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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】細胞用培地添加剤およびその利用
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20241119BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20241119BHJP
   C08F 220/34 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
C12N5/071
C12P21/02 A
C08F220/34
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021103070
(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公開番号】P2022008203
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2020108591
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】金井 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】田尾 文哉
(72)【発明者】
【氏名】荻原 直人
【審査官】大西 隆史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-068749(JP,A)
【文献】国際公開第2016/181975(WO,A1)
【文献】特開2007-130194(JP,A)
【文献】特許第6353923(JP,B2)
【文献】特開2013-189552(JP,A)
【文献】国際公開第2017/022815(WO,A1)
【文献】森本 展行、山本 雅哉,日本バイオマテリアル学会大会予稿集,2019年,1C07
【文献】森本 展行 他,日本バイオマテリアル学会大会予稿集,2018年,1E-10
【文献】MORIMOTO, Nobuyuki,高分子学会予稿集,2017年05月15日,2L09
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00- 7/08
C12P 1/00- 41/00
C08C 19/00- 19/44
C08F 6/00-301/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式1で示される構造単位を側鎖に有する水溶性ビニル系重合体(a)(但し、側鎖にポリオキシアルキレン基を有する重合体であって、前記側鎖末端が炭素数5~30のアルキル基、炭素数5~30のアルカノイル基又は炭素数6~30のアリール基で構成される繰り返し単位である重合体を除く)を含むことを特徴とする細胞用培地添加剤であって、
前記水溶性ビニル系重合体(a)が、水溶性ビニル系重合体(a)を構成する単量体単位の合計100質量%に対して、下記一般式1で示される構造単位を30~100質量%含み、
前記水溶性ビニル系重合体(a)が、下記(a1)又は(a2)であることを特徴とする、細胞用培地添加剤。
(a1)下記一般式4で示される単量体(A1)を含む単量体の共重合体である。
(a2)下記一般式7で示される単量体(A4)を含む単量体の共重合体と、環状スルホン酸エステル(D1)、ω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(D2)、環状カルボン酸エステル(D3)およびω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(D4)からなる群から選ばれる一つ以上のベタイン化剤(D)との反応生成物である。
【化1】

一般中、
は炭素数1~6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基、
は炭素数1~4のアルキレン基
Xは酸素原子または-NH-、
Yは-COOまたは-SO を表し、
*はビニル系重合体の主鎖との結合位置を表す。)
【化2】

【化3】

(一般式4および7中、
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1~6のアルキレン基、
、R はそれぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基、
は炭素数1~4のアルキレン基、
Xは酸素原子または-NH-、
Yは-COO または-SO を表し、
**はベタイン化剤(D)との反応部位を表す。)
【請求項2】
水溶性ビニル系重合体(a)が、水溶性ビニル系重合体(a)を構成する単量体単位の合計100質量%に対して、一般式1で示される構造単位を30~95質量%含む、請求項1記載の細胞用培地添加剤。
【請求項3】
水溶性ビニル系重合体(a)が、分配係数LogPが0.8~10である単量体(B)に基づく構造単位を含み、水溶性ビニル系重合体(a)を構成する単量体単位の合計100質量%に対して、前記単量体(B)に基づく構造単位5~70質量%含む、請求項1又は2記載の細胞用培地添加剤。
【請求項4】
請求項1~いずれかに記載の細胞用培地添加剤を含む、細胞用培地であって、
水溶性ビニル系重合体(a)の培地中の濃度が0.001~1質量%である、細胞用培地
【請求項5】
請求項記載の細胞用培地中で細胞を培養することを特徴とするスフェロイド又は生理活性物質の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物細胞培養時における生理活性物質の高産生化に適した細胞用培地添加剤に関する。さらに本発明は該細胞用培地添加剤を含有する培地を用いた生理活性物質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
iPS細胞やES細胞、間葉系幹細胞等の幹細胞を用いた再生医療では、これらの細胞を効率よく増殖させ、その後に目的組織へ分化させ移植することが想定されている。また、動物細胞を大量培養することにより、モノクローナル抗体をはじめ有用な生理活性物質(ホルモン、神経伝達物質、サイトカイン、ビタミンやミネラル、酵素、核酸など)を工業的に量産することが非常に多くなってきている。その際には増殖因子として、ウシ胎児血清(FBS)などの動物血清が頻繁に使用される。具体的にはRPM11640、イーグルMEM、Ham‘s F12などの合成基礎培地に10~20%程度のウシ胎児血清(FBS)などの動物血清を添加した培養液が一般に用いられる。
【0003】
しかしながら、培地にウシ胎児血清(FBS)などの血清を加えることは培地コストの上昇を招き、また、血清由来のタンパク質を含む培養液から目的とする生理活性物質を単離することが困難になるなどの欠点がある。また、多くの場合、血清にはロット間に品質のばらつきがみられる。そこで血清の使用に先立ってロットチェックを十分に行い、使用可能な血清を選択する必要があるが、この血清の選択には多くの労力を要する。
【0004】
そこで上記課題を解決すべく、細胞培養の効率化、低コスト化が可能となる培地添加剤の検討が行われてきた。
例えば、特許文献1には、グリシルグリシンを培地に添加することで、動物細胞に高濃度に有用物質を生産させることができることが開示されている。
また、特許文献2には、リン脂質類似構造を有するポリマーを含有する培地で細胞培養した場合に、生理活性物質を効率的に生産できることが開示されている。
また、特許文献3には、疎水性D-アミノ酸を含有する培地が、細胞増殖を促進させ、有用物質の生産量を増大させることが開示されている。
また、本発明と同様なベタインポリマーに着目した検討として、特許文献4には、スルホベタインポリマーを有効成分としたタンパク質凝集防止剤が開示されている。特許文献5にはスルホベタインポリマーを含有してなる生体物質非接着材料が開示されている。そして、特許文献6にはカルボベタインポリマーを含有してなる医療用材料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-23780号公報
【文献】特開平4-304882号公報
【文献】特開2015-027265号公報
【文献】国際公開番号 WO2016/181975
【文献】特許第6353923号
【文献】特許第4961133号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の無血清培地の多くは、抗体産生細胞の増殖性、生存性および抗体生産性の面で血清含有培地に比べて十分なものとは言えない。また、特許文献4~6では本発明のようにベタインポリマーが開示されているが、本発明で取り上げる細胞活性やDNA量あたりの生理活性物質の産生性には着目されていなかった。
【0007】
上記事情に鑑み、本発明の目的は、コストや手間の増加を伴わずに、抗体の生産性を高めるための、抗体産生細胞用培地添加剤、該添加剤を用いた抗体産生細胞の培養方法、細胞用培地及び抗体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、下記の発明のいずれかに関する。
本発明は、下記一般式1~3で示される少なくともいずれかの構造単位を側鎖に有する水溶性ビニル系重合体(a)を含むことを特徴とする細胞用培地添加剤に関する。
【化1】

【化2】

【化3】

(式中、
は炭素数1~6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基、
は炭素数1~4のアルキレン基
Xは酸素原子または-NH-、
Yは-COOまたは-SO
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のヒドロキシアルキレン基、
10~R14のうち4つは、水素原子、炭素数1~6のアルキル基を表し、R10~R14のうちの1つはビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
15は炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のヒドロキシアルキレン基を表し、
*はビニル系重合体の主鎖との結合位置を表す。)
【0009】
また、本発明は、水溶性ビニル系重合体(a)が、水溶性ビニル系重合体(a)を構成する単量体単位の合計100質量%に対して、一般式1~3で示される少なくともいずれかの構造単位を30~95質量%含む、前記細胞用培地添加剤に関する。
【0010】
また、本発明は、水溶性ビニル系重合体(a)が、分配係数LogPが0.8~10である単量体(B)に基づく構造単位を含み、水溶性ビニル系重合体(a)を構成する単量体単位の合計100質量%に対して、前記単量体(B)に基づく構造単位5~70質量%含む、前記細胞用培地添加剤に関する。
【0011】
水溶性ビニル系重合体(a)が、下記(a1)または(a2)であることを特徴とする、前記細胞用培地添加剤に関する。
(a1)下記一般式4~6で示される少なくともいずれかの単量体(A1)~(A3)を含む単量体の共重合体である。
(a2)下記一般式7~9で示される少なくともいずれかの単量体(A4)~(A6)の共重合体と、環状スルホン酸エステル(D1)、ω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(D2)、環状カルボン酸エステル(D3)およびω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(D4)からなる群から選ばれる一つ以上のベタイン化剤(D)との反応生成物である。
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

(式中、
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1~6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基、
は炭素数1~4のアルキレン基
Xは酸素原子または-NH-、
Yは-COOまたは-SO
は水素原子またはメチル基、
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のヒドロキシアルキレン基、
16~R20のうち4つは、水素原子、炭素数1~6のアルキル基を表し、R16~R20のうちの1つはCH=C(R21)を表し、
15は炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のヒドロキシアルキレン基を表し、
21は水素原子またはメチル基を表し、
**はベタイン化剤(D)との反応部位を表す。)
【0012】
また、本発明は、前記細胞用培地添加剤を含む、細胞用培地に関する。
【0013】
また、本発明は、水溶性ビニル系重合体(a)の培地中の濃度が0.001~1質量%である、前記細胞用培地に関する。
【0014】
また、本発明は、前記細胞用培地中で細胞を培養することを特徴とするスフェロイド又は生理活性物質の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の細胞用培地添加剤は、該添加剤を細胞用培地に添加し、得られた培地を用いて、生理活性物質を産生可能な細胞を培養した際に、生理活性物質の生産量を増大させることが可能である。特にDNA量あたりの生理活性物質の産生性を高めることができる。また、本発明の細胞用培地添加剤を添加することにより、所望の生理活性物質の産生性を促進することができるため、製造コストや手間を少なくすることができる点でも有用である。例えば、抗体の場合では抗体医薬品等のバイオ医薬品の製造に関して、大量供給に大きく貢献することができる。薬物代謝酵素の場合では、医薬品開発における創薬スクリーニングに大きく貢献することができる。
また、本発明の細胞用培地添加剤は、該添加剤を細胞用培地に添加し、得られた培地を用いて、細胞の活性、スフェロイド形成に優れる細胞が得られる。本細胞用培地添加剤を用いて細胞培養を行った場合、細胞機能を向上することができるため、創薬スクリーニング等の用途において展開可能である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の細胞用培地添加剤は、水溶性ビニル系重合体(a)を含むことを特徴とする。
【0017】
<水溶性ビニル系重合体(a)>
本発明において水溶性とは、25℃のイオン交換水中99g中に樹脂を1g入れて撹拌し、25℃で24時間放置した後、分離・析出せずに水中で樹脂が完全に溶解可能であることを指す。ベタイン構造とは、正電荷と負電荷を同一分子内の隣り合わない位置に持ち、正電荷をもつ原子には解離しうる水素原子が結合していない構造を指す。また、水溶性ビニル系重合体(a)とは、分子構造中にこのベタイン構造を有する水溶性のビニル系重合体のことを示す。分子内に親水性のベタイン構造を有することで、細胞との静電相互作用が制御され、細胞の周囲の環境を適切に制御することができ、例えば抗体産生細胞の抗体産生性や株化細胞の増殖性を向上することができる。
【0018】
水溶性ビニル系重合体(a)は、下記一般式1~3で示される少なくともいずれかの構造単位を側鎖に有する。前記構造単位は、水溶性ビニル系重合体(a)を構成する単量体単位の合計100質量%に対して、30~95質量%含まれることが好ましく、40~80質量%であることがより好ましい。上記範囲であると、極性が適切に制御され、細胞の抗体産生性をはじめとする細胞性能をより向上することができる。
【0019】
【化1】

【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
(式中、
は炭素数1~6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基、
は炭素数1~4のアルキレン基
Xは酸素原子または-NH-、
Yは-COOまたは-SO
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のヒドロキシアルキレン基、
10~R14のうち4つは、水素原子、炭素数1~6のアルキル基を表し、R10~R14のうちの1つはビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
15は炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のヒドロキシアルキレン基を表し、
*はビニル系重合体の主鎖との結合位置を表す。)
【0023】
このような水溶性ビニル系重合体(a)は、以下の方法で得ることが好ましい。
即ち、
(1)下記一般式4~6で示される少なくともいずれかの単量体(A1)~(A3)と、必要に応じて他の単量体とを共重合する。得られる共重合体を水溶性ビニル系重合体(a1)という。
あるいは、
(2)下記一般式7~9で示される少なくともいずれかの単量体(A4)~(A6)と、必要に応じて他の単量体とを共重合し、得られた共重合体中の単量体(A4)~(A6)に由来する部分に後述するベタイン化剤(D)を反応させる。得られる反応生成物は、単量体(A1)を用いた共重合体と同様にベタイン構造を有し、水溶性ビニル系重合体(a2)という。
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
【化9】
【0030】
(式中、
は水素原子またはメチル基、
は水素原子またはメチル基、
は水素原子またはメチル基、
16~R20のうち4つは、水素原子、炭素数1~6のアルキル基を表し、R16~R20のうちの1つはCH=C(R21)を表し、
21は水素原子またはメチル基を表し、
**はベタイン化剤(D)との反応部位を表す。)
その他の記号は、一般式1~3と同様。)
【0031】
<水溶性ビニル系重合体(a1)>
水溶性ビニル系重合体(a1)は、前述の通り、一般式4~6で示される群から選択される少なくともいずれかの単量体(A1)~(A3)を共重合体の構成単位とするものである。単量体(A1)~(A3)の利用によって、ビニル重合体の側鎖にベタイン構造を導入することができる。
【0032】
<単量体(A1)>
単量体(A1)は、一般式4に示す通り、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、ベタイン構造とを有する。
このような単量体としては、例えば、N-(メタ)アクリロイルオキシメチル-N,N-ジメチルアンモニウムメチル-α-カルボキシベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウムメチル-α-カルボキシベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムメチル-α-カルボキシベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシブチル-N,N-ジメチルアンモニウムメチル-α-カルボキシベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシメチル-N,N-ジエチルアンモニウムメチル-α-カルボキシベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチル-N,N-ジエチルアンモニウムメチル-α-カルボキシベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシプロピル-N,N-ジエチルアンモニウムメチル-α-カルボキシベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシブチル-N,N-ジエチルアンモニウムメチル-α-カルボキシベタイン、などのN-(メタ)アクリロイルオキシアルキル-N,N-ジアルキルアンモニウムアルキル-α-カルボキシベタイン;N-(メタ)アクリルアミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムメチル-α-カルボキシベタイン、N-(メタ)アクリルアミドプロピル-N,N-ジエチルアンモニウムメチル-α-カルボキシベタイン、などのN-(メタ)アクリルアミドアルキル-N,N-ジアルキルアンモニウムアルキル-α-カルボキシベタイン;N-(メタ)アクリルアミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムメチル-α-カルボキシベタイン、N-(メタ)アクリルアミドプロピル-N,N-ジエチルアンモニウムメチル-α-カルボキシベタイン、などのN-(メタ)アクリルアミドアルキル-N,N-ジアルキルアンモニウムアルキル-α-カルボキシベタイン;N-(メタ)アクリロイルオキシメチル-N,N-ジメチルアンモニウムメチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシメチル-N,N-ジメチルアンモニウムエチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシメチル-N,N-ジメチルアンモニウムプロピル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシメチル-N,N-ジメチルアンモニウムブチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウムメチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウムエチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウムプロピル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウムブチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムメチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムエチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムプロピル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムブチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシブチル-N,N-ジメチルアンモニウムメチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシブチル-N,N-ジメチルアンモニウムエチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシブチル-N,N-ジメチルアンモニウムプロピル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシブチル-N,N-ジメチルアンモニウムブチル-α-スルホベタイン、などのN-(メタ)アクリロイルオキシアルキル-N,N-ジメチルアンモニウムアルキル-α-スルホベタイン;N-(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ-N,N-ジメチルアンモニウムメチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ-N,N-ジメチルアンモニウムエチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ-N,N-ジメチルアンモニウムプロピル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ-N,N-ジメチルアンモニウムブチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ-N,N-ジメチルアンモニウムメチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ-N,N-ジメチルアンモニウムエチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ-N,N-ジメチルアンモニウムプロピル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ-N,N-ジメチルアンモニウムブチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ-N,N-ジメチルアンモニウムメチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ-N,N-ジメチルアンモニウムエチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキプロポキシプロポキシ-N,N-ジメチルアンモニウムプロピル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ-N,N-ジメチルアンモニウムブチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ-N,N-ジメチルアンモニウムメチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ-N,N-ジメチルアンモニウムエチル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ-N,N-ジメチルアンモニウムプロピル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ-N,N-ジメチルアンモニウムブチル-α-スルホベタイン、などのN-(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアネルコキシ-N,N-ジメチルアンモニウムアルキル-α-スルホベタイン;N-(メタ)アクリルアミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムプロピル-α-スルホベタイン、N-(メタ)アクリルアミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムブチル-α-スルホベタインなどのN-(メタ)アクリルアミドアルキル-N,N-ジアルキルアンモニウムアルキル-α-スルホベタインなどが挙げられる。生理活性物質の産生性の観点からは、スルホベタインが好ましい。本発明において(メタ)アクリルと表記した場合、メタクリルもしくはアクリルであることを示す。
【0033】
<単量体(A2)>
単量体(A2)も、一般式5に示す通り、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、ベタイン構造とを有する。
このような単量体としては、例えば、1-ビニル-3-(3-スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩、1-ビニル-3-(3-スルホブチル)イミダゾリウム内部塩、1-ビニル-2-メチル-3-(3-スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩、1-ビニル-2-メチル-3-(4-スルホブチル)イミダゾリウム内部塩などの1-ビニル-2-アルキル-3-(4-スルホアルキル)イミダゾリウム内部塩などが挙げられる。
【0034】
<単量体(A3)>
単量体(A3)も、一般式6に示す通り、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、ベタイン構造とを有する。
このような単量体としては、例えば、2-ビニル-1-(3-スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、2-ビニル-1-(3-スルホブチル)ピリジニウム内部塩、などの2-ビニル-1-(3-スルホアルキル)ピリジニウム内部塩;4-ビニル-1-(3-スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、4-ビニル-1-(3-スルホブチル)ピリジニウム内部塩、などの4-ビニル-1-(3-スルホアルキル)ピリジニウム内部塩が挙げられる。
【0035】
<水溶性ビニル系重合体(a2)>
本発明における水溶性ビニル系重合体(a)は、前述の通り、単量体(A1)~(A3)そのものを共重合した共重合体である必要はなく、以下のような段階を経て得ることができる。
即ち、単量体(A1)~(A3)の前駆体ともいうべき一般式7~9で示される単量体(A4)~(A6)のうち少なくともいずれかと、必要に応じて他の単量体を共重合し、得られた共重合体中の**で示された窒素の少なくとも一部とベタイン化剤(D)とを反応させて得ることができる。得られる水溶性ビニル系重合体(a2)は、単量体(A4)~(A6)を用いた共重合体と同様にベタイン構造を側鎖に有する。ベタイン化剤(D)は、単量体(A4)~(A6)を全てベタイン化するように使用することが好ましい。
【0036】
このような単量体(A4)としては、例えば、
N-(メタ)アクリロイルオキシメチル-N,N-ジメチルアミン、
N-(メタ)アクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアミン、
N-(メタ)アクリロイルオキシプロピル-N,N-ジメチルアミン、
N-(メタ)アクリロイルオキシブチル-N,N-ジメチルアミン、
N-(メタ)アクリロイルオキシメチル-N,N-ジエチルアミン、
N-(メタ)アクリロイルオキシエチル-N,N-ジエチルアミン、
N-(メタ)アクリロイルオキシプロピル-N,N-ジエチルアミン、
N-(メタ)アクリロイルオキシブチル-N,N-ジエチルアミン、
などのN-(メタ)アクリロイルオキシアルキル-N,N-ジアルキルアミン;
N-(メタ)アクリルアミドプロピル-N,N-ジメチルアミン、
N-(メタ)アクリルアミドプロピル-N,N-ジエチルアミン、
などのN-(メタ)アクリルアミドアルキル-N,N-ジアルキルアミン;
N-(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ-N,N-ジメチルアミン、
N-(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ-N,N-ジメチルアミン、
N-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ-N,N-ジメチルアミン、
N-(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ-N,N-ジメチルアミン、
などのN-(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアネルコキシ-N,N-ジメチルアミンなどが挙げられる。
【0037】
このような単量体(A5)としては、例えば、
1-ビニルイミダゾール、1-ビニル-2-メチル-イミダゾール、
などの1-ビニル-2-アルキル-イミダゾールが挙げられる。
【0038】
このような単量体(A6)としては、例えば、4-ビニル-ピリジン、2-ビニル-ピリジンなどのビニルピリジンが挙げられる。
【0039】
<ベタイン化剤(D)>
ベタイン化剤(D)は、環状スルホン酸エステル(D1)、ω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(D2)、環状カルボン酸エステル(D3)およびω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(D4)からなる群より選択される。一般式7~9で示される単量体(A4)~(A6)の**で示される窒素を重合後に、スルホベタイン化もしくはカルボベタイン化するために用いられる化合物群である。
【0040】
このような環状スルホン酸エステル(D1)としては、例えば、1,2-エタンスルトン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトンが挙げられる。
【0041】
このようなω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(D2)としては、例えば、2-クロロエタンスルホン酸ナトリウム、2-ブロモエタンスルホン酸ナトリウム、3-クロロプロパンスルホン酸ナトリウム、3-ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム、4-クロロブタンスルホン酸ナトリウム、4-ブロモブタンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0042】
このような環状カルボン酸エステル(D3)としては、例えば、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトンなどが挙げられる。
【0043】
このようなω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(D4)としては、例えば、2-クロロ酢酸ナトリウム、2-ブロモ酢酸ナトリウム、3-クロロプロピオン酸ナトリウム、3-ブロモプロピオン酸ナトリウム、4-クロロ酪酸ナトリウム、4-ブロモ酪酸ナトリウム、5-クロロペンタン酸ナトリウム、5-ブロモペンタン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0044】
<単量体(B)>
水溶性ビニル系重合体(a1)、(a2)を得る際に、単量体(A1)~(A3)、(A4)~(A6)の他に、分配係数LogPが0.8~10である単量体(B)を用いることができ、水溶性ビニル系重合体(a)は、単量体(B)に基づく構造単位を含むことが好ましい。単量体(B)に基づく構造単位の導入により、極性が適切に制御され、細胞との疎水性相互作用が制御され、細胞の抗体産生性をはじめとする効果を最大限に発揮することができる。
【0045】
分配係数LogPが0.8~10である単量体(B)としては、例えば、
メチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、nーブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等のアルキルエステル(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族エステル(メタ)アクリレート;
スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、クロロスチレン、アリルベンゼン、エチニルベンゼン等の芳香族ビニル単量体が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
【0046】
分配係数LogPは、化学物質の性質を表す数値の1つであり、添加量に依存しない一定の値である。対象とする物質が水と1-オクタノールの混合液において、水相とオクタノール相が接した系中で平衡状態にある場合を対象として、各相の濃度をその常用対数で示したものである。LogPが大きくなると、比較的に疎水性が増大する傾向にあり、LogPが小さくなると、比較的に親水性が増大する傾向にある。
【0047】
LogPの測定は、一般にJIS日本工業規格Z7260-107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、LogPは実測に代わって、計算化学的手法、あるいは経験的方法により見積もることも可能である。LogPの計算に用いる方法やソフトウェアについては公知のものを用いることができるが、本発明ではCambridgeSoft社のシステム:ChemdrawPro11.0に組み込まれたプログラムを用いて、LogPを求めている。
【0048】
単量体(B)に基づく構造単位は、水溶性ビニル系重合体(a)を構成する単量体単位の合計100質量%中、5~70質量%含まれることが好ましく、20~60質量%がより好ましい。70質量%以下とすることにより、細胞との疎水的相互作用を抑制できる。5質量%以上であることにより、単量体(A1)~(A3)もしくは(A4)~(A6)の量が相対的に少なくなり、水溶性ビニル重合体(a)の水溶性を適度に抑制できる。
【0049】
<単量体(C)>
水溶性ビニル系重合体(a1)、(a2)を得る際に、単量体(A1)~(A3)、(A4)~(A6)、(B)以外に、分配係数LogPが0.8~10の範囲外の単量体(C)も使用することができる。
分配係数LogPが0.8~10の範囲外の単量体(C)としては、例えば、
2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有単量体;
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などのカルボン酸含有単量体;
アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体;
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコール鎖含有単量体;
(2-ヒドロキシエチル)メタクリレートアシッドホスフェートなどのリン酸基含有単量体などの、極性官能基を有する単量体が挙げられる。
【0050】
本発明において、単量体(C)の有するエチレン性不飽和結合基は、重合性の観点から(メタ)アクリレート基もしくは芳香族ビニル基であることが好ましい。
【0051】
その他の単量体(C)を用いる場合、その含有量は、水溶性ビニル系重合体(a)を構成する単量体単位の合計100質量%中、0~65質量%であることが好ましく、0~40質量%であることがより好ましい。
その他の単量体(C)として、極性官能基を有する単量体を用いる場合、その含有量は、水溶性ビニル系重合体(a)を構成する単量体単位の合計100質量%中、0~20質量%であることが好ましい。
単量体(A1)~(A3)もしくは(A4)~(A6)に由来する部分にベタイン化剤(D)が反応したベタイン構造の機能発現を阻害しないという点から、その単量体(C)は少ない方が好ましい。
【0052】
<細胞用培地>
水溶性ビニル重合体(a)を添加する細胞用培地としては、従来公知の細胞用培地を使用することができる。例えば、市販されている各種培地(αMEM、MEM、DMEM、IMDEM、RPMI1640、DMEM/F12等)や、これらの組み合わせが挙げられる。
細胞用培地添加剤である水溶性ビニル重合体(A)の培地中の濃度は0.001~1質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。0.1~1質量%がさらに好ましい。
細胞用培地には、必要に応じて、各種増殖因子(上皮成長因子やインスリン様成長因子、神経成長因子、肝細胞増殖因子、血管内皮増殖因子、塩基性繊維芽細胞増殖因子、トランスフェリン、ステロイドホルモン、2-メルカプトエタノール等)や各種動物血清(ウシ胎児血清(FBS)やウシ血清等)、血清代替物などを添加するのが好ましい。
【0053】
<生理活性物質、スフェロイドの製造方法>
本発明の細胞用培地中で細胞を培養することで、生理活性物質を高効率で生産することができる。また、本発明の細胞用培地中で細胞を培養することで、スフェロイドを形成することができる。
【0054】
<生理活性物質>
本実施形態に係る生理活性物質とは、例えば、抗体タンパク質(以下抗体という)やアルブミン、薬物代謝酵素などである。ここで産生される抗体は特に限定されず、例えば、マウスモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体またはヒトモノクローナル抗体である。また、免疫グロブリンのクラスは特に限定されないが、例えば、IgG(例えば、IgG1、IgG2など)である。また、産生される薬物代謝酵素は特に限定されず、例えば、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、モノアミンオキシダーゼ、ジアミンオキシダーゼ、エポキシドヒドラーゼ、エステラーゼ、アミダーゼ、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ、グルタチオンS-トランスフェラーゼ、γ -グルタミルトランスペプチダーゼ、アセチルトランスフェラーゼ、スルホトランスフェラーゼ、シトクロムP450などが挙げられる。
本発明の培養方法または製造方法において、培養を行う際、通常培養に用いられている容器または装置を使用することができる。例えば、マルチウェルプレート、シャーレ、培養フラスコ、スピナーフラスコ、ジャーファーメンター、ファーメンター、ローラーボトル、ホローファイバー、マイクロキャリアーなどが挙げられる。
【0055】
<細胞>
本発明の培養方法で培養される細胞は、生理活性物質の生産に使用可能な細胞であれば特に限定されず、抗体生産可能な細胞として例えば、CHO細胞、BHK細胞、HepG2細胞、rodentmyeloma細胞、(SP2/O細胞、NSO細胞等のマウス骨髄腫細胞など)、ハイブリドーマ、昆虫細胞、および、それらの細胞に外来遺伝子を導入した形質転換細胞が挙げられるが、例えばCHO細胞、SP2/O細胞またはNSO細胞等を細胞融合することによって得られるハイブリドーマ等を採用することができる。薬物代謝酵素を産生可能な細胞として例えば、動物の肝臓から採取された初代肝細胞、ES細胞やiPS細胞、間葉系幹細胞等の幹細胞から分化誘導させた肝細胞、HepG2細胞やHuH-7細胞等の肝がん由来の細胞株等が挙げられる。
【0056】
本実施形態における培養条件は、通常の動物細胞の培養条件でよく、例えば、5体積%CO雰囲気下で、温度37℃である条件とすることができる。
【0057】
培養液から細胞を採取するには、浮遊細胞の場合は、例えば、培養液を直接遠心分離機やろ過機にかけて集める。接着細胞の場合は、例えば0.25%トリプシン-0.02%EDTA液を添加して細胞を浮遊させた後、遠心分離やろ過により集める。
【0058】
細胞培養によって生産される生理活性物質、特に抗体は、その物質が培養液中に蓄積される場合、ろ過または遠心分離により上澄み液を得て、これから採取される。また、細胞内に蓄積される物質の場合には、ろ過または遠心分離により得た細胞をホモジナイズ、超音波処理、化学薬品処理等を施し、生産物を抽出した上澄み液を得る。
【0059】
上記上澄みから抗体を分離、精製するには、公知の方法を適宜組み合わせて行う。例えば、硫安沈殿、透析、限外ろ過、電気泳動、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィ、逆相クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィなどが好ましい。
【実施例
【0060】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、実施例および比較例における「部」は「質量部」を表し、molとは物質量を表し、質量%は全単量体中の物質量の割合を表す。
【0061】
<各種ベタインモノマーの合成>
水溶性ビニル系重合体(a)の合成に用いたN-メタクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウムブチル-α-スルホベタインは、特許5690645号を参考に合成した。同様に、N-メタクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウムメチル-α-カルボベタインは特許3878315を、1-ビニル-3-(3-スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩と2-ビニル-1-(3-スルホプロピル)ピリジニウム内部塩は特許3584998を参考に合成した。
【0062】
[製造例1]
<水溶性ビニル系重合体(a)の調製>
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、エタノール150部を仕込み、内温を75℃に昇温し十分に窒素置換した。別途用意しておいた、2,2‘-アゾビス-2-メチルプロピオンアビジン0.4部、単量体(A1)としてN-メタクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウムブチル-α-スルホベタイン100部(100質量%)を内温75℃に保ちながら3時間滴下を続け、さらに2時間撹拌を続けた。固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、冷却して取出した。その後、オーブンでエタノールを完全に揮発させ、水溶性ビニル系重合体(a)を得た。
なお、25℃のイオン交換水中99g中に、得られたビニル系重合体(a)を1g入れて撹拌し溶解後、25℃で24時間放置した。その結果これらの樹脂は分離、析出ともに見られず、完全に溶解可能であり、水溶性であることが示された。
【0063】
<細胞用培地添加剤の調製>
上記で得られた溶媒を揮発させた水溶性ビニル系重合体(a)を、リン酸緩衝生理食塩水(以下PBS溶液)に溶かし、濃度10質量%の製造例1の細胞用培地添加剤を得た。
【0064】
[製造例2~13]
表1に示す配合組成で、製造例1と同様の方法で水溶性ビニル系重合体(a)を合成し、PBS溶液に溶解し、製造例2~13の細胞用培地添加剤を得た。
【0065】
【表1】
【0066】
表中の記号は以下の通り。
DMBS:N-メタクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウムブチル-α-スルホベタイン
DMMC:N-メタクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウムメチル-α-カルボベタイン
VSPI:1-ビニル-3-(3-スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩
VSPP:2-ビニル-1-(3-スルホプロピル)ピリジニウム内部塩
BMA:ブチルメタクリレート
St:スチレン
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
DEAA:ジエチルアクリルアミド
【0067】
[製造例14]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、メチルエチルケトン150部を仕込み、内温を75℃に昇温し十分に窒素置換した。別途用意しておいた、2,2’-アゾビス-2-メチルプロピオンアビジン0.4部、単量体(A4)としてメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル60部(60質量%)、単量体(B)としてブチルメタクリレート30部(30質量%)、単量体(C)として2-ヒドロキシエチルアクリレート10部(10質量%)混合したものを、内温を75℃に保ちながら3時間滴下を続け、さらに2時間撹拌を継続し、共重合体を得た。
固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、ベタイン化剤(D)として1,3-プロパンスルトンを47部(前記単量体(A4)と等モルに当たる量)、エタノール50部、イオン交換水200部を加え、メチルエチルケトンとエタノールを留去しながら更に20時間撹拌を続けた。
以下の反応式に示すように、1,4-ブタンスルトンの開環反応により、単量体(A1)の一種であるN-メタクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウムブチル-α-スルホベタイン由来の構造をビニル系重合体の側鎖に有すことができる。
【0068】
【化10】
【0069】
次いで、冷却して取出し、オーブンで溶媒を完全に揮発させた。
なお、25℃のイオン交換水中99g中に、得られたビニル系重合体(a)を1g入れて撹拌し溶解後、25℃で24時間放置した。その結果これらの樹脂は分離、析出ともに見られず、完全に溶解可能であり、水溶性であることが示された。
【0070】
<細胞用培地添加剤の調製>
上記で得られた溶媒を揮発させた水溶性ビニル系重合体(a)を、リン酸緩衝生理食塩水(以下PBS溶液)に溶かし、濃度10質量%の製造例14の細胞用培地添加剤を得た。
【0071】
[製造例15~19]
表2示す組成にてビニル系重合体を得、ビニル系重合体中の単量体(A4)~(A6)に由来する部分にベタイン化剤(D)を反応させ、水溶性ビニル系重合体(a)を合成し、PBS溶液に溶解し、製造例15~19の細胞用培地添加剤を得た。ビニル系重合体中の単量体(A4)~(A6)に由来する部分と、ベタイン化剤(D)との反応式を下記式11~15に示す。この反応の結果、水溶性ビニル重合体(a)がベタイン構造を側鎖に有することがわかる。
【0072】
【化11】
【0073】
【化12】
【0074】
【化13】
【0075】
【化14】
【0076】
【化15】
【0077】
【表2】

【0078】
表中の記号は以下の通り。
DM:N-メタクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアミン
VI:1-ビニルイミダゾール
VP:2-ビニルピリジン
BS:1,4-ブタンスルトン
PS:1,3-プロパンスルトン
SBS:4-ブロモブタンスルホン酸ナトリウム
PL:β-プロピオラクトン
SC:クロロ酢酸ナトリウム
【0079】
[評価]
得られた細胞培養培地添加剤について、以下の評価を実施した。結果を表3に示す。
以下に述べる(1)細胞用培地添加剤の評価、(2)生理活性物質の生産量の評価、(3)細胞の活性、スフェロイド形成性の評価は、それぞれの基礎培地に細胞用培地添加剤を所定量添加し、ピペッティングをすることで培地組成物を調整し、最終濃度0.01質量%から1質量%の範囲で評価した。
【0080】
(1)細胞用培地添加剤の評価
【0081】
<細胞毒性評価>
Low glucose-DMEM培地(シグマアルドリッチ社製)にウシ胎児血清(FBS)を10%添加した培地を調整した(以下、上記の培地を10%FBS-DMEM培地と表記する。)。10%FBS-DMEM培地に水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤を表3に記載の濃度になるように添加し、攪拌をすることで培地組成物を調製した。ヒト肝がん細胞株HepG2細胞を100,000cells/mLとなるように調整後、96ウェル平底マイクロプレートのウェルに1ウェルあたり100μLになるように播種した。その後、本プレートをCOインキュベーター(37℃、5%CO)内にて静置状態で2日間培養した。その後、培地を上記の水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤を添加した培地組成物に入れ替え、1日培養した後にWST-8試薬による細胞毒性試験を評価した。培養後の肝細胞を含む培養液にWST-8試薬(株式会社同仁研究所社製)を10μL添加した後、COインキュベーター(37℃、5%CO)内に2時間静置した。2時間後、マイクロプレートリーダーにて450nmの吸光度を測定し、WST-8試薬を添加していない培養液の吸光度を差し引くことで細胞毒性を評価した。水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤を加えないで培養した場合の成績を1とした場合の相対値で判定した。評価結果を表3に示す。
◎:1.0以上(非常に良好)
○:0.90以上~1.0未満(良好)
×:0.90未満(不良)
【0082】
(2)生理活性物質の生産量の評価
【0083】
<抗体産生性評価>
培地はDynamis Medium(Gibco製)を用い、L-Glutaminを1.0質量%になるように添加した。以後、これを基礎培地と呼ぶ。これを2セット用意し、得られた水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤を表3に記載の濃度になるように添加した。水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤の濃度が異なる2種の培地にそれぞれIgG遺伝子を導入しIgG抗体を分泌産生するCHO細胞株(ATCC製CRL-12455)を加え、CHO細胞株の濃度が1,000,000cells/mLとなる細胞懸濁液を作製した。得られた細胞懸濁液20mLを、125mLの三角フラスコに播種し、37℃にて培養した。なお、培養中、栄養源が枯渇する前に3~4日に一度、上澄み液15mLを回収し、新たな基礎培地15mLと交換し、これを5回繰り返した。培地交換を5回繰り返した後の細胞培養液を遠心分離することで、培地上清を回収した。培地中の抗体量を、Bethyl Laboratories,Inc製のHuman IgG ELISA Quantitation Setを用いて測定した。また、沈降した細胞群のDNA量も定量し、単位DNA量あたりの抗体生産量として算出した。水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤を加えないで培養した場合の成績を1とした場合の相対値で判定した。評価結果を表3に示す。
◎:1.2以上(非常に良好)
○:1以上~1.2未満(良好)
×:1未満(不良)
【0084】
<アルブミン産生性評価>
10%FBS-DMEM培地に水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤を表3に記載の濃度になるように添加し、攪拌をすることで培地組成物を調製した。ヒト肝がん細胞株HepG2細胞を250,000cells/mLとなるように、上記の水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤を添加した培地組成物を播種した後、96ウェルU底マイクロプレートのウェルに1ウェルあたり200μLになるように分注した。その後、本プレートをCOインキュベーター(37℃、5%CO)内にて静置状態で3日間培養した。3日間培養後の肝細胞を含む培養液を回収し、遠心分離にすることで培地上清を回収した。培地中のアルブミン量を、Bethyl Laboratories,Inc製Albumin ELISA Quantitation Setを用いて測定した。また、沈降した細胞群のDNA量も定量し、単位DNA量あたりのアルブミン生産量として算出した。水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤を加えないで培養した場合の成績を1とした場合の相対値で判定した。評価結果を表3に示す。
◎:1.2以上(非常に良好)
○:1以上~1.2未満(良好)
×:1未満(不良)
【0085】
<薬物代謝酵素活性の評価>
10%FBS-DMEM培地にポリマーを含む細胞用培地添加剤を表3に記載の濃度となるように添加し、攪拌をすることで培地組成物を調製した。ヒト肝がん細胞株HepG2細胞を250,000cells/mLとなるように、上記の水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤を添加した培地組成物を播種した後、96ウェルU底マイクロプレートのウェルに1ウェルあたり200μLになるように分注した。その後、本プレートをCO2インキュベーター(37℃、5%CO2)内にて静置状態で3日間培養した。3日間培養後、薬物代謝酵素の活性評価を実施した。薬物代謝酵素活性はP450-GloTM CYP3A4 Assay Kits(Promega製)を用いて評価し、基質としてLuciferin-IPAを用いた。基質を含む10%FBS-DMEM培地に入れ替え、4時間インキュベートした。インキュベート後の培地を発光測定用黒色プレートに移し、検出試薬(Luciferindetection reagent)を加え、室温で20分間静置した。このプレートをプレートリーダー(Berthold製)にて発行量測定した。また、細胞群のDNA量も定量し、単位DNA量あたりの薬物代謝酵素活性値として算出した。水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤を加えないで培養した場合の成績を1とした場合の相対値で判定した。評価結果を表3に示す。
◎:1.2以上(非常に良好)
○:1.0以上1.2未満(良好)
×:1未満(不良)
【0086】
<qRT-PCR法による遺伝子発現解析>
10%FBS-DMEM培地にポリマーを含む細胞用培地添加剤を表3に記載の濃度となるように添加し、攪拌をすることで培地組成物を調製した。ヒト肝がん細胞株HepG2細胞を250,000cells/mLとなるように、上記の水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤を添加した培地組成物を播種した後、96ウェルU底マイクロプレートのウェルに1ウェルあたり200μLになるように分注した。その後、本プレートをCO2インキュベーター(37℃、5%CO2)内にて静置状態で3日間培養した。3日間培養後の肝細胞を含む培養液を回収し、遠心分離にすることで細胞を回収した。回収したHepG2細胞をRNeasy Micro Kit(QIAGEN製)を用いてトータルRNAを抽出した。抽出した全RNAをReverTra Ace qPCR RT Master Mix(TOYOBO製)を用いた逆転写反応によりcDNAを合成した。cDNAと目的遺伝子 (CYP3A4とAlbumin)のTaqMan probe(Life Technologies製、CYP3A4:Hs00604506_m1,Albumin:Hs00609411_m1)を用いてqRT-PCRを実施した。リファレンス遺伝子にはGAPDH(Life Technologies製、Hs02786624_g1)を用いた。各遺伝子の相対発現量はGAPDHを基準に比較Ct法を用いて算出した。水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤を加えないで培養した場合の成績を1とした場合の相対値で判定した。評価結果を表3に示す。
◎:2以上(非常に良好)
○:1以上2未満(良好)
×:1未満(不良)
【0087】
(3)細胞の活性、スフェロイド形成性の評価
【0088】
<ATP活性>
10%FBS-DMEM培地に水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤を表3に記載の濃度になるように添加し、攪拌をすることで培地組成物を調製した。ヒト肝がん細胞株HepG2細胞を100,000cells/mLとなるように、上記の水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤を添加した培地組成物を播種した後、96ウェルU底マイクロプレートのウェルに1ウェルあたり100μLになるように分注した。その後、本プレートをCOインキュベーター(37℃、5%CO)内にて静置状態で5日間培養した。
ATP活性は、1、5日後にATPアッセイを行うことによって評価した。具体的には、培養後のウェルに100μLのATP試薬(『塊』のATP測定試薬:東洋ビーネット社製)を添加、5回ピペッティングし、5分間室温で静置した後、100μLの試薬・細胞溶解液を別プレートに分取し1分間撹拌した。これをMithrasLB940(Berthold社製)を用いて発光量を測定した。評価結果を表3に示す。
ATP活性=(培養5日後の発光量)/(培養1日後の発光量)×100
◎:120%≦ATP活性、 ATP活性がかなり高い。(非常に良好)
〇:50%≦ATP活性<120% ATP活性が高い。(良好)
△: 20%≦ATP活性<50% ATP活性がやや高い。(可)
×:ATP活性<20% ATP活性が低い。(不良)
【0089】
<スフェロイドの形成性>
10%FBS-DMEM培地に水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤を表3に記載の濃度になるように添加し、攪拌をすることで培地組成物を調製した。ヒト肝がん細胞株(HepG2細胞)を100,000cells/mLとなるように、上記の水溶性ビニル重合体を含む細胞用培地添加剤を添加した培地組成物を播種した後、マイクロプレート(住友ベーラクイト社製 PrimeSurfaceMS-9096U)のウェルに1ウェルあたり100μLになるように分注した。その後、本プレートをCO2インキュベーター(37℃、5%CO2)内にて静置状態で3日間培養した。
スフェロイド形成性は、3日後に細胞培養状態を透過式光学顕微鏡40倍で写真撮影し、細胞の形態を観察することによって、以下の基準で判定した。評価結果を表3に示す。
〇:1つのスフェロイドを形成(良好)
△:複数個のスフェロイドを形成(やや不良)
×:スフェロイドを形成しない(不良)
【0090】
【表3】
【0091】
<結果>
表3の結果から、実施例1~19の細胞培養用培地添加剤は、細胞毒性が低く、優れた抗体産生性やアルブミン産生性、薬物代謝酵素の活性を示すことが分かった。一方で、比較例1~4の添加剤は、細胞毒性、抗体産生性、アルブミン産生性、ATP活性ともに実施例1~19の細胞培養用添加剤に劣る結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の細胞用培地添加剤は、細胞用培地に添加することにより、生理活性物質の生産量を増大させることができる。
また、本発明の細胞用培地添加剤を使用することで、所望の生理活性物質の産生性を促進することができ、製造コストや手間を少なくすることができる点でも有用である。例えば、抗体医薬品等のバイオ医薬品の製造に関して、大量供給に大きく貢献することができる。