報が地上給電装置2からサーバ91へ送信される。地上給電装置2では、送電終了処理が行われると、送電側共振回路43への電流の供給が停止され、よって地上給電装置2の状態が再び受信待機状態に設定される(ステップS89)。
【0131】
その後、車両3が地上給電装置2の近傍領域から退出すると、上述したように、地上給電装置2の識別情報リストから車両3の車両識別情報が消去される(ステップS90)。また、これに伴って、車両3は、地上給電装置2の識別情報リストに車両識別情報が登録されていることを通知するリスト登録通知を受信しなくなる(ステップS68)。識別情報リストから車両3の車掌識別情報が消去されると、地上給電装置2付近に給電が必要な車両3が存在しなくなることから、地上給電装置2の状態がスリープ状態に戻される(ステップS91)。また、車両3がリスト登録通知を受信しなくなると、車両3の近くには地上給電装置2はないことから、車両3の状態もスリープ状態に戻される(ステップS69)。
【0132】
<地上給電装置の状態及び動作の遷移>
次に、図12及び図13を参照して、地上給電装置2の状態及び動作の遷移について説明する。図12及び図13は、地上給電装置2の状態及び動作の遷移を概略的に示す図である。特に、図12は、車両3が地上給電装置2の近くに位置しないときの状態及び動作の遷移、具体的にはスリープ状態と受信待機状態との間の状態及び動作の遷移を示している。一方、図13は、車両3が地上給電装置2の近くに位置するときの状態及び動作の遷移、具体的には、受信待機状態と送電アクティブ状態と本送電状態とスタンバイ状態との間の状態及び動作の遷移を示している。なお、図12及び図13においても、長方形は地上給電装置2の状態を、角が丸い四角は地上給電装置2の動作をそれぞれ表している。
【0133】
地上給電装置2の状態が図12に示されるスリープ状態(A11。図11のステップS81及びステップS91における状態)にあるときには、地上給電装置2には待機電力のみが供給される。したがって、このときには、地上給電装置2のコントローラ22にのみ必要最低限の待機電力が供給されて、車両3への送電に関する他の機器には電力が供給されない。例えば、送電側共振回路43、地上側第2通信装置82、地上側センサ23及び磁界検出機66には電力が供給されず、また、コントローラ22にも小さい電力のみしか供給されない。このため、地上給電装置2の状態がスリープ状態にあるときには、地上給電装置2の送電に関する機器による消費電力は小さい。ただし、地上給電装置2の状態がスリープ状態にあるときでも、地上側第1通信装置81へは電力が供給される。このため、サーバ91から、地上給電装置2の近傍領域内に位置する車両3の車両識別情報を受信することができる。
【0134】
地上給電装置2の状態がスリープ状態(A11)にあるときに、地上側第1通信装置81が車両情報を受信して、車両情報に含まれる車両識別情報が識別情報リストに登録された場合(C11)には、地上給電装置2の送電に関する機器への電力供給が開始されて、これら機器が立ち上げられると共にこれら機器の自己診断が行われる(B12)。具体的には、コントローラ22へはコントローラ22が完全に作動するのに十分な電力が供給されると共に、地上側第2通信装置82、地上側センサ23、磁界検出機66等に電力が供給される。また、コントローラ22では自己診断プログラムが実行されて、コントローラ22、地上側第2通信装置82及び地上側センサ23等の自己診断が行われる。
【0135】
このような機器の立ち上げ及び自己診断が完了すると(C12)、地上給電装置2の状態は受信待機状態(A13。図11のステップS83及びS89における状態)となる。地上給電装置2の状態が受信待機状態(A13)にあるときには、地上側第2通信装置82に電力が供給されて、地上側第2通信装置82は信号を受信することができるようになる。加えて、本実施形態では、地上給電装置2の状態が受信待機状態にあるときには、コントローラ22、地上側センサ23及び磁界検出機66等にも十分な電力が供給される。したがって、地上給電装置2の状態が受信待機状態にあるときには、地上側第2通信装置82から近い距離で車両側第2通信装置72から信号が発信されると、地上側第2通信装置82はこの信号を受信することができる。一方、地上給電装置2の状態が受信待機状態(A13)にあるときには、地上給電装置2の送電側共振回路43には電力は供給されない。したがって、仮に地上給電装置2の送電側共振回路43に車両3の受電側共振回路51が接近しても、地上給電装置2から車両3への給電は行われない。また、地上給電装置2の状態が受信待機状態にあるときには、地上給電装置2の送電側共振回路43には電力は供給されないことから、地上給電装置2の消費電力はそれほど大きくない。
【0136】
地上給電装置2の状態が受信待機状態(A13)にあるときに、地上給電装置2の識別情報リストに車両識別情報が一つも登録されていない状態になった場合(C13)、車両3がこの地上給電装置2付近に来ることは当面ないため、地上給電装置2の状態がスリープ状態(A11)に戻される。
【0137】
一方、図13に示されるように、地上給電装置2の状態が受信待機状態(A13)にあるときに、車両3が地上給電装置2に近づくと、地上給電装置2の地上側第2通信装置82は、車両側第2通信装置72から発信された車両識別情報を含む信号を受信する(C14)。地上側第2通信装置82が車両識別情報を含む信号を受信すると、信号に含まれた車両識別情報が、給電中の車両3の車両識別情報としてコントローラ22のメモリ222に記憶される。加えて、信号に含まれていた車両識別情報と、メモリ222に記憶されている識別情報リストに登録された車両識別情報とが照合される(B14)。
【0138】
車両3の車両識別情報は事前に車両側第1通信装置71及び地上側第1通信装置81を介して地上給電装置2に装置に送信されていることから、車両側第2通信装置72から発信された信号に含まれた車両識別情報は基本的に識別情報リストに登録されている。しかしながら、例えば車両側第1通信装置71が故障することなどによって、斯かる車両識別情報が識別情報リストに事前に登録されていない場合がある。このように車両識別情報が識別情報リストに登録されていない場合(C19)には、地上給電装置2から車両3への給電が行われることなく、送電を終了する送電終了処理が行われる(B19)。また、信号に含まれていた車両識別情報と、識別情報リストに登録された車両識別情報との照合中に、後述する終了条件が成立した場合(C19)にも、送電を終了する送電終了処理が行われる(B19)。送電終了処理の詳細については後述する。
【0139】
一方、照合の結果、車両側第2通信装置72から受信した信号に含まれていた車両識別情報が識別情報リストに登録されていた場合(C15)には、次に、横ズレ検出装置による、送電側共振回路43と受電側共振回路51との間の横ズレの有無が検出される(B15)。送電側共振回路43と受電側共振回路51との間に横ズレが生じるとこれらの間で給電効率が低下する。そこで、横ズレ検出装置によって送電側共振回路43と受電側共振回路51と間に横ズレが生じていることが検出された場合(C20)には、地上給電装置2から車両3への給電が行われることなく、送電を終了する送電終了処理が行われる(B19)。また、横ズレ検出装置による横ズレの有無の検出中に、後述する終了条件が成立した場合(C20)にも、送電を終了する送電終了処理が行われる(B19)。
【0140】
一方、横ズレ検出装置によって送電側共振回路43と受電側共振回路51との間に横ズレは生じていないことが検出された場合(C16)には、後述する中断条件が成立しているか否かが判定され、中断条件が成立していない場合(C18)には、地上給電装置2の状態が受信待機状態(A13)から送電アクティブ状態(A16。図11のステップS85及びS87における状態)に切り替えられる。
【0141】
地上給電装置2の状態が送電アクティブ状態(A16)にあるときには、受信待機状態(A13)にあるときと同様に、地上側第2通信装置82、コントローラ22、地上側センサ23及び磁界検出機66等に電力が供給される。加えて、このときには、地上給電装置2の送電側共振回路43に微弱電力が供給される。送電側共振回路43に微弱電力が供給されることにより、車両3の受電側共振回路51が地上給電装置2の送電側共振回路43に接近して送電側共振回路43上に位置すると、送電側共振回路43と受電側共振回路51との間に磁界共振結合が生じて、送電側共振回路43に流れる電流が増大する。
【0142】
したがって、地上給電装置2の状態が送電アクティブ状態(A16)にあるときに送電側共振回路43に流れる電流が増大した場合(C21)、車両3の受電側共振回路51が地上給電装置2の送電側共振回路43の上に移動してきたことを意味する。そこで、この場合には、地上給電装置2の状態が本送電状態(A17。図11のステップS86における状態)に切り替えられる。
【0143】
地上給電装置2の状態が本送電状態(A17)にあるときには、受信待機状態(A13)にあるときと同様に、地上側第2通信装置82、コントローラ22、地上側センサ23及び磁界検出機66等に電力が供給される。加えて、このときには、車両3への送電のために、送電アクティブ状態(A16)に比べて大きな電力が、地上給電装置2の送電側共振回路43へ供給される。この結果、送電側共振回路43と受電側共振回路51との間には強力な磁界共振結合が生じ、地上給電装置2の送電装置4から車両3の受電装置5へ大きな電力が供給される。特に、本実施形態では、このとき送電側共振回路43に供給される電力は、車両識別情報に紐づいた車両情報に含まれる要求給電電力に基づいて設定される。具体的には、要求給電電力が大きいほど、送電側共振回路43へ供給される電力が大きくなる。要求給電電力は、例えば車両3の速度が遅くて受電側共振回路51が送電側共振回路43上に位置している時間が長いような場合、送電装置4から受電装置5への給電中に変化する。この場合には、要求給電電力の変化に応じて、送電側共振回路43に供給される電力も変化する。
【0144】
地上給電装置2の状態が本送電状態(A17)にあるときに、車両3の受電側共振回路51が地上給電装置2の送電側共振回路43から離れると、上述したように、地上給電装置2の送電側共振回路43に流れる電流が低下する。このように地上給電装置2の送電側共振回路43に流れる電流が低下した場合(C22)には、地上給電装置2の状態が本送電状態(A17)から送電アクティブ状態(A16)へ切り替えられる。加えて、地上給電装置2の状態が本送電状態にあるときに、後述する終了条件が成立した場合や後述する中断条件が成立した場合にも、地上給電装置2の状態が送電アクティブ状態(A16)へ切り替えられる。この結果、終了条件が成立して送電を終了する場合や、中断条件が成立して送電を中断する場合に、地上給電装置2の状態が一時的に送電アクティブ状態(A16)になり、よって、送電側共振回路43への供給電力が急激にゼロに低下することが抑制される。このため、送電側共振回路43への供給電力が急激にゼロに低下することによる送電側共振回路43などの機器への負荷が低減される。
【0145】
地上給電装置2の状態が送電アクティブ状態(A16)にあるときに中断条件が成立した場合(C23)、又は横ズレ検出装置によって横ズレが生じていないことが検出されたときに中断条件が成立している場合(C17)には、地上給電装置2の状態がスタンバイ状態(A18)に切り替えられる。
【0146】
地上給電装置2のスタンバイ状態は、基本的に受信待機状態と同一の状態である。したがって、地上給電装置2の状態がスタンバイ状態(A18)にあるときには、地上側第2通信装置82、コントローラ22、地上側センサ23及び磁界検出機66等に十分な電力が供給される一方、送電側共振回路43には電力は供給されない。したがって、地上給電装置2の状態がスタンバイ状態(A18)にあるときには、地上給電装置2から車両3への給電は行われず、また、受信待機状態と同様に消費電力はそれほど大きくない。
【0147】
ここで、中断条件は、地上給電装置2から車両3への送電を一時的に中断することが必要になる条件である。以下に、中断条件の具体的な例を列挙する。以下に列挙した中断条件の全てが用いられてもよいし、一部の中断条件は用いられなくてもよい。本実施形態では、以下の中断条件のうち何れか一つが成立している場合に、地上給電装置2の状態がスタンバイ状態(A18)に切り替えられる。
【0148】
一つ目の中断条件は、横ズレ検出装置によって送電側共振回路43と受電側共振回路51との間に横ズレが検出されていることである。上述したように横ズレが生じている場合には給電効率が低下するため、横ズレが検出されているときには給電が中止される。
【0149】
ここで、上述したように、車両3が地上給電装置2へ接近したときにも横ズレ検出装置による横ズレ検出が行われる(B15)。この場合、車両3の受電側共振回路51は地上給電装置2の送電側共振回路43から大きくズレている可能性がある。これに対して、車両3が地上給電装置2へ接近したときに一旦横ズレが生じていないことが検出された場合(C16)には、その後に受電側共振回路51と送電側共振回路43との間に横ズレが生じたとしても大きな横ズレは生じにくい。このため、横ズレ検出装置によって受電側共振回路51と送電側共振回路43との間に横ズレが検出されていることは、送電を終了する終了条件ではなく、中断条件とされている。ただし、横ズレが検出されていることは、送電を終了する終了条件とされてもよい。
【0150】
二つ目の中断条件は、地上給電装置2の地上側第1通信装置81とサーバ91との通信が途絶えていることである。ここで、地上側第1通信装置81は、定期的にサーバ91と通信し、例えば給電中の車両3の車両情報(特に、要求給電電力など)を受信する。そして、地上給電装置2は、受信した車両情報に基づいて車両3への送電を行う。したがって、車両3の車両情報を受信することができなくなると、地上給電装置2は適切に給電を制御することができなくなる。このため、通信が途絶えているときには車両3への送電が一時的に中断される。
【0151】
三つ目の中断条件は、地上給電装置2の送電装置4の温度、特に送電側整流回路41、インバータ42又は送電側共振回路43の温度が所定の中断基準温度以上であることである。送電装置4の温度が過剰に高くなり過ぎることを抑制するため、斯かる中断条件が成立すると車両3への送電が一時的に中断される。送電装置4の温度は、地上側センサ23(送電装置温度センサ)によって検出される。
【0152】
四つ目の中断条件は、送電装置4上を走行する車両3の速度が予め定められた中断基準速度以上であることである。車両3の速度が中断基準速度以上であると給電効率が低下するため、斯かる中断条件が成立すると車両3への送電が一時的に中断される。車両3の速度は、例えば、送電装置4から受電装置5への給電電力の推移に基づいて算出される。
【0153】
五つ目の中断条件は、送電装置4が埋め込まれた道路上に、異物又は生体が存在することが検出されたことである。送電装置4上に異物や生体が存在すると送電側共振回路43によって生成される交流磁界が変化し、これに伴って給電効率が低下する可能性があるため、斯かる中断条件が成立すると車両3への送電が一時的に中断される。送電装置4が埋め込まれた道路上の異物又は生体は地上側センサ23(異物センサ、生体センサ)によって検出される。
【0154】
六つ目の中断条件は、送電装置4の送電側共振回路43へ供給される電力(又は電流、電圧)が予め定められた中断基準値以上であることである。送電側共振回路43への供給電力が過剰に大きくなると、送電側共振回路43に異常が生じている可能性があるため、斯かる中断条件が成立すると車両3への送電が一時的に中断される。送電側共振回路43への供給電力は、地上側センサ23(送電装置電流センサ、送電装置電圧センサ)の出力に基づいて算出される。
【0155】
地上給電装置2の状態がスタンバイ状態(A18)にあるときに上述した中断条件が何れも成立しなくなった場合(C24)には、地上給電装置2の状態が送電アクティブ状態(A16)に切り替えられる。
【0156】
地上給電装置2の状態が送電アクティブ状態(A16)にあるときに終了条件が成立した場合(C25)、地上給電装置2の状態がスタンバイ状態(A18)にあるときに終了条件が成立した場合(C26)など、終了条件が成立した場合には、送電終了処理が行われる(B19。図11のステップS88における動作)。
【0157】
送電終了処理では、地上給電装置2の地上側第1通信装置81からサーバ91へ送電終了情報が送信される。送電終了情報は、上述したように、車両3への送電に関する情報を含む。送電終了情報に含まれる各種パラメータの値は地上側センサ23の出力等に基づいて算出される。加えて、送電終了処理では、B14で示される動作により地上給電装置2のメモリ222に記憶されていた給電中の車両3の車両識別情報を、メモリ222から消去する。送電終了処理が完了すると、地上給電装置2の状態は、受信待機状態(A13)に切り替えられる。
【0158】
ここで、終了条件は、地上給電装置2から車両3への送電を終了することが必要になる条件である。以下に、終了条件の具体的な例を列挙する。以下に列挙した終了条件の全てが用いられてもよいし、一部の終了条件は用いられなくてもよい。本実施形態では、以下の終了条件のうち何れか一つが成立している場合に、送電終了処理が行われる。
【0159】
一つ目の終了条件は、地上給電装置2に近づいていた車両3が地上給電装置2から離れたことが検出されることである。車両3が地上給電装置2の送電装置4を通り過ぎると、地上給電装置2からその車両3へそれ以上送電されることはないため、斯かる終了条件が成立した場合には車両3への送電が終了される。車両3が地上給電装置2から離れたことは、任意の手法で検知される。具体的には、例えば、車両側第2通信装置72が発信した信号が地上側第2通信装置82によって受信されなくなることにより、車両3が地上給電装置2から離れたことが検出される。また、例えば、横ズレ検出装置において用いられるような磁界検出機を車両3の進行方向において送電装置4の後方に配置し、この磁界検出機によって車両3の交流磁界発生回路61から発生された交流磁界を検出することによって車両3が地上給電装置2から離れたことが検出されてもよい。
【0160】
二つ目の終了条件は、地上給電装置2の地上側第2通信装置82が、狭域無線通信を介して、B14で示される動作において地上給電装置2のメモリ222に記憶されていた給電中の車両3の車両識別情報とは異なる車両識別情報を含む信号を受信したことである。換言すると、二つ目の終了条件は、地上側第2通信装置82が、送電している車両3とは異なる車両の車両識別情報を受信したことである。斯かる終了条件は、例えば、給電中の先行車両と給電前の後続車両との距離が近い場合に成立する。
【0161】
二つ目の終了条件によれば、地上給電装置2のコントローラ22は、地上給電装置2から第1の車両3への給電中に地上側第2通信装置82が第2の車両3から車両識別情報を受信した場合に、地上側第2通信装置82が第2の車両3から車両識別情報を受信したときに第1の車両3への給電を停止する。換言すると、地上給電装置2のコントローラ22は、地上側第2通信装置82が給電中の第1の車両3及び給電前の第2の車両3のそれぞれから車両識別情報を受信した場合に、地上側第2通信装置82が第2の車両3から車両識別情報を受信したときに第1の車両3への給電を停止する。この結果、第2の車両3への給電が開始される前に第1の車両3の車両識別情報をメモリ222から削除することができ、第1の車両3への給電により第2の車両3への給電の開始タイミングが遅れることを抑制することができる。したがって、地上給電装置2の近傍に複数の車両3が存在する場合に、地上給電装置2による給電対象を円滑に切り替えることができる。
【0162】
また、本実施形態では、地上給電装置2のコントローラ22は、地上側第2通信装置82が第2の車両3から車両識別情報を受信した後に所定の開始条件が成立したときに、第2の車両3への給電を開始する。このように地上給電装置2から複数の車両3への給電を間欠的に実施することによって、給電効率が高い適切なタイミングで後続車両への給電を開始することができ、ひいては地上給電装置2における電力の浪費を抑制することができる。本実施形態では、所定の開始条件は、地上給電装置2の送電側共振回路43と第2の車両3の受電側共振回路51との横ズレが生じていないことと、上述した中断条件が成立していないこととを含む。
【0163】
また、地上給電装置2のコントローラ22は、地上給電装置2から第1の車両3への給電中に地上側第2通信装置82が第2の車両3から車両識別情報を受信した場合に、第2の車両3の車両識別情報が地上給電装置2の識別情報リストに登録されているときには第1の車両3への給電を停止し、第2の車両3の車両識別情報が地上給電装置2の識別情報リストに登録されていないときには第1の車両3への給電を継続する。このことによって、地上給電装置2からの給電が予定されていない第2の車両3への給電に備えて給電中の第1の車両3への給電量が低下することを抑制することができる。
【0164】
三つ目の終了条件は、給電中の車両3の車両識別情報が地上給電装置2のメモリ222に登録されてからの経過時間が所定の終了基準時間以上であることである。経過時間が長くなり過ぎると、車両3が離れたことを地上給電装置2が検出できていないなどの異常が生じている可能性があるため、斯かる終了条件が成立すると車両3への送電が終了される。なお、三つ目の終了条件は、車両3が長期間に亘って地上給電装置2の送電装置上を占有していることを表す条件であれば、他の条件であってもよい。したがって、例えば、三つ目の終了条件は、給電中の車両3の車両識別情報がメモリ222に登録されてからの経過時間のうち、地上給電装置2の状態が送電アクティブ状態又はスタンバイ状態であった時間が所定時間以上であることであってもよい。
【0165】
四つ目の終了条件は、地上給電装置2の車両3への送電に関する機器に故障が発生していることである。地上給電装置2に故障が発生しているときには、地上給電装置2から車両3へ適切に給電することができないため、斯かる終了条件が成立しているときには車両3への送電が終了される。地上給電装置2の故障は、例えば、地上給電装置2の車両3への送電に関する機器の自己診断(B12で表される動作においても行われている)によって検出される。
【0166】
五つ目の終了条件は、非接触給電システム1の外部から終了要求があることである。例えば、地上給電装置2付近で道路工事が開始された場合や、災害が発生したような場合に、非接触給電システム1の外部から終了要求が地上給電装置2へ送信される。斯かる終了要求は、非接触給電システム1外のシステムからサーバ91に送信され、サーバ91から地上側第1通信装置81へ送信される。
【0167】
六つ目の終了条件は、地上給電装置2の送電側共振回路43と車両3の受電側共振回路51との結合係数が所定の基準値以上であること、又は、地上給電装置2から車両3への送電電力が所定の終了基準値以上であることである。ここで、結合係数が非常に大きい場合や送電電力が非常に大きい場合には、送電装置4や受電装置5に過剰な電流が流れてしまう可能性がある。このため、結合係数が基準値以上の場合や、送電電力が基準値以上の場合には地上給電装置2から車両3への送電を終了することで、送電装置4や受電装置5に過剰な電流が流れることが抑制される。地上給電装置2から車両3への送電電力は、例えば、地上側センサ23(送電装置電流センサ及び送電装置電圧センサ)の出力に基づいて算出される。
【0168】
七つ目の終了条件は、地上給電装置2から車両3への送電電力に基づいて算出された、車両3のユーザへの課金額が所定の上限課金額以上になったことである。ユーザへの課金額は、車両3への送電中における送電電力の推移とそのときの単位電力当たりの料金とに基づいて、コントローラによって算出される。また、上限課金額は、予め定められた一定値であってもよいし、車両3のユーザに設定された値であってもよい。ユーザで設定された値である場合には、上限課金額は車両3から送信される車両情報に含まれている。
【0169】
八つ目の終了条件は、車両3から後述する送電停止要求を受信していることである。後述するように、車両3において受電装置5による受電を中止又は遮断させる中止条件又は遮断条件が成立していると、車両3の車両側第1通信装置71から送電停止要求が送信される。斯かる中止条件又は遮断条件が成立していると、車両3ではそれ以上受電することがなく、よって地上給電装置2を車両3へ送電できる状態に維持する必要がないため、車両3への送電が終了される。
【0170】
地上給電装置2の状態及び動作の制御は、コントローラ22によって行われる。したがって、例えば、地上給電装置2の状態がスタンバイ状態にあるときには、コントローラ22は、地上側センサ23の出力等に基づいて中断条件が成立しているか否か及び終了条件が成立しているか否かを判定する。そして、コントローラ22は、中断条件が成立していないと判定した場合には、送電側共振回路43に微弱電流が供給されるようにインバータ42を制御する。
【0171】
<車両の状態及び動作の遷移>
次に、図14及び図15を参照して、車両3の状態及び動作の遷移について説明する。図14は、車両3の状態及び動作の遷移を概略的に示す図である。図14においても、長方形は車両3の状態を、角が丸い四角は車両3の動作をそれぞれ表している。
【0172】
図14に示されるように、車両3の状態は、第1スリープ状態(A31)と第2スリープ状態(A35)との二つのスリープ状態(図11のステップS61及びS69における状態)をとりうる。車両3の状態がこのうち第1スリープ状態(A31)にあるときには、車両3の受電に関する機器には待機電力のみが供給される。したがって、このときには、車両3のECU34にのみ必要最低限の待機電力が供給されて、地上給電装置2からの受電に関する他の機器には電力が供給されない。したがって、例えば、車両側第2通信装置72、交流電力発生回路64及び車両側センサ37には電力が供給されず、また、ECU34にも小さい電力のみしか供給されない。このため、車両3の状態が第1スリープ状態(A31)にあるときには、車両3の受電に関する機器による消費電力は小さい。ただし、車両3の状態が第1スリープ状態(A31)にあるときでも、車両側第1通信装置71へは電力が供給される。このため、車両側第1通信装置71は、何れかの地上給電装置2の識別情報リストに車両3の車両識別情報が登録されたことを通知するリスト登録通知をサーバ91から受信することができる。
【0173】
また、第1スリープ状態(A31)では、受電装置5とバッテリ32との間のリレー38が接続される。したがって、受電装置5とバッテリ32とが接続されて、受電装置5が受電すると電力がバッテリ32に供給される。
【0174】
車両3の状態が第1スリープ状態(A31)にあるときに、何れかの地上給電装置2の識別情報リストに車両3の車両識別情報が登録されたことを通知するリスト登録通知を、車両側第1通信装置71が受信し且つ後述する中止条件及び遮断条件が成立していない場合(C31)には、車両3の地上給電装置2からの受電に関する機器への電力供給が開始されて、これら機器が立ち上げられると共にこれら機器の自己診断が行われる(B32)。具体的には、ECU34へはECU34が完全に作動するのに十分な電力が供給されると共に、車両側第2通信装置72、交流電力発生回路64及び車両側センサ37等に電力が供給される。また、ECU34では自己診断プログラムが実行されて、ECU34、車両側第2通信装置72、交流電力発生回路64及び車両側センサ37等の自己診断が行われる。
【0175】
このような機器の立ち上げ及び自己診断が完了すると、車両3の状態は受電アクティブ状態(A33)又は受電アクティブ・信号発信状態(A34。図11のステップS63における状態)となる。車両3の状態が受電アクティブ状態(A33)又は受電アクティブ・信号発信状態(A34)にあるときには、ECU34及び車両側センサ37等に十分な電力が供給される。
【0176】
したがって、車両3の状態が受電アクティブ状態(A33)又は受電アクティブ・信号発信状態(A34)にあるときに、車両3の受電側共振回路51が地上給電装置2の送電側共振回路43に接近して送電側共振回路43上に位置すると、送電側共振回路43と受電側共振回路51との間に強力な磁界共振結合が生じて、地上給電装置2から大きな電力を受電する。一方、車両3の状態が受電アクティブ状態(A33)又は受電アクティブ・信号発信状態(A34)にあるときに、送電側共振回路43と受電側共振回路51との間に強力な磁界共振結合が生じていた状態から、車両3が移動して受電側共振回路51が送電側共振回路43から離れると、磁界共振結合が解除されて地上給電装置2から車両3への給電が終了する。
【0177】
また、車両3の状態が受電アクティブ状態(A33)にあるときには、車両側第2通信装置72及び交流電力発生回路64には電力は供給されない。したがって、車両側第2通信装置72は、車両3の車両識別情報を含む信号を発信することができない。また、交流電力発生回路64は、横ズレ検知用の交流磁界を発生させることができない。一方、車両3の状態が受電アクティブ・信号発信状態(A34)にあるときには、車両側第2通信装置72及び交流電力発生回路64に電力が供給される。したがって、車両側第2通信装置72は、車両3の車両識別情報を含む信号を発信し、交流電力発生回路64は横ズレ検知用の交流磁界を発生させる。したがって、このときには車両3が地上給電装置2の近くを走行すると、車両側第2通信装置72から地上側第2通信装置82へ車両識別情報を含む信号が送信される。
【0178】
なお、車両3の状態が受電アクティブ状態(A33)にあるときには、車両側第2通信装置72及び交流電力発生回路64に電力が供給されないことから、車両3の消費電力はそれほど大きくない。一方で、車両3の状態が受電アクティブ・信号発信状態(A34)にあるときには、車両側第2通信装置72及び交流電力発生回路64に電力が供給されることから、受電アクティブ状態(A33)に比べて消費電力が大きい。
【0179】
車両3の状態が受電アクティブ状態(A33)にあるときに、発信停止条件が全て成立しなくなった場合(C33)には、車両3の状態は受電アクティブ・信号発信状態(A34)に切り替えられる。一方、車両3の状態が受電アクティブ・信号発信状態(A34)にあるときに、発信停止条件が成立した場合(C34)には、車両3の状態は受電アクティブ状態(A33)に切り替えられる。
【0180】
ここで、発信停止条件は、車両側第2通信装置72からの信号の発信を一時的に停止することが必要になる条件である。車両側第2通信装置72からの信号の発信を一時的に停止することにより、地上側第2通信装置82に車両識別情報を含む信号が送信されなくなり、よって地上給電装置2からの送電が行われなくなる。以下に、発信停止条件の具体的な例を列挙する。以下に列挙した発信停止条件の全てが用いられてもよいし、一部の発進停止条件は用いられなくてもよい。本実施形態では、以下の発信停止条件のうち何れか一つが成立している場合に、車両3の状態が受電アクティブ状態(A33)に設定され、いずれも成立していない場合には車両3の状態が受電アクティブ・信号発信状態(A34)に設定される。
【0181】
一つ目の発信停止条件は、バッテリ32に大きな電力を流入させる他の処理が車両3で実施されていることである。非接触電力伝送以外の方法でバッテリ32の急速な充電が行われている場合には、非接触電力伝送による電力をバッテリ32に同時に供給するのが困難なため、地上給電装置2からの送電を一時的に停止すべく信号発信が一時的に停止される。上記他の処理としては、例えば、車両3が内燃機関によっても駆動されるハイブリッド車両である場合には、内燃機関の始動又は停止が挙げられる。斯かる他の処理は、例えば、車両3に設けられた車両側センサ37の出力又はECU34から内燃機関等への制御指令等から検出される。
【0182】
二つ目の発信停止条件は、車両3が急制動中であることである。車両3が急制動中である場合には、回生電力によりバッテリ32の充電が行われるので、非接触電力伝送による電力をバッテリ32に同時に効率的に供給しにくいため、地上給電装置2からの送電を一時的に停止すべく信号発信が一時的に停止される。車両3が急制動中であるか否かは、例えば、車両3のブレーキペダルの踏み込み量などに基づいて検出される。
【0183】
三つ目の発信停止条件は、車両3が車線変更中であることである。車両3が車線変更中である場合には、車両3が地上給電装置2付近を走行していても、送電側共振回路43と受電側共振回路51との横ズレが大きいため、地上給電装置2からの送電を一時的に停止すべく信号発信が一時的に停止される。車両3が車線変更中であることは、例えば、車両3に設けられた前方カメラ等(図示せず)によって撮影された画像等に基づいて検出される。
【0184】
四つ目の発信停止条件は、車両3が左右の区画線に接近しているか又は左右の区画線からはみ出していることである。この場合も、車両3が地上給電装置2付近を走行していても、送電側共振回路43と受電側共振回路51との横ズレが大きいため、地上給電装置2からの送電を一時的に停止すべく信号発信が一時的に停止される。車両3が左右の区画線に接近しているか否か又は区画線からはみ出しているか否かは、例えば、車両3に設けられた前方カメラ等(図示せず)によって撮影された画像等に基づいて検出される。
【0185】
五つ目の発信停止条件は、車両3に横ズレ検出装置の磁界検出機が設けられている場合に、この横ズレ検出装置によって送電側共振回路43と受電側共振回路51との間に横ズレが検出されていることである。上述したように横ズレが生じている場合には給電効率が低下するため、横ズレが検出されているときには地上給電装置2からの送電を一時的に停止すべく信号発信が一時的に停止される。
【0186】
六つ目の発信停止条件は、車両3の車両側第1通信装置71とサーバ91との通信が一定時間未満途絶えていることである。ここで、車両側第1通信装置71は定期的にサーバ91と通信し、例えば給電中の車両3の車両情報(特に、要求給電電力など)を送信する。そして、車両3の車両情報を送信することができなくなると、適切に給電を制御することができなくなる。このため、通信が途絶えているときには地上給電装置2からの送電を一時的に停止すべく信号発信が一時的に停止される。
【0187】
なお、車両3に横ズレ検出装置の磁界検出機が設けられていて且つ車両3の走行方向において地上給電装置2の送電装置4よりもある程度手前に磁界発生回路が埋め込まれている場合には、この磁界検出機を用いて、車両3が地上給電装置2に接近したことを検出することができる。このような場合には、地上給電装置2の磁界検出機によって車両3が地上給電装置2の送電装置4に接近したことが検知されていないことを発信停止条件としてもよい(七つ目の発信停止条件)。これにより、車両3が地上給電装置2に接近したときにのみ車両側第1通信装置71に信号発信させることができるようになる。
【0188】
車両3の状態が受電アクティブ状態(A33)又は受電アクティブ・信号発信状態(A34)にあるときに、車両3の車両側第1通信装置71がリスト登録通知を受信しなくなると、すなわち何れの地上給電装置2の識別情報リストにも車両3の車両識別情報が登録されていなくなると(C35)、車両3の状態が第1スリープ状態(A31)に戻される。
【0189】
一方、車両3の状態が受電アクティブ状態(A33)又は受電アクティブ・信号発信状態(A34)にあるときに、後述する中止条件が成立していて且つ受電装置5が地上給電装置2の送電装置4から受電中ではない場合、又は後述する遮断条件が成立している場合(C36)には、車両側第1通信装置71からサーバ91へ、ひいては対応する地上給電装置2へ識別情報消去要求及び送電停止要求が送信される。
【0190】
識別情報消去要求は、対応する地上給電装置2の識別情報リストからの、当該車両3の車両識別情報の消去の要求である。消去要求の対象となる地上給電装置2は、当該車両3の車両識別情報が識別情報リストに登録されている全ての地上給電装置2であってもよいし、当該車両3の現在位置付近に位置する地上給電装置2のみであってもよい。識別情報消去要求を受信した地上給電装置2は、その地上給電装置2のメモリ222に記憶されている識別情報リストからその車両3の車両識別情報を消去する。
【0191】
送電停止要求は、対応する地上給電装置2からの車両3への給電を停止する要求である。停止要求の対象となる地上給電装置2は、当該車両3の現在位置付近に位置する地上給電装置2である。送電停止要求を受信した地上給電装置2は、当該車両3への送電を行っているときには、送電を停止する。
【0192】
このように地上給電装置2に対して識別情報消去要求及び送電停止要求を送信することにより、地上給電装置2の状態を不必要にスリープ状態(A11)から受信待機状態(A13)や送電アクティブ状態(A16)に切り替える必要がなくなり、地上給電装置2の消費電力を抑制することができる。
【0193】
車両側第1通信装置71から識別情報消去要求及び送電停止要求が送信されると(B13)、遮断条件が成立している場合(C37)には、車両3の状態が第2スリープ状態(A35)に切り替えられる。また、車両の状態が第1スリープ状態(A31)にあるときに、遮断条件が成立している場合(C38)にも、車両3の状態が第2スリープ状態(A35)に切り替えられる。
【0194】
車両3の状態が第2スリープ状態(A35)にあるときには、第1スリープ状態(A31)にあるときと同様に、車両3には待機電力のみが供給される。しかしながら、車両3の状態が第2スリープ状態に(A35)にあるときには、リレー38が遮断される。したがって、受電装置5とバッテリ32との接続が遮断されて、受電装置5は実質的に受電することができない。
【0195】
車両3の状態が第2スリープ状態(A35)にあるときに遮断条件が成立しなくなった場合(C39)には、車両3の状態が第1スリープ状態(A31)に切り替えられる。
【0196】
ここで、遮断条件は、地上給電装置2から車両3への受電を中止することに加えて、受電装置5とバッテリ32とが遮断が必要になる条件である。以下に、遮断条件の具体的な例を列挙する。以下に列挙した遮断条件の全てが用いられてもよいし、一部の遮断条件は用いられなくてもよい。本実施形態では、以下の遮断条件のうち何れか一つが成立している場合に、車両3の状態が第2スリープ状態(A35)に設定される。
【0197】
一つ目の遮断条件は、バッテリ32の充電率SOCが充電率限界値以上であることである。充電率限界値は、バッテリ32の構造上それ以上バッテリ32へ充電することが困難になるような予め定められた値であり、例えば、95%以上である。バッテリ32の充電率SOCが充電率限界値以上になると、当面は、バッテリ32への充電を行うことができないため、受電装置5とバッテリ32との接続が遮断される。バッテリ32の充電率SOCは、車両側センサ37(電流センサ)によって検出されたバッテリ32の充電電流値及び放電電流値に基づいて、ECU34において算出される。
【0198】
二つ目の遮断条件は、バッテリ32の温度がバッテリ限界温度以上であることである。限界温度は、バッテリ32の温度がバッテリ限界温度以上になると、バッテリ32の劣化が進むような温度である。バッテリ32の温度がバッテリ限界温度以上になると、バッテリ32の温度の上昇を招くバッテリ32への充電を当面は行うことができないため、受電装置5とバッテリ32との接続が遮断される。バッテリ32の温度は、車両側センサ37(バッテリ温度センサ)によって検出される。
【0199】
三つ目の遮断条件は、車両3の受電装置5の温度、特に受電側共振回路51、受電側整流回路54の温度が所定の受電装置限界温度以上であることである。受電装置限界温度は、受電装置5の温度がそれ以上高くなると受電装置5に異常が生じる可能性がある温度である。受電装置5の温度の温度が受電装置限界温度以上になると、受電装置5の温度の上昇を招く受電装置5の使用を当面は行うことができないため、受電装置5とバッテリ32との接続が遮断される。受電装置5の温度は、車両側センサ37(受電装置温度センサ)によって検出される。
【0200】
四つ目の遮断条件は、受電装置5に流れる電流が電流限界値以上であること又は受電装置5に加わる電圧が電圧限界値以上であることである。受電装置5に流れる電流又は受電装置5に加わる電圧が過剰に大きくなると、受電装置5に異常が生じる可能性があるため、受電装置5とバッテリ32との接続が遮断される。受電装置5に流れる電流及び受電装置5に加わる電圧は、車両側センサ37(電流センサ、電圧センサ)によって検出される。
【0201】
五つ目の遮断条件は、車両3の車両側第1通信装置71とサーバ91との通信が一定時間以上途絶えていることである。上述したように、車両側第1通信装置71は定期的にサーバ91と通信し、例えば給電中の車両3の車両情報(特に、要求給電電力など)を送信する。そして、車両3の車両情報を送信することができなくなると、適切に給電を制御することができなくなる。特に斯かる通信が一定時間以上途絶えているときには、一時的な通信障害が生じているわけではないため、受電装置5とバッテリ32との接続が遮断される。
【0202】
なお、遮断条件は、後述する中止条件に比べて成立頻度の低い条件となっている。ここで、高い電圧の加わるリレー38の接続及び遮断が頻繁に繰り返されると、リレー38における異常発生の要因になる。本実施形態では、リレー38の遮断が行われる遮断条件を成立頻度の低い条件にすることによって、リレー38における異常が発生することが抑制される。
【0203】
一方、車両側第1通信装置71から識別情報消去要求及び送電停止要求が送信されると(B13)、中止条件が成立している場合(C40)には、車両3の状態が第1スリープ状態(A31)に切り替えられる。
【0204】
ここで、中止条件は、地上給電装置2から車両3への受電を中止することが必要になる条件である。以下に、中止条件の具体的な例を列挙する。以下に列挙した中止条件の全てが用いられてもよいし、一部の中止条件は用いられなくてもよい。本実施形態では、以下の中止条件のうち何れか一つが成立している場合に、車両3の状態が第1スリープ状態(A31)に設定される。
【0205】
一つ目の中止条件は、バッテリ32の充電率SOCが充電率基準値以上且つ充電率限界値未満であることである。充電率基準値は、上述した充電率限界値未満の予め定められた値であり、例えば、80%以上である。バッテリ32の充電率SOCが充電率基準値以上になると、基本的にバッテリ32への充電を行う必要がないため、地上給電装置2から車両3への受電が中止される。
【0206】
二つ目の中止条件は、バッテリ32の温度がバッテリ基準温度以上且つバッテリ限界温度未満であることである。バッテリ基準温度は、上述したバッテリ限界温度未満の予め定められた温度である。バッテリ32の温度がバッテリ基準温度以上になると、バッテリ32の温度がバッテリ限界温度に到達することのないようにバッテリ32への充電を抑制する必要があるため、地上給電装置2から車両3への受電が中止される。
【0207】
三つ目の中止条件は、車両3の受電装置5の温度、特に受電側共振回路51又は受電側整流回路54の温度が所定の受電装置基準温度以上且つ受電装置限界温度未満であることである。受電装置基準温度は、上述した受電装置限界未満の予め定められた温度である。受電装置5の温度が受電装置基準温度以上になると、受電装置5の温度が受電装置基準温度に到達することのないように受電装置5の使用を抑制する必要があるため、地上給電装置2から車両3への受電が中止される。
【0208】
四つ目の中止条件は、バッテリ32の許容充電電力が、所定の充電電力基準値以上であることである。バッテリ32の許容充電電力が小さい場合には、受電装置5が送電装置4から受電しても、その電力を適切にバッテリに供給することができない可能性があるため、地上給電装置2から車両3への受電が中止される。バッテリ32の許容充電電力は、車両側センサ37(バッテリ温度センサ、バッテリ電流センサ等)の出力に基づいて算出される。
【0209】
五つ目の中止条件は、車両3の速度が予め定められた中止基準速度以上であることである。車両3の速度が、中止基準速度以上であると給電効率が低下するため、地上給電装置2から車両3への受電が中止される。中止基準速度は、上述した五つ目の中断条件における中断基準速度と同一であってもよい。車両3の速度は、車両側センサ37(速度センサ)によって検出される。
【0210】
六つ目の中止条件は、地上給電装置2からの車両3の受電電力に基づいて算出された、車両3のユーザへの課金額が所定の上限課金額以上になったことである。ユーザへの課金額は、地上給電装置2からの受電中における受電電力の推移とそのときの単位電力当たりの料金とに基づいて、ECU34によって算出される。また、上限課金額は、予め定められた一定値であってもよいし、車両3のユーザに設定された値であってもよい。
【0211】
七つ目の中止条件は、ユーザからの中止要求がある場合である。ユーザからの中止要求は、例えば、車両3に設けられた走行中給電の要否を入力するためのスイッチから出力される。
【0212】
車両3の状態及び動作の制御は、ECU34によって行われる。したがって、例えば、車両3の状態が第2スリープ状態(A35)にあるときには、ECU34は、車両側センサ37の出力等に基づいて遮断条件が成立しているか否かを判定する。そして、ECU34は、遮断条件が成立していないと判定した場合には、受電装置5とバッテリ32とが接続されるようにリレー38を制御する。
【0213】
次に、図15を参照して受電終了処理について説明する。図15は、受電終了処理の実行に関する作業の流れを示すフローチャートである。図示された処理は、一定の時間間隔毎に行われる。
【0214】
図15に示されるように、まず、ECU34は、現在位置情報及び地図情報を取得する(ステップS101)。ECU34は、GNSS受信機35から車両3の現在位置情報を取得する。加えて、ECU34は、ストレージ装置36から地図情報を取得する。特に、本実施形態では、ECU34は、車両3の現在位置の周りの地上給電装置2の設置位置情報を含む地図情報を取得する。
【0215】
次いで、ECU34は、ステップS101において取得した現在位置情報及び地上給電装置2の設置位置情報に基づいて、車両3が任意の地上給電装置2の上を通過したか否かを判定する(ステップS102)。
【0216】
ステップS102において車両3が任意の地上給電装置2の上を通過したと判定された場合には、ECU34は受電終了処理を行う(ステップS103)。受電終了処理では、車両側第1通信装置71からサーバ91へ受電終了情報が送信される。受電終了情報は、地上給電装置2からの受電に関する情報を含む。受電終了情報に含まれる各種パラメータの値は車両側センサ37の出力等に基づいて算出される。一方、ステップS102において車両3が任意の地上給電装置2の上を通過していないと判定された場合には、ステップS103がスキップされる。
【0217】
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0218】
2 地上給電装置
3 車両
22 コントローラ
81 地上側第1通信装置
82 地上側第2通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図15