(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】経路計画生成システム及び経路計画生成方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241119BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G06Q50/10
G01C21/34
(21)【出願番号】P 2022068305
(22)【出願日】2022-04-18
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野本 美樹
(72)【発明者】
【氏名】西山 由華
(72)【発明者】
【氏名】奥村 健一
(72)【発明者】
【氏名】富澤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】菅野 達也
(72)【発明者】
【氏名】関 優志
(72)【発明者】
【氏名】増井 徳弘
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-039521(JP,A)
【文献】特開2007-226757(JP,A)
【文献】特開2007-248308(JP,A)
【文献】特表2021-532480(JP,A)
【文献】国際公開第2021/216921(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/081576(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G01C 21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの移動のための経路計画を生成する経路計画生成システムであって、
前記ユーザによって操作されるユーザ端末と、
食品の通常の提供形態と、前記通常の提供形態での提供に適さなくなった食品を提供する臨時の提供形態と、を有する食品提供元によって操作される提供元端末と、
前記ユーザ端末及び前記提供元端末のそれぞれと通信ネットワークを介して接続されるサーバと、
を備え、
前記経路計画生成システムは、
前記食品提供元からの前記臨時の提供形態での食品の提供の申し出に対し、前記提供の申し出に係る食品の入手を前記ユーザが要求する場合、前記提供の申し出に係る食品の提供場所を目的地又は経由地とするように前記経路計画を変更する経路計画変更処理を実行する
経路計画生成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の経路計画生成システムであって、
前記経路計画変更処理は、前記ユーザが前記移動のための移動体として無人走行可能な自動運転車両を利用しているときに前記提供の申し出に係る食品の入手を前記ユーザが要求する場合に、前記自動運転車両が無人走行で前記提供場所に向かうように前記自動運転車両の走行計画を設定することを含む
経路計画生成システム。
【請求項3】
請求項2に記載の経路計画生成システムであって、
前記提供の申し出に係る食品の運搬時に求められる食品の振動制約がある場合、前記経路計画生成システムは、前記自動運転車両が無人走行を行って前記提供の申し出に係る食品を持ち帰るときに、前記自動運転車両の車室の振動を抑制するための車両制御及び走行経路選択のうちの少なくとも一方を前記自動運転車両に実行させる
経路計画生成システム。
【請求項4】
請求項2に記載の経路計画生成システムであって、
前記提供の申し出に係る食品の運搬時に求められる食品の温度条件がある場合、前記経路計画生成システムは、前記自動運転車両が無人走行を行って前記提供の申し出に係る食品を持ち帰るときに、前記温度条件を満たすための前記自動運転車両の車室温度制御を前記自動運転車両に実行させる
経路計画生成システム。
【請求項5】
請求項2に記載の経路計画生成システムであって、
前記提供の申し出に係る食品に対して前記ユーザ又は前記食品提供元からの食品の抗菌処理の要求がある場合、前記経路計画生成システムは、前記自動運転車両が無人走行を行って前記提供の申し出に係る食品を持ち帰るときに、前記提供の申し出に係る食品を収容する車載冷蔵庫を作動させる
経路計画生成システム。
【請求項6】
請求項1に記載の経路計画生成システムであって、
前記食品提供元は、前記通常の提供形態として店舗での食品の提供を行う飲食店であって、
前記臨時の提供形態は、前記飲食店での飲食の予約がキャンセルとなったために余った食品を提供する形態である
経路計画生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザの移動のための経路計画を生成する経路計画生成システム及び経路計画生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、キャンセル料算出装置を開示している。このキャンセル料算出装置は、飲食店等の予約のキャンセルに関し、キャンセルされたサービスの一部を再度販売可能とし、再予約を別のユーザに求め、再予約によって得られる利益を考慮して元のユーザのキャンセル料を算出する。
【0003】
また、特許文献2は、情報処理装置を開示している。この情報処理装置は、車両内において開催される料理教室の開催情報と、料理教室において利用される食材を提供する食材提供元の提供情報と、を取得する。そして、情報処理装置は、取得された開催情報及び提供情報に基づいて料理教室と食材提供元とのマッチングを実行し、マッチングの結果に応じて、食材提供元に通知する食材調達情報を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-160338号公報
【文献】特開2021-039521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
観光等を目的とする旅行等の移動のためにユーザがMaaS(Mobility as a Service)等のサービスによって提供される経路計画を利用する場合、特許文献1に記載の技術には、次のような課題がある。すなわち、当該経路計画を利用しているユーザが飲食店の予約キャンセルの情報を得て当該飲食店を予約した際、予約した飲食店への移動のために目的地を急遽変更したり、経由地を急遽追加したりする必要が生じる。ユーザはこのような経路計画の変更を都度自分で行わなければならない。このことはユーザにとって手間となる。
【0006】
本開示は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、経路計画を利用した移動中にユーザが食品提供元からの食品提供の申し出を受け入れることに伴って生じる経路変更に関するユーザの手間を軽減できるようにした経路計画生成システム及び経路計画生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る経路計画生成システムは、ユーザの移動のための経路計画を生成する。経路計画生成システムは、ユーザ端末と、提供元端末と、サーバと、を備える。ユーザ端末は、ユーザによって操作される。提供元端末は、食品の通常の提供形態と、通常の提供形態での提供に適さなくなった食品を提供する臨時の提供形態と、を有する食品提供元によって操作される。サーバは、ユーザ端末及び提供元端末のそれぞれと通信ネットワークを介して接続されている。経路計画生成システムは、食品提供元からの臨時の提供形態での食品の提供の申し出に対し、提供の申し出に係る食品の入手をユーザが要求する場合、提供の申し出に係る食品の提供場所を目的地又は経由地とするように経路計画を変更する経路計画変更処理を実行する。
【0008】
経路計画変更処理は、ユーザが上記移動のための移動体として無人走行可能な自動運転車両を利用しているときに提供の申し出に係る食品の入手をユーザが要求する場合に、自動運転車両が無人走行で提供場所に向かうように自動運転車両の走行計画を設定することを含んでもよい。
【0009】
提供の申し出に係る食品の運搬時に求められる食品の振動制約がある場合、経路計画生成システムは、自動運転車両が無人走行を行って提供の申し出に係る食品を持ち帰るときに、自動運転車両の車室の振動を抑制するための車両制御及び走行経路選択のうちの少なくとも一方を自動運転車両に実行させてもよい。
【0010】
提供の申し出に係る食品の運搬時に求められる食品の温度条件がある場合、経路計画生成システムは、自動運転車両が無人走行を行って提供の申し出に係る食品を持ち帰るときに、温度条件を満たすための自動運転車両の車室温度制御を自動運転車両に実行させてもよい。
提供の申し出に係る食品に対してユーザ又は食品提供元からの食品の抗菌処理の要求がある場合、経路計画生成システムは、自動運転車両が無人走行を行って提供の申し出に係る食品を持ち帰るときに、提供の申し出に係る食品を収容する車載冷蔵庫を作動させてもよい。
【0011】
食品提供元は、通常の提供形態として店舗での食品の提供を行う飲食店であってもよい。そして、臨時の提供形態は、飲食店での飲食の予約がキャンセルとなったために余った食品を提供する形態であってもよい。
【0012】
本開示に係る経路計画生成方法は、ユーザの移動のための経路計画を生成するものである。この経路計画生成システムは、食品の通常の提供形態と通常の提供形態での提供に適さなくなった食品を提供する臨時の提供形態とを有する食品提供元からの臨時の提供形態での食品の提供の申し出に対し、提供の申し出に係る食品の入手をユーザが要求する場合に、提供の申し出に係る食品の提供場所を目的地又は経由地とするように経路計画を変更することを含む。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係る経路計画生成システム及び経路計画生成方法のそれぞれによれば、食品提供元からの臨時の提供形態での提供の申し出に係る食品の入手をユーザが要求すると、当該提供の申し出に係る食品の提供場所を目的地又は経由地とするようにユーザの移動のための経路計画が自動的に変更される。これにより、経路計画を利用した移動中にユーザが食品提供元からの食品提供の申し出を受け入れることに伴って生じる経路変更に関するユーザの手間を軽減できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態に係る経路計画生成システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る経路計画変更処理及びそれに関連する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】実施の形態に係る経路計画生成システムの構成の他の例を示す図である。
【
図4】実施の形態に係る経路計画変更処理及びそれに関連する処理の他の例を示すフローチャートである。
【
図5】食品を持ち帰る際のユーザの乗車中に提供されるサービスに関する処理を示すフローチャートである。
【
図6】無人走行で持ち帰り中の食品の振動対策に関する処理を示すフローチャートである。
【
図7】無人走行で持ち帰り中の食品の温度管理に関する処理を示すフローチャートである。
【
図8】無人走行で持ち帰り中の食品の抗菌対策に関する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本開示の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る技術思想が限定されるものではない。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略又は簡略する。
【0016】
1.システムの構成
図1は、実施の形態に係る経路計画生成システムの構成の一例を示す図である。
図1に示す経路計画生成システム10は、MaaS(Mobility as a Service)を利用したユーザの移動のための経路計画を生成する。ここでいう「移動」は、例えば、観光等を目的とする旅行である。換言すると、経路計画生成システム10は、経路計画を利用するユーザの移動を支援する移動支援システムに相当する。
【0017】
経路計画生成システム(以下、単に「システム」と略する場合がある)10は、ユーザ端末20と、提供元端末30と、サーバ40と、を備えている。
図1に例示されるように、提供元端末30の数は基本的には複数である。
【0018】
ユーザ端末20は、MaaSを利用した移動のためにシステム10を利用するユーザによって操作される。ユーザ端末20は、例えば、スマートフォン又はタブレット型パーソナルコンピュータである。ユーザ端末20は、プロセッサ、記憶装置及び通信装置を備えている。また、ユーザ端末20は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からの信号に基づいて、当該ユーザ端末20を所持するユーザの位置情報を取得できる。
【0019】
提供元端末30は、食品提供元によって操作される。提供元端末30は、例えば、スマートフォン又はタブレット型パーソナルコンピュータである。提供元端末30は、プロセッサ、記憶装置及び通信装置を備えている。食品提供元は、食品を提供する。ここでいう「食品」は、食材、調理された料理、及び飲み物を含む。食品提供元は、例えば、飲食店、及び、小売業者(例えば、スーパーマーケット又はコンビニエンスストア)である。
【0020】
食品提供元は、食品の提供形態として、「通常の(換言すると、主たる)提供形態」と「臨時の提供形態」とを有する。飲食店の例では、店舗での食品(より詳細には、例えば、料理及び飲み物の少なくとも一方)の提供(飲食の提供)が「通常の提供形態」に相当する。小売業者の例では、食材、並びに持ち帰り用の料理及び飲み物の店舗での提供(販売)が「通常の提供形態」に相当する。
【0021】
「臨時の提供形態」は、通常の提供形態での提供に適さなくなった食品を提供する形態である。レストラン等の飲食店の例では、例えば、通常の提供形態に係る店舗での飲食の予約がキャンセルとなったために余った食品(例えば、キャンセルに関係する料理若しくは飲み物自体、当該料理の食材、又は、当該飲み物の材料)の提供が「臨時の提供形態」に相当する。より詳細には、ここでいう「余った食品」とは、例えば、予約がキャンセルとなったために通常の提供形態では消費期限内での消費が難しくなったと食品提供元によって判断された食品、換言すると、廃棄が見込まれる食品のことである。
【0022】
また、「臨時の提供形態」は、通常の提供形態で扱われる食品と比べて消費期限及び賞味期限の少なくとも一方の短い食品を提供するものであってもよい。例えば、小売業者が通常の提供形態で扱われるものと同一であるが消費期限の短い食品を提供する形態が「臨時の提供形態」に相当する。
【0023】
付け加えると、「臨時の提供形態」の対象となる「食品」は、例えば、生鮮食品(例えば、青果、鮮魚、及び精肉)及び調理された料理等のように、早めに消費されないと傷んでしまう食品を含む。また、「臨時の提供形態」は、上記の「余った食品」を通常の提供形態と比べて低額で提供することを含んでもよい。さらに、「臨時の提供形態」で提供される食品の値段は、当該食品の提供の申し出の開始から所定時間が経過する毎に低下するように設定されてもよい。
【0024】
サーバ40は、ユーザ端末20と提供元端末30との間に介在し、後述されるようにシステム10における各種処理を実行するコンピュータ、換言すると、管理サーバである。具体的には、サーバ40は、通信装置42と、プロセッサ44と、記憶装置46と、を備える。サーバ40(通信装置42)は、無線等の通信ネットワーク1を介してユーザ端末20及び提供元端末30のそれぞれと接続されている。プロセッサ44は、上記の各種処理を実行する。記憶装置46は、各種情報を格納している。記憶装置46としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、及びSSD(Solid State Drive)が例示される。プロセッサ44が各種コンピュータプログラムを実行することにより、プロセッサ44による各種処理が実現される。各種プログラムは、記憶装置46に格納されている、あるいは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されている。なお、プロセッサ44及び記憶装置46は複数であってもよい。
【0025】
2.システムにおける処理
2-1.経路計画の生成
経路計画生成システム10は、MaaSを利用したユーザの移動のための経路計画を生成する。本実施形態では、経路計画の生成に関する処理は、一例としてサーバ40(プロセッサ44)によって実行される。
【0026】
具体的には、ユーザは、ユーザ端末20を操作して、所定のアプリケーション(MaaSアプリ)を起動させて、出発地、出発時刻、目的地、目的地の希望到着時刻、1又は複数の経由地(立ち寄り場所)等の経路計画の生成に必要な情報を入力する。入力された情報は、サーバ40の記憶装置46に格納される。
【0027】
経路計画の生成のために、サーバ40の記憶装置46には、経路計画情報データベースが格納されている。経路計画情報データベースは、経路計画の生成の基礎となる様々な情報(例えば、道路交通情報及び路線情報等の各種交通情報、道路地図及び路線図等の各種地図情報、各種観光スポットに関する情報、並びに各種店舗(例えば、飲食店)に関する情報)を記憶している。
【0028】
サーバ40(プロセッサ44)は、所定の経路探索アルゴリズムを実行することによって、ユーザによって入力された上記情報と経路計画情報データベースの情報とに基づく経路計画を生成する。生成された経路計画は、通信ネットワーク1を介してサーバ40からユーザ端末20に送信され、ユーザ端末20の画面に表示される。より詳細には、生成された経路計画は、例えば、1又は複数の経由地を含む出発地から目的地までの移動経路と、1又は複数の経由地及び目的地のそれぞれの到着予想時刻と、当該移動経路の各区間の移動手段と、当該各区間の所要時間と、移動手段の乗り換えに要する時間と、を含む。移動手段は、例えば、自動運転車両、電車、バス、タクシー、及びレンタカー等の移動体と、徒歩とを含む。
【0029】
なお、上述した経路計画の生成に関する処理は、ユーザ端末20(のプロセッサ)によって実行されてもよいし、或いは、サーバ40とユーザ端末20との協働によって実行されてもよい。
【0030】
2-2.食品提供元とユーザとのマッチング
サーバ40(プロセッサ44)は、上述の「臨時の提供形態」を利用して食品を提供することを希望する食品提供元と、当該食品の入手(購入)を希望するユーザとのマッチングに関する処理を実行する。より詳細には、サーバ40は、当該マッチングのためのアプリケーション(マッチングアプリ)の利用登録が済んでいる食品提供元とユーザとのマッチングを行う。当該マッチングアプリは、例えば、経路計画の生成のためのMaaSアプリと統合されている。これらのアプリケーションは別々に構成されていてもよいが、これらのアプリケーションの統合によりユーザの利便性が向上する。
【0031】
サーバ40の記憶装置46には、当該マッチングのための情報を記憶するマッチング情報データベースが格納されている。マッチング情報データベースに記憶される情報は、ユーザ情報UIと提供元情報PIとを含む。ユーザ情報UIは、ユーザを特定する個人情報(例えば、氏名及びメールアドレス)を含む。提供元情報PIは、食品提供元を特定する情報(例えば、食品提供元の名称、所在地等の位置情報、及びメールアドレス)を含む。
【0032】
サーバ40は、通信ネットワーク1を介して、マッチングを希望する食品提供元から提供元情報PIとともに食品情報を受信する。当該食品情報は、臨時の提供形態での提供の申し出に係る食品に関する情報である。食品情報は、例えば、食品の名称、量、消費期限及び賞味期限の少なくとも一方、並びに、食品の提供場所を含む。食品の提供場所は、例えば、食品提供元の店舗である。また、食品情報は、例えば、後述される情報(食品の振動制約及び温度条件に関する情報と、抗菌処理の要求に関する情報)を含んでもよい。
【0033】
食品情報を提供元情報PIとともに受信したサーバ40は、当該食品情報及び提供元情報PI(すなわち、「食品提供元からの臨時の提供形態での食品の提供の申し出」)をユーザに提供する。これらの情報の提供対象は、例えば、マッチングアプリの全ユーザであってもよいし、或いは、食品提供元による食品の提供場所から所定距離範囲内に位置するユーザのみであってもよい。食品情報及び提供元情報PIのユーザへの提供は、例えば、ユーザがマッチングアプリ上で食品情報及び提供元情報PIを検索可能な状態とすること、又は、電子メール又はメッセージ等の方法を利用して食品情報及び提供元情報PIをユーザに送信することによって行うことができる。
【0034】
食品提供元からの上記申し出を受けてユーザが当該申し出に係る食品の入手を希望する場合、ユーザは、ユーザ端末20を操作して、当該食品の入手を要求する情報をサーバ40に送信する。具体的には、ユーザは、例えば、マッチングアプリ上で当該食品を予約する処理を実行する。ユーザは、当該予約の際に食品の決裁も行ってもよい。決裁は、食品を実際に入手する時(例えば、食品を受け取る時、又は、飲食店で飲食をする時)に行われてもよい。なお、
図4を参照して後述されるように、食品の受け取りは、MaaSの移動手段の一例である無人走行を実行可能な自動運転車両を利用して行われてもよい。
【0035】
また、上記予約が完了した後、サーバ40は、当該予約が完了したユーザの情報を食品提供元に送信する。食品提供元に送信されるユーザの情報は、上述のユーザ情報UIとともに、例えば、食品の入手(例えば、受け取り又は飲食)のためにユーザが食品の提供場所に到着する予想時刻を含む。
【0036】
付け加えると、マッチングアプリ上でサーバ40を介してユーザに情報提供を行う食品提供元は、例えば、次のように選別されてもよい。すなわち、ユーザの移動が観光を目的とする旅行である場合、経路計画の生成に用いられるユーザの入力情報は、希望する立ち寄り場所及び目的地等の旅行計画情報を含む。そこで、サーバ40は、マッチングアプリ上でユーザに情報提供を行う食品提供元を、ユーザの旅行計画情報に応じて選別してもよい。具体的には、サーバ40は、例えば、旅行計画情報から特定されるユーザの旅行地域に関係の深い食品(例えば、当該旅行地域の名産品又は特産品)を扱う食品提供元の食品情報を選別してユーザに提供してもよい。より詳細には、例えば、ユーザの旅行地域が海に近い地域であれば、当該地域に関係する海産物を扱う食品提供元の食品情報が選別されてもよく、ユーザの旅行地域が山に近い地域であれば、当該地域に関係する陸産物を扱う食品提供元の食品情報が選別されてもよい。
【0037】
2-3.経路計画変更処理
システム10は、食品提供元からの臨時の提供形態での食品の提供の申し出に対し、当該提供の申し出に係る食品の入手をユーザが要求する場合、「経路計画変更処理」を実行する。経路計画変更処理は、当該提供の申し出に係る食品の提供場所を目的地又は経由地とするようにユーザの移動のための経路計画を自動的に変更するものである。本実施形態では、経路計画変更処理は、サーバ40(プロセッサ44)が実行する。ただし、経路計画変更処理は、ユーザ端末20によって、又はサーバ40とユーザ端末20との協働によって実行されてもよい。付け加えると、ユーザが移動手段として自動運転車両を利用している場合には、当該自動運転車両に搭載された装置(例えば、後述の
図3に示す車両ECU64、通信装置70、及びHMI装置78の組み合わせ)が広い意味での「ユーザ端末」の他の例に相当する。
【0038】
図2は、実施の形態に係る経路計画変更処理及びそれに関連する処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、ユーザの移動のための経路計画の実行中に実行される。
【0039】
ステップS100において、サーバ40(プロセッサ44)は、ユーザから食品の入手要求を受け取ったか否かを判定する。この入手要求は、食品提供元からの臨時の提供形態での提供の申し出に係る食品を入手する要求のことである。この判定の結果は、例えば、当該食品の入手を要求する情報をサーバ40がユーザ端末20を介して受け取った時に肯定的となる。
【0040】
ステップS100の判定結果が否定的である場合(食品の入手要求を受け取っていない場合)には、本フローチャートの処理が終了する。一方、当該判定結果が肯定的である場合(食品の入手要求を受け取った場合)には、処理はステップS102に進む。
【0041】
ステップS102において、サーバ40は、ユーザが目的地変更を受け入れ可能か否かを判定する。この判定は、例えば次のように実行できる。すなわち、サーバ40は、経路計画に含まれる目的地を現在の目的地から食品の提供場所に変更するか否かを確認するための通知をユーザ端末20に送信する。当該判定の結果は、当該通知に対するユーザの返答が目的地変更を受け入れるものであった場合に肯定的となり、返答が目的地変更を受け入れないものであった場合に否定的となる。
【0042】
ステップS102の判定結果が肯定的である場合(ユーザが目的地変更を受け入れ可能である場合)には、処理はステップS104に進み、サーバ40は、食品の提供場所(例えば、食品提供元の店舗)を目的地とするように経路計画を変更する。
【0043】
一方、ステップS102の判定結果が否定的である場合(ユーザが目的地変更を受け入れ可能でない場合)には、処理はステップS106に進み、サーバ40は、目的地を変更せずに、食品の提供場所を経由地として追加するように経路計画を変更する。
【0044】
ステップS104又はS106に続くステップS108において、サーバ40は、飲食店の席の予約が必要か否かを判定する。食品提供の申し出を行った食品提供元が飲食店である例において、ユーザが飲食店の席の予約を希望していることをサーバ40がユーザ端末20を介して確認した場合、この判定の結果は肯定的となる。一方、飲食店の席の予約の希望がないことをサーバ40がユーザ端末20を介して確認した場合、又は、食品提供元が飲食店以外である場合、当該判定結果は否定的となる。
【0045】
ステップS108の判定結果が肯定的である場合(飲食店の席の予約が必要な場合)には、処理はステップS110に進み、サーバ40は、提供元端末30を介して食品提供元との間で席の予約に関する処理を実行する。一方、ステップS108の判定結果が否定的である場合(飲食店の席の予約が必要ない場合)には、本フローチャートの処理が終了する。
【0046】
3.効果
以上説明したように、本実施形態に係る経路計画生成システム10によれば、食品提供元からの臨時の提供形態での食品の提供の申し出に対し、当該提供の申し出に係る食品の入手をユーザが要求する場合、当該提供の申し出に係る食品の提供場所を目的地又は経由地とするようにユーザの移動のための経路計画が自動的に変更される。これにより、経路計画を利用した移動中にユーザが食品提供元からの食品提供の申し出を受け入れることに伴って生じる経路変更に関するユーザの手間を軽減できるようになる。換言すると、経路変更に関するユーザの手間を軽減しつつ、「臨時の提供形態」での食品の提供を希望する食品提供元と経路計画の利用中に当該食品の入手を希望するユーザとのマッチングを実現できる。このことは、例えば廃棄される見込みの食品をユーザが引き取ることによるフードロスの低減につながる。
【0047】
4.無人走行車両の利用例
上述のように、経路計画に含まれる移動手段(移動体)は、無人走行可能な自動運転車両を含んでいてもよい。そして、「経路計画変更処理」は、ユーザが経路計画を利用した移動のために無人走行可能な自動運転車両を利用しているときに上記提供の申し出に係る食品の入手をユーザが要求する場合に、自動運転車両が無人走行で食品の提供場所に向かうように当該自動運転車両の走行計画を設定することを含んでもよい。
【0048】
図3は、実施の形態に係る経路計画生成システムの構成の他の例を示す図である。
図3に示す経路計画生成システム50は、以下に説明される点において、
図1に示す経路計画生成システム10と相違している。
【0049】
具体的には、システム50は、ユーザ端末20、提供元端末30、及びサーバ40とともに、自動運転車両(以下、単に「車両」と略する場合がある)60を備えている。車両60は、ユーザの移動のための経路計画におけるユーザの移動手段として選択され、ユーザによって利用される。
【0050】
車両60は、走行装置62、車載電子制御ユニット(車両ECU)64、通信装置70、車両状態センサ72、認識センサ74、GNSS受信機(Global Navigation Satellite System)76、HMI(Human Machine Interface)装置78、空調装置80、及び車載冷蔵庫82を備えている。
【0051】
走行装置62は、車両60の加速、減速、及び操舵を行う装置として、例えば、駆動装置、制動装置、及び操舵装置を含んでいる。駆動装置は、例えば電動モータ及び内燃機関の少なくとも一方を含み、車両60の車輪を駆動する。制動装置は、車両60に制動力を付与する。操舵装置は、車輪を転舵する。
【0052】
車両ECU64は、車両60を制御するコンピュータである。具体的には、車両ECU64は、プロセッサ66と記憶装置68とを備えている。プロセッサ66は、各種処理を実行する。各種処理は、車両60の自動運転制御に関する処理と、例えば後述の
図4~8に示す処理又はこれに関連する処理と、を含む。記憶装置68は、各種情報を格納している。記憶装置68としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、及びSSD(Solid State Drive)が例示される。車両ECU64(プロセッサ66)が各種コンピュータプログラムを実行することにより、車両ECU64による各種処理が実現される。各種プログラムは、記憶装置68に格納されている、あるいは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されている。なお、プロセッサ66及び記憶装置68は複数であってもよい。
【0053】
通信装置70は、プロセッサを含み、通信ネットワーク1を介してユーザ端末20、提供元端末30、及びサーバ40のそれぞれと通信を行う。車両状態センサ72は、車両60の状態を検出する。車両状態センサ72としては、車速センサ、操舵角センサ、ヨーレートセンサ、及び横加速度センサが例示される。認識センサ74は、車両60の周囲の状況を認識(検出)する。認識センサ74としては、カメラ、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)、及びレーダが例示される。GNSS受信機76は、GNSS衛星からの信号に基づいて車両60の位置及び方位を取得する。
【0054】
HMI装置78は、例えば、タッチパネル及びスピーカを含む。HMI装置78は、例えば、ユーザ端末20と連携し、上述のMaaSアプリ及びマッチングアプリの統合アプリケーションを、又はMaaSアプリ及びマッチングアプリのそれぞれを利用可能に構成されていてもよい。すなわち、HMI装置78がユーザ端末20(例えば、スマートフォン)と連携する場合、HMI装置78(並びに車両ECU64及び通信装置70)は、広い意味での「ユーザ端末」に相当する。空調装置80は、車両ECU64からの指令に基づいて車両60の室内の温度(車室温度)を制御する。車載冷蔵庫82は、車室内に設置され、車両ECU64からの指令に基づいて作動する。
【0055】
図4は、実施の形態に係る経路計画変更処理及びそれに関連する処理の他の例を示すフローチャートである。
図4は、ユーザが移動手段として無人走行可能な車両60を利用している時を対象として、経路計画の実行中に実行される処理を示している。
図4に示す処理は、基本的にはサーバ40(プロセッサ44)によって実行される。しかしながら、
図4に示す処理の少なくとも一部は、ユーザ端末20及び車両ECU64の少なくとも一方によって実行されてもよい。
【0056】
図4では、ステップS100の判定結果が肯定的である場合(食品の入手要求を受け取った場合)には、処理はステップS200に進む。ステップS200において、サーバ40は、提供の申し出に係る食品を車両60の無人走行を利用して入手する要求があるか否かを判定する。この判定の結果は、例えば、サーバ40がユーザ端末20と通信を行い、ユーザから当該要求を示す情報を受け取った場合に肯定的となる。ユーザから無人走行を利用しないことを示す情報を受け取った場合には、当該判定の結果は否定的となる。
【0057】
ステップS200の判定結果が否定的である場合(無人走行が利用されない場合)、処理はステップS202に進み、サーバ40は、車両60の走行計画が実行中であるか否かを判定する。ここでいう「走行計画」は、システム50によって生成されるユーザの移動のための「経路計画」に沿って設定されるものであり、例えば、車両60の走行経路及び走行速度を含む。車両ECU64は、当該走行計画に従って車両60の自動運転が行われるように走行制御を実行する。
【0058】
ステップS202において走行計画が実行中である場合には、サーバ40は、
図2を参照して説明されたようなステップS102~S110の処理を実行する。付け加えると、ステップS104又はS106の処理によって「経路計画」が変更された場合、当該経路計画の変更に付随して車両60の走行計画も同様に変更される。すなわち、走行計画において、目的地が食品の提供場所に変更される(ステップS104)、又は、経由地として食品の提供場所が追加される(ステップS106)。
【0059】
一方、ステップS202の判定結果が否定的である場合(経路計画に沿った走行計画が生成されていない場合)には、処理はステップS204に進む。ステップS204において、サーバ40は、食品の提供場所を目的地とする車両60の走行計画を生成する。なお、これに伴い、ユーザの経路計画自体も、食品の提供場所を例えば経由地とするように変更される。
【0060】
また、ステップ200の判定結果が肯定的である場合(無人走行が利用される場合)、処理はステップS206に進む。ステップS206において、サーバ40は、車両60の走行計画(より詳細には、ステップS100の提供の申し出に係る食品の入手ではない他の目的で無人走行を行う走行計画))が実行中であるか否かを判定する。
【0061】
ステップS206において走行計画が実行中である場合には、処理はステップS208に進み、サーバ40は、食品の提供場所を経由地として追加するように当該走行計画を変更する。
【0062】
一方、ステップS206の判定結果が否定的である場合(上記走行計画が生成されていない場合)には、処理はステップS210に進む。ステップS210において、サーバ40は、食品の提供場所を目的地とする車両60の走行計画を生成する。
【0063】
付け加えると、サーバ40は、
図4に示すフローチャートの処理によって変更又は生成された走行計画を車両ECU64に実行させる。その結果、当該走行計画に従い、車両ECU64は、車両60が無人走行で上記食品を受け取りに行くように走行制御を実行する。
【0064】
経路計画の実行中のユーザが移動手段として車両60を選択している期間は、例えばユーザが観光中に何らかの施設に立ち寄っている等の理由により、車両60を使用していない時間帯(より詳細には、ユーザが移動のために車両60に搭乗していない時間帯)を含み得る。以上説明した
図4に示すフローチャートの処理によれば、そのような時間帯において、無人走行を行う車両60を利用して上記食品を受け取ることが可能となる。このため、経路計画の実行中のユーザの移動時間を有効活用しつつ、当該食品を入手することが可能となる。
【0065】
5.付随する処理の例
経路計画の実行中のユーザが移動手段として無人走行可能な自動運転車両(例えば、車両60)を利用している場合には、上述した実施の形態に係る経路計画変更処理に付随して、次のような処理が実行されてもよい。
【0066】
5-1.食品を持ち帰る際の乗車中に提供されるサービス
図5は、食品を持ち帰る際のユーザの乗車中に提供されるサービスに関する処理を示すフローチャートである。なお、食品提供元が飲食店の例において店舗で飲食せずに食品を持ち帰る場合には、
図4におけるステップS108の判定結果が否定的となる。また、食品提供元が飲食店以外の例(例えば、小売業者の店舗)においても、ユーザは食品を持ち帰るため、当該判定結果が否定的となる。
図5に示す処理は、このように
図4におけるステップS108の判定結果が否定的となる場合に実行される。
【0067】
図5に示す処理は、例えば、提供場所において食品を受け取った後の乗車中(食品の持ち帰り中)に実行されるものとするが、当該処理と同様の処理が、例えば、ユーザが車両60に乗車して食品の提供場所に向かう道中において実行されてもよい。
図5に示す処理の実行主体は、システム50の構成要素であれば特に限定されないが、例えば、ユーザ端末20である。
図5に示す処理は、例えば、ユーザ端末20とHMI装置78との連携、ユーザ端末20とサーバ40との連携、又はユーザ端末20と車両ECU64との連携によって実行されてもよい。また、
図5に示す処理は、車両60等の自動運転車両に代えて、ユーザが例えばレンタカーに搭乗している時に実行されてもよい。
【0068】
図5では、ステップS300において、ユーザ端末20(のプロセッサ)は、ユーザへの通知に対するユーザからの応答結果に基づいて、受け取る食品(例えば、弁当)を車内で飲食することをユーザが希望しているか否かを判定する。その結果、ユーザが車内での飲食を希望している場合(ステップS300;Yes)には、処理はステップS302に進む。
【0069】
ステップS302において、ユーザ端末20は、ユーザへの通知に対するユーザからの応答結果に基づいて、受け取る食品の情報に関する動画の視聴をユーザが希望しているか否かを判定する。その結果、ユーザが動画の視聴を希望している場合には、処理はステップS304に進み、ユーザ端末20は、当該動画の再生に関する処理を実行する。ユーザ端末20がスマートフォンである例では、当該動画は、スマートフォンの画面を利用して再生されてもよい。或いは、当該動画は、車両60のHMI装置78の画面を利用して再生されてもよい。
【0070】
一方、ステップS302においてユーザが動画の視聴を希望しない場合には、処理はステップS306に進む。ステップS306において、ユーザ端末20は、ユーザへの通知に対するユーザからの応答結果に基づいて、ユーザが音楽の視聴を希望しているか否かを判定する。その結果、ユーザが音楽の視聴を希望している場合には、処理はステップS308に進み、ユーザ端末20は、音楽の再生に関する処理を実行する。音楽の再生は、例えば、ユーザ端末20であるスマートフォンのスピーカを用いて行われてもよいし、HMI装置78に含まれるスピーカを用いて行われてもよい。ユーザが音楽の視聴を希望しない場合には、本フローチャートの処理が終了する。
【0071】
また、ステップS300においてユーザが車内での飲食を希望しない場合(例えば、受け取る食品が食材である場合)には、処理はステップS310に進み、ユーザ端末20は、車両60の走行計画が実行中であるか否かを判定する。
【0072】
ステップS310において走行計画が実行中でない場合(すなわち、食品の提供場所が目的地であった場合)には、処理はステップS312に進む。ステップS312において、ユーザ端末20は、食品(食材)の調理場所を目的地とする車両60の走行計画を生成する。なお、これに伴い、ユーザの経路計画自体も、調理場所を例えば目的地とするように変更される。その後、処理はステップS314に進む。
【0073】
一方、ステップS310において走行計画が実行中である場合(すなわち、食品の提供場所が、実行中の走行計画に含まれる経由地であった場合)には、処理はステップS314に進む。
【0074】
ステップS314において、ユーザ端末20は、ユーザへの通知に対するユーザからの応答結果に基づいて、持ち帰る食材の調理方法のレクチャーを希望しているか否かを判定する。その結果、ユーザが当該レクチャーを希望している場合には、処理はステップS316に進み、ユーザ端末20は、当該レクチャーに関する動画又は音声を再生する処理を実行する。当該動画又は音声の再生は、例えば、ユーザ端末20であるスマートフォンを用いて行われてもよいし、HMI装置78を用いて行われてもよい。ユーザが当該レクチャーを希望しない場合には、本フローチャートの処理が終了する。
【0075】
以上説明した
図5に示すフローチャートの処理によれば、食品の受け取りのためのユーザの移動時間を利用して、当該食品に関する情報をユーザに伝えるサービスを提供することが可能となる。
【0076】
5-2.無人走行で持ち帰り中の食品への配慮
5-2-1.振動対策
食品提供元から持ち帰る食品は、例えばスープ又はケーキのように車両60の走行中に車室において生じる振動の影響を受け易い食品を含み得る。したがって、持ち帰る食品によっては、無人走行による当該食品の運搬時に、食品の汁漏れ又は偏りを抑制するための食品の振動制約を満たすことが望ましい。
【0077】
そこで、上記の振動制約がある場合、システム50は、車両60が無人走行を行って提供の申し出に係る食品を持ち帰るときに、当該振動制約を満たすために、車両60の車室の振動を抑制するための車両制御(振動抑制制御)及び走行経路選択(振動抑制経路の選択)のうちの少なくとも一方を車両60に実行させてもよい。
【0078】
図6は、無人走行で持ち帰り中の食品の振動対策に関する処理を示すフローチャートである。
図6に示す処理は、例えばサーバ40によって実行されるが、ユーザ端末20又は車両ECU64によって実行されてもよい。
図6に示す処理は、
図4におけるステップS208又はステップS210の処理の後に実行される。
【0079】
ステップS400において、サーバ40は、食品の振動制約があるか否かを判定する。この振動制約は、例えば、食品提供元から送信される上述の食品情報に含まれている。
【0080】
ステップS400において食品の振動制約がない場合には、本フローチャートの処理が終了する。一方、当該振動制約がある場合には、処理はステップS402に進む。
【0081】
ステップS402において、サーバ40は、食品を持ち帰るために無人走行を行っている時に「車室の振動抑制のための車両制御」が実行されるように、ステップS208又はS210において変更又は生成された走行計画を修正する。その結果、当該走行計画に従って車両60の走行を制御する車両ECU64は、食品を持ち帰るために無人走行を行っている時に当該車両制御を実行する。
【0082】
より詳細には、ここでいう「車両制御」は、例えば、次のような「加減速制御」である。この加減速制御は、車両60の急加速及び急減速を抑制するための制御である。加減速制御は、例えば、車両60の加速度及び減速度のそれぞれの上限値を設定し、加速度及び減速度のそれぞれが当該上限値を超えないように走行装置62を制御することを含む。また、加減速制御は、振動制約がない場合と比べて、振動制約がある場合の車両60の走行速度を低く設定するものであってもよい。ステップS402において、サーバ40は、このような加減速度の上限値の設定、及び走行速度の設定の少なくとも一方が走行計画に反映されるように走行計画を修正する。
【0083】
また、上記「車両制御」は、加減速制御に代え、或いはそれとともに、例えば、サスペンション制御、EV走行制御、及び四輪駆動走行制御の少なくとも1つであってもよい。当該サスペンション制御は、例えば、アクティブサスペンションを利用したスカイフック制御である。EV走行制御は、車両60がハイブリッド電気車両(HEV)である例において、食品を持ち帰るため際の無人走行を電動モータのみの駆動力によって行うものである。四輪駆動走行制御は、車両60が二輪駆動と四輪駆動とを切り替え可能に構成されている例において、食品を持ち帰るため際の無人走行を四輪駆動によって行うものである。
【0084】
ステップS404において、サーバ40は、「車室の振動抑制のための走行経路選択」が実行されるように、ステップS208又はS210において変更又は生成された走行計画を修正する。その結果、当該走行計画に従って車両60の走行を制御する車両ECU64は、食品を持ち帰るために無人走行を行っている時に当該走行経路選択を実行する。ここでいう「走行経路選択」は、例えば、走行経路が長くなるとしても、路面の凹凸の大きい走行経路及び急勾配が含まれる走行経路を避けるように走行経路を選択することを含む。
【0085】
なお、
図6では、「車両制御」及び「走行経路選択」の双方が実行されるようにするための処理が実行されるが、この例に代え、「車両制御」及び「走行経路選択」の一方のみが実行されるようにするための処理が実行されてもよい。
【0086】
以上説明した振動対策によれば、食品を持ち帰るために車両60が無人走行を行っている時に、食品の振動制約を満たすように車室の振動を抑制することが可能となる。これにより、無人での食品の持ち帰り中であっても、食材の汁漏れ又は偏りを抑制することが可能となる。
【0087】
5-2-2.温度管理
食品提供元から持ち帰る食品は、食品の温度を適切に維持することが望ましい食品を含み得る。また、持ち帰る食品は、冷凍された状態で提供されるために調理の際に解凍が必要な食品を含み得る。したがって、持ち帰る食品によっては、無人走行による当該食品の運搬時に食品の温度管理が可能であると望ましい。
【0088】
そこで、提供の申し出に係る食品に所定の温度条件がある場合、システム50は、車両60が無人走行を行って提供の申し出に係る食品を持ち帰るときに、当該温度条件に応じた車両60の車室温度制御を車両60に実行させてもよい。
【0089】
図7は、無人走行で持ち帰り中の食品の温度管理に関する処理を示すフローチャートである。
図7に示す処理は、例えばサーバ40によって実行されるが、ユーザ端末20又は車両ECU64によって実行されてもよい。
図7に示す処理は、
図4におけるステップS208又はステップS210の処理の後に実行される。
【0090】
ステップS500において、サーバ40は、食品の温度条件があるか否かを判定する。この温度条件は、例えば、食品を適温(所定の温度範囲)で維持すること、及び、調理の前に食品の解凍が必要であることを含む。当該温度条件は、例えば、食品提供元から送信される上述の食品情報に含まれている。
【0091】
ステップS500において食品の温度条件がない場合には、本フローチャートの処理が終了する。一方、当該温度条件がある場合には、処理はステップS502に進む。
【0092】
ステップS502において、サーバ40は、食品を持ち帰るために無人走行を行っている時に「車室温度制御」を実行するように車両60(車両ECU64)に指令する。その結果、車両ECU64は、食品を持ち帰るために無人走行を行っている時に、当該車室温度制御を実行する。
【0093】
より詳細には、ここでいう「車室温度制御」は、例えば空調装置80の制御によって行われる。車室温度制御において、車両ECU64は、例えば、食品情報に含まれる「食品の適温」と、「食品の持ち帰りに要する時間(すなわち、目的地であるユーザの現在位置までの移動に要する時間))とに基づいて、上記温度条件に応じた目標車室温度を設定する。具体的には、目標車室温度は、例えば、食品を適温に保つために適した車室温度となるように、又は、食品の解凍に適した車室温度となるように設定される。そして、車両ECU64は、例えば温度センサによって検出される車室温度が当該目標車室温度に近づくように空調装置80を制御する。
【0094】
以上説明した温度管理によれば、食品を持ち帰るために車両60が無人走行を行っている時に、食品の温度条件に応じて車室温度を制御することにより、運搬中の食品を適温(温かい状態、冷たい状態、又は冷凍状態)で維持したり、運搬中の時間を利用して食品を解凍したりすることが可能となる。
【0095】
5-2-3.抗菌対策
車両60の無人走行を利用して食品を持ち帰る場合に、食品提供元又はユーザが食品の抗菌処理を要求する場合があると考えられる。そこで、食品の抗菌処理の要求がある場合、システム50は、車両60が無人走行を行って提供の申し出に係る食品を持ち帰るときに、当該食品を収容する車載冷蔵庫82を自動的に作動させてもよい。
【0096】
図8は、無人走行で持ち帰り中の食品の抗菌対策に関する処理を示すフローチャートである。
図8に示す処理は、例えばサーバ40によって実行されるが、ユーザ端末20又は車両ECU64によって実行されてもよい。
図8に示す処理は、
図4におけるステップS208又はステップS210の処理の後に実行される。
【0097】
ステップS600において、サーバ40は、食品提供元又はユーザから食品の抗菌処理の要求があるか否かを判定する。この要求は、例えば、食品提供元から送信される上述の食品情報に含まれている、又は、ユーザから送信される上述の入手要求を示す情報に含まれている。なお、マッチングアプリ上でのユーザによる食品の予約完了後にサーバ40から食品提供元に送信される情報は、車両60が車載冷蔵庫82を備えていることを示す情報と、抗菌処理の要求のある食品の場合は食品を車載冷蔵庫82に入れることを食品提供元に依頼する情報とを含んでもよい。
【0098】
ステップS600において食品の抗菌処理の要求がない場合には、本フローチャートの処理が終了する。一方、抗菌処理の要求がある場合には、処理はステップS602に進む。
【0099】
ステップS602において、サーバ40は、食品を持ち帰るために無人走行を行っている時に車載冷蔵庫82を作動させることを車両60(車両ECU64)に指令する。その結果、車両ECU64は、食品を持ち帰るために無人走行を行っている時に、車載冷蔵庫82を作動状態とする。
【0100】
以上説明した抗菌対策によれば、食品を持ち帰るために車両60が無人走行を行っている時に、食品提供元又はユーザからの要求に応じて食品の抗菌対策(例えば、生鮮食品の鮮度を維持すること)が可能となる。
【符号の説明】
【0101】
1 通信ネットワーク
10、50 経路計画生成システム
20 ユーザ端末
30 提供元端末
40 サーバ
42、70 通信装置
44、66 プロセッサ
46、68 記憶装置
60 自動運転車両
62 走行装置
64 車両ECU
72 車両状態センサ
74 認識センサ
76 GNSS受信機
78 HMI装置
80 空調装置
82 車載冷蔵庫