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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】浄化システム
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20241119BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20241119BHJP
   F02M 26/22 20160101ALI20241119BHJP
   F02M 26/51 20160101ALI20241119BHJP
   F02M 26/06 20160101ALI20241119BHJP
   F02M 26/15 20160101ALI20241119BHJP
【FI】
F01N3/20 A
F01N3/24 S
F01N3/24 Z
F02M26/22
F02M26/51
F02M26/06 301
F02M26/15
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023144345
(22)【出願日】2023-09-06
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 稔朗
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-60116(JP,U)
【文献】特開昭59-29738(JP,A)
【文献】特開平4-365918(JP,A)
【文献】特開2005-36770(JP,A)
【文献】特開2005-42672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/20
F02M 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気を外部に排出する排気管路に設けられて、前記排気を浄化する触媒と、
前記エンジンに吸気を供給する吸気管路から分岐して、前記排気管路における前記触媒の上流に合流するバイパス管路と、
前記バイパス管路に設けられて、前記触媒の温度が前記触媒の活性温度よりも高い所定温度以上の場合に、前記吸気を前記排気管路における前記触媒の上流に供給する送風機と、
前記触媒に至る前の前記排気を前記吸気管路に還流する再循環管路と、
を有し、
前記バイパス管路は、前記送風機が設けられ前記吸気管路に接続している第1管路と、前記第1管路及び前記排気管路に接続している第2管路とで構成され、
前記再循環管路は、前記第2管路及び前記吸気管路に接続している第3管路と、前記第2管路とで構成され、
前記第3管路に設けられ、前記再循環管路から前記吸気管路に前記排気を還流するか否かを切替え可能な弁、及び
前記送風機が動作している場合、前記弁を閉じる弁制御部
をさらに有する浄化システム。
【請求項2】
前記バイパス管路は、前記吸気管路に設けられたコンプレッサの上流で前記吸気管路から分岐する、
請求項1に記載の浄化システム。
【請求項3】
前記弁が開いている場合、前記送風機が停止している、
請求項に記載の浄化システム。
【請求項4】
前記第2管路に設けられ、前記排気管路における前記触媒の上流に供給される前記吸気を冷却する冷却器を有している、
請求項1から3のいずれか一項に記載の浄化システム。
【請求項5】
前記触媒の温度が前記所定温度未満の場合、前記送風機が停止している、
請求項1に記載の浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気を浄化する浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの排気を浄化する浄化システムが知られている。特許文献1には、排気管路に設けられて、排気中の窒素酸化物を浄化する触媒が設けられた浄化システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-150872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
触媒は、温度が活性温度以上になると活性化して排気を浄化する。しかしながら、触媒の温度が活性温度よりも高くなりすぎると、触媒の浄化性能は低下してしまう。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、触媒の浄化性能の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様においては、エンジンの排気を外部に排出する排気管路に設けられて、前記排気を浄化する触媒と、前記エンジンに吸気を供給する吸気管路から分岐して、前記排気管路における前記触媒の上流に合流するバイパス管路と、前記バイパス管路に設けられて、前記触媒の温度が前記触媒の活性温度よりも高い所定温度以上の場合に、前記吸気を前記排気管路における前記触媒の上流に供給する送風機と、を有する浄化システムを提供する。
【0007】
前記バイパス管路は、前記吸気管路に設けられたコンプレッサの上流で前記吸気管路から分岐してもよい。
【0008】
前記浄化システムは、前記触媒に至る前の前記排気を前記吸気管路に還流する再循環管路を有し、前記バイパス管路は、前記送風機が設けられ前記吸気管路に接続している第1管路と、前記第1管路及び前記排気管路に接続している第2管路とで構成され、前記再循環管路は、前記第2管路及び前記吸気管路に接続している第3管路と、前記第2管路とで構成されていてもよい。
【0009】
前記浄化システムは、前記第3管路に設けられ、前記再循環管路から前記吸気管路に前記排気を還流するか否かを切替え可能な弁と、前記送風機が動作している場合、前記弁を閉じる弁制御部と、を有してもよい。
【0010】
前記弁が開いている場合、前記送風機が停止していてもよい。
【0011】
前記第2管路に設けられ、前記排気管路における前記触媒の上流に供給される前記吸気を冷却する冷却器を有していてもよい。
【0012】
前記触媒の温度が前記所定温度未満の場合、前記送風機が停止していてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、触媒の浄化性能の低下を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】浄化システムの構成を説明するための図である。
図2】制御装置の構成を説明するための図である。
図3】触媒の温度変化を説明するための図である。
図4】排気の浄化性能の変化を説明するための図である。
図5】吸気を供給するか否かを切り替える処理の一例を示すフローチャートである。
図6】再循環管路を有していない浄化システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[浄化システムSの構成]
図1は、浄化システムSの構成を説明するための図である。浄化システムSは、エンジン11の排気を浄化するシステムである。浄化システムSは、送風機3と、制御装置5と、触媒16と、バイパス管路191とを有する。
【0016】
エンジン11は、燃料と吸気(空気)との混合気を燃焼、膨張させて、動力を発生させる内燃機関である。エンジン11は、例えば自動車や船舶に搭載されたディーゼルエンジンであるが、ガソリンエンジンでもよい。
【0017】
吸気管路12は、エンジン11に吸気を供給する管路である。吸気管路12には、過給機のコンプレッサ141が設けられている。排気管路13は、エンジン11の排気を外部に排出する管路である。排気管路13には、過給機のタービン142が設けられている。タービン142は、排気が通過することで回転する。コンプレッサ141は、タービン142に連結されており、タービン142の回転に連動して回転することで、吸気を過給する。
【0018】
吸気管路12には、過給された吸気を冷却する第1冷却器15が設けられている。第1冷却器15は、吸気管路12におけるコンプレッサ141の下流に設けられている。第1冷却器15は、例えばエンジン11の冷却水又は外気と、過給された吸気とを熱交換させることで当該吸気を冷却する熱交換器である。
【0019】
排気管路13には触媒16が設けられている。触媒16は、排気を浄化する触媒である。例えば、触媒16は、排気に含まれる窒素酸化物とアンモニアとを反応させる選択還元触媒(Selective Catalytic Reduction;SCR)である。触媒16の表面には、触媒16の直前の排気管路13に設けられた噴射装置から噴射された尿素水が排気の熱で加水分解して生成されたアンモニアが吸着している。触媒16は、触媒16の温度が活性温度以上になると、触媒16の表面に吸着しているアンモニアと窒素酸化物を反応させて排気を浄化可能な活性状態になる。活性温度は、例えば摂氏250度であるが、これに限らない。
【0020】
温度センサ4は、触媒16の温度を検出する温度センサである。温度センサ4は、例えば赤外線温度計であるが、熱電対又はサーミスタでもよい。本実施の形態の温度センサ4は、触媒16の温度を直接検出する。しかし、これに限らず、温度センサ4は、排気の温度を触媒16の温度として検出してもよい。
【0021】
再循環管路192は、触媒16に至る前の排気を吸気管路12に還流する管路である。再循環管路192は、第2管路182と第3管路183で構成されている。第2管路182は、排気管路13と第3管路183に接続している管路である。第2管路182は、排気管路13の第3接続点173に接続している。第3管路183は、第2管路182と吸気管路12に接続している管路である。第3管路183は、第2接続点172で第2管路182に接続されており、吸気管路12においてコンプレッサ141の上流の第4接続点174で吸気管路12に接続されている。
【0022】
第2管路182には、第2冷却器184が設けられている。第2冷却器184は、吸気管路12に還流される排気を冷却する。第2冷却器184は、例えばエンジン11の冷却水又は外気と、排気とを熱交換させることで、排気を冷却する熱交換器である。
【0023】
第3管路183には、第2弁22が設けられている。第2弁22は、再循環管路192から吸気管路12に排気を還流するか否かを切替え可能な弁である。第2弁22は、制御装置5の制御により開閉される。
【0024】
バイパス管路191は、吸気管路12から分岐して、排気管路13における触媒16の上流に合流する管路である。バイパス管路191は、第1管路181と、第2管路182とで構成されている。第1管路181は、吸気管路12に接続している管路であり、吸気管路12の第1接続点171に接続している。第2管路182は、第1管路181及び排気管路13に接続している管路である。つまり、第2管路182は、バイパス管路191及び再循環管路192に共有されている。第1管路181は、吸気管路12から第3管路183よりも上流で分岐している。具体的には、第1管路181は、第3管路183と吸気管路12が接続する第4接続点174よりも上流の第1接続点171で吸気管路12に接続している。第1管路181と第2管路182は、第2接続点172で接続している。
【0025】
第1管路181には、送風機3が設けられている。送風機3は、例えばファン、ブロワ及びポンプ等である。本実施の形態の送風機3は、ファンであるが、これに限定するものではない。送風機3は、吸気を送り出すことで吸気を排気管路13における触媒16の上流に供給する。具体的には、送風機3は、排気の圧力よりも高い圧力で吸気を送り出すことで、第2管路182を介して吸気を排気管路13における触媒16の上流に供給する。
【0026】
第1管路181には、第1弁21が設けられている。第1弁21は、吸気を排気管路13に供給するか否かを切替え可能な弁である。第1弁21は、第1管路181において送風機3と第2接続点172との間に設けられている。第1弁21は、制御装置5の制御により開閉される。
【0027】
触媒16は、温度が高くなると活性状態になって排気を浄化するが、触媒16の表面に吸着したアンモニアは、触媒16の温度が高くなるほど触媒16の表面から脱離してしまう。触媒16の表面からアンモニアが脱離すると、触媒16の表面でアンモニアと窒素酸化物が反応しなくなるので、排気を浄化しにくくなる。つまり、触媒16は、触媒16の活性温度よりも高い所定温度以上になると、排気の浄化性能(浄化率)が低下してしまう。
【0028】
そこで、制御装置5は、触媒16の温度が所定温度以上の場合、過給される前の吸気をバイパス管路191を経由して排気管路13における触媒16の上流に供給することで触媒16を冷却する。以下、制御装置5の詳細を説明する。図2は、制御装置5の構成を説明するための図である。
【0029】
制御装置5は、記憶部51及び制御部52を有する。記憶部51は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等を含む記憶媒体である。記憶部51は、制御部52が実行するプログラムを記憶する。
【0030】
制御部52は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部52は、記憶部51に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部521、送風機制御部522及び弁制御部523としての機能を実現する。
【0031】
取得部521は、温度センサ4が検出した触媒16の温度を取得する。取得部521は、取得した温度を示す温度情報を送風機制御部522に出力する。
【0032】
送風機制御部522は、送風機3の動作を制御する。送風機制御部522は、例えば温度情報に示される触媒16の温度が所定温度以上の場合に、送風機3を動作させて排気管路13における触媒16の上流に吸気を供給する。所定温度は、排気の浄化率が所定値未満になる温度に応じて適宜定めればよく、所定温度の具体的な値は例えば摂氏450度であるがこれに限らない。送風機制御部522は、送風機3が動作しているか停止しているかを示す状態情報を弁制御部523に通知する。
【0033】
弁制御部523は、第1弁21及び第2弁22の開閉を制御する。弁制御部523は、送風機制御部522が送風機3を動作させる場合(つまり、状態情報に送風機3が動作していることが示されている場合)、第2弁22を閉じ、第1弁21を開く。これにより、送風機3から送り出された吸気が第3管路183を通過することがなくなるので、弁制御部523は、送風機3から送り出された吸気が吸気管路12に戻ってしまうことを抑制でき、送風機制御部522は、第2管路182から排気管路13における触媒16の上流に吸気を供給できる。
【0034】
送風機3から送り出された吸気は、第2冷却器184を通過する際に、第2冷却器184により冷却される。つまり、第2冷却器184は、排気管路13における触媒16の上流に吸気が供給される場合には、当該供給される吸気を冷却する。そして、第2冷却器184を通過して冷却された吸気は、排気管路13における触媒16の上流に供給されることで排気と混合される。供給される吸気は、第2冷却器184により冷却されるので排気よりも温度が低くなっている。そのため、吸気と排気の混合気体の温度は排気よりも低くなる。これにより、触媒16には、排気よりも温度が低い混合気体が供給される。その結果、触媒16の温度は、混合気体の温度よりも高くならないので上昇が抑制される。また、触媒16の温度は、混合気体の温度が十分に低い場合には低下する。このように、制御装置5は、触媒16の温度上昇を抑制できたり、触媒16の温度を下げられたりする。
【0035】
図3は、触媒16の温度変化を説明するための図である。図3の横軸は時刻Tを示し、縦軸は触媒16の温度Kを示す。触媒16の温度Kは、時間経過とともに上昇し時刻Tcで活性温度よりも高い所定温度Kcになった。本実施の形態に係る送風機制御部522は、時刻Tcで送風機3を動作させる。そして、弁制御部523は、第2弁22を閉じ、第1弁21を開き、送風機3が排出した吸気を排気管路13における触媒16の上流に供給する。
【0036】
実線A1は、本実施の形態における触媒16の温度変化を示すグラフである。実線A1に示すとおり、本実施の形態に係る触媒16には、触媒16の温度が所定温度Kcになった時刻Tc以降、排気の温度よりも低い吸気が供給されているので、触媒16の温度は、上昇が抑制されている。点線B1は、排気管路13における触媒16の上流に吸気を供給しない比較例を示すグラフである。点線B1に示すとおり、比較例においては、排気よりも温度の低い吸気が供給されないので、温度の上昇が抑制されていない。
【0037】
図4は、排気の浄化性能の変化を説明するための図である。図4の横軸は時刻Tを示し、縦軸は触媒16の浄化性能(浄化率P)を示す。実線A2は、本実施の形態における触媒16の浄化性能の変化を示すグラフである。実線A2に示すとおり、本実施の形態に係る触媒16の温度上昇が抑制されているので、触媒16の浄化性能の低下が抑制されている。点線B2は、排気管路13における触媒16の上流に吸気を供給しない比較例における浄化性能の変化を示すグラフである。点線B2に示すとおり、比較例においては、排気よりも温度の低い吸気が供給されないので触媒16の温度が上昇しているため、浄化性能が低下している。
【0038】
上記のとおり、制御装置5は、触媒16の温度が所定温度Kc以上の場合に、排気よりも温度が低い吸気を排気管路13における触媒16の上流に供給することで、触媒16の温度上昇を抑制できたり、触媒16の温度を下げられたりする。これにより、制御装置5は、触媒16の温度を所定温度Kc以下にできるので、触媒16の表面からアンモニアが脱離することを抑制でき、触媒16の浄化性能の低下を抑制することができる。
【0039】
なお、触媒16の温度が所定温度Kc未満の場合に吸気を供給すると触媒16の温度が低下しすぎて活性温度未満になってしまうおそれがある。そこで、送風機制御部522は、触媒16の温度が所定温度Kc未満の場合、送風機3を停止させる。これにより、送風機制御部522は、触媒16の温度を活性温度に維持できる。具体的には、送風機制御部522は、触媒16の温度が所定温度Kc以上の場合には温度の上昇を抑制でき、触媒16の温度が所定温度Kc未満の場合には、触媒16の温度の過剰な低下を抑制できる。つまり、送風機制御部522は、触媒16の温度を、触媒16が活性状態になり浄化率が所定値以上になる適正な範囲内にすることができる。
【0040】
弁制御部523は、排気管路13における触媒16の上流に吸気を供給しない場合、排気を吸気管路12に還流するか否かに応じて第2弁22を開閉する。具体的には、弁制御部523は、排気を吸気管路12に還流しない場合には第2弁22を閉じる。弁制御部523は、排気を吸気管路12に還流する場合には第2弁22を開き、第1弁21を閉じる。弁制御部523は、第1弁21を閉じることにより、高温の排気が送風機3に進入することを抑制できる。
【0041】
なお、排気管路13における触媒16の上流への吸気の供給と、吸気管路12への排気の還流とを同時に行おうとして、第1弁21及び第2弁22を開き、送風機3を動作させると、排気管路13における触媒16の上流に供給すべき吸気が吸気管路12に戻ってしまったり、排気が吸気管路12に還流されなかったりする。そのため、排気管路13における触媒16の上流への吸気の供給と、吸気管路12への排気の還流とは、どちらか一方のみが行われる。言い換えると、排気管路13における触媒16の上流への吸気の供給と、吸気管路12への排気の還流とが同時に行われることはない。
【0042】
[吸気を供給するか否かを切り替える処理]
図5は、吸気を供給するか否かを切り替える処理の一例を示すフローチャートである。吸気を供給するか否かを切り替える処理は、エンジン11が始動している間、所定間隔で実行される。所定間隔は、例えば100ミリ秒であるがこれに限らない。
【0043】
まず、取得部521は、触媒16の温度を取得する(ステップS1)。具体的には、取得部521は、温度センサ4が検出した触媒16の温度を示す温度情報を取得する。
【0044】
送風機制御部522は、温度情報に示される触媒16の温度が所定温度Kc以上か否かを判定する(ステップS2)。送風機制御部522は、触媒16の温度が所定温度Kc以上の場合(ステップS2でYes)、排気管路13における触媒16の上流に吸気を供給する(ステップS3)。具体的には、送風機制御部522は、弁制御部523が第1弁21を開き、第2弁22を閉じた後に、送風機3を動作させることで、排気管路13における触媒16の上流に吸気を供給する。
【0045】
送風機制御部522は、触媒16の温度が所定温度Kc未満の場合(ステップS2でNo)、排気管路13における触媒16の上流に吸気を供給しない(ステップS4)。この場合、送風機制御部522は、送風機3を停止させる。弁制御部523は、第1弁21を閉じる。
【0046】
(変形例1)
上記の実施の形態においては、バイパス管路191と再循環管路192は、第2管路182を共有していた。しかし、これに限らず、バイパス管路191と再循環管路192は、それぞれ独立していてもよい。この場合、バイパス管路191は、第1管路181のみで構成され、第1管路181は、吸気管路12及び排気管路13に接続している。また、再循環管路192は、第3管路183のみで構成され、第3管路183は、第2冷却器184が設けられ、第3接続点173と第4接続点174に接続している。なお、変形例1に係る第1管路181には、送風機3が設けられている。また、第1管路181における送風機3と排気管路13の接続点の間には、吸気を冷却する冷却器が設けられてもよい。
【0047】
(変形例2)
上記の実施の形態においては、浄化システムSは、再循環管路192を有していた。しかし、これに限らず、浄化システムSは、再循環管路192を有していなくてもよい。図6は、再循環管路192を有していない浄化システムSの模式図である。図6に示すとおり、変形例2に係る浄化システムSは、図1で示した再循環管路192を有していない。この場合、バイパス管路191は、第1接続点171と排気管路13の第3接続点173に接続している。なお、変形例2に係るバイパス管路191における第3接続点173と送風機3の間には、冷却器が設けられていてもよい。
【0048】
(変形例3)
上記の実施の形態の送風機3は、ファンであり、浄化システムSは、排気が送風機3に進入するのを抑制するために第1弁21を有していた。しかし、送風機3は、ファンに限らず、容積型ポンプを用いてもよい。容積型ポンプは、例えばギヤポンプ、ねじポンプ、ベーンポンプ等である。送風機3が容積型ポンプの場合、送風機3への排気の進入が抑制されるので、浄化システムSは、第1弁21を有していなくてもよい。この場合、浄化システムSは、第1弁21を設ける必要がないので、構成が簡単になる。
【0049】
(変形例4)
上記の実施の形態の浄化システムSは、排気が送風機3に進入するのを抑制するために第1弁21を有していた。しかし、これに限らず、浄化システムSは、第1弁21に替えて逆止弁を有していてもよい。逆止弁は、送風機3から排気管路13に向かう吸気を通過させ、排気管路13から送風機3に向かう排気を遮断する。逆止弁を用いる浄化システムSは、送風機3が送り出した吸気を排気管路13に供給するか、排気が送風機3に進入するのを抑制するかを切り替えるために弁を開閉することがなくなるので、制御が簡単になる。
【0050】
[浄化システムSの効果]
以上説明したとおり、浄化システムSは、エンジン11の排気を外部に排出する排気管路13に設けられて排気を浄化する触媒16と、エンジン11に吸気を供給する吸気管路12から分岐して、排気管路13における触媒の上流に合流するバイパス管路191と、バイパス管路191に設けられて、触媒16の温度が触媒の活性温度よりも高い所定温度Kc以上の場合に、吸気を排気管路13における触媒16の上流に供給する送風機3と、を有する。上記の構成により、浄化システムSは、触媒16の温度が所定温度Kc(例えば触媒16の浄化性能が所定値未満になる摂氏450度以上)になったら、排気の温度よりも低い吸気と排気が混合された混合気体を触媒16に供給できる。このようにすることで、触媒16には、排気よりも温度の低い混合気体が供給される。その結果、浄化システムSは、触媒16の温度が所定温度Kc以上になるのを抑制できるので、触媒の浄化性能の低下を抑制できる。
【0051】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0052】
11 エンジン
12 吸気管路
13 排気管路
14 過給機
141 コンプレッサ
142 タービン
15 第1冷却器
16 触媒
171 第1接続点
172 第2接続点
173 第3接続点
174 第4接続点
181 第1管路
182 第2管路
183 第3管路
184 第2冷却器
191 バイパス管路
192 再循環管路
21 第1弁
22 第2弁
3 送風機
4 温度センサ
5 制御装置
51 記憶部
52 制御部
521 取得部
522 送風機制御部
523 弁制御部
【要約】
【課題】触媒の浄化性能の低下を抑制する。
【解決手段】浄化システムSは、エンジン11の排気を外部に排出する排気管路13に設けられて、排気を浄化する触媒16と、エンジン11に吸気を供給する吸気管路12から分岐して、排気管路13における触媒16の上流に合流するバイパス管路191と、バイパス管路191に設けられて、触媒16の温度が触媒16の活性温度よりも高い所定温度以上の場合に、吸気を排気管路13における触媒16の上流に供給する送風機3と、を有する。
【選択図】図1


図1
図2
図3
図4
図5
図6