IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図1
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図2
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図3
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図4
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図5
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図6
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図7
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図8
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図9
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図10
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図11
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20241119BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
B60R16/02 655A
G06F3/16 620
G06F3/16 630
G06F3/16 670
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023201655
(22)【出願日】2023-11-29
(62)【分割の表示】P 2022532885の分割
【原出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2024026216
(43)【公開日】2024-02-28
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】高杉 親生
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/003822(WO,A1)
【文献】特開2001-216130(JP,A)
【文献】特開2003-208196(JP,A)
【文献】特開2018-072599(JP,A)
【文献】特開平07-219582(JP,A)
【文献】特開2016-179813(JP,A)
【文献】特開2007-286174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60R 11/00 - 11/06
B60J 1/00 - 1/20
B60W 10/00 - 60/00
G06F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声データが入力される音声データ入力装置と、
ユーザからユーザデータが入力されるユーザデータ入力装置と、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記音声データ入力装置に入力された第1音声データを認識し、
前記第1音声データを認識した結果に基づいて所定機器を制御することを示す第2音声データを出力し、
前記第2音声データの報知が終了した後、前記第1音声データを認識した結果に基づいて前記所定機器を制御し、
前記所定機器が挟み込みが発生しうる機器又は運転に影響を及ぼす機器である場合であって、前記第2音声データが報知されている間に前記所定機器の制御中止を示すユーザデータが入力された場合は、前記所定機器の制御を実行する前に前記所定機器の制御の中止を受け付け、
前記所定機器が挟み込みが発生しうる機器又は運転に影響を及ぼす機器でない場合であって、前記第2音声データが報知されている間に前記所定機器の制御中止を示すユーザデータが入力された場合は、前記所定機器の制御を実行する前に前記所定機器の制御の中止を受け付けない
とを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
音声データ入力装置に入力された第1音声データを認識し、
前記第1音声データを認識した結果に基づいて所定機器を制御することを示す第2音声データを出力し、
前記第2音声データの報知が終了した後、前記第1音声データを認識した結果に基づいて前記所定機器を制御し、
前記所定機器が挟み込みが発生しうる機器又は運転に影響を及ぼす機器である場合であって、前記第2音声データが報知されている間に前記所定機器の制御中止を示すユーザデータが入力された場合は前記所定機器の制御を実行する前に前記所定機器の中止を受け付け、
前記所定機器が挟み込みが発生しうる機器又は運転に影響を及ぼす機器でない場合であって、前記第2音声データが報知されている間に前記所定機器の制御中止を示すユーザデータが入力された場合は、前記所定機器の制御を実行する前に前記所定機器の制御の中止を受け付けない
とを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりユーザの音声によってリモコンなどの機器を制御する発明が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載された発明はユーザの音声を認識し、ユーザのコマンドに対応する制御内容をリモコンに表示する。ユーザはリモコンに表示された制御内容を確認し、制御内容をユーザが承認することにより制御が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-286174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明はユーザに制御内容を確認させ、さらに承認を要求するため、実際に制御が実行されるまで時間がかかるという課題がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、その目的は、必要な場合のみ制御が中止され、中止指示がない限り速やかに自動的に制御が実行される情報処理装置及び情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、音声データ入力装置に入力された第1音声データを認識し、第1音声データを認識した結果に基づいて所定機器を制御することを示す第2音声データを出力し、第2音声データの報知が終了した後、第1音声データを認識した結果に基づいて前記所定機器を制御し、所定機器が挟み込みが発生しうる機器又は運転に影響を及ぼす機器である場合であって、第2音声データが報知されている間に所定機器の制御中止を示すユーザデータが入力された場合は、所定機器の制御を実行する前に所定機器の制御の中止を受け付け、所定機器が挟み込みが発生しうる機器又は運転に影響を及ぼす機器でない場合であって、第2音声データが報知されている間に所定機器の制御中止を示すユーザデータが入力された場合は、所定機器の制御を実行する前に所定機器の制御の中止を受け付けない
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、必要な場合のみ制御が中止され、中止指示がない限り速やかに自動的に制御が実行される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置1の構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る情報処理装置1の一動作例を説明するシーケンス図である。
図3図3は、ディスプレイ12の表示例を説明する図である。
図4図4は、音声認識機能が起動したことを示す図である。
図5図5は、フィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間の表示例である。
図6図6は、コントローラ20による制御を中止するためにユーザが行う操作の一例を説明する図である。
図7図7は、コントローラ20による制御を中止するためにユーザが行う操作の他の例を説明する図である。
図8図8は、コントローラ20による制御を中止するためにユーザが行う操作の他の例を説明する図である。
図9図9は、コントローラ20による制御を中止するためにユーザが行う操作の他の例を説明する図である。
図10図10は、本発明の変形例に係る情報処理装置2の構成図である。
図11図11は、本発明の変形例に係る情報処理装置2の一動作例を説明するシーケンス図である。
図12図12は、本発明の変形例に係る情報処理装置2の一動作例を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
図1を参照して本実施形態に係る情報処理装置1の構成例を説明する。情報処理装置1は一例として車両に搭載される。図1に示すように情報処理装置1は、入力装置10と、コントローラ20と、データベース30と、スピーカ31とを備える。
【0011】
入力装置10は、車両に乗車しているユーザからのデータを受け付ける機器の総称である。図1に示すように入力装置10はマイク11と、タッチパネル12と、スイッチ13と、カメラ14を含む。マイク11にはユーザの音声データが入力される。マイク11の設置場所は例えば運転席の近くである。タッチパネル12はユーザのタッチ操作による入力を受け付ける。タッチパネル12は主にナビゲーション装置のディスプレイとして用いられる。スイッチ13はステアリングホイールに設けられ、ユーザの入力(スイッチオン)を受け付ける。カメラ14は例えば運転席の近くに設置されユーザの姿勢、ジェスチャなどを撮像する。入力装置10に入力されたデータはコントローラ20に送信される。
【0012】
コントローラ20はCPU(Central Processing Unit)、メモリ、記憶装置、入出力部などを備える汎用のコンピュータである。コントローラ20は入力装置10から取得したデータを処理する。具体的にはCPUは記憶装置に記憶されている様々なプログラムをメモリに読み込んで、プログラムに含まれる各種の命令を実行する。これによりコントローラ20は情報処理装置1が備える複数の情報処理回路として機能する。コントローラ20は複数の情報処理回路として、音声認識部21と、音声出力部22と、報知終了判定部23と、制御信号送信部24とを備える。
【0013】
音声認識部21はマイク11に入力されたユーザの音声データを認識する。音声認識には周波数分析などの周知の技術が用いられる。音声認識部21は認識した結果を音声出力部22に出力する。
【0014】
音声出力部22はデータベース30を参照して音声認識部21の認識結果に対応するフィードバック用の音声データを取得する。フィードバック用の音声データとはこれから実施する所定機器の制御に関し、ユーザに確認を促すものである。例えばユーザの音声データが「運転席の窓を開けて」と認識された場合、これに対応するフィードバック用の音声データは「運転席の窓を開けます」となる。フィードバック用の音声データは予め複数個用意されており、データベース30に格納されている。なお本実施形態ではデータベース30はコントローラ20の記憶装置とは異なる記憶装置に記憶されているものとして説明するがこれに限定されない。データベース30はコントローラ20の記憶装置に記憶されていてもよい。
【0015】
音声出力部22はスピーカ31を通じてフィードバック用の音声データをユーザに報知する。なお音声出力部22は音声認識部21の認識結果に基づいてフィードバック用の音声データをその都度生成してもよい。生成方法としてユーザの音声データに対しオウム返しするような音声データを生成するようにプログラムされればよい。
【0016】
音声出力部22はフィードバック用の音声データの出力を開始した場合、開始したことを示す信号を報知終了判定部23に送信する。また音声出力部22はフィードバック用の音声データの出力が終了した場合、終了したことを示す信号を報知終了判定部23に送信する。以下では開始したことを示す信号を単に開始信号と呼ぶ場合がある。同様に終了したことを示す信号を単に終了信号と呼ぶ場合がある。
【0017】
報知終了判定部23は音声出力部22による報知が終了したか否かを判定する。具体的には報知終了判定部23は音声出力部22から開始信号を受信した後に終了信号を受信した場合、音声出力部22による報知が終了したと判定する。一方で報知終了判定部23は音声出力部22から開始信号を受信したがその後終了信号を受信していない場合、音声出力部22による報知は終了していないと判定する。報知終了判定部23は音声出力部22による報知が終了したと判定した場合、報知が終了したことを示す信号を制御信号送信部24に送信する。
【0018】
制御信号送信部24は、報知終了判定部23から報知が終了したことを示す信号を受信した場合、音声認識部21の認識結果によって得られたユーザの指示(音声データ)に基づいて所定機器を制御する。所定機器は車両に搭載される機器であって、図1に示すようにパワーウィンドウ32、空調装置33、サンルーフ34、サンシェード35、パワーバックドア36、パワートランク37、ナビゲーション装置38、オーディオ装置39などが含まれる。一例としてユーザの指示が「運転席の窓を開けて」であった場合、制御信号送信部24は運転席のパワーウィンドウ32に対し窓を開けるための信号を送信する。パワーウィンドウ32は受信した信号に基づいて自動で窓を開ける。なお所定機器には自動運転などの走行制御を行う機器が含まれてもよい。
【0019】
次に図2~9を参照して情報処理装置1の一動作例を説明する。
【0020】
図2に示すステップS101において、車両に乗車しているユーザは音声認識機能を起動させる。本実施形態において音声認識機能は常に起動しているものではない。音声認識機能はユーザの指示によって起動する。音声認識機能の起動方法の一例について図3を参照して説明する。図3に示すように走行中はタッチパネル12にナビゲーション装置38による経路案内が表示される。タッチパネル12には発話を示すアイコン50が表示されている。ユーザがこのアイコン50をタッチ操作することにより音声認識機能が起動する。他の起動方法としてステアリングホイールに設けられたスイッチ13に起動のトリガ機能を持たせてもよいし、所定のキーワードに関するユーザの発話を認識したことをトリガとして音声認識機能を起動させてもよい。
【0021】
音声認識機能が起動するとタッチパネル12の表示は図4に示す内容に切り替わる。図4に示すように音声認識機能が起動した後のタッチパネル12にはアイコン51と、アイコン52と、音声によって指示が可能な機器が表示される。なお図4において音声によって指示が可能な機器として、空調装置、パワーウィンドウ、ナビゲーション装置、オーディオ装置が表示されているがこれは一例である。
【0022】
図4に示すアイコン52は、音声認識が可能であることを示すアイコンである。ユーザはアイコン52がタッチパネル12に表示されていることを確認した後、所定機器を作動させるための指示を音声で入力する。すなわち図2のステップS103に示すように、ユーザはマイク11に向かって音声データを入力する。図2ではユーザの指示は「運転席の窓を開けて」である。
【0023】
処理はステップS105に進み、ユーザの音声データを取得した音声認識部21は音声データを認識する。処理はステップS107に進み、音声出力部22はデータベース30を参照して音声認識部21の認識結果に対応するフィードバック用の音声データを取得する。ユーザの指示は「運転席の窓を開けて」と認識されているため、フィードバック用の音声データとして「運転席の窓を開けます」が選択される。音声出力部22はスピーカ31を通じてフィードバック用の音声データをユーザに報知する。フィードバック用の音声データの報知が開始されたとき、すなわちスピーカ31からフィードバック用の音声データの出力が開始されたとき、タッチパネル12の表示は図5に示す内容に切り替わる。
【0024】
処理はステップS109に進み、報知終了判定部23は音声出力部22による報知が終了したか否かを判定する。報知終了判定部23は音声出力部22から開始信号を受信した後に終了信号を受信した場合、音声出力部22による報知が終了したと判定する。図2において音声出力部22による報知が終了したとは、「運転席の窓を開けます」という音声データの出力が終了したことを意味する。
【0025】
報知終了判定部23は音声出力部22から開始信号を受信したがその後終了信号を受信していない場合、音声出力部22による報知は終了していないと判定する。換言すれば報知終了判定部23は音声出力部22から開始信号を受信したがその後終了信号を受信していない場合、フィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されていると判定する。
【0026】
音声出力部22による報知が終了したと判定された場合(ステップS109でNO)、処理はステップS111に進む。ステップS111において報知終了判定部23は報知が終了したことを示す信号を制御信号送信部24に送信する。この信号を受信した制御信号送信部24は運転席のパワーウィンドウ32に対し窓を開けるための制御信号を送信する。処理はステップS113に進み制御信号を受信したパワーウィンドウ32は自動で窓を開ける(ステップS115)。
【0027】
一方、音声出力部22による報知が終了していないと判定された場合(ステップS109でYES)、処理はステップS119に進む。
【0028】
ステップS119において、コントローラ20はフィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間に制御中止を示す信号をユーザから受信した場合(ステップS119でYES)、コントローラ20は所定機器の制御を中止する(ステップS121)。ここで制御中止を示す信号(以下単に中止信号と呼ぶ場合がある)について説明する。中止信号とはユーザが所定の操作を行った場合にコントローラ20に送信される信号である。ユーザが音声で「運転席の窓を開けて」と指示した場合、ユーザはスピーカ31を通じて「運転席の窓を開けます」というフィードバックを受ける。このとき仮に音声認識に誤りがあった場合、ユーザの要望として制御中止が想定される。図2に示す例ではユーザの音声指示は正確に認識されているが、例えば「助手席の窓を開けます」といったようにユーザの音声指示が正確に認識されない場合もありうる。このようなケースにおいてユーザの要望として制御中止が想定される。
【0029】
本実施形態においてユーザは、フィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間であれば複数の方法でコントローラ20に中止信号を送信することができ、コントローラ20による制御を中止することができる。一方で音声出力部22による報知が終了した場合、ユーザはコントローラ20に中止信号を送信することができなくなる、もしくは送信できたとしてもコントローラ20は中止信号を受け付けない。したがってユーザはコントローラ20による制御を中止するためには、フィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間に所定の操作を行う必要がある。なおフィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間とは、報知終了判定部23が音声出力部22から開始信号を受信してから終了信号を受信するまでの間と定義される。
【0030】
コントローラ20による制御を中止するためにユーザが行う所定の操作について図6図9を参照して説明する。
【0031】
図6に示すように、ユーザはタッチパネル12に表示されたアイコン51をタッチすることによりコントローラ20による制御を中止することができる。具体的にはフィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間にユーザがアイコン51をタッチすると中止信号がコントローラ20に送信される。中止信号を受信したコントローラ20はパワーウィンドウ32に対し窓を開けるための制御信号を送信しない。これによりコントローラ20による制御が中止される。なおアイコン51はいわゆるリターンを示すアイコンである。
【0032】
また図7に示すように、ユーザはタッチパネル12に表示されたアイコン54をタッチすることによりコントローラ20による制御を中止することができる。具体的にはフィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間にユーザがアイコン54をタッチすると中止信号がコントローラ20に送信される。なおアイコン54には「中止」という文字が表示される。
【0033】
あるいは図8に示すように、ユーザはタッチパネル12をスワイプすることによりコントローラ20による制御を中止することができる。スワイプとはタッチパネル12に触れた状態で指を滑らせる操作のことである。フィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間にユーザがタッチパネル12をスワイプすると中止信号がコントローラ20に送信される。図8に示す例では左から右にスワイプしているがこれに限定されない。ユーザは上から下にスワイプしてもよく、右から左にスワイプしてもよい。スワイプの方向に関わらず、フィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間にスワイプが行われれば中止信号がコントローラ20に送信される。
【0034】
あるいは図9に示すように、ユーザはステアリングホイール60に設けられたスイッチ13のうち、特定のスイッチ(図9のスイッチ61)を押すことによりコントローラ20による制御を中止することができる。具体的にはフィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間にユーザがスイッチ61を押すと中止信号がコントローラ20に送信される。なおスイッチ61はいわゆるリターンを示すスイッチである。
【0035】
あるいはユーザは音声を用いてコントローラ20による制御を中止することができる。具体的にはフィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間にユーザがマイク11に向かって「中止」と音声で指示した場合、コントローラ20による制御は中止される。フィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間に音声データが入力された場合、音声認識部21は入力された音声データを認識する。認識された音声データが制御の中止を示すものであるとき、コントローラ20は制御を中止する。このケースにおいてフィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間に入力された音声データが中止信号となる。
【0036】
また別の例として、ユーザはジェスチャを用いてコントローラ20による制御を中止することができる。具体的にはフィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間にユーザがカメラ14の前で中止を示すジェスチャを行った場合、中止信号がコントローラ20に送信される。中止を示すジェスチャとは一例としてカメラ14の前に手をかざすジェスチャである。フィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間にカメラ14から画像データが入力された場合、コントローラ20は画像データを解析する。画像データから中止を示すジェスチャが検出された場合、コントローラ20は制御を中止する。このケースにおいてフィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間に入力された画像データが中止信号となる。
【0037】
なお制御中止の要因は音声データの誤認識に限定されない。例えばユーザは指示を取り消したい場合もありうる。すなわちユーザは音声で「運転席の窓を開けて」と指示したが、単にその指示を取り消したい場合もある。このような場合も上述と同様に、フィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間にユーザは所定の操作を行えばよい。
【0038】
図2に戻る。ステップS117において、フィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間にユーザが中止信号を送信するための操作を行った場合、中止信号がコントローラ20に送信される。ステップS119、S121についてはすでに説明した。図2に示す例は中止信号が送信されるケースであるが、もちろん中止信号が送信されないケースもある。フィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間にユーザが何もしない場合、当然ながら中止信号は送信されない。この場合は報知が終了した後、速やかに窓が開かれる。
【0039】
図2のステップS109において音声出力部22による報知が終了したとは、フィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間にユーザから中止信号が送信されることなく報知が終了したことを意味する。
【0040】
なお音声出力部22による報知が終了した場合、ユーザはコントローラ20に中止信号を送信することができなくなると説明したが、補足する。音声出力部22による報知が終了した場合、タッチパネル12の表示は図5に示す内容から図3に示す内容に切り替わる。このため音声出力部22による報知が終了した場合、ユーザはタッチパネル12を用いての中止信号の送信はできなくなる。
【0041】
(作用効果)
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置1によれば、以下の作用効果が得られる。
【0042】
情報処理装置1は、車両に乗車しているユーザの音声データが入力される音声データ入力装置(マイク11)と、ユーザからユーザデータが入力されるユーザデータ入力装置(マイク11、タッチパネル12、スイッチ13、カメラ14)と、コントローラ20とを備える。コントローラ20は音声データ入力装置に入力された第1音声データを認識する。第1音声データとは所定機器を作動させるための指示を示す音声データであり、一例は上述した「運転席の窓を開けて」である。コントローラ20は第1音声データの認識結果に基づいて所定機器を制御することを示す第2音声データをスピーカ31から出力する。第2音声データの一例は上述した「運転席の窓を開けます」である。
【0043】
コントローラ20は第2音声データが報知された後、認識結果に基づいて所定機器を制御する一方で、第2音声データが報知されている間に所定機器の制御中止を示すユーザデータが入力された場合は所定機器の制御を中止する。制御中止を示すユーザデータとは上述した中止信号である。このような構成を備える情報処理装置1によればユーザへのフィードバック後、ユーザの中止指示がない限り速やかに自動的に制御が実行される。またユーザは必要に応じて制御を中止することができる。
【0044】
所定機器は車両に搭載された機器である。所定機器は少なくともパワーウィンドウ32、空調装置33、サンルーフ34、サンシェード35、パワーバックドア36、パワートランク37、ナビゲーション装置38、オーディオ装置39のうちいずれか1つを含む。
【0045】
第2音声データによる報知は、所定機器を制御することを示す報知である。一例として第2音声データによる報知はパワーウィンドウ32の窓を開けることを示す報知である。
【0046】
コントローラ20は、所定機器の制御中止を示すユーザデータが入力されることなく第2音声データによる報知が終了した場合、所定機器の制御を実行する。これによりユーザへのフィードバック後、ユーザの中止指示がない限り速やかに自動的に制御が実行される。またコントローラ20は、所定機器の制御中止を示すユーザデータが入力されることなく第2音声データによる報知が終了した場合、他のユーザデータの入力を受け付けることなく、所定機器の制御を実行する。
【0047】
ユーザデータは、ユーザがタッチパネル12を操作したことを示すデータ、ユーザの姿勢を撮像した画像データ、ユーザがステアリングホイールに設けられたスイッチ61を操作したことを示すデータ、または音声データ入力装置に入力される音声データである。
【0048】
第2音声データが報知された後とは、第2音声データの出力が終了した後と定義され、第2音声データが報知されている間とは、第2音声データの出力が開始されてから終了するまでの間と定義される。
【0049】
(変形例)
次に図10を参照して本実施形態の変形例を説明する。
【0050】
変形例に係る情報処理装置2は、情報処理装置1と比較して特定部25及び待機時間設定部26をさらに備える。情報処理装置1と重複する構成については符号を引用してその説明は省略する。以下、相違点を中心に説明する。
【0051】
特定部25は入力装置10の中からユーザが利用可能な装置を特定する。ここでいう利用可能な装置とはコントローラ20による制御を中止するために利用可能な装置を意味する。すなわち利用可能な装置とはフィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間に利用可能な装置を意味する。
【0052】
図10では入力装置10としてマイク11、タッチパネル12、スイッチ13、カメラ14が示されているがこれらのすべてがいつでも利用可能とは限らない。故障などの原因で利用できない場合もありうる。あるいは何らかの制約によって利用できない場合もありうる。利用可能か否かの特定方法として、正常に動作していることを示す信号の有無で特定が可能である。
【0053】
特定部25はマイク11、タッチパネル12、スイッチ13、カメラ14から正常に動作していることを示す信号を受信した場合、その装置はフィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間において利用可能であると特定する。特定部25は特定結果を示す信号を待機時間設定部26に送信する。
【0054】
待機時間設定部26は特定部25から受信した信号に基づいて待機時間を設定する。待機時間とは音声出力部22による報知が終了した後にユーザからの中止信号を受け付ける時間である。上述の実施形態では、音声出力部22による報知が終了した場合コントローラ20は中止信号を受け付けないと説明したが、変形例では音声出力部22による報知が終了した後であっても設定された待機時間の分だけ中止信号を受け付ける。例えば音声出力部22による報知が2秒、待機時間設定部26によって設定された待機時間が3秒である場合、変形例においてユーザが中止信号を送信可能な時間は5秒(2秒+3秒)となる。
【0055】
次に待機時間の設定方法について説明する。待機時間は特定部25によって特定された利用可能な装置に応じて設定される。例えば利用可能と特定された装置がカメラ14のみだったと仮定する。この場合待機時間は他の装置が特定された場合と比較してもっとも長く設定される。理由はユーザが中止信号を送信するためにはカメラ14の前に手をかざす必要があり、この動作に要する時間を確保するためである。この待機時間を第1待機時間と呼ぶ。
【0056】
続いて利用可能と特定された装置がマイク11のみだったと仮定する。この場合待機時間はカメラ14が特定された場合と比較して短く設定される。カメラ14の前に手をかざす動作と比較して発話に要する時間は短いからである。この待機時間を第2待機時間と呼ぶ。
【0057】
続いて利用可能と特定された装置がタッチパネル12のみだったと仮定する。この場合待機時間はカメラ14が特定された場合と比較して短く設定される。カメラ14の前に手をかざす動作と比較してタッチパネル12の操作に要する時間は短いからである。この待機時間を第3待機時間と呼ぶ。
【0058】
続いて利用可能と特定された装置がスイッチ13(スイッチ61)のみだったと仮定する。この場合待機時間はカメラ14が特定された場合と比較して短く設定される。カメラ14の前に手をかざす動作と比較してスイッチ61の操作に要する時間は短いからである。この待機時間を第4待機時間と呼ぶ。
【0059】
第1~4待機時間の関係は、第1待機時間>第2待機時間>第3待機時間>第4待機時間である。
【0060】
次に図11~12を参照して情報処理装置2の一動作例を説明する。ただしステップS201~S205、S211、S215~S225の処理は、図2に示すステップS101~S105、S107、S111~S121に示す処理と同様であるため、説明を省略する。
【0061】
ステップS207において特定部25はマイク11、タッチパネル12、スイッチ13、カメラ14から正常に動作していることを示す信号を受信する。信号を受信した場合、特定部25はその装置は利用可能であると特定する。特定部25は特定結果を示す信号を待機時間設定部26に送信する。
【0062】
ステップS209において待機時間設定部26は、特定部25から受信した信号に基づいて待機時間を設定する。
【0063】
ステップS213において報知終了判定部23は、待機時間が終了したか否かを判定する。報知終了判定部23は、音声出力部22から開始信号を受信した後に待機時間設定部26から待機時間が終了したことを示す信号を受信した場合、待機時間が終了したと判定する。一例を挙げると、音声出力部22による報知が2秒、待機時間設定部26によって設定された待機時間が3秒である場合、音声出力部22による報知が開始した後、5秒経過した時点で待機時間が終了したと判定される。なおステップS213において待機時間が終了したとは、ユーザから中止信号が送信されることなく待機時間が終了したことを意味する。
【0064】
(作用効果)
ユーザデータは複数の種別を含む。具体的には中止信号を送信可能な機器は複数の種別を含む(マイク11、タッチパネル12、スイッチ13、カメラ14)。コントローラ20は、ユーザデータの種別に応じて所定機器の制御中止を示すユーザデータを受け付ける時間(待機時間)を変更する。このような構成を備える情報処理装置2によればユーザへのフィードバック後、ユーザの中止指示がない限り待機時間の経過を待って速やかに自動的に制御が実行される。また待機時間の設定にユーザデータの種別が用いられるため、ユーザインターフェースに適した設定が可能となる。
【0065】
待機時間は特定部25によって特定された利用可能な装置に応じて設定されると説明したがこれに限定されない。待機時間はユーザの指示に対応する機器に応じて設定されてもよい。上述したようにユーザの指示が「運転席の窓を開けて」であった場合、ユーザの指示に対応する機器はパワーウィンドウ32となる。他の例ではユーザの指示が「ラジオを流して」であった場合、ユーザの指示に対応する機器はオーディオ装置39となる。ユーザの指示に対応する機器がパワーウィンドウ32、サンルーフ34、パワーバックドア36、パワートランク37などのように挟み込みが発生しうる機器である場合、挟み込みが発生しない機器と比較して待機時間は長く設定されてもよい。これによりユーザは指示を中止するか否かの判断に使う時間を確保できる。
【0066】
またユーザの指示に対応する機器が自動運転などの走行制御を行う機器である場合、走行制御を行う機器でない場合と比較して待機時間は長く設定されてもよい。走行環境は時々刻々と変化するため、走行制御に関する指示を中止するか否かの判断には時間がかかる場合があるからである。
【0067】
また待機時間は車両が走行中か停止中かに応じて設定されてもよい。具体的には車両が走行中である場合、停止中の場合と比較して待機時間は長く設定されてもよい。車両が走行中である場合、停止中の場合と比較してユーザのレスポンスが遅くなることが想定されるからである。
【0068】
上述の実施形態に記載される各機能は、1または複数の処理回路により実装され得る。処理回路は、電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含む。処理回路は、また、記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や回路部品等の装置を含む。
【0069】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0070】
例えばフィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間にユーザから中止信号とは異なる信号が入力される場合がある。コントローラ20は、フィードバック用の音声データがスピーカ31から報知されている間に入力された信号が中止信号か否か判定する機能を有してもよい。
【0071】
コントローラ20は、所定機器が機械的に動作する装置または車内環境を制御する装置である場合のみ、所定機器の制御中止を示すユーザデータを受け付けてもよい。機械的に動作する装置とはパワーウィンドウ32、サンルーフ34、パワーバックドア36、パワートランク37である。車内環境を制御する装置とは空調装置33である。これによりユーザは作動によって挟み込みが発生しうる機器、運転に影響を及ぼす機器の制御を中止することができる。
【0072】
近年のナビゲーション装置は経路案内の他に多くの機能を有する。例えばその機能には天気情報の提供、ニュースの提供などが含まれる。したがってマイク11に入力されるユーザの指示には天気情報、ニュースなどを要求するものが含まれる。
【0073】
なお天気情報及びニュースを要求する指示についてコントローラ20は中止信号を受け付けなくてもよい。天気情報及びニュースの提供は機械的な動作、運転に影響を及ぼす動作を含まないからである。
【0074】
マイク11は車両に設置されるものに限定されない。携帯端末(例えばスマートフォン)のマイクが代用されてもよい。この場合、携帯端末はコントローラ20と通信が可能となるように接続される。
【符号の説明】
【0075】
1、2 情報処理装置
10 入力装置
11 マイク
12 タッチパネル
13 スイッチ
14 カメラ
20 コントローラ
21 音声認識部
22 音声出力部
23 報知終了判定部
24 制御信号送信部
25 特定部
26 待機時間設定部
30 データベース
31 スピーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12