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特許7589756システム、仲介サーバ、サービス提案方法及びコンピュータプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】システム、仲介サーバ、サービス提案方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241119BHJP
   G06Q 50/22 20240101ALI20241119BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/22
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022575117
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(86)【国際出願番号】 JP2021044026
(87)【国際公開番号】W WO2022153699
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】P 2021005437
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄亮
(72)【発明者】
【氏名】光畑 泰正
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅視
(72)【発明者】
【氏名】道下 由梨香
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-187764(JP,A)
【文献】特開2002-132816(JP,A)
【文献】特開2020-060803(JP,A)
【文献】特開2002-304541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービス事業者間のデータ共有を制御する、流通制御サーバと、
第1のサービス事業者が利用者にサービスを提供することで生じるデータを記憶する、第1のサービスサーバと、
所定の個人状態パラメータを入力すると、少なくともサービス事業者及びサービスメニューを出力するマッチングモデルが実装された、仲介サーバと、
を含み、
前記仲介サーバに実装されたマッチングモデルは、前記個人状態パラメータが増減されて再生成されたマッチングモデルにより更新され、
前記仲介サーバは、
複数の前記利用者の前記個人状態パラメータを前記データ共有により前記第1のサービスサーバから取得し、
前記取得した個人状態パラメータを前記マッチングモデルに入力することで得られる結果を複数の前記利用者に提案し、
複数の前記利用者それぞれについて前記提案されたサービスが選択された割合をマッチング率として算出し、
前記マッチング率に基づいて複数の前記利用者をグループ分けする、システム。
【請求項2】
前記仲介サーバは、前記利用者に提案されたサービスの詳細を含むサービス利用パスを前記利用者に発行する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
第2のサービス事業者が管理する、第2のサービスサーバをさらに含み、
前記第2のサービスサーバは、前記仲介サーバが発行した前記サービス利用パスを提示する利用者にサービスを提供すると、前記利用者にサービスを提供した事実をサービス利用記録として記憶する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記仲介サーバは、前記サービス利用記録を前記データ共有により前記第2のサービスサーバから取得すると、前記第2のサービス事業者に対して送客料の請求を行う、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記マッチングモデルは、複数の利用者からなるグループごとに、又は、1人の利用者について前記個人状態パラメータが調整されて再生成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
サービス事業者間のデータ共有を制御する流通制御サーバと、第1のサービス事業者が利用者にサービスを提供することで生じるデータを記憶する第1のサービスサーバと、通信する、通信制御手段と、
所定の個人状態パラメータを入力すると、少なくともサービス事業者及びサービスメニューを出力するマッチングモデルを用いて、前記利用者にサービスを提案する、サービス提案手段と、
を備え、
前記マッチングモデルは、前記個人状態パラメータが増減されて再生成されたマッチングモデルにより更新され、
前記サービス提案手段は、
複数の前記利用者の前記個人状態パラメータを前記データ共有により前記第1のサービスサーバから取得し、
前記取得した個人状態パラメータを前記マッチングモデルに入力することで得られる結果を複数の前記利用者に提案し、
複数の前記利用者それぞれについて前記提案されたサービスが選択された割合をマッチング率として算出し、
前記マッチング率に基づいて複数の前記利用者をグループ分けする、仲介サーバ。
【請求項7】
サービス事業者間のデータ共有を制御する流通制御サーバと、第1のサービス事業者が利用者にサービスを提供することで生じるデータを記憶する第1のサービスサーバと、通信し、所定の個人状態パラメータを入力すると、少なくともサービス事業者及びサービスメニューを出力するマッチングモデルが実装された、仲介サーバにおいて、
複数の前記利用者の前記個人状態パラメータを前記データ共有により前記第1のサービスサーバから取得し、
前記取得した個人状態パラメータを前記マッチングモデルに入力することで得られる結果を複数の前記利用者に提案し、
複数の前記利用者それぞれについて前記提案されたサービスが選択された割合をマッチング率として算出し、
前記マッチング率に基づいて複数の前記利用者をグループ分けし、
前記仲介サーバに実装されたマッチングモデルは、前記個人状態パラメータが増減されて再生成されたマッチングモデルにより更新される、サービス提案方法。
【請求項8】
サービス事業者間のデータ共有を制御する流通制御サーバと、第1のサービス事業者が利用者にサービスを提供することで生じるデータを記憶する第1のサービスサーバと、通信し、所定の個人状態パラメータを入力すると、少なくともサービス事業者及びサービスメニューを出力するマッチングモデルが実装された、仲介サーバに搭載されたコンピュータに、
複数の前記利用者の前記個人状態パラメータを前記データ共有により前記第1のサービスサーバから取得する処理と、
前記取得した個人状態パラメータを前記マッチングモデルに入力することで得られる結果を複数の前記利用者に提案する処理と、
複数の前記利用者それぞれについて前記提案されたサービスが選択された割合をマッチング率として算出する処理と、
前記マッチング率に基づいて複数の前記利用者をグループ分けする処理と、
を実行させ
前記マッチングモデルは、前記個人状態パラメータが増減されて再生成されたマッチングモデルにより更新される、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、仲介サーバ、サービス提案方法及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
病院などに保有されている個人情報を、個人の同意に基づき事業者などの情報提供先の装置に提供する情報流通システムが存在する。このようなシステムでは、例えば、情報銀行などが管理する情報取引装置、情報提供元の企業が管理する情報提供元装置、情報提供先が管理する情報提供先装置がされる。情報取引装置は、情報提供元装置から取得した個人情報を記憶する。情報取引装置は、記憶した個人情報のなかから活用事業者等が希望する個人情報を情報提供先装置へ送信する。
【0003】
特許文献1及び2には、情報流通システム等に関する技術が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、厳正な本人確認を行う個人情報システムがハブとなり、蓄積された膨大な個人情報を実在の個人に対応づけて利活用できるシステムを提供する、と記載されている。特許文献1の個人情報管理サーバは、利用者の電子証明書を保持し、利用者からのログイン要求を受信すると、電子証明書を使用して利用者の認証に成功したか否かを判定する。個人情報管理サーバは、利用者によって入力された、第1の事業者が保持する利用者の個人情報を第2の事業者に提供することを許諾する利用許諾登録要求を受信した場合、利用者と第1の事業者と第2の事業者とを対応付ける利用許諾情報を格納する。個人情報管理サーバは、第2の事業者のサービスの利用要求を受信した場合、利用許諾情報に基づいて、第1の事業者に対し利用者の個人情報の提供を要求する。個人情報管理サーバは、第2の事業者に対して、第1の事業者から受信した利用者の個人情報を提供すると共に、利用者にサービスを提供することを第2の事業者に要求する。
【0005】
特許文献2には、複数の医療施設などで医療情報を共有することが可能な情報処理システム及び情報処理システムの制御方法を提供する、と記載されている。特許文献2の情報処理システムは、同意者情報記憶部と、医療情報記憶部と、同意者情報抽出部と、同意者情報特定部と、医療情報送信部と、を備える。同意者情報記憶部は、医療施設の端末がアクセス可能な情報記憶装置から抽出された、医療施設情報と患者の識別情報とが紐付けられた同意者情報を記憶する。医療情報記憶部は、医療施設から医療関連サービスを依頼された医療関連サービス提供施設の端末がアクセス可能な医療情報記憶部であって、医療施設情報と患者の識別情報と依頼された医療関連サービスの情報とが紐付けられた医療情報を記憶する。同意者情報抽出部は、同意者情報記憶部に記憶した同意者情報から、医療情報記憶部に記憶した医療施設情報を有する同意者情報を抽出する。同意者情報特定部は、医療情報のうち、抽出した同意者情報の患者の識別情報を有する医療情報を特定する。医療情報送信部は、特定した医療情報を情報記憶装置に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-181275号公報
【文献】特開2020-038715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように個人情報を流通するシステムが存在する。情報流通システムは、利用者にサービスを提供することで生じたデータが、各サービス提供者に点在する。このような各所に点在するデータを有効活用して、利用者の利便性を向上させることが求められている。
【0008】
本発明は、情報流通システムに参加する利用者の利便性を向上させることに寄与する、システム、仲介サーバ、サービス提案方法及び記録媒体を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の視点によれば、サービス事業者間のデータ共有を制御する、流通制御サーバと、第1のサービス事業者が利用者にサービスを提供することで生じるデータを記憶する、第1のサービスサーバと、所定の個人状態パラメータを入力すると、少なくともサービス事業者及びサービスメニューを出力するマッチングモデルが実装された、仲介サーバと、を含み、前記仲介サーバは、前記利用者の前記個人状態パラメータを前記データ共有により前記第1のサービスサーバから取得し、前記取得した個人状態パラメータを前記マッチングモデルに入力することで得られる結果を前記利用者に提案する、システムが提供される。
【0010】
本発明の第2の視点によれば、サービス事業者間のデータ共有を制御する流通制御サーバと、第1のサービス事業者が利用者にサービスを提供することで生じるデータを記憶する第1のサービスサーバと、通信する、通信制御手段と、所定の個人状態パラメータを入力すると、少なくともサービス事業者及びサービスメニューを出力するマッチングモデルを用いて、前記利用者にサービスを提案する、サービス提案手段と、を備え、前記サービス提案手段は、前記利用者の前記個人状態パラメータを前記データ共有により前記第1のサービスサーバから取得し、前記取得した個人状態パラメータを前記マッチングモデルに入力することで得られる結果を前記利用者に提案する、仲介サーバが提供される。
【0011】
本発明の第3の視点によれば、サービス事業者間のデータ共有を制御する流通制御サーバと、第1のサービス事業者が利用者にサービスを提供することで生じるデータを記憶する第1のサービスサーバと、通信し、所定の個人状態パラメータを入力すると、少なくともサービス事業者及びサービスメニューを出力するマッチングモデルが実装された、仲介サーバにおいて、前記利用者の前記個人状態パラメータを前記データ共有により前記第1のサービスサーバから取得し、前記取得した個人状態パラメータを前記マッチングモデルに入力することで得られる結果を前記利用者に提案する、サービス提案方法が提供される。
【0012】
本発明の第4の視点によれば、サービス事業者間のデータ共有を制御する流通制御サーバと、第1のサービス事業者が利用者にサービスを提供することで生じるデータを記憶する第1のサービスサーバと、通信し、所定の個人状態パラメータを入力すると、少なくともサービス事業者及びサービスメニューを出力するマッチングモデルが実装された、仲介サーバに搭載されたコンピュータに、前記利用者の前記個人状態パラメータを前記データ共有により前記第1のサービスサーバから取得する処理と、前記取得した個人状態パラメータを前記マッチングモデルに入力することで得られる結果を前記利用者に提案する処理と、を実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の各視点によれば、情報流通システムに参加する利用者の利便性を向上させることに寄与する、システム、仲介サーバ、サービス提案方法及び記録媒体が提供される。なお、本発明の効果は上記に限定されない。本発明により、当該効果の代わりに、又は当該効果と共に、他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態の概要を説明するための図である。
図2】第1の実施形態に係る情報流通システムの概略構成の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る情報流通システムの概略動作を説明するための図である。
図4】第1の実施形態に係る情報流通システムの概略動作を説明するための図である。
図5】第1の実施形態に係る情報流通システムの概略動作を説明するための図である。
図6】第1の実施形態に係る情報流通システムの概略動作を説明するための図である。
図7A】第1の実施形態に係る情報流通システムの概略動作を説明するための図である。
図7B】第1の実施形態に係る情報流通システムの概略動作を説明するための図である。
図8A】第1の実施形態に係る情報流通システムの概略動作を説明するための図である。
図8B】第1の実施形態に係る情報流通システムの概略動作を説明するための図である。
図9A】第1の実施形態に係る情報流通システムの概略動作を説明するための図である。
図9B】第1の実施形態に係る情報流通システムの概略動作を説明するための図である。
図10】第1の実施形態に係る情報流通システムの概略動作を説明するための図である。
図11】第1の実施形態に係る流通制御サーバの処理構成の一例を示す図である。
図12A】第1の実施形態に係る利用者情報データベースの一例を示す図である。
図12B】第1の実施形態に係る利用者情報データベースの一例を示す図である。
図13】第1の実施形態に係る所在情報データベースの一例を示す図である。
図14】第1の実施形態に係るサービスサーバの処理構成の一例を示す図である。
図15】第1の実施形態に係る蓄積データベースの一例を示す図である。
図16】第1の実施形態に係る仲介サーバの処理構成の一例を示す図である。
図17】第1の実施形態に係るジムサーバの処理構成の一例を示す図である。
図18】第1の実施形態に係る端末の処理構成の一例を示す図である。
図19】第1の実施形態に情報流通システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図20】第2の実施形態に係る仲介サーバの処理構成の一例を示す図である。
図21】第3の実施形態に係る仲介サーバの処理構成の一例を示す図である。
図22】本願開示に係る仲介サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
はじめに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。また、特段の釈明がない場合には、各図面に記載されたブロックはハードウェア単位の構成ではなく、機能単位の構成を表す。各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複説明が省略され得る。
【0016】
一実施形態に係るシステムは、流通制御サーバ101と、第1のサービスサーバ102と、仲介サーバ103と、を含む(図1参照)。流通制御サーバ101は、サービス事業者間のデータ共有を制御する。第1のサービスサーバ102は、第1のサービス事業者が利用者にサービスを提供することで生じるデータを記憶する。仲介サーバ103には、所定の個人状態パラメータを入力すると、少なくともサービス事業者及びサービスメニューを出力するマッチングモデルが実装される。仲介サーバ103は、利用者の個人状態パラメータをデータ共有により第1のサービスサーバ102から取得し、取得した個人状態パラメータをマッチングモデルに入力することで得られる結果を利用者に提案する。
【0017】
仲介サーバ103は、利用者にサービスの提案を行う際、情報流通システムの各所(各サービス事業者)に点在する利用者のデータ(個人状態パラメータに対応するデータ)を取得する。仲介サーバ103は、取得した個人状態パラメータを事前に用意されたマッチングモデルに入力することで、利用者に適したサービスの提案を行う。その結果、情報流通システムに参加する利用者の利便性が向上する。
【0018】
以下に具体的な実施形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0019】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0020】
[システムの構成]
図2は、第1の実施形態に係る情報流通システムの概略構成の一例を示す図である。図2に示すように、情報流通システムの参加メンバー(アクター)には、情報流通事業者と、サービス事業者と、が含まれる。
【0021】
情報流通事業者は、サービス事業者間のデータ流通を制御する主体である。情報流通事業者は、少なくとも1以上の流通制御サーバ10を含む。
【0022】
流通制御サーバ10は、サービス事業者間のデータ流通を制御(実現)する装置である。
【0023】
サービス事業者は、個人にサービスを提供する主体である。サービス事業者は、民間の事業者であってもよいし公的機関であってもよい。サービス事業者には、例えば、医療機関(病院、薬局等)、小売業者、顧客に語学、スポーツ、芸術等を教える教育事業者等が例示される。
【0024】
サービス事業者のなかには、利用者と他のサービス事業者を仲介する仲介業者が含まれる。仲介業者は、利用者(消費者)に適した他社サービスの提案(推薦)を行う。より具体的には、仲介業者は、自社で企画したサービスを実現する他のサービス事業者、サービス内容(サービスメニュー)を利用者に提案する。
【0025】
各サービス事業者は、顧客にサービスを提供するためのサービスサーバ20を備える。サービスサーバ20は、第1のサービスサーバを構成し、サービス事業者が利用者にサービスを提供することで生じるデータ(ユーザデータ)を記憶(蓄積)する。情報流通システムに含まれるサービスサーバ20のうちサービス事業者Aが備えるサーバをサービスAサーバ20-1、サービス事業者Bが備えるサーバをサービスBサーバ20-2、仲介業者が備えるサーバを仲介サーバ21と表記する。また、後述するスポーツジムAが備えるサーバをジムサーバ22と表記する。
【0026】
情報流通システムを利用する利用者は、端末30を使用する。
【0027】
図2に示す各装置はネットワークを介して相互に接続されている。例えば、流通制御サーバ10とサービスサーバ20は、有線又は無線の通信手段により接続され、相互に通信が可能となるように構成されている。
【0028】
図2に示す構成は例示であって、本願開示の情報流通システムの構成等を限定する趣旨ではない。例えば、情報流通事業者には2台以上の流通制御サーバ10が含まれていてもよい。また、各サービス事業者が複数のサービスサーバ20を備えていてもよい。
【0029】
[システムの動作概略]
続いて、第1の実施形態に係る情報流通システムの概略動作について説明する。初めに、第1の実施形態に係る情報流通システムの基本的な動作を説明する。その後、仲介業者によるサービスの提案について説明する。
【0030】
情報流通システムにおけるデータ流通の手段として「共有」が存在する。
【0031】
「共有」は、サービス事業者が、他のサービス事業者により蓄積されたデータを取得するための手段である。例えば、サービス事業者Aのサービス提供結果を仲介業者が取得する際に「共有」によるデータ流通が用いられる。
【0032】
「共有」は、サービス利用者自身の利便性の向上に用いられるため、原則としてデータ流通に対する対価は発生しない。即ち、「共有」は、利用者がサービス事業者からより良いサービスの提供を受けるため他のサービス事業者が蓄積したデータを活用するために使用される。
【0033】
<利用者登録>
共有によるデータ流通を実現するためには、利用者は事前にシステム登録を行う必要がある(図3参照)。
【0034】
利用者は、システム参加時に利用者登録を行う。利用者は、所持する端末30を操作して、自身の個人情報(氏名、連絡先等)を流通制御サーバ10に入力する。
【0035】
流通制御サーバ10は、当該利用者を識別するためのユーザID(Identifier)を生成し、当該生成されたユーザIDを利用者に払い出す。流通制御サーバ10は、生成したユーザIDと取得した個人情報(氏名等)を対応付けて記憶する。より具体的には、流通制御サーバ10は、「利用者情報データベース」にユーザIDと個人情報を対応付けて記憶する。利用者情報データベースの詳細は後述する。
【0036】
<個人識別コードの送信>
利用者登録が完了すると、利用者は、サービス事業者からサービスの提供を受ける(図4参照)。利用者は、サービス事業者からサービスの提供を受ける際、自身の氏名等をサービス事業者に伝える。
【0037】
利用者は、例えば、サービス事業者Aから健康診断を受ける。例えば、サービス事業者Aは、利用者の体重、身長、体脂肪率、BMI(Body Mass Index)等のデータを取得する。
【0038】
サービス事業者は、新規な顧客(利用者)に対してサービスを提供する際には、当該新規な利用者を識別するための「個人識別コード」を生成する。流通制御サーバ10から定期的又は所定のタイミングで、システム登録者の氏名が送信されてくるので、サービスAサーバ20-1は、当該氏名の送信に応答する形で新規な顧客の情報(利用者情報)を流通制御サーバ10に送信する。
【0039】
利用者情報には、上記生成された利用者の個人識別コードと、サービス事業者の事業者コードが含まれる。事業者コードは、情報流通システムに参加するサービス事業者を識別するための識別情報(ID)である。
【0040】
例えば、図2に示すサービス事業者A(サービスAサーバ20-1)とサービス事業者B(サービスBサーバ20-2)には異なるコードが割り当てられる。なお、事業者コードは、任意の手段により情報流通事業者とサービス事業者の間で共有される。また、理解の容易のため図面を含む説明において、サービス事業者Aの事業者コードを「サービスA」、サービス事業者Bの事業者コードを「サービスB」と表記する。
【0041】
流通制御サーバ10は、取得した個人識別コードを利用者情報データベースに記憶する。
【0042】
<データの蓄積及び所在情報の送信>
サービス事業者は、利用者にサービスを提供することに伴い生じるデータを蓄積する。例えば、図5に示すように、サービス事業者Aが、利用者U1~U3の健康診断を行うと、その際の測定結果(体重、BMI等)や診断結果(病名等)を各利用者に通知すると共に、これらのデータを利用者ごとに蓄積する。
【0043】
サービス事業者A(サービスAサーバ20-1)は、各利用者の個人識別コードとサービス提供の結果得られたデータを対応付けて記憶する。例えば、図5の例では、サービスAサーバ20-1は、「蓄積データベース」を用いて利用者U1~U3それぞれの個人識別コードと測定結果(BMI等)や診断結果を対応付けて記憶する。なお、蓄積データベースの詳細は後述する。
【0044】
サービス事業者は、データ(サービス提供の結果生じるデータ)を蓄積するたびに、「所在情報」を流通制御サーバ10に送信する。所在情報は、サービス事業者に蓄積されたデータの保管場所(データの蓄積主体;サービス事業者)等に関する情報である。所在情報には、個人識別コード、事業者コード、蓄積したデータの種類等が含まれる。
【0045】
流通制御サーバ10は、取得した所在情報を「所在情報データベース」に記憶する。所在情報データベースの詳細は後述する。当該データベースは、個人識別コード、事業者コード及びデータ種類を対応付けて記憶する。
【0046】
<共有によるデータ流通>
他のサービス事業者が蓄積したデータ(他のサービス事業者が利用者にサービスを提供した結果生じたデータ)の取得を希望するサービス事業者は、「共有」によって当該データを取得する。
【0047】
ここでは、図6を参照しつつ、サービス事業者Bが、サービス事業者Aに蓄積された利用者U1のデータ(例えば、体脂肪率)を「共有」により取得する場合について説明する。
【0048】
サービス事業者B(サービスBサーバ20-2)は、「共有要請」を流通制御サーバ10に送信する(S1)。
【0049】
流通制御サーバ10は、共有要請に基づいて、データ流通の対象者(利用者U1)と流通させるデータの蓄積者(サービス事業者A)を特定する。流通制御サーバ10は、特定された対象者(利用者U1)が所持する端末30に対して、データ共有に関する問合せを送信する(S2)。
【0050】
データ共有の問合せを受信した端末30は、データ共有に関する利用者の意思を取得する。例えば、端末30は、GUI(Graphical User Interface)を用いて利用者U1の意思を取得する。上記の例では、端末30は、「サービス事業者Aのデータをサービス事業者Bへ共有することで、より良いサービスが受けられます。共有しますか?」といった内容のGUIを表示し、利用者の意思(データ共有に同意、不同意)を取得する。
【0051】
端末30は、データ共有の問合せに対する応答(データ共有に同意、又は、データ共有を拒否)を流通制御サーバ10に送信する(S3)。
【0052】
利用者の同意が得られれば、流通制御サーバ10は、データ蓄積者(サービス事業者A)に対して共有指示を送信する(S4)。
【0053】
共有指示を受信したサービス事業者A(サービスAサーバ20-1)は、蓄積データベースを参照し、利用者U1のデータ(例えば、体脂肪率)を指定されたデータ共有先であるサービスBサーバ20-2に送信する(S5)。
【0054】
続いて、仲介業者が利用者に情報提供(他社サービスの提案)をする場合について説明する。
【0055】
<仲介業者による事前準備>
仲介業者は、利用者に提案するサービスの企画を行う。例えば、「健康痩身サービス」といったサービスを企画する。
【0056】
次に、仲介業者は、企画サービスの実現に用いられるパラメータ(以下、個人状態パラメータと表記する)を定義する。例えば、「達成度」、「リスク」、「楽しみ」、「生活」等が個人状態パラメータとして定義される。個人状態パラメータは、利用者に対して提案するサービスの決定に考慮されるパラメータである。
【0057】
次に、仲介業者は、個人状態パラメータを構成するデータ種類を特定する。例えば、達成度に対する「BMI」、リスクに対する「年齢」、「楽しみ」に対する「スポーツ経験」、生活に対する「勤務時間帯」といったデータ種類を特定する。このように、仲介業者は、個人状態パラメータに対応するデータ種類(個人状態パラメータを表現するデータ種類)を決定する。
【0058】
次に、仲介業者は、企画したサービス(例えば、健康痩身サービス)を実現するために提案するサービス事業者のカテゴリを定義する。例えば、健康に痩せるための手段として、「運動による痩身」と「サプリによる痩身」が考えらえるので、この2つの手段を提供可能なサービス事業者のカテゴリを決定する。例えば、前者の例では「スポーツジム」、後者の例では「サプリメントストア」が例示される。
【0059】
仲介業者は、決定されたカテゴリに属するサービス事業者からヒアリングを行い、各サービス事業者から提供可能なサービスを「サービスパラメータ」により定義する。例えば、仲介業者は、図7A及び図7Bに示すように、各サービス事業者についてサービスパラメータを決定する。
【0060】
その後、仲介業者と各サービス事業者は、顧客カテゴリとレコメンド対象となるサービスメニューの組み合わせについて決定する。仲介業者と各サービス事業者が協議することで、例えば、図8A図8B図9A、及び図9Bに示すような顧客カテゴリとレコメンド対象メニューが生成される。顧客カテゴリは、利用者の属性に基づいて定められる。
【0061】
なお、図8AはスポーツジムAと仲介業者により決定された顧客カテゴリとサービスメニューの一例である。図8BはスポーツジムBと仲介業者により決定された顧客カテゴリとサービスメニューの一例である。図9AはサプリストアXと仲介業者により決定された顧客カテゴリとサービスメニューの一例である。図9BはサプリストアYと仲介業者により決定された顧客カテゴリとサービスメニューの一例である。
【0062】
仲介業者は、マッチングモデルを生成する。具体的には、個人状態パラメータ(体脂肪率、BMI等)を入力すると提案するサービスの詳細(サービスカテゴリ、サービス事業者、サービスメニュー)を出力するようなマッチングモデルを生成する。あるいは、個人状態パラメータにラベル(提案するサービスカテゴリ、サービス事業者、サービスメニュー)が付与された学習モデルを用いた機械学習によりマッチングモデルが生成されてもよい。
【0063】
生成されたマッチングモデルに個人状態パラメータを入力すると、提案するサービスカテゴリ(例えば、スポーツジム、サプリストア)、サービス事業者(例えば、スポーツジムA、スポーツジムB、サプリストアX、サプリストアY)、サービスメニュー(基本コース、上級コース、ダイエットコース)が出力される。
【0064】
仲介業者は、生成したマッチングモデルを仲介サーバ21に実装する。
【0065】
上記の手順により、仲介業者(仲介サーバ21)が利用者の要望に適したサービスカテゴリ、サービス事業者、サービスメニューを提案(推薦)する準備が整う。
【0066】
<情報提案の概略動作>
続いて、図10を参照にしつつ、仲介業者が利用者にサービスを提案する際の動作に関する概略を説明する。
【0067】
利用者は、端末30を操作して仲介サーバ21にアクセスし、仲介業者により企画されたサービス(例えば、健康痩身サービス)の情報を取得する。利用者は、取得した情報に基づき企画サービス(例えば、健康痩身サービス)を選択しサービスの提案を要求する(S11)。
【0068】
仲介サーバ21は、利用者がサービスの提案を希望すると、企画されたサービスに用いられる個人状態パラメータのデータ種類(例えば、体脂肪率、BMI等)を「共有」によりサービスサーバ20から取得する(S12)。
【0069】
仲介サーバ21は、取得したデータ(利用者の体脂肪率、BMI等)をマッチングモデルに入力し、推薦するサービスカテゴリ、サービス事業者、サービスメニューを取得する。
【0070】
仲介サーバ21は、顧客カテゴリ、取得したサービスカテゴリ、サービス事業者、サービス事業者の提供するサービスメニュー等を含む「サービス利用パス」を利用者(利用者の端末30)に発行する(S13)。
【0071】
利用者は、端末30を操作して発行されたサービス利用パスを確認する。利用者は、サービス利用パスに記載されたサービス事業者に赴き、サービス利用パスをサービス事業者に提示する。ここでは、スポーツジムAがサービス事業者として提案された場合を考える。利用者は、サービス利用パスをスポーツジムAのジムサーバ22に提示する(S14)。
【0072】
サービス事業者(スポーツジムA)は、利用者にサービスを提供する(S15)。利用者は仲介業者から提案されたサービスの提供を受ける。
【0073】
サービス利用パスを提示する利用者に対してサービスを提供したサービス事業者は、当該事実を「サービス利用記録」として記憶(蓄積)する。なお、サービス利用パスには「顧客カテゴリ」が記載されている。サービス利用パスを提示されたサービス事業者は、当該顧客カテゴリを閲覧することで、事前に利用者の特性を把握することができる。
【0074】
仲介サーバ21は、定期的又は所定のタイミングで、サービス事業者が蓄積した「サービス利用記録」を「共有」により取得する(S16)。
【0075】
仲介サーバ21は、自装置からの提案に従ったサービスの提供が行われた場合には、サービス事業者に対して手数料(送客料)の請求を行う(S17)。
【0076】
なお、仲介サーバ21から提案されたサービスの提供を受けた利用者は、その評価を仲介サーバ21に入力することができる。
【0077】
仲介サーバ21は、個人状態パラメータの一部(例えば、達成度)に関するデータ(例えば、BMI等)を「共有」により取得し、提案したサービスの評価を行ってもよい。仲介サーバ21は、サービスの評価結果をサービス事業者に通知してもよい。サービス事業者は、評価結果に基づきサービスの改善を行う。
【0078】
このように、第1の実施形態に係る流通制御サーバ10は、サービス事業者間のデータ共有を制御する。サービスサーバ20は、第1のサービス事業者が利用者にサービスを提供することで生じるデータを記憶する。仲介サーバ21には、仲介業者が企画したサービスの実現に用いられる個人状態パラメータを入力すると、サービスカテゴリ、サービス事業者及びサービスメニューを出力するマッチングモデルが実装されている。仲介サーバ21は、利用者の個人状態パラメータをデータ共有によりサービスサーバ20から取得し、当該取得した個人状態パラメータをマッチングモデルに入力することで得られる結果(提案サービスの詳細)を利用者に提案する。その際、仲介サーバ21は、利用者に提案されたサービスの詳細を含むサービス利用パスを利用者に発行する。ジムサーバ22(第2のサービス事業者により管理される第2のサービスサーバ)は、仲介サーバ21が発行したサービス利用パスを提示する利用者にサービスを提供すると、当該利用者にサービスを提供した事実をサービス利用記録として記憶する。仲介サーバ21は、サービス利用記録をデータ共有によりジムサーバ22から取得すると、第2のサービス事業者に対して送客料の請求を行う。
【0079】
続いて、第1の実施形態に係る情報流通システムに含まれる各装置の詳細について説明する。
【0080】
[流通制御サーバ]
図11は、第1の実施形態に係る流通制御サーバ10の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図11を参照すると、流通制御サーバ10は、通信制御部201と、利用者登録部202と、個人識別コード管理部203と、所在情報管理部204と、データ流通制御部205と、記憶部206と、を備える。
【0081】
通信制御部201は、他の装置との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部201は、サービスサーバ20からデータ(パケット)を受信する。また、通信制御部201は、サービスサーバ20に向けてデータを送信する。通信制御部201は、他の装置から受信したデータを他の処理モジュールに引き渡す。通信制御部201は、他の処理モジュールから取得したデータを他の装置に向けて送信する。このように、他の処理モジュールは、通信制御部201を介して他の装置とデータの送受信を行う。
【0082】
利用者登録部202は、上述の利用者登録(利用者のシステム登録)を実現する手段である。利用者登録部202は、利用者の端末30から個人情報(氏名、連絡先等)を取得する。
【0083】
利用者登録部202は、当該個人情報を取得すると、利用者を識別するためのユーザIDを生成する。例えば、利用者登録部202は、利用者のシステム登録のたびに一意な値を採番し、ユーザIDとして用いる。
【0084】
利用者登録部202は、ユーザIDと個人情報を利用者情報データベースに記憶する(図12A及び図12B参照)。例えば、利用者U1について利用者登録がなされると、図12Aの最下段に示されるエントリが追加される。
【0085】
利用者登録部202は、生成したユーザIDを端末30に送信する。
【0086】
個人識別コード管理部203は、流通制御サーバ10とサービスサーバ20の間で送受信される「個人識別コード」を管理する手段である。個人識別コード管理部203は、定期的又は所定のタイミングにおいて、利用者登録が完了している利用者を特定する情報(例えば、氏名)を各サービス事業者(サービスサーバ20)に送信する。
【0087】
個人識別コード管理部203は、当該氏名の送信に応じてサービスサーバ20から利用者情報を受信する。上述のように、利用者情報には、個人識別コードと事業者コードが含まれる。個人識別コード管理部203は、取得した個人識別コードを利用者情報データベースの対応する事業者コードのフィールドに記憶する。
【0088】
例えば、図3図4のように利用者U1に関する利用者登録が行われると、当該利用者U1の氏名が定期的又は所定のタイミングでサービスAサーバ20-1に送信される。利用者U1の氏名を受信したタイミングで当該利用者U1の個人識別コードが生成されていれば、サービスAサーバ20-1は、提示された氏名に対する応答として、利用者情報を流通制御サーバ10に送信する。
【0089】
個人識別コード管理部203は、利用者情報から利用者U1の個人識別コードとサービス事業者Aの事業者コードを取り出し、当該個人識別コードを利用者情報データベースに記憶する。上述の例では、図12Bに示す利用者情報データベースの最下段のエントリにおけるサービスAフィールド(サービス事業者Aのフィールド)に利用者U1の個人識別コードとして「IDA1」が設定される。
【0090】
このように、個人識別コード管理部203は、利用者のユーザIDと各サービス事業者(サービスサーバ20)が生成した個人識別コードを対応付けて記憶する。サービス事業者が異なれば生成される個人識別コードが異なるので、利用者情報データベースは、サービス事業者ごとに個人識別コードを記憶する。
【0091】
所在情報管理部204は、サービス事業者から取得する所在情報を管理する手段である。所在情報管理部204は、各サービスサーバ20から取得した所在情報を所在情報データベースに記憶する(図13参照)。図13に示すように、所在情報データベースは、個人識別コード、事業者コード、データ種類を対応付けて記憶する。
【0092】
データ流通制御部205は、「共有」によるデータ流通を制御する手段である。
【0093】
データ流通制御部205は、サービスサーバ20から共有要請を受信する。共有要請には、データ取得の対象となる利用者の個人識別コード、共有要請の送信元の事業者コード、取得を希望するデータ種類が含まれる。図6の例では、サービスBサーバ20-2が利用者U1に対して生成した個人識別コード、サービス事業者Bの事業者コード、データ種類として「体脂肪率」が共有要請に含まれる。
【0094】
データ流通制御部205は、共有要請に含まれる個人識別コード、事業者コードに基づいてデータ流通の対象者を特定する。具体的には、データ流通制御部205は、図12A及び図12Bに示す利用者情報データベースを参照し、当該対象者を特定する。上記の例では、サービス事業者Bから「IDB1」の個人識別コードを含む共有要請を受信すると、データ流通制御部205は、図12Bの最下段のエントリから利用者U1がデータ流通の対象者であることを把握する。
【0095】
その後、データ流通制御部205は、特定された利用者の個人識別コードと共有要請に含まれるデータ種類を用いて必要なデータを蓄積しているサービス事業者を特定する。具体的には、データ流通制御部205は、図13に示す所在情報データベースを参照し、共有要請に含まれるデータ種類に対応するデータを蓄積するサービス事業者を特定する。上記の例では、利用者U1の個人識別コード「IDA1」と共有要請に含まれるデータ種類「体脂肪率」に基づき、サービス事業者Aが特定される。
【0096】
なお、利用者の個人識別コードと共有要請に含まれるデータ種類の組み合わせが所在情報データベースに記憶されていない場合には、データ流通制御部205は、共有要請の送信元に対してデータ共有不可を示す否定応答を送信する。上記の例では、利用者U1の識別コード「IDA1」とデータ種類「体脂肪率」の組み合わせが所在情報データベースに登録されていなければ、否定応答がサービスBサーバ20-2に送信される。
【0097】
データ流通の対象者と流通させるデータの蓄積者が特定されると、データ流通制御部205は、当該特定された対象者に対してデータ共有に関する問合せを行う。データ流通制御部205は、特定された対象者の連絡先に対して、上記問合せを送信する。上記の例では、利用者U1が所持する端末30に上記問合せが送信される。
【0098】
なお、データ共有の問合せには、データ共有の要請元、データ蓄積者、データ共有されるデータ種類等の情報が含まれる。上記の例では、データ共有の要請元としてサービス事業者B、データ蓄積者としてサービス事業者A、データ共有されるデータ種類として「体脂肪率」がそれぞれ設定される。
【0099】
データ流通制御部205は、データ共有の問合せに対する応答を端末30から受信する。
【0100】
利用者がデータ共有を拒否している場合には、データ流通制御部205は、その旨をデータ共有要請元に通知する。上記の例では、データ流通制御部205は、サービスBサーバ20-2に対して共有要請に対する否定応答を送信する。
【0101】
利用者がデータ共有に同意した場合には、データ流通制御部205は、データ蓄積者に対して共有指示を送信する。上記の例では、データ蓄積者であるサービス事業者AのサービスAサーバ20-1に共有指示が送信される。
【0102】
共有指示には、データ蓄積者が生成した個人識別コードと、データ共有先に関する情報と、データ共有する対象のデータ種類と、が含まれる。上記の例では、利用者U1の個人識別コード「IDA1」と、サービスBサーバ20-2のアドレスと、データ種類「体脂肪率」を含む共有指示がサービスAサーバ20-1に送信される。
【0103】
このように、データ流通制御部205は、データ共有に同意した利用者(対象者)の個人識別コードであってデータ蓄積者が生成した個人識別コードを含む共有指示を送信する。
【0104】
記憶部206は、流通制御サーバ10の動作に必要な情報を記憶する。
【0105】
[サービスサーバ]
図14は、第1の実施形態に係るサービスサーバ20の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図14を参照すると、サービスサーバ20は、通信制御部301と、個人識別コード生成部302と、共有要請部303と、データ蓄積部304と、データ流通部305と、記憶部306と、を備える。
【0106】
通信制御部301は、他の装置との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部301は、流通制御サーバ10からデータ(パケット)を受信する。また、通信制御部301は、流通制御サーバ10に向けてデータを送信する。通信制御部301は、他の装置から受信したデータを他の処理モジュールに引き渡す。通信制御部301は、他の処理モジュールから取得したデータを他の装置に向けて送信する。このように、他の処理モジュールは、通信制御部301を介して他の装置とデータの送受信を行う。
【0107】
個人識別コード生成部302は、個人識別コードを生成する手段である。個人識別コード生成部302は、新規な顧客にサービスを提供する際には、当該顧客の個人識別コードを生成する。
【0108】
個人識別コード生成部302は、流通制御サーバ10から利用者の氏名を受信したことに応じて、対応する利用者情報を送信する。利用者情報には、個人識別コードと事業者コードが含まれる。
【0109】
共有要請部303は、利用者のデータに関する「共有」を流通事業者に要請する手段である。共有要請部303は、共有要請を流通制御サーバ10に送信する。具体的には、共有要請部303は、データ取得の対象となる利用者の個人識別コード、自装置の事業者コード、取得を希望するデータの種類を含む共有要請を流通制御サーバ10に送信する。
【0110】
データ蓄積部304は、利用者に対してサービスを提供した結果生じるデータを蓄積する手段である。データ蓄積部304は、利用者の個人識別コードと当該利用者にサービスを提供した結果生じたデータを対応付けて蓄積データベースに記憶する(図15参照)。
【0111】
図15に示すように、データ蓄積部304は、発生したデータの種類に応じたフィールドに発生データの情報を記憶する。なお、図15は、医療機関(健康診断サービスを提供する病院等)に設置されたサービスサーバ20に構築された蓄積データベースの一例を示す。
【0112】
データ蓄積部304は、データを蓄積データベースに記憶するたびに所在情報を流通制御サーバ10に送信する。例えば、図15の例では、個人識別コード「IDA1」の利用者U1にサービスを提供し、体脂肪率を計測すると、個人識別コード「IDA1」、事業者コード「サービスA」、データ種類「体脂肪率」を含む所在情報が流通制御サーバ10に送信される。
【0113】
データ流通部305は、「共有」によるデータ流通を実現する手段である。データ流通部305は、流通制御サーバ10から受信した「共有指示」を処理する。
【0114】
共有指示を受信した場合には、データ流通部305は、蓄積データベースを参照し、共有指示に含まれる個人識別コード、データ種類に対応するエントリを特定する。例えば、個人識別コード「IDA1」、データ種類「体脂肪率」を含む共有指示を受信した場合には、データ流通部305は、図15の最上段に示されるエントリを特定する。
【0115】
データ流通部305は、特定されたエントリの対応するデータ種類フィールドに記載された蓄積データを共有指示で指定されたデータ共有先に送信する。上記の例では、体脂肪率「BF1%」がサービスBサーバ20-2に送信される。
【0116】
記憶部306は、サービスサーバ20の動作に必要な情報を記憶する。
【0117】
続いて、仲介サーバ21の処理構成について説明する。仲介サーバ21は、サービスサーバ20の一つであり当該サービスサーバ20の機能を包含する。さらに、仲介サーバ21は、図16に示す処理モジュールを備える。
【0118】
図16を参照すると、仲介サーバ21は、サービスサーバ20と同様に通信制御部411等を備え、選択サービス取得部401と、サービス提案部402と、提案サービス管理部403と、をさらに備える。
【0119】
選択サービス取得部401は、仲介業者が企画したサービス(例えば、健康痩身サービス等)のうち利用者が希望するサービスを取得する手段である。選択サービス取得部401は、任意の手段を用いて利用者が希望する企画サービスを取得する。例えば、選択サービス取得部401は、利用者の端末30に企画サービスの一覧を表示するようなGUIを表示し、利用者が希望するサービスを取得する。
【0120】
サービス提案部402は、利用者が希望した企画サービスに適合する他社サービスを提案する手段である。サービス提案部402は、利用者が選択した企画サービスに用いられる個人状態パラメータを「共有」により取得する。例えば、利用者が健康痩身サービスを選択した場合には、サービス提案部402は、図8A及び図8Bに示す個人状態パラメータ(例えば、体脂肪率、BMI等)を共有により取得する。
【0121】
サービス提案部402は、取得した個人状態パラメータを仲介業者が事前に準備したマッチングモデルに入力する。サービス提案部402は、マッチングモデルから利用者の個人状態パラメータに応じたサービスカテゴリ、サービス事業者、サービスメニューを取得する。
【0122】
また、サービス提案部402は、取得した個人情報パラメータに基づき利用者の顧客カテゴリを決定する。例えば、図8Aの例では、利用者が男性であって、体脂肪率がA1%以上、BMIがA2以上であれば、サービス提案部402は、当該利用者の顧客カテゴリを「タイプA2」に設定する。
【0123】
サービス提案部402は、利用者に提案するサービスに関するサービス利用パスを生成する。具体的には、サービス提案部402は、利用パスID、顧客カテゴリ、提案するサービスカテゴリ、サービス事業者、サービスメニューを含むサービス利用パスを生成する。なお、利用パスIDは、生成されたサービス利用パスを一意に定める識別情報である。
【0124】
上記の例では、例えば、顧客カテゴリが「タイプA2」、サービスカテゴリが「スポーツジム」、サービス事業者が「スポーツジムA」、サービスメニューが「上級コース」といった内容のサービス利用パスが生成される。サービス提案部402は、生成したサービス利用パスと利用者の個人識別コードを対応付けて記憶部306に記憶する。
【0125】
サービス提案部402は、任意の手段を用いて当該生成したサービス利用パスを利用者に発行する。例えば、サービス提案部402は、サービス利用パスを端末30が受信可能なメールアドレスに送信してもよい。あるいは、サービス提案部402は、サービス利用パスを二次元コード等に変換し、当該二次元コードを表示してもよい。利用者は、端末30を操作して二次元コードを撮影し、サービス利用パスを取得してもよい。
【0126】
提案サービス管理部403は、利用者に提案したサービスの管理を行う手段である。提案サービス管理部403は、定期的又は所定のタイミングでサービス事業者(例えば、ジムサーバ22)からサービス利用記録を「共有」により取得する。
【0127】
提案サービス管理部403は、共有により利用者に提案したサービス利用パスに対応したサービス利用記録が取得できれば、サービス事業者(スポーツジムA、ジムサーバ22)に送客料の請求を行う。
【0128】
通信制御部411は、サービス事業者間のデータ共有を制御する流通制御サーバ10と、第1のサービス事業者が利用者にサービスを提供することで生じるデータを記憶する第1のサービスサーバ20と、通信する。
【0129】
続いて、ジムサーバ22の処理構成について説明する。ジムサーバ22は、サービスサーバ20の一つであり当該サービスサーバ20の機能を包含する。さらに、ジムサーバ22は、図17に示す処理モジュールを備える。図17では、通信制御部301等の図示を省略している。
【0130】
図17を参照すると、ジムサーバ22は、サービス利用パス取得部501と、サービス管理部502と、をさらに備える。
【0131】
サービス利用パス取得部501は、利用者からサービス利用パスを取得する手段である。サービス利用パス取得部501は、任意の手段を用いて利用者が提示するサービス利用パスを取得する。
【0132】
例えば、サービス利用パス取得部501は、利用者の端末30からメールを受信し、サービス利用パスを取得する。あるいは、サービス利用パス取得部501は、端末30が表示する2次元コード(サービス利用パスが変換されている2次元コード)を撮影してサービス利用パスを取得してもよい。
【0133】
サービス管理部502は、サービス利用パスに従って提供されたサービスを記録する手段である。サービス管理部502は、利用者から提示されたサービス利用パスが自身に向けて提案されたものであれば、当該サービス利用パスを「サービス利用記録」として蓄積データベースに記憶する。
【0134】
サービス管理部502は、仲介サーバ21から送客料の請求を受信した場合には、送客料を支払う。
【0135】
[端末]
図18は、第1の実施形態に係る端末30の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図18を参照すると、端末30は、通信制御部601と、個人情報入力部602と、問合せ処理部603と、サービス選択部604と、サービス利用パス管理部605と、記憶部606と、を備える。
【0136】
通信制御部601は、他の装置との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部601は、流通制御サーバ10からデータ(パケット)を受信する。また、通信制御部601は、流通制御サーバ10に向けてデータを送信する。通信制御部601は、他の装置から受信したデータを他の処理モジュールに引き渡す。通信制御部601は、他の処理モジュールから取得したデータを他の装置に向けて送信する。このように、他の処理モジュールは、通信制御部601を介して他の装置とデータの送受信を行う。
【0137】
個人情報入力部602は、利用者登録の際に個人情報を流通制御サーバ10に入力する手段である。個人情報入力部602は、任意の手段を用いて個人情報(氏名、連絡先等)を流通制御サーバ10に入力する。例えば、個人情報入力部602は、GUIを用いて上記個人情報を取得し、流通制御サーバ10に送信する。
【0138】
個人情報入力部602は、流通制御サーバ10から払い出されたユーザIDを記憶部606に記憶する。
【0139】
問合せ処理部603は、共有によるデータ流通時に流通制御サーバ10から受信する問合せを処理する手段である。問合せ処理部603は、問い合わせの内容に合わせたGUIを用いて利用者の意思(データ送信に同意、不同意)を取得する。問合せ処理部603は、利用者の意思を含む応答を流通制御サーバ10に送信する。
【0140】
サービス選択部604は、仲介サーバ21が提示する企画サービスの利用者による選択を可能とする手段である。サービス選択部604は、仲介サーバ21から企画サービスのリスト等を取得し、当該リストを含むGUI等を表示する。サービス選択部604は、利用者が選択した企画サービスを仲介サーバ21に通知する。
【0141】
サービス利用パス管理部605は、仲介サーバ21から発行されたサービス利用パスを取得し、当該サービス利用パスをサービス事業者に提示する。
【0142】
記憶部606は、端末30の動作に必要な情報を記憶する。
【0143】
[システムの動作]
続いて、第1の実施形態に係る情報流通システムの動作について説明する。
【0144】
図19は、第1の実施形態に係る情報流通システムの動作の一例を示すシーケンス図である。図19を参照し、仲介業者が企画サービスを利用者に提案する際のシステム動作を説明する。
【0145】
仲介サーバ21は、利用者の端末30から利用者が選択した企画サービスの情報を取得する(ステップS101)。
【0146】
仲介サーバ21は、利用者により選択された企画サービスに対応する個人状態パラメータを「共有」により取得する(ステップS102)。例えば、利用者U1の体脂肪率を取得する必要があれば、仲介サーバ21は、仲介サーバ21が生成した利用者U1の個人識別コード、仲介業者の事業者コード、データ種類(体脂肪率)を含む共有要請を流通制御サーバ10に送信する。
【0147】
仲介サーバ21は、事前に用意されたマッチングモデルに個人状態パラメータを入力し、提案するサービスの詳細(サービスカテゴリ、サービス事業者、サービスメニュー)を取得する(ステップS103)。
【0148】
仲介サーバ21は、利用者(利用者の端末30)に対してサービス利用パスを発行する(ステップS104)。
【0149】
端末30は、ジムサーバ22にサービス利用パスを提示する(ステップS105)。ジムサーバ22(提案されたサービス事業者のサービスサーバ20)は、利用者からサービス利用パスを取得する。
【0150】
ジムサーバ22は、利用者にサービスが提供されると、サービス利用記録を蓄積する(ステップS106)。
【0151】
仲介サーバ21は、定期的又は所定のタイミングで利用者(他社サービスを提案した利用者)のサービス利用記録を「共有」により取得する(ステップS107)。仲介サーバ21は、サービス利用記録に関する共有要請を流通制御サーバ10に送信する。
【0152】
他社サービスを提案した利用者が当該提案に従ってサービスの提供を受けてれば、仲介サーバ21は、ジムサーバ22に対して送客料を請求する(ステップS108)。
【0153】
以上のように、第1の実施形態では、仲介サーバ21が、利用者にサービス(他社のサービス)に関する提案を行う。その際、仲介サーバ21は、情報流通システムの各所(各サービス事業者)に点在する利用者のデータ(個人状態パラメータに対応するデータ)を「共有」によって取得する。仲介サーバ21は、取得した個人状態パラメータを事前に用意されたマッチングモデルに入力することで、利用者に適したサービスの提案を行う。その結果、情報流通システムに参加する利用者の利便性が向上する。
【0154】
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0155】
第1の実施形態では、仲介業者が利用者に対して他社サービスの提案をする場合について説明した。第2の実施形態では、当該提案されたサービスの利用率を向上させることについて説明する。即ち、第2の実施形態では、マッチング精度(提案されたサービスを実際に選択する確率)向上の実現を説明する。
【0156】
第2の実施形態に係る情報流通システムの構成は第1の実施形態と同一とすることができるので図2に相当する説明を省略する。また、第2の実施形態に係る流通制御サーバ10、サービスサーバ20、端末30の処理構成も第1の実施形態と同一とすることができるので、その説明を省略する。
【0157】
以下、第1及び第2の実施形態における相違点を中心に説明する。
【0158】
図20は、第2の実施形態に係る仲介サーバ21の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図20を参照すると、マッチング率算出部404が第1の実施形態に係る構成に追加されている。
【0159】
マッチング率算出部404は、各利用者のマッチング率を計算する手段である。より具体的には、マッチング率算出部404は、定期的又は所定のタイミングで各利用者の評価結果(提案サービス利用結果)を集計する。マッチング率算出部404は、提案したサービスが実際に選択された割合(以下、マッチング率と表記する)を利用者ごとに計算する。例えば、利用者U1に10回のサービス提案を行い、利用者U1が実際に提案通りのサービスを受けた回数が5回であれば、利用者U1のマッチング率は50%と計算される。
【0160】
なお、マッチング率算出部404は、利用者に対して他社サービスの提案をした履歴(回数)と、当該利用者に関してサービス事業者に送客料の請求をした履歴(回数)からマッチング率を計算することができる。
【0161】
マッチング率算出部404は、利用者をグループ分けしてその情報を仲介業者(仲介業者の社員等)に提示する。具体的には、マッチング率算出部404は、マッチング率が所定の値(閾値)以上のグループ1と、マッチング率が所定の値よりも小さいグループ2と、に分ける。
【0162】
このように、複数の利用者に対してサービスの提案が行われた場合、マッチング率算出部404は、複数の利用者それぞれについて提案されたサービスが選択された割合をマッチング率として算出する。さらに、マッチング率算出部404は、当該算出されたマッチング率に基づいて複数の利用者をグループ分けして、各グループに属する利用者の情報(例えば、氏名等)を出力する。
【0163】
仲介業者は、マッチング率が低いグループ2に属する利用者からヒアリングを行い、マッチング率が低い原因(提案されたサービスを選択しなかった原因)を推定する。例えば、仲介業者は、「仕事のスケジュール」が考慮されていないことが、マッチング率が低い原因であると推定する。
【0164】
仲介業者は、推定された原因に対応する個人状態パラメータを入力パラメータとして含むマッチングモデルを「検証用モデル」として生成する。なお、当該マッチングモデルの生成は仲介サーバ21にて行われてもよいし、他のサーバで生成されたマッチングモデルが仲介サーバ21に入力されてもよい。
【0165】
仲介業者は、モニタ利用者を集める。当該モニタ利用者は、グループ1及びグループ2のなかから各グループの利用者数に比例して集めるのが望ましい。
【0166】
仲介サーバ21のサービス提案部402は、モニタ利用者に対して検証用モデルを用いてサービスの提案を行う。
【0167】
マッチング率算出部404は、各モニタ利用者の評価結果を集計し、検証用モデルによるマッチング率を計算する。
【0168】
サービス提案部402は、検証用モデルによるマッチング率が所定の値以上となった場合には、当該検証用モデルをマッチングモデルとして採用する。
【0169】
各モニタ利用者によるマッチング率が所定の値よりも小さい場合には、検証用モデルは破棄される、又は、さらなる改良(個人状態パラメータの追加等)が行われる。
【0170】
ここで、上記の例では、利用者からのヒアリングの結果、個人状態パラメータを増やして検証用モデルを生成する場合について説明した。しかし、場合によっては個人状態パラメータを減らして検証用モデルを生成した方がよい結果が得られる場合もある。即ち、マッチング率が所定の値よりも低いグループに属する利用者からのヒアリングに基づいて個人状態パラメータの増減が行われ、検証用のマッチングモデルが生成されてもよい。
【0171】
なお、仲介業者は、グループ分けをせず、利用者の全員からヒアリングして入力に追加する個人状態パラメータを選択してもよい。
【0172】
以上のように、第2の実施形態において、仲介サーバ21に当初実装されたマッチングモデルは、個人状態パラメータ(個人状態パラメータのデータ種類)が増減されて再生成されたマッチングモデル(検証用モデル)により更新される。即ち、マッチングモデルは、複数の利用者からなるグループごとに個人状態パラメータが調整されて再生成される。このような調整(グループに属する各利用者に共通して用いられる個人状態パラメータの調整)により、サービスの提案に使用されるマッチングモデルによる結果(マッチング率)が向上する。
【0173】
[第3の実施形態]
続いて、第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0174】
第2の実施形態ではマッチング率が低い利用者(提案されたサービスをあまり利用しない利用者)の実態を調査し、当該利用者のマッチング率を向上させることについて説明した。第3の実施形態では、利用者個人に最適なマッチングモデルを生成することで、マッチング精度をさらに向上させることを説明する。
【0175】
仲介業者は、有料のサービスとして、利用者個人に最適なマッチングモデルを生成し、当該最適なマッチングモデルを用いて他社サービスの提案を行う。第3の実施形態では、仲介業者により生成されたマッチングモデルを「自動追加学習」により更新する場合について説明する。
【0176】
第3の実施形態に係る情報流通システムの構成は第1の実施形態と同一とすることができるので図2に相当する説明を省略する。また、第3の実施形態に係る流通制御サーバ10、サービスサーバ20、端末30の処理構成も第1の実施形態と同一とすることができるので、その説明を省略する。
【0177】
以下、第1乃至第3の実施形態における相違点を中心に説明する。
【0178】
図21は、第3の実施形態に係る仲介サーバ21の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図21を参照すると、追加学習部405が第1の実施形態に係る構成に追加されている。
【0179】
選択サービス取得部401は、利用者から当該利用者のマッチングモデルの最適化(個別化)の要望を受け付ける。
【0180】
追加学習部405は、自動追加学習を行いマッチングモデルの最適化を行う手段である。ここでは、追加学習部405は、利用者U1用のマッチングモデルを最適化する場合について説明する。
【0181】
追加学習部405は、既存のマッチングモデル(当初実装されたマッチングモデル)から利用者U1用のマッチングモデルを分岐する。追加学習部405は、分岐したマッチングモデルを利用者U1専用のモデルとして管理する。
【0182】
追加学習部405は、分岐した利用者U1のマッチングモデルを自動追加学習により更新する際、利用者U1の実績(達成度、マッチング率)を他の利用者の実績よりも重視して学習データを生成する。具体的には、追加学習部405、利用者U1の実績に対する重みを他の利用者の実績に対する重みよりも大きくし、マッチングモデルを更新するための学習データを生成する。追加学習部405は、当該生成された学習データを用いて、利用者U1用のマッチングモデルの更新を行う。
【0183】
なお、追加自動学習に関する詳細な説明は省略する。追加学習部405は、既存の自動追加学習機能を用いてマッチングモデルの更新を行えばよい。即ち、追加学習部405は、分岐前のマッチングモデルを基礎として利用者U1にサービスの提案した結果を学習データとして用いて当該利用者U1専用のマッチングモデルを更新すればよい。
【0184】
以上のように、第3の実施形態では、仲介サーバ21は、当初実装されたマッチングモデルから、サービス向上の希望者用のマッチングモデルを分岐する。仲介サーバ21は、当該分岐されたマッチングモデルを自動追加学習により更新する。即ち、第3の実施形態では、サービス提案の精度をさらに高めるため、利用者ごとに個人状態パラメータを調整する(個人単位のパラメータ調整;1人の利用者について個人状態パラメータが調整され、マッチングモデルが再生される)。
【0185】
続いて、情報流通システムを構成する各装置のハードウェアについて説明する。図22は、仲介サーバ21のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0186】
仲介サーバ21は、情報処理装置(所謂、コンピュータ)により構成可能であり、図22に例示する構成を備える。例えば、仲介サーバ21は、プロセッサ311、メモリ312、入出力インターフェイス313及び通信インターフェイス314等を備える。上記プロセッサ311等の構成要素は内部バス等により接続され、相互に通信可能に構成されている。
【0187】
但し、図22に示す構成は、仲介サーバ21のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。仲介サーバ21は、図示しないハードウェアを含んでもよいし、必要に応じて入出力インターフェイス313を備えていなくともよい。また、仲介サーバ21に含まれるプロセッサ311等の数も図22の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のプロセッサ311が仲介サーバ21に含まれていてもよい。
【0188】
プロセッサ311は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルなデバイスである。あるいは、プロセッサ311は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデバイスであってもよい。プロセッサ311は、オペレーティングシステム(OS;Operating System)を含む各種プログラムを実行する。
【0189】
メモリ312は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。メモリ312は、OSプログラム、アプリケーションプログラム、各種データを格納する。
【0190】
入出力インターフェイス313は、図示しない表示装置や入力装置のインターフェイスである。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウス等のユーザ操作を受け付ける装置である。
【0191】
通信インターフェイス314は、他の装置と通信を行う回路、モジュール等である。例えば、通信インターフェイス314は、NIC(Network Interface Card)等を備える。
【0192】
仲介サーバ21の機能は、各種処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ312に格納されたプログラムをプロセッサ311が実行することで実現される。また、当該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transitory)なものとすることができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。また、上記プログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。
【0193】
なお、流通制御サーバ10、サービスサーバ20、ジムサーバ22、端末30等も仲介サーバ21と同様に情報処理装置により構成可能であり、その基本的なハードウェア構成は仲介サーバ21と相違する点はないので説明を省略する。
【0194】
仲介サーバ21は、コンピュータを搭載し、当該コンピュータにプログラムを実行させることで仲介サーバ21の機能が実現できる。また、仲介サーバ21は、当該プログラムによりサービス提案方法を実行する。
【0195】
[変形例]
なお、上記実施形態にて説明した情報流通システムの構成、動作等は例示であって、システムの構成等を限定する趣旨ではない。
【0196】
上記実施形態では、流通制御サーバ10が利用者情報データベース等を備える場合について説明した。しかし、これらのデータベースは、流通制御サーバ10とは異なるデータベースサーバに構築されていてもよい。また、情報流通システムには、上記実施形態にて説明した各種手段(例えば、データ流通制御部205等)が含まれていればよい。
【0197】
上記実施形態では、図4を参照し、サービス事業者を初めて利用する利用者の個人識別コードを流通制御サーバ10に通知することを説明した。その際、流通制御サーバ10から利用者の氏名がサービス事業者に送信され、当該氏名の送信に応じる形式で個人識別コードが流通制御サーバ10に通知されている。このような氏名に基づく個人識別コードの送受信に代えて、利用者のユーザIDが用いられてもよい。具体的には、利用者は初めて利用するサービス事業者に対してユーザIDを提示する。サービス事業者(サービスサーバ20)は、当該利用者の個人識別コード、事業者コード及び提示されたユーザIDを含む利用者情報を流通制御サーバ10に送信する。流通制御サーバ10は、利用者情報に含まれるユーザIDに基づいて個人識別コードが生成された利用者を特定すればよい。
【0198】
各装置(流通制御サーバ10、サービスサーバ20、端末30、取引サーバ40、端末50)間のデータ送受信の形態は特に限定されないが、これら装置間で送受信されるデータは暗号化されていてもよい。
【0199】
上記実施形態では、仲介サーバ21に実装されるマッチングモデルは、個人状態パラメータを入力すると、サービスカテゴリ、サービス事業者及びサービスメニューを出力する場合について説明した。しかし、仲介サーバ21に実装されるマッチングモデルは、サービスカテゴリを出力しなくともよい。当該マッチングモデルは、少なくともサービス事業者及びサービスメニューを出力すればよい。
【0200】
上記実施形態では、仲介サーバ21を管理、運営する仲介業者がサービスの企画をする場合について説明したが、当該仲介業者とは異なる他の事業者がサービスの企画を行ってもよい。即ち、仲介サーバ21に実装されたマッチングモデルに入力される個人状態パラメータは、仲介業者又は他の業者が企画したサービスの実現に用いられる所定のパラメータとすることができる。
【0201】
上記説明で用いた流れ図(フローチャート、シーケンス図)では、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。実施形態では、例えば各処理を並行して実行する等、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。
【0202】
上記の実施形態は本願開示の理解を容易にするために詳細に説明したものであり、上記説明したすべての構成が必要であることを意図したものではない。また、複数の実施形態について説明した場合には、各実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。例えば、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることや、実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、実施形態の構成の一部について他の構成の追加、削除、置換が可能である。
【0203】
上記の説明により、本発明の産業上の利用可能性は明らかであるが、本発明は、サービス事業者が蓄積したデータを流通の対象とする情報流通システムなどに好適に適用可能である。
【0204】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]
サービス事業者間のデータ共有を制御する、流通制御サーバと、
第1のサービス事業者が利用者にサービスを提供することで生じるデータを記憶する、第1のサービスサーバと、
所定の個人状態パラメータを入力すると、少なくともサービス事業者及びサービスメニューを出力するマッチングモデルが実装された、仲介サーバと、
を含み、
前記仲介サーバは、前記利用者の前記個人状態パラメータを前記データ共有により前記第1のサービスサーバから取得し、前記取得した個人状態パラメータを前記マッチングモデルに入力することで得られる結果を前記利用者に提案する、システム。
[付記2]
前記仲介サーバは、前記利用者に提案されたサービスの詳細を含むサービス利用パスを前記利用者に発行する、付記1に記載のシステム。
[付記3]
第2のサービス事業者が管理する、第2のサービスサーバをさらに含み、
前記第2のサービスサーバは、前記仲介サーバが発行した前記サービス利用パスを提示する利用者にサービスを提供すると、前記利用者にサービスを提供した事実をサービス利用記録として記憶する、付記2に記載のシステム。
[付記4]
前記仲介サーバは、前記サービス利用記録を前記データ共有により前記第2のサービスサーバから取得すると、前記第2のサービス事業者に対して送客料の請求を行う、付記3に記載のシステム。
[付記5]
前記仲介サーバに実装されたマッチングモデルは、前記個人状態パラメータが増減されて再生成されたマッチングモデルにより更新される、付記1乃至4のいずれか一に記載のシステム。
[付記6]
前記マッチングモデルは、複数の利用者からなるグループごとに、又は、1人の利用者について前記個人状態パラメータが調整されて再生成される、付記5に記載のシステム。
[付記7]
前記仲介サーバは、
複数の前記利用者に前記サービスの提案を行い、
前記複数の利用者それぞれについて前記提案されたサービスが選択された割合をマッチング率として算出し、
前記マッチング率に基づいて前記複数の利用者をグループ分けする、付記5又は6に記載のシステム。
[付記8]
前記個人状態パラメータの増減は、前記マッチング率が所定の値よりも低いグループに属する利用者からのヒアリングに基づいて行われる、付記7に記載のシステム。
[付記9]
前記仲介サーバは、前記実装されたマッチングモデルから、サービス向上の希望者用のマッチングモデルを分岐し、前記分岐されたマッチングモデルを自動追加学習により更新する、付記1乃至8のいずれか一に記載のシステム。
[付記10]
サービス事業者間のデータ共有を制御する流通制御サーバと、第1のサービス事業者が利用者にサービスを提供することで生じるデータを記憶する第1のサービスサーバと、通信する、通信制御部と、
所定の個人状態パラメータを入力すると、少なくともサービス事業者及びサービスメニューを出力するマッチングモデルを用いて、前記利用者にサービスを提案する、サービス提案部と、
を備え、
前記サービス提案部は、
前記利用者の前記個人状態パラメータを前記データ共有により前記第1のサービスサーバから取得し、前記取得した個人状態パラメータを前記マッチングモデルに入力することで得られる結果を前記利用者に提案する、仲介サーバ。
[付記11]
サービス事業者間のデータ共有を制御する流通制御サーバと、第1のサービス事業者が利用者にサービスを提供することで生じるデータを記憶する第1のサービスサーバと、通信し、所定の個人状態パラメータを入力すると、少なくともサービス事業者及びサービスメニューを出力するマッチングモデルが実装された、仲介サーバにおいて、
前記利用者の前記個人状態パラメータを前記データ共有により前記第1のサービスサーバから取得し、
前記取得した個人状態パラメータを前記マッチングモデルに入力することで得られる結果を前記利用者に提案する、サービス提案方法。
[付記12]
サービス事業者間のデータ共有を制御する流通制御サーバと、第1のサービス事業者が利用者にサービスを提供することで生じるデータを記憶する第1のサービスサーバと、通信し、所定の個人状態パラメータを入力すると、少なくともサービス事業者及びサービスメニューを出力するマッチングモデルが実装された、仲介サーバに搭載されたコンピュータに、
前記利用者の前記個人状態パラメータを前記データ共有により前記第1のサービスサーバから取得する処理と、
前記取得した個人状態パラメータを前記マッチングモデルに入力することで得られる結果を前記利用者に提案する処理と、
を実行させるためのプログラム。
【0205】
なお、引用した上記の先行技術文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は例示にすぎないということ、及び、本発明のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。即ち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得る各種変形、修正を含むことは勿論である。
【0206】
この出願は、2021年1月18日に出願された日本出願特願2021-005437号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0207】
10、101 流通制御サーバ
20 サービスサーバ
20-1 サービスAサーバ
20-2 サービスBサーバ
21、103 仲介サーバ
22 ジムサーバ
30 端末
102 第1のサービスサーバ
201、301、411、601 通信制御部
202 利用者登録部
203 個人識別コード管理部
204 所在情報管理部
205 データ流通制御部
206、306、606 記憶部
302 個人識別コード生成部
303 共有要請部
304 データ蓄積部
305 データ流通部
311 プロセッサ
312 メモリ
313 入出力インターフェイス
314 通信インターフェイス
401 選択サービス取得部
402 サービス提案部
403 提案サービス管理部
404 マッチング率算出部
405 追加学習部
501 サービス利用パス取得部
502 サービス管理部
602 個人情報入力部
603 問合せ処理部
604 サービス選択部
605 サービス利用パス管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22