(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241119BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022508031
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(86)【国際出願番号】 JP2020028020
(87)【国際公開番号】W WO2021186755
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2023-05-25
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】古川 亮介
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-290571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービス享受端末に所定のサービスの提供が可能であるか否かを判定する情報処理装置において、
センサを備える複数の通信端末から収集される前記通信端末で検出されるセンサデータの欠損する時間に関する欠損時間毎の発生回数からなる欠損ヒストグラムと、
前記欠損ヒストグラムの測定に係る連続駆動時間とに基づいて、前記センサデータの欠損の程度を表す欠損値を生成し、前記欠損ヒストグラムと対応付けられる前記通信端末の端末情報
毎の、前記欠損値と、前記所定のサービスの提供を受ける上で前記通信端末が必要とする前記欠損値の所定の閾値との比較に基づいて、前記所定のサービスの提供が可能な端末情報を含むリストを生成するリスト生成部と、
前記所定のサービスの提供を要求するサービス享受端末から送付される、前記サービス享受端末の端末情報と前記所定のサービスの提供の要求に対して、前記リスト生成部において生成されるリストを参照して、前記サービス享受端末に対する前記所定のサービスの提供が可能であるか否かを判定する判定部と
を含む情報処理装置。
【請求項2】
前記欠損ヒストグラムは、前記通信端末の連続駆動時間を累積して加算した累積時間である累積連続駆動時間により前記欠損時間毎の発生回数を割ることで規格化された規格化欠損ヒストグラムである
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記リスト生成部は、前記規格化欠損ヒストグラムにおける、前記欠損時間毎の発生回数に、所定の重み係数を乗じた、総和を前記センサデータの欠損の程度を表す欠損値として算出する
請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定の重み係数は、前記欠損時間のうち、第1の所定時間よりも長く、前記第1の所定時間よりも長い第2の所定時間よりも短い、前記欠損時間のうち、運転状態の推定に与える影響の大きな範囲について、前記欠損時間が長くなるほど大きな係数である
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記所定の重み係数は、前記規格化欠損ヒストグラムと前記累積連続駆動時間とを教師データとして用いた機械学習により求められた係数である
請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記端末情報は、前記通信端末のメーカ、機種名、モデル名、センサ型式、OS名、およびOSバージョンの情報の少なくともいずれかを含む
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記所定のサービスは、前記通信端末を所持するユーザが、前記通信端末を所持した状態で車両を運転するときの前記通信端末の検出結果である運転状態に応じたサービスである
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記運転状態に応じたサービスは、前記ユーザが自動車保険の契約者であるときの、前記運転状態に応じた保険料の割引サービスである
請求項
7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記通信端末で検出されるデータは、前記通信端末に内蔵されるセンサにより検出されるデータであり、前記センサは、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、気圧センサ、マイクロフォン、光量センサ、人感センサ、および位置情報センサの少なくともいずれかを含む
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
サービス享受端末に所定のサービスの提供が可能であるか否かを判定する情報処理装置の情報処理方法であって、
センサを備える複数の通信端末から収集される前記通信端末で検出されるセンサデータの欠損する時間に関する欠損時間毎の発生回数からなる欠損ヒストグラムと、
前記欠損ヒストグラムの測定に係る連続駆動時間とに基づいて、前記センサデータの欠損の程度を表す欠損値を生成し、前記欠損ヒストグラムと対応付けられる前記通信端末の端末情報
毎の、前記欠損値と、前記所定のサービスの提供を受ける上で前記通信端末が必要とする前記欠損値の所定の閾値との比較に基づいて、前記所定のサービスの提供が可能な端末情報を含むリストを生成するリスト生成処理をすることと、
前記所定のサービスの提供を要求するサービス享受端末から送付される、前記サービス享受端末の端末情報と前記所定のサービスの提供の要求に対して、前記リスト生成処理において生成されるリストを参照して、前記サービス享受端末に対する前記所定のサービスの提供が可能であるか否かを判定する判定処理をすることと
を含む情報処理方法。
【請求項11】
前記欠損ヒストグラムは、前記通信端末の連続駆動時間の累積時間である累積
連続駆動時間により前記欠損時間毎の発生回数を割ることで規格化された規格化欠損ヒストグラムであり、
前記リスト生成処理は、前記規格化欠損ヒストグラムにおける、前記欠損時間毎の発生回数に、所定の重み係数を乗じた、総和を前記センサデータの欠損の程度を表す欠損値として算出し、
前記所定の重み係数は、前記規格化欠損ヒストグラムと前記累積連続駆動時間とを教師データとして用いた機械学習により求められた係数である
請求項
10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記端末情報は、前記通信端末のメーカ、機種名、モデル名、センサ型式、OS名、およびOSバージョンの情報の少なくともいずれかを含む
請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記所定のサービスは、前記通信端末を所持するユーザが、前記通信端末を所持した状態で車両を運転するときの前記通信端末の検出結果である運転状態に応じたサービスである
請求項
10に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記運転状態に応じたサービスは、前記ユーザが自動車保険の契約者であるときの、前記運転状態に応じた保険料の割引サービスである
請求項
13に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記通信端末で検出されるデータは、前記通信端末に内蔵されるセンサにより検出されるデータであり、前記センサは、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、気圧センサ、マイクロフォン、光量センサ、人感センサ、および位置情報センサの少なくともいずれかを含む
請求項
10に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置および情報処理方法に関し、特に、携帯端末を用いたサービスの提供に当たり、使用する携帯端末がサービス提供可能であるか否かを低コストで、かつ、高精度に判定できるようにした情報処理装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンに代表される携帯型の通信端末に搭載されたセンサの検出結果を用いることで、特定のサービスを提供する技術が提案されている。
【0003】
例えば、自動車保険会社が提供するサービスとして、保険契約者となる運転者が所持するスマートフォンに内蔵される各種のセンサにより運転者の運転中における状態(運転状態)を検出し、運転状態に応じた、保険料の割引サービスなどが挙げられる。
【0004】
すなわち、運転者である保険契約者が所持するスマートフォンのセンサの検出結果に基づいて、契約者である運転者の平素の運転が穏やかであることが認識される場合には、事故の発生率は通常より低いことが予想されるので、保険料を割り引くといったサービス等である。
【0005】
このようなサービス提供を実現させるための技術として、スマートフォンのような携帯端末に内蔵されたセンサの検出結果に基づいて、携帯端末を所持するユーザの行動パターンを分類する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、スマートフォンに代表される携帯端末には、無数のメーカ、機種、およびOSの種別等が存在し、それぞれに搭載されるセンサやプロセッサなどのハードウェアの構成が異なるため、適切に検出結果が取得できないことがある。
【0008】
例えば、プロセッサの処理能力が所定の処理能力よりも高い携帯端末である場合には、所定の周波数で検出結果を得られるが、プロセッサの処理能力が所定の処理能力よりも低い携帯端末の場合、所定の周波数で検出結果が得られず、欠損状態となることがある。
【0009】
この欠損状態が発生することにより、ユーザの行動パターンが適切に認識できず、例えば、保険料の割引サービスの場合、契約者の平素の運転は本来穏やかであるにも関わらず、契約者の平素の運転が適切に認識されないので、保険料の割引サービスが受けられない可能性がある。
【0010】
すなわち、ユーザが所持する携帯端末のメーカ、機種、およびOSの種別によっては、欠損状態が発生することがあり、携帯端末を所持するユーザの行動を認識するのに十分な検出結果が得られないので、適切なサービス提供が実現できない可能性がある。
【0011】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、特に、携帯端末を用いたサービスの提供に当たり、使用する携帯端末がサービス提供可能であるか否かを低コストで、かつ、高精度に判定するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一側面の情報処理装置は、サービス享受端末に所定のサービスの提供が可能であるか否かを判定する情報処理装置であって、センサを備える複数の通信端末から収集される前記通信端末で検出されるセンサデータの欠損する時間に関する欠損時間毎の発生回数からなる欠損ヒストグラムと、前記欠損ヒストグラムの測定に係る連続駆動時間とに基づいて、前記センサデータの欠損の程度を表す欠損値を生成し、前記欠損ヒストグラムと対応付けられる前記通信端末の端末情報毎の、前記欠損値と、前記所定のサービスの提供を受ける上で前記通信端末が必要とする前記欠損値の所定の閾値との比較に基づいて、前記所定のサービスの提供が可能な端末情報を含むリストを生成するリスト生成部と、前記所定のサービスの提供を要求するサービス享受端末から送付される、前記サービス享受端末の端末情報と前記所定のサービスの提供の要求に対して、前記リスト生成部において生成されるリストを参照して、前記サービス享受端末に対する前記所定のサービスの提供が可能であるか否かを判定する判定部とを含む情報処理装置である。
【0013】
本開示の一側面の情報処理方法は、サービス享受端末に所定のサービスの提供が可能であるか否かを判定する情報処理装置の情報処理方法であって、センサを備える複数の通信端末から収集される前記通信端末で検出されるセンサデータの欠損する時間に関する欠損時間毎の発生回数からなる欠損ヒストグラムと、前記欠損ヒストグラムの測定に係る連続駆動時間とに基づいて、前記センサデータの欠損の程度を表す欠損値を生成し、前記欠損ヒストグラムと対応付けられる前記通信端末の端末情報毎の、前記欠損値と、前記所定のサービスの提供を受ける上で前記通信端末が必要とする前記欠損値の所定の閾値との比較に基づいて、前記所定のサービスの提供が可能な端末情報を含むリストを生成するリスト生成処理をすることと、前記所定のサービスの提供を要求するサービス享受端末から送付される、前記サービス享受端末の端末情報と前記所定のサービスの提供の要求に対して、前記リスト生成処理において生成されるリストを参照して、前記サービス享受端末に対する前記所定のサービスの提供が可能であるか否かを判定する判定処理をすることとを含む情報処理方法である。
【0014】
本開示の一側面においては、センサを備える複数の通信端末から収集される前記通信端末で検出されるセンサデータの欠損する時間に関する欠損時間毎の発生回数からなる欠損ヒストグラムと、前記欠損ヒストグラムの測定に係る連続駆動時間とに基づいて、前記センサデータの欠損の程度を表す欠損値を生成し、前記欠損ヒストグラムと対応付けられる前記通信端末の端末情報毎の、前記欠損値と、前記所定のサービスの提供を受ける上で前記通信端末が必要とする前記欠損値の所定の閾値との比較に基づいて、前記所定のサービスの提供が可能な端末情報を含むリストが生成され、前記所定のサービスの提供を要求するサービス享受端末から送付される、前記サービス享受端末の端末情報と前記所定のサービスの提供の要求に対して、生成されるリストを参照して、前記サービス享受端末に対する前記所定のサービスの提供が可能であるか否かが判定される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】自動車保険の保険料の割引サービスを説明する図である。
【
図2】加速度センサによる検出結果の例を説明する図である。
【
図3】Forbidden信号を説明する図である。
【
図4】本開示の情報処理システムの構成例を説明する図である。
【
図5】データ収集端末の構成例を説明する図である。
【
図7】サービス享受端末の構成例を説明する図である。
【
図8】
図4の情報処理システムにより実現される機能を説明する図である。
【
図9】加速度センサによる検出結果の補間処理の例を説明する図である。
【
図10】許容欠損ヒストグラムを説明する図である。
【
図11】規格化許容欠損ヒストグラムと重み係数を説明する図である。
【
図14】ホワイトリスト生成処理を説明するフローチャートである。
【
図15】サービス提供処理を説明するフローチャートである。
【
図16】汎用のパーソナルコンピュータの構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
以下、本技術を実施するための形態について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.本開示の概要
2.好適な実施の形態
3.ソフトウェアにより実行させる例
【0018】
<<1.本開示の概要>>
本開示は、携帯端末を用いたサービスの提供に当たり、使用する携帯端末がサービス提供可能であるか否かを低コストで、かつ、高精度に判定するものである。
【0019】
ここで、携帯端末を用いて提供されるサービスの例として、自動車保険会社により提供される、保険契約者である運転者の携帯端末の各種センサで検出される検出結果に基づいて認識される運転者の運転パターンに応じた、保険料の割引サービスについて説明する。
【0020】
一般的な自動車保険の保険料については、一般的な事故の発生確率に基づいて設定されている。
【0021】
しかしながら、事故の発生確率については、保険契約者である運転者の運転パターン(運転の癖)により必ずしも同一ではない。
【0022】
すなわち、運転者の運転パターンから、平素の運転が交通ルールに厳格な運転である場合については、その運転者の事故の発生確率は、一般的な事故の発生確率よりも低いことが予想される。
【0023】
また、運転者の運転パターンから、平素の運転が交通ルールを逸脱してはいないが、急発進や急ブレーキなどが多い場合については、その運転者の事故の発生確率は、一般的な事故の発生確率よりも高いことが予想される。
【0024】
したがって、運転者の平素の運転パターンが、交通ルールに厳格な運転である場合については、一般的な事故の発生確率よりも低いことが予想されるので、一般的な保険料よりも安く設定されるべきである。
【0025】
自動車保険の保険料の割引サービスは、このような状況に鑑みて設定されたサービスであり、運転者の運転パターンを検出して、平素の運転が交通ルールに厳格な運転である場合については、一般的な事故の発生確率よりも低いことが予想されるので、その分を、一般的な保険料から、所定の金額だけ割引くサービスである。
【0026】
すなわち、
図1で示されるように、車両C2を所有し、平素の運転が交通ルールを逸脱してはいないが、急発進や急ブレーキなどが多い保険契約者である運転者H2については、一般的な保険料F2が徴収されるようにする。
【0027】
これに対して、車両C1を所有し、平素の運転において交通ルールが十分に順守されている保険契約者である運転者H1については、一般的な保険料F2から所定の金額分のキャッシュバックCBを行い、保険料F2に対して実質的に割引がなされた保険料F1にする。
【0028】
これが、自動車保険会社により提供される、運転者の携帯端末に内蔵される各種のセンサの検出結果を用いて提供される保険料の割引サービスである。
【0029】
ここで、自動車保険の保険料の割引サービスを実現するには、保険契約者である運転者の運転パターンを検出する必要がある。
【0030】
運転者の運転パターンを検出手法としては、専用の加速度センサを設ける、または、カーナビゲーションシステムにおける自己位置の変位から求める方法が考えられる。
【0031】
ここで、専用の加速度センサやカーナビゲーションシステムを用いるような場合、いずれも装置コストが高額になる上、カーナビゲーションシステムなどについては対象車種が限定されてしまう恐れがある。
【0032】
そこで、近年においては、スマートフォンなどの通信端末の普及が進んでいることから、各運転者が所有するスマートフォンを登録し、登録されたスマートフォンに設けられた加速度センサ、ジャイロセンサ、または、GPSセンサなどの各種センサの検出結果を利用することが提案されている。
【0033】
しかしながら、スマートフォンは、メーカ、機種、モデル、および搭載されるセンサの種別等のハードウェアの構成や、OS(Operating System)の種別やバージョン等が異なる場合があり、それぞれの条件に応じて、処理能力が異なるため、安定的に適切な検出結果が得られないことがある。
【0034】
例えば、スマートフォンに加速度センサが設けられており、50Hzで検出動作がなされる構成である場合、すなわち、0.02sec間隔で加速度が検出される構成である場合、
図2の左部で示されるような検出結果D1が得られることがある。
【0035】
検出結果D1においては、左側に上から順に検出時刻が示されており、右側に対応する時刻において検出された加速度が示されている。
【0036】
より詳細には、検出結果D1においては、上から、時刻4.997においては、加速度として0.071が検出され、時刻5.014において、加速度として0.016が検出され、時刻5.034において、加速度として0.029が検出され、時刻5.064において、加速度として0.048が検出されている。
【0037】
また、時刻5.074において、加速度として0.046が検出され、時刻3.508において、加速度として0.040が検出され、時刻3.529において、加速度として0.041が検出されている。
【0038】
さらに、時刻3.566において、加速度として0.046、および0.042が検出され、時刻3.588において、加速度として0.036が検出され、時刻3.606において、加速度として0.044が検出され、時刻3.641において、加速度として0.049が検出されている。
【0039】
ここで、点線で囲まれたデータT1においては、時刻5.074の次の時刻が、時刻3.508となり、0.02秒間隔になっていない。これは、例えば、時刻5.074の次のタイミングにおいて、GPSセンサが時刻情報を衛星からの信号に基づいて取得し直して補正したり、日本時刻を他の国の時刻に変更すること等に起因する、ずれである。
【0040】
この結果、データT1で示されるように、時刻5.074と時刻3.508との時間間隔が、0.02secではなく、1.4秒以上になってしまい、適切なデータとして扱うことができなくなる。
【0041】
また、点線で囲まれたデータT2においては、同一の時刻3.566において0.046と0.042との2つの加速度の検出結果が取得されている。
【0042】
これは、例えば、プロセッサの処理負荷が高くなり、メモリに蓄積された加速度の検出結果の読み出しが遅れて、同一のタイミングで、2つ出力してしまうこと等に起因するものである。
【0043】
この結果、データT2においても、適切なデータとして扱うことができなくなる。
【0044】
そこで、スマートフォンより出力されたデータは、例えば、
図2の中央部で示される検出結果D2のようにデータクレンジングがなされる。
【0045】
すなわち、検出結果D2においては、データT1における時刻間隔を0.02secにして以降の時刻が補正されることによりデータクレンジングがなされている。
【0046】
すなわち、データT1に対応する、点線で囲まれたデータT11においては、時刻5.074の次の時刻が、時刻3.508から時刻5.094とされて、0.02秒間隔にされており、以降においても、0.02秒間隔とされている。
【0047】
しかしながら、検出結果D2の場合においても、検出結果D1のデータT2に対応する、データT12においては、時刻5.135の次が時刻5.152となり、時間間隔が0.017とされ、また、時刻5.152の次が、データT13で示されるように、時刻5.174となり、時間間隔が0.022とされ、さらに、時刻5.174の次が時刻5.192となり、時間間隔が0.018とされており、時間間隔が0.02secに補正されていない。
【0048】
これは、OSを介して時刻情報を取得することにより生じるジッターに起因するずれである。
【0049】
そこで、検出結果D2は、さらに、時刻5.000を開始点として、0.02sec間隔となるように時刻情報を補正すると共に、対応する加速度を補間することにより、検出結果D3のようにデータクレンジングされる。
【0050】
このようにスマートフォンに設けられたセンサによる検出結果は、取得される時間間隔が、必ずしも適切できないことがあり、各種の補正が必要とされる。
【0051】
ところが、サービスや、サービスに応じて必要とされるアルゴリズムの中には、センサの検出結果を用いた処理はリアルタイムでの処理が必要とされるものもある。しかしながら、データクレンジングにより算出された値は、あくまで前後の情報から推定される推定値であり、特に、欠損期間が長時間に及ぶ場合、データクレンジングによって算出された推定値は信頼性の低い値である。このため、欠損期間が多発する機種の検出結果の使用は回避する必要がある。
【0052】
そこで、例えば、
図3で示されるような加速度の検出結果D11が得られる場合、時間間隔がずれてしまっているようなデータF1については、Forbidden信号が発生されるようにして、後段の処理においては使用されないようにしている。
【0053】
図3の検出結果D11においては、上から、時刻48.582においては、加速度として0.362846が検出され、時刻48.602において、加速度として0.254973が検出され、時刻48.622においては、加速度として0.333426が検出され、時刻48.642においては、加速度として0.1471が検出され、時刻48.663においては、加速度として0.353039が検出され、時刻48.684においては、加速度として0.05884が検出されている。
【0054】
また、時刻48.705においては、加速度として0.441299が検出され、時刻272.404においては、加速度として0.460913が検出され、時刻272.421においては、加速度として0.254973が検出され、時刻272.441においては、加速度として0.009807が検出され、時刻272.461においては、加速度として0.284393が検出され、時刻272.481においては、加速度として0.333426が検出されている。
【0055】
このうち、データF1においては、時刻48.705の次の時刻は、時刻272.404とされとり、時間間隔が0.02secとなっていない。このような場合、補間によりデータクレンジングは可能であるが、補間結果である以上、所定時間以上の欠損になると、データの信頼性が低下する。
【0056】
このため、このデータF1のように、データの欠損が生じた時間が所定時間よりも長い場合については、Forbidden信号を付与することで、処理に使用しないようにする。
【0057】
それでも、Forbidden信号が付与されたデータが所定の頻度以上発生すると、アプリケーションプログラムで適切な処理が実現できず、結果として、スマートフォンに設けられたセンサの検出結果を用いたサービスの提供を実現することができない。
【0058】
従って、アプリケーションプログラムがインストールされて、サービスの提供が要求されるタイミングで、Forbidden信号の発生頻度に基づいて、アプリケーションプログラムによるサービスの提供が可能なスマートフォンであるか否かを判定する必要がある。
【0059】
しかしながら、Forbidden信号の発生頻度は、所定の駆動時間において、計測する必要があるため、サービス提供が要求されたタイミングにおいて、即座に把握することはできない。
【0060】
そこで、本開示においては、スマートフォンのメーカ、機種、モデル、およびセンサの型番、並びにOSの種別やOSバージョンの組み合わせとなるクエリ毎に、所定時間よりも長いデータが欠損してしまうような欠損状態に基づいて事前にサービス提供が可能であるか否かを示す情報と共にリストとして登録しておき、サービスの提供が要求されるタイミングで、対応するクエリをリストから検索することで、サービスの提供が可能なスマートフォンであるか否かを判定する。
【0061】
これにより、ユーザによりサービスの提供が要求される際に、サービス提供可能なスマートフォンであるか否かを即座に、かつ高精度に判定し通知することが可能となる。
【0062】
結果として、サービスが提供される際には、ユーザの所持するスマートフォンに内蔵されるセンサの検出結果を適切に取得することが可能となるので、適切なサービスの提供を実現することが可能となる。
【0063】
また、サービスの提供が要求される際、スマートフォンの機種などに応じて適切なサービスの提供ができないときには、サービスを提供する前の段階で、適切なサービス提供ができないことを通知することができるので、スマートフォンのセンサによる検出結果が適切に取得できず、適切なサービスの提供できないといった事態を事前に抑制することが可能となる。
【0064】
さらに、スマートフォンのセンサによる検出結果が適切に取得できず、適切にサービス提供ができないことに起因するユーザからのクレームの発生を抑制することが可能となるので、サービス提供のクレーム対応に係るコストを低減することが可能となる。
【0065】
<<2.好適な実施の形態>>
<情報処理システムの構成例>
次に、
図4のブロック図を参照して、本開示の技術を適用した情報処理システムの構成例について説明する。
【0066】
図4の情報処理システム11は、自動車保険の保険料の割引サービスを提供する場合について説明するものとするが、携帯端末のセンサにより検出される情報に基づいて提供されるサービスであれば、他のサービスを提供する構成であってもよい。
【0067】
図4の情報処理システム11は、データ収集端末31-1乃至31-n、サーバ32、およびサービス享受端末33-1乃至33-mより構成され、データ収集端末31-1乃至31-n、サーバ32、およびサービス享受端末33-1乃至33-mは、インターネットに代表されるネットワーク34により電気的に接続されており、相互に通信可能な構成とされている。
【0068】
尚、データ収集端末31-1乃至31-nおよびサービス享受端末33-1乃至33-mについて、特に区別する必要がない場合、単にデータ収集端末31、およびサービス享受端末33と称する。
【0069】
また、データ収集端末31-1乃至31-n、およびサービス享受端末33-1乃至33-mは、基本的に同一の機能を備えた、いわゆるスマートフォンなどであって、メーカ、機種、モデル、およびセンサ型式、並びにOSの種別およびOSバージョンについては、それぞれ様々なものを含む携帯型の通信端末である。
【0070】
尚、本実施の形態においては、データ収集端末31は、上述した保険料の割引サービスの提供には使用されない通信端末であり、サービス享受端末33は、上述した保険料の割引サービスの提供に使用される通信端末であるものとする。
【0071】
データ収集端末31は、各種のセンサを内蔵しており、所持するユーザの行動、この例においては、所持するユーザが自動車を運転する際の運転パターン(運転状態)を認識するための各種の情報を検出する。
【0072】
データ収集端末31に内蔵されるセンサは、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、気圧センサ、マイクロフォン、光量センサ、人感センサ、および位置センサ(例えば、GPSセンサ)であるが、これに限定されるものではなく、その他のセンサをも含む。
【0073】
尚、本実施の形態においては、データ収集端末31は、運転者の運転状態を検出するため、加速度センサ、ジャイロセンサ、および位置センサを備えていることを前提として説明を進めるものとするが、これに限定されるものではない。
【0074】
データ収集端末31は、各種のセンサを用いて、所持するユーザが自動車を運転する際の運転状態を認識するのに用いられる各種の検出結果を、所定の時間間隔で検出し、上述したForbidden信号が検出されるときに生じるデータの欠損の程度を示す情報を生成する。
【0075】
より詳細には、データ収集端末31は、センサの検出結果におけるデータが欠損する時間である欠損時間と、欠損時間毎の発生回数とからなる許容欠損ヒストグラムを、データの欠損の程度を示す情報として求める。
【0076】
そして、データ収集端末31は、自らの製造元であるメーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンの情報からなる端末情報と許容欠損ヒストグラムとを対応付けて、許容欠損ヒストグラムの測定に係る連続駆動時間と共にサーバ32に出力する。
【0077】
サーバ32は、自動車保険会社により管理運営されるサーバコンピュータであり、ネットワーク34を介して、データ収集端末31-1乃至31-nより供給される許容欠損ヒストグラムおよび連続駆動時間を取得する。
【0078】
また、サーバ32は、許容欠損ヒストグラムおよび連続駆動時間と対応付けられているメーカ名、機種名、モデル名、および内蔵されるセンサの型番(以下、単にセンサ型番)、並びにOSの種別、およびOSバージョンの組み合わせ毎にクエリを形成し、許容欠損ヒストグラムおよび連続駆動時間と対応付けて蓄積する。
【0079】
さらに、サーバ32は、許容欠損ヒストグラムおよび連続駆動時間に基づいて、データの欠損の程度をスカラー化した許容欠損値を生成して、許容欠損値に基づいて、割引サービスを提供が可能か否かを判定し、クエリ毎の判定結果のリストをホワイトリストとして生成する。
【0080】
サービス享受端末33は、上述した自動車保険の保険契約者により携帯される携帯端末であり、自らの保険料の割引サービスの提供を要求するとき、サーバ32にアクセスして、自らのメーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンの情報と共に保険料の割引サービスの提供を要求する。
【0081】
サーバ32は、サービス享受端末33から保険料の割引サービスの提供が要求されるとき、供給されるサービス享受端末33のメーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンの情報の組み合わせに対応するクエリを、ホワイトリストから検索し、検索されたクエリに対応付けて登録されているサービス提供の可否の情報に基づいて、保険料の割引サービスの提供が可能であるか否かを判定する。
【0082】
保険料の割引サービスの提供を要求するサービス享受端末33のメーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンの情報の組み合わせに対応するクエリが、ホワイトリストに登録されており、割引サービスの提供が可能であるとの情報が登録されている場合、サーバ32は、保険料の割引サービスの提供が可能であるとみなし、サービス提供の要求を受け付けると共に、保険料の割引サービスの提供を要求してきたサービス享受端末33に対して、割引サービスの提供が可能である旨を通知する。
【0083】
サービスの提供が受け付けられると、サービス享受端末33は、内蔵する、加速度センサ、ジャイロセンサ、およびGPSセンサなどの、保険契約者であるユーザの運転状態を認識するための各種の検出結果を、所定の時間間隔で検出し、サーバ32に供給する。
【0084】
サーバ32は、サービス享受端末33より供給される検出結果に基づいて、サービス享受端末33を所持する保険契約者の運転状態を認識し、認識結果に応じた保険料の割引金額を計算し、キャッシュバックなどの保険料の割引サービスを提供する。
【0085】
このような場合、サービス享受端末33を所持する保険契約者は、運転状態に応じた保険料の割引サービスを享受することが可能となる。
【0086】
一方、保険料の割引サービスの提供を要求するサービス享受端末33のメーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンの情報の組み合わせに対応するクエリが、ホワイトリストから検索されない場合(、または、ホワイトリストから検索されたが、サービス提供不可との登録がなされている場合)、サーバ32は、保険料の割引サービスの提供を要求するサービス享受端末33より供給される検出結果から、保険契約者であるサービス享受端末33の所有者の運転状態を適切に検出することが不能であるとみなし、サービス提供の要求を受け付けず、保険料の割引サービスを提供することが不能であることを、サービス享受端末33に通知する。
【0087】
この場合、サービス享受端末33を所持する保険契約者は、運転状態に応じた保険料の割引サービスの提供を受けることが不能となる。
【0088】
すなわち、
図4の情報処理システム11の一連の処理により、複数のデータ収集端末31-1乃至31-nより供給される検出結果に基づいて、メーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンの組み合わせに対応するクエリ毎に許容欠損値が求められ、所定の許容欠損値よりも低く、すなわち、データ収集端末31-1乃至31-nのうち、保険契約者が運転の際に所持することで、適切に運転状態を検出することが可能な検出結果をサーバ32に供給することが可能なスマートフォンを特定するクエリがホワイトリストに登録される。
【0089】
これにより、割引サービスの提供が要求される際には、割引サービスの提供を要求するスマートフォンのメーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンの組み合わせに対応するクエリが、割引サービス提供可能なクエリとしてホワイトリストに登録されたものであるか否かに基づいて、割引サービスの提供が可能であるか否かが即座に判定される。
【0090】
結果として、
図4の情報処理システム11においては、複数のデータ収集端末31のそれぞれが、各種のセンサを内蔵しており、その検出結果におけるデータの欠損の程度を示す情報として許容欠損ヒストグラムを生成して、自らのメーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンからなる端末情報並びに連続駆動時間の情報と共にサーバ32に送信する。
【0091】
サーバ32は、データ収集端末31より供給されてくる許容欠損ヒストグラムと連続駆動時間とを、端末情報に対応するクエリ毎に統計的に処理して、許容欠損値を求め、許容欠損値と閾値との比較により、保険料の割引サービスを実現する上で必要な検出結果を取得可能な、メーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンからなる端末情報に対応するクエリを特定するホワイトリストを生成する。
【0092】
そして、サービス享受端末33より、割引サービスの提供が要求される場合、サーバ32は、割引サービスの提供が要求されたサービス享受端末33のメーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンからなる端末情報に対応するクエリを、ホワイトリストから検索し、サービス提供可能なクエリとして検索されるか否かに基づいて、サービス提供可能であるか否かを判定し、判定結果をサービス享受端末33に通知する。
【0093】
ここで、割引サービスの提供が可能なクエリとしてホワイトリストから検索された場合には、サービス享受端末33は、自らの検出結果に基づいて保険料の割引サービスの提供を受けることができる。
【0094】
すなわち、
図4の情報処理システム11においては、サーバ32により、データ収集端末31より供給される情報に基づいて、メーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンの情報の組み合わせからなる端末情報に対応するクエリ毎に、保険料の割引サービスの提供が可能であるか否かの判定結果を示すホワイトリストが事前に生成される。
【0095】
そして、サーバ32においては、サービス享受端末33により保険料の割引サービスの提供が要求されるとき、メーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンの情報の組み合わせからなる端末情報に対応するクエリが、事前に生成されたホワイトリストから検索されて、検索結果に基づいて、保険料の割引サービスの提供が可能であるか否かが判定される。
【0096】
これにより、保険料の割引サービスの提供を要求するサービス享受端末33により保険料の割引サービスの提供が要求されるときには、サーバ32により、ホワイトリストに基づいて、サービス享受端末33の端末情報が検索されることで、即座に保険料の割引サービス提供が可能か否かを判定することが可能となる。
【0097】
<デ―タ収集端末の構成例>
次に、
図5を参照して、データ収集端末31の構成例について説明する。
【0098】
データ収集端末31は、制御部51、入力部52、出力部53、記憶部54、通信部55、ドライブ56、およびリムーバブル記憶媒体57、並びに、センサ59-1乃至59-sより構成されており、相互にバス58を介して接続されており、データやプログラムを送受信することができる。
【0099】
制御部51は、プロセッサやメモリから構成されており、データ収集端末31の動作の全体を制御する。また、制御部51は、データ収集部71を備えている。
【0100】
データ収集部71は、データ収集端末31におけるセンサ59-1乃至59-sの検出結果を、検出時刻と対応付けて取得し、許容欠損ヒストグラムを求めると共に、連続駆動時間を検出する。
【0101】
そして、データ収集部71は、許容欠損ヒストグラムおよび連続駆動時間を、端末情報であるメーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンからなる端末情報と共にサーバ32に送信する。尚、許容欠損ヒストグラムの詳細については後述する。
【0102】
入力部52は、ユーザが操作コマンドを入力するキーボードやボタン、マウスなどの入力デバイスより構成され、入力された各種の信号を制御部51に供給する。
【0103】
出力部53は、制御部51により制御され、供給される操作画面や処理結果の画像を、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)などからなる表示デバイスに出力して表示する。
【0104】
記憶部54は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、または、半導体メモリなどからなり、制御部51により制御され、コンテンツデータを含む各種のデータおよびプログラムを書き込む、または、読み出す。
【0105】
通信部55は、制御部51により制御され、有線(または無線(図示せず))により、LAN(Local Area Network)などに代表される通信ネットワークを介して、各種の装置との間で各種のデータやプログラムを送受信する。
【0106】
ドライブ56は、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどのリムーバブル記憶媒体57に対してデータを読み書きする。
【0107】
センサ59-1乃至59-sは、内蔵される複数のセンサ群であり、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、気圧センサ、マイクロフォン、光量センサ、人感センサ、および位置センサ(例えば、GPSセンサ)等であり、各種の情報を検出して、制御部51に出力する。
【0108】
<サーバの構成例>
次に、
図6を参照して、サーバ32の構成例について説明する。
【0109】
サーバ32は、制御部91、入力部92、出力部93、記憶部94、通信部95、ドライブ96、およびリムーバブル記憶媒体97より構成されており、相互にバス98を介して接続されており、データやプログラムを送受信することができる。
【0110】
制御部91は、プロセッサやメモリから構成されており、サーバ32の動作の全体を制御する。また、制御部91は、データ収集部101、およびサービス提供部102を備えている。
【0111】
データ収集部101は、データ収集端末31から供給されてくる許容欠損ヒストグラムおよび連続駆動時間の情報を端末情報と対応付けて取得する。データ収集部101は、許容欠損ヒストグラムおよび連続駆動時間に基づいて、規格化許容欠損ヒストグラムを生成し、端末情報に応じたクエリと対応付けて、サービス提供部102に出力する。
【0112】
サービス提供部102は、データ収集部101より供給される規格化許容欠損ヒストグラムに基づいて、許容欠損値を求め、許容欠損値の閾値との比較により、割引サービスの提供の可否を判定し、判定結果と端末情報に対応するクエリとからなるホワイトリスト111を生成して記憶する。
【0113】
また、サービス提供部102は、サービス享受端末33より端末情報と共に割引サービスの提供の要求があると、端末情報に対応するクエリをホワイトリストより検索し、割引サービスの提供が可能なクエリとしてホワイトリストに登録されているか否かに基づいて割引サービスの提供が可能か否かを判定し、判定結果をサービス享受端末33に通知する。
【0114】
割引サービスの提供が可能な場合、サービス提供部102は、データ収集部101より通知される各種の検出結果に基づいて、運転状態を認識して、認識結果に応じた、保険料の割引サービスを提供する。
【0115】
入力部92は、ユーザが操作コマンドを入力するキーボード、マウスなどの入力デバイスより構成され、入力された各種の信号を制御部91に供給する。
【0116】
出力部93は、制御部91により制御され、供給される操作画面や処理結果の画像を、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)などからなる表示デバイスに出力して表示する。
【0117】
記憶部94は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、または、半導体メモリなどからなり、制御部91により制御され、コンテンツデータを含む各種のデータおよびプログラムを書き込む、または、読み出す。
【0118】
通信部95は、制御部91により制御され、有線(または無線(図示せず))により、LAN(Local Area Network)などに代表される通信ネットワークを介して、各種の装置との間で各種のデータやプログラムを送受信する。
【0119】
ドライブ96は、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどのリムーバブル記憶媒体97に対してデータを読み書きする。
【0120】
<サービス享受端末の構成例>
次に、
図7を参照して、サービス享受端末33の構成例について説明する。
【0121】
サービス享受端末33は、制御部121、入力部122、出力部123、記憶部124、通信部125、ドライブ126、およびリムーバブル記憶媒体127、並びに、センサ129-1乃至129-tより構成されており、相互にバス128を介して接続されており、データやプログラムを送受信することができる。
【0122】
尚、サービス享受端末33の構成は、基本的にデ―タ収集端末31と同様であり、制御部121、入力部122、出力部123、記憶部124、通信部125、ドライブ126、およびリムーバブル記憶媒体127、並びに、センサ129-1乃至129-tは、それぞれ、制御部51、入力部52、出力部53、記憶部54、通信部55、ドライブ56、およびリムーバブル記憶媒体57、並びに、センサ59-1乃至59-sと対応するので、詳細な説明は省略する。
【0123】
ただし、制御部121においては、制御部51おけるデータ収集部71に代えて、サービス要求部131を備えている。
【0124】
サービス要求部131は、サービス享受端末33におけるセンサ129-1乃至129-tの検出結果を、検出時刻と対応付けて取得し、サーバ32に供給して、検出結果に基づいた割引サービスの提供を享受する。
【0125】
この割引サービスの提供を享受するにあたり、サービス要求部131は、端末情報を取得して、サーバ32に対してサービス提供を要求する。サーバ32においては、端末情報に基づいてサービス提供が可能であるか否かが判定されて、サービス提供の可否に係る情報が通知されるので、サービス要求部131は、サービス提供が可能であると通知されるとき、保険料の割引サービスの提供を受けることが可能となる。
【0126】
<情報処理システムにより実現される機能>
次に、
図8を参照して、
図4の情報処理システム11により実現される機能について説明する。
【0127】
情報処理システム11を構成するデータ収集端末31におけるデータ収集部71は、端末情報収集部141、および許容欠損ヒストグラム生成部142を備えている。
【0128】
端末情報収集部141は、データ収集端末31の製造元であるメーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンからなる端末情報を収集して、許容欠損ヒストグラム生成部142に供給する。
【0129】
許容欠損ヒストグラム生成部142は、データ収集端末31に内蔵される各種のセンサ59が駆動することにより検出される検出結果を検出時の時刻情報と対応付けて取得し、取得した情報に基づいて、センサ59毎のデータの欠損時間毎の発生回数からなる許容欠損ヒストグラムを生成する。
【0130】
ここで、許容欠損ヒストグラムを説明するにあたり、例えば、センサ59より
図9の左部で示される検出結果D51が取得される場合について考える。
【0131】
検出結果D51は、左部において、センサ59のセンサ値が検出される時刻が示されており、右部において、対応する時刻において検出されたセンサ値が示されている。
【0132】
図9の検出結果D51においては、50Hzで駆動するセンサ59により、上から順に、時刻4.997において、センサ値0.071が検出され、時刻5.014において、センサ値0.016が検出され、時刻5.034において、センサ値0.029が検出され、時刻5.054において、センサ値0.048が検出され、時刻5.074において、センサ値0.040が検出され、時刻5.212において、センサ値0.048が検出され、時刻5.242において、センサ値0.036が検出されていることが示されている。
【0133】
許容欠損ヒストグラム生成部142は、この検出結果D51を、例えば、線形補間、バイキュービック補間、およびベジェ補間等の一般的な補間アルゴリズムを用いたクレンジング処理により、例えば、
図9の右部の検出結果D52で示されるように補正する。
【0134】
図9の検出結果D52においては、センサ59により、時刻5.000において、センサ値0.061が検出され、時刻5.020において、センサ値0.020が検出され、時刻5.040において、センサ値0.033が検出され、時刻5.060において、センサ値0.046が検出されている。
【0135】
また、時刻5.080において、センサ値0.040が検出され、時刻5.100において、センサ値0.041が検出され、時刻5.120において、センサ値0.042が検出され、時刻5.140において、センサ値0.043が検出され、時刻5.160において、センサ値0.044が検出され、時刻5.180において、センサ値0.045が検出され、時刻5.200において、センサ値0.046が検出され、時刻5.220において、センサ値0.047が検出され、時刻5.240において、センサ値0.036が検出されていることが示されている。
【0136】
センサ59が50Hzで駆動しているので、理論的には、0.02秒毎にデータが検出されるはずであるが、検出結果D51の時刻5.074乃至5.121に対応する、検出結果D52の時刻5.080乃至5.220の検出結果である、図中の点線で囲まれたデータT111は検出されておらず、欠損が発生していること(欠損状態となっていること)が示されている。
【0137】
すなわち、
図9の場合、許容欠損ヒストグラム生成部142は、時刻5.080乃至5.220の0.140秒間を、データの欠損時間として算出する。
【0138】
許容欠損ヒストグラム生成部142は、センサ59の検出結果に基づいて、
図9で示されるような欠損時間と、対応する欠損の発生回数とから、
図10で示されるようなヒストグラムを、許容欠損ヒストグラムとして生成し、端末情報と併せてサーバ32に出力する。すなわち、許容欠損ヒストグラムとは、
図9で示されるような欠損時間毎に発生する欠損の発生回数を示すヒストグラムである。
【0139】
尚、
図10においては、横軸が欠損時間であり、縦軸が発生回数からなる許容欠損ヒストグラムの例が示されている。
【0140】
さらに、許容欠損ヒストグラム生成部142は、
図10で示されるような許容欠損ヒストグラムを生成すると共に、許容欠損ヒストグラムを生成する検出結果を取得し続けた時間を連続駆動時間として検出し、許容欠損ヒストグラムと共に、端末情報と併せてサーバ32に出力する。連続駆動時間は、例えば、対応するセンサ59を駆動させるアプリケーションが起動した時刻から、終了するまでの時刻などでもよいし、データ収集端末31が起動してから停止するまでの時刻でもよい。
【0141】
サーバ32のデータ収集部101は、規格化許容ヒストグラム生成部151、およびクエリ生成部152を備えている。
【0142】
規格化許容欠損ヒストグラム生成部151は、端末情報毎に、データ収集端末31より送信されてくる許容欠損ヒストグラムと、連続駆動時間とに基づいて、規格化許容欠損ヒストグラムを生成する。
【0143】
より詳細には、規格化許容欠損ヒストグラム生成部151は、同一の端末情報の連続駆動時間を累積して加算し、累積連続駆動時間を生成する。
【0144】
また、規格化許容欠損ヒストグラム生成部151は、データ収集端末31より送信されてくる、同一の端末情報の許容欠損ヒストグラムにおける各欠損時間における発生回数を、累積連続駆動時間により割って、端末情報毎の、統計的な単位時間当たりの許容欠損ヒストグラムを、規格化許容欠損ヒストグラムとして算出する。
【0145】
クエリ生成部152は、データ収集端末31より送信されてくる許容欠損ヒストグラムに対応付けられた端末情報である、メーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンの情報の組み合わせの識別するクエリを生成して、生成したクエリを規格化許容欠損ヒストグラム生成部151に出力する。
【0146】
尚、クエリは、メーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンの組み合わせを構成する端末情報のいずれかを縮退した情報から構成されるようにしてもよい。
【0147】
例えば、端末情報が、メーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンの組み合わせより構成されている場合、このうちのメーカ名と機種名とからクエリを構成してもよいし、メーカ名のみ、機種名のみ、およびセンサ型番のみのそれぞれでクエリを構成してもよい。
【0148】
さらに、端末情報として、データ収集端末31のメーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョン以外の情報として、例えば、センサ59の個別のメーカ名の情報を含めるようにして、センサ59のメーカ名毎にクエリを構成するようにしてもよい。
【0149】
そして、規格化許容欠損ヒストグラム151は、クエリ生成部152により供給される端末情報に応じて生成されるクエリを、生成した規格化許容欠損ヒストグラム、および累積連続駆動時間と対応付けてサービス提供部102に出力する。
【0150】
ここでは、規格化容量欠損ヒストグラムは、クエリ毎の、単位時間当たりに発生するセンサ59の検出結果の欠損時間の発生回数を示すものとなる。
【0151】
サービス提供部102は、許容欠損値生成部171、ホワイトリスト生成部172、ホワイトリスト記憶部173、およびサービス提供処理部174を備えている。
【0152】
許容欠損値生成部171は、規格化許容欠損ヒストグラムおよび累積連続駆動時間に基づいて、許容欠損値を算出して、クエリと対応付けてホワイトリスト生成部172に出力する。
【0153】
より詳細には、許容欠損値生成部171は、累積連続駆動時間が統計的に十分な精度を保証できる程度の長さとみなせる所定時間以上の規格化許容欠損ヒストグラムに対して、検出結果を処理する上での欠損時間毎の重要度に応じた重み係数wiを設定し、欠損時間の発生回数xiとの積和を許容欠損値Sとして、以下の式(1)として算出することにより求める。
【0154】
【0155】
ここで、式(1)においては、iは、欠損時間(または、欠損時間の識別子)を、Sは、許容欠損値を、wiは、欠損時間iの重み係数を、xiは、欠損時間iの発生回数を、それぞれ表している。
【0156】
また、重み係数wiは、例えば、
図11の規格化許容欠損ヒストグラムにおける各欠損時間iに対して、直線Lwで示されるような値として設定されるものである。尚、
図11においては、太い実線により重み係数wiの変化が欠損時間iに応じた連続変量として表現されているが、正確には、重み係数wiは、欠損時間i毎に設定される離散変量であるので、ここでは、離散変量である重み係数wiの値を直線的に結んだ場合の欠損時間に応じた変化が直線Lwにより表現されている。
【0157】
すなわち、
図11の直線Lwにおいては、所定の欠損時間(
図11においては、i=7)より短い欠損時間については高精度に補間が可能であることから影響が小さいため、運転状態の推定に与える影響は小さいと考えらえるので、重み係数wiが0に設定されている。
【0158】
また、所定の欠損時間(
図11においては、i=7)よりも長く、所定の欠損時間(
図11においては、i=31)よりも短い欠損時間については、欠損時間の長さに応じて、運転状態の推定に与える影響は高くなるものと考えられるので、欠損時間の長さに応じた重み係数wiが設定されている。
【0159】
さらに、所定の欠損時間(
図11においては、i=31)よりも長い欠損時間については、発生回数が小さいことから運転状態の推定に与える影響は小さいと考えられるので、重み係数wiが0に設定されている。
【0160】
すなわち、このように求められる許容欠損値は、欠損時間うち、運転状態の推定に与える影響の大きな欠損時間の発生回数に対して、大きな重み係数wiが乗算されて加算されることになるので、許容欠損値が大きい程、サービスの提供に必要とされるセンサの検出結果は欠損状態になり易く、割引サービスの提供には不適な通信端末であることを表す。
【0161】
逆に、許容欠損値が小さい程、運転状態の推定に与える影響は小さくなるので、割引サービスの提供に必要とされるセンサの検出結果は、欠損状態になり難く、割引サービスの提供に適した通信端末であることを表す。
【0162】
尚、式(1)に代表される演算は、行列情報をスカラー化する演算であるため、非線形な行列演算を適用するようにしてもよい。
【0163】
また、重み係数wiは、提供されるサービスを運用する中で得られたサービス提供可能な端末と、サービス提供不能な端末とのそれぞれの端末における規格化許容欠損ヒストグラムと累積連続駆動時間とを教師データとして用い、ベイズ深層学習や、ニューラルネットワーク等の機械学習モデルを適用させて決定させるようにしてもよい。
【0164】
ホワイトリスト生成部172は、クエリ毎に求められた許容欠損値とサービス提供可能な許容欠損値の閾値との比較により、サービス提供可能なクエリと、サービス提供不能なクエリとを対応付けて、ホワイトリスト111として登録し、ホワイトリスト記憶部173に記憶させる。
【0165】
例えば、
図12で示されるように、クエリaの許容欠損値Sa、クエリbの許容欠損値Sb、およびクエリcの許容欠損値Scが求められ、許容欠損値Sc>Sb>Saであるような場合、許容欠損値Sbよりも大きく許容欠損値Scよりも小さな閾値Sthが設定されるときについて考える。
【0166】
このようなとき、ホワイトリスト生成部172は、閾値Sthよりも小さな許容欠損値Sa,Sbのクエリa,bについては、サービス提供可能な端末としてホワイトリスト111に登録する。
【0167】
また、ホワイトリスト生成部172は、閾値Sthよりも大きな許容欠損値Scのクエリcについては、サービス提供不能な端末としてホワイトリスト111に登録する。
【0168】
尚、
図12においては、許容欠損値Sの軸状に、左から順にクエリaの許容欠損値Sa、クエリbの許容欠損値Sb、閾値Sth、およびクエリcの許容欠損値Scが記載されており、閾値Sthよりも小さな許容欠損値Sa,Sbのクエリa,bで表現される通信端末がサービス提供可能とみなされ、閾値Sthよりも大きな許容欠損値Scのクエリcで表現される通信端末がサービス提供不能とみなされていることが表されている。
【0169】
ホワイトリスト111は、例えば、
図13で示されるような構成とされる。
【0170】
すなわち、
図13のホワイトリスト111の最上段においては、
図12に対応するクエリaのデータ収集端末31のメーカ名がAであり、機種名がQであり、OSの種別がOS12であり、OSバージョンがOS12.1であり、サービス提供が可能であることを示す「OK」が登録されている。
【0171】
また、
図13のホワイトリスト111の上から2段目においては、
図12に対応するクエリbのデータ収集端末31のメーカ名がBであり、機種名がRであり、OSの種別がOS11であり、OSバージョンがOS11.0であり、サービス提供が可能であることを示す「OK」が登録されている。
【0172】
さらに、
図13のホワイトリスト111の上から3段目においては、
図12に対応するクエリcのデータ収集端末31のメーカ名がCであり、機種名がSであり、OSの種別がOS12であり、OSバージョンがOS12.1であり、サービス提供が不能であることを示す「NG」が登録されている。
【0173】
尚、ホワイトリスト111には、割引サービスの提供が可能なクエリだけを登録するようにしてもよい。また、ホワイトリスト111に代えて、割引サービスの提供が不能なクエリだけを登録するようにした、いわゆる、ブラックリストを構成するようにしてもよい。さらに、ユーザが、サービス提供可能端末であることが分かっている端末であれば、規格化許容欠損ヒストグラムとは無関係に、ホワイトリスト111にクエリを追加して登録できるようにしたり、登録したクエリを削除できるようにしてもよい。
【0174】
また、
図13においては、ホワイトリスト111に登録される情報として、クエリ毎にメーカ名、機種名、OSの種別、およびOSのバージョンが登録される例について示されているが、メーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンのうちの少なくともいずれかが登録されるようにすればよいし、これ以外の情報が登録されてもよい。
【0175】
サービス提供処理部174は、サービス享受端末33より端末情報と共に供給されるサービス提供の要求を受け付けると共に、ホワイトリスト記憶部173に記憶されているホワイトリスト111にアクセスし、端末情報に対応するクエリを検索して、サービス提供可能であるか否かを判定する。
【0176】
サービス提供処理部174は、サービス提供可能であるか否かの判定結果を、サービス提供を要求してきたサービス享受端末33に対して通知する。
【0177】
そして、サービス提供処理部174は、サービス提供可能なサービス享受端末33に対しては、サービス享受端末33のセンサ129により検出される検出結果に基づいて、サービスを提供する。すなわち、ここでは、サービス提供処理部174は、サービス提供可能なサービス享受端末33に対しては、サービス享受端末33のセンサ129により検出される検出結果に基づいて運転状態を推定し、運転状態に応じた、保険料の割引サービスを提供する。
【0178】
サービス享受端末33のサービス要求部131は、サービス要求処理部191、および端末情報収集部192を備えている。
【0179】
サービス要求処理部191は、例えば、ユーザにより入力部122が操作されるなどして、割引サービスの提供をサーバ32に対して要求するように指示されると、端末情報収集部192を制御して、自らの端末情報を収集させる。
【0180】
端末情報収集部192は、データ収集端末31の端末情報収集部141と同様の構成であり、サービス享受端末33のメーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンの組み合わせの情報からなる端末情報を収集してサービス要求処理部191に供給する。
【0181】
サービス要求処理部191は、自らの端末情報と共に、割引サービスの提供をサーバ32に対して要求する。
【0182】
サービス要求処理部191は、サーバ32よりサービス提供の可否についての通知を受信する。
【0183】
このとき、サービス提供が可能である場合については、以降において、サービス要求処理部191は、センサ129の検出結果を順次サーバ32に送信する。
【0184】
サーバ32は、サービス提供可能なサービス享受端末33より送信されてくるセンサ129の検出結果に基づいて、サービスを提供する。
【0185】
すなわち、例えば、自動車保険の場合、保険契約者である運転者が保持するサービス享受端末33のセンサ129により検出される加速度、角速度、および位置情報に基づいて、運転者の運転状態を分析し、事故の発生率が所定値より低くなるような場合には、保険料を割り引く、保険料割引サービスを提供する。
【0186】
一方、サービス提供が不能である場合については、サービス提供が要求されるタイミングにおいて、即座にサービス提供が不能である旨を保険契約者に通知することが可能となる。これにより、サービス提供が不能なサービス享受端末33を所持しており、物理的に適切なサービス提供が不能な状態にも拘わらず、サービス提供の要求を受け付けるようなことを回避することが可能となる。
【0187】
尚、以上においては、重み係数を用いて許容欠損値を用いて予めホワイトリストを生成し、サービス提供可能な端末であるか否かを判定する例について説明してきたが、教師データや、検出結果のデータセットが十分に揃っている場合には、機械学習モデルを使用して、サービス提供可能であるか否かの結果を直接算出するモデルを学習するようにしてもよい。
【0188】
<ホワイトリスト生成処理>
次に、
図14のフローチャートを参照して、
図8の情報処理システム11によるホワイトリスト生成処理について説明する。
【0189】
ステップS11において、端末情報収集部141は、データ収集端末31のメーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンの組み合わせからなる端末情報を収集し、許容欠損ヒストグラム生成部142に出力する。
【0190】
ステップS12において、許容欠損ヒストグラム生成部142は、センサ59よりセンサ値が検出結果として供給されたか否かを判定する。
【0191】
ステップS12において、センサ59よりセンサ値が検出結果として供給された場合、処理は、ステップS13に進む。
【0192】
ステップS13において、許容欠損ヒストグラム生成部142は、検出結果を検出時刻の情報と共に記憶する。
【0193】
ステップS14において、許容欠損ヒストグラム生成部142は、許容欠損ヒストグラムを生成するタイミングになっているか否かを判定する。
【0194】
ここで、許容欠損ヒストグラムを生成するタイミングとは、例えば、所定時間よりも長く動作が停止したタイミングや、例えば、所定の時間が経過したか否かであってもよい。
【0195】
ステップS14において、許容欠損ヒストグラムが生成されるタイミングではないものとみなされた場合、処理は、ステップS18に進む。
【0196】
ステップS18において、許容欠損ヒストグラム生成部142は、データ収集端末31の動作の終了、すなわち、電源オフなどの操作がなされたか否かを判定し、終了が指示された場合、処理は、終了する。
【0197】
一方、ステップS18において、動作の終了が指示されていない場合、処理は、ステップS12に戻る。
【0198】
すなわち、動作の終了が指示されない限り、許容欠損ヒストグラムが生成されるタイミングとみなされるまで、ステップS12,S13,S18の処理が繰り返されて、センサ59のセンサ値が検出される度に、検出結果と検出時刻とが記憶される。
【0199】
ステップS14において、許容欠損ヒストグラムが生成されるタイミングにみなされる場合、処理は、ステップS15に進む。
【0200】
ステップS15において、許容欠損ヒストグラム生成部142は、記憶している検出結果と時刻情報に基づいて、許容欠損ヒストグラムを生成する。
【0201】
より詳細には、許容欠損ヒストグラム生成部142は、記憶している検出結果を補間アルゴリズム等によりクレンジングし、クレンジングした検出結果に基づいて、欠損時間毎に、欠損状態が発生した発生回数を求めて、許容欠損ヒストグラムを生成する。
【0202】
ステップS16において、許容欠損ヒストグラム生成部142は、直前の許容欠損ヒストグラムを生成したタイミングから現在の許容欠損ヒストグラムを生成するまでの時間を連続駆動時間として求める。
【0203】
ステップS17において、許容欠損ヒストグラム生成部142は、通信部55を制御して、許容欠損ヒストグラムおよび連続駆動時間の情報を、端末情報と共に、サーバ32に送信する。
【0204】
ステップS31において、データ収集部101の規格化許容欠損ヒストグラム生成部151は、通信部95を制御して、データ収集端末31より、許容欠損ヒストグラムおよび連続駆動時間の情報が端末情報と共に送信されてきたか否かを判定する。
【0205】
ステップS31において、許容欠損ヒストグラムおよび連続駆動時間の情報が端末情報と共に送信されてきた場合、処理は、ステップS38に進む。
【0206】
ステップS38において、規格化許容欠損ヒストグラム生成部151は、動作の停止が指示されたか否かを判定し、動作の停止が指示された場合、処理は、終了する。
【0207】
また、ステップS38において、動作の停止が指示されていない場合、処理は、ステップS31に戻り、以降の処理が繰り返される。
【0208】
すなわち、許容欠損ヒストグラムおよび連続駆動時間の情報が端末情報と共に送信されない場合、動作の停止が指示されるまで、ステップS31,S38の処理が繰り返される。
【0209】
ステップS31において、データ収集端末31より、許容欠損ヒストグラムおよび連続駆動時間の情報が端末情報と共に送信されてきた場合、処理は、ステップS32に進む。
【0210】
ステップS32において、規格化許容欠損ヒストグラム生成部151は、通信部95を制御して、データ収集端末31より送信されてきた、許容欠損ヒストグラムおよび連続駆動時間の情報を、端末情報と共に受信する。このとき、クエリ生成部152は、送信されてきた端末情報を取得する。
【0211】
ステップS33において、クエリ生成部152は、許容欠損ヒストグラムおよび連続駆動時間の情報を送信してきた、データ収集端末31の端末情報に基づいて、クエリを生成して、規格化許容欠損ヒストグラム生成部151に出力する。
【0212】
ステップS34において、規格化許容欠損ヒストグラム生成部151は、連続駆動時間を累積し、累積連続駆動時間を算出する。
【0213】
ステップS35において、規格化許容欠損ヒストグラム生成部151は、許容欠損ヒストグラムおよび累積連続駆動時間の情報に基づいて、規格化許容欠損ヒストグラムを生成し、サービス提供部102の許容欠損値生成部171に出力する。
【0214】
より詳細には、規格化許容欠損ヒストグラム生成部151は、累積連続駆動時間により許容欠損ヒストグラムを割ることにより、単位時間当たりの許容欠損ヒストグラムを、規格化許容欠損ヒストグラムとして求め、クエリと共にサービス提供部102の許容欠損値生成部171に出力する。
【0215】
ステップS36において、サービス提供部102の許容欠損値生成部171は、規格化許容欠損ヒストグラムに基づいて、許容欠損値を算出し、クエリと共にホワイトリスト生成部172に出力する。
【0216】
より詳細には、許容欠損値生成部171は、式(1)で示されるように、規格化許容欠損ヒストグラムの欠損時間毎の発生回数に対して、重み係数を乗じて、和を求めることにより許容欠損値を算出する。
【0217】
ステップS37において、ホワイトリスト生成部172は、許容欠損値をサービス提供可能な閾値と比較して、比較結果とクエリとなる情報である端末情報とを対応付けてホワイトリスト111に登録し、ホワイトリスト記憶部173に記憶させ、処理は、ステップS38に進む。
【0218】
すなわち、以上の処理により、データ収集端末31において、端末情報と許容欠損ヒストグラムおよび連続駆動時間の情報が生成されて、サーバ32に送信される。
【0219】
また、サーバ32においては、端末情報に基づいて、クエリが生成されると共に、連続駆動時間が累積されて、累積連続駆動時間が生成され、許容欠損ヒストグラムにおける欠損時間毎の発生回数が累積連続駆動時間により割られることにより、単位時間当たりの許容欠損ヒストグラムが規格化許容欠損ヒストグラムとして生成される。
【0220】
そして、規格化許容欠損ヒストグラムに基づいて、重み係数を用いた積和が許容欠損値として求められ、閾値との比較により、サービス提供が可能であるか否かが判定されて、ホワイトリスト111に登録される。
【0221】
結果として、サービス提供が要求される際、ホワイトリスト111に基づいて、サービス提供可能であるか否かを即座に判定することが可能となる。
【0222】
<サービス提供処理>
次に、
図15のフローチャートを参照して、
図8の情報処理システム11による、サービス提供処理について説明する。
【0223】
ステップS51において、サービス享受端末33におけるサービス要求部131のサービス要求処理部191は、入力部122がユーザにより操作されるなどして、サービス提供が要求されたか否かを判定し、要求されるまで、同様の処理を繰り返す。
【0224】
すなわち、ここでいうサービス提供とは、例えば、自動車保険における運転状態に応じた保険料の割引サービスの提供である。
【0225】
ステップS51において、入力部122がユーザにより操作されるなどして、サービス提供が要求されたと判定された場合、処理は、ステップS52に進む。
【0226】
ステップS52において、サービス要求処理部191は、端末情報収集部192を制御して端末情報を収集させる。
【0227】
ステップS53において、サービス要求処理部191は、通信部125を制御して、サーバ32に対して、端末情報と共に、サービス提供の要求を通知する。
【0228】
ステップS71において、サーバ32におけるサービス提供部102のサービス提供処理部174は、通信部95を制御して、サービス享受端末33より端末情報と共に、サービス提供の要求があったか否かを判定し、要求があるまで、同様の処理を繰り返す。
【0229】
ステップS71において、サービス享受端末33より端末情報と共に、サービス提供の要求があったと判定された場合、処理は、ステップS72に進む。
【0230】
ステップS72において、サービス提供処理部174は、通信部95を制御して、サービス享受端末33からのサービス提供の要求と共に、端末情報を取得する。そして、サービス提供処理部174は、ホワイトリスト記憶部173にアクセスし、取得した端末情報に基づいて、対応するクエリを、ホワイトリスト111内において検索する。
【0231】
ステップS73において、サービス提供処理部174は、サービス提供を要求してきたサービス享受端末33の端末情報に対応するクエリが、サービス提供可能な端末としてホワイトリスト111に登録されているか否かを判定する。
【0232】
ステップS73において、サービス提供を要求してきたサービス享受端末33の端末情報に対応するクエリが、サービス提供可能な端末としてホワイトリスト111に登録されていると判定された場合、処理は、ステップS74に進む。
【0233】
ステップS74において、サービス提供処理部174は、サービス提供可能と判定し、通信部95を制御して、サービス提供を要求してきたサービス享受端末33に対して、サービス提供が可能であることを通知する。
【0234】
そして、以降において、サービス提供処理部174は、通信部95を制御して、サービス享受端末33のセンサ129の検出結果に基づいたサービスを提供する。
【0235】
また、ステップS73において、サービス提供を要求してきたサービス享受端末33の端末情報に対応するクエリが、サービス提供不能な端末としてホワイトリスト111に登録されていると判定された場合、処理は、ステップS75に進む。
【0236】
ステップS75において、サービス提供処理部174は、サービス提供不能と判定し、通信部95を制御して、サービス提供を要求してきたサービス享受端末33に対して、サービス提供が不能であることを通知する。
【0237】
ステップS54において、サービス享受端末33のサービス要求部131のサービス要求処理部191は、通信部125を制御して、サーバ32より送信されてくる通知を受信する。
【0238】
ステップS55において、サービス要求処理部191は、受信した通知がサービス提供可能であるか否かを判定する。
【0239】
ステップS55において、サービス提供可能であることを示す通知であるとみなされた場合、処理は、ステップS56に進む。
【0240】
ステップS56において、サービス要求処理部191は、通信部125を制御して、センサ129により検出される検出結果をサーバ32に通知して、検出結果に基づいて提供されるサービスを受ける。
【0241】
以上の処理により、サービス提供の可否を示す情報がクエリ(端末情報)に対応付けてホワイトリストとして予め登録されているので、サービス提供の要求があるときには、サービス提供を要求するサービス享受端末33のメーカ名、機種名、モデル名、およびセンサ型番、並びにOSの種別、およびOSバージョンの組み合わせからなる端末情報に対応するクエリに基づいて、サービス提供可能か否かを判定することが可能となる。
【0242】
これにより、携帯端末を用いたサービスの提供に当たり、使用する携帯端末がサービス提供可能であるか否かを低コストで、かつ、高精度に判定が可能となる。
【0243】
結果として、サービスが提供される際には、ユーザの所持するスマートフォンに内蔵されるセンサの検出結果を適切に取得することが可能となるので、適切なサービスの提供を実現することが可能となる。
【0244】
また、サービスの提供が要求される際、スマートフォンの機種などに応じて適切なサービスの提供ができないときには、サービスを提供する前の段階で、適切なサービス提供ができないことを通知することができるので、スマートフォンのセンサによる検出結果が適切に取得できず、適切なサービスの提供できないといった事態を事前に抑制することが可能となる。
【0245】
さらに、スマートフォンのセンサによる検出結果が適切に取得できず、適切にサービス提供ができないことに起因するユーザからのクレームの発生を抑制することが可能となるので、サービス提供のクレーム対応に係るコストを低減することが可能となる。
【0246】
尚、ホワイトリスト111は、データ収集端末31から許容欠損ヒストグラムと連続駆動時間の情報が端末情報と共に送られて続ける限り、更新され続けることになるので、例えば、データ収集端末31に新たな機種が登場しても、新たなクエリにより登録されることになり、新規機種に対しても適切に対応することが可能となる。
【0247】
さらに、ホワイトリスト111は、時間の経過と共に更新され続けるので、経年劣化により欠損状態が発生するようになり、発売当初はサービスの提供が可能であっても、時間の経過と共に、サービス提供が不能となるような場合にも適切に反映させることが可能となる。
【0248】
ただし、この場合、一度サービス提供を受け付けたサービス享受端末33に対しては、定期的に、端末情報に基づいて、ホワイトリスト111を検索することで、サービス提供が不能となっていないか、確認する処理が必要となる。
【0249】
また、以上においては、自動車保険における保険契約者が所持するスマートフォンに内蔵されるセンサの検出結果を用いて、保険契約者である運転者の運転パターンを認識し、認識された運転パターンに応じた保険料の割引サービスを提供する例について説明してきた。
【0250】
しかしながら、本開示の技術は、センサの継続的な検出結果を用いた処理であれば、上記の保険料の割引サービスを提供する技術のみならず、その他の技術に適用するようにしてもよく、例えば、スマートフォンを所持したユーザの毎日の歩行距離や運動量を検出して、運動不足であるか否かを提示するようなサービスを提供する技術に適用してもよい。
【0251】
さらに、スマートフォンとサーバからなる情報処理システムに代えて、例えば、継続的に稼働する機器の振動を継続的に検出する振動センサを備えるような振動検出装置とサーバからなる情報処理システムに適用してもよい。
【0252】
この場合、振動検出装置が、機器の振動を継続的に検出し、サーバに送信することで、サーバにおいて、機器の異常振動が検出された時には、機器を所有するオーナなどの通信端末に通知するようなサービスを提供する技術に適用するようにしてもよい。
【0253】
このサービスの提供にあたって、事前に振動検出装置毎の検出結果からサービス提供可能な振動検出装置のクエリをホワイトリストとしてサーバが生成しておき、サービスの提供が要求された時には、対応するクエリをホワイトリストから検索することで、即座にサービス提供可能であるか否かを判定することが可能となる。
【0254】
また、許容欠損値は、通信端末の欠損状態に対する信頼度とみなすことができるので、サービス提供にあたって、許容欠損値の閾値を高くすることで、信頼性を調整することが可能となる。
【0255】
例えば、許容欠損値の閾値を高くすることで、信頼性の高いサービス提供を実現することが可能となる。
【0256】
また、許容欠損値の閾値を低くすることで、信頼性はやや犠牲になるが、サービスの提供が可能となる通信端末を増やすようなサービスを実現することが可能となる。
【0257】
さらに、式(1)と
図11の直線Lwとを参照して説明したように、後段の処理(例えば、運転パターンの認識処理)に対する影響に応じて、発生回数に対する重み係数wiを設定することができるので、後段の処理に応じた適切な許容欠損値を設定することが可能となるので、サービス提供の可否を適切に判定することが可能となる。
【0258】
また、以上においては、データ収集端末31とサービス享受端末33とが異なる例について説明してきたが、データ収集端末31とサービス享受端末33とは、基本的に同一の機能を備えた通信端末であることが前提となるので、データ収集端末31の機能と、サービス享受端末33の機能とを両方備えた通信端末とサーバ32とから情報処理システムを構成するようにしてもよい。
【0259】
ただし、この場合、データ収集端末31として機能する通信端末が利用されることで、事前にホワイトリストが生成されることが前提となり、ホワイトリストが生成された後に、サービス享受端末33として機能する通信端末によりサービスの提供が要求される必要がある。
【0260】
<<3.ソフトウェアにより実行させる例>>
ところで、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
【0261】
図16は、汎用のコンピュータの構成例を示している。このパーソナルコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)1001を内蔵している。CPU1001にはバス1004を介して、入出力インタフェース1005が接続されている。バス1004には、ROM(Read Only Memory)1002およびRAM(Random Access Memory)1003が接続されている。
【0262】
入出力インタフェース1005には、ユーザが操作コマンドを入力するキーボード、マウスなどの入力デバイスよりなる入力部1006、処理操作画面や処理結果の画像を表示デバイスに出力する出力部1007、プログラムや各種データを格納するハードディスクドライブなどよりなる記憶部1008、LAN(Local Area Network)アダプタなどよりなり、インターネットに代表されるネットワークを介した通信処理を実行する通信部1009が接続されている。また、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどのリムーバブル記憶媒体1011に対してデータを読み書きするドライブ1010が接続されている。
【0263】
CPU1001は、ROM1002に記憶されているプログラム、または磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体1011ら読み出されて記憶部1008にインストールされ、記憶部1008からRAM1003にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM1003にはまた、CPU1001が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0264】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU1001が、例えば、記憶部1008に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース1005及びバス1004を介して、RAM1003にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0265】
コンピュータ(CPU1001)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記憶媒体1011に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0266】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブル記憶媒体1011をドライブ1010に装着することにより、入出力インタフェース1005を介して、記憶部1008にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部1009で受信し、記憶部1008にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM1002や記憶部1008に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0267】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0268】
尚、
図16におけるCPU1001が、
図5乃至
図7の制御部51,91,121の機能を実現させる。
【0269】
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0270】
なお、本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0271】
例えば、本開示は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0272】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0273】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0274】
尚、本開示は、以下のような構成も取ることができる。
【0275】
<1> 通信端末で検出されるデータの欠損の程度を示す欠損値を生成する欠損値生成部と、
前記欠損値に基づいて、前記通信端末で検出されるデータに基づいた処理が可能な前記通信端末のリストを生成するリスト生成部と
を含む情報処理装置。
<2> 前記通信端末より送信されてくる、前記通信端末で検出されるデータの欠損の程度を示す情報を取得する取得部をさらに含み、
前記欠損値生成部は、前記取得部により取得された前記通信端末で検出されるデータの欠損の程度を示す情報に基づいて、前記欠損値を生成する
<1>に記載の情報処理装置。
<3> 前記通信端末で検出されるデータの欠損の程度を示す情報は、前記通信端末で検出されるデータが欠損した時間である欠損時間毎の発生回数からなる欠損ヒストグラムである
<2>に記載の情報処理装置。
<4> 前記欠損ヒストグラムは、前記通信端末の連続駆動時間の累積時間である累積駆動時間により規格化された規格化欠損ヒストグラムである
<3>に記載の情報処理装置。
<5> 前記欠損値生成部は、前記規格化欠損ヒストグラムにおける、前記欠損時間毎の発生回数に、所定の重み係数を乗じた、総和を前記欠損値として算出する
<4>に記載の情報処理装置。
<6> 前記所定の重み係数は、前記欠損時間のうち、第1の所定時間よりも長く、前記第1の所定時間よりも長い第2の所定時間よりも短い範囲について、前記欠損時間が長くなるほど大きな係数である
<5>に記載の情報処理装置。
<7> 前記所定の重み係数は、機械学習により求められた係数である
<5>に記載の情報処理装置。
<8> 前記取得部は、前記通信端末のデータの欠損の程度を示す情報を、前記通信端末の種別を示す情報と対応付けて取得し、
前記欠損値生成部は、前記取得部により取得された前記通信端末で検出されるデータの欠損の程度を示す情報に基づいて、前記通信端末の種別を示す情報と対応付けて前記欠損値を生成し、
前記リスト生成部は、前記通信端末で検出されるデータに基づいた処理が可能な前記通信端末の種別のリストを生成する
<2>に記載の情報処理装置。
<9> 前記リスト生成部は、前記欠損値と、所定の閾値との比較に基づいて、前記通信端末で検出されるデータに基づいた処理が可能な前記通信端末の種別のリストを生成する
<8>に記載の情報処理装置。
<10> 前記リスト生成部は、前記欠損値が、前記所定の閾値よりも小さい場合、前記通信端末で検出されるデータに基づいた処理が可能な前記通信端末の種別として前記リストに登録する
<9>に記載の情報処理装置。
<11> 前記通信端末の種別は、前記通信端末のメーカ、機種名、モデル名、センサ型式、OS名、およびOSバージョンの情報の少なくともいずれかを含む
<8>に記載の情報処理装置。
<12> 前記通信端末の種別を示す情報は、クエリとして管理され、
前記欠損値生成部は、前記通信端末の種別を示すクエリと対応付けて前記欠損値を生成し、
前記リスト生成部は、前記通信端末により検出されるデータに基づいた処理が可能な前記通信端末のクエリとしてリストに登録する
<9>に記載の情報処理装置。
<13> 前記通信端末により検出されるデータに基づいた処理は、前記通信端末を所持するユーザが、前記通信端末を所持した状態で車両を運転するときの運転状態を検出し、前記運転状態に応じた処理である
<8>に記載の情報処理装置。
<14> 前記運転状態に応じた処理は、前記ユーザが自動車保険の契約者であるときの、前記運転状態に応じた保険料の割引サービスである
<13>に記載の情報処理装置。
<15> 前記通信端末で検出されるデータは、前記通信端末に内蔵されるセンサにより検出されるデータであり、前記センサは、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、気圧センサ、マイクロフォン、光量センサ、人感センサ、および位置情報センサの少なくともいずれかを含む
<1>乃至<14>のいずれかに記載の情報処理装置。
<16> 前記通信端末とは異なる他の通信端末で検出されるデータに基づいた処理の要求を、前記他の通信端末の種別の情報と共に取得し、前記リストを検索することで、前記通信端末で検出されるデータに基づいた処理が可能であるか否かを判定する判定部をさらに含む
<1>乃至<15>のいずれかに記載の情報処理装置。
<17> 通信端末で検出されるデータの欠損の程度を示す欠損値を生成し、
前記欠損値に基づいて、前記通信端末で検出されるデータに基づいた処理が可能な前記通信端末のリストを生成する
ステップを含む情報処理方法。
<18> 通信端末で検出されるデータの欠損の程度を示す欠損値を生成する欠損値生成部と、
前記欠損値に基づいて、前記通信端末で検出されるデータに基づいた処理が可能な前記通信端末のリストを生成するリスト生成部と
してコンピュータを機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0276】
11 情報処理システム, 31,31-1乃至31-n データ収集端末, 32 サーバ, 33,33-1乃至33-m サービス享受端末, 51 制御部, 59、59-1乃至59-s センサ, 71 データ収集部, 91 制御部, 101 データ収集部, 102 サービス提供部, 111 ホワイトリスト, 121 制御部, 131 サービス要求部, 129,129-1乃至129-t センサ, 141 端末情報収集部, 142 許容欠損ヒストグラム生成部, 151 規格化許容欠損ヒストグラム生成部, 152 クエリ生成部, 171 許容欠損値生成部, 172 ホワイトリスト生成部, 173 ホワイトリスト記憶部, 174 サービス提供処理部, 191 サービス要求部, 192 端末情報収集部