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特許7589787車両管理システム、車両管理方法、及び、車両管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】車両管理システム、車両管理方法、及び、車両管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20241119BHJP
   B60T 17/22 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G06Q10/20
B60T17/22 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023199162
(22)【出願日】2023-11-24
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 大輝
(72)【発明者】
【氏名】臼井 俊行
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-066129(JP,A)
【文献】特開2008-101654(JP,A)
【文献】特開2022-090814(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2023/0334435(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第116011995(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B60T 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間と前記時間における車両の走行位置との関係を示す情報とを車両の車両情報として取得し、
前記走行位置に対応する前記時間での前記走行位置を含む領域における天候情報を含むインフラ情報を取得し、
前記車両の車両情報及び前記インフラ情報に基づいて、前記車両のブレーキチャンバの劣化に関する情報を出力する、
プロセッサを有する、車両管理システム。
【請求項2】
プロセッサは、前記時間に対応するブレーキの作動情報を前記車両情報の一部として取得させる、請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記インフラ情報の前記天候情報として、前記時間での前記走行位置を含む前記領域での前記天候情報が雨天であるとき、前記雨天の時間、降水量、前記走行位置での路面の冠水に関する情報の少なくとも1つを取得する、
請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記車両情報及び前記インフラ情報に基づいて、前記走行位置での前記時間において、濡れた路面を走行したと判断するとき、前記車両の前記ブレーキチャンバに水が浸入したと判定する、
請求項1又は請求項2に記載の車両管理システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記車両のブレーキチャンバの劣化に関する情報をそれぞれ非一時的な記憶媒体に記憶させ、
前記プロセッサは、前記記憶媒体に記憶させた前記車両のブレーキチャンバの劣化に関する情報に基づいて、前記車両の関係者に前記ブレーキチャンバのメンテナンスを促すことの通知の要否を判断する、
請求項1又は請求項2に記載の車両管理システム。
【請求項6】
時間と前記時間における車両の走行位置とを含む車両情報を取得すること、
前記時間での前記走行位置を含む領域における天候情報を含むインフラ情報を取得すること、
前記車両情報及び前記インフラ情報に基づいて、前記車両のブレーキチャンバの劣化に関する情報を出力すること、
をコンピュータが実行することを含む、車両管理方法。
【請求項7】
前記車両情報は、前記時間に対応するブレーキの作動情報を含む、請求項6に記載の車両管理方法。
【請求項8】
前記車両のブレーキチャンバの劣化に関する情報をそれぞれ非一時的な記憶媒体に記憶させること、
前記記憶媒体に記憶させた前記車両のブレーキチャンバの劣化に関する情報に基づいて、前記車両の関係者に前記ブレーキチャンバのメンテナンスを促すことの通知の要否を判断すること、
を前記コンピュータが実行することを含む、請求項6又は請求項7に記載の車両管理方法。
【請求項9】
時間と前記時間における車両の走行位置とを車両情報として取得すること、
前記時間での前記走行位置を含む領域における天候情報を含むインフラ情報を取得すること、
前記車両情報及び前記インフラ情報に基づいて、前記車両のブレーキチャンバの劣化に関する情報を出力すること、
をプロセッサに実行させる、車両管理プログラム。
【請求項10】
前記時間に対応するブレーキの作動情報を前記車両情報の一部として取得することを前記プロセッサに実行させる、請求項9に記載の車両管理プログラム。
【請求項11】
前記車両のブレーキチャンバの劣化に関する情報をそれぞれ非一時的な記憶媒体に記憶させること、
前記記憶媒体に記憶させた前記車両のブレーキチャンバの劣化に関する情報に基づいて、前記車両の関係者に前記ブレーキチャンバのメンテナンスを促すことの通知の要否を判断すること、
を前記プロセッサに実行させる、請求項9又は請求項10に記載の車両管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両管理システム、車両管理方法、及び、車両管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば大型トラックやトラクターなど、フルエアブレーキを採用する車両には、通常、1輪に1つのブレーキチャンバがある。このような車両のブレーキチャンバには、構造上、水が浸入する可能性があることが知られている。そして、水の浸入に起因するブレーキチャンバの劣化(錆による不具合)が発生することが知られている。このようなブレーキチャンバの劣化によりブレーキが故障に至る前に、その車両の運転手等の使用者、販売会社、整備会社等は、その車両のブレーキチャンバのメンテナンスの必要性を認識することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-56396号公報
【文献】特開2023-107082号公報
【文献】特開平11-78857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、各車両のブレーキチャンバのメンテナンス時期を推定し得る、車両管理システム、車両管理方法、及び、車両管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る車両管理システムは、時間と前記時間における車両の走行位置との関係を示す情報とを車両の車両情報として取得し、前記走行位置に対応する前記時間での前記走行位置を含む領域における天候情報を含むインフラ情報を取得し、前記車両の車両情報及び前記インフラ情報に基づいて、前記車両のブレーキチャンバの劣化に関する情報を出力する、プロセッサを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、各車両のブレーキチャンバのメンテナンス時期を推定し得る、車両管理システム、車両管理方法、及び、車両管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、車両のブレーキ装置の概略図である。
図2図2(a)-(c)は、ブレーキ装置のブレーキチャンバアセンブリの一連の動作の一部を示す概略図である。
図3図3は、車両、GPS衛星、インフラ情報を発信するサーバ、各種の端末とともに用いられる車両管理システムを示す。
図4図4は、車両の車両情報を得るための概略的なブロック図を示す。
図5図5は、車両管理システムの概略的なブロック図を示す。
図6図6は、インフラ情報及び各車両の車両情報に基づく各車両の被水量、各車両の台風時走行時間、各車両の冠水時の冠水路走行回数、各車両の1kmあたりのブレーキ作動回数と、各車両の部品(ブレーキチャンバ)の部品状態(故障の発生の有無)とを表す表を示す。
図7図7は、車両管理システムの制御部がブレーキチャンバの錆などの劣化を推定する第1のモデルの概略的なフローチャートである。
図8図8は、車両管理システムの制御部が図6に示す実車の車両データに基づいて適宜の計算式で算出したブレーキチャンバの錆などの劣化を推定する第2のモデルでの錆リスクを示すグラフである。
図9図9は、図8に示すグラフにおいて設定される計算式及び閾値に基づいて算出したブレーキチャンバの錆などの劣化を推定する第2のモデルでの錆リスクを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1には、車両10のブレーキ装置12の概略図を示す。例えば大型トラック又は中型トラックやトラクターなど、ある程度の大型の車両10には、フルエアブレーキが採用されることが多くなっている。
【0009】
そして、車両10の各車輪(4輪以上)には、ドラムブレーキ30を有するブレーキ装置12が採用されている。ブレーキ装置12は、例えば運転者によるブレーキペダル22の操作に応じてブレーキバルブ24を開閉し、エアタンク26内の高圧エアを制御する。そして、運転者によるブレーキペダル22の踏み込み操作により、ブレーキチャンバアセンブリ28を介して車輪(図示しない)とともに回転するブレーキドラム30aの内側にブレーキシュー30bを押し付けてドラムブレーキ30を作動させ、車両10を制動する。また、運転者によるブレーキペダル22の踏み込み操作を解除すると、ブレーキドラム30aの内側に対するブレーキシュー30bの押し付けを解除してドラムブレーキ30の制動を解除する。
【0010】
なお、ここでは、主に、ブレーキペダル22を運転者が操作するものとして説明するが、いわゆる自動運転により車両10を走行させる場合は、車両用の交通信号機の信号灯器(青/黄/赤)による指示や走行状況に応じてブレーキペダル22が自動的に動作するように構成されていてもよい。または、いわゆる自動運転を行う場合、車両10にブレーキペダル22を配置せず、車両10の後述する制御部112は、ブレーキバルブ24の開閉を制御することにより車両10を制動可能であればよい。
【0011】
図2(a)-(c)には、ブレーキ装置12のブレーキチャンバアセンブリ28の概略的な断面図を示す。ブレーキチャンバアセンブリ28は、各車輪とともに回転するブレーキドラム30aを有するドラムブレーキ30の近傍に配置される。ブレーキチャンバアセンブリ28の位置は、車両10の種類や車輪の大きさにより異なるが、例えば地上0.4mから0.7m程度である。図2(a)-(c)に示すように、ブレーキチャンバアセンブリ28は、概略、ブレーキチャンバ32と、ブレーキチャンバ32内に設けられ、ブレーキバルブ24を通して供給/供給解除され得る高圧エアの供給/供給解除に応じて変形/変形解除するダイヤフラム34と、ダイヤフラム34の変形/変形解除に連動し、ブレーキチャンバ32に対して直線的に移動するピストンロッド36とを有する。
【0012】
ブレーキチャンバ32には、呼吸穴32aが形成されている。呼吸穴32aは、一般に、ブレーキチャンバ32の下側に配置される。
【0013】
ブレーキチャンバアセンブリ28は、例えば以下のように動作し得る。
【0014】
運転者がブレーキペダル22を踏み込むと、ブレーキバルブ24を開き、エアタンク26内の高圧エアが、図2(a)に示すように、ブレーキチャンバ32のダイヤフラム34を弾性変形させる。この弾性変形により、ダイヤフラム34を介してピストンロッド36をドラムブレーキ30に向けて押し込み、ピストンロッド36に連動してドラムブレーキ30を作動させる。このため、ドラムブレーキ30により車両10が制動される。
【0015】
運転者がブレーキペダル22の踏み込みを解除すると、ブレーキバルブ24を閉じ、エアタンク26内の高圧エアの供給がカットされるとともに、図2(b)に示すように、ブレーキチャンバ32に設けられる呼吸穴32aから空気が吸引され、ブレーキチャンバ32内のダイヤフラム34の弾性変形が元の状態に戻る。このため、ダイヤフラム34に連動するピストンロッド36は、ドラムブレーキ30に向けた押し込みを解除する。このため、ドラムブレーキ30による車両10の制動が解除される。すなわち、ブレーキペダル22の踏み込みを解除すると、ブレーキを解除させる。
【0016】
このとき、呼吸穴32aより例えば上側に例えば雨水による水面Sがあったり、呼吸穴32aの近傍に雨水の撥ね等による水分があると、ブレーキペダル22の踏み込み解除時に呼吸穴32aを通してブレーキチャンバ32内に水が吸い上げられ、ブレーキチャンバ32内に水が浸入する場合があることが知られている。
【0017】
運転者がブレーキペダル22を踏み込んでドラムブレーキ30を再作動させると、ブレーキチャンバ32内の水の存在により、ブレーキチャンバ32内に水がない場合に比べてブレーキチャンバ32内の圧力が上昇する。このとき、呼吸穴32aは下側に配置されるため、ブレーキチャンバ32内の水の一部は、呼吸穴32aから排出される。図2(c)に示すように、呼吸穴32aから排出できなかった水は、ダイヤフラム34を押圧し、例えばピストンロッド36側に水が浸入する可能性がある。
【0018】
そして、ブレーキチャンバ32内に水が浸入したまま時間が経過すると、ブレーキチャンバ32内に錆が発生し、ブレーキチャンバ32の劣化につながることが想定される。また、車両10が濡れた路面を走行する場合、乾いた路面を走行するよりも、ブレーキチャンバ32へ水が浸入する可能性が高まる。
【0019】
以下、各車両10のブレーキチャンバ32のメンテナンス時期を推定し、その車両10の関係者にそのメンテナンス時期を通知し得る、車両管理システム100について、図3から図9を用いて説明する。
【0020】
図3には、車両10、GPS衛星200、インフラ情報を発信するサーバ400、各種の端末301,302とともに用いられる車両管理システム100を示す。図4には、車両10の車両情報を得るための概略的なブロック図を示す。図5には、車両管理システム100の概略的なブロック図を示す。
【0021】
図3に示すように、本実施形態に係る車両管理システム100は、その車両10の車両情報とインフラ情報とに基づいて算出したブレーキチャンバ32の劣化情報(メンテナンスの要否情報)を端末301,302に通知し得る。具体的には、車両管理システム100は、ブレーキチャンバ32の劣化情報に基づいて、その車両10のブレーキチャンバ32のメンテナンスを促すことの通知の要否を判断し、要判断のときにその車両10の関係者にブレーキチャンバ32のメンテナンスを要することを通知する。一方、否判断のときには、その車両10の関係者に対する、ブレーキチャンバ32のメンテナンスの通知を例えば保留する。又は、ブレーキチャンバ32のメンテナンスの要否判断を行った結果、現在は否(メンテナンス不要)であったことを通知する。
【0022】
図4に示すように、車両10は、制御部112と、通信部114と、GPS(Global Positioning System)信号の受信部(アンテナ)116と、記憶部(記憶媒体)118と、ブレーキセンサ120と、バッテリ122とを有する。
【0023】
バッテリ122は、車両10の制御部112、通信部114、GPS受信部116、記憶部118、ブレーキセンサ120に電力を供給する。
【0024】
制御部112は、例えば、コンピュータ等から構成され、1つ又は複数のプロセッサ(処理回路)を備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロコンピュータ、FPGA(Field Programmable Gate Array)及びDSP(Digital Signal Processor)等のいずれかを含む。
【0025】
車両10は、制御部112からの信号に基づいて、通信部114を用いて、無線又は有線で、車両管理システム100との間で情報を送受信する。
【0026】
GPS受信部116は、例えば4つのGPS衛星200(図3参照)との間で通信して時間情報に対応する位置情報を取得する。
【0027】
記憶部118は、メモリ等の主記憶装置に加え、補助記憶装置が含まれ得る。記憶部118としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、及び、半導体メモリ等の書き込み及び読み出しが随時に可能な不揮発性メモリが挙げられる。
【0028】
車両10では、制御部112及び記憶部118のそれぞれは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。制御部112では、プロセッサは、記憶部118等に記憶されるプログラム等を実行することによって、処理を行う。また、制御部112のプロセッサによって実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークを介して制御部112に接続されたコンピュータ(サーバ)、又は、クラウド環境のサーバ等に格納されてもよい。この場合、制御部112のプロセッサは、ネットワーク経由でプログラムをダウンロードする。制御部112での各種算出処理は、プロセッサ等によって実行され、記憶部118が、データ記憶部として機能する。
【0029】
また、制御部112による処理の少なくとも一部が、クラウド環境に構成されるクラウドサーバによって実行されてもよい。クラウド環境のインフラは、仮想CPU等の仮想プロセッサ及びクラウドメモリによって、構成される。ある一例では、各種算出処理が、仮想プロセッサによって実行され、クラウドメモリが、データ記憶部として機能する。
【0030】
ブレーキセンサ120は、例えば運転者によるブレーキペダル22の動作、又は、ブレーキバルブ24の開閉を検出する。ブレーキセンサ120で検出する信号は、制御部112により、制動灯の点灯、消灯に連動させる。制御部112は、ブレーキ30の制動灯の点灯時を、ブレーキ30の作動回数の1カウントとしてカウントし、記憶部118に記憶させる。ブレーキ30の作動時間は、例えば車両10の制動灯の点灯時間に対応する。制御部112は、ブレーキ30の制動灯の点灯時を第1の時間t1とし、制動灯の消灯時を第2の時間t2とし、このような制動灯の点灯時間(t2-t1)をブレーキペダル22又はブレーキバルブ24の操作時間として出力し、記憶部118に記憶させる。すなわち、運転者が車両10の走行位置のどの時間でどの位置でブレーキペダル22を踏み込み、どの時間でどの位置でブレーキペダル22の踏み込みを解除したかが車両情報の一部として記憶される。このため、制御部112は、時間に対応するブレーキの作動情報を取得し、記憶部118に記憶させる。
【0031】
制御部112は、例えば、車両10の走行時及び停車時に、GPS受信部116を用いて、ある時間における位置情報を取得する。このため、制御部112は、車両10の位置情報と時間情報とを紐づけた情報を取得し、これを車両情報の一部として記憶部118に記憶させる。
【0032】
また、制御部112は、例えば、車両10の走行時及び停車時に、ブレーキセンサ120の作動情報を取得し、これを車両情報の一部として記憶部118に記憶させる。なお、制御部112は、例えば、車両10の走行時及び停車時に、ブレーキセンサ120の作動情報と時間情報とを紐づけた情報を取得し、これを車両情報の一部として記憶部118に記憶させてもよい。
【0033】
制御部112は、例えば駐車時等に、車両情報を車両管理システム100に送信する。
【0034】
なお、車両情報としては、駐車位置、駐車時間を含めてもよい。
【0035】
図5に示すように、車両管理システム100は、制御部102と、通信部104と、記憶部(記憶媒体)106とを有する。
【0036】
制御部102は、例えば、コンピュータ等から構成され、1つ又は複数のプロセッサ(処理回路)を備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロコンピュータ、FPGA(Field Programmable Gate Array)及びDSP(Digital Signal Processor)等のいずれかを含む。
【0037】
車両管理システム100の通信部104は、制御部102からの信号に基づいて、無線又は有線で、多数の車両10との間で情報(車両情報)を送受信する。また、通信部104は、制御部102からの信号に基づいて、無線又は有線で、その車両10の販売ディーラや整備事業者等の端末301や、車両10のユーザ(会社等)の登録者のスマートフォンなどの携帯端末302との間で情報を送受信する。
【0038】
車両管理システム100は、制御部102の指令に基づいて、通信部104を用いて、各車両10からの車両情報、及び、サーバ400からのインフラ情報を取得可能である。
【0039】
ここでのインフラ情報は、例えば日本国の気象庁又はそれに相当する各国の気象に関する情報機関や気象会社等(以下、主として気象庁から情報を得るものとして記載する)から得る降雨情報や、日本国の国土交通省又はそれに相当する各国の機関等(以下、主として国土交通省から情報を得るものとして記載する)から得る道路冠水情報等、対象とする車両10が走行したと推定される時間における路面上の水に関する情報である。このため、これらのインフラ情報は、予想情報ではなく、実際の時間における単位時間あたりの降雨量であったり、実際の時間における路面の冠水量(水深)である。なお、インフラ情報は、例えば、気象庁から降雨量や台風情報などの気象情報や、国土交通省からの冠水想定箇所情報等の予想情報を含んでもよい。
【0040】
ここでの気象情報は、走行位置に対応する時間での走行位置を含む領域における天候情報をいう。気象情報は、例えば各国の気象庁、気象情報の提供会社等から取得し得る。
【0041】
気象情報は、走行位置に対応する時間でのその走行位置を含む領域での天候情報に加えて、その時間以前の降水量を含む。また、気象情報は、走行位置に対応する時間でのその車両10が通った道路の冠水情報を含み得る。冠水情報は、国土交通省、都道府県、その他の地方自治体から発信される情報や、例えばその車両10又は他の車両10に取り付けられ、その道路を撮影可能に通過した車載カメラ等で取得され、解析された情報に基づいてもよい。
【0042】
記憶部106は、メモリ等の主記憶装置に加え、補助記憶装置(非一時的な記憶媒体)が含まれ得る。記憶部106としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、及び、半導体メモリ等の書き込み及び読み出しが随時に可能な不揮発性メモリが挙げられる。
【0043】
車両管理システム100では、制御部102及び記憶部106のそれぞれは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。制御部102では、プロセッサは、記憶部106等に記憶されるプログラム等を実行することによって、処理を行う。また、制御部102のプロセッサによって実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークを介して制御部102に接続されたコンピュータ(サーバ)、又は、クラウド環境のサーバ等に格納されてもよい。この場合、制御部102のプロセッサは、ネットワーク経由でプログラムをダウンロードする。制御部102での各種算出処理は、プロセッサ等によって実行され、記憶部106が、データ記憶部として機能する。
【0044】
また、制御部102による処理の少なくとも一部が、クラウド環境に構成されるクラウドサーバによって実行されてもよい。クラウド環境のインフラは、仮想CPU等の仮想プロセッサ及びクラウドメモリによって、構成される。ある一例では、各種算出処理が、仮想プロセッサによって実行され、クラウドメモリが、データ記憶部として機能する。
【0045】
本実施形態では、制御部102は、各車両10のブレーキチャンバ32のメンテナンスの要否を出力し、各車両10のブレーキチャンバ32のメンテナンス時期を推定し得る、車両管理プログラム又は車両管理方法を実行し得る。
【0046】
本実施形態に係る制御部102は、ブレーキチャンバ32のメンテナンスの要否を出力する演算を行い得る。
【0047】
本実施形態では、各車両10のブレーキチャンバ32のメンテナンスの要否を出力し得る車両管理システム100の制御部102の演算の例として、後述する第1のモデル、第2のモデル、又は、その他の適宜のモデルを例示する。
【0048】
図6には、インフラ情報及び各車両10の車両情報に基づく各車両10の被水量、各車両10の台風時走行時間、各車両10の冠水時の冠水路走行回数、各車両10の1kmあたりのブレーキ作動回数と、各車両10の部品(ブレーキチャンバ32)の部品状態(故障の発生の有無)とを表す表を示す。なお、図6に示す車両10(車両A-J)は、同一構造を有する同一車種の車両である。ここでは、車両10(10個の車両A-J)について示すが、実際には、図6に示す程度の情報は、数百個以上の車両10に基づいて得られ手いることが好適である。図6に示す情報は、後述する第1のモデル、第2のモデル、及び、その他のモデルに用いることができる。
【0049】
そして、車両管理システム100の制御部102は、図6に示す各車両10の情報を訓練データとして取得し、その訓練データを車両管理システム100の記憶部106に記憶させている。
【0050】
[第1のモデル]
図7には、車両管理システム100の制御部102がブレーキチャンバ32の錆などの劣化を推定する第1のモデルの概略的なフローを例示する。なお、車両情報の取得は、車両10の制御部112が行うものとして説明するが、車両管理システム100の制御部102が車両10の制御部112を制御して行う場合も含む。すなわち、車両情報の取得は、車両10の制御部112が行ってもよく、車両管理システム100の制御部102が行ってもよく、又は、車両10の制御部112及び車両管理システム100の制御部102の両方が協働して行ってもよい。
【0051】
車両管理システム100の制御部102は、過去に故障した車両10の部品状態データと、正常に使用し得る車両10の部品状態データとを比較し、錆発生の第1のモデルを用いて錆発生リスクyを出力する。
【0052】
例えば、ブレーキチャンバ32の錆などの劣化を推定するモデルにおいて、錆リスクをyとし、作成した特徴量xを入力し、錆リスクyを予測するモデルfは、
y=f(x)
と表すことができる。ここで、モデルfの特徴量xは、x1:冠水時の冠水路走行回数、x2:車両10に対する雨の被水量の合計(積算値)、x3:フットブレーキペダル22の作動回数/1km、の少なくとも1つ等である。
【0053】
車両管理システム100の制御部102は、メンテナンス対象とし得る車両10の車両情報の走行位置及び時間と、インフラ情報の冠水情報のうち、その走行位置に対応する時間でのその走行位置及びその周辺の冠水情報とを紐づけ、その車両10が冠水時に冠水路を走行した回数を得る。
【0054】
車両管理システム100の制御部102は、メンテナンス対象とし得る車両10に対する雨の被水量の合計を、インフラ情報の降雨情報から得る。なお、被水量は、車両10の車両情報の走行位置及び時間と、インフラ情報の気象情報のうち、その走行位置に対応する時間でのその走行位置及びその周辺の降雨情報とを紐づけて得る。
【0055】
車両10の制御部112は、走行位置及びその走行位置に対応する時間でのブレーキペダル22の操作を、車両情報として得る。車両管理システム100の制御部102は、このような車両情報をその車両10から得る。そして、例えば、インフラ情報の雨天情報時又は冠水路走行情報と組み合わせて、例えば雨天路面の1kmあたりのブレーキペダル22の作動回数を得る。
【0056】
車両管理システム100の制御部102は、車両情報における、ある時間間隔における走行位置と、インフラ情報における、その時間間隔での気象情報(降雨情報)から、降雨時の平均車速を得る。
【0057】
例えば図6に示す表に基づくと、10個の車両A-Jのブレーキチャンバ32のうち、劣化(錆)がある(以下、故障がある)と判断されたものは3つであり、正常に使用可能であると判断されたものは7つであった。
【0058】
そして、図7に示すように、車両10に対する雨の被水量の合計が例えば19500mmより少ないと(S11-Yes)、10個の車両10のうち、対象となる車両10は4つであり、それらの車両のブレーキチャンバ32のうち、故障があるものが2個、正常に使用可能であるものが2個であった。また、冠水路の走行回数が2回よりも多ければ(S12-Yes)、対象となる車両10は2つであり、それらの車両10のブレーキチャンバ32のうち、故障があるものが2個、正常に使用可能であるものが0個であった。一方、冠水路の走行回数が2回以下であれば(S12-No)、対象となる車両10は2つであり、それらの車両10のブレーキチャンバ32のうち、故障があるものが0個、正常に使用可能であるものが2個であった。
【0059】
また、車両10に対する雨の被水量の合計が19500mm以上であると(S11-No)、10個の車両10のうち、対象となる車両10は6つであり、それらの車両10のブレーキチャンバ32のうち、故障があるものが1つ、正常に使用可能であるものが5つであった。また、1kmあたりのブレーキ30の作動回数が20回よりも多い場合(S13-Yes)、対象となる車両10は4つであり、それらの車両10のブレーキチャンバ32のうち、故障があるものが1つ、正常に使用可能であるものが3つであった。
【0060】
また、1kmあたりのブレーキ30の作動回数が20回以下である場合(S13-No)、対象となる車両10は2つであり、それらの車両10のブレーキチャンバ32のうち、故障があるものが0つ、正常に使用可能であるものが2つであった。
【0061】
このため、車両10が所定積算値(例えば19500mm)の雨に被水されていなくても、冠水路を数回走行したとき、その車両10のブレーキチャンバ32に劣化が生じる可能性があると判断される。また、車両10が所定積算値の雨に被水され、かつ、1kmあたり所定回を超えるブレーキ30の作動回数を記録したとき、ブレーキチャンバ32に劣化が生じる可能性があると判断される。
【0062】
そして、このような錆リスクyの第1のモデルによる処理において、実際の多数の車両10のうち、図7中に符号E1,E2で示すように故障が発生したと1つでも判定されることが分かる。この場合、車両管理システム100の制御部102は、市場で走行する車両10のうち、各車両10の車両情報及びインフラ情報から、第1のモデルと同様の式により符号E1,E2で示す事象に当てはまる車両10に対して、ブレーキチャンバ32に劣化が生じた可能性があると判断する。そして、車両管理システム100の制御部102は、車検等の法定検査時期でなくても、ブレーキチャンバ32のメンテナンスを勧める通知を例えば端末301,302に行う。すなわち、車両管理システム100の制御部102は、車検等の法定検査時期でなくても、ブレーキチャンバ32のメンテナンスを勧める通知をその車両10の関係者に行う。
【0063】
また、車両管理システム100の制御部102は、車両10の通信部114を介してその車両10のインストルメントパネル又はカーナビゲーションシステムの表示画面等の表示部124にメンテナンスに関する情報を表示してもよい。
【0064】
特徴量xとしては、例えば、x4:降雨時の平均車速や、x5:ブレーキ作動時間、x6:各チャンバアセンブリ28内のダイヤフラム34及び/又はピストンロッド36の移動量、x8:車両の構造情報(呼吸穴32aの配置)等を含んでもよい。例えば、ブレーキチャンバ32の呼吸穴32aの高さや、呼吸穴32aの向き(通常は下向きであるが、上向きに配置した等)の情報を含んでもよい。
なお、基本的には、同一種の車両10は、呼吸穴32aの向きを含めて、構造は同じとなる。このため、第1のモデルは、同一種の車両10ごとに作成されることが好適である。
【0065】
また、特徴量xとしては、その車両10に対して実際に行われたメンテナンス情報(ブレーキチャンバ32をいつ交換したか、単にブレーキチャンバ32の劣化の確認のみか等)を含んでもよい。
【0066】
そして、車両管理システム100の制御部102は、第1のモデルで演算を行う場合、実際の車両10のブレーキチャンバ32の劣化情報(例えばブレーキチャンバ32の写真画像情報)に基づくデータ(図6参照)を収集し続け、PDCA(Plan(計画), Do(実行), Check(測定・評価), Action(対策・改善))サイクルを循環させ、ステップS11,S12,S13における式を適宜に変更しながら、故障を持つブレーキチャンバ32をより早期に抽出することを可能とし得るモデルとして作成される。
【0067】
なお、式は、上述したx1,x2,x3,x4,…を選択的に採用することができる。式の階層は、図7に示す例では、2階層の例について説明したが、さらに多数の階層により、錆リスクyを判定してもよい。
【0068】
車両管理システム100の制御部102は、錆リスクyの第1のモデルによる処理において、実際の多数の車両10のうち、図7中に符号E3,E4で示すように故障が発生した判定されたものがなかった場合と同様の結果を出力することがある。この場合、車両管理システム100の制御部102は、例えば端末301,302等に、車両10のブレーキチャンバ32のメンテナンスの要否の判断を行ったことの情報を送信することができる。
【0069】
[第2のモデル]
図8及び図9には、車両管理システム100の制御部102がブレーキチャンバ32の錆などの劣化を推定する第2のモデルについて例示する。
【0070】
例えば、錆リスクをyとし、作成した特徴量xを入力し予測するモデルは、例えば、
y=a1*x1+a2*x2+a3*x3+b
と表すことができる。ここで、特徴量xは、x1:冠水時の冠水路走行回数、x2:車両10に対する雨の被水量の合計(積算値)、x3:フットブレーキペダル22の作動回数/1km、の少なくとも1つ等である。また、a1,a2,a3,bは適宜の変数である。変数a1,a2,a3,bは適宜に設定される。
【0071】
そして、図8には、図6に示す例の実車データを用いて、ブレーキチャンバ32の劣化(錆)が生じた群と、劣化が生じなかった群とを錆閾値を用いて分けるように、変数a1,a2,a3,bを適宜に変更しながら算出した錆リスクyの例を示す。
【0072】
図8に示すように、10個の車両A-Jのうち、正常と判断されたが、錆リスクyの錆閾値を超えたブレーキチャンバ32を有する車両10が1つあった。10個の車両A-Jのうち、正常と判断された残りの6つの車両10は、錆閾値以下であった。
【0073】
このような変数a1,a2,a3,bを用いた錆リスクyに関する第2のモデルを用いてメンテナンスを予定している車両に当てはめた結果を図9に示す。一例として、7つの車両10に対して錆リスクyの算出を行ったとき、7つの車両10のうち、1つが錆閾値を超えたブレーキチャンバ32を有する車両10である、と判断された。この1つの車両10に対して、車両管理システム100の制御部102は、車検等の法定検査時期でなくても、ブレーキチャンバ32のメンテナンスを勧める通知を例えば端末301,302に行う。すなわち、車両管理システム100の制御部102は、車検等の法定検査時期でなくても、ブレーキチャンバ32のメンテナンスを勧める通知をその車両10の関係者に行う。
【0074】
このような当てはめは、実際に車両10で用いたブレーキチャンバ32の例(図6参照)のデータに基づいて得られる。これら変数a1,a2,a3,bは、さらに多くの実車両10の錆発生データを取得し、錆が生じたか否かの最適解が得られるように機械学習を用いて設定してもよい。例えば、ブレーキチャンバ32の像(写真画像情報)の例、図6に示す表の例を多数収集し、これらを教師データとして用いることができる。そして、実際の車両10のブレーキチャンバ32から得られるデータ量が多くなるにつれて、変数a1,a2,a3,bは、例えば収束することが想定される。
【0075】
そして、第2のモデルを運用する場合、車両管理システム100の制御部102は、ブレーキチャンバ32に劣化(錆)があるかどうかわからない車両10のデータ(x1,x2,x3)を第2のモデルの錆リスクyに入力したとき、図9に示すように、錆発生リスクyが閾値を超えているかどうか判定する。
【0076】
すなわち、車両管理システム100の制御部102は、市場で走行する車両10のうち、各車両10の車両情報及びインフラ情報から、第2のモデルと同様の式により錆発生リスクyの閾値を超えているとき、車検等の法定検査時期でなくても、ブレーキチャンバ32のメンテナンスを勧める通知を例えば端末301,302に行う。すなわち、車両管理システム100の制御部102は、車検等の法定検査時期でなくても、ブレーキチャンバ32のメンテナンスを勧める通知をその車両10の関係者に行う。
【0077】
また、車両管理システム100の通信部104は、車両10の通信部104を介してその車両10のインストルメントパネル又はカーナビゲーションシステムの表示画面等の表示部124にメンテナンスに関する情報を表示してもよい。
【0078】
なお、車両管理システム100は、錆リスクyの第2のモデルの式に当てはめて、その車両10のブレーキチャンバ32のメンテナンスを要する錆閾値までの値に対して、現時点でどの程度の割合であるかを例えば表示部124や端末301,302に示すようにしてもよい。そうすると、予め車両10のメンテナンス時期をその車両10の使用者が知り得、メンテナンスを行う際の車両10のやりくりを行い易くすることができる。
【0079】
特徴量xとしては、例えば、x4:降雨時の平均車速や、x5:ブレーキ作動時間、x6:各チャンバアセンブリ28内のダイヤフラム34及び/又はピストンロッド36の移動量、x8:車両の構造情報(呼吸穴32aの配置)等を含んでもよい。例えば、ブレーキチャンバ32の呼吸穴32aの高さや、呼吸穴32aの向き(通常は下向きであるが、上向きに配置した等)の情報を含んでもよい。
なお、基本的には、同一種の車両10は、呼吸穴32aの向きを含めて、構造は同じとなる。このため、第2のモデルは、同一種の車両10ごとに作成されることが好適である。
【0080】
また、特徴量xとしては、その車両10に対して実際に行われたメンテナンス情報(ブレーキチャンバ32をいつ交換したか、単にブレーキチャンバ32の劣化の確認のみか等)を含んでもよい。
【0081】
そして、車両管理システム100の制御部102は、第2のモデルで演算を行う場合、実際の車両10のブレーキチャンバ32の劣化情報(例えばブレーキチャンバ32の写真画像情報)に基づくデータ(図6参照)を収集し続け、PDCA(Plan(計画), Do(実行), Check(測定・評価), Action(対策・改善))サイクルを循環させ、式の変数a1,a2,a3,bを適宜に変更しながら、故障を持つブレーキチャンバ32をより早期に抽出することを可能とし得るモデルとして作成される。
【0082】
なお、式は、上述したx1,x2,x3,x4,…を選択的に採用することができる。
【0083】
一方、車両管理システム100の制御部102は、市場で走行する車両10のうち、各車両10の車両情報及びインフラ情報から、第2のモデルと同様の式により錆発生リスクyの閾値を超えていないとき、その車両10は、その時点では整備を提案する車両とはならない。すなわち、車両管理システム100の制御部102は、メンテナンスを勧める通知を例えば端末301,302に行わない。又は、車両管理システム100の制御部102は、例えば端末301,302等に、車両10のブレーキチャンバ32のメンテナンスの要否の判断を行ったことの情報を送信することができる。
【0084】
なお、車両管理システム100の制御部102は、第1のモデル、及び、第2のモデルの錆発生リスクyのいずれかに当てはまったときに、その車両10は、ブレーキチャンバ32に関する整備を提案する車両として判断されてもよい。
【0085】
本実施形態では、車両管理システム100の制御部102が錆発生リスクyを算出するための2つのモデルについて説明したが、これらモデルは例示であり、種々の変更が許容される。
【0086】
そして、例えば、その車両10の販売ディーラや整備事業者等は、車両管理システム100の制御部102がブレーキチャンバ32のメンテナンスを勧める通知を端末301,302等で受信した場合、その車両10の持ち主やユーザ等の関係者に、ブレーキチャンバ32のメンテナンスを行ったほうがよい旨を連絡することができる。
【0087】
したがって、本実施形態によれば、車両管理システム100は、時間と時間における車両の走行位置との関係を示す情報とを車両の車両情報として取得し、走行位置に対応する時間での走行位置を含む領域におけるインフラ情報を取得し、前記車両の車両情報及びインフラ情報に基づいて、車両のブレーキチャンバの劣化に関する情報を出力する、制御部(プロセッサ)102を有する。
このため、本実施形態によれば、各車両10のブレーキチャンバ32のメンテナンス時期を推定し得る、車両管理システム100、車両管理方法、及び、車両管理プログラムを提供することができる。
【0088】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0089】
10…車両、12…ブレーキ装置、22…ブレーキペダル、24…ブレーキバルブ、26…エアタンク、28…ブレーキチャンバアセンブリ、30…ドラムブレーキ、30a…ブレーキドラム、30b…ブレーキシュー、32…ブレーキチャンバ、32a…呼吸穴、34…ダイヤフラム、36…ピストンロッド、100…車両管理システム、102…制御部、104…通信部、106…記憶部、112…制御部、114…通信部、116…GPS受信部、118…記憶部、120…ブレーキセンサ、122…バッテリ、124…表示部、200…GPS衛星、301,302…端末、400…サーバ。

【要約】
【課題】 各車両のブレーキチャンバのメンテナンス時期を推定し得る、車両管理システムを提供すること。
【解決手段】 車両管理システムは、時間と前記時間における車両の走行位置との関係を示す情報とを車両の車両情報として取得し、前記走行位置に対応する前記時間での前記走行位置を含む領域における天候情報を含むインフラ情報を取得し、前記車両の車両情報及び前記インフラ情報に基づいて、前記車両のブレーキチャンバの劣化に関する情報を出力する、プロセッサを有する。
【選択図】 図3

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9