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特許7589736管制装置、管制システム、管制方法及び管制プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】管制装置、管制システム、管制方法及び管制プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20241119BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G08G1/16 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022509890
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2020013403
(87)【国際公開番号】W WO2021192105
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-08-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】水越 康博
(72)【発明者】
【氏名】坂田 正行
(72)【発明者】
【氏名】山根 隆志
(72)【発明者】
【氏名】岩井 孝法
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小林 航生
(72)【発明者】
【氏名】篠原 悠介
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-142265(JP,A)
【文献】特開2020-003936(JP,A)
【文献】特開2020-027606(JP,A)
【文献】特開2018-155577(JP,A)
【文献】特開2016-057673(JP,A)
【文献】特開2019-182425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転機能を有した車両に関する情報に基づいて、前記車両の状態を解析する解析ルールにより前記車両の第一の状態を解析する解析手段と、
前記車両において前記情報に基づいて前記車両の自動運転を制御する自動運転ルールにより解析された前記車両の第二の状態と、前記第一の状態とを用いて、前記車両の制御に関する制御ポリシを特定する特定手段と、
特定された前記制御ポリシに基づいて、前記車両の運転を制御する遠隔制御手段と、
を備え
前記制御ポリシは、前記車両に自動運転を行わせる自動制御ポリシ及び前記車両を遠隔制御する遠隔制御ポリシを含み、
前記遠隔制御手段は、特定された前記制御ポリシが前記自動制御ポリシの場合には、前記車両に自動運転させるように制御し、特定された前記制御ポリシが前記遠隔制御ポリシの場合には、前記車両を遠隔制御するように制御する、
管制装置。
【請求項2】
前記解析手段は、前記解析ルールを学習する管制側学習手段を含む、
請求項1に記載の管制装置。
【請求項3】
前記自動運転ルールは、前記車両に設けられた車両側学習手段において学習される、
請求項1または2に記載の管制装置。
【請求項4】
前記情報は、前記車両の前方の映像情報であり、
前記解析手段は、認識した道路及び交差点を含む交通環境において、認識した周辺車両または周辺人物と衝突する危険度を、前記車両の状態として解析し、
前記特定手段は、前記危険度が閾値以上の場合に、前記制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の管制装置。
【請求項5】
前記情報は、前記車両の車内の映像情報であり、
前記解析手段は、認識した前記車内の乗客の動作及び前記乗客の状態の緊急度を、前記車両の状態として解析し、
前記特定手段は、前記緊急度が閾値以上の場合に、前記制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の管制装置。
【請求項6】
前記車両は、バスであり、
前記情報は、前記車両の車内の映像情報であり、
前記解析手段は、前記車内の乗客及び前記乗客の姿勢を前記車両の状態として解析し、
前記特定手段は、前記乗客が所定の転倒しやすい人、または、前記姿勢が転倒しやすい姿勢の場合に、前記制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の管制装置。
【請求項7】
自動運転機能を有する車両と、
前記車両を遠隔制御する管制センタと、
を備え、
前記車両は、
前記車両に関する情報に基づいて、前記車両の自動運転を制御する自動運転ルールにより前記車両の第二の状態を解析する手段と、
前記情報及び前記自動運転ルールに基づいて、前記車両の自動運転を制御する車両制御手段と、
を有し、
前記管制センタは、
前記車両から受信した前記情報に基づいて、前記車両の状態を解析する解析ルールにより前記車両の第一の状態を解析する解析手段と、
前記車両から受信した前記第二の状態と、前記第一の状態とを用いて、前記車両の制御に関する制御ポリシを特定する特定手段と、
特定された前記制御ポリシに基づいて、前記車両の運転を制御する遠隔制御手段と、
を有する、
管制システム。
【請求項8】
自動運転機能を有した車両に関する情報に基づいて、前記車両の状態を解析する解析ルールにより前記車両の第一の状態を解析し、
前記車両において前記情報に基づいて前記車両の自動運転を制御する自動運転ルールにより解析された前記車両の第二の状態と、前記第一の状態とを用いて、前記車両の制御に関する制御ポリシを特定し、
特定された前記制御ポリシに基づいて、前記車両の運転を制御し、
前記制御ポリシは、前記車両に自動運転を行わせる自動制御ポリシ及び前記車両を遠隔制御する遠隔制御ポリシを含み、
前記特定された前記制御ポリシに基づいて、前記車両の運転を制御する際に、特定された前記制御ポリシが前記自動制御ポリシの場合には、前記車両に自動運転させるように制御し、特定された前記制御ポリシが前記遠隔制御ポリシの場合には、前記車両を遠隔制御するように制御する、
管制方法。
【請求項9】
自動運転機能を有した車両に関する情報に基づいて、前記車両の状態を解析する解析ルールにより前記車両の第一の状態を解析させ、
前記車両において前記情報に基づいて前記車両の自動運転を制御する自動運転ルールにより解析された前記車両の第二の状態と、前記第一の状態とを用いて、前記車両の制御に関する制御ポリシを特定させ、
特定された前記制御ポリシに基づいて、前記車両の運転を制御させる、
ことをコンピュータに実行させる管制プログラムであって、
前記制御ポリシは、前記車両に自動運転を行わせる自動制御ポリシ及び前記車両を遠隔制御する遠隔制御ポリシを含み、
前記特定された前記制御ポリシに基づいて、前記車両の運転を制御する際に、特定された前記制御ポリシが前記自動制御ポリシの場合には、前記車両に自動運転させるように制御させ、特定された前記制御ポリシが前記遠隔制御ポリシの場合には、前記車両を遠隔制御するように制御させる、
管制プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管制装置、管制システム及び管制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転車におけるLv4世代以上では、車両の内部に運転者が存在しないことが想定されている。したがって、遠隔から車両を見守る遠隔監視者を配置し、車両に何らかの異常があった時に、遠隔で対処できるような仕組み、いわゆる見守りシステムを構築することが望まれる。
【0003】
例えば、特許文献1には、自動運転モードと手動運転モードと遠隔操縦モードの3つのモードで走行可能な車両と、車両を遠隔操作可能な管制センタとを備えた車両遠隔操作支援システムが記載されている。特許文献1の車両遠隔操作支援システムでは、車両が自動運転を困難と判断した場合に、車両は管制センタのオペレータに遠隔操作の要求を行っている。
【0004】
特許文献2には、自動運転車をオペレータが介入して遠隔制御する遠隔制御装置が記載されている。特許文献2の遠隔制御装置は、自動運転車の車両情報に加え、類似データに紐付けられた走行軌跡等によって遠隔制御することが記載されている。
【0005】
特許文献3には、車両の自動運転を、車両の外部から制御する自動運転制御システムが記載されている。特許文献3の自動運転制御システムは、車両のセンサ部によって、所定状況の発生が検出されると、外部制御に優先して、当該所定状況に応じた自動運転制御を実行することが記載されている。
【0006】
特許文献4には、複数の自動運転車両と、複数の自動運転車両の数より少ない複数の遠隔運転手とを管理する管理装置が記載されている。特許文献4の管理装置は、遠隔運転が必要になった自動運転車両の遠隔運転手に、待機中の遠隔運転手を割り当てることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-191982号公報
【文献】特開2019-185280号公報
【文献】特開2019-106674号公報
【文献】特開2018-142265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1~4では、遠隔制御する対象の車両を管制側のオペレータ(遠隔監視者)等が遠隔制御している。遠隔監視者は、担当する車両を注視する必要がある。よって、複数の自動運転車を運行させる場合には、遠隔監視する遠隔監視者を増員させなければならない。また、自動運転車を遠隔操作中には、遠隔監視者は、それ以外の他の自動運転車の運行の中断を余儀なくされる。よって、自動運転車の運行が滞ることになる。
【0009】
本開示の目的は、このような課題を解決するためになされたものであり、自動運転車の運行を円滑にすることができる管制装置、管制システム及び管制方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る管制装置は、自動運転機能を有した車両に関する情報に基づいて、前記車両の状態を解析する解析手段と、解析された前記車両の状態に基づいて、前記車両に対して送信される所定の制御である制御ポリシを特定する特定手段と、特定された前記制御ポリシに基づいて、前記車両の運転を制御する遠隔制御手段と、を備える。
【0011】
また、本開示に係る管制システムは、自動運転が可能な車両と、前記車両を遠隔制御する管制センタと、を備え、前記車両は、前記車両に関する情報を検知するセンサと、前記センサにより検知された前記情報に基づいて、前記自動運転を制御する車両制御手段と、を有し、前記管制センタは、前記車両から受信した前記情報に基づいて、前記車両の状態を解析する解析手段と、解析された前記車両の状態に基づいて、前記車両に対して送信される所定の制御である制御ポリシを特定する特定手段と、特定された前記制御ポリシに基づいて、前記車両の運転を制御する遠隔制御手段と、を有する。
【0012】
また、本開示に係る管制方法は、自動運転が可能な車両に関する情報に基づいて、前記車両の状態を解析し、解析された前記車両の状態に基づいて、前記車両に対して送信される所定の制御である制御ポリシを特定し、特定された前記制御ポリシに基づいて、前記車両の運転を制御する。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、自動運転車の運行を円滑にすることができる車両管制システム、車両管制センタ及び車両管制方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に係る管制システムを例示した構成図である。
図2】実施形態1に係る管制装置を例示した構成図である。
図3】実施形態1に係る車両の動作を例示したフローチャート図である。
図4】実施形態1に係る管制装置の管制方法を例示したフローチャート図である。
図5】実施形態1に係る管制システムの管制方法を例示したシークエンス図である。
図6】実施形態2に係る管制システムを例示した構成図である。
図7】実施形態2に係る管制装置を例示した構成図である。
図8】実施形態2に係る車両の動作を例示したフローチャート図である。
図9】実施形態2に係る管制装置の管制方法を例示したフローチャート図である。
図10】実施形態2に係る管制システムの管制方法を例示したシークエンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0016】
(実施形態1)
実施形態1に係る管制システムを説明する。まず、管制システムの概要を説明する。そして、管制システムを構成する車両及び管制装置を説明する。その後、管制システムを用いた管制方法を説明する。
【0017】
<管制システム>
まず、実施形態1に係る管制システムを説明する。図1は、実施形態1に係る管制システムを例示した構成図である。図1に示すように、管制システム100は、車両110と、管制センタ120cと、を備えている。
【0018】
管制システム100は、自動運転機能を有する車両110を管制するシステムである。本実施形態の管制システム100において、管制センタ120cは、車両110からセンサ情報及び車両110の状態等の情報を、ネットワークNWを介して受信する。管制センタ120cは、受信した車両110の情報に基づいて、車両110の状態を解析し、解析結果に応じて、車両110の制御を行う。例えば、管制センタ120cは、車両110を遠隔制御する。または、管制センタ120cは、自動運転制御ポリシの送信により、車両110に自動制御させる。
【0019】
管制センタ120cは、管制装置120を含む。以下で、管制システム100を構成する車両110及び管制装置120を説明する。
【0020】
<車両>
車両110は、自動運転が可能な自動運転機能を有している。自動運転機能を有する車両110は、例えば、自家用車、タクシー、バス、トラック等の自動運転車である。なお、自動運転機能を有する車両110は、道路を走行する自動運転車に限らず、鉄道を走行する列車等でもよい。車両110は、センサ111及び車両制御部112を有している。
【0021】
センサ111は、車両110に関する情報を検知する。センサ111は、例えば、カメラ、速度計、舵角計、GPS(Global Positioning System)受信器等である。カメラは、車両110の前方、周囲または車内の画像を撮像する。速度計は、車両110の速度を計測する。舵角計は、車両110の進路方向を検出する。GPS受信機は、車両110の位置を検知する。なお、センサ111は、車両110に関する情報を検知するものであれば、カメラ、速度計、舵角計、GPS受信器等に限らない。
【0022】
センサ111は、検知した車両110に関する情報を、車両制御部112に出力する。また、センサ111は、検知した車両110に関する情報を、ネットワークNWを介して管制センタ120cに送信する。検知した車両110に関する情報は、例えば、車両110の前方の映像情報、車内の映像情報、速度、進路方向及び位置等のセンサ情報を含む。また、検知した車両110に関する情報は、センサ情報から導かれた車両110の走行状態及び車両110の周辺状況等の車両状態情報を含む。
【0023】
車両制御部112は、車両110の制御を行う。よって、車両制御部112は、車両制御手段としての機能を有している。車両制御部112は、ECU(Electronic Control Unit)に接続し、ECUを制御することにより、車両110を制御する。車両制御部112は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、インターフェイス部(I/F)等からなるマイクロコンピュータを含むハードウェアで構成されてもよい。CPUは、車両110に関する情報に基づいて、車両110の状態の解析処理及び制御処理等を行う。ROMは、CPUによって実行される解析プログラム及び制御プログラム等を記憶する。RAMは、車両110に関する情報等の各種のデータを記憶する。インターフェイス部(I/F)は、ネットワークNW等の外部と信号の入出力を行う。CPU、ROM、RAM及びインターフェイス部は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0024】
車両制御部112は、センサ111により検知された車両110に関する情報に基づいて、自動運転を制御する。例えば、車両制御部112は、センサ111が車両110の前方に障害物を検知した場合には、車両110を停止させるように制御する。また、車両制御部112は、センサ111が制限速度以上の車両110の速度を検知した場合には、減速するように制御する。
【0025】
車両制御部112は、管制センタ120cから出力された制御ポリシに基づいて、車両110を制御する。制御ポリシは、車両110に対して送信される所定の制御である。制御ポリシは、自動制御ポリシ及び遠隔制御ポリシを含む。自動制御ポリシは、車両110に自動運転を行わせるように制御する。遠隔制御ポリシは、車両110を遠隔運転させるように制御する。例えば、車両制御部112は、管制センタ120cから車両110に自動運転を行わせる自動制御ポリシを受信した場合には、車両110に関する情報に基づいて、車両110の自動運転を制御する。
【0026】
一方、車両制御部112は、管制センタ120cから車両110を遠隔制御する遠隔制御ポリシを受信した場合には、管制センタ120cからの遠隔制御に基づいて、車両110を制御する。制御ポリシは、自動制御ポリシ及び遠隔制御ポリシの他、自動運転に関するルール等を含んでもよい。自動運転に関するルールは、例えば、制限速度遵守等の運転制御方針を含む。
【0027】
<管制装置>
次に、管制装置120を説明する。図2は、実施形態1に係る管制装置120を例示した構成図である。図2に示すように、管制センタ120cに設けられた管制装置120は、単体として構成される装置であり、図1のように、管制システム100に組み込まれてもよい。
【0028】
管制装置120は、CPU、RAM、インターフェイス部等からなるマイクロコンピュータの他、GPU、FPGAや、ストレージとしてのHDD、SSDなどで構成される汎用的なコンピュータを含むハードウェアで構成されてもよい。CPU、GPU及びFPGA等は、車両110に関する情報に基づいて、解析処理及び制御処理等を行う。ROM、HDD及びSSD等は、CPU等によって実行される解析プログラム及び制御プログラム等を記憶する。RAM、HDD及びSSD等は、車両110に関する情報等の各種のデータを記憶する。インターフェイス部(I/F)は、ネットワークNW等の外部と信号の入出力を行う。CPU、GPU、FPGA、ROM、RAM、HDD、SSD及びインターフェイス部は、データバス及び接続配線などを介して相互に接続されている。
【0029】
図1及び図2に示すように、管制装置120は、自動運転が可能な自動運転機能を有する車両110を制御する。管制装置120は、解析部121、特定部122及び遠隔制御部123を備えている。解析部121、特定部122及び遠隔制御部123は、それぞれ、解析手段、特定手段及び遠隔制御手段としての機能を有する。
【0030】
解析部121は、自動運転機能を有した車両110に関する情報に基づいて、車両110の状態を解析する。車両110に関する情報は、例えば、車両110に設けられたセンサ111により検知された情報である。解析部121は、センサ111によって検知された情報を、ネットワークNWを介して受信する。
【0031】
解析部121は、車両110から受信した情報に基づいて、車両110の状態を解析する。車両110の状態は、例えば、車両110の危険度の高い状態、車両110の緊急度の高い状態を含む。また、車両110の状態は、自動制御が可能な状態、遠隔制御が望ましい状態を含む。解析部121は、予め、危険度の高い状態、緊急度の高い状態を設定してもよい。
【0032】
例えば、センサ111のうち、車両110の前方に設置されたカメラは、車両110の前方の映像情報を取得する。よって、車両110に関する情報は、車両110の前方の映像情報を含む。車両110に関する情報として、車両110の前方の映像情報が送信された場合には、解析部121は、車両110の前方の映像情報に基づいて、車両110の前方の道路、交差点、交通標識、信号機等の交通環境を3次元で立体的に認識する。
【0033】
また、解析部121は、車両110の前方の映像情報に基づいて、周辺車両及び周辺人物を認識する。さらに、解析部121は、車両110の前方の映像情報に基づいて、車両110が周辺車両及び周辺人物と交差点で交差するまでの時間及び位置をリアルタイムに算出する。そして、解析部121は、認識した道路及び交差点等を含む交通環境において、認識した周辺車両または周辺人物と衝突する危険度を、車両110の状態として解析する。例えば、解析部121は、車両110の危険度の状態を数値化して解析してもよい。
【0034】
また、解析部121は、車両110の前方の映像情報に基づいて、車両110の進行方向をもとに幾何学的に定めた範囲に存在する人物の多い場合に、車両110の危険度を、車両110の状態として解析する。例えば、解析部121は、幾何学的に定めた所定の範囲に閾値以上の人数の人物が存在する場合に危険度が高い状態と解析してもよい。
【0035】
センサ111のうち、車両110の車内に設置されたカメラは、車両110の車内の映像情報を取得する。よって、車両110に関する情報は、車両110の車内の映像情報を含む。車両110に関する情報として、車両110の車内の映像情報が送信された場合には、解析部121は、車両110の車内の映像情報に基づいて、車内の乗客の動作及び乗客の状態を認識する。そして、解析部121は、認識した車内の乗客の動作及び乗客の状態の緊急度を、車両110の状態として解析する。例えば、解析部121は、乗客が転倒している状態やふら付いている状態を、緊急度の高い状態として解析する。解析部121は、車両110の緊急度の状態を、転倒している人数やふら付く頻度で数値化して解析してもよい。
【0036】
また、車両110は、バスであり、車両110に関する情報は、バスの車内の映像情報を含む場合に、解析部121は、車内の乗客及び乗客の姿勢を車両110の状態として解析してもよい。例えば、解析部121は、車両110の緊急度の状態を、バスの車内で杖をついている人の人数で数値化して解析してもよい。
【0037】
このように、解析部121は、車両110の所定の危険度及び緊急度を車両110の状態として解析してもよい。
【0038】
特定部122は、解析された車両110の状態に基づいて、制御ポリシを特定する。制御ポリシは、車両110に対して送信される所定の制御である。例えば、制御ポリシは、車両110に自動運転を行わせる自動制御ポリシを含む。また、制御ポリシは、車両110を遠隔運転させるように制御する遠隔制御ポリシを含む。
【0039】
例えば、特定部122は、解析された車両110の状態が所定の危険度以上、または、所定の緊急度以上に該当する場合には、制御ポリシを、遠隔制御ポリシに特定する。具体的には、特定部122は、認識した周辺車両または周辺人物と衝突する危険度が所定の閾値以上の場合に、制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定する。また、特定部122は、認識した車内の乗客の動作及び乗客の状態の緊急度が所定の閾値以上の場合に、制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定する。また、特定部122は、バスの車内の乗客が所定の転倒しやすい人、または、姿勢が所定の転倒しやすい姿勢の場合に、制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定する。また、特定部122は、車両110が上述した状況の他の要因で停止してしまったなどの遠隔制御が必要と考えられる場合に、制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定してもよい。
【0040】
一方、特定部122は、解析された車両110の状態が所定の危険度または所定の緊急度未満に該当する場合には、制御ポリシを、自動制御ポリシに特定する。
【0041】
遠隔制御部123は、特定された制御ポリシに基づいて、車両110の運転を遠隔制御する。例えば、遠隔制御部123は、特定された制御ポリシが自動制御ポリシの場合には、車両110に自動運転させるように制御する。一方、遠隔制御部123は、特定された制御ポリシが遠隔制御ポリシの場合には、車両110を遠隔制御するように制御する。
【0042】
次に、実施形態1に係る管制システム100の動作として、管制方法を説明する。管制方法を、車両110の動作、管制装置120の管制方法及び管制システム100の管制方法に分けて説明する。
【0043】
<車両の動作>
図3は、実施形態1に係る車両110の動作を例示したフローチャート図である。図3のステップS111に示すように、車両110に関する情報を検知する。例えば、車両110に設けられたセンサ111は、自動運転が可能な車両110に関する情報を検知する。車両110に関する情報は、例えば、車両110の前方の映像情報、車内の映像情報、速度、進路方向及び位置等である。車両110は、制御ポリシを受け取っていない場合には、そのまま待機する。車両110は、現状の制御ポリシが自動制御ポリシの場合には、検知した情報に基づいて自動運転を継続する。現状の制御ポリシが遠隔制御ポリシの場合には、車両110は、管制センタ120cによって遠隔制御されている。
【0044】
次に、ステップS112に示すように、検知した情報を管制センタ120cに送信する。具体的には、センサ111は、検知した車両110に関する情報を管制センタ120c(管制装置120)に送信する。
【0045】
次に、ステップS113に示すように、制御ポリシを受信する。例えば、車両制御部112は、管制装置120から制御ポリシを受信する。ステップS113にて制御ポリシが管制装置120から到達していない場合は、ステップS114へ進んでもよい。すなわち、現状の制御ポリシを維持してもよい。このように、ステップS113では制御ポリシを非同期に受信しても構わない。
【0046】
次に、ステップS114に示すように、制御ポリシに基づいて、車両110の運転を制御する。例えば、管制装置120から受信した制御ポリシが自動制御ポリシの場合には、車両制御部112は、自動運転を行う。一方、管制装置120から受信した制御ポリシが遠隔制御ポリシの場合には、車両制御部112は管制装置120による遠隔制御に従う。車両制御部112は、受信する前の制御ポリシと異なる新たな制御ポリシを受信した場合には、新たな制御ポリシに従う。
【0047】
<管制装置の管制方法>
次に、管制装置120の管制方法を説明する。図4は、実施形態1に係る管制装置120の管制方法を例示したフローチャート図である。図4のステップS121に示すように、管制装置120は、車両110に関する情報を受信する。例えば、管制装置120における解析部121は、センサ111が検知した車両110に関する情報を、ネットワークNWを介して車両110から受信する。
【0048】
次に、ステップS122に示すように、受信した情報に基づいて、車両110の状態を解析する。例えば、解析部121は、受信した車両110に関する情報に基づいて、車両110の危険度または緊急度を解析する。
【0049】
次に、ステップS123に示すように、解析された車両110の状態に基づいて、車両110の制御ポリシを特定する。例えば、特定部122は、解析された車両110の危険度または緊急度に基づいて、車両110の制御ポリシを、自動制御ポリシまたは遠隔制御ポリシ等に特定する。特定部122は、車両110の危険度または緊急度等の状態が変化した場合には、新たな制御ポリシを特定する。
【0050】
次に、ステップS124に示すように、制御ポリシに基づいて、車両110の運転を制御する。例えば、特定部122が特定した制御ポリシが自動制御ポリシの場合には、遠隔制御部123は、車両110に対して自動運転を行うように制御する。一方、特定部122が特定した制御ポリシが遠隔制御ポリシの場合には、遠隔制御部123は、車両110に対して遠隔制御を行う。
【0051】
<管制システムの管制方法>
次に、管制システム100の管制方法を説明する。図5は、実施形態1に係る管制システム100の管制方法を例示したシークエンス図である。図5のステップS131に示すように、車両110は、車両110に関する情報を検知する。例えば、車両110は、センサ111によって、自動運転が可能な車両110に関する情報を検知する。車両110は、制御ポリシを受け取っていない場合には、そのまま待機する。車両110は、現状の制御ポリシが自動制御ポリシの場合には、検知した情報に基づいて自動運転を継続する。現状の制御ポリシが遠隔制御ポリシの場合には、車両110は、管制センタ120cによって遠隔制御されている。
【0052】
次に、ステップS132に示すように、車両110は、検知した車両110に関する情報を管制センタ120cに送信する。例えば、車両110は、ネットワークNWを介して管制装置120に送信する。これにより、ステップS133に示すように、管制装置120は、車両110に関する情報を受信する。例えば、管制装置120は、ネットワークNWを介して車両110に関する情報を受信する。
【0053】
次に、ステップS134に示すように、管制装置120は、受信した情報に基づいて、車両110の状態を解析する。例えば、管制装置120は、受信した車両110に関する情報に基づいて、車両110の危険度または緊急度を解析する。
【0054】
次に、ステップS135に示すように、管制装置120は、解析された車両110の状態に基づいて、車両110の制御ポリシを特定する。例えば、管制装置120は、解析された車両110の危険度または緊急度に基づいて、車両110の制御ポリシを、自動制御ポリシまたは遠隔制御ポリシ等に特定する。管制装置120は、車両110の危険度または緊急度等の状態が変化した場合には、新たな制御ポリシを特定する。
【0055】
次に、ステップS136に示すように、管制装置120は、制御ポリシを車両110に送信する。例えば、管制装置120は、ネットワークNWを介して、制御ポリシを車両110に送信する。これにより、ステップS137に示すように、車両110は、管制装置120からネットワークNWを介して制御ポリシを受け取る。
【0056】
次に、ステップS138に示すように、車両110は、制御ポリシに基づいて車両110の運転を制御する。例えば、管制装置120が特定した制御ポリシが自動制御ポリシの場合には、車両110は、自動運転を行う。一方、管制装置120が特定した制御ポリシが遠隔制御ポリシの場合には、車両110は、管制装置120による遠隔制御に従う。車両110は、受信する前の制御ポリシと異なる新たな制御ポリシを受信した場合には、新たな制御ポリシに従う。このようにして、車両110は、制御ポリシに基づいて、車両110の運転を制御する。
【0057】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態では、管制装置120は、車両110に関する情報に基づいて、車両110の状態を解析し、解析された車両110の状態に基づいて、車両110の制御ポリシを特定する。よって、車両110の状態によって、車両110の制御を変えているので、車両110の状態に的確に対処することができ、自動運転車の運行を円滑にすることができる。
【0058】
例えば、車両110の危険度または緊急度が低いから中へ上がった場合には、自動制御ポリシの速度制御上限値を中速から低速へ切り替えるようにする。さらに、例えば、車両110の危険度または緊急度が高い場合には、自動制御から遠隔制御に切り替えるようにする。よって、自動制御の場合には遠隔制御を必要としないので、遠隔監視者の人数を低減することができる。また、危険度または緊急度が高い車両110に遠隔監視者が注視することができるので、自動運転車の運行が滞ることを抑制することができる。
【0059】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る管制システムを説明する。本実施形態の管制システムでは、車両及び管制装置の少なくともいずれかに学習器を備えている。図6は、実施形態2に係る管制システムを例示した構成図である。図7は、実施形態2に係る管制装置を例示した構成図である。
【0060】
<管制システム>
図6に示すように、本実施形態の管制システム200は、車両210及び管制センタ220cを備えている。以下で、管制システム200の各構成を説明する。
【0061】
<車両>
車両210は、センサ211及び車両制御部212を備えており、車両制御部212は、車両210を制御する制御手段としての機能を有している。本実施形態の車両制御部212は、学習器213を含んでいる。学習器213は、学習手段としての機能を有している。
【0062】
学習器213は、例えば、AI(Artificial Intelligence)である。学習器213は、車両210に関する情報に基づいて、車両210の自動運転を制御するルールを学習する。車両210の自動運転を制御するルールを、本明細書において、便宜的に、自動運転ルールと呼ぶ。自動運転ルールは、例えば、制限速度遵守等の運転制御を含んでもよい。
【0063】
学習器213は、センサ211によって検知された車両210に関する情報と、その情報に基づく車両210の自動運転制御との関連を学習することにより、自動運転ルールを学習する。そして、車両制御部212は、車両210に関する情報に基づいて、自動運転ルールにより制御された車両210の状態を解析する。車両210は、検知した車両210に関する情報及び解析した車両210の状態を、管制センタ120cに送信する。これ以外の車両210の構成は、実施形態1の車両110の構成と同様である。
【0064】
<管制装置>
図7に示すように、管制センタ220cには、管制装置220が設けられている。管制装置220は、単体として構成される装置であり、図6のように、管制システム200に組み込まれてもよい。
【0065】
図6及び図7に示すように、本実施形態の管制装置220は、解析部221、特定部222及び遠隔制御部223を備えている。解析部221、特定部222及び遠隔制御部223は、それぞれ、解析手段、特定手段及び遠隔制御手段としての機能を有することは、実施形態1と同様である。本実施形態の解析部221は、学習器224を含んでいる。学習器224は、学習手段としての機能を有している。
【0066】
学習器224は、例えば、AIである。学習器224は、車両210に関する情報に基づいて、車両210の状態を解析するルールを学習する。車両210の状態を解析するルールを、本明細書において、便宜的に、解析ルールと呼ぶ。解析ルールは、カメラの画像における人と障害物との間の認識優先度、画像処理の解像度、画像情報からの行動予測の推定パターン等を含んでもよい。また、学習器224の学習に用いる車両210の情報は複数台の車両210の情報であってもよい。
【0067】
学習器224は、センサ211によって検知された車両210に関する情報と、その情報に基づく車両210の状態の解析結果との関連を学習することにより、解析ルールを学習する。学習器224は、複数の車両210の各センサ211によって検知された各車両210に関する情報と、各車両の情報に基づく各車両210の状態の解析結果との関連を学習してもよい。そして、特定部222は、解析ルールにより解析された車両210の状態に基づいて、制御ポリシを特定する。車両210に設けられた学習器213が自動運転ルールを学習している場合には、特定部222は、解析ルール及び自動運転ルールにより解析された車両210の状態に基づいて、制御ポリシを特定する。これ以外の管制装置220の構成は、実施形態1の管制装置120の構成と同様である。
【0068】
次に、実施形態2に係る管制システム200の動作として、管制方法を説明する。管制方法を、車両210の動作、管制装置220の管制方法及び管制システム200の管制方法に分けて説明する。
【0069】
<車両の動作>
図8は、実施形態2に係る車両210の動作を例示したフローチャート図である。図8のステップS211に示すように、車両210に関する情報を検知する。例えば、センサ211は、自動運転が可能な車両210に関する情報を検知する。
【0070】
次に、ステップS212に示すように、自動運転ルールを学習した学習器213を用いることにより、車両210に関する情報に基づいて、自動運転ルールにより制御された車両210の状態を解析する。例えば、車両制御部212は、車両210の前方の映像情報に基づいて、自動運転ルールにより、車両210が危険度の高い状態または危険度の低い状態であると解析する。
【0071】
次に、ステップS213に示すように、検知した情報及び自動運転ルールにより制御された車両210の状態を管制センタ220cに送信する。具体的には、センサ211は、車両210の前方の映像情報を管制装置220に送信する。また、車両制御部212は、車両210の前方の映像情報に基づいて、車両210が危険度の高い状態または危険度の低い状態であることを管制装置220に送信する。ここで、センサ211の映像情報と車両制御部212が解析した危険度の状態とを別々に送信する場合、管制センタにて相互に突き合わせるための情報を付加してもよい。
【0072】
次に、ステップS214に示すように、制御ポリシを受信する。例えば、車両制御部212は、管制装置220から制御ポリシを受信する。ステップS214にて制御ポリシが管制装置220から到達していない場合は、ステップS215へ進んでもよい。このように、ステップS214では制御ポリシを非同期に受信しても構わない。
【0073】
次に、ステップS215に示すように、制御ポリシに基づいて、車両210の運転を制御する。例えば、管制装置220から受信した制御ポリシが自動制御ポリシの場合には、車両制御部212は、自動運転を行う。一方、管制装置220から受信した制御ポリシが遠隔制御ポリシの場合には、車両制御部212は管制装置220による遠隔制御に従う。
【0074】
<管制装置の管制方法>
次に、管制装置220の管制方法を説明する。図9は、実施形態2に係る管制装置220の管制方法を例示したフローチャート図である。図9のステップS221に示すように、車両210に関する情報及び自動運転ルールにより制御された車両210の状態を車両210から受信する。例えば、管制装置220における解析部221は、センサ211が検知した車両210に関する情報を、ネットワークNWを介して受信する。また、特定部222は、車両210の学習器213が学習した自動運転ルールにより制御された車両210の状態を受信する。
【0075】
次に、ステップS222に示すように、解析ルールを学習した学習器224を用いることにより、受信した情報に基づいて、車両210の状態を解析する。例えば、解析部221は、受信した車両210の前方の映像情報に基づき、学習器224の解析ルールを用いて、車両210が危険度の高い状態または危険度の低い状態であると解析する。
【0076】
次に、ステップS223に示すように、解析ルール及び自動運転ルールにより解析された車両210の状態に基づいて、車両210の制御ポリシを特定する。例えば、特定部222は、解析された車両210の危険度または緊急度に基づいて、車両210の制御ポリシを、自動制御ポリシまたは遠隔制御ポリシに特定する。
【0077】
次に、ステップS224に示すように、制御ポリシに基づいて、車両210の運転を制御する。例えば、特定部222が特定した制御ポリシが自動制御ポリシの場合には、遠隔制御部223は、車両210に対して自動運転を行うように制御する。一方、特定部222が特定した制御ポリシが遠隔制御ポリシの場合には、遠隔制御部223は、車両210に対して遠隔制御を行う。
【0078】
<管制システムの管制方法>
次に、管制システム200の管制方法を説明する。図10は、実施形態2に係る管制システム200の管制方法を例示したシークエンス図である。
【0079】
図10のステップS231に示すように、車両210は、センサ211により、車両210に関する情報を検知する。
【0080】
次に、ステップS232に示すように、車両210は、自動運転ルールを学習した学習器213を用いることにより、車両210に関する情報に基づいて、自動運転ルールにより制御された車両210の状態を解析する。例えば、車両210は、危険度の高い状態または危険度の低い状態であると解析する。
【0081】
次に、ステップS233に示すように、車両210は、検知した情報及び自動運転ルールにより制御された車両210の状態を管制センタ220cに送信する。これにより、ステップS234に示すように、管制装置220は、車両210に関する情報及び自動運転ルールにより制御された車両210の状態を受信する。
【0082】
次に、ステップS235に示すように、受信した情報に基づいて、解析ルールにより、車両210の状態を解析する。例えば、解析ルールを学習した学習器224を用いることにより、解析部221は、受信した情報に基づいて、車両210が危険度の高い状態または危険度の低い状態であると解析する。
【0083】
次に、ステップS236に示すように、制御ポリシを特定する。例えば、特定部222は、解析ルール及び自動運転ルールにより解析された車両210の危険度または緊急度に基づいて、車両210の制御ポリシを、自動制御ポリシ、または、遠隔制御ポリシに特定する。
【0084】
次に、ステップS237に示すように、管制装置220は、制御ポリシを車両210に送信する。これにより、ステップS238に示すように、車両210は、管制装置220から制御ポリシを受け取る。
【0085】
次に、ステップS239に示すように、車両210は、制御ポリシに基づいて車両210の運転を制御する。例えば、管制装置220が特定した制御ポリシが自動制御ポリシの場合には、管制装置220は、車両210に対して自動運転を行うように制御する。よって、車両210は、自動運転を行う。一方、管制装置220が特定した制御ポリシが遠隔制御ポリシの場合には、管制装置220は、車両210に対して遠隔制御を行う。よって、車両210は、管制装置220による遠隔制御に従う。このようにして、管制装置220は、制御ポリシに基づいて、車両110の運転を制御する。
【0086】
本実施形態の管制システム200によれば、車両制御部212は、自動運転ルールを学習する学習器213を含んでいるので、車両210の自動制御の精度及び判断速度を向上させることができる。また、解析部221は、解析ルールを学習する学習器224を含んでいるので、車両210の状態を解析する精度及び解析速度を向上させることができる。さらに、特定部222は、解析ルール及び自動運転ルールにより解析された車両210の状態に基づいて、制御ポリシを特定するので、制御ポリシの適格性を向上させることができる。
【0087】
車両210側及び管制装置220側の両方において、AIを用いた学習器213及び224によるパターン学習を行うことにより、車両210の自動制御及び遠隔制御のどちらの場合でも、制御の精度及び判断速度を向上させることができる。よって、車両210の運行を円滑にすることができる。これ以外の車両210、管制装置220及び管制システム200の動作及び効果は、実施形態1の記載に含まれている。
【0088】
以上、実施形態1及び2を説明したが、本発明は、上記実施形態1及び2に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施形態1及び2の各構成を組み合わせた実施形態も、技術的思想の範囲に含まれる。また、実施形態1及び2の管制方法を、コンピュータに実行させる管制プログラムも実施形態1及び2の技術的範囲に含まれる。
【0089】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0090】
(付記1)
自動運転機能を有した車両に関する情報に基づいて、前記車両の状態を解析する解析手段と、
解析された前記車両の状態に基づいて、前記車両に対して送信される所定の制御である制御ポリシを特定する特定手段と、
特定された前記制御ポリシに基づいて、前記車両の運転を制御する遠隔制御手段と、
を備えた管制装置。
【0091】
(付記2)
前記解析手段は、前記情報に基づいて、前記車両の状態を解析する解析ルールを学習する管制側学習手段を含み、
前記特定手段は、前記解析ルールにより解析された前記車両の状態に基づいて、前記制御ポリシを特定する、
付記1に記載の管制装置。
【0092】
(付記3)
前記車両に設けられた車両側学習手段は、前記情報に基づいて、前記自動運転を制御する自動運転ルールを学習しており、
前記特定手段は、前記解析ルール及び前記自動運転ルールにより解析された前記車両の状態に基づいて、前記制御ポリシを特定する、
付記2に記載の管制装置。
【0093】
(付記4)
前記制御ポリシは、前記車両に自動運転を行わせる自動制御ポリシ及び前記車両を遠隔制御する遠隔制御ポリシを含み、
前記遠隔制御手段は、特定された前記制御ポリシが前記自動制御ポリシの場合には、前記車両に自動運転させるように制御し、特定された前記制御ポリシが前記遠隔制御ポリシの場合には、前記車両を遠隔制御するように制御する、
付記1~3のいずれか1項に記載の管制装置。
【0094】
(付記5)
前記情報は、前記車両の前方の映像情報であり、
前記解析手段は、認識した道路及び交差点を含む交通環境において、認識した周辺車両または周辺人物と衝突する危険度を、前記車両の状態として解析し、
前記特定手段は、前記危険度が閾値以上の場合に、前記制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定する、
付記4に記載の管制装置。
【0095】
(付記6)
前記情報は、前記車両の車内の映像情報であり、
前記解析手段は、認識した前記車内の乗客の動作及び前記乗客の状態の緊急度を、前記車両の状態として解析し、
前記特定手段は、前記緊急度が閾値以上の場合に、前記制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定する、
付記4に記載の管制装置。
【0096】
(付記7)
前記車両は、バスであり、
前記情報は、前記車両の車内の映像情報であり、
前記解析手段は、前記車内の乗客及び前記乗客の姿勢を前記車両の状態として解析し、
前記特定手段は、前記乗客が所定の転倒しやすい人、または、前記姿勢が転倒しやすい姿勢の場合に、前記制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定する、
付記4に記載の管制装置。
【0097】
(付記8)
自動運転機能を有する車両と、
前記車両を遠隔制御する管制センタと、
を備え、
前記車両は、
前記車両に関する情報を検知するセンサと、
前記センサにより検知された前記情報に基づいて、前記自動運転を制御する車両制御手段と、
を有し、
前記管制センタは、
ネットワークを介して前記車両から受信した前記情報に基づいて、前記車両の状態を解析する解析手段と、
解析された前記車両の状態に基づいて、前記車両に対して送信される所定の制御である制御ポリシを特定する特定手段と、
特定された前記制御ポリシに基づいて、前記車両の運転を制御する遠隔制御手段と、
を有する、
管制システム。
【0098】
(付記9)
前記解析手段は、前記情報に基づいて、前記車両の状態を解析する解析ルールを学習する管制側学習手段を含み、
前記特定手段は、前記解析ルールにより解析された前記車両の状態に基づいて、前記制御ポリシを特定する、
付記8に記載の管制システム。
【0099】
(付記10)
前記車両制御手段は、前記情報に基づいて、前記自動運転を制御する自動運転ルールを学習する車両側学習手段を含み、
前記特定手段は、前記解析ルール及び前記自動運転ルールにより解析された前記車両の状態に基づいて、前記制御ポリシを特定する、
付記9に記載の管制システム。
【0100】
(付記11)
前記制御ポリシは、前記車両に自動運転を行わせる自動制御ポリシ及び前記車両を遠隔制御する遠隔制御ポリシを含み、
前記遠隔制御手段は、特定された前記制御ポリシが前記自動制御ポリシの場合には、前記車両に自動運転させるように制御し、特定された前記制御ポリシが前記遠隔制御ポリシの場合には、前記車両を遠隔制御するように制御する、
付記8~10のいずれか1項に記載の管制システム。
【0101】
(付記12)
前記情報は、前記車両の前方の映像情報であり、
前記解析手段は、認識した道路及び交差点を含む交通環境において、認識した周辺車両または周辺人物と衝突する危険度を、前記車両の状態として解析し、
前記特定手段は、前記危険度が閾値以上の場合に、前記制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定する、
付記11に記載の管制システム。
【0102】
(付記13)
前記情報は、前記車両の車内の映像情報であり、
前記解析手段は、前記車内の乗客の動作及び前記乗客の状態の緊急度の状態を、前記車両の状態として解析し、
前記特定手段は、前記緊急度が閾値以上の場合に、前記制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定する、
付記11に記載の管制システム。
【0103】
(付記14)
前記車両は、バスであり、
前記情報は、前記車両の車内の映像情報であり、
前記解析手段は、前記車内の乗客及び前記乗客の姿勢を前記車両の状態として解析し、
前記特定手段は、前記乗客が所定の転倒しやすい人、または、前記姿勢が転倒しやすい姿勢の場合に、前記制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定する、
付記11に記載の管制システム。
【0104】
(付記15)
自動運転機能を有した車両に関する情報に基づいて、前記車両の状態を解析し、
解析された前記車両の状態に基づいて、前記車両に対して送信される所定の制御である制御ポリシを特定し、
特定された前記制御ポリシに基づいて、前記車両の運転を制御する、
管制方法。
【0105】
(付記16)
前記車両の状態を解析する際に、
前記情報に基づいて、前記車両の状態を解析する解析ルールを学習し、
前記制御ポリシを特定する際に、
前記解析ルールにより解析された前記車両の状態に基づいて、前記制御ポリシを特定する、
付記15に記載の管制方法。
【0106】
(付記17)
前記車両に設けられた車両側学習手段によって、前記情報に基づいて、前記自動運転を制御する自動運転ルールを学習させ、
前記制御ポリシを特定する際に、
前記解析ルール及び前記自動運転ルールにより解析された前記車両の状態に基づいて、前記制御ポリシを特定する、
付記16に記載の管制方法。
【0107】
(付記18)
前記制御ポリシは、前記車両に自動運転を行わせる自動制御ポリシ及び前記車両を遠隔制御する遠隔制御ポリシを含み、
前記車両の運転を制御する際に、
特定された前記制御ポリシが前記自動制御ポリシの場合には、前記車両に自動運転させるように制御し、特定された前記制御ポリシが前記遠隔制御ポリシの場合には、前記車両を遠隔制御するように制御する、
付記15~17のいずれか1項に記載の管制方法。
【0108】
(付記19)
前記情報は、前記車両の前方の映像情報であり、
前記車両の状態を解析する際に、
認識した道路及び交差点を含む交通環境において、認識した周辺車両または周辺人物と衝突する危険度を、前記車両の状態として解析し、
前記制御ポリシを特定する際に、
前記危険度が閾値以上の場合に、前記制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定する、
付記18に記載の管制方法。
【0109】
(付記20)
前記情報は、前記車両の車内の映像情報であり、
前記車両の状態を解析する際に、
前記車内の乗客の動作及び前記乗客の状態の緊急度の状態を、前記車両の状態として解析し、
前記制御ポリシを特定する際に、
前記緊急度が閾値以上の場合に、前記制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定する、
付記18に記載の管制方法。
【0110】
(付記21)
前記車両は、バスであり、
前記情報は、前記車両の車内の映像情報であり、
前記車両の状態を解析する際に、
前記車内の乗客及び前記乗客の姿勢を、前記車両の状態として解析し、
前記制御ポリシを特定する際に、
前記乗客が所定の転倒しやすい人、または、前記姿勢が転倒しやすい姿勢の場合に、前記制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定する、
付記18に記載の管制方法。
【0111】
(付記22)
自動運転機能を有した車両に関する情報に基づいて、前記車両の状態を解析させ、
解析された前記車両の状態に基づいて、前記車両に対して送信される所定の制御である制御ポリシを特定させ、
特定された前記制御ポリシに基づいて、前記車両の運転を制御させる、
ことをコンピュータに実行させる管制プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0112】
(付記23)
前記車両の状態を解析させる際に、
前記情報に基づいて、前記車両の状態を解析する解析ルールを学習させ、
前記制御ポリシを特定させる際に、
前記解析ルールにより解析された前記車両の状態に基づいて、前記制御ポリシを特定させる、
ことをコンピュータに実行させる付記22に記載の管制プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0113】
(付記24)
前記車両に設けられた車両側学習手段によって、前記情報に基づいて、前記自動運転を制御する自動運転ルールを学習させ、
前記制御ポリシを特定させる際に、
前記解析ルール及び前記自動運転ルールにより解析された前記車両の状態に基づいて、前記制御ポリシを特定させる、
ことをコンピュータに実行させる付記23に記載の管制プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0114】
(付記25)
前記制御ポリシは、前記車両に自動運転を行わせる自動制御ポリシ及び前記車両を遠隔制御する遠隔制御ポリシを含み、
前記車両の運転を制御させる際に、
特定された前記制御ポリシが前記自動制御ポリシの場合には、前記車両に自動運転させるように制御させ、特定された前記制御ポリシが前記遠隔制御ポリシの場合には、前記車両を遠隔制御するように制御させる、
ことをコンピュータに実行させる付記22~24のいずれかに記載の管制プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0115】
(付記26)
前記情報は、前記車両の前方の映像情報であり、
前記車両の状態を解析させる際に、
認識した道路及び交差点を含む交通環境において、認識した周辺車両または周辺人物と衝突する危険度を、前記車両の状態として解析させ、
前記制御ポリシを特定させる際に、
前記危険度が閾値以上の場合に、前記制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定させる、
ことをコンピュータに実行させる付記25に記載の管制プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0116】
(付記27)
前記情報は、前記車両の車内の映像情報であり、
前記車両の状態を解析させる際に、
前記車内の乗客の動作及び前記乗客の状態の緊急度の状態を、前記車両の状態として解析させ、
前記制御ポリシを特定させる際に、
前記緊急度が閾値以上の場合に、前記制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定させる、
ことをコンピュータに実行させる付記25に記載の管制プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0117】
(付記28)
前記車両は、バスであり、
前記情報は、前記車両の車内の映像情報であり、
前記車両の状態を解析させる際に、
前記車内の乗客及び前記乗客の姿勢を、前記車両の状態として解析させ、
前記制御ポリシを特定させる際に、
前記乗客が所定の転倒しやすい人、または、前記姿勢が転倒しやすい姿勢の場合に、前記制御ポリシを遠隔制御ポリシに特定させる、
ことをコンピュータに実行させる付記25に記載の管制プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0118】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0119】
100、200 管制システム
110、210 車両
111、211 センサ
112、212 車両制御部
120、220 管制装置
120c、220c 管制センタ
121、221 解析部
122、222 特定部
123、223 遠隔制御部
213、224 学習器
NW ネットワーク
図1
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図10