(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】自動バレー駐車管理システム及び自動バレー駐車管理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20241119BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20241119BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241119BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20241119BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20241119BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G08G1/00 X
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
(21)【出願番号】P 2022103669
(22)【出願日】2022-06-28
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 寛也
【審査官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/019274(WO,A1)
【文献】特開2020-027478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場における自動バレー駐車を管理する自動バレー駐車管理システムであって、
1又は複数のプロセッサと、
前記駐車場の地図情報と、前記駐車場に駐車される車両の位置を示す車両管理情報とを格納する1又は複数の記憶装置と
を備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記駐車場内の正規駐車枠に空きが無い場合、前記駐車場内の通路上の仮駐車枠を入庫車両に対して割り当てる仮割当処理と、
前記地図情報及び前記車両管理情報に基づいて、前記駐車場内の前記車両の前記位置を制御する車両位置制御処理と
を実行するように構成され、
仮駐車車両は、前記仮割当処理によって前記仮駐車枠が割り当てられ、前記仮駐車枠に駐車されている車両であり、
前記車両位置制御処理において、前記1又は複数のプロセッサは、
第1正規駐車枠に駐車されている第1車両が出庫する際、前記第1車両の出庫ルート上の第1仮駐車枠に駐車されている
前記仮駐車車両である第1仮駐車車両を特定し、
前記第1車両の出庫を妨げないように前記第1仮駐車車両を退避させるための第1退避ルートを決定し、
前記出庫ルート上には位置しないが前記第1退避ルート上に位置する第2仮駐車枠に駐車されている
前記仮駐車車両である第2仮駐車車両を特定し、
前記第2仮駐車車両に割り当てる前記仮駐車枠を変更せずに前記第2仮駐車枠のまま維持し、
前記第2仮駐車車両が前記第1車両の前記出庫及び前記第1仮駐車車両の退避を妨げる
ことなく前記第2仮駐車枠から移動して前記第2仮駐車枠に戻ってくるように、前記第2仮駐車車両を退避させるための第2退避ルートを決定し、
前記第2仮駐車車両を前記第2仮駐車枠から前記第2退避ルートに沿って移動させ、
前記第1仮駐車車両を前記第1仮駐車枠から前記第1退避ルートに沿って移動させる
自動バレー駐車管理システム。
【請求項2】
駐車場における自動バレー駐車を管理する自動バレー駐車管理システムであって、
1又は複数のプロセッサと、
前記駐車場の地図情報と、前記駐車場に駐車される車両の位置を示す車両管理情報とを格納する1又は複数の記憶装置と
を備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記駐車場内の正規駐車枠に空きが無い場合、前記駐車場内の通路上の仮駐車枠を入庫車両に対して割り当てる仮割当処理と、
前記地図情報及び前記車両管理情報に基づいて、前記駐車場内の前記車両の前記位置を制御する車両位置制御処理と
を実行するように構成され、
仮駐車車両は、前記仮割当処理によって前記仮駐車枠が割り当てられ、前記仮駐車枠に駐車されている車両であり、
前記車両位置制御処理において、前記1又は複数のプロセッサは、
第1正規駐車枠に駐車されている第1車両が出庫する際、前記第1車両の出庫ルート上の第1仮駐車枠に駐車されている
前記仮駐車車両である第1仮駐車車両を特定し、
前記第1車両の出庫を妨げないように前記第1仮駐車車両を退避させるための第1退避ルートを決定し、
前記出庫ルート上には位置しないが前記第1退避ルート上に位置する第2仮駐車枠に駐車されている
前記仮駐車車両である第2仮駐車車両を特定し、
前記第2仮駐車車両に対して前記第1正規駐車枠を新たに割り当て、
前記第2仮駐車車両が前記第1車両の前記出庫及び前記第1仮駐車車両の退避を妨げ
ることなく前記第2仮駐車枠から前記第1正規駐車枠に移動するように、前記第2仮駐車車両を退避させるための第2退避ルートを決定し、
前記第2仮駐車車両を前記第2仮駐車枠から前記第2退避ルートに沿って移動させ、
前記第1仮駐車車両を前記第1仮駐車枠から前記第1退避ルートに沿って移動させる
自動バレー駐車管理システム。
【請求項3】
請求項
2に記載の自動バレー駐車管理システムであって、
前記車両位置制御処理において、前記1又は複数のプロセッサは、前記第1車両が前記第1正規駐車枠から移動した後に前記第2仮駐車車両が前記第1正規駐車枠に入るように、前記第2仮駐車車両を前記第2退避ルートに沿って移動させる
自動バレー駐車管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の自動バレー駐車管理システムであって、
前記車両位置制御処理において、前記1又は複数のプロセッサは、前記第1仮駐車車両が前記第1仮駐車枠から移動して前記第1仮駐車枠に戻ってくるように前記第1退避ルートを決定する
自動バレー駐車管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の自動バレー駐車管理システムであって、
前記車両位置制御処理において、前記1又は複数のプロセッサは、
前記第1仮駐車車両に対して前記第1正規駐車枠を新たに割り当て、
前記第1仮駐車車両が前記第1仮駐車枠から前記第1正規駐車枠に移動するように前記第1退避ルートを決定する
自動バレー駐車管理システム。
【請求項6】
請求項
5に記載の自動バレー駐車管理システムであって、
前記車両位置制御処理において、前記1又は複数のプロセッサは、前記第1車両が前記第1正規駐車枠から移動した後に前記第1仮駐車車両が前記第1正規駐車枠に入るように、前記第1仮駐車車両を前記第1退避ルートに沿って移動させる
自動バレー駐車管理システム。
【請求項7】
請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の自動バレー駐車管理システムであって、
前記1又は複数のプロセッサは、前記車両位置制御処理と連動して、前記第1車両を前記第1正規駐車枠から前記出庫ルートに沿って移動させる
自動バレー駐車管理システム。
【請求項8】
コンピュータにより実行され、駐車場における自動バレー駐車を管理する自動バレー駐車管理方法であって、
前記駐車場の地図情報と、前記駐車場に駐車される車両の位置を示す車両管理情報とを取得することと、
前記駐車場内の正規駐車枠に空きが無い場合、前記駐車場内の通路上の仮駐車枠を入庫車両に対して割り当てる仮割当処理と、
前記地図情報及び前記車両管理情報に基づいて、前記駐車場内の前記車両の前記位置を制御する車両位置制御処理と
を含み、
仮駐車車両は、前記仮割当処理によって前記仮駐車枠が割り当てられ、前記仮駐車枠に駐車されている車両であり、
前記車両位置制御処理は、
第1正規駐車枠に駐車されている第1車両が出庫する際、前記第1車両の出庫ルート上の第1仮駐車枠に駐車されている
前記仮駐車車両である第1仮駐車車両を特定することと、
前記第1車両の出庫を妨げないように前記第1仮駐車車両を退避させるための第1退避ルートを決定することと、
前記出庫ルート上には位置しないが前記第1退避ルート上に位置する第2仮駐車枠に駐車されている
前記仮駐車車両である第2仮駐車車両を特定することと、
前記第2仮駐車車両に割り当てる前記仮駐車枠を変更せずに前記第2仮駐車枠のまま維持することと、
前記第2仮駐車車両が前記第1車両の前記出庫及び前記第1仮駐車車両の退避を妨げる
ことなく前記第2仮駐車枠から移動して前記第2仮駐車枠に戻ってくるように、前記第2仮駐車車両を退避させるための第2退避ルートを決定することと、
前記第2仮駐車車両を前記第2仮駐車枠から前記第2退避ルートに沿って移動させることと、
前記第1仮駐車車両を前記第1仮駐車枠から前記第1退避ルートに沿って移動させることと
を含む
自動バレー駐車管理方法。
【請求項9】
コンピュータにより実行され、駐車場における自動バレー駐車を管理する自動バレー駐車管理方法であって、
前記駐車場の地図情報と、前記駐車場に駐車される車両の位置を示す車両管理情報とを取得することと、
前記駐車場内の正規駐車枠に空きが無い場合、前記駐車場内の通路上の仮駐車枠を入庫車両に対して割り当てる仮割当処理と、
前記地図情報及び前記車両管理情報に基づいて、前記駐車場内の前記車両の前記位置を制御する車両位置制御処理と
を含み、
仮駐車車両は、前記仮割当処理によって前記仮駐車枠が割り当てられ、前記仮駐車枠に駐車されている車両であり、
前記車両位置制御処理は、
第1正規駐車枠に駐車されている第1車両が出庫する際、前記第1車両の出庫ルート上の第1仮駐車枠に駐車されている
前記仮駐車車両である第1仮駐車車両を特定することと、
前記第1車両の出庫を妨げないように前記第1仮駐車車両を退避させるための第1退避ルートを決定することと、
前記出庫ルート上には位置しないが前記第1退避ルート上に位置する第2仮駐車枠に駐車されている
前記仮駐車車両である第2仮駐車車両を特定することと、
前記第2仮駐車車両に対して前記第1正規駐車枠を新たに割り当てることと、
前記第2仮駐車車両が前記第1車両の前記出庫及び前記第1仮駐車車両の退避を妨げ
ることなく前記第2仮駐車枠から前記第1正規駐車枠に移動するように、前記第2仮駐車車両を退避させるための第2退避ルートを決定することと、
前記第2仮駐車車両を前記第2仮駐車枠から前記第2退避ルートに沿って移動させることと、
前記第1仮駐車車両を前記第1仮駐車枠から前記第1退避ルートに沿って移動させることと
を含む
自動バレー駐車管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車場における自動バレー駐車(AVP: Automated Valet Parking)を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車場における自動バレー駐車が知られている。自動バレー駐車に対応した車両は、少なくとも駐車場内において、ドライバによる運転操作によらず自動的に走行することができる。
【0003】
特許文献1は、駐車場における車両制御方法を開示している。第1車両が駐車場に到着したとき、駐車場に空き駐車枠があるか否かが判定される。空き駐車枠が無い場合、駐車場内の空きスペースの中から第1一時駐車位置が選択され、第1車両は第1一時駐車位置に移動させられる。その後、第1車両が第2車両の走行経路上に存在するか否かが判定される。第1車両が第2車両の走行経路上に存在する場合、第2車両の通行の邪魔にならない第2一時駐車位置が特定される。そして、第1車両は、第1一時駐車位置から第2一時駐車位置に移動させられる。
【0004】
特許文献2及び特許文献3も、自動バレー駐車に関連する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2020-511353号公報
【文献】特開2020-090281号公報
【文献】国際公開第2021/033611号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
駐車場における自動バレー駐車について考える。駐車場内の駐車枠に空きが無い場合、駐車枠以外の通路の一部を仮駐車枠として利用することが考えられる。但し、出庫車両の出庫ルート上に位置する仮駐車枠に車両が駐車されていると、出庫車両の出庫が妨げられる。
【0007】
本開示の1つの目的は、通路上の仮駐車枠も利用する自動バレー駐車に関して、出庫車両の出庫ルートを適切に確保することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の観点は、駐車場における自動バレー駐車を管理する自動バレー駐車管理システムに関連する。
自動バレー駐車管理システムは、
1又は複数のプロセッサと、
駐車場の地図情報と、駐車場に駐車される車両の位置を示す車両管理情報とを格納する1又は複数の記憶装置と
を備える。
1又は複数のプロセッサは、
駐車場内の正規駐車枠に空きが無い場合、駐車場内の通路上の仮駐車枠を入庫車両に対して割り当てる仮割当処理と、
地図情報及び車両管理情報に基づいて、駐車場内の車両の位置を制御する車両位置制御処理と
を実行するように構成される。
車両位置制御処理において、1又は複数のプロセッサは、
第1正規駐車枠に駐車されている第1車両が出庫する際、第1車両の出庫ルート上の第1仮駐車枠に駐車されている第1仮駐車車両を特定し、
第1車両の出庫を妨げないように第1仮駐車車両を退避させるための第1退避ルートを決定し、
出庫ルート上には位置しないが第1退避ルート上に位置する第2仮駐車枠に駐車されている第2仮駐車車両を特定し、
第1車両の出庫及び第1仮駐車車両の退避を妨げないように第2仮駐車車両を退避させるための第2退避ルートを決定し、
第2仮駐車車両を第2仮駐車枠から第2退避ルートに沿って移動させ、
第1仮駐車車両を第1仮駐車枠から第1退避ルートに沿って移動させる。
【0009】
第2の観点は、コンピュータにより実行され、駐車場における自動バレー駐車を管理する自動バレー駐車管理方法に関連する。
自動バレー駐車管理方法は、
駐車場の地図情報と、駐車場に駐車される車両の位置を示す車両管理情報とを取得することと、
駐車場内の正規駐車枠に空きが無い場合、駐車場内の通路上の仮駐車枠を入庫車両に対して割り当てる仮割当処理と、
地図情報及び車両管理情報に基づいて、駐車場内の車両の位置を制御する車両位置制御処理と
を含む。
車両位置制御処理は、
第1正規駐車枠に駐車されている第1車両が出庫する際、第1車両の出庫ルート上の第1仮駐車枠に駐車されている第1仮駐車車両を特定することと、
第1車両の出庫を妨げないように第1仮駐車車両を退避させるための第1退避ルートを決定することと、
出庫ルート上には位置しないが第1退避ルート上に位置する第2仮駐車枠に駐車されている第2仮駐車車両を特定することと、
第1車両の出庫及び第1仮駐車車両の退避を妨げないように第2仮駐車車両を退避させるための第2退避ルートを決定することと、
第2仮駐車車両を第2仮駐車枠から第2退避ルートに沿って移動させることと、
第1仮駐車車両を第1仮駐車枠から第1退避ルートに沿って移動させることと
を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、第1車両が出庫する際、第1車両の出庫が妨げられないように仮駐車車両が退避させられる。これにより、第1車両の出庫ルートを確保し、第1車両をスムーズに出庫させることが可能となる。特に、出庫ルート上の第1仮駐車車両だけでなく、出庫ルート上に位置しないが第1仮駐車車両の第1退避ルート上に位置する第2仮駐車車両も退避させることによって、第1車両の出庫ルートを効果的に確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施の形態に係る自動バレー駐車の概要を説明するための概念図である。
【
図2】本開示の実施の形態に係る自動バレー駐車管理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施の形態に係る車両管理情報の例を示す概念図である。
【
図4】本開示の実施の形態に係る駐車場の一例を示す図である。
【
図5】本開示の実施の形態に係る駐車場の正規駐車枠が利用不可能である状態を示す図である。
【
図6】本開示の実施の形態に係る駐車場の仮駐車枠を説明するための概念図である。
【
図7】本開示の実施の形態に係る出庫車両の出庫を説明するための概念図である。
【
図8】本開示の実施の形態に係る車両位置制御処理の第1の例を説明するための概念図である。
【
図9】本開示の実施の形態に係る車両位置制御処理の第2の例を説明するための概念図である。
【
図10】本開示の実施の形態に係る車両位置制御処理の第3の例を説明するための概念図である。
【
図11】本開示の実施の形態に係る車両位置制御処理の第4の例を説明するための概念図である。
【
図12】本開示の実施の形態に係る車両位置制御処理の第5の例を説明するための概念図である。
【
図13】本開示の実施の形態に係る車両位置制御処理の第6の例を説明するための概念図である。
【
図14】本開示の実施の形態に係る車両位置制御処理に関連する処理を示すフローチャートである。
【
図15】本開示の実施の形態に係る仮割当処理の特徴を説明するための概念図である。
【
図16】本開示の実施の形態に係る再割当処理の第1の例を説明するための概念図である。
【
図17】本開示の実施の形態に係る再割当処理の第2の例を説明するための概念図である。
【
図18】本開示の実施の形態に係る再割当処理の第3の例を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
【0013】
1.自動バレー駐車の概要
図1は、本実施の形態に係る自動バレー駐車(AVP: Automated Valet Parking)の概要を説明するための概念図である。
【0014】
車両10は、駐車場1における自動バレー駐車に対応している。車両10は、少なくとも駐車場1内において、ドライバによる運転操作によらず自動的に走行することができる。より詳細には、車両10は、周囲の状況を認識するための認識センサ(例:カメラ)を備えている。車両10は、認識センサを用いて周囲の状況を認識しながら、駐車場1において自動走行を行う。車両10は、自動運転車両であってもよい。
【0015】
駐車場1は、降車エリア2、乗車エリア3、通路4、及び複数の駐車枠5を含んでいる。駐車場1に入庫する車両10は降車エリア2に停止し、そこでユーザは車両10から降車する。一方、駐車場1から出庫する車両10は乗車エリア3に停止し、そこでユーザは車両10に乗車する。降車エリア2を入庫エリアと呼び、乗車エリア3を出庫エリアと呼ぶこともできる。通路4は、車両10が走行する領域である。駐車枠5は、車両10が駐車するスペースである。例えば、駐車枠5は、区画線によって区切られている。
【0016】
また、駐車場1内には複数のマーカ6(ランドマーク)が配置されている。マーカ6は、駐車場1内において車両10を誘導するために用いられる。例えば、車両10は、カメラを用いて周囲の画像を取得し、画像に基づいてマーカ6を認識する。そして、車両10は、マーカ6の認識結果に基づいて、駐車場1における車両10の位置を高精度に推定するローカライズ処理(Localization)を行う。車両10は、ローカライズ処理によって推定された車両位置に基づいて、駐車場1内を自動的に走行する。
【0017】
尚、駐車場1は、自動バレー駐車に対応する車両10だけでなく、車両10以外の一般車両によって利用されてもよい。
【0018】
自動バレー駐車管理システム100は、駐車場1における自動バレー駐車を管理する。自動バレー駐車管理システム100を、以下、「AVP管理システム100」と呼ぶ。AVP管理システム100は、駐車場1に併設されたローカル管理装置と、複数の駐車場1を統括する管理センターとを含んでいてもよい。
【0019】
AVP管理システム100は、車両10と通信可能であり、車両10を管理する。例えば、AVP管理システム100は、駐車場1内の各車両10の位置や状態を把握する。AVP管理システム100は、車両10に駐車枠5を割り当ててもよい。AVP管理システム100は、駐車場1内の車両10に移動指示(例:入庫指示、出庫指示)を出してもよい。AVP管理システム100は、駐車場1の地図情報を車両10に提供してもよい。AVP管理システム100は、駐車場1における車両10の目標ルートを生成し、目標ルートの情報を車両10に提供してもよい。AVP管理システム100は、駐車場1内の車両10を遠隔操作してもよい。
【0020】
また、AVP管理システム100は、自動バレー駐車サービスのユーザに関する情報を管理する。AVP管理システム100は、ユーザが操作するユーザ端末200と通信可能である。
【0021】
以下、あるユーザXが自動バレー駐車サービスを利用する際の流れの一例を説明する。ユーザXの会員情報は、AVP管理システム100に予め登録されているとする。
【0022】
まず、ユーザXは、自動バレー駐車の予約を行う。例えば、ユーザXは、ユーザ端末200を操作して、ユーザXのID情報、希望する駐車場1、希望利用日、希望利用時間(入庫予定時刻及び出庫予定時刻)、等を入力する。ユーザ端末200は、入力された情報を含む予約情報をAVP管理システム100に送信する。AVP管理システム100は、予約情報に基づいて予約処理を行い、予約完了通知をユーザ端末200に送信する。また、AVP管理システム100は、予約情報に応じた認証情報をユーザ端末200に送信する。ユーザ端末200は、認証情報を受け取り、受け取った認証情報を保持する。
【0023】
駐車場1への車両10の入庫(チェックイン)は、次の通りである。
【0024】
ユーザXを乗せた車両10が、駐車場1の降車エリア2に到着し、停止する。降車エリア2において、ユーザXは(もしいれば他の乗員も)、車両10から降りる。そして、ユーザXは、ユーザ端末200に保持された認証情報を用いて、車両10の入庫をリクエストする。入庫リクエストに応答して、AVP管理システム100は、ユーザXの認証を行う。認証が完了すると、車両10の操作権限が、ユーザXからAVP管理システム100に移る。AVP管理システム100は、車両10に関する入庫処理を行う。
【0025】
入庫処理において、AVP管理システム100は、車両10と通信を行い、車両10を起動する(電源ON)。
【0026】
また、AVP管理システム100は、駐車場1の利用状況を参照して、空いている駐車枠5を車両10に割り当てる。そして、AVP管理システム100は、車両10と通信を行い、入庫指示を車両10に送信する。入庫指示は、割り当てられた駐車枠5の情報と駐車場1の地図情報を含む。AVP管理システム100は、降車エリア2から割り当てた駐車枠5までの目標ルートを指定してもよい。その場合、入庫指示は、指定された目標ルートの情報を含む。
【0027】
入庫指示に応答して、車両10は、車両走行制御を開始する。具体的には、車両10は、降車エリア2から割り当てられた駐車枠5まで通路4を自動的に走行し、割り当てられた駐車枠5に自動的に駐車する。このとき、車両10は、AVP管理システム100によって指定された目標ルートに沿って走行してもよい。AVP管理システム100は、車両10と通信を行い、車両10の自動走行を遠隔で制御してもよい。
【0028】
駐車が完了すると、車両10は、駐車完了をAVP管理システム100に通知する。あるいは、AVP管理システム100は、駐車場1に設置されたインフラセンサを用いて、車両10の駐車が完了したことを検知してもよい。駐車完了後、AVP管理システム100は、車両10と通信を行い、車両10の動作を停止させる(電源OFF)。AVP管理システム100は、車両10の駐車枠5の情報をユーザXと関連付けて保持する。
【0029】
駐車場1からの車両10の出庫(チェックアウト)は、次の通りである。
【0030】
ユーザXは、ユーザ端末200を用いて、車両10の出庫をリクエストする。出庫リクエストは、認証情報0等を含む。出庫リクエストに応答して、AVP管理システム100は、ユーザXの認証を行い、車両10に関する出庫処理を行う。
【0031】
出庫処理において、AVP管理システム100は、車両10と通信を行い、車両10を起動する(電源ON)。
【0032】
また、AVP管理システム100は、車両10と通信を行い、出庫指示を車両10に送信する。出庫指示は、乗車エリア3の位置と駐車場1の地図情報を含む。AVP管理システム100は、駐車枠5から乗車エリア3までの目標ルートを指定してもよい。その場合、出庫指示は、指定された目標ルートの情報を含む。
【0033】
出庫指示に応答して、車両10は、車両走行制御を開始する。具体的には、車両10は、駐車枠5から乗車エリア3まで通路4を自動的に走行する。このとき、車両10は、AVP管理システム100によって指定された目標ルートに沿って走行してもよい。AVP管理システム100は、車両10と通信を行い、車両10の自動走行を遠隔で制御してもよい。
【0034】
車両10は、乗車エリア3に到着し、停止する。車両10の操作権限は、AVP管理システム100からユーザXに移る。ユーザXは(もしいれば他の乗員も)、車両10に乗り込む。車両10は、次の目的地に向けて発進する。
【0035】
2.AVP管理システムの構成例
図2は、本実施の形態に係るAVP管理システム100の構成例を示すブロック図である。AVP管理システム100は、通信装置110、1又は複数のプロセッサ120(以下、単にプロセッサ120と呼ぶ)、及び1又は複数の記憶装置130(以下、単に記憶装置130と呼ぶ)を含んでいる。
【0036】
通信装置110は、車両10やユーザ端末200と通信を行う。
【0037】
プロセッサ120は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ120は、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。プロセッサ120は、通信装置110を介して、車両10やユーザ端末200と通信を行う。また、プロセッサ120は、駐車場1における自動バレー駐車を管理する。例えば、プロセッサ120は、車両10に駐車枠5を割り当てる。また、プロセッサ120は、駐車場1内の車両10に対して移動を指示してもよい。
【0038】
記憶装置130は、各種情報を格納する。記憶装置130としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、等が例示される。プロセッサ120は、記憶装置130から各種情報を読み出し、また、記憶装置130に各種情報を格納する。
【0039】
管理プログラム140は、自動バレー駐車を管理するためのコンピュータプログラムである。プロセッサ120が管理プログラム140を実行することにより、AVP管理システム100(プロセッサ120)の各種機能が実現される。管理プログラム140は、記憶装置130に格納される。管理プログラム140は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。
【0040】
また、記憶装置130には、駐車場地図情報150、駐車場利用情報160、車両管理情報170、等が格納される。駐車場地図情報150は、駐車場1の地図情報である。駐車場地図情報150は、駐車場1における降車エリア2、乗車エリア3、通路4、駐車枠5、マーカ6、等の配置を示す。駐車場利用情報160は、駐車場1内の駐車枠5の利用状況(空き状況)を示す。車両管理情報170は、自動バレー駐車の対象である車両10を管理するための情報である。
【0041】
図3は、車両管理情報170の例を示す概念図である。車両管理情報170は、車両ID、ユーザ情報、入出庫時間情報、及び位置情報を含んでいる。車両10毎に、車両ID、ユーザ情報、入出庫時間情報、及び位置情報が関連付けられている。
【0042】
車両IDは、車両10の識別情報である。ユーザ情報は、車両10を利用するユーザに関する情報である。
【0043】
入出庫時間情報は、車両10の入出庫時間に関する情報である。例えば、入出庫時間情報は、入庫予定時刻、実際の入庫時刻、及び出庫予定時刻を含んでいる。入庫予定時刻は、車両10が駐車場1に入庫する予定の時刻である。出庫予定時刻は、車両10が駐車場1から出庫する予定の時刻である。例えば、自動バレー駐車サービスの予約時、車両10のユーザによって入庫予定時刻及び出庫予定時刻が指定される。プロセッサ120は、ユーザ端末200から送信された予約情報を受け取り、予約情報に含まれる入庫予定時刻及び出庫予定時刻を車両管理情報170に登録する。他の例として、プロセッサ120は、実際の入庫時刻から一定時間後の時刻を出庫予定時刻に設定してもよい。
【0044】
入出庫時間情報は、更に、履歴情報を含んでいてもよい。履歴情報は、車両10の過去の入庫時刻及び出庫時刻の履歴を示す。
【0045】
位置情報は、駐車場1内の車両10の位置を示す。典型的には、位置情報は、車両10が駐車されている駐車枠5の位置あるいは識別情報を示す。つまり、位置情報は、車両10に割り当てられた駐車枠5の位置あるいは識別情報を示す。車両10が駐車場1内を走行中の場合、位置情報は、車両10の走行位置を示していてもよい。車両10の現在の走行位置は、車両10によるローカライズ処理によって得られる。プロセッサ120は、車両10と通信を行い、車両10から現在の走行位置の情報を取得することができる。
【0046】
3.通路上の仮駐車枠の利用
図4は、駐車場1の一例を示している。駐車場1は、降車エリア2、乗車エリア3、通路4、及び複数の駐車枠5を含んでいる。通路4は、車両10が走行する領域である。通路4上での車両10の進行方向は予め定められていてもよい。駐車枠5は、車両10が駐車するスペースであり、予め定められている。駐車場地図情報150は、駐車場1における降車エリア2、乗車エリア3、通路4、及び駐車枠5の配置を示す。すなわち、駐車場地図情報150は、降車エリア2、乗車エリア3、通路4、及び駐車枠5の位置関係を示す。駐車場地図情報150は、更に、通路4上での予め定められた進行方向を示していてもよい。
【0047】
以下の説明において、駐車場1に入庫する車両10を「入庫車両10EN」と呼び、駐車場1から出庫する車両10を「出庫車両10EX」と呼び、駐車枠5に駐車されている車両10を「駐車車両10P」と呼ぶ。入庫車両10ENは、降車エリア2から割り当てられた駐車枠5に移動する。入庫車両10ENは、割り当てられた駐車枠5に駐車されると、駐車車両10Pとなる。駐車車両10Pが出庫する際、その駐車車両10Pは出庫車両10EXとなる。出庫車両10EXは、割り当てられた駐車枠5から乗車エリア3に移動する。
【0048】
図5は、駐車場1の駐車枠5が利用不可能である状態を示している。駐車場1内の全ての駐車枠5に駐車車両10Pが駐車されており、駐車枠5に空きが無い。よって、新たな入庫車両10ENに対して駐車枠5を割り当てることはできない。
【0049】
駐車場1の利用効率を更に向上させるために、本実施の形態によれば、必要に応じて通路4の一部が駐車に利用される。より詳細には、
図6に示されるように、通路4上に「仮駐車枠7」が設定される。便宜上、通路4上にない通常の駐車枠5を、以下、「正規駐車枠5」と呼ぶ。仮駐車枠7は、正規駐車枠5と同等の大きさ、すなわち、車両10が駐車できる程度の大きさを有している。仮駐車枠7の位置は、予め定められていてもよいし、入庫車両10ENの入庫時に都度設定されてもよい。尚、仮駐車枠7は、区画線によって明示的に示されている必要は必ずしもない。
【0050】
駐車場地図情報150は、駐車枠5だけでなく仮駐車枠7の配置も示す。駐車場利用情報160は、駐車場1内の駐車枠5及び仮駐車枠7の利用状況(空き状況)を示す。
【0051】
入庫車両10ENの入庫時、プロセッサ120は、駐車場利用情報160に基づいて、駐車場1内の正規駐車枠5に空きが有るか否かを判定する。空いている正規駐車枠5が有る場合、プロセッサ120は、空いている正規駐車枠5を入庫車両10ENに対して割り当てる。一方、空いている正規駐車枠5が無い場合、プロセッサ120は、駐車場利用情報160に基づいて、通路4上の仮駐車枠7に空きが有るか否かを判定する。空いている仮駐車枠7が有る場合、プロセッサ120は、空いている仮駐車枠7を入庫車両10ENに対して割り当てる。入庫車両10ENに対して仮駐車枠7を割り当てる処理を、以下、「仮割当処理」と呼ぶ。
【0052】
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、必要に応じて通路4の一部が仮駐車枠7として利用される。これにより、駐車場1の利用効率が向上する。
【0053】
4.車両位置制御処理
図7は、出庫車両10EXの出庫を説明するための概念図である。
図7に示される例では、出庫車両10EXは正規駐車枠5-Xに駐車されていた。出庫ルートREXは、出庫時の出庫車両10EXのルートであり、正規駐車枠5-Xから乗車エリア3へ向かう。出庫車両10EXに正規駐車枠5-Xが割り当てられていることは、車両管理情報170(位置情報)から得られる。よって、プロセッサ120は、駐車場地図情報150と車両管理情報170に基づいて、出庫車両10EXの出庫ルートREXを算出することができる。プロセッサ120は、出庫ルートREXに沿って出庫車両10EXを移動させる。すなわち、プロセッサ120は、出庫ルートREXに沿って移動するよう出庫車両10EXに指示する。出庫車両10EXは、出庫ルートREXに沿って正規駐車枠5-Xから乗車エリア3へ移動する。
【0054】
但し、出庫車両10EXの出庫ルートREX上の仮駐車枠7に車両10が駐車されている可能性もある。便宜上、仮駐車枠7に駐車されている車両10を、以下、「仮駐車車両10T」と呼ぶ。
図7に示される例では、出庫車両10EXの出庫ルートREX上の第1仮駐車枠7-Aに第1仮駐車車両10T-Aが駐車されている。このままでは、第1仮駐車枠7-Aの第1仮駐車車両10T-Aが、出庫車両10EXの出庫を妨げるおそれがある。
【0055】
そこで、本実施の形態によれば、プロセッサ120は、出庫車両10EXの出庫ルートREXを確保するために、駐車場1内の車両10の位置を適宜制御する。この処理を、以下、「車両位置制御処理」と呼ぶ。典型的には、プロセッサ120は、出庫車両10EXの出庫ルートREXを確保するために、仮駐車枠7に駐車されている仮駐車車両10Tの位置を制御する。車両位置制御処理は、上述の駐車場地図情報150及び車両管理情報170(車両10の位置情報)に基づいて行われる。
【0056】
以下、本実施の形態に係る車両位置制御処理の様々な例を説明する。
【0057】
4-1.第1の例
図8は、車両位置制御処理の第1の例を説明するための概念図である。
図7と重複する説明は適宜省略する。プロセッサ120は、駐車場地図情報150と車両管理情報170に基づいて、出庫車両10EXの出庫ルートREXを算出する。また、プロセッサ120は、出庫ルートREX、駐車場地図情報150、及び車両管理情報170に基づいて、出庫ルートREX上の第1仮駐車枠7-Aに駐車されている第1仮駐車車両10T-Aを特定する。第1仮駐車車両10T-Aが第1仮駐車枠7-Aに駐車されていることは、車両管理情報170(位置情報)から得られる。
【0058】
続いて、プロセッサ120は、出庫車両10EXの出庫を妨げないように第1仮駐車車両10T-Aを退避させるための「第1退避ルートREV-A」を決定する。そのような第1退避ルートREV-Aは、出庫ルートREX、駐車場地図情報150、及び車両管理情報170(位置情報)に基づいて決定可能である。
【0059】
図8に示される第1の例では、第1退避ルートREV-Aの目的地は、出庫ルートREX上に無い仮駐車枠7-Bである。すなわち、第1退避ルートREV-Aは、出庫ルートREX上の第1仮駐車枠7-Aから出庫ルートREX上に無い仮駐車枠7-Bへ向かう。プロセッサ120は、第1仮駐車車両10T-Aが第1仮駐車枠7-Aから仮駐車枠7-Bに移動するように第1退避ルートREV-Aを決定する。
【0060】
プロセッサ120は、第1仮駐車枠7-Aの代わりに仮駐車枠7-Bを新たに第1仮駐車車両10T-Aに割り当てる。そして、プロセッサ120は、第1退避ルートREV-Aに沿って第1仮駐車車両10T-Aを移動させる。すなわち、プロセッサ120は、第1退避ルートREV-Aに沿って移動するよう第1仮駐車車両10T-Aに指示する。第1仮駐車車両10T-Aは、第1退避ルートREV-Aに沿って第1仮駐車枠7-Aから仮駐車枠7-Bへ移動する。
【0061】
プロセッサ120は、出庫車両10EXに関する出庫処理と第1仮駐車車両10T-Aに関する車両位置制御処理を連動して実行する。ここで、出庫車両10EXと第1仮駐車車両10T-Aとが互いに干渉しない限りにおいて、出庫車両10EXの移動開始タイミングと第1仮駐車車両10T-Aの移動開始タイミングは任意である。例えば、第1仮駐車車両10T-Aが先に移動を開始し、出庫車両10EXが後に移動を開始してもよい。他の例として、第1仮駐車車両10T-Aと出庫車両10EXは同時に移動を開始してもよい。
【0062】
4-2.第2の例
図9は、車両位置制御処理の第2の例を説明するための概念図である。第2の例は、上述の第1の例の変形例である。第1の例と重複する説明は適宜省略する。
【0063】
第2の例では、第1退避ルートREV-Aの目的地は、元の第1仮駐車枠7-Aである。すなわち、プロセッサ120は、第1仮駐車車両10T-Aが第1仮駐車枠7-Aから移動して第1仮駐車枠7-Aに再び戻ってくるように第1退避ルートREV-Aを決定する。第1退避ルートREV-Aの目的地である第1仮駐車枠7-Aは出庫ルートREX上にあるが、第1仮駐車車両10T-Aが移動している最中に出庫車両10EXが第1仮駐車枠7-Aを通過すれば、第1仮駐車車両10T-Aと出庫車両10EXとの間で干渉が発生することはない。
【0064】
第2の例によれば、第1仮駐車車両10T-Aに割り当てる仮駐車枠7を変更する処理が不要となる。よって、プロセッサ120の処理負荷が軽減される。
【0065】
4-3.第3の例
図10は、車両位置制御処理の第3の例を説明するための概念図である。第3の例は、上述の第1の例の変形例である。第1の例と重複する説明は適宜省略する。
【0066】
出庫車両10EXが出庫すると、出庫車両10EXに割り当てられていた正規駐車枠5-Xが利用可能となる。第3の例では、第1退避ルートREV-Aの目的地は、出庫の結果利用可能となる正規駐車枠5-Xである。すなわち、第1退避ルートREV-Aは、第1仮駐車枠7-Aから正規駐車枠5-Xに向かうルートである。プロセッサ120は、第1仮駐車車両10T-Aが第1仮駐車枠7-Aから正規駐車枠5-Xに移動するように第1退避ルートREV-Aを決定する。
【0067】
プロセッサ120は、第1仮駐車枠7-Aの代わりに正規駐車枠5-Xを新たに第1仮駐車車両10T-Aに割り当てる。そして、プロセッサ120は、第1退避ルートREV-Aに沿って第1仮駐車車両10T-Aを移動させる。このとき、プロセッサ120は、出庫車両10EXが正規駐車枠5-Xから移動した後に第1仮駐車車両10T-Aが正規駐車枠5-Xに入るように、第1仮駐車車両10T-Aを第1退避ルートREV-Aに沿って移動させる。第1仮駐車車両10T-Aは、第1仮駐車枠7-Aから第1退避ルートREV-Aに沿って移動し、出庫車両10EXが正規駐車枠5-Xから移動した後に正規駐車枠5-Xに入る。
【0068】
第3の例によれば、仮駐車枠7に駐車される仮駐車車両10Tの数が減る。従って、その後に別の出庫車両10EXの出庫が妨げられる確率が低下する。その結果、車両位置制御処理の必要性も低下する。車両位置制御処理が抑制されると、車両位置制御処理に伴う燃料消費が削減され、また、プロセッサ120の処理負荷も軽減される。また、第3の例によれば、出庫車両10EXの出庫と第1仮駐車車両10T-Aの再配置を一括して行うことができ、効率的である。
【0069】
4-4.第4の例
図11は、車両位置制御処理の第4の例を説明するための概念図である。第4の例は、上述の第1の例の変形例である。第1の例と重複する説明は適宜省略する。
【0070】
第2仮駐車枠7-Bに第2仮駐車車両10T-Bが駐車されている。この第2仮駐車枠7-Bは、出庫車両10EXの出庫ルートREX上には位置しないが、第1仮駐車車両10T-Aの第1退避ルートREV-A上に位置している。よって、第2仮駐車車両10T-Bは、第1仮駐車車両10T-Aの退避を妨げるおそれがある。第1仮駐車車両10T-Aの退避が妨げられると、結果として、出庫車両10EXの出庫も妨げられる。出庫ルートREX上に存在しない第2仮駐車車両10T-Bは、出庫車両10EXの出庫を間接的に妨げていると言える。
【0071】
そこで、第4の例によれば、第1仮駐車車両10T-Aのスムーズな退避、引いては、出庫車両10EXのスムーズな出庫を実現するために、第2仮駐車車両10T-Bに関しても車両位置制御処理が実施される。
【0072】
より詳細には、プロセッサ120は、駐車場地図情報150と車両管理情報170に基づいて、出庫車両10EXの出庫ルートREX及び第1仮駐車車両10T-Aの第1退避ルートREV-Aを算出する。また、プロセッサ120は、第1退避ルートREV-A、駐車場地図情報150、及び車両管理情報170に基づいて、第1退避ルートREV-A上の第2仮駐車枠7-Bに駐車されている第2仮駐車車両10T-Bを特定する。第2仮駐車車両10T-Bが第2仮駐車枠7-Bに駐車されていることは、車両管理情報170(位置情報)から得られる。
【0073】
続いて、プロセッサ120は、第2仮駐車車両10T-Bを退避させるための「第2退避ルートREV-B」を決定する。この第2退避ルートREV-Bは、第1仮駐車車両10T-Aの退避を妨げず、且つ、出庫車両10EXの出庫を妨げないように決定される。そのような第2退避ルートREV-Bは、出庫ルートREX、第1退避ルートREV-A、駐車場地図情報150、及び車両管理情報170(位置情報)に基づいて決定可能である。
【0074】
図11に示される第4の例では、第2退避ルートREV-Bの目的地は、出庫ルートREX及び第1退避ルートREV-A上に無い仮駐車枠7-Cである。すなわち、第2退避ルートREV-Bは、第1退避ルートREV-A上の第2仮駐車枠7-Bから第1退避ルートREV-A上に無い仮駐車枠7-Cへ向かう。プロセッサ120は、第2仮駐車車両10T-Bが第2仮駐車枠7-Bから仮駐車枠7-Cに移動するように第2退避ルートREV-Bを決定する。
【0075】
プロセッサ120は、第2仮駐車枠7-Bの代わりに仮駐車枠7-Cを新たに第2仮駐車車両10T-Bに割り当てる。そして、プロセッサ120は、第2退避ルートREV-Bに沿って第2仮駐車車両10T-Bを移動させる。すなわち、プロセッサ120は、第2退避ルートREV-Bに沿って移動するよう第2仮駐車車両10T-Bに指示する。第2仮駐車車両10T-Bは、第2退避ルートREV-Bに沿って第2仮駐車枠7-Bから仮駐車枠7-Cへ移動する。
【0076】
プロセッサ120は、出庫車両10EXに関する出庫処理と第1仮駐車車両10T-A及び第2仮駐車車両10T-Bに関する車両位置制御処理を連動して実行する。ここで、出庫車両10EX、第1仮駐車車両10T-A、及び第2仮駐車車両10T-Bが互いに干渉しない限りにおいて、出庫車両10EXの移動開始タイミング、第1仮駐車車両10T-A及び第2仮駐車車両10T-Bの移動開始タイミングは任意である。例えば、第2仮駐車車両10T-Bが最初に移動を開始し、第1仮駐車車両10T-Aが次に移動を開始し、出庫車両10EXが最後に移動を開始してもよい。他の例として、第2仮駐車車両10T-B、第1仮駐車車両10T-A、及び出庫車両10EXは、同時に移動を開始してもよい。
【0077】
例えば、車両位置制御処理の第1の例と第4の例の組み合わせが可能である。
【0078】
4-5.第5の例
図12は、車両位置制御処理の第5の例を説明するための概念図である。第5の例は、上述の第4の例の変形例である。第4の例と重複する説明は適宜省略する。
【0079】
第5の例では、第2退避ルートREV-Bの目的地は、元の第2仮駐車枠7-Bである。すなわち、プロセッサ120は、第2仮駐車車両10T-Bが第2仮駐車枠7-Bから移動して第2仮駐車枠7-Bに再び戻ってくるように第2退避ルートREV-Bを決定する。第2退避ルートREV-Bの目的地である第2仮駐車枠7-Bは第1退避ルートREV-A上にあるが、第2仮駐車車両10T-Bが移動している最中に第1仮駐車車両10T-Aが第2仮駐車枠7-Bを通過すれば、第1仮駐車車両10T-Aと第2仮駐車車両10T-Bとの間で干渉が発生することはない。
【0080】
第5の例によれば、第2仮駐車車両10T-Bに割り当てる仮駐車枠7を変更する処理が不要となる。よって、プロセッサ120の処理負荷が軽減される。
【0081】
例えば、車両位置制御処理の第2の例と第5の例の組み合わせが可能である。また、車両位置制御処理の第3の例と第5の例の組み合わせも可能である。
【0082】
4-6.第6の例
図13は、車両位置制御処理の第6の例を説明するための概念図である。第6の例は、上述の第4の例の変形例である。第4の例と重複する説明は適宜省略する。
【0083】
出庫車両10EXが出庫すると、出庫車両10EXに割り当てられていた正規駐車枠5-Xが利用可能となる。第6の例では、第2退避ルートREV-Bの目的地は、出庫の結果利用可能となる正規駐車枠5-Xである。すなわち、第2退避ルートREV-Bは、第2仮駐車枠7-Bから正規駐車枠5-Xに向かうルートである。プロセッサ120は、第2仮駐車車両10T-Bが第2仮駐車枠7-Bから正規駐車枠5-Xに移動するように第2退避ルートREV-Bを決定する。
【0084】
プロセッサ120は、第2仮駐車枠7-Bの代わりに正規駐車枠5-Xを新たに第2仮駐車車両10T-Bに割り当てる。そして、プロセッサ120は、第2退避ルートREV-Bに沿って第2仮駐車車両10T-Bを移動させる。このとき、プロセッサ120は、出庫車両10EXが正規駐車枠5-Xから移動した後に第2仮駐車車両10T-Bが正規駐車枠5-Xに入るように、第2仮駐車車両10T-Bを第2退避ルートREV-Bに沿って移動させる。第2仮駐車車両10T-Bは、第2仮駐車枠7-Bから第2退避ルートREV-Bに沿って移動し、出庫車両10EXが正規駐車枠5-Xから移動した後に正規駐車枠5-Xに入る。
【0085】
第6の例によれば、仮駐車枠7に駐車される仮駐車車両10Tの数が減る。従って、その後に別の出庫車両10EXの出庫が妨げられる確率が低下する。その結果、車両位置制御処理の必要性も低下する。車両位置制御処理が抑制されると、車両位置制御処理に伴う燃料消費が削減され、また、プロセッサ120の処理負荷も軽減される。また、第6の例によれば、出庫車両10EXの出庫と第2仮駐車車両10T-Bの再配置を一括して行うことができ、効率的である。
【0086】
例えば、車両位置制御処理の第1の例と第6の例の組み合わせが可能である。また、車両位置制御処理の第2の例と第6の例の組み合わせも可能である。
【0087】
4-7.処理フロー
図14は、本実施の形態に係る車両位置制御処理に関連する処理を示すフローチャートである。
【0088】
ステップS110において、プロセッサ120は、駐車場地図情報150と車両管理情報170に基づいて、出庫車両10EXの出庫ルートREXを取得する。
【0089】
ステップS120において、プロセッサ120は、出庫ルートREX、駐車場地図情報150、及び車両管理情報170に基づいて、出庫ルートREX上に第1仮駐車車両10T-Aが存在するか否かを判定する。出庫ルートREX上に第1仮駐車車両10T-Aが存在する場合、すなわち、出庫ルートREX上の第1仮駐車枠7-Aに駐車されている第1仮駐車車両10T-Aが特定された場合(ステップS120;Yes)、処理は、ステップS130に進む。それ以外の場合(ステップS120;No)、処理は、ステップS170に進む。
【0090】
ステップS130において、プロセッサ120は、出庫車両10EXの出庫を妨げないように第1仮駐車車両10T-Aを退避させるための第1退避ルートREV-Aを決定する。そのような第1退避ルートREV-Aは、出庫ルートREX、駐車場地図情報150、及び車両管理情報170に基づいて決定可能である。
【0091】
ステップS140において、プロセッサ120は、第1退避ルートREV-A、駐車場地図情報150、及び車両管理情報170に基づいて、第1退避ルートREV-A上に第2仮駐車車両10T-Bが存在するか否かを判定する。第1退避ルートREV-A上に第2仮駐車車両10T-Bが存在する場合、すなわち、第1退避ルートREV-A上の第2仮駐車枠7-Bに駐車されている第2仮駐車車両10T-Bが特定された場合(ステップS140;Yes)、処理は、ステップS150に進む。それ以外の場合(ステップS140;No)、処理は、ステップS160に進む。
【0092】
ステップS150において、プロセッサ120は、第2仮駐車車両10T-Bを退避させるための第2退避ルートREV-Bを決定する。この第2退避ルートREV-Bは、第1仮駐車車両10T-Aの退避を妨げず、且つ、出庫車両10EXの出庫を妨げないように決定される。そのような第2退避ルートREV-Bは、出庫ルートREX、第1退避ルートREV-A、駐車場地図情報150、及び車両管理情報170に基づいて決定可能である。
【0093】
ステップS160において、プロセッサ120は、仮駐車車両10Tを退避ルートREVに沿って移動させる。つまり、プロセッサ120は、退避ルートREVに沿って移動するよう仮駐車車両10Tに指示する。
【0094】
ステップS170において、プロセッサ120は、出庫車両10EXを出庫ルートREXに沿って移動させる。つまり、プロセッサ120は、出庫ルートREXに沿って移動するよう出庫車両10EXに指示する。尚、出庫車両10EXと仮駐車車両10Tとの干渉が発生しない限りにおいて、ステップS160とステップS170のタイミングは任意である。
【0095】
4-8.効果
以上に説明されたように、出庫車両10EXが出庫する際、出庫車両10EXの出庫が妨げられないように仮駐車車両10Tが退避させられる。これにより、庫車両10EXの出庫ルートREXを確保し、出庫車両10EXをスムーズに出庫させることが可能となる。特に、出庫ルートREX上の第1仮駐車車両10T-Aだけでなく、出庫ルートREX上に位置しないが第1仮駐車車両10T-Aの第1退避ルートREV-A上に位置する第2仮駐車車両10T-Bも退避させることによって、出庫車両10EXの出庫ルートREXを効果的に確保することが可能となる。
【0096】
仮駐車車両10Tの退避ルートREVの目的地は、元の仮駐車枠7であってもよい。この場合、仮駐車車両10Tに割り当てる仮駐車枠7を変更する処理が不要となり、プロセッサ120の処理負荷が軽減される。
【0097】
仮駐車車両10Tの退避ルートREVの目的地は、出庫車両10EXに割り当てられていた正規駐車枠5-Xであってもよい。この場合、仮駐車枠7に駐車される仮駐車車両10Tの数が減るため、別の出庫車両10EXの出庫が妨げられる確率が低下する。車両位置制御処理が抑制されると、車両位置制御処理に伴う燃料消費が削減され、また、プロセッサ120の処理負荷も軽減される。
【0098】
5.仮割当処理
上述の通り、入庫車両10ENの入庫時、プロセッサ120は、駐車場1内の正規駐車枠5に空きが有るか否かを判定する。空きの正規駐車枠5が無い場合、プロセッサ120は、仮駐車枠7を入庫車両10ENに対して割り当てる「仮割当処理」を実行する。但し、無計画に仮駐車枠7が割り当てられると、通路4上の仮駐車枠7に駐車された仮駐車車両10Tが出庫車両10EXの出庫を妨げる確率が高くなる。言い換えれば、上述のセクション4において説明された車両位置制御処理が必要となる確率が高くなる。
【0099】
車両位置制御処理に伴う燃料消費の削減、及び、プロセッサ120の処理負荷の軽減、等の観点から言えば、車両位置制御処理を抑制することが望ましい。そこで、以下では、出庫車両10EXの出庫が妨げられる確率を低減させ、車両位置制御処理を抑制することを目的とした仮割当処理の工夫を説明する。
【0100】
5-1.車両位置制御処理の抑制
図15は、本実施の形態に係る仮割当処理の特徴を説明するための概念図である。プロセッサ120は、車両管理情報170に基づいて、正規駐車枠5に既に駐車されている駐車車両10Pの出庫予定時刻を取得する。
【0101】
図15に示される例において、3台の駐車車両10P-A、10P-B、及び10P-Cを考える。3台のうち、駐車車両10P-Aの出庫予定時刻が最も早く、駐車車両10P-Cの出庫予定時刻が最も遅いとする。出庫ルートREX-Aは、駐車車両10P-Aが出庫する際に想定される出庫ルートREXである。出庫ルートREX-Bは、駐車車両10P-Bが出庫する際に想定される出庫ルートREXである。出庫ルートREX-Cは、駐車車両10P-Cが出庫する際に想定される出庫ルートREXである。
【0102】
仮駐車枠7-Aは、少なくとも駐車車両10P-Aの出庫ルートREX-A上に存在する。仮駐車枠7-Bは、出庫ルートREX-A上には存在しないが、少なくとも駐車車両10P-Bの出庫ルートREX-B上に存在する。仮駐車枠7-Cは、出庫ルートREX-A、REX-B上には存在せず、駐車車両10P-Cの出庫ルートREX-C上に存在する。
【0103】
まず、入庫車両10ENに対して仮駐車枠7-Cが割り当てられ、入庫車両10ENが仮駐車枠7-Cに駐車される場合について考える。仮駐車枠7-Cに駐車された仮駐車車両10Tは、駐車車両10P-A、10P-Bの出庫を妨げない。また、駐車車両10P-Aあるいは10P-Bが出庫した後、正規駐車枠5が空く。駐車車両10P-Cは駐車車両10P-A、10P-Bの後に出庫する予定であるため、駐車車両10P-Cが出庫する前に、仮駐車枠7-Cに駐車された仮駐車車両10Tを空いた正規駐車枠5に再配置することもできる。仮駐車枠7-Cが空けば、駐車車両10P-Cの出庫が妨げられることもなくなる。このように、仮駐車枠7-Cを入庫車両10ENに対して割り当てることによって、駐車車両10Pの出庫が妨げられる確率を低減することが可能となる。
【0104】
次に、入庫車両10ENに対して仮駐車枠7-Aが割り当てられ、入庫車両10ENが仮駐車枠7-Aに駐車される場合について考える。この場合、仮駐車枠7-Aに駐車された仮駐車車両10Tは、駐車車両10P-Aの出庫を妨げる。駐車車両10P-Aの出庫予定時刻は早いため、それまでに正規駐車枠5が空く可能性も低く、仮駐車枠7-Cに駐車された仮駐車車両10Tを再配置することができる可能性も低い。このように、入庫車両10ENに対して仮駐車枠7-Aが割り当てられると、駐車車両10P-Aの出庫が妨げられる確率が高くなる。
【0105】
以上の観点から、プロセッサ120は、駐車車両10Pの出庫予定時刻と出庫ルートREXに基づいて、仮駐車枠7の優先順位を設定する。
図15に示される例では、駐車車両10P-Aの出庫予定時刻が最も早く、その出庫ルートREX-A上に存在する仮駐車枠7-Aの優先順位が最も低く設定される。逆に、出庫ルートREX-A上に存在しない仮駐車枠7-B、7-Cの優先順位は高く設定される。
【0106】
仮駐車枠7-B、7-Cの優先順位に関しては、次の通りである。駐車車両10P-Bの出庫予定時刻は比較的早く、その出庫ルートREX-B上に存在する仮駐車枠7-Bの優先順位は比較的低く設定される。逆に、出庫ルートREX-B上に存在しない仮駐車枠7-Cの優先順位は比較的高く設定される。つまり、優先順位は、仮駐車枠7-C、7-B、7-Aの順番となる。
【0107】
一般化すれば次の通りである。第1駐車車両10P-1の出庫予定時刻は、第2駐車車両10P-2の出庫予定時刻よりも早い。この場合、プロセッサ120は、第1駐車車両10P-1の出庫ルートREX-1上に存在しない仮駐車枠7を特定する。そして、プロセッサ120は、出庫ルートREX-1上に存在しない仮駐車枠7を優先的に入庫車両10ENに対して割り当てる。
【0108】
尚、「出庫ルートREX-1上に存在しない仮駐車枠7を優先的に割り当てる」とは、出庫ルートREX-1上に存在しない仮駐車枠7を必ず割り当てることを意味しない。もし、出庫ルートREX-1上に存在しない仮駐車枠7が一つも空いていなければ、出庫ルートREX-1上に存在する仮駐車枠7が割り当てられてもよい。
図15に示される例では、仮駐車枠7-Cが空いていれば、仮駐車枠7-Cが割り当てれる。仮駐車枠7-Cが空いていなければ、仮駐車枠7-Bが割り当てられる。仮駐車枠7-Cも7-Bも空いていなければ、仮駐車枠7-Aが割り当てられる。
【0109】
第1駐車車両10P-1の出庫ルートREX-1は、第1駐車車両10P-1が駐車されている正規駐車枠5と駐車場地図情報150に基づいて算出される。第1駐車車両10P-1が駐車されている正規駐車枠5は、車両管理情報170(位置情報)から得られる。また、出庫ルートREX-1上に存在しない仮駐車枠7は、出庫ルートREX-1と駐車場地図情報150に基づいて特定可能である。従って、プロセッサ120は、駐車場地図情報150と車両管理情報170に基づいて、第1駐車車両10P-1の出庫ルートREX-1上に存在しない仮駐車枠7を特定することができる。そして、プロセッサ120は、出庫ルートREX-1上に存在しない仮駐車枠7を優先的に入庫車両10ENに対して割り当てる。これにより、仮駐車枠7に駐車された仮駐車車両10Tによって出庫車両10EXの出庫が妨げられる確率を低減することが可能となる。
【0110】
5-2.出庫予定時刻の取得方法
次に、正規駐車枠5に駐車されている駐車車両10Pの出庫予定時刻を取得する方法の例について説明する。
【0111】
第1の例では、ユーザによって指定された出庫予定時刻が用いられる。具体的には、自動バレー駐車サービスの予約時、ユーザによって出庫予定時刻が指定される。プロセッサ120は、ユーザ端末200から送信された予約情報を受け取り、予約情報に含まれる出庫予定時刻を車両管理情報170に登録する。そして、プロセッサ120は、車両管理情報170から、ユーザによって指定された出庫予定時刻を取得する。
【0112】
第2の例では、駐車車両10Pが駐車場1に入庫した入庫時刻に基づいて出庫予定時刻が予想(推定)される。具体的には、入庫車両10ENの入庫が完了した後、プロセッサ120は、実際の入庫時刻を車両管理情報170に登録する。プロセッサ120は、駐車車両10Pの実際の入庫時刻を車両管理情報170から取得する。そして、プロセッサ120は、実際の入庫時刻が早いほど出庫予定時刻も早いと予想する。例えば、プロセッサ120は、実際の入庫時刻から一定時間後の時刻を出庫予定時刻として予想する。
【0113】
第3の例では、車両管理情報170に含まれる履歴情報が利用される。履歴情報は、駐車車両10Pの過去の入庫時刻及び出庫時刻の履歴を示す。プロセッサ120は、駐車車両10Pの出庫時刻の履歴に基づいて、出庫予定時刻を統計的に推定する。例えば、プロセッサ120は、過去の出庫時刻の平均値を出庫予定時刻として推定する。他の例として、プロセッサ120は、過去の出庫時刻の分散が閾値未満である場合に、過去の出庫時刻の平均値を出庫予定時刻として推定してもよい。第3の例は、通勤等において自動バレー駐車が利用され、毎日の出庫時刻がある程度決まっている場合に有効である。
【0114】
5-3.効果
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、仮駐車枠7を入庫車両10ENに割り当てる仮割当処理が特徴的な処理を含む。具体的には、正規駐車枠5に駐車されている駐車車両10Pの出庫予定時刻が取得される。第1駐車車両10P-1の出庫予定時刻が第2駐車車両10P-2の出庫予定時刻よりも早い場合、第1駐車車両10P-1の出庫ルートREX-1上に存在しない仮駐車枠7が優先的に入庫車両10ENに対して割り当てられる。つまり、出庫予定時刻が早い第1駐車車両10P-1の出庫ルートREX-1をなるべく避けるように、仮駐車枠7が入庫車両10ENに対して割り当てられる。
【0115】
これにより、仮駐車枠7に駐車された仮駐車車両10Tによって出庫車両10EXの出庫が妨げられる確率を低減することが可能となる。出庫車両10EXの出庫が妨げられる確率が低下するため、上記セクション4において説明された車両位置制御処理が必要となる確率も低下する。車両位置制御処理が抑制されると、車両位置制御処理に伴う燃料消費が削減され、また、プロセッサ120の処理負荷も軽減される。
【0116】
6.再割当処理
正規駐車枠5に駐車されていた駐車車両10Pが出庫すると、その正規駐車枠5が空く(利用可能となる)。仮駐車枠7が使用されている状態においていずれかの正規駐車枠5が空いた場合、プロセッサ120は、空いた正規駐車枠5をいずれかの車両10に対して新たに割り当ててもよい。この処理を、「再割当処理」あるいは「再配置処理」と呼ぶ。以下、再割当処理(再配置処理)の様々な例について説明する。
【0117】
6-1.第1の例
図16は、再割当処理の第1の例を説明するための概念図である。第1の例では、仮駐車枠7-Aに仮駐車車両10T-Aが駐車されている。その後、正規駐車枠5-Xが空く。プロセッサ120は、仮駐車枠7-Aに駐車されている仮駐車車両10T-Aに対して空いた正規駐車枠5-Xを新たに割り当てる。
【0118】
また、プロセッサ120は、仮駐車枠7-Aから正規駐車枠5-Xに移動するよう仮駐車車両10T-Aに指示する。例えば、プロセッサ120は、駐車場地図情報150に基づいて、仮駐車枠7-Aから正規駐車枠5-Xに向かう再配置ルートRELを生成する。そして、プロセッサ120は、再配置ルートRELに沿って移動するよう仮駐車車両10T-Aに指示する。仮駐車車両10T-Aは、再配置ルートRELに沿って仮駐車枠7-Aから正規駐車枠5-Xに移動する。
【0119】
第1の例によれば、仮駐車枠7に駐車される仮駐車車両10Tの数が減る。よって、仮駐車車両10Tによって出庫車両10EXの出庫が妨げられる確率が低減される。
【0120】
6-2.第2の例
図17は、再割当処理の第2の例を説明するための概念図である。第2の例では、第1仮駐車枠7-Aに第1仮駐車車両10T-Aが駐車されており、第2仮駐車枠7-Bに第2仮駐車車両10T-Bが駐車されている。その後、正規駐車枠5-Xが空く。
【0121】
プロセッサ120は、車両管理情報170に基づいて、第1仮駐車車両10T-A及び第2仮駐車車両10T-Bの各々の出庫予定時刻を取得する。出庫予定時刻の取得方法は、上記セクション5-2において説明された通りである。そして、プロセッサ120は、第1仮駐車車両10T-Aと第2仮駐車車両10T-Bのうち出庫予定時刻がより遅い方に対して正規駐車枠5-Xを割り当てる。
【0122】
例えば、第2仮駐車車両10T-Bの出庫予定時刻の方が遅い場合、プロセッサ120は、第2仮駐車車両10T-Bに対して正規駐車枠5-Xを割り当てる。そして、プロセッサ120は、仮駐車枠7-Bから正規駐車枠5-Xに移動するよう仮駐車車両10T-Bに指示する。例えば、プロセッサ120は、駐車場地図情報150に基づいて、仮駐車枠7-Bから正規駐車枠5-Xに向かう再配置ルートRELを生成する。そして、プロセッサ120は、再配置ルートRELに沿って移動するよう仮駐車車両10T-Bに指示する。仮駐車車両10T-Bは、再配置ルートRELに沿って仮駐車枠7-Bから正規駐車枠5-Xに移動する。
【0123】
第2の例によれば、仮駐車枠7に駐車される仮駐車車両10Tの数が減る。特に、出庫予定時刻がより遅い方の仮駐車車両10Tが消滅する。従って、仮駐車車両10Tによって出庫車両10EXの出庫が妨げられる確率が更に効果的に低減される。
【0124】
6-3.第3の例
図18は、再割当処理の第3の例を説明するための概念図である。第3の例では、仮駐車枠7-Aに仮駐車車両10T-Aが駐車されている。その後、正規駐車枠5-Xが空く。ほぼ同じタイミングにおいて、新たな入庫車両10ENが駐車場1に到着する。すなわち、正規駐車枠5-Xが空いた状態において、新たな入庫車両10ENと仮駐車車両10T-Aの両方が存在している。
【0125】
プロセッサ120は、車両管理情報170に基づいて、仮駐車車両10T-A及び入庫車両10ENの各々の出庫予定時刻を取得する。出庫予定時刻の取得方法は、上記セクション5-2において説明された通りである。そして、プロセッサ120は、仮駐車車両10T-Aと入庫車両10ENのうち出庫予定時刻がより遅い方に対して正規駐車枠5-Xを割り当てる。例えば、入庫車両10ENの出庫予定時刻の方が遅い場合、プロセッサ120は、入庫車両10ENに対して正規駐車枠5-Xを割り当てる。
【0126】
第3の例によれば、出庫予定時刻がより早い方の車両10が仮駐車枠7に駐車される仮駐車車両10Tとなる。出庫予定時刻が早い仮駐車車両10Tは比較的早く消滅することが期待される。よって、仮駐車車両10Tによって出庫車両10EXの出庫が妨げられる確率が低減される。
【符号の説明】
【0127】
1 駐車場
2 降車エリア(入庫エリア)
3 乗車エリア(出庫エリア)
4 通路
5 駐車枠(正規駐車枠)
6 マーカ
7 仮駐車枠
10 車両
10P 駐車車両
10T 仮駐車車両
10EN 入庫車両
10EX 出庫車両
100 自動バレー駐車(AVP)管理システム
110 通信装置
120 プロセッサ
130 記憶装置
140 管理プログラム
150 駐車場地図情報
160 駐車場利用情報
170 車両管理情報
200 ユーザ端末
REL 再配置ルート
REV 退避ルート
REX 出庫ルート