(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法、および管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241119BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20241119BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2022031932
(22)【出願日】2022-03-02
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】駒田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 満
(72)【発明者】
【氏名】石井 正彦
(72)【発明者】
【氏名】浅野 英貴
(72)【発明者】
【氏名】石井 伴和
(72)【発明者】
【氏名】戸次 幸司
(72)【発明者】
【氏名】米川 紘輔
(72)【発明者】
【氏名】竺原 慶和
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-134151(JP,A)
【文献】特開2003-167953(JP,A)
【文献】国際公開第2019/131824(WO,A1)
【文献】特開2021-189564(JP,A)
【文献】特開2013-158153(JP,A)
【文献】特開2010-191832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の製造により排出されたCO2排出量を記憶する記憶部と、
前記二次電池を再利用する事業者により前記二次電池が再利用される場合に、前記事業者との間で、再利用されるときの前記二次電池の劣化度に応じて前記CO2排出量を按分する制御部とを備える、管理装置。
【請求項2】
前記二次電池は、移動体に搭載されており、
前記管理装置は、前記移動体と通信可能に構成された通信部をさらに備え、
前記制御部は、
前記通信部を介して、前記移動体から前記二次電池に関する情報を取得し、
前記二次電池が再利用される場合に、前記情報を用いて、前記劣化度を算出する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記二次電池は、移動体に搭載されており、
前記管理装置は、前記移動体と通信可能に構成された通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記二次電池が再利用される場合に、前記通信部を介して、前記移動体から前記劣化度を取得する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記事業者の管理装置と通信可能に構成された通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記二次電池が再利用される場合に、前記通信部を介して、前記事業者の管理装置から前記劣化度を取得する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
前記事業者の管理装置と通信可能に構成された通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記二次電池が再利用される場合に、前記通信部を介して、前記事業者の管理装置から前記劣化度に応じたCO2排出量の負担分を取得する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項6】
前記劣化度は、前記二次電池の容量維持率である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記二次電池が再利用される場合の前記容量維持率が高いほど、前記事業者の前記CO2排出量の負担分を大きくする、請求項6に記載の管理装置。
【請求項8】
二次電池の製造により排出されたCO2排出量を記憶するステップと、
前記二次電池を再利用する事業者により前記二次電池が再利用される場合に、前記事業者との間で、再利用されるときの前記二次電池の劣化度に応じて前記CO2排出量を按分するステップとを含む、管理方法。
【請求項9】
二次電池の製造により排出されたCO2排出量を管理する第1装置と、
前記二次電池を再利用する事業者の第2装置とを備え、
前記第1装置は、前記二次電池が再利用される場合に、再利用されるときの前記二次電池の劣化度に応じて、前記CO2排出量を更新し、
前記第2装置は、前記劣化度に応じたCO2排出量を管理する、管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次電池の製造により排出されたCO2排出量を管理する管理装置、管理方法、および管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題への意識の高まりに伴なって、市場に流通する製品を製造するために排出されたCO2排出量への関心が高まってきている。そこで、企業において、製品を製造するために排出されたCO2排出量を算出し、管理することが行なわれる場合がある。たとえば、特開2016-126372号公報(特許文献1)には、製品(材料および部品を含む)の輸送工程におけるCO2排出量を算出する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、走行用の二次電池を搭載した車両の普及が急速に進んでいる。これらの車両に搭載されている二次電池は、再利用事業者によって、再利用(たとえば、リユース、リビルド等)される場合がある。この場合、再利用事業者は、二次電池を製造するために排出されたCO2排出量(二次電池のCO2排出量)をなんら負担することなく、再利用される二次電池を用いたビジネスが可能となる。二次電池のCO2排出量を負担している自動車メーカと再利用事業者との間でCO2排出量の負担に関して不公平が生じる。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、二次電池を再利用する事業者に、二次電池の製造により排出されたCO2排出量を適切に按分することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)この開示のある局面に係る管理装置は、二次電池の製造により排出されたCO2排出量を記憶する記憶部と、二次電池を再利用する事業者により二次電池が再利用される場合に、事業者との間で、再利用されるときの二次電池の劣化度に応じて上記CO2排出量を按分する制御部とを備える。
【0007】
上記構成によれば、二次電池が再利用される場合には、二次電池を再利用する事業者との間で、再利用されるときの二次電池の劣化度に応じてCO2排出量が按分される。劣化度に応じてCO2排出量を按分することで、事業者に適切な量のCO2排出量を負担させることができる。
【0008】
(2)ある実施の形態においては、二次電池は、移動体に搭載されている。管理装置は、移動体と通信可能に構成された通信部をさらに備える。制御部は、通信部を介して、移動体から二次電池に関する情報を取得し、二次電池が再利用される場合に、上記情報を用いて、劣化度を算出する。
【0009】
上記構成によれば、管理装置の制御部は、移動体から取得した二次電池に関する情報を用いて二次電池の劣化度を算出する。制御部は、この算出された劣化度に応じて、事業者との間でCO2排出量を適切に按分することができる。
【0010】
(3)ある実施の形態においては、二次電池は、移動体に搭載されている。管理装置は、移動体と通信可能に構成された通信部をさらに備える。制御部は、二次電池が再利用される場合に、通信部を介して、移動体から劣化度を取得する。
【0011】
上記構成によれば、管理装置の制御部は、移動体から劣化度を取得する。制御部は、取得された劣化度に応じて、事業者との間でCO2排出量を適切に按分することができる。
【0012】
(4)ある実施の形態においては、管理装置は、事業者の管理装置と通信可能に構成された通信部をさらに備える。制御部は、二次電池が再利用される場合に、通信部を介して、事業者の管理装置から劣化度を取得する。
【0013】
上記構成によれば、管理装置の制御部は、事業者の管理装置から劣化度を取得する。制御部は、取得された劣化度に応じて、事業者との間でCO2排出量を適切に按分することができる。
【0014】
(5)ある実施の形態においては、管理装置は、事業者の管理装置と通信可能に構成された通信部をさらに備える。制御部は、二次電池が再利用される場合に、通信部を介して、事業者の管理装置から劣化度に応じたCO2排出量の負担分を取得する。
【0015】
上記構成によれば、管理装置の制御部は、事業者の管理装置から劣化度に応じたCO2排出量の負担分を取得する。たとえば、制御部は、取得された負担分に基づいて、記憶部に記憶されたCO2排出量を更新することができる。よって、事業者との間でCO2排出量を適切に按分することができる。
【0016】
(6)ある実施の形態においては、劣化度は、二次電池の容量維持率である。
上記構成によれば、容量維持率に応じて、事業者との間でCO2排出量が按分されるので、事業者に適切な量のCO2排出量を負担させることができる。
【0017】
(7)ある実施の形態においては、制御部は、二次電池が再利用される場合の容量維持率が高いほど、事業者のCO2排出量の負担分を大きくする。
【0018】
上記構成によれば、二次電池の容量維持率が高いほど事業者のCO2排出量の負担分が大きくなるので、事業者に適切な量のCO2排出量を負担させることができる。
【0019】
(8)この開示の他の局面に係る管理方法は、二次電池の製造により排出されたCO2排出量を記憶するステップと、二次電池を再利用する事業者により二次電池が再利用される場合に、事業者との間で、再利用されるときの二次電池の劣化度に応じてCO2排出量を按分するステップとを含む。
【0020】
上記方法によれば、二次電池が再利用される場合には、二次電池を再利用する事業者との間で、再利用されるときの二次電池の劣化度に応じてCO2排出量が按分される。劣化度に応じてCO2排出量を按分することで、事業者に適切な量のCO2排出量を負担させることができる。
【0021】
(9)この開示の他の局面に係る管理システムは、二次電池の製造により排出されたCO2排出量を管理する第1装置と、二次電池を再利用する事業者の第2装置とを備える。第1装置は、二次電池が再利用される場合に、再利用されるときの二次電池の劣化度に応じて、CO2排出量を更新する。第2装置は、劣化度に応じたCO2排出量を管理する。
【0022】
上記構成によれば、第1装置と第2装置との間で、二次電池の劣化度に応じてCO2排出量が按分される。よって、両者の間でCO2排出量を適切に按分することができる。したがって、事業者に適切な量のCO2排出量を負担させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、二次電池を再利用する事業者に、二次電池の製造により排出されたCO2排出量を適切に按分することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施の形態1に係る管理システム1の全体構成図である。
【
図2】データベースに記憶される車両のCO2排出量の一例を説明するための図である。
【
図3】管理装置2の制御装置21、および、管理装置3の制御装置31の機能ブロック図である。
【
図4】バッテリの再利用時に実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図4のS21の詳細な処理を示すフローチャートである。
【
図6】変形例1に係る、
図4のS21の詳細な処理を示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態2に係る、管理装置2の制御装置21A、および、管理装置3の制御装置31Aの機能ブロック図である。
【
図8】実施の形態2に係る、バッテリの再利用時に実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】変形例3に係る、バッテリの再利用時に実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0026】
[実施の形態1]
<構成>
図1は、実施の形態1に係る管理システム1の全体構成図である。管理システム1は、バッテリの製造により排出されたCO2排出量を管理するためのシステムである。管理システム1は、自動車メーカ(車両メーカ)に帰属する管理装置2と、バッテリの再利用事業者に帰属する管理装置3とを含む。
【0027】
車両メーカは、工場(自社工場および協力会社の工場等を含む)4で製造した車両5を、ディーラ等の販売事業者を介して市場に供給している。車両5は、バッテリ51を搭載した電気自動車である。なお、車両5は、バッテリ51を搭載した車両であればよく、電気自動車に限られるものではない。車両5は、たとえば、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、および、燃料電池車等であってもよい。
【0028】
バッテリ51は、たとえば、駆動電源(すなわち動力源)として車両5に搭載される。バッテリ51は、積層された複数の電池(セル)を含んで構成される。電池は、たとえば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池である。また、電池は、正極と負極との間に液体電解質を有する電池であってもよいし、固体電解質を有する電池(全固体電池)であってもよい。バッテリ51には、当該バッテリを識別するための「電池ID」が付されている。また、複数の電池の各々にも、電池を識別するための「電池ID」が付されていてもよい。
【0029】
車両メーカの管理装置2は、車両5の製造により排出されたCO2排出量を管理する。車両5の製造により排出されたCO2排出量は、車両5を構成する各部品(材料を含む)の製造によって排出されたCO2排出量、および、上記各部品(材料を含む)の輸送等によって排出されたCO2排出量を含む。車両メーカは、サプライチェーンにおける上流企業から、車両5を構成する各部品を購入している。車両メーカは、部品の納品とともに、当該部品の製造によって排出されたCO2排出量、および、当該部品の輸送等によって排出されたCO2排出量の報告を、上流企業から受ける。管理装置2は、たとえば、各上流企業から受けたCO2排出量と、各部品を用いて車両5を完成させるために排出されたCO2排出量とを含めて、車両5の製造により排出されたCO2排出量(以下「車両5のCO2」とも称する)を算出する。なお、以下では、部品(材料を含む)の製造によって排出されたCO2排出量、および、当該部品(材料を含む)の輸送等によって排出されたCO2排出量を総称して、「部品のCO2排出量」とも称する。
【0030】
管理装置2は、制御装置21と、記憶装置22と、通信装置23と、入力装置24と、表示装置25とを備える。制御装置21、記憶装置22、通信装置23、入力装置24、および表示装置25は、バス26に接続されている。また、管理装置2には、データベース27が通信可能に接続されている。
【0031】
制御装置21は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)を含む集積回路によって構成される。制御装置21は、記憶装置22に格納されている各種プログラムを実行する。各種プログラムには、オペレーティングシステム等が含まれる。記憶装置22は、たとえば、上記各種プログラムを記憶しているROM(Read Only Memory)、および、ワーキングメモリとして機能し、各種プログラムの実行に必要な各種データを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)を含んで構成される。なお、制御装置21は、本開示に係る「制御部」の一例に相当する。
【0032】
通信装置23は、管理装置3および車両5と通信可能に構成される。通信装置23と、管理装置3および車両5との通信は、たとえば、インターネット等を介して行なわれる。なお、通信装置23は、本開示に係る「通信部」の一例に相当する。
【0033】
入力装置24は、入力デバイスを含む。入力デバイスは、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、および/または、ユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。
【0034】
表示装置25は、ディスプレイを含む。表示装置25は、制御装置21からの制御信号に従って、ディスプレイに各種の画像を表示させる。ディスプレイは、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、または、その他の表示機器である。
【0035】
データベース27は、管理装置2(制御装置21)からの制御信号に従って、情報を記憶する。制御装置21は、車両5を構成する各部品のCO2排出量(すなわち、上流の企業から受けた報告値)をデータベース27に記憶させている。制御装置21は、車両5を構成する各部品のCO2排出量を合算した値を、車両5のCO2排出量としてデータベース27に記憶させる。なお、データベース27は、車両5に限らず、車両メーカが市場に供給したすべての車両のCO2排出量を記憶している。データベース27は、管理装置2内に記憶装置として設けることも可能である。なお、データベース27は、本開示に係る「記憶部」の一例に相当する。
【0036】
図2は、データベース27に記憶される車両のCO2排出量の一例を説明するための図である。車両のCO2排出量は、車両ID毎に記憶されている。車両IDは、車両を特定するための情報であり、たとえば、VIN(Vehicle Identification Number)であってもよい。なお、車両IDは、車両を一意に特定できるものであればよく、他の情報であってもよい。本実施の形態では、車両5は、「V001」の車両IDを有することを想定する。
【0037】
図2には、一例として、車両ID、電池ID、電池IDに紐付くCO2排出量(バッテリのCO2排出量)、エンジンID、エンジンIDに紐付くCO2排出量(エンジンのCO2排出量)、および、車両のCO2排出量が示されている。たとえば、車両ID「V001」には、電池ID「B001」により特定されるバッテリ51、当該バッテリ51のCO2排出量「M1」、エンジンID「E001」により特定されるエンジン、当該エンジンのCO2排出量「N1」、および、車両5のCO2排出量「S1」が紐付いている。バッテリ51のCO2排出量「M1」、エンジンのCO2排出量「N1」、および、車両5を構成する他の部品(不図示)のCO2排出量を合計した値が、車両ID「V001」により特定される車両5のCO2排出量「S1」である。
【0038】
再び
図1を参照して、車両メーカは、車両5を市場へ供給する場合に、データベース27に記憶された車両5のCO2排出量を、たとえば、政府機関、あるいは民間機関等に報告する。たとえば、CO2排出量に応じた税負担が車両メーカに対して生じたりすることもあり得る。管理装置2の管理者(たとえば車両メーカの従業員)等による入力装置24への入力に応答して、制御装置21が各部を制御することにより、通信装置23を介して上記報告がなされる。上記報告は、車両5を構成する部品毎のCO2排出量(たとえば、バッテリ51のCO2排出量)を認識できる態様であってもよい。
【0039】
車両5が市場に供給された後には、管理装置2は、市場に供給された車両5からバッテリ51に関する情報(以下「バッテリ情報」とも称する)を取得する。具体的には、制御装置21は、車両5が起動するとスリープ状態となるまで、通信装置23を介して、所定の制御周期毎に車両5からバッテリ情報を取得する。バッテリ情報は、バッテリ51の電圧(バッテリ電圧)の情報、バッテリ51に入出力される電流(バッテリ電流)の情報、およびバッテリ51の温度(バッテリ温度)の情報を含む。制御装置21は、電池IDに紐付けて、データベース27にバッテリ情報を記憶させる。
【0040】
車両5を構成する部品の中には、後に車両5から取り出され、再利用される可能性が高い部品が存在する。このような部品の一例として、たとえばバッテリ51が挙げられる。車両5が市場に流通してから所定の年数が経過して廃車等されるような場合に、再利用事業者によって車両5からバッテリ51が回収され、回収されたバッテリ51が再利用される。バッテリの再利用は、たとえば、リユースおよびリビルドを含む。
【0041】
リユースとは、車両5から回収された(取り外された)バッテリ51を、回収された時点での機能および性能のまま再度供給する(流通させる)ことである。回収されたバッテリ51には、必要な検査が施され、当該検査において要件を満たしてたバッテリ51は、リユース品として市場に流通される。
【0042】
リビルトとは、車両5から回収されたバッテリ51の機能、性能を復元または維持しつつ、バッテリ51の構造および/または性能を変更して供給することである。回収されたバッテリ51は、一旦、電池(セル)に分解される。そして、分解された電池のうち、使用可能な電池(性能回復後に使用可能となる電池であってもよい)が組み合わされて新たなバッテリが製造される。
【0043】
本実施の形態に係る再利用事業者は、車両5からバッテリ51を回収し、回収されたバッテリ51のリユースを行なう事業者である。なお、再利用事業者は、リユースを行なう事業者に限られるものではなく、リユースおよびリビルドのうちの少なくとも一方を行なう事業者であればよい。再利用事業者は、回収されたバッテリ51の状態に応じて、リユースまたはリビルドを行なう事業者であってもよい。
【0044】
ここで、車両メーカは、車両5の製造時に、バッテリ51の製造によって排出されたCO2排出量(バッテリ51のCO2排出量)を負担している。再利用事業者がバッテリ51を再利用する場合、再利用事業者は、車両メーカが負担しているバッテリ51のCO2排出量をなんら負担することなく、再利用されるバッテリ51を用いたビジネスが可能となる。そのため、車両メーカと再利用事業者との間でCO2排出量の負担に関して不公平が生じる。
【0045】
そこで、実施の形態1に係る管理システム1は、バッテリ51が再利用される時点におけるバッテリ51の劣化度に応じて、車両メーカが負担していたバッテリ51のCO2排出量の一部を再利用事業者に負担させる。すなわち、管理システム1では、バッテリ51が再利用される時点におけるバッテリ51の劣化度に応じて、車両メーカと再利用事業者との間でバッテリ51のCO2排出量が按分される。劣化度は、たとえば、SOH(State Of Health)である。SOHとは、容量維持率であり、バッテリ51の初期状態における満充電容量C0に対するバッテリ51の現在の満充電容量Cの比率[単位:%]で表わされる。SOHは、たとえば、下記式(1)により算出することができる。
【0046】
SOH=C/C0×100…(1)
満充電容量の初期値C0としては、バッテリ51(または車両5)の製造時に測定された満充電容量を用いてもよいし、バッテリ51の満充電容量の仕様値(カタログ値)を用いてもよい。詳細は後述するが、実施の形態1では、SOHは車両メーカの管理装置2により算出される。
【0047】
再利用事業者の管理装置3は、再利用するバッテリ51のCO2排出量を管理する。再利用するバッテリ51のCO2排出量は、再利用する時点におけるバッテリ51のSOHに応じて按分されたCO2排出量と、再利用するための工程で排出されたCO2排出量とを含む。
【0048】
管理装置3は、制御装置31と、記憶装置32と、通信装置33と、入力装置34と、表示装置35とを備える。制御装置31、記憶装置32、通信装置33、入力装置34、および表示装置35は、バス36に接続されている。また、管理装置3には、データベース37が通信可能に接続されている。
【0049】
制御装置31は、たとえば、CPUを含む集積回路によって構成される。制御装置31は、記憶装置32に格納されている各種プログラムを実行する。各種プログラムには、オペレーティングシステム等が含まれる。記憶装置32は、たとえば、上記各種プログラムを記憶しているROM、および、ワーキングメモリとして機能し、各種プログラムの実行に必要な各種データを一時的に格納するRAMを含んで構成される。
【0050】
通信装置33は、管理装置2と通信可能に構成される。通信装置33と、管理装置2(通信装置23)との通信は、たとえば、インターネット等を介して行なわれる。
【0051】
入力装置34は、入力デバイスを含む。入力デバイスは、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、および/または、ユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。
【0052】
表示装置35は、ディスプレイを含む。表示装置35は、制御装置31からの制御信号に従って、ディスプレイに各種の画像を表示させる。ディスプレイは、たとえば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、または、その他の表示機器である。
【0053】
データベース37は、管理装置3(制御装置31)からの制御信号に従って、情報を記憶する。制御装置31は、再利用するバッテリ51のCO2排出量(負担分)をデータベース37に記憶させている。データベース37に記憶されているバッテリ51のCO2排出量は、再利用事業者の負担分となるバッテリ51のCO2排出量である。データベース37は、管理装置3内に記憶装置として設けることも可能である。
【0054】
再利用事業者がバッテリ51を再利用する場合、管理装置3の管理者(たとえば、再利用事業者の従業員)は、まず、車両5からバッテリ51を取り出す(回収する)。バッテリ51には、電池IDが付されている。管理装置3の管理者は、入力装置34を操作して、バッテリの再利用を申請するための画面を表示装置35に表示させる。管理装置3の管理者は、入力装置34を操作して、表示装置35に表示された電池ID入力欄にバッテリ51の電池IDを入力し、表示装置35に表示された申請ボタンをクリックする。これにより、電池IDにより特定されるバッテリ51を搭載した車両5を市場に供給した車両メーカの管理装置2に、バッテリ51の再利用通知が送信される。再利用通知には、再利用されるバッテリ51を特定するための電池IDが含まれる。
【0055】
管理装置3から再利用通知を受けた管理装置2は、電池IDに基づいてバッテリ51を特定し、バッテリ51のバッテリ情報をデータベース27から読み出す。そして、管理装置2は、バッテリ情報を用いてバッテリ51のSOHを算出し、算出されたSOHに応じたバッテリ51のCO2排出量の按分比を決定する。この按分比に従って、管理装置2は、バッテリ51の製造によって排出されたCO2排出量(バッテリ51のCO2排出量)を更新するとともに、管理装置3に再利用事業者の負担分となるバッテリ51のCO2排出量を通知する。
【0056】
管理装置3は、管理装置2から受けたバッテリ51のCO2排出量を、再利用されるバッテリ51のCO2排出量としてデータベース37に記憶させて管理する。このバッテリ51のCO2排出量は、たとえば、再利用事業者からバッテリを購入した購入者に対して、リユース品のCO2排出量として報告されたりする。
【0057】
<機能ブロック>
図3は、管理装置2の制御装置21、および、管理装置3の制御装置31の機能ブロック図である。
図3を参照して、管理装置2の制御装置21は、情報取得部211と、登録部212と、受け付け部213と、読み出し部214と、SOH算出部215と、決定部216と、CO2排出量演算部217と、更新部218と、通知部219とを含む。制御装置21は、たとえば、記憶装置22に記憶されたプログラムを実行することにより、情報取得部211、登録部212、受け付け部213、読み出し部214、SOH算出部215、決定部216、CO2排出量演算部217、更新部218、および通知部219として機能する。なお、情報取得部211、登録部212、受け付け部213、読み出し部214、SOH算出部215、決定部216、CO2排出量演算部217、更新部218、および通知部219は、たとえば、専用のハードウェア(電子回路)により実現されてもよい。
【0058】
情報取得部211は、通信装置23を介して、車両5からバッテリ情報(バッテリ電圧、バッテリ電流、バッテリ温度)を取得する。情報取得部211は、車両5の起動時に、所定の制御周期で車両5からバッテリ情報を取得する。情報取得部211は、取得されたバッテリ情報を登録部212に出力する。
【0059】
登録部212は、情報取得部211により取得されたバッテリ情報をデータベース27に記憶させる。登録部212は、車両5に搭載されたバッテリ51の電池IDに紐付けて、バッテリ情報をデータベース27に記憶させる。
【0060】
受け付け部213は、再利用事業者の管理装置3からの再利用通知を受け付ける。受け付け部213は、再利用通知を受けると、再利用通知を読み出し部214に出力する。
【0061】
読み出し部214は、再利用通知から電池IDを特定する。読み出し部214は、データベース27から、電池IDに紐付けられたバッテリ情報を読み出す。なお、読み出し部214は、電池IDに紐付けられたバッテリ情報をすべて読み出すのではなく、最も直近に記憶された所定期間(たとえば数週間や数ヶ月)分のバッテリ情報を読み出す。読み出し部214は、読み出されたバッテリ情報をSOH算出部215に出力する。
【0062】
SOH算出部215は、読み出し部214から受けたバッテリ情報の中から、条件を満たすバッテリ情報を抜き出す。条件は、たとえば、所定時間(数分から数十分)の間、バッテリ温度が基準温度範囲内にあり、かつ、継続して放電が行なわれたという条件である。なお、読み出し部214から受けたバッテリ情報の中に、上記条件を満たすものがなかった場合には、SOH算出部215は、条件を緩和させてもよい。たとえば、SOH算出部215は、所定時間(数分から数十分)が短くなるように緩和してもよい。なお、読み出し部214が条件を満たすバッテリ情報をデータベース27から読み出し、そのバッテリ情報をSOH算出部215に出力するようにしてもよい。
【0063】
SOH算出部215は、条件を満たしたバッテリ情報のうちの時間的に最も前のバッテリ情報を用いて、バッテリ51のSOCを算出する。このSOCを「第1SOC」と称し、SOC1とも記載する。SOCの推定手法としては、たとえば、予め取得されたバッテリ51のOCV(Open Circuit Voltage)-SOCカーブを参照してOCVからSOCを求める手法を用いることができる。OCV-SOCカーブは、たとえば、記憶装置22に予め記憶しておくことができる。次いで、SOH算出部215は、条件を満たしたバッテリ情報のうちの時間的に最も後(最新)のバッテリ情報を用いて、バッテリ51のSOCを算出する。このSOCを「第2SOC」と称し、SOC2とも記載する。
【0064】
SOH算出部215は、第1SOCから第2SOCになるまでの間にバッテリ51に充放電された充放電電力量ΔAhを算出する。充放電電力量ΔAhは、第1SOCから第2SOCになるまでの間のバッテリ情報に含まれる電流値を積算することで算出することができる。なお、充放電電力量ΔAhの単位は、アンペア・アワーに限らず、ワット・アワーであってもよい。
【0065】
SOH算出部215は、第1SOCと第2SOCと充放電電力量ΔAhとを用いて、バッテリ51の満充電容量Cを下記式(2)に従って算出する。
【0066】
C=ΔAh/|SOC1-SOC2|×100…(2)
そして、SOH算出部215は、上述の式(1)に従って、満充電容量Cをバッテリ51の満充電容量の初期値C0で除算してバッテリ51のSOHを算出する。SOH算出部215は、算出されたSOHを決定部216に出力する。
【0067】
決定部216は、SOHに応じて、バッテリ51のCO2排出量を按分比(負担比)を決定する。たとえば、SOHが40%であった場合には、決定部216は、車両メーカと再利用事業者とのバッテリ51のCO2排出量の按分比を60:40に決定する。電池ID「B001」のバッテリ51を例にすると、SOHが40%であった場合には、決定部216は、車両5の市場供給時(たとえば出荷時)に車両メーカが負担していたバッテリ51のCO2排出量「M1」のうちの60%を引き続き車両メーカが負担し、バッテリ51のCO2排出量「M1」のうちの40%を再利用事業者が負担することを決定する。決定部216は、決定された按分比をCO2排出量演算部217に出力する。
【0068】
CO2排出量演算部217は、決定部216によって決定された按分比に従って、車両メーカが負担するバッテリ51のCO2排出量(上記例では、M1×0.6)、および、再利用事業者が負担するバッテリ51のCO2排出量(上記例では、M1×0.4)を算出する。そして、CO2排出量演算部217は、車両メーカが負担するバッテリ51のCO2排出量を更新部218に、再利用事業者が負担するバッテリ51のCO2排出量を通知部219にそれぞれ出力する。
【0069】
更新部218は、データベース27に記憶されている車両のCO2排出量の情報(
図2)を更新する。上記例では、更新部218は、電池ID「B001」のCO2排出量「M1」を「M1×0.6」に更新する。この更新に伴なって、更新部218は、車両のCO2排出量「S1」も更新する。
【0070】
通知部219は、通信装置23を介して、再利用事業者が負担するバッテリ51のCO2排出量を再利用事業者の管理装置3に通知する。
【0071】
管理装置3の制御装置31は、受け付け部311と、通知部312と、情報取得部313と、登録部314とを含む。制御装置31は、たとえば、記憶装置32に記憶されたプログラムを実行することにより、受け付け部311、通知部312、情報取得部313、および登録部314として機能する。なお、受け付け部311、通知部312、情報取得部313、および登録部314は、たとえば、専用のハードウェア(電子回路)により実現されてもよい。
【0072】
受け付け部311は、入力装置34からの再利用の申請を受け付ける。再利用の申請には、電池IDが含まれる。受け付け部311は、再利用の申請を受け付けると、電池IDとともに通知部312にその旨を出力する。
【0073】
通知部312は、再利用通知を生成し、通信装置33を介して、生成された再利用通知を車両メーカの管理装置2に送信する。この再利用通知は、制御装置21の受け付け部213により取得される。これにより、管理装置2から自身(再利用事業者)が負担するバッテリ51のCO2排出量が通知されることになる。
【0074】
情報取得部313は、通信装置33を介して、車両メーカの管理装置2から、自身(再利用事業者)が負担するバッテリ51のCO2排出量を取得する。情報取得部313は、取得されたバッテリ51のCO2排出量を登録部314に出力する。
【0075】
登録部314は、バッテリ51の電池IDに紐付けて、バッテリ51のCO2排出量をデータベース37に記憶させる。
【0076】
バッテリ51の再利用により排出されるCO2排出量がある場合には、当該CO2排出量が、データベース37に記憶されているバッテリ51のCO2排出量(上記例では、M1×0.4)に加算されて、データベース37の情報が更新される。なお、バッテリ51の再利用により排出されるCO2排出量が加算されるタイミングは任意である。
【0077】
<フローチャート>
図4は、バッテリの再利用時に実行される処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、バッテリの再利用がされる場合に、管理装置2の制御装置21および管理装置3の制御装置31により実行される。
図4に示すフローチャートの各ステップ(以下ステップを「S」と略す)は、管理装置2の制御装置21および管理装置3の制御装置31によるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部が制御装置21,31内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
【0078】
S10において、入力装置34からバッテリ51の再利用の申請を受けることにより、制御装置31は、バッテリ51についての再利用通知を生成し、生成された再利用通知を管理装置2に送信する。
【0079】
S20において、制御装置21は、再利用通知を受信すると、再利用通知に含まれる電池ID(たとえば、電池ID「B001」)に基づき、データベース27から電池ID(たとえば、電池ID「B001」)に紐付けられたバッテリ情報を読み出す。なお、このときに読み出されるバッテリ情報は、上述のとおり、最も直近に記憶された所定期間分のものである。
【0080】
S21において、制御装置21は、バッテリ51のSOHを算出する。
図5は、S21の処理の詳細な処理を示すフローチャートである。
【0081】
S2101において、制御装置21は、読み出されたバッテリ情報の中から、条件を満たすバッテリ情報を抜き出す。
【0082】
S2102において、制御装置21は、条件を満たしたバッテリ情報のうちの時間的に最も前のバッテリ情報を用いて、第1SOCを算出する。
【0083】
S2103において、制御装置21は、条件を満たしたバッテリ情報のうちの時間的に最も後(最新)のバッテリ情報を用いて、第2SOCを算出する。
【0084】
S2104において、制御装置21は、第1SOCから第2SOCになるまでの間の電流値を積算し、バッテリ51に充放電された充放電電力量ΔAhを算出する。
【0085】
S2105において、制御装置21は、第1SOCと第2SOCと充放電電力量ΔAhとを用いて、バッテリ51の満充電容量Cを上記式(2)に従って算出する。
【0086】
S2106において、制御装置21は、バッテリ51の初期の満充電容量C0をデータベース27から読み出す。満充電容量C0は、記憶装置22に記憶されていてもよい。
【0087】
S2107において、制御装置21は、上記式(1)に従って、満充電容量Cをバッテリ51の満充電容量の初期値C0で除算してバッテリ51のSOHを算出する。
【0088】
再び
図4を参照して、S22において、制御装置21は、SOHに応じて、車両メーカと再利用事業者との間におけるCO2排出量の按分比(負担比)を決定する。
【0089】
S23において、制御装置21は、決定された按分比に従って、車両メーカが負担するバッテリ51のCO2排出量、および、再利用事業者が負担するバッテリ51のCO2排出量を演算する。そして、制御装置21は、通信装置23を介して、再利用事業者が負担するバッテリ51のCO2排出量(負担分)を管理装置3に通知する。
【0090】
S24において、制御装置21は、データベース27に記憶されている車両のCO2排出量に含まれるバッテリ51のCO2排出量を、自身(車両メーカ)の負担分となるバッテリ51のCO2排出量に更新し、この処理を終了させる。上述した例(SOHが40%である電池ID「B001」のバッテリ51が再利用される場合)であれば、制御装置21は、データベース27に記憶されている車両のCO2排出量「S1」に含まれる、バッテリ51のCO2排出量「M1」を、自身(車両メーカ)の負担分となるバッテリ51のCO2排出量「M1×0.6」に更新し、この処理を終了させる。
【0091】
S11において、制御装置31は、通信装置33を介して、管理装置2から、自身(再利用事業者)の負担分であるバッテリ51ののCO2排出量を取得する。
【0092】
S12において、制御装置31は、バッテリ51の電池IDに紐付けて、バッテリ51のCO2排出量をデータベース37に記憶させる。記憶されたバッテリ51のCO2排出量は、たとえば、再利用事業者からバッテリ51を購入した事業者に対して、リユース品のCO2排出量として報告されたりする。
【0093】
以上のように、本実施の形態に係る管理システム1では、車両メーカの管理装置2は、バッテリ51が再利用される時点におけるバッテリ51のSOHに応じて、再利用事業者の管理装置3との間で、車両メーカが負担していたバッテリ51のCO2排出量を按分する。再利用される時点のSOHに応じてバッテリ51のCO2排出量が按分されるので、バッテリ51のCO2排出量を両者で公平に負担することができる。
【0094】
[変形例1]
実施の形態1では、車両5は、電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、および、燃料電池車等であることを想定した。変形例1では、車両5は、外部の電源から供給される電力を用いて、バッテリ51を充電する外部充電が可能である車両であることを想定する。すなわち、車両5としては、電気自動車、プラグインハイブリッド車、および、プラグイン燃料電池車等が一例である。なお、外部充電は、外部の交流電源から供給される交流電力を受けてバッテリ51を充電する交流(AC:Alternating current)充電であってもよいし、外部の直流電源から供給される直流電力を受けてバッテリ51を充電する直流(DC:Direct Current)充電であってもよい。
【0095】
変形例1では、SOHの算出に用いられるバッテリ情報となる条件として、外部充電時に取得されたバッテリ情報であるという条件を採用することができる。変形例1では、
図4に示されたS21の処理(SOHの算出処理)の詳細として、
図6に示される処理を採用することができる。
【0096】
図6は、変形例1に係る、
図4のS21の処理の詳細な処理を示すフローチャートである。
【0097】
S2111において、制御装置21は、読み出されたバッテリ情報の中から、条件を満たすバッテリ情報を抜き出す。条件は、外部充電時に取得されたバッテリ情報であるという条件である。外部充電時に取得されたバッテリ情報であるか否かは、たとえば、バッテリ情報に含まれる充電開始フラグと充電終了フラグとに基づいて判断することができる。
【0098】
S2112において、制御装置21は、外部充電の開始時のバッテリ情報を用いて、外部充電の開始時のSOC(開始SOC)を算出する。
【0099】
S2113において、制御装置21は、外部充電の終了時のバッテリ情報を用いて、外部充電の終了時のSOC(終了SOC)を算出する。
【0100】
S2114において、制御装置21は、外部充電の開始から終了までの間(すなわち、開始SOCから終了SOCになるまでの間)の電流値を積算し、バッテリ51に充放電された充放電電力量ΔAhを算出する。
【0101】
S2115において、制御装置21は、開始SOCと終了SOCと充放電電力量ΔAhとを用いて、バッテリ51の満充電容量Cを上記式(2)に従って算出する。
【0102】
S2116において、制御装置21は、バッテリ51の初期の満充電容量C0をデータベース27から読み出す。満充電容量C0は、記憶装置22に記憶されていてもよい。
【0103】
S2117において、制御装置21は、上記式(1)に従って、満充電容量Cをバッテリ51の満充電容量の初期値C0で除算してバッテリ51のSOHを算出する。
【0104】
以上のように、変形例1では、外部充電時に取得されたバッテリ情報を用いてバッテリ51のSOHが算出される。外部充電時に取得されたバッテリ情報は、車両5の走行時に取得されたバッテリ情報に比べ、より安定した環境で取得されたデータであるといえる。したがって、外部充電時に取得されたバッテリ情報を用いてバッテリ51のSOHを算出することにより、SOHの算出精度を高めることができる。
【0105】
[変形例2]
実施の形態1および変形例1では、車両メーカの管理装置2がバッテリ51のSOHを算出する例について説明した。しかしながら、車両5がSOHを算出し、管理装置2は、車両5からSOHを示す情報を取得してもよい。
【0106】
たとえば、車両5は、予め定められた算出条件が成立した場合に、バッテリ51のSOHを算出する。算出条件は、外部充電が実行されるという条件、走行中に一定期間にわたって放電が行なわれたという条件等を採用することができる。車両5は、SOHを算出すると、算出されたSOHを電池IDとともに管理装置2に送信する。
【0107】
管理装置2の制御装置21は、通信装置23を介してSOHおよび電池IDを受信すると、受信されたSOHを電池IDと紐付けてデータベース27に記憶させる。制御装置21は、車両5からSOHを受信する毎に受信されたSOHを電池IDと紐付けてデータベース27に記憶させる。
【0108】
制御装置21は、バッテリ51が再利用される場合(再利用通知を受信した場合)には、最も直近に受信したSOHをデータベース27から読み出す。そして、制御装置21は、読み出されたSOHに応じて、自身(車両メーカ)と再利用事業者との間における、バッテリ51のCO2排出量の按分比を決定する。
【0109】
上記のような構成においても、実施の形態1および変形例1と同様の効果を奏することができる。
【0110】
[実施の形態2]
実施の形態1および変形例1では、車両メーカの管理装置2がバッテリ51のSOHを算出する例について説明した。変形例2では、車両5がバッテリ51のSOHを算出し、そのSOHが車両メーカの管理装置2に送信される例について説明した。実施の形態2では、再利用事業者の管理装置3がバッテリ51のSOHを算出する例について説明する。
【0111】
再び
図1を参照して、実施の形態2に係る管理システム1Aは、実施の形態1に係る管理システム1に対して、管理装置2の制御装置21を制御装置21Aに、管理装置3の制御装置31を制御装置31Aにそれぞれ代えたものである。管理システム1Aのその他の構成については、管理システム1と基本的に同様である。
【0112】
管理システム1Aでは、再利用事業者の管理装置3がバッテリ51のSOHを算出し、算出されたSOHに応じて、バッテリ51の製造により排出されたCO2排出量の按分比を決定する。そして、再利用事業者の管理装置3から車両メーカの管理装置2に、車両メーカが負担するバッテリ51のCO2排出量(負担分)が通知される。
【0113】
図7は、実施の形態2に係る、管理装置2の制御装置21A、および、管理装置3の制御装置31Aの機能ブロック図である。
図7を参照して、管理装置2の制御装置21Aは、情報取得部611と、登録部612と、受け付け部613と、読み出し部614と、通知部615と、情報取得部616と、更新部617とを含む。制御装置21Aは、たとえば、記憶装置22に記憶されたプログラムを実行することにより、情報取得部611、登録部612、受け付け部613、読み出し部614、通知部615、情報取得部616、および更新部617として機能する。なお、情報取得部611、登録部612、受け付け部613、読み出し部614、通知部615、情報取得部616、および更新部617は、たとえば、専用のハードウェア(電子回路)により実現されてもよい。
【0114】
情報取得部611、および登録部612は、実施の形態1に係る、情報取得部211、および登録部212とそれぞれ同様の機能を有するので、その説明は繰り返さない。
【0115】
受け付け部613は、再利用事業者の管理装置3からの再利用通知を受け付ける。受け付け部613は、再利用通知を受けると、再利用通知を読み出し部614に出力する。
【0116】
読み出し部614は、再利用通知から電池IDを特定する。読み出し部614は、データベース27から、電池IDに基づいて、バッテリ51の製造により排出されたCO2排出量(バッテリ51のCO2排出量)を読み出す。
図2に示した例では、バッテリ51の電池IDが「B001」であるとすると、読み出し部614は、バッテリ51のCO2排出量「M1」を読み出す。読み出し部614は、読み出されたバッテリ51のCO2排出量「M1」を通知部615に出力する。
【0117】
通知部615は、通信装置23を介して、バッテリ51のCO2排出量「M1」を再利用事業者の管理装置3に通知する。
【0118】
情報取得部616は、再利用事業者の管理装置3から、自身(車両メーカ)が引き続き負担するバッテリ51のCO2排出量を取得する。情報取得部616は、受信したCO2排出量の負担分を更新部617に出力する。
【0119】
更新部617は、情報取得部616から受けたCO2排出量の負担分に基づいて、データベース27に記憶されている車両のCO2排出量の情報(
図2)を更新する。ここでは、一例として、情報取得部616から、電池ID「B001」について負担分が60%であることを示す情報を受けたことを想定する。この場合、更新部617は、電池ID「B001」のCO2排出量「M1」を「M1×0.6」に更新する。この更新に伴なって、更新部617は、車両のCO2排出量「S1」も更新する。
【0120】
管理装置3の制御装置31Aは、受け付け部711と、通知部712と、情報取得部713と、登録部714と、SOH算出部715と、決定部716と、CO2排出量演算部717と、更新部718と、通知部719とを含む。制御装置31Aは、たとえば、記憶装置32に記憶されたプログラムを実行することにより、受け付け部711、通知部712、情報取得部713、登録部714、SOH算出部715、決定部716、CO2排出量演算部717、更新部718、および通知部719として機能する。なお、受け付け部711、通知部712、情報取得部713、登録部714、SOH算出部715、決定部716、CO2排出量演算部717、更新部718、および通知部719は、たとえば、専用のハードウェア(電子回路)により実現されてもよい。
【0121】
受け付け部711、および通知部712は、実施の形態1に係る、受け付け部311、および通知部312とそれぞれ同様の機能を有するので、その説明は繰り返さない。
【0122】
情報取得部713は、通信装置33を介して、車両メーカの管理装置2からバッテリ51のCO2排出量を取得する。情報取得部713は、取得されたバッテリ51のCO2排出量を登録部714およびSOH算出部715に出力する。ここでは、電池ID「001」により特定されるバッテリ51を再利用する場合を想定する。すなわち、情報取得部713は、バッテリ51のCO2排出量「M1」を登録部714およびSOH算出部715に出力する。
【0123】
登録部714は、情報取得部713により取得されたバッテリ51のCO2排出量を、バッテリ51の電池IDに紐付けて、データベース37に記憶する。具体的には、電池ID「B001」に紐付けて、バッテリ51のCO2排出量「M1」の情報がデータベース37に記憶される。上記の情報は、CO2排出量の按分前の一時的な情報としてデータベース37に記憶される。
【0124】
SOH算出部715は、バッテリ51のSOHを算出する。再利用事業者は、車両5から回収したバッテリ51に、SOHを確認するための検査処理を実施する。検査処理では、たとえば、バッテリ51を満充電まで充電し、その後、規定のSOCになるまでバッテリ51を放電する。そして、満充電から規定のSOCになるまでの間にバッテリ51から放電された電流値の積算値を取得する。検査処理では、満充電時におけるバッテリ51の電圧、規定のSOCにおけるバッテリ51の電圧、および電流値の積算値等の情報を含む検査情報が取得される。検査情報は、データベース37に記憶される。SOH算出部715は、データベース37から検査情報を読み出す。SOH算出部715は、検査情報に基づいて、バッテリ51のSOHを算出する。SOH算出部715は、算出されたSOH、および、情報取得部713から受けたバッテリ51のCO2排出量「M1」を決定部716に出力する。なお、検査処理は、たとえば、専用の、あるいは、汎用の充放電装置を用いて実施してもよい。
【0125】
なお、検査処理を実施するタイミングは任意である。たとえば、管理装置3から管理装置2へ再利用通知が送信される前に検査処理が実施されてもよいし、送信された後に検査処理が実施されてもよい。SOH算出部715は、データベース37に検査情報が未だ登録されていない場合には、たとえば、検査情報が登録されるのを待つ。
【0126】
決定部716は、実施の形態1に係る決定部216と同様の手法により、SOHに応じて、バッテリ51のCO2排出量の按分比(負担比)を決定する。ここでは、SOHが40%であったことを想定し、車両メーカと再利用事業者とのバッテリ51のCO2排出量の按分比が60:40に決定されたものとする。決定部716は、決定された按分比をCO2排出量演算部717に出力する。また、決定部716は、バッテリ51のCO2排出量「M1」をCO2排出量演算部717に出力する。
【0127】
CO2排出量演算部717は、決定部716によって決定された按分比に従って、車両メーカが負担するバッテリ51のCO2排出量(上記例では、M1×0.6)、および、再利用事業者が負担するバッテリ51のCO2排出量(上記例では、M1×0.4)を算出する。そして、CO2排出量演算部717は、再利用事業者が負担するバッテリ51のCO2排出量「M1×0.4」を更新部718に、車両メーカが負担するバッテリ51のCO2排出量「M1×0.6」を通知部719にそれぞれ出力する。
【0128】
更新部718は、データベース37に記憶されているバッテリ51のCO2排出量(登録部714により登録された情報)を更新する。上記例では、更新部718は、電池ID「B001」のCO2排出量「M1」を「M1×0.4」に更新する。なお、バッテリ51の再利用により排出されるCO2排出量がある場合には、更新部718は、そのCO2排出量をデータベース37に記憶されているバッテリ51のCO2排出量(上記例では、M1×0.4)に加算する。
【0129】
通知部719は、通信装置33を介して、電池ID「001」とともに、車両メーカが負担するバッテリ51のCO2排出量「M1×0.6」を車両メーカの管理装置2に通知する。
【0130】
図8は、実施の形態2に係る、バッテリの再利用時に実行される処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、バッテリの再利用がされる場合に、管理装置2の制御装置21Aおよび管理装置3の制御装置31Aにより実行される。
【0131】
S30において、入力装置34からバッテリ51の再利用の申請を受けることにより、制御装置31Aは、バッテリ51についての再利用通知を生成し、通信装置33を介して、生成された再利用通知を管理装置2に送信する。ここでは、電池ID「B001」により特定されるバッテリ51が再利用されることを想定する。
【0132】
S40において、制御装置21Aは、通信装置23を介して再利用通知を受信すると、再利用通知に含まれる電池ID「B001」に基づき、データベース27からバッテリ51の製造によって排出されたCO2排出量(バッテリ51のCO2排出量)「M1」を読み出す。
【0133】
S41において、制御装置21Aは、通信装置23を介して、S40で読み出されたバッテリ51のCO2排出量「M1」を管理装置3に送信する。
【0134】
S31において、制御装置31Aは、通信装置33を介して、管理装置2からバッテリ51のCO2排出量「M1」を取得する。制御装置31Aは、電池ID「B001」にバッテリ51のCO2排出量「M1」を紐付けて、これらをデータベース37に記憶させる。
【0135】
S32において、制御装置31Aは、データベース37から検査情報を読み出す。そして、制御装置31Aは、検査情報に基づいて、バッテリ51のSOHを算出する。ここでは、バッテリ51のSOHが40%であることを想定する。検査情報は、上述のとおり、バッテリ51に対する検査処理により取得される。検査処理は予め実施されてもよいし、S32のタイミングで実施されてもよい。検査処理により取得された検査情報は、データベース37に記憶される。
【0136】
S33において、制御装置31Aは、SOHに応じて、車両メーカと再利用事業者との間におけるCO2排出量の按分比(負担比)を決定する。
【0137】
S34において、制御装置31Aは、決定された按分比に従って、車両メーカが負担するバッテリ51のCO2排出量「M1×0.6」、および、再利用事業者が負担するバッテリ51のCO2排出量「M1×0.4」を演算する。そして、制御装置31Aは、通信装置33を介して、車両メーカが負担するバッテリ51のCO2排出量(負担分)を管理装置2に通知する。
【0138】
S35において、制御装置31Aは、S31でデータベース37に記憶させたバッテリ51のCO2排出量「M1」を、S34で算出された自身(再利用事業者)の負担分となるバッテリ51のCO2排出量「M1×0.4」に更新し、この処理を終了させる。
【0139】
S42において、制御装置21Aは、通信装置23を介して、管理装置3から、自身(再利用事業者)の負担分であるバッテリ51ののCO2排出量「M1×0.6」を取得する。
【0140】
S43において、制御装置21Aは、データベース27に記憶されている車両のCO2排出量に含まれる、バッテリ51のCO2排出量「M1」を、自身(車両メーカ)の負担分となるバッテリ51のCO2排出量「M1×0.6」に更新し、この処理を終了させる。
【0141】
以上のように、実施の形態2に係る管理システム1Aでは、再利用事業者の管理装置3は、バッテリ51が再利用される時点におけるバッテリ51のSOHに応じて、車両メーカと再利用事業者との間におけるCO2排出量の按分比を決定する。そして、管理装置3は、按分比に基づいて、車両メーカが負担していたバッテリ51のCO2排出量の一部を負担する。再利用される時点のSOHに応じて、両者の間でバッテリ51のCO2排出量が按分されるので、バッテリ51のCO2排出量を両者で公平に負担することができる。
【0142】
[変形例3]
実施の形態2では、再利用事業者の管理装置3がバッテリ51のSOHを算出し、SOHに応じて、バッテリ51のCO2排出量の按分比を決定した。しかしながら、再利用事業者の管理装置3は、算出したバッテリ51のSOHを車両メーカの管理装置2に送り、車両メーカの管理装置2がSOHに応じてバッテリ51のCO2排出量の按分比を決定してもよい。すなわち、
図7に示される機能ブロック図において、管理装置3の制御装置31Aが有する決定部716およびCO2排出量演算部717の機能を、管理装置2の制御装置21Aに持たせてもよい。
【0143】
図9は、変形例3に係る、バッテリの再利用時に実行される処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、
図8のフローチャートに対して、制御装置31Aが実行する処理からS33,34の処理を削除して、制御装置31Aが実行する処理にS51,52の処理に追加し、かつ、制御装置21Aが実行する処理にS61,62の処理に追加したものである。
図9のフローチャートのその他の処理については、
図8のフローチャートの処理と同様であるため、同じステップ番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0144】
S51において、制御装置31Aは、通信装置33を介して、S32で算出されたバッテリ51のSOHを管理装置2に送信する。
【0145】
S61において、制御装置21Aは、SOHに応じて、車両メーカと再利用事業者との間におけるCO2排出量の按分比を決定する。
【0146】
S62において、制御装置21Aは、決定された按分比に従って、車両メーカが負担するバッテリ51のCO2排出量、および、再利用事業者が負担するバッテリ51のCO2排出量を演算する。そして、制御装置21Aは、通信装置23を介して、再利用事業者が負担するバッテリ51のCO2排出量(負担分)を管理装置3に通知する。
【0147】
S52において、制御装置31Aは、通信装置33を介して、管理装置2から、自身(再利用事業者)の負担分であるバッテリ51のCO2排出量を取得する。
【0148】
以上のように、変形例3の構成においても、実施の形態2と同様の効果を奏することができる。
【0149】
[変形例4]
実施の形態1では、車両メーカの管理装置2がバッテリ51のSOHを算出する例について説明した。変形例2では、車両5がバッテリ51のSOHを算出し、そのSOHが車両メーカの管理装置2に送信される例について説明した。また、実施の形態2および変形例2では、再利用事業者の管理装置3がバッテリ51のSOHを算出する例について説明した。バッテリ51のSOHは、車両メーカおよび再利用事業者とは異なる中立の第三者により算出されてもよい。車両メーカにとっても、再利用事業者にとっても、負担するCO2排出量に関連するバッテリ51のSOHは自身で算出したいという要求が生じ得る。そこで、バッテリ51のSOHの算出等を代行するサービスを提供するサービス事業者(第三者)にバッテリ51のSOHの算出を代行させてもよい。
【0150】
たとえば、車両メーカの管理装置2は、バッテリ情報をサービス事業者に送信して、その返信として、サービス事業者からバッテリ51のSOHを取得してもよい。また、再利用事業者の管理装置3は、検査情報をサービス事業者に送信して、その返信として、サービス事業者からバッテリ51のSOHを取得してもよい。
【0151】
バッテリ51のSOHを第三者であるサービス事業者に算出させることにより、車両メーカと再利用事業者との間における、バッテリ51のCO2排出量のより適切な按分が可能となる。
【0152】
[変形例5]
実施の形態1,2、および変形例1~4では、再利用事業者がバッテリをリユースする例について説明した。再利用事業者がバッテリをリビルドする場合には、実施の形態1,2、および変形例1~4で説明した手法において、バッテリを「電池(セル)」と読み替えることができる。バッテリに含まれる複数の電池の各々にも、電池を特定するための電池IDが付されている。したがって、実施の形態1,2、および変形例1~4と同様にして、電池(セル)単位でCO2排出量を按分すれば、バッテリがリビルドされる場合に、車両メーカと再利用事業者との間で、電池の製造によって排出されたCO2排出量を適切に按分することができる。
【0153】
また、再利用事業者がリユースおよびリビルドの両方を行なう場合には、再利用事業者の管理装置3は、たとえば、車両5から回収されたバッテリ51のSOHに基づいて、バッテリ51をリユースするかリビルドするかを判断してもよい。たとえば、管理装置3は、バッテリ51のSOHが基準値よりも大きければバッテリ51をリユースし、バッテリ51のSOHが基準値以下であればバッテリ51をリビルドしてもよい。基準値は、たとえば、バッテリ51の仕様、再利用事業者の事業内容、または再販売先の使用用途等に基づいて適宜設定することができる。
【0154】
[変形例6]
実施の形態1,2、および変形例1~5では、自動車に搭載されたバッテリが再利用される場合を例にして説明した。しかしながら、再利用されるバッテリが搭載されている対象は自動車に限られるものではない。再利用されるバッテリが搭載されている対象は、バッテリを搭載した移動体であればよく、たとえば、二輪車、電車、船舶、飛行機等であってもよい。
【0155】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0156】
1,1A 管理システム、2,3 管理装置、4 工場、5 車両、21,21A 制御装置、22 記憶装置、23 通信装置、24 入力装置、25 表示装置、26 バス、27 データベース、31,31A 制御装置、32 記憶装置、33 通信装置、34 入力装置、35 表示装置、36 バス、37 データベース、51 バッテリ、211 情報取得部、212 登録部、213 受け付け部、214 読み出し部、215 算出部、216 決定部、217 CO2排出量演算部、218 更新部、219 通知部、311 受け付け部、312 通知部、313 情報取得部、314 登録部、611 情報取得部、612 登録部、613 受け付け部、614 読み出し部、615 通知部、616 情報取得部、617 更新部、711 受け付け部、712 通知部、713 情報取得部、714 登録部、715 算出部、716 決定部、717 排出量演算部、718 更新部、719 通知部。