(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】店舗管理システム、店舗管理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20241119BHJP
【FI】
G06Q30/06
(21)【出願番号】P 2021542685
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(86)【国際出願番号】 JP2020029851
(87)【国際公開番号】W WO2021039314
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2019155558
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】富田 莉奈
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-090780(JP,A)
【文献】国際公開第2018/175203(WO,A1)
【文献】特許第6376582(JP,B1)
【文献】特開2012-074014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗に関する複数の表示項目について、表示に係る優先度合いを示す第1優先度を設定する第1設定手段と、
前記店舗の撮像画像に基づいて、前記第1優先度とは異なる第2優先度を設定する第2設定手段と、
前記複数の表示項目を、前記第1優先度及び前記第2優先度に基づいて並び替えるソート手段と、
前記複数の表示項目を、前記ソート手段で並び替えた順番で表示する表示手段と
を備えることを特徴とする店舗管理システム。
【請求項2】
前記ソート手段は、前記第1優先度よりも前記第2優先度の重みを大きくして、前記複数の表示項目を並び替えることを特徴とする請求項1に記載の店舗管理システム。
【請求項3】
前記第1設定手段は、ユーザの操作に応じて前記第1優先度を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の店舗管理システム。
【請求項4】
前記第1設定手段は、前記複数の表示項目のうち前記ユーザが選択した項目の前記第1優先度を、前記ユーザが選択しない項目の前記第1優先度よりも高くなるように設定することを特徴とする請求項3記載の店舗管理システム。
【請求項5】
前記第2設定手段は、前記撮像画像から前記店舗における異常を検出し、前記複数の表示項目のうち前記異常に関連する項目の前記第2優先度を、前記異常に関連しない項目の前記第2優先度よりも高くなるように設定することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の店舗管理システム。
【請求項6】
前記第2設定手段は、前記異常の種別、発生時間及び発生数の少なくとも1つに基づいて、前記第2優先度を設定することを特徴とする請求項5に記載の店舗管理システム。
【請求項7】
前記第2設定手段は、前記撮像画像から検出される異常の類似度を比較し、前記類似度が所定閾値以上であるものについては同一の異常として扱うことを特徴とする請求項5又は6に記載の店舗管理システム。
【請求項8】
前記複数の表示項目は、前記店舗における商品陳列棚の各々に対応する項目であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の店舗管理システム。
【請求項9】
少なくとも1つのコンピュータ
が、
店舗に関する複数の表示項目について、表示に係る優先度合いを示す第1優先度を設定
する処理を実行し、
前記店舗の撮像画像に基づいて、前記第1優先度とは異なる第2優先度を設定
する処理を実行し、
前記複数の表示項目を、前記第1優先度及び前記第2優先度に基づいて並び替え
るソート処理を実行し、
前記複数の表示項目を、
前記ソート処理で並び替えた順番で表示する
処理を実行する
ことを特徴とする店舗管理方法。
【請求項10】
店舗に関する複数の表示項目について、表示に係る優先度合いを示す第1優先度を設定
する処理を実行し、
前記店舗の撮像画像に基づいて、前記第1優先度とは異なる第2優先度を設定
する処理を実行し、
前記複数の表示項目を、前記第1優先度及び前記第2優先度に基づいて並び替え
るソート処理を実行し、
前記複数の表示項目を、
前記ソート処理で並び替えた順番で表示する
処理を実行する
店舗管理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗を管理する店舗管理システム、店舗管理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシステムとして、店舗の状況を監視するものが知られている。例えば特許文献1では、店舗における陳列棚の画像を撮像することで、陳列棚に陳列されている商品を特定する技術が開示されている。特許文献2では、商品の不足状態を監視する際に、商品の区分ごとに予め設定された優先度を利用する技術が開示されている。特許文献3では、店舗に設定された複数の個別エリアの映像を取得し、優先度の高い順に個別エリアの映像を表示する技術が開示されている。
【0003】
その他の関連する技術として、特許文献4では、表示優先順位に従って3次元画像を生成し出力する技術が開示されている。特許文献5では、不審者の映像を撮像し表示させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-170044号公報
【文献】特開2017-162375号公報
【文献】特開2016-018567号公報
【文献】特開2006-288495号公報
【文献】特開2004-208288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
店舗を管理する際には、店舗の撮像画像から取得した各種情報を、複数の項目(例えば、複数の商品棚の各々に対応した項目)に分けて端末等に表示することがある。これらの項目は、例えば端末の表示画面にリスト形式で表示されるが、項目数が多いと画面に収まりきらない項目が生ずることがある。よって、早急に確認すべき項目(例えば、「欠品」等の緊急度の高い項目)に関しては、他の項目よりも優先的に表示(例えば、上位表示)されることが好ましい。
【0006】
上述した特許文献1から3には、店舗の映像から商品を特定する技術や、商品毎に優先順位を設定する技術が記載されているが、予め設定した優先順位で各項目を表示させたとしても、それがユーザにとって最適な順番になるとは限らない。即ち、上述した各特許文献には、複数の項目を適切に表示させるという点において改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、店舗に関する複数の情報を適切に表示することが可能な店舗管理システム、店舗管理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の店舗管理システムの一の態様は、店舗に関する複数の表示項目について、表示に係る優先度合いを示す第1優先度を設定する第1設定手段と、前記店舗の撮像画像に基づいて、前記第1優先度とは異なる第2優先度を設定する第2設定手段と、前記複数の表示項目を、前記第1優先度及び前記第2優先度に基づいて並び替えるソート手段と、前記複数の表示項目を、前記ソート手段で並び替えた順番で表示する表示手段とを備える。
【0009】
本発明の店舗管理方法の一の態様は、店舗に関する複数の表示項目について、表示に係る優先度合いを示す第1優先度を設定する第1設定工程と、前記店舗の撮像画像に基づいて、前記第1優先度とは異なる第2優先度を設定する第2設定工程と、前記複数の表示項目を、前記第1優先度及び前記第2優先度に基づいて並び替えるソート工程と、前記複数の表示項目を、前記ソート工程で並び替えた順番で表示する表示工程とを含む。
【0010】
本発明のコンピュータプログラムの一の態様は、店舗に関する複数の表示項目について、表示に係る優先度合いを示す第1優先度を設定する第1設定工程と、前記店舗の撮像画像に基づいて、前記第1優先度とは異なる第2優先度を設定する第2設定工程と、前記複数の表示項目を、前記第1優先度及び前記第2優先度に基づいて並び替えるソート工程と、前記複数の表示項目を、前記ソート工程で並び替えた順番で表示する表示工程とをコンピュータに実行させる。
【0011】
本発明の記録媒体の一の態様は、上述したコンピュータプログラムが記録されている。
【発明の効果】
【0012】
上述した店舗管理システム、店舗管理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体のそれぞれの一の態様によれば、店舗に関する複数の情報を適切に表示することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る店舗管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る店舗管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る店舗管理システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図4】第1優先度及び第2優先度が設定されていない場合の表示例を示す図である。
【
図5】第1優先度が設定されており、第2優先度が設定されていない場合の表示例を示す図である。
【
図6】第1優先度及び第2優先度が設定されている場合の表示例を示す図である。
【
図7】異常種別に応じた第2優先度の設定方法の一例を示す表である。
【
図8】不審者検出のアラートを割込表示させる場合の表示例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る店舗管理システムのアプリにおける画面遷移フローの一例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る店舗管理システムのアプリにおける複数表示機能の一例を示す図である。
【
図11】実施形態に係る店舗管理システムのアプリにおける他店比較機能の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、店舗管理システム、店舗管理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体の実施形態について説明する。
【0015】
(システム構成)
まず、
図1及び
図2を参照しながら、本実施形態に係る店舗管理システムの構成について説明する。
図1は、実施形態に係る店舗管理システムの全体構成を示すブロック図である。
図2は、実施形態に係る店舗管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0016】
図1において、本実施形態に係る店舗管理システム1は、例えばコンビニエンスストア等の店舗に適用されるシステムであり、主な構成要素として、カメラ10と、店舗管理装置20と、複数のユーザ端末30とを備えて構成されている。
【0017】
カメラ10は、店舗の内部或いは店舗の周辺を撮像可能に構成されている。カメラ10は、動画を撮像するものであってもよいし、静止画を一定の周期で定期的に撮像するものであってもよい。カメラ10は1つの店舗に対して複数設置されていてもよい。なお、カメラ10は、店舗における死角が発生しないように設置されることが好ましいが、店舗管理システム1による監視対象(言い換えれば、表示項目に関する対象)が限定されている場合には、撮像範囲が限定されていても構わない。カメラ10で撮像された撮像画像は、店舗管理装置20に出力される構成となっている。
【0018】
店舗管理装置20は、例えば管理サーバーとして構成されている。店舗管理装置20は、カメラ10の撮像画像から店舗に関する複数の表示項目を取得する。表示項目は、例えば店舗における各棚に対応する項目(例えば、「棚A」、「棚B」、「棚C」等)である。或いは、複数の店舗を管理する場合、表示項目は、各店舗に対応する項目(例えば、「店舗A」、「店舗B」、「店舗C」等)であってもよい。なお、店舗管理装置20は、複数のカメラ10に対応するものであってもよい。また、店舗管理装置20は、複数の店舗(言い換えれば、複数の店舗の各々に設置されたカメラ10)に対応するものであってもよい。店舗管理装置は、その機能を実現するための論理的な処理ブロックとして、第1優先度設定部210、第2優先度設定部220、及びソート部230を備えている。
【0019】
第1優先度設定部210は、カメラ10の撮像画像から取得された店舗に関する複数の表示項目について、それぞれ第1優先度を設定可能に構成されている。ここでの「第1優先度」とは、複数の表示項目の表示順を決定するためのパラメータである。第1優先度は、例えばユーザの操作に応じて予め設定されてよい(言い換えれば、ユーザが第1優先度を任意に設定することが可能であってもよい)。
【0020】
第2優先度設定部220は、カメラ10の撮像画像から取得された店舗に関する複数の表示項目について、それぞれ第2優先度を設定可能に構成されている。ここでの「第2優先度」とは、第1優先度と同様に複数の表示項目の表示順を決定するためのパラメータであるが、第1優先度とは異なる条件で設定される。具体的には、第2優先度は、カメラ10の撮像画像に応じて設定される。例えば、第2優先度設定部220は、カメラ10の撮像画像から検出した異常(例えば、欠品、異物、不審者等)に基づいて第2優先度を設定してもよい。
【0021】
ソート部230は、第1優先度設定部210で設定された第1優先度、及び第2優先度設定部220で設定された第2優先度に基づいて、カメラ10の撮像画像から取得された店舗に関する複数の表示項目をソートする。ソート部230における具体的なソート方法については、後に詳しく説明する。
【0022】
図2に示すように、本実施形態に係る店舗管理装置20は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、記憶装置14とを備えている。店舗管理装置20は更に、入力装置15と、出力装置16とを備えていてもよい。CPU11と、RAM12と、ROM13と、記憶装置14と、入力装置15と、出力装置16とは、データバス17を介して接続されている。
【0023】
CPU11は、コンピュータプログラムを読み込む。例えば、CPU11は、RAM12、ROM13及び記憶装置14のうちの少なくとも一つが記憶しているコンピュータプログラムを読み込んでもよい。例えば、CPU11は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体が記憶しているコンピュータプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。CPU11は、ネットワークインタフェースを介して、店舗管理装置20の外部に配置される不図示の装置からコンピュータプログラムを取得してもよい(つまり、読み込んでもよい)。CPU11は、読み込んだコンピュータプログラムを実行することで、RAM12、記憶装置14、入力装置15及び出力装置16を制御する。本実施形態では特に、CPU11が読み込んだコンピュータプログラムを実行すると、CPU11内には、複数の表示項目を並び替えて表示させるための機能ブロックが実現される。上述した、第1優先度設定部210、第2優先度設定部220、及びソート部230は、例えばこのCPU11において実現されるものである。
【0024】
RAM12は、CPU11が実行するコンピュータプログラムを一時的に記憶する。RAM12は、CPU11がコンピュータプログラムを実行している際にCPU11が一時的に使用するデータを一時的に記憶する。RAM12は、例えば、D-RAM(Dynamic RAM)であってもよい。
【0025】
ROM13は、CPU11が実行するコンピュータプログラムを記憶する。ROM13は、その他に固定的なデータを記憶していてもよい。ROM13は、例えば、P-ROM(Programmable ROM)であってもよい。
【0026】
記憶装置14は、店舗管理システム1が長期的に保存するデータを記憶する。記憶装置14は、CPU11の一時記憶装置として動作してもよい。記憶装置14は、例えば、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)及びディスクアレイ装置のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0027】
入力装置15は、店舗管理システム1のユーザからの入力指示を受け取る装置である。入力装置15は、例えば、キーボード、マウス及びタッチパネルのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0028】
出力装置16は、店舗管理システム1に関する情報を外部に対して出力する装置である。例えば、出力装置16は、店舗管理システム1に関する情報を表示可能な表示装置であってもよい。
【0029】
図1に戻り、ユーザ端末30は、店舗管理システム1の各ユーザ(例えば、店舗管理者や店舗スタッフ等)が保有する端末であり、例えばパソコンやタブレット、スマートフォンとして構成されている。ユーザ端末30は、店舗管理装置20においてソートされた複数の表示項目を表示可能な端末として構成されている。また、ユーザ端末30は、第1優先度を設定するための操作を実行可能な端末であってもよい。
【0030】
(動作説明)
次に、
図3を参照しながら、実施形態に係る店舗管理システム1の動作の流れについて説明する。
図3は、実施形態に係る店舗管理システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【0031】
図3に示すように、本実施形態に係る店舗管理システム1の動作時には、まずカメラ10が店舗の画像を取得する(ステップS101)。カメラ10で取得された撮像画像は、店舗における複数の表示項目に対応するように切り分けられる。言い換えれば、切り分けられた複数の撮像画像の各々は、複数の表示項目の各々に対応付けられる。例えば、店舗内の棚Aを撮像した画像は、表示項目「棚A」と対応付けられる。同様に、店舗内の棚Bを撮像した画像は、表示項目「棚B」と対応付けられる。
【0032】
続いて、第1優先度設定部210が、第1優先度を設定する(ステップS102)。第1優先度は、例えばユーザの操作に応じて設定される。なお、第1優先度は、事前に(言い換えれば、カメラ10によって画像が取得される前に)設定されていてもよい。この場合、第1優先度設定部210は、事前に設定された(記憶された)第1優先度を読み込むことで第1優先度を取得する。
【0033】
続いて、第2優先度設定部220が、第2優先度を取得する(ステップS103)。第2優先度は、カメラ10で取得された撮像画像に基づいて設定される。具体的には、第2優先度は、各表示項目に対応する撮像画像の解析結果に基づいて設定される。例えば、表示項目「棚A」の第2優先度は、棚Aを撮像した画像の解析結果に基づいて設定される。同様に、表示項目「棚B」の第2優先度は、棚Bを撮像した画像の解析結果に基づいて設定される。
【0034】
続いて、ソート部230が、第1優先度及び第2優先度に基づいて、複数の表示項目を並び替える(ステップS104)。そして、ソート部230は、並び替えた複数の表示項目を、ユーザ端末30に出力して表示させる(ステップS105)。複数の項目は、例えばユーザ端末30の表示画面にリスト形式で表示される。この際、ユーザが表示項目を指定することで、指定した表示項目に対応する撮像画像が表示されるようにしてもよい。
【0035】
上述した一連の動作は、カメラ10で撮像画像が取得される度に実行されてもよいし、所定の周期で定期的に実行されてもよい。或いは、ユーザ端末30の電源がONされたタイミングや、ユーザ端末30で複数の表示項目を表示させるタイミングに合わせて実行されてもよい。
【0036】
(具体的なソート例)
次に、
図4から
図6を参照しながら、ソート部230による具体的なソート例について説明する。
図4は、第1優先度及び第2優先度が設定されていない場合の表示例を示す図である。
図5は、第1優先度が設定されており、第2優先度が設定されていない場合の表示例を示す図である。
図6は、第1優先度及び第2優先度が設定されている場合の表示例を示す図である。なお、以下では、店舗における商品陳列棚の各々に対応する表示項目「棚A」~「棚H」を表示する例を用いて説明する
【0037】
図4では、第1優先度及び第2優先度が設定されていない状態(言い換えれば、すべての項目で第1優先度及び第2優先度が同じ状態)での表示例が示されている。第1優先度及び第2優先度が設定されていない場合、各項目「棚A」~「棚H」は名前順(ここでは、アルファベット順)でソートされる。なお、ここでのユーザ端末30に表示可能な項目数(即ち、一画面で表示できる項目数)は“6”である。このため、上位表示される「棚A」~「棚F」については初期画面で確認することができるが、下位表示される「棚G」及び「棚H」は初期画面で確認することができない(下側にスクロールしないと確認することができない)。
【0038】
図5では、第1優先度が設定されている一方で、第2優先度が設定されていない状態での表示例が示されている。ここでの第1優先度は、ユーザがお気に入り設定をすることで設定される。具体的には、お気に入り設定された表示項目の第1優先度が、お気に入り設定されていない表示項目の第1優先度よりも高くなるように設定される。この結果、お気に入り設定された「棚A」、「棚C」、「棚D」及び「棚H」の各項目は、お気に入り設定されていない「棚B」、「棚E」、「棚F」及び「棚G」よりも上位表示されている。
【0039】
図4と
図5とを比べると分かるように、
図4の時点では初期画面で表示されていなかった「棚H」は、
図5の時点では初期画面に表示されている。このように、お気に入り設定によって第1優先度を設定すれば、より目立たせたい項目を上位表示させることが可能である。
【0040】
図6では、第1優先度及び第2優先度が設定されている状態での表示例が示されている。具体的には、「棚D」及び「棚G」の撮像画像から異常が検出され、「棚D」及び「棚G」の第2優先度が、その他の項目「棚A」、「棚B」、「棚C」、「棚E」、「棚F」、「棚H」の第2優先度よりも高く設定されている。
【0041】
ソート部230は、第1優先度及び第2優先度の両方を用いて表示順を並び替える際に、第1優先度よりも第2優先度を優先するように設定されている。言い換えれば、第1優先度の重みより、第2優先度の重みが大きくなるように設定されている。このため、第1優先度及び第2優先度の両方が高い「棚D」が最上位表示され、第1優先度は低いが第2優先度が高い「棚G」が2番目に表示されている。それ以降は、第1優先度が高い「棚A」、「棚C」、「棚H」が表示され、その下に、第1優先度および第2優先度の両方が低い「棚E」、「棚F」が表示されている。
【0042】
図5と
図6とを比べると分かるように、
図5の時点では上から3番目に表示されていた「棚D」は、
図6の時点では最上位に表示されている。また、
図5の時点では初期画面で表示されていなかった「棚G」は、
図5の時点では上から2番目に表示されている。このように、検出された異常に応じて第2優先度を設定すれば、緊急度の高い表示項目(即ち、ユーザが早く確認すべき表示項目)を上位表示させることが可能である。
【0043】
なお、異常が検出された表示項目(即ち、第2優先度が高い表示項目)については、上位表示させることに加えて、強調表示が行われてもよい。具体的には、
図6のように「棚D」、「棚G」の項目の色が、他の項目よりも目立つ色(例えば、赤色や黄色等)に変更されてもよい。
【0044】
(第2優先度の設定例)
次に、
図7を参照しながら、第2優先度のより具体的な設定方法について説明する。
図7は、異常種別に応じた第2優先度の設定方法の一例を示す表である。
【0045】
図7に示すように、第2優先度は、検出された異常の種別に応じて設定されてもよい。具体的には、異常として「異物」が検出された場合、第2優先度は“高”に設定される。ここでの「異物」とは、本来であれば棚にあるべきでないもの(例えば、他の商品やゴミ等)が存在している際に検出される異常である。このような異常は、比較的緊急度が高いため、第2優先度が“高”に設定されることで、ユーザに目立ちやすい位置へと表示項目がソートされる。異常として「欠品」が検出された場合、第2優先度は“中”に設定される。ここでの「欠品」とは、棚に陳列されている商品が無くなっている或いは少なくなっている際に検出される異常である。このような異常は、比較的緊急度が低いため、第2優先度が“中”に設定されることで、ユーザにやや目立ちやすい位置へと表示項目がソートされる。なお、異常が検出されない場合、第2優先度は“低”に設定されるため、表示項目は目立ちやすい位置へはソートされない。
【0046】
第2優先度は、上述した異常の種別だけでなく、異常の発生時間や発生回数等に基づいて設定されてもよい。具体的には、異常の発生時間が早い(言い換えれば、発生から長時間経過している)場合には、比較的緊急度が高いと考えられるため、第2優先度が高く設定されてよい。或いは、異常の発生回数が多い場合にも、比較的緊急度が高いと考えられるため、第2優先度が高く設定されてよい。
【0047】
異常の発生回数を利用する場合、同じ異常が何度も検出されてしまうことを回避するために、異常の類似度判定を行ってもよい。具体的には、検出された複数の異常の類似度が所定閾値以上である場合には、それらの異常は同一のものであるとして扱ってもよい。このようにすれば、同じ異常が何度も検出されることで、第2優先度が不当に高くなってしまうことを防止できる。なお、異常の類似度判定には、既存の技術を適宜採用することが可能であるが、例えばカメラ10の撮像画像の類似度を比較することによって、異常の類似度を判定してもよい。
【0048】
(アラートの割込表示)
次に、
図8を参照しながら、アラートの割込表示について説明する。
図8は、不審者検出のアラートを割込表示させる場合の表示例を示す図である。
【0049】
図8に示すように、特殊な異常が検出された場合には、それまでの表示項目(即ち、「棚A」~「棚H」)に加えて、アラート項目を割込表示させてもよい。
図8に示す例では、「不審者検出」のアラートが最上位に割込表示されている。なお、「不審者検出」とは、店舗内に不審者が存在する場合に検出される異常である。不審者検出は、商品陳列棚の各項目とは関連のない異常のため、独立したアラート項目として割込表示される。
【0050】
なお、ここでは「不審者検出」のアラート項目の第2優先度を最も高く設定して、最上位表示させるようにしているが、第2優先度は異常の種別等に応じて適宜設定されればよい。このため、例えば上から2番目や3番目の位置に割込表示が行われてもよい。また、アラート項目を割込表示させる場合、同じ異常が何度も検出されてしまうと、複数のアラート項目が何個も割込表示されてしまうおそれがある。このため、割込表示を行う際には、上述した異常の類似度判定等を行って、同じ異常が何度も重複して検出されることを防止することが好ましい。
【0051】
(技術的効果)
次に、実施形態に係る店舗管理システム1によって得られる技術的効果について説明する。
【0052】
図1から
図7で説明したように、本実施形態に係る店舗管理システム1によれば、店舗における複数の表示項目を適切に並び替えて表示することができる。本実施形態では特に、相異なる条件で設定される2種類の優先度(即ち、第1優先度及び第2優先度)が用いられるため、1種類の優先度しか利用しない場合と比較して、より適切に表示項目を並び替えることができる。従って、ユーザに知らせるべき店舗の情報を、分かりやすい表示態様で提示することができる。
【0053】
<店舗管理システムのアプリ例>
次に、本実施形態に係る店舗管理システム1を利用する際に用いるアプリ(例えば、スマートフォンアプリ)の具体例について、
図9から
図11を参照して説明する。このようなアプリは、例えば、上述したユーザ端末30等に予めインストールされているものとする。
【0054】
(アプリの画面遷移フロー)
まず、
図9を参照しながら、アプリにおける画面の遷移フローについて説明する。
図9は、実施形態に係る店舗管理システムに適用されるアプリにおける画面遷移フローの一例を示す図である。
【0055】
図9に示すように、店舗管理システム1を利用しようとするユーザは、ログイン画面において、予め設定した「ユーザーネーム」及び「パスワード」を入力してアプリへのログインを実行する。すると、端末のディスプレイには、複数のストア項目(ここでは、StoreA~F)が並ぶお店選択画面が表示される。続いて、お店選択画面でお店を選択すると(ここでは、StoreCを選択したものとする)、複数の棚項目(ここでは、Shelf01~06)が並ぶ棚選択画面が表示される。棚選択画面で棚を選択すると(ここでは、Shelf03を選択したものとする)、選択した棚の画像が表示される。
【0056】
以上のように、店舗管理システム1を利用する際には、アプリにログイン後、「店」、「棚」を順に選択していくことで、棚画像を表示させることが可能である。ただし、1つの店舗でのみ利用する場合は、お店選択画面が省略され、ログイン後すぐに棚選択画面が表示されてもよい。なお、本実施形態の場合は、お店選択画面における表示項目、及び棚選択画面における表示項目の並び替え(即ち、第1優先度及び第2優先度を用いた並び替え)が行われてよい。
【0057】
(複数表示機能)
次に、
図10を参照しながら、アプリにおける複数の画像を表示する機能について説明する。
図10は、実施形態に係る店舗管理システムに適用されるアプリにおける複数表示機能の一例を示す図である。
【0058】
図10に示すように、棚画像が表示されている状態で、機能パネルから「Tile View」を選択すると、複数の棚画像を同時に表示する複数表示機能を利用することができる。具体的には、「Tile View」を選択すると、画面上に複数の表示枠(ここでは、A~Cの4つ)が表示される。これらの枠から1つを選んで、「店」・「時間」を選択していくと、選択したお店の選択した時間帯における棚画像を、選んだ枠に表示させることができる。このようにすべての枠について「店」・「時間」を選択していくと、最終的に4つの棚画像を同時に表示させることができる。これにより、複数の棚画像を同時に確認することが可能となる。なお、ここでは2×2の4枠で同時表示させる例を挙げたが、異なるレイアウトで複数の棚画像が同時に表示されるようにしてもよい。
【0059】
複数の棚画像を同時に表示させることで、例えば一の店と他の店とで棚の様子を比較することができる。これにより、例えば優良店との商品配置の違い等を確認することが可能である。
【0060】
(他店比較機能)
次に、
図11を参照しながら、アプリにおける他店比較機能について説明する。
図11は、実施形態に係る店舗管理システムに適用されるアプリにおける他店比較機能の一例を示す図である。
【0061】
図11に示すように、2つの異なる店舗の棚画像を並べて表示することで、店舗による商品陳列の違いを確認する機能が備えられていてもよい。例えば、図のようにA店とB店との棚を並べて表示することで、減っている商品や売り切れている商品を確認することが可能である。このように、画像を並べて比較可能とすることで、メールや電話等で伝わり難い情報を、わかりやすく伝えることができる。
【0062】
<付記>
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
【0063】
(付記1)
付記1に記載の店舗管理システムは、店舗に関する複数の表示項目について、表示に係る優先度合いを示す第1優先度を設定する第1設定手段と、前記店舗の撮像画像に基づいて、前記第1優先度とは異なる第2優先度を設定する第2設定手段と、前記複数の表示項目を、前記第1優先度及び前記第2優先度に基づいて並び替えるソート手段と、前記複数の表示項目を、前記ソート手段で並び替えた順番で表示する表示手段とを備えることを特徴とする店舗管理システムである。
【0064】
(付記2)
付記2に記載の店舗管理システムは、前記ソート手段は、前記第1優先度よりも前記第2優先度の重みを大きくして、前記複数の表示項目を並び替えることを特徴とする付記1に記載の店舗管理システムである。
【0065】
(付記3)
付記3に記載の店舗管理システムは、前記第1設定手段は、ユーザの操作に応じて前記第1優先度を設定することを特徴とする付記1又は2に記載の店舗管理システムである。
【0066】
(付記4)
付記4に記載の店舗管理システムは、前記第1設定手段は、前記複数の表示項目のうち前記ユーザが選択した項目の前記第1優先度を、前記ユーザが選択しない項目の前記第1優先度よりも高くなるように設定することを特徴とする付記3記載の店舗管理システム。
【0067】
(付記5)
付記5に記載の店舗管理システムは、前記第2設定手段は、前記撮像画像から前記店舗における異常を検出し、前記複数の表示項目のうち前記異常に関連する項目の前記第2優先度を、前記異常に関連しない項目の前記第2優先度よりも高くなるように設定することを特徴とする付記1から4のいずれか一項に記載の店舗管理システムである。
【0068】
(付記6)
付記6に記載の店舗管理システムは、前記第2設定手段は、前記異常の種別、発生時間及び発生数の少なくとも1つに基づいて、前記第2優先度を設定することを特徴とする請求項5に記載の店舗管理システムである。
【0069】
(付記7)
付記7に記載の店舗管理システムは、前記第2設定手段は、前記撮像画像から検出される異常の類似度を比較し、前記類似度が所定閾値以上であるものについては同一の異常として扱うことを特徴とする付記5又は6に記載の店舗管理システムである。
【0070】
(付記8)
付記8に記載の店舗管理システムは、前記複数の表示項目は、前記店舗における商品陳列棚の各々に対応する項目であることを特徴とする付記1から7のいずれか一項に記載の店舗管理システムである。
【0071】
(付記9)
付記9に記載の店舗管理方法は、店舗に関する複数の表示項目について、表示に係る優先度合いを示す第1優先度を設定する第1設定工程と、前記店舗の撮像画像に基づいて、前記第1優先度とは異なる第2優先度を設定する第2設定工程と、前記複数の表示項目を、前記第1優先度及び前記第2優先度に基づいて並び替えるソート工程と、前記複数の表示項目を、前記ソート工程で並び替えた順番で表示する表示工程とを含むことを特徴とする店舗管理方法である。
【0072】
(付記10)
付記10に記載のコンピュータプログラムは、店舗に関する複数の表示項目について、表示に係る優先度合いを示す第1優先度を設定する第1設定工程と、前記店舗の撮像画像に基づいて、前記第1優先度とは異なる第2優先度を設定する第2設定工程と、前記複数の表示項目を、前記第1優先度及び前記第2優先度に基づいて並び替えるソート工程と、前記複数の表示項目を、前記ソート工程で並び替えた順番で表示する表示工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0073】
(付記11)
付記11に記載の記録媒体は、付記10に記載のコンピュータプログラムが記録されていることを特徴とする記録媒体である。
【0074】
本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う店舗管理システム、店舗管理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体もまた本発明の技術思想に含まれる。
【0075】
法令で許容される限りにおいて、この出願は、2019年8月28日に出願された日本出願特願2019-155558を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。また、法令で許容される限りにおいて、本願明細書に記載された全ての公開公報及び論文をここに取り込む。
【符号の説明】
【0076】
1 店舗管理システム
10 カメラ
20 店舗管理装置
30 ユーザ端末
210 第1優先度設定部
220 第2優先度設定部
230 ソート部