特許 7589725 車両

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-11-18

(45)【発行日】2024-11-26

(54)【発明の名称】車両

(51)【国際特許分類】

   B60R 16/04 20060101AFI20241119BHJP

   H02S 10/40 20140101ALI20241119BHJP

【ＦＩ】

B60R16/04 U

H02S10/40

【請求項の数】 1

(21)【出願番号】P 2022148020

(22)【出願日】2022-09-16

(65)【公開番号】P2024043045

(43)【公開日】2024-03-29

【審査請求日】2023-12-13

(73)【特許権者】

【識別番号】000003207

【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100103894

【弁理士】

【氏名又は名称】家入 健

(72)【発明者】

【氏名】増田 泰造

(72)【発明者】

【氏名】関 康伸

(72)【発明者】

【氏名】粟野 宏基

(72)【発明者】

【氏名】米川 紘輔

【審査官】池田 晃一

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１５－０７４２７０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１７－２０６１００（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１０－２１９３１８（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０２１－１５１１３５（ＪＰ，Ａ）

【文献】米国特許出願公開第２００９／０１６５８４１（ＵＳ，Ａ１）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６０Ｒ １６／０４

Ｂ６０Ｒ １６／０２ ； １６／０４

Ｈ０１Ｌ ３１／０４ － ３１／０６

Ｈ０２Ｓ １０／００ － １０／４０

Ｈ０２Ｓ ３０／００ － ９９／００

Ｈ１０Ｋ ３０／００ ； ３０／５０ － ３０／５７

Ｈ１０Ｋ ３９／００ － ３９／１８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

太陽電池パネルと、
車体の側面において前記太陽電池パネルを支持する支持部材と、
前記支持部材を移動させることによって、前記太陽電池パネルの表面の向きを変更可能に構成された駆動機構と、
制御装置と、を備えた車両であって、
前記駆動機構は、少なくとも、前記車体の横方向を向いている前記太陽電池パネルの表面の向きを、前記車体の上方を向くように変更可能に構成され、
前記制御装置は、前記車両が所定の停車領域に停車したことを検出した場合、前記駆動機構に、前記太陽電池パネルの表面の向きを前記車体の上方を向くように切り替えさせ、
前記制御装置は、前記太陽電池パネルの周辺に障害物があることを検出した場合、前記駆動機構に、前記太陽電池パネルの表面の向きの切り替えを停止させる、
車両。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、車両に関し、例えば車体の側面に太陽電池パネルが取り付けられた車両に関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１には、ルーフ、ボンネット、及びドア上に太陽電池パネルが取り付けられた車両が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２０２１－１５１１３５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

ドア等の車体の側面に設けられた太陽電池パネルにおける照度は、ルーフやボンネット等の車体の上面に設けられた太陽電池パネルにおける照度に比べ、小さい傾向にある。そのため、車体の側面に設けられた太陽電池パネルにおける発電量が少なくなるという問題があった。

【0005】

本開示は、このような事情に鑑みなされたものであって、車体の側面に設けられた太陽電池パネルにおける発電量を向上させた車両を提供する。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示に係る車両は、太陽電池パネルと、車体の側面において前記太陽電池パネルを支持する支持部材と、前記支持部材を移動させることによって、前記太陽電池パネルの表面の向きを変更可能に構成された駆動機構と、を備えた車両であって、前記駆動機構は、少なくとも、前記車体の横方向を向いている前記太陽電池パネルの表面の向きを、前記車体の上方を向くように変更可能に構成されている。この車両は、車体の側面に設けられた太陽電池パネルの表面の向きを、太陽光を受光しやすい車体の上方を向くように変更することができるため、車体の側面に設けられた太陽電池パネルの発電量を向上させることができる。

【発明の効果】

【0007】

本発明により、車体の側面に設けられた太陽電池パネルにおける発電量を向上させた車両を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】実施の形態１に係る車両の一例を示す斜視図である。

【図2】車体の側面に取り付けられた太陽電池パネル及びその周辺機構を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。

【0010】

＜実施の形態１＞
図１は、実施の形態１に係る車両１の一例を示す斜視図である。なお、当然のことながら、図１及び後述する図２に示した右手系ｘｙｚ直交座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。図１及び図２の例では、ｘ軸正方向が車両前側方向（すなわちｘ軸方向が車両前後方向）、ｙ軸方向が車幅方向、ｚ軸正方向が鉛直上向き方向（すなわちｚ軸方向が車高方向）を示している。

【0011】

図１に示すように、車両１は、車体に取り付けられた複数の太陽電池パネルを備える。具体的には、車両１は、車体の上面であるルーフ１ａ上に取り付けられた太陽電池パネル１０ａを備え、同じく車体の上面であるボンネット１ｂ上に取り付けられた太陽電池パネル１０ｂを備える。また、車両１は、車体の側面である一対のフロントドアＦＤ上に取り付けられた一対の太陽電池パネル２０ａを備え、同じく車体の側面である一対のリアドアＲＤ上に取り付けられた一対の太陽電池パネル２０ｂを備える。

【0012】

太陽電池パネル１０ａ、１０ｂ、２０ａ、２０ｂにおいて発電された電力は、車両１に設けられたバッテリ（不図示）に充電される。当該バッテリは、補機用のサブバッテリでも、走行用のメインバッテリでもよい。

【0013】

なお、車両１は、車体の側面に取り付けられた太陽電池パネルを少なくとも一つ備えていればよい。具体的には、車両１は、太陽電池パネル１０ａ、１０ｂ、２０ａ、２０ｂのうち、太陽電池パネル２０ａ，２０ｂの何れかを備えていればよい。また、車両１は、一対の太陽電池パネル２０ａの何れか一方のみを備えていてもよい。同様に、車両１は、一対の太陽電池パネル２０ｂの何れか一方のみを備えていてもよい。

【0014】

また、車両１は、車体の側面に取り付けられた太陽電池パネルを少なくとも一つ備えているのであれば、どのような種類の車両であってもよい。例えば、車両１は、電力によって駆動可能な電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車などに限定されず、エンジンで駆動可能なエンジン自動車でもよい。

【0015】

車両１において、車体の上面に取り付けられた太陽電池パネル１０ａ、１０ｂは、いずれも車幅方向（ｙ軸方向）及び車両前後方向（ｘ軸方向）に並設された複数の太陽電池セル１１を備えている。図１の例では、各太陽電池パネル１０ａ、１０ｂにおいて、複数の太陽電池セル１１が、マトリクス状に配置されている。また、車体の側面に取り付けられた太陽電池パネル２０ａ、２０ｂは、いずれも車両前後方向（ｘ軸方向）及び車高方向（ｚ軸方向）に並設された複数の太陽電池セル２１を備えている。図１の例では、各太陽電池パネル２０ａ、２０ｂにおいて、複数の太陽電池セル２１が、マトリクス状に配置されている。

【0016】

続いて、図２を用いて、車体の側面に取り付けられた太陽電池パネル及びその周辺機構を説明する。なお、図２には、代表して、車体の右側側面であるフロントドアＦＤ上に取り付けられた太陽電池パネル２０ａ及びその周辺機構が示されている。

【0017】

図２に示すように、車両１は、太陽電池パネル２０ａの周辺機構として、支持部材１０１と、回転軸１０２と、シリンダ１０３と、制御装置１０４と、を備える。回転軸１０２及びシリンダ１０３は、太陽電池パネル２０ａを駆動する駆動機構を構成している。

【0018】

支持部材１０１は、車体の右側側面であるフロントドアＦＤ上において太陽電池パネル２０ａを支持する板状の部材である。回転軸１０２は、板状の支持部材１０１の上辺に沿って設けられている。シリンダ１０３は、伸縮可能に構成され、板状の支持部材１０１の下辺部分とフロンドドアＦＤとの間に設けられている。

【0019】

例えば、制御装置１０４は、シリンダ１０３を伸ばすことにより、回転軸１０２を支軸にして支持部材１０１の下辺部分を持ち上げる。それにより、車体の横方向を向いている太陽電池パネル２０ａの表面（受光面）の向きが、太陽光を受光しやすい車体の上方を向くように変更される。それにより、車体の側面に設けられた太陽電池パネル２０ａの発電量が向上する。

【0020】

また、制御装置１０４は、シリンダ１０３を縮めることにより、回転軸１０２を支軸にして支持部材１０１の下辺部分を降ろす。それにより、車体の上方向を向いている太陽電池パネル２０ａの表面（受光面）の向きが、車体の横方向を向くように変更される。また、このとき、太陽電池パネル２０ａが車体の側面に沿って配置された状態となるため、車両１の走行の邪魔にならなくなる。

【0021】

例えば、制御装置１０４は、車両１に搭載された操作端末、及び、車両１の運転者が所持する携帯端末、の何れかから受信した指示に基づいて、太陽電池パネル２０ａの表面の向きを切り替える。制御装置１０４は、太陽電池パネル２０ａの表面の向きを瞬間的に切り替えてもよいし、段階的に切り替えてもよい。

【0022】

また、制御装置１０４は、車両１が所定の停車領域に停車したことを検出した場合に、太陽電池パネル２０ａの表面の向きを切り替えてもよい。また、制御装置１０４は、太陽電池パネル２０ａの周辺に障害物があることを検出した場合、太陽電池パネル２０ａの表面の向きの変更を停止させてもよい。

【0023】

なお、図２には、代表して、車体の右側側面であるフロントドアＦＤ上に取り付けられた太陽電池パネル２０ａ及びその周辺機構が示されているが、車体の側面に取り付けられたその他の太陽電池パネルに対しても同様の周辺機構が設けられていてもよい。また、駆動機構は、上記と同様の動作を実現可能な他の構成に変更可能である。

【0024】

以上のように、本実施の形態に係る車両１は、車体の側面に設けられた太陽電池パネルの表面の向きを、太陽光を受光しやすい車体の上方を向くように変更することができるため、車体の側面に設けられた太陽電池パネルの発電量を向上させることができる。

【0025】

本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本発明は、太陽光発電パネルの利用に関する発明であり、カーボンニュートラル、脱炭素、持続可能な開発目標(ＳＤＧｓ；Ｓｕｓｔａｉｎａｂｌｅ Ｄｅｖｅｌｏｐｍｅｎｔ Ｇｏａｌｓ）に貢献するものである。

【符号の説明】

【0026】

１ 車両
１ａ ルーフ
１ｂ ボンネット
１１ 太陽電池セル
２１ 太陽電池セル
１０ａ，１０ｂ 太陽電池パネル
２０ａ，２０ｂ 太陽電池パネル
１０１ 支持部材
１０２ 回転軸
１０３ シリンダ
１０４ 制御装置
ＦＤ フロントドア
ＲＤ リアドア

【図1】

【図2】