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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6581 20110101AFI20241119BHJP
   H01R 24/60 20110101ALI20241119BHJP
【FI】
H01R13/6581
H01R24/60
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023188556
(22)【出願日】2023-11-02
(62)【分割の表示】P 2022519952の分割
【原出願日】2021-04-30
(65)【公開番号】P2023181499
(43)【公開日】2023-12-21
【審査請求日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2020082011
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 伊知朗
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/225122(WO,A1)
【文献】特開2019-197684(JP,A)
【文献】特開2020-068163(JP,A)
【文献】特開2019-197685(JP,A)
【文献】特開2016-100190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56 - 13/72
H01R 12/00 - 12/91
H01R 24/00 - 24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の同軸ケーブルの中心導体に接続されると共に、回路基板に装着された相手コネクタの第1のシグナルコンタクト部に接続される第1のシグナルコンタクト部材と、
第2の同軸ケーブルの中心導体に接続されると共に、前記相手コネクタの第2のシグナルコンタクト部に接続される第2のシグナルコンタクト部材と、
前記相手コネクタのグランドコンタクト部に嵌合接続される環状嵌合部、並びに、前記第1の同軸ケーブル及び前記第2の同軸ケーブルの外側導体に接続されるシェル部を有し、グランド電位が与えられるグランドコンタクト部材と、
前記グランドコンタクト部材に接続される第1のグランド接続部、及び、前記相手コネクタのグランドコンタクト部に接続される第2のグランド接続部を有する導電部材と、を備え
前記第2のグランド接続部は、前記第1のシグナルコンタクト部材及び前記第2のシグナルコンタクト部材間において、前記第1のシグナルコンタクト部材及び前記第2のシグナルコンタクト部材の延在方向に沿って延び、前記第1のシグナルコンタクト部材及び前記第2のシグナルコンタクト部材間におけるシグナルの伝搬を防ぐアイソレーション特性改善部を有する、電気コネクタ。
【請求項2】
前記第2のグランド接続部は、前記相手コネクタのグランドコンタクト部に接続される平板状の前方グランド接続部を更に有し、
前記アイソレーション特性改善部は、前記前方グランド接続部とは別部材で構成されている、請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記導電部材は、前記相手コネクタとの嵌合方向から見ると、前記第1の同軸ケーブルの中心導体及び前記第1のシグナルコンタクト部材から構成される第1のシグナルラインの少なくとも一部、並びに、前記第2の同軸ケーブルの中心導体及び前記第2のシグナルコンタクト部材から構成される第2のシグナルラインの少なくとも一部と重なっている、請求項1又は2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
第1の同軸ケーブルの中心導体に接続されると共に、回路基板に装着された相手コネクタの第1のシグナルコンタクト部に接続される第1のシグナルコンタクト部材と、
第2の同軸ケーブルの中心導体に接続されると共に、前記相手コネクタの第2のシグナルコンタクト部に接続される第2のシグナルコンタクト部材と、
前記相手コネクタのグランドコンタクト部に嵌合接続される環状嵌合部、並びに、前記第1の同軸ケーブル及び前記第2の同軸ケーブルの外側導体に接続されるシェル部を有し、グランド電位が与えられるグランドコンタクト部材と、
前記グランドコンタクト部材に接続される第1のグランド接続部、及び、前記相手コネクタのグランドコンタクト部に接続される第2のグランド接続部を有する導電部材と、を備え、
前記導電部材の第2のグランド接続部は、前記相手コネクタとの嵌合方向から見ると、前記第1の同軸ケーブルの中心導体及び前記第1のシグナルコンタクト部材から構成される第1のシグナルラインの少なくとも一部、並びに、前記第2の同軸ケーブルの中心導体及び前記第2のシグナルコンタクト部材から構成される第2のシグナルラインの少なくとも一部と重なっている、電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブルの端末部分に取り付けられたプラグコネクタが、配線基板に実装されたリセプタクルコネクタと嵌合することにより、同軸ケーブルと配線基板の電気回路とを電気的に接続するコネクタ装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6269558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述したようなコネクタ装置において、コネクタ内部のシグナル(信号)がコネクタ装置の周囲に伝搬すると、周囲の外部製品に対して影響を及ぼすおそれがある。そのため、上述したようなコネクタ装置においては、コネクタ内部のシグナルを周囲に伝搬させないこと(耐ノイズ性を向上させること)が重要である。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、耐ノイズ性を向上させることができる電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電気コネクタは、第1の同軸ケーブルの中心導体に接続されると共に、回路基板に装着された相手コネクタの第1のシグナルコンタクト部に接続される第1のシグナルコンタクト部材と、第2の同軸ケーブルの中心導体に接続されると共に、相手コネクタの第2のシグナルコンタクト部に接続される第2のシグナルコンタクト部材と、相手コネクタのグランドコンタクト部に嵌合接続される環状嵌合部、並びに、該環状嵌合部から屈曲可能に伸びて第1の同軸ケーブル及び第2の同軸ケーブルの外側導体に接続されるシェル部を有し、グランド電位が与えられるグランドコンタクト部材と、グランドコンタクト部材に接続される第1のグランド接続部、及び、相手コネクタのグランドコンタクト部に接続される第2のグランド接続部を有する導電部材と、を備え、導電部材の第2のグランド接続部は、相手コネクタとの嵌合方向から見ると、第1の同軸ケーブルの中心導体及び第1のシグナルコンタクト部材から構成される第1のシグナルラインの少なくとも一部、並びに、第2の同軸ケーブルの中心導体及び第2のシグナルコンタクト部材から構成される第2のシグナルラインの少なくとも一部と重なっている。
【0007】
本発明の一態様に係る電気コネクタでは、第1の同軸ケーブルの中心導体に接続された第1のシグナルコンタクト部材と、第2の同軸ケーブルの中心導体に接続された第2のシグナルコンタクト部材と、グランド電位が与えられるグランドコンタクト部材と、導電部材とが備わっており、導電部材の第1のグランド接続部が上記グランドコンタクト部材に接続されており、第2のグランド接続部が相手コネクタのグランドコンタクト部に接続されている。そして、本電気コネクタでは、第2のグランド接続部が、嵌合方向から見て、第1の同軸ケーブルの中心導体及び第1のシグナルコンタクト部材から構成される第1のシグナルラインの少なくとも一部、並びに、第2の同軸ケーブルの中心導体及び第2のシグナルコンタクト部材から構成される第2のシグナルラインの少なくとも一部と重なっている。第2のグランド接続部が第1及び第2のシグナルラインの少なくとも一部と重なっていることにより、第1及び第2のシグナルラインの信号が、外部(電気コネクタ及び相手コネクタによって構成されるコネクタ装置の周囲)に伝搬することが抑制される。このことで、第1及び第2のシグナルラインの信号がノイズとなって周囲の外部製品に影響を及ぼすことが抑制され、電気コネクタのEMI特性を向上させ、耐ノイズ性を向上させることができる。
【0008】
グランドコンタクト部材のシェル部は、第1の同軸ケーブル及び第2の同軸ケーブルを締め付けるようにして保持するバレル部を有し、導電部材は、バレル部に接続されていてもよい。このように、シグナルラインを構成する同軸ケーブルを保持しているバレル部と導電部材とが接続(接触)していることにより、接触箇所を確実にグランド電位にすると共に、シグナルラインと導電部材(詳細には第2のグランド接続部)とが重なる部分を好適に形成することができる。
【0009】
相手コネクタのグランドコンタクト部は、グランドコンタクト部材の環状嵌合部に嵌合接続される第1の部分を有し、第2のグランド接続部は、第1の部分に接続される一対の第1の接続部を有し、一対の第1の接続部のうち一方は、嵌合方向から見ると、第1のシグナルラインの少なくとも一部と重なっており、一対の第1の接続部のうち他方は、嵌合方向から見ると、第2のシグナルラインの少なくとも一部と重なっていてもよい。このように、第2のグランド接続部の一対の第1の接続部が、相手コネクタのグランドコンタクト部における篏合に係る部分(第1の部分)に接続されることにより、相手コネクタに嵌合された状態において、接触箇所を確実にグランド電位にすることができる。そして、一対の第1の接続部のうち一方が第1のシグナルラインの少なくとも一部と重なり、一対の第1の接続部のうち他方が第2のシグナルラインの少なくとも一部と重なることにより、第1及び第2のシグナルラインの信号が、外部(電気コネクタ及び相手コネクタによって構成されるコネクタ装置の周囲)に伝搬することを確実に抑制することができる。
【0010】
グランドコンタクト部材のシェル部は、第1の同軸ケーブル及び第2の同軸ケーブルを締め付けるようにして保持するバレル部を有し、一対の第1の接続部は、嵌合方向から見ると、第1のシグナルコンタクト部材及び第2のシグナルコンタクト部材の配列方向においてバレル部と重なっていてもよい。このように、一対の第1の接続部と、同軸ケーブルを保持するバレル部とが重なっていることにより、一対の第1の接続部とシグナルライン(詳細には同軸ケーブルの中心導体)とが重なる部分を好適に形成することができる。このことで、第1及び第2のシグナルラインの信号が、外部(電気コネクタ及び相手コネクタによって構成されるコネクタ装置の周囲)に伝搬することを適切に抑制することができる。
【0011】
グランドコンタクト部材の環状嵌合部には開口部が形成されており、一対の第1の接続部は、開口部に配置されていてもよい。このように、例えば製造上形成されてしまう開口部に、導電部材である一対の第1の接続部が設けられていることにより、一対の第1の接続部によって開口部が部分的に塞がれることとなり、開口部から外部にシグナルラインの信号(高周波信号)が漏洩することを効果的に抑制できる。
【0012】
相手コネクタのグランドコンタクト部は、第1のシグナルコンタクト部及び第2のシグナルコンタクト部間に配置された第2の部分を有し、第2のグランド接続部は、第2の部分に接続される第2の接続部を有していてもよい。第2の接続部が、第1のシグナルコンタクト部及び第2のシグナルコンタクト部間に配置された、相手コネクタのグランドコンタクト部の第2の部分に接続されることにより、異なるシグナルコンタクト間で互いのシグナルが伝搬することが抑制される。このことで、アイソレーション特性を向上させ、耐ノイズ性を向上させることができる。
【0013】
グランドコンタクト部材のシェル部は、第1の同軸ケーブル及び第2の同軸ケーブルを保持するバレル部を有し、導電部材は、バレル部に接続されていてもよい。このように、シグナルラインを構成する同軸ケーブルを保持しているバレル部と導電部材とが接続(接触)していることにより、接触箇所を確実にグランド電位にすると共に、シグナルラインと導電部材(詳細には第2のグランド接続部)とが重なる部分を好適に形成することができる。
【0014】
相手コネクタのグランドコンタクト部は、グランドコンタクト部材の環状嵌合部に嵌合接続される第1の部分を有し、第2のグランド接続部は、第1の部分に接続される第1の接続部を有し、第1の接続部は、第1のシグナルコンタクト部材及び第2のシグナルコンタクト部材の配列方向において連続的に形成されており、嵌合方向から見ると、第1のシグナルラインの少なくとも一部、及び、第2のシグナルラインの少なくとも一部と重なっていてもよい。このように、第2のグランド接続部の第1の接続部が、相手コネクタのグランドコンタクト部における篏合に係る部分(第1の部分)に接続されることにより、相手コネクタに嵌合された状態において、接触箇所を確実にグランド電位にすることができる。そして、切欠き・隙間等が形成されることなく連続的に形成された第1の接続部が第1のシグナルラインの少なくとも一部及び第2のシグナルラインの少なくとも一部と重なることにより、第1及び第2のシグナルラインの信号が、外部(電気コネクタ及び相手コネクタによって構成されるコネクタ装置の周囲)に伝搬することをより適切に抑制することができる。
【0015】
グランドコンタクト部材の環状嵌合部には開口部が形成されており、第1の接続部は、開口部に配置されていてもよい。このように、例えば製造上形成されてしまう開口部に、導電部材である第1の接続部が設けられていることにより、第1の接続部によって効果的に開口部が塞がれることとなり、開口部から外部にシグナルラインの信号(高周波信号)が漏洩することを効果的に抑制できる。
【0016】
第2の接続部は、第1のシグナルコンタクト部材及び第2のシグナルコンタクト部材間の領域の少なくとも一部を遮るように、第1のシグナルコンタクト部材及び第2のシグナルコンタクト部材間に配置されていてもよい。このように、第2の接続部が、シグナルコンタクト部材間の領域の少なくとも一部を遮るように、シグナルコンタクト部材間に配置されていることにより、シグナルコンタクト部材間で互いにシグナルが伝搬することがより効果的に抑制される。これにより、アイソレーション特性をより向上させることができる。
【0017】
第2の接続部は、第1のシグナルコンタクト部材及び第2のシグナルコンタクト部材の延在方向に沿って延びていてもよい。このように、第2の接続部が第1のシグナルコンタクト部材及び前記第2のシグナルコンタクト部材の延在方向に沿って延びていることにより、第2の接続部によってシグナルコンタクト部材間の領域が効果的に遮られることとなり、上述したアイソレーション特性をより向上させることができる。
【0018】
第2の接続部は、第1のシグナルコンタクト部材及び第2のシグナルコンタクト部材間の領域の全てを遮るように、第1のシグナルコンタクト部材及び第2のシグナルコンタクト部材間に配置されていてもよい。このように、第2の接続部によってシグナルコンタクト部材間の領域が完全に遮られることにより、上述したアイソレーション特性をより向上させることができる。
【0019】
第1のシグナルコンタクト部材及び第2のシグナルコンタクト部材の配列方向から見た第2の接続部の面積は、配列方向から見た第1のシグナルコンタクト部材及び第2のシグナルコンタクト部材の面積よりも大きくてもよい。このように、シグナルコンタクト部材間の第2の接続部の面積が大きくされることにより、第2の接続部によって、シグナルコンタクト部材間で互いにシグナルが伝搬することがより効果的に抑制される。これにより、アイソレーション特性をより向上させることができる。
【0020】
第2の接続部は、第2のグランド接続部における他の領域と別部材で構成されていてもよい。これにより、第2の接続部の形状、原材料及び配置の自由度が増し、形状、原材料及び配置が適切に設定された第2の接続部によって、シグナルコンタクト部材間で互いにシグナルが伝搬することがより効果的に抑制される。これにより、アイソレーション特性をより向上させることができる。
【0021】
第2の接続部は、第1の同軸ケーブル及び第2の同軸ケーブルの外側導体に電気的に接続されたグランドバーに接続されていてもよい。これにより、外側導体を挟んで互いに隣り合う第1の同軸ケーブルの中心導体及び第2の同軸ケーブルの中心導体と同様に、グランドバーを介して外側導体に電気的に接続された第2の接続部を挟んで、第1のシグナルコンタクト部材及び第2のシグナルコンタクト部材が互いに隣り合うこととなるので、互いに隣り合う同軸ケーブルと同様に、シグナルコンタクト部材間で互いにシグナルが伝搬することを効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、耐ノイズ性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置を示す分解斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置の導電部材を上方側から見た斜視図である。
図4図4は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置が同軸ケーブルの一端部に装着される過程を示す斜視図である。
図5図5は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す上方側から見た斜視図である。
図6図6は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す底面図である。
図7図7は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置が連結される相手方コネクタ装置を示す斜視図である。
図8図8は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置が、同軸ケーブルの一端部に装着されたもとで、相手方コネクタ装置に機械的且つ電気的に連結された状態を示す平面図である。
図9図9は、図8におけるIX-IX線断面を示す断面図である。
図10図10は、図8におけるX-X線断面を示す断面図である。
図11図11(a)~(d)は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置の組立方法を説明する図である。
図12図12(a)~(c)は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置の組立方法を説明する図であり、図11(d)に続く工程を示す図である。
図13図13は、本実施形態の他の態様に係る同軸コネクタ装置を示す上方側から見た分解斜視図である。
図14図14は、図13の同軸コネクタ装置を示す下方側から見た分解斜視図である。
図15図15(a)は図13の同軸コネクタ装置が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す下方側から見た斜視図であり、シェル部がケーブル固定部を保持する前の状態を示す図であり、図15(b)は図13の同軸コネクタ装置が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す下方側から見た斜視図であり、シェル部がケーブル固定部を保持した状態を示す図である。
図16図16は、図13の同軸コネクタ装置が連結される相手方コネクタ装置を示す斜視図である。
図17図17は、図16の相手方コネクタ装置を示す上方側から見た分解斜視図である。
図18図18(a)は図13の同軸コネクタ装置が、同軸ケーブルの一端部に装着されたもとで、相手方コネクタ装置に機械的且つ電気的に連結された状態を示す平面図であり、図18(b)は図18(a)の(b)-(b)線に沿った断面図であり、図18(c)は図18(a)の(c)-(c)線に沿った断面図であり、図18(d)は図18(a)の(d)-(d)線に沿った断面図である。
図19図19(a)~(d)は、図13の同軸コネクタ装置の組立方法を説明する図である。
図20図20(a)(b)は、図13の同軸コネクタ装置の組立方法を説明する図であり、図19(d)に続く工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置11(電気コネクタ)を示す斜視図である。図1に示される同軸コネクタ装置11は、2つの同軸ケーブルの一端部に装着されて用いられる。同軸コネクタ装置11が一端部に装着される同軸ケーブルは、後述する図4に同軸ケーブル12A,12Bとして示されている。同軸ケーブル12A,12Bは、それぞれ、中心導体13と、中心導体13を密着包囲する内部絶縁体14と、内部絶縁体14を密着包囲する外側導体15と、外側導体15を密着包囲する表皮絶縁体16とを有している。斯かる同軸ケーブル12A,12Bにおける同軸コネクタ装置11が装着される一端部は、表皮絶縁体16が部分的に切除されて外側導体15が露出するとともに、その外側導体15及び内部絶縁体14のそれぞれが部分的に切除されて中心導体13が露出する状態におかれる。
【0025】
図2は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置11を示す分解斜視図である。図1及び図2に示されるように、同軸コネクタ装置11は、主要構成要素として、2つのシグナルコンタクト部材20A,20B(第1のシグナルコンタクト部材,第2のシグナルコンタクト部材)と、グランドコンタクト部材30と、導電部材50(図2参照)と、を備えている。また、同軸コネクタ装置11は、絶縁ハウジング部材40を備えていてもよい。
【0026】
絶縁ハウジング部材40は、合成樹脂材等の絶縁材料により形成されている。絶縁ハウジング部材40は、シグナルコンタクト部材20A,20Bとグランドコンタクト部材30とを相互絶縁状態をもって支持する。絶縁ハウジング部材40は、シグナルコンタクト部材20Aの支持に係る第1支持部41と、シグナルコンタクト部材20Bの支持に係る第2支持部42と、第1支持部41及び第2支持部42の間(同軸コネクタ装置11の幅方向における間)に設けられたベース部43と、を有する。
【0027】
第1支持部41は、筒状部44と(図2参照)と、中心導体支持部45(図2参照)と、平板部46と、を有する。筒状部44は、シグナルコンタクト部材20Aを保持する。中心導体支持部45は、筒状部44から延びて、シグナルコンタクト部材20Aに接続される同軸ケーブル12Aの中心導体13を支持する。平板部46は、グランドコンタクト部材30のシェル部34のベース板34a(後述)の内面に沿って延びている。平板部46は、シェル部34が屈曲位置を取った状態(図5及び図6の状態)においてシグナルコンタクト部材20Aの第1部分20x(後述)に接触して第1部分20xを押圧し、第1部分20xを屈曲させる。第2支持部42の構成は、第1支持部41の構成と同様(シグナルコンタクト部材20A,同軸ケーブル12Aをシグナルコンタクト部材20B,同軸ケーブル12Bに置き換えて、筒状部44、中心導体支持部45、平板部46を有する点において同様)である。
【0028】
グランドコンタクト部材30は、弾性を有する導電性材料により形成されている。グランドコンタクト部材30は、グランド電位が与えられ、同軸ケーブル12A,12Bの外側導体15に電気的に接続される。グランドコンタクト部材30は、環状嵌合部31と、同軸ケーブル12Aの支持に係る第1ケーブル支持部32と、同軸ケーブル12Bの支持に係る第2ケーブル支持部33と、シェル部34と、を有する。
【0029】
環状嵌合部31は、絶縁ハウジング部材40の一部(詳細には、第1支持部41及び第2支持部42の筒状部44を含む部分)を部分的に包囲し、相手方コネクタ装置100(図7参照)のグランドコンタクト部101の環状嵌合部102に嵌合接続される部分である。環状嵌合部31には、それにおける一対の対向する端部31a,31aによって挟まれた開口部OP1(図6参照)が形成されている。
【0030】
第1ケーブル支持部32は、腕部35と、載置部36と、壁部37と、を有する。腕部35は、環状嵌合部31の一対の端部31aのうち一方の端部31aから絶縁ハウジング部材40の中心導体支持部45に沿って延びる。載置部36は、腕部35の下端に連続すると共に中心導体支持部45及び同軸ケーブル12Aを載置するように水平方向(詳細には同軸コネクタ装置11の幅方向)に延びる。壁部37は、載置部36に連続すると共に腕部35に対向するように設けられている。載置部36における同軸ケーブル12Aの載置面には、凸部36aが設けられている。凸部36aは、同軸ケーブル12Aの外側導体15に接触する突起状の部分である(図10参照)。同軸ケーブル12Aは、腕部35、載置部36、及び壁部37により区画される領域に固定(支持)されることにより位置決めされる。第2ケーブル支持部33の構成は、第1ケーブル支持部32の構成と同様(一方の端部31a,同軸ケーブル12Aを他方の端部31a,同軸ケーブル12Bに置き換えて、腕部35、載置部36、凸部36a、壁部37を有する点において同様)である。
【0031】
シェル部34は、環状嵌合部31の一端から屈曲可能に伸び、折り曲げられるとき、同軸ケーブル12A,12Bの外側導体15に接続される部分である。シェル部34は、環状嵌合部31に対して折り曲げられていない直立位置と環状嵌合部31に対して折り曲げられた屈曲位置とを選択的にとるものとされている。シェル部34は、図1図2、及び図4において直立位置をとっており、後述する図5及び図6において屈曲位置をとっている。シェル部34の説明においては、図1及び図2に加えて図5及び図6も参照することとする。
【0032】
シェル部34は、環状嵌合部31の上面を覆うベース板34aと、同軸ケーブル12Aの固定に係る第1固定部38と、同軸ケーブル12Bの固定に係る第2固定部39と、を有する。ベース板34aは、図5に示されるように、環状嵌合部31との接続箇所から同軸ケーブル12A,12Bの外面を境界とする領域にまで延びている。第1固定部38は、屈曲位置(図5及び図6参照)においてベース板34aに対して起立した部分である締付部34b,34c,34dを有する。締付部34b,34c,34dは、折り曲げ可能に構成されており、同軸ケーブル12Aを締め付けるようにして保持するバレル部である。
【0033】
締付部34bは、載置部36を覆うように折り曲げられることにより、載置部36、導電部材50、中心導体支持部45、及び同軸ケーブル12Aをベース板34aとの間に挟み、これらの構成の相互の位置を固定する。具体的には、締付部34bは、載置部36の凸部36aが同軸ケーブル12Aの外側導体15に接触するように、載置部36に同軸ケーブル12Aを固定する。これにより、グランドコンタクト部材30と外側導体15とを確実に接触させて電気的に接続させることができる。締付部34cは、締付部34bよりも同軸ケーブル12Aの後端寄りにおいて、外側導体15が露出した同軸ケーブル12Aを覆うように折り曲げられることにより、同軸ケーブル12Aをベース板34aとの間に挟み、同軸ケーブル12Aの位置固定を行う。締付部34dは、締付部34cよりも同軸ケーブル12Aの後端寄りにおいて、表皮絶縁体16を覆うように折り曲げられることにより、同軸ケーブル12Aをベース板34aとの間に挟み、同軸ケーブル12Aの位置固定を行う。締付部34cによって外側導体15が露出した同軸ケーブル12Aが締め付けられることにより、グランドコンタクト部材30と外側導体15とを確実に接触させて電気的に接続させることができる。第2固定部39の構成は、第1固定部38の構成と同様(同軸ケーブル12Aを同軸ケーブル12Bに置き換えて、締付部34b,34c,34dを有する点において同様)である。
【0034】
シグナルコンタクト部材20A,20Bは、弾性を有する導電性材料により形成されている。シグナルコンタクト部材20Aは、同軸ケーブル12Aの中心導体13に接続されると共に、回路基板(不図示)に装着された相手方コネクタ装置100(相手コネクタ)のシグナルコンタクト部104(図7参照)に接続される。シグナルコンタクト部材20Bは、同軸ケーブル12Bの中心導体13に接続されると共に、回路基板(不図示)に装着された相手方コネクタ装置100(相手コネクタ)のシグナルコンタクト部105(図7参照)に接続される。
【0035】
シグナルコンタクト部材20Aは、図2及び図10等に示されるように、第1部分20xと、第2部分20yと、第3部分20zと、係止部20wと、を有する。シグナルコンタクト部材20Aは、筒状部44に配置されている(図10参照)。第2部分20yは、同軸ケーブル12Aの延在方向に延びる部分であり、その上面において同軸ケーブル12Aの中心導体13に接触する部分である。第1部分20xは、第2部分20yの先端(同軸ケーブル12Aから離間する側の端部)から屈曲可能に伸びた部分である。第1部分20xは、シェル部34が屈曲位置を取った状態(図10の状態)において、平板部46に押圧されて、第2部分20yとの間に中心導体13を挟むように屈曲する。第3部分20zは、第2部分20yの後端(第1部分20xに連続する側と反対側の端部)から折り返すように第2部分20yの先端方向且つ下方に延び、さらに、下方に延びて下端で折り返して上方に延びるようにU字状に形成された部分である。第3部分20zは、U字状に形成された部分において相手方コネクタ装置100のシグナルコンタクト部104に接続される(図10参照)。係止部20wは、絶縁ハウジング部材40の係止部分(不図示)と係合することにより、絶縁ハウジング部材40に固定される部分である。係止部20wは、第2部分20yの両側面から下方に延びている。シグナルコンタクト部材20Bの構成は、シグナルコンタクト部材20Aの構成と同様(同軸ケーブル12Aを同軸ケーブル12Bに置き換えて、第1部分20x、第2部分20y、第3部分20z、係止部20wを有する点において同様)である。
【0036】
図3は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置11の導電部材50を上方から見た斜視図である。図3に示されるように、導電部材50は、第1領域51と、第2領域52と、中間領域53と、アイソレーション特性改善部54(第2のグランド接続部,第2の接続部)と、接続部59と、を有する。
【0037】
第1領域51は、後方グランド接続部55(第1のグランド接続部)と、該後方グランド接続部55に連続する前方グランド接続部56(第2のグランド接続部,第1の接続部)とを有する。後方グランド接続部55は、グランドコンタクト部材30、詳細には、第1ケーブル支持部32の載置部36に接続される(接触する)平板状の部分である(図10参照)。
【0038】
前方グランド接続部56は、相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部101の環状嵌合部102に接続される(接触する)平板状の部分である(図10参照)。前方グランド接続部56は、相手方コネクタ装置100との嵌合方向から見ると、図6及び図10に示されるように、同軸ケーブル12Aの中心導体13及びシグナルコンタクト部材20Aから構成されるシグナルラインの少なくとも一部(詳細には、中心導体13の一部)と重なっている。前方グランド接続部56は、上述した嵌合方向から見ると、図6に示されるように、シグナルコンタクト部材20A,20Bの配列方向(同軸コネクタ装置11の幅方向)において、バレル部である締付部34bと重なっている。また、前方グランド接続部56は、図6に示されるように、環状嵌合部31の端部31a,31a間によって挟まれた開口部OP1に配置されている。
【0039】
第2領域52の構成は、第1領域51の構成と同様(同軸ケーブル12Aを同軸ケーブル12Bに置き換えて、後方グランド接続部55及び前方グランド接続部56を有する点において同様)である。すなわち、導電部材50は、相手方コネクタ装置100の環状嵌合部102に接続される一対の前方グランド接続部56,56を有し、一方の前方グランド接続部56(第1領域51の前方グランド接続部56)は、嵌合方向から見ると、同軸ケーブル12Aの中心導体13の一部と重なっており、他方の前方グランド接続部56(第2領域52の前方グランド接続部56)は、嵌合方向から見ると、同軸ケーブル12Bの中心導体13の一部と重なっている。
【0040】
中間領域53は、第1領域51及び第2領域52を連絡するようにシグナルコンタクト部材20A,20Bの配列方向(同軸コネクタ装置11の幅方向)に延びる部分である。接続部59は、第1領域51及び第2領域52のそれぞれに連続するように設けられており、上方に伸びた部分である。接続部59は、絶縁ハウジング部材40に対して差し込まれる部分である。接続部59が絶縁ハウジング部材40の差込口49(図11(a)参照)に差し込まれることにより、導電部材50が絶縁ハウジング部材40に固定される。
【0041】
アイソレーション特性改善部54は、図3及び図9に示されるように、中間領域53から同軸ケーブル12A,12Bの延在方向(同軸ケーブル12A,12Bの先端方向)に延びる延在部57と、延在部57の先端から下方に延びて下端で折り返して上方に延びるようにU字状に形成された接触部58とを有する。接触部58は、図9に示されるように、相手方コネクタ装置100のシグナルコンタクト部104,105間に配置されたグランドコンタクト部101の接触部103に接続される(接触する)。なお、導電部材50の一部は、載置部36を介して、同軸ケーブル12A,12Bを締め付けるようにして保持するバレル部である締付部34bに接続されているが、バレル部である締付部34bに直接接続されてもよい。
【0042】
図4は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置11が同軸ケーブル12A,12Bの一端部に装着される過程を示す斜視図である。同軸コネクタ装置11が、同軸ケーブル12A,12Bの一端部に装着されるに際しては、先ず、図2に示されるように、同軸ケーブル12A,12Bの中心導体13が、シグナルコンタクト部材20A,20Bの第2部分20yに載置される。載置される同軸ケーブル12A,12Bは、表皮絶縁体16が部分的に切除されて外側導体15が露出するとともにその外側導体15及び内部絶縁体14の夫々が部分的に切除されて中心導体13が露出する状態におかれた一端部を有している。
【0043】
その後、直立位置をとるグランドコンタクト部材30のシェル部34が、グランドコンタクト部材30の環状嵌合部31に対して折り曲げられて屈曲位置となる。それにより、シェル部34は、絶縁ハウジング部材40の平板部46を介して、第1部分20xを屈曲させて、第1部分20xと第2部分20yとで中心導体13を挟む。これにより、同軸ケーブル12A,12Bの中心導体13が、シグナルコンタクト部材20A,20Bに接続される。また、シェル部34は、同軸ケーブル12A,12Bの外側導体15に当接される。
【0044】
さらにその後、屈曲位置となったシェル部34において、一対の締付部34b,34bのそれぞれが折り曲げられることにより、載置部36の外側から包むようにして載置部36に対する締付けが行われると共に、同軸ケーブル12A,12Bの外側導体15に対する締付けが行われる。また、一対の締付部34c,34c及び一対の締付部34d,34dのそれぞれが折り曲げられることにより、同軸ケーブル12A,12Bの外側導体15、表皮絶縁体16に対する締付けが行われる。これにより、グランドコンタクト部材30のシェル部34が、同軸ケーブル12A,12Bの外側導体15に接続されて固定される。
【0045】
その結果、図5及び図6に示されるように、同軸ケーブル12A,12Bの一端部に同軸コネクタ装置11が装着された状態が堅固に維持されることになる。図5は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置11が同軸ケーブル12A,12Bの一端部に装着された状態を示す上方から見た斜視図である。図6は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置11が同軸ケーブル12A,12Bの一端部に装着された状態を示す底面図である。
【0046】
図7は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置11が連結される相手方コネクタ装置100を示す斜視図である。相手方コネクタ装置100は、回路基板における部品等が搭載される搭載面(不図示)上に固定されている。
【0047】
相手方コネクタ装置100は、シグナルコンタクト部104,105(第1のシグナルコンタクト部,第2のシグナルコンタクト部)と、グランドコンタクト部101と、を備える。シグナルコンタクト部104,105は、導電材料により形成され、回路基板の搭載面に設けられたシグナル端子(不図示)に電気的に接続されている。グランドコンタクト部101は、回路基板の搭載面に設けられたグランド電位部(不図示)に電気的に接続されている。グランドコンタクト部101は、シグナルコンタクト部104,105を包囲するように環状体を成すものとして形成されている。グランドコンタクト部101は、環状嵌合部102(第1の部分)と、接触部103(第2の部分)と、を有している。環状嵌合部102は、グランドコンタクト部材30の環状嵌合部31に嵌合接続される。接触部103は、シグナルコンタクト部104,105間に配置されてアイソレーション特性改善部54の接触部58に接触する(接続させる)。
【0048】
図8は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置11が、同軸ケーブル12A,12Bの一端部に装着されたもとで、相手方コネクタ装置100に機械的且つ電気的に連結された状態を示す平面図である。図9は、図8におけるIX-IX線断面を示す断面図である。図10は、図8におけるX-X線断面を示す断面図である。図9及び図10に示されるように、同軸コネクタ装置11が相手方コネクタ装置100に連結された状態においては、同軸コネクタ装置11におけるグランドコンタクト部材30の環状嵌合部31が、相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部101の環状嵌合部102に嵌合接続される。
【0049】
嵌合接続された状態においては、図10に示されるように、同軸ケーブル12Aの中心導体13に接続されたシグナルコンタクト部材20Aの第3部分20zが、相手方コネクタ装置100のシグナルコンタクト部104接触(接続)される。同様に、同軸ケーブル12Bの中心導体13に接続されたシグナルコンタクト部材20Bの第3部分20zが、相手方コネクタ装置100のシグナルコンタクト部105に接触(接続)される。これにより、同軸ケーブル12A,12Bの中心導体13が、同軸コネクタ装置11のシグナルコンタクト部材20A,20B及び相手方コネクタ装置100のシグナルコンタクト部104,105を通じて、回路基板の搭載面に設けられたシグナル端子(不図示)に電気的に接続される。
【0050】
また、嵌合接続された状態においては、図10に示されるように、導電部材50が、第1領域51の後方グランド接続部55において、同軸ケーブル12Aの外側導体15に凸部36aが接触している載置部36と接触しており、第1領域51の前方グランド接続部56において、相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部101の環状嵌合部102と接触している。同様に、導電部材50が、第2領域52の後方グランド接続部55において、同軸ケーブル12Bの外側導体15に凸部36aが接触している載置部36と接触しており、第2領域52の前方グランド接続部56において、相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部101の環状嵌合部102と接触している。これにより、同軸ケーブル12A,12Bの外側導体15が、同軸コネクタ装置11のグランドコンタクト部材30及び導電部材50、並びに、相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部101を通じて、回路基板に設けられたグランド電位部(不図示)に電気的に接続される。
【0051】
さらに、嵌合接続された状態においては、図9に示されるように、導電部材50のアイソレーション特性改善部54の接触部58が、相手方コネクタ装置100のシグナルコンタクト部104,105間に配置されたグランドコンタクト部101の接触部103に接触している。これにより、同軸ケーブル12A,12Bに係るシグナルラインの間において、回路基板に設けられたグランド電位部(不図示)に電気的に接続されたアイソレーション特性改善部54が設けられることとなる。
【0052】
次に、本実施形態に係る同軸コネクタ装置11の組立方法について、図11及び図12を参照して説明する。図11及び図12は、本実施形態に係る同軸コネクタ装置の組立方法を説明する図であり、図11(a)、図11(b)、図11(c)、図11(d)、図12(a)、図12(b)、図12(c)の順で組立工程を示している。
【0053】
最初の工程では、図11(a)に示されるように、導電部材50及び絶縁ハウジング部材40を用意し、導電部材50の接続部59を絶縁ハウジング部材40の差込口49に差し込むことにより、図11(b)に示されるように、導電部材50及び絶縁ハウジング部材40を一体化させる。
【0054】
つづいて、図11(c)に示されるように、グランドコンタクト部材30に対して、導電部材50が一体化された絶縁ハウジング部材40を組み付ける。具体的には、グランドコンタクト部材30の環状嵌合部31に絶縁ハウジング部材40の筒状部44が囲われると共に、グランドコンタクト部材30の載置部36に絶縁ハウジング部材40の中心導体支持部45が載置されるように、グランドコンタクト部材30に対して絶縁ハウジング部材40を組み付ける。
【0055】
つづいて、図11(d)に示されるように、グランドコンタクト部材30に組み付けられた絶縁ハウジング部材40の筒状部44にシグナルコンタクト部材20A,20Bを配置する。ここまでの組立工程によって、図12(a)に示される、グランドコンタクト部材30が直立位置をとる同軸コネクタ装置11が準備される。
【0056】
つづいて、図12(b)に示されるように、同軸コネクタ装置11が同軸ケーブル12A,12Bの一端部に装着される。具体的には、同軸ケーブル12A,12Bの中心導体13を、シグナルコンタクト部材20A,20Bの第2部分20y(図4参照)に載置する。
【0057】
その後、直立位置をとるグランドコンタクト部材30のシェル部34が屈曲位置をとるものとされ、さらに、締付部34b,34c,34dを折り曲げることにより、同軸ケーブル12A,12Bの中心導体13が、シグナルコンタクト部材20A,20Bに接続される。また、グランドコンタクト部材30のシェル部34が、同軸ケーブル12A,12Bの外側導体15に接続されて固定される。その結果、図12(c)に示されるように、同軸ケーブル12A,12Bの一端部に同軸コネクタ装置11が装着された状態が堅固に維持される。
【0058】
次に、本実施形態に係る同軸コネクタ装置11の作用効果について説明する。
【0059】
本実施形態に係る同軸コネクタ装置11は、同軸ケーブル12Aの中心導体13に接続されると共に、回路基板に装着された相手方コネクタ装置100のシグナルコンタクト部104に接続されるシグナルコンタクト部材20Aと、同軸ケーブル12Bの中心導体13に接続されると共に、相手方コネクタ装置100のシグナルコンタクト部105に接続されるシグナルコンタクト部材20Bと、相手方コネクタ装置のグランドコンタクト部101の環状嵌合部102に嵌合接続される環状嵌合部31、並びに、該環状嵌合部31から屈曲可能に伸びて同軸ケーブル12A及び同軸ケーブル12Bの外側導体15に接続されるシェル部34を有し、グランド電位が与えられるグランドコンタクト部材30と、グランドコンタクト部材30に接続される後方グランド接続部55、及び、相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部101に接続される前方グランド接続部56を有する導電部材50と、を備え、導電部材50の前方グランド接続部56は、相手方コネクタ装置100との嵌合方向から見ると、同軸ケーブル12Aの中心導体13及びシグナルコンタクト部材20Aから構成されるシグナルラインの少なくとも一部(詳細には中心導体13の一部)、並びに、同軸ケーブル12Bの中心導体13及びシグナルコンタクト部材20Bから構成されるシグナルラインの少なくとも一部(詳細には中心導体13の一部)と重なっている。
【0060】
本実施形態に係る同軸コネクタ装置11では、同軸ケーブル12Aの中心導体13に接続されたシグナルコンタクト部材20Aと、同軸ケーブル12Bの中心導体13に接続されたシグナルコンタクト部材20Bと、グランド電位が与えられるグランドコンタクト部材30と、導電部材50とが備わっており、導電部材50の後方グランド接続部55が上記グランドコンタクト部材30に接続されており、前方グランド接続部56が相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部101に接続されている。そして、本同軸コネクタ装置11では、前方グランド接続部56が、嵌合方向から見て、同軸ケーブル12Aの中心導体13及びシグナルコンタクト部材20Aから構成されるシグナルラインの少なくとも一部、並びに、同軸ケーブル12Bの中心導体13及びシグナルコンタクト部材20Bから構成されるシグナルラインの少なくとも一部と重なっている。前方グランド接続部56がこれらのシグナルラインの少なくとも一部と重なっていることにより、これらのシグナルラインの信号が、外部(同軸コネクタ装置11の周囲)に伝搬することが抑制される。このことで、シグナルラインの信号がノイズとなって周囲の外部製品に影響を及ぼすことが抑制され、同軸コネクタ装置11のEMI特性を向上させ、耐ノイズ性を向上させることができる。
【0061】
グランドコンタクト部材30のシェル部34は、同軸ケーブル12A及び同軸ケーブル12Bを締め付けるようにして保持する締付部34b(バレル部)を有し、導電部材50は、締付部34bに接続されていてもよい。このように、シグナルラインを構成する同軸ケーブル12A,12Bを保持している締付部34bと導電部材50とが接続(接触)していることにより、接触箇所を確実にグランド電位にすると共に、シグナルラインと導電部材50(詳細には前方グランド接続部56)とが重なる部分を好適に形成することができる。
【0062】
相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部101は、グランドコンタクト部材30の環状嵌合部31に嵌合接続される環状嵌合部102を有し、導電部材50は、環状嵌合部102に接続される一対の前方グランド接続部56を有し、一対の前方グランド接続部56のうち一方は、嵌合方向から見ると、一方のシグナルラインの少なくとも一部と重なっており、一対の前方グランド接続部56のうち他方は、嵌合方向から見ると、他方のシグナルラインの少なくとも一部と重なっていてもよい。このように、一対の前方グランド接続部56が、相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部101における篏合に係る部分(環状嵌合部102)に接続されることにより、相手方コネクタ装置100に嵌合された状態において、接触箇所を確実にグランド電位にすることができる。そして、一対の前方グランド接続部56のうち一方が一方のシグナルラインの少なくとも一部と重なり、一対の前方グランド接続部56のうち他方が他方のシグナルラインの少なくとも一部と重なることにより、双方のシグナルラインの信号が、外部(同軸コネクタ装置11の周囲)に伝搬することを確実に抑制することができる。
【0063】
グランドコンタクト部材30のシェル部34は、同軸ケーブル12A及び同軸ケーブル12Bを締め付けるようにして保持する締付部34bを有し、一対の前方グランド接続部56は、嵌合方向から見ると、シグナルコンタクト部材20A,20Bの配列方向において締付部34bと重なっていてもよい。このように、一対の前方グランド接続部56と、同軸ケーブル12A,12Bを保持する締付部34bとが重なっていることにより、一対の前方グランド接続部56とシグナルライン(詳細には同軸ケーブル12A,12Bの中心導体13)とが重なる部分を好適に形成することができる。このことで、双方のシグナルラインの信号が、外部(同軸コネクタ装置11の周囲)に伝搬することを適切に抑制することができる。
【0064】
グランドコンタクト部材30の環状嵌合部31には開口部OP1が形成されており、一対の前方グランド接続部56は、開口部OP1に配置されていてもよい。このように、例えば製造上形成されてしまう開口部OP1に、導電部材50である一対の前方グランド接続部56が設けられていることにより、一対の前方グランド接続部56によって開口部OP1が部分的に塞がれることとなり、開口部OP1から外部にシグナルラインの信号(高周波信号)が漏洩することを効果的に抑制できる。
【0065】
相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部101は、シグナルコンタクト部104及びシグナルコンタクト部105間に配置された接触部103を有し、導電部材50は、接触部103に接続されるアイソレーション特性改善部54を有していてもよい。アイソレーション特性改善部54が、シグナルコンタクト部104及びシグナルコンタクト部105間に配置された、相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部101の接触部103に接続されることにより、異なるシグナルコンタクト部材20A,20B間で互いのシグナルが伝搬することが抑制される。このことで、アイソレーション特性を向上させ、耐ノイズ性を向上させることができる。
【0066】
本発明に係る態様は、上記実施形態に限定されない。図13及び図14は、本実施形態の他の態様に係る同軸コネクタ装置511を示す分解斜視図である。図15は、同軸コネクタ装置511が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す下方側から見た斜視図である。以下では、同軸コネクタ装置511の構成の内、上記実施形態に係る同軸コネクタ装置11と異なる構成を主に説明し、同軸コネクタ装置11と共通の(又は対応する)構成の説明を省略する場合がある。
【0067】
図13図15に示されるように、同軸コネクタ装置511は、主要構成要素として、2つのシグナルコンタクト部材520A,520B(第1のシグナルコンタクト部材,第2のシグナルコンタクト部材)と、グランドコンタクト部材530と、導電部材550と、を備えている。また、同軸コネクタ装置511は、絶縁ハウジング540を備えていてもよい。
【0068】
絶縁ハウジング540は、シグナルコンタクト部材520A,520Bとグランドコンタクト部材530とを相互に絶縁する状態をもって支持する。絶縁ハウジング540は、シグナルコンタクト部材520Aの支持に係る第1支持部541(図19(c)参照)と、シグナルコンタクト部材520Bの支持に係る第2支持部542(図19(c)参照)と、ベース部543と、を有する。第1支持部541及び第2支持部542は、同軸コネクタ装置511の幅方向において隣り合って配置されている。
【0069】
第1支持部541及び第2支持部542における上記幅方向の外側面には、上記幅方向の外方に突出した突出部591が設けられている。突出部591は、同軸コネクタ装置511の組立時において、グランドコンタクト部材530の腕部535の凹部535x(詳細は後述)に嵌合し、グランドコンタクト部材530に対する絶縁ハウジング540の位置を固定する部分である(図19(c)(d)参照)。
【0070】
図14に示されるように、第1支持部541及び第2支持部542における下面の上記幅方向の両端部分には、凹部である差込口549が形成されている。差込口549は、導電部材550の接続部559(詳細は後述)が差し込まれる部分である。差込口549に接続部559が差し込まれることにより、絶縁ハウジング540に対して導電部材550の位置が固定される。
【0071】
図13に示されるように、ベース部543は、同軸ケーブル12A,12Bの延在方向において第1支持部541及び第2支持部542に連続する部分であり、第1支持部541及び第2支持部542よりも同軸ケーブル12A,12Bの先端方向(前方向)に位置する部分である。ベース部543における同軸コネクタ装置511の幅方向の中央部分には、後述するアイソレーション特性改善部570を固定するための凹部546が形成されている。凹部546は、第1支持部541及び第2支持部542に挟まれた部分からベース部543の先端部分まで、同軸ケーブル12A,12Bの延在方向に沿って形成されている。
【0072】
図14に示されるように、ベース部543における下面の先端部分には、下方に延びるコンタクト固定部547,548が形成されている。コンタクト固定部547は、ベース部543の内部を貫通するように延在するシグナルコンタクト部材520Aの第3部分520z(詳細は後述)が巻き付けられ、その第3部分520zが固定される部分である。コンタクト固定部548は、ベース部543の内部を貫通するように延在するシグナルコンタクト部材520Bの第3部分520z(詳細は後述)が巻き付けられ、その第3部分520zが固定される部分である(図18(c)参照)。
【0073】
グランドコンタクト部材530は、グランド電位が与えられ、グランドバー581(詳細は後述)を介して、同軸ケーブル12A,12Bの外側導体15に電気的に接続される(図18(c)参照)。グランドコンタクト部材530は、環状嵌合部531と、一対の腕部535,535と、シェル部534と、を有する。
【0074】
環状嵌合部531は、絶縁ハウジング540の一部(詳細には、ベース部543)を部分的に包囲し、相手方コネクタ装置600(図16参照)のグランドコンタクト部である環状嵌合部630に嵌合接続される部分である。環状嵌合部531は、略円筒状に形成されているが、その後端部分は連続しておらず開口部595が形成されている(図15参照)。
【0075】
一対の腕部535,535は、環状嵌合部531に連続すると共に、同軸コネクタ装置511の幅方向において互いに対向しながら同軸ケーブル12A,12Bの延在方向に沿って延びる部分である。一方の腕部535は、第1支持部541の外側面に沿って上記延在方向に延びている。他方の腕部535は、第2支持部542の外側面に沿って上記延在方向に延びている。一対の腕部535,535のそれぞれには、絶縁ハウジング540の突出部591に嵌合する凹部535xが形成されている。
【0076】
シェル部534は、環状嵌合部531の上面を覆うベース板534aと、同軸ケーブル12Aの固定に係る第1固定部538(バレル部)と、同軸ケーブル12Bの固定に係る第2固定部539(バレル部)と、を有する。ベース板534aは、環状嵌合部531の先端に連続すると共に、屈曲位置において、ケーブル固定部580(詳細は後述)の上部のグランドバー581(詳細は後述)を覆う位置まで、後方に延びている。
【0077】
第1固定部538は、同軸ケーブル12Aを保持する。第1固定部538は、ベース板534aにおける後端部分(ベース板534aにおける環状嵌合部531の上面を覆う部分よりも後方の部分)の幅方向の外縁部に連続して延びる部分である。第1固定部538は、折り曲げ可能に構成されており、屈曲位置において、腕部535を幅方向の外方から覆う締付部534bと、ケーブル固定部580(詳細には後述する下部のグランドバー581)を下方から覆う締付部534cと、を有する。締付部534bは、ベース板534aに連続する箇所で折り曲げられることにより腕部535を覆う。締付部534cは、締付部534bに連続する箇所で折り曲げられることにより下部のグランドバー581を覆う。このように、第1固定部538は、同軸ケーブル12Aを直接締め付けるのではなく、ケーブル固定部580を覆うように保持することによって、ケーブル固定部580によって固定されている同軸ケーブル12Aを保持する。第2固定部539の構成は、第1固定部538の構成と同様(同軸ケーブル12Aを同軸ケーブル12に置き換えて、締付部534b,534cを有する点において同様)である。すなわち、第2固定部539は、同軸ケーブル12Bを直接締め付けるのではなく、ケーブル固定部580を覆うように保持することによって、ケーブル固定部580によって固定されている同軸ケーブル12Bを保持する。
【0078】
ケーブル固定部580は、同軸ケーブル12A,12Bを固定する構成である。ケーブル固定部580は、上下方向において互いに対向する板状のグランドバー581,581と、グランドバー581,581及び同軸ケーブル12A,12B間に充填されて同軸ケーブル12A,12Bを固定する半田部582と、を有する。半田部582が外側導体15を覆うように充填されており、グランドバー581,581が半田部582の上面及び下面を覆っていることにより、グランドバー581,581と外側導体15とが互いに電気的に接続されている。
【0079】
上部のグランドバー581は、幅方向の中央部分の先端部分が下方向に折り曲げられており、半田部582の内部を通過して、アイソレーション特性改善部570(詳細は後述)に接続されている(図18(b)参照)。このように、一方のグランドバー581とアイソレーション特性改善部570とが接触していることにより、アイソレーション特性改善部570が、グランドバー581を介して同軸ケーブル12A,12Bの外側導体15に電気的に接続されている。
【0080】
シグナルコンタクト部材520Aは、同軸ケーブル12Aの中心導体13に接続されると共に、相手方コネクタ装置600のシグナルコンタクト部604(図16参照)に接続される導電性の部材である。シグナルコンタクト部材520Bは、同軸ケーブル12Bの中心導体13に接続されると共に、相手方コネクタ装置600のシグナルコンタクト部605(図16参照)に接続される。
【0081】
シグナルコンタクト部材520Aは、第1部分520xと、第2部分520yと、第3部分520zと、を有する。シグナルコンタクト部材520Aは、第1支持部541に支持されている。第2部分520yは、同軸ケーブル12Aの延在方向に延びる部分であり、その上面において同軸ケーブル12Aの中心導体13に接触する部分である。第1部分520xは、第2部分520yの先端に連続すると共に、前方に延びる部分である。第1部分520xは、第2部分520yの先端に連続すると共に上方向に傾斜して延びる部分と、該傾斜して延びる部分に連続すると共に水平に伸びる部分とを有している。第3部分520zは、第1部分520xの先端に連続すると共に下方に延び、さらに下方に伸びた部分の下端で折り返して上方に延びるようにU字状に形成された部分である。第3部分520zは、U字状に形成された部分において相手方コネクタ装置600のシグナルコンタクト部604(図16参照)に接続される。シグナルコンタクト部材520Bの構成は、シグナルコンタクト部材520Aの構成と同様(同軸ケーブル12Aを同軸ケーブル12Bに置き換えて、第1部分520x、第2部分520y、第3部分520zを有する点において同様)である。
【0082】
導電部材550は、後方グランド接続部555(第1のグランド接続部)と、該後方グランド接続部555に連続する傾斜部556と、該傾斜部556に連続する前方グランド接続部557(第2のグランド接続部,第1の接続部)と、を有する。
【0083】
後方グランド接続部555は、グランドコンタクト部材530、詳細には、第1固定部538及び第2固定部539の締付部534cに接続される(接触する)平板上の部分である(図18(c)参照)。後方グランド接続部555の後端の幅方向における中央部分には、切欠き558が形成されている。当該切欠き558に半田が充填されることにより、下部のグランドバー581と導電部材550とが電気的に接続される。これにより、確実な接触によるシールド性の向上と、強固な接続による機械的接続が確保される。なお、図18(b)に示されるように、ベース板534aの貫通部536に半田が充填されることにより、上部のグランドバー581とグランドコンタクト部材530とが電気的に接続される。このような半田付けが行われるタイミングは、バレル部である第1固定部538(バレル部)及び第2固定部539のカシメ後である。後方グランド接続部555の前端部の幅方向における両端部分には、上方に向かって突出した接続部559が設けられている。接続部559が絶縁ハウジング540の差込口549に差し込まれることにより、絶縁ハウジング540に対して後方グランド接続部555の位置が固定される。傾斜部556は、後方グランド接続部555の前端に連続すると共に傾斜しながら前方に延びる部分であり、絶縁ハウジング540下面の傾斜形状に応じた、上斜め方向に傾斜した形状とされている。
【0084】
前方グランド接続部557は、相手方コネクタ装置100のグランドコンタクト部である環状嵌合部630(第1の部分)に接続される(接触する)平板状の部分である(図18(c)参照)。前方グランド接続部557は、傾斜部556の前端に連続すると共に、下方に傾斜しながら前方に延びる部分である。前方グランド接続部557は、その先端部分が環状嵌合部531の開口部595(図15参照)に配置されており、その先端部分において環状嵌合部630に接続される(図18(c)参照)。前方グランド接続部557は、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520Bの配列方向である幅方向において連続的に形成されている。ここでの連続的に形成されているとは、切欠き・隙間等が形成されることなく形成されていることを言う。そして、前方グランド接続部557は、嵌合方向から見ると、2つのシグナルラインの少なくとも一部(本実施形態では両方)と重なっている。
【0085】
導電部材550は、さらに、上述した後方グランド接続部555、傾斜部556、及び前方グランド接続部557からなる板状部材とは別部材で構成された、アイソレーション特性改善部570(第2のグランド接続部,第2の接続部)を有している。このように、アイソレーション特性改善部570は、第2のグランド接続部における他の領域(前方グランド接続部557)等とは別部材で構成されている。
【0086】
アイソレーション特性改善部570は、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520B間において、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520Bの延在方向に沿って延び、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520B間におけるシグナルの伝搬を防ぐ構成である。アイソレーション特性改善部570は、シグナルコンタクト部材520A,520Bのそれぞれに対向する面を持つ壁状部材である。アイソレーション特性改善部570は、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520B間の領域の少なくとも一部を遮るように、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520Bの間に配置されている。
【0087】
図18(b)に示されるように、アイソレーション特性改善部570は、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520B間の領域の全てを遮るように、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520Bの間に配置されていてもよい。図18(b)及び図18(c)に示されるように、幅方向から見たアイソレーション特性改善部570の面積は、幅方向から見たシグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520Bの面積よりも大きい。
【0088】
図18(b)に示されるように、アイソレーション特性改善部570は、第1部分570xと、第2部分570yと、第3部分570zと、第4部分570vと、を有する。第2部分570yは、シグナルコンタクト部材520A,520Bの第2部分520yに沿って延びる部分であり、その上面において同軸ケーブル12A,12Bの外側導体15に電気的に接続されたグランドバー581に接続されている。第1部分570xは、シグナルコンタクト部材520A,520Bの第1部分520xに沿って延びる部分である。第1部分570xは、その上端部の少なくとも一部がシェル部534のベース板534aに接触している(図18(b)参照)。第3部分570zは、シグナルコンタクト部材520A,520Bの第3部分520zに沿って下方に延びる部分である。第3部分570zは、相手方コネクタ装置600のグランドコンタクト部の接触部603に接続される(接触する)。第4部分570vは、第1部分570xに連続すると共に下方に延びる部分であり、絶縁ハウジング540に圧入される部分である。
【0089】
図16は、同軸コネクタ装置511が連結される相手方コネクタ装置600を示す斜視図である。図17は、図16の相手方コネクタ装置600を示す上方側から見た分解斜視図である。
【0090】
図16及び図17に示されるように、相手方コネクタ装置600は、シグナルコンタクト部604,605(第1のシグナルコンタクト部,第2のシグナルコンタクト部)と、グランドコンタクト部である環状嵌合部630及び接触部603と、絶縁ハウジング640と、を備えている。
【0091】
絶縁ハウジング640は、シグナルコンタクト部604,605とグランドコンタクト部である環状嵌合部630及び接触部603とを相互に絶縁する状態をもって支持する。シグナルコンタクト部604は、一対の接触部分604a,604bを有している。接触部分604a,604bは、その間にシグナルコンタクト部材520Aの第3部分520zを挟み込むようにして、第3部分520zに接触する(接続される)。シグナルコンタクト部605は、一対の接触部分605a,605bを有している。接触部分605a,605bは、その間にシグナルコンタクト部材520Bの第3部分520zを挟み込むようにして、第3部分520zに接触する(接続される)。
【0092】
接触部603は、一対の接触部分603a,603bを有している。接触部分603a,603bは、その間にアイソレーション特性改善部570の第3部分570zを挟み込むようにして、第3部分570zに接触する(接続される)。環状嵌合部630は、グランドコンタクト部材530の環状嵌合部531に嵌合接続される。
【0093】
図18(a)は同軸コネクタ装置511が、同軸ケーブル12A,12Bの一端部に装着されたもとで、相手方コネクタ装置600に機械的且つ電気的に連結された状態を示す平面図である。図18(b)は図18(a)の(b)-(b)線に沿った断面図である。図18(c)は図18(a)の(c)-(c)線に沿った断面図である。図18(d)は図18(a)の(d)-(d)線に沿った断面図である。
【0094】
図18(b)及び図18(c)に示されるように、同軸コネクタ装置511が相手方コネクタ装置600に連結された状態においては、同軸コネクタ装置511におけるグランドコンタクト部材530の環状嵌合部531が、相手方コネクタ装置600のグランドコンタクト部の環状嵌合部630に嵌合接続される。
【0095】
嵌合接続された状態においては、図18(c)に示されるように、第2部分520yと同軸ケーブル12Bの中心導体13とが接続されたシグナルコンタクト部材520Bの第3部分520zが、相手方コネクタ装置600のシグナルコンタクト部604の一対の接触部分604a,604bに接触する(シグナルコンタクト部材520Aについては、シグナルコンタクト部605の一対の接触部分605a,605bに接触する)。これにより、同軸ケーブル12A,12Bの中心導体13が、同軸コネクタ装置511のシグナルコンタクト部材520A,520B及び相手方コネクタ装置600のシグナルコンタクト部604,605を通じて、回路基板の搭載面に設けられたシグナル端子(不図示)に電気的に接続される。
【0096】
また、嵌合接続された状態においては、図18(c)に示されるように、導電部材550の後方グランド接続部555がグランドコンタクト部材530の締付部534c及びケーブル固定部580のグランドバー581に接触しており、また、前方グランド接続部557が相手方コネクタ装置600のグランドコンタクト部である環状嵌合部630に接触している。グランドバー581は、同軸ケーブル12A,12Bの外側導体15に電気的に接続されている。これにより、同軸ケーブル12A,12Bの外側導体15が、同軸コネクタ装置511のグランドコンタクト部材530及び導電部材550、並びに、相手方コネクタ装置600の環状嵌合部630を通じて、回路基板に設けられたグランド電位部(不図示)に電気的に接続される。
【0097】
さらに、嵌合接続された状態においては、図18(b)に示されるように、グランドバー581に接続されたアイソレーション特性改善部570が、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520B間において、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520Bの延在方向に沿って延び、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520B間に配置されている。そして、アイソレーション特性改善部570の第3部分570zが、相手方コネクタ装置600のグランドコンタクト部の接触部603における一対の接触部分603a,603bに接触している。これにより、シグナルライン間において、シグナルライン相互間でのシグナルの伝搬を防ぐように、アイソレーション特性改善部570が設けられることとなる。なお、アイソレーション特性改善部570は、回路基板に設けられたグランド電位部(不図示)に電気的に接続されている。
【0098】
次に、同軸コネクタ装置511の組立方法について、図19及び図20を参照して説明する。図19(a)~(d)は、同軸コネクタ装置511の組立方法を説明する図である。図20(a)(b)は、同軸コネクタ装置511の組立方法を説明する図であり、図19(d)に続く工程を示す図である。
【0099】
最初の工程では、図19(a)に示されるように、導電部材550、シグナルコンタクト部材520A,520Bが一体成型された絶縁ハウジング540、及びアイソレーション特性改善部570を用意し、導電部材550の接続部559を絶縁ハウジング540の差込口549に差し込むと共に、アイソレーション特性改善部570を絶縁ハウジング540の凹部546(図13参照)に固定することにより、図19(b)に示されるように、導電部材550等と絶縁ハウジング540とを一体化させる。
【0100】
つづいて、図19(c)に示されるように、グランドコンタクト部材530に対して、導電部材550等が一体化された絶縁ハウジング540を組み付ける。具体的には、一対の腕部535,535の凹部535xに絶縁ハウジング540の突出部591が嵌合するように、グランドコンタクト部材530に対して絶縁ハウジング540を組み付ける(図19(d)参照)。
【0101】
つづいて、図20(a)に示されるように、同軸コネクタ装置511を同軸ケーブル12A,12Bの一端部に装着する。装着する際に、シグナルコンタクト部材520Aと同軸ケーブル12Aの中心導体13とを接続し、シグナルコンタクト部材520Bと同軸ケーブル12Bの中心導体13とを接続する。また、装着する際に、上部のグランドバー581とアイソレーション特性改善部570とを接続する。その後、直立位置をとるグランドコンタクト部材530のシェル部534が屈曲位置をとるものとされ、さらに、締付部534b,534cを折り曲げることにより、図20(b)に示されるように、同軸ケーブル12A,12Bの一端部に同軸コネクタ装置511が装着された状態が堅固に維持される。締付部534b,534cの折り曲げ後、切欠き558及び貫通部536等に半田が充填される。
【0102】
次に、同軸コネクタ装置511の作用効果について説明する。
【0103】
同軸コネクタ装置511において、グランドコンタクト部材530のシェル部534は、同軸ケーブル12A及び同軸ケーブル12Bを保持するバレル部としての第1固定部538及び第2固定部539を有し、導電部材550は、第1固定部538及び第2固定部539に接続されていてもよい。上述したように、第1固定部538及び第2固定部539が、同軸ケーブル12A及び同軸ケーブル12Bを直接締め付けるのではなく、ケーブル固定部580を覆うように保持することによっても、シグナルラインと導電部材550とが重なる部分を好適に形成することができる。
【0104】
導電部材550の前方グランド接続部557は、環状嵌合部630に接続され、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520Bの配列方向である幅方向において連続的に形成されており、嵌合方向から見ると、2つのシグナルラインの少なくとも一部と重なっていてもよい。このように、前方グランド接続部557が、相手方コネクタ装置600のグランドコンタクト部における篏合に係る部分(環状嵌合部630)に接続されることにより、相手方コネクタ装置600に嵌合された状態において、接触箇所を確実にグランド電位にすることができる。そして、切欠き・隙間等が形成されることなく連続的に形成された前方グランド接続部557が2つのシグナルラインの少なくとも一部と重なることにより、2つのシグナルラインの信号が、外部に伝搬することをより適切に抑制することができる。
【0105】
環状嵌合部630には開口部595が形成されており、前方グランド接続部557は、開口部595に配置されていてもよい。このように、例えば製造上形成されてしまう開口部595に、導電部材である前方グランド接続部557が設けられていることにより、切欠き・隙間等が形成されていない前方グランド接続部557によって効果的に開口部595が塞がれることとなり、開口部595から外部にシグナルラインの信号(高周波信号)が漏洩することを効果的に抑制できる。
【0106】
アイソレーション特性改善部570は、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520B間の領域の少なくとも一部を遮るように、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520B間に配置されていてもよい。このように、アイソレーション特性改善部570が、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520B間の領域を遮るように配置されていることにより、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520B間で互いにシグナルが伝搬することがより効果的に抑制される。これにより、アイソレーション特性をより向上させることができる。
【0107】
アイソレーション特性改善部570は、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520Bの延在方向に沿って延びていてもよい。これにより、アイソレーション特性改善部570によってシグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520B間の領域が効果的に遮られることとなり、上述したアイソレーション特性をより向上させることができる。
【0108】
アイソレーション特性改善部570は、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520B間の領域の全てを遮るように、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520B間に配置されていてもよい。このように、アイソレーション特性改善部570によってシグナルコンタクト部材間の領域が完全に遮られることにより、上述したアイソレーション特性をより向上させることができる。
【0109】
シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520Bの配列方向である幅方向から見たアイソレーション特性改善部570の面積は、配列方向から見たシグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520Bの面積よりも大きくてもよい。このように、アイソレーション特性改善部570の面積が大きくされることにより、アイソレーション特性改善部570によって、シグナルコンタクト部材間で互いにシグナルが伝搬することがより効果的に抑制される。これにより、アイソレーション特性をより向上させることができる。
【0110】
アイソレーション特性改善部570は、第2のグランド接続部における他の領域と別部材で構成されていてもよい。これにより、アイソレーション特性改善部570の形状、原材料及び配置の自由度が増し、形状、原材料及び配置が適切に設定されたアイソレーション特性改善部570によって、シグナルコンタクト部材間で互いにシグナルが伝搬することがより効果的に抑制される。これにより、アイソレーション特性をより向上させることができる。
【0111】
アイソレーション特性改善部570は、同軸ケーブル12A,12Bの外側導体15に電気的に接続されたグランドバー581に接続されていてもよい。これにより、外側導体15を挟んで互いに隣り合う同軸ケーブル12Aの中心導体13及び同軸ケーブル12Bの中心導体13と同様に、グランドバー581を介して外側導体15に電気的に接続されたアイソレーション特性改善部570を挟んでシグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520Bが互いに隣り合うこととなるので、互いに隣り合う同軸ケーブル12A,12Bと同様に、シグナルコンタクト部材520A及びシグナルコンタクト部材520B間で互いにシグナルが伝搬することを効果的に抑制することができる。
【符号の説明】
【0112】
11,511…同軸コネクタ装置、12A…同軸ケーブル(第1の同軸ケーブル)、12B…同軸ケーブル(第2の同軸ケーブル)、13…中心導体、15…外側導体、20A,520A…シグナルコンタクト部材(第1のシグナルコンタクト部材)、20B,520B…シグナルコンタクト部材(第2のシグナルコンタクト部材)、30,530…グランドコンタクト部材、31,531…環状嵌合部、34,534…シェル部、34b,34c,34d,534b,534c…締付部(バレル部)、50,550…導電部材、54,570…アイソレーション特性改善部(第2のグランド接続部,第2の接続部)、55,555…後方グランド接続部(第1のグランド接続部)、56,557…前方グランド接続部(第2のグランド接続部,第1の接続部)、100,600…相手方コネクタ装置(相手コネクタ)、101…グランドコンタクト部、102,630…環状嵌合部(第1の部分)、103,603…接触部(第2の部分)、104,604…シグナルコンタクト部(第1のシグナルコンタクト部)、105,605…シグナルコンタクト部(第2のシグナルコンタクト部)、581…グランドバー、OP1,595…開口部。
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