(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
F02D 45/00 20060101AFI20241119BHJP
F02D 19/06 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
F02D45/00 369
F02D19/06 Z
(21)【出願番号】P 2022146446
(22)【出願日】2022-09-14
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】高橋 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】関 康伸
(72)【発明者】
【氏名】長沼 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 和真
(72)【発明者】
【氏名】土橋 孝平
(72)【発明者】
【氏名】粟野 宏基
(72)【発明者】
【氏名】米川 紘輔
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-025410(JP,A)
【文献】特開2005-201068(JP,A)
【文献】特開2011-163157(JP,A)
【文献】特開2022-063487(JP,A)
【文献】特開2012-166784(JP,A)
【文献】特開2005-030369(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0000275(US,A1)
【文献】特開2021-148063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 13/00-45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の液体燃料を貯蔵可能なタンクと、
前記タンク内に貯蔵されている液体燃料が供給されて動作するエンジンと、
前記エンジンの動作を制御する制御部と、を備え、
前記複数種類の液体燃料のそれぞれを燃料として走行可能な車両であって、
前記タンク内に貯蔵されている液体燃料の比重を検出する比重検出手段と、
比重検出手段によって検出された比重に基づいて、前記タンク内に貯蔵されている液体燃料の種類を判別する燃料判別部と、
前記燃料判別部によって判別された前記液体燃料の種類と消費量とに基づいて、環境貢献度を評価する環境貢献度評価部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記燃料判別部の判別結果に基づいて、前記エンジンの動作を制御
し、
前記消費量は、前記制御部がインジェクタに要求する前記液体燃料の噴射量の積算値であり、
前記液体燃料の種類毎の単位消費量当たりの前記環境貢献度は、単位消費量当たりの二酸化炭素の排出量が少ない程、高く設定されている、
車両。
【請求項2】
前記複数種類の液体燃料は、二酸化炭素及び水素から合成される合成液体燃料、バイオ燃料、及びアンモニアのいずれかを含む、
請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記環境貢献度評価部によって評価された前記環境貢献度が高い程、当該車両のユーザに対してより多くのインセンティブを付与する、
請求項
1に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に関し、複数種類の液体燃料を貯蔵可能なタンクを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タンクに貯蔵されたガソリン及びエタノールの混合燃料におけるガソリン及びエタノールの濃度を検出する車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タンクに複数種類の液体燃料を貯蔵する場合、特許文献1に開示された技術では、ガソリン及びアルコール以外の燃料については、燃料の種類を判別できない問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、タンクに貯蔵された複数種類の液体燃料を判別可能な車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両は、
複数種類の液体燃料を貯蔵可能なタンクと、
前記タンク内に貯蔵されている液体燃料が供給されて動作するエンジンと、
前記エンジンの動作を制御する制御部と、を備え、
前記複数種類の液体燃料のそれぞれを燃料として走行可能な車両であって、
前記タンク内に貯蔵されている液体燃料の比重を検出する比重検出手段と、
比重検出手段によって検出された比重に基づいて、前記タンク内に貯蔵されている液体燃料の種類を判別する燃料判別部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記燃料判別部の判別結果に基づいて、前記エンジンの動作を制御するものである。
【0007】
本発明の一態様に係る車両では、タンク内に貯蔵されている液体燃料の比重を検出する比重検出手段によって検出された比重に基づいて、タンク内に貯蔵されている液体燃料の種類を判別する。そのため、タンク内に貯蔵されている液体燃料の種類に関わらず、当該液体燃料の種類を判別できる。
【0008】
前記複数種類の液体燃料は、二酸化炭素及び水素から合成される合成液体燃料、バイオ燃料、及びアンモニアのいずれかを含んでもよい。
【0009】
前記燃料判別部によって判別された前記液体燃料の種類と消費量とに基づいて、環境貢献度を評価する環境貢献度評価部をさらに備え、前記液体燃料の種類毎の単位消費量当たりの前記環境貢献度は、単位消費量当たりの二酸化炭素の排出量が少ない程、高く設定されていてもよい。
液体燃料の種類毎の単位消費量当たりの環境貢献度は、単位消費量当たりの二酸化炭素の排出量が少ない程、高く設定されているため、単位消費量当たりの二酸化炭素の排出量が少ない液体燃料の使用を促進できる。
【0010】
前記環境貢献度評価部によって評価された前記環境貢献度が高い程、当該車両のユーザに対してより多くのインセンティブを付与してもよい。単位消費量当たりの二酸化炭素の排出量が少ない液体燃料の消費量が増える程、環境貢献度がより高くなり、ユーザに対してより多くのインセンティブを付与するため、単位消費量当たりの二酸化炭素の排出量が少ない液体燃料の使用を促進できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、タンクに貯蔵された複数種類の液体燃料を判別可能な車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係る車両の構成を示すブロック図である。
【
図2】第2の実施形態に係る車両の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0014】
(第1の実施形態)
まず、
図1を参照して、第1の実施形態に係る車両の構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る車両の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る車両は、燃料タンク10、エンジン20、燃料判別部30、制御部40、及び比重センサSを備えている。
【0015】
また、車両は、燃料タンク10及びエンジン20を備えていれば、どのような車両でもよい。
例えば、車両は、エンジン自動車に限定されず、エンジンを備えたハイブリッド自動車でもよい。
【0016】
燃料タンク10は、複数種類の液体燃料を貯蔵できる。例えば、燃料タンク10は、ガソリン、二酸化炭素及び水素から合成される合成液体燃料、バイオ燃料、及びアンモニアのいずれか2種類以上を貯蔵できる。合成液体燃料、バイオ燃料、及びアンモニアは、ガソリンよりも、環境負荷の少ない燃料であり、カーボンニュートラル、脱炭素等に貢献できる。すなわち、合成液体燃料、バイオ燃料、及びアンモニアは、ガソリンよりも、環境貢献度が高いと言える。
【0017】
ここで、燃料タンク10に貯蔵可能な複数種類の液体燃料のそれぞれは、比重が異なる。
そのため、
図1に示すように、燃料タンク10には、燃料タンク10内に貯蔵されている液体燃料の比重を検出する比重センサSが設けられている。
なお、比重センサSに代えて、浮きと浮きの状態を撮像するカメラ等の比重検出手段を用いてもよい。
【0018】
エンジン20は、燃料タンク10内に貯蔵されている液体燃料が供給されて動作する。すなわち、車両は、燃料タンク10に貯蔵可能な複数種類の液体燃料のそれぞれを燃料として走行可能な車両である。
エンジン20は、例えば公知のガソリンエンジンと同様の構成を有している。エンジン20の燃焼室(不図示)において、液体燃料が燃焼し、ピストン(不図示)が往復運動することによって、車両が走行するための回転動力が生み出される。
【0019】
図1に示すように、エンジン20には、吸気管P21及び排気管P22が接続されている。吸気管P21には、スロットルバルブTVが設けられており、スロットルバルブTVを介して、空気がエンジン20に導入される。スロットルバルブTVとエンジン20との間の吸気管P21に、燃料タンク10からエンジン20に液体燃料を供給するための燃料供給管P10が接続されている。
【0020】
燃料供給管P10における吸気管P21との接続部の近傍には、インジェクタINJが設けられている。インジェクタINJから噴射された霧状の液体燃料が、吸気管P21を介して、空気と共に、エンジン20に導入される。空気と混合された液体燃料は、エンジン20の燃焼室(不図示)において燃焼し、排気管P22を介して排気ガスとして排出される。
【0021】
燃料判別部30は、比重センサSによって検出された比重に基づいて、燃料タンク10内に貯蔵されている液体燃料の種類を判別する。そのため、燃料タンク10内に貯蔵されている液体燃料の種類に関わらず、当該液体燃料の種類を判別できる。
なお、燃料判別部30は、制御部40に含まれていてもよい。
【0022】
制御部40は、例えばエンジンコントロールユニット(ECU:Engine Control Unit)であり、エンジン20の動作を制御する。例えば、
図1に示すように、制御部40は、スロットルバルブTVの開閉タイミング、開度、インジェクタINJからの液体燃料の噴射タイミング、噴射量等を制御し、エンジン20の動作を制御する。
また、制御部40は、燃料判別部30の判別結果に基づいて、すなわち液体燃料の種類毎にエンジン20の動作を制御する。
【0023】
図示しないが、燃料判別部30及び制御部40は、それぞれ例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算部と、各種プログラムやデータ等が格納されたRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶部と、を備えている。すなわち、燃料判別部30及び制御部40は、いずれもコンピュータとしての機能を有しており、上記各種プログラム等に基づいて判別処理や制御処理を実行する。
【0024】
以上に説明したように、本実施形態に係る車両では、燃料タンク10に設けられた比重センサSによって検出された比重に基づいて、燃料タンク10内に貯蔵されている液体燃料の種類を判別する。そのため、燃料タンク10内に貯蔵されている液体燃料の種類に関わらず、当該液体燃料の種類を判別できる。
【0025】
(第2の実施形態)
次に、
図2を参照して、第2の実施形態に係る車両の構成について説明する。
図2は、第2の実施形態に係る車両の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態に係る車両は、
図1に示す燃料タンク10、エンジン20、燃料判別部30、制御部40、及び比重センサSに加え、環境貢献度評価部50を備えている。
【0026】
図2に示すように、環境貢献度評価部50は、燃料判別部30によって判別された液体燃料の種類と消費量とに基づいて、環境貢献度を評価し、例えば車両内の表示装置(不図示)に出力する。ここで、液体燃料の消費量は、例えば、制御部40がインジェクタINJに要求する噴射量の積算値である。また、液体燃料の種類毎の単位消費量当たりの環境貢献度は、単位消費量当たりの二酸化炭素の排出量が少ない程、高く設定されていている。
【0027】
そのため、単位消費量当たりの二酸化炭素の排出量が少なく、環境負荷の少ない液体燃料の使用量が多い程、環境貢献度評価部50が出力するユーザの環境貢献度が高くなる。その結果、環境負荷の少ない液体燃料の使用を促進できる。
【0028】
図2に示すように、環境貢献度評価部50は、評価した環境貢献度が高い程、ユーザに対してより多くのインセンティブ(例えば、ポイント、キャッシュバック)を付与し、例えば、環境貢献度と共に車両内の表示装置(不図示)に出力する。インセンティブは、例えば、車両の修理や車両のパーツの購入等に利用できる。
【0029】
環境負荷の少ない液体燃料の消費量が増える程、環境貢献度がより高くなり、ユーザに対してより多くのインセンティブを付与するため、環境負荷の少ない液体燃料の使用を促進できる。
【0030】
なお、環境貢献度評価部50は、制御部40に含まれていてもよい。図示しないが、環境貢献度評価部50も、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算部と、各種プログラムやデータ等が格納されたRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶部と、を備えている。すなわち、環境貢献度評価部50は、コンピュータとしての機能を有しており、上記各種プログラム等に基づいて評価処理を実行する。
【0031】
また、環境貢献度及びインセンティブを環境貢献度評価部50から車両メーカのサーバ(不図示)に送信してもよい。車両メーカは、各ユーザの環境貢献度及びインセンティブを確認できる。ユーザは、例えば携帯通信端末(スマートフォン、タブレット端末)、PC(Personal Computer)等のユーザ端末から上記サーバにアクセスし、環境貢献度及びインセンティブを確認できる。
その他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
また、本発明は、環境負荷の少ない燃料の普及を促進し、カーボンニュートラル、脱炭素、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)に貢献するものである。
【符号の説明】
【0033】
10 燃料タンク
20 エンジン
30 燃料判別部
40 制御部
50 環境貢献度評価部
INJ インジェクタ
P10 燃料供給管
P21 吸気管
P22 排気管
S 比重センサ
TV スロットルバルブ