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特許7589809車両設定装置、車載装置、車両設定システム、及び車両設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】車両設定装置、車載装置、車両設定システム、及び車両設定方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/037 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
B60R16/037
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023525305
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 JP2021021328
(87)【国際公開番号】W WO2022254684
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】川村 聡明
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 義博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 優一
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-154239(JP,A)
【文献】特開2007-245831(JP,A)
【文献】特開2017-033320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/037
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載装置と通信する車両設定装置であって、
前記車載装置から、当該車両に搭乗する利用者を識別する利用者識別情報を受信する第1受信手段と、
車両が有する設定対象の状態を人別に設定するための設定情報を当該人の前記利用者識別情報に紐づけて記憶している第1記憶手段から、前記第1受信手段が受信した前記利用者識別情報に対応する前記設定情報である第1の設定情報を読み出す情報決定手段と、
前記第1の設定情報を前記車載装置に送信する第1送信手段と、
を備え
前記設定対象は可動部を含み、
前記第1記憶手段は、前記車両の車種を示す車種情報及び前記利用者識別情報別に、前記設定情報を記憶しており、
前記第1受信手段は、前記利用者識別情報と共に前記車両の車種を示す車種情報を取得し、
前記情報決定手段は、前記第1受信手段が受信した前記車種情報及び前記利用者識別情報の組み合わせである対象組み合わせに対応する前記設定情報を、第1の設定情報として前記第1記憶手段から読み出し、
前記情報決定手段は、前記対象組み合わせに対応する前記設定情報が前記第1記憶手段に記憶されていなかった場合、
他の前記車種情報及び前記利用者識別情報の組み合わせに対応する前記設定情報である第2の設定情報を読み出し、
前記車種情報が複数存在する場合に当該車両と形状が最も近い車種の車種情報を第2の設定情報として選択し、
前記車種情報別に当該車種の前記可動部に関する可動部情報を記憶している第2記憶手段から、前記第1受信手段が受信した前記車種情報に対応する前記可動部情報及び前記他の車種情報に対応する前記可動部情報を読み出し、当該2つの可動部情報及び前記第2の設定情報を用いて前記第1の設定情報を生成する、
車両設定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両設定装置において、
前記利用者識別情報は生体情報を含む、車両設定装置。
【請求項3】
請求項に記載の車両設定装置において、
前記可動部は運転席を含み、
前記設定情報は、前記運転席の前後方向の位置を含んでおり、
前記可動部情報は、標準状態にある運転席と、アクセルペダル及びブレーキペダルの少なくとも一方の相対位置に関する情報を含む車両設定装置。
【請求項4】
請求項又はに記載の車両設定装置において、
前記可動部はミラーを含み、
前記設定情報は、前記ミラーの角度を含んでおり、
前記可動部情報は、標準状態にある運転席を基準にした時の、標準状態にある前記ミラーの相対角度に関する情報を含む車両設定装置。
【請求項5】
請求項に記載の車両設定装置において、
前記情報決定手段は、さらに前記利用者の身体情報を用いて、前記ミラーの角度を決定する車両設定装置。
【請求項6】
請求項のいずれか一項に記載の車両設定装置において、
前記第1受信手段は、前記車載装置から、前記設定情報を生成又は更新するための更新情報及び前記車種情報を受信し、
さらに、前記第1受信手段が受信した前記更新情報及び前記車種情報を用いて、前記第1記憶手段に記憶されている情報を更新する更新手段を備える車両設定装置。
【請求項7】
車両に搭載される車載装置であって、
当該車両に搭乗する利用者を識別する利用者識別情報と、当該車両の車種を示す車種情報と、を取得する取得手段と、
前記利用者識別情報及び前記車種情報を車両設定装置に送信する第2送信手段と、
前記車両設定装置から、車両が有する設定対象の状態を設定するための設定情報を取得する第2受信手段と、
前記設定情報を用いて、前記設定対象の状態を設定するための設定処理を行う設定処理手段と、
を備え
前記第2受信手段は、前記利用者識別情報に対応付けて複数の車種情報が存在する場合には、前記車種情報によって示される車種と車両の形状が最も近い車種の可働部に関する第1の可動部情報と前記車種情報によって示される車種の可動部に関する第2の可動部情報とを用いて生成された設定情報を前記車両設定装置から取得する、
車載装置。
【請求項8】
請求項に記載の車載装置において、
前記設定処理手段は、前記車両が移動を開始する前に前記設定処理を行い、
前記車両が停止した後、当該車両の前記設定対象の状態に基づいて前記設定情報を更新するための更新情報を生成する更新情報生成手段と、
を備え、
前記第2送信手段は、前記車両設定装置に前記更新情報を送信する車載装置。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の車両設定装置と、
請求項又はに記載の車載装置と、
を備える車両設定システム。
【請求項10】
車両に搭載された車載装置と通信するコンピュータが、
前記車載装置から、当該車両に搭乗する利用者を識別する利用者識別情報を受信する第1受信処理と、
車両が有する設定対象の状態を人別に設定するための設定情報を当該人の前記利用者識別情報に紐づけて記憶している第1記憶手段から、前記第1受信処理において取得した前記利用者識別情報に対応する前記設定情報である第1の設定情報を読み出す情報決定処理と、
前記第1の設定情報を前記車載装置に送信する第1送信処理と、
を行い、
前記設定対象は可動部を含み、
前記第1記憶手段は、前記車両の車種を示す車種情報及び前記利用者識別情報別に、前記設定情報を記憶しており、
前記コンピュータが、前記第1受信処理において、前記利用者識別情報と共に前記車両の車種を示す車種情報を取得し、
前記コンピュータが、前記情報決定処理において、前記第1受信処理において受信した前記車種情報及び前記利用者識別情報の組み合わせである対象組み合わせに対応する前記設定情報を、第1の設定情報として前記第1記憶手段から読み出し、
前記コンピュータが、前記情報決定処理において、前記対象組み合わせに対応する前記設定情報が前記第1記憶手段に記憶されていなかった場合、
他の前記車種情報及び前記利用者識別情報の組み合わせに対応する前記設定情報である第2の設定情報を読み出し、
前記車種情報が複数存在する場合に当該車両と形状が最も近い車種の車種情報を第2の設定情報として選択し、
前記車種情報別に当該車種の前記可動部に関する可動部情報を記憶している第2記憶手段から、前記第1受信処理において受信した前記車種情報に対応する前記可動部情報及び前記他の車種情報に対応する前記可動部情報を読み出し、当該2つの可動部情報及び前記第2の設定情報を用いて前記第1の設定情報を生成する、
ことを含む車両設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両設定装置、車載装置、車両設定システム、車両設定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両を運転する人の体格は様々である。このため、車両は、運転席のシート位置、サイドミラーの角度、車内温度の設定値など、運転する人によって設定を変更すべきパラメータを有している。これに対して特許文献1には、以下のことが記載されている。まず、車両に搭載された車内環境自動変更装置は、ユーザが所有する携帯電話に紐づけて車内環境情報を記憶しておく。車内環境情報は、例えば、シート位置情報、エアコン設定情報、オーディオ設定情報、及びナビ設定情報を含んでいる。そしてこの車内環境自動変更装置は、車両にキーが挿入されたときに携帯電話とペアリングし、ペアリングした携帯電話に対応する車内環境情報を用いて車内環境の設定を行う。
【0003】
なお、特許文献2には、車両に搭載された車載器が、その車両の運行データと運転者の生体認証情報とをデータセンタに送信することが記載されている。また特許文献3には、車両に搭載される車両制御装置が操作装置によって遠隔操作されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-151892号公報
【文献】特開2019-125229号公報
【文献】特開2020-133233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両の利用者にとって、車両が有する設定対象を自分の好みの状態に変更することは手間である。本発明の目的の一例は、車両が有する設定対象の設定を利用者の好みの状態に変更する際の作業を減らすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、車両に搭載された車載装置と通信する車両設定装置であって、
前記車載装置から、当該車両に搭乗する利用者を識別する利用者識別情報を受信する第1受信手段と、
車両が有する設定対象の状態を人別に設定するための設定情報を当該人の前記利用者識別情報に紐づけて記憶している第1記憶手段から、前記第1受信手段が受信した前記利用者識別情報に対応する前記設定情報である第1の設定情報を読み出す情報決定手段と、
前記第1の設定情報を前記車載装置に送信する第1送信手段と、
を備える車両設定装置が提供される。
【0007】
本発明の一態様によれば、車両に搭載される車載装置であって、
当該車両に搭乗する利用者を識別する利用者識別情報を取得する取得手段と、
前記利用者識別情報を車両設定装置に送信する第2送信手段と、
前記車両設定装置から、車両が有する設定対象の状態を設定するための設定情報を取得する第2受信手段と、
前記設定情報を用いて、前記設定対象の状態を設定するための設定処理を行う設定処理手段と、
を備える車載装置が提供される。
【0008】
本発明の一態様によれば、上記した車両設定装置及び上記した車載装置を有する車両設定システムが提供される。
【0009】
本発明の一態様によれば、車両に搭載された車載装置と通信するコンピュータが、
前記車載装置から、当該車両に搭乗する利用者を識別する利用者識別情報を受信する第1受信処理と、
車両が有する設定対象の状態を人別に設定するための設定情報を当該人の前記利用者識別情報に紐づけて記憶している第1記憶手段から、前記第1受信処理において取得した前記利用者識別情報に対応する前記設定情報である第1の設定情報を読み出す情報決定処理と、
前記第1の設定情報を前記車載装置に送信する第1送信処理と、
を行う車両設定方法が提供される。
【0010】
本発明の一態様によれば、車両に搭載されたコンピュータが、
当該車両に搭乗する利用者を識別する利用者識別情報を取得する取得処理と、
前記利用者識別情報を車両設定装置に送信する第2送信処理と、
前記車両設定装置から、車両が有する設定対象の状態を設定するための設定情報を取得する第2受信処理と、
前記設定情報に基づいて前記設定対象の状態を設定するための設定処理を行う設定処理、と、
を行う車両設定方法が提供される。
【0011】
本発明の一態様によれば、車両に搭載された車載装置と通信するコンピュータに、
前記車載装置から、当該車両に搭乗する利用者を識別する利用者識別情報を受信する第1受信機能と、
車両が有する設定対象の状態を人別に設定するための設定情報を当該人の前記利用者識別情報に紐づけて記憶している第1記憶手段から、前記第1受信機能が受信した前記利用者識別情報に対応する前記設定情報である第1の設定情報を読み出す情報決定機能と、
前記第1の設定情報を前記車載装置に送信する第1送信機能と、
を持たせるプログラムが提供される。
【0012】
本発明の一態様によれば、車両に搭載されるコンピュータに、
当該車両に搭乗する利用者を識別する利用者識別情報を取得する取得機能と、
前記利用者識別情報を車両設定装置に送信する第2送信機能と、
前記車両設定装置から、車両が有する設定対象の状態を設定するための設定情報を取得する第2受信機能と、
前記設定情報に基づいて前記設定対象の状態を設定するための設定処理を行う設定処理機能と、
を持たせるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両が有する設定対象を運転者の好みの状態に変更する際の作業は少ない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0015】
図1】実施形態に係る車両設定システムの構成を説明図である。
図2】車両設定装置の機能構成の一例を示す図である。
図3】第1記憶部が記憶している情報の一例を示す図である。
図4】第2記憶部が記憶している情報の一例を示す図である。
図5】車載装置の機能構成の一例を示す図である。
図6】車両設定装置のハードウェア構成例を示す図である。
図7】車両設定装置及び車載装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。
図8図7のステップS30の詳細例を示すフローチャートである。
図9図8のステップS360において情報決定部が行う処理の第1例を示す図である。
図10図8のステップS360において情報決定部が行う処理の第2例を示す図である。
図11図8のステップS360において情報決定部が行う処理の第3例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0017】
図1は、実施形態に係る車両設定システムの構成を示す図である。この車両設定システムは、車両30が有する設定対象の状態を利用者毎に設定するためのシステムである。設定対象は、可動部、例えば運転席や助手席のシートの位置や角度及びミラー(例えばドアミラーなどのサイドミラー)の角度、並びに空調システムの運転条件(例えば設定温度)の少なくとも一つを含んでいる。
【0018】
車両設定システムは、車両設定装置10及び車載装置20を有している。車両設定装置10及び車載装置20は互いに通信する。また、車両設定システムは、車両設定システムの利用者を識別する情報(以下、利用者識別情報と記載)を用いる。利用者識別情報は、生体情報を含んでいるのが好ましい。ここで用いられる生体情報は、例えば顔画像から生成される顔情報(例えば顔の特徴量)及び指紋情報の少なくとも一方であるが、これらに限定されない。また利用者識別情報は、生体情報のみで構成されていてもよい。
【0019】
車載装置20は車両30に搭載されている。車両30の搭乗者の利用者識別情報を取得し、この利用者識別情報を車両設定装置10に送信する。この際、車載装置20は、必要に応じて車両30の車種を示す情報(以下、車種情報と記載)を車両設定装置10に送信する。
【0020】
車両設定装置10は、利用者識別情報別に、設定情報を記憶している。設定情報は、設定対象を所定の状態を設定するための情報であり、人別に生成されている。設定情報は、例えばその人の好みの状態(例えばシートの位置やミラーの角度)を示している。そして車両設定装置10は、車載装置20から取得した利用者識別情報に対応する設定情報を車載装置20に送信する。
【0021】
車両設定装置10は、車種情報別かつ利用者識別情報別に、設定情報を記憶していることもある。この場合、車両設定装置10は、車載装置20から取得した利用者識別情報及び車種情報の組み合わせ(対象組み合わせの一例)に対応する設定情報を、車載装置20に送信する。
【0022】
車載装置20は、車両設定装置10から取得した設定情報を用いて、車両30の設定対象の状態を設定するための処理(以下、設定処理と記載)を行う。例えば車載装置20は、車両30に設けられた制御装置に設定情報を出力する。すると制御装置は、この設定情報に従って設定対象の状態を設定する。なお、車載装置20と制御装置は有線で接続されていてもよいし、無線で接続されていてもよい。
【0023】
車両30は、例えば個人に所有されていてもよいし、会社などの法人に所有されていてもよい。前者の場合、設定対象の状態は、例えば所有者及びその家族別に異なってくる。後者の場合、車両30は、レンタカー又はカーシェアに用いられてもよい。この場合、設定対象の適切な状態(例えばシートの適切な位置やミラーの適切な角度)は、利用者ごとに異なってくる。また、利用者から見た場合、ほとんどの場合、レンタカー又はカーシェアのサービスを受けるたびに、たとえ同一の車種を指定した場合でも、異なる車両が準備されることになる。これに対して図1に示した車両設定システムを用いると、異なる車両が準備された場合でも、上記した設定対象を適切な状態に容易に設定できる。
【0024】
図2は、車両設定装置10の機能構成の一例を示す図である。本図に示す例において、車両設定装置10は第1受信部110、情報決定部120、第1送信部130、及び第1記憶部140を備えている。
【0025】
第1記憶部140は、複数の人別に、設定情報をその利用者識別情報に紐づけて記憶している。また設定情報が車種別に生成されている場合、第1記憶部140は、設定情報を、利用者識別情報別かつ車種情報別に記憶している。
【0026】
第1受信部110は、車載装置20から当該車両に搭乗する利用者の利用者識別情報を受信する。ここで第1受信部110は、必要に応じて車載装置20から車種情報も受信する。
【0027】
情報決定部120は、第1記憶部140から、第1受信部110が受信した利用者識別情報に対応する設定情報(以下、第1の設定情報と記載)を読み出す。第1受信部110が車種情報も受信した場合、情報決定部120は、第1受信部110が受信した利用者識別情報及び車種情報の組み合わせに対応する設定情報を読み出して第1の設定情報にする。
【0028】
第1送信部130は、第1の設定情報を車載装置20に送信する。
【0029】
本図に示す例において、車両設定装置10は、さらに第2記憶部150及び更新部160を備えている。
【0030】
設定情報が車種別に生成されている場合、第1記憶部140は、第1受信部110が受信した利用者識別情報及び車種情報に対応する設定情報を記憶していないこともある。この場合、情報決定部120は、第2記憶部150が記憶している情報も用いて第1の設定情報を生成する。
【0031】
詳細には、第2記憶部150は、車種情報別に当該車種の可動部に関する情報(以下、可動部情報と記載)を記憶している。可動部情報は、標準状態における可動部の位置や向きを示す情報を含んでいる。
【0032】
そして情報決定部120は、第1受信部110が受信した車種情報(以下、第1の車種情報と記載)とは別の車種情報(以下、第2の車種情報と記載)及び利用者識別情報の組み合わせに対応する設定情報(以下、第2の設定情報と記載)を読み出す。そして情報決定部120は、第2記憶部150から、第1の車種情報に対応する可動部情報及び第2の車種情報に対応する可動部情報を読み出し、これら2つの可動部情報及び第2の設定情報を用いて、第1の設定情報を生成する。ここで行われる処理の詳細については、他の図を用いて後述する。
【0033】
更新部160は、第1記憶部140が記憶している情報を更新する。詳細には、第1受信部110は、車載装置20から、設定情報を生成又は更新するための情報(以下、更新情報と記載)及び車種情報を受信する。そして更新部160は、第1受信部110が受信した更新情報及び車種情報を用いて、第1記憶部140に記憶されている情報を更新する。ここで更新部160は、更新日を第1記憶部140に記憶させる。更新部160が行う処理及び更新情報の詳細例は、他の図を用いて後述する。
【0034】
なお、第1記憶部140及び第2記憶部150の少なくとも一方は、車両設定装置10の外部に位置していてもよい。
【0035】
図3は、第1記憶部140が記憶している情報の一例を示す図である。上記したように、第1記憶部140は、利用者識別情報及び車種情報の組み合わせ別に、設定情報及びその設定情報の更新日を記憶している。本図に示す例において、設定情報は、シート(例えば運転席及び助手席の少なくとも一方)の設定情報及びミラーの設定情報を有している。シートの設定情報は、シートの前後方向の位置、シートの高さ、及び背もたれの角度を示す情報を含んでいる。ミラーの設定情報は、サイドミラーの水平方向の角度及び上下方向の角度を示す情報を含んでいる。
【0036】
また、第1記憶部140は、利用者の身体情報を、その利用者の利用者識別情報に紐づけて記憶している。身体情報は、利用者の体の大きさに関する情報(例えば身長及び座高の少なくとも一方)を含んでいる。情報決定部120は、設定情報を生成する際、必要に応じてこの身体情報を用いる。ただし第1記憶部140は、この身体情報を記憶していなくてもよい。
【0037】
図4は、第2記憶部150が記憶している情報の一例を示す図である。上記したように、第2記憶部150は、車種情報別に可動部情報を記憶している。可動部情報は、シートに関する情報、及びミラーに関する情報を含んでいる。シートに関する情報は、標準状態(すなわち設定値が0)にある運転席とアクセルペダル及びブレーキペダルの少なくとも一方の相対位置を示す情報、標準状態におけるシートの高さ(基準は地面)、及び標準状態におけるシートの背もたれの傾きを示す情報を含んでいる。また、ミラーに関する情報は、標準状態にある運転席を基準にした時の、標準状態にあるミラーの相対角度に関する情報(例えば標準状態にあるミラーの、車両30の長さ方向を基準にした時の角度)を含んでいる。可動部情報の詳細例については、他の図を用いて後述する。
【0038】
図5は、車載装置20の機能構成の一例を示す図である。本図に示す例において、車載装置20は、取得部210、第2送信部220、第2受信部230、及び設定処理部240を備えている。
【0039】
取得部210は、車両30に搭乗する利用者の利用者識別情報を取得する。例えば利用者識別情報が顔情報である場合、取得部210は、車両30に搭載された撮像装置から画像を取得し、この画像を処理することにより顔情報を生成する。この撮像装置は、取得部210の一部であってもよいし、車載装置20の外にあってもよい。また利用者識別情報が指紋情報である場合、取得部210は、指紋情報を読み取るためのセンサを有している。また取得部210は、利用者が所持している携帯端末から利用者識別情報を取得してもよい。
【0040】
第2送信部220は、取得部210が取得した利用者識別情報を車両設定装置10に送信する。この際、第2送信部220は、必要に応じて車種情報も車両設定装置10に送信する。第2送信部220は、この車種情報を予め記憶している。ただし、車載装置20の他の機能部がこの車種情報を記憶していてもよい。
【0041】
第2受信部230は、車両設定装置10から設定情報を受信する。
【0042】
設定処理部240は、第2受信部230が受信した設定情報を用いて、上記した設定処理すなわち設定対象の状態を設定するための処理を行う。設定処理の一例は、受信した設定情報を、車両30が有する制御装置に出力することである。ただし設定処理部240は、受信した設定情報に従って設定対象を直接制御してもよい。
【0043】
車載装置20は、さらに更新情報生成部250を有している。更新情報生成部250は、車両30から取得した情報を用いて更新情報を生成する。更新情報は、上記したように、車両設定装置10の第1記憶部140が記憶している設定情報を更新するための情報である。
【0044】
ここで更新情報について詳細に説明する。設定処理部240は、車両30が移動を開始する前に上記した設定処理を行う。ただし、この設定処理に従った設定が利用者にとって最適でない可能性もある。このため、利用者は、車両30が移動している間、設定対象の設定を変更することある。そこで更新情報生成部250は、車両30が停止した後、その時の設定対象の状態(例えばシートの前後方向の位置、シートの高さ、背もたれの角度、並びにサイドミラーの水平方向の角度及び上下方向の角度)を示す情報を車両30から取得し、この情報を更新情報とする。
【0045】
そして第2送信部220は、この更新情報を車両設定装置10に送信する。
【0046】
図6は、車両設定装置10のハードウェア構成例を示す図である。車両設定装置10は、バス1010、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、及びネットワークインタフェース1060を有する。
【0047】
バス1010は、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、及びネットワークインタフェース1060が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1020などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0048】
プロセッサ1020は、CPU(Central Processing Unit) やGPU(Graphics Processing Unit)などで実現されるプロセッサである。
【0049】
メモリ1030は、RAM(Random Access Memory)などで実現される主記憶装置である。
【0050】
ストレージデバイス1040は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又はROM(Read Only Memory)などで実現される補助記憶装置である。ストレージデバイス1040は車両設定装置10の各機能(例えば第1受信部110、情報決定部120、第1送信部130、及び更新部160)を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1020がこれら各プログラムモジュールをメモリ1030上に読み込んで実行することで、そのプログラムモジュールに対応する各機能が実現される。また、ストレージデバイス1040は第1記憶部140及び第2記憶部150としても機能する。
【0051】
入出力インタフェース1050は、車両設定装置10と各種入出力機器とを接続するためのインタフェースである。
【0052】
ネットワークインタフェース1060は、車両設定装置10をネットワークに接続するためのインタフェースである。このネットワークは、例えばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)である。ネットワークインタフェース1060がネットワークに接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。車両設定装置10は、例えばネットワークインタフェース1060を介して車載装置20と通信する。
【0053】
なお、車載装置20のハードウェア構成も、図6に示した通りである。そしてストレージデバイス1040は、車載装置20の各機能(例えば取得部210、第2送信部220、第2受信部230、設定処理部240、及び更新情報生成部250)を実現するプログラムモジュールを記憶している。また、車載装置20は、例えば入出力インタフェース1050を介して車両30と通信する。また車載装置20は、例えばネットワークインタフェース1060を介して車両設定装置10と通信する。
【0054】
図7は、車両設定装置10及び車載装置20が行う処理の一例を示すフローチャートである。車載装置20の取得部210は、利用者が車両30に乗車する際、その利用者の利用者識別情報を取得する(ステップS10)。
【0055】
例えば利用者識別情報が顔情報である場合、車両30に搭載された撮像装置は、利用者による操作がなくても、車両30に乗車した利用者の顔画像を生成する。そして取得部210は、この顔画像を処理することにより、利用者識別情報としての顔情報(例えば顔の特徴量)を生成する。このようにすると、取得部210が利用者識別情報を取得する際に利用者が行うべき作業はほぼ無くなる。ただし、撮像装置は、利用者による所定の操作があったときに顔画像を生成してもよい。
【0056】
次いで第2送信部220は、取得部210が取得した利用者識別情報を、車種情報と共に車両設定装置10に送信する(ステップS20)。
【0057】
車両設定装置10の第1受信部110は、車載装置20が送信してきた利用者識別情報及び車種情報を受信する。そして情報決定部120は、車載装置20に送信すべき第1の設定情報を決定する(ステップS30)。第1送信部130は、第1の設定情報を車載装置20に送信する(ステップS40)。
【0058】
車載装置20の第2受信部230は、車両設定装置10から第1の設定情報を受信する。次いで設定処理部240は、第2受信部230が受信した第1の設定情報を用いて設定処理を行う。設定処理の一例は、図1を用いて説明した通りである(ステップS50)。設定処理は、車両30が移動を開始する前(例えば利用者が車両30の運転を開始する前)に行われる。
【0059】
その後、利用者は、必要に応じて設定対象の状態を変更する。例えば利用者は、必要に応じて、シートの前後方向の位置、シートの高さ、シートの背もたれの角度、サイドミラーの水平方向の角度、及びサイドミラーの上下方向の角度の少なくとも一つを変更する。
【0060】
そして車両30が停止した時(例えば利用者が車両30の運転を終了してエンジンが停止した時)、更新情報生成部250は、その時の設定対象の状態を示す情報を取得する(ステップS60)。そして更新情報生成部250は、この情報を用いて、更新情報、すなわち第1記憶部140が記憶している設定情報を更新するための情報を生成する。そして第2送信部220は、この更新情報、ステップS10で生成した利用者識別情報、及び車種情報を車両設定装置10に送信する(ステップS70)。なお、ここで送信される利用者識別情報は、このタイミングで生成されてもよい。
【0061】
ここで、ステップS60で取得された情報が示す状態と、ステップS40で取得された第1の設定情報が示す状態と、が同一であった場合、すなわちステップS50の後に設定対象の状態が変化していない場合、ステップS70以降の処理は省略されてもよい。また、ステップS60又はステップS70において、利用者に、第1の設定情報を、現在の設定を示す情報に更新するか、確認するための処理を行ってもよい。この処理の一例は、更新を指示するための入力(例えばタッチパネルへの入力)を促すための処理(例えば画面への表示や音声出力)である。
【0062】
車両設定装置10の第1受信部110は、車載装置20から更新情報、利用者識別情報、及び車種情報を取得する。更新部160は、第1記憶部140のうち第1受信部110が取得した利用者識別情報及び車種情報の組み合わせに対応する設定情報を、この更新情報が示す情報に更新する。ここで、第1記憶部140は、今回取得した利用者識別情報及び車種情報の組み合わせに対応する設定情報を記憶していないこともある。この場合、更新部160は、更新情報を用いて、この組み合わせに対応する設定情報を新たに生成して第1記憶部140に記憶させる(ステップS80)。
【0063】
なお、利用者が初めて車両設定装置10を利用するときなど、ステップS40において設定情報が車載装置20に送信されないときがある。この場合、ステップS50に示した処理は行われないが、ステップS60~ステップS80に示した処理は行われる。ただしステップS80において、更新部160は、新たな利用者識別情報及び車種情報の組み合わせに紐づけて新たな設定情報を第1記憶部140に記憶させる。
【0064】
図8は、図7のステップS30の詳細例を示すフローチャートである。車両設定装置10の情報決定部120は、まず、車載装置20が送信した利用者識別情報及び車種情報(第1の車種情報)に対応する設定情報が第1記憶部140に記憶されている場合(ステップS310:Yes)、この設定情報を読み出し、第1の設定情報にする(ステップS320)。
【0065】
一方、情報決定部120は、その設定情報が第1記憶部140に記憶されていない場合(ステップS310:No)、車載装置20が送信した利用者識別情報と他の車種情報(第2の車種情報)に対応する設定情報が第1記憶部140に記憶されているか否かを確認する(ステップS330)。
【0066】
この利用者識別情報に対応する設定情報が一つも記憶されていない場合(ステップS330:No)、情報決定部120は、第1の設定情報を生成しない。この場合、第1送信部130は、その旨を示す情報を車載装置20に送信する。
【0067】
一方、この利用者識別情報に対応する設定情報が記憶されていた場合(ステップS330:Yes)、情報決定部120は、この設定情報すなわち第2の車種情報に対応する設定情報を第1記憶部140から読み出す(ステップS340)。ここで、第2の車種情報となり得る車種情報が複数存在することもある。この場合、情報決定部120は、設定情報の更新日が最も新しい車種情報を第2の車種情報として選択してもよいし、今回の車種と車両の形状が最も近い車種の車種情報を第2の車種情報として選択してもよい。
【0068】
また情報決定部120は、第2記憶部150から、第1の車種情報に対応する可動部情報と、第2の車種情報に対応する可動部情報とを読み出す(ステップS350)。次いで情報決定部120は、ステップS340で取得した設定情報を、ステップS350で読み出した2つの可動部情報を用いて修正することにより、車載装置20に送信すべき設定情報すなわち第1の設定情報を生成する(ステップS360)。なお、ステップS360で行われる処理の詳細は、他の図を用いて後述する。
【0069】
図9は、図8のステップS360において情報決定部120が行う処理の第1例を示す図である。本図に示す例において、情報決定部120は、設定情報の少なくとも一部として、運転席のシート32の前後方向の位置を示す情報を生成する。以下、図9図11を用いた説明において、車種Aは第1の車種情報に対応しており、車種Bは第2の車種情報に対応している。
【0070】
シート32の前後方向の位置は、シート32からペダル34(例えばアクセル又はブレーキペダル)までの距離Dがユーザの希望の値になるように設定されるべきである。そこで、情報決定部120は、車種Bにおける距離Dが、車種Aの設定情報に従った場合の距離D(以下、目標距離と記載)と同じになるように、第1の設定情報を生成する。
【0071】
具体的には、可動部情報は、シート32が標準状態にあるときの距離D(以下、標準距離と記載)を含んでいる。この標準距離は、車種によって異なり得る。また、設定情報は、シート32が標準状態からどの程度ずれているかを示す情報を含んでいる。情報決定部120は、これらの情報を用いて、目標距離を算出する。そして、情報決定部120は、この目標距離と、車種Bにおける標準距離との差を算出し、この差を設定情報とする。
【0072】
なお、設定情報は、シート32の背もたれの傾きを含んでいることもある。この場合、車種Bの設定情報における背もたれの傾きは、車種Aの設定情報における背もたれの傾きがそのまま用いられる。また、設定情報は、車内の床面を基準としたときのシート32の高さを含んでいることもあるこの場合、車種Bの設定情報におけるシート32の高さは、車種Aの設定情報におけるシート32の高さがそのまま用いられる。
【0073】
なお、シート32の前後方向の位置、背もたれの角度、及びシートの高さは、無段階ではなく多段階で設定されることもある。この場合、設定情報は、この段階を示す情報となる。
【0074】
図10は、図8のステップS360において情報決定部120が行う処理の第2例を示す図である。本図に示す例において、情報決定部120は、設定情報の少なくとも一部として、サイドミラー36の水平方向の角度を示す情報を生成する。
【0075】
水平方向において、シート32に座っているユーザの視線がサイドミラー36によって反射されたときの角度Y(基準は車両の長さ方向:ただし車両の幅方向でもよい)は、そのユーザの所望する値になるべきである。そこで、情報決定部120は、車種Aの設定情報に従ったときの角度Yと、車種Bの設定情報に従ったときの角度Yとが同じ値になるように、サイドミラー36に関する第1の設定情報を生成する。
【0076】
まず、可動部情報は、図9に示した例に加えて、以下の情報を含んでいる。
・サイドミラー36が標準状態にあるときの水平方向の角度(以下、第1基準角度と記載)。なお、この角度は車種によって異なり得る。
・車両の長さ方向におけるペダル34からサイドミラー36までの距離L
・車両の幅方向におけるシート32からサイドミラー36までの距離W,W
【0077】
また、設定情報は、図9に示した例に加えて、第1基準角度を基準にした時のサイドミラー36の水平方向の傾きを示す情報を含んでいる。
【0078】
そして情報決定部120は、車種Aに関し、設定情報に従った時のペダル34からシート32までの距離Lを算出する。距離Lの算出方法は、図9を用いて説明した通りである。そして、情報決定部120は、距離Lから距離Lを引くことにより、車両の長さ方向におけるシート32からサイドミラー36までの距離Lを算出する。そして情報決定部120は、車両の幅方向に対する運転者の視線の角度θを算出する。視線の角度θは、「tan(L/W(又はW))」である。
【0079】
また、情報決定部120は、車種Aの設定情報に従った時のミラー角度φを、第1基準角度及び設定情報内のサイドミラー36の傾きを用いて、算出する。そして、情報決定部120は、車種Aの設定情報に従った時の運転者の視線の入射角を算出する。入射角は、「90°-(視線の角度θ+ミラー角度φ)」である。
【0080】
また、図10の角度Xは、「90°-入射角-視線の角度θ=ミラー角度φ」になる。
【0081】
そして、情報決定部120は、車種Aにおける角度Yを算出する。角度Yは、「入射角-X=90°-角度θ-2×ミラー角度φ」になる。
【0082】
また、情報決定部120は、同様に、車種Bにおける角度Yを算出できる。そして情報決定部120は、車種Bにおける角度Yが車種Aにおける角度Yと同じ値になるように、車種Bのミラー角度φを設定する。そして情報決定部120は、このミラー角度φと、車種Bの第1基準角度とを用いることにより、車種Bにおけるサイドミラー36の水平方向の角度を示す情報を生成する。
【0083】
図11は、図8のステップS360において情報決定部120が行う処理の第3例を示す図である。本図に示す例において、情報決定部120は、設定情報の少なくとも一部として、サイドミラー36の上下方向の角度を示す情報を生成する。
【0084】
上下方向においても、シート32に座っているユーザの視線がサイドミラー36によって反射されたときの角度Yは、そのユーザの所望する値になるべきである。そこで、情報決定部120は、車種Aの設定情報に従ったときの角度Yと、車種Bの設定情報に従ったときの角度Yとが同じ値になるように、サイドミラー36に関する第1の設定情報を生成する。
【0085】
まず、可動部情報は、図9に示した例に加えて、以下の情報を含んでいる。
・サイドミラー36が標準状態にあるときの上下方向の角度(以下、第2基準角度と記載)。なお、基準方向は車種によって異なり得る。
・車両の長さ方向におけるペダル34からサイドミラー36までの距離L
・シート32が基準位置(例えば0点)に位置するときの、地面を基準としたときのシート32の座面の高さ
・地面を基準としたときのサイドミラー36の高さ
【0086】
また、設定情報は、図9に示した例に加えて、以下の情報を含んでいる。
・第2基準角度を基準にした時のサイドミラー36の上下方向の傾き
・シート32の高さの基準位置からの変更量。
【0087】
さらに、情報決定部120は、第1記憶部140から、運転者(利用者)の身体情報を読み出す。身体情報は、座高を含んでいる。
【0088】
そして情報決定部120は、距離Lを算出する。距離Lの算出方法は、図10を用いて説明した通りである。また、情報決定部120は、サイドミラー36と運転者の目の高さ方向の間隔Hを算出する。間隔Hは、「「シート32が基準位置に位置するときの、地面を基準としたときのシート32の座面の高さ」+「シート32の高さの基準位置からの変更量」+「運転者の座高」-「(地面を基準としたときのサイドミラー36の高さ)」」で算出される。
【0089】
そして情報決定部120は、高さ方向に対する運転者の視線の角度θを算出する。角度θは、「arctan(H/L)」である。
【0090】
また、情報決定部120は、車種Aの設定情報に従った時のミラー角度φ(基準は垂直方向)を、第2基準角度及び設定情報内のサイドミラー36の傾きを用いて、算出する。そして、情報決定部120は、車種Aの設定情報に従った時の運転者の視線の入射角を算出する。入射角は、視線の角度θ+ミラー角度φ)」である。
【0091】
また、図10の角度Xは、「90°-(90°-角度θ-ミラー角度φ)」=「θ+φ2」である。
【0092】
そして、情報決定部120は、車種Aにおける角度Yを算出する。角度Yは、「90°-X-φ」=「90°-(θ+φ)-φ」=「90°-θ-2×φ」である。
【0093】
また、情報決定部120は、同様に、車種Bにおける角度Yを算出できる。そして情報決定部120は、車種Bにおける角度Yが車種Aにおける角度Yと同じ値になるように、車種Bのミラー角度φを設定する。そして情報決定部120は、このミラー角度φと、車種Bの第2基準角度とを用いることにより、車種Bにおけるサイドミラー36の上下方向の角度を示す情報を生成する。
【0094】
以上、本実施形態によれば、車両30の利用者は、シートの位置やサイドミラーの角度など、設定対象の状態を個別に設定する必要はない。このため、設定対象の設定を利用者の好みの状態に変更する際に利用者に要求される作業は少なくなる。特に利用者識別情報として顔情報を用いる場合、利用者が利用者識別情報を入力する必要はないため、利用者に要求される作業はほとんどない。
【0095】
さらに、第1記憶部140は、車種別かつ利用者別に設定情報を記憶している。ここで、車両設定装置10は、利用者が今回利用する車種に対応する設定情報が第1記憶部140に記憶されていなかった場合、他の車種に対応する設定情報を用いて、今回利用する車種の設定情報を生成する。この設定情報が示す設定は、利用者の好みに近い可能性が高い。したがって、利用者に要求される作業は少なくなる。
【0096】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0097】
また、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0098】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
1.車両に搭載された車載装置と通信する車両設定装置であって、
前記車載装置から、当該車両に搭乗する利用者を識別する利用者識別情報を受信する第1受信手段と、
車両が有する設定対象の状態を人別に設定するための設定情報を当該人の前記利用者識別情報に紐づけて記憶している第1記憶手段から、前記第1受信手段が受信した前記利用者識別情報に対応する前記設定情報である第1の設定情報を読み出す情報決定手段と、
前記第1の設定情報を前記車載装置に送信する第1送信手段と、
を備える車両設定装置。
2.上記1に記載の車両設定装置において、
前記利用者識別情報は生体情報を含む、車両設定装置。
3.上記1又は2に記載の車両設定装置において、
前記設定対象は可動部を含む、車両設定装置。
4.上記3に記載の車両設定装置において、
前記第1記憶手段は、前記車両の車種を示す車種情報及び前記利用者識別情報別に、前記設定情報を記憶しており、
前記第1受信手段は、前記利用者識別情報と共に前記車両の車種を示す車種情報を取得し、
前記情報決定手段は、前記第1受信手段が受信した前記車種情報及び前記利用者識別情報の組み合わせである対象組み合わせに対応する前記設定情報を第1の設定情報として前記第1記憶手段から読み出す、車両設定装置。
5.上記4に記載の車両設定装置において、
前記情報決定手段は、前記対象組み合わせに対応する前記設定情報が前記第1記憶手段に記憶されていなかった場合、
他の前記車種情報及び前記利用者識別情報の組み合わせに対応する前記設定情報である第2の設定情報を読み出し、
前記車種情報別に当該車種の前記可動部に関する可動部情報を記憶している第2記憶手段から、前記第1受信手段が受信した前記車種情報に対応する前記可動部情報及び前記他の車種情報に対応する前記可動部情報を読み出し、当該2つの可動部情報及び前記第2の設定情報を用いて前記第1の設定情報を生成する、車両設定装置。
6.上記5に記載の車両設定装置において、
前記可動部は運転席を含み、
前記設定情報は、前記運転席の前後方向の位置を含んでおり、
前記可動部情報は、標準状態にある運転席と、アクセルペダル及びブレーキペダルの少なくとも一方の相対位置に関する情報を含む車両設定装置。
7.上記5又は6に記載の車両設定装置において、
前記可動部はミラーを含み、
前記設定情報は、前記ミラーの角度を含んでおり、
前記可動部情報は、標準状態にある運転席を基準にした時の、標準状態にある前記ミラーの相対角度に関する情報を含む車両設定装置。
8.上記7に記載の車両設定装置において、
前記情報決定手段は、さらに前記利用者の身体情報を用いて、前記ミラーの角度を決定する車両設定装置。
9.上記4~8のいずれか一項に記載の車両設定装置において、
前記第1受信手段は、前記車載装置から、前記設定情報を生成又は更新するための更新情報及び前記車種情報を受信し、
さらに、前記第1受信手段が受信した前記更新情報及び前記車種情報を用いて、前記第1記憶手段に記憶されている情報を更新する更新手段を備える車両設定装置。
10.車両に搭載される車載装置であって、
当該車両に搭乗する利用者を識別する利用者識別情報を取得する取得手段と、
前記利用者識別情報を車両設定装置に送信する第2送信手段と、
前記車両設定装置から、車両が有する設定対象の状態を設定するための設定情報を取得する第2受信手段と、
前記設定情報を用いて、前記設定対象の状態を設定するための設定処理を行う設定処理手段と、
を備える車載装置。
11.上記10に記載の車載装置において、
前記利用者識別情報は生体情報を含む、車載装置。
12.上記10又は11に記載の車載装置において、
前記設定処理手段は、前記車両が移動を開始する前に前記設定処理を行い、
前記車両が停止した後、当該車両の前記設定対象の状態に基づいて前記設定情報を更新するための更新情報を生成する更新情報生成手段と、
を備え、
前記第2送信手段は、前記車両設定装置に前記更新情報を送信する車載装置。
13.上記1~9のいずれか一項に記載の車両設定装置と、
上記10~12のいずれか一項に記載の車載装置と、
を備える車両設定システム。
14.車両に搭載された車載装置と通信するコンピュータが、
前記車載装置から、当該車両に搭乗する利用者を識別する利用者識別情報を受信する第1受信処理と、
車両が有する設定対象の状態を人別に設定するための設定情報を当該人の前記利用者識別情報に紐づけて記憶している第1記憶手段から、前記第1受信処理において取得した前記利用者識別情報に対応する前記設定情報である第1の設定情報を読み出す情報決定処理と、
前記第1の設定情報を前記車載装置に送信する第1送信処理と、
を行う車両設定方法。
15.上記14に記載の車両設定方法において、
前記利用者識別情報は生体情報を含む、車両設定方法。
16.上記14又は15に記載の車両設定方法において、
前記設定対象は可動部を含む、車両設定方法。
17.上記16に記載の車両設定方法において、
前記第1記憶手段は、前記車両の車種を示す車種情報及び前記利用者識別情報別に、前記設定情報を記憶しており、
前記コンピュータは、
前記第1受信処理において、前記利用者識別情報と共に前記車両の車種を示す車種情報を取得し、
前記情報決定処理において、前記第1受信処理で受信した前記車種情報及び前記利用者識別情報の組み合わせである対象組み合わせに対応する前記設定情報を、第1の設定情報として前記第1記憶手段から読み出す、車両設定方法。
18.上記17に記載の車両設定方法において、
前記コンピュータは、前記情報決定処理において、前記対象組み合わせに対応する前記設定情報が前記第1記憶手段に記憶されていなかった場合、
他の前記車種情報及び前記利用者識別情報の組み合わせに対応する前記設定情報である第2の設定情報を読み出し、
前記車種情報別に当該車種の前記可動部に関する可動部情報を記憶している第2記憶手段から、前記第1受信処理で受信した前記車種情報に対応する前記可動部情報及び前記他の車種情報に対応する前記可動部情報を読み出し、当該2つの可動部情報及び前記第2の設定情報を用いて前記第1の設定情報を生成する、車両設定方法。
19.上記18に記載の車両設定方法において、
前記可動部は運転席を含み、
前記設定情報は、前記運転席の前後方向の位置を含んでおり、
前記可動部情報は、標準状態にある運転席と、アクセルペダル及びブレーキペダルの少なくとも一方の相対位置に関する情報を含む車両設定方法。
20.上記18又は19に記載の車両設定方法において、
前記可動部はミラーを含み、
前記設定情報は、前記ミラーの角度を含んでおり、
前記可動部情報は、標準状態にある運転席を基準にした時の、標準状態にある前記ミラーの相対角度に関する情報を含む車両設定方法。
21.上記20に記載の車両設定方法において、
前記コンピュータは、前記情報決定処理において、さらに前記利用者の身体情報を用いて前記ミラーの角度を決定する車両設定方法。
22.上記17~21のいずれか一項に記載の車両設定方法において、
前記コンピュータは、
前記第1受信処理において、前記車載装置から、前記設定情報を生成又は更新するための更新情報及び前記車種情報を受信し、
さらに、前記第1受信処理において受信した前記更新情報及び前記車種情報を用いて、前記第1記憶手段に記憶されている情報を更新する更新処理を行う車両設定方法。
23.車両に搭載されたコンピュータが、
当該車両に搭乗する利用者を識別する利用者識別情報を取得する取得処理と、
前記利用者識別情報を車両設定装置に送信する第2送信処理と、
前記車両設定装置から、車両が有する設定対象の状態を設定するための設定情報を取得する第2受信処理と、
前記設定情報に基づいて前記設定対象の状態を設定するための設定処理と、
を行う車両設定方法。
24.上記23に記載の車両設定方法において、
前記利用者識別情報は生体情報を含む、車両設定方法。
25.上記23又は24に記載の車両設定方法において、
前記コンピュータは、
前記車両が移動を開始する前に前記設定処理を行い、
前記車両が停止した後、当該車両の前記設定対象の状態に基づいて前記設定情報を更新するための更新情報を生成する更新情報生成処理を行い
前記第2送信処理において、前記車両設定装置に前記更新情報を送信する車両設定方法。
26.車両に搭載された車載装置と通信するコンピュータに、
前記車載装置から、当該車両に搭乗する利用者を識別する利用者識別情報を受信する第1受信機能と、
車両が有する設定対象の状態を人別に設定するための設定情報を当該人の前記利用者識別情報に紐づけて記憶している第1記憶手段から、前記第1受信機能が受信した前記利用者識別情報に対応する前記設定情報である第1の設定情報を読み出す情報決定機能と、
前記第1の設定情報を前記車載装置に送信する第1送信機能と、
を持たせるプログラム。
27.上記26に記載のプログラムにおいて、
前記利用者識別情報は生体情報を含む、プログラム。
28.上記26又は27に記載のプログラムにおいて、
前記設定対象は可動部を含む、プログラム。
29.上記28に記載のプログラムにおいて、
前記第1記憶手段は、前記車両の車種を示す車種情報及び前記利用者識別情報別に、前記設定情報を記憶しており、
前記第1受信機能は、前記利用者識別情報と共に前記車両の車種を示す車種情報を取得し、
前記情報決定機能は、前記第1受信機能が受信した前記車種情報及び前記利用者識別情報の組み合わせである対象組み合わせに対応する前記設定情報を第1の設定情報として前記第1記憶手段から読み出す、プログラム。
30.上記29に記載のプログラムにおいて、
前記情報決定機能は、前記対象組み合わせに対応する前記設定情報が前記第1記憶手段に記憶されていなかった場合、
他の前記車種情報及び前記利用者識別情報の組み合わせに対応する前記設定情報である第2の設定情報を読み出し、
前記車種情報別に当該車種の前記可動部に関する可動部情報を記憶している第2記憶手段から、前記第1受信機能が受信した前記車種情報に対応する前記可動部情報及び前記他の車種情報に対応する前記可動部情報を読み出し、当該2つの可動部情報及び前記第2の設定情報を用いて前記第1の設定情報を生成する、プログラム。
31.上記30に記載のプログラムにおいて、
前記可動部は運転席を含み、
前記設定情報は、前記運転席の前後方向の位置を含んでおり、
前記可動部情報は、標準状態にある運転席と、アクセルペダル及びブレーキペダルの少なくとも一方の相対位置に関する情報を含むプログラム。
32.上記30又は31に記載のプログラムにおいて、
前記可動部はミラーを含み、
前記設定情報は、前記ミラーの角度を含んでおり、
前記可動部情報は、標準状態にある運転席を基準にした時の、標準状態にある前記ミラーの相対角度に関する情報を含むプログラム。
33.上記32に記載のプログラムにおいて、
前記情報決定機能は、さらに前記利用者の身体情報を用いて、前記ミラーの角度を決定するプログラム。
34.上記29~33のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記第1受信機能は、前記車載装置から、前記設定情報を生成又は更新するための更新情報及び前記車種情報を受信し、
さらに、前記コンピュータに、前記第1受信機能が受信した前記更新情報及び前記車種情報を用いて、前記第1記憶手段に記憶されている情報を更新する更新機能を持たせるプログラム。
35.車両に搭載されるコンピュータに、
当該車両に搭乗する利用者を識別する利用者識別情報を取得する取得機能と、
前記利用者識別情報を車両設定装置に送信する第2送信機能と、
前記車両設定装置から、車両が有する設定対象の状態を設定するための設定情報を取得する第2受信機能と、
前記設定情報に基づいて前記設定対象の状態を設定するための設定処理を行う設定処理機能と、
を持たせるプログラム。
36.上記35に記載のプログラムにおいて、
前記利用者識別情報は生体情報を含む、プログラム。
37.上記35又は36に記載のプログラムにおいて、
前記設定処理機能は、前記車両が移動を開始する前に前記設定処理を行い、
さらに、前記コンピュータに、前記車両が停止した後、当該車両の前記設定対象の状態に基づいて前記設定情報を更新するための更新情報を生成する更新情報生成機能を持たせ、
前記第2送信機能は、前記車両設定装置に前記更新情報を送信するプログラム。
【符号の説明】
【0099】
10 車両設定装置
20 車載装置
30 車両
32 シート
34 ペダル
36 サイドミラー
110 第1受信部
120 情報決定部
130 第1送信部
140 第1記憶部
150 第2記憶部
160 更新部
210 取得部
220 第2送信部
230 第2受信部
240 設定処理部
250 更新情報生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11