IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特許7589765状況通知装置、状況通知方法、及びプログラム
<>
  • 特許-状況通知装置、状況通知方法、及びプログラム 図1
  • 特許-状況通知装置、状況通知方法、及びプログラム 図2
  • 特許-状況通知装置、状況通知方法、及びプログラム 図3
  • 特許-状況通知装置、状況通知方法、及びプログラム 図4
  • 特許-状況通知装置、状況通知方法、及びプログラム 図5
  • 特許-状況通知装置、状況通知方法、及びプログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】状況通知装置、状況通知方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/005 20060101AFI20241119BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20241119BHJP
   G06Q 50/00 20240101ALI20241119BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20241119BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20241119BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20241119BHJP
【FI】
G08G1/005
G01C21/26 C
G06Q50/00
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023080201
(22)【出願日】2023-05-15
(62)【分割の表示】P 2022505670の分割
【原出願日】2020-03-12
(65)【公開番号】P2023109869
(43)【公開日】2023-08-08
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅典
(72)【発明者】
【氏名】市川 昭彦
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/026367(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/181635(WO,A1)
【文献】特開2020-36211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/005
G01C 21/26
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/10
G06Q 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物の発着施設で撮影された乗客の顔情報を取得する撮影部と、
前記顔情報と事前に登録された登録顔情報とに基づいて、前記登録顔情報に対応付けて記憶された前記乗り物の到着先に関する到着先情報および前記乗客の移動状況を取得する取得部と、
前記移動状況と前記顔情報とを前記乗客の到着先の関係者へ通知する通知部と、
を備える、状況通知装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記顔情報と前記登録顔情報とに基づいて、前記登録顔情報に対応付けて記憶された前記乗客を識別する識別情報を取得し、
前記通知部は、前記識別情報に基づいた前記乗客の到着先の関係者に通知する、
請求項1に記載の状況通知装置。
【請求項3】
前記移動状況は、空港における前記乗客の到着に関する手続の進捗状況である、
請求項1に記載の状況通知装置。
【請求項4】
前記移動状況は、前記乗客の現在位置に基づいて予測された空港の到着ゲートを出るまでの時間である、
請求項1に記載の状況通知装置。
【請求項5】
前記移動状況は、前記乗り物の運行状況である、
請求項1に記載の状況通知装置。
【請求項6】
コンピュータが、
乗り物の発着施設で撮影された乗客の顔情報を取得するステップと
前記顔情報と事前に登録された登録顔情報とに基づいて、前記登録顔情報に対応付けて記憶された前記乗り物の到着先に関する到着先情報および前記乗客の移動状況を取得するステップと
前記移動状況と前記顔情報とを前記乗客の到着先の関係者へ通知するステップと、を実行する、状況通知方法。
【請求項7】
コンピュータに、
乗り物の発着施設で撮影された乗客の顔情報を取得させ、
前記顔情報と事前に登録された登録顔情報とに基づいて、前記登録顔情報に対応付けて記憶された前記乗り物の到着先に関する到着先情報および前記乗客の移動状況を取得させ、
前記移動状況と前記顔情報とを前記乗客の到着先の関係者へ通知させる、
命令を含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、状況通知装置、状況通知方法、及びそれを実現するためのプログラムを記録したプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空港施設には、航空機の発着時刻などのフライト情報を表示する表示装置が多数設置されている。航空機に搭乗する旅客は、その表示装置を見て、自身が搭乗する航空機の発着時刻を確認したり、家族などの出迎え客が、航空機が何時に到着するかを確認したりする。例えば、特許文献1には、航空機毎に、到着したか、入国手続きが完了したか、手荷物受取中であるか、等の情報を表示装置に表示して、航空機の着陸後の乗客の状態の変化をわかりやすく表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-92429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、航空機毎に、その乗客の状況を把握することができる。しかしながら、同じ航空機に乗った乗客同士でも、例えば、手荷物の受け取りに時間差があるため、出迎え客は、自身が出迎える乗客が、どれくらいで到着口から出てくるかなどの状況を正確に把握することが難しい。
【0005】
本発明の目的の一例は、到着先にいる、乗り物の乗客の関係者が、乗客の移動状況を把握することができる、状況通知装置、状況通知方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における状況通知装置は、
乗り物の発着施設で取得された、前記乗り物の乗客の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記乗り物の到着先に関する到着先情報、前記乗客の生体情報、及び前記乗客を識別する識別情報を、予め対応付けて記憶した記憶装置から、取得された前記生体情報に対応する前記識別情報及び前記到着先情報を取得する情報取得部と、
前記乗客の移動状況を取得する状況取得部と、
取得された前記到着先情報に基づいて、取得された前記移動状況、及び、取得された前記識別情報を、到着先の前記乗客の関係者へ通知する通知部と、
を備える。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における状況通知方法は、
乗り物の発着施設で取得された、前記乗り物の乗客の生体情報を取得するステップと、
前記乗り物の到着先に関する到着先情報、前記乗客の生体情報、及び前記乗客を識別する識別情報を、予め対応付けて記憶した記憶装置から、取得された前記生体情報に対応する前記識別情報及び前記到着先情報を取得するステップと、
前記乗客の移動状況を取得するステップと、
取得された前記到着先情報に基づいて、取得された前記移動状況、及び、取得された前記識別情報を、到着先の前記乗客の関係者へ通知するステップと、
を備える。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるプログラムは、
コンピュータに、
乗り物の発着施設で取得された、前記乗り物の乗客の生体情報を取得するステップと、
前記乗り物の到着先に関する到着先情報、前記乗客の生体情報、及び前記乗客を識別する識別情報を、予め対応付けて記憶した記憶装置から、取得された前記生体情報に対応する前記識別情報及び前記到着先情報を取得するステップと、
前記乗客の移動状況を取得するステップと、
取得された前記到着先情報に基づいて、取得された前記移動状況、及び、取得された前記識別情報を、到着先の前記乗客の関係者へ通知するステップと、
を実行させる命令を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、到着先にいる、乗り物の乗客の関係者が、乗客の移動状況を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、状況通知装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、状況通知装置の具体的構成を示すブロック図である。
図3図3は、状況通知装置による乗客の状況通知を説明するための図である。
図4図4は、移動状況データの一例を示す図である。
図5図5は、状況通知装置の動作を示すフロー図である。
図6図6は、状況通知装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態における、状況通知装置、状況通知方法、及びプログラムについて、図1図6を参照しながら説明する。
【0012】
[装置構成]
最初に、本実施形態における状況通知装置の構成について図1を用いて説明する。図1は、状況通知装置の構成を示すブロック図である。
【0013】
状況通知装置10は、乗り物の発着施設において、乗り物の乗客の移動状況を、乗り物の到着先にいる乗客の関係者へ通知する装置である。乗り物は、航空機、電車、バス、船舶などである。発着施設は、空港、駅、バスターミナル、港などである。関係者は、例えば、到着先で乗客を出迎える出迎え者である。
【0014】
状況通知装置10は、生体情報取得部1と、情報取得部2と、状況取得部3と、通知部4と、を備えている。
【0015】
生体情報取得部1は、乗り物の発着施設で取得された、乗り物の乗客の生体情報を取得する。生体情報は、顔画像データ、指紋データ、声帯データ、虹彩データなどである。
【0016】
情報取得部2は、乗り物の到着先に関する到着先情報、乗客の生体情報、及び乗客を識別する識別情報を、予め対応付けて記憶した記憶装置から、取得された生体情報に対応する識別情報及び前記到着先情報を取得する。
【0017】
状況取得部3は、乗客の移動状況を取得する。移動状況については後に詳述する。
【0018】
通知部4は、情報取得部2により取得された到着先情報に基づいて、状況取得部3により取得された移動状況、及び、情報取得部2により取得された識別情報を、到着先の乗客の関係者へ通知する。関係者については後に詳述する。
【0019】
この状況通知装置10によれば、到着先にいる乗客の関係者が、乗客の移動状況を把握することができる。例えば、その関係者は、乗客が乗り物に乗車する手続中であること、乗り物に乗車したこと、乗り物から降車したことなど、乗客の詳細な移動状況を把握することができる。
【0020】
続いて、本実施形態における状況通知装置10の構成について更に具体的に説明する。以下では、乗り物は航空機とし、発着施設は空港として説明する。また、生体情報は、顔画像データとして説明する。
【0021】
図2は、状況通知装置10の具体的構成を示すブロック図である。図3は、状況通知装置10による乗客55の移動状況通知を説明するための図である。
【0022】
状況通知装置10は、撮像装置51及び記憶装置52とデータ通信可能に接続している。
【0023】
撮像装置51は、乗客55の生体情報を取得する生体情報取得装置である。この例では、撮像装置51は、空港施設内に設置され、乗客55の顔を撮像する。撮像装置51は、例えば、乗客55が空港内で手続を行う場所であるチェックインカウンタ、搭乗ゲート、手荷物預け入れ所、到着ゲート又は手荷物受取所などに設置されている。図3は、撮像装置51が出発空港61の搭乗ゲート61Gに設けられており、搭乗ゲート61Gを通過する乗客55の顔を撮像している状態を示す。なお、図3では、出発空港61に撮像装置51を設置した例を挙げているが、撮像装置51は、各タッチポイント(出発空港61では、チェックイン、荷物預け入れ、セキュリティ検査前の本人確認、出国審査、到着空港62では、入国審査、税関手続き、到着ゲートなど)に設置されている。そして、各タッチポイントで乗客の顔が撮像されるようになっている。
【0024】
記憶装置52は、乗客55の顔画像データと、乗客55の識別情報とを対応付けて記憶している。識別情報は、固有情報と、フライト情報とを含む。固有情報は、乗客55の固有の情報であって、乗客55の氏名、国籍、パスポート番号などが例示される。フライト情報は、航空機の発着時間、目的地などの情報である。
【0025】
例えば、出発空港でのチェックイン時に、乗客55のパスポートと、顔画像データとが一致することで本人確認が行われたうえで、顔画像データと、固有情報及びフライト情報の識別情報とが対応付けられて、記憶装置52に登録される。乗客55は、例えば、空港に設置された専用端末から登録する。これにより、チェックイン以降の各タッチポイントで乗客55の顔を撮像することで、本人確認が可能となる。各タッチポイントでは、顔が撮像されると、撮像された顔画像データを用いた1対N照合により、記憶装置52から、乗客55の顔画像データが選択される。選択された顔画像データに対応する固有情報及びフライト情報が取得されることで、各タッチポイントでの本人確認が行われる。各タッチポイントでの顔認証による本人確認を行えることで、乗客55の手続状況を取得することができる。
【0026】
顔認証による各種手続き、及び、記憶装置に記憶する処理は、状況通知装置10が行ってもよいし、別の装置が行ってもよい。また、上記説明では、チェックイン時に、顔画像データと、固有情報と、フライト情報とが記憶装置52に登録されているが、記憶装置52に登録するタイミングは、これに限定されない。乗客55が、スマートフォンなどの携帯端末の専用アプリ、専用ウェブサイトなどから、顔画像データと、固有情報と、フライト情報とを予め登録してもよい。
【0027】
状況通知装置10と記憶装置52とは、ネットワークに接続されており、その設置場所は、空港内であってもよいし、空港とは別の施設であってもよい。
【0028】
状況通知装置10は、生体情報取得部1、情報取得部2、状況取得部3及び通知部4に加え、受付部5、記憶部6、遅延判定部7をさらに備えている。
【0029】
受付部5は、航空機の乗客55による、航空機の到着先情報の登録を受け付ける。乗客55は、例えば、専用アプリ、専用サイト又は専用端末から、到着先情報を登録する。到着先情報は、乗客55が航空機の到着後に予定している各種情報である。例えば、到着予定空港、到着予定時刻、到着空港62で利用するタクシー会社、参加予定のツアー会社などの情報である。
【0030】
記憶部6は、記憶装置52へ、受付部5が受け付けた到着先情報を記憶する。記憶装置52には、予め、顔画像データと識別情報とが対応付けられて記憶されている。記憶部6は、到着先情報を登録した乗客55に対応する、顔画像データと識別情報とに紐づけて、記憶装置52に到着先情報を記憶する。
【0031】
なお、到着先情報の登録時、乗客55は、自身の顔画像データを入力して到着先情報を登録するようにしてもよいし、氏名などの識別情報を入力して登録するようにしてもよい。記憶部6は、到着先情報の登録時に入力された顔画像データ又は識別情報に基づいて、到着先情報を記憶装置52に記憶する。
【0032】
なお、登録先情報を登録する装置は、状況通知装置10以外の装置で行われてもよい。
【0033】
生体情報取得部1は、撮像装置51から乗客55の顔画像データを取得する。例えば、図3に示すように、乗客55が搭乗ゲート61Gを通過すると、撮像装置51は、その乗客55の顔を撮像する。生体情報取得部1は、搭乗ゲート61Gを通過する乗客55の顔画像データを取得する。なお、上記のように、撮像装置51は各タッチポイントに設置される。生体情報取得部1は、各タッチポイントに設置された撮像装置51が顔画像データを取得する都度、各撮像装置51から顔画像データを取得する。
【0034】
情報取得部2は、記憶装置52から、生体情報取得部1が取得した顔画像データに対応する識別情報及び到着先情報を取得する。情報取得部2は、生体情報取得部1が顔画像データを取得すると、その顔画像データを用いた1対N照合により、記憶装置52から顔画像データを選択する。情報取得部2は、選択した顔画像データに対応する識別情報及び到着先情報を取得する。
【0035】
状況取得部3は、生体情報取得部1が取得した顔画像データの乗客55の移動状況を取得する。移動状況は、例えば、空港における乗客55の手続状況(チェックイン、荷物預け入れ、セキュリティ検査、出国審査、搭乗など)である。移動状況には、各手続の進捗状況、例えば、到着空港62における入国審査、税関手続きの進捗を含めてもよい。状況取得部3は、識別情報と移動状況とを含む、移動状況データを生成する。
【0036】
図4は、移動状況データの一例を示す図である。
【0037】
移動状況データは、識別情報に基づく、乗客55の氏名、国籍に、顔画像データ、空港での手続き状況が紐づけられている。状況取得部3は、移動状況を取得する都度、移動状況データを更新する。例えば、乗客55がチェックインカウンタで顔が撮像されると、状況取得部3は、チェックインの手続が完了したとして移動状況データを更新する。さらに、乗客55が荷物預け入れ所で顔が撮像されると、状況取得部3は、荷物預け入れが完了したとして移動状況データを更新する。
【0038】
このように、状況取得部3は、乗客55ごとに、移動状況データを随時更新する。
【0039】
なお、状況取得部3は、上記した顔認証による各種手続の手続状況を取得して、移動状況データを更新するようにしてもよい。
【0040】
通知部4は、到着先情報に基づいて、移動状況データを、到着空港62にいる乗客55の関係者へ通知する。情報取得部2は、到着先情報から通知先を取得する。関係者は、例えば、乗客55が到着空港で利用しようとしているサービス業者63である。図3では、サービス業者63は、乗客55が到着空港62に到着した際に利用するタクシー会社を例示している。
【0041】
通知部4は、サービス業者63が所有する管理サーバ63Aに、移動状況データを通知する。そして、管理サーバ63Aから、従業員が所有する携帯端末、又は、車載機器などへ転送される。なお、状況通知装置10から空港に出迎える従業員が有する携帯端末へ直接送る構成でもよい。
【0042】
通知部4は、各タッチポイントに設置された撮像装置51が顔画像データを取得するタイミングで、管理サーバ63Aに、移動状況データを通知する。より詳しくは、各タッチポイントにおいて、顔認証による手続が行われ、乗客55の手続状況が更新される都度、つまり、状況取得部3による移動状況データが更新される都度、移動状況データを送信する。
【0043】
なお、通知するタイミングは、これに限定されない。例えば、通知部4は、サービス業者63による通知タイミングの設定を受け付け、設定されたタイミングで通知してもよい。サービス業者63が、例えば、「搭乗ゲート61Gで入国審査が完了したら自動的に通知する」と設定した場合、そのタッチポイント(搭乗ゲート61G)を通過したときに、通知部4は、サービス業者63に通知するようにしてもよい。
【0044】
これにより、サービス業者63は、出迎える乗客55の状況、例えば、出発空港61で航空機に乗ったか、到着空港62で荷物を受け取ったかなど、を把握することができる。また、各手続の進捗状況が移動状況に含められている場合には、サービス業者63は、乗客55が到着空港62に到着している場合でも、到着予定時刻に遅れる可能性があることを推測できる。
【0045】
また、通知部4は、移動状況及び識別情報に加え、顔画像データも送信する。この場合、通知先のサービス業者は、乗客55の顔を確認することができるため、出迎える際に乗客55を発見し易くなる。
【0046】
なお、サービス業者63は、乗客55が参加するツアーのツアー会社であってもよいし、宿泊先のホテルであってもよい。
【0047】
遅延判定部7は、乗客55の到着が遅れているかを判定する。情報取得部2が取得する到着先情報に到着予定時刻が含まれている場合、遅延判定部7は、現在の時刻が、到着予定時刻を過ぎているかを判定する。現在の時刻が到着予定時刻を過ぎている場合、遅延判定部7は、乗客55の到着が遅れていると判定する。この場合、通知部4は、サービス業者63へ、遅延を通知する。
【0048】
[装置動作]
次に、本実施形態における状況通知装置10の動作について図5を用いて説明する。図5は、状況通知装置10の動作を示すフロー図である。以下の説明においては、適宜図1図4を参酌する。また、本実施形態では、状況通知装置10を動作させることによって、状況通知方法が実施される。よって、本実施形態における状況通知方法の説明は、以下の状況通知装置10の動作説明に代える。また、図5の説明においても、乗り物は航空機とし、生体情報は顔画像データとする。
【0049】
前提として、例えば、出発空港でのチェックイン時に、乗客55の顔画像データと、固有情報及びフライト情報を含む識別情報とが記憶装置52に対応付けて登録されているものとする。
【0050】
この前提において、受付部5は、航空機の乗客55による到着先情報の登録を受け付ける(S1)。記憶部6は、受け付けた到着先情報を、乗客55の顔画像データ、及び識別情報と、対応付けて記憶装置52へ記憶する(S2)。
【0051】
生体情報取得部1は、タッチポイントに設置された撮像装置51で撮像された顔画像データを取得する(S3)。情報取得部2は、顔画像データに対応する識別情報及び到着先情報を、記憶装置52から取得する(S4)。状況取得部3は、乗客55の移動状況を取得する(S5)。そして、状況取得部3は、移動状況を取得すると、図4に示す移動状況データを生成・更新する。通知部4は、取得された到着先情報に基づいて、移動状況データを、到着先のサービス業者63へ通知する(S6)。
【0052】
遅延判定部7は、乗客55の到着予定時刻が現在時刻を超えているか否かにより、乗客55の到着が遅延しているかを判定する(S7)。遅延している場合(S7:YES)、通知部4は、遅延をサービス業者63へ通知する(S8)。遅延していない場合(S7:NO)、S3の処理が実行される。
【0053】
なお、本フローが終了するタイミングは、特に限定されない。例えば、乗客55が到着空港62の到着ゲートを出たときに終了してもよいし、到着空港62を出たときに終了してもよい。また、状況通知装置10は、S6で通知する際、移動状況から、後どのくらいで関係者の前に現れるかを予測して通知するようにしてもよい。例えば、各タッチポイントから到着空港62の到着ゲートを出るまでにかかる平均的な時間が予め記憶されており、状況通知装置10は、その記憶された時間に基づいて、乗客55の現在の位置からの時間を予測して通知する。
【0054】
このように、状況通知装置10が、乗客55の移動状況を、サービス業者63へ通知することで、サービス業者63は、乗客55の現在の移動状況を把握することができる。そして、サービス業者63は、それに応じて、サービス提供の準備をスムーズに行うことができる。また、乗客55の到着が遅延していることを通知することで、サービス業者63は、乗客55の出迎えに無駄な時間を費やすことがなく、時間を有効活用することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、移動状況は乗客55の手続状況としたが、これに限定されない。移動状況は、航空機の運航状況であってもよい。この場合、状況取得部3は、識別情報から、乗客55が搭乗する航空機を特定し、航空機を管理する空港のサーバから、航空機の運航状況を取得する。状況取得部3は、その運航状況から、航空機が予定より早く到着するか、遅れて到着するかを、移動状況に含めてもよい。
【0056】
また、上記したように、状況取得部3は、各手続の進捗状況を、移動状況に含めてもよい。例えば、到着空港62における入国審査、税関手続きの進捗を移動状況に含めてもよい。この場合、サービス業者63は、乗客55が到着空港62に到着している場合でも、到着予定時刻に遅れる可能性があることを推測できる。
【0057】
また、乗客55が遅延しているかの判定は、上記内容に限定されない。航空チケットに基づく識別情報が登録され、その識別情報に、航空機の到着予定時刻が含まれている場合、遅延判定部7は、その到着予定時刻と、現在時刻とを対比して、乗客55の遅延を判定してもよい。
【0058】
また、撮像装置51の設置場所は、施設内の通路、トイレなど、特に限定されない。さらに、生体情報取得装置は撮像装置51としたが、生体情報が顔画像データ以外、例えば、指紋データである場合には、生体情報取得装置は指紋センサとなる。
【0059】
さらに、状況通知装置10は、サービス業者63により指定された複数の乗客それぞれの各タッチポイント(手続き:Check-in、Baggage deposi, Bording・・)の進捗状況(完了したか:completed、未完了か:unfinished)を含むリストを、サービス業者63が確認できるようにしてもよい。例えば、状況通知装置10は、指定された乗客それぞれのステータスが、図4のデータに示すようにリスト化されたデータを生成し、サービス業者63へ通知する。サービス業者63は、このリストを確認することで、乗客ごとに手続状況を把握できる。また、状況通知装置10は、指定された複数の乗客うち、手続きが遅れている人が一人又は複数人いる場合、その人の進捗状況を抽出して通知するようにしてもよい。
【0060】
[プログラム]
本実施形態におけるプログラムは、コンピュータに、図5に示すステップS1~S8を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施形態における状況通知装置10と状況通知方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのプロセッサは、生体情報取得部1、情報取得部2、状況取得部3、通知部4、受付部5及び記憶部6、として機能し、処理を行なう。
【0061】
また、本実施形態におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されても良い。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、生体情報取得部1、情報取得部2、状況取得部3、通知部4、受付部5及び記憶部6、のいずれかとして機能しても良い。
【0062】
また、コンピュータとしては、汎用のPCの他に、スマートフォン、タブレット型端末装置が挙げられる。
【0063】
(装置の物理構成)
ここで、実施形態におけるプログラムを実行することによって、状況通知装置10を実現するコンピュータについて図6を用いて説明する。図6は、状況通知装置10を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0064】
図6に示すように、コンピュータ110は、CPU(Central Processing Unit)111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。なお、コンピュータ110は、CPU111に加えて、又はCPU111に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)を備えていても良い。
【0065】
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施の形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施の形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであっても良い。
【0066】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0067】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))及びSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記憶媒体、又はCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体が挙げられる。
【0068】
上述した実施の形態の一部又は全部は、以下に記載する(付記1)~(付記21)によって表現することができるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0069】
(付記1)
乗り物の発着施設で取得された、前記乗り物の乗客の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記乗り物の到着先に関する到着先情報、前記乗客の生体情報、及び前記乗客を識別する識別情報を、予め対応付けて記憶した記憶装置から、取得された前記生体情報に対応する前記識別情報及び前記到着先情報を取得する情報取得部と、
前記乗客の移動状況を取得する状況取得部と、
取得された前記到着先情報に基づいて、取得された前記移動状況、及び、取得された前記識別情報を、到着先の前記乗客の関係者へ通知する通知部と、
を備える、状況通知装置。
【0070】
(付記2)
付記1に記載の状況通知装置であって、
前記乗り物は航空機であり、
前記発着施設は空港である、
状況通知装置。
【0071】
(付記3)
付記2に記載の状況通知装置であって、
前記生体情報取得部は、搭乗ゲート、手荷物預け入れ所、到着ゲート又は手荷物受取所に設置された生体情報取得装置から、前記生体情報を取得し、
前記状況取得部は、前記生体情報取得装置により前記生体情報が取得された場所に基づいて、前記移動状況を取得する、
状況通知装置。
【0072】
(付記4)
付記1から付記3までのいずれか一つに記載の状況通知装置であって、
前記到着先情報は、前記乗客の到着予定時刻を含み、
前記到着予定時刻に基づいて、前記乗客の到着が遅れているかを判定する遅延判定部、
を備え、
前記通知部は、前記乗客の到着が遅れている場合、前記乗客の遅延を通知する、
状況通知装置。
【0073】
(付記5)
付記1から付記4のいずれか一つに記載の状況通知装置であって、
前記生体情報は顔画像データである、
状況通知装置。
【0074】
(付記6)
付記5に記載の状況通知装置であって、
前記通知部は、取得された前記顔画像データを通知する、
状況通知装置。
【0075】
(付記7)
付記1から付記6のいずれか一つに記載の状況通知装置であって、
前記到着先情報は、前記関係者に関する情報を含み、
前記通知部は、前記関係者に関する情報に基づく通知先へ通知する、
状況通知装置。
【0076】
(付記8)
乗り物の発着施設で取得された、前記乗り物の乗客の生体情報を取得するステップと、
前記乗り物の到着先に関する到着先情報、前記乗客の生体情報、及び前記乗客を識別する識別情報を、予め対応付けて記憶した記憶装置から、取得された前記生体情報に対応する前記識別情報及び前記到着先情報を取得するステップと、
前記乗客の移動状況を取得するステップと、
取得された前記到着先情報に基づいて、取得された前記移動状況、及び、取得された前記識別情報を、到着先の前記乗客の関係者へ通知するステップと、
を備える、状況通知方法。
【0077】
(付記9)
付記8に記載の状況通知方法であって、
前記乗り物は航空機であり、
前記発着施設は空港である、
状況通知方法。
【0078】
(付記10)
付記9に記載の状況通知方法であって、
前記生体情報を取得するステップでは、搭乗ゲート、手荷物預け入れ所、到着ゲート又は手荷物受取所に設置された生体情報取得装置から、前記生体情報を取得し、
前記移動状況を取得するステップでは、前記生体情報取得装置により前記生体情報が取得された場所に基づいて、前記移動状況を取得する、
状況通知方法。
【0079】
(付記11)
付記8から付記10までのいずれか一つに記載の状況通知方法であって、
前記到着先情報は、前記乗客の到着予定時刻を含み、
前記到着予定時刻に基づいて、前記乗客の到着が遅れているかを判定するステップ、
を備え、
前記関係者へ通知するステップでは、前記乗客の到着が遅れている場合、前記乗客の遅延を通知する、
状況通知方法。
【0080】
(付記12)
付記8から付記11のいずれか一つに記載の状況通知方法であって、
前記生体情報は顔画像データである、
状況通知方法。
【0081】
(付記13)
付記12に記載の状況通知方法であって、
前記関係者へ通知するステップでは、取得された前記顔画像データを通知する、
状況通知方法。
【0082】
(付記14)
付記8から付記13のいずれか一つに記載の状況通知方法であって、
前記到着先情報は、前記関係者に関する情報を含み、
前記関係者へ通知するステップでは、前記関係者に関する情報に基づく通知先へ通知する、
状況通知方法。
【0083】
(付記15)
コンピュータに、
乗り物の発着施設で取得された、前記乗り物の乗客の生体情報を取得するステップと、
前記乗り物の到着先に関する到着先情報、前記乗客の生体情報、及び前記乗客を識別する識別情報を、予め対応付けて記憶した記憶装置から、取得された前記生体情報に対応する前記識別情報及び前記到着先情報を取得するステップと、
前記乗客の移動状況を取得するステップと、
取得された前記到着先情報に基づいて、取得された前記移動状況、及び、取得された前記識別情報を、到着先の前記乗客の関係者へ通知するステップと、
を実行させる命令を含む、プログラム。
【0084】
(付記16)
付記15に記載のプログラムであって、
前記乗り物は航空機であり、
前記発着施設は空港である、
プログラム。
【0085】
(付記17)
付記16に記載のプログラムであって、
前記生体情報を取得するステップでは、搭乗ゲート、手荷物預け入れ所、到着ゲート又は手荷物受取所に設置された生体情報取得装置から、前記生体情報を取得し、
前記移動状況を取得するステップでは、前記生体情報取得装置により前記生体情報が取得された場所に基づいて、前記移動状況を取得する、
プログラム。
【0086】
(付記18)
付記15から付記17までのいずれか一つに記載のプログラムであって、
前記到着先情報は、前記乗客の到着予定時刻を含み、
前記プログラムは、
前記コンピュータに、
前記到着予定時刻に基づいて、前記乗客の到着が遅れているかを判定するステップ、
を実行させる命令を含み、
前記関係者へ通知するステップでは、前記乗客の到着が遅れている場合、前記乗客の遅延を通知する、
プログラム。
【0087】
(付記19)
付記15から付記18のいずれか一つに記載のプログラムであって、
前記生体情報は顔画像データである、
プログラム。
【0088】
(付記20)
付記19に記載のプログラムであって、
前記関係者へ通知するステップでは、取得された前記顔画像データを通知する、
プログラム。
【0089】
(付記21)
付記15から付記20のいずれか一つに記載のプログラムであって、
前記到着先情報は、前記関係者に関する情報を含み、
前記関係者へ通知するステップでは、前記関係者に関する情報に基づく通知先へ通知する、
プログラム。
【符号の説明】
【0090】
1 生体情報取得部
2 情報取得部
3 状況取得部
4 通知部
5 受付部
6 記憶部
7 遅延判定部
10 状況通知装置
51 撮像装置
52 記憶装置
55 乗客
63 サービス業者
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス

図1
図2
図3
図4
図5
図6